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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111954
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】船舶用プロペラキャップ
(51)【国際特許分類】
   B63H 1/20 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
B63H1/20 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016719
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000110435
【氏名又は名称】ナカシマプロペラ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002217
【氏名又は名称】弁理士法人矢野内外国特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】滝谷 智也
(72)【発明者】
【氏名】山磨 敏夫
(72)【発明者】
【氏名】櫻井 貴哉
(57)【要約】      (修正有)
【課題】ボス部材と、前記ボス部材の軸方向先端側に固定されるキャップ部材と、を備え、キャップ部材の周囲にフィンを設けた船舶用プロペラであって、フィンの取付け・取外しを容易に行うことができ、キャップ部材のボス部材への固定に用いる取付工具とフィンとの干渉を回避することができる船舶用プロペラを提供する。
【解決手段】キャップ本体40の表面から径方向外側に突出する複数のフィン51を有し、フィン51の係合板53が、キャップ本体40の表面のらせん状の被係合溝45と係合されて、取付部材であるネジ55によって取り付けることにより着脱可能に取り付けられる。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
船舶を駆動する船舶用プロペラに取り付けられる船舶用プロペラキャップであって、
前記船舶用プロペラは、プロペラ軸と共に回転するボス部材を備え、
前記船舶用プロペラキャップは、前記プロペラ軸の軸方向後端側に固定されるキャップ本体と、前記キャップ本体の周囲に設けられた複数枚のフィンと、を備え、
前記フィンは、前記キャップ本体の表面の被係合部に取り付けられる係合部を有し、
前記フィンの係合部と、前記被係合部とは、取付部材によって固定される
ことを特徴とする、船舶用プロペラキャップ。
【請求項2】
前記被係合部は、被係合溝で構成され、
前記係合部は、係合板で構成され、
前記係合溝に前記係合板を嵌合させて、取付部材によって取り付ける
ことを特徴とする、請求項1に記載の船舶用プロペラキャップ。
【請求項3】
前記被係合部は、被係合突起で構成され、
前記係合部は、係合凹部で構成され、
前記被係合突起に前記係合凹部を嵌合させて、取付部材によって取り付ける
ことを特徴とする、請求項2に記載の船舶用プロペラキャップ。
【請求項4】
前記取付部材は、取付ネジで構成される、
ことを特徴とする、請求項2または3に記載の船舶用プロペラキャップ。
【請求項5】
前記取付部材は、スタッドボルトおよびナットで構成される、
ことを特徴とする、請求項2または3に記載の船舶用プロペラキャップ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、船舶用プロペラキャップに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、船舶の推進用として船舶の船尾に設けられる舶用プロペラは、ボス部分をプロペラ軸に押込み固定され、脱落防止のためにプロペラナットが取り付けられる。さらにプロペラ軸ネジ部とナットを海水から保護するため、キャップ部材が取り付けられている(例えば、特許文献1参照)。このようなキャップ部材においては、キャップ部材の周囲にフィンを備えたものも知られている。小型の漁船やプレジャーボート等の場合には、ナットとキャップ部材が一体になったものもある。
