(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111935
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】こんろ用ガスバーナ及び加熱調理器
(51)【国際特許分類】
F23D 14/06 20060101AFI20240813BHJP
F23Q 3/00 20060101ALI20240813BHJP
F24C 3/10 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
F23D14/06 Z
F23Q3/00 102F
F24C3/10 F
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016678
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】301071893
【氏名又は名称】株式会社ハーマン
(74)【代理人】
【識別番号】110002527
【氏名又は名称】弁理士法人北斗特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】平田 健
(72)【発明者】
【氏名】谷野 涼
(72)【発明者】
【氏名】村田 元
【テーマコード(参考)】
3K017
【Fターム(参考)】
3K017AB02
3K017AB07
3K017AD12
(57)【要約】
【課題】点火の安定性が高められたこんろ用ガスバーナ及び加熱調理器を提供する。
【解決手段】こんろ用ガスバーナ1は、複数の炎孔24を外周部に有する環状のバーナキャップ2と、複数の炎孔24に含まれる点火用炎孔25と、バーナキャップ2が載置されるバーナ本体7と、バーナキャップ2に設けられた点火ターゲット3と、点火ターゲット3の先端部35との間でスパークを生じさせる点火プラグ5と、を備える。点火ターゲット3の先端部35は、点火用炎孔25よりも上方に位置し、点火用炎孔25よりも、バーナキャップ2の径方向外側に位置する。先端部35は、バーナキャップ2の周方向に伸びる線状に形成されている。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の炎孔を外周部に有する環状のバーナキャップと、
前記複数の炎孔に含まれる点火用炎孔と、
前記バーナキャップが載置されるバーナ本体と、
前記バーナキャップに設けられた点火ターゲットと、
前記点火ターゲットの先端部との間でスパークを生じさせる点火プラグと、を備え、
前記点火ターゲットの前記先端部は、前記点火用炎孔よりも上方に位置し、前記点火用炎孔よりも、前記バーナキャップの径方向外側に位置し、かつ前記バーナキャップの周方向に伸びる線状に形成されている、
こんろ用ガスバーナ。
【請求項2】
前記点火ターゲットの前記先端部は、前記周方向において前記先端部を分断する少なくとも1つの凹部を含む、
請求項1のこんろ用ガスバーナ。
【請求項3】
前記点火ターゲットの前記先端部は、少なくとも1つの凹部と、前記少なくとも1つの凹部によって分断された複数の突先部と、を含み、
前記点火プラグは、前記複数の突先部のそれぞれとの間でスパークを生じるように構成され、
前記点火用炎孔は、前記複数の突先部と一対一で対応して位置するように、複数設けられている、
請求項1のこんろ用ガスバーナ。
【請求項4】
前記点火ターゲットの前記先端部は、前記周方向の中間部に位置する凹部と、前記凹部によって分断された2つの突先部と、を含み、
前記点火プラグは、前記2つの突先部のそれぞれとの間でスパークを生じるように構成され、
前記点火用炎孔は、前記2つの突先部と一対一で対向するように、前記周方向に距離をあけて2つ設けられている、
請求項1のこんろ用ガスバーナ。
【請求項5】
前記バーナキャップに設けられた庇部を更に備え、
前記庇部は、前記点火ターゲットを上方から覆う庇部本体と、前記庇部本体の周縁部から垂下した周壁と、を含み、
前記周壁と、前記点火ターゲットと、の間には隙間が設けられている、
請求項1のこんろ用ガスバーナ。
【請求項6】
前記点火ターゲットは、前記周方向の両端に位置する2つの垂直面を更に含み、
前記2つの垂直面は、それぞれ前記庇部本体の下面から伸びている、
請求項5のこんろ用ガスバーナ。
【請求項7】
請求項1から6のいずれか一項のこんろ用ガスバーナと、
前記こんろ用ガスバーナが装着された調理器本体と、を備えた、
加熱調理器。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、こんろ用ガスバーナと、これを備えた加熱調理器に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、こんろ用ガスバーナを備えた加熱調理器が開示されている。こんろ用ガスバーナは、複数の炎孔を外周部に有する環状のバーナキャップを備え、これら複数の炎孔には、複数の点火用炎孔が含まれている。
【0003】
