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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111904
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】歯車および歯車機構
(51)【国際特許分類】
   F16H 57/04 20100101AFI20240813BHJP
   F16H 55/17 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
F16H57/04 Z
F16H55/17 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016613
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004204
【氏名又は名称】日本精工株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100109380
【弁理士】
【氏名又は名称】小西 恵
(74)【代理人】
【識別番号】100109036
【弁理士】
【氏名又は名称】永岡 重幸
(72)【発明者】
【氏名】小林 英樹
【テーマコード(参考)】
3J030
3J063
【Fターム(参考)】
3J030BA01
3J030BB07
3J030CA10
3J063AA40
3J063CB01
3J063XD02
3J063XD17
3J063XD62
3J063XD72
(57)【要約】
【課題】フルパックでなくても潤滑を維持する。
【解決手段】 歯車は、歯車の回転方向に並んだ複数の歯と、上記歯の先側から元側へと当該歯の一部が窪んで当該先側が開放した潤滑剤溜まりと、を備える。
【選択図】 図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
歯車の回転方向に並んだ複数の歯と、
前記歯の先側から元側へと当該歯の一部が窪んで当該先側が開放した潤滑剤溜まりと、
を備える歯車。
【請求項2】
前記潤滑剤溜まりは、前記回転方向へと延びた溝である請求項1に記載の歯車。
【請求項3】
前記潤滑剤溜まりの壁は、前記歯の先側に向かって開いて傾斜している請求項1に記載の歯車。
【請求項4】
前記潤滑剤溜まりは、前記歯同士の間に延びた歯溝の延伸方向において、当該歯が他の歯車の歯と噛み合う範囲の外側に設けられる請求項1に記載の歯車。
【請求項5】
請求項4に記載の歯車の複数が互いに噛み合った歯車機構。
【請求項6】
請求項1から3のいずれか1項に記載の歯車と、
前記歯車によって伝達される駆動力で駆動されて外力を出力する駆動機構と、
を備えたアクチュエータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、歯車および歯車機構に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電動アクチュエータやロボットなどの様々な分野で、運動や動力の伝達機構として歯車機構が用いられている。また、伝達機構としての歯車機構では、運動や動力の滑らかな伝達を維持するために、一般的に、グリースなどの潤滑剤が用いられる。潤滑剤が枯渇すると運動や動力の伝達効率の低下などが生じるため、歯車の歯面同士が噛み合う箇所における潤滑の維持が望まれる。
【0003】
例えば特許文献1には、歯車群を収納したケース本体部の開口穴にグリース溜まりを形成して、歯車が噛み合う箇所の潤滑を維持する技術が提案されている。
また、例えば特許文献2には、歯車を囲んだ円環状のフレーム内部に固形状潤滑剤を配置して歯車の潤滑を維持する技術が提案されている。
【0004】
特許文献1および特許文献2に記載の技術では、歯車が収容された空間のほぼ一杯に潤滑剤を充填したいわゆるフルパックが用いられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006-250259号公報
【特許文献2】特開2017-82993号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、歯車が収容されたケース内でのフルパックは、潤滑剤の攪拌抵抗が大きく、伝達効率が低下する。また、歯車の歯面のみのフルパックも考えられるが、歯面の噛み合いに伴って潤滑剤が歯溝の延びる方向に移動するため、潤滑が不足する虞がある。
