IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ ブラザー工業株式会社の特許一覧

<>
  • 特開-画像形成装置 図1
  • 特開-画像形成装置 図2
  • 特開-画像形成装置 図3
  • 特開-画像形成装置 図4
  • 特開-画像形成装置 図5
  • 特開-画像形成装置 図6
  • 特開-画像形成装置 図7
  • 特開-画像形成装置 図8
  • 特開-画像形成装置 図9
  • 特開-画像形成装置 図10
  • 特開-画像形成装置 図11
  • 特開-画像形成装置 図12
  • 特開-画像形成装置 図13
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111963
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G03G 21/16 20060101AFI20240813BHJP
   G03G 15/00 20060101ALI20240813BHJP
   G03G 15/20 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
G03G21/16 185
G03G15/00 680
G03G15/20 505
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016739
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116034
【弁理士】
【氏名又は名称】小川 啓輔
(74)【代理人】
【識別番号】100144624
【弁理士】
【氏名又は名称】稲垣 達也
(72)【発明者】
【氏名】入山 翔太
(72)【発明者】
【氏名】大須賀 未都
【テーマコード(参考)】
2H033
2H171
【Fターム(参考)】
2H033AA42
2H033BA02
2H033BA03
2H033BA06
2H033BA31
2H033BA39
2H033BB01
2H033BB28
2H033CA07
2H171FA02
2H171FA03
2H171FA05
2H171FA19
2H171FA28
2H171GA12
2H171GA31
2H171HA23
2H171JA12
2H171JA23
2H171JA27
2H171JA48
2H171JA51
2H171JA52
2H171JA59
2H171KA05
2H171KA09
2H171KA13
2H171KA22
2H171KA23
2H171KA27
2H171MA02
2H171MA07
2H171QA04
2H171QA08
2H171QB14
2H171QB32
2H171QB35
2H171QB52
2H171QC03
2H171QC05
2H171QC36
2H171SA10
2H171SA22
2H171SA26
2H171WA11
2H171WA13
2H171WA23
2H171WA26
(57)【要約】
【課題】定着器が装着位置から離脱する過程において、ヒータへの通電を遮断する。
【解決手段】画像形成装置1は、インターロックスイッチ87を有する本体筐体10と、定着器80とを備える。定着器80のレバー150は、第1位置と第2位置との間で回動可能である。インターロックスイッチ87は、オン状態でヒータ81Aへの通電が許容され、オフ状態でヒータ81Aへの通電が遮断される。レバー150は、スイッチ当接部155と、被押圧部157とを有する。スイッチ当接部155は、レバー150が第1位置に位置する場合にインターロックスイッチ87をオン状態とし、レバー150が第2位置に位置する場合にオフ状態とする。被押圧部157は、装着方向でレバー軸150Xとスイッチ当接部155の間に位置し、定着器80が装着位置から離脱する過程で本体筐体10に押圧され、レバー150を第1位置から第2位置に向けて回動させる。
【選択図】図10
【特許請求の範囲】
【請求項1】
本体筐体と、
シートに現像剤像を形成するプロセス部と、
シートに形成された現像剤像を熱定着する定着器であって、ヒータを有する加熱部と、前記加熱部との間でシートを圧接する加圧部と、軸方向に延びるレバー軸を中心に第1位置と第2位置との間で回動可能なレバーと、を有し、前記本体筐体の装着位置に着脱可能な定着器と、を備え、
前記本体筐体は、オン状態である場合に前記ヒータへの通電が許容され、オフ状態である場合に前記ヒータへの通電が遮断されるインターロックスイッチを有し、
前記レバーは、
前記定着器が前記本体筐体の装着位置に装着され、かつ、前記レバーが第1位置に位置する場合に前記インターロックスイッチに当接することで前記インターロックスイッチをオン状態とし、前記定着器が前記本体筐体の装着位置に装着され、かつ、前記レバーが第2位置に位置する場合に前記インターロックスイッチから離れることで前記インターロックスイッチをオフ状態とするスイッチ当接部と、
前記定着器を装着する装着方向において、前記レバー軸と前記スイッチ当接部の間に位置し、前記定着器が前記装着位置から離脱する過程で前記本体筐体に押圧され、前記レバーを前記第1位置から前記第2位置に向けて回動させる被押圧部、を有することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】
前記定着器を前記装着位置から離脱する過程で、前記定着器が前記装着位置から第1軸を中心に回動したとき、前記被押圧部が前記本体筐体に押圧されて、前記レバーが回動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項3】
前記定着器を前記装着位置から離脱する過程で、前記定着器が回動する方向は、前記レバーが前記第1位置から前記第2位置に回動する方向と同じであることを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項4】
前記装着方向において、前記被押圧部は、前記第1軸と前記レバー軸との間に位置することを特徴とする請求項2に記載の画像形成装置。
【請求項5】
前記レバーは、前記第1位置に位置する場合に、前記本体筐体と係合して前記定着器が前記本体筐体から外れるのを規制する係合部を有することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項6】
前記レバー軸から前記スイッチ当接部までの距離は、前記レバー軸から前記係合部までの距離よりも大きいことを特徴とする請求項5に記載の画像形成装置。
