(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111892
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】鉄筋切断装置
(51)【国際特許分類】
B23D 47/04 20060101AFI20240813BHJP
B25H 7/04 20060101ALN20240813BHJP
E04G 21/16 20060101ALN20240813BHJP
【FI】
B23D47/04 H
B25H7/04 D
E04G21/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016585
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000215006
【氏名又は名称】津根精機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100095430
【弁理士】
【氏名又は名称】廣澤 勲
(72)【発明者】
【氏名】津根 良彦
【テーマコード(参考)】
2E174
3C040
【Fターム(参考)】
2E174DA31
3C040AA01
3C040HH11
3C040HH21
3C040JJ00
(57)【要約】
【課題】丸鋸刃でねじ節鉄筋を切断し、高品質な鉄筋パーツを効率よく製作できる鉄筋切断装置を提供する。
【解決手段】切断位置に配されたn本(定数nは1以上の自然数)のねじ節鉄筋Tを幅方向に横切って切断する丸鋸刃16を備える。n本のねじ節鉄筋Tを、互いの平坦面Tc同士が順に対向し、且つ鉄筋パーツTPとなる側の端部が長さ方向に位置合わせされた状態に整列させる整列装置22を備える。整列装置22が整列させたn本のねじ節鉄筋Tを把持し、切断位置に向けてて搬入する搬入バイス装置24を備える。搬入バイス装置24から受け取ったn本のねじ節鉄筋Tを切断位置に配し、丸鋸刃16が横切る切断箇所の近傍を把持固定する主バイス装置10を備える。丸鋸刃16は、主バイス装置10が固定しているn本のねじ節鉄筋Tを、平坦面Tcの法線の方向に移動して切断するように設置されている。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状本体の側面にねじ状突起が形成され、前記ねじ状突起の途中部分が、前記棒状本体の長さ方向の中心軸を挟んで平行に対向する2つの平坦面が形成されたねじ節鉄筋を切断対象物とし、前記ねじ節鉄筋の長さ方向の一端部から鉄筋パーツを切り出す鉄筋切断装置において、
切断位置に配されたn本(定数nは1以上の自然数)の前記ねじ節鉄筋を幅方向に横切って切断する丸鋸刃と、
n本の前記ねじ節鉄筋を、前記鉄筋パーツとなる側の端部が長さ方向に位置決めされた状態に整列させる整列装置と、
前記整列装置が整列させたn本の前記ねじ節鉄筋を、その整列状態が維持されるように把持して、前記切断位置に向けて搬入する搬入バイス装置と、
前記搬入バイス装置から受け取ったn本の前記ねじ節鉄筋を切断位置に配し、前記丸鋸刃が横切る切断箇所の近傍を、受け取った時の整列状態が維持されるように把持固定する主バイス装置とを備え、
前記丸鋸刃は、前記主バイス装置が固定しているn本の前記ねじ節鉄筋を、前記平坦面の法線の方向に移動して切断するように設置されていることを特徴とする鉄筋切断装置。
【請求項2】
前記定数nは2であり、
前記整列装置は、
並列に投入された複数本の前記ねじ節鉄筋を、個々の前記ねじ節鉄筋の前記平坦面が上下に配された状態にして並列方向に順に送り出す鉄筋送り出し機構と、
前記鉄筋送り出し機構から順に送り出された2本の前記ねじ節鉄筋を、互いの前記平坦面同士が上下に対向するように順に積み重なり、且つ前記鉄筋パーツ側の端部同士の位置が揃った状態にする鉄筋積み重ね機構と、
前記鉄筋積み重ね機構によって積み重ねられた2本の前記ねじ節鉄筋を、その積み重ね状態が維持されるように把持する鉄筋仮固定機構と、
前記鉄筋仮固定機構を移動させることによって、前記鉄筋仮固定機構に把持された2本の前記ねじ節鉄筋を、互いの前記平坦面同士が左右に対向するように方向転換させる方向転換機構とで構成され、
前記搬入バイス装置は、前記方向転換機構から受け取った2本の前記ねじ節鉄筋を、前記方向転換機構から受け取った時の上下左右方向の相対的な位置関係が維持されるように把持して搬入し、
前記主バイス装置は前記搬入バイス装置から受け取った2本の前記ねじ節鉄筋を、前記搬入バイス装置から受け取った時の上下左右方向の相対的な位置関係が維持されるように把持固定する請求項1記載の鉄筋切断装置。
【請求項3】
前記鉄筋送り出し機構から送り出された時の前記ねじ節鉄筋の配置を基準に、前記ねじ節鉄筋の長さ方向をX軸方向、幅方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とするXYZ三次元座標系を定義したとき、
前記整列装置の前記方向転換機構は、前記鉄筋仮固定機構を、2本の前記ねじ節鉄筋を前記鉄筋積み重ね機構から受け取る受け位置から、2本の前記ねじ節鉄筋を前記搬入バイス装置に渡す渡し位置までの間を移動させるものであり、
前記整列装置の前記鉄筋仮固定機構は、前記方向転換機構により移動可能に支持された基体と、前記基体に設置された手段であって、前記鉄筋仮固定機構が前記受け位置に在る状態でZ軸方向に対向する上側チャッカ及び下側チャッカを有し、Z軸正方向側に位置する前記上側チャッカとZ軸負方向側に位置する前記下側チャッカとで2本の前記ねじ節鉄筋の側面を挟持するチャック手段とを備えるものであり、
前記整列装置の前記鉄筋積み重ね機構は、前記受け位置に在る前記鉄筋仮固定機構を相手方として動作する複数の手段を備え、前記複数の手段は、
Y軸方向に水平に延びる上面を有した第一支持部が設けられ、前記鉄筋送り出し機構から送り出された前記ねじ節鉄筋を、前記第一支持部で下方から支持するとともに前記第一支持部をZ軸正方向に変位させることによって前記下側チャッカの上面の位置よりも高く前記上側チャッカの下面の位置よりも低い下側Z基準位置に移送するZ軸方向移送手段と、
前記第一支持部に支持されて前記下側Z基準位置に在る前記ねじ節鉄筋を、側方からY軸正方向に押圧することによって、前記下側チャッカの上面及び前記上側チャッカの下面に対向するY基準位置に移送するY軸方向移送手段と、
前記第一支持部に支持されて前記下側Z基準位置に在る前記ねじ節鉄筋の、前記鉄筋パーツとして切り出される側の端面をX軸負方向に押圧することによって、当該端面のX軸方向の位置を調整するX軸方向位置合わせ手段と、
第二支持部を有し、前記第一支持部に支持されて前記Y基準位置に在る前記ねじ節鉄筋を、前記第二支持部で下方から支持するとともに、前記第二支持部をZ軸正方向に変位させることによって前記下側Z基準位置よりも高く前記上側チャッカの下面の位置よりも低い上側Z基準位置に移送する動作と、前記ねじ節鉄筋を支持している前記第二支持部をY軸方向に変位させることによって前記ねじ節鉄筋の支持を解除する動作とを行う可動式支持手段とで構成される請求項2記載の鉄筋切断装置。
【請求項4】
前記定数nは1であり、
前記整列装置は、
並列に投入された複数本の前記ねじ節鉄筋を、個々の前記ねじ節鉄筋の前記平坦面が上下に配された状態にして並列方向に順に送り出す鉄筋送り出し機構と、
前記鉄筋送り出し機構から送り出された1本の前記ねじ節鉄筋を、前記平坦面が上下に配された状態で移送する鉄筋移送機構と、
前記鉄筋移送機構から受け取った前記ねじ節鉄筋を、前記平坦面が上下に配された状態が維持されるように把持する鉄筋仮固定機構と、
前記鉄筋仮固定機構を移動させることによって、前記鉄筋仮固定機構に把持された前記ねじ節鉄筋を、前記平坦面が左右に配されるように方向転換させる方向転換機構とで構成され、
前記搬入バイス装置は、前記方向転換機構から受け取った前記ねじ節鉄筋を、前記平坦面が左右側に配された状態が維持されるように把持して搬入し、
前記主バイス装置は、前記搬入バイス装置から受け取った2本の前記ねじ節鉄筋を、前記平坦面が左右に配された状態が維持されるように把持固定する請求項1記載の鉄筋切断装置。
【請求項5】
前記鉄筋送り出し機構から送り出された時の前記ねじ節鉄筋の配置を基準に、前記ねじ節鉄筋の長さ方向をX軸方向、幅方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とするXYZ三次元座標系を定義したとき、
前記整列装置の前記方向転換機構は、前記鉄筋仮固定機構を、前記ねじ節鉄筋を前記鉄筋移送機構から受け取る受け位置から、前記ねじ節鉄筋を前記搬入バイス装置に渡す渡し位置までの間を移動させるものであり、
前記整列装置の前記鉄筋仮固定機構は、前記方向転換機構により移動可能に支持された基体と、前記基体に設置された手段であって、前記鉄筋仮固定機構が前記受け位置に在る状態でZ軸方向に対向する上側チャッカ及び下側チャッカを有し、Z軸正方向側に位置する前記上側チャッカとZ軸負方向側に位置する前記下側チャッカとで前記ねじ節鉄筋の側面を挟持するチャック手段とを備えるものであり、
前記整列装置の前記鉄筋移送機構は、前記受け位置に在る前記鉄筋仮固定機構を相手方として動作する複数の手段により構成され、前記複数の手段は、
Y軸方向に水平に延びる上面を有した第一支持部が設けられ、前記鉄筋送り出し機構から送り出された前記ねじ節鉄筋を、前記第一支持部で下方から支持するとともに前記第一支持部をZ軸正方向に変位させることによって前記下側チャッカの上面の位置よりも高く前記上側チャッカの下面の位置よりも低いZ基準位置に移送するZ軸方向移送手段と、
前記第一支持部に支持されて前記Z基準位置に在る前記ねじ節鉄筋を、側方からY軸正方向に押圧することによって、前記下側チャッカの上面及び前記上側チャッカの下面に対向するY基準位置に移送するY軸方向移送手段と、