そこで、本発明は、フルパックでなくても潤滑を維持することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明に係る歯車の一態様は、歯車の回転方向に並んだ複数の歯と、上記歯の先側から元側へと当該歯の一部が窪んで当該先側が開放した潤滑剤溜まりと、を備える。
このような歯車によれば、潤滑剤溜まりに潤滑剤が溜められるとともに、溜まった潤滑剤が歯車の回転と噛み合いに伴って歯面に次第に供給されるので、フルパックでなくても潤滑を維持することができる。
【0008】
上記歯車において、上記潤滑剤溜まりは、上記回転方向へと延びた溝であると、回転方向の各箇所に潤滑剤が行き渡るので好ましい。
また、上記歯車において、上記潤滑剤溜まりの壁は、上記歯の先側に向かって開いて傾斜していることがこのましい。この歯車によれば、歯車の回転に伴って潤滑剤が壁に沿って円滑に歯の先側へと移動して歯面に供給される。
【0009】
また、上記歯車において、上記潤滑剤溜まりは、上記歯同士の間に延びた歯溝の延伸方向において、当該歯が他の歯車の歯と噛み合う範囲の外側に設けられることが好ましい。この歯車によれば、歯の噛み合う範囲から外側に食み出た潤滑剤が潤滑剤溜まりに溜まり、歯車の回転に伴って歯の噛み合う範囲へと戻されるので、潤滑の維持力が高い。
【0010】
上記課題を解決するために、本発明に係る歯車機構の一態様は、上記潤滑剤溜まりが上記範囲の外側に設けられた歯車の複数が互いに噛み合っている。
このような歯車機構によれば、歯同士が噛み合う箇所で潤滑剤溜まりの外側の壁が互いに組み合うため、歯の噛み合いで食み出す潤滑剤が潤滑剤溜まりにとどまって再び歯面に供給されるので潤滑が維持される。
【発明の効果】
【0011】
本発明によれば、フルパックでなくても潤滑を維持することができる。
【図面の簡単な説明】
【0012】
図1】本発明の第1実施形態における歯車を示す図である。
図2】本発明の第2実施形態における歯車を示す図である。
図3】本発明の第3実施形態における歯車を示す図である。
図4】本発明の第4実施形態における歯車を示す図である。
図5】本発明の第5実施形態における歯車機構を示す斜視図である。
図6】本発明の第5実施形態における歯車機構を示す上面図である。
図7】電動アクチュエータの構造を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。但し、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするため、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。また、先に説明した図に記載の要素については、後の図の説明において適宜に参照する場合がある。
【0014】
図1は、本発明の第1実施形態における歯車100を示す図である。図1(A)には斜視図が示され、図1(B)には上面図が示されている。
第1実施形態の歯車100は、歯車100の回転方向に並んだ複数の歯101を備えている。歯101の相互間には歯溝102が延びている。
【0015】
第1実施形態の歯車100は一例として平歯車であり、歯101の先端(歯先)12と歯溝102の底(歯底)21は、歯車100の回転軸に沿った軸方向に直線的に延びている。また、第1実施形態の歯車100は、一例として軸方向の全範囲で他の歯車(図示せず)と噛み合う。
【0016】
歯車100の歯101は、他の歯車の歯と噛み合って回転運動や回転駆動力を伝達する。歯車100が他の歯車と噛み合う際には、他の歯車の歯が歯溝102内に挿入され、歯101の軸方向に延びた表面(歯面)11が他の歯車の歯の表面と接触する。これにより運動や力の伝達が実現される。運動や力の円滑な伝達のため、歯面同士の接触と離間が滑らかに行われることが求められ、歯車100の歯面11には、潤滑剤としてグリースが塗布されている。
【0017】
歯車100の潤滑剤が不足して潤滑不良となった場合、運動や力の伝達効率が低下する他に、歯車損傷も生じる虞がある。潤滑不良による歯車損傷としては、例えば、摩耗、高温による変色、歯面疲労、永久変形などが生じる虞がある。