【請求項7】
前記レバーは、前記定着器を前記本体筐体から外す場合に把持可能な把持部を有し、
前記定着器が前記本体筐体の装着位置に装着され、かつ、前記把持部が把持されていない場合、前記レバーは前記第1位置に位置し、
前記定着器が前記本体筐体の装着位置に装着され、かつ、前記把持部が把持された場合、前記レバーは前記第1位置から前記第2位置に回動することを特徴とする請求項1に記載の画像形成装置。
【請求項8】
前記軸方向は、シートの幅方向であることを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載の画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、定着器が着脱可能な画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、ヒータを有する定着器が着脱可能な画像形成装置が知られている。例えば、従来の画像形成装置は、特許文献1に記載されている。この画像形成装置では、開閉カバーを開いた状態で、定着器の取っ手部を把持して定着器を着脱する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2017-203944号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ヒータへの通電が遮断された状態で本体筐体から外されることが望ましい。
【0005】
そこで、本開示は、画像形成装置において、定着器が装着位置から離脱する過程において、ヒータへの通電を遮断することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上述した課題を達成するため、本願の画像形成装置は、本体筐体と、プロセス部と、定着器と、を備える。
プロセス部は、シートに現像剤像を形成する。定着器は、シートに形成された現像剤像を熱定着する。定着器は、加熱部と、加圧部と、レバーと、を有する。加熱部は、ヒータを有する。加圧部は、加熱部との間でシートを圧接する。レバーは、軸方向に延びるレバー軸を中心に第1位置と第2位置との間で回動可能である。定着器は、本体筐体の装着位置に着脱可能である。
本体筐体は、インターロックスイッチを有する。インターロックスイッチは、オン状態である場合にヒータへの通電が許容され、オフ状態である場合にヒータへの通電が遮断される。
レバーは、スイッチ当接部と、被押圧部と、を有する。スイッチ当接部は、定着器が本体筐体の装着位置に装着され、かつ、レバーが第1位置に位置する場合にインターロックスイッチに当接することでインターロックスイッチをオン状態とする。スイッチ当接部は、定着器が本体筐体の装着位置に装着され、かつ、レバーが第2位置に位置する場合にインターロックスイッチから離れることでインターロックスイッチをオフ状態とする。被押圧部は、定着器を装着する装着方向において、レバー軸とスイッチ当接部の間に位置する。被押圧部は、定着器が装着位置から離脱する過程で本体筐体に押圧され、レバーを第1位置から第2位置に向けて回動させる。
【0007】
定着器が装着位置から離脱する過程で本体筐体に押されたレバーの被押圧部がレバー軸とスイッチ当接部の間に位置するため、被押圧部が本体筐体に押された場合にはスイッチ当接部の移動量が被押圧部の移動量よりも大きくなる。スイッチ当接部の移動量が被押圧部の移動量より大きい方が、移動量が小さい場合と比較して、インターロックスイッチがオフ状態となりやすい。このため、定着器が装着位置から離脱する過程において、ヒータへの通電を遮断することができる。
【0008】
また、画像形成装置は、定着器を装着位置から離脱する過程で、定着器が装着位置から第1軸を中心に回動したとき、被押圧部が本体筐体に押圧されて、レバーが回動する構成としてもよい。
【0009】
被押圧部が本体筐体に押されてレバーが回動することで、インターロックスイッチをオフ状態としやすい。
【0010】
また、画像形成装置は、定着器を装着位置から離脱する過程で、本体筐定着器が回動する方向は、レバーが第1位置から第2位置に回動する方向と同じであってもよい。
【0011】
定着器の回動方向とレバーの回動方向が同じであるため、定着器を外すときにレバーを回動させながら、定着器を回動させやすい。
【0012】
また、画像形成装置は、装着方向において、被押圧部は、第1軸とレバー軸との間に位置する
【0013】
また、画像形成装置は、レバーが、第1位置に位置する場合に、本体筐体と係合して定着器が本体筐体から外れるのを規制する係合部を有してもよい。
【0014】
レバーが係合部を有することで、レバーを把持することで、スイッチ当接部と係合部の両方を動かすことができる。このため、インターロックスイッチの作動と、定着器の係合の解除を同じ操作で行うことができる。
【0015】
また、画像形成装置は、回動軸からスイッチ当接部までの距離が、回動軸から係合部までの距離よりも大きくてもよい。
【0016】
スイッチ当接部が係合部よりも回動軸から遠いので、レバーが第1位置から第2位置に回動した場合のスイッチ当接部の移動量が係合部の移動量より大きい。このため、レバーが第1位置から第2位置に移動した場合に、インターロックスイッチを動かすためのスイッチ当節部の移動量を確保しやすい。
【0017】
また、画像形成装置は、レバーが、定着器を本体筐体から外す場合に把持可能な把持部を有してもよい。そして、定着器が本体筐体の装着位置に装着され、かつ、把持部が把持されていない場合、レバーは第1位置に位置し、定着器が本体筐体の装着位置に装着され、かつ、把持部が把持された場合、レバーは第1位置から第2位置に回動してもよい。
【0018】
把持部を把持すれば、ヒータへの通電が遮断された状態で定着器を外すことができる。
【0019】
また、画像形成装置は、回動軸の軸方向がシートの幅方向であってもよい。
【0020】
レバーの回動軸の軸方向がシートの幅方向であることで、レバーの操作が容易となる。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、定着器が装着位置から離脱する過程において、ヒータへの通電を遮断することができる画像形成装置を提供できる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係る画像形成装置の断面図である。