前記第一支持部に支持されて前記Z基準位置に在る前記ねじ節鉄筋の、前記鉄筋パーツとして切り出される側の端面をX軸負方向に押圧することによって、当該端面のX軸方向の位置を調整するX軸方向位置合わせ手段とで構成される請求項4記載の鉄筋切断装置。
【請求項6】
前記整列装置の前記方向転換機構は、長さ方向の中心軸が横方向に配された回転用シャフトを有し、前記鉄筋仮固定機構を、前記回転用シャフトの前記中心軸周りに1/4回転させることによって、受け位置と渡し位置との間を往復移動させるものであり、
前記整列装置の前記鉄筋仮固定機構は、前記基体が前記回転用シャフトに回動可能に支持されている請求項3又は5記載の鉄筋切断装置。
【請求項7】
前記定数nは1又は2であり、
前記鉄筋パーツに情報表示を付与するためのマーキング装置が設けられ、
前記マーキング装置は、前記切断位置に配された切断前の前記ねじ節鉄筋の、切断後に前記鉄筋パーツとなる部分に対し、又は、前記丸鋸刃で切断されて、切断前の上下左右方向の相対的な位置関係が維持されている前記鉄筋パーツに対し、その外側に露出している前記平坦面に前記情報表示を付与する請求項1記載の鉄筋切断装置。
【請求項8】
棒状本体の側面にねじ状突起が形成され、前記ねじ状突起の途中部分が、前記棒状本体の長さ方向の中心軸を挟んで平行に対向する2つの平坦面が形成されたねじ節鉄筋を切断対象物とし、前記ねじ節鉄筋の長さ方向の一端部から鉄筋パーツを切り出す鉄筋切断装置において、
切断位置に配されたk本(定数kは1又は2)の前記ねじ節鉄筋を幅方向に横切って切断する丸鋸刃と、
k本の前記ねじ節鉄筋を、前記鉄筋パーツとなる側の端部が長さ方向に位置決めされた状態で切断位置に配し、前記丸鋸刃が横切る切断箇所の近傍を把持固定する主バイス装置と、
前記ねじ節鉄筋の切断後に前記鉄筋パーツとなる部分又は前記ネジ節鉄筋から切断された前記鉄筋パーツに対し、外側に露出している前記平坦面に情報表示を付与するマーキング装置とを備え、
前記丸鋸刃は、前記主バイス装置が固定しているk本の前記ねじ節鉄筋を、前記平坦面の法線の方向に移動して切断するように設置されていることを特徴とする鉄筋切断装置。
【請求項9】
前記丸鋸刃で切断されたk本の前記鉄筋パーツを、切断前の上下左右方向の相対的な位置関係が維持されるように把持して搬出する搬出バイス装置が設けられ、
前記搬出バイス装置は、前記鉄筋パーツの長さ方向に移動する搬出用基体と、前記搬出用基体に設置されk本の前記鉄筋パーツを把持する把持部とを有し、前記搬出用基体に前記マーキング装置が設置されており、
前記マーキング装置は、前記鉄筋パーツを搬出する際に前記情報表示を付与する動作が可能である請求項8記載の鉄筋切断装置。
【請求項10】
前記マーキング装置は、前記鉄筋パーツの長さ方向の異なる位置に各々情報表示を付与可能であり、
前記各情報表示の少なくとも一部を付与する際に、前記搬出バイス装置は、前記搬出用基体を移動させることによって、前記マーキング装置を前記各情報表示に対応した位置に移送し、
前記鉄筋パーツを搬出する際に、前記搬出バイス装置が前記把持部で前記鉄筋パーツを把持した状態で前記搬出用基体を移動させ、この移動と平行して前記マーキング装置が情報表示を付与可能に設けられている請求項9記載の鉄筋切断装置。
【請求項11】
前記マーキング装置は、前記把持部の位置から前記鉄筋パーツの長さ方向に離れた位置に設置された情報表示付与用ヘッド部と、前記搬出用機体に取り付けられて前記情報表示付与用ヘッド部を支持するとともに、前記情報表示付与用ヘッド部と前記把持部の、前記鉄筋パーツの長さ方向の離間距離を調節する離間距離調節機構とを備える請求項9記載の鉄筋切断装置。
【請求項12】
k本の前記ねじ節鉄筋を、前記鉄筋パーツとなる側の端部の位置が長さ方向に位置決めされた状態に整列させる整列装置と、
前記整列装置が整列させたk本の前記ねじ節鉄筋を、その整列状態が維持されるように把持し、前記切断位置に向けて搬入する搬入バイス装置とが設けられ、
前記主バイス装置は、前記搬入バイス装置からk本の前記ねじ節鉄筋を受け取って前記切断位置に配し、前記丸鋸刃が横切る切断箇所の近傍を、受け取った時の整列状態が維持されるように把持固定する請求項8乃至11のいずれか記載の鉄筋切断装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、長尺のねじ節鉄筋から所定長さの鉄筋パーツを切り出す鉄筋切断装置に関する。
【背景技術】
【0002】
異形鉄筋の中には、ねじ節鉄筋(又はねじ鉄筋)と呼ばれるものがある。ねじ節鉄筋は、
図26(a)に示すねじ節鉄筋Tように、棒状本体Taの側面にねじ状突起Tbが形成され、ねじ状突起Tbの途中部分が、棒状本体Taの長さ方向の中心軸を挟んで平行に対向する2つの平坦面Tcが形成された構造の鉄筋のことである。
【0003】
従来、ねじ節鉄筋等の棒材を丸鋸刃で切断する装置として、例えば特許文献1に開示されているように、横方向に移動して切断位置に配された棒材を切断する丸鋸刃と、棒材の、丸鋸刃が横切る切断部付近を挟持する位置固定用の主バイス装置と、棒材を挟持して切断位置に送り込む搬送バイス装置とを備えた棒材切断機があった。
【0004】
また、特許文献1の棒材切断機には、ねじ節鉄筋Tから切り出された鉄筋パーツTPの平坦面Tcに所定の情報表示JH(マーキング)を付与するため、位置固定式のマーキング装置が設けられている。鉄筋パーツTPは、一端部同士に筒状のネジカプラ等を螺合させることによって長さ方向に連結して使用される場合がある。そのため、例えば
図26(b)に示すように、略長方形のベタ画で成る情報表示JHを付与し、情報表示JHが付与された位置によってネジカプラ等を螺合させる位置を示し、情報表示JHの色で鉄筋パーツの種類を示すことが行われている
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ねじ節鉄筋Tを切断する場合、通常は、
図27(a)に示すように、ねじ節鉄筋Tを主バイス装置10で把持固定する時、一方の平坦面Tcを下側(Z軸負方向側)に配してZ軸方向の固定バイス12zの上面に載置する。これは、ねじ節鉄筋Tが中心軸周りに回動してねじ状突起Tb及び平坦面Tcの配置が不定になるのを防止するためである。そして、主バイス装置10は、ねじ節鉄筋Tの平坦面Tcの部分をZ軸方向の固定バイス12z及び可動バイス14zで把持固定し、ねじ節鉄筋Tのねじ状突起Tbの先端部分をY軸方向の固定バイス12y及び可動バイス14yで把持固定する。
【0007】
一般に、丸鋸刃16はYZ平面と平行に配され、Y軸負方向に移動してねじ節鉄筋Tを切断するので、丸鋸刃16の刃先は、最初にねじ状突起Tbの先端部に当たる。つまり、螺旋状に傾斜しているねじ状突起Tbの先端部に切り込むことになるので、丸鋸刃16の刃先がX軸方向にブレてしまい、ねじ節鉄筋Tを真っすぐ横切ることができない。したがって、鉄筋パーツTPの長さがばらつきやすいという問題や、鉄筋パーツTPの切断面が綺麗な平面にならないという問題や、丸鋸刃16が破損する不具合が発生しやすいという問題があった。
【0008】
特許文献1の棒材切断機は、上記の問題を解決するための特別な手段は備えておらず、同様の問題が発生する可能性がある。また、この棒材切断機は、特定のマーキング装置を使用して情報表示JHを付与する作業を行うが、この作業の作業効率をさらに向上させることが求められる。
【0009】
本発明は、上記背景技術に鑑みて成されたものであり、丸鋸刃でねじ節鉄筋を切断し、高品質な鉄筋パーツを効率よく製作できる鉄筋切断装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明(請求項1記載の発明)は、棒状本体の側面にねじ状突起が形成され、前記ねじ状突起の途中部分が、前記棒状本体の長さ方向の中心軸を挟んで平行に対向する2つの平坦面が形成されたねじ節鉄筋を切断対象物とし、前記ねじ節鉄筋の長さ方向の一端部から鉄筋パーツを切り出す鉄筋切断装置であって、切断位置に配されたn本(定数nは1以上の自然数)の前記ねじ節鉄筋を幅方向に横切って切断する丸鋸刃と、n本の前記ねじ節鉄筋を、前記鉄筋パーツとなる側の端部が長さ方向に位置決めされた状態に整列させる整列装置と、前記整列装置が整列させたn本の前記ねじ節鉄筋を、その整列状態が維持されるように把持して、前記切断位置に向けて搬入する搬入バイス装置と、前記搬入バイス装置から受け取ったn本の前記ねじ節鉄筋を切断位置に配し、前記丸鋸刃が横切る切断箇所の近傍を、受け取った時の整列状態が維持されるように把持固定する主バイス装置とを備え、前記丸鋸刃は、前記主バイス装置が固定しているn本の前記ねじ節鉄筋を、前記平坦面の法線の方向に移動して切断するように設置されている鉄筋切断装置である。
【0011】
前記定数nが2の場合、前記整列装置は、並列に投入された複数本の前記ねじ節鉄筋を、個々の前記ねじ節鉄筋の前記平坦面が上下に配された状態にして並列方向に順に送り出す鉄筋送り出し機構と、前記鉄筋送り出し機構から順に送り出された2本の前記ねじ節鉄筋を、互いの前記平坦面同士が上下に対向するように順に積み重なり、且つ前記鉄筋パーツ側の端部同士の位置が揃った状態にする鉄筋積み重ね機構と、前記鉄筋積み重ね機構によって積み重ねられた2本の前記ねじ節鉄筋を、その積み重ね状態が維持されるように把持する鉄筋仮固定機構と、前記鉄筋仮固定機構を移動させることによって、前記鉄筋仮固定機構に把持された2本の前記ねじ節鉄筋を、互いの前記平坦面同士が左右に対向するように方向転換させる方向転換機構とで構成され、前記搬入バイス装置は、前記方向転換機構から受け取った2本の前記ねじ節鉄筋を、前記方向転換機構から受け取った時の上下左右方向の相対的な位置関係が維持されるように把持して搬入し、前記主バイス装置は前記搬入バイス装置から受け取った2本の前記ねじ節鉄筋を、前記搬入バイス装置から受け取った時の上下左右方向の相対的な位置関係が維持されるように把持固定する構成にすることが好ましい。
【0012】
