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特開2024-111894管理装置、管理方法および管理プログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111894
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】管理装置、管理方法および管理プログラム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 10/00 20230101AFI20240813BHJP
【FI】
G06Q10/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016594
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】516140214
【氏名又は名称】booost technologies株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】永野 雄三
【テーマコード(参考)】
5L010
5L049
【Fターム(参考)】
5L010AA20
5L049AA20
(57)【要約】
【課題】ユーザのデータ入力の手間を省く。
【解決手段】本実施形態に係る管理システムは、第1データと第2データとを紐づける紐づけ情報を記憶する記憶部12と、入力された第1データに対し、紐づけ情報に基づいて紐付けられた第2データを用いて第3データを生成するデータ生成部131を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1データと第2データとを紐づける紐づけ情報を記憶する記憶部と、
入力された前記第1データに対し、紐づけ情報に基づいて紐付けられた前記第2データを用いて第3データを生成するデータ生成部を備える、管理装置。
【請求項2】
前記第1データは、活動量を含むGHG関連データであり、
前記第2データは、原単位を含むGHG以外の環境影響評価関連データであり、
前記紐づけ情報は、同一の項目に対するGHG関連データおよび各GHG以外の環境影響評価関連データを特定する項目名、項目番号、その他の項目特定情報であり、
前記データ生成部は、前記第1データの活動量に対し、前記紐づけ情報に基づいて紐付けられた前記第2データの原単位を乗じて前記第3データを生成する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項3】
前記第1データは、各項目の原単位を含むGHG関連データセットであり、
前記第2データは、各項目に対する分類を含むGHG関連データセットであり、
前記紐づけ情報は、前記第1データの各項目の分類を特定する項目名、項目番号、基準単位、その他の分類特定情報であり、
前記データ生成部は、前記第1データの各項目の原単位に対し前記紐づけ情報に基づいて前記第2データの分類が対応づけられた前記第3データを生成する、請求項1に記載の管理装置。
【請求項4】
前記紐づけ情報は、前記第1データの種類を特定する種類特定情報をさらに含み、
前記データ生成部は、前記第1データの入力のほか種類特定情報の入力を受け付け、当該種類特定情報に基づいて、前記第1データの各項目の原単位に前記第2データの分類を対応づける、請求項3に記載の管理装置。
【請求項5】
生成されたデータの表示処理を行う表示処理部をさらに備え、
前記表示処理部は、前記第1データの各項目について対応づけられた前記第2データの分類のみを選択可能に表示する、請求項4に記載の管理装置。
【請求項6】
サーバ装置が、
第1データと第2データとを紐づける紐づけ情報を記憶するステップと、
入力された前記第1データに対し、紐づけ情報に基づいて紐付けられた前記第2データを用いて第3データを生成するステップとを備える、管理方法。
【請求項7】
コンピュータに、請求項6に記載の管理方法を実行させるための管理プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、管理装置、管理方法および管理プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、環境に対する負荷を低減することが求められている。例えば地球温暖化を防止するために、GHG(Greenhouse Gas;温室効果ガス)排出量の削減が求められている。特許文献1には、GHG排出量を正確に把握するための温室効果ガス排出量管理システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2010-3192号公報
