(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011196
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】電子機器、発光制御方法及びプログラム
(51)【国際特許分類】
G09G 5/00 20060101AFI20240118BHJP
G09G 5/10 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G09G5/00 550C
G09G5/10 B
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113015
(22)【出願日】2022-07-14
【公序良俗違反の表示】
(特許庁注:以下のものは登録商標)
1.BLUETOOTH
(71)【出願人】
【識別番号】000001443
【氏名又は名称】カシオ計算機株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100106002
【弁理士】
【氏名又は名称】正林 真之
(74)【代理人】
【識別番号】100120891
【弁理士】
【氏名又は名称】林 一好
(74)【代理人】
【識別番号】100126000
【弁理士】
【氏名又は名称】岩池 満
(72)【発明者】
【氏名】瀬尾 宗隆
【テーマコード(参考)】
5C182
【Fターム(参考)】
5C182AA02
5C182AB08
5C182AB37
5C182AC02
5C182AC03
5C182AC33
5C182AC43
5C182BA01
5C182BA03
5C182BA06
5C182BA25
5C182BA45
5C182BC01
5C182BC25
5C182BC26
5C182CA01
5C182DA02
5C182DA65
(57)【要約】
【課題】発光素子の劣化を抑制することができる電子機器、発光制御方法及びプログラムを提供すること。
【解決手段】電子機器1は、発光素子の発光によって表示を行う表示部14と、外光の強度を検出する外光強度検出部13と、外光強度検出部13によって検出された外光の強度に応じて、発光素子の発光強度を制御する制御部11と、を備え、制御部11は、発光強度の制御中に発光強度を所定の値よりも大きい発光強度に変更する操作を受け付けた場合に、発光強度の制御における発光強度の最小値を小さくする。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
発光素子の発光によって表示を行う表示部と、
外光の強度を検出する外光強度検出部と、
前記外光強度検出部によって検出された前記外光の強度に応じて、前記発光素子の発光強度を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記発光強度の制御中に前記発光強度を所定の値よりも大きい前記発光強度に変更する操作を受け付けた場合に、前記発光強度の制御における前記発光強度の最小値を小さくする電子機器。
【請求項2】
前記制御部は、
前記外光の強度に応じて前記発光強度が制御される調光範囲が第1の調光範囲である第1モードと、前記調光範囲が前記第1の調光範囲よりも最大値が大きく、かつ最小値が小さい第2の調光範囲である第2モードと、に切り替え可能であり、
前記第1モードにおいて前記所定の値である前記第1の調光範囲の最大値よりも大きい前記発光強度に変更する操作を受け付けた場合に、前記第2モードに切り替わる請求項1に記載の電子機器。
【請求項3】
前記制御部は、前記第2モードにおいて前記発光強度を所定量以上小さくする操作を受け付けた場合に、前記第1モードに切り替える請求項2に記載の電子機器。
【請求項4】
前記制御部は、前記外光の強度の履歴情報を加味して前記第2の調光範囲を変更する請求項2又は3に記載の電子機器。
【請求項5】
前記表示部は、前記発光強度を連続的に変更する操作を行うための操作部、及び前記発光強度を段階的に変更する操作を行うための操作部のいずれかを表示する請求項1に記載の電子機器。
【請求項6】
発光素子の発光によって表示を行う表示部を備える電子機器に、
外光の強度を検出する外光強度検出処理と、
前記外光強度検出処理によって検出された前記外光の強度に応じて、前記表示部の発光強度を制御する制御処理と、を実行させ、
前記制御処理では、前記発光強度の制御における前記発光強度を所定の値よりも高い前記発光強度に変更する操作を受け付けた場合に、前記発光強度の制御における前記発光強度の最小値を小さくするプログラム。
