(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111934
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】車両用照明装置
(51)【国際特許分類】
B60Q 3/80 20170101AFI20240813BHJP
F21V 9/40 20180101ALI20240813BHJP
B60Q 3/20 20170101ALI20240813BHJP
F21Y 115/10 20160101ALN20240813BHJP
F21W 106/00 20180101ALN20240813BHJP
【FI】
B60Q3/80
F21V9/40 400
B60Q3/20
F21Y115:10
F21W106:00
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016677
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001771
【氏名又は名称】弁理士法人虎ノ門知的財産事務所
(72)【発明者】
【氏名】石橋 秀一
【テーマコード(参考)】
3K040
【Fターム(参考)】
3K040AA02
3K040CA05
3K040DA00
3K040EA05
3K040EB03
3K040GC01
3K040GC14
(57)【要約】
【課題】天体の位置を乗員に知らせることができる車両用照明装置を提供する。
【解決手段】車両用照明装置1は、車両100の車室110に配置され、かつ車室110を囲むように環状に延在する発光部10L,10R,20F,20R,30F,30R,40L,40Rを有し、発光部の任意の部分を発光させることができる第一照明装置50と、車両100に対する天体の相対位置を取得し、発光部10L,10R,20F,20R,30F,30R,40L,40Rにおける相対位置に応じた部分である対応部2を発光させる制御部と、を備える。
【選択図】
図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の車室に配置され、かつ車室を囲むように環状に延在する発光部を有し、前記発光部の任意の部分を発光させることができる第一照明装置と、
前記車両に対する天体の相対位置を取得し、前記発光部における前記相対位置に応じた部分である対応部を発光させる制御部と、
を備えたことを特徴とする車両用照明装置。
【請求項2】
前記対応部は、前記発光部のうち、前記天体の光が前記車室に差し込む方向において前記天体と対向する部分である
請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項3】
前記対応部は、前記発光部のうち、前記車室から見て前記天体の方向に位置する部分である
請求項1に記載の車両用照明装置。
【請求項4】
前記車室の床を照らす発光部を有する第二照明装置を備え、
前記制御部は、前記車両から見た場合の前記天体の高度に応じて前記第二照明装置を発光させる
請求項2に記載の車両用照明装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両用照明装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、車両用の照明装置がある。特許文献1には、コアとクラッドからなる棒状導光体の少なくとも一端部に発光部材を備えた車両用照明装置であって、車両のインストルメントパネルに長手方向が略水平になるように配置され、発光部材は棒状導光体の一端部に配置され、棒状導光体の一端部はインストルメントパネルの中央寄りに配置され、棒状導光体の他端部は車両のドア寄りに配置される、車両用照明装置が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
車室に配置される照明装置による情報提供において、なお改良の余地がある。例えば、照明装置の発光部位によって天体の位置を乗員に知らせることができれば、有効な情報提供となる。
【0005】
本発明の目的は、天体の位置を乗員に知らせることができる車両用照明装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の車両用照明装置は、車両の車室に配置され、かつ車室を囲むように環状に延在する発光部を有し、前記発光部の任意の部分を発光させることができる第一照明装置と、前記車両に対する天体の相対位置を取得し、前記発光部における前記相対位置に応じた部分である対応部を発光させる制御部と、を備えたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0007】
