(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111914
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】販売価格決定方法および販売価格決定システム
(51)【国際特許分類】
G06Q 30/0202 20230101AFI20240813BHJP
G06Q 30/02 20230101ALI20240813BHJP
【FI】
G06Q30/0202 318
G06Q30/02 450
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016634
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】523043670
【氏名又は名称】株式会社E-BONDホールディングス
(74)【代理人】
【識別番号】100144886
【弁理士】
【氏名又は名称】大坪 賢吾
(72)【発明者】
【氏名】榊原 幹人
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB04
5L049BB04
(57)【要約】
【課題】顧客毎に販売価格を決定することができる販売価格決定方法および販売価格決定システムを提供すること。
【解決手段】販売価格決定方法は、顧客Cの情報および顧客Cが購入を希望する購入希望商品Pを入力する情報入力ステップと、顧客Cの利用履歴に基づいて顧客Cへの購入希望商品Pの最低販売価格を決定する最低販売価格決定ステップと、を含む。また、利用履歴には、顧客Cへの販売により得られた利益率が含まれている。また、販売価格決定ステップで決定した販売価格を端末120に表示する販売価格表示ステップを含む。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
顧客の情報および前記顧客が購入を希望する購入希望商品を入力する情報入力ステップと、
前記顧客の利用履歴に基づいて前記顧客への前記購入希望商品の最低販売価格を決定する最低販売価格決定ステップと、を含むことを特徴とする販売価格決定方法。
【請求項2】
前記利用履歴には、前記顧客への販売により得られた利益率が含まれている請求項1に記載の販売価格決定方法。
【請求項3】
前記販売価格決定ステップで決定した前記最低販売価格を端末に表示する販売価格表示ステップを含む請求項1に記載の販売価格決定方法。
【請求項4】
前記購入希望商品に対抗する提案商品を決定する提案商品決定ステップを含む請求項1に記載の販売価格決定方法。
【請求項5】
顧客への販売実績に応じて対象者を報奨する請求項1に記載の販売価格決定方法。
【請求項6】
画像表示装置を用いて複数の商品を表示する請求項1に記載の販売価格決定方法。
【請求項7】
実店舗を模し、陳列棚に複数の商品が陳列された様子を前記画像表示装置が表示する請求項6に記載の販売価格決定方法。
【請求項8】
顧客が購入を希望する購入希望商品が入力されると、前記顧客の利用履歴に基づいて前記顧客への前記購入希望商品の最低販売価格を決定することを特徴とする販売価格決定システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、販売価格決定方法および販売価格決定システムに関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、商品の販売価格を決定するシステムとして、特許文献1に記載の販売価格決定システムが知られている。この販売価格決定システムは、ホストコンピュータとクライアントコンピュータを有する。
【0003】
このような販売価格決定システムでは、まず、クライアントコンピュータの操作者がホストコンピュータに対して特定商品についての現時点における販売価格の提示要求をする。すると、この要求に応じて、ホストコンピュータが当該商品の現時点での販売価格をクライアントコンピュータに送信する。これにより、クライアントコンピュータの操作者は、当該商品の現時点における販売価格を知ることができる。当該商品を購入する場合、クライアントコンピュータの操作者は、ホストコンピュータに購入申し込み要求をする。すると、ホストコンピュータは、当該商品の需要度を算出し、演算した需要度が予め定めた需要度よりも高く変化した場合には当該商品の販売価格を高く変化させる。