バーナキャップには、点火ターゲットが設けられている。点火ターゲットは、点状の先端部を有している。この点火ターゲットの斜め下方に設置された点火プラグと、点火ターゲットの先端部と、の間でスパークを発生させることで、こんろ用ガスバーナの点火が行われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上記したガスバーナでは、バーナキャップに複数の点火用炎孔を設けることで、点火の安定性向上を図っている。しかし、上記の技術では、部品のばらつきや風の影響から、点火ターゲットの先端部の近傍において混合ガスが高濃度に存在しないことがあり、この場合には点火時間が遅くなる事態や、点火に失敗する事態が生じる。ここでの部品のばらつきには、バーナキャップの周方向のあそび幅内の位置ずれが含まれる。
【0006】
加えて、上記の技術では、煮こぼれ等の液滴が点火ターゲットの先端部に付着することがあり、液滴の付着に起因して、点火時間が遅くなる事態や、点火に失敗する事態が生じる。
【0007】
本開示は、点火の安定性が高められたこんろ用ガスバーナ及び加熱調理器を提供することを、目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本開示の一態様に係るこんろ用ガスバーナは、複数の炎孔を外周部に有する環状のバーナキャップと、前記複数の炎孔に含まれる点火用炎孔と、前記バーナキャップが載置されるバーナ本体と、前記バーナキャップに設けられた点火ターゲットと、前記点火ターゲットの先端部との間でスパークを生じさせる点火プラグと、を備える。前記点火ターゲットの前記先端部は、前記点火用炎孔よりも上方に位置し、前記点火用炎孔よりも、前記バーナキャップの径方向外側に位置し、かつ前記バーナキャップの周方向に伸びる線状に形成されている。
【0009】
本開示の一態様に係る加熱調理器は、前記こんろ用ガスバーナと、前記こんろ用ガスバーナが装着された調理器本体と、を備える。
【発明の効果】
【0010】
本開示は、こんろ用ガスバーナの点火の安定性が高められるという効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【0011】
【
図1】
図1は、一実施形態の加熱調理器の平面図である。
【
図2】
図2は、同上の加熱調理器に設置されたこんろ用ガスバーナの平面図である。
【
図5】
図5は、同上のこんろ用ガスバーナの正面図である。
【
図7】
図7は、同上のこんろ用ガスバーナが備えるバーナキャップの斜視図である。
【
図9】
図9は、同上のこんろ用ガスバーナの変形例の要部斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0012】
(1)実施形態
図1には、一実施形態の加熱調理器9を示している。一実施形態の加熱調理器9は、ガスこんろであって、詳しくは、図示略のキッチンカウンターに設置されるドロップイン型のガスこんろである。以下の文中で用いる方向は、加熱調理器9が設置された状態を基準とする。
【0013】
(1.1)加熱調理器
一実施形態の加熱調理器9は、こんろ用ガスバーナ1(以下、単に「ガスバーナ1」という。)と、ガスバーナ1が装着された調理器本体91と、を備えている。
【0014】
調理器本体91は、ケーシング92及び天板94を有している。調理器本体91の箱型の外殻は、ケーシング92及び天板94で構成されている。ケーシング92は、上方に開放された開口を有する矩形箱型のケーシングである。天板94は、ケーシング92の開口を覆うように、ケーシング92上に設置されている。
【0015】
天板94には複数の孔96が上下に貫通形成されており、各孔96を通じて、各孔96と対応するガスバーナ1の一部が上方に突出している。一実施形態の加熱調理器9においては、ガスバーナ1が左右に2つ設置され、これら左右のガスバーナ1の後ろに、別のガスバーナ1が1つ設置されている。左右のガスバーナ1は高火力のガスバーナであり、後ろのガスバーナ1は小火力のガスバーナである。
【0016】
調理器本体91は、複数の操作部98を更に有している。一実施形態の加熱調理器9においては、複数の操作部98のうち少なくとも1つが操作されることで、対応するガスバーナ1の点火及び消火の切換えや、対応するガスバーナ1の火力調整が行われる。
【0017】
更に、一実施形態の加熱調理器9は、調理器本体91の上面に設置される複数の五徳99を備えている。複数の五徳99は、3つガスバーナ1に一対一で対応する3つの五徳99である。各五徳99は、各五徳99と対応するガスバーナ1の一部を囲んで位置するように、天板94の上面に設置されている。
【0018】
(1.2)こんろ用ガスバーナ
図2から
図8には、高火力のガスバーナ1の全体又は一部を示している。以下においては、高火力のガスバーナ1に基づいて、一実施形態のガスバーナ1の詳細な構造を説明する。
【0019】
ガスバーナ1は、バーナ本体7と、鍋底温度センサ6と、点火プラグ5と、バーナキャップ2と、を備えている。
【0020】
(1.3)バーナ本体
図2及び
図3等に示されるように、バーナ本体7は、円筒状の外形を有するバーナヘッド72と、バーナヘッド72と一体に成形されたスロート部76と、バーナヘッド72及びスロート部76と一体に成形されたフランジ部78と、を有している。
【0021】
バーナヘッド72は、内側カバー721及び外側カバー723を含み、内側カバー721及び外側カバー723の間に、流路722が形成されている。流路722は、スロート部76につながり、かつ上方に開放された流路である。内側カバー721及び外側カバー723は、互いに結合されている。内側カバー721の内側には、上下に貫通する貫通孔73が形成されている。外側カバー723は、外側カバー723よりも背が低い内側カバー721を全周に亘って囲むように位置している。