【発明の概要】
【0004】
本開示の一実施形態に係る管理装置は、第1データと第2データとを紐づける紐づけ情報を記憶する記憶部と、入力された第1データに対し、紐づけ情報に基づいて紐付けられた第2データを用いて第3データを生成するデータ生成部を備える。
【0005】
また、第1データは活動量を含むGHG関連データであり、第2データは原単位を含むGHG以外の環境影響評価関連データであり、紐づけ情報は同一の項目に対するGHG関連データおよびGHG以外の環境影響評価関連データを特定する項目名、項目番号、その他の項目特定情報であり、データ生成部は、第1データの活動量に対し、紐づけ情報に基づいて紐付けられた第2データの原単位を乗じて第3データを生成する。
【0006】
また、第1データは各項目の原単位を含むGHG関連データセットであり、第2データは各項目に対する分類を含むGHG関連データセットであり、紐づけ情報は第1データの各項目の分類を特定する項目名、項目番号、基準単位、その他の分類特定情報であり、データ生成部は、第1データの各項目の原単位に対し紐づけ情報に基づいて第2データの分類が対応づけられた第3データを生成する。
【0007】
また、紐づけ情報は第1データの種類を特定する種類特定情報をさらに含み、データ生成部は、第1データの入力のほか種類特定情報の入力を受け付け、当該種類特定情報に基づいて第1データの各項目の原単位に第2データの分類を対応づける。
【0008】
さらに、管理装置は生成されたデータの表示処理を行う表示処理部を備え、表示処理部は、第1データの各項目について対応づけられた第2データの分類のみを選択可能に表示する。
【0009】
また、本開示の他の実施形態に係る管理方法は、サーバ装置が、第1データと第2データとを紐づける紐づけ情報を記憶し、入力された第1データに対し、紐づけ情報に基づいて紐付けられた第2データを用いて第3データを生成する。
【0010】
また、本開示の他の実施形態に係る管理プログラムは、コンピュータに、前記管理方法を実行させる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】第1実施形態に係る管理システムの構成を示すブロック図。
図2】第1実施形態に係るGHG関連データの一例を示す概念図。
図3】第1実施形態に係るGHG以外の環境影響評価関連データおよびGHG関連データの一例を示す概念図。
図4】第1実施形態に係る管理システムの動作を示すフローチャート。
図5】第2実施形態に係るGHG関連データの一例を示す概念図。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下、本開示の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0013】
本開示に係る管理装置、管理方法および管理プログラムは、本実施形態に係る管理システムの一部または全部として実現されている。
【0014】
(第1実施形態)
図1は、実施形態に係る管理システムの構成を示すブロック図である。図1に示すように、本管理システムは、サーバ装置1を備える。サーバ装置1は、通信ネットワークNを介して、端末2と通信可能に構成されている。サーバ装置1は管理装置として機能してよい。
【0015】
端末2は、PCやスマートフォンなどであり、ユーザ(組織の被用者や使用者など)によって操作される端末である。端末2は、表示部21と、操作部22とを備える。表示部21は、モニタなどで構成されており、端末2の制御部からの指示に応じて、ユーザに対して画像を表示する。操作部22は、キーボードやマウスなどの入力装置で構成されており、ユーザからの操作を受け付ける。また、端末2の記憶部には、予め、管理プログラムがインストールされている。端末2の制御部は、管理プログラムに応じて端末2の各部を動作させる。
【0016】
端末2は、操作部22によってユーザから受け付けた操作入力を示す情報をサーバ装置1に送信する。また、端末2は、サーバ装置1から送信される各種情報を表示部21に表示させる。
【0017】
(サーバ装置1の構成について)
図1に示すように、サーバ装置1は、通信部11、記憶部12および制御部13を備える。
【0018】
通信部11は、例えば、電気回路などで構成され、通信ネットワークNを介して、端末2と通信を行う。
