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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111908
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】電動車両の表示装置
(51)【国際特許分類】
   B60L 3/00 20190101AFI20240813BHJP
   B60L 7/26 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B60L3/00 N
B60L7/26
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016627
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006286
【氏名又は名称】三菱自動車工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002424
【氏名又は名称】ケー・ティー・アンド・エス弁理士法人
(72)【発明者】
【氏名】福田 利実
(72)【発明者】
【氏名】鳥居 誠人
(72)【発明者】
【氏名】廣江 健太
(72)【発明者】
【氏名】柳川 健介
(72)【発明者】
【氏名】川辺 敬
【テーマコード(参考)】
5H125
【Fターム(参考)】
5H125AA01
5H125AB01
5H125AC12
5H125CB02
5H125CD02
5H125EE44
(57)【要約】
【課題】ユーザが回生状態を認識しやすい電動車両の表示装置を提供する。
【解決手段】電動車両の表示装置は、回生可能なモータによって車輪を駆動する電動車両の表示装置であって、前記モータが実際に回生している出力である第1回生力と、前記モータの回生を制限する出力である第2回生力と、を表示する。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
回生可能なモータによって車輪を駆動する電動車両の表示装置であって、
前記モータが実際に回生している出力である第1回生力と、
前記モータの回生を制限する出力である第2回生力と、
を表示する電動車両の表示装置。
【請求項2】
前記モータに回生させる出力の最大値である第3回生力を表示する請求項1に記載の電動車両の表示装置。
【請求項3】
前記電動車両は、前記第3回生力を、複数の値に変更可能な変更装置を有し、
前記表示装置は、前記複数の値を表示する、
請求項2に記載の電動車両の表示装置。
【請求項4】
前記表示装置は、一方から前記第1回生力の変化を帯状に表示し、他方から前記第2回生力を帯状に表示する、
請求項1から3のいずれか1項に記載の電動車両の表示装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、電動車両の表示装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、回生可能なモータによって回生ブレーキを作動させる電動車両が知られている(例えば特許文献1参照)。このような電動車両は、回生状態をユーザに通知するための表示装置を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2019-115105号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
回生ブレーキは、バッテリの状態によっては、回生力に制限が発生する場合もある。このような場合、ユーザは出力に制限が発生していることに気が付かない場合もある。
【0005】
本開示の課題は、ユーザが回生状態を認識しやすい電動車両の表示装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示に係る電動車両の表示装置は、回生可能なモータによって車輪を駆動する電動車両の表示装置であって、前記モータが実際に回生している出力である第1回生力と、前記モータの回生を制限する出力である第2回生力と、を表示する。
【0007】
この電動車両の表示装置は、モータの回生を制限する出力が表示できる。これによって電動車両のユーザは、回生が制限状態であることを認識しやすい。
【発明の効果】
【0008】
