(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111902
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】遊技機用の透明板ユニット
(51)【国際特許分類】
A63F 7/02 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
A63F7/02 326D
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016611
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】593045053
【氏名又は名称】株式会社NAITO
(74)【代理人】
【識別番号】110000017
【氏名又は名称】弁理士法人アイテック国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】岡田 修平
【テーマコード(参考)】
2C088
【Fターム(参考)】
2C088DA09
2C088EA02
2C088EA24
2C088EA40
2C088EA41
(57)【要約】
【課題】遊技盤の盤面と透明板との距離を一定に保つ。
【解決手段】透明板ユニットは、前後に配置される第1透明板22および第2透明板23と、第1透明板22および第2透明板2の外周縁に環状に設けられるフレーム部材30と、を備える。フレーム部材30の内周面には、第1透明板22の外周縁が嵌まり込む第1嵌合溝D1と第2透明板23の外周縁が嵌まり込む第2嵌合溝D2とが形成される。そして、フレーム部材30には、第1透明板22の外周縁と第2透明板23の外周縁との間に圧入されるスペーサ50が設けられる。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技機の前面側に形成された開口部に設けられる遊技機用の透明板ユニットであって、
遊技盤との間で遊技領域を画成する第1透明板と、
前記第1透明板に対して前記遊技盤とは反対側に配置され、前記第1透明板と共に複層板をなす第2透明板と、
前記第1および第2透明板の外周縁に環状に設けられると共に前記第1透明板の外周縁が嵌まり込む第1嵌合溝と前記第2透明板の外周縁が嵌まり込む第2嵌合溝とが内周面に形成されたフレーム部材と、
前記フレーム部材に設けられ、前記第1透明板の外周縁と前記第2透明板の外周縁との間に配置される弾性部材と、
を備える遊技機用の透明板ユニット。
【請求項2】
請求項1に記載の遊技機用の透明板ユニットであって、
前記フレーム部材は、上部フレーム片,下部フレーム片および2つの側部フレーム片と、隣り合うフレーム片の端部同士を回動可能に連結する3つの回動軸と、当該3つの回動軸で各フレーム片が連結された連結体の一端部と他端部とを係脱可能に係止する係止部と、を有する、
遊技機用の透明板ユニット。
【請求項3】
請求項1に記載の遊技機用の透明板ユニットであって、
前記各フレーム片は、内面の前記第1嵌合溝と前記第2嵌合溝との間を貫通するように外面に取付孔が形成され、
前記弾性部材は、前記各フレーム片の外面から前記取付孔に押し込まれることで前記各フレーム片に固定される、
遊技機用の透明板ユニット。
【請求項4】
請求項1に記載の遊技機用の透明板ユニットであって、
前記第1透明板の前記遊技盤側の面には、保護フィルムが貼着されている、
遊技機用の透明板ユニット。
【請求項5】
請求項1ないし4いずれか1項に記載の遊技機用の透明板ユニットであって、
前記第1透明板は、樹脂製であり、
前記第2透明板は、ガラス製である、
遊技機用の透明板ユニット。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、遊技機用の透明板ユニットに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、遊技機の前面側に形成された開口部に設けられる透明板ユニットが知られている。例えば、特許文献1には、ガラス扉の扉枠を、上側の扉枠部材と下側の扉枠部材とに分割可能に構成し、各扉枠部材の開口部の内周に、ガラス板の外縁部を嵌め込むための2本の嵌合溝を形成した複層ガラスユニットが開示されている。