【0004】
このような販売価格決定システムによれば、需要度に応じた販売価格が決定することができ、早期から需要を喚起して早期購入を促進することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、このような販売価格決定システムでは、需要度に応じて販売価格が決定されるため、顧客毎に販売価格を決定することができない。
【0007】
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、顧客毎に販売価格を決定することができる販売価格決定方法および販売価格決定システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
このような目的は、以下(1)~(8)の本発明により達成される。
【0009】
(1) 顧客の情報および前記顧客が購入を希望する購入希望商品を入力する情報入力ステップと、
前記顧客の利用履歴に基づいて前記顧客への前記購入希望商品の最低販売価格を決定する最低販売価格決定ステップと、を含むことを特徴とする販売価格決定方法。
【0010】
(2) 前記利用履歴には、前記顧客への販売により得られた利益率が含まれている上記(1)に記載の販売価格決定方法。
【0011】
(3) 前記販売価格決定ステップで決定した前記最低販売価格を端末に表示する販売価格表示ステップを含む上記(1)に記載の販売価格決定方法。
【0012】
(4) 前記購入希望商品に対抗する提案商品を決定する提案商品決定ステップを含む上記(1)に記載の販売価格決定方法。
【0013】
(5) 顧客への販売実績に応じて対象者を報奨する上記(1)に記載の販売価格決定方法。
【0014】
(6) 画像表示装置を用いて複数の商品を表示する上記(1)に記載の販売価格決定方法。
【0015】
(7) 実店舗を模し、陳列棚に複数の商品が陳列された様子を前記画像表示装置が表示する上記(6)に記載の販売価格決定方法。
【0016】
(8) 顧客が購入を希望する購入希望商品が入力されると、前記顧客の利用履歴に基づいて前記顧客への前記購入希望商品の最低販売価格を決定することを特徴とする販売価格決定システム。
【発明の効果】
【0017】
このような発明によれば、顧客の情報および購入希望商品を入力する情報入力ステップと、顧客の利用履歴に基づいて顧客への購入希望商品の最低販売価格を決定する最低販売価格決定ステップを含むことから、顧客毎に最低販売価格を決定することができる。そのため、各顧客に対する最低販売価格が明確となり、スムーズな価格提示、価格交渉が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【
図1】第1実施形態に係る販売価格決定システムを示す構成図である。
【
図4】販売価格決定システムの使用方法を説明するための図である。
【
図7】第2実施形態に係る販売価格決定システムを示す構成図である。
【
図8】画像表示装置が表示する画像の一例を示す図である。
【
図9】画像表示装置が表示する画像の一例を示す図である。
【
図10】第3実施形態に係る販売価格決定システムが画像を表示した様子を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
以下、本発明の販売価格決定方法および販売価格決定システムを添付図面に示す実施形態に基づいて詳細に説明する。
【0020】
<第1実施形態>
図1は、第1実施形態に係る販売価格決定システムを示す構成図である。
図2は、販売員ランクの一例を示す図である。
図3は、最低販売価格の一例を示す図である。
図4は、販売価格決定システムの使用方法を説明するための図である。
図5および
図6は、それぞれ、端末に表示される画像の一例である。
【0021】
図1に示す販売価格決定システム100は、対面接客型(実店舗型)の販売店200が顧客に対して販売価格を提示する際に使用されるシステムであり、ホストコンピュータ110と、端末120を有する。なお、これらは、通信可能に接続されている。以下では、説明の便宜上、販売店200に訪れた顧客Cを販売員Sが接客する場合を例に挙げて説明する。また、販売店200の数は、特に限定されず、1つであってもよく、複数であってもよい。複数の店舗を有する場合には、例えば、店舗毎に端末120を配置し、ホストコンピュータ110を本部に配置してもよい。