【請求項7】
発光素子の発光によって表示を行う表示部を備える電子機器が実行する発光制御方法であって、
外光の強度を検出する外光強度検出処理と、
前記外光強度検出処理によって検出された前記外光の強度に応じて、前記表示部の発光強度を制御する制御処理と、を含み、
前記制御処理では、前記発光強度の制御における前記発光強度を所定の値よりも高い前記発光強度に変更する操作を受け付けた場合に、前記発光強度の制御における前記発光強度の最小値を小さくする発光制御方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電子機器、発光制御方法及びプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来、電子機器において素子が自ら発光するOLED(Organic Light Emitting Diode)等の発光素子の搭載が進んでおり、照度センサ等により検出された外光の強度に応じて発光素子の発光量を自動で調整する自動調光機能の搭載も一般的となっている。
【0003】
この発光素子に使用される有機材料には、発光を長期間続けることで、寿命により次第に発光効率が著しく低下するという特徴がある。発光素子の寿命を延ばすための技術として、例えば特許文献1には、目標輝度と検出輝度との比較により、発光素子の劣化を判定し、目標輝度を下げる技術が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、ユーザが自動調光機能によって調整された画面の明るさに満足しない場合に、さらに必要以上に画面が明るくなるように設定を変更してしまうと、発光素子の寿命が想定される期間よりも短くなってしまうことがある。特許文献1の技術では、使用時間に応じて目標輝度の大きさが低下するように設定しているものの、ユーザが意図的に輝度を大きくした状況については考慮されていない。
【0006】
本発明は、このような状況に鑑みてなされたものであり、発光素子の劣化を抑制することができる電子機器、発光制御方法及びプログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するため、本発明の一態様の電子機器は、発光素子の発光によって表示を行う表示部と、外光の強度を検出する外光強度検出部と、前記外光強度検出部によって検出された前記外光の強度に応じて、前記発光素子の発光強度を制御する制御部と、を備え、前記制御部は、前記発光強度の制御中に前記発光強度を所定の値よりも大きい前記発光強度に変更する操作を受け付けた場合に、前記発光強度の制御における前記発光強度の最小値を小さくする。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、発光素子の劣化を抑制することができる電子機器、発光制御方法及びプログラムを提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【
図1】本発明の一実施形態に係る電子機器の外観を例示する概略図である。
【
図2】本発明の一実施形態に係る電子機器の表示部に表示される操作部を示す概略図である。
【
図3】本発明の一実施形態に係る電子機器のハードウェア構成例を示すブロック図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係る電子機器の制御部の構成例を示すブロック図である。
【
図5】第1モードにおける発光強度の制御に用いる制御テーブルの一例を示す図である。
【
図6】第2モードにおける発光強度の制御に用いる制御テーブルの一例を示す図である。
【
図7】第2モードにおける発光強度の制御に用いる制御グラフの一例を示す図である。
【
図8】第2モードにおいてユーザの使用状況が加味された発光強度の制御に用いる制御テーブルの一例を示す図である。
【
図9】本発明の一実施形態に係る電子機器が実行する画像の発光制御処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図10】本発明の一実施形態に係る電子機器の制御部が、第1モードにおいてユーザ操作を受け付けた場合に実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【
図11】本発明の一実施形態に係る電子機器の制御部が、第2モードにおいてユーザ操作を受け付けた場合に実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて説明する。
