(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111948
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】呼吸補助装置
(51)【国際特許分類】
A61M 16/16 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
A61M16/16 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016710
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】517127584
【氏名又は名称】株式会社MAGOS
(74)【代理人】
【識別番号】100112689
【弁理士】
【氏名又は名称】佐原 雅史
(74)【代理人】
【識別番号】100128934
【弁理士】
【氏名又は名称】横田 一樹
(74)【代理人】
【識別番号】100210572
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 太一
(72)【発明者】
【氏名】新田 一福
(72)【発明者】
【氏名】古川 靖夫
(57)【要約】
【課題】使用性を向上しつつ使用者に対して加湿した吸気ガスを供給可能な呼吸補助装置を提供する。
【解決手段】
ベース体1と、ベース体1に対して着脱可能な装置本体2とを備え、ベース体1は、装置本体2に取り付けられた取付状態で装置本体2の側に設けられて電源PWに導通するベース側端子12を有する。装置本体2は、取付状態でベース側端子12に導通する本体側端子33と、本体側端子33を介して電源PWから電力が供給され、吸気ガスを使用者へ向けて送気する吸気用送風機31と、本体側端子33を介して電源PWから電力が供給され、吸気用送風機31から流出した吸気ガスを加湿する加湿ユニット32と、装置本体2がベース体1から取り外された取外状態で吸気用送風機31および加湿ユニット32へ電力を供給するとともに、取付状態で本体側端子33を介して電源PWから蓄電される駆動用バッテリ34とを有する。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
使用者の呼吸器官へ吸気ガスを供給する呼吸補助装置であって、
被載置物上に載置可能であり、電源に接続される電源端子を含むベース体と、
前記ベース体に対して着脱可能に設けられた装置本体と、
を備え、
前記ベース体は、該ベース体が前記装置本体に取り付けられた取付状態において該装置本体の側に設けられ、前記電源端子に導通するベース側端子を有し、
前記装置本体は、
前記取付状態において前記ベース側端子に導通する本体側端子と、
前記本体側端子を介して前記電源から動力となる電力が供給され、前記吸気ガスを前記使用者へ向けて送気する吸気用送風機と、
前記本体側端子を介して前記電源から動力となる電力が供給され、前記吸気用送風機から流出した前記吸気ガスを加湿する加湿ユニットと、
前記装置本体が前記ベース体から取り外された取外状態において前記吸気用送風機および前記加湿ユニットへ動力となる電力を供給するとともに、前記取付状態において前記本体側端子を介して前記電源から蓄電される駆動用バッテリと、
を有する呼吸補助装置。
【請求項2】
前記加湿ユニットは液体状態の水を貯留するとともに、前記液体状態の水が供給される給水口が形成された水タンクを有し、
前記ベース体は、前記取付状態において前記給水口に接続される接続口を有し、
前記ベース体または前記装置本体に設けられ、前記電源からの電力によって駆動し、前記取付状態において前記接続口および前記給水口を介して給水源から前記液体状態の水を前記水タンクへ供給するポンプをさらに備える請求項1に記載の呼吸補助装置。
【請求項3】
前記ポンプの動作を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、
前記取付状態において前記水タンク内の水量を判定する水量判定部と、
前記水量判定部で前記水タンク内の水量が所定の低基準値未満となった際に、前記ポンプを駆動して前記水タンクに水を供給する給水動作部と、
前記水量判定部で前記水タンク内の水量が前記低基準値よりも大きな高基準値を超過した際に、前記ポンプを停止する給水停止部と、
を有する請求項2に記載の呼吸補助装置。
【請求項4】
前記吸気用送風機の動作を制御する制御装置をさらに備え、
前記制御装置は、前記取付状態に比べて前記取外状態において、前記吸気用送風機の出力を抑制する流量抑制部を有する請求項1または2に記載の呼吸補助装置。
【請求項5】
前記装置本体は、少なくとも前記吸気用送風機を内側に収容するとともに、前記取付状態となる前記ベース体の側に開口して自身の内外を連通する本体側冷却用開口を形成する本体側筐体をさらに有し、
前記ベース体は、前記電源端子を介して前記電源から動力となる電力が供給され、前記本体側冷却用開口を通じて前記本体側筐体の内側の空気を吸引し、または該本体側筐体の内側に向けて空気を送気する冷却用送風機をさらに有する請求項1または2に記載の呼吸補助装置。
【請求項6】
前記ベース体は、少なくとも前記冷却用送風機を内側に収容するとともに、前記取付状態となる前記装置本体の側に開口して自身の内外を連通するベース側冷却用開口を形成するベース側筐体をさらに有し、
前記ベース側冷却用開口は、前記取付状態において前記本体側冷却用開口における少なくとも一部の領域に対向するように形成されている請求項5に記載の呼吸補助装置。
【請求項7】
前記ベース側筐体には、前記吸気ガスとなる空気を該ベース側筐体内に取り込むベース側空気流入口、該ベース側空気流入口に連通して前記取付状態となる前記装置本体の側に開口するベース側空気流出口、および前記ベース側空気流入口と前記ベース側空気流出口とを接続するベース側空気流通路が形成され、