【0003】
フィンを備えることにより、プロペラの根本から出てキャップ部の後端面中央に集まるプロペラ根本翼端渦を拡散して、「ハブボルテックス」と呼ばれる渦の発生を抑制することができる。フィンは、キャップ部材の周囲に複数枚備えられ、キャップ部材のプロペラ軸中心から外側へ突出するように配置される。
【0004】
ところで、キャップ部材をプロペラボスの後端部に取り付ける際には、工具などを用いて固定する。例えば、キャップ部材の取付部側にフランジを設け、プロペラボス後端面とフランジ部とを、プロペラボスの後端に設けられたネジ孔に取付部材であるネジを締結することにより、固定する構造が公知となっている(例えば、特許文献2参照)。この場合、ネジを締結する取付工具を、当該ネジの頭部に係合させて締結することにより固定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2019-014367号公報
【特許文献2】特開2019-127193号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来のフィンは、キャップ部材の表面にエポキシ樹脂などの接着剤によって固着されているもしくはキャップとフィンが一体で製造されている。このため、前者は航行中にフィンが損傷した場合に、フィンのみを交換するには、接着剤を剥離してフィン部分を除去する必要があり、フィンの交換を行う作業工程が多くかかっていた。後者はフィンの交換が不可能で、キャップと一体となった状態でフィンを修理する必要があった。
【0007】
また、キャップ部材の内周面にネジ溝を設けて、キャップ部材の外周面を把持する取付工具によってプロペラ軸へ締め付けることにより、キャップ部材をプロペラボスの先端部に固定する構成の場合、取付工具は、大きなトルクをかけるためにフープ状の開口部を設けたレンチを採用することがよいが、フィンを複数枚備えたキャップ部材をプロペラボスに取り付ける際、前記レンチをキャップに通す場合に、フィンが干渉してしまい取付作業を行えなかった。そのため、口部を開放したレンチを使用することとなり、十分に締め付けようとした場合にレンチが変形してしまうことがあった。
【0008】
そこで本発明はかかる課題に鑑み、キャップ本体の周囲にフィンを設けた船舶用プロペラキャップであって、フィンの取付け・取外しを容易に行うことができ、キャップ部材のプロペラ軸への固定に用いる取付工具とフィンとの干渉を回避することができる船舶用プロペラキャップを提供する。
【課題を解決するための手段】
【0009】
第一の発明は、
船舶を駆動する船舶用プロペラに取り付けられる船舶用プロペラキャップであって、
前記船舶用プロペラは、プロペラ軸と共に回転するボス部材を備え、
前記船舶用プロペラキャップは、前記プロペラ軸の軸方向後端側に固定されるキャップ本体と、前記キャップ本体の周囲に設けられた複数枚のフィンと、を備え、
前記フィンは、前記キャップ本体の表面の被係合部に取り付けられる係合部を有し、
前記フィンの係合部と、前記被係合部とは、取付部材によって固定される、ものである。
【0010】
第二の発明は、第一の発明に係る船舶用プロペラキャップにおいて、
前記被係合部は、被係合溝で構成され、
前記係合部は、係合板で構成され、
前記係合溝に前記係合板を嵌合させて、取付部材によって取り付ける、ものである。
【0011】
第三の発明は、第二の発明に係る船舶用プロペラキャップにおいて、
前記被係合部は、被係合突起で構成され、
前記係合部は、係合凹部で構成され、
前記係合突起に前記係合凹部を嵌合させて、取付部材によって取り付ける、ものである。
【0012】
第四の発明は、第二の発明または第三の発明に係る船舶用プロペラキャップにおいて、
前記取付部材は、取付ネジで構成される、ものである。
【0013】
第五の発明は、第二の発明または第三の発明に係る船舶用プロペラキャップにおいて、前記取付部材は、スタッドボルトおよびナットで構成される、ものである。
【発明の効果】
【0014】
