(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011194
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】画像記録装置
(51)【国際特許分類】
B41J 25/20 20060101AFI20240118BHJP
B41J 29/38 20060101ALI20240118BHJP
B41J 11/66 20060101ALI20240118BHJP
B65H 7/14 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
B41J25/20
B41J29/38 301
B41J11/66
B65H7/14
【審査請求】未請求
【請求項の数】23
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113011
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100117101
【弁理士】
【氏名又は名称】西木 信夫
(74)【代理人】
【識別番号】100120318
【弁理士】
【氏名又は名称】松田 朋浩
(72)【発明者】
【氏名】笠松 大祐
【テーマコード(参考)】
2C058
2C061
3F048
【Fターム(参考)】
2C058AB04
2C058AB12
2C058AC07
2C058AE02
2C058AF31
2C058AF51
2C058LA03
2C058LA07
2C058LB07
2C058LB36
2C058LC15
2C061AP07
2C061AQ05
2C061AR01
2C061AR03
2C061AS02
2C061HN04
2C061HN15
2C061HV02
2C061HV47
3F048AA05
3F048AB01
3F048BB02
3F048DA05
3F048DC06
3F048EA15
3F048EB17
3F048EB39
(57)【要約】
【課題】切断部に異常がある場合でも、ユーザが被記録媒体を正確に切断できる手段を提供する。
【解決手段】複合機10は、シートSを前後方向8に搬送する搬送部30と、搬送部30によって搬送されるシートSに画像を記録する記録部40と、記録部40によって画像が記録されたシートSを切断する切断部50と、制御部90とを備えている。制御部90は、切断部50に異常があると判断した場合に、記録部40に、シートSの切断に応じた位置に切断補助線としてカット線を記録させ、切断部50にシートSを切断させない。
【選択図】
図7
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
上記搬送部によって搬送される被記録媒体に画像を記録する記録部と、
上記記録部によって画像が記録された被記録媒体を切断する切断部と、
制御部と、を備え、
上記制御部は、
所定条件が満たされた場合には、上記記録部に被記録媒体の上記切断に応じた位置に切断補助線を記録させ、上記切断部に被記録媒体を切断させない画像記録装置。
【請求項2】
上記制御部は、
上記所定条件が満たされなかった場合には、上記記録部に上記切断補助線を記録させず、上記切断部に被記録媒体を切断させる請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項3】
上記所定条件は、上記切断部に異常があるという条件である請求項1に記載の画像記録装置。
【請求項4】
被記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、
上記搬送部によって搬送される被記録媒体に画像を記録する記録部と、
上記記録部によって画像が記録された被記録媒体を切断する切断部と、
制御部と、を備え、
上記制御部は、上記切断部に上記被記録媒体を切断させ、上記記録部に被記録媒体の上記切断に応じた位置に切断補助線を記録させる画像記録装置。
【請求項5】
上記被記録媒体は、所定サイズのシートである請求項1または4に記載の画像記録装置。
【請求項6】
上記制御部は、以前の画像記録において上記切断部に異常があると判断した場合には、上記記録部に被記録媒体に画像を記録させ、上記切断部を動作させない請求項1または4に記載の画像記録装置。
【請求項7】
上記制御部は、画像記録中に上記切断部に異常があると判断した場合には、以降の画像記録において、上記記録部に被記録媒体に画像を記録させ、上記切断部を動作させない請求項1または4に記載の画像記録装置。
【請求項8】
表示部をさらに備え、
上記制御部は、上記切断部に異常があると判断した場合に上記切断補助線を記録するか否かについて選択するための選択オブジェクトを上記表示部に表示する請求項1または4に記載の画像記録装置。
【請求項9】
上記制御部は、上記選択オブジェクトにより上記切断補助線の記録が選択された場合に、上記切断補助線の記録モードを示す画面を上記表示部に表示する請求項8に記載の画像記録装置。
【請求項10】
上記切断補助線の記録モードを設定する設定部をさらに備えた請求項1または4に記載の画像記録装置。
【請求項11】
上記設定部は、上記切断部の異常の有無にかかわらず、上記切断補助線を記録しないモードに上記制御部を設定する請求項10に記載の画像記録装置。
【請求項12】
上記設定部は、上記切断部に異常がある場合には、上記切断補助線を記録せず、上記切断部を動作させないモードに上記制御部を設定する請求項10に記載の画像記録装置。
【請求項13】
上記設定部は、上記切断部の異常の有無にかかわらず、上記切断補助線を記録するモードに上記制御部を設定する請求項10に記載の画像記録装置。
【請求項14】
上記設定部は、上記切断部に異常がある場合に限り、上記切断補助線を記録するモードに上記制御部を設定する請求項10に記載の画像記録装置。
【請求項15】
上記設定部は、上記切断部の異常の有無にかかわらず、上記切断補助線を記録し、上記切断部を動作させないモードに上記制御部を設定する請求項10に記載の画像記録装置。
【請求項16】
上記設定部は、上記切断補助線の太さを設定する請求項10に記載の画像記録装置。
【請求項17】
上記設定部は、上記切断補助線の色を設定する請求項10に記載の画像記録装置。
【請求項18】
上記設定部は、上記切断補助線の線種を設定する請求項10に記載の画像記録装置。
【請求項19】
上記設定部は、上記切断補助線が記録される被記録媒体の面を設定する請求項10に記載の画像記録装置。
【請求項20】
上記設定部は、上記切断補助線が記録される被記録媒体の周期を設定する請求項10に記載の画像記録装置。
【請求項21】
上記制御部は、上記記録部に、上記切断補助線として、被記録媒体の上記切断に応じた位置に位置する2つの点を記録させる請求項1または4に記載の画像記録装置。
【請求項22】
上記制御部は、上記記録部に、上記切断補助線を被記録媒体の裏面に記録させる請求項1または4に記載の画像記録装置。
【請求項23】
上記制御部は、複数の被記録媒体に画像を記録する場合に上記切断部に異常があると判断した場合には、上記記録部に、画像記録後に最も上になる被記録媒体に上記切断補助線を記録させる請求項1または4に記載の画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、画像が記録された被記録媒体を切断する切断部を備えた画像記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、画像を複写したコピー用紙を所定位置で切断する画像形成装置が記載されている。この画像形成装置では、操作パネルを介して原稿の複部数コピーが設定され、その後に操作パネル内で切断ボタンが押されたときに、コピー用紙が切断される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
