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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111928
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】蓋の取付構造
(51)【国際特許分類】
   B60K 15/05 20060101AFI20240813BHJP
   B60K 1/04 20190101ALI20240813BHJP
【FI】
B60K15/05 B
B60K1/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016661
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】308039414
【氏名又は名称】株式会社FTS
(71)【出願人】
【識別番号】596002767
【氏名又は名称】トヨタ自動車九州株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100120765
【弁理士】
【氏名又は名称】小滝 正宏
(74)【代理人】
【識別番号】100097076
【弁理士】
【氏名又は名称】糟谷 敬彦
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 康行
(72)【発明者】
【氏名】内山 佑輝
【テーマコード(参考)】
3D038
3D235
【Fターム(参考)】
3D038CA32
3D038CB01
3D038CC16
3D235AA01
3D235BB23
3D235BB41
(57)【要約】
【課題】全開時の蓋のバタ付き、異音の発生を防止し、且つコストアップを抑えた蓋の取付構造を提供する。
【解決手段】車体の給油口等を塞ぐ蓋11には、蓋11を取付ける蓋取付部21と、蓋取付部21から湾曲して延設されるアーム22を有する蓋取付部材20が取付けられ、給油口1等には、孔部が形成されたボックス本体部31と蓋取付部材20のアーム22を収納するアーム収納部37を有するボックス30が取付けられ、アーム収納部37に形成されたアーム収納部側係合部とアーム22に形成されたアーム側係合部26が係合してアーム22を回動可能にすると共に、アーム22に取付けられたバネ40がアーム収納部37と係合し、アーム22の蓋取付部21とは反対側の先端部には、蓋11が開閉する時に、一時的にアーム収納部37の内壁37aに当接して摺動する突起部25が形成されている。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋には、前記蓋を取付ける蓋取付部と、前記蓋取付部から湾曲して延設されるアームを有する蓋取付部材が取付けられ、又は、一体化され、前記給油口又は充電口等には、前記給油口又は充電口等のための開口部が形成されたボックス本体部と前記蓋取付部材の前記アームを収納するアーム収納部を有するボックスが取付けられ、前記アーム収納部に形成されたアーム収納部側係合部と前記アームに形成されたアーム側係合部が係合して前記アームを回動可能にすると共に、前記アームに取付けられたバネが前記アーム収納部と係合する蓋の取付構造であって、
前記アームの前記蓋取付部とは反対側の先端部分には、前記蓋が開閉する時に、一時的に、又は、一定時間、前記アーム収納部の内壁に当接して摺動する突起部が形成されていることを特徴とする蓋の取付構造。
【請求項2】
前記突起部には、前記アーム収納部の前記内壁と当接、又は、当接して摺動する時に、前記アーム側係合部側に撓むことを可能とする隙間部が形成されている請求項1に蓋の取付構造。
【請求項3】
前記突起部は、前記アームの幅方向において、間隔を有して複数形成されている請求項1又は請求項2に記載の蓋の取付構造。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、自動車等車両の車体に取付けられ、車体の給油口、充電口等を塞ぎ、開閉可能な蓋を有する蓋の取付構造、特に車体側とのロックが解除された時に、途中で停止することなく全開の位置まで移動することが可能な蓋の取付構造に関するものである。