この分割された扉枠の各扉枠部材の2本の嵌合溝に、それぞれガラス板の外縁部を嵌め合わせた状態で、各扉枠部材の両側にある結合片部同士をネジで上下方向に締め付けることで、扉枠に2枚のガラス板の外縁部を圧接させるように固定する。これにより、扉枠と2枚のガラス板とをユニット化した複層ガラスユニットが構成される。ネジを取り外して扉枠を上下に分割すれば、扉枠からガラス板を取り外すことができるため、ガラス扉のガラス板が破損した場合に、新たなガラス板に交換することができる。また、特許文献1には、各扉枠部材の一方の結合部のみに結合片部を設け、他方の結合部を係合機構やヒンジ機構を介して接合する構成にして、扉枠部材の一方側の結合片部同士をネジで締め付けることも開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述した透明板ユニットにおいて、扉枠の嵌合溝の溝幅は、公差等のため、ガラス板の厚みに対して若干のクリアランスが設けられることが通常である。このため、扉枠の嵌合溝にガラス板が嵌め込まれた際に、ガラス板に前後にがたつきが生じ、遊技盤の盤面と透明板との距離が安定しない。この場合、例えば、遊技盤の盤面に植接された釘とガラス板との間に大きな隙間が生じることで、当該隙間に遊技球が詰まる等の不具合が発生するおそれがある。
【0005】
本発明の遊技機用の透明板ユニットは、遊技盤の盤面と透明板との距離を一定に保つことを主目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の遊技機用の透明板ユニットは、上述の主目的を達成するために以下の手段を採った。
【0007】
本発明の遊技機用の透明板ユニットは、
遊技機の前面側に形成された開口部に設けられる遊技機用の透明板ユニットであって、
遊技盤との間で遊技領域を画成する第1透明板と、
前記第1透明板に対して前記遊技盤とは反対側に配置され、前記第1透明板と共に複層板をなす第2透明板と、
前記第1および第2透明板の外周縁に環状に設けられると共に前記第1透明板の外周縁が嵌まり込む第1嵌合溝と前記第2透明板の外周縁が嵌まり込む第2嵌合溝とが内周面に形成されたフレーム部材と、
前記フレーム部材に設けられ、前記第1透明板の外周縁と前記第2透明板の外周縁との間に配置される弾性部材と、
を備えることを要旨とする。
【0008】
この本発明の遊技機用の透明板ユニットでは、第1および第2透明板の外周縁に環状に設けられるフレーム部材の内周面に、第1透明板の外周縁が嵌まり込む第1嵌合溝と第2透明板の外周縁が嵌まり込む第2嵌合溝とを形成し、第1透明板の外周縁と第2透明板の外周縁との間に、弾性部材を配置する。これにより、第1透明板は、弾性部材により遊技盤側に付勢されるため、遊技盤の盤面と第1透明板との距離を均一に保つことができる。
【0009】
こうした本発明の遊技機用の透明板ユニットにおいて、前記フレーム部材は、上部フレーム片,下部フレーム片および2つの側部フレーム片と、隣り合うフレーム片の端部同士を回動可能に連結する3つの回動軸と、当該3つの回動軸で各フレーム片が連結された連結体の一端部と他端部とを係脱可能に係止する係止部と、を有してもよい。各フレーム片は、3つの回動軸で連結されているため、各フレーム片の嵌合溝(第1嵌合溝、第2嵌合溝)に対して交差する方向から透明板(第1透明板、第2透明板)の外周縁を嵌め込むことができる。これにより、各フレーム片に弾性部材が設けられたままの状態で、透明板を交換することが可能となり、交換の作業性をより向上させることができる。
【0010】
また、本発明の遊技機用の透明板ユニットにおいて、前記各フレーム片は、内面の前記第1嵌合溝と前記第2嵌合溝との間を貫通するように外面に取付孔が形成され、前記弾性部材は、前記各フレーム片の外面から前記取付孔に押し込まれることで前記各フレーム片に固定されてもよい。こうすれば、透明板ユニットの組み付けに際して、第1透明板と第2透明板とをフレーム部材に取り付けた後に、弾性部材をフレーム部材に取り付けることができ、組み付け性をより向上させることができる。
【0011】
さらに、本発明の遊技機用の透明板ユニットにおいて、前記第1透明板の前記遊技盤側の面には、保護フィルムが貼着されていてもよい。こうすれば、経年使用による摩耗や傷、汚れの発生に応じて保護フィルムを剥がすことにより、第1透明板の使用期間を延ばすことができる。また、第1透明板は、弾性部材により遊技盤側に付勢されているため、保護フィルムが剥がされても、遊技盤との距離を一定に保つことができる。
【0012】