より詳しくは、前記鉄筋送り出し機構から送り出された時の前記ねじ節鉄筋の配置を基準に、前記ねじ節鉄筋の長さ方向をX軸方向、幅方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とするXYZ三次元座標系を定義したとき、
前記整列装置の前記方向転換機構は、前記鉄筋仮固定機構を、2本の前記ねじ節鉄筋を前記鉄筋積み重ね機構から受け取る受け位置から、2本の前記ねじ節鉄筋を前記搬入バイス装置に渡す渡し位置までの間を移動させるものであり、
前記整列装置の前記鉄筋仮固定機構は、前記方向転換機構により移動可能に支持された基体と、前記基体に設置された手段であって、前記鉄筋仮固定機構が前記受け位置に在る状態でZ軸方向に対向する上側チャッカ及び下側チャッカを有し、Z軸正方向側に位置する前記上側チャッカとZ軸負方向側に位置する前記下側チャッカとで2本の前記ねじ節鉄筋の側面を挟持するチャック手段とを備えるものであり、
前記整列装置の前記鉄筋積み重ね機構は、前記受け位置に在る前記鉄筋仮固定機構を相手方として動作する複数の手段を備え、前記複数の手段は、
Y軸方向に水平に延びる上面を有した第一支持部が設けられ、前記鉄筋送り出し機構から送り出された前記ねじ節鉄筋を、前記第一支持部で下方から支持するとともに前記第一支持部をZ軸正方向に変位させることによって前記下側チャッカの上面の位置よりも高く前記上側チャッカの下面の位置よりも低い下側Z基準位置に移送するZ軸方向移送手段と、
前記第一支持部に支持されて前記下側Z基準位置に在る前記ねじ節鉄筋を、側方からY軸正方向に押圧することによって、前記下側チャッカの上面及び前記上側チャッカの下面に対向するY基準位置に移送するY軸方向移送手段と、
前記第一支持部に支持されて前記下側Z基準位置に在る前記ねじ節鉄筋の、前記鉄筋パーツとして切り出される側の端面をX軸負方向に押圧することによって、当該端面のX軸方向の位置を調整するX軸方向位置合わせ手段と、
板状等に形成された第二支持部を有し、前記第一支持部に支持されて前記Y基準位置に在る前記ねじ節鉄筋を、前記第二支持部で下方から支持するとともに、前記第二支持部をZ軸正方向に変位させることによって前記下側Z基準位置よりも高く前記上側チャッカの下面の位置よりも低い上側Z基準位置に移送する動作と、前記ねじ節鉄筋を支持している前記第二支持部をY軸方向に変位させることによって前記ねじ節鉄筋の支持を解除する動作とを行う可動式支持手段とで構成されるようにすることが好ましい。
【0013】
前記定数nが1の場合、前記整列装置は、並列に投入された複数本の前記ねじ節鉄筋を、個々の前記ねじ節鉄筋の前記平坦面が上下に配された状態にして並列方向に順に送り出す鉄筋送り出し機構と、前記鉄筋送り出し機構から送り出された1本の前記ねじ節鉄筋を、前記平坦面が上下に配された状態で移送する鉄筋移送機構と、前記鉄筋移送機構から受け取った前記ねじ節鉄筋を、前記平坦面が上下に配された状態が維持されるように把持する鉄筋仮固定機構と、前記鉄筋仮固定機構を移動させることによって、前記鉄筋仮固定機構に把持された前記ねじ節鉄筋を、前記平坦面が左右に配されるように方向転換させる方向転換機構とで構成され、前記搬入バイス装置は、前記方向転換機構から受け取った前記ねじ節鉄筋を、前記平坦面が左右側に配された状態が維持されるように把持して搬入し、前記主バイス装置は、前記搬入バイス装置から受け取った2本の前記ねじ節鉄筋を、前記平坦面が左右に配された状態が維持されるように把持固定す構成にすることが好ましい。
【0014】
より詳しくは、前記鉄筋送り出し機構から送り出された時の前記ねじ節鉄筋の配置を基準に、前記ねじ節鉄筋の長さ方向をX軸方向、幅方向をY軸方向、上下方向をZ軸方向とするXYZ三次元座標系を定義したとき、
前記整列装置の前記方向転換機構は、前記鉄筋仮固定機構を、前記ねじ節鉄筋を前記鉄筋移送機構から受け取る受け位置から、前記ねじ節鉄筋を前記搬入バイス装置に渡す渡し位置までの間を移動させるものであり、
前記整列装置の前記鉄筋仮固定機構は、前記方向転換機構により移動可能に支持された基体と、前記基体に設置された手段であって、前記鉄筋仮固定機構が前記受け位置に在る状態でZ軸方向に対向する上側チャッカ及び下側チャッカを有し、Z軸正方向側に位置する前記上側チャッカとZ軸負方向側に位置する前記下側チャッカとで前記ねじ節鉄筋の側面を挟持するチャック手段とを備えるものであり、
前記整列装置の前記鉄筋移送機構は、前記受け位置に在る前記鉄筋仮固定機構を相手方として動作する複数の手段により構成され、前記複数の手段は、
Y軸方向に水平に延びる上面を有した第一支持部が設けられ、前記鉄筋送り出し機構から送り出された前記ねじ節鉄筋を、前記第一支持部で下方から支持するとともに前記第一支持部をZ軸正方向に変位させることによって前記下側チャッカの上面の位置よりも高く前記上側チャッカの下面の位置よりも低いZ基準位置に移送するZ軸方向移送手段と、
前記第一支持部に支持されて前記Z基準位置に在る前記ねじ節鉄筋を、側方からY軸正方向に押圧することによって、前記下側チャッカの上面及び前記上側チャッカの下面に対向するY基準位置に移送するY軸方向移送手段と、
前記第一支持部に支持されて前記Z基準位置に在る前記ねじ節鉄筋の、前記鉄筋パーツとして切り出される側の端面をX軸負方向に押圧することによって、当該端面のX軸方向の位置を調整するX軸方向位置合わせ手段とで構成されるようにすることが好ましい。
【0015】
前記整列装置の前記方向転換機構は、長さ方向の中心軸が横方向に配された回転用シャフトを有し、前記鉄筋仮固定機構を、前記回転用シャフトの前記中心軸周りに1/4回転させることによって、受け位置と渡し位置との間を往復移動させるものであり、前記整列装置の前記鉄筋仮固定機構は、前記基体が前記回転用シャフトに回動可能に支持されている構成にすることが好ましい。
【0016】
さらに、前記定数nが1又は2の場合、前記鉄筋パーツに情報表示を付与するためのマーキング装置が設けられ、前記マーキング装置は、前記切断位置に配された切断前の前記ねじ節鉄筋の、切断後に前記鉄筋パーツとなる部分に対し、又は、前記丸鋸刃で切断されて、切断前の上下左右方向の相対的な位置関係が維持されている前記鉄筋パーツに対し、その外側に露出している前記平坦面に前記情報表示を付与する構成にすることができる。
【0017】
また本発明(請求項8記載の発明)は、棒状本体の側面にねじ状突起が形成され、前記ねじ状突起の途中部分が、前記棒状本体の長さ方向の中心軸を挟んで平行に対向する2つの平坦面が形成されたねじ節鉄筋を切断対象物とし、前記ねじ節鉄筋の長さ方向の一端部から鉄筋パーツを切り出す鉄筋切断装置であって、
切断位置に配されたk本(定数kは1又は2)の前記ねじ節鉄筋を幅方向に横切って切断する丸鋸刃と、k本の前記ねじ節鉄筋を、前記鉄筋パーツとなる側の端部が長さ方向に位置決めされた状態で切断位置に配し、前記丸鋸刃が横切る切断箇所の近傍を把持固定する主バイス装置と、前記ねじ節鉄筋の切断後に前記鉄筋パーツとなる部分又は前記ネジ節鉄筋から切断された前記鉄筋パーツに対し、外側に露出している前記平坦面に情報表示を付与するマーキング装置とを備え、前記丸鋸刃は、前記主バイス装置が固定しているk本の前記ねじ節鉄筋を、前記平坦面の法線の方向に移動して切断するように設置されている鉄筋切断装置である。
【0018】
この場合、前記丸鋸刃で切断されたk本の前記鉄筋パーツを、切断前の上下左右方向の相対的な位置関係が維持されるように把持して搬出する搬出バイス装置が設けられ、
前記搬出バイス装置は、前記鉄筋パーツの長さ方向に移動する搬出用基体と、前記搬出用基体に設置されてk本の前記鉄筋パーツを把持する把持部とを有し、前記搬出用基体に前記マーキング装置が設置されており、
前記マーキング装置は、前記鉄筋パーツを搬出する際に、前記情報表示を付与する動作が可能である。
【0019】
さらに、前記マーキング装置は、前記鉄筋パーツの長さ方向の異なる位置に各々情報表示を付与可能であり、前記各情報表示の少なくとも一部を付与する際に、前記搬出バイス装置は、前記搬出用基体を移動させることによって、前記マーキング装置を前記各情報表示に対応した位置に移送し、前記鉄筋パーツを搬出する際に、前記搬出バイス装置が前記把持部で前記鉄筋パーツを把持した状態で前記搬出用基体を移動させ、この移動と平行して前記マーキング装置が情報表示を付与可能に設けられていることが好ましい。
【0020】
この場合、前記マーキング装置は、前記把持部の位置から前記鉄筋パーツの長さ方向に離れた位置に設置された情報表示付与用ヘッド部と、前記搬出用機体に取り付けられて前記情報表示付与用ヘッド部を支持するとともに、前記情報表示付与用ヘッド部と前記把持部の、前記鉄筋パーツの長さ方向の離間距離を調節する離間距離調節機構とを備える構成にすることが好ましい。
【0021】
さらに、k本の前記ねじ節鉄筋を、前記鉄筋パーツとなる側の端部の位置が長さ方向に位置決めされた状態に整列させる整列装置と、前記整列装置が整列させたk本の前記ねじ節鉄筋を、その整列状態が維持されるように把持し、前記切断位置に向けて搬入する搬入バイス装置とが設けられ、前記主バイス装置は、前記搬入バイス装置からk本の前記ねじ節鉄筋を受け取って前記切断位置に配し、前記丸鋸刃が横切る切断箇所の近傍を、受け取った時の整列状態が維持されるように把持固定する構成にすることができる。
【発明の効果】
【0022】
本発明の鉄筋切断装置は、ねじ節鉄筋を切断する時、丸鋸刃がねじ節鉄筋の平坦面の法線の方向に移動して切断するので、丸鋸刃の刃先は、最初にネジ節鉄筋の平坦面に当たる。そのため、丸鋸刃は、刃先がほとんどブレず、ねじ節鉄筋を真っすぐに横切ることができる。したがって、長さが均一で切断面も綺麗な鉄筋パーツを安定的に製作することができる。また、丸鋸刃に加わるストレスが軽減されるので、丸鋸刃が破損する不具合も発生しにくい。
【0023】
