(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111959
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】電池モジュール
(51)【国際特許分類】
H01M 10/633 20140101AFI20240813BHJP
H01M 10/613 20140101ALI20240813BHJP
H01M 10/6568 20140101ALI20240813BHJP
H01M 10/6561 20140101ALI20240813BHJP
【FI】
H01M10/633
H01M10/613
H01M10/6568
H01M10/6561
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016734
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000237721
【氏名又は名称】FDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002952
【氏名又は名称】弁理士法人鷲田国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】寺岡 宏敏
(72)【発明者】
【氏名】福田 祐之介
(72)【発明者】
【氏名】古田 武男
【テーマコード(参考)】
5H031
【Fターム(参考)】
5H031CC09
5H031KK08
(57)【要約】
【課題】異常発熱時に隣接する電池への伝熱を抑制すること。
【解決手段】電池モジュールは、複数の電池と、電池同士の間に介在し、内部に冷却液を流通させることにより、当該電池を冷却する冷却部と、冷却液に代えて、内部を気体で満たし封入する封入部と、を備える。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電池と、
前記電池同士の間に介在し、内部に冷却液を流通させることにより、当該電池を冷却する冷却部と、
前記冷却液に代えて、前記内部を気体で満たし封入する封入部と、
を備える電池モジュール。
【請求項2】
前記封入部は、
前記内部への供給口を、前記冷却液を供給する第1供給管との接続、前記気体を供給する第2供給管との接続及び閉鎖のいずれか1つに切り替える第1切替部と、
前記内部からの排出口を、前記冷却液を排出する第1排出管との接続、前記気体を排出する第2排出管との接続及び閉鎖のいずれか1つに切り替える第2切替部と、
を有し、
前記内部を前記気体で満たした後、前記供給口及び前記排出口を前記第1切替部及び前記第2切替部で閉鎖することにより、前記内部に前記気体を封入する、
請求項1に記載の電池モジュール。
【請求項3】
前記第1切替部及び前記第2切替部を制御する制御部を備え、
前記制御部は、
前記供給口を前記第1供給管に接続し、且つ、前記排出口を前記第1排出管に接続している状態から、前記供給口を前記第2供給管に接続し、且つ、前記排出口を前記第2排出管に接続している状態へ切り替え、前記内部から前記冷却液を排出し、
前記内部を前記気体で満たし、前記排出口を閉鎖した後、前記供給口を閉鎖するよう、
前記第1切替部及び前記第2切替部を制御する、
請求項2に記載の電池モジュール。
【請求項4】
前記電池の温度を検知する検知部を備え、
前記制御部は、検知された前記温度を異常と判定する場合、前記第1切替部及び前記第2切替部を制御して、前記冷却液に代えて、前記内部を前記気体で満たし封入する、
請求項3に記載の電池モジュール。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
複数の電池を搭載する電池モジュールにおいて、電池間に冷却部を挟んで、電池を冷却するユニットが知られている。例えば、特許文献1では、冷媒を流通させる冷却流路を電池間に設けて、電池を冷却するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
電池は、使用していると、個体差が生じ、異常発熱する可能性がある。特定の電池が異常発熱し、上述した冷却部で熱を冷却しきれなかった場合、当該冷却部を介して、熱が隣接する電池に伝わり、複数の電池に連鎖的に異常発熱が引き起こされるという問題があった。
【0005】
本発明の目的は、異常発熱時に隣接する電池への伝熱を抑制可能な電池モジュールを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る電池モジュールは、