前記本体側筐体には、前記取付状態となる前記ベース体における前記ベース側空気流出口の近傍に開口するとともに前記吸気用送風機の入口に連通する本体側空気流入口が形成され、
前記ベース側空気流通路は、前記ベース側筐体内において屈曲または湾曲している請求項6に記載の呼吸補助装置。
【請求項8】
前記ベース側筐体には、前記吸気ガスとなる空気を該ベース側筐体内に取り込むベース側空気流入口、該ベース側空気流入口に連通して前記取付状態となる前記装置本体の側に開口するベース側空気流出口、前記ベース側空気流入口と前記ベース側空気流出口とを接続するベース側空気流通路、および前記ベース側空気流出口に接続されて前記取付状態となる前記装置本体に対向するベース側対向面から凹む対向凹部が形成され、
前記本体側筐体には、前記取付状態となる前記ベース体の前記ベース側対向面に対向する本体側対向面において前記ベース側空気流出口の近傍で、かつ、前記対向凹部に対向する位置に開口して前記吸気用送風機の入口に連通する本体側空気流入口が形成されている請求項6に記載の呼吸補助装置。
【請求項9】
前記装置本体には、前記本体側空気流入口を覆うとともに前記本体側対向面の面方向に広がり、前記取付状態となる前記ベース体における前記対向凹部に対応する位置に配置された空気フィルタを有する請求項8に記載の呼吸補助装置。
【請求項10】
前記本体側筐体には、前記吸気ガスとなる空気を該本体側筐体内に取り込む本体側空気流入口、前記吸気ガスを該本体側筐体外に流出させる吸気ガス流出口、および前記本体側空気流入口と前記吸気ガス流出口との間に配置された吸気ガス経路が形成され、
前記吸気ガス経路は、前記吸気用送風機および前記加湿ユニットを経由して前記本体側空気流入口と前記吸気ガス流出口とを接続し、
前記本体側筐体内において前記吸気ガス経路は、前記本体側冷却用開口に対して隔離されている請求項5に記載の呼吸補助装置。
【請求項11】
前記ベース体は、
前記取付状態において、前記装置本体に係合して前記ベース体と前記装置本体との着脱方向への相対移動を規制するロック部材と、
前記ロック部材を動作させて前記ベース体と前記装置本体との係合を解除する解除装置と、
をさらに有する請求項1または2に記載の呼吸補助装置。
【請求項12】
前記ベース体は、前記電源からの給電が停止した際に、前記取付状態において前記装置本体に電力を供給可能な補助バッテリをさらに有する請求項1または2に記載の呼吸補助装置。
【請求項13】
前記装置本体は、前記使用者が把持する把持部を有し、
前記把持部は、
第一ストラップと、
該第一ストラップよりも短い第二ストラップと、
を有する請求項1または2に記載の呼吸補助装置。
【請求項14】
前記加湿ユニットは、
電磁誘導によって渦電流を生じさせる送電コイルと、
前記渦電流によって加熱され、前記水タンクから供給される前記液体状態の水を水蒸気とし、該水蒸気を前記吸気用送風機によって送気された前記吸気ガスに付加する発熱体と、
を有する請求項1または2に記載の呼吸補助装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、呼吸補助装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、呼吸器に何らかの問題を抱えた患者の呼吸をサポートするための「高流量酸素療法(ハイフローセラピー)」と呼ばれる呼吸療法が知られている。この呼吸療法は、患者に対して高流量で加湿された吸気ガスを供給し、患者の呼吸仕事量を低減することを可能としている。
【0003】
ここで特許文献1には高流量酸素療法に用いられる呼吸補助装置が記載されている。特許文献1に示されているようにこの種の装置では、患者に対して加湿した吸気ガスを供給するため液体の水を貯留したタンク(加湿チャンバ)が設けられている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら使用者(患者)に対して加湿した吸気ガスを供給し続けるためには、特許文献1に示されたようにある程度の容量の水タンクが必要となり、一般的に呼吸補助装置は据え付け型となっている。このため特に在宅で治療を受ける使用者(患者)にとっては、呼吸補助装置を装着したまま移動できる範囲が限られ、使い勝手の点において十分に満足が得られていないといった問題がある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
そこで本発明は、使用性を向上しつつ使用者に対して加湿した吸気ガスを供給可能な呼吸補助装置を提供する。
【0007】
本発明の一態様に係る呼吸補助装置は、使用者の呼吸器官へ吸気ガスを供給する呼吸補助装置であって、被載置物上に載置可能であり、電源に接続される電源端子を含むベース体と、前記ベース体に対して着脱可能に設けられた装置本体と、を備え、前記ベース体は、該ベース体が前記装置本体に取り付けられた取付状態において該装置本体の側に設けられ、前記電源端子に導通するベース側端子を有し、前記装置本体は、前記取付状態において前記ベース側端子に導通する本体側端子と、前記本体側端子を介して前記電源から動力となる電力が供給され、前記吸気ガスを前記使用者へ向けて送気する吸気用送風機と、前記本体側端子を介して前記電源から動力となる電力が供給され、前記吸気用送風機から流出した前記吸気ガスを加湿する加湿ユニットと、前記装置本体が前記ベース体から取り外された取外状態において前記吸気用送風機および前記加湿ユニットへ動力となる電力を供給するとともに、前記取付状態において前記本体側端子を介して前記電源から蓄電される駆動用バッテリと、を有する。
【0008】