第一の発明に係る船舶用プロペラキャップによれば、取付部材の脱着によって、フィンの係合部とキャップ部材の被係合部の間に接着剤を設けることなくフィンを装着することができる。これにより、フィンの取付け・取外しを容易に行うことができ、キャップ部材のボス部材への固定に用いる取付工具とフィンとの干渉を回避することができる。
【0015】
第二の発明に係る船舶用プロペラキャップによれば、被係合部は、被係合溝で構成され、係合部は、係合板で構成されるため、フィンの根本部の一部が被係合溝に格納されることとなり、意匠性が向上する。
【0016】
第三の発明に係る船舶用プロペラキャップは、被係合部は、被係合突起で構成され、係合部は、係合凹部で構成されるため、被係合突起において係合する際に係合位置が視認しやすく、取付性が向上する。
【0017】
第四の発明に係る船舶用プロペラキャップのフィンにおいては、取付部材は、取付ネジで構成されるため、ネジの嵌脱によってフィンを容易に脱着することができる。
【0018】
第五の発明に係る船舶用プロペラキャップにおいては、キャップ側のネジ穴にスタッドボルトを立設してナットで固定することによってフィンを容易に脱着することができる。
【図面の簡単な説明】
【0019】
図1】本発明の第一の実施形態にかかる船舶用プロペラを示す断面側面図。
図2】本発明の第一の実施形態にかかるフィンを取り付けたキャップ部材を示す側面図。
図3】本発明の第一の実施形態にかかるフィンを取り付けたキャップ部材を示す斜視図。
図4】本発明の第一の実施形態にかかるキャップ部材を示す側面断面図。
図5】フィンを有しないキャップ部材およびハブボルテックスを示す斜視図。
図6】フィンを取り付けたキャップ部材およびハブボルテックスを示す斜視図。
図7】本発明の第二の実施形態に係るフィンを取り付けたキャップ部材を示す斜視図。
図8】本発明の第二の実施形態に係るフィンを取り付けたキャップ部材を示す側面図。
図9】本発明の第二の実施形態に係るフィンを取り付けたキャップ部材を示す側面断面拡大図。
図10】本発明の第二の実施形態に係るフィンを取り付けたキャップ部材を示す側面断面図。
図11】本発明の第三の実施形態に係るフィンを取り付けたキャップ部材を示す側面図。
図12】本発明の第三の実施形態に係るキャップ部材を示す斜視図。
図13】本発明の第四の実施形態に係るフィンを示す側面図。
図14】本発明の第四の実施形態に係るフィンを示す平面図。
図15】本発明の第五の実施形態に係るフィンを取り付けたキャップ部材を示す斜視図。
図16】本発明の第五の実施形態に係るキャップ部材を示す斜視図。
図17】本発明の第六の実施形態に係るキャップ部材を示す斜視図。
【発明を実施するための形態】
【0020】
[第一実施形態]
まず、図1から図4を用いて、第一実施形態に係る船舶用プロペラ1について説明する。以下において、「前」とは船体の前進方向を意味し、「後」とは船体の後進方向を意味する。
【0021】
船舶用プロペラ1は、エンジンの回転力を推進力に変換するものである。船舶用プロペラ1は、プロペラ軸11と、プロペラ軸11に嵌設され、プロペラ軸11と共に回転するボス2と、ボス2と一体的に形成されたブレード3とを備えている。なお、本船舶用プロペラ1は、いわゆる四枚翼プロペラであるが、これに限定するものではない。
【0022】
ブレード3は、ボス2と一体に形成される(図1参照)。ブレード3およびボス2は、金属で形成されている。なお、これに限定されるものではなく、ブレードとボスが組み立て式のプロペラ、ブレードが金属ではなく複合材料などで形成されたものも含まれる。
【0023】
船舶用プロペラキャップ4は、ボス2の脱落を防止する部材であり、金属製である。船舶用プロペラキャップ4は、後端に向かうにつれて縮径する錘状に形成されており、後端部は丸めて形成されているものが主流であるが、本発明ではキャップ部材形状を限定しない。船舶用プロペラキャップ4は、キャップ本体40と、キャップ本体40の周囲に設けられた複数枚のフィン51とを備える。
【0024】