画像が記録された被記録媒体を切断する切断部を備えた画像記録装置では、切断部が何らかの理由で被記録媒体を切断できない場合がある。この場合、画像記録装置からは切断されていない状態の被記録媒体が排出されるので、画像記録装置のユーザは、切断部に代わって被記録媒体を切断する必要がある。しかしながら、被記録媒体の切断位置はユーザには不明であるので、ユーザが被記録媒体を正確に切断することは困難である。
【0005】
本発明は、上記の事情に鑑みてなされたものであり、その目的は、切断部に異常がある場合でも、ユーザが被記録媒体を正確に切断できる手段を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1) 本発明の画像記録装置は、被記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、上記搬送部によって搬送される被記録媒体に画像を記録する記録部と、上記記録部によって画像が記録された被記録媒体を切断する切断部と、制御部と、を備えている。上記制御部は、所定条件が満たされた場合には、上記記録部に被記録媒体の上記切断に応じた位置に切断補助線を記録させ、上記切断部に被記録媒体を切断させない。
【0007】
上記画像記録装置では、所定条件が満たされた場合には、被記録媒体の切断に応じた位置に切断補助線が記録される。したがって、所定条件が満たされた場合でも、ユーザは切断補助線に従い被記録媒体を正確に切断できる。
【0008】
(2) 好ましくは、上記制御部は、上記所定条件が満たされなかった場合には、上記記録部に上記切断補助線を記録させず、上記切断部に被記録媒体を切断させてもよい。
【0009】
(3) 好ましくは、上記所定条件は、上記切断部に異常があるという条件であってもよい。
【0010】
(4) 本発明の画像記録装置は、被記録媒体を搬送方向に搬送する搬送部と、上記搬送部によって搬送される被記録媒体に画像を記録する記録部と、上記記録部によって画像が記録された被記録媒体を切断する切断部と、制御部と、を備えている。上記制御部は、上記切断部に上記被記録媒体を切断させ、上記記録部に被記録媒体の上記切断に応じた位置に切断補助線を記録させる。
【0011】
上記画像記録装置からは、切断補助線が記録され、切断された被記録媒体が排出される。したがって、ユーザは、被記録媒体が正しく切断されたか否かを容易に確認できる。
【0012】
(5) 好ましくは、上記被記録媒体は、所定サイズのシートであってもよい。
【0013】
(6) 好ましくは、上記制御部は、以前の画像記録において上記切断部に異常があると判断した場合には、上記記録部に被記録媒体に画像を記録させ、上記切断部を動作させなくてもよい。
【0014】
(7) 好ましくは、上記制御部は、画像記録中に上記切断部に異常があると判断した場合には、以降の画像記録において、上記記録部に被記録媒体に画像を記録させ、上記切断部を動作させなくてもよい。
【0015】
(8) 好ましくは、上記画像記録装置は、表示部をさらに備え、上記制御部は、上記切断部に異常があると判断した場合に上記切断補助線を記録するか否かについて選択するための選択オブジェクトを上記表示部に表示してもよい。
【0016】
(9) 好ましくは、上記制御部は、上記選択オブジェクトにより上記切断補助線の記録が選択された場合に、上記切断補助線の記録モードを示す画面を上記表示部に表示してもよい。
【0017】
(10) 好ましくは、上記画像記録装置は、上記切断補助線の記録モードを設定する設定部をさらに備えていてもよい。
【0018】
(11) 好ましくは、上記設定部は、上記切断部の異常の有無にかかわらず、上記切断補助線を記録しないモードに上記制御部を設定してもよい。
【0019】
(12) 好ましくは、上記設定部は、上記切断部に異常がある場合には、上記切断補助線を記録せず、上記切断部を動作させないモードに上記制御部を設定してもよい。
【0020】
(13) 好ましくは、上記設定部は、上記切断部の異常の有無にかかわらず、上記切断補助線を記録するモードに上記制御部を設定してもよい。
【0021】
(14) 好ましくは、上記設定部は、上記切断部に異常がある場合に限り、上記切断補助線を記録するモードに上記制御部を設定してもよい。
【0022】
(15) 好ましくは、上記設定部は、上記切断部の異常の有無にかかわらず、上記切断補助線を記録し、上記切断部を動作させないモードに上記制御部を設定してもよい。
【0023】
(16) 好ましくは、上記設定部は、上記切断補助線の太さを設定してもよい。
【0024】
(17) 好ましくは、上記設定部は、上記切断補助線の色を設定してもよい。
【0025】
(18) 好ましくは、上記設定部は、上記切断補助線の線種を設定してもよい。
【0026】
(19) 好ましくは、上記設定部は、上記切断補助線が記録される被記録媒体の面を設定してもよい。
【0027】
(20) 好ましくは、上記設定部は、上記切断補助線が記録される被記録媒体の周期を設定してもよい。
【0028】
(21) 好ましくは、上記制御部は、上記記録部に、上記切断補助線として、被記録媒体の上記切断に応じた位置に位置する2つの点を記録させてもよい。
【0029】
(22) 好ましくは、上記制御部は、上記記録部に、上記切断補助線を被記録媒体の裏面に記録させてもよい。
【0030】
(23) 好ましくは、上記制御部は、複数の被記録媒体に画像を記録する場合に上記切断部に異常があると判断した場合には、上記記録部に、画像記録後に最も上になる被記録媒体に上記切断補助線を記録させてもよい。
【発明の効果】
【0031】
本発明によれば、切断部に異常がある場合でも、ユーザは被記録媒体を正確に切断できる。あるいは、ユーザは、被記録媒体が正しく切断されたか否かを容易に確認できる。
【図面の簡単な説明】
【0032】
【
図1】
図1は、本発明の実施形態に係る複合機10の外観斜視図である。
【
図2】
図2は、複合機10の構造を模式的に示す縦断面図である。
【
図3】
図3は、複合機10の主要な構成要素を示す平面図である。
【
図5】
図5は、複合機10におけるカット線の記録モードを示す図である。
【
図6】
図6(A)は表示部22の初期画面を示す図であり、
図6(B)はカット線オン/オフの設定画面を示す図であり、
図6(C)はカット線オフ時の記録モードの設定画面を示す図であり、
図6(D)はカット線オン時の記録モードの設定画面を示す図であり、
図6(E)はカット線の属性の選択画面を示す図であり、
図6(F)はカット線の線種の設定画面を示す図である。
【
図7】
図7は、カット印刷処理のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0033】
以下、本発明の実施形態に係る複合機10について説明する。なお、以下に説明される実施形態は本発明の一例にすぎず、本発明の要旨を変更しない範囲で、本発明の実施形態を適宜変更できることは言うまでもない。以下の説明では、矢印の起点から終点に向かう進みが向きと表現され、矢印の起点と終点とを結ぶ線上の往来が方向と表現される。また、複合機10が使用可能に設置された状態(
図1の状態)を基準として上下方向7が定義され、開口13が設けられている面を前面として前後方向8が定義され、複合機10を前方から視て左右方向9が定義される。上下方向7、前後方向8、および左右方向9は、互いに直交している。
【0034】
[複合機10の概要]
図1に示されるように、複合機10は、プリンタ部11とスキャナ部12とを備えている。プリンタ部11は複合機10の下部に位置し、スキャナ部12は複合機10の上部に位置する。複合機10は、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能、カット機能などを有する。複合機10は、単独、または、コンピュータやスマートフォンやタブレット端末などの情報機器(図示せず)と接続された状態で使用される。複合機10は、画像記録装置の一例である。
【0035】