【0022】
外側カバー723の上端部は、内側カバー721の上端部よりも高く位置している。バーナヘッド72の上端部は、外側カバー723の上端部によって構成されている。バーナヘッド72の上端部には、バーナキャップ2が着脱可能に載置される。換言すると、バーナヘッド72の上端部(つまり外側カバー723の上端部)が、バーナキャップ2を載置するための載置部74を構成している。
【0023】
スロート部76は、ガスバーナ1の混合管を構成する部分であり、バーナヘッド72の外周壁から水平方向に突出している。スロート部76は、バーナヘッド72の流路722に連通した図示略の内部流路と、この内部流路が開口した上流端部77と、を有している。
【0024】
フランジ部78は、スロート部76の外周壁から水平方向に延出された、平板状の部分である。フランジ部78には、保持台85が固定されている。
【0025】
保持台85は、ガス供給管87の下流端部が嵌め込まれる凹部855を有している。ガス供給管87は、スロート部76の内部流路に燃料ガスを供給するための管である。保持台85は、図示略の取付具を介してケーシング92に固定される。
【0026】
一実施形態の加熱調理器9では、ガス供給管87を通じてスロート部76に燃料ガスが供給され、この燃料ガスと共に周囲の空気が一次空気として供給される。スロート部76に供給された燃料ガスと一次空気は、スロート部76の内部流路において混合された後に、バーナヘッド72の流路722に供給される。
【0027】
(1.4)鍋底用温度センサ
鍋底温度センサ6は、ガスバーナ1で加熱される鍋の底面に当接して、温度を検出するように構成されている。
【0028】
鍋底温度センサ6は、バーナ本体7の貫通孔73に挿通される。鍋底温度センサ6は、バーナヘッド72の貫通孔73と、バーナキャップ2の貫通孔20と、を通じてバーナキャップ2よりも上方に突出する。
【0029】
(1.5)点火プラグ
図5等に示されるように、点火プラグ5は、バーナヘッド72の外周面(つまり外側カバー723の外側面)に沿って起立するように設置されている。点火プラグ5の先端部は、放電電極51で構成されている。
【0030】
放電電極51は、バーナキャップ2に設けられた点火ターゲット3に対して、隙間を介して対向する位置にある。一実施形態のガスバーナ1においては、点火プラグ5の放電電極51が、点火ターゲット3との間でスパークを生じさせる。これによって、バーナキャップ2を通じて外側に吹き出した混合ガスが点火され、バーナキャップ2の全周から炎が噴出する状態に至る。
【0031】
(1.6)バーナキャップ
図7及び
図8等に示されるように、バーナキャップ2は、上下に貫通した円環状の部材である。バーナキャップ2は、例えばアルミニウム合金で形成されている。バーナキャップ2は、上下に貫通した貫通孔20を自身の中心部分に有している。
【0032】
バーナヘッド72の載置部74にバーナキャップ2が載置された状態(以下、この状態を「載置状態」という。)で、バーナキャップ2の貫通孔20は、バーナヘッド72の貫通孔73と連通する(
図3を参照)。
【0033】
バーナキャップ2は、貫通孔20が設けられた円筒状の内筒部21と、内筒部21よりも径方向外側に位置する円筒状の外筒部23と、内筒部21及び外筒部23の互いの上部をつなぐ連結部22と、を備えている。本明細書において単に「径方向」というときは、バーナキャップ2の径方向を意味する。
【0034】
内筒部21及び外筒部23は、平面視において同心円状に位置する。本明細書において単に「平面視」というときは、バーナキャップ2の貫通孔20の軸線に沿った向きで見たときを意味する。
【0035】
内筒部21の下部は、外筒部23よりも下方に位置している。外筒部23の上部は、内筒部21よりも上方に位置している。外筒部23は、内筒部21よりも径方向において肉厚に形成されている。
【0036】
バーナキャップ2の連結部22は、上側の部分ほど径方向外側に位置するように、全体が傾斜している。連結部22は、上側の部分ほど漸次的に勾配が小さくなるように形成されている。
【0037】
(1.6.1)炎孔
バーナキャップ2の外筒部23には、複数の炎孔24が形成されている。複数の炎孔24は、周方向に互いに距離をあけて並んでいる。本明細書において単に「周方向」というときは、バーナキャップ2の周方向を意味する。各炎孔24は、上方に凹んだ形状を有している。各炎孔24は、径方向外側に向けて開口し、径方向内側に向けて開口し、かつ下側に向けて開口している。載置状態において、各炎孔24の下側の開口は、バーナ本体7の載置部74によって下側から覆われる。
【0038】
複数の炎孔24の向き(つまり複数の炎孔24からそれぞれ混合ガスが噴出する向き)は、径方向外側の向きを基準として、周方向の同一側(一実施形態では、下を向いて見たときに反時計回りの側)に傾いている。
【0039】
そのため、一実施形態のガスバーナ1では、複数の炎孔24からの炎が、下を向いて見たときに反時計回りの側に傾いて噴出する。これにより、ガスバーナ1から噴出する炎と鍋との接触範囲が広くなり、加熱調理における熱効率の向上や熱分布の改善が図られる。上記の傾きの角度は、例えば20°から27°の範囲内で設定されていることが好ましい。
【0040】