【0019】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、HDD(Hard Disk Drive)およびSSD(Solid State Drive)等によって構成される記憶媒体である。記憶部12には、制御部13によって実行される各種プログラムが記憶されている。
【0020】
また、記憶部12には、各種のデータベースが構成されている。具体的には、記憶部12には、環境影響評価用データベース(DB)が格納されている。なお、環境影響評価用DBには、GHG関連データおよびGHG以外の環境影響評価関連データが含まれる。GHG関連データには、GHGを排出する各活動やプロセス、部門、製品等を特定する項目の項目名、項目番号、基準単位、活動量、原単位、影響量、および分類が含まれる。ここで影響量とはGHG排出量を指し、例えばCO2相当量がある。また分類とは、GHGの排出元や内容等によって行われる分類を指し、例えばGHGプロトコルに定められたスコープ1~3、スコープ2におけるロケーション基準およびマーケット基準、ならびにスコープ3におけるカテゴリー1~15といった分類がある。なお、分類は上記に限られず、組織レベルのGHG算定に用いられる他の分類のほか、製品や輸送チェーンレベル等の他のGHG算定に用いられる分類(例えばカーボンフットプリント値の有無等)、これらに共通して用いられる分類(例えば一次データ比率の有無等)、または他の環境・社会・ガバナンス等の指標において用いられる分類等が含まれてよい。
【0021】
また、GHG以外の環境影響評価関連データには、気候変動に関するGHG以外の環境負荷物質に関するデータが含まれる(なお、GHGに含まれる環境負荷物質であっても、気候変動以外の環境影響に関連すれば「GHG以外の環境負荷物質」に含まれる)。例えば大気環境における大気汚染、騒音、振動、悪臭、酸性化、オゾン層破壊等、水環境における水質、地下水、毒性化等、土壌環境における地形、地質、土地利用等、動物・植物・生態系、景観、廃棄物、放射線、有害化学物質、資源消費等その他の環境に関する各活動やプロセス、部門、製品等を特定する項目の項目名、項目番号、基準単位、活動量、原単位、影響量、および分類が含まれる。ここで影響量とは、各環境影響について評価された結果の量を指し、例えば大気汚染であればSO2相当量がある。分類とは、環境負荷物質の排出元や内容等によって行われる分類を指し、例えば大気環境、水環境、土壌環境等といった分類がある。環境負荷は、人の活動により環境に加えられる影響であって、環境の保全上の支障の原因となるおそれのあるものであれば、どのようなものであってもよい。環境負荷を評価する手法としては、例えば、GHGプロトコルなどの各種基準や、LCA(Life Cycle Assessment ;ライフサイクルアセスメント)などの方法論が定められている。本実施形態は、このような手法に基づき、環境負荷を算出する場合に適用可能である。
【0022】
なお、記憶部12には、環境影響評価用DBにおけるGHG関連データとGHG以外の環境影響評価関連データとに含まれるデータ同士を紐づける紐づけ情報が格納されている。紐づけ情報の一例は以下に説明するが、紐づけ情報は、GHG関連データに含まれる各種項目名、項目番号、その他項目特定番号と、GHG以外の環境影響評価関連データに含まれる各種項目名、項目番号、その他項目特定番号とを紐づけるために用いられるデータである。また、紐づけ情報は上記のようにGHG関連データおよびGHG以外の環境影響評価関連データに含まれるもののほか、これらのデータとは別のデータでもよい。
【0023】
図2はGHG関連データの概念図を示す。図2に示すように、分類ごとに、活動量、原単位、影響量が関連付けられている。なお、一例においてGHG関連データが第1データに相当してよい。
【0024】
活動量は、対応する分類における組織の活動の規模を示す量である。ここで、各分類にはGHGを排出する活動やプロセスごとに各項目があり、各分類の活動量は当該分類に属する全項目の活動量の総和である。各項目の活動量の例として電気の使用量、貨物の輸送量、廃棄物の処理量などが挙げられる。各項目の活動量は、端末2を操作するユーザが所属する組織の活動量として、例えば端末2を操作するユーザによって入力される。なお、本実施形態においては、活動量は、組織の活動として各項目が設定されるが、他の実施形態において各項目は製品やサービスごとに設定されてもよい。例えば電気という項目の活動量である電気使用量は、組織全体ではなく当該組織の特定の製品やサービスごとに入力されてよい。