【背景技術】
【0002】
自動車用燃料タンクにガソリン等の燃料や水素を給油又は充填する場合には、車体に設けられた給油口又は充填口を塞ぐ給油口蓋、充填口蓋を開き、燃料キャップを外して給油口から燃料を給油する、又は、充填ポートに充填プラグを差し込んで水素を充填する。又、電気自動車やPHV(プラグインハイブリッド車)に電気を充電する場合には、充電蓋を開き、急速充電ポート又は普通充電ポートに充電コネクタを差し込んで充電する。
【0003】
例えば、自動車用燃料タンクに燃料を給油する場合には、図1に示すように、車体201に設けられた給油口101を塞ぐ蓋(給油口蓋)110を開いて、給油口101から燃料を給油する。蓋110の裏面には蓋取付部材200が取付けられている。蓋取付部材200は、蓋110を開閉可能にする大きく湾曲したアーム220を有し、ボックス(給油口ボックス)300に取付けられる。
【0004】
図10に示すように、ボックス300は、給油口101に対応する開口部340を有し、車体に取付けられるボックス本体部310と、蓋取付部材200のアーム220を回動自在に収納するアーム収納部370から構成されている。
【0005】
アーム220は、アーム収納部370に回動可能に取付けられ、又、アーム220には、アーム収納部370のバネ係合部360と係合するバネ400が取付けられている。
【0006】
バネ400は、図示しないが、略己字形状であり、アーム220のバネ取付部240に取付けられるアーム側部410と、ボックス300のアーム収納部370のバネ係合部360に係合して保持されるアーム収納部側部420と、アーム側部410とアーム収納部側部420との間に存在するバネ本体部430を有している。又、バネ400のアーム側部410に連結し、車体側とのロックが解除された時に、蓋110を車体面から少し浮き上がらせるポップアップのための突出部440が形成されている。
【0007】
蓋110を閉じた時(全閉時)には、バネ400のアーム側部410とアーム収納部側部420の間隔が狭まるようにバネ本体部430が撓み、突出部440は、アーム収納部370の内壁に当接してバネ本体部430側に撓み、いずれも元の形状に戻る方向に付勢されている。その結果、給油時等において、蓋110と車体側(ボックス300)とのロックが解除されると、突出部440とバネ本体部430の付勢力によって、アーム220が蓋110を開く方向に回動する。
【0008】
なお、特許文献1では、このアーム220の回動により、蓋110の先端が、車体201の面から若干浮き上がり、その後、先端が浮き上がった蓋110の先端を手で持ち上げて、蓋110を全開させる旨が記載されているが、突出部440の付勢力が開放された時に、バネ400のアーム側部410の位置がバネ係合部360とアーム220の回動中心を結んだ線よりボックス本体部310側となり、又、バネ本体部430の付勢力を大きくすれば、蓋110と車体側とのロックが解除された時に、蓋110を途中で停止することなく全開の位置まで移動させることができるので、手動で蓋110を全開にする必要がなくなる。
【0009】
ただし、蓋110を途中で停止することなく全開の位置まで移動させる場合は、蓋110が開く時には、バネ本体部430には元の形状に戻る方向の付勢力が作用し、蓋110が加速し続けるので、アーム220がボックス本体部310に衝突したり、衝突しないまでも、バネ400のバネ本体部430が元の形状に戻った時にアーム220の回動が急停止するので、その反動で全開時に蓋110がバタ付き、異音を生じる場合がある。
【0010】
上記の蓋のバタ付きや異音の発生を生じ難くする方法として、特許文献2には、以下の技術が記載されている。図11に示すように、リッド(蓋)110は、ハウジング内に設けられたベース600に対し第1リンク610と第2リンク620を介して回動可能に支持されている。第1バネ体630は第1リンク610とベース600との間に配置され、第2バネ体640は第2リンク620とベース600との間に配置されている。そして、リッド110は、ハウジングの外周に装着されるロック手段により閉位置に係止されている。