本開示によれば、ユーザが回生状態を認識しやすい電動車両の表示装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本開示の第1実施形態による電動車両のシステム図。
図2】本開示の第1実施形態による回生トルクマップの一例を示す図。
図3】本開示の第1実施形態による制限回生トルクが発生していない状態における表示状態の一例を示す図。
図4】本開示の第1実施形態による制限回生トルクが発生している状態における表示状態の一例を示す図。
図5】本開示の第1実施形態による表示装置が実行する制御手順を示すフローチャート。
図6】本開示の第2実施形態による表示状態を示す図。
図7】本開示の第3実施形態による表示状態を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0010】
<第1実施形態>
以下、本開示の第1実施形態について、図面を参照しながら説明する。
【0011】
図1に示すように、表示装置1は、電動車両Cに搭載される。電動車両Cは、モータ2と、リチウムイオン電池などの二次電池を含む駆動用電池(BT)4と、4つの車輪C1と車軸C2との間のそれぞれに設けられた摩擦式制動装置6と、回生トルクをユーザが切り替え可能なシフタ(変更装置の一例)8と、を有する。
【0012】
モータ2は、車輪C1と連結され、駆動用電池4から電力が供給され力行することによって車輪C1を駆動する。また、モータ2は、車輪C1によって回転させられることによって回生し、発電した電力を駆動用電池4に供給する。本実施形態ではモータ2は、回生回路が組み込まれた後述するインバータ26によって制御される永久磁石式同期モータである。しかし、モータ2は、永久磁石式同期モータに限らず、回生可能なモータ2であればどのようなものであってもよい。
【0013】
シフタ8は、電動車両Cのユーザが操作することによって、ユーザが後述する最大回生トルクGmaxを複数の値に変更可能な装置である。本実施形態ではシフタ8は、ハンドル8aの背面に配置されたパドル型のシフタ8である。シフタ8は、左右のパドルをユーザが押す、または引くことによって、最大回生トルクGmaxの値を変更可能である。シフタ8は、このようなパドル型のシフタ8に限らず、最大回生トルクGmaxをユーザが変更可能な装置であればどのようなものであってもよい。
【0014】
本実施形態の電動車両Cは、さらに内燃機関10と、発電機12と、トランスアクスル14と、外部充電装置16と、外部給電装置18と、を有する、プラグインハイブリッド車(PHEV)である。電動車両Cはこのほかに、モータ2に回生と力行を指示する車両制御装置20と、電動車両Cのユーザが操作するアクセルペダル22と、ブレーキペダル24と、モータ2および発電機12を制御するインバータ26と、を有してもよい。車両制御装置20は、実際には、演算装置と、メモリと、入出力バッファ等とを含むマイクロコンピュータによって構成されるECU(Electrоnic Control Unit)である。車両制御装置20は、メモリに格納されたマップおよびプログラムに基づいて、電動車両Cの様々な制御を実行する。
【0015】
本実施形態の電動車両Cは、トランスアクスル14のクラッチ14aを制御することによって、EVモード、シリーズモード、パラレルモード、を切り替え可能に構成される。電動車両Cは、EVモードの場合、駆動用電池4からの電力によってモータ2を駆動する。電動車両Cは、シリーズモードの場合、内燃機関10によって発電機12を駆動し、発電機12によって発電した電力を用いてモータ2を駆動する。電動車両Cは、パラレルモードの場合、クラッチ14aを接続し、内燃機関10の動力を用いて車軸C2を駆動する。電動車両Cは、充電モードでは、内燃機関10によって発電機12を駆動し、発電機12によって発電した電力を駆動用電池4に蓄電する。
【0016】
電動車両Cは、ブレーキペダル24が踏み込まれた場合に、モータ2を回生させて回生ブレーキを作動させることができる。また、電動車両Cは、ブレーキペダル24の踏み込み量に応じて、ブレーキ制御装置6aを介して摩擦式制動装置6を作動させて、電動車両Cを制動する。ブレーキ制御装置6aは、実際には、演算装置と、メモリと、入出力バッファ等とを含むマイクロコンピュータによって構成されるECUである。ブレーキ制御装置6aは、車両制御装置20からの情報を取得し、各摩擦ブレーキの制動力を制御する。
【0017】