図1および図4に示すように、船舶用プロペラキャップ4のキャップ本体40は中空に形成されており、その前端側内周面には、プロペラ軸11の取付部11aと嵌合するキャップ被係合部である外嵌部41が形成されている。外嵌部41の内径は、プロペラ軸11の後端に設けられた取付部11aの外径と略同一であり、外嵌部41の内周面にはキャップ被係合部であるネジ溝42が設けられている。キャップ本体40を回転させることにより、外嵌部41のネジ溝42と取付部11aの係合部であるネジ山23とが螺嵌して密着固定する。
【0025】
なお、船舶用プロペラキャップ4は、キャップ本体40の外嵌部41にネジ溝42が切られた構造を有している。すなわち、船舶用プロペラキャップ40は、プロペラナットを含む部材であり、当該部材に複数枚のフィン51を備えた構成である。船舶用プロペラキャップ4は、外嵌部41、ネジ溝42を設けず、キャップ本体40にフランジを設け、プロペラボスの後端に設けられたネジ孔に取付部材であるネジによって締結する構成であってもよい。
【0026】
図2および図3に示すように、キャップ本体40の外周面であって、前端側にはレンチを係合するための締め付け用の平面幅部43が設けられている。平面幅部43は直線状に形成されており、スパナやめがねレンチなどを係合することにより、船舶用プロペラキャップ4自体をプロペラ軸に対して、相対的に回転することができる。
【0027】
また、船舶用プロペラキャップ4は、キャップ緩み止めボルト71を具備している。
【0028】
図1および図4に示すように、船舶用プロペラキャップ4はその後端にキャップ緩み止めボルト孔72を備える。キャップ緩み止めボルト71は、後端部からキャップ緩み止めボルト孔72に貫入し、プロペラ軸11の取付部11aに固定することで、船舶用プロペラキャップ4を、プロペラ軸11に固定する。
【0029】
船舶用プロペラキャップ4のプロペラ軸11への取付は、まず、キャップ本体40を回転させることにより、外嵌部41のネジ溝42と取付部11aの係合部であるネジ山23とを螺嵌したあと、キャップ緩み止めボルト孔72にキャップ緩み止めボルト71を貫入して固定する。これにより、船舶用プロペラキャップ4を、プロペラ軸11に固定する。
【0030】
キャップ本体40の表面部には、被係合溝45が設けられている。被係合溝45は、前方から後方へ向かうにつれて旋回する螺旋形状となっている。被係合溝45の一側面には取付部材であるネジ55を挿入するためのネジ穴46が設けられている。ネジ穴46は、取付部材であるネジ55を挿入するために設けられた穴である。
【0031】
船舶用プロペラキャップ4は、被係合溝45に取り付けられ、キャップ本体40の周囲に突出する複数のフィン51を備える。複数のフィン51は、図2および図3に示すように、根本に設けられる係合部である係合板53を有する。本実施形態においては、フィン51の根本部の一部が係合板53として一体的に形成されている。
【0032】
フィン51の被係合溝45と係合する部分は、被係合溝45と形状を合わせて形成されている。また、フィン51の根本部には、取付部材であるネジ55を貫入するための図示せぬネジ孔が設けられている。
【0033】
フィン51の取付には取付部材としてネジ55が用いられる。ネジ55は、金属にて形成されており、フィン51のネジ孔およびキャップ本体40の被係合溝45のネジ穴46に挿入されることにより、フィン51とキャップ本体40とを固定するものである。
【0034】
なお、ネジ55は、金属で形成されるものに限定されず、例えば、樹脂で形成することも可能である。この場合、ネジ55の剛性は金属よりも劣るものの、錆等の劣化を防止することができる。
【0035】
また、フィン51を取り外すときには、フィン51のネジ孔およびネジ穴46からネジ55を取り外す。これにより、フィン51を容易にキャップ本体40から取り外すことが可能となる。例えば、航行中にフィン51が損傷した場合に、損傷したフィン51のみを交換することができるので、ドックにおける船舶用プロペラキャップ4全体の取換作業を行う必要がなくなる。
【0036】
以降に、本船舶用プロペラキャップ4の特徴とその効果についてまとめる。
【0037】
本船舶用プロペラキャップ4は、キャップ本体40を備え、周囲に複数枚のフィン51を備え、フィン51は、キャップ本体40の表面の被係合部に取り付けられる係合部を有し、フィン51の係合部と、被係合部とは、取付部材によって固定される。