【0011】
例えば、ロック手段が車室内のオープナーを介して係止解除操作されることで、又は、ドアロックの解除操作と連動して係止解除されると、図示しないプッシュリフタにより第1バネ体630などの付勢力に抗して閉位置から少しだけ開く。そこで、リッド110を手等で開方向にある第2位置まで回動操作すると、第2位置で第2バネ体640など付勢方向が大きく反転し、以後は付勢力で全開方向へ回動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開2019-85086号公報
【特許文献2】特開2019-209834号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
ところで、特許文献2の技術は、構造が複雑であり、大きなコストアップとなる。又、第1位置から第2位置まで、手等で回動操作する必要がある。そこで、本発明は、特に車体とのロックが解除された時に、途中で停止することなく全開の位置まで移動する蓋の取付構造に関し、全開時の蓋のバタ付き、異音の発生を防止し、且つコストアップを抑えた蓋の取付構造を提供するものである。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために請求項1の本発明は、車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋には、蓋を取付ける蓋取付部と、蓋取付部から湾曲して延設されるアームを有する蓋取付部材が取付けられ、又は、一体化され、給油口又は充電口等には、給油口又は充電口等のための開口部が形成されたボックス本体部と蓋取付部材のアームを収納するアーム収納部を有するボックスが取付けられ、アーム収納部に形成されたアーム収納部側係合部とアームに形成されたアーム側係合部が係合してアームを回動可能にすると共に、アームに取付けられたバネがアーム収納部と係合する蓋の取付構造であって、アームの蓋取付部とは反対側の先端部分には、蓋が開閉する時に、一時的に、又は、一定時間、アーム収納部の内壁に当接して摺動する突起部が形成されていることを特徴とする蓋の取付構造である。
【0015】
請求項1の本発明では、アームの蓋取付部とは反対側の先端部分には、蓋が開閉する時に、一時的に、又は、一定時間、アーム収納部の内壁に当接して摺動する突起部が形成されているので、蓋が全開の位置まで移動する途中で、突起部がアーム収納部の内壁に当接、又は、当接して摺動することにより、加速するバネの動きにブレーキをかけ、蓋の開く速度を抑制することができる。その結果、バネが元の形状に戻った時にアームの回動が急停止し、その反動で全開時に蓋がバタ付き、異音を生じることを防止することができる。又、アームがボックス本体部に当接する場合も、加速するバネの動きにブレーキをかけるので、異音を大幅に抑制することができる。さらに、アームの先端部分に突起部を形成することにより上記効果を奏するので、コクトアップを抑制することができる。
【0016】
請求項2の本発明は、請求項1の発明において、突起部には、アーム収納部の内壁と当接、又は、当接して摺動する時に、アーム側係合部側に撓むことを可能とする隙間部が形成されている蓋の取付構造である。
【0017】
請求項2の本発明では、突起部には、アーム収納部の内壁と当接、又は、当接して摺動する時に、アーム側係合部側に撓むことを可能とする隙間部が形成されているので、突起部がアーム収納部の内壁に当接して摺動する時に撓み、当接、摺動時の衝撃を緩和することができる。その結果、全開時に蓋がバタ付き、異音を生じることを防止することを維持しつつ、突起部及びアーム収納部の内壁の摩耗を抑制することができる。
【0018】
請求項3の本発明は、請求項1又は請求項2の発明において、突起部は、アームの幅方向において、間隔を有して複数形成されている蓋の取付構造である。
【0019】
請求項3の本発明では、突起部は、アームの幅方向において、間隔を有して複数形成されているので、突起部がアーム収納部の内壁と当接する時のアームの幅方向のバラツキを抑制し、アームの回動の幅方向のブレを抑制することができる。又、幅方向全体に突起部を形成する場合に比較して、軽量化を図ることができる。さらに、幅方向全体に突起部を形成する場合に比較して、突起部を撓み易くすることができる。