上記呼吸補助装置では、前記加湿ユニットは液体状態の水を貯留するとともに、前記液体状態の水が供給される給水口が形成された水タンクを有し、前記ベース体は、前記取付状態において前記給水口に接続される接続口を有し、前記ベース体または前記装置本体に設けられ、前記電源からの電力によって駆動し、前記取付状態において前記接続口および前記給水口を介して給水源から前記液体状態の水を前記水タンクへ供給するポンプをさらに備えてもよい。
【0009】
上記呼吸補助装置が前記ポンプの動作を制御する制御装置をさらに備え、前記制御装置は、前記取付状態において前記水タンク内の水量を判定する水量判定部と、前記水量判定部で前記水タンク内の水量が所定の低基準値未満となった際に、前記ポンプを駆動して前記水タンクに水を供給する給水動作部と、前記水量判定部で前記水タンク内の水量が前記低基準値よりも大きな高基準値を超過した際に、前記ポンプを停止する給水停止部と、を有してもよい。
【0010】
上記呼吸補助装置が前記吸気用送風機の動作を制御する制御装置をさらに備え、前記制御装置は、前記取付状態に比べて前記取外状態において、前記吸気用送風機の出力を抑制する流量抑制部を有してもよい。
【0011】
上記呼吸補助装置では、前記装置本体は、少なくとも前記吸気用送風機を内側に収容するとともに、前記取付状態となる前記ベース体の側に開口して自身の内外を連通する本体側冷却用開口を形成する本体側筐体をさらに有し、前記ベース体は、前記電源端子を介して前記電源から動力となる電力が供給され、前記本体側冷却用開口を通じて前記本体側筐体の内側の空気を吸引し、または該本体側筐体の内側に向けて空気を送気する冷却用送風機をさらに有してもよい。
【0012】
上記呼吸補助装置では、前記ベース体は、少なくとも前記冷却用送風機を内側に収容するとともに、前記取付状態となる前記装置本体の側に開口して自身の内外を連通するベース側冷却用開口を形成するベース側筐体をさらに有し、前記ベース側冷却用開口は、前記取付状態において前記本体側冷却用開口における少なくとも一部の領域に対向するように形成されていてもよい。
【0013】
上記呼吸補助装置では、前記ベース側筐体には、前記吸気ガスとなる空気を該ベース側筐体内に取り込むベース側空気流入口、該ベース側空気流入口に連通して前記取付状態となる前記装置本体の側に開口するベース側空気流出口、および前記ベース側空気流入口と前記ベース側空気流出口とを接続するベース側空気流通路が形成され、前記本体側筐体には、前記取付状態となる前記ベース体における前記ベース側空気流出口の近傍に開口するとともに前記吸気用送風機の入口に連通する本体側空気流入口が形成され、前記ベース側空気流通路は、前記ベース側筐体内において屈曲または湾曲していてもよい。
【0014】
上記呼吸補助装置では、前記ベース側筐体には、前記吸気ガスとなる空気を該ベース側筐体内に取り込むベース側空気流入口、該ベース側空気流入口に連通して前記取付状態となる前記装置本体の側に開口するベース側空気流出口、前記ベース側空気流入口と前記ベース側空気流出口とを接続するベース側空気流通路、および前記ベース側空気流出口に接続されて前記取付状態となる前記装置本体に対向するベース側対向面から凹む対向凹部が形成され、前記本体側筐体には、前記取付状態となる前記ベース体の前記ベース側対向面に対向する本体側対向面において前記ベース側空気流出口の近傍で、かつ、前記対向凹部に対向する位置に開口して前記吸気用送風機の入口に連通する本体側空気流入口が形成されていてもよい。
【0015】
上記呼吸補助装置では、前記装置本体には、前記本体側空気流入口を覆うとともに前記本体側対向面の面方向に広がり、前記取付状態となる前記ベース体における前記対向凹部に対応する位置に配置された空気フィルタを有してもよい。
【0016】
上記呼吸補助装置では、前記本体側筐体には、前記吸気ガスとなる空気を該本体側筐体内に取り込む本体側空気流入口、前記吸気ガスを該本体側筐体外に流出させる吸気ガス流出口、および前記本体側空気流入口と前記吸気ガス流出口との間に配置された吸気ガス経路が形成され、前記吸気ガス経路は、前記吸気用送風機および前記加湿ユニットを経由して前記本体側空気流入口と前記吸気ガス流出口とを接続し、前記本体側筐体内において前記吸気ガス経路は、前記本体側冷却用開口に対して隔離されていてもよい。
【0017】
上記呼吸補助装置では、前記ベース体は、前記取付状態において、前記装置本体に係合して前記ベース体と前記装置本体との着脱方向への相対移動を規制するロック部材と、前記ロック部材を動作させて前記ベース体と前記装置本体との係合を解除する解除装置と、をさらに有してもよい。
【0018】
上記呼吸補助装置では、前記ベース体は、前記電源からの給電が停止した際に、前記取付状態において前記装置本体に電力を供給可能な補助バッテリをさらに有してもよい。
【0019】
上記呼吸補助装置では、前記装置本体は、前記使用者が把持する把持部を有し、前記把持部は、第一ストラップと、該第一ストラップよりも短い第二ストラップと、を有してもよい。
【0020】
上記呼吸補助装置では、前記加湿ユニットは、電磁誘導によって渦電流を生じさせる送電コイルと、前記渦電流によって加熱され、前記水タンクから供給される前記液体状態の水を水蒸気とし、該水蒸気を前記吸気用送風機によって送気された前記吸気ガスに付加する発熱体と、を有してもよい。
【発明の効果】
【0021】
上記の呼吸補助装置によれば、使用者に対して加湿した吸気ガスを供給しつつ、使用性を向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本発明の実施形態に係る呼吸補助装置の全体斜視図であって、(a)は取付状態となる呼吸補助装置を前方から見た図であり、(b)は取外状態となる呼吸補助装置を前方から見た図である。
【
図2】上記呼吸補助装置のベース体の全体斜視図であって、(a)はベース体を前方から見た図であり、(b)はベース体を後方から見た図である。