また、本発明の遊技機用の透明板ユニットにおいて、前記第1透明板は、樹脂製であり、前記第2透明板は、ガラス製であってもよい。こうすれば、第1透明板をガラス製とするものに比して、遊技球が第1透明板に衝突した際の衝突音を抑制することができ、騒音の発生を低減することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本実施形態の透明板ユニット20を含む遊技機1の概略構成図である。
【
図4】透明板ユニット20の正面図、上面図、下面図、左側面図および右側面図である。
【
図5】
図4の透明板ユニット20のA-A断面図およびその部分拡大図である。
【
図6】
図4の透明板ユニット20のB-B断面図およびその部分拡大図である。
【
図8】保護フィルム25が貼着された第1透明板22と遊技盤10との関係を示す説明図である。
【
図9】保護フィルム25が貼着された第1透明板22と遊技盤10の断面図およびその部分拡大図である。
【
図10】透明板21の交換に際して新たな透明板21を取り付ける様子を示す説明図である。
【
図11】変形例の透明板ユニット120の外観斜視図である。
【
図12】変形例の透明板ユニット120の分解斜視図である。
【
図13】フレーム部材130に透明板121を取り付ける様子を示す説明図である。
【
図14】変形例のフレーム部材230の分解斜視図である。
【
図16】フレーム片233にスペーサ250を取り付ける様子を示す説明図である。
【
図17】フレーム片233のスペーサ250が取り付けられた部分の断面図である。
【
図18】変形例のフレーム部材330の分解斜視図である。
【
図19】フレーム片333のスペーサ350が形成された部分の斜視図である。
【
図20】フレーム片333のスペーサ350が形成された部分の断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
次に、本発明を実施するための形態について図面を参照しながら説明する。
【0015】
図1は、本実施形態の透明板ユニット20を含む遊技機1の概略構成図であり、
図2は、透明板ユニット20の外観斜視図であり、
図3は、透明板ユニット20の分解斜視図であり、
図4は、透明板ユニット20の正面図、上面図、下面図、左側面図および右側面図である。また、
図5は、
図4の透明板ユニット20のA-A断面図およびその部分拡大図であり、
図6は、
図4の透明板ユニット20のB-B断面図およびその部分拡大図である。
【0016】
遊技機1は、
図1に示すように、遊技球を用いて遊技を行なうパチンコ機として構成され、本体枠2には、遊技盤10が保持されている。遊技盤10には、センター役物12や始動口13,14、大入賞口15、多数の釘16などが設けられている。
【0017】
遊技盤10の前面側には、本体枠2に対して開閉可能な前面枠3が取り付けられている。前面枠3は、中央に開口3oが形成され、その周辺には、図示しない電飾が設けられている。前面枠3の開口3oには、本実施形態の透明板ユニット20が配置されており、遊技者は、透明板ユニット20を介して遊技盤10を視認可能である。
【0018】
また、遊技機1の前面下部には、前面パネル4が設けられ、当該前面パネル4には、遊技球を貯留する上皿5や下皿6、遊技球を発射する発射ハンドル7、各種遊技演出に用いられる演出ボタン8等が設けられている。なお、遊技機1は、島設備から供給される遊技球を賞球や貸球として上皿5に払い出すように構成されてもよいし、内部に封入された遊技球を循環させて遊技を行なう所謂封入式の遊技機として構成されてもよい。後者の場合、上皿5や下皿6は省略される。
【0019】
透明板ユニット20は、透明板21と、透明板21を保持するように当該透明板21の外周縁に環状に設けられるフレーム部材30と、を備える。
【0020】
透明板21は、複層板であり、遊技盤10と共に遊技領域11を画成するように遊技盤10の盤面と一定の距離だけ離れて配置される第1透明板22と、第1透明板22に対して遊技盤10とは反対側(前面側)に配置される第2透明板23と、を有する。
【0021】
本実施形態では、第1透明板22には、透明の樹脂板が用いられ、第2透明板23には、ガラス板が用いられる。第1透明板22を樹脂板とすることにより、遊技領域11に打ち出された遊技球が第1透明板22と衝突したときの衝突音を低減することができ、遊技機1から発生する騒音を抑制することができる。特に、遊技機1を封入式の遊技機として構成した場合、島設備が不要となり、島設備から発生する騒音がなくなるため、第1透明板22を樹脂製として、遊技機1から発生する騒音を抑制することのメリットは大きい。