本発明に係る車両用照明装置は、車室を囲むように環状に延在する発光部を有し、発光部の任意の部分を発光させることができる第一照明装置と、車両に対する天体の相対位置を取得し、発光部における相対位置に応じた部分である対応部を発光させる制御部と、を備える。本発明に係る車両用照明装置によれば、天体の位置を乗員に知らせることができるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図2】
図2は、実施形態に係る車両用照明装置を示す断面図である。
【
図3】
図3は、実施形態に係る車両用照明装置を示す透視図である。
【
図4】
図4は、実施形態に係る車両用照明装置のブロック図である。
【
図5】
図5は、実施形態に係る対応部の一例を示す図である。
【
図6】
図6は、実施形態に係る対応部の他の例を示す図である。
【
図7】
図7は、実施形態の第1変形例に係る車両用照明装置を示す透視図である。
【
図8】
図8は、第三照明装置の構成例を示す図である。
【
図9】
図9は、第三照明装置の他の構成例を示す図である。
【
図10】
図10は、グラデーションを有するイルミネーションの一例を示す図である。
【
図11】
図11は、グラデーションを有するイルミネーションの一例を示す図である。
【
図12】
図12は、実施形態の第1変形例に係る車両用照明装置のブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下に、本発明の実施形態に係る車両用照明装置につき図面を参照しつつ詳細に説明する。なお、この実施形態によりこの発明が限定されるものではない。また、下記の実施形態における構成要素には、当業者が容易に想定できるものあるいは実質的に同一のものが含まれる。
【0010】
[実施形態]
図1から
図6を参照して、実施形態について説明する。本実施形態は、車両用照明装置に関する。
図1は、実施形態に係る車両の図、
図2は、実施形態に係る車両用照明装置を示す断面図、
図3は、実施形態に係る車両用照明装置を示す透視図、
図4は、実施形態に係る車両用照明装置のブロック図、
図5は、実施形態に係る対応部の一例を示す図、
図6は、実施形態に係る対応部の他の例を示す図である。
図2には、
図1のII-II断面が示されている。
【0011】
図1には、本実施形態の車両用照明装置1が搭載された車両100が示されている。例示された車両100は、セダン形状の車両である。以下に説明するように、本実施形態の車両用照明装置1は、太陽200等の天体の位置に応じた部分を発光させ、車内空間の演出を行なう。
【0012】
図2には、上方から見た車両100の断面図が示されている。
図3には、側方から見た車両100の透視図が示されている。
図2および
図3に示すように、本実施形態の車両用照明装置1は、第一照明装置50と、第二照明装置60と、を有する。第一照明装置50は、車両100の車室110に配置されている。第一照明装置50は、車室110を囲むように環状に延在している。第二照明装置60は、車室110の床を照らす照明である。
【0013】
第一照明装置50は、前側照明10、右側照明20、左側照明30、および後側照明40を有する。前側照明10は、車室110における車両前後方向Xの前側X1に配置されている。前側照明10は、車室110における右側Y1の端部から左側Y2の端部まで、車幅方向Yに延在している。例示された前側照明10は、車両100のインストルメントパネル140に配置されている。前側照明10は、右発光部10R、左発光部10L、および一対の中央発光部10Cを有する。
【0014】
右発光部10Rは、インストルメントパネル140の中央から右側Y1に配置されており、車幅方向Yに延在している。左発光部10Lは、インストルメントパネル140の中央から左側Y2に配置されており、車幅方向Yに延在している。中央発光部10Cは、インストルメントパネル140の中央に配置されており、車両前後方向Xに延在している。例示された中央発光部10Cは、右発光部10Rから後側X2に向けて延在する線状の照明、および左発光部10Lから後側X2に向けて延在する線状の照明を有する。中央発光部10Cは、センターコンソールに配置されてもよい。
【0015】
