(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111901
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】通気つなぎ服
(51)【国際特許分類】
A41D 13/02 20060101AFI20240813BHJP
A41D 13/05 20060101ALI20240813BHJP
A41D 27/28 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A41D13/02
A41D13/05 112
A41D13/05 156
A41D27/28 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016609
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】516150420
【氏名又は名称】有限会社ネクストトレーディング
(74)【代理人】
【識別番号】110002804
【氏名又は名称】弁理士法人フェニックス特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】松村 真一
【テーマコード(参考)】
3B011
3B035
3B211
【Fターム(参考)】
3B011AA02
3B011AB01
3B011AC18
3B035AA05
3B035AA07
3B035AB03
3B035AB14
3B035AB15
3B035AB18
3B035AC20
3B035AC21
3B035AC22
3B035AC24
3B211AA02
3B211AB01
3B211AC18
(57)【要約】
【課題】着用者の肩部への負担が少なく、しかも、上衣とズボンとの間の内部通気性にも優れた通気つなぎ服を提供すること。
【解決手段】上衣1とズボン2とが繋がった通気つなぎ服10において、ズボン2の腰回り部21に、着用者の胴部に巻き付けるベルト4を差し通すための左右一対の前ベルト孔と、左右一対の後ベルト孔52R・52Lとを設け、前ベルト孔と後ベルト孔52R、52Lとの間において、内側のベルト4と外側の腰回り部21との間に、上衣1とズボン2との間の通気を可能にする通気空間6・6を形成した。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
上衣とズボンとが繋がり、前記上衣及び前記ズボンに開閉可能な前開き部を有するつなぎ服であって、
着用者の胴部に巻き付けるベルトと、
前記ズボンの腰回り部に設けられ、前記ベルトを差し通す左右一対の前ベルト孔と、
前記ズボンの腰回り部において前記前ベルト孔よりも後方に設けられ、前記ベルトを差し通す左右一対の後ベルト孔と、
を備え、
着用時に前記ベルトが、前記一対の前ベルト孔同士の間において前記ズボンの腰回り部の外側から着用者の胴部に巻き付けられ、前記前ベルト孔と前記後ベルト孔との間において前記ズボンの腰回り部の内側で着用者の胴部に巻き付けられ、前記一対の後ベルト孔同士の間において前記ズボンの腰回り部の外側から着用者の胴部に巻き付けられることによって、前記前ベルト孔と前記後ベルト孔との間において前記ベルトと前記ズボンの腰回り部との間に通気空間が形成されることを特徴とした通気つなぎ服。
【請求項2】
前記上衣の少なくとも後部に、前記上衣の裾部を前記ズボンの腰回り部の外側に被せて成るプリーツ部が設けられていることを特徴とした請求項1に記載の通気つなぎ服。
【請求項3】
前記プリーツ部の凹部に開口部が設けられていることを特徴とした請求項2に記載の通気つなぎ服。
【請求項4】
前記一対の後ベルト孔同士の間において前記ベルトに送風器が着脱自在に設けられ、
前記送風器により前記開口部を通じて外気を前記上衣内へ供給することを特徴とした請求項3に記載の通気つなぎ服。
【請求項5】
前記前開き部において、前記上衣の前部と前記ズボンの前部とが分離していることを特徴とした請求項1~請求項4の何れかに記載の通気つなぎ服。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、上衣とズボンとが繋がり、開閉可能な前開き部を有するつなぎ服に関するものである。
【背景技術】
【0002】
