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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111922
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】画像処理システム及び画像処理方法
(51)【国際特許分類】
   G01N 21/958 20060101AFI20240813BHJP
   G01N 21/88 20060101ALI20240813BHJP
   G06T 7/00 20170101ALI20240813BHJP
【FI】
G01N21/958
G01N21/88 J
G06T7/00 610B
【審査請求】有
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016651
(22)【出願日】2023-02-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2023-06-26
(71)【出願人】
【識別番号】722003657
【氏名又は名称】株式会社シュヴァルベル
(72)【発明者】
【氏名】大橋 智樹
【テーマコード(参考)】
2G051
5L096
【Fターム(参考)】
2G051AB02
2G051BB07
2G051CA04
2G051CB03
2G051EA08
2G051EA16
2G051EB01
2G051EC01
5L096AA03
5L096BA03
5L096CA03
5L096DA02
5L096EA05
5L096EA43
5L096GA08
5L096GA51
5L096HA08
5L096KA04
(57)【要約】
【課題】光源装置を複雑にせず、かつ撮像画像の枚数を増やすことなく高速に透明な検査物の欠陥の有無を判定する画像処理システムを提供する。
【解決手段】本願発明に係る画像処理システムは、明部と暗部とからなる光を透明物に投影する光源と、前記透明物を透過する光とともに前記透明物を撮像画像として撮像する撮像部と、画像処理部であって、前記撮像画像に含まれる前記明部若しくは前記暗部の領域に基づいて、または前記撮像画像の各画素の輝度値に基づいて第1の画像を生成し、前記第1の画像および前記撮像画像において対応する位置関係にある画素について輝度値の差分の絶対値に基づいて第2の画像を生成する画像処理部と、を備える。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
明部と暗部とからなる光を透明物に投影する光源と、
前記透明物を透過する光とともに前記透明物を撮像画像として撮像する撮像部と、
画像処理部であって、
前記撮像画像に含まれる前記明部若しくは前記暗部の領域に基づいて、または前記撮像画像の各画素の輝度値に基づいて第1の画像を生成し、
前記第1の画像および前記撮像画像において対応する位置関係にある画素について輝度値の差分の絶対値に基づいて第2の画像を生成する画像処理部と、
を備える画像処理システム。
【請求項2】
前記透明物には、前記明部と前記暗部とが交互に並んだ光が投影される、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記画像処理部が、前記撮像画像に含まれる前記明部または前記暗部の境界の方向が水平方向または垂直方向に対し略直角となるように補正する処理をさらに実行する、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記第1の画像は、前記撮像画像における前記明部または前記暗部に相当する領域を前記撮像画像の端から削除するようにして生成される、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項5】
前記撮像画像は256階調のグレースケール画像であり、
前記第1の画像は、前記撮像画像の画素の輝度値から255を引いた値の絶対値が輝度値となるようにして生成される、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記画像処理部は、前記第2の画像に基づいて、前記透明物の欠陥部分を白画素または黒画素とした二値画像を生成する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項7】
局所的な閾値処理により前記二値画像を生成する、請求項6に記載の画像処理システム。
【請求項8】
前記局所的な閾値処理において、前記撮像画像における前記明部と前記暗部との境界の方向と垂直に交わる方向の幅を1ピクセルとする、請求項7に記載の画像処理システム。
【請求項9】
光源から投影される明部と暗部とからなる光であって、透明物を透過する前記光とともに前記透明物を撮像した撮像画像に含まれる前記明部若しくは前記暗部の領域に基づいて、または前記撮像画像の各画素の輝度値に基づいて第1の画像を生成し、
前記第1の画像および前記撮像画像において対応する位置関係にある画素について輝度値の差分の絶対値に基づいて第2の画像を生成する、
ことを備える画像処理方法。
【請求項10】
光源から投影される明部と暗部とからなる光であって、透明物を透過する前記光とともに前記透明物を撮像した撮像画像を教師データとし、