摩耗としては、例えば、歯面の溶着と引き裂きが交互に起こって歯面に表面劣化が生じるスコーリングなどがある。高温による変色としては、例えばバーニングなどがある。歯面疲労としては、例えば、歯面にピットやき裂が生じるピッチングなどがある。永久変形としては、例えば、歯車100の回転方向に対して直角方向に、歯面に周期的に波状の模様が生じるリップリングなどがある。
【0018】
伝達効率の低下や歯面損傷を抑制するためには、歯車100の歯面11に潤滑剤(グリース)を維持して歯車100の潤滑を保つことが求められる。
歯車100は、歯101の一部にグリース溜まり103を備えている。グリース溜まり103は、歯先12側から歯101の元側に向かって窪み、歯先12側は開放している。
【0019】
第1実施形態の歯車100では、上述したように軸方向の全範囲が歯101の噛み合う範囲であり、当該噛み合う範囲内にグリース溜まり103が設けられている。グリース溜まり103は歯先12側が開放しているため、グリース溜まり103には、歯101の噛み合いによって歯面11から押し出されたグリースが溜まる。そして、歯車100の回転に伴う遠心力などによってグリース溜まり103からグリースが歯面11に供給される。この結果、歯車100をグリース内に封じるフルパックでなくても歯面11の潤滑が維持され、運動や力の円滑な伝達が実現する。
【0020】
グリース溜まり103は、本実施形態では、歯車100の回転方向に延びた溝となっている。このため、グリース溜まり103に溜まったグリースは、歯車100の回転力などによって回転方向に移動することで歯車100の全周に行き渡る。また、グリース溜まり103は、歯面11に垂直な方向から見た場合、いわゆるV字溝であり、V字を形成する壁31が歯先12側に向かって開き、歯車100の回転面Pに対して斜めに傾いている。このため、傾いた壁31に沿ってグリースが滑らかに歯先12側へと移動し、グリースが円滑に歯面11に供給される。
【0021】
図2は、本発明の第2実施形態における歯車200を示す図である。図2(A)には斜視図が示され、図2(B)には上面図が示されている。第2実施形態の説明において、第1実施形態と共通する構成には同じ符号が付されている。
第2実施形態の歯車200は、第1実施形態の歯車100と同様の平歯車であり、歯101と歯溝102とを備えている。
【0022】
第2実施形態の歯車200にも、歯101が噛み合う範囲内にグリース溜まり203が設けられていて、グリース溜まり203は回転方向に延びた溝となっている。第2実施形態では、グリース溜まり203は、いわゆるU字溝であり、溝の両側の壁32が歯車200の回転面Pに沿って広がっている。U字溝のグリース溜まり203でもグリースを溜めることができる。そして、グリース溜まり203は歯先12側が開放しているので、グリース溜まり203に溜まったグリースが歯車200の回転に伴って歯面11に供給される。
【0023】
図3は、本発明の第3実施形態における歯車300を示す図である。図3(A)には斜視図が示され、図3(B)には上面図が示されている。第3実施形態の説明において、第1実施形態と共通する構成には同じ符号が付されている。
第3実施形態の歯車300も、第1実施形態の歯車100と同様の平歯車であり、歯301と歯溝102とを備えている。第3実施形態では、歯301は噛み合い部13と端部14を有する。噛み合い部13では、歯301が他の歯車の歯と噛み合い、歯301の端部14は、歯溝102の延伸方向において、噛み合い範囲の外に位置する。そして、第3実施形態では、端部14にグリース溜まり303が設けられている。なお、本実施形態では一例としてグリース溜まり303が歯301の両側の各端部14に設けられているが、グリース溜まり303は歯301の一方の端部14のみに設けられてもよい。
【0024】
歯301の端部14に設けられたグリース溜まり303は、噛み合い部13での噛み合いによって端部14側へと食み出たグリースを受け止めて溜めることができる。そして、グリース溜まり303に溜まったグリースは、歯車300の回転に伴って噛み合い部13の歯面11に供給されるので、潤滑の維持力が高い。
【0025】
第3実施形態でもグリース溜まり303は、回転方向に延びた溝となっていて、歯先12側が開放している。第3実施形態では、グリース溜まり303の壁33、34は、歯301の外側に位置する壁34が歯車300の回転面Pに沿って広がり、歯301の内側に位置する壁33が歯車300の回転面Pに対して傾いている。外側の壁34が回転面Pに沿って広がっていることにより、グリースが歯車300外へと漏れにくい。また、内側の壁33が回転面Pに対して傾いていることにより、グリースが壁33に沿って円滑に噛み合い部13へと供給される。