また、本発明の鉄筋切断装置は、既存の切断装置に整列装置等を付設するだけで容易に構成することができ、非常に採用しやすいものである。その他、複数本のねじ節鉄筋を主バイス装置に把持固定させ、丸鋸刃で連続的に切断する構成にすることによって、従来よりも効率よく鉄筋パーツを切り出すことができる。さらに、独特なマーキング装置を設けることによって、従来よりも効率よく情報表示を付与することができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図1】本発明の鉄筋切断装置の第一の実施形態をZ軸正方向側から見た図[平面図]である。
【
図2】
図1のA-A部をX軸正方向側から見た図(a)、B-B部をX軸正方向側から見た図(b)、C-C部をX軸正方向側から見た図(c)である。
【
図3】第一の実施形態の鉄筋切断装置の全体構成を示すブロック図(a)、整列装置が有する4つの機構の働きを示す模式図(b)である。
【
図4】
図1の中の整列装置を拡大した図(a)、(b)である。
【
図5】
図4(a)、(b)の中から、鉄筋送り出し機構等を抜き出した図(a)、(b)である。
【
図6】
図4(a)、(b)の中から、鉄筋積み重ね機構[Z軸方向移送手段及びX軸方向位置合わせ手段を除く]、鉄筋仮固定機構及び方向転換機構を抜き出した図であって、これらが渡し位置に配された状態を示す図(a)、(b)である。
【
図7】
図6(a)、(b)の鉄筋積み重ね機構及び鉄筋仮固定機構が、受け位置に配された状態を示す図(a)、(b)である。
【
図8】
図7(a)、(b)の中から鉄筋仮固定機構を抜き出した図(a)、(b)である。
【
図9】
図7(a)、(b)の中から鉄筋積み重ね機構のY軸方向移送手段を抜き出した図(a)、(b)である。
【
図10】
図7(a)、(b)の中から鉄筋積み重ね機構の可動式支持手段を抜き出した図(a)、(b)である。
【
図11】
図4(a)、(b)の中の鉄筋積み重ね機構のZ軸方向移送手段及びX軸方向位置合わせ手段と他の部材のとの位置関係を示す図(a)、(b)である。
【
図12】
図3の中の整列装置の動作を順に示す図(a)、(b)である。
【
図13】
図3の中の整列装置の動作を順に示す図(a)、(b)である。
【
図14】
図3の中の整列装置の動作を順に示す図(a)、(b)である。
【
図15】
図3の中の整列装置の動作を順に示す図(a)、(b)である。
【
図16】
図3の中の整列装置の動作を順に示す図(a)、(b)である。
【
図17】
図3の中の整列装置の動作を順に示す図(a)、(b)である。
【
図18】
図3の中の搬入バイス装置、主バイス装置及び丸鋸刃の動作を順に示す図(a)、(b)である。
【
図19】
図18(b)に示す動作の中の、丸鋸刃で2本のねじ節鉄筋を切断する様子をX軸正方向側から見た図である。
【
図20】
図3の中の搬出バイス装置及びマーキング装置の動作を順に示す図(a)、(b)である。
【
図21】本発明の鉄筋切断装置の第二の実施形態の全体構成を示すブロック図(a)、整列装置が有する4つの機構の働きを示す模式図(b)である。
【
図22】第二の実施形態の鉄筋切断装置において、丸鋸刃で1本のねじ節鉄筋を切断する様子を、X軸正方向側から見た図である。
【
図23】本発明の第三の実施形態の鉄筋切断装置の全体構成を示すブロック図(a)、整列装置が有する4つの機構の働きを示す模式図(b)である。
【
図24】
図23の中の搬入バイス装置、主バイス装置、搬出バイス装置及びマーキング装置の動作を順に示す図(a)、(b)である。
【
図25】
図23の中の主バイス装置、丸鋸刃、搬出バイス装置及びマーキング装置の動作を順に示す図(a)、(b)である。
【
図26】切断対象物であるねじ節鉄筋を示す正面図及び左側面図と、ねじ節鉄筋から切り出された鉄筋パーツを示す正面図及び左側面図である。
【
図27】従来の鉄筋切断装置において、丸鋸刃で1本又は2本のねじ節鉄筋を切断する様子をX軸正方向側から見た図(a)、(b)である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、本発明の鉄筋切断装置の第一の実施形態について、
図1~
図20に基づいて説明する。この実施形態の鉄筋切断装置18は、上記のねじ節鉄筋Tを切断対象物とし、ねじ節鉄筋Tの長さ方向の一端部を丸鋸刃16で切断することによって鉄筋パーツTPを製作し、さらに鉄筋パーツTPに情報表示JH1,JH2を付与して仕上げる装置である。装置全体の外観は、
図1、
図2に示す通りである。
【0026】
なお、
図1~
図20には、Z軸正方向を鉛直上向きとするXYZ三次元座標系を定義して各方向を表記している。X軸とY軸の方向については、丸鋸刃16がYZ平面と平行に配され、ねじ節鉄筋TがX軸と平行に配され、丸鋸刃16がY軸負方向に移動してねじ節鉄筋Tを切断するという設定にしてある。
【0027】
<<<鉄筋切断装置18の構成>>>
図3に示すように、鉄筋切断装置18は、駆動ストックテーブル20、整列装置22、搬入バイス装置24、主バイス装置10、丸鋸刃16,搬出バイス装置26、マーキング装置28及び製品ストッカ30で構成される。以下、鉄筋切断装置18が備える各装置の構成及び機能を順に説明する。
【0028】
<<駆動ストックテーブル20及び製品ストッカ30の構成>>
駆動ストックテーブル20は、
図1、
図2(a)に示すように、X軸と平行に配した複数本のねじ節鉄筋T(未加工のねじ節鉄筋)が駆動面20a上に並列に置かれ、駆動面20aをY軸正方向に移動させることにより、ねじ節鉄筋TをX軸と平行に配して整列装置22に投入する。また、製品ストッカ30は、
図1、
図2(c)に示すように、搬出バイス装置26によって順に搬出された鉄筋パーツTP(最終製品)を収容する部分である。なお、駆動ストックテーブル20及び製品ストッカ30は本発明の要部ではない。
【0029】
<<整列装置22の構成>>
整列装置22は、概して言うと、駆動ストックテーブル20から投入された中の2本のねじ節鉄筋Tを、互いの平坦面Tc同士が順に対向し、且つ鉄筋パーツTPとなる側の端部が長さ方向に位置合わせされた状態に整列させて、後段の搬入バイス装置24に渡す装置である。
図1に示すように、整列装置22はX軸方向に間隔を空けて複数台設置されており、これらは、連結バー22aを介して相互に連結され、各整列装置22が同期をとって同じ動作を行う。
【0030】
各整列装置22は、鉄筋送り出し機構32、鉄筋積み重ね機構34、鉄筋仮固定機構36及び方向転換機構38とで構成される。以下、各機構の構成及び機能の概要を順に説明する。
【0031】
<鉄筋送り出し機構32の構成>
鉄筋送り出し機構32は、駆動ストックテーブル20から並列に投入された複数本のねじ節鉄筋Tを、個々のねじ節鉄筋Tの平坦面Tcが上下に配された状態にしてY軸正方向に順に送り出す機構である[
図3(b)]。
【0032】
具体的には、
図4、
図5に示すように、Y軸と平行に配したローラコンベア40と、ローラコンベア40のY軸正方向側の端部を基台42に対して揺動可能に軸支する軸部44と、ローラコンベア40を下方から駆動して軸部44周りに揺動させる駆動装置46と、基台42の、ローラコンベア40の近傍の位置に設けた送り出しストッパ48(Y軸負方向側の面がストッパ面となる部材)とで構成される。
【0033】
鉄筋送り出し機構32は、複数本のねじ節鉄筋Tを、水平に配されたローラコンベア40のY軸負方向側の端部の上面に受け、駆動装置46がローラコンベア40を傾ける。すると、各ねじ節鉄筋Tが、平坦面Tcが上下に配された状態になってY軸正方向に順に送られ、先頭のねじ節鉄筋Tが送り出しストッパ48に係止されて並列に並び、その後、駆動装置46がローラコンベア40を水平に戻すという動作を行う。
【0034】
<鉄筋積み重ね機構34、鉄筋仮固定機構36及び方向転換機構38の構成>
鉄筋積み重ね機構34は、鉄筋送り出し機構32から送り出された2本のねじ節鉄筋Tを、互いの平坦面Tc同士が上下に順に対向するように積み重なり、且つ鉄筋パーツTPとなる側の端部が長さ方向に位置合わせされた状態にする機構であり、鉄筋仮固定機構36は、鉄筋積み重ね機構34によって積み重ねられた2本のねじ節鉄筋Tを、その積み重ね状態が維持されるように把持する機構である[
図3(b)]。そして、方向転換機構38は、鉄筋仮固定機構36を移動させることによって、鉄筋仮固定機構36に把持された2本のねじ節鉄筋Tを、互いの平坦面Tc同士が左右に対向するように方向転換させる機構である[
図3(b)]。
【0035】
方向転換機構38は、
図4に示すように、長さ方向に中心軸をX軸と平行に配して基台42に設置された回転用シャフト50と、図示しない駆動装置とで構成される。回転用シャフト50は、後述する鉄筋仮固定機構36の基体52を支持する部材で、駆動装置は、基体52を回転シャフト50周りに回転駆動する装置である。
【0036】
方向転換機構38は、基体52を回転シャフト50周りに1/4回転させることによって、鉄筋仮固定機構36を、
図6に示す渡し位置(2本のねじ節鉄筋Tを鉄筋積み重ね機構34から受け取る位置)から、
図7に示す受け位置(2本のねじ節鉄筋Tを搬入バイス装置24に渡す位置)までの間を移動させる動作を行う。
【0037】
鉄筋仮固定機構36は、
図7、
図8に示すように、回転用シャフト50によって回動可能に支持された基体52と、基体52のY軸負方向側の側面に設置されたチャック手段54とで構成される。チャック手段54は、鉄筋仮固定機構36が受け位置に在る状態で、Z軸方向に対向する上側チャッカ54a及び下側チャッカ54bで構成され、Z軸負方向側に位置する下側チャッカ54bがZ軸正方向側に位置する上側チャッカ54aに近づいたり離れたりすることによって、2つのチャッカ54a,54bでねじ節鉄筋Tの側面(上下面)を挟持したり挟持を解除したりする動作を行う。
【0038】
鉄筋積み重ね機構34は、受け位置に在る鉄筋仮固定機構36を相手方として動作する複数の手段を備え、複数の手段は、Z軸方向移送手段56、Y軸方向移送手段58、X軸方向位置合わせ手段60及び可動式支持手段62とで構成される。以下、各手段の構成と機能の概要を説明する。
【0039】
まず、Y軸方向移送手段58から説明すると、Y軸方向移送手段58は、