【
図3】上記呼吸補助装置の回路構成を模式的に示す図であって、実線の矢印が電力の供給経路を示し、二点鎖線の矢印が通信の経路を示す。
【
図4】上記呼吸補助装置のロック機構を装置幅方向の外側から見た図である。
【
図5】上記呼吸補助装置の装置本体の全体斜視図であって、(a)は装置本体を前方から見た図であり、(b)は装置本体を後方から見た図である。
【
図6】上記呼吸補助装置の制御装置のハードウェア構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら詳細に説明する。
(全体構成)
図1(a)および
図1(b)に示すように呼吸補助装置100は、使用者(患者)の呼吸器官に加湿した吸気ガスを供給する装置であって、不図示の被載置物(テーブル等)に載置可能なベース体1と、ベース体1に対して着脱可能に設けられる装置本体2と、ベース体1に設けられてベース体1から装置本体2に向けて液体状態の水を供給するメインポンプ(ポンプ)3と、各種機器の動作を制御する制御装置4とを備えている。本実施形態の呼吸補助装置100は、例えば「高流量酸素療法(ハイフローセラピー)」や、「経鼻的持続陽圧呼吸療法(CPAP:Continuous Positive Airway Pressure)」といった呼吸療法に使用される。
【0024】
ところで以下、ベース体1を被載置物に載置した状態を基準として、呼吸補助装置100の上下方向を装置上下方向D1とし、呼吸補助装置100の幅方向(呼吸補助装置100の正面に向かって左右方向)を装置幅方向D2とし、装置上下方向D1および装置幅方向D2に交差する方向を装置奥行方向D3と定義する。
【0025】
(ベース体)
図2(a)および
図2(b)に示すようにベース体1は、ベース側筐体10と、ベース側筐体10に設けられた電源端子11、ベース側端子12、給水ユニット13、冷却用送風機14、補助バッテリ15、およびロック機構16とを有している。
【0026】
ベース側筐体10は箱状をなし、上面が装置奥行方向D3の奥側から手前側に向かって下方に傾斜するテーパ面となっている。さらにこの上面には、下方に向かって凹んで装置本体2を受け入れるベース体受け凹部10aが形成されている。ベース体受け凹部10aの底面が、詳しく後述する装置本体2に対向するベース側対向面10bとなっている。
【0027】
図2(a)に示すようにベース側筐体10には、空気をベース側筐体10内に取り込むベース側空気流入口10x、ベース側空気流入口10xに連通してベース側対向面10bに開口するベース側空気流出口10y、およびベース側空気流入口10xとベース側空気流出口10yとを接続するベース側空気流通路10zが形成されている。
【0028】
ベース側空気流入口10xは、ベース側筐体10の手前側端に寄った位置において装置幅方向D2の一方側を向く側面に開口している。
【0029】
ベース側空気流出口10yは、ベース側筐体10の手前側端に寄った位置で、かつ装置幅方向D2の一方側端に寄った位置に配置されている。ここでベース側筐体10にはさらに、ベース側空気流出口10yに対して奥側に接続されてベース側対向面10bの面方向に広がり、ベース側対向面10bから下方に凹む対向凹部10cが形成されている。
【0030】
ベース側空気流通路10zは、ベース側筐体10の内側に形成されている。ベース側空気流通路10zは、ベース体側筐体10内においてベース側空気流入口10xから装置幅方向D2の内側に向かった後に、上方に延びてベース側空気流出口10yに接続されている。したがってベース側空気流通路10zは、延在方向の途中で屈曲または湾曲している。
【0031】
さらにベース側筐体10には、ベース側対向面10bにおいて対向凹部10cの奥側に配置されたベース側冷却用開口10dが形成されている。ベース側冷却用開口10dは矩形状をなしてベース側筐体10の内外を連通し、詳しく後述する装置本体2の冷却を行うための空気が流通するようになっている。
【0032】
電源端子11は、ベース側筐体10の奥側を向く面に配置されている。そして電源端子11には電源(交流電源)PWから延びる不図示の電源コードが接続可能となっている。電源端子11には、ベース側筐体10内に設けられたAC-DCコンバータ11x(
図3参照)が導通している。
【0033】
ベース側端子12は、ベース側筐体10のベース側対向面10bにおいて、装置奥行方向D3の手前側端に寄った位置、かつ装置幅方向D2の略中央位置に配置されて詳しく後述する装置本体2の本体側端子33(
図3参照)に係合して導通するようになっている。
【0034】
給水ユニット13は、ベース側空気流入口10xに奥側で、かつベース側筐体10における装置幅方向D2の一方側端に寄った位置に配置されている。より具体的には、給水ユニット13はベース側筐体10における上面から下方に凹む給水ユニット用凹部10eに上方から収容可能、かつ脱着可能にベース側筐体10に設けられている。
【0035】
そして給水ユニット13は、詳しく後述するメインポンプ3のダイヤフラム部3aを収容するカートリッジ本体20を有している。カートリッジ本体20には、カートリッジ本体20が給水ユニット用凹部10eに収容された状態において装置奥行方向D3の手前側端に寄った位置において上方に突出する供給側接続口20a、および装置奥行方向D3の奥側に突出する給水源側接続口20bが形成されている。供給側接続口20aは詳しく後述する装置本体2の側に給水を行うための開口である。また給水源側接続口20bは不図示の給水源に接続され、給水源から液体状態の水を導入するための開口である。
【0036】
冷却用送風機14は、ベース側筐体10の内側に収容され、ベース側冷却用開口10dを通じて空気を吸引する。冷却用送風機14は、AC-DCコンバータ11xを介して電源端子11に導通しており、電源端子11を介して電源PWから動力となる電力が冷却用送風機14へ供給されるようになっている(