図2】ヒータ、インターロックスイッチ、制御部の電気的接続を示すブロック図である。
図3】リヤカバーを開けた状態の画像形成装置を示す斜視図である。
図4図3の状態から定着器を引き出した状態の斜視図である。
図5】固定ハンドルとレバーを示す斜視図(a)と、レバーを(a)と異なる方向から見た斜視図と、レバーの側面図(c)である。
図6】レバーが係合する係合穴を示す斜視図(a)と、レバーと係合穴を上からみた図(b)である。
図7】定着器が装着位置に位置した状態を示す図(a)と、定着器を本体筐体から外した状態を示す図(b)である。
図8】定着器が装着位置に位置し、レバーが第1位置に位置した状態を示す図(a)と、レバーが第2位置に位置した状態を示す図(b)である。
図9】レバーを第2位置に位置させた状態で定着器を装着位置から第1軸を中心に回動させた状態を示す図(a)と、(a)の状態から離脱方向に定着器を移動させた状態を示す図(b)である。
図10図9(b)の状態からさらに離脱方向に定着器を移動させた状態を示す図(a)と、レバーを第1位置に位置させた状態で定着器を装着位置から第1軸を中心に回動させた状態を示す図(b)である。
図11】本体コネクタと定着コネクタが接続された状態を示す図(a)と、(a)の状態から定着装置が回動した状態を示す図(b)と、本体コネクタから定着コネクタが外れた状態を示す図(c)である。
図12】他の形態における、レバーが係合する係合穴を示す斜視図(a)と、レバーと係合穴を上からみた図(b)である。
図13】他の形態におけるヒータ、インターロックスイッチ、制御部の電気的接続を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
次に、本発明の実施形態について、適宜図面を参照しながら詳細に説明する。
図1に示すように、画像形成装置1は、本体筐体10と、シート供給部20と、プロセス部30と、定着器80と、シート排出部90とを備える。
【0024】
本体筐体10は、フロントカバー11と、排出トレイ12と、リヤカバー13とを有する。本体筐体10は、開口10Aと、開口10Bと、を有する。フロントカバー11は、本体筐体10の前側の開口10Aを開閉する。リヤカバー13は、本体筐体10の後側の開口10Bを開閉する。
【0025】
シート供給部20は、シートトレイ21と、供給機構22とを備える。シートトレイ21は、紙などのシートSを収容する。供給機構22は、シートトレイ21内のシートSをプロセス部30に供給する。
【0026】
プロセス部30は、シートSに現像剤像を形成する。プロセス部30は、露光装置40と、プロセスユニットPUと、転写ユニット70とを備える。
【0027】
露光装置40は、プロセスユニットPUの上に位置する。露光装置40は、光ビームを出射して感光ドラム51の表面を露光する。
【0028】
プロセスユニットPUは、シートトレイ21と露光装置40の間に位置する。プロセスユニットPUは、フロントカバー11を開くことで開放される本体筐体10の開口10Aを通して、本体筐体10に着脱可能である。プロセスユニットPUは、ドラムカートリッジ50と、複数のトナーカートリッジ60とを備える。
【0029】
ドラムカートリッジ50は、複数の感光ドラム51と、複数の感光ドラム51に対応する複数の帯電器52と、ドラムフレーム53とを備える。
【0030】
ドラムフレーム53は、感光ドラム51および帯電器52を支持する。ドラムフレーム53は、本体筐体10に移動可能に支持される。ドラムフレーム53には、トナーカートリッジ60が着脱可能である。
【0031】
複数のトナーカートリッジ60は、互いに異なる色のトナーを収容する。トナーカートリッジ60は、現像ローラ61と、供給ローラ62と、層厚規制ブレード63と、トナーを収容するトナー収容部64と、アジテータ65とを備える。
【0032】
アジテータ65は、トナー収容部64内のトナーを攪拌する。アジテータ65は、トナーを供給ローラ62に供給する。供給ローラ62は、トナーを現像ローラ61に供給する。層厚規制ブレード63は、現像ローラ61上のトナーを一定の厚さに規定する。
【0033】
転写ユニット70は、シートトレイ21とプロセスユニットPUの間に位置する。転写ユニット70は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、搬送ベルト73と、複数の転写ローラ74とを備える。搬送ベルト73は、シートSを搬送するための無端状のベルトである。駆動ローラ71および従動ローラ72は、搬送ベルト73を回転させる。転写ローラ74は、搬送ベルト73の内側に位置する。転写ローラ74は、感光ドラム51との間で搬送ベルト73を挟む。
【0034】
定着器80は、加熱部の一例としての加熱ローラ81と、加圧部の一例としての加圧ローラ82とを備える。加熱ローラ81は、ヒータ81Aを有する。加熱ローラ81は、図示せぬ駆動源の駆動力を受けて回転する。
【0035】
加圧ローラ82は、加熱ローラ81との間でシートSを圧接する。加圧ローラ82は、加熱ローラ81に従動して回転する。
【0036】
帯電器52は、感光ドラム51の表面を帯電する。露光装置40は、感光ドラム51の表面を露光する。これにより、感光ドラム51上には、静電潜像が形成される。現像ローラ61は、感光ドラム51にトナーを供給する。これにより、感光ドラム51上には、トナー像が形成される。
【0037】
シート供給部20は、シートSを感光ドラム51と転写ローラ74の間に搬送する。感光ドラム51上のトナー像は、シートSに転写される。トナー像が転写されたシートSは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間に搬送される。これにより、定着器80は、シートSに形成された現像剤像を熱定着する。
【0038】
シート排出部90は、搬送ローラ91と、排出ローラ92とを有する。搬送ローラ91は、シートSを排出ローラ92に搬送する。排出ローラ92は、シートSを排出トレイ12上に排出する。
【0039】
図2に示すように、画像形成装置1は、制御部83と、電源入力部84と、スイッチング回路85と、温度センサ86と、インターロックスイッチ87と、リレー88と、本体コネクタ160と、定着コネクタ170と、をさらに備える。制御部83、電源入力部84、スイッチング回路85、インターロックスイッチ87および本体コネクタ160は、本体筐体10に配置されている。温度センサ86および定着コネクタ170は、定着装置80に配置されている。
【0040】