図7、
図9に示すように、シリンダ装置64、Y移動板66及びYストッパ68で構成される。シリンダ装置64は、鉄筋仮固定機構36の基体52に設置されており、ピストンロッド64aの先端部が基体52のY軸負方向側の側面から突出するように取り付けられ、この先端部がY軸方向に移動する。Y軸移動板66は、XZ平面と平行に配してピストンロッド64aの先端部に取り付けられている。Yストッパ68は、基体52のY軸負方向側の側面から一部が突出するように取り付けられた円柱状の部材である。
【0040】
Y軸方向移送手段58は、Y移動板66の内面側にねじ節鉄筋Tが配された状態で、Y移動板66をY軸正方向に移動させることによってねじ節鉄筋Tの側面を押し、ねじ節鉄筋Tを、Yストッパ68によって規定されるY基準位置に移送する動作を行う。Y基準位置は、ねじ節鉄筋TのY軸正方向側の側面がYストッパ68の側面に当接する位置であって、下側チャッカ54bの上面及び上側チャッカ54aの下面に対向する位置である。
【0041】
次に、可動式支持手段62について説明すると、可動式支持手段62は、
図7、
図10に示すように、シリンダ装置70、第二支持部72及び回転駆動装置(図示せず)で構成される。シリンダ装置70は、端部が鉄筋仮固定機構36の基体52に軸支され、回転駆動装置に駆動されて、Z軸と平行な回転軸74周りに回動する構造になっている。また、シリンダ装置70は、ピストンロッド70aの先端部が基体52のZ軸負方向側の側面から突出するように取り付けられており、この先端部がZ軸方向に移動する。第二支持部72は、板状に形成された部材で、XY平面と平行に配してピストンロッド70aの先端部に取り付けられている。したがって、第二支持部72は、シリンダ装置70のピストンロッド70aが移動することによってZ軸方向に移動し、シリンダ装置70が回転軸74周りに回動することによって、正位置(第二支持部72がY軸と平行に延びる位置)と退避位置(正位置からY軸正方向[及びX軸正方向]にずれた位置)との間を移動することができる。
【0042】
可動式支持手段62は、第二支持部72を正位置に配置させた状態で、第二支持部72の上面でねじ節鉄筋Tを支持するとともに、第二支持部72をZ軸正方向に変位させることによって、ねじ節鉄筋Tを上側Z基準位置に移送する動作を行う。上側Z基準位置は、後述する下側Z基準位置よりも高くて上側チャッカ54aの下面の位置よりも低い位置である。また、可動式支持手段62は、適宜のタイミングで、第二支持部70を、ねじ節鉄筋Tに接触しない退避位置に退避させる動作を行う。
【0043】
次に、Z軸方向移送手段56について説明すると、Z軸方向移送手段56は、
図4、
図11に示すように、Z移動板76及び回転駆動装置(図示せず)とで構成される。Z移動板76は、略長方形に形成されており、一端辺が基台42に軸支され、回転駆動装置に駆動されてY軸と平行な回転軸78周りに回動する構造になっている。また、Z移動板76は、軸支されている端辺に対向する端辺が、Y軸方向に水平に延びる上面を有した第一支持部76aとなる。
【0044】
Z軸方向移送手段56は、鉄筋送り出し機構32が順に送り出したねじ節鉄筋Tの中の最初の1本(送り出しストッパ48に係止されているもの)が第一支持部76aの上方に配された状態で、この1本のねじ節鉄筋Tを、第一支持部76aの上面で支持するとともに、第一支持部76aをZ軸方向に変位させることによって下側Z基準位置に移送する動作を行う。下側Z基準位置は、下側チャッカ54bの上面の位置よりも高くて上側チャッカ54aの下面の位置よりも低い位置である。
【0045】
次に、X軸方向位置合わせ手段60について説明すると、X軸方向位置合わせ手段60は、複数の整列装置22の中の、最も丸鋸刃16に近い整列装置22だけに設けられる手段で、
図4、
図11に示すように、シリンダ装置80及びX移動板82で構成される。シリンダ装置80は、基台42に設置されて、ピストンロッド80aの先端部がX軸方向に移動する。X移動板82は、YZ平面と平行に配してピストンロッド80aの先端部に取り付けられている。
【0046】
X軸方向位置合わせ手段60は、ねじ節鉄筋Tが第一支持部72aに支持されて下側Z基準位置に配された状態で、X移動板82をX軸負方向に移動させることによってねじ節鉄筋Tの一端面(鉄筋パーツTPとして切り出される側の端面)を押圧し、この一端面のX軸方向の位置を調整する動作を行う。
【0047】
<<搬入バイス装置24の構成>>
搬入バイス装置24は、上記の整列装置22が
図3(b)のように整列させた2本のねじ節鉄筋T(互いの平坦面Tc同士が左右順に対向するように整列され2本のねじ節鉄筋T)を把持して切断位置に向けて搬入する装置である。搬入バイス装置24は、方向転換機構38から受け取った2本のねじ節鉄筋Tを、方向転換機構38から受け取った時の整列状態(上下左右方向の相対的な位置関係)が維持されるように把持し、切断位置に向けてX軸負方向に移送し、後段の主バイス装置26に渡す動作を行う。
【0048】
この搬入バイス装置24は、第一及び第二の搬入バイス装置24-1,24-2とで構成され、第一の搬入バイス装置24-1が方向転換機構38から2本のねじ節鉄筋Tを受け取り、そのねじ節鉄筋Tの位置関係を維持させて第二の搬入バイス装置24-2に渡し、第二の搬入バイス装置24-2がそのねじ節鉄筋Tの位置関係を維持させて主バイス装置10に渡す構成になっている。
【0049】
<<主バイス装置10及び丸鋸刃16の構成>>
丸鋸刃16は、切断位置に配された2本のねじ節鉄筋Tを幅方向に横切って切断するものであり、YZ平面と平行に配され、Y軸負方向に移動する時に切断し、その後、Y軸正方向移動して退避するように設置されている。
【0050】
主バイス装置10は、第二の搬入バイス装置24-2から2本のねじ節鉄筋Tを受け取って切断位置に配し、丸鋸刃16が横切る切断箇所の近傍を把持固定する装置である。この主バイス装置10は、
図27(a)に示す一般的な主バイス装置10と同様のものであり、第二の搬入バイス装置24-2から受け取った2本のねじ節鉄筋Tを、第二の搬入バイス装置24-2から受け取った時の整列状態(上下左右方向の相対的な位置関係)が維持されるように把持固定する。
【0051】
<<搬出バイス装置26及びマーキング装置28の構成>>
搬出バイス装置26は、丸鋸刃16で切断された2本の鉄筋パーツTPを主バイス装置16から受け取り、切断前の位置関係(主バイス装置10に把持固定されている時の上下左右方向の相対的な位置関係)が維持されるように把持して搬出する装置である。
【0052】
マーキング装置28は、搬出バイス装置26に把持されている2本の鉄筋パーツTPに対して、各鉄筋パーツTPの、外側に露出している方の平坦面Tcに情報表示JHを付与する装置である。付与する方式は特に限定されないが、例えば、インキを噴射して鉄筋パーツTPに塗布するものを使用することができる。
【0053】
<<<鉄筋切断装置18の動作>>>
次に、鉄筋切断装置18が、投入されたねじ節鉄筋Tから鉄筋パーツTPを切り出し、さらに情報表示JHを付与するまでの動作の一例を説明する。
【0054】
<<ねじ節鉄筋Tを整列させる動作>>
鉄筋切断装置18は、まず、駆動ストックテーブル20から投入された複数のねじ節鉄筋Tを整列させる動作を行う。具体的には、2本のねじ節鉄筋Tを1組にして第一の搬入バイス装置24-1に渡せる状態にする動作[動作(ア)~(ヌ)]を行う。動作(ア)~(ヌ)は、主に整列装置22が有する各機構及び各手段が連携して行うものであり、以下、
図5、
図12~
図17に基づいて順に説明する。
【0055】
まず、
図5(b)に示すように、鉄筋仮固定機構36が渡し位置にある状態で、鉄筋送り出し機構32が、最初のねじ節鉄筋Tを、送り出しストッパ48に当接する位置に送り出す[動作(ア)]。以下、先に送り出されたねじ節鉄筋Tを第一鉄筋T1と称する。
【0056】
次に、
図12(a)に示すように、方向転換機構38が鉄筋仮固定機構36を受け位置に移動させた後、[動作(イ)]、Z軸方向移送手段56がZ移動板76を回動させて第一鉄筋T1を下側Z基準位置に移送し、第一鉄筋T1を第一支持部76aで支持する[動作(ウ)]。そして、
図12(b)に示すように、Y軸方向移送手段58がY移動板66をY軸正方向移動させ、第一支持部76aに支持されている第一鉄筋T1をY基準位置(第一鉄筋T1の側面がYストッパ68に当接する位置)に移送する。
【0057】
次に、
図13(a)に示すように、Y軸方向移送手段58がY移動板66をY軸負方向移動させた後[動作(オ)]、図示しないX軸方向位置合わせ手段60がX移動板82をX軸負方向に移動させ、第一鉄筋T1のX軸方向の位置を調整する[動作(カ)]。そして、可動式支持手段62が、正位置にある第二支持部72をZ軸正方向に移動させ、下側Z基準位置に在る第一鉄筋を上側Z基準位置(上側チャッカ54aの下面に近い位置)に移送する[動作(キ)]。
【0058】
次に、
図13(b)に示すように、Z軸方向移送手段56がZ移動板76を回動させて第一支持部76aをZ軸負方向に退避させた後[動作(ク)]、鉄筋送り出し機構32が、次のねじ節鉄筋Tを、送り出しストッパ48に当接する位置に送り出す[動作(ケ)]。以下、第一鉄筋T1の次に送り出されたねじ節鉄筋Tを第二鉄筋T2と称する。
【0059】
次に、
図14(a)に示すように、Z軸方向移送手段56がZ移動板76を回動させて第二鉄筋T2を下側Z基準位置に移送し、第二鉄筋T2を第一支持部76aで支持する[動作(コ)]。そして、
図14(b)に示すように、Y軸方向移送手段58がY移動板66をY軸正方向移動させ、第一支持部76aに支持されている第二鉄筋T2をY基準位置(第二鉄筋T1の側面がYストッパ68に当接する位置)に移送する[動作(サ)]。
【0060】
次に、