(1.6.2)点火用炎孔
複数の炎孔24には、点火用炎孔25が含まれている。一実施形態のガスバーナ1において、バーナキャップ2には、複数の点火用炎孔25が設けられており、具体的には、周方向に並んだ2つの点火用炎孔25A,25Bが設けられている。2つの点火用炎孔25A,25Bは、外筒部23の周方向の一部で構成された仕切部231(
図8を参照)を介して、周方向に距離をあけて仕切られている。
【0041】
点火用炎孔25A,25Bは、他の炎孔24と比較して小さな炎孔である。点火用炎孔25A,25Bは、他の炎孔24と同様に上方に凹んだ形状を有しているが、点火用炎孔25A,25Bが上方に凹んだ寸法は、他の炎孔24が上方に凹んだ寸法よりも小さい。換言すると、点火用炎孔25A,25Bの上下の寸法は、他の炎孔24の上下の寸法よりも小さい。
【0042】
点火用炎孔25A,25Bの向き(つまり点火用炎孔25A,25Bからそれぞれ混合ガスが噴出する向き)は、他の炎孔24の向きと同様に、径方向外側の向きを基準として周方向の同一側(一実施形態では、下を向いて見たときに反時計回りの側)に傾いている。上記の傾きの角度は、例えば20°から27°の範囲内で設定されていることが好ましい。
【0043】
(1.6.3)他の構成
図7及び
図8に示されるように、バーナキャップ2は、連結部22から下方に延長された中央ガイド壁261と、中央ガイド壁261を周方向の両側から挟む位置にある2つの側部ガイド壁262,263と、を更に備えている。
【0044】
中央ガイド壁261は、外筒部23のうち2つの点火用炎孔25A,25Bの間に位置する仕切部231に対して、連続するように設けられている。中央ガイド壁261は、内筒部21のうち、外筒部23の仕切部231の径方向内側に位置する部分に対して、連続するように設けられている。換言すると、中央ガイド壁261は、外筒部23の仕切部231から径方向内側に向けて直線状に延長された壁体であって、連結部22及び内筒部21と一体に形成されている。
【0045】
側部ガイド壁262は、外筒部23のうち、2つの点火用炎孔25A,25Bよりも周方向の第1側に設けられた仕切部232に対して、連続するように設けられている。側部ガイド壁262は、内筒部21のうち、外筒部23の仕切部232の径方向内側に位置する部分に対して、連続するように設けられている。換言すると、側部ガイド壁262は、外筒部23の仕切部232から径方向内側に向けて直線状に延長された壁体であって、連結部22及び内筒部21と一体に形成されている。
【0046】
側部ガイド壁263は、外筒部23のうち、2つの点火用炎孔25A,25Bよりも周方向の第2側に設けられた仕切部233に対して、連続するように設けられている。側部ガイド壁263は、内筒部21のうち、外筒部23の仕切部233の径方向内側に位置する部分に対して、連続するように設けられている。換言すると、側部ガイド壁263は、外筒部23の仕切部233から径方向内側に向けて直線状に延長された壁体であって、連結部22及び内筒部21と一体に形成されている。
【0047】
2つの側部ガイド壁262,263は、中央ガイド壁261よりも上下に長く形成されている。2つの側部ガイド壁262,263の下部は、中央ガイド壁261よりも下方に位置している。載置状態において、2つの側部ガイド壁262,263の下部は、バーナヘッド72の流路722の開口を通じて、流路722の内側に挿し込まれる。
【0048】
一実施形態のガスバーナ1において、複数の炎孔24には、外筒部23の両側の仕切部232,233の間に位置する2つの炎孔24A,24Bが含まれる。炎孔24A及び点火用炎孔25Aの間には、外筒部23の周方向の一部を構成する仕切部234が、設けられている。炎孔24A及び点火用炎孔25Aは、仕切部234を介して、周方向に距離をあけて仕切られている。仕切部234には、仕切部234を周方向に貫通する凹部235が形成されている。凹部235は、下側に向けて開口している。凹部235は、点火用炎孔25Aに至るまで周方向に伸びている。凹部235は、点火用炎孔25Aの径方向の中間部に交差している。点火用炎孔25Aのうち凹部235と交差する部分は、他の部分よりも上方に凹んでいる。
【0049】
同様に、炎孔24B及び点火用炎孔25Bの間には、外筒部23の周方向の一部を構成する仕切部236が、設けられている。炎孔24B及び点火用炎孔25Bは、仕切部236を介して、周方向に距離をあけて仕切られている。仕切部236には、仕切部236を周方向に貫通する凹部237が形成されている。凹部237は、下側に向けて開口している。凹部237は、点火用炎孔25Bに至るまで周方向に伸びている。凹部237は、点火用炎孔25Bの径方向の中間部に交差している。点火用炎孔25Bのうち凹部237と交差する部分は、他の部分よりも上方に凹んでいる。
【0050】
外筒部23の周方向の一部を構成する仕切部231,234,236は、外筒部23の別の部分と比較して、径方向外側に飛び出た位置にある。点火用炎孔25A,25Bの径方向外側の開口(つまり、点火用炎孔25A,25Bから混合ガスが噴出する開口)は、他の炎孔24の径方向外側の開口(つまり、他の炎孔24から混合ガスが噴出する開口)よりも、径方向外側に位置している。
【0051】