【0011】
本発明の実施形態に係る電子機器1について説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る電子機器1の外観を例示する概略図である。
【0012】
電子機器1は、発光素子の発光によって画像を表示する情報処理装置である。電子機器1は、例えばユーザの手首に装着されるスマートウォッチであってもよく、ユーザが携帯するスマートフォンであってもよい。本実施形態では、電子機器1としてのスマートウォッチを例に説明する。
【0013】
図1に示すように、電子機器1は、装置本体10と、装置本体10を腕に装着するためのバンド101とを備える。装置本体10には、複数の発光素子が配列して構成される表示画面140が設けられる。
【0014】
次に、電子機器1のハードウェアの構成について説明する。
図2は、電子機器1の表示部14の表示画面140に表示される操作部15を示す概略図である。
図3は、電子機器1のハードウェア構成例を示すブロック図である。
図3に示すように、本実施形態の電子機器1は、制御部11、記憶部12、外光強度検出部13、表示部14、操作部15、通信部16を備えている。
【0015】
制御部11は、CPU(Central Processing Unit)等の少なくとも1つのプロセッサによって構成され、後述する記憶部12から読み出したプログラムを実行することによって電子機器1としての機能を実現する。例えば制御部11は、発光素子の発光強度を制御する発光制御機能を実現する。
【0016】
記憶部12は、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、不揮発性メモリ等の記憶デバイスであり、電子機器1の機能を実現するためのプログラム、及びそのプログラムの実行に使用するデータの記憶領域を提供している。また、記憶部12は、電子機器1で検出される後述する外光の強度(以下、外光強度という)のデータ、後述する発光制御に用いる制御テーブル等を保存する記憶領域を提供する。
【0017】
外光強度検出部13は、電子機器1の周囲の明るさの度合いを示す外光強度を検出する照度センサである。外光強度検出部13は、検出した外光強度を示す情報を制御部11に出力する。外光としては、例えば屋外における太陽光や屋内における照明器具等からの光等が挙げられる。
【0018】
表示部14は、装置本体10に配置され、発光素子が配列された表示画面140を備える。表示画面140は、例えば発光素子としてのOLEDが配列された有機EL(Electro-Luminescent)ディスプレイで構成されている。表示部14は、表示画面140内の発光素子の発光によって画像を表示する。表示部14の表示画面140には、時間や操作部15等の各種の情報が表示される。
【0019】
操作部15は、タッチパネル等が実装される表示画面140、装置本体10の側面に実装されるキー、ボタン等によって構成され、ユーザが電子機器1に対する入力操作を行うために使用される。本実施形態では、操作部15は、例えば
図2に示すように、ユーザが表示部14の表示画面140の輝度を変更する操作を行うための部位であり、表示画面140に表示される。本明細書でいう表示画面140の輝度とは、表示画面140内に存在する複数の画素の輝度の平均である。輝度は、表示部14の発光素子の発光強度が大きいほど高くなる。即ち、表示部14は、発光素子の発光強度を変更するユーザ操作を行うための操作部15を表示する。
【0020】
図2に示すように、操作部15は、表示画面140に表示されるスライダ151とスライダバー152によって構成される。操作部15は、現時点での表示部14の表示画面140の輝度を示すとともに、ユーザがスライダ151をスライダバー152に沿ってスライド移動させることで表示画面140の輝度が調整されるように構成される。
図2に示す例では、ユーザがスライダ151をスライダバー152の一端側(
図2では紙面右側)に移動させると輝度が上がり、スライダバー152の他端側(
図2では紙面左側)に移動させると輝度が下がるように構成される。即ち、ユーザはスライダ151をスライドさせることで、表示画面140の輝度を連続的に変化させることができる。
【0021】
通信部16は、Bluetooth等の近距離無線通信(NFC)用の通信モジュール、携帯電話網、インターネット等の通信ネットワークとの通信を行うための通信モジュール等を備え、スマートフォン、パーソナルコンピュータ等の外部装置との通信機能を提供する。電子機器1は、外部装置から後述する動画データ、アラームシナリオデータ等を受信して、記憶部12に格納しておくことができる。