【0025】
原単位は、単位活動量あたりの影響量である。原単位は実測値などにより特定の活動やプロセスについて算出または推定された一次データによる原単位、統計データなどにより平均等の統計処理によって推定された二次データによる原単位が含まれてよい。
【0026】
影響量は、各項目におけるGHGや他の環境負荷物質の排出量など環境に対する影響を示す量である。ここで上記の排出量は、活動量に原単位を乗じることで求められる。そのほか、影響量は例えば騒音に関する音量を示してよい。
【0027】
本実施形態では、影響量(GHG排出量)は、GHGプロトコルのスコープ1(直接排出量)、スコープ2(特定の間接排出量)およびスコープ3(スコープ2以外の特定の間接排出量)に分類される。そして、GHGプロトコルのスコープ1~3におけるGHG排出量の合計値が影響量となる(図2参照)。
【0028】
なお、活動量は、ユーザから端末2などを介してサーバ装置1に対して事前に入力されたものであってもよいし、記憶部12に記憶されたデータベース以外のデータベースから通信部11およびネットワークNを介してデータが抽出されるものであってもよい。
【0029】
図3はGHG以外の環境影響評価関連データおよびGHG関連データの概念図を示す。図3に示すように、分類名ごとに、活動量、原単位、影響量が関連付けられている。分類名は、ESG情報開示における分類の名称である。なお、環境影響は、細目である。また、一例としてGHG以外の環境影響評価関連データが第2データに相当してよい。
【0030】
活動量は、対応する分類における組織の活動の規模を示す量である。詳しくは後述するが、GHG以外の環境影響評価関連データの活動量には、関連付けられた項目のGHG関連データの活動量と同一の数値が格納されてもよく、またそれぞれ入力された活動量が格納されてもよい。
【0031】
原単位は、環境影響評価を行うに際して用いられる指標であり、単位あたりの活動量に対する影響量として定められる。GHG以外の環境影響評価関連データには、原単位として、GHG以外の環境影響評価において定められた原単位が格納されている。
【0032】
影響量は、例えば、端末2を操作するユーザが所属する組織のGHG以外の環境影響評価に対する数値である。影響量は、活動量に原単位を乗じることで求められる。
【0033】
なお、本実施形態においてはGHG以外の環境影響評価の一例としてESG情報開示の環境(E)に関する項目について記載しているが、他の実施形態においては各項目について紐づけが可能な他の項目を追加してもよい。例えばESG情報開示に関する項目を追加してよい。ESG情報開示とは、E(Environment;環境)S(Social;社会)G(Government;企業統治)に関連する非財務情報を顕在化し、投資家に対して提供することを指す。ESG情報開示については、TCFD(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)、SASB(Sustainability Accounting Standards Board)、GRI(Global Reporting Initiative)、IIRC(International Integrated Reporting Council)、ISSB(International Sustainability Standards Board)などの国際的枠組みにおいて、開示する項目(開示項目)が定められている。
【0034】
GHGプロトコルでは、GHG排出量を開示項目としている。また、GHG以外の環境影響評価では、GHG以外の環境負荷物質を開示項目としている国際的枠組みがある。このため、図2および図3に示すように、GHG関連データとGHG以外の環境影響評価関連データとでは共通する活動(したがって同一の活動量)に対しそれぞれの原単位を乗じることでそれぞれの影響量を算定することができる場合がある。このため、本実施形態では、GHG関連データにおける項目とGHG以外の環境影響評価関連データにおける項目とが共通している場合、GHG関連データの項目に関連付けられている活動量(第1データ)にGHG以外の環境影響評価関連データの原単位(第2データ)を乗じた数値が、当該GHG以外の環境影響評価関連データにおける影響量(第3データ)となる。例えば図3において、GHG関連データの分類「GHGプロトコル Scope3 カテゴリー1」に属する項目がすべてGHG以外の環境影響評価関連データである分類「大気汚染」の項目と同一である場合、上記「GHGプロトコル Scope3 カテゴリー1」に関連付けられた活動量「750」が上記「大気汚染」の活動量として入力され(図3は入力後を図示)、当該活動量に上記「大気汚染」の原単位「1.9」を乗じた影響量「1425」が当該「大気汚染」の影響量として算出される(図3において当該影響量は不図示)。