一実施形態のガスバーナ1において、バーナキャップ2の上端には、バーナカバー81が固定されている。バーナカバー81は、バーナキャップ2とは別体に形成された環状の部材であり、バーナキャップ2の上面を覆うように、バーナキャップ2の上方に設けられている。
【0052】
バーナカバー81は、バーナキャップ2よりも径方向外側に張り出して位置するので、仮に、ガスバーナ1が弱火に設定されたときでも、各炎孔24から噴出する炎と、鍋底温度センサ6と、の間で距離が確保されやすい。そのため、弱火のときでも鍋底温度センサ6に炎の影響が及びにくく、鍋底温度を鍋底温度センサ6で正確に検出しやすいという利点がある。
【0053】
(1.7)点火ターゲット
点火ターゲット3は、後述する庇部4と一体に設けられている。バーナキャップ2の周方向の一部から、径方向外側に向けて庇部4が突出し、庇部4から下方に点火ターゲット3が突出している。
【0054】
点火ターゲット3は、庇部4から下方に突出した主体部31と、主体部31の一部から更に下方に突出した先端部35と、を含む。
【0055】
主体部31は、水平断面が矩形状をなすブロック状の部分である。主体部31には、主体部31の周方向の両端面を構成する2つの垂直面32,33と、主体部31の径方向外側の端面を構成する1つの垂直面34と、が設けられている。これら垂直面32,33,34は、いずれも庇部4から下方に伸びている。
【0056】
周方向の両端に位置する2つの垂直面32,33は、互いに反対側を向いた平坦な面である。径方向外側に位置する垂直面34は、2つの垂直面32,33の径方向外側の端縁同士をつなぐ平坦な面である。垂直面32及び垂直面34は、平面視においてL字をなすように連続しており、垂直面33及び垂直面34は、平面視においてL字をなすように連続している。
【0057】
先端部35は、点火ターゲット3のうち最も下側の部分である。先端部35は、主体部31の径方向の一部から、下方に突出している。詳細に述べると、先端部35は、主体部31のうち径方向外側の端部から、下方に突出している。先端部35は、先側の部分ほど(つまり下側の部分ほど)水平断面が小さくなるように形成されている。垂直面32,33,34は、それぞれ主体部31から先端部35に至るまで平坦に形成されている。
【0058】
先端部35は、周方向に伸びる線状に形成され、かつ先端部35の周方向の一部には、上方に凹んだ形状の凹部352が設けられている。先端部35は、径方向において所定の幅を有している。凹部352は、径方向外側に向けて開口し、径方向内側に向けて開口し、かつ下側に向けて開口している。凹部352は、水切りの機能を有することができる。
【0059】
一実施形態のガスバーナ1において、凹部352は、先端部35のうち周方向の中間部に設けられている。先端部35は、上方に凹んだ凹部352によって、周方向において分断されている。凹部352は、水切り可能な程度に先端部35を分断するものであることが望ましく、凹部352の幅や、凹部352の上方への凹みの程度は、図示例のものに限定されない。また、変形例において後述するように、凹部352は必須でなく、先端部35に凹部352が設けられないことも有り得る。
【0060】
先端部35のうち凹部352を挟む周方向の両側には、それぞれ突先部354が形成されている(
図4を参照)。凹部352を挟んで位置する2つの突先部354は、周方向に距離をあけて位置する2つの突先部354A,354Bである。2つの突先部354A,354Bの上下方向の位置は、互いに同一である。
【0061】
先端部35は、バーナキャップ2の点火用炎孔25A,25Bよりも上方に位置し、かつ点火用炎孔25A,25Bよりも径方向外側に位置している。そのため、先端部35の一部を構成する2つの突先部354A,354Bにおいても、バーナキャップ2の点火用炎孔25A,25Bよりも上方に位置し、かつ点火用炎孔25A,25Bよりも径方向外側に位置している。
【0062】
突先部354A,354Bと点火用炎孔25A,25Bは、一対一で対応して位置している。
図4等に示されるように、突先部354A,354Bのうち周方向の第1側に位置する突先部354Aは、点火用炎孔25A,25Bのうち周方向の第1側に位置する点火用炎孔25Aに対して、対向する位置にある。突先部354Aは、点火用炎孔25Aよりも上方に位置し、かつ点火用炎孔25Aよりも径方向外側に位置している。同様に、突先部354A,354Bのうち周方向の第2側に位置する突先部354Bは、点火用炎孔25A,25Bのうち周方向の第2側に位置する点火用炎孔25Bに対して、対向する位置にある。突先部354Bは、点火用炎孔25Bよりも上方に位置し、かつ点火用炎孔25Bよりも径方向外側に位置している。
【0063】
図4に示されるように、径方向内側を向いて見たとき、周方向において先端部35の一部が点火用炎孔25A,25Bと重なって位置する。詳細には、径方向内側を向いて見たとき、周方向において突先部354Aが点火用炎孔25Aと重なって位置し、突先部354Bが点火用炎孔25Bと重なって位置する。周方向において、突先部354Aの全部が点火用炎孔25Aと重なって位置してもよいし、突先部354Aの一部が点火用炎孔25Aと重なって位置してもよい。また、周方向において、突先部354Bの全部が点火用炎孔25Bと重なって位置してもよいし、突先部354Bの一部が点火用炎孔25Bと重なって位置してもよい。
【0064】
一実施形態のガスバーナ1では、載置状態において、バーナヘッド72の流路722と、バーナキャップ2の複数の炎孔24と、が連通する。つまり、