【0022】
次に、電子機器1の制御部11の機能的構成について説明する。
図4は、電子機器1の制御部11の発光制御機能を実行する構成例を示すブロック図である。
【0023】
制御部11は、
図3に示すように、外光強度取得部111と、記憶処理部112と、調光部113と、変更操作受付部114と、モード切替部115と、調光範囲変更部116と、を備える。
【0024】
外光強度取得部111は、外光強度検出部13によって検出された外光強度を示す情報を取得する処理を実行する。
【0025】
記憶処理部112は、外光強度取得部111によって取得した外光強度を示す情報を外光強度の履歴情報として記憶部12に記憶する処理や記憶された外光強度の履歴情報を記憶部12から抽出する処理を実行する。
【0026】
調光部113は、外光強度取得部111によって取得された外光強度に応じて、表示部14の発光素子の発光強度を制御する処理を実行する。調光部113は、所定の調光範囲内で発光素子の発光強度を自動調光する。本実施形態の調光部113による調光範囲には、例えば第1の調光範囲と、第1の調光範囲よりもその最大値が大きく、かつ、最小値が小さい第2の調光範囲が存在する。例えば、第1の調光範囲は表示画面140の輝度が200nit~600nitの範囲であり、第2の調光範囲は表示画面140の輝度が100nit~700nitの範囲であってもよい。
図2に示す操作部15では、スライダバー152の他端側(
図2では紙面左側)の端部が100nitを示し、スライダバー152の一端側(
図2では紙面右側)の端部が700nitを示しており、スライダ151が第1の調光範囲の最大値である600nitに位置している。
図2に示す例では、現時点での表示画面140の輝度は、600nitである。制御部11は、発光素子の発光強度が制御される調光範囲が第1の調光範囲である第1モードと、第2の調光範囲である第2モードにモード切替部115によって切り替え可能である。
【0027】
ここで、本実施形態における調光部113による発光制御の詳細について
図5~
図7を参照しながら説明する。
図5は、第1モードにおける自動調光に用いる制御テーブルを示す図である。
図6は、第2モードにおける自動調光に用いる制御テーブルの一例を示す図である。
図7は、第2モードに自動調光に用いる制御グラフの一例を示す図である。
【0028】
調光部113は、例えば外光強度と表示部14の表示画面140の輝度の関係が示された制御テーブルと、外光強度取得部111によって取得された外光強度に基づいて表示部14の発光強度を自動で制御する処理を実行してもよい。具体的には、調光部113は、第1モードにおいて
図5に示す制御テーブルを参照し、外光強度検出部13によって検出された外光強度に対応する輝度になるように発光強度を調整する制御を行う。例えば、調光部113は、検出された外光強度が100luxである場合、輝度が300nitになるように表示部14の発光強度を制御する。また、調光部113は、第2モードにおいて
図6に示す制御テーブルを参照し、外光強度検出部13によって検出された外光強度に対応する輝度になるように発光強度を調整する制御を行う。例えば、調光部113は、検出された外光強度が10lux以下である場合、輝度が100nitになるように表示部14の発光強度を制御する。なお、調光部113は、
図7に示す制御グラフを参照し、外光強度検出部13によって検出された外光強度に対応する輝度になるように発光強度を調整してもよい。
【0029】
変更操作受付部114は、ユーザが行なう表示部14の発光強度を変更するユーザ操作を、操作部15を介して受け付ける処理を実行する。具体的には、変更操作受付部114は、ユーザ操作によるスライダ151の移動後の位置に対応する輝度を示す情報を変更後の輝度を示す情報として受け付け、調光部113及びモード切替部115に出力する。調光部113は、変更操作受付部114が受け付けた変更後の輝度を示す情報に基づいて、発光強度を調整する。
【0030】
モード切替部115は、調光部113の自動調光モードを第1モードと第2モードに切り替える処理を実行する。モード切替部115は、例えば第1モードにおいて第1の調光範囲の所定の値よりも大きい発光強度に変更するユーザ操作を変更操作受付部114が受け付けた場合に、第1モードから第2モードに切り替える。即ち、モード切替部115は、調光部113による発光強度の制御中に発光強度を所定の値よりも大きい発光強度に変更するユーザ操作を受け付けた場合に、発光強度の制御における発光強度の最小値を小さくする。所定の値とは、例えば第1の調光範囲の最大値であってもよく、最大値付近の値であってもよい。