制御部83は、CPU、RAM、ROM、入出力回路などを備えており、ROMなどに記憶されたプログラムやデータに基づいて各種演算処理を行うことによって制御を実行する。
【0041】
電源入力部84は、交流電源に接続され、スイッチング回路85に電力を供給する。
【0042】
リレー88は、電源入力部84とスイッチング回路85との間に設けられている。リレー88は、電源入力部84からスイッチング回路85に電力が供給される接続状態と、電源入力部84からスイッチング回路85に電力が供給されない切断状態に切り替え可能である。リレー88は、接続状態と切断状態に切り替える可動接点と、可動接点を動作させる電磁石を有している。制御部83の指令により、電磁石が動作されて可動接点が切り替わる。
【0043】
スイッチング回路85は、トライアック等の半導体素子を有する。スイッチング回路85は、制御部83からの指令により、ヒータ81Aに電力を供給したり遮断したりすることが可能な回路である。
【0044】
温度センサ86は、加熱ローラ81の温度を測定する。測定した加熱ローラ81の温度情報は、制御部83に送られる。制御部83は、温度センサ86からの情報に基づいてスイッチング回路85に指令を送る。
【0045】
インターロックスイッチ87は、オン状態である場合にヒータ81Aへの通電が許容される。インターロックスイッチ87は、オフ状態である場合にヒータ81Aへの通電が遮断される。
【0046】
具体的には、図8(a),(b)に示すように、インターロックスイッチ87は、定着器80の装着位置の下に配置されている。インターロックスイッチ87は、変位可能なアームを有している。具体的には、インターロックスイッチ87のアームは、図8(a)に示すオン状態と、図8(b)に示すオフ状態に変位可能である。インターロックスイッチ87は、後述するレバー150にアームが押圧されると、導通状態となり、アームが押圧されないと非導通状態となる。
【0047】
本実施形態では、制御部83は、インターロックスイッチ87が導通状態である場合に、インターロックスイッチ87がオン状態であるとして、リレー88を接続状態とする。制御部83は、インターロックスイッチ87が非導通状態である場合にインターロックスイッチ87がオフ状態であるとして、リレー88を切断状態とする。リレー88が切断状態であるとき、スイッチング回路85への通電が遮断され、ヒータ81Aへの通電が遮断される。
【0048】
本体コネクタ160は、定着器80が本体筐体10に装着された場合に定着コネクタ170と接続される。本体コネクタ160と定着コネクタ170が接続されると、スイッチング回路85からヒータ81Aに電力が供給可能となる。また、本体コネクタ160と定着コネクタ170が接続されると、温度センサ86が検知した温度情報を制御部83に送ることができるようになる。
【0049】
図11(a),(b),(c)に示すように、本体コネクタ160は、本体筐体10に、回動可能に保持されている。具体的には、本体コネクタ160は、図11(a)の位置と図11(b)の位置との間で回動可能である。本体コネクタ160および定着コネクタ170が接続された状態では、本体コネクタ160が図11(a)の位置と図11(b)の位置の間を回動しても電気的な接続を維持する。しかし、図11(c)に示すように、本体コネクタ160と定着コネクタ170が第3方向に離脱されると、電気的接続が維持されず、定着器80に電力が供給されない。すなわち、図11(b)に示すように、定着器80が着脱される過程において、定着器80が装着位置から第2方向に傾いても、離脱方向に移動しなければ、定着器80に電力を供給可能である。
【0050】
図3図4に示すように、定着器80は、本体筐体10に着脱可能である。詳しくは、定着器80は、リヤカバー13を開くことで開放される本体筐体10の開口を通して、本体筐体10に着脱可能である。つまり、本体筐体10は、定着器80を着脱可能に支持する。
【0051】
本実施形態において、第1方向は、加熱ローラ81の軸方向に沿った方向である。第1方向は、シートの幅方向に沿った方向でもある。第2方向は、第1方向に直交する方向である。第2方向は、鉛直方向に沿っている。第3方向は、第1方向および第2方向に直交する方向である。
【0052】
また、図面における各方向を示す矢印は、各方向における一方側を指すこととする。本実施形態において、第1方向の一方側は、画像形成装置1の右側に相当する。第2方向の一方側は、鉛直方向の下側に相当する。第3方向の一方側は、画像形成装置1の後側に相当する。
【0053】
定着器80は、図3に示す装着位置から第3方向の一方側に外される。以下の説明では、定着器80が外される方向を離脱方向ともいう。そして、定着器80は、図4に示すように、第3方向の一方側から他方側に向けて装着される。以下の説明では、定着器80が装着される方向を装着方向ともいう。
【0054】
図4に示すように、定着器80は、定着筐体100と、第1基準部120と、第2基準部130と、固定ハンドル140と、レバー150と、バネSPと、を有する。なお、図4では、第1基準部120と、第2基準部130およびバネSPは、第1方向の他方側のみ示している。
【0055】
第1基準部120は、外面に円筒面を有し、第1方向の外側に突出する軸である。第1基準部120は、定着筐体100の第1方向における一方側の面と、他方側の面とに位置する。2つの第1基準部120は、第1方向の一方側と、他方側とに向けてそれぞれ突出する。第1基準部120は、定着筐体100の第2方向の一方側の端部に位置する。第1基準部120は、定着筐体100の第3方向の他方側の端に位置する。別の言い方をすれば、第1基準部120は、装着方向の下流端に位置する。
【0056】
第1基準部120は、本体筐体10と接触することで、本体筐体10に対して第2方向および第3方向に位置決めされる部位である。第1基準部120は、第2基準部130よりも第3方向の他方側に位置する。
【0057】
第2基準部130は、外面に円筒面を有し、第1方向の外側に突出する軸である。第2基準部130は、定着筐体100の第1方向における一方側と、他方側の面とに位置する。2つの第2基準部130は、第1方向の一方側と、他方側と向けてそれぞれ突出する。第2基準部130は、定着筐体100の第2方向の一方側の端に位置する。第2基準部130は、第1基準部120より第2方向の一方側に位置する。以下の説明では、第2基準部130の中心を通り第1方向に延びる軸を第1軸1Xという。
【0058】