スキャン機能は、スキャナ部12により読み取られた原稿の画像データを、複合機10と有線または無線で接続されたコンピュータなどに転送する機能である。スキャン機能には、読み取られた画像データをメモリカードやUSBメモリなどの外部記憶媒体に転送して記憶させる機能も含まれる。コピー機能は、スキャナ部12により読み取られた原稿の画像データに基づいて、プリンタ部11がシートに画像を記録する機能である。ファクシミリ機能には、スキャナ部12により読み取られた画像データを電話回線などを通じてファクシミリ送信する機能と、受信されたファクシミリデータをプリンタ部11によりシートに記録する機能とが含まれる。カット機能は、画像が記録されたシートを切断する機能である。プリンタ部11およびスキャナ部12は、制御部90(
図4参照)によって制御される。
【0036】
複合機10の前面上部には、操作部21および表示部22が位置する。操作部21は、複数の操作キーを有する。複合機10のユーザ(以下、「ユーザ」と称される)は、操作キーを用いて指示を入力する。操作部21は、操作キーを用いて入力されたユーザからの指示を受け取る。表示部22は、複合機10の各種情報を画面に表示する。表示部22は、例えば、液晶ディスプレイである。
【0037】
[プリンタ部11]
図1から
図3が参照されて、プリンタ部11の構成が説明される。
図1および
図2に示されるように、プリンタ部11は、筐体23の内部に位置する。筐体23の内部には、給紙カセット14、15、搬送部30、記録部40、切断部50、および他の部材が配置されている。なお、
図2では、図面の簡略化のために、給紙カセット14の図示が省略されている。
【0038】
筐体23の前面における操作部21の下方には、開口13が形成されている。開口13は、筐体23の前面において左右方向9のほぼ中央に位置する。開口13は、左右方向9に長い矩形状に形成されている。筐体23の前面において開口13の右方には、開閉カバー16が取り付けられている。開閉カバー16が開かれると、カートリッジ装着空間が開放され、インクを貯留するインクカートリッジ44(
図3参照)が筐体23に対し着脱可能となる。インクカートリッジ44は、チューブ45を通じて記録部40の記録ヘッド42へインクを供給する。
【0039】
給紙カセット14、15は、筐体23に対して前後方向8に沿って挿抜可能である。給紙カセット14は、筐体23に装着された状態において、給紙カセット15の下方に位置する。給紙カセット14、15は、複数のシートS(被記録媒体の一例)を積層状態で収容する。シートSは、ロール状ではなく、所定サイズのシートである。給紙カセット15の上部には、排紙トレイ18が位置する。排紙トレイ18は、搬送路24(
図2参照)から排出されたシートSを支持する。なお、複合機10は2個の給紙カセット14、15を有するが、給紙カセット14は省略されてもよい。
【0040】
図2に示されるように、搬送部30は、給送ローラ31、PFローラ対34、第1排出ローラ対35、および第2排出ローラ対36を有する。また、筐体23の内部には、ガイド部材26、27、返送ローラ対37、およびフラップ38が配置されている。搬送部30は、給紙カセット15から排紙トレイ18へ搬送路24に沿ってシートSを搬送する。搬送路24は、給紙カセット15から上向きかつ前向きに湾曲しながらUターンし、排紙トレイ18へ向かって前向きに直線的に延びる所謂Uターンパスである。
【0041】
給送ローラ31は、給紙カセット15の上方に位置する。給送ローラ31は、アーム32の先端部に、左右方向9を軸線方向として回動可能に設けられている。アーム32の基端部は、軸33周りに回動可能である。給送ローラ31は、給送用モータ81(
図4参照)の駆動が伝達されて回転する。給送ローラ31が回転すると、給紙カセット15に収容されている複数のシートSのうち、最も上のシートSが搬送路24に送り出される。ガイド部材26は、給紙カセット15から搬送路24に送り出されたシートSをPFローラ対34までガイドする。
【0042】
PFローラ対34は、搬送路24の湾曲部分の搬送方向の下流端付近に位置する。PFローラ対34は、左右方向9を軸線方向として回動可能である。PFローラ対34は、搬送用モータ82(
図4参照)の駆動が伝達されて回転する。シートSは、PFローラ対34に挟まれて記録ヘッド42の下方へ搬送される。
【0043】
第1排出ローラ対35および第2排出ローラ対36は、搬送路24において記録ヘッド42の搬送方向の下流に位置する。第2排出ローラ対36は、第1排出ローラ対35よりも搬送方向の下流に位置する。第1排出ローラ対35および第2排出ローラ対36は、左右方向9を軸線方向として回動可能である。第1排出ローラ対35および第2排出ローラ対36は、搬送用モータ82(
図4参照)の駆動が伝達されて回転する。
【0044】
フラップ38は、第1排出ローラ対35と第2排出ローラ対36との間に位置する。フラップ38は、制御部90から出力された制御信号に従い、軸39を中心として、
図2に実線で示される第1位置と、
図2に破線で示される第2位置との間で回動する。フラップ38が第1位置に位置するとき、PFローラ対34により搬送されたシートSは、第1排出ローラ対35および第2排出ローラ対36に挟まれて排紙トレイ18へ搬送される。
【0045】
フラップ38が第2位置に位置するとき、第1排出ローラ対35を通過したシートSは、自重によって下方へ移動し、フラップ38にガイドされて返送路25に侵入する。返送ローラ対37は、左右方向9を軸線方向として回動可能である。返送ローラ対37は、搬送用モータ82(
図4)の駆動が伝達されて回転する。返送ローラ対37は、返送路25に侵入したシートSを後方へ送り返す。ガイド部材27は、返送路25に侵入したシートSを搬送路24までガイドする。返送路25を通過したシートSは、再び搬送路24に沿って移動する。
【0046】
プリンタ部11が片面印刷を行う場合、フラップ38は第1位置に位置する。プリンタ部11が両面印刷を行う場合、フラップ38は、シートSが最初にPFローラ対34を通過するときには第2位置に位置し、シートSが2回目にPFローラ対34を通過するときには第1位置に位置する。シートSが最初にPFローラ対34を通過するときと、シートSが2回目にPFローラ対34を通過するときとでは、シートSの異なる面が上側になる。したがって、フラップ38の位置を上記のように切り換えることにより、シートSを裏返しにし、シートSに対して両面印刷を行える。
【0047】
図2に示されるように、記録部40は、搬送路24において、PFローラ対34と第1排出ローラ対35との間に位置する。記録部40は、搬送路24の上方に位置するキャリッジ41と、キャリッジ41に搭載された記録ヘッド42とを有する。記録部40の下方には、プラテン43が位置する。記録部40は、搬送部30によって前後方向8に搬送されるシートSに画像を記録する。前後方向8は、搬送方向の一例である。
【0048】
記録ヘッド42は、インクカートリッジ44(
図3参照)からチューブ45を通じてシアン、マゼンタ、イエロー、およびブラックの各色インクが供給され、各インクを微小なインク滴として吐出するいわゆるインクジェット方式のものである。キャリッジ41が左右方向9に往復移動する間に、記録ヘッド42からインク滴が吐出される。これにより、プラテン43上を前後方向8に搬送されるシートSに画像が記録される。
【0049】
図3に示されるように、筐体23の内部には、左右方向9へ延びる2本のガイドレール71、72が設けられている。ガイドレール71、72は、前後方向8に所定の距離だけ離れている。キャリッジ41は、ガイドレール71、72を跨ぐようにして、左右方向9に移動可能にガイドレール71、72上に載置されている。
【0050】
ガイドレール72の上面には、ベルト駆動機構46が配置されている。ベルト駆動機構46は、搬送路24の左右方向9の両端付近にそれぞれ設けられた第1プーリ47と第2プーリ48との間に、内側に歯が設けられた無端環状のベルト49を張架した構成を有する。第1プーリ47および第2プーリ48は、それぞれ、キャリッジ41が往復移動する領域の両端に配置されている。第1プーリ47の軸に駆動源であるCRモータ83(
図4参照)から駆動力が入力されて、第1プーリ47が回転する。第1プーリ47の回転によりベルト49が周運動し、これに伴い第2プーリ48が従動する。なお、ベルト49は無端環状のもののほか、有端のベルトの両端部をキャリッジ41に固着するものでもよい。