前記教師データを用い、前記撮像画像を入力、前記撮像画像における前記透明物の欠陥を出力とする学習モデルを生成する、
学習モデル生成方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像処理システム、画像処理方法および学習モデル生成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
外観検査において、黒白の周期性パターンを検査物に照射しつつ検査物を撮像し、得られた画像を用いて検査物の欠陥の有無を判定する画像処理方法が知られている(例えば、特許文献1参照。)。
【0003】
引用文献1には、ガラス等の鏡面性または光透過性を有する物体の微小凹凸等の欠点を検査する方法が記載されている。具体的には、ガラス等の被検査物の表面に対し回転機構を備えた光源を用いて光を照射し、その反射光を撮像した撮像画像に基づいて画像処理を行って検査する。この光源の周面は黒白のストライプ模様のフィルムで覆われており、撮像画像は光源による黒白のストライプパターンの位相が徐々にずれた画像となる。これら複数の撮像画像における同じ位置の輝度の差分値を求めることにより、凹凸等の欠点を特定することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2000-018932号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
特許文献1に記載の方法では、特許文献1の図1または図7に示すような回転駆動装置を備えた回転光源が必要となり、装置構成が煩雑になる恐れがある。また、位相をずらした複数の画像を用いて欠陥を判別しており、そのような光源を用意できない場合は欠陥を判定できず、あるいは検査物を連続して検査したい場合に逐次光源の位相を変更する必要があるため検査時間がかかってしまうといった課題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理システムは、明部と暗部とからなる光を透明物に投影する光源と、前記透明物を透過する光とともに前記透明物を撮像画像として撮像する撮像部と、画像処理部であって、前記撮像画像に含まれる前記明部若しくは前記暗部の領域に基づいて、または前記撮像画像の各画素の輝度値に基づいて第1の画像を生成し、前記第1の画像および前記撮像画像において対応する位置関係にある画素について輝度値の差分の絶対値に基づいて第2の画像を生成する画像処理部と、を備える。
【0007】
また、上記課題を解決するために、本発明に係る画像処理方法は、光源から投影される明部と暗部とからなる光であって、透明物を透過する前記光とともに前記透明物を撮像した撮像画像に含まれる前記明部若しくは前記暗部の領域に基づいて、または前記撮像画像の各画素の輝度値に基づいて第1の画像を生成し、前記第1の画像および前記撮像画像において対応する位置関係にある画素について輝度値の差分の絶対値に基づいて第2の画像を生成する、ことを備える。
【発明の効果】
【0008】
本発明は、上記課題に鑑みてなされたものであり、光源装置を複雑にせず、かつ撮像画像の枚数を増やすことなく高速に透明な検査物の欠陥の有無を判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
図1】本発明に係る画像処理システムを示す図である。
図2】本発明に係る背景画像を示す図である。
図3】(A)は表面に線キズを有する検査物、(B)は線キズを有する検査物を背景画像とともに撮像した撮像画像をグレースケール化したグレースケール化した撮像画像を示す図である。
図4】本発明に係る画像処理方法を示すフロー図である。
図5】(A)はグレースケール化した撮像画像であり、(B)は本願発明に係る右ずれ画像、(C)は本願発明に係る左ずれ画像である。
図6】本発明に係る反転画像を示す図である。
図7】(A)は本発明に係る差分画像であり、(B)はノイズあり差分画像である。
図8】(A)は本発明に係るノイズあり差分画像であり、(B)は適応的な閾値処理を説明するための図である。
図9】本発明に係る二値画像を示す図である。
図10】本発明に係る実施例の撮像画像を示す図である。
図11】(A)は本発明に係る実施例の撮像画像であり、(B)~(D)は欠陥を説明するための図である。
図12】本発明に係る実施例の差分画像を示す図である。
図13】本発明に係る実施例の別の差分画像を示す図である。
図14】(A)は本発明に係る実施例の二値画像であり、(B)はノイズ処理後の二値画像である。
図15】(A)は本発明に係る実施例の別の二値画像であり、(B)はノイズ処理後の二値画像である。
図16】(A)は本発明に係る別の実施例の欠陥特定画像であり、(B)は別の欠陥特定画像である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、図面を参照しつつ本発明の実施形態について詳細に説明する。なお、以下の説明では、同様の構成要素には同一の参照番号を付す。
【0011】