【0022】
ここで、第1透明板22の材料は、耐衝撃性に優れたポリカーボネート樹脂やアクリル樹脂といった硬質樹脂を用いることが望ましいが、衝突音をより低減させるため、透明エラストマ樹脂などの軟質樹脂を用いても構わない。ただし、摩耗や傷等の懸念があるため、第1透明板22の遊技盤10側の面には、保護フィルムが貼着されてもよい。保護フィルムは、例えば、ポリエチレンテレフタレート樹脂などを基材とした樹脂フィルムを用いることができる。保護フィルムは、1枚であってもよいし、複数枚(例えば、4枚)重ねられてもよい。保護フィルムを複数枚重ねることで、摩耗や傷、汚れの発生に応じて保護フィルムを1枚ずつ剥がすことにより、第1透明板22の使用期間を延ばすことができる。
【0023】
フレーム部材30は、
図2~
図4に示すように、上部フレーム片31と下部フレーム片32と左部フレーム片33と右部フレーム片34とを有する。各フレーム片31~34の内面には、第1透明板22の外周縁が嵌まり込む嵌合溝D1と、第2透明板23の外周縁が嵌まり込む嵌合溝D2とが、各フレーム辺31~34の長手方向に沿って形成されている。
【0024】
図3に示すように、上部フレーム片31と左部フレーム片33の互いに重なり合う端部には、回動孔JH1がそれぞれ形成され、上部フレーム片31と左部フレーム片33とは、両回動孔JH1に挿通される軸部材41により回動自在に連結される。左部フレーム片33と下部フレーム片32の互いに重なり合う端部には、回動孔JH2がそれぞれ形成され、左部フレーム片33と下部フレーム片32とは、両回動孔JH2に挿通される軸部材42により回動自在に連結される。下部フレーム片32と右部フレーム片34の互いに重なり合う端部には、回動孔JH3がそれぞれ形成され、下部フレーム片32と右部フレーム片34とは、両回動孔JH3に挿通される軸部材43により回動自在に連結される。これにより、上部フレーム片31と左部フレーム片33と下部フレーム片32と右部フレーム片34とは、3つの軸部材41~43で互いに連結されて1つの連結体をなす。そして、連結体の一端部(上部フレーム片31の端部)と他端部(右部フレーム片34の端部)には、係止孔LHがそれぞれ形成され、当該連結体は、両係止孔LHに係止部材45が挿入されることで、環状に連結される。係止部材45としては、例えばナイラッチなどの着脱可能な締結具が用いられる。
【0025】
各フレーム片31~34の外面には、内面の第1嵌合溝D1と第2嵌合溝D2との間を貫通する取付孔MHが形成されており、当該取付孔MHには、スペーサ50が取り付けられる。本実施形態では、各フレーム片31~34に対して2つずつスペーサ50が取り付けられるように、取付孔MHは、各フレーム片31~34に2つずつ形成されている。なお、各フレーム片31~34に取り付けるスペーサ50の数は、1つであってもよいし、3つ以上であってもよい。
【0026】
スペーサ50は、
図7に示すように、湾曲した凸状の外面を有する本体51と、本体51の外面に取り付けられたゴムなどの弾性部材52と、本体51の一方の端部に設けられた押し当て部53と、弾性部材52を挟んで本体51の他方の端部に設けられた係止爪54と、を有する。各フレーム片31~34の取付孔MHには、
図6に示すように、押し当て部53に押し当てられる被押し当て部C1と、係止爪54に係止される被係止片C2と、が形成されている。本実施形態では、押し当て部53は、半円柱状の凹溝により形成され、被押し当て部C1は、当該凹溝に嵌る円柱部材により形成される。また、係止爪54は、本体51からS字状に延出し、延出端に爪部が形成される。スペーサ50の押し当て部53をフレーム片31~34の被押し当て部C1に押し当てながら、スペーサ50の本体51を取付孔MHに押し込むことで、係止爪54が被係止片C2に係合し、スペーサ50は、フレーム片31~34に固定される。これにより、透明板ユニット20を組み付けるに際して、透明板21(第1透明板22,第2透明板23)をフレーム部材30に取り付けた後、フレーム部材30の各フレーム片31~34にスペーサ50をワンタッチで取り付けることができるため、組み付け性を向上させることができる。
【0027】
スペーサ50の本体51は、