前側照明10は、発光部10R,10L,10Cの任意の部分を発光させることができるように構成されている。例えば、右発光部10Rは、車幅方向Yの任意の部分を発光させることができる。より詳しくは、前側照明10は、右発光部10Rの一部を発光させることができるだけでなく、右発光部10Rの全体を発光させることも可能である。同様に、左発光部10Lおよび中央発光部10Cは、任意の部分を発光させることができる。
【0016】
右側照明20は、車室110における車幅方向Yの右側Y1に配置されている。右側照明20は、車室110における前側X1の端部から後側X2の端部まで、車両前後方向Xに延在している。本実施形態の右側照明20は、車両100の右側Y1のドア120F,120Rに配置されている。右側照明20は、例えば、ドアトリムに取り付けられる。右側照明20は、前発光部20Fおよび後発光部20Rを有する。前発光部20Fは、右前ドア120Fに配置されており、車両前後方向Xに延在している。後発光部20Rは、右後ドア120Rに配置されており、車両前後方向Xに延在している。
【0017】
右側照明20は、前発光部20Fおよび後発光部20Rの任意の部分を発光させることができるように構成されている。前発光部20Fおよび後発光部20Rは、車両前後方向Xの任意の範囲を発光させることができる。
【0018】
左側照明30は、車室110における車幅方向Yの左側Y2に配置されている。左側照明30は、車室110における前側X1の端部から後側X2の端部まで、車両前後方向Xに延在している。本実施形態の左側照明30は、車両100の左側Y2のドア130F,130Rに配置されている。左側照明30は、例えば、ドアトリムに取り付けられる。左側照明30は、前発光部30Fおよび後発光部30Rを有する。前発光部30Fは、左前ドア130Fに配置されており、車両前後方向Xに延在している。後発光部30Rは、左後ドア130Rに配置されており、車両前後方向Xに延在している。
【0019】
左側照明30は、前発光部30Fおよび後発光部30Rの任意の部分を発光させることができるように構成されている。前発光部30Fおよび後発光部30Rは、車両前後方向Xの任意の範囲を発光させることができる。
【0020】
後側照明40は、車室110における車両前後方向Xの後側X2に配置されている。後側照明40は、車室110における右側Y1の端部から左側Y2の端部まで、車幅方向Yに延在している。本実施形態の後側照明40は、後席のシートバック150に配置されている。後側照明40は、右発光部40Rおよび左発光部40Lを有する。右発光部40Rは、中央から右側Y1のシートバック150に配置されており、車幅方向Yに延在している。左発光部40Lは、中央から左側Y2のシートバック150に配置されており、車幅方向Yに延在している。
【0021】
後側照明40は、右発光部40Rおよび左発光部40Lの任意の部分を発光させることができるように構成されている。右発光部40Rおよび左発光部40Lは、車幅方向Yの任意の範囲を発光させることができる。
【0022】
第二照明装置60は、車室110の右側Y1に配置された右発光部60R、および車室110の左側Y2に配置された左発光部60Lを有する。右発光部60Rは、中央から右側Y1の床面を照らす足元照明である。右発光部60Rは、前席および後席のそれぞれに設けられている。左発光部60Lは、中央から左側Y2の床面を照らす足元照明である。左発光部60Lは、前席および後席のそれぞれに設けられている。発光部60R,60Lの光源は、例えば、ドア120F,120R,130F,130Rや座席等に配置される。
【0023】
図4に示すように、車両用照明装置1は、制御部70、ONスイッチ71、色替えスイッチ72、調光スイッチ73、およびモード切替スイッチ74を有する。スイッチ71,72,73,74は、ユーザによって操作される。ONスイッチ71は、車両用照明装置1のON/OFFを切り替えるスイッチである。色替えスイッチ72は、第一照明装置50および第二照明装置60による光の色を切り替えるスイッチである。調光スイッチ73は、第一照明装置50および第二照明装置60の明るさを調節するスイッチである。モード切替スイッチ74は、第一照明装置50および第二照明装置60によって実行される演出のモードを切り替えるスイッチである。制御部70は、スイッチ71,72,73,74に対する操作入力を取得する。
【0024】
制御部70は、車両100に対する天体の相対位置を取得する機能と、第一照明装置50および第二照明装置60の発光を制御する機能と、を有する。制御部70は、演算回路、メモリ、通信インタフェース等を有するコンピュータであり、例えば、電子制御装置(ECU)である。制御部70は、例えば、予めメモリに記録されたプログラムに従って本実施形態の動作を実行する。制御部70は、多重通信によって上位ECU160から各種の情報を取得する。