【0022】
まず、販売価格決定システム100について簡単に説明すると、顧客Cは、購入を希望する商品(以下「購入希望商品P」と言う。)の販売価格の値引き交渉を行いたい場合に、その旨を販売員Sに申し出る。申し出を受けた販売員Sが端末120に顧客Cの情報および購入希望商品Pを入力すると、それを受け付けたホストコンピュータ110が顧客Cに対する値引き後の販売価格(最低販売価格)を決定し、その結果が端末120に表示される。値引き率は、利用履歴に基づいて顧客毎に個別に決定され、利用履歴が優れるほど高くなる。販売員Sは、端末120に表示された最低販売価格を参考にして顧客Cに対して実際の販売価格を提示する。例えば、正規販売価格が2,000円のところ、顧客Cに適用される最低販売価格が1,400円の場合には「正規販売価格は2,000円ですが、お客様には1,400円まで値引きできます。」といったように顧客Cに実際の販売価格を提示する。
【0023】
なお、前述では、顧客Cから販売員Sに購入希望商品Pの値引きを交渉しているが、これに限定されず、例えば、販売員Sから顧客Cに対して購入希望商品Pの値引きを案内してもよい。例えば、販売員Sが顧客Cに対して「お探しの商品はありますか。」と問いかけ、顧客Cが購入希望商品Pを挙げた場合は、さらに「その商品であれば値引きが可能です。」というように勧めることができる。
【0024】
このような販売価格決定システム100によれば、顧客Cに対する最低販売価格が明確となるため、スムーズな価格提示、価格交渉が可能となる。特に、正規販売価格からの値下げおよびその幅を決定する権限のない販売員については、権限を有する者への確認等の作業がなくなり、上記効果がより顕著となる。さらには、このような販売価格決定システム100によれば、顧客毎に異なる最低販売価格となり、販売店200を利用する程割引率が高くなるため、顧客の購買意欲を煽り、売上増加、リピーター拡大およびロイヤルカスタマーの獲得に繋がる。以上、販売価格決定システム100について簡単に説明した。以下、販売価格決定システム100について詳細に説明する。
【0025】
ホストコンピュータ110は、例えば、情報を処理するプロセッサと、プロセッサに通信可能に接続されたメモリと、外部との通信を行う外部インターフェースを有する。また、メモリにはプロセッサにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサは、メモリに記憶されたプログラム等を読み込んで実行することができる。
【0026】
ホストコンピュータ110は、各顧客の情報(以下、「顧客情報」とも言う。)を管理する顧客情報管理部111と、各販売員の情報(以下、「販売員情報」とも言う。)を管理する販売員情報管理部112と、各商品の情報(以下、「商品情報」とも言う。)を管理する商品情報管理部113と、顧客情報管理部111に記録された顧客情報と商品情報管理部113に記録された商品情報とから顧客に対する商品の最低販売価格を決定する販売価格決定部114と、を有する。
【0027】
顧客情報管理部111には、各顧客の顧客情報が記録されている。顧客情報には、例えば、顧客の氏名、性別、生年月日、住所、連絡先、利用履歴、顧客ランクなどが含まれている。販売価格決定システム100では、顧客ランクが特徴的であり、この顧客ランクに基づいて、その顧客への各商品の最低販売価格が決定される。顧客ランクは、顧客をランク付けするものであり、利用履歴に基づいて顧客毎に決定され、顧客ランクが高い程、商品の値引き率が大きくなり、最低販売価格が安くなる。
【0028】
顧客ランクの決定方法は、特に限定されず、販売価格決定システム100の使用者が各顧客の利用履歴に基づいて自由に設定することができる。利用履歴には、例えば、販売期間(初回販売日)、販売頻度、販売個数、販売額、原価率、利益率(販売額/原価)、利益額(=販売額-原価)などの各種情報が含まれており、これらから1つ、または、複数を組み合わせて決定することができる。
【0029】
