(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011197
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】釣竿シミュレーションシステム、釣竿シミュレーション方法、釣竿シミュレーション装置、及び釣竿シミュレーションプログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/10 20120101AFI20240118BHJP
A01K 87/00 20060101ALI20240118BHJP
【FI】
G06Q50/10
A01K87/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】15
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113016
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】000002439
【氏名又は名称】株式会社シマノ
(74)【代理人】
【識別番号】100149548
【弁理士】
【氏名又は名称】松沼 泰史
(74)【代理人】
【識別番号】100161506
【弁理士】
【氏名又は名称】川渕 健一
(74)【代理人】
【識別番号】100161702
【弁理士】
【氏名又は名称】橋本 宏之
(74)【代理人】
【識別番号】100175824
【弁理士】
【氏名又は名称】小林 淳一
(72)【発明者】
【氏名】神納 芳行
(72)【発明者】
【氏名】徳山 雄己
【テーマコード(参考)】
5L049
【Fターム(参考)】
5L049CC11
(57)【要約】
【課題】釣竿の現物を実際に試さなくとも釣竿の使用感が把握できるようにする。
【解決手段】釣竿に関する釣竿情報を設定する第一情報設定部と、前記釣竿に与えられる負荷に関する負荷情報を設定する第二情報設定部と、前記第一情報設定部によって設定される前記釣竿情報および前記第二情報設定部によって設定される前記負荷情報に基づいて、表示装置に前記釣竿の変形状態を立体的に表示させる表示制御部とを備えて釣竿シミュレーションシステムを構成する。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
釣竿に関する釣竿情報を設定する第一情報設定部と、
前記釣竿に与えられる負荷に関する負荷情報を設定する第二情報設定部と、
前記第一情報設定部によって設定される前記釣竿情報および前記第二情報設定部によって設定される前記負荷情報に基づいて、表示装置に前記釣竿の変形状態を立体的に表示させる表示制御部と、
を備える釣竿シミュレーションシステム。
【請求項2】
画像情報を設定する第三情報設定部をさらに備え、
前記表示制御部は、
前記釣竿情報、前記負荷情報、および前記画像情報に基づいて、前記表示装置に前記釣竿の前記変形状態とともに背景を表示させる
請求項1に記載の釣竿シミュレーションシステム。
【請求項3】
前記第三情報設定部は、
撮像部によって撮像される画像に基づいて前記画像情報を設定する
請求項2に記載の釣竿シミュレーションシステム。
【請求項4】
前記第三情報設定部は、
記憶部に予め記憶される画像に基づいて前記画像情報を設定する
請求項2に記載の釣竿シミュレーションシステム。
【請求項5】
前記表示制御部は、前記釣竿情報と前記画像情報との縮尺を一致させて前記表示装置に前記釣竿の変形状態および背景を表示させる
請求項2に記載の釣竿シミュレーションシステム。
【請求項6】
前記釣竿情報は、
前記釣竿についての物性を示す物性情報、前記釣竿の形状に関する形状情報、および前記釣竿についての構造に関する構造情報の少なくともいずれか1つを有する
請求項1から5のいずれか一項に記載の釣竿シミュレーションシステム。
【請求項7】
前記釣竿情報は、釣竿の型式に関する型式情報をさらに有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の釣竿シミュレーションシステム。
【請求項8】
前記型式情報には、前記釣竿についての物性を示す物性情報、前記釣竿の形状に関する形状情報、および前記釣竿についての構造に関する構造情報の少なくともいずれか1つが関連付けられる、
請求項7に記載の釣竿シミュレーションシステム。
【請求項9】
前記負荷情報は、
前記釣竿にかかる力に関する情報を有する、
請求項1から5のいずれか一項に記載の釣竿シミュレーションシステム。
【請求項10】
釣竿に関する釣竿情報を設定する第一情報設定ステップと、
前記釣竿に与えられる負荷に関する負荷情報を設定する第二情報設定ステップと、