さらに、電動車両Cは、アクセルペダル22の踏み込み量がゼロの場合に、モータ2を回生するアクセルオフ回生を実行する。上述のとおり、本実施形態の電動車両Cは、ユーザがシフタ8を操作することによって、アクセルオフ回生時の回生トルクを複数の値に変更可能である。より具体的には、図2に示すように、車両制御装置20は、複数の段毎にモータ2に回生させる最大値である最大回生トルク(第3回生力の一例)Gmaxが定められたマップを記憶している。車両制御装置20は、モータ2が実際に発生している回生トルクである実回生トルク(第1回生力の一例)Grを検知し、実回生トルクGrが、複数の段毎に定められた最大回生トルクGmaxに近づくと、実回生トルクGrが最大回生トルクGmaxとなるようにモータ2を制御する。なお、以下明細書における各回生トルクは負の値のトルクである。従って、以下明細書において各回生トルクの値は、実際には各回生トルクの絶対値である。
【0018】
本実施形態では、車両制御装置20は、回生段としてB1からB3まで3段階の最大回生トルクGmaxの値を、モータ2の回転数毎に記憶している。車両制御装置20は、ユーザがシフタ8を操作することによってB1に切り替えた場合、図2のB1の実線のグラフに示す最大回生トルクGmaxとなるように、モータ2を制御する。ユーザがシフタ8を操作することによってB1からB2に切り替えた場合、図2のB2の実線のグラフに示す最大回生トルクGmaxとなるように、モータ2を制御する。ユーザがシフタ8を操作することによってB2からB3に切り替えた場合、図2のB3の実線のグラフに示す最大回生トルクGmaxとなるように、モータ2を制御する。本実施形態では、ユーザが回生段をB1からB3に切り替えるにつれて、最大回生トルクGmaxが大きくなる。このため、B1からB3に切り替えるにつれて、電動車両Cの制動力が大きくなる。これによってモータ2の回生を使用しながらも、複数の段を有する変速機を模擬した減速が実現できる。
【0019】
このようなモータ2の回生状態において、駆動用電池4が受け入れ可能な電力が制限される場合がる。このような制限される状態とは、例えば駆動用電池4が低温状態である場合、および駆動用電池4の充電率SOCが満充電に近い状態の場合、などである。このような状態において、車両制御装置20は、モータ2による回生を制限する制御を実行する。
【0020】
車両制御装置20は、駆動用電池4が受け入れ可能な電力である許容電力Elimを算出する。車両制御装置20は、算出した許容電力Elimに基づいて、モータ2の回生による発電が許容電力Elim以下となる制限回生トルク(第2回生力の一例)Glimを算出する。本実施形態では、図2の破線のグラフに示すように、制限回生トルクGlimを回転数毎に算出する。車両制御装置20は、実回生トルクが制限回生トルクGlimに近づくと、実回生トルクGrが制限回生トルクGlimを超えないように、モータ2を制御する。なお、車両制御装置20は、許容電力Elim毎、およびモータ回転数毎に制限回生トルクGlimを定めたマップを記憶しており、このマップに基づいてモータ2を制御してもよい。
【0021】
このような、制限回生トルクGlimが発生する場合、実回生トルクGrが最大回生トルクGmaxよりも小さい値の場合であっても、最大回生トルクGmaxよりも制限回生トルクGlimの方が小さければ回生に制限が発生する場合がある。このような場合、ユーザは、自らが選択した段数(例えばB3など)よりも制動力が弱いと感じるおそれがある。このような場合に、ユーザに回生に制限が発生している状態を報知することが好ましい。
【0022】
表示装置1は、種々の画面を表示可能なディスプレイを含み、ディスプレイにモータ2の回生状態を示す画面を生成し表示する装置である。本実施形態では表示装置1は、ディスプレイに加えて、演算装置と、メモリと、入出力バッファ等とを含むマイクロコンピュータを含む。表示装置1は、車両制御装置20からディスプレイに表示させる情報を取得し、画面を生成する。
【0023】
表示装置1は、少なくとも、モータ2が回生している際に、実回生トルクGrと、モータ2の回生を制限する出力である制限回生トルクGlimと、をディスプレイに表示可能である。本実施形態ではさらに、表示装置1は、モータ2が回生可能な出力である最大回生トルクGmaxをディスプレイに表示可能である。
【0024】