【0026】
図4は、本発明の第4実施形態における歯車400を示す図である。図4(A)には斜視図が示され、図4(B)には上面図が示されている。第4実施形態の説明において、第3実施形態と共通する構成には同じ符号が付されている。
第4実施形態の歯車400も、第3実施形態の歯車300と同様に、歯401と歯溝102とを備え、歯401は、噛み合い部13と端部14とを有する。そして、端部14にグリース溜まり403が設けられ、グリース溜まり403は、回転方向に延びた溝となっている。
【0027】
一方、グリース溜まり403の壁34、35は、第4実施形態の場合、どちらも回転面Pに沿って広がっている。グリース溜まり403の壁34、35の向きが異なっているが、第4実施形態でも第3実施形態と同様に、グリース溜まり403は噛み合い部13から食み出たグリースを受け止めて溜めることができる。そして、グリース溜まり403に溜まったグリースは、噛み合い部13の歯面11に供給されるので、潤滑の維持力が高い。
【0028】
図5および図6は、本発明の第5実施形態における歯車機構600を示す図である。図5には斜視図が示され、図6には上面図が示されている。第5実施形態の説明において、第4実施形態と共通する構成には同じ符号が付されている。
第5実施形態の歯車機構600は、複数(例えば2つ)の歯車400、500が噛み合った構造を有する。2つの歯車400、500のうち小さい方の歯車400は、第4実施形態の歯車400であり、大きい方の歯車500も、第4実施形態の歯車400と同様の構造を有する。
【0029】
歯車400、500の歯401、501が噛み合う箇所Rでは、歯面11からグリースが押し出され、グリースは噛み合い部13から端部14へと移動する。そして、グリースはグリース溜まり403、503に受け止められる。また、第5実施形態の歯車機構600では、歯401、501が噛み合う箇所Rで、グリース溜まり403、503の壁34同士が互いに組み合って一連の壁34となる。
【0030】
従って、第5実施形態の歯車機構600では、端部14へのグリースの移動が大きい箇所Rにおいて、歯車400、500の外へのグリースの漏れが抑制されることになり、潤滑の維持力が高い。
次に上述した各実施形態の歯車や歯車機構が適用されるアクチュエータについて説明する。
【0031】
図7は、電動アクチュエータ700の構造を示す断面図である。図7には、電動アクチュエータ700の出力軸中心に沿う面で切断された断面の図が示されている。また、一部の要素については、理解の便宜上、断面ではなく外観が示されている。
本実施形態の電動アクチュエータ700は、回転運動を直線運動に変換するボールねじを利用することにより、モータから入力された回転力を軸力(軸に沿う方向の力)に変換して出力するボールねじ式直動型アクチュエータである。電動アクチュエータ700は、本発明のアクチュエータの一実施形態に相当する。
【0032】
本実施形態の電動アクチュエータ700は、ボールねじ710と、伝達ギア720と、入力側回転軸722と、出力軸730と、玉軸受け751と、軸受ハウジング750と、モータ760と、減速機770と、図示が省略されたハウジングを備えている。
伝達ギア720は入力側回転軸722に固定されている。伝達ギア720は減速機770を介してモータ760から回転力を受けて入力側回転軸722に回転力を伝達する。ボールねじ10は、入力側回転軸722を介して伝達された回転力による回転運動を直線運動に変換する。
【0033】
出力軸730は、ボールねじ710のナット713に連結され、ボールねじ710により上記回転力から変換された軸力を出力する。ボールねじ710および出力軸730は、図示が省略された略筒状のハウジングに内包されており、ハウジングは電動アクチュエータ350全体を保持している。
【0034】
玉軸受け751は、ボールねじ710のねじ軸711および入力側回転軸722を回転自在に保持している。軸受ハウジング750は、玉軸受け751をハウジングに対して固定している。