図3参照)。
【0037】
補助バッテリ15は後述する制御装置4によって制御され、電源PWからの給電が停止した際に、詳しく後述する装置本体2の側へ電力を供給する。補助バッテリ15は、装置奥行方向D3の奥側を向く面からベース側筐体10に挿入可能かつ取り出し可能となっている。
【0038】
ロック機構16は、詳しく後述する装置本体2に係合してベース体1と装置本体2との装置上下方向(着脱方向)D1の相対移動を規制するロック部材17と、ロック部材17を動作させて装置本体2の係合を解除する解除装置18とを有している。
【0039】
ロック部材17は、上述したベース側端子12に対して奥側において、ベース側対向面10bから上方に露出するように配置されている。ロック部材17は後述する装置本体2と噛み合うように爪状をなしている。
【0040】
解除装置18は、ベース側筐体10において給水ユニット13とは装置幅方向D2に反対側(他方側)に配置されている。解除装置18はベース側筐体10内においてロック部材17に接続されている。より具体的には
図4に示すように、解除装置18はベース側筐体10における装置幅方向D2の他方側を向く面上に配置され、装置幅方向D2に延びる軸線Oを中心として装置上下方向D1に回動可能となったレバーとなっている。解除装置18を回動させると、ロック部材17の装置本体2への噛み合いが解除され、ベース体1に対する装置本体2の相対移動が許容され、装置本体2をベース体1から取り外し可能となる。
【0041】
(メインポンプ)
図2(a)に戻ってメインポンプ3は例えばダイヤフラムポンプであって、ダイヤフラム部3aと、ダイヤフラム部3aを動作させるポンプドライバ3bとを有している。ダイヤフラム部3aは、給水ユニット13におけるカートリッジ本体20に収容されている。ポンプドライバ3bはAC-DCコンバータ11xを介して電源端子11に導通し、電源PWから動力となる電力がポンプドライバ3bへ供給されるようになっている(
図3参照)。ポンプドライバ3bは、詳しく後述する制御装置4によってその動作が制御される。
そして給水ユニット13がベース側筐体10の給水ユニット用凹部10eに収容された状態で、ポンプドライバ3bがダイヤフラム部3aに接続され、ダイヤフラム部3aの動作によって液体状態の水を給水源から給水源側接続口20bを介して給水ユニット13におけるカートリッジ本体20に吸い上げ、供給側接続口20aへ向けて吐出する。
【0042】
(装置本体)
図5(a)および
図5(b)に示すように装置本体2は、本体側筐体30と、本体側筐体30に設けられた吸気用送風機31、加湿ユニット32、本体側端子33、駆動用バッテリ34、および把持部35とを有している。
【0043】
本体側筐体30は箱状をなし、ベース体1のベース体受け凹部10a(
図2(a)参照)に受け入れられるようにしてベース体1に対して上方から取り付けられる。以下、装置本体2の本体側筐体30がベース体1に取り付けられた状態を取付状態とし、ベース体1から取り外された状態を取外状態とする。
【0044】
本体側筐体30には、取付状態においてベース体1の側となる下方を向いてベース側対向面10bに対向する本体側対向面30bに開口して、自身の内外を連通する本体側冷却用開口30dが形成されている。本体側冷却用開口30dの少なくとも一部の領域は、取付状態においてベース体1のベース側冷却用開口10d(
図2(a)参照)に対向する。すなわち本体側対向面30bに直交する方向から見て、本体側冷却用開口30dの少なくとも一部の領域に対してベース側冷却用開口10dが重なるように、本体側冷却用開口30dが配置されている。
【0045】
さらに本体側筐体30には、使用者に供給される吸気ガスとなる空気を本体側筐体30内に取り込む本体側空気流入口30x、吸気ガスを本体側筐体30外に流出させる吸気ガス流出口30y、および本体側空気流入口30xと吸気ガス流出口30yとの間に配置された吸気ガス経路30zが形成されている。
【0046】
本体側空気流入口30xは本体側対向面30bに配置され、取付状態においてベース側空気流出口10y(
図2(a)参照)の近傍に開口している。本体側空気流入口30xは、詳しく後述する吸気用送風機31の入口に吸気ガス経路30zを介して本体側筐体30内で連通しており、吸気用送風機31によってベース側空気流出口10yから本体側空気流入口30xへ空気が流入させられて本体側筐体30内に取り込まれる。この空気が吸気ガスとなってチューブ(カニューレ等)CAを介して使用者へ供給される。
【0047】
吸気ガス流出口30yは、本体側筐体30における奥側端に寄った位置で、装置幅方向D2の一方側を向く側面に開口している。
【0048】
吸気ガス経路30zは、本体側筐体30の内側に形成されている。そして吸気ガス経路30zは、詳しく後述する吸気用送風機31および加湿ユニット32を経由して本体側空気流入口30xと吸気ガス流出口30yとを接続している。吸気ガス経路30zは、本体側冷却用開口30dに対して隔離されて形成されており、本体側冷却用開口30dから流出する空気の流れと、本体側空気流入口30xから流入する空気の流れとが交わらないようになっている。
【0049】
ここで本体側筐体30には、本体側空気流入口30xを下方から覆うように空気フィルタ39が設けられている。空気フィルタ39は本体側対向面30bの面方向、すなわち取付状態においてベース側対向面10bの面方向に広がるように設けられている(
図2(a)参照)。空気フィルタ39は、取付状態においてベース体1の対向凹部10cに対応する位置に配置されている。より具体的に空気フィルタ39の外寸は対向凹部10cの内寸と略同一となっている。そして、取付状態において空気フィルタ39の全体が対向凹部10cの内側に位置するようになっている。