【0035】
なお、以上はGHG関連データの分類「GHGプロトコル Scope3 カテゴリー1」とGHG以外の環境影響評価関連データの分類「大気汚染」との項目がすべて同一の例であったが、これらの異なるデータの紐づけは項目ごとに紐づけ情報によって特定されてよい。具体的には、紐づけ情報は同一の項目に対するGHG関連データおよびGHG以外の環境影響評価関連データを特定する項目名、項目番号、その他の項目特定情報であってよい。例えば「綿花」という同一の項目についてGHG関連データおよびGHG以外の環境影響評価関連データがある場合、当該項目を一意に特定する情報として項目名および項目番号の少なくとも1つが紐づけ情報であってよい。これにより、例えば先にGHG関連データとして入力されていた活動量を利用し、項目名や項目番号等の紐づけ情報によって紐付けられたGHG以外の環境影響評価関連データの原単位を乗じることで改めて当該活動量を入力せずともGHG以外の環境影響評価の影響量を算出することができる。なお、本実施形態では先にGHG関連の活動量が入力されていたがこれに限られず、先にGHG以外の環境影響評価関連の活動量が入力されていてもよい。
【0036】
制御部13は、例えば、CPU(Central Processing Unit)および半導体メモリ等を含むマイクロコンピュータで構成される。制御部13は、記憶部12に記憶されたプログラムなどを実行することにより、サーバ装置1の各部を制御する。
【0037】
また、制御部13は、データ生成部131および表示処理部132を備える。
【0038】
データ生成部131は、環境影響評価用DB(GHG関連データおよびGHG以外の環境影響評価関連データ)および紐づけ情報を読み出して、上述のとおりGHG以外の環境影響評価関連データにおける影響量(第3データ)を生成する。なお、GHG関連データにおける項目と共通していないと判定されたGHG以外の環境影響評価関連データにおける項目に対する影響量ついては、ユーザから端末2などを介してサーバ装置1に対して事前に入力されるものとしてもよいし、記憶部12以外のデータベースからデータが抽出されるものであってもよい。
【0039】
また、本実施形態では、GHG関連データにおける活動量および原単位、ならびに、GHG以外の環境影響評価関連データにおける活動量および原単位は、例えば、端末2を介してユーザから入力されてもよい。この場合、GHG関連データおよびGHG以外の環境影響評価関連データにおける活動量は、共通の数値が入力される。また、GHG関連データおよびGHG以外の環境影響評価関連データにおける原単位は、異なる数値が入力されてもよいし、予め定められた複数の原単位から1つの原単位を選択できてもよい。
【0040】
ここで、環境影響評価ごとに共通の項目に異なる原単位が定められる。例えば、組織の活動による地球温暖化に対する影響を評価する場合、影響量(GHG排出量)の計算において二酸化炭素などのGHGの排出量を算出するための原単位が用いられる。同様に他の環境影響評価の計算においてはそれぞれの影響量(例えばNOx,SOxの排出量など)を計算するための原単位が用いられる。したがって同一の項目(例えば「綿花」など)の生産等について同一の活動量から異なる原単位を乗じることでそれぞれの環境影響評価を行うことが可能である。
【0041】
表示処理部132は、端末2の操作部22に対するユーザの操作に応じて、表示部21に各種画像を表示させる。例えば、表示処理部132は、ユーザ操作に応じて、図2のGHG関連データや図3のGHG以外の環境影響評価関連データなどを表示部21に表示させる。
【0042】
(管理システムの動作について)
図4は実施形態に係る管理作成システムの動作を示すフローチャートである。
【0043】
まず、端末2の操作部22を介して、ユーザから表示操作を受ける(ステップS1)。
【0044】
サーバ装置1のデータ生成部131は、当該操作がなされた旨を示す情報を受信すると、環境影響評価用DB(GHG関連データおよびGHG以外の環境影響評価関連データ)および紐づけ情報を読み出して、GHG以外の環境影響評価関連データにおける影響量(第3データ)を生成する(ステップS2)。具体的には、データ生成部131は、紐づけ情報において紐づけられた、GHG関連データにおける項目に関連付けられている活動量(第1データ)と、GHG以外の環境影響評価関連データにおける項目に関連付けられている原単位(第2データ)を読み出す。そして、データ生成部131は、読み出した活動量に、原単位を乗じた数値を影響量(第3データ)とする。