図6に示されるように、バーナヘッド72の流路722と、点火用炎孔25A,25Bと、が連通する。混合ガスは、バーナ本体7のスロート部76及び流路722を経て、更に側部ガイド壁262,263及び中央ガイド壁261にガイドされて、2つの点火用炎孔25A,25Bにまで供給され、2つの点火用炎孔25A,25Bを通じて径方向外側に向けて放出される。
【0065】
点火用炎孔25Aから放出された混合ガスは、点火用炎孔25Aの径方向外側に位置する突先部354Aの周囲に、混合ガスが高濃度に含まれた雰囲気ガスを作り出す。同様に、点火用炎孔25Bから放出された混合ガスは、点火用炎孔25Bの径方向外側に位置する突先部354Bの周囲に、混合ガスが高濃度に含まれた雰囲気ガスを作り出す。
【0066】
点火プラグ5は、周方向に距離をあけて位置する2つの突先部354A,354Bのそれぞれとの間で、スパークを生じさせる。点火プラグ5の放電電極51及び突先部354Aの間の距離と、放電電極51及び突先部354Bの間の距離と、は略一致している。点火プラグ5の突先(つまり放電電極51の突先)は、点火ターゲット3の周方向の中間部と対向する位置にある。点火プラグ5の突先は、点火用炎孔24A,24Bよりも下方に位置し、かつ点火用炎孔24A,24Bよりも径方向外側に位置している。
【0067】
(1.8)庇部
庇部4は、点火ターゲット3と一体に設けられている。庇部4は、バーナキャップ2の上端部の周方向の一部から、径方向外側に向けて突出している。庇部4は、バーナキャップ2の上端部から径方向外側に向けて突出した庇部本体41と、庇部本体41の周縁部から垂下した周壁43と、を含む。
【0068】
点火ターゲット3は、平板状である庇部本体41の下面のうち径方向内側の半部から、下方に突出している(
図7及び
図8を参照)。庇部本体41が点火ターゲット3を上方から覆うことで、煮こぼれ等の液滴(以下、単に「液滴」という。)が点火ターゲット3の先端部35に付着することが抑えられる。
【0069】
周壁43は、庇部本体41の周方向の両端縁部から下方に垂下された第1及び第2の垂下壁431,432と、庇部本体41の径方向外側の端縁部から垂下された第3の垂下壁433と、を含む。第1、第2、及び第3の垂下壁431,432,433は、平面視においてコ字状をなすように連続している。周壁43の下端(つまり第1、第2、及び第3の垂下壁431,432,433の下端)は、点火ターゲット3の先端部35よりも上方に位置している。周方向に並んだ第1及び第2の垂下壁431,432の径方向内側の端部は、径方向内側の部分ほど互いに近づくように傾いている。
【0070】
周壁43と、周壁43に囲まれて位置する点火ターゲット3と、の間には隙間S1が設けられている。隙間S1は、第1の垂下壁431及び点火ターゲット3の間に形成された隙間と、第2の垂下壁432及び点火ターゲット3の間に形成された隙間と、第3の垂下壁433及び点火ターゲット3の間に形成された隙間と、を含む。第1の垂下壁431及び点火ターゲット3の間の距離は、第2の垂下壁432及び点火ターゲット3の間の距離と同一である。第3の垂下壁433及び点火ターゲット3の間の距離は、第1の垂下壁431及び点火ターゲット3の間の距離よりも長く、また、第2の垂下壁432及び点火ターゲット3の間の距離よりも長い。
【0071】
(1.9)作用効果
上記の構成を備える一実施形態のガスバーナ1においては、点火ターゲット3の先端部35が、周方向に伸びる線状に形成されているので、部品のばらつきや風の影響で、混合ガスの濃度分布に大きな偏りが生じても、点火ターゲット3側の周方向の広範囲に向けて、点火プラグ5からのスパークを飛ばすことができ、安定的な点火が実現される。
【0072】
加えて、液滴が点火ターゲット3に付着したときにも、点火ターゲット3の先端部35の全体に液滴が付着することは抑えられるので、安定的な点火が実現される。特に、一実施形態のガスバーナ1では、点火ターゲット3の先端部35の中間部に、水切りの機能を有する凹部352が形成されているので、仮に、先端部35のうち凹部352を挟んだ一方の側(例えば突先部354A)に液滴が付着しても、この液滴が、先端部35のうち凹部352を挟んだ他方の側(例えば突先部354B)にまで伝わることは効果的に抑えられる。そのため、液滴が点火ターゲット3に付着したときにも、安定的な点火が実現される。
【0073】
更に、一実施形態のガスバーナ1では、点火ターゲット3を上方から覆う庇部4がコ字状の周壁43を備えているので、庇部4の上に液滴が付着しても、この周壁43が水切りの機能を発揮することで、点火ターゲット3にまで液滴が伝わることが抑えられる。仮に、点火ターゲット3にまで液滴が伝わっても、点火ターゲット3の主体部31の外周面は垂直面32,33,34を含むので、液滴は垂直面32,33,34を伝ってそのまま落下しやすく、液滴が先端部35に付着することは抑えられる。
【0074】
(2)変形例
以上、本開示を添付図面に示す実施形態に基づいて説明したが、本開示は上記の実施形態に限定されない。
【0075】
図9には、ガスバーナ1の変形例の要部が示されている。この変形例においても、点火ターゲット3の先端部35は、周方向に伸びる線状に形成されているが、先端部35には凹部352が設けられていない。この変形例においても、線状の先端部35は、径方向において所定の幅を有している。