【0025】
上位ECU160は、例えば、車両100の統合制御を行なう車両ECUである。上位ECU160は、多重通信網を介してマルチメディアユニット170およびメータ180と接続されている。マルチメディアユニット170は、画像を表示する表示面、および表示面に配置されたタッチパネルを有する。マルチメディアユニット170は、ナビゲーション装置やオーディオ装置の入出力部として利用される。マルチメディアユニット170は、スマートフォン等の携帯通信端末と無線通信する機能、GPS電波を受信する機能、および無線通信等によって地理情報(GIS)を取得する機能を有する。また、上位ECU160は、通信部161と接続されている。通信部161は、外部のサーバ等と無線通信を行なう。
【0026】
上位ECU160は、GPS電波に基づいて、車両100の現在位置を算出する。また、上位ECU160は、ナビゲーション装置の地図情報やジャイロセンサから車両100の進行方向や車両100の向きを取得する。制御部70は、車両100の位置、および車両100の進行方向についての情報を上位ECU160から取得する。また、制御部70は、天体の位置についての情報を上位ECU160から取得する。
【0027】
制御部70は、天体の位置についての情報を上位ECU160から取得する。上位ECU160は、例えば、外部のサーバから天体の位置についての情報を取得することができる。上位ECU160は、予め記憶している天文情報と現在時刻に基づいて天体の位置を算出してもよい。制御部70は、上位ECU160から取得した情報に基づいて、車両100に対する天体の相対位置を算出する。算出される相対位置は、例えば、車両100に対する天体の方位、および車両100の位置に対する天体の高度である。
【0028】
図5には、天体の一例である太陽200が示されている。制御部70は、車両100に対する天体の方位θ[°]を算出する。方位θは、例えば、車両100が直進する場合の前側X1を基準とする角度である。方位θは、例えば、車室110の中心点CPから見た角度である。
図5に示された太陽200の方位θは、車両100の車室110から見て右後方の角度である。
【0029】
制御部70は、車両100に対する天体の相対位置に基づいて、第一照明装置50の対応部2を発光させる。対応部2は、第一照明装置50が有する発光部の一部分であって、かつ天体の相対位置に応じた部分である。例えば、太陽200が車両100に対して右後方に位置する場合の対応部2は、第一照明装置50の発光部における左前側の部分である。この場合、制御部70は、前側照明10の左発光部10L、および左側照明30の前発光部30Fを発光させる。太陽200に対する対応部2の発光色は、例えば、白色、黄色、オレンジ等である。
【0030】
制御部70は、例えば、車室110の中心点CPに対する天体の方位θに基づいて、対応部2を決定する。この場合、対応部2は、中心点CPから見て天体とは反対方向に位置する発光部である。中心点CPに対する対応部2の方位α[°]は、天体の方位θに対して180°異なる。
【0031】
対応部2は、方位αを中心とする所定の範囲である。
図5に示す対応部2は、左発光部10Lにおける左側Y2の部分、および前発光部30Fにおける前側X1の部分である。これらの発光部10L,30Fは、太陽200の光が車室110に差し込んだ場合に太陽200の光が当たる発光部である。言い換えると、発光部10L,30Fは、太陽200の光が車室110に差し込む方向において太陽200と対向する部分である。対応部2は、車両100を平面視した場合に中心点CPを間において天体と対向する。
【0032】
対応部2が発光することで、太陽200が乗員の視界に無い場合であっても乗員が容易に太陽200の位置を知ることができる。従って、乗員は、逆光などを事前に察知して対処することができる。移動中には車両100および地球が常に刻々と変化している。乗員は、車両用照明装置1のイルミネーション制御により、太陽200と対向した位置を車室110内に居ながら容易に知ることができる。
【0033】
車両用照明装置1は、太陽200が雲によって隠されている場合であっても対応部2を発光させる。言い換えると、制御部70は、晴天時に限らず対応部2を発光させる。この場合、車両用照明装置1は、太陽200が視認できない場合に、対応部2を発光させることにより乗員に対して太陽200の位置を知らせることができる。つまり、車両用照明装置1は、天候にかかわらず、車両100に対する太陽200の相対位置を乗員に知らせることができる。