例えば、頻繁に購入してくれる顧客ほど最低販売価格を安くしたければ、販売頻度に基づいて顧客ランクを決定すればよいし、販売額が大きい顧客ほど最低販売価格を安くしたければ、販売額に基づいて顧客ランクを決定すればよいし、利益額が大きい顧客ほど最低販売価格を安くしたければ、利益額に基づいて顧客ランクを決定すればよいし、総合的に判断したければ複数の情報を組み合わせて顧客ランクを決定すればよい。なお、本実施形態では、利益率が高い順に5段階の顧客ランクRc1,Rc2,Rc3,Rc4,Rc5に分けられている。ただし、顧客ランクの段階数は、特に限定されない。
【0030】
販売員情報管理部112には、各販売員の販売員情報が記録されている。販売員情報には、例えば、販売員の氏名、所属先、社員番号、販売実績、報奨内容などが含まれている。販売価格決定システム100では、販売実績に応じて販売員(対象者)を報奨する報奨制度が採用されており、報奨の内容が報奨内容に記録される。なお、報奨される対象者としては、販売員に限定されず、例えば、販売員が属するグループ全員としてもよい。また、報奨の内容についても、特に限定されず、使用者が自由に設定することができ、例えば、昇給、報奨金、賞品などの金銭的報奨、昇格、休暇の取得などの社会的報酬などが挙げられる。
【0031】
本実施形態の場合、使用者は、最低販売価格と実際の販売価格との差額を販売員Sに報奨金として支払う。つまり、顧客Cに対する購入希望商品Pの最低販売価格が1,400円のところ、実際には1,600円で販売した場合、その差額である200円を販売員Sに対して報奨金として支払う。このような仕組みによれば、初めから顧客Cに対して最低販売価格を提示するといった販売員Sによる安易な値下げが生じ難くなる。一方、販売員Sが自己の利益のために過度に高い販売価格を提示してしまうと、顧客Cが購入を断念し、報奨金が一銭も入らないことなる。そのため、現場において適切な価格交渉が行われ、他店との価格競争に巻き込まれ難くなると共に売上増加を図ることができる。また、販売員Sの接客・販売スキルも高まり、販売員としての成長に役立てることもできる。
【0032】
本実施形態に加えて、例えば、
図2に示すように、販売実績が優れている順に5段階の販売員ランクRs1,Rs2,Rs3,Rs4,Rs5に分け、ランク毎に寄与率を設定してもよい。この場合、例えば、販売員Sの販売員ランクがRs3であれば、前述した差額200円に販売員ランクRs3の寄与率である70%を積算した140円が報奨金として販売員Sに支払われる。このような仕組みによれば、ランクを上げるために販売員Sの販売意欲がさらに高まり、上述の効果がより顕著となる。なお、販売実績は、例えば、総販売額、販売個数、利益率、顧客満足度などを考慮して決定することができる。
【0033】
商品情報管理部113には、販売店200で取り扱う各商品の商品情報が記録されている。商品情報には、例えば、正規販売価格、顧客クラス毎の最低販売価格(割引率)、提案商品Prなどが含まれている。本実施形態では、
図3に示すように、購入希望商品Pに対する最低販売価格が顧客ランク毎に設定されている。例えば、顧客Cの顧客ランクがRc1であれば、購入希望商品Pを1つ購入する場合の最低販売価格が1,400円/割引率30%となり、1,400円までは値引きしてよいことになる。さらに、購入希望商品Pの同時購入数が増えるほど最低販売価格が下がり、図示の例では、10個以上の同時購入で1つ1,300円/割引率35%となり、20個以上の同時購入で1つ1,200円/割引率40%となる。
【0034】
ただし、最低販売価格の決定方法は、これに限定されず、例えば、顧客ランクに分けることなく、商品毎に利益率を係数とする最低販売価格算出関数を作成し、この関数に各顧客の利益率を代入することにより、商品毎にその顧客に対する最低販売価格を算出してもよい。また、現金による直接の値引きに限定されず、例えば、販売店200で現金として利用できるポイント制度を採用している場合には、顧客に対して値引き分をポイントとして還元してもよい。つまり、前述した例では、顧客Cに対して正規販売価格の2,000円で購入希望商品Pを販売し、600円分のポイントを還元してもよい。
【0035】
また、提案商品Prとは、購入希望商品Pの代わりに、または、購入希望商品Pと併せて顧客Cに勧める商品を言う。提案商品Prとしては、特に限定されず、例えば、別メーカーの類似商品などが挙げられる。具体的には、購入希望商品Pが鎮痛解熱消炎剤であれば、同じ有効成分、効能を有する他のメーカーの鎮痛解熱消炎剤が挙げられる。また、提案商品Prの決定方法としては、特に限定されず、例えば、購入希望商品Pよりも高い利益が見込める、在庫処分、販売個数に応じてメーカー側から報奨金が支払われるなどの使用者側のメリットに基づいて決定してもよいし、購入希望商品Pよりも安価である、人気がある、よく効く、身体への負担が少ないなどの顧客側のメリットに基づいて決定してもよい。また、提案商品Prの数は、特に限定されず、1つであってもよいし、2つであってもよい。また、提案商品Prがない場合には、設定しなくてもよい。