前記第一情報設定ステップによって設定される前記釣竿情報および前記第二情報設定ステップによって設定される前記負荷情報に基づいて、表示装置に前記釣竿の変形状態を立体的に表示させる表示制御ステップと、
を備える釣竿シミュレーション方法。
【請求項11】
画像情報を設定する第三情報設定ステップをさらに備え、
前記表示制御ステップは、
前記釣竿情報、前記負荷情報および前記画像情報に基づいて、前記表示装置に前記釣竿の前記変形状態とともに背景を表示させる
請求項10に記載の釣竿シミュレーション方法。
【請求項12】
釣竿に関する釣竿情報を設定する第一情報設定部と、
前記釣竿に与えられる負荷に関する負荷情報を設定する第二情報設定部と、
前記第一情報設定部によって設定される前記釣竿情報および前記第二情報設定部に設定される前記負荷情報に基づいて、表示装置に前記釣竿の変形状態を立体的に表示させる表示制御部と、
を備える釣竿シミュレーション装置。
【請求項13】
画像情報を設定する第三情報設定部をさらに備え、
前記表示制御部は、
前記釣竿情報、前記負荷情報、および前記画像情報に基づいて、前記表示装置に前記釣竿の前記変形状態とともに背景を表示させる
請求項12に記載の釣竿シミュレーション装置。
【請求項14】
釣竿シミュレーション装置としてのコンピュータに、
釣竿に関する釣竿情報を設定する第一情報設定ステップと、
前記釣竿に与えられる負荷に関する負荷情報を設定する第二情報設定ステップと、
前記第一情報設定ステップによって設定される前記釣竿情報および前記第二情報設定ステップによって設定される前記負荷情報に基づいて、表示装置に前記釣竿の変形状態を立体的に表示させる表示制御ステップと、
を実行させるための釣竿シミュレーションプログラム。
【請求項15】
画像情報を設定する第三情報設定ステップをさらに備え、
前記表示制御ステップは、
前記釣竿情報、前記負荷情報および前記画像情報に基づいて、前記表示装置に前記釣竿の前記変形状態とともに背景を表示させる
請求項14に記載の釣竿シミュレーションプログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣竿シミュレーションシステム、釣竿シミュレーション方法、釣竿シミュレーション装置、及び釣竿シミュレーションプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
床材、ドア、窓、いす、テーブル等のように住宅に関連する商品を、部屋の写真データを表示させたもとで選択できるようにした技術が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
釣竿の購入を検討するにあたり、釣竿の現物を実際に試さなくとも釣竿の使用感が把握できることが好ましい。例えば、引用文献1に記載の技術のもとで、単に釣竿を背景の写真データに重ねて配置しただけでは、例えば釣竿にかかる負荷に応じた変形形状を再現できないことから、釣竿の使用感を把握することが難しい。
【0005】
本発明は、釣竿の現物を実際に試さなくとも釣竿の使用感が把握できるようにすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
(1)上述した課題を解決する本発明の一態様は、釣竿に関する釣竿情報を設定する第一情報設定部と、前記釣竿に与えられる負荷に関する負荷情報を設定する第二情報設定部と、前記第一情報設定部によって設定される前記釣竿情報および前記第二情報設定部によって設定される前記負荷情報に基づいて、表示装置に前記釣竿の変形状態を立体的に表示させる表示制御部とを備える釣竿シミュレーションシステムである。
【0007】
(2)本発明の一態様は、(1)に記載の釣竿シミュレーションシステムであって、画像情報を設定する第三情報設定部をさらに備え、前記表示制御部は、前記釣竿情報、前記負荷情報、および前記画像情報に基づいて、前記表示装置に前記釣竿の前記変形状態とともに背景を表示させてよい。
【0008】
(3)本発明の一態様は、(2)に記載の釣竿シミュレーションシステムであって、前記第三情報設定部は、撮像部によって撮像される画像に基づいて前記画像情報を設定してよい。
【0009】
(4)本発明の一態様は、(2)または(3)に記載の釣竿シミュレーションシステムであって、前記第三情報設定部は、記憶部に予め記憶される画像に基づいて前記画像情報を設定してよい。
【0010】
(5)本発明の一態様は、(2)から(4)のいずれか1つに記載の釣竿シミュレーションシステムであって、前記表示制御部は、前記釣竿情報と前記画像情報との縮尺を一致させて前記表示装置に前記釣竿の変形状態および背景を表示させてよい。
【0011】