固定ハンドル140は、定着器80を着脱するときに、ユーザが把持するハンドルである。固定ハンドル140は、定着筐体100の第1方向における一方側の端と、他方側の端とに1つずつ設けられている。2つの固定ハンドル140は、第3方向の一方側の端に位置する。別の言い方をすれば、固定ハンドル140は、装着方向の上流端に位置する。図5(a)に示すように、固定ハンドル140は、グリップ141と、レバー保持部142と、第1突起143と、を有する。図5(a)には、第1方向における他方側の端における固定ハンドル140を示している。固定ハンドル140の第2方向他方側の面は、第3方向一方側に向かうにつれて下方側に向かうように傾斜している。
【0059】
グリップ141は、定着器80を外すときに、ユーザが把持可能な部分である。図3に示すように、グリップ141は、リヤカバー13を開いた状態で本体筐体10の外表面に露出する。図5(a)に戻り、グリップ141は、第2方向に延びている。レバー保持部142は、第1方向に突出する突起である。レバー保持部142は、レバー150のレバー軸150Xを中心とする円柱形状を有する。レバー保持部142は、ネジNが入り込むネジ穴142Hを有する。ネジ穴142Hは、レバー軸150Xに位置する。第1突起143は、下方に突出する突起である。第1突起143は、バネSPの一端を保持する。レバー保持部142の第1方向の寸法は、グリップ141の第1方向の寸法よりも大きい。
【0060】
レバー150は、L字状に形成されている。レバー150は、固定ハンドル140に取り付けられている。レバー150は、レバー軸150Xを中心に、図8(a)に示す第1位置と、図8(b)に示す第2位置との間で回動可能である。なお、本実施形態では、レバー軸150Xの軸方向は、シートの幅方向である。バネSPは、固定ハンドル140とレバー150の間に配置された圧縮バネである。バネSPは、レバー150を第2位置から第1位置に向けて常に付勢している。
【0061】
図5(a),(b),(c)に示すように、レバー150は、本体部151と、把持部152と、レバー穴153と、第2突起154と、スイッチ当接部155と、係合部156と、被押圧部157と、を有する。なお、レバー150は、第1方向における定着筐体100の一方側の端にも設けられているが、第1方向における一方側の端のレバー150は、スイッチ当接部155を有さない。
【0062】
本体部151は、第3方向に沿って延びている。把持部152は、第2方向に沿って延びている。すなわち、把持部152は、本体部151と異なる方向に延び、本体部151と共にL字を形成している。把持部152は、定着器80を本体筐体10から外す場合に把持可能である。ユーザがグリップ141と把持部152の両方を把持して、把持部152をグリップ141に近づけると、レバー150が図8(a)に示す第1位置から、図8(b)に示す第2位置に移動する。すなわち、把持部152は、レバー150が第1位置に位置する場合よりも、レバー150が第2位置に位置する場合の方がグリップ141の近くに位置する。
【0063】
図5(a),(b),(c)に示すように、レバー穴153は、本体部151と把持部152が連結されている部分に位置する。レバー穴153は、第1方向に延びる穴である。レバー穴153は、固定ハンドル140のレバー保持部142が入り込む。円柱形状のレバー保持部142がレバー穴153に入り込むことで、レバー150が固定ハンドル140に回動可能に保持される。レバー150が固定ハンドル140に保持された状態でネジNがネジ穴142Hに結合されることで、レバー150が固定ハンドル140から外れない。レバー穴153の第1方向の寸法は、把持部152の第1方向の寸法よりも大きい。
【0064】
第2突起154は、上方に突出する突起である。第2突起154は、バネSPの一端を保持する。
【0065】
スイッチ当接部155は、本体部151の第3方向における他端側の端から第2方向の一方側に延びる突起である。すなわち、スイッチ当接部155は、レバー150の回動方向に突出する突起である。
【0066】
図8(a)に示すように、スイッチ当接部155は、レバー150が第1位置に位置する場合、後述するスイッチ穴15に入り込む。スイッチ当接部155がスイッチ穴15に入り込むと、スイッチ当接部155は、インターロックスイッチ87に当接可能である。
【0067】
図8(a)に示すように、定着器80が本体筐体10に装着され、かつ、把持部152が把持されていない場合、レバー150は第1位置に位置し、スイッチ当接部155がインターロックスイッチ87に当接することで、インターロックスイッチ87をオン状態とする。
【0068】
図8(a)に示すように、定着器80が本体筐体10に装着され、かつ、把持部152が把持された場合、レバー150は第1位置から第2位置に回動し、スイッチ当接部155がインターロックスイッチ87から離れることで、インターロックスイッチ87をオフ状態とする。
【0069】
係合部156は、本体部151の第3方向における他端側の端部から第2方向の一方側に延びる突起である。すなわち、係合部156は、レバー150の回動方向に突出する突起である。係合部156は、スイッチ当接部155より、第3方向の一方側、すなわち装着方向の上流側に位置する。本実施形態では、係合部156は、先端が離脱方向に向けて折れ曲がるフック形状を有している。
【0070】
図8(a)に示すように、係合部156は、レバー150が第1位置に位置する場合、後述する係合穴16に入り込む。係合部156が係合穴16に入り込むと、係合部156は、本体筐体10と係合可能である。係合部156は、本体筐体10と係合すると、定着器80が本体筐体10から外れるのを規制する。
【0071】
図8(b)に示すように、係合部156は、レバー150が、第2位置に位置する場合に、本体筐体10と係合せず、定着器80が本体筐体10から外れるのを規制しない。
【0072】
図5(c)に示すように、レバー軸150Xからスイッチ当接部155までの距離D1は、レバー軸150Xから係合部156までの距離D2よりも大きい(D2<D1)。すなわち、レバー150が回動した場合、スイッチ当接部155の移動量D11の方が係合部156の移動量D21より大きい(D21<D11)。
【0073】