【0036】
販売価格決定部114は、商品情報管理部113に記録された商品情報と、顧客情報管理部111に記録された顧客情報に基づいて、顧客への商品の最低販売価格を決定する。本実施形態の場合には、商品情報管理部113に記録された購入希望商品Pの商品情報と、顧客情報管理部111に記録された顧客Cの顧客情報に基づいて、顧客Cへの購入希望商品Pの最低販売価格を決定する。前述した例では、顧客Cの顧客ランクがRc1であるため、正規販売価格が2,000円であるところ、顧客Cへの購入希望商品Pの最低販売価格を1,400円とする。
【0037】
端末120は、販売員Sが携帯する携帯端末である。ただし、これに限定されず、販売店200に据え置きされた固定端末であってもよい。このような端末120は、コンピュータで構成され、例えば、情報を処理するプロセッサと、プロセッサに通信可能に接続されたメモリと、外部との通信を行う外部インターフェースを有する。また、メモリにはプロセッサにより実行可能な各種プログラムが保存され、プロセッサは、メモリに記憶されたプログラム等を読み込んで実行することができる。また、端末120は、画像を表示する画面121を有する。そして、この画面121に各種情報、具体的には、前述した最低販売価格に関する情報が表示される。
【0038】
以上、販売価格決定システム100の構成について説明した。次に、この販売価格決定システム100の使用方法つまり販売価格決定方法について
図4のフローチャートに基づいて説明する。
【0039】
まず、販売員Sは、端末120を操作して販売価格決定システム100にログインする。これにより、販売価格決定システム100が利用可能になる。その後、顧客Cから購入希望商品Pの価格提示(値引き)の要求を受けると、販売員Sは、端末120に顧客Cの情報および購入希望商品Pを入力する(情報入力ステップ)。なお、顧客Cの情報としては、顧客Cを特定することができれば、特に限定されず、例えば、氏名、電話番号、登録IDなどが挙げられる。なお、顧客Cが新規の場合には、その前に、販売価格決定システム100への登録を行う。端末120は、顧客Cの情報および購入希望商品Pを受け付けると、その情報をホストコンピュータ110に送信すると共に、ホストコンピュータ110に対して顧客Cへの購入希望商品Pの最低販売価格と提案商品Prの提示を要求する。
【0040】
ホストコンピュータ110は、端末120からの要求に応じ、商品情報管理部113に記録された購入希望商品Pの商品情報と顧客情報管理部111に記録された顧客Cの顧客情報に基づいて顧客Cへの購入希望商品Pの最低販売価格と提案商品Prを決定し、その情報を端末120に送信する(最低販売価格決定ステップ、提案商品決定ステップ)。
【0041】
なお、本実施形態では、ホストコンピュータ110が、購入希望商品Pの最低販売価格を直接決定しているが、例えば、これに代えて、最大割引率を決定することで最低販売価格を間接的に決定してもよい。この場合、販売員Sは、正規販売価格と最大割引率から最低販売価格を容易に算出することができる。つまり、最低販売価格を直接決定する場合の他、最低販売価格以外の値によって最低販売価格を間接的に決定する行為についても、最低販売価格を決定する行為に含まれる。
【0042】
そして、ホストコンピュータ110から情報(最低販売価格および提案商品Pr)を受け取った端末120は、画面121にその情報を表示し、販売員Sに報知する(販売価格表示ステップ)。最低販売価格および提案商品Prの表示方法としては、特に限定されないが、本実施形態では、
図5に示すように、正規販売価格と最低販売価格と割引率が併記される。このように、割引率を併記することにより、最低販売価格が何割引であるかを容易に理解でき、例えば、「正規販売価格は2、000円ですが、お客様には30%割り引きして1,400円まで値下げできます。」といったように、顧客Cとの価格交渉を実際の割引率を提示してスムーズに行うことができる。
【0043】