図5に示すように、第1透明板22の外周縁と第2透明板23との外周縁との間に圧入され、本体51の外面に設けられた弾性部材52により第1透明板22と第2透明板23とを互いに離間する方向に付勢する。ここで、フレーム部材30の嵌合溝D1,D2の溝幅は、公差等のため、第1透明板22、第2透明板23の厚みに対して若干のクリアランスが設けられている。このため、嵌合溝D1に第1透明板22が嵌め込まれた際に、第1透明板22に前後方向のがたつきが生じ、遊技盤10の盤面と第1透明板22との距離が安定しない。この場合、遊技盤10の盤面に植設された釘16と第1透明板22との間に比較的大きな隙間が生じることで、当該隙間に遊技球が詰まる等の不具合が発生し、遊技に支障が出るおそれがある。本実施形態では、第1透明板22と第2透明板23との間にスペーサ50(弾性部材52)を圧入することにより、第1透明板22を遊技盤10に向かって付勢するから、第1嵌合溝D1に嵌まり込む第1透明板22のがたつきをなくし、遊技盤10の盤面と第1透明板22との距離を一定に保つことができる。この結果、上述した不具合の発生を防止することができる。
【0028】
ここで、
図8に示すように、第1透明板22の遊技盤10側の面に保護フィルム22sを貼着した場合、保護フィルム22sを含む第1透明板22全体の厚みは、第1透明板22単体よりも厚くなる。そして、摩耗や傷等に応じて保護フィルム22sが剥がされると、厳密には、全体の厚みは薄くなる。特に、保護フィルム22sが複数枚重ねて貼着されている場合には、保護フィルム22sが1枚剥される度に、全体の厚みが薄くなっていく。本実施形態では、
図8,9に示すように、保護フィルム22sは、第1透明板22の外周縁を含む面全体を覆うように貼着され、第1透明板22は、スペーサ50(弾性部材52)により保護フィルム22sを挟んで第1嵌合溝D1の遊技盤10側の側壁に常時押し付けられている。したがって、保護フィルム22sが剥がされても、保護フィルム22sを含む第1透明板22の遊技盤10側の面と遊技盤10の盤面との距離が変化することはないから、上述した不具合の発生を防止することができる。
【0029】
次に、こうして構成された透明板ユニット20において、摩耗や破損等により、透明板21(第1透明板22,第2透明板23)を交換する場合の手順について説明する。透明板21の交換は、フレーム部材30から透明板21を取り外し、新たな透明板21をフレーム部材30に取り付けることにより行なわれる。透明板21の取り外しは、係止部材45を係止孔LHから取り外し、各フレーム片31~34を順に開くことにより行なわれる。新たな透明板21(第1透明板22,第2透明板23)の取り付けは、以下のようにして行なわれる。まず、新たな透明板21の外周縁下部を下部フレーム片32の嵌合溝D1,D2に嵌め込む(
図10(a)参照)。次に、右部フレーム片34を下部フレーム片32に対して閉方向(図中、反時計回りの方向)に回動させ、新たな透明板21の外周縁右部を右部フレーム片34の嵌合溝D1,D2に嵌め込む(
図10(b)参照)。続いて、左部フレーム片33を下部フレーム片32に対して閉方向(図中、時計回りの方向)に回動させ、新たな透明板21の外周縁左部を左部フレーム片33の嵌合溝D1,D2に嵌め込む(
図10(b)参照)。そして、上部フレーム片31を左部フレーム片33に対して閉方向(図中、時計回りの方向)に回動させ、新たな透明板21の外周縁上部を上部フレーム片31の嵌合溝D1,D2に嵌め込み(
図10(c)参照)、係止部材45を係止孔LHに挿入して上部フレーム片31と右部フレーム片34とを連結する。なお、上述した実施形態では、下部フレーム片32、右部フレーム片34、左部フレーム片33、上部フレーム片31の順に透明板21の外周縁を嵌め込むものとしたが、この順に限定されるものではなく、例えば、右部フレーム片34、下部フレーム片32、左部フレーム片33、上部フレーム片31の順に透明板21の外周縁を嵌め込む等としてもよい。
【0030】
ここで、嵌合溝D1,D2に沿うようにスライドさせながら、透明板21を嵌合溝D1,D2に挿入する場合、スペーサ50の弾性部材52と透明板21とが摺接するため、透明板21の挿入が困難となる。これに対して、本実施形態では、上部フレーム片31と下部フレーム片32と左部フレーム片33と右部フレーム片34のいずれに対しても、嵌合溝D1,D2に対して交差する方向から透明板21を嵌め込むことができるため、各フレーム片31~34にスペーサ50が取り付けられたままの状態で、各フレーム片31~34の嵌合溝D1,D2に透明板21を容易に嵌め込むことができる。この結果、透明板21を交換する際の作業性をより向上させることができる。