【0038】
具体的に説明すると、キャップ本体40の表面から径方向外側に突出する複数のフィン51を有し、フィン51の係合板53が、キャップ本体40の表面のらせん状の被係合溝45と係合されて、取付部材であるネジ55によって取り付けることにより着脱可能に取り付けられるものである。
【0039】
また、かかる船舶用プロペラキャップ4によれば、フィン51を有する船舶用プロペラキャップ4により、ブレード3の根本から発生した渦は、フィン51に沿って流れの方向が変更され、キャップ部材後方中央に集まること無く分散され、後方に流れていく。図5および図6にキャップ部材の後端側の流線を示す。
【0040】
図5に示すように、フィン51の無いキャップ部材においては、各ブレード3の根本部から渦が発生し、これらが収束することでキャップ部材後方に強い回転流が発生する。回転流は後方に流れてハブボルテックスに成長する。
【0041】
ここで、図6に示すように、フィン51を有する船舶用プロペラキャップ4とすることで、フィン51にブレード根本から発生した渦が分散され、消滅する。ハブボルテックスは、船舶用プロペラキャップ4の後方において強い負圧を発生させるため、プロペラによる推進力を減少させて、エンジン負荷の増大の一因となっていた。
【0042】
このようにフィン51を有する船舶用プロペラキャップ4を備えることにより、ハブボルテックスの発生を抑制し、船体の推進効率の向上を図ることができる。
【0043】
また、かかる船舶用プロペラキャップ4によれば、取付部材であるネジ55の脱着によって、フィン51の係合板53とキャップ本体40の被係合溝45の間に接着剤を設けることなくフィン51を装着することができる。これにより、フィン51の取付け・取外しを容易に行うことができ、船舶用プロペラキャップ4のボス2への固定に用いる取付工具とフィンとの干渉を回避することができる。
【0044】
更に、キャップ本体40は中空状の錘状に構成され、内周面の取付側面には、キャップ被係合部である外嵌部41が設けられるものである。かかる船舶用プロペラキャップ1によれば、キャップ本体40の外周面に設けられた平面幅部43にスパナやめがねレンチのような取付用工具を係合することにより、船舶用プロペラキャップ4をプロペラ軸11の取付部11aに締結することで固定することができる。また、めがねレンチのような円形の口部を設けた取付用工具を用いる場合、船舶用プロペラキャップ4の後端(錘の先端)から口部をキャップ本体40に通して平面幅部43へ係合させる必要があるが、フィン51が取り付けられた状態ではフィン51が取付用工具に当接してしまい、平面幅部43に係合させることができなかった。そこで、船舶用プロペラキャップ4の構成を用いることで、ネジ55を取り外して、フィン51をキャップ本体40から取り外し、めがねレンチのような円形の口部を設けた取付用工具をキャップ本体40に通す。これにより、フィン51が当接することなく、平面幅部43に係合させることができるのである。
【0045】
更に、図2および図3に示すように、本船舶用プロペラキャップ4の被係合部は、被係合溝45で構成され、係合部は、係合板53で構成され、被係合溝45に係合板53を嵌合させて、取付部材であるネジ55によって取り付けるものである。かかる船舶用プロペラキャップ4によれば、フィン51の根本部の一部が被係合溝45に格納されることとなり、意匠性が向上する。
【0046】
[第二実施形態]
また、第二実施形態に係る本船舶用プロペラキャップ4においては、図7から図10に示すように、被係合部は、被係合突起48で構成され、フィン51の根本部の一部である係合部で構成され、被係合突起48に係合部である係合板53を嵌合させて、取付部材であるネジ55によって取り付けることも可能である。この場合、キャップ本体40の周囲に被係合突起48が設けられるので、キャップ本体40の外周サイズは被係合突起48を設けない場合よりも大きくなる。しかし、被係合突起48が外側に配置されているため、被係合突起48に設けられた孔と、係合板53に設けられた孔とを一致させる作業が目視しやすくなり、作業性は向上する。