図2に示す例では、第1モードにおいてユーザが600nitを示すスライダ151をさらに輝度を上げる方向(
図2では紙面右側)にスライドさせると、このユーザ操作を変更操作受付部114が受け付け、モード切替部115が自動調光モードを第2モードに切り替える。一方で、モード切替部115は、第2モードにおいて発光強度を所定量以上小さくするユーザ操作を変更操作受付部114が受け付けた場合に、第1モードに切り替えてもよい。例えば現時点から輝度を-100nit以上小さくするユーザ操作を受け付けた場合に、自動調光モードを第2モードから第1モードに切り替えてもよい。
【0031】
調光範囲変更部116は、記憶部12に記憶された外光強度の履歴情報を加味して第2の調光範囲を変更する処理を実行する。調光範囲変更部116は、例えば記憶部12に所定の期間以上の外光強度の履歴情報が記憶された場合に、外光強度の履歴情報を加味して第2の調光範囲を変更する処理を実行してもよい。即ち、調光範囲変更部116は、過去に検出された外光強度の履歴情報を加味して第2の調光範囲を変更する。所定の期間としては、例えば24時間であってもよく、24時間未満であってもよく、24時間以上であってもよい。
【0032】
図8は、第2モードにおいて電子機器1のユーザの使用状況が加味された発光制御に用いる制御テーブルの一例を示す図である。調光範囲変更部116は、例えば、履歴情報に示す外光強度が高い時間が長く、外光強度が低い時間が短い場合、第2の調光範囲の最小値をより小さく設定してもよい。具体的には、調光範囲変更部116は、調光部113が自動調光に用いる制御テーブルを
図6に示す制御テーブルから
図8に示す制御テーブルに変更してもよい。これにより、使用状況に応じても自動調光範囲を変更することができ、後述するように輝度の最小値を履歴情報に応じてより小さくすることで発光素子にかかる負荷を軽減することができる。
【0033】
ここで、電子機器1の表示部14の発光素子の使用による劣化について説明する。表示部14の表示画面140の輝度は、周囲の明るいほど高くなるように調整されている。周囲が明るく、表示画面140の輝度が第1の調光範囲の最大値である場合に、ユーザが輝度をさらに上げる操作を行うと、輝度が高くなる分、周囲が明るい場合における発光素子の発光量が増加する。この状態で電子機器1の使用を継続すると、調光範囲全体における発光素子の発光量が想定よりも増え、発光素子の寿命が設計計画値に対して短くなる。
【0034】
これに対して、本実施形態では、周囲が明るく、表示部14によって表示される表示画面140の輝度が高い状態からユーザがさらに輝度を上げる操作を行った場合、ユーザ操作による輝度の上げ幅に応じて自動調光における周囲が暗い場合の輝度を下げる制御を行う。具体的には、第1の調光範囲の最大値によりも大きい発光強度に変更するユーザ操作を受け付けた場合に、制御部11が第1モードから、第1の調光範囲よりもその最小値が小さい第2の調光範囲で自動調光する第2モードに切り替える処理を実行する。これにより、輝度の最小値を小さくした分、調光範囲全体での発光素子の発光量を抑制できる。即ち、高輝度時に発光素子にかかる負荷が増加した分だけ、低輝度時に発光素子にかかる負荷を軽減して相殺し、調光範囲全体での発光素子にかかる負荷が増加しないように調整している。
【0035】
次に、電子機器1が実行する輝度制御処理の一例について
図9~
図11を参照しながら説明する。
図9は、電子機器1が実行する表示部14の発光制御処理のうち発光強度を調整する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図10は、制御部11が第1モードにおいてユーザ操作を受け付けた場合に実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
図11は、制御部11が第2モードにおいてユーザ操作を受け付けた場合に実行する処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【0036】
図9に示すように、ステップS11において、外光強度検出部13が外光強度を検出する。そして、制御部11の外光強度取得部111は、外光強度検出部13によって検出された外光強度を示す情報を取得する。