(6)本発明の一態様は、(1)から(5)のいずれか1つに記載の釣竿シミュレーションシステムであって、前記釣竿情報は、前記釣竿についての物性を示す物性情報、前記釣竿の形状に関する形状情報、および前記釣竿についての構造に関する構造情報の少なくともいずれか1つを有してよい。
【0012】
(7)本発明の一態様は、(1)から(6)のいずれか1つに記載の釣竿シミュレーションシステムであって、前記釣竿情報は、釣竿の型式に関する型式情報をさらに有してよい。
【0013】
(8)本発明の一態様は、(7)に記載の釣竿シミュレーションシステムであって、前記型式情報には、前記釣竿についての物性を示す物性情報、前記釣竿の形状に関する形状情報、および前記釣竿についての構造に関する構造情報の少なくともいずれか1つが関連付けられてよい。
【0014】
(9)本発明の一態様は、(1)から(8)のいずれか1つに記載の釣竿シミュレーションシステムであって、前記負荷情報は、前記釣竿にかかる力に関する情報を有してよい。
【0015】
(10)本発明の一態様は、釣竿に関する釣竿情報を設定する第一情報設定ステップと、前記釣竿に与えられる負荷に関する負荷情報を設定する第二情報設定ステップと、前記第一情報設定ステップによって設定される前記釣竿情報および前記第二情報設定ステップによって設定される前記負荷情報に基づいて、表示装置に前記釣竿の変形状態を立体的に表示させる表示制御ステップとを備える釣竿シミュレーション方法である。
【0016】
(11)本発明の一態様は、(10)に記載のシミュレーション方法であって、画像情報を設定する第三情報設定ステップをさらに備え、前記表示制御ステップは、前記釣竿情報、前記負荷情報および前記画像情報に基づいて、前記表示装置に前記釣竿の前記変形状態とともに背景を表示させてよい。
【0017】
(12)本発明の一態様は、釣竿に関する釣竿情報を設定する第一情報設定部と、前記釣竿に与えられる負荷に関する負荷情報を設定する第二情報設定部と、前記第一情報設定部によって設定される前記釣竿情報および前記第二情報設定部に設定される前記負荷情報に基づいて、表示装置に前記釣竿の変形状態を立体的に表示させる表示制御部とを備える釣竿シミュレーション装置である。
【0018】
(13)本発明の一態様は、(12)に記載の釣竿シミュレーション装置であって、画像情報を設定する第三情報設定部をさらに備え、前記表示制御部は、前記釣竿情報、前記負荷情報、および前記画像情報に基づいて、前記表示装置に前記釣竿の前記変形状態とともに背景を表示させてよい。
【0019】
(14)本発明の一態様は、釣竿シミュレーション装置としてのコンピュータに、釣竿に関する釣竿情報を設定する第一情報設定ステップと、前記釣竿に与えられる負荷に関する負荷情報を設定する第二情報設定ステップと、前記第一情報設定ステップによって設定される前記釣竿情報および前記第二情報設定ステップによって設定される前記負荷情報に基づいて、表示装置に前記釣竿の変形状態を立体的に表示させる表示制御ステップとを実行させるための釣竿シミュレーションプログラムである。
【0020】
(15)本発明の一態様は、(14)に記載の釣竿シミュレーション装置であって、画像情報を設定する第三情報設定ステップをさらに備え、前記表示制御ステップは、前記釣竿情報、前記負荷情報および前記画像情報に基づいて、前記表示装置に前記釣竿の前記変形状態とともに背景を表示させてよい。
【発明の効果】
【0021】
本発明によれば、釣竿の現物を実際に試さなくとも釣竿の使用感が把握できるようになるとの効果が得られる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【
図1】本実施形態に係る釣竿シミュレーションシステムの構成例を示す図である。
【
図2】本実施形態に係るシミュレーション端末がタブレット端末である場合の外観例を示す図である。
【
図3】本実施形態に係るシミュレーション端末がパーソナルコンピュータである場合の外観例を示す図である。
【
図4】本実施形態に係るシミュレーション画像の一例を示す図である。
【
図5】本実施形態に係るシミュレーション端末の機能構成例を示す図である。
【
図6】本実施形態に係るシミュレーション支援サーバの機能構成例を示す図である。
【
図7】本実施形態に係る釣竿情報の一例を示す図である。
【
図8】本実施形態に係る負荷情報の一例を示す図である。
【
図9】本実施形態に係る釣竿の長さ位置ごとの座標の負荷に応じた変化例を示す図である。
【
図10】本実施形態に係るシミュレーション端末とシミュレーション支援サーバとがシミュレーション画像の表示に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【