図1は、本発明に係る画像処理システム100を示す図である。画像処理システム100は、透明な検査物WKにキズ等の欠陥があるかどうかを判別するものである。画像処理システム100は、撮像装置10と、画像処理装置20と、光源装置30と、を備える。撮像装置10は、光学素子、プロセッサー、撮像素子等を備え、撮像により画像を取得する。なお、透明な検査物は、光源装置30からの光を所定の光量以上を透過するものであればよい。
【0012】
画像処理装置20は、CPU(Central Processing Unit:中央演算処理装置)と、メモリと、ハードディスクドライブ、SSD等のストレージと、マウス、キーボード等の入力装置と、ディスプレイ、プリンタ等の出力装置と、通信ネットワークと接続するための通信装置とを備えており、これらがバスを介して接続されている構成とすることができる。
【0013】
このような構成を備えることにより、画像処理装置20は、画像処理や各種の情報処理を実行することができる。また、画像処理装置20は撮像装置10に接続されており、撮像装置10により撮像された画像を取得して画像を処理する。なお、撮像装置10が撮像画像を外部記憶素子等に記録し、画像処理装置20に、この外部記憶素子に記憶された撮像画像を読み込ませて画像を処理するようにしてもよい。出力装置に画像処理結果を出力させ、入力装置を介してユーザー設定等を画像処理方法に反映させることも可能である。
【0014】
光源装置30は、明部と暗部とからなる光を発する装置であり、例えば、画像を表示することができる液晶表示装置等の表示装置であり、図2に示す背景画像200を表示することがきる。検査物WKには、背景画像200と同様の模様が投影される。なお、光源装置30は、液晶表示装置等に限らず、平板の白色光源上に黒白のストライプ模様のフィルムを貼り付けて、背景画像200と同様の暗部と明部とからなる光が検査物WKに投影されるようにしてもよい。
【0015】
図1に示す検査物WKは、光源装置30の直上に配置される。撮像装置10は、光源装置30が表示する背景画像200とともに検査物WKを撮像する。
【0016】
図2は、本発明に係る背景画像200を示す図である。背景画像200は、白色画素と黒色画素とから構成される。背景画像200において、白色画素は白帯210のように白色画素群を形成し、黒色画素は黒帯220のように黒色画素群を形成している。これにより、明部と暗部とからなる光が、透明物である透明な検査物WKに投影される。背景画像200は、白帯210及び黒帯220を複数有し、白帯210及び黒帯220はそれぞれ同サイズであり交互に配置される。
【0017】
例えば、図2に示す背景画像200のように、白帯210及び黒帯220はそれぞれ横方向にストライプ状で配置されている。なお、白帯210と黒帯220の幅は、後の画像処理においてノイズの影響を少なくするために同じ幅であることが好ましいが、0.95対1.05または1.05対0.95ほどのずれであれば本発明に係る画像処理方法を実行することができ、例えばノイズ処理も適切に行うことができる。
【0018】
次に、画像処理装置20が実行する画像処理方法について説明する。なお、透明な検査物WKは、図3(A)に示すように表面に線キズ310を有するものとする。この場合、撮像装置10は、図3(B)に示すような撮像画像300を取得する。そして、画像処理装置20は、この撮像画像300をグレースケール化した後に画像処理を行う。
【0019】
撮像画像300は、検査物WKを透過した背景画像200を含んでおり、明部を反映した白色画素と、暗部を反映した黒画素を含んでいる。また、検査物WKが有する線キズ310も、撮像画像300において線キズ350のように、欠陥の影響を受けて灰色の中間色で表される。
【0020】
画像処理装置20は、撮像装置10から撮像画像300を取得し、図4に示す画像処理方法のフローに従って画像処理を行う。
【0021】
まず、S410において、撮像画像300をグレースケース化し、256階調でグレースケール化した撮像画像500に変換する。グレースケース化したことにより、輝度値が「255」を示す画素は白色画素であり、輝度値が「0」を示す画素は黒色画素となる。なお、取得した撮像画像が既にグレースケール化されている場合、当該処理は不要である。また、S410において、必要に応じて傾き補正の処理を行う。傾き補正の処理とは、グレースケール化した撮像画像500に含まれる、背景画像200を取り込んだことによる黒帯501-1~6及び白帯502-1~6の並びの方向が画像の水平方向に対して上向きに傾いている場合に、水平方向になるように補正することである。あるいは、傾き補正は、黒帯501-1~6及び白帯502-1~6の境界の方向が、画像の水平方向に対して垂直となるように補正することである。この補正は、例えば、画素の輝度値の変化に基づいて境界線を特定し、その境界線の角度を求めることによって傾きを何度補正すればよいかを決定することができる。
【0022】
次に、S420において、グレースケール化した撮像画像500に基づいて、ずれ画像または反転画像を生成する。
【0023】
ずれ画像は、グレースケール化した撮像画像に含まれる黒帯または白帯の横幅に相当する横幅と、グレースケール化した撮像画像の縦幅とからなる領域を、グレースケール化した撮像画像の右端または左端を基準にして削除した画像である。右端を基準にして削除したものは「右ずれ画像」とし、左端を基準にして削除したものは「左ずれ画像」とする。ずれ画像を生成する場合、右ずれ画像または左ずれ画像の少なくとも1つを生成し、または双方とも生成することとなる。