【0034】
なお、制御部70は、天体の位置や天体の高度に応じて、第一照明装置50に加えて第二照明装置60を発光させてもよい。例えば、
図5に示すように太陽200が車両100に対して右側にある場合、対応部2は、左発光部60Lを含んでもよい。車両用照明装置1は、左発光部60Lを発光させることで、太陽200が車両100に対して右側に位置していることを乗員に知らせることができる。なお、太陽200が車両100の後方にある場合、二つの左発光部60Lのうち、前席の左発光部60Lのみが対応部2に含まれてもよい。
【0035】
制御部70は、天体の高度に応じて、第二照明装置60の発光の有無を決定してもよい。例えば、太陽200の高度が高い場合には第二照明装置60がオンとされ、高度が低い場合には第二照明装置60がオフとされてもよい。制御部70は、天体の高度に応じて第二照明装置60の明るさを変化させてもよい。例えば、太陽200の高度が高い場合、高度が低い場合と比較して第二照明装置60の発光量が大きくされてもよい。制御部70は、天体の高度に応じて、第一照明装置50の明るさを変化させてもよい。例えば、太陽200の高度が低い場合、高度が高い場合と比較して第一照明装置50の発光量が大きくされてもよい。
【0036】
制御部70は、天体の高度に応じて、対応部2の色を変化させてもよい。例えば、太陽200の高度が低い場合、高度が高い場合と比較して対応部2の色がオレンジや赤に近い色とされてもよい。
【0037】
対応部2の位置は、モード切替スイッチ74によって選択されたモードに応じて異なってもよい。ある一つのモードにおける対応部2は、発光部のうち、車室110から見て天体の方向に位置する部分であってもよい。
図6には、車室110から見て天体の方向に設定された対応部2が示されている。太陽200が車両100の右後方にある場合の対応部2は、第一照明装置50の発光部における右後側の部分である。
図6の対応部2は、後側照明40における右発光部40R、および右側照明20における後発光部20Rを含む。
【0038】
制御部70は、対応部2に加えて、隣接部3を発光させてもよい。隣接部3は、発光部のうち、対応部2に隣接する部分である。制御部70は、対応部2と隣接部3との境界線を明確にするために、対応部2と隣接部3との間に消灯領域を設けてもよい。制御部70は、境界線を明確にするために、対応部2の両端部に点灯と消灯を繰り返す変動領域を設けてもよい。なお、制御部70は、対応部2の長さを一定に保ちながら両端部の変動領域を左右ランダムに変動させてもよい。
【0039】
なお、イルミネーションの対象とする天体は、太陽200には限定されない。対象とする天体は、月であってもよく、星であってもよく、その他の天体であってもよい。制御部70は、例えば、日中は太陽200の位置に対して対応部2を設定し、夜間は月や星の位置に対して対応部2を設定してもよい。月や星に対する対応部2の設定方法は、例えば、太陽200に対する対応部2の設定方法と同様である。
【0040】
月に対する対応部2の発光色は、太陽200に対する対応部2の発光色と異なっていてもよい。月に対する対応部2の発光色は、例えば、白系、青系、黄色系などの色である。月に対する対応部2の発光色は、月の高度に応じて異なってもよい。例えば、月の高度が45°未満である場合の発光色は赤系色であってもよく、月の高度が45°以上である場合の発光色は黄系色であってもよい。
【0041】
車両用照明装置1は、月が雲によって隠されている場合であっても対応部2を発光させる。この場合、車両用照明装置1は、対応部2を発光させることにより、乗員に対して月の位置を知らせることができる。つまり、車両用照明装置1は、天候にかかわらず、車両100に対する月の相対位置を乗員に知らせることができる。
【0042】
以上説明したように、本実施形態の車両用照明装置1は、第一照明装置50と、制御部70と、を有する。第一照明装置50は、車両100の車室110に配置され、かつ車室110を囲むように環状に延在する発光部10L,10R,20F,20R,30F,30R,40L,40Rを有する。第一照明装置50は、これらの発光部10L,10R,20F,20R,30F,30R,40L,40Rの任意の部分を発光させることができるように構成されている。
【0043】