【0050】
また本体側筐体30の本体側対向面30bには、ベース体1のロック部材17に噛み合う被ロック部材38が設けられている。被ロック部材38は、ベース体1に対して本体側筐体30が下方に押し付けられた際にロック部材17に係合し、取付状態においてベース体1と装置本体2との装置上下方向(着脱方向)D1の相対移動を規制する。
【0051】
ここで本実施形態では、本体側筐体30における奥側端に寄った位置において装置幅方向D2の他方側を向く側面に、酸素取込口30eが形成されている。酸素取込口30eには不図示の酸素供給源(酸素濃縮器)が接続される。酸素取込口30eは、詳しく後述する吸気用送風機31の入口に連通し、空気と混合されて吸気用送風機31によって吸気ガスとして使用者に向けて送気される。
【0052】
また本体側筐体30における本体側対向面30bとは反対側の面である表面30aには、タッチパネル30pが設けられている。タッチパネル30pを操作することで、詳しく後述する制御装置4によって吸気用送風機31や加湿ユニット32を動作させ、使用者に供給される吸気ガスの温度や流量を任意に設定可能となっている。
【0053】
吸気用送風機31は、本体側筐体30の内側に収容され、本体側空気流入口30xから吸引した空気を吸気ガスとして吐出し、使用者へ向けて送気する。
【0054】
加湿ユニット32は、本体側筐体30に設けられ、吸気用送風機31から吐出されて流出した吸気ガスを加湿するとともに加熱する。具体的には加湿ユニット32は、液体状態の水を貯留する水タンク40と、水タンク40から水を吸い上げるユニット内ポンプ41と、電磁誘導によって渦電流を生じさせる送電コイル42と、上記渦電流によって加熱されて水蒸気を生成する発熱体43とを有している。
【0055】
水タンク40には液体状態の水が供給される給水口40aが形成されている。給水口40aは取付状態において、ベース体1の給水ユニット13における供給側接続口20aに接続される。また水タンク40は光透過性を有する材料で形成されている。
【0056】
ユニット内ポンプ41は、水タンク40に対して装置上下方向D1の上方に隣接して設けられている。
【0057】
送電コイル42へは、詳しく後述する統括制御部4aから動力となる電力が供給される。(
図3参照)送電コイル42は不図示のインバータに接続され、統括制御部4aから供給される直流電流が交流電流に変換されて送電コイル42に印加される。
【0058】
発熱体43は、送電コイル42に挿通された例えば薄板状の金属を含み、水蒸気が通過可能な複数の貫通孔を有している。発熱体43は、送電コイル42からの電磁誘導によって渦電流を生じ、自身の電気抵抗によって加熱される。すなわち発熱体43は、水タンク40からユニット内ポンプ41によって供給される液体状態の水を誘導加熱によって加熱し、蒸発させて水蒸気を生成し、吸気用送風機31によって送気された吸気ガスに付加する。
【0059】
ところで本体側筐体30は、これら水タンク40、ユニット内ポンプ41、送電コイル42、および発熱体43が設けられた加湿チャンバー部300と、加湿チャンバー部300が着脱される筐体本体310とを有している。加湿チャンバー部300には上述の吸気ガス流出口30yおよび吸気ガス経路30zの一部分が設けられている。加湿チャンバー部300は、ユニット内ポンプ41、送電コイル42、および発熱体43を内側に収容するとともに、水タンク41を装置上下方向D1の上方から支持している。また加湿チャンバー部300内には、吸気ガス経路30zの下方に送電コイル42、および発熱体43が配置され、送電コイル42および発熱体43のさらに下方にユニット内ポンプ41が配置されている。そしてユニット内ポンプ41によって水が送電コイル42の周囲に供給され、水が加熱されるようになっている。
【0060】
本体側端子33は、取付状態においてベース体1のベース側端子12(
図2(a)参照)に係合して導通する。すなわち本体側端子33は、本体側筐体30の本体側対向面30bの手前側端に寄った位置で、かつ、取付状態においてベース側端子12とちょうど係合可能な位置に設けられている。
【0061】
駆動用バッテリ34は、取外状態において吸気用送風機31および加湿ユニット32へ動力となる電力を供給する。また駆動用バッテリ34は取付状態においては本体側端子33に導通し、本体側端子33を介して電源PWから蓄電されるようになっている。
【0062】
把持部35は、本体側筐体30に設けられており、ベース体1から装置本体2を取り外した取外状態において装置本体2のみを使用者が持ち運ぶ際に利用される。すなわち把持部35は第一ストラップ36と、第一ストラップ36よりも短い第二ストラップ37とを有している。例えば第一ストラップ36は肩掛け用であり、第二ストラップ37は手持ち用である。第一ストラップ36と第二ストラップ37とは、必ずしも別々に設けられなくともよく、例えば第一ストラップ36の途中位置同士をつなぐように第二ストラップ37を設け、第一ストラップ36および第二ストラップ37を一体化してもよい。
【0063】
(制御装置)
図3に戻って制御装置4は、本体側筐体30に設けられた統括制御部4aおよび加湿制御部4bと、ベース側筐体10に設けられたベース側制御部4cとを有している。
【0064】
図5(a)に示すように統括制御部4aは本体側筐体30における筐体本体310に設けられている。
図3に戻って、統括制御部4aは吸気用送風機31および駆動用バッテリ34の動作を制御するとともに、加湿制御部4bおよびベース側制御部4cとの通信を行う統括計算機400を有している。統括計算機400は、取付状態において本体側端子33およびベース側端子12を介してベース側制御部4cに対して通信回線で電気的に接続され、ベース側制御部4cと通信する。また統括計算機400は、冷却用送風機14に対しても、取付状態において本体側端子33およびベース側端子12を介して通信回線で電気的に接続され、冷却用送風機14の動作を制御する。