【0024】
図5は、グレースケール化した撮像画像500に基づいて、ずれ画像である右ずれ画像510または左ずれ画像520を生成する方法を説明するための図である。グレースケール化した撮像画像500は、黒帯501-1~6及び白帯502-1~6のように背景画像200を取り込んでいる。また、グレースケール化した撮像画像500は、検査部WKが有するキズとして線キズ503を含んでいる。
【0025】
右ずれ画像510は、グレースケール化した撮像画像500から、縦幅と、黒帯501又は白帯502の横幅とからなるサイズの領域を右端から削除するようにして作成される。この領域に相当するのが領域512である。領域512は、縦幅Hと横幅Wとからなる。縦幅Hは、グレースケール化した撮像画像500の縦幅と同一の大きさである。横幅Wは、例えば、グレースケール化した撮像画像の左端から右端までを走査して輝度値の変化に基づいて白帯及び黒帯の本数を特定し、グレースケール化した撮像画像の横幅の画素数を、特定した本数で割ってその画素数を丸めて求めた数を横幅Wとすることができる。縦幅Hは、グレースケール化した撮像画像500の縦幅である。
【0026】
横幅Wと縦幅Hとからなる領域512は、グレースケール化した撮像画像500における黒帯501-1と略同一の大きさを有する。よって、グレースケール化した撮像画像500の右端を基準に領域512を削除すると、黒帯501-1を削除することになり、その結果、右ずれ画像510を生成することができる。
【0027】
左ずれ画像520は、グレースケール化した撮像画像500から、グレースケール化した撮像画像500の縦幅と、黒帯501又は白帯502の横幅とからなるサイズの領域を左端から削除するようにして作成される。この領域に相当するのが領域521である。領域521は、縦幅Hと横幅Wとからなる。縦幅Hは、グレースケール化した撮像画像500の縦幅と同一の大きさである。横幅Wおよび縦幅Hは、上記の右ずれ画像510の生成に関して説明した内容と同じである。
【0028】
横幅Wと縦幅Hとからなる領域521は、グレースケール化した撮像画像500における白帯502-6と略同一の大きさを有する。よって、グレースケール化した撮像画像500の左端を基準に領域521を削除すると、白帯502-6を削除することになり、その結果、左ずれ画像520を生成することができる。
【0029】
なお、ずれ画像に関し、黒帯または白帯をグレースケール化した撮像画像500から削除する例を説明しているが、グレースケール化した撮像画像500の右端または左端において黒帯または白帯の一部が起点となっていたとしても、削除されるのは黒帯または白帯と同じ大きさの領域となる。
【0030】
一方、反転画像は、グレースケール化した撮像画像500の注目画素の輝度値から255を引いた値の絶対値を、反転画像における注目画素の値とするものである。例えば、グレースケール化した撮像画像500の白画素は輝度値が255であるから、255を引くと0になり、反転画像においては黒画素となる。また、グレースケール化した撮像画像の黒画素は輝度値が0であるから、255を引くと―255になり、その絶対値は255であるから反転画像においては白画素となる。
【0031】
図6に示す反転画像600は、グレースケール化した撮像画像500に基づいて作成されたものである。グレースケール化した撮像画像500と反転画像600を対比すると、グレースケール化した撮像画像500の黒帯501-1~6の位置にある画素は、反転画像600において白画素からなる白帯601-1~6となっている。また、グレースケール化した撮像画像500の白帯502-1~6の位置にある画素は、反転画像600において黒画素からなる黒帯602-1~6となっている。グレースケール化した撮像画像500の線キズ503の画素に関し、その輝度値が中間値近辺にあり、その値を127とすれば、255を引くと-128となり、その絶対値は128であるから反転画像においても同様の輝度値を示す画素となる。従って、反転画像600のように、線キズ603は中間値を示している。
【0032】
次に、S430において差分画像を生成する。差分画像は、グレースケール化した撮像画像の注目画素の輝度値と、ずれ画像または反転画像の注目画素の輝度値との差分の絶対値に基づいて生成される。
【0033】
まず、反転画像600とグレースケール化した撮像画像500とに基づいて差分画像を作成する処理の例について説明する。なお、反転画像600とグレースケール化した撮像画像500とは同サイズの画像であるため、それぞれの注目画素が同じ位置関係にある。反転画像600における白画素は、グレースケール化した撮像画像500において黒画素となり、反転画像600における黒画素は、グレースケール化した撮像画像500において白画素となる。例えば、反転画像600における白帯601-1の位置には、グレースケール化した撮像画像500では黒帯501-1になっている。このように、それぞれの注目画素が白画素と黒画素との関係にあり、差分の絶対値は「255」となるため、差分画像700において白画素となる。
【0034】