また、この画面には、提案商品Prを表するためのアイコンが表示されており、このアイコンを選択すると、提案商品Prのページに切り替わる。
図6に示すように、当該ページには、提案商品Prの説明に加えて、顧客Cへの提案商品Prの最低販売価格と顧客Cに勧める理由が記載されている。これにより、販売員Sは、顧客Cに対して提案商品Prを勧め易くなる。
【0044】
販売員Sは、端末120に表示された最低販売価格を参考にして顧客Cに対して購入希望商品Pの販売価格を提示する。また、必要に応じて、例えば、「○○〇の理由で、購入希望商品Pよりも提案商品Prの方が良いと思います。」と言ったように、提案商品Prを顧客Cに勧める。そして、必要に応じた交渉の末、顧客Cから特定の商品の購入の申し出があった場合、販売員Sは、販売した商品と、顧客Cへの販売価格と、販売個数を端末120に入力する。端末120は、商品と、販売価格と、販売個数に関する情報を受け付けると、その情報をホストコンピュータ110に送信する。ホストコンピュータ110は、受信した情報に基づいて顧客Cの顧客情報および販売員Sの販売員情報を更新する。
【0045】
なお、顧客Cは、購入希望商品Pについて販売店200のキャッシュレジスタ(所謂「レジ」)において決済処理を済ませるが、仮に、このキャッシュレジスタがホストコンピュータ110と通信可能に接続されている場合には、キャッシュレジスタから顧客Cが購入した商品、その販売価格および販売個数に関する情報がホストコンピュータ110に送信されるようになっていてもよい。これにより、販売員Sが端末120に入力する手間が省けるため、より使い易いシステムとなる。
【0046】
以上、販売価格決定システム100の第1実施形態について説明した。第1実施形態では、前述したように、販売価格決定部114が商品情報管理部113に記録された商品情報と顧客情報管理部111に記録された顧客情報に基づいて顧客への商品の最低販売価格を決定しているが、最低販売価格の決定方法は、特に限定されない。例えば、顧客Cの初回来店時あるいは初回購入時に、顧客Cとの交渉により販売員Sが自ら顧客Cへの購入希望商品Pの販売価格を決定してもよい。この場合は、決定した販売価格(以下「カスタム販売価格」とも言う。)が販売価格決定部114に反映され、その後、販売価格決定部114は、商品情報管理部113に記録された商品情報や顧客情報管理部111に記録された顧客情報によらず、その顧客Cに対してはカスタム販売価格を表示する。このような方法によれば、販売価格を顧客ごとにカスタムすることができ、洗練されたサービスをより多くの顧客に提供することができる。
【0047】
<第2実施形態>
図7は、第2実施形態に係る販売価格決定システムを示す構成図である。
図8および
図9は、それぞれ、画像表示装置が表示する画像の一例を示す図である。
【0048】
本実施形態の販売価格決定システム100は、主に、決算システムを備えることと、ホストコンピュータ110および端末120に加えて画像表示装置130を備えること以外は、前述した第1実施形態と同様である。なお、以下の説明では、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、各図において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0049】
図7に示すように、第2実施形態に係る販売価格決定システム100は、さらに、ホストコンピュータ110と接続された画像表示装置130を有する。画像表示装置130は、販売店200に設置されており、商品情報管理部113に記録された商品、つまり、販売店200が取り扱う商品を表示する。顧客は、従来通り店内を歩いて商品を探すこともできるし、画像表示装置130を用いて商品を探すこともできる。
【0050】
このような画像表示装置130を販売店200に設置することにより、例えば、歩行が困難な障害者、高齢者、怪我人などに対して店内を歩き回ることなく商品を選んでもらうことができ、売上や顧客満足度の向上に寄与する。画像表示装置130としては、画像を表示することができれば、特に限定されず、例えば、モニター、プロジェクターなどを用いることができる。
【0051】
販売価格決定システム100では、商品の表示方法に特徴がある。具体的には、