より具体的には、図3に示すように、表示装置1は、制限回生トルクGlimが発生していない状態では、帯状のグラフの長さを変化させることによって、実回生トルクGrの大きさと、最大回生トルクGmaxの大きさと、を表示する。図3(a)に示すように、ユーザが回生段としてB1を選択している場合、表示装置1は、B1にあった最大回生トルクGmaxの値を帯状のグラフの長さで表示する。また、表示装置1は、実回生トルクGrを取得すると、実回生トルクGrの値を帯状のグラフの長さで表示する。図3は、トルクの値が大きくなるほど帯状のグラフの長さが図3の矢印の向きに大きくなる。
【0025】
ユーザが回生段としてB1からB2に切り替えた場合、図3(b)に示すように、表示装置1は、最大回生トルクGmaxの帯状のグラフをB1からB2の位置まで伸ばす。ユーザが回生段としてB2からB3に切り替えた場合、表示装置1は、最大回生トルクGmaxの帯状のグラフをB2からB3の位置まで伸ばす。表示装置1は、この間実回生トルクGrの大きさに合わせて、実回生トルクGrの帯状のグラフの長さを変化させる。
【0026】
図4に示すように、表示装置1は、制限回生トルクGlimが発生している状態では、実回生トルクGrのグラフおよび最大回生トルクGmaxのグラフが延びる方向(一方の一例)と反対側の方向(他方の一例)から、制限回生トルクGlimの大きさを示す帯状のグラフを表示する。本実施形態では、制限回生トルクGlimは最大回生トルクGmaxの右端から左に向かい延びる。図4(a)から図4(c)は、図2における制限回生トルクGlimが発生した状態において、回生段をB1からB2、B2からB3に切り替えた場合における表示状態を示している。また、実回生トルクGrが図4の矢印の向きに増加している状態を示している。
【0027】
図4(a)に示すように、ユーザが回生段としてB1を選択している場合、表示装置1は、最大回生トルクGmaxの値に対して、制限回生トルクGlimを被せて表示する。この状態では、制限回生トルクGlimが最大回生トルクGmaxを下回っている状態である。実回生トルクGrは、制限回生トルクGlimまで到達していない状態である。
【0028】
図4(b)において、ユーザが回生段としてB1からB2に切り替えた場合も同様に、表示装置1は、最大回生トルクGmaxの値に対して、制限回生トルクGlimを被せて表示する。このとき、制限回生トルクGlimの値は、変化していないため、制限回生トルクGlimは、図4(a)と同じ位置まで延びている。
【0029】
図4(c)に示すように、ユーザが回生段としてB3を選択している場合、表示装置1は、最大回生トルクGmaxの値に対して、制限回生トルクGlimを被せて表示する。この状態では、制限回生トルクGlimが最大回生トルクGmaxを下回り、実回生トルクGrも、制限回生トルクGlimに到達している。従って、モータ2は、車両制御装置20によって回生が制限された状態となっている。このような状態では、アクセルオフ回生による制動が弱まった状態となる。
【0030】
なお、制限回生トルクGlimが発生している状態であっても、各段数において制限回生トルクGlimが最大回生トルクGmaxを上回る場合は、制限回生トルクGlimを表示しなくてもよい。
【0031】
次に、図5を用いて表示装置1が実行する制御手順について説明する。
【0032】
ステップS1では表示装置1は車両制御装置20から回生段を取得し、ステップS2に処理を進める。表示装置1は、車両制御装置20から回生段に対応した最大回生トルクGmaxを取得し、ステップS3に処理を進める。表示装置1は、最大回生トルクGmaxの値に対応した長さのグラフを表示する画面を生成し、ディスプレイに表示し、ステップS4に処理を進める。
【0033】
ステップS4では表示装置1は車両制御装置20から実回生トルクを取得し、ステップS5に処理を進める。ステップS5では、表示装置1は、実回生トルクGrの値に対応した長さのグラフを、最大回生トルクGmaxのグラフに被せた画面を生成し、生成した画面をディスプレイに表示し、ステップS6に処理を進める。
【0034】
ステップS6では表示装置1は、制限回生トルクGlimが発生しているか否か判断し、制限回生トルクGlimが発生していると判断した場合(ステップS6 YES)、ステップS7に処理を進める。具体的には、表示装置1は、車両制御装置20から制限回生トルクGlimが発生しているか否かのフラグを取得し、フラグを取得できた場合、制限回生トルクGlimが発生していると判断してもよい。
【0035】
ステップS7では表示装置1は、制限回生トルクGlimを取得し、ステップS8に処理を進める。ステップS8では表示装置1は、制限回生トルクGlimが最大回生トルクGmaxに被せて表示する画面を生成し、ディスプレイに表示し、ステップS1に処理を進める。なお、上記のとおり、制限回生トルクGlimが最大回生トルクGmaxに到達していない場合は、表示装置1は制限回生トルクGlimを表示しなくてもよい。