【0051】
キャリッジ41は、ベルト49に固着されている。キャリッジ41とベルト49との連結部分は図面に詳細に現れていないが、ベルト49は、キャリッジ41に連結された状態において、上方へ若干引っ張られている。これにより、ベルト49には下方へ弾性復帰する張力が発生し、この張力によってキャリッジ41がガイドレール71、72へ弾性付勢されている。上述されたように、ベルト49が周運動すると、キャリッジ41がガイドレール71、72上を往復移動する。このようなキャリッジ41に記録ヘッド42が搭載されることにより、記録ヘッド42は左右方向9に移動可能となっている。
【0052】
[切断部50]
図2および
図3に示されるように、記録部40の前方において搬送路24の上方に切断部50が位置している。切断部50は、停止時においてシート通過領域A1の左方に位置している。シート通過領域A1は、搬送部30により搬送されるシートSが通過する領域である。
【0053】
切断部50は、左右方向9に移動して、搬送部30により搬送されたシートSを左から右に切断する。切断部50は、シート通過領域A1よりも左方の待機位置(
図3において示される切断部50の位置)から右向きに移動してシートSを切断する。切断部50は、カッタキャリッジ51と、カッタキャリッジ51に搭載されるカッタ52とを有する。カッタキャリッジ51は、左右方向9に沿って延びると共にサイドフレーム73、74に固定されているガイドレール66に支持されており、ガイドレール66に案内されて左右方向9に移動する。
【0054】
図2に示されるように、カッタキャリッジ51は、カッタ52を保持するカッタ保持部53と、ガイドレール66に連結される連結部54とを有する。カッタ保持部53は、第1排出ローラ対35と第2排出ローラ対36との間に位置している。カッタ52は、カッタ保持部53の下端から下向きに突出した状態で、カッタ保持部53に支持されている。カッタ52は円盤形状であり、前後方向8を軸線方向としてカッタ保持部53に回転可能に支持されている。カッタ52は、カッタ保持部53に対して着脱可能である。連結部54は、カッタ保持部53から前向きに延びてガイドレール66に連結される。
【0055】
カッタキャリッジ51は、駆動機構62によって駆動される。
図3に示されるように、駆動機構62は、基板61の上面に配置された駆動プーリ63および従動プーリ64と、駆動プーリ63および従動プーリ64に掛け渡された無端ベルト65とを有する。駆動プーリ63および従動プーリ64は、基板61の上面における左右方向9の両端部に配置されている。駆動プーリ63および従動プーリ64は、上下方向7に沿った軸線周りに回転する。駆動プーリ63には、切断用モータ84(
図4参照)の駆動力が伝達される。無端ベルト65は、カッタキャリッジ51と連結されている。駆動プーリ63が回転すると、従動プーリ64が従動し、無端ベルト65が周運動する。無端ベルト65の周運動により、カッタキャリッジ51が、ガイドレール66に沿って左右方向9に移動する。
【0056】
カッタキャリッジ51のカッタ保持部53の下方に、固定刃55が位置する。固定刃55は、サイドフレーム73、74に支持されてシート通過領域A1に渡って左右方向9に延びている。固定刃55の刃先は、カッタ52に対して後方から当接している。シートSは、カッタ52と固定刃55とに挟み込まれることによって切断される。
【0057】
[制御部90と周辺部の構成]
図4が参照されて、制御部90およびその周辺部の構成が説明される。制御部90は、CPU91、ROM92、RAM93、およびEEPROM94を備えている。ROM92には、複合機10の各種動作を制御するためのプログラムなどが格納されている。EEPROM94には、上記プログラムを実行するときに用いられる各種データが格納されている。RAM93は、CPU91が上記プログラムを実行するときに用いる各種データを一時的に記録する記憶領域や、データやプログラムの展開領域として使用される。複合機10の電源オン時に、ROM92に格納されたプログラムは、RAM93に複写転送される。CPU91は、RAM93に記憶されたプログラムを実行する。これにより、制御部90は各種の制御を行う。
【0058】
ASIC95には、操作部21および表示部22が接続されている。操作部21は、操作キーの押下を検出して、押下された操作キーに応じた信号を出力する。制御部90は、操作部21から出力された信号に基づいて、押下された操作キーを識別する。表示部22は、制御部90からの指示に基づいて、プリンタ部11又はスキャナ部12の動作に関する情報を画面に表示する。
【0059】
ASIC95には、給送用モータ81、搬送用モータ82、CRモータ83、および切断用モータ84が接続されている。ASIC95には、これらのモータを制御する駆動回路が組み込まれている。制御部90は、各モータを回転させるための駆動信号を各モータに対応する駆動回路に出力する。駆動回路は、制御部90から出力された駆動信号に応じた駆動電流を対応するモータへ出力する。これにより、対応するモータが回転する。
【0060】
制御部90は、給送用モータ81を制御して、給送ローラ31を回転させ、搬送路24にシートSを給送させる。制御部90は、搬送用モータ82を制御して、ローラ対34、35、36、37を回転させ、搬送部30にシートSを搬送および返送させる。制御部90は、CRモータ83を制御して、第1プーリ47を回転させ、キャリッジ41を移動する。制御部90は、切断用モータ84を制御して、駆動プーリ63を回転させ、カッタキャリッジ51を移動する。
【0061】
ASIC95には、フラップ38が接続されている。制御部90は、ASIC95を経由してフラップ38に制御信号を出力する。フラップ38は、制御部90から出力された制御信号に応じて、第1位置と第2位置との間で回動する。
【0062】
ASIC95には、記録ヘッド42が接続されている。制御部90は、ASIC95を経由して記録ヘッド42に、画像データに応じた信号を出力する。記録ヘッド42は、制御部90から出力された信号に応じて、記録ヘッド42に設けられた複数のノズルからインクを吐出する。
【0063】
ASIC95には、スキャナ部12において原稿の画像の読取りを行うイメージセンサ85が接続されている。ASIC95は、制御部90からの指示に基づいて、光源から光を照射するための電気信号や光電変換素子から画像データを出力するためのタイミング信号をイメージセンサ85に対して出力する。イメージセンサ85は、ASIC95から出力された信号を受けて、所定のタイミングで原稿に光を照射し、光電変換素子により変換された画像データを出力する。
【0064】
ASIC95には、切断部50の位置を検知するためのエンコーダ86が接続されている。エンコーダ86は、例えば、駆動プーリ63と同軸に、駆動プーリ63と共に回転可能に設けられている。エンコーダ86は、駆動プーリ63の回転に伴い、ハイレベル信号とローレベルの信号とを交互に出力する。制御部90は、エンコーダ86の出力信号に基づいて駆動プーリ63の回転量を検知し、検知された回転量に基づいてカッタキャリッジ51の位置を検知する。
【0065】
ASIC95には、カッタ52がカッタ保持部53に装着されているか否かを検知するカッタ装着センサ87が接続されている。カッタ装着センサ87は、カッタ52がカッタ保持部53に装着されている場合には、例えばハイレベル信号を出力し、カッタ52がカッタ保持部53に装着されていない場合には、例えばローレベル信号を出力する。
【0066】
なお、ASIC95には、搬送路24にシートSが残っていることを検知するためのレジセンサ、搬送部30の動作状況を検知するためのエンコーダ、キャリッジ41の位置を検知するためのエンコーダなどが接続されていてもよい。
【0067】
[カット印刷とカット線]