周知のとおり、つなぎ服は、上衣とズボンとが繋がっているため、衣服内への異物等の侵入を防いで安全かつ衛生的に作業を行うことができ、工業、農業その他の分野における作業着として多用されている。また、つなぎ服は、着用者の身体との間にゆとりがあり、ゆったりと着用することができ、比較的に動き易く、しかも、着用者の動作に応じて着用者の上半身と下半身との間で通気が行われるため、内部通気性に優れており、比較的に快適に着用することができる。
【0003】
しかしながら、従来のつなぎ服は、上衣とズボンとが繋がっているが故に、着用者の肩部には、上衣の重みだけでなく、ズボンの重みも同時にかかるため、肩部への負担が大きく、肩凝りし易い難点があった。
【0004】
そこで、従来、つなぎ服の胴回り部にベルトを巻いてズボンの重みを着用者の胴部や腰部で支えることが行われている(例えば、下記特許文献1の段落「0013」参照)。しかしながら、このつなぎ服は、ただ単に胴回り部の外側からベルトを巻き付けるものであったため、着用者の上半身と下半身との間の通気が遮断され、内部通気性が著しく低下する難点があった。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
本発明は、従来のつなぎ服に上記のような難点があったことに鑑みて為されたもので、着用者の肩部への負担が少なく、しかも、上衣とズボンとの間の内部通気性にも優れた通気つなぎ服を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明は、上衣とズボンとが繋がり、前記上衣及び前記ズボンに開閉可能な前開き部を有するつなぎ服であって、
着用者の胴部に巻き付けるベルトと、前記ズボンの腰回り部に設けられ、前記ベルトを差し通す左右一対の前ベルト孔と、前記ズボンの腰回り部において前記前ベルト孔よりも後方に設けられ、前記ベルトを差し通す左右一対の後ベルト孔と、を備え、
着用時に前記ベルトが、前記一対の前ベルト孔同士の間において前記ズボンの腰回り部の外側から着用者の胴部に巻き付けられ、前記前ベルト孔と前記後ベルト孔との間において前記ズボンの腰回り部の内側で着用者の胴部に巻き付けられ、前記一対の後ベルト孔同士の間において前記ズボンの腰回り部の外側から着用者の胴部に巻き付けられることによって、前記前ベルト孔と前記後ベルト孔との間において前記ベルトと前記ズボンの腰回り部との間に通気空間が形成されることを特徴としている。
【0008】
また、本発明は、前記上衣の少なくとも後部に、前記上衣の裾部を前記ズボンの腰回り部の外側に被せて成るプリーツ部が設けられていることを特徴としている。
【0009】
また、本発明は、前記プリーツ部の凹部に開口部が設けられていることを特徴としている。
【0010】
また、本発明は、前記一対の後ベルト孔同士の間において前記ベルトに送風器が着脱自在に設けられ、前記送風器により前記開口部を通じて外気を前記上衣内へ供給することを特徴としている。
【0011】
また、本発明は、前記前開き部において、前記上衣の前部と前記ズボンの前部とが分離していることを特徴としている。
【発明の効果】
【0012】
本発明に係る通気つなぎ服によれば、ズボンの重みをベルトを介して着用者の胴部や腰部で支えることができ、着用者の肩部への負担を大幅に少なくすることができる。しかも、ベルトを差し通す前ベルト孔と後ベルト孔との間において、着用者の胴部に巻き付けたベルトの外側面とズボンの腰回り部の内側面との間に通気空間が形成されるので、着用者の上半身と下半身との間の通気が十分に行われ、内部通気性にも優れている。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明に係る第一実施形態の通気つなぎ服の正面図である。
【
図3】同通気つなぎ服のズボンの腰回り部の横断面図である。
【
図4】本発明に係る第二実施形態の通気つなぎ服の正面図である。
【
図6】同通気つなぎ服の後部の部分縦断面図である。
【
図7】同通気つなぎ服のプリーツ部を展開した状態の背面図である。
【
図8】同通気つなぎ服の上衣の前開き部を開いた状態の正面図である。
【
図9】同通気つなぎ服の後部に送風器を設けた状態の部分縦断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
「第一実施形態」
図1及び
図2に示すように、第一実施形態の通気つなぎ服10は、着用者の上半身を覆うための上衣1と、この上衣1に繋がり、着用者の下半身を覆うためのズボン2と、着用者の胴部に巻き付けるためのベルト4とから構成されている。
【0015】