図15(a)に示すように、Y軸方向移送手段58がY移動板66をY軸負方向移動させた後[動作(シ)]、図示しないX軸方向位置合わせ手段60がX移動板82をX軸負方向に移動させて第二鉄筋T2のX軸方向の位置を調整する[動作(ス)]。この動作(ス)が行われると、2つの鉄筋T1,T2は、ともに上側Z基準位置及びY基準位置に配置され、且つX軸方向に位置合わせされて、Z軸方向に離間した状態になる。
【0061】
次に、
図15(b)に示すように、可動式支持手段62が第二支持部72のZ軸方向の支持力をニュートラルにすることによって、第二支持部72及び第一鉄筋T1を第二鉄筋T2の上面に重ね[動作(セ)]、さらに、Z軸方向移送手段56がZ移動板76を回動させ、第一支持部76aをZ軸負方向に退避させることによって、第二鉄筋T2、第二支持部72及び第一鉄筋T1を下側チャッカ54bの上面に順に重ねる[動作(ソ)]。
【0062】
次に、
図16(a)に示すように、Y軸方向移送手段58がY移動板66をY軸正方向移動させ、Y移動板66及びYストッパ68で第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2をY軸方向にガイドする[動作(タ)]。そして、可動式支持手段62が第二支持部72を退避位置に移動させて第一鉄筋T1の支持を解除し、第一鉄筋T1を第二鉄筋T2の上面に重ねる[動作(チ)]。その後、可動式支持手段62は、退避位置に在る第二支持部72をZ軸負方向に移動させ、再び正位置に戻して第二鉄筋T2の下方に配置させる[動作(ツ)]。
【0063】
次に、
図16(b)に示すように、可動式支持手段62が、正位置にある第二支持部72をZ軸正方向に移動させて第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2を支持し、第一鉄筋T1が上側チャッカ54aの下面に当接する位置まで移送する[動作(テ)]。そして、鉄筋仮固定機構36が下側チャッカ54bをZ軸正方向に移動させ、上側チャッカ54a及び下側チャッカ54bで第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2を把持し、第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2の積み重ね状態が維持されるように仮固定する[動作(ト)]。
【0064】
次に、
図17(a)に示すように、Y軸方向移送手段58がY移動板66をY軸負方向移動させ[動作(ナ)]、可動式支持手段62が第二支持部72をZ軸負方向に移動させる[動作(ニ)]。動作(ニ)が行われると、第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2が、互いの平坦面Tc同士が上下に対向するように積み重ねられて仮固定された状態になる。
【0065】
次に、
図17(b)に示すように、方向転換機構38が、受け位置に在る鉄筋仮固定機構36を渡し位置に移動させる[動作(ヌ)]。これによって、第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2が、互いの平坦面Tc同士が左右に対向するように方向転換され、第一の搬入バイス装置24-1に渡せる状態になる。
【0066】
<<整列させたねじ節鉄筋Tを鉄筋パーツTPに加工する動作>>
その後、鉄筋切断装置18は、整列装置22が整列させたねじ節鉄筋Tを鉄筋パーツTPに加工する動作を行う。具体的には、鉄筋仮固定機構36に仮固定されている第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2を切断位置に移送して、丸鋸刃16で鉄筋パーツTP1,TP2を切り出し、さらに鉄筋パーツTP1,TP2に情報表示JHを付与して仕上げる動作[動作(1)~(16)]を行う。
【0067】
動作(1)~(16)は、整列装置22、第一及び第二の搬入バイス装置24-1,24-2、主バイス装置10、丸鋸刃16、搬出バイス装置26及びマーキング装置28が連携して行うものであり、以下、
図18~
図20に基づいて順に説明する。
【0068】
まず、
図18(a)に示すように、渡し位置にある鉄筋仮固定機構36に把持されている第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2の一端部(鉄筋パーツTP1,TP2となる側の端部)を、第一の搬入バイス装置24-1が把持する[動作(1)]。そして、鉄筋仮固定機構36が下側チャッカ54bを移動させて鉄筋パーツTP1,TP2の把持を解除した後[動作(2)]、第一の搬入バイス装置24-1が第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2をX軸正方向に移送する[動作(3)]。
【0069】
第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2は、途中で第一の搬入バイス装置24-1から第二の搬入バイス装置24-2に渡され、
図18(b)に示すように、第二の搬入バイス装置24-2が第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2を切断位置に搬入し[動作(4)]、主バイス装置10が、切断位置に配された第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2の、丸鋸刃16が横切る切断箇所の近傍を把持固定する[動作(5)]。そして、第二の搬入バイス装置24-2による第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2の把持を解除した後[動作(6)]、丸鋸刃16がY軸負方向に移動して第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2を連続的に切断する[動作(7)]。
【0070】
丸鋸刃16が第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2を切断する時、
図19に示すように、丸鋸刃16が第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2の平坦面Tcの法線の方向に移動するので、丸鋸刃16の刃先は、最初に平坦面Tcに当たる。そのため、丸鋸刃16は、刃先がほとんどブレず、第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2を真っすぐに横切ることができる。
【0071】
第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2が切断されると、
図18(b)に示すように、丸鋸刃16Y軸正方向に移動して退避する[動作(8)]。そして、切り出された鉄筋パーツTP1,TP2の端部を搬出バイス装置26が把持し[動作(9)]、第二の搬入バイス装置24-2が残った第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2を把持し[動作(10)]、さらに主バイス装置10が把持を解除すると[動作(11)]、搬出バイス装置26が鉄筋パーツTP1,TP2をX軸正方向に移送する[動作(12)]。
【0072】
動作(12)によって、鉄筋パーツTP1,TP2の第一の部分(平坦面Tcの中の、X軸正方向側に端部に近い部分)がマーキング装置28の位置に到達すると、
図20(a)に示すように、マーキング装置20が第一の部分に情報表示JHを付与する[動作(13)]。そして、搬出バイス装置26は、情報表示JHが付与された鉄筋パーツTP1,TP2をさらにX軸正方向に移送する[動作(14)]。
【0073】
その後、鉄筋パーツTP1,TP2の第二の部分(平坦面Tcの中の、X軸負方向側の端部に近い部分)がマーキング装置28の位置に到達すると、
図20(b)に示すように、マーキング装置20が第二の部分に情報表示JHを付与する[動作(15)]。これで鉄筋パーツTP1,TP2が製品の状態になり、搬出バイス装置26は、仕上がった鉄筋パーツTP1,TP2をさらにX軸正方向に移送し[動作(16)]、図示しない製品ストッカ30に収める。
【0074】
鉄筋パーツTP1,TP2が切り出されて残った第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2は、X軸正方向側の端部が次の鉄筋パーツTP1,TP2として切り出されることになる。したがって、鉄筋切断装置18は、先の鉄筋パーツTP1,TP2に対する動作(16)が終了すると、次の鉄筋パーツTP1,TP2をとなる部分に対して上記の動作(4)~(16)を行う。そして、この動作(4)~(16)を何回か繰り返すことによって第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2に対する処理が終了し、その後、次の第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2に対して上記の動作(ア)~(ヌ)及び動作(1)~(16)を順に行う。
【0075】
以上説明したように、鉄筋切断装置18は、ねじ節鉄筋T(T1,T2)を切断する時、丸鋸刃16がねじ節鉄筋Tの平坦面Tcの法線の方向に移動して切断するので、丸鋸刃16の刃先は、最初に平坦面Tcに当たる。そのため、丸鋸刃16は、刃先がほとんどブレず、ねじ節鉄筋T(T1,T2)を真っすぐに横切ることができる。したがって、長さが均一で切断面も綺麗な鉄筋パーツTP(TP1,TP2)を安定的に製作することができる。また、丸鋸刃16に加わるストレスが軽減されるので、丸鋸刃16が破損する不具合も発生しにくい。
【0076】
また、各バイス装置で2本のねじ節鉄筋T(T1,T2)を把持した時、T1とT2が常に平坦面Tc同士で当接した状態になるので、2本の位置関係が安定するという利点もある。例えば、