【0031】
以上説明した本発明の遊技機用の透明板ユニット20では、環状に設けられる上部フレーム片31,下部フレーム片32、左部フレーム片33および右部フレーム片34のうち隣り合うフレーム片の端部同士を回動可能に連結する3つの軸部材41~43と、3つの軸部材41~43で連結された連結体の一端部と他端部とを係脱可能に係止する係止部材45と、有するフレーム部材30を備える。各フレーム片31~34の内面には、第1透明板22の外周縁が嵌まり込む第1嵌合溝D1と第2透明板23の外周縁が嵌まり込む第2嵌合溝D2とが形成される。そして、各フレーム片31~34には、第1透明板22の外周縁と第2透明板23の外周縁との間に圧入されるスペーサ50が設けられる。これにより、第1透明板22は、スペーサ50により遊技盤10側に付勢されるため、遊技盤10の盤面と第1透明板22との距離を均一に保つことができる。また、各フレーム片31~34は、3つの軸部材41~43で連結されているため、各フレーム片31~34に対して交差する方向から第1透明板22、第2透明板23の外周縁を嵌め込むことができる。これにより、各フレーム片31~34にスペーサ50が取り付けられたままの状態で透明板21を交換することができ、透明板21の交換をより容易にすることができる。
【0032】
上述した実施形態では、フレーム部材30は、上部フレーム片31、下部フレーム片32、左部フレーム片33および右部フレーム片34の4つのフレーム片を備え、各フレーム片31~34が3つの軸部材41~43により回動可能に連結されるものとした。しかし、フレーム片の数は、幾つであっても構わない。例えば、
図11,12に示す変形例の透明板ユニット120のように、フレーム部材130は、第1フレーム片131と、U字状の第2フレーム片132と、を備え、第1フレーム片131と第2フレーム片132とが1つの軸部材141を介して回動可能に連結されてもよい。第1フレーム片131の内面と第2フレーム片132の内面とには、それぞれ、第1透明板122が嵌まり込む第1嵌合溝D1と、第2透明板123が嵌まり込む第2嵌合溝D2と、が形成される。第1フレーム片131と第2フレーム片132の互いに重なり合う一方の端部には、それぞれ、回動孔JHが形成され、第1フレーム片131と第2フレーム片132とは、両回動孔JHに挿通される軸部材141により互いに回動自在に連結される。そして、第1フレーム片131と第2フレーム片132の互いに重なり合う他方の端部には、それぞれ、係止孔LHが形成され、第1フレーム片131と第2フレーム片132とは、両係止孔LHに係止部材45が挿入されることで、環状に連結される。第1フレーム131と、U字の第2フレーム片132の下辺部、左辺部、右辺部の各3辺には、それぞれ、1つ以上の取付孔MHが形成され、各取付孔MHには、上述したスペーサ50が取り付けられる。スペーサ50は、第1透明板122の外周縁と第2透明板123の外周縁との間に圧入され、第1透明板122と第2透明板123とを互いに離間する方向に付勢する。変形例のフレーム部材130では、透明板121(第1透明板122、第2透明板123)の交換に際しては、
図13に示すように、第2フレーム片132の左辺部および右辺部の各第1嵌合溝D1および第2嵌合溝D2に沿うようにスライドさせて第1透明板122や第2透明板123を抜き差しする必要がある。第1透明板122の外周縁と第2透明板123の外周縁との間には、スペーサ50が圧入されているため、第1透明板122や第2透明板123を抜き差しする際に、第1透明板122や第2透明板123がスペーサ50(弾性部材52)と摺動し、抜き差しが困難となる。このため、変形例の透明板ユニット120では、第1透明板122や第2透明板123の交換に際して、第2フレーム片132の左辺部および右辺部に取り付けられているスペーサ50を一旦、取り外してから、第1透明板122や第2透明板123をスライドさせて抜き差しするとよい。
【0033】
上述した実施形態では、スペーサ50は、本体51と、本体51の外面に取り付けられた弾性部材52と、を備えるものとしたが、弾性体により一体的に形成されてもよい。
図14は、変形例のフレーム部材230の分解斜視図であり、