【発明の効果】
【0020】
車体の給油口又は充電口等を塞ぐ蓋には、蓋を取付ける蓋取付部と、蓋取付部から湾曲して延設されるアームを有する蓋取付部材が取付けられ、又は、一体化され、給油口又は充電口等には、給油口又は充電口等のための開口部が形成されたボックス本体部と蓋取付部材のアームを収納するアーム収納部を有するボックスが取付けられ、アーム収納部に形成されたアーム収納部側係合部とアームに形成されたアーム側係合部が係合してアームを回動可能にすると共に、アームに取付けられたバネがアーム収納部と係合する蓋の取付構造であって、アームの蓋取付部とは反対側の先端部には、蓋が開閉する時に、一時的に、又は一定時間、アーム収納部の内壁に当接して摺動する突起部が形成されているので、蓋が全開の位置まで移動する途中で、突起部がアーム収納部の内壁に当接、又は、当接して摺動することにより、加速するバネの動きにブレーキをかけ、蓋の開く速度を抑制することができる。その結果、バネが元の形状に戻った時にアームの回動が急停止し、その反動で全開時に蓋がバタ付き、異音を生じることを防止することができる。又、アームがボックス本体部に当接する場合も、加速するバネの動きにブレーキをかけるので、異音を大幅に抑制することができる。さらに、アームの先端部分に突起部を形成することにより上記効果を奏するので、コクトアップを抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
図1】蓋を開いた状態の給油口部分の斜視図である。
図2】本発明の実施形態を示すもので、図1におけるX-X断面の断面図である。
図3】本発明の実施形態に使用するバネの平面図である。
図4】本発明の第1の実施形態を示すものであり、蓋を閉じた時のアーム収納部とアームとバネの位置関係を説明する図である。
図5】本発明の第1の実施形態を示すものであり、蓋が約45度開いた時のアーム収納部とアームとバネの位置関係を説明する図である。
図6】本発明の第1の実施形態を示すものであり、蓋が全開した時のアーム収納部とアームとバネの位置関係を説明する図である。
図7】本発明の第2の実施形態を示すものであり、アームの先端部分の斜視図である。
図8】本発明の第2の実施形態を示すものであり、蓋を閉じた時のアーム収納部とアームとバネの位置関係を説明する図である。
図9】本発明の第2の実施形態を示すものであり、蓋が約45度開いた時のアーム収納部とアームとバネの位置関係を説明する図である。
図10】従来の蓋の取付け構造であり、アームと、ボックスのアーム収納部付近の拡大断面図である(特許文献1)。
図11】従来の蓋の付勢構造を模式的に示す要部拡大図である(特許文献2)。
【発明を実施するための形態】
【0022】
本発明の第1の実施形態を図1から図6に基づいて説明する。なお、以下の実施形態は、車体2の給油口1を塞ぐと共に開閉可能な蓋11(給油口蓋)を有する蓋11の取付構造に関し説明するものであるが、充填ポートに充填プラグを差し込んで水素を充填する場合や、電気自動車やPHV(プラグインハイブリッド車)に電気を充電する場合にも使用することができる。
【0023】
図1に示すように、蓋11は、車体2の給油口1を塞ぐために給油口1の形状に合わせて形成されている。自動車用燃料タンクに燃料を給油する場合に、車体2に設けられた給油口1を塞ぐ蓋11を開いて、給油口1から燃料を給油する。蓋11の裏面には蓋取付部材20が取付けられ、蓋取付部材20は、ボックス30に取付けられている。
【0024】
図2に示すように、蓋取付部材20は、蓋11に取付けられる蓋取付部21と、蓋11を開閉可能にする大きく湾曲した円弧状のアーム22を有している。又、蓋取付部21には、後述するボックス30のロックピン32と係合する蓋ロック部23が形成されている。なお、蓋11と蓋取付部材20を一体に形成してもよい。
【0025】