【0036】
表示装置1は、制限回生トルクGlimが発生しているか否か判断し、制限回生トルクGlimが発生していないと判断した場合(ステップS6 NO)、ステップS1に処理を進める。
【0037】
表示装置1は、このような処理を繰り返すことによって、リアルタイムで帯状のグラフの長さを変化させて、実回生トルクGr、最大回生トルクGmax、および制限回生トルクGlimの値を表示する。
【0038】
このような表示装置1は、モータ2の実回生トルクGrと、回生を制限するトルクである制限回生トルクGlimをユーザが一見して明らかとなるように表示することができる。これによって電動車両のユーザは、回生が制限された状態であることを認識しやすい。
【0039】
また本開示の表示装置1は、最大回生トルクGmaxに制限回生トルクGlimを被せて表示する。これによって、現在の回生段において制限回生トルクGlimに到達するか否かも、ユーザは一見して判別できる。
【0040】
さらに、本開示の表示装置1は、回生段ごとに最大回生トルクGmaxを表示し、この最大回生トルクGmaxに制限回生トルクGlimを被せて表示する。これによって、ユーザは、回生段を切り替えた場合(変更した場合)において制限回生トルクGlimに到達するか否かも判別しやすい。例えば、回生段がB3に設定されて最大回生トルクGmaxがB3の位置に表示されている状態で、制限回生トルクGlimがB2より少し高い値に設定されている場合、回生段をB2に切り替えれば実回生トルクGrが制限回生トルクGlimに達することはない。逆に、回生段がB2に設定されて最大回生トルクGmaxがB2の位置に表示されている状態で、制限回生トルクGlimがB2より少し小さい値に設定されている場合、回生段をB3に切り換えたとしても実回生トルクGrは制限回生トルクGlimまでしか出力できず、回生段をB3に設定する意味がないことが明確になる。
【0041】
次に図6を用いて本開示の第2実施形態について説明する。第2実施形態では、実回生トルクGrと、最大回生トルクGmaxと、制限回生トルクGlimと、をディスプレイに表示させる態様が、第1実施形態と異なる。また、第2実施形態では、回生段が5段階である点で、第1実施形態と異なる。他の構成については第1実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0042】
図6に示すように、表示装置1は、円形のメータ30に一方から上を力行エリア(図6(a)から図6(c)のEV参照)、下方を回生エリア(図6(a)から図6(c)のCHARGE参照)、として表示する。表示装置1は、力行エリアは、モータ2が力行している場合の出力を表示する。
【0043】
図6(a)に示すように、表示装置1は、B1からB5の最大回生トルクGmaxをメータ30の回生エリアの円周上に延びる帯状のグラフに予め表示している。表示装置1は、制限回生トルクGlimが発生していない状態では、ユーザが選択した回生段に合わせて、最大回生トルクGmaxの大きさを表示する。図6(a)は、ユーザが回生段としてB1を選択している状態を示している。表示装置1は、実回生トルクGrをメータ30の針32の位置によって表示している。表示装置1は、ユーザがB1を選択した状態において、メータ30の針32がB1の位置まで来た時に針32の進みを止め、実回生トルクGrが最大回生トルクGmaxとなったことをユーザに示す。
【0044】
図6(b)に示すように、表示装置1は、ユーザがB1、B2と選択するにつれて、最大回生トルクGmaxのグラフをB5に向けて延ばす。図6(b)は、ユーザが回生段としてB2を選択した状態を示す。表示装置1は、制限回生トルクGlimが発生している状態では、最大回生トルクGmaxのグラフが延びる方向(一方の一例)と反対側の方向(他方の一例)から、制限回生トルクGlimの大きさを示す帯状のグラフを表示する。図6(b)は、B3の値まで制限回生トルクGlimが伸びた状態を示している。しかし、図6(b)は、ユーザが選択したB2まで制限回生トルクGlimが延びていない状態を示している。この状態では、実回生トルクGrを示すメータ30の針32は、B2の位置までしか進まない。このため、ユーザは、回生トルクに制限がかかっていないことを容易に認識できる。
【0045】