【0065】
そして
図6に示すように統括計算機400は、CPU(Central Processing Unit)410と、ROM(Read Only Memory)やRAM(Random Access Memory)などのメモリ420と、HDD(Hard Disk Drive)やSSD(Solid State Drive)などの不揮発性の記憶装置430と、電源装置440と、入力インターフェース450と、出力インターフェース460と、これらを接続するバス配線470とを有している。
【0066】
CPU410は中央演算処理装置であって各種プログラムを実行する。メモリ420はCPU410の作業領域や記憶領域として使用され、記憶装置430はCPU410で実行されるオペレーティングシステムやプログラム等を記憶する。電源装置440は本体側端子33に導通し、本体側端子33を介して電源PW(
図3参照)から動力となる電力が制御装置4へ供給されるようになっている。
【0067】
また
図3に戻って統括制御部4aは、コイル給電回路401をさらに有している。コイル給電回路401は、加湿ユニット32における送電コイル42に電力を供給する。
【0068】
加湿制御部4bは本体側筐体30における加湿チャンバー部300に設けられている(
図5(a)参照)。加湿制御部4bは加湿用CPUを含む加湿用計算機480と、ポンプ給電回路481とを有している。加湿用計算機480は、例えば加湿チャンバー部300に形成された吸気ガス流出口30y(
図5(a)参照)の近傍や、加湿チャンバー部300内の吸気ガス経路30z上に設けられた温度センサTSによって加湿後の吸気ガスの温度を監視し、加湿後の吸気ガスの温度情報の信号を統括計算機400に送信する。
なおこの温度情報の信号に基づき、統括計算機400によって加湿ユニット32における送電コイル42への通電状態が制御され、発熱体43における発熱量が調整され、水の加熱量(蒸発量)が調整される。
【0069】
さらに加湿用計算機480は加湿ユニット32におけるユニット内ポンプ41と通信回線によって接続されている。加湿用計算機480はユニット内ポンプ41を制御することで吸気ガスの加湿量を調整する。またポンプ給電回路481は、ユニット内ポンプ41に電力を供給する。
【0070】
図2(a)に戻って、ベース側制御部4cはベース側筐体10に設けられている。
図3に示すようにベース側制御部4cは、メインポンプ3におけるポンプドライバ3b、および補助バッテリ15の動作を制御するベース側CPUを含むベース側計算機490を有している。
【0071】
ここで制御装置4は、
図7に示すように水量判定部50と、給水動作部51と、給水停止部52と、流量抑制部53とを有している。
【0072】
水量判定部50は、取付状態において水タンク40内の水量を判定する。すなわち、水タンク40に設けられた不図示の水量センサからの信号を検知し、水量が所定の低基準値未満であるか否か、および低基準値よりも大きな高基準値より大きいか否かを判定する。なお水量センサは特に限定されるものではなく、例えば接触式(フロート式等)や非接触式(静電容量式や超音波式等)が採用される。なお本実施形態において上記の水量センサは、水タンク41の外側に設けられた静電容量式のセンサとなっている。
【0073】
給水動作部51は、水量判定部50で水タンク40内の水量が低基準値未満となった際に、メインポンプ3を駆動して給水ユニット13の供給側接続口20a(
図2(a)参照)から給水口40aを介して水タンク40へ液体状態の水を供給する。
【0074】
給水停止部52は、水量判定部50で水タンク40内の水量が高基準値を超過した際に、メインポンプ3を停止する。これにより水タンク40内の水量は、取付状態においては高側基準値に常時維持されるようになっている。
【0075】
流量抑制部53は、取付状態に比べて取外状態において吸気用送風機31の出力を抑制する。具体的には吸気用送風機31の出力を抑制することで、吸気ガスの流量を3/4倍、より好ましくは2/3倍以下とする。すなわち、流量抑制部53は、不図示の着脱検知センサによってベース体1および装置本体2が取付状態となっているか、または取外状態となっているか検知し、吸気用送風機31の出力を調整する。なお上記の着脱検知センサは、例えば本体側端子33とベース側端子12との接続(通電)の有無、すなわち本体側端子33およびベース側端子12を介した制御装置4による通信の有無を検知するセンサとなっているが、特に限定されるものではない。
【0076】
(作用効果)
以上説明した本実施形態の呼吸補助装置100によれば、ベース体1に対して装置本体2を着脱した取外状態で、使用者は装置本体2のみを持ち運ぶことが可能となり使用性を向上することができる。またこの際、装置本体2の側に吸気用送風機31、加湿ユニット32、および駆動用バッテリ34が設けられているため、装置本体2のみを持ち運んでいる状態においても、使用者には加湿された吸気ガスを供給することが可能となる、よって使用者が移動しながら呼吸補助装置100による呼吸療法を継続することが可能となる。
【0077】
また装置本体2には水タンク40が設けられており、ベース体1に装置本体2が取り付けられた取付状態では、水タンク40にはメインポンプ3によって水が供給されるようになっている。したがって、装置本体2のみを持ち運ぶ際の短い時間内の使用に耐え得るだけの水量を水タンク40に貯留可能な程度に、水タンク40の容量を抑えることができる。よって装置本体2の小型化が可能となり、使用性をさらに向上することができる。
【0078】