車体2に取付けられるボックス30は、給油口1部分に開口部34を有するボックス本体部31と、蓋取付部材20のアーム22を収納するアーム収納部37を有している。アーム22のボックス30内における開閉スペースを確保するため、アーム収納部37は、ボックス本体部31を車体2に保持するボックス保持部3よりも車体2の内側(図2図4における左側)に入り込んで形成されている。したがって、アーム22の回動中心Oは、アーム収納部37内のさらに蓋11よりも横方向の奥の部分において、アーム収納部37と係合する。ボックス30とアーム22を含む蓋取付部材20は共に樹脂製である。
【0026】
図4に示すように、ボックス本体部31の上端部の周囲には、シール部材33が取付けられ、若しくは上端部と一体に形成され、ボックス本体部31が、車体2のボックス保持部3に取付けられたときに、車体2のボックス保持部3とボックス本体部31の上端部との間をシールする。
【0027】
ボックス30のアーム収納部37と反対側のボックス本体部31には、ロックピン32が形成され、蓋11が閉じられた時に、ロックピン32が蓋取付部材20の蓋ロック部23に係合して、蓋11をロックすることができる。蓋11を開くときは、蓋ロック部23を僅かに上方に移動させるようにしてロックピン32と蓋取付部21の蓋ロック部23との係合が解除される。
【0028】
図3に示すように、バネ40は、1本の金属線状部材であるワイヤーを略己字形状に折り曲げることにより製造され、アーム収納部37のバネ係合部36に保持されるアーム収納部側部42と、アーム22のバネ取付部24に取付けられるアーム側部41と、アーム収納部側部42とアーム側部41を接続するバネ本体部43を有している。そして、アーム収納部側部42、アーム側部41とバネ本体部43は、一平面として形成されている。
【0029】
図4に示すように、蓋取付部材20の先端部分には、幅方向両側部にアーム側係合部26が形成され、アーム側係合部26には、円柱形状の凹部28が形成されている。又、図示しないが、アーム収納部37の側面には、アーム側係合部26の凹部28に合致する位置に、孔部が形成され、孔部にアーム22の凹部28に挿入される胴部を有するキャップを装着することにより、アーム収納部37にアーム22が回動可能に取付けられる。したがって、凹部28の中心がアーム22の回動中心Oとなる。
【0030】
アーム収納部37の長手方向であり、アーム収納部37のボックス本体部31とは反対側の端部には、車内側に向かってアーム収納部37の空間を画定する傾斜部38と、傾斜部38に接続する段差部39と、段差部39とボックス本体部31を接続する底面部52が形成されている。又、傾斜部38に接続する段差部39との間には、内面においてバネ40のアーム収納部側部42と係合するバネ係合部36が形成されている。
【0031】
アーム22における回動中心Oよりボックス本体部31側には、バネ40のアーム側部41を取付けるバネ取付部24が形成されている。
【0032】
アーム22の先端部分には、断面が略二等辺三角形の対称の二辺に該当する突起部25が形成されている。なお、突起部25の断面形状は、上記の形状には限定されない。
又、突起部25の先端部分は、尖った形状でもよいが、アーム収納部37の内壁37aに当接して摺動する際の強度を考慮すると、先端部分は、弧形状など丸みを有している方がよい。
【0033】
図4は、アーム22のバネ取付部24にバネ40のアーム側部41を取付け、アーム22及びバネ40をボックス30のアーム収納部37に取付け、ロックピン32が蓋取付部材20の蓋ロック部23に係合して、蓋11を閉じた時のアーム収納部37とアーム22とバネ40の位置関係を説明する図である。蓋11を閉じた状態では、突起部25は、アーム収納部37の内壁37aには当接していない。
【0034】
蓋11を閉じた状態では、バネ40のアーム収納部側部42が、アーム収納部37の傾斜部38と段差部39によって形成されるバネ係合部36に係合し、バネ40は、バネ本体部43が縮んで撓んだ状態で、アーム22とアーム収納部37の間に取付けられている。したがって、バネ本体部43には、元の形状に戻ろうとする付勢力が発生している。
【0035】