図27(b)に示すように、T1とT2がねじ状突起Tb同士で当接させた場合、一方のねじ状突起Tbが相手方のねじ状突起Tbの間に入り込んで位置ずれが生じる可能性があり、2本の位置関係が不安定であり、2本のねじ節鉄筋T(T1,T2)の長さにバラツキが生じやすい。これに対して、鉄筋切断装置18の場合、2本のねじ節鉄筋T(T1,T2)を常に安定に取り扱うことができるので、狙い通りの精度で加工することができる。
【0077】
また、鉄筋切断装置18は、既存の切断装置に整列装置22やマーキング装置28等を付設するだけで容易に構成することができ、非常に採用しやすいものである。また、2本のねじ節鉄筋T(T1,T2)を丸鋸刃16で連続的に切断し、且つ、切り出された2本の鉄筋パーツTP(TP1,TP2)に対し、搬出バイス装置26に把持された状態で情報表示JHを付与する構成なので、特許文献1の棒材切断機よりも格段に効率よく鉄筋パーツTP(TP1,TP2)を製作することができる。
【0078】
なお、上述した鉄筋切断装置18の動作の流れ[動作(ア)~(ヌ)、動作(1)~(16)]は、あくまでも一例を示したものであり、本発明の目的が達成できれば、一部の動作の内容を変更したり、一部の動作の順番を入れ替えたり、一部の動作を並行して行ったり、一部の動作を省略したりすることができる。
【0079】
次に、本発明の鉄筋切断装置の第二の実施形態について、
図21、
図22に基づいて説明する。ここで、上記の鉄筋切断装置18と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0080】
この実施形態の鉄筋切断装置84は、上記の鉄筋切断装置18と基本的な機能は同じであり、ねじ節鉄筋Tの長さ方向の一端部を丸鋸刃16で切断することによって鉄筋パーツTPを製作し、さらに鉄筋パーツTPの2箇所に情報表示JHを付与して仕上げる装置である。ただし、上記の鉄筋切断装置18とは異なり、ねじ節鉄筋Tを1本ずつ加工する構成になっている。
【0081】
<<<鉄筋切断装置84の構成>>>
図21(a)に示すように、鉄筋切断装置84の構成は上記の鉄筋切断装置18と共通する点が多く、異なるのは、2本のねじ節鉄筋Tを整列させる整列装置22を、1本のねじ節鉄筋Tを整列させる整列装置86に置きかえられている点である。以下、新規な整列装置86について説明する。
【0082】
<<整列装置86の構成>>
整列装置86は、整列装置22と同様に、鉄筋送り出し装置32、鉄筋仮固定機構36及び方向転換機構38を備えているが、鉄筋積み重ね機構34が鉄筋移送機構88に置き換えられている。
【0083】
鉄筋移送機構88は、鉄筋積み重ね機構34と同様に、Z軸方向移送手段56、Y軸方向移送手段58及びX軸方向位置合わせ手段60を備えているが、可動式支持手段62は備えていない。可動式支持手段62は、2本のねじ節鉄筋Tを積み重ねる働きをする手段なので、1本のねじ節鉄筋Tを整列される場合には不要だからである。
【0084】
<<<鉄筋切断装置84の動作>>>
次に、鉄筋切断装置84が、投入されたねじ節鉄筋Tから鉄筋パーツTPを切り出し、さらに情報表示JHを付与するまでの動作の一例を説明する。
【0085】
<<ねじ節鉄筋Tを整列させる動作>>
先に鉄筋切断装置18が行う動作(ア)~(ヌ)を説明した。鉄筋切断装置84の場合、1本のねじ節鉄筋Tを整列させるので、動作(ア)~(ヌ)の中の特定の動作だけを行う形になる。具体的には、第一鉄筋T1を関連した動作(主に可動式支持手段62が行う動作)を省略し、第二鉄筋T2に対して行う動作だけを順に行う。
【0086】
すなわち、動作(ア)、(イ)の後、動作(ウ)~(ク)を省略し、動作(ケ)を行って1本のねじ節鉄筋Tを送り出す。そして、このねじ節鉄筋Tを上記の第二鉄筋T2として取り扱い、動作(コ)~(ス)を順に行った後、動作(セ)を省略して動作(ソ)、(タ)を行う。そして、動作(テ)を省略して動作(ト)、(ナ)を行い、動作(ニ)を省略して動作(ヌ)を行う。これにより、ねじ節鉄筋Tは、
図21(b)のように変位し、鉄筋仮固定機構36に把持されて一対の平坦面Tcが左右に対向した状態になり、第一の搬入バイス装置24-1に渡せる状態になる。
【0087】
<<整列させたねじ節鉄筋Tを加工して鉄筋パーツTPを製作する動作>>
先に、鉄筋切断装置18が行う動作(1)~(16)を説明した。鉄筋切断装置84の場合、ねじ節鉄筋Tを1本ずつ加工するという違いがあるが、同様の動作(1)~(16)を順に行うことによって鉄筋パーツTPを製作する。
【0088】
例えば、動作(7)で丸鋸刃16がねじ節鉄筋Tを切断する時、
図22に示すように、丸鋸刃16がねじ節鉄筋Tの平坦面Tcの法線の方向に移動するので、丸鋸刃16の刃先は、最初に平坦面Tcに当たる。そのため、丸鋸刃16は、刃先がほとんどブレず、ねじ節鉄筋Tを真っすぐに横切ることができる。
【0089】
以上説明したように、鉄筋切断装置84によれば、上記の鉄筋切断装置18とほぼ同様の作用効果が得られる。また、鉄筋切断装置84の場合、ねじ節鉄筋Tを1本ずつ加工するので、2本ずつ加工する鉄筋切断装置18よりも整列装置をシンプルな構成にできるという利点がある。ただし、多数の鉄筋パーツTPを効率よく製作できるという点では、鉄筋切断装置18の方が優れている。したがって、鉄筋切断装置18と84のどちらの構成を採用するかは、切断対象のねじ節鉄筋Tの大きさ(太さや重量)、設備費用、狙いのタクトタイム等を考慮して決めればよい。
【0090】
次に、本発明の鉄筋切断装置の第三の実施形態について、
図23~
図25に基づいて説明する。ここで、上記の鉄筋切断装置18と同様の構成は、同一の符号を付して説明を省略する。
【0091】
この実施形態の鉄筋切断装置90は、上記の鉄筋切断装置18と基本的な機能は同じであり、ねじ節鉄筋Tの長さ方向の一端部を丸鋸刃16で切断することによって鉄筋パーツTPを製作し、さらに鉄筋パーツTPの両端部に情報表示JHを付与して仕上げる装置である。
【0092】
<<<鉄筋切断装置90の構成>>>
図23(a)に示すように、鉄筋切断装置90の構成は上記の鉄筋切断装置18と共通する点が多く、異なるのは、搬出バイス装置26が搬出バイス装置92に置き換えられ、マーキング装置28がマーキング装置94に置き換えられている点である。以下、新規な搬出バイス装置92及びマーキング装置94について説明する。
【0093】
<<搬出バイス装置92及びマーキング装置94の構成>>
搬出バイス装置92は、上記の搬出バイス26と同様に、丸鋸刃16で切断された2本の鉄筋パーツTPを、切断前の位置関係(主バイス装置10に把持固定されている時の上下左右方向の相対的な位置関係)が維持されるように持して搬出する装置である。
【0094】
搬出バイス装置92は、X軸方向(丸鋸刃16で切断された2本の鉄筋パーツTPの長さ方向)に移動する搬出用基体96と、搬出用基体96に設置されて2本の鉄筋パーツTPを把持する把持部98とを備え、把持部98は、固定バイス98aと可動バイス98bとで構成される。
【0095】
マーキング装置94は、切断位置に配された切断前のねじ節鉄筋Tの、切断後に鉄筋パーツTPとなる部分に対し、外側に露出している平坦面Tcに第一の情報表示JH1を付与する動作を行う。さらに、搬出バイス装置92に把持されている鉄筋パーツTPに対し、外側に露出している平坦面Tcの、第一の情報表示JH1を付与した位置とは異なる位置に、第二の情報表示JH2を付与する動作も行うことができる。
【0096】
<<<鉄筋切断装置90の動作>>>
マーキング装置94は、
図24(b)等に示すように、情報表示付与用ヘッド部100と、搬出用機体96に取り付けられた離間距離調節機構102とを備える。離間距離調節機構102は、搬出用基体96に固定されたシリンダ装置等で成り、ピストンロッドの先端部が搬出用基体96のX軸負方向側の側面から突出するように取り付けられ、この先端部がX軸方向に移動する。そして、このピストンロッドの先端部に情報表示用付与ヘッド部100が取り付けられている。離間距離調節機構102は、情報表示付与用ヘッド部100を支持するとともに、情報表示用付与ヘッド部100と把持部98との間の、X軸方向(鉄筋パーツTPの長さ方向)の離間距離を調節する動作を行う。
【0097】
次に、鉄筋切断装置90が、投入されたねじ節鉄筋Tから鉄筋パーツTPを切り出し、さらに情報表示JHを付与するまでの動作の一例を説明する。
【0098】
<<ねじ節鉄筋Tを整列させる動作>>
上記実施形態において、鉄筋切断装置18が行う動作(ア)~(ヌ)を説明したが、鉄筋切断装置90においても同じである。すなわち、上記の動作(ア)~(ヌ)順に行うことによって、2本のねじ節鉄筋T(第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2)は、鉄筋仮固定機構36に把持されて互いの平坦面Tc同士が左右に対向した状態になり、第一の搬入バイス装置24-1に渡せる状態になる。
【0099】
<<整列させたねじ節鉄筋Tを加工して鉄筋パーツTPを製作する動作>>
その後、鉄筋切断装置90は、整列装置22が整列させたねじ節鉄筋Tを鉄筋パーツTPに加工する動作を行う。具体的には、鉄筋仮固定機構36に仮固定されている第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2を切断位置に移送して、丸鋸刃16で鉄筋パーツTP1,TP2を切り出し、さらに鉄筋パーツTP1,TP2に情報表示JH1,JH2を付与して仕上げる動作[動作(21)~(34)]を行う。
【0100】
動作(21)~(34)は、整列装置22、第一及び第二の搬入バイス装置24-1,24-2、主バイス装置10、丸鋸刃16、搬出バイス装置92及びマーキング装置94が連携して行うものであり、以下、
図24、
図25に基づいて順に説明する。
【0101】
まず、