一方、注目画素がキズ603のように中間値を示す輝度値を示す画素である場合、グレースケール化した撮像画像500においてもキズ503のように中間値を示す輝度値を示す画素である。よってこれらの輝度値の差分を求めるとおおよそ「0」に近い値となり、差分画像700においては黒色または黒色に近い灰色となる。
【0035】
次に、右ずれ画像510とグレースケール化した撮像画像500とに基づいて差分画像を作成する処理について説明する。まず、右ずれ画像510とグレースケール化した撮像画像500との画素の対応関係を設定する。具体的には、右ずれ画像の右上端点513とグレースケール化した撮像画像500の右上端点504とが一致し、右ずれ画像の右下端点514とグレースケール化した撮像画像500の右上端点506とが一致するようにそれぞれの画像の位置関係を設定する。
【0036】
この位置関係の設定後に、右ずれ画像510とグレースケール化した撮像画像500とで対応関係のある注目画素について輝度値の差分の絶対値を求め、その値を差分画像の画素の輝度値とする。なお、領域512分だけ右ずれ画像510はグレースケール化した撮像画像500よりも小さいため、右ずれ画像510とグレースケール化した撮像画像500とが重なり合わない領域については差分を求めないこととする。この重なり合わない領域はおおよそグレースケール化した撮像画像500の白帯502-6である。よって、差分画像の大きさは、右ずれ画像510と同じ大きさとなる。
【0037】
輝度値の差分の絶対値を求める際、右ずれ画像510のキズ512と、グレースケール化した撮像画像500のキズ504が重なっている画素がある場合、その重なりあっている画素の輝度値の差分の絶対値はおおよそ0になる。よって、差分画像において、その画素は黒色または黒色に近い灰色となっている。キズ512とキズ504が重なりあわない画素については、キズを示す画素の輝度値と白色又は黒色の輝度値との差分の絶対値となり、その画素はおおよそ中間近辺の灰色を示す輝度値となる。
【0038】
グレースケール化した撮像画像500の黒帯501-1は、右ずれ画像510の白帯512-1と同じ位置にある。従って、その差分の絶対値は255であり、差分画像における黒帯501-1及び白帯512-1の位置にある各画素は白色となる。例えば、図7(A)に示すように、右ずらし画像に基づく差分画像700では、領域701にある、黒帯501-1及び白帯512-1の位置に相当する各画素は白色である。
【0039】
左ずれ画像520とグレースケール化した撮像画像500とに基づいて差分画像を作成する処理も上記で説明した、右ずれ画像510とグレースケール化した撮像画像500とに基づいて差分画像を作成する処理と同様である。なお、位置の基準は、左ずれ画像520の左上端点522とグレースケール化した撮像画像500の左上端点505とが一致し、左ずれ画像520の左下端点523とグレースケール化した撮像画像500の左下端点507とが一致するように設定される。
【0040】
図7(A)に、差分画像700を示す。差分画像700では、グレースケール化した撮像画像500に含まれていた黒帯501-1~6や白帯502-1~6に関し、差分を求めたことにより注目画素が白画素になるため、黒帯を含まない画像となっている。また差分画像は、キズ701が黒色または灰色で示されるため、キズを特定できるような画像となっている。
【0041】
以上のようにして差分画像を求めるが、差分画像にノイズが発生することがある。例えば、図7(B)に示す差分画像710のように、複数の線711が現われることがある。これは、撮像環境やカメラの性能の影響により、撮像画像において黒帯と白帯の幅が異なる、あるいは白帯と黒帯の境界付近において輝度値がゆるやかに変化していることに起因している。このように、背景画像が映り込んだ撮像画像に基づいて差分画像を生成する場合、黒帯及び白帯の境界の位置に縦線のようなノイズが発生しうる。なお、線711の輝度値は0から、中間値である128付近の値をとりうる。
【0042】
差分画像700であってもノイズあり差分画像710であっても、グレースケール化した撮像画像500と対比すると、グレースケール化した撮像画像500に含まれていた黒帯501が消去されているので、人の目で見たときに線キズ701または線キズ712を視認しやすくなり、検査物WKの欠陥の有無を判定しやすくすることができる。
【0043】
以上のように差分画像を生成するものであり、グレースケール化した撮像画像において黒帯及び白帯の周期的な配置により人の目により視認しづらかった線キズが、差分画像では黒帯が消去されるので、人の目により線キズを視認しやすくできる。
【0044】
次に、S440において、差分画像に含まれるノイズを除去しつつ、キズ等の欠陥を識別できるような二値画像を生成するための二値化処理を行う。
【0045】
図8は、ノイズあり差分画像に対する二値化処理の一例を説明するための図である。二値化処理においては適応的な閾値処理を行う。なお、図8(A)に示すノイズあり差分画像710の領域801における処理を例にして説明する。この適応的な閾値処理(Adaptive Threshold)についてはNiblack法を採用することができるが、これに限定されず、Sauvola法やその他の処理を用いてもよい。
【0046】