上衣1及びズボン2の前部にはそれぞれ、上衣1からズボン2のまた上に亘って連続する前開き部31・32が形成されており、これら前開き部31・32は、公知のスライドファスナーにより開閉可能に構成されている。これら前開き部の開閉手段としては、スライドファスナーの他、例えばスナップ等の留め金や、ボタンやホック等を適宜、採用することができる。
【0016】
ベルト4は、柔軟な帯状部材から成り、その端部同士が公知の雌雄嵌合式の留め具41・42により着脱自在に連結されることによって着用者の胴部に巻き付けて固定される。このベルト4の端部同士の連結手段としては、嵌合式留め具の他、例えば公知のピン式バックルやリング式バックル、面ファスナー等を適宜、採用することができる。
【0017】
図3に示すように、ズボン2の腰回り部21には、ベルト4を差し通すための左右一対の前ベルト孔51R・51Lと、左右一対の後ベルト孔52R・52Lとが設けられている。後ベルト孔52R・52Lは、腰回り部21において、前ベルト孔51R・51Lよりも後方に設けられている。本実施形態では、左右一対の前ベルト孔51R・51Lが腰回り部21の側部に設けられ、左右一対の後ベルト孔52R・52Lが腰回り部21の後部に設けられている。また、腰回り部21の前部には、腰回り部21の外側でベルト4を通すための左右一対の公知のベルト通し23R・23Lが設けられている。
【0018】
通気つなぎ服10は、ベルト4の一の端部を、右側のベルト通し23Rに通した後、右側の前ベルト孔51Rにおいて腰回り部21の外側から内側へ差し通し、続けて右側の後ベルト孔52Rにおいて腰回り部21の内側から外側へ差し通し、続けて左側の後ベルト孔52Lにおいて腰回り部21の外側から内側へ差し通し、続けて左側の前ベルト孔51Lにおいて腰回り部21の内側から外側へ差し通し、続けて左側のベルト通し23Lに通すことによって構成されている。
【0019】
このことで、通気つなぎ服10を着用したとき、
図3に示すように、一対の前ベルト孔(51R、51L)同士の間においては、ベルト4の前部が腰回り部21の外側から着用者の胴部に巻き付けられ、前ベルト孔(51R、51L)と後ベルト孔(52R、52L)との間においては、ベルト4の後側部が腰回り部21の内側で着用者の胴部に巻き付けられ、一対の後ベルト孔(52R、52L)同士の間においては、ベルト4の後中央部が腰回り部21の外側から着用者の胴部に巻き付けられる。そして、このとき、前ベルト孔(51R、51L)と後ベルト孔(52R、52L)との間において、ベルト4の外側面とズボン2の腰回り部21の内側面との間に左右一対の通気空間6・6が形成される。
【0020】
したがって、本実施形態の通気つなぎ服10によれば、通気つなぎ服10を着用したとき、ズボン2の重みをベルト4を介して着用者の胴部や腰部で支えることができ、従来品のように着用者の肩部にズボンの重みがかかることもなく、着用者の肩部への負担を大幅に少なくすることができる。
【0021】
しかも、ベルト4を差し通す前ベルト孔(51R、51L)と後ベルト孔(52R、52L)との間において、着用者の胴部に巻き付けたベルト4の外側面とズボン2の腰回り部21の内側面との間に通気空間6・6が形成されるので、
図2中の矢印Aで示すように着用者の上半身と下半身との間の通気が十分に行われ、内部通気性に優れている。
【0022】
「第二実施形態」
次に、
図4~
図9を参照しながら第二実施形態の通気つなぎ服20について説明する。通気つなぎ服20の主たる特徴は、上衣1の後部に、上衣1の裾部11をズボン2の腰回り部21の外側に被せて成るプリーツ部7を設けた点、及び上衣1の前部とズボン2の前部とを分離した点にあり、ベルト4、前ベルト孔51R・51L、及び後ベルト孔52R・52Lについては、上述した第一実施形態のつなぎ服10と同様に構成されている。
【0023】
図4及び
図5に示すように、通気つなぎ服20は、上衣1の前部及び後部において、上衣1の裾部11をズボン2の腰回り部21の外側に被せており、恰も上衣1とズボン2とが分離したセパレート型作業着のような外観を表出させることができ、そのデザイン性を高めている。
【0024】
そして、
図6及び
図7に示すように、上衣1の後部において、上衣1の裾部11の下端縁とズボン2の腰回り部21の上端縁とを、柔軟な帯状の繋ぎ片71により連結することによって、横向きのプリーツ部7が形成されている。このプリーツ部7によって、ズボン2の腰回り部21の後中央部に外側から巻き付けられたベルト4を隠すことができ、スッキリした背面外観を表出させることができる。さらに、着用者Mが例えば上半身の前屈動作や捻り動作等をした際のズボン2に対する上衣1の移動が容易になり、動き易さを大幅に向上させることができる。なお、