【0037】
ステップS12において、制御部11の調光部113は、記憶部12に格納されている制御テーブルを抽出し、ステップS11で検出された外光強度に対応する輝度を特定する。
【0038】
ステップS13において、調光部113は、表示部14の表示画面140の輝度がステップS12で特定した輝度になるように表示部14の発光素子の発光強度を制御する。
【0039】
ステップS14において、制御部11は、発光強度を変更するユーザ操作が行われたか否かを判定する。発光強度を変更するユーザ操作が行われていないと判定した場合(ステップS14;NO)、処理をステップS11に戻す。そして、制御部11は同じ動作を繰り返す。一方、発光強度を変更するユーザ操作が行われたと判定した場合(ステップS14;YES)、処理をステップS15に移行させる。
【0040】
ステップS15において、制御部11は、現時点での調光部113による自動調光モードが第1モードか否かを判定する。自動調光モードが第1モードであると判定した場合(ステップS15;YES)、処理を
図10のステップS21に移行させる。自動調光モードが第2モードであると判定した場合(ステップS15;NO)、処理を
図11のステップS31に移行させる。
【0041】
図10に示すように、ステップS21において、制御部11のモード切替部115は、ステップS14で判定されたユーザ操作が第1の調光範囲の最大値を超える輝度に変更する操作であるか否かを判定する。モード切替部115は、ユーザ操作が第1の調光範囲の最大値を超える輝度に変更する操作であると判定した場合(ステップS21;YES)、処理をステップS22に移行させる。一方で、ユーザ操作が第1の調光範囲の最大値以下の輝度に変更する操作であると判定した場合(ステップS21;NO)、処理を
図9のステップS11に戻す。
【0042】
ステップS22において、モード切替部115は、自動調光モードを第1モードから第2モードに切り替える。
【0043】
ステップS23において、調光範囲変更部116は、所定の期間以上の外光強度の履歴情報が記憶部12に記憶されているか否かを判定する。調光範囲変更部116は、所定の期間以上の外光強度の履歴情報が記憶されていると判定した場合(ステップS23;YES)、処理をステップS24に移行させる。一方で、調光範囲変更部116は、所定の期間以上の外光強度の履歴情報が記憶されていないと判定した場合(ステップS23;NO)、処理を
図9のステップS11に戻す。
【0044】
ステップS24において、調光範囲変更部116は、第2モードの発光制御に用いる制御テーブルを外光強度の履歴情報を加味した第2の調光範囲に変更された制御テーブルに変更する。その後、制御部11は、処理を
図9のステップS11に戻す。
【0045】
図11に示すように、ステップS31において、制御部11のモード切替部115は、ステップS14で判定されたユーザ操作が第2モードにおいて発光強度を所定量以上小さくする操作であるか否かを判定する。モード切替部115は、ユーザ操作が発光強度を所定量以上小さくする操作であると判定した場合(ステップS31;YES)、処理をステップS32に移行させる。一方で、モード切替部115は、ユーザ操作が発光強度を所定量以上小さくする操作でないと判定した場合(ステップS32;NO)、処理を
図9のステップS11に戻す。
【0046】
ステップS32において、モード切替部115は、自動調光モードを第2モードから第1モードに切り替える。そして、制御部11は、処理を
図9のステップS11に戻す。
【0047】
以上説明したように、本実施形態に係る電子機器1は、発光素子の発光によって表示を行う表示部14と、外光強度を検出する外光強度検出部13と、外光強度検出部13によって検出された外光強度に応じて、発光素子の発光強度を制御する制御部11と、を備え、制御部11は、発光強度の制御中に発光強度を所定の値よりも大きい発光強度に変更する操作を受け付けた場合に、発光強度の制御における発光強度の最小値を小さくする。
【0048】
これにより、表示部14の発光素子の発光強度の制御中にユーザが発光強度を上げる操作を行った場合であっても、外光強度が低い時に発光素子にかかる負荷が軽減されるので、自動調光全体における発光素子にかかる負荷の上昇を抑制できる。よって、自動調光中にユーザが発光素子の発光強度を上げる操作を行った場合であっても、ユーザ操作による発光素子の劣化を抑制でき、発光素子の寿命の短縮を防止できる。
【0049】