図8(B)は領域801を拡大した図である。図8(B)に示すように、適応的な閾値処理にあたり、注目画素812を中心とした所定のサイズの枠811が設定される。枠811の大きさは、例えば、横1ピクセル×縦50ピクセルである。ここで、枠811の横幅を1ピクセルとしているが、キズ等の欠陥を示す画素が含まれる場合に縦成分の輝度の変化を的確に判別するために狭い値に設定している。そして、枠811内に含まれる画素の輝度値の平均値や標準偏差に基づいて閾値が定められ、この閾値に基づいて注目画素が「0」または「1」に設定される。なお、縦の大きさは、好ましくは、想定されるキズの大きさの少なくとも2倍程度の画素サイズとすればよい。
【0047】
そして、矢印813で示す方向のように枠811を右方向へスライドさせながら、注目画素について「0」または「1」が設定される。なお枠813が再右端まで移動している場合には注目画素812を一画素分下にずらして最左端から同様にして処理を進める。
【0048】
S440における二値化処理により、図9に示す二値画像900を得る。二値画像900のように、キズ部分が白色画素で表されている。
【0049】
次に、S450において、二値画像からキズ等の欠陥を特定する。キズの特定は、例えば公知のラベリング処理等を用いて所定の大きさを有する白色画素からなる領域が存在する場合に、これをキズ等の欠陥として扱うことができる。
【0050】
<変形例1>
上記の発明の実施形態において、S440で二値画像を生成し、S450でこの二値画像に基づいてキズ等の欠陥を特定している。このプロセスとは異なり、学習モデルを利用してキズ等の欠陥を特定するようにしてもよい。
【0051】
学習モデルは、グレースケール化した撮像画像を教師データとして構築されたものである。この教師データを用い、グレースケール化した撮像画像を入力し、透明物の欠陥を示した撮像画像を出力とする学習モデルを生成する。なお、教師データとして用いるグレースケール化した撮像画像は、キズ等の欠陥を含まない検査物を撮像した撮像画像が好ましい。しかし、キズ等の欠陥を含んだ検査物を撮像した撮像画像であっても、キズ等の欠陥を示さない領域をグレースケール化した撮像画像から抽出し、これを教師データとして用いてもよい。
【0052】
<変形例2>
上記の発明の実施形態において、S420でずれ画像を生成する場合、S430でずれ画像とグレースケール化した撮像画像とに基づいて差分画像を生成している。この場合、例えば右ずれ画像であれば、キズが右にずれる分だけ差分画像においてキズが撮像画像よりも大きくなりうる。そこで、S430で右ずれ画像と左ずれ画像の双方を作成し、右ずれ画像とグレースケール化した撮像画像とに基づいて第1の差分画像を生成する。また、左ずれ画像とグレースケール化した撮像画像とに基づいて第2の差分画像を生成する。
【0053】
次に、S440で、第1の差分画像に基づいた第1の二値画像と、第2の差分画像に基づいた第2の二値画像とを生成する。この第1の二値画像と第2の二値画像との対応する画素について論理積による第3の二値画像を生成し、この第3の二値画像に基づいて、S450においてキズ等の欠陥を特定する。このような処理を行うことにより、ずれ画像を用いた差分画像について、撮像画像と比して大きなキズとならないように抑制できる。なお、第3の二値画像の生成において、第1の二値画像は撮像画像における右端に合わせ、第2の二値画像は左端に合わせるように画素の対応関係を設定する。
【0054】
<変形例3>
上記の発明の実施形態において、撮像画像300に関し、白帯と黒帯が交互に横方向に並ぶようにして撮像されている。このような撮像画像が取得される場合に、背景画像200も白帯と黒帯が交互に横方向に並ぶような画像であれば、これを90°回転させて、白帯と黒帯が交互に縦方向に並ぶような画像を表示させてもよい。
【0055】
これにより、撮像画像は、白帯と黒帯が交互に縦方向に並ぶような画像となる。この場合、S420でずれ画像を生成するときに、グレースケール化した撮像画像の白帯または黒帯に相当する領域を上端から削除した上ずれ画像、または下端から削除した下ずれ画像を生成する。S440で局所的な閾値処理を実行する際には、枠を横50ピクセル×縦1ピクセルのように設定する。これはノイズが横方向に発生するためである。
【0056】
上記の変形例1~3を複数組み合わせて実施の形態の変形として実施することも可能である。例えば、変形例3で撮像した撮像画像を用いて変形例1を実施し、透明物の欠陥を示した撮像画像を取得するようにしてもよい。
【0057】
<実施例>
以下、実施例について説明する。光源装置30として、13インチのLCD表示装置を用いた。背景画像200を光源装置30に表示させたときに、黒帯及び白帯の幅は1mmであった。撮像装置10としては、携帯電話機に搭載のカメラ(24mm焦点距離、フルHD)を用いた。
【0058】
検査物WKは、材質:ポリプロピレン、6.5mm×9mm、厚さ0.2mmのものを用いた。この検査物WKは3つの欠陥があり、長さ約23mm、約1mm、約0.8mmであり、幅が約0.3mmの線キズである。光源装置30と検査物WKとの距離は12cmであり、検査物WKと撮像装置10までの距離は25cmである。
【0059】