複数の電池と、
前記電池同士の間に介在し、内部に冷却液を流通させることにより、当該電池を冷却する冷却部と、
前記冷却液に代えて、前記内部を気体で満たし封入する封入部と、
を備える。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、異常発熱時に隣接する電池への伝熱を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】本発明の実施の形態に係る電池モジュールの一例を示す斜視図である。
【
図2A】
図1に示した電池モジュールにおける冷却部及び封入部を示す斜視図であって、冷却液による冷却状態を説明する図である。
【
図2B】
図1に示した電池モジュールにおける冷却部及び封入部を示す斜視図であって、冷却状態から断熱状態への切り替えを説明する図である。
【
図2C】
図1に示した電池モジュールにおける冷却部及び封入部を示す斜視図であって、封入した気体による断熱状態を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0010】
図1は、本実施の形態に係る電池モジュールの一例である電池モジュール10を示す斜視図である。
図1及び後述する
図2A~2Cにおいては、直交座標系(X,Y,Z)を用いて説明を行う。
【0011】
電池モジュール10は、電池20を冷却可能に構成されたものであり、電池20と、冷却部30と、供給部40と、排出部50と、制御部60とを有する。
【0012】
[電池]
電池20は、例えば、一次電池、二次電池、燃料電池等であり、電池モジュール10は、電池20を複数有する。複数の電池20は、Y方向に沿って並ぶように配置され、隣接する電池20同士の間に冷却部30がそれぞれ配置される。
【0013】
それぞれの電池20は、正極端子21及び負極端子22を有し、例えば、
図1において、電池20の上面に配置されている。図示は省略するが、電池モジュール10においては、正極端子21及び負極端子22を用いて、複数の電池20同士が電気的に接続されており、例えば、複数の電池20同士が直列接続や並列接続となるように接続される。
【0014】
また、それぞれの電池20は、図示は省略するが、その電池電圧や電池温度等を検知する検知部を有しており、後述の制御部60は、検知部から取得した検知結果に基づいて、充電状態(SOC:State Of Charge)を算出したり、電池20を制御したりする。
【0015】
電池20は、一例として、直方体形状であり、この形状に対応して、冷却部30も、直方体形状であり、冷却部30は、隣接する電池20同士の間に介在するよう配置される。
【0016】
[冷却部]
冷却部30について、
図2Aも参照して説明を行う。
図2Aは、
図1に示した電池モジュール10における冷却部30及び封入部を示す斜視図であって、冷却液による冷却状態を説明する図である。なお、
図2Aでは、冷却部30の内部に形成されている内部空間33を図示している。
【0017】
冷却部30は、冷却液Cを流通させることにより、電池20を冷却するよう構成されたものであり、供給口31と、排出口32と、内部空間33と、仕切板34とを有する。
【0018】
供給口31は、内部空間33と連通する開口部であり、供給部40が接続される。排出口32は、内部空間33と連通する開口部であり、排出部50が接続される。
【0019】
図2Aにおいて、Z方向を鉛直方向とすると、供給口31は、排出口32より鉛直方向上方側に配置される。この配置では、供給口31及び排出口32を逆に配置する場合と比較して、供給部40から供給された冷却液Cが、後述する流路35を通過して、供給口31から排出口32へスムーズに流れる。
【0020】
また、後述の
図2Bで説明するように、内部空間33内の冷却液Cを排出して、内部空間33内を空気Aに入れ替える場合、内部空間33内からの冷却液Cの排出もスムーズに行うことができる。
【0021】
内部空間33は、複数の仕切板34により仕切られており、複数の仕切板34により、供給口31から排出口32へ連通する1つの流路35が形成されている。
図2Aに示す例では、複数の仕切板34により、X方向に蛇行しながら、Z方向上方から下方へ向かうように、流路35が形成されている。このような流路35を形成することにより、内部空間33内の全域に冷却液Cを流通させることができ、冷却部30に接する電池20を冷却することができる。