本実施形態に係る電子機器1において、制御部11は、外光強度に応じて発光強度が制御される調光範囲が第1の調光範囲である第1モードと、調光範囲が第1の調光範囲よりも最大値が大きく、かつ最小値が小さい第2の調光範囲である第2モードと、に切り替え可能であり、第1モードにおいて所定の値である第1の調光範囲の最大値よりも大きい発光強度に変更する操作を受け付けた場合に、第2モードに切り替わる。
【0050】
これにより、ユーザが第1の調光範囲の最大値を超える発光強度に変更した場合に、調光範囲を第1の調光範囲よりもさらに自動調光の最小値が小さい第2の調光範囲に変更できるので、より確実に発光素子の劣化を抑制できる。
【0051】
また本実施形態に係る電子機器1において、制御部11は、第2モードにおいて発光強度を所定量以上小さくする操作を受け付けた場合に、第1モードに切り替える。
【0052】
これにより、調光範囲の最大値が小さい自動調光モードに変更されるので、発光素子の劣化をより確実に抑制できる。
【0053】
また本実施形態に係る電子機器1において、制御部11は、外光強度の履歴情報を加味して第2の調光範囲を変更する。
【0054】
これにより、ユーザの使用状況を考慮し、発光素子の劣化を防止する自動調光を実行することができる。
【0055】
また本実施形態に係る電子機器1において、表示部14は、発光強度を変更するユーザ操作を行うための操作部15を表示する。
【0056】
これにより、ユーザが表示画面140を確認しながら、発光強度を変更する操作を行うことができる。
【0057】
なお、本発明は、上述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
【0058】
上述の実施形態では、発光強度を変更する操作を行うための操作部15は、連続的に輝度を選択できるスライダ151及びスライダバー152で構成されていたが、その構成は特に限定されない。操作部15は、例えば輝度を入力可能なキーボードで構成されていてもよく、それぞれ異なる輝度に対応する複数のボタンで構成され、段階的(不連続)に輝度を選択する構成であってもよい。また操作部15は、例えば表示部14に表示され、輝度を入力可能な操作キーやボタンで構成されていてもよい。即ち、発光強度を段階的に変更する操作を行うための操作部15が表示部14に表示される構成であってもよい。
【0059】
また、上述の実施形態では、表示部14は、
図2に示すように、自動調光モードが第1モードである場合も第2モードで用いる第2の調光範囲全体を表示していたが、第1の調光範囲のみを表示する構成であってもよい。そして、ユーザがスライダバー152の一端部に位置するスライダ151をさらに輝度を上げる方向(
図2では紙面右側)にスライド移動させると、モード切替部115が自動調光モードを第2モードに切り替える構成であってもよい。
【0060】
上述した一連の処理は、ハードウェアにより実行させることもできるし、ソフトウェアにより実行させることもできる。換言すると、
図4の機能的構成は例示に過ぎず、特に限定されない。即ち、上述した一連の処理を全体として実行できる機能が電子機器1に備えられていれば足り、この機能を実現するためにどのような機能ブロックを用いるのかは特に
図4の例に限定されない。
【0061】
上また、1つの機能ブロックは、ハードウェア単体で構成しても良いし、ソフトウェア単体で構成しても良いし、それらの組み合わせで構成しても良い。本実施形態における機能的構成は、演算処理を実行するプロセッサによって実現され、本実施形態に用いることが可能なプロセッサには、シングルプロセッサ、マルチプロセッサ及びマルチコアプロセッサ等の各種処理装置単体によって構成されるものの他、これら各種処理装置と、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)やFPGA(Field‐Programmable Gate Array)等の処理回路が組み合わせられたものを含む。
【0062】
一連の処理をソフトウェアにより実行させる場合には、そのソフトウェアを構成するプログラムが、コンピュータ等にネットワークや記録媒体からインストールされる。
コンピュータは、専用のハードウェアに組み込まれているコンピュータであってもよい。また、コンピュータは、各種のプログラムをインストールすることで、各種の機能を実行することが可能なコンピュータ、例えば汎用のパーソナルコンピュータであってもよい。
【0063】