図10は、撮像画像をグレースケール変換したグレースケール化した撮像画像1000を示す。グレースケール化した撮像画像1000に関し、背景画像とともに検査物WKが有する3つのキズが映り込んでいることが確認できる。具体的には、図11に示すグレースケール化した撮像画像1000上の3つの領域1101、1102、1103において確認できる。図11(B)は領域1101を拡大したものであり、輝度値の中間値を示す画素が横方向に連なっていることが確認できる。図11(C)は、領域1102を拡大したものであり、図11(D)は領域1103を拡大したものである。同様に、輝度値の中間値を示す画素が横方向に連なっていることが確認できる。
【0060】
次に、S420において、ずれ画像または反転画像を生成する。そして、S430で差分画像を生成する。図12に示す差分画像1200は、グレースケール化した撮像画像1000と、グレースケール化した撮像画像1000に基づいて所定の大きさだけ削除した右ずれ画像とに基づいて作成したものである。
【0061】
図13に示す差分画像1300は、グレースケール化した撮像画像1000と、グレースケール化した撮像画像1000に基づいて作成した反転画像とに基づいて作成したものである。
【0062】
差分画像1200または差分画像1300のいずれにおいても、線キズがグレースケール化した撮像画像1000と比して視認しやすくなっていることがわかる。
【0063】
次に、S440において、二値画像を生成する。図14に示す二値画像1400は、差分画像1200に対し、適応的な閾値処理により生成した二値画像である。適応的な閾値処理にあたり、横1ピクセル×縦50ピクセルを枠として設定している。
【0064】
次に、二値画像1400から、ノイズ除去及び膨張処理を実施し、二値画像1410を生成する。ノイズ除去においては、白画素の塊について、横1ピクセル以下、縦4ピクセル以下、または面積49ピクセル以下の塊については黒画素に書き換えている。膨張処理については、白画素の塊について縦横それぞれ2ピクセル分膨張させている。
【0065】
一方、S440において、差分画像1300に基づいて二値画像を生成したものが図15に示す二値画像1500である。二値画像1500は、差分画像1300に対し、適応的な閾値処理により生成した二値画像である。適応的な閾値処理にあたり、横1ピクセル×縦50ピクセルを枠として設定している。
【0066】
次に、二値画像1500から、ノイズ除去及び膨張処理を実施し、二値画像1510を生成する。ノイズ除去においては、白画素の塊について、横1ピクセル以下、縦4ピクセル以下、または面積49ピクセル以下の塊については黒画素に書き換えている。膨張処理については、白画素の塊について縦横それぞれ2ピクセル分膨張させている。
【0067】
次に、S450において、キズを特定する。例えば、図14に示す二値画像1410または図15に示す二値画像1510の白画素群をキズ等の欠陥として特定する。ユーザーに知覚させるために、この白画素群を矩形で囲み、二値画像上に表示させ、あるいは矩形の位置に合わせて撮像画像上に合成して表示させる等の処理も可能である。
【0068】
なお、背景画像200のような画像を表示させることなく、透明の検査物WKを撮像画像として撮像し本発明に係る画像処理方法を実施したところ、検査物WKにおいてハレーションの影響があり、キズの検出ができなかった。背景画像200を表示させて撮像したところハレーションの影響はなかったので、背景画像200を表示させることによりハレーションの抑制効果があることも分かった。
【0069】
次に、上記の変形例1で示した学習モデルを生成し、学習モデルを利用してキズ等の欠陥を特定した例について説明する。図16(A)に示す画像1600は、グレースケール化した撮像画像を教師データとして構築した学習モデルに、キズ等の欠陥を含んだ透明な検査物を撮像したグレースケール化した撮像画像を入力し、検査物の欠陥を示した撮像画像を出力させたものである。
【0070】
図16(B)に示す画像1610は、ずれ画像に基づいた差分画像を教師データとして構築した学習モデルに、差分画像を入力し、検査物の欠陥を示した撮像画像を出力させたものである。画像1600と画像1610を比較すると、画像1600を作成した学習モデルの方がより検査物の欠陥を抽出できていることが分かった。
【0071】
なお、学習モデルの構築は、MVTec社(ドイツ)製の画像解析ソフトHALCONを用いたが、その他の画像解析ソフトを用いて学習モデルを構築することも可能である。
【符号の説明】
【0072】
10 撮像装置
20 画像処理装置
30 光源装置
100 画像処理システム
200 背景画像
300 撮像画像
500 グレースケール化した撮像画像
510 右ずれ画像
520 左ずれ画像
600 反転画像
700 差分画像
710 ノイズあり差分画像
900 二値画像
1000 グレースケール化した撮像画像
1200 差分画像
1300 差分画像
1400 二値画像
1410 二値画像
1500 二値画像
1510 二値画像

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
【手続補正書】
【提出日】2023-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明部と暗部とからなる光を透明物に投影する光源と、
前記透明物を透過する光とともに前記透明物を撮像画像として撮像する撮像部と、
画像処理部であって、