【0022】
また、後述の
図2Cで説明するように、内部空間33内から冷却液Cを排出し、内部空間33内を空気Aに入れ替えて、内部空間33に空気Aを封入した場合、内部空間33内の空気Aは、冷却部30に接する電池20からの熱を断熱する断熱層として機能する。
【0023】
特許文献1に開示された発明では、複数の管状の冷却流路を用いて電池を冷却している。これに対し、冷却部30では、例えば、1枚の板材を切削加工して溝を形成しており、これにより、上述した仕切板34及び流路35を形成している。このような仕切板34及び流路35を形成することにより、上述したように、内部空間33内の全域に冷却液Cを流通させることができ、管状の冷却流路より、冷却性を向上させることができる。これは、内部空間33内の空気Aを断熱層として機能させる場合でも同様であり、断熱性を向上させることができる。
【0024】
また、内部空間33は、そのX方向及びZ方向における長さが、冷却部30と接する電池20の領域のX方向及びZ方向における長さ以上の長さとなるように形成されている。そのため、冷却部30は、
図1に示すように、X方向及びZ方向において、電池20より大きく形成されている。このように、X方向及びZ方向において、内部空間33は電池20の長さ以上の長さを有するので、冷却部30と接する電池20の領域全域を冷却することができ、また、当該領域全域に対して断熱することができる。
【0025】
[供給部]
供給部40は、冷却液供給管41と、空気供給管42と、分岐管43、44と、接続管45、46と、切替弁47とを有する。
【0026】
冷却液供給管41(本発明における第1供給管)は、図示省略した冷却液供給装置に接続され、冷却液供給装置から供給された冷却液Cを複数の冷却部30に供給する。冷却液供給管41は、分岐管43で分岐され、接続管45を介して、切替弁47に接続される。
【0027】
空気供給管42(本発明における第2供給管)は、図示省略した空気供給装置に接続され、空気供給装置から供給された空気Aを断熱対象の冷却部30に供給する。空気供給管42は、分岐管44で分岐され、接続管46を介して、切替弁47に接続される。
【0028】
なお、接続管45は、逆止弁を有していてもよく、逆止弁により、内部空間33側から冷却液供給管41側への冷却液Cや空気Aの逆流を防止することができる。また、接続管46も、逆止弁を有していてもよく、逆止弁により、内部空間33側から空気供給管42側への冷却液Cや空気Aの逆流を防止することができる。
【0029】
切替弁47(本発明における第1切替部)は、後述の制御部60により制御され、供給口31を、接続管45側の冷却液供給管41との接続、接続管46側の空気供給管42との接続及び閉鎖のいずれか1つに切り替える。
【0030】
切替弁47により、供給口31を冷却液供給管41と接続すると、内部空間33へ冷却液Cが供給される。同様に、切替弁47により、供給口31を空気供給管42と接続すると、内部空間33へ空気Aが供給される。そして、切替弁47により、供給口31を閉鎖すると、内部空間33へは冷却液Cも空気Aも供給されない状態となる。
【0031】
[排出部]
排出部50は、冷却液排出管51と、空気排出管52と、分岐管53、54と、接続管55、56と、切替弁57とを有する。
【0032】
冷却液排出管51(本発明における第1排出管)は、図示省略した冷却液供給装置に接続され、複数の冷却部30の内部空間33から排出された冷却液Cを冷却液供給装置へ環流する。冷却液排出管51は、分岐管53で分岐され、接続管55を介して、切替弁57に接続される。
【0033】
空気排出管52(本発明における第2排出管)は、断熱対象の冷却部30の内部空間33から排出された冷却液Cや空気Aを排出する。空気排出管52は、分岐管54で分岐され、接続管56を介して、切替弁57に接続される。
【0034】
なお、接続管55は、逆止弁を有していてもよく、逆止弁により、内部空間33側から冷却液排出管51側への冷却液Cや空気Aの逆流を防止することができる。また、接続管56も、逆止弁を有していてもよく、逆止弁により、内部空間33側から空気排出管52側への冷却液Cや空気Aの逆流を防止することができる。
【0035】
切替弁57(本発明における第2切替部)は、後述の制御部60により制御され、排出口32を、接続管55側の冷却液排出管51との接続、接続管56側の空気排出管52との接続及び閉鎖のいずれか1つに切り替える。
【0036】