被押圧部157は、本体部151の下側に位置する。被押圧部157は、装着方向において、レバー軸150Xとスイッチ当接部155の間に位置する。また、被押圧部157は、装着方向において、レバー軸150Xと係合部156の間に位置する。また、被押圧部157は、第1軸1Xとレバー軸150Xとの間に位置する。図10(b)に示すように、被押圧部157は、定着器80が装着位置から離脱する過程で本体筐体10に押圧され、レバー150を第1位置から第2位置に向けて回動させることが可能な部分である。すなわち、被押圧部157が本体筐体10の押圧部10Cに押された場合、レバー150は、第1位置から第2位置に向けて回動する。なお、押圧部10Cは、定着器80が本体筐体10に装着された状態において被押圧部157と対向する面である。
【0074】
図5(c)に示すように、レバー軸150Xからスイッチ当接部155までの距離D1は、レバー軸150Xから被押圧部157までの距離D3よりも大きい(D3<D1)。すなわち、レバー150が回動した場合、スイッチ当接部155の移動量D11の方が被押圧部157の移動量D31より大きい(D31<D11)。
【0075】
ここで、図6(a),(b)に示すように、本体筐体10は、スイッチ穴15と、係合穴16と、レール17とを有する。スイッチ穴15、係合穴16およびレール17は、本体筐体10の内壁面に位置する。
【0076】
スイッチ穴15は、定着器80が本体筐体10に装着され、かつ、レバー150が第1位置に位置する場合、スイッチ当接部155が入り込む穴である。スイッチ穴15は、長方形の開口を有する。スイッチ穴15は、レバー150の回動方向に沿って延びている。
【0077】
係合穴16は、定着器80が本体筐体10に装着され、かつ、レバー150が第1位置に位置する場合、係合部156が入り込む穴である。係合穴16は、長方形の開口を有する。係合穴16は、レバー150の回動方向に沿って延びている。係合穴16は、スイッチ穴15よりも深さが小さい。係合穴16は、係合部16が入り込んだ場合に、定着器80が本体筐体10から外れるのを規制する。
【0078】
第1方向において、係合穴16の寸法B2は、係合部156の寸法A2より大きい。第1方向において、係合穴16の寸法B2は、スイッチ穴15の寸法B1より小さい。第1方向において、係合穴16の寸法B2は、スイッチ当接部155の寸法A1より小さい。
【0079】
レール17は、定着器80が着脱される過程において、スイッチ当接部155が係合穴16に引っ掛からないようにガイドするレールである。具体的には、レール17は、係合穴16の開口の第1方向の他方側の縁に位置する。レール17は、レール17は、装着方向において、係合穴16よりも装着方向上流から係合穴16よりも下流まで延びている。レール17は、係合穴16の開口よりも上に突出している。
【0080】
図7(a),(b)に示すように、本体筐体10は、ガイド面G1と、突起G2と、第1凹部G3と、第2凹部G4とを有する。
【0081】
ガイド面G1は、定着器80の第1基準部120を案内する面である。ガイド面G1は、第2方向に直交する。ガイド面G1は、定着器80が着脱される過程において、第1基準部120に下から接触する。
【0082】
突起G2は、ガイド面G1から上に突出する。図7(b)に示すように、突起G2は、傾斜面G21と、先端面G22と、基準面G23とを有する。
【0083】
傾斜面G21は、突起G2の第3方向の一方側の端部に位置する。つまり、傾斜面G21は、定着器80の装着方向において、突起G2の装着方向の上流側の端部に位置する。傾斜面G21は、ガイド面G1に対して傾斜している。詳しくは、傾斜面G21は、装着方向の下流側に向かうにつれて上に位置するように傾斜している。
【0084】
先端面G22は、傾斜面G21の装着方向の下流端から装着方向の下流側に向けて延びている。基準面G23は、先端面G22の装着方向の下流端から下に向けて延びている。基準面G23は、第3方向と直交する。基準面G23は、装着方向において、突起G2の下流側に位置する。基準面G23は、定着器80が本体筐体10に装着された状態において、第1基準部120と接触する。
【0085】
第1凹部G3は、突起G2の先端面G22から下に凹んでいる。定着器80が本体筐体10に装着された状態において、第1基準部120は第1凹部G3内に入る。第1凹部G3は、前述した基準面G23と、第2基準面G31と、ストッパ面G32とを有する。
【0086】
第2基準面G31は、基準面G23と交差している。詳しくは、第2基準面G31は、基準面G23と直交している。第2基準面G31は、基準面G23の下端から装着方向の下流側に向けて延びる。第2基準面G31は、第2方向に直交する。第2基準面G31は、定着器80が本体筐体10に装着された状態において、第1基準部120と接触する。
【0087】
ストッパ面G32は、第2基準面G31の装着方向の下流端から上に向けて延びる。ストッパ面G32は、定着器80の装着の際に第1基準部120と接触することで、第1基準部120が装着方向の下流側に移動するのを抑制する。
【0088】
第2凹部G4は、定着器80が本体筐体10に装着された状態において、第2基準部130が入る凹部である。第2凹部G4は、装着方向の上流側に開口している。第2凹部G4は、第1規制面G41と、底面G42と、第2規制面G43とを有する。
【0089】
第1規制面G41は、定着器80が本体筐体10に装着された状態において、第2基準部130と接触することで、第2基準部130が下に移動するのを抑制する。第1規制面G41は、第2方向に直交する。第1規制面G41は、定着器80が本体筐体10に装着された状態において、第2基準部130に下から接触する。第1規制面G41は、第2規制面G43よりも装着方向の上流側に延びる。
【0090】
底面G42は、第1規制面G41の装着方向の下流端から上に延びる。第2規制面G43は、底面G42の上端から装着方向の上流側に延びる。第2規制面G43は、定着器80が本体筐体10に装着された状態において、第2基準部130と接触することで、第2基準部130が上に移動するのを抑制する。
【0091】
定着器80が本体筐体10に装着された状態において、第2基準部130は、第1規制面G41と第2規制面G43との間に位置する。第1規制面G41および第2規制面G43は、定着器80が本体筐体10に装着された状態において、第1基準部120を中心に回転することを止めるための面である。
【0092】
次に、定着器80を着脱する動作について説明する。まず、レバー150を把持して定着器80を本体筐体10から取り外す過程を説明する。
【0093】
レバー150を把持して定着器80を取り外す場合、ユーザは、図8(a)に示す状態から、レバー150の把持部152を把持して、レバー150を第1位置から第2位置に図8(a)の反時計回りに回動させる。