図8に示すように、実店舗を模し、陳列棚に複数の商品が陳列された様子を表示する。また、実店舗と同じように、陳列棚には価格表やPOP(Point of purchase advertising)が貼り付けられている。また、
図9に示すように、気になるコーナーや商品を拡大して表示することも可能である。そのため、実物を見ながら商品を選ぶ感覚で買い物をすることができる。また、顧客に高い没入感を提供でき、売上向上を図ることができる。また、通常のECサイトのような表示方法、つまり、一列または行列状に商品が表示されている場合と比べて、一画面で表示可能な商品数が多くなるため、検索の煩わしさが低減される。
【0052】
なお、気になる商品を選択すると、その商品の詳細が表示されるようになっていてもよい。詳細としては、特に限定されず、例えば、360°ビューワを用いた商品の外観、効能、成分、添付文書、ユーザ評価などが挙げられる。
【0053】
また、画像表示装置130で選んだ商品は、販売店200のキャッシュレジスタで決済してもよいが、本実施形態では、販売価格決定システム100上で決済することができる。ホストコンピュータ110は、顧客情報管理部111、販売員情報管理部112、商品情報管理部113および販売価格決定部114に加えて、決済部115を有する。決済部115は、画像表示装置130を用いて選んだ商品をクレジットカード決済、コンビニ決済、キャリア決済、代金引換、後払い決済、銀行振込などの各種決算方法で決済することができる。
【0054】
以上のような第2実施形態によっても前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。なお、本実施形態では、販売店200に商品が陳列されているが、これに限定されず、販売店200に商品が陳列されていなくてもよい。この場合、顧客には画像表示装置130を用いて商品を選んでもらい、購入した商品を当日または後日に郵送、宅配などによりその顧客に届ける仕組みになっている。これにより、例えば、店舗面積の縮小、人件費削減、万引き防止などのメリットが得られる。また、同時に複数の顧客に対応できるように、販売店200内に複数の商談スペースを準備し、商談スペース毎に端末120および画像表示装置130を設置してもよい。
【0055】
<第3実施形態>
図10は、第3実施形態に係る販売価格決定システムが画像を表示した様子を示す図である。
【0056】
本実施形態の販売価格決定システム100は、主に、商品の画像を表示する方法が異なること以外は、前述した第2実施形態と同様である。なお、以下の説明では、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項に関してはその説明を省略する。また、各図において、前述した実施形態と同様の構成については、同一符号を付している。
【0057】
本実施形態の販売価格決定システム100は、前述の第2実施形態をさらに先進化させたものであり、
図10に示すように、画像表示装置130を用いて商談スペース210の壁面に商品の画像を表示して実店舗を再現している。これにより、実店舗に行った感覚で商品を選ぶことができる。そのため、顧客に対して高い没入感を提供でき、売上の向上を図ることができる。なお、図示の構成では、正面の壁面にのみ画像を表示しているが、これに限定されず、さらに、左右の壁面や天井にも画像を表示してもよい。
【0058】
以上のような第3実施形態によっても前述した第1実施形態と同様の効果を発揮することができる。
【0059】
以上、本発明の販売価格決定方法および販売価格決定システムを図示の実施形態に基づいて説明したが、本発明は、これに限定されるものではなく、各部の構成は、同様の機能を有する任意の構成のものに置換することができる。また、本発明に、他の任意の構成物が付加されていてもよい。また、各実施形態を組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0060】
100…販売価格決定システム、110…ホストコンピュータ、111…顧客情報管理部、112…販売員情報管理部、113…商品情報管理部、114…販売価格決定部、115…決済部、120…端末、121…画面、130…画像表示装置、200…販売店、210…商談スペース、C…顧客、P…購入希望商品、Pr…提案商品、Rc1,Rc2,Rc3,Rc4,Rc5…顧客ランク、Rs1,Rs2,Rs3,Rs4,Rs5…販売員ランク、S…販売員