図6中、符号Bで指示するものは、着用者Mの背中部であり、符号Hで指示するものは、着用者Mの臀部である。
【0025】
また、プリーツ部7の凹部を成す繋ぎ片71には、長円形状の開口部72が設けられており、外部との通気を可能にしている。なお、この繋ぎ片71に開口部72を設ける代わりに、繋ぎ片71自体を例えばメッシュ布等の通気性に優れた部材で構成してもよい。また、繋ぎ片71に開口部を設けず、繋ぎ片71を殆ど通気しない部材で構成するようにしてもよい。
【0026】
一方、通気つなぎ服20の上衣1の前部においては、
図8に示すように、上衣1の裾部11とズボン2の腰回り部21とは分離しており、繋ぎ片71は存在していない。即ち、通気つなぎ服20の前開き部31・32において、上衣1の前部とズボン2の前部とが互いに分離している。このことで、通気つなぎ服20は、上衣1の前開き部31及びズボン2の前開き部32をより大きく開口させることができ、通気つなぎ服20の着脱行為を容易化することができる。また、上衣1の前開き部31を開いた状態でも、恰も上衣1とズボン2とが分離したセパレート型作業着のような外観を表出させることができる。
【0027】
第二実施形態の通気つなぎ服20においても、ズボン2の重みをベルト4を介して着用者の胴部や腰部で支えることができ、着用者の肩部への負担を大幅に少なくすることができ、そして、
図7に示すように、前ベルト孔と後ベルト孔(52R、52L)との間においてベルト4とズボン2の腰回り部21との間に通気空間6・6が形成されるので、
図7中の矢印Aで示すように着用者の上半身と下半身との間の通気が十分に行われ、内部通気性に優れている。
【0028】
以上、第一実施形態の通気つなぎ服10、及び第二実施形態の通気つなぎ服20について説明したが、本発明は更に他の実施形態でも実施することができる。
【0029】
例えば、上述した実施形態では、左右一対の前ベルト孔51R・51Lをズボン2の腰回り部21の側部に設けているが、本発明は勿論これに限定されるものではなく、これら前ベルト孔51R・51Lを、腰回り部21の前部寄りに、或いは後部寄りに設けてもよい。後ベルト孔(52R、52L)との間に形成される通気空間6の開口幅や通気つなぎ服のデザイン性等を考慮して種々の設計変更が可能である。
【0030】
また、第二実施形態の通気つなぎ服20においては、上衣1の後部にのみプリーツ部7を設けているが、本発明はこれに限定されるものではなく、例えば、第一実施形態の通気つなぎ服10のように、上衣1とズボン2とがそれらの前部及び後部の全周囲で繋がった通気つなぎ服において、上衣1の裾部の全周囲に亘ってプリーツ部を形成してもよい。
【0031】
また、
図9に示すように、第二実施形態の通気つなぎ服20において、プリーツ部7の凹部に設けた開口部72を通じて、公知の送風器8により外気Fを上衣1内へ供給するようにしてもよい。送風器8により上衣1内へ供給された外気Fは、通気空間6を通じてズボン2内へも供給されるため、着用者はより快適に各種作業を行うことができる。
【0032】
本発明に係る通気つなぎ服は、左右一対の後ベルト孔(52R、52L)同士の間において、ベルト4の後中央部がズボン2の腰回り部21の外側から着用者の胴部に巻き付けられるため、腰回り部21の外側に位置するベルト4の後中央部に送風器8のフック81を容易に引っ掛けることができ、必要に応じて送風器8を容易に着脱することができる。また、ベルト4の後中央部に取り付けた送風器8をプリーツ部7で隠すことができるので、送風器8を取り付けた場合でもスッキリした背面外観を保つことができる。
【0033】
本発明は、その他、その趣旨を逸脱しない範囲内で、当業者の知識に基づいて種々の改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。また、同一の作用又は効果が生じる範囲内でいずれかの発明特定事項を他の技術に置換した形態で実施してもよく、また、一体に構成されている発明特定事項を複数の部材から構成したり、複数の部材から構成されている発明特定事項を一体に構成した形態で実施したりしてもよい。
【符号の説明】
【0034】
10、20 通気つなぎ服
1 上衣
11 裾部
2 ズボン
21 腰回り部
31、32 前開き部
4 ベルト
51R、51L 前ベルト孔
52R、52L 後ベルト孔
6 通気空間
7 プリーツ部
71 繋ぎ片
72 開口部
8 送風器
M 着用者