【0094】
レバー150を第2位置に向けて回動させると、スイッチ当節部155が上に移動してインターロックスイッチ87がオフ状態となり、ヒータ81Aへの通電が遮断される。そして、図8(b)に示すように、レバー150を第2位置まで回動させると、スイッチ当接部155は、スイッチ穴15の外に出る。同様に、レバー150を第2位置まで回動させると、係合部156は、係合穴16の外に出る。これにより、定着器80が本体筐体10の係合から外れる。このとき、図11(a)に示すように、本体コネクタ160と定着コネクタ170は接続されている状態である。
【0095】
次に、ユーザは、図8(b)の状態からグリップ141と把持部152を把持したまま下に引っ張る。すると、図9(a)に示すように、第1軸1Xを中心として定着器80が反時計回りに回動する。このとき、定着器80は、レバー軸150Xが下に下がり、第1基準部120が上に上がる方向に回動する。
【0096】
ユーザが定着装置80を反時計回りに回動させると、第1基準部120が第1凹部G3から外に出るので、第1基準部120が基準面G23に規制されず、定着器80が離脱方向に移動可能となる。なお、このとき、図11(b)に示すように、本体コネクタ160および定着コネクタ170は本体筐体10に対して第2方向に傾くが、本体コネクタ160と定着コネクタ170の電気的接続は維持されている。
【0097】
このように、本実施形態では、定着器80を装着位置から離脱する過程で、定着器80が回動する方向は、レバー150が第1位置から第2位置に回動する方向と同じである。別の言い方をすれば、レバー150が第1位置から第2位置に回動した場合、把持部152は、定着器80が離脱される方向と同じ方向に移動する。
【0098】
次に、ユーザは、図9(a)の状態からグリップ141と把持部152を把持したまま離脱方向に引っ張る。すると、図9(b)に示すように、定着器80が離脱方向に移動し、第1基準部120が傾斜面G21と接触する。第1基準部120が傾斜面G21に案内されるにつれて、定着器80が時計回りに回動する。このとき、図11(c)に示すように、本体コネクタ160と定着コネクタ170は離脱した状態である。
【0099】
グリップ141を離脱方向にさらに引っ張ると、図10(a)に示すように、定着器80が離脱方向にさらに移動し、第1基準部120がガイド面G1と接触する。第1基準部120がガイド面G1に案内されて、定着器80は、本体筐体10の外まで移動される。
【0100】
次に、レバー150を把持せずに、定着器80を本体筐体10から取り外そうとした場合の動作について説明する。例えば、定着器80を外す意図がなく、定着器80に詰まったシートを取り除くときに定着器80を下に引っ張った場合の動作である。
【0101】
ユーザが、図8(a)に示す状態から、レバー150の把持部152を把持せずに、固定ハンドル140のグリップ141を下に引っ張ると、図10(b)に示すように、第1軸1Xを中心として定着器80が反時計回りに回動する。このとき、定着器80は、レバー軸150Xが下に下がり、第1基準部120が上に上がる方向に回動する。この回動により、第1基準部120の一部が第1凹部G3から外に出る。しかし、係合部156は、係合穴16に入り込んでいるままなので、定着器80が離脱方向に移動できない。
なお、第1基準部120が第1凹部G3から外に出た状態では、図10(b)において二点鎖線で示す定着フレーム100の一部が本体筐体10の一部10Sと接触する。これにより、定着器80は、それ以上は反時計回りに回転できないようになっている。
【0102】
この定着器80を装着位置から離脱する過程で、定着器80が装着位置から第1軸1Xを中心に回動したとき、レバー150の被押圧部157が本体筐体10の押圧部10Cに押されて、レバー150が回動する。レバー150は、第2位置までは移動しないが、第1位置と第2位置の間の位置に位置する。これにより、スイッチ穴15に入り込んでいたスイッチ当接部155は、一部がスイッチ穴15の外に出る。この結果、インターロックスイッチ87がオフ状態となり、ヒータ81Aへの通電が遮断される。このとき、図11(b)に示すように、本体コネクタ160と定着コネクタ170は接続されている状態である。以上に説明した通り、レバー150を把持せずに、定着器80を取り外そうとしても、定着器80を外すことはできない。
【0103】
次に、定着器80を本体筐体10に取り付ける動作について説明する。
【0104】
図10(a)に示すように、定着器80を本体筐体10に取り付ける場合、第1基準部120は、ガイド面G1と接触して、ガイド面G1で案内される。
【0105】
図10(a)の状態から、定着器80を装着方向に移動していくと、図9(b)に示すように、第2基準部130が第2凹部G4に入り込み、第1規制面G41と接触して、定着器80は、第1規制面G41で案内される。そして、第1基準部120が傾斜面G21に接触すると、第1基準部120は、傾斜面G21によって、装着方向の下流側および上側に向けて斜めに移動する。第1基準部120が傾斜面G21に案内されるにつれて、定着器80が反時計回りに回動する。これにより、定着器80は、図9(a)に示すように、装着方向の下流側の面が斜め上方を向いた姿勢で本体筐体10に挿入されていく。
【0106】
第1基準部120は、傾斜面G21で案内された後、先端面G22で第3方向に沿った方向に案内される。第1基準部120が先端面G22から外れると、図8(b)に示すように、第1基準部120が、重力によって、第1凹部G3内に入る。このように、定着器80は、装着方向にスライド移動する第1工程と、第1軸1Xを中心に回動する第2工程によって、本体筐体10に装着される。
【0107】
以上によれば、本実施形態において次のような効果を得ることができる。
ユーザが本体筐体10から定着器80を外す場合に、レバー150の把持部152を把持することでレバー150が第1位置から第2位置に回動し、レバー150のスイッチ当接部155がインターロックスイッチ87から離れる。これにより、ユーザが把持部152を把持すれば、ヒータへの通電が遮断された状態態で定着器80を外すことができる。仮に、ヒータ81Aに通電されている状態で本体筐体10から定着器80を外した場合には、本体コネクタ160と定着コネクタ170との間で放電が発生する可能性があるが、ヒータ81Aへの通電が遮断された状態で定着器80を外すことで放電が発生することを抑制できる。