複合機10は、搬送部30によってシートSを搬送方向に搬送し、搬送されたシートSに記録部40で画像を記録し、画像が記録されたシートSを切断部50で切断する。以下、この動作は「カット印刷」と称される。カット印刷は、ユーザが操作部21を操作して、カット印刷を指示したときに実行される。例えば、シートSがA4サイズである場合、複合機10は、カット印刷の指示を受けたことに応じて、画像を記録したシートSをA5サイズに切断して排出する。
【0068】
制御部90は、カット印刷を指示されたときに、切断部50に異常があると判断することがある。制御部90は、例えば、エンコーダ86の出力信号に基づき、切断部50が移動していないことを検知した場合や、切断部50の移動速度が所定の速度より遅いことを検知した場合に、切断部50に異常があると判断する。また、制御部90は、切断用モータ84に供給される電流の量に基づき、切断用モータ84の負荷が高いことを検知した場合に、切断部50に異常があると判断する。このように制御部90は、切断部50の動作異常を検知した場合に、切断部50に異常があると判断する。これに加えて、制御部90は、カッタ装着センサ87の出力信号に基づき、カッタ52がカッタ保持部53に装着されていないことを検知した場合に、切断部50に異常があると判断する。
【0069】
制御部90が切断部50に異常があると判断した場合、複合機10からは切断されていない状態のシートSが排出される。このような場合に備えて、複合機10は、切断部50がシートSを切断する位置(または、その近傍の位置)に、カット線と称される線を記録する機能を有する。制御部90は、切断部50に異常があると判断した場合に、記録部40にシートSの切断に応じた位置にカット線を記録させる。カット線は、切断補助線の一例である。
【0070】
[カット線の記録モード]
複合機10は、カット線に関して、
図5に示される5つの記録モードM1~M5を有する。ユーザは、操作部21を操作することにより、カット線の記録モードをM1~M5のいずれかに設定する。制御部90は、設定された記録モードに従い、記録部40にシートSにカット線を記録させる場合と、記録部40にシートSにカット線を記録させない場合とがある。
【0071】
記録モードM1は、「常にオフ」と称される。記録モードM1では、制御部90は、記録部40にシートSにカット線を記録させない。また、切断部50が正常の場合には、制御部90は切断部50にシートSを切断させ、切断部50が異常の場合には、制御部90は切断部50にシートSを切断させない。
【0072】
記録モードM2は、「エラー時不可」と称される。記録モードM2では、切断部50が正常の場合には、制御部90は、記録部40にシートSにカット線を記録させず、切断部50にシートSを切断させる。切断部50が異常の場合には、制御部90はカット印刷自体を禁止する。
【0073】
記録モードM3は、「常にオン」と称される。記録モードM3では、制御部90は、記録部40にシートSにカット線を記録させる。また、切断部50が正常の場合には、制御部90は切断部50にシートSを切断させ、切断部50が異常の場合には、制御部90は切断部50にシートSを切断させない。
【0074】
記録モードM4は、「エラー時のみ」と称される。記録モードM4では、切断部50が正常の場合には、制御部90は、記録部40にシートSにカット線を記録させず、切断部50にシートSを切断させる。切断部50が異常の場合には、制御部90は、記録部40にシートSにカット線を記録させ、切断部50にシートSを切断させない。
【0075】
記録モードM5は、「カット線優先」と称される。記録モードM5では、制御部90は、記録部40にシートSにカット線を記録させ、切断部50にシートSを切断させない。
【0076】
切断部50に異常がある場合でも、制御部90が、エンコーダ86の出力信号や、切断用モータ84の負荷や、カッタ装着センサ87からの出力信号などに基づいて、切断部50は正常であると誤って判断することがある。しかしながら、ユーザは、カット印刷を指示したときに複合機10から排出されたシートSが切断されていないことを知ることができる。この場合、ユーザは記録モードをM5に設定することにより、切断部50に異常があることをユーザ入力によって制御部90に認識させることができる。このとき、制御部90は、記録部40にシートSにカット線を記録させ、切断部50にシートSを切断させない。
【0077】
[カット線の属性]
カット線は、各種の属性を有する。ユーザは、操作部21を操作することにより、カット線の属性を設定する。制御部90は、記録部40にシートSに設定された属性を有するカット線を記録させる。カット線の属性には、線種、太さ、色、裏面印刷、印刷周期などが含まれる。なお、カット線は、上記以外の属性を有していてもよい。
【0078】
カット線の線種は、例えば、実線、点線、2点、3点などの中から選択される。線種が「実線」の場合、カット線は実線で記録される。線種が「破線」の場合、カット線は破線で記録される。線種が「2点」の場合、カット線として、シートSの両端の2点だけが記録される。線種が「3点」の場合、カット線として、シートSの両端および中央の3点だけが記録される。
【0079】
カット線の太さは、例えば、0.5ポイント、1ポイントなどの中から選択される。太さが「0.5ポイント」の場合、カット線は0.5ポイントの太さで記録される。太さが「1ポイント」の場合、カット線は1ポイントの太さで記録される。
【0080】
カット線の色は、例えば、黒、イエロー、マゼンタ、シアン、ECO、自動などの中から選択される。色が「黒」、「イエロー」、「マゼンタ」、または「シアン」の場合、カット線は当該色で記録される。色が「ECO」の場合、カット線はインクカートリッジ44におけるインク残量が最も多い色で記録される。例えば、シアンのインク残量が最も多い場合、カット線はシアンで記録される。色が「自動」の場合には、「目立つ」および「目立たない」の選択肢がある。色が「自動」かつ「目立つ」の場合、印刷用の画像データに基づき、カット線が目立つ色が選択され、カット線は選択された色で記録される。例えば、シートSが白紙の場合、カット線は黒で記録される。色が「自動」かつ「目立たない」の場合、印刷用の画像データに基づき、カット線が目立たない色が選択され、カット線は選択された色で記録される。例えば、シートSが白紙の場合、カット線はイエローで記録される。
【0081】
カット線の裏面印刷は、オフ、オン、自動などの中から選択される。裏面印刷が「オフ」の場合、カット線はシートSの記録面に記録される。裏面印刷が「オン」の場合、カット線は両面印刷機能を用いてシートSの裏面に記録される。裏面印刷が「自動」の場合、カット線はシートSの特性に応じて、シートSの記録面または裏面に記録される。例えば、シートSが光沢紙またはインクジェット紙の場合には、カット線はシートSの裏面に記録され、シートSがこれら以外の場合には、カット線はシートSの記録面に記録される。
【0082】
カット線の印刷周期は、全ページ、奇数ページ、偶数ページ、1ページ、枚数指定などの中から選択される。印刷周期が「全ページ」の場合、カット線はすべてのシートSに記録される。印刷周期が「奇数ページ」の場合、カット線は奇数番目のシートSだけに記録される。印刷周期が「偶数ページ」の場合、カット線は偶数番目のシートSだけに記録される。印刷周期が「1ページ」の場合、カット線は、印刷後に最も上になるシートSだけに記録される。具体的には、カット線は、丁合印刷を行う場合には先頭ページだけに記録され、それ以外の場合には最終ページだけに記録される。印刷周期が「枚数指定」の場合、枚数が数値で指定され、カット線は設定された枚数ごとのシートSに記録される。例えば、枚数が3枚に設定された場合、カット線は3枚のシートSごとに記録される。
【0083】
制御部90は、設定された属性のカット線を記録するために、設定された属性のカット線を記録するための画像データを作成する。例えば、線種が「破線」の場合には、制御部90は、破線のカット線を記録するための画像データを作成する。制御部90は、カット線をシートSの記録面に記録するときには、印刷すべき画像の画像データにカット線の画像データを重畳して、片面印刷を実行する。制御部90は、カット線をシートSの裏面に記録するときには、印刷すべき画像の画像データをシートSの記録面に記録し、カット線の画像データをシートSの裏面に記録する両面印刷を行う。