制御部70は、車両100に対する天体の相対位置を取得し、発光部10L,10R,20F,20R,30F,30R,40L,40Rの対応部2を発光させる。対応部2は、発光部10L,10R,20F,20R,30F,30R,40L,40Rにおける上記相対位置に応じた部分である。本実施形態の車両用照明装置1は、対応部2を発光させることにより、天体の位置を乗員に知らせることができる。
【0044】
対応部2は、例えば、発光部のうち、天体の光が車室110に差し込む方向において天体と対向する部分である。これにより、車両用照明装置1は、天体の位置を乗員に知らせるだけでなく、天体の光が実際に車室110に差し込んでいるかのような演出をすることができる。
【0045】
対応部2は、発光部のうち、車室110から見て天体の方向に位置する部分であってもよい。車両用照明装置1は、天体の方向にある発光部を光らせる演出により、天体が雲や構造物等によって隠されている場合であっても、天体の方向を乗員に知らせることができる。
【0046】
本実施形態の車両用照明装置1は、車室110の床を照らす発光部60L,60Rを有する第二照明装置60を備える。制御部70は、車両100から見た場合の天体の高度に応じて第二照明装置60を発光させる。本実施形態の車両用照明装置1は、天体の方位だけでなく、天体の高度を乗員に知らせることができる。
【0047】
[実施形態の第1変形例]
図7から
図12を参照して、実施形態の第1変形例について説明する。
図7は、実施形態の第1変形例に係る車両用照明装置を示す透視図、
図8は、第三照明装置の構成例を示す図、
図9は、第三照明装置の他の構成例を示す図、
図10および
図11は、グラデーションを有するイルミネーションの一例を示す図、
図12は、実施形態の第1変形例に係る車両用照明装置のブロック図である。実施形態の第1変形例に係る車両用照明装置1において、上記実施形態の車両用照明装置1と異なる点は、例えば、第三照明装置80および第四照明装置90を有する点である。
【0048】
第三照明装置80は、ルーフ部を天空の空間として捉えて、星空や銀河をイメージした色で空間を演出するルーフイルミネーションを実行する。第三照明装置80は、車両100のルーフ190における車室110を向く面に配置されている。第三照明装置80は、例えば、ルーフ190の全面を覆うように設けられてもよい。
図8には、第三照明装置80の構成例が示されている。
図8の第三照明装置80は、ルーフ190に設けられた複数の光源81、およびルーフパネル82を有する。
【0049】
光源81は、ルーフ190の外周部の四辺に配置されている。光源81は、例えば、LED(Light Emitting Diode)等の発光素子である。各辺には、複数の光源81が並べて配置される。光源81は、等間隔で配置されてもよい。各光源81は、ルーフ190における車室側の面190aに沿って光を照射する。車室側の面190aには、光源81の光を導く導光部材が配置されてもよい。
【0050】
ルーフパネル82は、車室側の面190aを覆う遮光性のパネル部材である。ルーフパネル82には、複数の小径の貫通孔が設けられている。貫通孔は、ランダムに配置されてもよい。各貫通孔には、棒状のプリズムなどの導光部材が嵌合されている。導光部材は、光源81の光を受光し、かつ光を車室110に向けて反射する。第三照明装置80は、星空のイメージを表現することができる。各光源81は、任意の色および任意の輝度で発光できることが好ましい。各光源81の明るさをランダムに変化させることにより、星がキラキラ光っているような演出を行うことが可能である。
【0051】
なお、第三照明装置80は、透光性のルーフパネル82を有していてもよい。
図9には、透光性のルーフパネル82を有する第三照明装置80が示されている。光源81の光は、ルーフ190の外周から中央に向けて照射され、車室110に向けてルーフパネル82を透過する。
図9の第三照明装置80では、ルーフパネル82の全体を発光させることができる。
図9は、満月の夜空を模したイルミネーションである。この場合、各光源81の輝度や色が同じとされてもよい。
【0052】
透光性のルーフパネル82を有する第三照明装置80は、各光源81の色や明るさの強弱や照射範囲のラップなどで混色表現することができる。この場合、
図10や
図11に示すようにグラデーションを有するイルミネーションが可能である。
図10および
図11は、それぞれ銀河をイメージしたイルミネーションである。
図10および