【0108】
また、レバー150が係合部156を有するため、レバー150を把持すれば、スイッチ当接部155と係合部156の両方を動かすことができる。このため、インターロックスイッチ87の作動と、定着器80の係合の解除を1つの操作で行うことができる。
【0109】
また、スイッチ当接部155が係合部156よりもレバー軸150Xから遠いので、レバーが第1位置から第2位置に回動した場合のスイッチ当接部155の移動量D11が係合部156の移動量D21より大きい。このため、レバー150が第1位置から第2位置に移動した場合に、インターロックスイッチ87を動かすためのスイッチ当節部155の移動量を確保しやすい。
【0110】
また、第1方向において、係合穴16の寸法B2が、スイッチ当接部155の寸法A1より小さいことで、スイッチ当接部155が係合穴16に入り込むことを抑制できる。
【0111】
また、係合部156が本体筐体10と係合する係合状態を解除するレバー150の回動方向と、定着器80を外す場合の回動方向とが同じ方向であるため、レバー150を逆方向に回動させる形態と比較してレバー150を操作しやすい。
【0112】
また、レバー150の把持部152が、第1位置に位置する場合よりもレバー150が第2位置に位置する場合の方がグリップ141の近くに位置するので、定着器80を外すときに、レバー150の把持部152と固定ハンドル140のグリップ141を同時に持ちやすい。また、把持部152とグリップ141を同時に掴むことで、レバー150の剛性を補完できる。
【0113】
また、レバー150のレバー軸150Xの軸方向がシートSの幅方向であることで、シートSの幅方向と異なる方向である場合と比較してレバー150の操作が容易となる。
【0114】
また、定着器80が装着位置から離脱する過程で本体筐体10に押されたレバー150の被押圧部157がレバー軸150Xとスイッチ当接部155の間に位置する。このため、被押圧部157が本体筐体10に押された場合には、スイッチ当接部155の移動量D11が被押圧部157の移動量D31よりも大きくなる。スイッチ当接部155の移動量D11が被押圧部157の移動量D31より大きい方が、移動量が小さい場合と比較して、インターロックスイッチ87がオフ状態となりやすい。このため、定着器80が装着位置から離脱する過程において、ヒータ81Aへの通電を遮断することができる。
【0115】
また、被押圧部157が本体筐体10に押されてレバー150が回動することで、インターロックスイッチ87をオフ状態としやすい。
【0116】
また、定着器80を装着位置から離脱する過程で、定着器80の回動方向とレバー150の回動方向が同じであるため、定着器80を外すときにレバー150を回動させながら、定着器80を回動させやすい。
【0117】
以上に実施形態について説明したが、本発明は前記実施形態に限定されることなく、以下に例示するように適宜変形して実施することができる。なお、以下の説明では、先に説明した形態と同様の構成要素については同一の符号を付して、その説明を省略する。
【0118】
上述した実施形態では、スイッチ当接部155と係合部156が装着方向に並んで位置していたが、スイッチ当接部が、装着方向において、係合部と異なる位置に配置されていてもよい。
例えば、図12(a),(b)に示すレバー250のスイッチ当接部255は、装着方向において、係合部256と異なる位置に配置されている。同様に、スイッチ穴215は、装着方向において、係合穴216と異なる位置に配置されている。この形態によっても、上述した実施形態と同様に、スイッチ当接部255が係合穴216に入り込むことを抑制できる。
【0119】
上述した実施形態では、制御部83は、インターロックスイッチ87が導通状態である場合に、ヒータ81Aに電力を供給し、インターロックスイッチ87が非導通状態である場合に、ヒータ81Aに電力を供給しない構成であったが、インターロックスイッチ87が非導通状態である場合に、ヒータ81Aに電力を供給し、インターロックスイッチ87が導通状態である場合に、ヒータ81Aに電力を供給しない構成であってもよい。
【0120】
上述した実施形態では、制御部83は、インターロックスイッチ87がオン状態である場合にリレー88を導通状態とし、インターロックスイッチ87がオフ状態である場合にリレー88を非導通状態としたが、図13に示す実施形態のように、リレー88は、制御部83を介さずにインターロックスイッチ87によって導通状態と非導通状態が切り替わるよう構成してもよい。これにより、制御部83がインターロックスイッチ87の状態によってヒータ81Aの電力の供給を判断することなく、インターロックスイッチ87がオン状態である場合に、ヒータ81Aに電力が供給され、インターロックスイッチ87がオフ状態である場合に、ヒータ81Aに電力が供給されない。
【0121】
上述した実施形態では、固定ハンドル140およびレバー150が第1方向における一方側の端と、他方側の端とに1つずつ設けられていたが、固定ハンドル140およびレバー150が1つだけ設けられている構成であってもよい。また、固定ハンドル140およびレバー150が第1方向の中央部に設けられていてもよい。
【0122】
上述した実施形態では、係合部156は、先端が離脱方向に向けて折れ曲がるフック形状を有していたが、この形態に限定されず、係合部は、円柱などの突起、凹部、穴、であってもよい。この場合において、係合部が凹部や穴であった場合には、本体筐体10には、凹部や穴形状の係合部に対応する凸部や突起を形成すればよい。
【0123】
また、画像形成装置は、カラープリンタに限られず、モノクロプリンタ、複合機、コピー機などのいずれであってもよい。また、前記実施形態では、電子写真方式の画像形成装置を例示したが、これに限定されず、例えば、インクジェット方式の画像形成装置などであってもよい。
【0124】
また、上述した実施形態および変形例で説明した各要素は、適宜組み合わせて実施することが可能である。
【符号の説明】
【0125】
1 画像形成装置
1X 第1軸
10 本体筐体
13 リヤカバー
15 スイッチ穴
16 係合穴
30 プロセス部
80 定着器
87 インターロックスイッチ
130 第2基準部
140 固定ハンドル
141 グリップ
150 レバー
150X レバー軸
152 把持部
155 スイッチ当接部
156 係合部
157 被押圧部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13