また制御装置4が、取付状態において水タンク40内の水量が所定の低基準値未満となった際に、メインポンプ3を駆動して水タンク40に水を供給し、かつ、水タンク40内の水量が高基準値を超過した際にはメインポンプ3を停止することで、水タンク40内の水量が取付状態においては高側基準値に常時維持される。したがって、使用者が装置本体2をベース体から取り外した際には、水タンク40内の水量が高側基準値となっていることになり、上記のように水タンク40の容量を小さく抑えた場合であっても、装置本体2のみを持ち運ぶ際の水切れを回避することができる。
【0079】
また制御装置4の流量抑制部53によって、取付状態に比べて取外状態において、吸気用送風機31の出力を抑制する。このため、使用者が装置本体2のみを持ち運ぶ際には、ベース体の側に設けられた冷却用送風機14による冷却効果が得られなくなるが、吸気用送風機31の出力を抑制することで吸気用送風機31からの排熱量を抑えることができるため、吸気用送風機31の保護につながる。また駆動用バッテリ34の電力使用量を抑えることもでき、装置本体2のみを持ち運ぶことのできる時間を長くすることができる。
【0080】
また冷却用送風機14をベース体1の側に設けたことで、装置本体2の小型化が可能であるとともに、取付状態では装置本体内を確実に冷却することができる。
【0081】
またベース体1に形成されたベース側空気流通路10zが、ベース側筐体10内において屈曲または湾曲していることでサイレンサとしての機能を有し、呼吸補助装置100からの騒音を抑えることができる。
【0082】
またベース体1には、装置本体2に対向するベース側対向面10bから凹む対向凹部10cが形成され、かつ、対向凹部10cはベース側空気流出口10yに接続されている。したがってベース側空気流出口10yから流出した空気が対向凹部10c内に広がるように案内されて装置本体2の本体側空気流入口30xへ流入することになり、ベース体1から装置本体2に向けて、効率的に空気を送り込むことができる。
【0083】
また空気フィルタ39を取付状態において対向凹部10cに対応する位置に設けたことで、対向凹部10cに案内された空気を、空気フィルタ39に対して全体的に通過させることができ、空気の清浄効果を高めることができる。
【0084】
また装置本体2の本体側筐体30内において吸気ガスを使用者に供給するための吸気ガス経路30zは、冷却用の空気が流通する本体側冷却用開口30dに対して隔離されているため、吸気ガスとなる空気と、冷却用の空気とが本体側筐体30内で混じり合うことがなく、吸気ガスとなる空気に汚染されてしてしまうことを回避できる。
【0085】
またベース体1がロック機構16を有することで、取付状態ではベース体1と装置本体2とを容易に一体化でき、また、解除装置18であるレバーを操作することで容易に装置本体2をベース体1から取り外すことができる。
【0086】
またベース体1が補助バッテリ15を有しているため、仮に停電等によって電源PWからの電力供給が停止した場合においても、装置本体2への電力供給を継続できる。
【0087】
また把持部35が互いに長さの異なる第一ストラップ36および第二ストラップ37を有することで、装置本体2のみを持ち運ぶ際の装置本体2の把持方法を使用者の好みに応じて選択可能となる。
【0088】
また加湿ユニット32では誘導加熱を利用して吸気ガスの加湿、加温を行うため、加湿ユニット32の小型化が可能となり、結果として装置本体2の小型化につながる。
【0089】
ここで本発明は、上記した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々変更を加え得ることは勿論である。
【0090】
例えば、メインポンプ3は装置本体2の側に設けてもよい。
また上述のように冷却用送風機14が装置本体2の側から空気を吸引する場合に限定されず、冷却用送風機14が装置本体2の側に向けて空気を送気するようにしてもよい。この場合、装置本体2に冷却後の空気を排気する排気口を設けてもよい。またこの場合、冷却用送風機14が送気した空気を再びベース体1の側に戻し、ベース体1から排気してもよい。
【0091】
また加湿ユニット32の構造は、上述の場合に限定されない。また制御装置4についてはその構成部品、および機能を適宜、ベース1の側と装置本体2の側とに分散して設けてもよいし、一括でベース1の側のみ、または装置本体2の側のみに設けてもよい。
【産業上の利用可能性】
【0092】
本発明の呼吸補助装置によれば、使用性を向上しつつ使用者に対して加湿した吸気ガスを供給可能となる。
【符号の説明】
【0093】
1…ベース体
2…装置本体
3…メインポンプ
4…制御装置
10…ベース側筐体
10…ベース体側筐体
10a…凹部
10b…ベース側対向面
10c…対向凹部
10d…ベース側冷却用開口
10e…給水ユニット用凹部
10x…ベース側空気流入口
10y…ベース側空気流出口
10z…ベース側空気流通路
11…電源端子
12…ベース側端子
13…給水ユニット
14…冷却用送風機
15…補助バッテリ
17…ロック部材
18…解除装置
20…カートリッジ本体
20a…供給側接続口
30…本体側筐体
30b…本体側対向面
30d…本体側冷却用開口
30x…本体側空気流入口
30y…吸気ガス流出口
30z…吸気ガス経路
31…吸気用送風機
32…加湿ユニット
33…本体側端子
34…駆動用バッテリ
35…把持部
36…第一ストラップ
37…第二ストラップ
39…空気フィルタ
40…水タンク
40a…給水口
42…送電コイル
43…発熱体
50…水量判定部
51…給水動作部
52…給水停止部
53…流量抑制部
100…呼吸補助装置
400…統括計算機
410…CPU
420…メモリ
430…記憶装置
440…電源装置
450…入力インターフェース
460…出力インターフェース
470…バス配線
480…加湿用計算機
490…ベース側計算機
PW…電源