ボールねじ710は、螺旋状のねじ溝711aを外周面に有するねじ軸711と、ねじ軸711のねじ溝711aに対向する螺旋状のねじ溝713aを内周面に有するナット713と、両ねじ溝711a、713aにより形成される螺旋状のボール転動路内に転動自在に装填された複数のボール(図示せず)と、前記ボールを前記ボール転動路の終点から始点へ戻し循環させるボール循環路(図示せず)と、を備えている。
【0035】
前記ボールは、前記ボール転動路内を移動しつつねじ軸711の回りを回って前記ボール転動路の終点に至り、そこで前記ボール転動路から掬い上げられて前記ボール循環路の一方の端部に入る。前記ボール循環路に入った前記ボールは前記ボール循環路内を通って前記ボール循環路の他方の端部に達し、そこから前記ボール転動路の始点に戻されるようになっている。
【0036】
なお、ねじ軸711、ナット713および前記ボールの素材は特に限定されるものではなく、一般的な材料が使用可能であり、例えば鋼等の金属やセラミックがあげられる。また、ねじ溝711a、713aの断面形状は、円弧状でもよいしゴシックアーク状でもよい。
【0037】
ボールねじ710は、前記ボールを介して間接的に係合されたナット713とねじ軸711とが相対的に回転運動させられると、前記ボールの転動を介してねじ軸711とナット713とが軸方向に相対的に直線移動する。そして、前記ボール転動路と前記ボール循環路により無端状のボール通路が形成されており、前記ボール転動路内を転動する前記ボールが無端状の前記ボール通路内を無限に循環するようになっているため、ねじ軸711とナット713とは継続的に直線移動することができる。ねじ軸711の回転方向によって、ナット713の直線移動方向が決定する。
【0038】
ナット713は、連結要素753により、出力軸730に連結されている。本実施形態では一例として2つの連結要素753が備えられている。ナット713が直線移動すると、その軸力が連結要素753によって出力軸730に伝達され、出力軸730がナット713とともに直線移動するので、出力軸730から軸力が出力される。
【0039】
入力側回転軸722から出力軸730に至る機構が、本発明にいう駆動機構の一例に相当し、本実施形態の場合は外力の一例として軸力が出力される。
減速機770は、複数のギア771、772、773を有し、歯数が異なるギアがかみ合って回転することにより、モータ760側の回転速度に対して伝達ギア720側の回転速度を低下させる。このように回転速度が低減されることにより、伝達ギア720側ではモータ760側での回転力(回転トルク)よりも大きな回転力(回転トルク)が生じる。
【0040】
減速機770が有する複数のギア771、772、773および伝達ギア720の一部あるいは全部に対して上記歯車100、200、300、400、500や上記歯車機構600が適用される。電動アクチュエータ700などにおいては、潤滑剤の攪拌抵抗が大きいフルパックは採用が困難であるが、上記歯車100、200、300、400、500や上記歯車機構600の適用によってギア771、772、773および伝達ギア720における潤滑性が維持される。
【0041】
なお、上記説明では、本発明のアクチュエータの一実施形態としてボールねじ式直動型アクチュエータが例示されているが、本発明のアクチュエータは、ボールねじ以外の駆動機構を備えた直動型アクチュエータであってもよいし、回転型や曲線移動型のアクチュエータであってもよいし、手動型やエンジン駆動型のアクチュエータであってもよい。
【0042】
また、上記説明では、本発明が平歯車に適用された例が示されているが、本発明の歯車および歯車機構は、斜歯歯車や山歯歯車や傘歯車などに適用されてもよい。
また、上記説明では、潤滑剤としてグリースが用いられる例が示されているが、本発明の歯車および歯車機構には、グリース以外の潤滑剤が用いられてもよい。
【符号の説明】
【0043】
100、200、300、400、500…歯車、
101、201、301、401、501…歯、11…歯面、12…歯先、
13…噛み合い部、14…端部、102…歯溝、21…歯底、
103、203、303、403、503…グリース溜まり、
31、32、33、34、35…壁、600…歯車機構、700…電動アクチュエータ、
710…ボールねじ、720…伝達ギア、722…入力側回転軸、730…出力軸、
760…モータ、770…減速機、771、772、773…ギア
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7