【0076】
この変形例において、点火ターゲット3は、周方向の両端に位置する2つの垂直面32,33を備えているが、径方向外側の垂直面34は備えていない。点火ターゲット3の径方向外側の端面は、傾斜面36で構成されている。傾斜面36は、下側の部分ほど径方向内側に位置するように傾斜しており、換言すると、先端部35に近い部分ほど径方向内側に位置するように傾斜している。傾斜面36は平坦面である。
【0077】
加えて、点火ターゲット3の径方向内側の端面は、傾斜面37で構成されている。傾斜面37は、下側の部分ほど径方向外側に位置するように傾斜しており、換言すると、先端部35に近い部分ほど径方向外側に位置するように傾斜している。傾斜面37は平坦面である。
【0078】
点火ターゲット3の垂直面32,33及び傾斜面36,37は、それぞれ庇部本体41の下面から伸びている。傾斜面36,37は、それぞれ下側の部分ほど互いの距離が短くなるように傾斜している。
【0079】
この変形例において、周壁43は、第1、第2、及び第3の垂下壁431,432,433に加えて、第4の垂下壁434を含んでいる。第1、第2、第3、及び第4の垂下壁431,432,433,434は、平面視においてロ字状をなすように連続している。
【0080】
周壁43及び点火ターゲット3の間には、隙間S1が設けられている。隙間S1は、第1の垂下壁431及び点火ターゲット3の間に形成された隙間と、第2の垂下壁432及び点火ターゲット3の間に形成された隙間と、第3の垂下壁433及び点火ターゲット3の間に形成された隙間と、に加えて、第4の垂下壁434及び点火ターゲット3の間に形成された隙間を含む。隙間S1は、点火ターゲット3を全周に亘って囲むように設けられている。
【0081】
この変形例においても、上記した一実施形態のガスバーナ1と同様に、部品のばらつきや風の影響で、混合ガスの濃度分布に大きな偏りが生じても、点火ターゲット3側の周方向の広範囲に向けて、点火プラグ5からのスパークを飛ばすことで、安定的な点火が実現される。
【0082】
加えて、液滴が点火ターゲット3に付着したときにも、点火ターゲット3の先端部35の全体に液滴が付着することは抑えられるので、安定的な点火が実現される。更に、点火ターゲット3を上方から覆う庇部4が周壁43を備えているので、庇部4の上に液滴が付着しても、点火ターゲット3にまで液滴が伝わることは抑制される。仮に、液滴が点火ターゲット3に伝わっても、液滴は垂直面32,33を伝ってそのまま落下しやすく、液滴が先端部35に付着することは抑えられる。
【0083】
本開示の他の構成においても、本開示の意図する範囲内であれば、適宜の設計変更を行うことが可能である。以下において、変形例を更に列挙する。
【0084】
一実施形態のガスバーナ1において、ガスバーナ1は2つの点火用炎孔25を有するが、点火用炎孔25の数はこれに限定されない。点火用炎孔25は1つでもよいし、3つ以上でもよい。
【0085】
一実施形態のガスバーナ1において、ガスバーナ1の点火ターゲット3の先端部35は1つの凹部352を含むが、先端部35が複数の凹部352を含むことも有り得る。例えば、先端部35において、凹部352が周方向に距離をあけて2つ形成されている場合には、先端部35に、周方向に距離をあけて並ぶように3つの突先部354が形成される。この場合、仮に両端の2つの突先部354に液滴が付着しても、この液滴が中央の突先部354にまで伝わることは抑えられる。凹部352が3つ以上設けられてもよいし、突先部354が4つ以上設けられてもよい。
【0086】
一実施形態のガスバーナ1において、ガスバーナ1の庇部4は庇部本体41及び周壁43を含むが、周壁43を含まないことも有り得る。この場合でも、庇部本体41の存在によって、点火ターゲット3に液滴が付着することが抑えられる。なお、一実施形態のガスバーナ1では、周壁43が液滴の浸入を抑える機能を有することから、庇部本体41ひいては庇部4全体をコンパクトに形成可能となっている。
【0087】
一実施形態のガスバーナ1において、ガスバーナ1の点火ターゲット3は、周方向の両端に位置する2つの垂直面32,33を含むが、点火ターゲット3がこのような垂直面32,33を含まないことも有り得る。
【0088】
一実施形態のガスバーナ1において、点火用炎孔25を含む複数の炎孔24の向きは、径方向外側の向きを基準として、下を向いて見たときに反時計回りの側に傾いているが、この傾きが逆(つまり時計回りの側)であってもよい。また、点火用炎孔25を含む複数の炎孔24の向きが、径方向外側の向き(つまり径方向外側の向きを基準として、これから時計回り及び反時計回りのいずれにも傾いていない向き)であってもよい。
【0089】
(3)態様
第1の態様のこんろ用ガスバーナ(1)は、環状のバーナキャップ(2)と、点火用炎孔(25)と、バーナ本体(7)と、点火ターゲット(3)と、点火プラグ(5)と、を備える。バーナキャップ(2)は、複数の炎孔(24)を外周部に有する。点火用炎孔(25)は、複数の炎孔(24)に含まれる。バーナ本体(7)には、バーナキャップ(2)が載置される。点火ターゲット(3)は、バーナキャップ(2)に設けられている。点火プラグ(5)は、点火ターゲット(3)の先端部(35)との間でスパークを生じさせる。点火ターゲット(3)の先端部(35)は、点火用炎孔(25)よりも上方に位置し、点火用炎孔(25)よりも、バーナキャップ(2)の径方向外側に位置し、かつバーナキャップ(2)の周方向に伸びる線状に形成されている。