【0084】
[カット線の記録モードと属性の設定]
表示部22は、初期状態において、
図6(A)に示される初期画面を表示する。初期画面は、メンテナンス機能を選択するためのアイコン111を含んでいる。ユーザが操作部21を操作してアイコン111を選択した場合、表示部22は、メンテナンス画面(図示せず)を表示する。その後、ユーザがメンテナンス画面およびそれに続く画面で順に選択を行うと、表示部22は、
図6(B)に示されるカット線オン/オフの設定画面を表示する。この選択画面は、カット線を記録しないことを示す文字列「オフ」を含むオブジェクト121と、カット線を記録することを示す文字列「オン」を含むオブジェクト122とを含んでいる。
【0085】
ユーザがオブジェクト121を選択した場合、表示部22は、
図6(C)に示されるカット線オフ時の記録モードの設定画面を表示する。この設定画面は、記録モードM1に設定することを示す文字列「常にオフ」を含むオブジェクト131と、記録モードM2に設定することを示す文字列「エラー時不可」を含むオブジェクト132とを含んでいる。
【0086】
ユーザがオブジェクト122を選択した場合、表示部22は、
図6(D)に示されるカット線オン時の記録モードの設定画面を表示する。この設定画面は、記録モードM3に設定することを示す文字列「常にオン」を含むオブジェクト133と、記録モードM4に設定することを示す文字列「エラー時のみ」を含むオブジェクト134と、記録モードM5に設定することを示す文字列「カット線優先」を含むオブジェクト135とを含んでいる。ユーザは、操作部21を操作することにより、
図6(C)または
図6(D)に示される設定画面においてオブジェクト131~135のいずれかを選択する。これにより、カット線の記録モードが設定される。
【0087】
ユーザが
図6(D)に示される設定画面においてオブジェクト133~135のいずれかを選択した場合、表示部22は、
図6(E)に示されるカット線の属性の選択画面を表示する。この選択画面は、設定された記録モードを示すオブジェクト141と、線種を設定するためのオブジェクト142と、太さを設定するためのオブジェクト143とを含んでいる。また、ユーザがスライドバー144を画面内で上下方向に移動すると、カット線の他の属性を設定するためのオブジェクトが表示される。
【0088】
例えば、ユーザが
図6(E)に示される選択画面においてオブジェクト142を選択した場合、表示部22は、
図6(F)に示されるカット線の線種の設定画面を表示する。この設定画面は、線種を「実線」に設定するためのオブジェクト151と、線種を「破線」に設定するためのオブジェクト152と、線種を「2点」に設定するためのオブジェクト153とを含んでいる。また、ユーザがスライドバー154を画面内で上下方向に移動すると、線種を「3点」に設定するためのオブジェクトが表示される。
【0089】
このように制御部90は、切断部50に異常があると判断した場合にカット線を記録するか否かについて選択するためのオブジェクト121、122を表示部22に表示する。オブジェクト121、122は、選択オブジェクトの一例である。また、制御部90は、オブジェクト122によりカット線の記録が選択された場合に、カット線の記録モードを示す画面(
図6(D)に示す画面)を表示部22に表示する。操作部21は、カット線の記録モードを設定する設定部の一例である。
【0090】
[カット印刷処理]
図7が参照されて、カット印刷処理の詳細が説明される。制御部90は、カット印刷の指示を受けたことに応じて、カット印刷処理を実行する。
図7に示されるように、制御部90は、カット印刷処理の先頭において、切断部50の動作前に異常が発生していたか否かを判断する(S11)。制御部90は、S11において、例えば、カッタ装着センサ87の出力信号に基づき、切断部50の動作前に異常が発生していたか否かを判断する。制御部90は、切断部50の動作前に異常が発生していたと判断したことに応じて(S11:Yes)、S14へ進む。制御部90は、切断部50の動作前に異常が発生していなかったと判断したことに応じて(S11:No)、S12へ進む。
【0091】
後者の場合、制御部90は、切断部50の動作中に異常が発生したか否かを判断する(S12)。制御部90は、S12において、例えば、エンコーダ86の出力信号や、切断用モータ84に供給される電流の量に基づき、切断部50の動作中に異常が発生したか否かを判断する。制御部90は、切断部50の動作中に異常が発生していないと判断したことに応じて(S12:No)、S18へ進む。制御部90は、切断部50の動作中に異常が発生したと判断したことに応じて(S12:Yes)、S13へ進む。
【0092】
後者の場合、制御部90は、切断部50がシートSの切断途中であるか否かを判断する(S13)。制御部90は、切断部50がシートSの切断途中であると判断したことに応じて(S13:Yes)、S31へ進む。制御部90は、切断部50がシートSの切断途中でないと判断したことに応じて(S13:No)、S14へ進む。
【0093】
制御部90は、S11でYesと判断した場合、またはS11でNo、S12でYes、かつS13でNoと判断した場合に、S14に到達する。制御部90がS14に到達する場合は、シートSを切断する前に切断部50で異常が発生した場合である。この場合、制御部90は、カット線の記録モードがM1~M5のうちいずれであるかを判断する(S14)。
【0094】
制御部90は、記録モードがM2であることに応じて(S14:M2)、S15へ進む。この場合、制御部90は、印刷を中止するか否かを判断する(S15)。制御部90は、S15において、例えば「印刷を中止しますが、よろしいですか?」というメッセージを表示部22に表示し、ユーザからの指示に基づき、印刷を中止するか否かを判断する。
【0095】
制御部90は、印刷を中止しないと判断したことに応じて(S15:No)、S16へ進む。この場合、制御部90は、
図6(B)に示される設定画面を表示部22に表示する(S16)。次に、制御部90は、ユーザが操作部21を操作して入力した設定を受け取り(S17)、S14へ進む。
【0096】
制御部90は、S15において印刷を中止すると判断したことに応じて(S15:Yes)、S21へ進む。この場合、制御部90は、記録部40にシートSに印刷を実行させない(S21)。また、制御部90は、記録部40にシートSにカット線を記録させず、切断部50にシートSを切断させない。この場合、カット印刷自体が禁止される。
【0097】
制御部90は、S14において記録モードがM1であると判断したことに応じて(S14:M1)、S22へ進む。この場合、制御部90は、記録部40にシートSに印刷を実行させ、記録部40にシートSにカット線を記録させず、切断部50にシートSを切断させない(S22)。
【0098】
制御部90は、S14において記録モードがM3からM5のいずれかであると判断したことに応じて(S14:M3~M5)、S23へ進む。この場合、制御部90は、記録部40にシートSに印刷を実行させ、記録部40にシートSにカット線を記録させ、切断部50にシートSを切断させない(S23)。
【0099】
制御部90は、S11およびS12でNoと判断した場合に、S18に到達する。制御部90がS18に到達する場合は、切断部50が正常な場合である。この場合、制御部90は、カット線の記録モードがM1~M5のうちいずれであるかを判断する(S18)。
【0100】
制御部90は、記録モードがM1、M2およびM4のいずれかであると判断したことに応じて(S18:M1、M2、M4)、S24へ進む。この場合、制御部90は、記録部40にシートSに印刷を実行させ、記録部40にシートSにカット線を記録させず、切断部50にシートSを切断させる(S24)。
【0101】
制御部90は、S18において記録モードがM3であると判断したことに応じて(S18:M3)、S25へ進む。この場合、制御部90は、記録部40にシートSに印刷を実行させ、記録部40にシートSにカット線を記録させ、切断部50にシートSを切断させる(S25)。