【0045】
サーバ装置1の表示処理部132は、表示部21に表示画面を表示させる(ステップS3)。例えば、表示処理部132は、ユーザ操作に応じて、図2のGHG関連データや図3のGHG以外の環境影響評価関連データなどを表示する。
【0046】

以上の構成により、実施形態に係る管理システムは、GHG関連データ(第1データ)とGHG以外の環境影響評価関連データ(第2データ)とを紐づける紐づけ情報を記憶する記憶部12と、入力されたGHG関連データに対し、紐づけ情報に基づいて紐付けられたGHG以外の環境影響評価関連データを用いて影響量(第3データ)を生成するデータ生成部131を備える。これにより、GHGの影響量(排出量)を算定するために用いられるデータをGHG以外の影響量を算出するために用いることができるため、ユーザのデータ入力の手間を省くことができる。
【0047】
また、GHG関連データは、活動量を含む。GHG以外の環境影響評価関連データは、原単位を含む。紐づけ情報は、同一の項目に対するGHG関連データおよび各GHG以外の環境影響評価関連データを特定する項目名、項目番号、その他の項目特定情報である。影響量は、活動量に対し、紐づけ情報に基づいて紐付けられた原単位を乗じて生成される。これにより、GHG関連データにおける項目とGHG以外の環境影響評価関連データにおける項目名、項目番号、その他の項目特定情報とが共通する場合にユーザのデータ入力の手間を省くことができる。
【0048】
なお、データ生成部131は、紐づけ情報に基づいて、GHG関連データの影響量を算出してもよい。具体的には、データ生成部131は、紐づけ情報において紐づけられた、GHG以外の環境影響評価関連データにおける項目に関連付けられている活動量と、GHG関連データにおける項目に関連付けられている原単位を読み出す。そして、データ生成部131は、読み出した活動量に、原単位を乗じた数値をGHG関連データの影響量としてよい。
【0049】
(第2実施形態)
以下、図5を参照しながら第2実施形態について説明する。なお、第1実施形態と共通する構成等については説明を省略する。
【0050】
第2実施形態において第1データは各項目の原単位を含むGHG関連データセットである。第1データは、GHGを排出する各活動やプロセス、部門、製品等を特定する項目の項目名、項目番号、基準単位、および原単位を含むデータセットであってよい。例えば図5において、第1データは項目「電池」の項目名である「電池」、項目番号である「001」(任意の固有の番号のほか、例えば産業連関表などの採番体系に従いつつ各項目に固有に割り当てられた番号でもよい)、基準単位である「個」(他の例として重量のkg、価格の円等でもよい)、および原単位である「0.1kg-CO2e」を含んでよい。
【0051】
また、第2データは各項目に対する分類を含むGHG関連データセットである。第2データは、第1データの各項目についてそれが属するすべての分類を含んでよい。例えば図5において第2データは、第1データの項目「電池」が属する分類「スコープ3 カテゴリー1」および「スコープ3 カテゴリー2」を含んでよい。図5において第2データはスコープ1、スコープ2、およびスコープ3を含むがこれに限られず、各項目に対する他の分類(例えば製品レベル算定での利用可否、カーボンフットプリント値や他の環境影響評価の有無など)を含んでよい。
【0052】
また、紐づけ情報は第1データの各項目の分類を特定する項目名、項目番号、基準単位、その他の分類特定情報である。例えば図5における上述の項目「電池」の例において、紐づけ情報は項目名である「電池」、および項目番号である「001」である。ここで、第1データである項目「電池」の分類は、あらかじめ「スコープ3 カテゴリー1」および「スコープ3 カテゴリー2」として設定されていてよい。そして、紐づけ情報である項目名「電池」および項目番号「001」はいずれも項目「電池」を一意に特定するから、当該項目にあらかじめ設定された分類「スコープ3 カテゴリー1」および「スコープ3 カテゴリー2」も特定する。
【0053】