切替弁57により、排出口32を冷却液排出管51と接続すると、内部空間33から冷却液Cが排出される。同様に、切替弁57により、排出口32を空気排出管52と接続すると、内部空間33から空気Aが排出される。そして、切替弁57により、排出口32を閉鎖すると、内部空間33からは冷却液Cも空気Aも排出されない状態となる。
【0037】
そして、切替弁47により、供給口31を閉鎖し、切替弁57により、排出口32を閉鎖することにより、内部空間33を閉鎖した状態、例えば、内部空間33内を空気Aで満たした場合には、内部空間33内に空気Aを封入した状態となる。切替弁47及び切替弁57は、本発明における封入部に該当する。
【0038】
[制御部]
制御部60は、例えば、CPU、メモリ等を有する公知のマイコン制御回路や制御IC(Integrated Circuit)等である。制御部60は、例えば、それぞれの電池20の検知部と接続され、それぞれの電池20の充電状態や電池温度等を取得し、電池20の充電や放電を制御する。
【0039】
また、制御部60は、それぞれの供給部40の切替弁47及びそれぞれの排出部50の切替弁57と接続され、それぞれの電池20の電池温度に基づいて、それぞれの電池20に隣接する冷却部30に対応する切替弁47及び切替弁57を切り替える。
【0040】
[冷却状態から断熱状態へ切り替える制御]
冷却部30を冷却状態から断熱状態へ切り替える制御について、
図2Aと共に、
図2B及び
図2Cも参照して説明を行う。
【0041】
ここで、
図2Bは、
図1に示した電池モジュール10における冷却部30及び封入部を示す斜視図であって、冷却状態から断熱状態への切り替えを説明する図である。
図2Cは、
図1に示した電池モジュール10における冷却部30及び封入部を示す斜視図であって、封入した気体による断熱状態を説明する図である。なお、
図2B及び
図2Cでも、冷却部30の内部に形成されている内部空間33を図示している。
【0042】
電池モジュール10において、電池20に異常発熱が発生していない場合には、それぞれの電池20を冷却するため、電池20同士の間に配置された冷却部30の内部空間33内に冷却液Cを流通させている。
【0043】
具体的には、制御部60は、供給口31を冷却液供給管41側と接続し、排出口32を冷却液排出管51側と接続するよう、切替弁47及び切替弁57を切り替える。これにより、
図2Aに示すように、冷却液供給管41を流れる冷却液Cは、分岐管43、接続管45、切替弁47及び供給口31を経由して、内部空間33内に供給される。
【0044】
内部空間33内に供給された冷却液Cは、流路35を流通することにより、電池20を冷却し、
図2Aに示すように、排出口32、切替弁57、接続管55及び分岐管53を経由して、冷却液排出管51へ排出される。
【0045】
このようにして、電池モジュール10は、電池20を冷却部30で冷却している。この冷却状態において、制御部60は、電池20の電池温度を監視している。そして、制御部60は、電池温度が異常と判定される場合には、例えば、冷却液Cで冷却できない程の異常発熱と判定される場合には、以下に説明するように、切替弁47及び切替弁57を切り替えることにより、冷却部30を断熱状態にする。
【0046】
具体的には、制御部60は、供給口31を空気供給管42と接続し、排出口32を空気排出管52と接続するよう、切替弁47及び切替弁57を切り替える。これにより、
図2Bに示すように、空気供給管42を流れる空気Aは、分岐管44、接続管46、切替弁47及び供給口31を経由して、内部空間33内に供給される。
【0047】
内部空間33内に供給された空気Aは、その圧力で、内部空間33内に残存する冷却液Cを排出口32側へ押し出すことになる。これにより、
図2Bに示すように、冷却液Cは、排出口32、切替弁57、接続管56及び分岐管54を経由して、空気排出管52へ排出される。
【0048】
なお、供給口31を空気供給管42と接続し、排出口32を空気排出管52と接続するよう、切替弁47及び切替弁57を切り替える場合、制御部60は、空気Aが冷却液排出管51へ排出されないようにすることが望ましい。例えば、制御部60は、排出口32を空気排出管52と接続するよう、切替弁57を切り替え、その後、供給口31を空気供給管42と接続するよう、切替弁47を切り替える。
【0049】
内部空間33内に残存する冷却液Cが排出口32から排出されると、
図2Cに示すように、内部空間33内は空気Aで満たされることになる。内部空間33内が空気Aで満たされると、制御部60は、供給口31及び排出口32を閉鎖するよう、切替弁47及び切替弁57を切り替える。