【0102】
制御部90は、S18において記録モードがM5であると判断したことに応じて(S18:M5)、S26へ進む。この場合、制御部90は、記録部40にシートSに印刷を実行させ、記録部40にシートSにカット線を記録させ、切断部50にシートSを切断させない(S26)。
【0103】
制御部90は、S11でNo、かつS12およびS13でYesと判断した場合に、S31に到達する。制御部90がS31に到達するのは、シートSの切断中に切断部50で異常が発生した場合である。この場合、制御部90は、ジャムが発生したことを表示部22に表示する(S31)。次に、制御部90は、ユーザがジャムを解消するまで待機する(S32)。ユーザは、切断途中のシートSを取り除いてジャムを解消した後に、操作部21を操作してジャムが解消したことを入力する。制御部90は、ユーザからの入力を受け取ると、S33へ進む。
【0104】
次に、制御部90は、印刷を継続するか否かを判断する(S33)。制御部90は、S33において、例えば「印刷を継続しますか?」というメッセージを表示部22に表示し、ユーザからの指示に基づき、印刷を継続するか否かを判断する。制御部90は、印刷を継続しないと判断したことに応じて(S33:No)、S21へ進む。制御部90は、S21において、記録部40にシートSに印刷を実行させず、記録部40にシートSにカット線を記録させず、切断部50にシートSを切断させない。
【0105】
制御部90は、S33において印刷を継続すると判断したことに応じて(S33:Yes)、S34へ進む。この場合、制御部90は、最初から印刷するか否かを判断する(S34)。制御部90は、S34において、例えば「最初から印刷しますか?」というメッセージを表示部22に表示し、ユーザからの指示に基づき、最初から印刷するか否かを判断する。
【0106】
制御部90は、最初から印刷しない(途中から印刷する)と判断したことに応じて(S34:No)、S35へ進む。この場合、制御部90は、異常発生までの画像データを削除し(S35)、S36へ進む。制御部90は、最初から印刷すると判断したことに応じて(S34:Yes)、S35を実行することなく、S36へ進む。
【0107】
次に、制御部90は、カット線を記録するか否かを判断する(S36)。制御部90は、S36において、例えば「カット線を印刷しますか?」というメッセージを表示部22に表示し、ユーザからの指示に基づき、カット線を印刷するか否かを判断する。制御部90は、カット線を印刷しないと判断したことに応じて(S36:No)、S22へ進む。制御部90は、S22において、記録部40にシートSに印刷を実行させ、記録部40にシートSにカット線を記録させず、切断部50にシートSを切断させない。
【0108】
制御部90は、S36においてカット線を印刷すると判断したことに応じて(S36:Yes)、S37へ進む。この場合、制御部90は、カット線の設定を変更するか否かを判断する(S37)。制御部90は、S37において、例えば「カット線の設定を変更しますか?」というメッセージを表示部22に表示し、ユーザからの指示に基づき、カット線の設定を変更するか否かを判断する。制御部90は、カット線の設定を変更すると判断したことに応じて(S37:Yes)、S16へ進む。制御部90は、カット線の設定を変更しないと判断したことに応じて(S37:No)、S23へ進む。制御部90は、S23において、記録部40にシートSに印刷を実行させ、記録部40にシートSにカット線を記録させ、切断部50にシートSを切断させない。
【0109】
制御部90は、S21~S26のいずれかを実行した後、カット印刷処理を終了する。
【0110】
図7に示されるカット印刷処理において、制御部90は、以前の画像記録において切断部50に異常があると判断した場合(S11:Yes)には、記録部40にシートSに画像を記録させ、切断部50を動作させない(S22、S23)。また、制御部90は、画像記録中に切断部50に異常があると判断した場合(S12:Yes)には、以降の画像記録において、記録部40にシートSに画像を記録させ、切断部50を動作させない(S22、S23)。
【0111】
[作用効果]
以上に示されるように、本実施形態に係る複合機10は、シートSを搬送方向に搬送する搬送部30と、搬送部30によって搬送されるシートSに画像を記録する記録部40と、記録部40によって画像が記録されたシートSを切断する切断部50と、制御部90とを備えている。カット線の記録モードがM3~M5のいずれかである場合、制御部90は、切断部50に異常がある場合には、記録部40にシートSの切断に応じた位置にカット線を記録させ、切断部50にシートSを切断させない。切断部50に異常があるという条件は、所定条件の一例である。したがって、所定条件が満たされた場合(例えば、切断部50に異常がある場合)でも、ユーザはカット線に従いシートSを正確に切断できる。
【0112】
特に、カット線の記録モードがM4である場合、制御部90は、切断部50が正常の場合には、記録部40にカット線を記録させず、切断部50にシートSを切断させる。したがって、所定条件が満たされなかった場合には、複合機10からは、カット線が記録されていない、切断されたシートSが排出される。
【0113】
また、シートSが所定サイズのシートである場合でも、ユーザはカット線に従いシートSを正確に切断できる。また、制御部90は、切断部50の動作異常を検知した場合に、切断部50に異常があると判断する。したがって、切断部50の動作異常が発生した場合に、複合機10は、シートSの切断に応じた位置にカット線を記録できる。
【0114】
また、制御部90は、以前の画像記録において切断部50に異常があると判断した場合(S11:Yes)には、記録部40にシートSに画像を記録させ、切断部50を動作させない(S22、S23)。したがって、以前の画像記録で切断部50に異常があると判断された場合に、設定されたモードに応じて、画像が記録されたシートSが切断されずに出力される。また、制御部90は、画像記録中に切断部50に異常があると判断した場合(S12:Yes)には、以降の画像記録において、記録部40にシートSに画像を記録させ、切断部50を動作させない(S22、S23)。したがって、画像記録中に切断部50に異常があると判断された場合に、設定されたモードに応じて、画像が記録されたシートSが切断されずに出力される。
【0115】
また、複合機10は、表示部22をさらに備えており、制御部90は、切断部50に異常があると判断した場合にカット線を記録するかについて選択するためのオブジェクト121、122を表示部22に表示する。したがって、表示されたオブジェクト121、122を用いて、切断部50に異常がある場合にカット線を記録するか否かを選択できる。また、制御部90は、オブジェクト122によりカット線の記録が選択された場合に、カット線の記録モードを示す画面(
図6(D)に示される画面)を表示部22に表示する。したがって、表示された画面によって、ユーザはカット線の記録モードを知り得る。
【0116】
また、複合機10は、カット線の記録モードを設定する設定部として、操作部21をさらに備えている。したがって、ユーザは、操作部21を用いて、カット線の記録モードを設定できる。
【0117】
また、操作部21は、切断部50の異常の有無にかかわらず、カット線を記録しない記録モードM1に制御部90を設定する。したがって、操作部21を用いて、切断部50の異常の有無にかかわらず、カット線を記録しないように複合機10を制御できる。また、操作部21は、切断部50に異常がある場合には、カット線を記録せず、切断部50を動作させない記録モードM2に制御部90を設定する。したがって、操作部21を用いて、切断部50に異常がある場合には、カット線を記録せず、切断部50が動作しないように複合機10を制御できる。また、操作部21は、切断部50の異常の有無にかかわらず、カット線を記録する記録モードM3に制御部90を設定する。したがって、切断部50の異常の有無にかかわらず、カット線を記録するように複合機10を制御できる。また、操作部21は、切断部50に異常がある場合に限り、カット線を記録する記録モードM4に制御部90を設定する。したがって、操作部21を用いて、切断部50に異常がある場合に限り、カット線を記録するように複合機10を制御できる。また、操作部21は、切断部50の異常の有無にかかわらず、カット線を記録し、切断部50を動作させない記録モードにM5に制御部90を設定する。したがって、操作部21を用いて、切断部50の異常の有無にかかわらず、カット線を記録し、切断部50が動作しないように複合機10を制御できる。