また、他の例として紐づけ情報は基準単位でもよい。例えば図5における項目「トラック輸送」および「航空輸送」の例において、基準単位はいずれも「t・km」である。ここで、項目「トラック輸送」および「航空輸送」の分類はあらかじめ「スコープ3 カテゴリー4」、「スコープ3 カテゴリー6」、「スコープ3 カテゴリー7」および「スコープ3 カテゴリー9」として設定されていてよい。そして、紐づけ情報である基準単位「t・km」は、当該基準単位に共通する分類を特定するから、当該共通の分類「スコープ3 カテゴリー4」、「スコープ3 カテゴリー6」、「スコープ3 カテゴリー7」および「スコープ3 カテゴリー9」も特定する。なお、1つの基準単位に複数の分類パターンがある場合、紐づけ情報による分類の特定は論理和、論理積、任意の分類、または特定しないこととしてあらかじめ設定されていてよい。分類の特定が論理和である場合、いずれの分類パターンも特定されることから漏れを防ぐことができる。分類の特定が論理積である場合、共通の分類パターンのみが特定されることから当該基準単位に対応されやすい分類を容易に選択することができる。分類の特定が任意の分類である場合、分類パターンによらず各基準単位に好適な分類を設定することができる。分類の特定をしない設定の場合、異なる分類パターンのある基準単位については個別に分類を特定することができる。
【0054】
また、第3データは第1データの各項目の原単位に対し、紐づけ情報に基づいて紐付けられた第2データの分類が対応づけられたGHG関連データセットである。図5の例において、第3データは第1データおよび第2データを合わせたデータセットである。
【0055】
本実施形態によれば、管理装置は第1データである各項目の原単位を含むGHG関連データセットと、第2データである各項目に対する分類を含むGHG関連データセットとを紐づける紐づけ情報を記憶する。ここで紐づけ情報は第1データの各項目の分類を特定する項目名、項目番号、基準単位、その他の分類特定情報である。そして、入力された各項目の原単位を含むGHG関連データセットに対し、紐づけ情報に基づいて紐付けられた各項目に対する分類を含むGHG関連データセットを用いて各項目の原単位に対し分類が対応づけられたGHG関連データセットを生成する。
【0056】
図5においては既に第1データと第2データが対応づけられて生成された第3データが示されているが、第1データと同様のデータセットにおいて第2データが対応づけられていない場合がある。この場合、あらかじめ第1データの各項目に対し第2データの分類を対応づけた紐づけ情報を用いることによって、第2データが対応づけられていない第1データに容易に第2データの対応づけをすることができる。したがって、本実施形態によれば各項目の原単位に対応づけるべき分類を容易に対応づけることができる。
【0057】
また、紐づけ情報は第1データの種類を特定する種類特定情報をさらに含んでよい。第1データの種類を特定する種類特定情報は、例えば第1データであるGHG関連データセットの提供元の名称、提供形態、フォーマット、その他のGHG関連データセットの種類を特定する情報であってよい。
【0058】
データ生成部は、第1データの入力のほか種類特定情報の入力を受け付け、当該種類特定情報に基づいて第1データの各項目の原単位に第2データの分類を対応づけてよい。ここで、第1データの各項目の分類はあらかじめ設定されていてよく、さらに当該分類は第1データの種類に応じてあらかじめ設定されていてよい。
【0059】
以上の構成によれば、第1データの種類に応じて第2データの紐づけができることから、各項目の原単位に対する分類の対応付けをより正確に行うことができる。
【0060】
さらに管理装置は生成されたデータの表示処理を行う表示処理部を備え、表示処理部は、第1データの各項目について対応づけられた第2データの分類のみを選択可能に表示する。例えば、第1データの各項目を選択する画面表示において、各項目に対応づけ得るすべての分類のうち第2データの分類のみが表示されてよい。他の例として当該画面表示において、各項目に対応づけ得るすべての分類のうち第2データの分類以外の分類が選択不可能に表示されてよい。
【0061】
以上の構成によれば、例えばGHG算定において各項目における影響量(GHG排出量)を各分類に仕訳ける場合、第1データの入力とともに各項目に対応する分類のみが選択可能に表示されるから、当該仕訳をより容易かつ正確に行うことができる。
【0062】