図6(c)は、ユーザが選択したB2を超えた値まで、制限回生トルクGlimが伸びている状態を示している。すなわち、表示装置1は、ユーザが選択したB2の最大回生トルクGmax以下まで制限回生トルクGlimが発生する状態を示している。この状態では、実回生トルクGrを示すメータ30の針32は、制限回生トルクGlimが伸びた位置までしか進むことができない。このため、ユーザは、回生トルクに制限が発生していることを容易に認識できる。
【0046】
次に図7を用いて本開示の第3実施形態について説明する。第3実施形態では、最大回生トルクGmaxと、制限回生トルクGlimと、をディスプレイに表示させる態様が、第2実施形態と異なる。他の構成については第2実施形態と同様であるため、説明を省略する。
【0047】
図7(a)に示すように、表示装置1は、B1からB5の最大回生トルクGmaxをメータ30の回生エリアの円周上に配置される目盛に表示している。表示装置1は、制限回生トルクGlimが発生していない状態では、ユーザが選択した回生段に合わせて、最大回生トルクGmaxの大きさを、目盛または文字を目立つように表示させてもよい。図7(a)は、ユーザが回生段としてB1を選択している状態を示している。表示装置1は、B1の文字を他のB2からB5までの文字よりも太く表示することによって最大回生トルクGmaxの位置を表示している。
【0048】
図7(b)に示すように、表示装置1は、ユーザがB1、B2と選択するにつれて、最大回生トルクGmaxのグラフをB5に移動させる。図7(b)は、ユーザが回生段としてB2を選択した状態を示す。表示装置1は、制限回生トルクGlimが発生している状態では、最大回生トルクGmaxの目盛が延びる方向(一方の一例)と反対側の方向(他方の一例)から、制限回生トルクGlim分の目盛を消す。具体的には、図7(b)は、B3の値まで制限回生トルクGlimが伸びていることを示すために、B5からB3の位置までの目盛が消されている。すなわち、表示装置1は、第3実施形態では、第2実施形態における制限回生トルクGlimのグラフを、目盛を消すことによって表示している。このような表示装置1の表示状態において、実回生トルクGrを示すメータ30の針32は、B2の位置までしか進まない。このためユーザは、回生トルクに制限がかかっていないことを容易に認識できる。
【0049】
図7(c)は、ユーザが選択したB2を超えた値まで、目盛が消されている状態を示している。この状態では、表示装置1は、ユーザが選択したB2の最大回生トルクGmax以下まで制限回生トルクGlimが発生する状態を示している。実回生トルクGrを示すメータ30の針32は、目盛が存在する位置までしか進むことができない。このため、ユーザは、回生トルクに制限が発生していることを容易に認識できる。
【0050】
以上説明した通り、本開示によれば、ユーザが回生状態を認識しやすい電動車両の表示装置を提供できる。
【0051】
<他の実施形態>
以上、本開示の実施形態について説明したが、本開示は上記実施形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で種々の変更が可能である。特に、本明細書に書かれた複数の変形例は必要に応じて任意に組合せ可能である。
【0052】
(a)上記第1実施形態から第3実施形態では、表示装置1がディスプレイに実回生トルクGrの値、最大回生トルクGmaxの値、および制限回生トルクGlimの値を表示する表示方法の一例を説明したが、本開示はこのような表示状態に限定されるものではない。表示装置1は、実回生トルクGrの値、最大回生トルクGmaxの値、制限回生トルクGlimの値を表示できれば、どのような表示状態によって表示してもよい。
【0053】
(b)上記第1実施形態から第3実施形態では、回生段が3段階、または5段階の例を用いて説明したが、本開示はこれに限定されない。回生段は無段階もしくは複数段階であればよい。
【0054】
(c)上記第1実施形態から第3実施形態では、電動車両Cはプラグインハイブリッド車両を例に説明したが、本開示はこれに限定されない。電動車両Cは、例えばモータ2のみによって走行可能な電気自動車であってもよい。
【符号の説明】
【0055】
1 :表示装置
2 :モータ
Gr :実回生トルク(第1回生力の一例)
Gmax:最大回生トルクGmax(第2回生力の一例)
Glim:制限回生トルク(第3回生力の一例)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7