又、蓋11を閉じた状態では、アーム22のバネ取付部24の位置は、アーム22の回動中心Oとバネ40のアーム収納部側部42を結んだ線(破線)のほぼ線上に位置している。これは、ロックピン32と蓋取付部材20の蓋ロック部23の係合が解除された時に、蓋ロック部23が僅かに上方に移動し、アーム22のバネ取付部24の位置がアーム22の回動中心Oとバネ40のアーム収納部側部42を結んだ線よりボックス本体部31側になり、バネ本体部43の付勢力により、蓋11を開くように作用することに基づく。なお、ロックピン32と蓋取付部材20の蓋ロック部23の係合が解除された時に、蓋11の位置が上方に移動しない場合には、蓋11を閉じた時のアーム22のバネ取付部24の位置は、アーム22の回動中心Oとバネ40のアーム収納部側部42を結んだ線よりボックス本体部31になるように設計する。
【0036】
又、上記の特許文献1に記載された、アーム側部41に連結し、ポップアップのための突出部440が形成されているバネ40を用いてもよい。その場合には、アーム22のバネ取付部24の位置は、アーム収納部37の奥行側に位置していてもよく、ポップアップ後において、アーム22のバネ取付部24の位置がアーム22の回動中心Oとバネ40のアーム収納部側部42を結んだ線よりボックス本体部31側に移動すればよい。
【0037】
図5は、ロックピン32と蓋取付部材20の蓋ロック部23の係合が解除され、バネ本体部43の付勢力により、蓋11が約45度開いた時のアーム収納部37とアーム22とバネ40の位置関係を説明する図である。図5では、突起部25の先端部分が、アーム収納部37の内壁37aに当接している。この突起部25の先端部分とアーム収納部37の内壁37aが当接して摺動することにより、加速するバネ本体部43の伸びる動きにブレーキをかけることができる。その結果、蓋11が開く速度を抑制することができる。
【0038】
なお、突起部25の先端部分のアーム収納部37の内壁37aとの当接は、蓋11が45度開いた時には、限定されず、別の角度で当接してもよい。又、例えば、蓋11が30度から60度開く間や、蓋11が30度から全開に至る間当接して摺動するなど、一定の角度幅を有し、一定時間当接して摺動してもよい。これらは、蓋11のサイズ、アーム収納部37の形状やバネ40のバネ本体部43の付勢力(伸長力)等を考慮して適宜決定することができ、突起部25は、それらに合わせて形状が決定される。
【0039】
図6は、蓋11が全開した時のアーム収納部37とアーム22とバネ40の位置関係を説明する図である。図6では、突起部25の先端部分のアーム収納部37との当接は解除されている。その結果、蓋11を確実に全開位置にすることができる。上記の通り、蓋11が全開に至る途中で、突起部25の先端部分がアーム収納部37の内壁37aに当接して摺動することにより、加速するバネ本体部43の元の形状に戻ろうとする付勢力にブレーキをかけ、蓋11が開く速度が抑制されているので、バネ40のバネ本体部43が元の形状に戻った時にアーム22の回動が急停止し、その反動で全開時に蓋11がバタ付き、異音を生じることを防止することができる。又、アーム22がボックス本体部31に当接する場合も、蓋11が開く速度が抑制されているので、異音を大幅に抑制することができる。
【0040】
次に、本達明の第2の実施形態について、図7から図9に基づいて説明する。図7は、アーム22のアーム22の先端部分の斜視図であり、図8は、蓋11を閉じた時のアーム収納部37とアーム22とバネ40の位置関係を説明する図であり、図9は、蓋11が約45度開いた時のアーム収納部37とアーム22とバネ40の位置関係を説明する図である。アーム側係合部26には、前述の通り、キャップの胴部が挿入され、アーム収納部37の孔部と回動可能に連結されている。
【0041】
バネ40のアーム側部41を取付けるバネ取付部24は、アーム側係合部26よりボックス本体部31側であり、図8に示すように、蓋11を閉じた時に、アーム22の回動中心Oとバネ40のアーム収納部側部42を結んだ線(破線)より僅かにボックス本体部31側に位置している。なお、第1の実施形態と同様に、アーム22の回動中心Oとバネ40のアーム収納部側部42を結んだ線(破線)のほぼ線状にあってもよい。又、バネ取付部24を形成する位置については、上記第1の実施形態において説明したとおりである。
【0042】