このようなプログラムを含む記録媒体は、ユーザにプログラムを提供するために装置本体とは別に配布されるリムーバブルメディアにより構成されるだけでなく、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体等で構成される。リムーバブルメディアは、例えば、磁気ディスク(フロッピディスクを含む)、光ディスク、又は光磁気ディスク等により構成される。光ディスクは、例えば、CD-ROM(Compact Disk-Read Only Memory),DVD(Digital Versatile Disk),Blu-ray(登録商標) Disc(ブルーレイディスク)等により構成される。光磁気ディスクは、MD(Mini-Disk)等により構成される。また、装置本体に予め組み込まれた状態でユーザに提供される記録媒体は、例えば、プログラムが記録されている
図3の記憶部12に含まれるハードディスク等で構成される。
【0064】
ななお、本明細書において、記録媒体に記録されるプログラムを記述するステップは、その順序に沿って時系列的に行われる処理はもちろん、必ずしも時系列的に処理されなくとも、並列的或いは個別に実行される処理をも含むものである。
【0065】
以上、本発明のいくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例示に過ぎず、本発明の技術的範囲を限定するものではない。本発明はその他の様々な実施形態を取ることが可能であり、更に、本発明の要旨を逸脱しない範囲で、省略や置換等種々の変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、本明細書等に記載された発明の範囲や要旨に含まれるとともに、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれる。
【0066】
以下に、本願の出願当初の特許請求の範囲に記載された発明を付記する。
[付記1]
発光素子の発光によって表示を行う表示部と、
外光の強度を検出する外光強度検出部と、
前記外光強度検出部によって検出された前記外光の強度に応じて、前記発光素子の発光強度を制御する制御部と、を備え、
前記制御部は、前記発光強度の制御中に前記発光強度を所定の値よりも大きい前記発光強度に変更する操作を受け付けた場合に、前記発光強度の制御における前記発光強度の最小値を小さくする電子機器。
[付記2]
前記制御部は、
前記外光の強度に応じて前記発光強度が制御される調光範囲が第1の調光範囲である第1モードと、前記調光範囲が前記第1の調光範囲よりも最大値が大きく、かつ最小値が小さい第2の調光範囲である第2モードと、に切り替え可能であり、
前記第1モードにおいて前記所定の値である前記第1の調光範囲の最大値よりも大きい前記発光強度に変更する操作を受け付けた場合に、前記第2モードに切り替わる付記1に記載の電子機器。
[付記3]
前記制御部は、前記第2モードにおいて前記発光強度を所定量以上小さくする操作を受け付けた場合に、前記第1モードに切り替える付記2に記載の電子機器。
[付記4]
前記制御部は、前記外光の強度の履歴情報を加味して前記第2の調光範囲を変更する付記2又は3に記載の電子機器。
[付記5]
前記表示部は、前記発光強度を連続的に変更する操作を行うための操作部、及び前記発光強度を段階的に変更する操作を行うための操作部のいずれかを表示する付記1~4のいずれか1項に記載の電子機器。
[付記6]
発光素子の発光によって表示を行う表示部を備える電子機器に、
外光の強度を検出する外光強度検出処理と、
前記外光強度検出処理によって検出された前記外光の強度に応じて、前記表示部の発光強度を制御する制御処理と、を実行させ、
前記制御処理では、前記発光強度の制御における前記発光強度を所定の値よりも高い前記発光強度に変更する操作を受け付けた場合に、前記発光強度の制御における前記発光強度の最小値を小さくするプログラム。
[付記7]
発光素子の発光によって表示を行う表示部を備える電子機器が実行する発光制御方法であって、
外光の強度を検出する外光強度検出処理と、
前記外光強度検出処理によって検出された前記外光の強度に応じて、前記表示部の発光強度を制御する制御処理と、を含み、
前記制御処理では、前記発光強度の制御における前記発光強度を所定の値よりも高い前記発光強度に変更する操作を受け付けた場合に、前記発光強度の制御における前記発光強度の最小値を小さくする発光制御方法。
【符号の説明】
【0067】
1 電子機器
11 制御部
12 記憶部
13 外光強度検出部
14 表示部