図15は、スペーサ250の外観斜視図である。また、
図16は、フレーム片233にスペーサ250を取り付ける様子を示す説明図であり、
図17は、フレーム片233のスペーサ250が取り付けられた部分(
図14の一点鎖線で囲まれた部分)の断面図である。
図14,15に示すように、スペーサ250は、弾性体により一体的に形成され、湾曲した凸状の外面を有する(
図15(a)参照)。スペーサ250の裏面には、孔254が形成されている(
図15(b)参照)。また、上部フレーム片231、下部フレーム片232、左部フレーム片233および右部フレーム片234の各フレーム片の内面における第1嵌合溝D1と第2嵌合溝D2との間には、突起Pを有する取付部MPが設けられている。スペーサ250は、
図16,17に示すように、孔254に突起Pが挿入されるようにフレーム片の取付部MPに押し込むことにより、当該フレーム片に取り付けられる。これにより、部品点数を減らして、コストの低減を図ることができる。
【0034】
上述した実施形態では、各フレーム片31~34とスペーサ50とは別体として設けられるものとしたが、各フレーム片にスペーサが一体的に形成されてもよい。
図18は、変形例のフレーム部材330の分解斜視図である。また、
図19は、フレーム片333のスペーサ350が形成された部分(
図18の一点鎖線で囲まれた部分)の斜視図であり、
図20は、フレーム片333のスペーサ350が形成された部分(
図18の一点鎖線で囲まれた部分)の断面図である。図示するように、上部フレーム片331、下部フレーム片332、左部フレーム片333および右部フレーム片334の各フレーム片には、インサート成形や二色成形によってスペーサ350が一体的に形成される。これにより、組付け工数を減らして、作業負担の低減を図ることができる。
【0035】
上述した実施形態では、第1透明板22は、樹脂板としたが、ガラス板としてもよい。また、第2透明板23は、ガラス板としたが、樹脂板としてもよい。
【0036】
実施形態の主要な要素と課題を解決するための手段の欄に記載した発明の主要な要素との対応関係について説明する。実施形態では、第1透明板22,122が「第1透明板」に相当し、第2透明板23,123が「第2透明板」に相当し、第1嵌合溝D1が「第1嵌合溝」に相当し、第2嵌合溝D2が「第2嵌合溝」に相当し、フレーム部材30,130,230,330が「フレーム部材」に相当し、スペーサ50,250,350が「弾性部材」に相当する。また、上部フレーム片31,231,331が「上部フレーム片」に相当し、下部フレーム片32,232,332が「下部フレーム片」に相当し、左部フレーム片33,233,333および右部フレーム片34,234,334が「側部フレーム片」に相当し、軸部材41~43が「3つの回動軸」に相当し、係止孔LHと係止部材45とが「係止部」に相当する。また、取付孔MHが「取付孔」に相当する。また、保護フィルム22sが「保護フィルム」に相当する。
【0037】
以上、本発明の実施の形態について説明したが、本発明はこうした実施形態に何等限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、種々なる形態で実施し得ることは勿論である。
【産業上の利用可能性】
【0038】
本発明は、遊技機用の透明板ユニットの製造産業に利用可能である。
【符号の説明】
【0039】
1 遊技機、2 本体枠、3 前面枠、3o 開口、4 前面パネル、5 上皿、6 下皿、7 発射ハンドル、8 演出ボタン、10 遊技盤、11 遊技領域、12 センター役物、13,14 始動口、15 大入賞口、16 釘、20,120 透明板ユニット、21,121 透明板、22,122 第1透明板、22s 保護フィルム、23,123 第2透明板、30,130,230,330 フレーム部材、31,231,331 上部フレーム片、32,232,332 下部フレーム片、33,233,333 左部フレーム片、34,234,334 右部フレーム片、41~43 軸部材、45 係止部材、50,250,350 スペーサ、51 本体、52 弾性部材、53 押し当て部、54 係止爪、131 第1フレーム片、132 第2フレーム片、141 軸部材、254 孔、C1 被押し当て部、C2 被係止片、D1 第1嵌合溝、D2 第2嵌合溝、JH1,JH2,JH3,JH 回動孔、LH 係止孔、MH 取付孔、MP 取付部、P 突起。