図7に示すように、アーム22のアーム側係合部26の間のアーム22の先端部分には、略90度の鍵状の突起部25が三箇所形成されている。突起部25は、アーム22を側面視した時に、アーム側係合部26からはみ出すようにアーム22の先端部分に形成されている。真ん中の突起部25は、アーム22の幅方向の中央に形成されている。突起部25の一方の端部は、アーム22に連結しているが、他方の端部は開放され、アーム22の先端部との間に、隙間部27が形成されている。なお、突起部25は三箇所には限定されないが、突起部25がアーム収納部37の内壁37aに当接した時に、アーム22の回動に悪影響を及ぼさないため、突起部25は、アーム22の幅方向において対称の位置に複数形成されることが望ましい。又、図8図9では、隙間部27は、突起部25の左側に形成されているが、突起部25の右側に形成してもよい。
【0043】
図8に示すように、蓋11を閉じた時には、突起部25は、アーム収納部37の内壁37aには当接していない。図9において、蓋11が約45度開いた時には、突起部25の先端部分がアーム収納部37の内壁37aに当接している。この突起部25の先端部分とアーム収納部37の内壁37aとの当接、摺動により、加速するバネ本体部43の元の形状に戻ろうとする付勢力(速度)にブレーキをかけることができる。
【0044】
この時、突起部25には、アーム22の先端部との間に隙間部27が形成されているので、突起部25がアーム収納部37の内壁37aに当接して摺動する時にアーム22の先端部側に撓み、アーム収納部37の内壁37aとの当接時の衝撃を緩和することができる。その結果、上記の第1の実施形態で説明した効果を維持しつつ、突起部25及びアーム収納部37の内壁37aの摩耗を抑制することができる。
【0045】
又、突起部25を三箇所、間隔を空けて形成することにより、突起部25がアーム収納部37の内壁37aと当接する時のアーム22の幅方向のバラツキを抑制することができると共に、幅方向全体に突起部25を形成する場合に比較して、軽量化を図ることができる。
【0046】
又、図示しないが、蓋11が全開した時には、上記の第1の実施形態と同様に、突起部25の先端部分のアーム収納部37との当接は解除されている。蓋11が全開に至る途中で、突起部25の先端部分とアーム収納部37と当接して摺動することにより、加速するバネ本体部43の伸びる動きにブレーキをかけているので、バネ本体部43が元の形状に戻った時にアーム22の回動が急停止し、その反動で全開時に蓋11がバタ付き、異音を生じることを防止することができる。又、アーム22がボックス本体部31に当接する場合も、蓋11が開く速度が抑制されているので、異音を大幅に抑制することができる。
【0047】
なお、第1の実施形態と同様に、突起部25の先端部分のアーム収納部37の内壁37aとの当接は、蓋11が45度開いた時には、限定されず、別の角度で一時的に当接し、摺動してもよい。又、例えば、蓋11が30度から60度開いた時、蓋11が30度から全開に至る間当接して摺動するなど、一定の角度幅を有し、一定時間当接して摺動してもしてもよい。これらは、蓋11のサイズ、アーム収納部37の形状やバネ40のバネ本体部43の付勢力(伸長力)等を考慮して適宜決定することができ、突起部25と隙間部27は、それらに合わせて形状が決定される。
【0048】
本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて、種々の変更が可能である。
【0049】
例えば、第2の実施形態では、突起部25を、間隔を有して三箇所形成したが、第1の実施形態にも適用することができる。
【符号の説明】
【0050】
11 蓋
20 蓋取付部材
22 アーム
25 突起部
27 隙間部
30 ボックス
31 ボックス本体部
37 アーム部収納部
37a 内壁
40 バネ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
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図8
図9
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図11