前記撮像画像の各画素について輝度値を反転処理した第1の画像、または前記撮像画像における前記明部または前記暗部に相当する領域を前記撮像画像の端から削除した第1の画像を生成し、
前記第1の画像および前記撮像画像において対応する位置関係にある画素について輝度値の差分の絶対値に基づいて第2の画像を生成する画像処理部と、
を備える画像処理システム。
【請求項2】
前記透明物には、前記明部と前記暗部とが交互に並んだ光が投影される、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記画像処理部が、前記撮像画像に含まれる前記明部または前記暗部の境界の方向が水平方向または垂直方向に対し略直角となるように補正する処理をさらに実行する、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記第2の画像に基づいて、前記透明物の欠陥部分を白画素または黒画素とした二値画像を生成する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項5】
局所的な閾値処理により前記二値画像を生成する、請求項に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記局所的な閾値処理において、前記撮像画像における前記明部と前記暗部との境界の方向と垂直に交わる方向の局所領域の幅を1ピクセルとする、請求項に記載の画像処理システム。
【請求項7】
光源から投影される明部と暗部とからなる光であって、透明物を透過する前記光とともに前記透明物を撮像した撮像画像の各画素について輝度値を反転処理した第1の画像、または前記撮像画像における前記明部または前記暗部に相当する領域を前記撮像画像の端から削除した第1の画像を生成し、
前記第1の画像および前記撮像画像において対応する位置関係にある画素について輝度値の差分の絶対値に基づいて第2の画像を生成する、
ことを備える画像処理方法。
【請求項8】
前記第2の画像に基づいて、前記透明物の欠陥部分を白画素または黒画素とした二値画像を生成することをさらに備える、請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
局所的な閾値処理により前記二値画像を生成する、請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記局所的な閾値処理において、前記撮像画像における前記明部と前記暗部との境界の方向と垂直に交わる方向の局所領域の幅を1ピクセルとする、請求項9に記載の画像処理方法。
【手続補正書】
【提出日】2023-04-19
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
明部と暗部とからなる光を透明物に投影する光源と、
前記透明物を透過する光とともに前記透明物を撮像画像として撮像する撮像部と、
画像処理部であって、
前記撮像画像の各画素について輝度値を反転処理した第1の画像、または前記撮像画像における前記明部または前記暗部に相当する領域を前記撮像画像の端から削除した第1の画像を生成し、
前記第1の画像および前記撮像画像において対応する位置関係にある画素について輝度値の差分の絶対値に基づいて第2の画像を生成する画像処理部と、
を備える画像処理システム。
【請求項2】
前記透明物には、前記明部と前記暗部とが交互に並んだ光が投影される、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項3】
前記画像処理部が、前記撮像画像に含まれる前記明部または前記暗部の境界の方向が水平方向または垂直方向に対し略直角となるように補正する処理をさらに実行する、
請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項4】
前記画像処理部は、前記第2の画像に基づいて、前記透明物の欠陥部分を白画素または黒画素とした二値画像を生成する、請求項1に記載の画像処理システム。
【請求項5】
局所的な閾値処理により前記二値画像を生成する、請求項に記載の画像処理システム。
【請求項6】
前記局所的な閾値処理において、前記撮像画像における前記明部と前記暗部との境界の方向と垂直に交わる方向の局所領域の幅を1ピクセルとする、請求項に記載の画像処理システム。
【請求項7】
光源から投影される明部と暗部とからなる光であって、透明物を透過する前記光とともに前記透明物を撮像した撮像画像の各画素について輝度値を反転処理した第1の画像、または前記撮像画像における前記明部または前記暗部に相当する領域を前記撮像画像の端から削除した第1の画像を生成し、
前記第1の画像および前記撮像画像において対応する位置関係にある画素について輝度値の差分の絶対値に基づいて第2の画像を生成する、
ことを備える画像処理方法。
【請求項8】
前記第2の画像に基づいて、前記透明物の欠陥部分を白画素または黒画素とした二値画像を生成することをさらに備える、請求項7に記載の画像処理方法。
【請求項9】
局所的な閾値処理により前記二値画像を生成する、請求項8に記載の画像処理方法。
【請求項10】
前記局所的な閾値処理において、前記撮像画像における前記明部と前記暗部との境界の方向と垂直に交わる方向の局所領域の幅を1ピクセルとする、請求項9に記載の画像処理方法。