【0090】
この態様によれば、点火ターゲット(3)の先端部(35)が、周方向に伸びる線状に形成されているので、部品のばらつきや風の影響で混合ガスの濃度分布に大きな偏りが生じても、点火ターゲット(3)側の周方向の広範囲に向けて、点火プラグ(5)からのスパークを飛ばすことにより、安定的な点火を図ることができる。
【0091】
第2の態様のこんろ用ガスバーナ(1)では、第1の態様において、点火ターゲット(3)の先端部(35)は、周方向において先端部(35)を分断する少なくとも1つの凹部(352)を含む。
【0092】
この態様によれば、点火ターゲット(3)の先端部(35)の一部に、煮こぼれ等の液滴が付着しても、この液滴が、先端部(35)の他の部分にまで伝わることは抑えられる。そのため、液滴が点火ターゲット(3)に付着したときにも、安定的な点火を図ることができる。
【0093】
第3の態様のこんろ用ガスバーナ(1)では、第1の態様において、点火ターゲット(3)の先端部(35)は、少なくとも1つの凹部(352)と、少なくとも1つの凹部(352)によって分断された複数の突先部(354)と、を含む。点火プラグ(5)は、複数の突先部(354)のそれぞれとの間でスパークを生じるように構成されている。点火用炎孔(25)は、複数の突先部(354)と一対一で対応して位置するように、複数設けられている。
【0094】
この態様によれば、点火ターゲット(3)の先端部(35)の一部に、煮こぼれ等の液滴が付着しても、この液滴が、先端部(35)の他の部分にまで伝わることは抑えられる。そのため、液滴が点火ターゲット(3)に付着したときにも、安定的な点火を図ることができる。加えて、1つの点火プラグ(5)から、複数の突先部(354)のそれぞれにスパークを飛ばすことができる。横風等の影響により、複数の突先部(354)の全ての周囲に高濃度の混合ガスが存在しない場合でも、少なくとも1つの突先部(354)との間でスパークを生じさせることで、安定的な点火を図ることができる。
【0095】
第4の態様のこんろ用ガスバーナ(1)では、第1の態様において、点火ターゲット(3)の先端部(35)は、周方向の中間部に位置する凹部(352)と、凹部(352)によって分断された2つの突先部(354)と、を含む。点火プラグ(5)は、2つの突先部(354)のそれぞれとの間でスパークを生じるように構成されている。点火用炎孔(25)は、2つの突先部(354)と一対一で対向するように、周方向に距離をあけて2つ設けられている。
【0096】
この態様によれば、点火ターゲット(3)の一方の突先部(354)に、煮こぼれ等の液滴が付着しても、この液滴が、他方の突先部(354)にまで伝わることは抑えられる。そのため、液滴が点火ターゲット(3)に付着したときにも、安定的な点火を図ることができる。加えて、1つの点火プラグ(5)から、2つの突先部(354)のそれぞれにスパークを飛ばすことができる。横風等の影響により、一方の突先部(354)の周囲にだけ混合ガスが高濃度に含まれている場合にも、この突先部(354)との間でスパークを生じさせることで、安定的な点火を図ることができる。
【0097】
第5の態様のこんろ用ガスバーナ(1)は、第1から第5のいずれか1つの態様において、バーナキャップ(2)に設けられた庇部(4)を更に備える。庇部(4)は、点火ターゲット(3)を上方から覆う庇部本体(41)と、庇部本体(41)の周縁部から垂下した周壁(43)と、を含む。周壁(43)と、点火ターゲット(3)と、の間には隙間(S1)が設けられている。
【0098】
この態様によれば、庇部本体(41)及び周壁(43)の存在によって、煮こぼれ等の液滴が点火ターゲット(3)に付着することを抑え、更に安定的な点火を図ることができる。しかも、周壁(43)が液滴の浸入を抑えるので、庇部本体(41)はコンパクトに形成可能であり、デザイン性の向上にも寄与する。
【0099】
第6の態様のこんろ用ガスバーナ(1)では、第5の態様において、点火ターゲット(3)は、周方向の両端に位置する2つの垂直面(32,33)を更に含む。
【0100】
この態様によれば、2つの垂直面(32,33)の存在により、煮こぼれ等の液滴が点火ターゲット(3)の先端部(35)に付着することを抑えることができる。
【0101】
第7の態様の加熱調理器(9)は、第1から第6のいずれか1つの態様のこんろ用ガスバーナ(1)と、こんろ用ガスバーナ(1)が装着された調理器本体(91)と、を備える。
【0102】
この態様によれば、加熱調理器(9)が備えるこんろ用ガスバーナ(1)の点火ターゲット(3)の先端部(35)が、周方向に伸びる線状に形成されていることにより、風等の影響で混合ガスの濃度分布に大きな偏りが生じても、点火ターゲット(3)側の周方向の広範囲に向けて、点火プラグ(5)からのスパークを飛ばすことにより、安定的な点火を図ることができる。
【符号の説明】
【0103】
1 こんろ用ガスバーナ
2 バーナキャップ
24 炎孔
25 点火用炎孔
3 点火ターゲット
32 垂直面
33 垂直面
35 先端部
352 凹部
354 突先部
4 庇部
41 庇部本体
43 周壁
5 点火プラグ
7 バーナ本体
9 加熱調理器
91 調理器本体
S1 隙間