図11のイルミネーションは、第一の領域82a、第二の領域82b、および中間の領域82cを有する。第一の領域82aから第二の領域82bへ向けて色や明るさが変化している。第一の領域82aは、赤系色であってもよく、第二の領域82bは、青系色であってもよく、中間の領域82cは、中間色であってもよい。
【0053】
なお、第三照明装置80は、ルーフ190を覆う液晶表示装置であってもよい。第三照明装置80は、ルーフ190を覆うスクリーンと、このスクリーンに対して光を投影する投影装置と、を有していてもよい。
【0054】
第四照明装置90は、車両100のドアポケットに配置された照明である。ドアポケットは、ペットボトルや小物を収容可能なポケットであり、第一照明装置50よりも下方に設けられる。
図7に示すように、第四照明装置90は、右側のドアに配置された右発光部90R、および左側のドアに配置された左発光部90Lを有する。
図12に示すように、実施形態の第1変形例に係る制御部70は、第一照明装置50および第二照明装置60に加えて、第三照明装置80および第四照明装置90を制御する。
【0055】
制御部70は、第三照明装置80によって夜の天空や星空を示すイルミネーションを実行する。このときに、制御部70は、第一照明装置50、第二照明装置60、または第四照明装置90の少なくとも一つを更に発光させてもよい。
【0056】
[実施形態の第2変形例]
制御部70は、時刻を知らせる時報イルミネーションを実行してもよい。時報イルミネーションは、例えば、第一照明装置50によってなされる。制御部70は、時報イルミネーションにおいて、流れ星を模したイルミネーションを第一照明装置50に実行させる。例えば、第一照明装置50は、流れ星をイメージした短い光のバー(例えば、長さ50mm程度)を発光部の延在方向に沿って移動させる。
【0057】
第一照明装置50は、流れ星が流れる光残像をイメージした帯状の光のバー(開始ポイントから続く光、300~500mm程度)を発光させてもよい。この場合、初めに光の先端が流れ初め、光のバーが伸びていく。バーの長さが所定の長さとなった後は、同じ長さを保ちながらバーが移動していく。バーの先端が所定の消失点に到達すると、先端から後端に向けてバーが消失していく。
【0058】
[実施形態の第3変形例]
制御部70は、既存情報と新たに取得する情報を重ね合わせ、自車周囲の環境や自然災害情報やハザードマップ情報とを組み合わせ危険を知らせるイルミネーションを実行してもよい。例えば、制御部70は、車両100の周辺において発生した自然災害の情報を上位ECU160から取得する。自然災害は、例えば、集中豪雨、河川の決壊、道路の陥没、道路の冠水などである。制御部70は、車両100から見て災害が発生している方向の発光部を発光させてもよい。危険を知らせるイルミネーションの発光色は、危険を知らせる色であることが好ましく、例えば、赤系色であってもよい。制御部70は、危険を知らせるイルミネーションの場合、発光部を点滅させてもよい。
【0059】
本変形例の制御部70は、自然災害情報やハザードマップなどの情報を利用して高度な情報表示イルミネーションを実行できる。例えば、制御部70は、現在発生している災害と、ハザードマップの情報とに基づいて、危険箇所を算出してもよい。一例として、制御部70は、河川の決壊位置と、ハザードマップとに基づいて、水没する可能性が高い危険箇所や水没する可能性が高い危険範囲を予測してもよい。制御部70は、予測される危険箇所や危険範囲をイルミネーションによって乗員に知らせる。
【0060】
上記の実施形態および変形例に開示された内容は、適宜組み合わせて実行することができる。
【符号の説明】
【0061】
1:車両用照明装置
2:対応部、 3:隣接部
10:前側照明、 10C:中央発光部、 10L:左発光部、 10R:右発光部
20:右側照明、 20F:前発光部、 20R:後発光部
30:左側照明、 30F:前発光部、 30R:後発光部
40:後側照明、 40L:左発光部、 40R:右発光部
50:第一照明装置
60:第二照明装置、 60L:左発光部、 60R:右発光部
70:制御部、 71:ONスイッチ、 72:色替えスイッチ
73:調光スイッチ、 74:モード切替スイッチ
80:第三照明装置、 81:光源、82:ルーフパネル
90:第四照明装置
100:車両、 110:車室、 120F:右前ドア、 120R:右後ドア
130F:左前ドア、 130R:左後ドア、 140:インストルメントパネル
150:シートバック、 160:上位ECU、 161:通信部
170:マルチメディアユニット、 180:メータ、 190:ルーフ
200:太陽
X:車両前後方向、 Y:車幅方向