図24(a)に示すように、渡し位置にある鉄筋仮固定機構36に把持されている第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2の一端部(鉄筋パーツTP1,TP2となる側の端部)を、第一の搬入バイス装置24-1が持する[動作(21)]。そして、鉄筋仮固定機構36が下側チャッカ54bを移動させて鉄筋パーツTP1,TP2の把持を解除した後[動作(22)]、第一の搬入バイス装置24-1が第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2をX軸正方向に移送する[動作(23)]。
【0102】
第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2は、途中で第一の搬入バイス装置24-1から第二の搬入バイス装置24-2に渡され、
図24(b)に示すように、第二の搬入バイス装置24-2が第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2を切断位置に搬入し[動作(24)]、主バイス装置10が、切断位置に配された第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2の、丸鋸刃16が横切る切断箇所の近傍を把持固定する[動作(25)]。
【0103】
この時、搬出バイス装置92は、把持部98の可動バイス98bが退避した状態で所定の位置に配され、マーキング装置94の情報表示付与用ヘッド部100が、切断位置に配された第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2の、切断後に鉄筋パーツとなる部分の一端部(平坦面Tcの中の、X軸正方向側に端部に近い部位)に対向する。しがって、動作(25)の後、情報表示付与用ヘッド部100が、第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2のこの一端部に位置に第一の情報表示JH1を付与する[動作(26)]。
【0104】
その後、
図25(a)に示すように、丸鋸刃16がY軸負方向に移動して第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2を連続的に切断し[動作(27)]、切断が終了すると丸鋸刃16がY軸正方向に移動して退避する[動作(28)]。そして、搬出バイス装置92がX軸負方向に移動し[動作(29)]、把持部98が可動バイス98bを移動させて第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2の所定の部位を把持する[動作(30)]。
【0105】
この時、マーキング装置94は、搬出バイス装置92とともにX軸負方向に移動し、情報表示付与用ヘッド部100が、鉄筋パーツTP1,TP2の、第一の情報表示JH1が付与された端部と反対側の端部(平坦面Tcの中の、X軸負方向側に端部に近い部位)に対向する。なおこの状態では、情報表示付与用ヘッド部100が対向する位置は、第二の情報表示JH2を付与すべき位置ではない。この動作例において、第二の情報表示JH2を付与すべき位置は、もう少しX軸負方向側の、主バイス装置10に把持されて隠れている位置とされている。したがって、この段階で、情報表示付与用ヘッド部100をその位置に対向させることはできない。
【0106】
動作(30)が行われると、次は、
図25(b)に示すように、主バイス装置10が把持を解除し[動作(31)]、搬出バイス装置92が鉄筋パーツTP1,TP2をX軸正方向に移送する[動作(32)]。そして、動作(32)と並行して、離間距離調節機構102が情報表示付与用ヘッド部100を把持部98から離れる方向(X軸負方向)に移動させ、第二の情報表示JH2を付与すべき位置に対向させる[動作(33)]。さらに搬出バイス装置92が鉄筋パーツTP1,TP2をX軸正方向に移送させる[動作(32)]の間に、情報表示付与用ヘッド部100が情報表示JH2を付与する[動作(34)]。
【0107】
これで鉄筋パーツTP1,TP2は所定の情報表示が施された製品の状態になり、搬出バイス装置92は、仕上がった鉄筋パーツTP1,TP2をさらにX軸正方向に移送し、図示しない製品ストッカ30に収める。
【0108】
鉄筋パーツTP1,TP2が切り出されて残った第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2は、X軸正方向側の端部が次の鉄筋パーツTP1,TP2となる。したがって、鉄筋切断装置90は、先の鉄筋パーツTP1,TP2に対する動作(34)が終了すると、次の鉄筋パーツTP1,TP2をとなる部分に対して上記の動作(24)~(34)を行う。そして、この動作(24)~(34)を何回か繰り返すことによって第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2に対する処理が終了し、その後、次の第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2に対して上記の動作(ア)~(ヌ)及び動作(21)~(34)を順に行う。
【0109】
以上説明したように、鉄筋切断装置90によれば、上記の鉄筋切断装置18とほぼ同様の作用効果が得られる。
【0110】
なお、上述した鉄筋切断装置90の動作の流れ[動作(21)~(34)]は、あくまでも一例を示したものであり、本発明の目的が達成できれば、一部の動作の内容を変更したり、一部の動作の順番を入れ替えたり、一部の動作を並行して行ったり、一部の動作を省略したりすることができる。
【0111】
例えば、上述した動作例では、鉄筋パーツTPの、X軸負方向側の端部に付与する情報表示JHを、第二の情報表示JH2(搬出バイス装置92で搬出する際に付与する情報表示)とした。これは、情報表示JHを付与すべき位置が、主バイス装置10に把持された時に隠れてしまう位置とされているためである。しかし、情報表示JHを付与すべき位置が、主バイス装置10に把持された時に隠れない位置にだとすれば、第一の情報表示JH1(切断位置に配された状態で付与する情報表示)として付与することができる。この場合、上記の動作(26)を行った後、すぐに搬出バイス装置92がマーキング装置94を対応する位置に移動させて上記の動作(26)と同様の動作を行い、その後は、上記の動作(33),(34)を省略すればよい。
【0112】
鉄筋切断装置90の場合、移動式のマーキング装置94を備えているので、上述した動作例のように、搬出バイス装置92が鉄筋パーツTP1,TP2をX軸正方向に移送させる[動作(32)]の間に、情報表示付与用ヘッド部100が情報表示JH2を付与する[動作(34)]という複数の動作を並行して行うことが可能である。その他、第一の情報表示JH1を付与する動作(26)を第一鉄筋T1及び第二鉄筋T2の搬入動作とともに移動中に行っても良い。また、丸鋸刃16で切断する動作(27),(28)は、第一の情報表示JH1を付与する動作(26)と並行して行うことができる。このように、移動式のマーキング装置94を備えた鉄筋切断装置90は、位置固定式のマーキング装置28を備えた上記の鉄筋切断装置18よりも、さらに作業効率を向上させることができる。
【0113】
なお、本発明の鉄筋切断装置は上記実施形態に限定されるものではない。例えば、第一及び第三の実施形態の鉄筋筋切断装置18,90の説明において、整列装置22は、2本のねじ節鉄筋T(T1,T2)を整列させて搬入バイス装置24に渡すと説明した。しかし、整列装置22は、動作用プログラムを変更すれば、1本のねじ節鉄筋Tを整列させて搬入バイス装置24に渡すようにすることができる。また、その他のバイス装置等も、ねじ節鉄筋Tを1本ずつ取り扱うことができる。つまり、鉄筋切断装置18,90は、ねじ節鉄筋Tを1本ずつ加工することもできる装置であり、第二の実施形態の鉄筋切断装置84と同様の使い方ができるという特徴がある。
【0114】
また、整列装置22は、可動式支持手段62の数を増やす等の改造を加えることによって、3本以上のねじ節鉄筋Tを整列させることができる。そうすれば、3本以上のねじ節鉄筋Tを連続的に切断することが可能になるので、切断作業の作業効率をさらに向上させることができる。ただし、3本以上を整列させると、内側に位置するねじ節鉄筋T(両端に位置する2本以外のねじ節鉄筋T)は、平坦面Tcが外側に露出しなくなるので、上記のマーキング装置28,94では情報表示JHを付与することができない。したがって、マーキング装置28,94の構成は、1本又は2本のねじ節鉄筋T(又は鉄筋パーツTP)が対象になる点に留意する。
【0115】
その他、本発明の鉄筋切断装置が備える整列装置(各機構や各手段の構成)、搬入バイス装置、主バイス装置、搬出バイス装置及びマーキング装置の構成は、上記の整列装置22,86、搬入バイス装置24、主バイス装置10、搬出バイス装置26,92及びマーキング装置28,94の構成に限定されるものではなく、本発明の目的が達成できれば、一部の構成を変更したり、公知な機構を組み合わせて別の構成にしたりすることができる。また、情報表示の内容は自由に変更することができ、上記の情報表示JH,JH1,JH2のような略長方形のベタ画以外に、各種の図形や絵柄、文字や記号等に変更することができる。
【符号の説明】
【0116】
10 主バイス装置
16 丸鋸刃
18,84,90 鉄筋切断装置
22,86 整列装置
24 搬入バイス装置
26,92 搬出バイス装置
28,94 マーキング装置
32 鉄筋送り出し機構
34 鉄筋積み重ね機構
36 鉄筋仮固定機構
38 方向転換機構
50 回転用シャフト
52 基体
54 チャック手段
54a 上側チャッカ
54b 下側チャッカ
56 Z軸方向移送手段
58 Y軸方向移送手段
60 X軸方向位置合わせ手段
64 可動式支持手段
72 第二支持部
76a 第一支持部
88 鉄筋移送機構
96 搬出用基体
98 把持部
100 情報表示付与用ヘッド部
102 離間距離調節機構
JH,JH1,JH2 情報表示
T ねじ節鉄筋
T1 第一鉄筋
T2 第二鉄筋
Ta 棒状本体
Tb ねじ状突起
Tc 平坦面
TP,TP1,TP2 鉄筋パーツ