さらに管理装置は制御部13における入力制御部(不図示)を備えてよい。入力制御部は端末2または他のシステムから管理装置(サーバ装置1)への入力を制御してよい。入力制御部は第1データ、第2データ、種類特定情報、その他のデータまたは情報の入力を受け付ける。また、入力制御部は、端末2を操作するユーザ等による当該データまたは情報への処理を制御する。データ生成部131は入力制御部による当該制御後のデータまたは情報を受け付ける。
【0063】
入力制御部は、第1データに対する第2データの対応づけを制御してよい。例えば入力制御部は、第1データの各項目に対する第2データの分類の対応づけを、端末2を操作するユーザの選択により制御してよい。他の例として入力制御部は、第1データの全項目に対する第2データの分類の対応づけを、端末2を操作するユーザの選択により一括で制御してよい。他の例として入力制御部は、種類特定情報により特定された種類以外の第1データの全項目に対する第2データの分類の対応づけを、端末2を操作するユーザの選択により一括で制御してよい。この場合、種類特定情報により特定された種類の第1データについては端末2を操作するユーザの選択による制御をしなくてよい。これによってユーザは既に種類特定情報で特定されている種類の第1データについては第2データの分類の対応づけをする必要がなくなる。
【0064】
さらに、制御部13はアカウント制御部(不図示)を含んでよい。アカウント制御部は特定のユーザが使用する端末2においてのみ特定の処理をすることができるように制御部13を制御してよい。ここでユーザの特定方法として、アカウント制御部は、端末2から受け付けるメールアドレス等のユーザ識別情報およびパスワード等の認証情報に基づいてユーザを特定してよい。また、アカウント制御部は、ユーザの操作およびユーザ識別情報に基づいて一定のユーザを特定してよい。また、アカウント制御部は、上述の第1データの入力を行ったユーザおよび当該ユーザが指定したユーザの少なくとも一方のみを特定してよい。ここで、ユーザはそれぞれ個別に特定されてもよいし、グループ・組織・会社単位など複数のユーザが一括して特定されてもよい。
【0065】
そして、アカウント制御部は、特定のユーザが使用する端末2の表示部21にのみ特定の表示をすることができるように表示処理部132を制御してよい。例えばアカウント制御部は、第1データの入力を行ったユーザおよび当該ユーザが指定したユーザの少なくとも一方が操作する端末2の表示部21にのみ、第1データ、第3データ、およびこれらのデータから生成された第4データの1または複数を表示するように表示処理部132を制御してよい。具体的には、アカウント制御部は第1データおよび第3データのうち各項目の原単位、ならびにこれらのデータから生成された第4データである、当該原単位に当該項目の活動量を乗じて算出された影響量については、特定のユーザが使用する端末2の表示部21にのみ表示されるように表示処理部132を制御してよい。これにより、第1データならびにこれから生成される第3データおよび第4データの特定の情報(上記の例では原単位および影響量)については特定のユーザが使用する端末2にのみ表示することができ、当該特定の情報の秘匿性を担保することができる。
【0066】
(その他の実施形態)
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施形態について説明した。しかしながら、本開示における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用可能である。
【0067】
上記実施形態および変形例における組織は、どのような組織であってもよい。例えば、組織は国、地方自治体、企業、団体その他の集団であってよい。また、組織は、電力、ガス、水道、通信回線、保険、銀行業務、ウェブショッピング、教育などの知識の教授、広告業務、物流、リース、小売、物販等の商品販売などのサービスを提供する事業者であってもよい。また、組織は、製造業、不動産業、小売業、金融業などの事業を行う者であってもよい。
【0068】
また、サーバ装置1および端末2には、それぞれ、上記実施形態に係る機能を実現するための管理プログラムがインストールされている。サーバ装置1および端末2は、管理プログラムを実行することにより、上記実施形態に係る各種機能を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0069】
本実施形態に係る管理システムは、ユーザのデータ入力や選択の手間を省くことができるため、有用である。
【符号の説明】
【0070】
1 サーバ装置
12 記憶部
13 制御部
131 データ生成部
132 表示処理部
2 端末
21 表示部
22 操作部
図1
図2
図3
図4
図5