【0047】
[第三実施形態]
また、第三実施形態に係る本船舶用プロペラキャップ4においては、図11および図12に示すように、ネジ55の頭部がキャップ本体40の外表面から突出するのを抑制する座繰り部47が設けられている。キャップ本体40の表面部には、被係合溝45が設けられている。被係合溝45は、前方から後方へ向かうにつれて旋回する螺旋形状となっている。被係合溝45の一側面には取付部材であるネジ55を挿入するためのネジ穴46が設けられている。ネジ穴46は、取付部材であるネジ55を挿入するために設けられた穴である。ネジ穴46にネジ55を挿入した状態における頭部が位置する箇所には、座繰り部47が設けられている。座繰り部47は、ネジ55の頭部がキャップ本体40の外表面から突出するのを抑制し、被係合溝45内に収めるために設けられた凹部である。
【0048】
このように構成することにより、ネジ55の頭部がキャップ本体40の表面から突出せず意匠性が向上する。
【0049】
[第四実施形態]
また、第四実施形態に係る船舶用プロペラキャップは、図13および図14に示すように、フィン51の形状を、船舶用プロペラ1のブレード3のように形成したものである。すなわち、フィン51を図15に示すように、翼形状のように形成する。フィン51の板厚方向の形状を翼形状のように形成することで、フィンの負圧面側に凸形状が設けられることとなる。フィンの負圧面側の凸形状は、プロペラ回転方向へ揚力を発生させて、さらに、補助的にプロペラ回転に必要なトルクを減ずることも可能となる。
【0050】
[第五実施形態]
また、第五実施形態に係る船舶用プロペラキャップは、図15および図16に示すように、キャップ本体40に嵌合溝49を設け、フィン51の根本部に嵌合溝49に嵌める根本部材54を設けるものである。すなわち、キャップ本体40の嵌合溝49は、フィン51の根本部材54の形状とほぼ同一の形状の溝であり、フィン51の根本部材54を、嵌合溝49に嵌めることにより、キャップ本体40の外周面から突出する部分を少なくすることができる。
また、根本部材54のネジ55を挿入した状態における頭部が位置する箇所には、座繰り部56が設けられている。座繰り部56は、ネジ55の頭部が根本部材54の外表面から突出するのを抑制し、根本部材54内に収めるために設けられた凹部である。
【0051】
このように構成することにより、ネジ55の頭部がキャップ本体40の表面から突出せず意匠性が向上する。
【0052】
[第六実施形態]
また、第六実施形態として、図17に示すように、取付部材であるネジ75をスタッドボルトで構成することも可能である。ネジ75をスタッドボルトで構成した場合には、キャップの被係合溝45のネジ穴46にスタッドボルトであるネジ75の一端を螺合させることで固定する。被係合溝45から立設したネジ75の他端をフィン51の孔に貫通させて、ナット76によって固定することにより、フィン51とキャップ本体40とを固定するものである。ナット76は金属製であっても、樹脂製で合っても良い。
【0053】
以上、本発明を具現化する一実施形態について説明を行ったが、本発明はこうした実施の形態に何等限定されるものではなく、あくまで例示であって、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において、さらに種々なる形態で実施し得ることは勿論のことであり、本発明の範囲は、特許請求の範囲の記載によって示され、さらに特許請求の範囲に記載の均等の意味、及び範囲内の全ての変更を含む。
【符号の説明】
【0054】
1 船舶用プロペラ
2 ボス
3 ブレード
4 船舶用プロペラキャップ
11 プロペラ軸
41 外嵌部
42 ネジ溝
43 平面幅部
45 被係合溝
46 ネジ穴
48 被係合突起
51 フィン
53 係合板
55 ネジ
71 キャップ緩み止めボルト
72 キャップ緩み止めボルト孔
73 ボルト受け部
75 ネジ
76 ナット
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16
図17