【0050】
このとき、制御部60は、排出口32を閉鎖するよう、切替弁57を切り替え、その後、供給口31を閉鎖するよう、切替弁47を切り替える。これにより、内部空間33内に空気Aが封入されることになり、内部空間33内に滞留した(流路35を流れない)空気Aにより断熱層を形成して、冷却部30を断熱状態とすることになる。
【0051】
冷却液Cを、例えば、主成分がエチレングリコールの冷却液とすると、空気の熱伝導率は、エチレングリコールより約10倍低く、内部空間33内に主成分エチレングリコールの冷却液が封入される場合と比較して、高い断熱効果を得ることができる。
【0052】
なお、供給口31及び排出口32を閉鎖するよう、切替弁47及び切替弁57を切り替える場合、例えば、内部空間33内から冷却液Cが排出される排出時間を予め取得し、制御部60は、排出時間に基づいて、切替弁47及び切替弁57を切り替えればよい。また、例えば、内部空間33内から冷却液Cが排出されたことを検知するセンサーを空気排出管52等に設け、制御部60は、当該センサーの検知結果に基づいて、切替弁47及び切替弁57を切り替えてもよい。
【0053】
以上のようにして、冷却部30において、冷却液Cに代えて、内部空間33内を空気Aで満たし、内部空間33内に空気Aを封入することにより、内部空間33内に滞留した空気Aにより、高い断熱効果を有する断熱層を形成して、冷却部30を断熱状態とする。冷却部30を断熱状態とすることにより、異常発熱が発生した電池20から、隣接する電池への伝熱を抑制することができる。
【0054】
例えば、
図1において、矢印Tb1で示す電池20、即ち、電池モジュール10の端部の電池20で異常発熱が発生したとする。この場合、矢印Tb1で示す電池20は、矢印Tb2で示す電池20と隣接するので、矢印Tc1で示す冷却部30を断熱状態とすれば、矢印Tb1で示す電池20から他の電池20への伝熱を抑制することができる。
【0055】
また、
図1において、矢印Tb2で示す電池20で異常発熱が発生したとする。この場合、矢印Tb2で示す電池20は、矢印Tb1及び矢印Tb3で示す電池20と隣接するので、矢印Tc1及び矢印Tc2で示す冷却部30を断熱状態とすれば、矢印Tb2で示す電池20から他の電池20への伝熱を抑制することができる。
【0056】
このように、制御部60は、異常発熱が発生した電池20の片側のみに冷却部30がある場合には、当該片側の冷却部30を断熱状態とし、異常発熱が発生した電池20の両側に冷却部30がある場合には、当該両側の冷却部30を断熱状態とする。
【0057】
以上説明したように、冷却部30は、供給部40及び排出部50により、電池20の状況(電池温度)に応じて、冷却状態と断熱状態とを変更可能に構成されている。そして、電池20に異常発熱が発生したときには、冷却部30を断熱状態とすることにより、異常発熱が発生した電池20に隣接する他の電池20への伝熱を抑制することができる。その結果、異常発熱が発生した電池20に隣接する他の電池20において、異常発熱が連鎖的に発生することを防止することが可能となる。
【0058】
以上、本発明の実施の形態について説明した。なお、以上の説明は、本発明の好適な実施の形態の例証であり、本発明の範囲はこれに限定されない。つまり、上記装置の構成や各部分の形状についての説明は一例であり、本発明の範囲においてこれらの例に対する様々な変更や追加が可能であることは明らかである。
【0059】
例えば、本実施の形態では、冷却部30の内部空間33内に空気Aを封入するようにしているが、冷却液Cより熱伝導率が低い気体であれば、空気Aに限らず、他の気体でもよい。また、内部空間33内に封入した空気Aや他の気体を、例えば、大気圧より減圧してもよく、空気Aや他の気体を減圧することにより、空気Aや他の気体の熱伝導率を大気圧の場合より低くすることができる。
【産業上の利用可能性】
【0060】
本発明に係る電池モジュールは、複数の電池を並べて配置する電池モジュールとして有用なものである。
【符号の説明】
【0061】
10 電池モジュール
20 電池
30 冷却部
31 供給口
32 排出口
33 内部空間
40 供給部
41 冷却液供給管
42 空気供給管
43、44 分岐管
45、46 接続管
47 切替弁
50 排出部
51 冷却液排出管
52 空気排出管
53、54 分岐管
55、56 接続管
57 切替弁
60 制御部