【0118】
また、操作部21は、カット線の属性として、カット線の線種、太さ、および色を設定する。したがって、操作部21を用いて、カット線の線種、太さ、および色を設定できる。また、操作部21は、カット線の裏面印刷として、カット線が記録されるシートSの面を設定する。したがって、操作部21を用いて、カット線をシートSのいずれの面に記録するかを選択できる。また、操作部21は、カット線の印刷周期として、カット線が記録されるシートSの周期を設定する。したがって、操作部21を用いて、カット線を何枚のシートSごとに記録するかを選択できる。
【0119】
線種が「2点」の場合、制御部90は、記録部40に、カット線として、シートSの切断に応じた位置に位置する2つの点を記録させる。これにより、カット線を目立たなくし、カット線の記録に用いられるインクの量を削減できる。裏面印刷が「オン」または「自動」の場合、制御部90は、記録部40に、カット線をシートSの裏面に記録させる。これにより、カット線を目立たなくできる。印刷周期が「1ページ」の場合、制御部90は、複数のシートSに画像を記録する場合に切断部50に異常があると判断した場合には、記録部40に、画像記録後に最も上になるシートSにカット線を記録させる。これにより、カット線が記録されるシートSの枚数を減らしながら、ユーザはカット線に従い複数のシートSを正確に切断できる。
【0120】
[変形例]
本実施形態に係る複合機10については、各種の変形例を構成できる。複合機10は、プリント機能、スキャン機能、コピー機能、ファクシミリ機能、カット機能などを有することとしたが、変形例に係る画像記録装置は、少なくともプリント機能およびカット機能を有していればよい。複合機10では、被記録媒体は所定サイズのシートSであることとしたが、変形例に係る画像記録装置では、被記録媒体はロール状の被記録媒体であってもよい。
【0121】
複合機10は、カット線の記録モードとして、5つの記録モードM1~M5を有することとしたが、変形例に係る画像記録装置は、必ずしも記録モードM1~M5のすべてを有していなくてもよく、M1~M5以外の記録モードを有していてもよい。
【0122】
複合機10では、カット線の記録モードがM1~M5のいずれである場合でも、制御部90は、切断部50に異常があるか否かを判断することとした。これに代えて、変形例に係る画像記録装置は、カット線の記録モードとして記録モードM6を有し、カット線の記録モードがM6である場合に、制御部は、切断部に異常がある否かを判断することなく、切断部にシートを切断させ、記録部にシートの切断に応じた位置にカット線を記録させてもよい。記録モードがM6である場合、変形例に係る画像記録装置からは、カット線が記録され、切断されたシートが排出される。したがって、ユーザは、シートが正しく切断されたか否かを容易に確認できる。つまりは、切断部に異常がある場合でも、切断部に異常がない場合でも、制御部は、切断動作をさせるよう制御し、さらにカット線を記録させるよう制御する。このときに切断部に異常がある場合には、結果的に切断部が動作しないこともあるが、カット線は記録される。したがって、ユーザは、切断部に異常がある場合でも、被記録媒体を正確に切断できる。
【0123】
あるいは、変形例に係る画像記録装置では、制御部は、記録モードM6などのモード選択を行うことなく、常に、切断部に異常がある否かを判断することなく、切断部にシートを切断させ、記録部にシートの切断に応じた位置にカット線を記録させてもよい。この画像記録装置でも、切断部に異常がある場合には、結果的に切断部が動作しないこともあるが、カット線は記録される。したがって、ユーザは、切断部に異常がある場合でも、被記録媒体を正確に切断できる。
【0124】
カッタ52は、カッタ保持部53の下端から下向きに突出した状態で、カッタ保持部53に支持されているとこととしたが、カッタ52の実装形態はこれに限定されない。例えば、カッタ保持部53はシートSの搬送路の下方に配置されており、カッタ52は、カッタ保持部53の上端から上向きに突出した状態で、カッタ保持部53に支持されていてもよい。あるいは、カッタ52は、シートSの搬送路の上下両方に配置されていてもよい。このように、カッタ52は複数であってもよい。また、カッタ52は円盤形状であり、前後方向8を軸線方向としてカッタ保持部53に回転可能に支持されていることとしたが、カッタ52の構成はこれに限定されない。例えば、カッタ52は片刃のカッターナイフのような構成でもよく、あるいは両刃であってもよい。また、カッタ52は、カッタ保持部53に着脱可能であることとしたが、カッタ52の装着状態はこれに限定されない。例えば、カッタ52は、カッタ保持部53に対して着脱できないものでもよい。あるいは、変形例に係る画像記録装置は、カッタキャリッジ51が固定されるガイドレール66ごと交換できるように構成されていてもよい。
【0125】
表示部22は複合機10の前面上部に位置することとしたが、表示部22の位置はこれに限定されない。表示部22は、例えば、複合機10の側面あるいは上面に位置してもよい。また、変形例に係る画像記録装置では、表示部は、複合機10に接続された外部装置のディスプレイ画面などであってもよい。この場合、複合機10と外部装置との間で、有線接続または無線接続などにより表示データが送受信される。外部装置は、具体的には、パーソナルコンピュータのディスプレイやスマートフォンの画面などであってもよい。
【0126】
ここまでの説明では、所定条件は切断部50に異常があるという条件であることとしたが、所定条件はこれに限定されない。切断部50の異常以外の所定条件の例として、ユーザの選択が挙げられる。例えば、ユーザが、多数のシートに印刷を行い、印刷後のシートを切断する場合を考える。この処理を高速に行うために、ユーザは、カット線の記録モードをM5に設定する。このため、切断部50が正常であっても、複合機10からは、カット線が記録され、切断されていないシートSが排出される。ユーザは、排出された多数のシートSをまとめて裁断機で切断する。
【0127】
複合機10では、カット線の線種は、実線、点線、2点、3点などであることとしたが、変形例に係る画像記録装置は、上記以外のカット線の線種を有していてもよい。カット線の他の属性についても、これと同様である。
【0128】
複合機10では、カット線の線種が「2点」の場合に、制御部90は、記録部40に、カット線として2つの点を記録させることとしたが、変形例に係る画像記録装置では、制御部は、カット線の線種にかかわらず、記録部にカット線として2つの点を記録させてもよい。複合機10では、カット線の裏面印刷が「オン」または「自動」の場合に、制御部90は、記録部40にカット線をシートSの裏面に記録させることとしたが、変形例に係る画像記録装置では、制御部は、カット線の裏面印刷にかかわらず、記録部にカット線をシートの裏面に記録させてもよい。複合機10では、カット線の印刷周期が「1ページ」の場合に、制御部90は、記録部40に画像記録後に最も上になるシートSにカット線を記録させることとしたが、変形例に係る画像記録装置では、制御部は、カット線の印刷周期にかかわらず、記録部に画像記録後に最も上になるシートにカット線を記録させてもよい。
【符号の説明】
【0129】
10・・・複合機(画像記録装置)
21・・・操作部(設定部)
22・・・表示部
30・・・搬送部
40・・・記録部
50・・・切断部
90・・・制御部
121、122・・・オブジェクト(選択オブジェクト)