図11】本実施形態に係るシミュレーション端末とシミュレーション支援サーバとが、背景用画像の取得に対応して実行する処理手順例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
<実施形態>
[釣竿シミュレーションシステムの構成例]
図1は、本実施形態の釣竿シミュレーションシステムの構成例を示している。本実施形態の釣竿シミュレーションシステムは、シミュレーション端末100(表示装置の一例)とシミュレーション支援サーバ200(釣竿シミュレーション装置の一例)とを備える。
【0024】
シミュレーション端末100は、例えば釣具店等の釣竿を販売している実店舗にて、店員が使用する。シミュレーション端末100は、釣竿に所定の負荷がかけられたときの釣竿の変形状態を表示する。
また、シミュレーション端末100は、例えば客が所有し、客が操作するものであってもよい。
【0025】
本実施形態において、釣竿にかかる「負荷」とは、釣竿から引き出された仕掛けに魚がかかったことにより釣竿に係る力である。本実施形態における負荷は、例えばグラム単位などによる重量の値により表される。このような負荷がかかることにより、釣竿は、釣り人が保持している手元から竿先にかけて撓むようにして変形する。
【0026】
店員または客であるユーザは、シミュレーションの対象とする釣竿と、釣竿にかける負荷の値とを指定する操作をシミュレーション端末100に対して行う。シミュレーション端末100は、指定された釣竿について、指定された値の負荷をかけられたときの撓みが生じている状態を3次元画像として立体的に表示する。このような釣竿の3次元画像については釣竿オブジェクトも記載する。
また、シミュレーション端末100は撮像部を備え、撮像部により撮像して得られた画像に基づく3次元仮想空間内に釣竿オブジェクトを配置した3次元仮想空間画像を表示することができる。
このように、本実施形態のシミュレーション端末100は、釣竿の負荷に応じた変形状態をシミュレーションした結果が示されるシミュレーション画像を表示することができる。
【0027】
このようなシミュレーション端末100は、例えばスマートフォン、タブレット端末、パーソナルコンピュータ(デスクトップ型あるいはラップトップ型)等であってよい。また、本実施形態のシミュレーション画像を表示する機能は、シミュレーション画像の表示機能を有するアプリケーションをシミュレーション端末100に導入することにより実現されてよい。
【0028】
シミュレーション支援サーバ200は、シミュレーション端末における釣竿のシミュレーション画像の表示を支援するサーバである。具体的に、シミュレーション支援サーバ200は、シミュレーション端末100に対するユーザの操作によって指定された釣竿のシミュレーション画像の表示に利用する情報(シミュレーション利用情報)を、シミュレーション端末100に送信する。
シミュレーション利用情報は、釣竿オブジェクトの生成に利用される釣竿関連情報を含む。釣竿関連情報は、釣竿に関する釣竿情報と、指定された負荷に応じた釣竿の変形状態の計算に用いられる負荷情報とを含む。
また、シミュレーション利用情報には、予め用意された3次元仮想空間としての背景画像の生成に利用される背景用画像情報が含まれてもよい。
シミュレーション支援サーバ200は、例えばネットワーク経由でシミュレーション端末100と通信可能に接続される。シミュレーション端末100とシミュレーション支援サーバ200とは、例えばインターネット等の広域ネットワークを介して接続されていてもよいし、例えば店舗などが運用するローカルネットワーク内で接続されていてもよい。
【0029】
[シミュレーション端末の外観例]
図2(A)、
図2(B)は、シミュレーション端末100がタブレット端末である場合の外観例を示している。
図2(A)は、タブレット端末としてのシミュレーション端末100の前面を示し、
図2(B)はタブレット端末としてのシミュレーション端末100の背面を示している。
図2(A)に示されるように、シミュレーション端末の前面には表示部103が設けられる。この表示部103は、タッチパネルとして構成される。
また、シミュレーション端末の背面には撮像部104に対応するレンズが配置されている。
【0030】
図3は、シミュレーション端末100がデスクトップ型のパーソナルコンピュータである場合の外観例を示している。
デスクトップ型のパーソナルコンピュータとしてのシミュレーション端末100は、ディスプレイモニタ110と本体部120とを備える。本体部120は、CPU(Central Processing Unit)、主記憶装置、補助記憶装置等を備える。
ディスプレイモニタ110は、表示部103に対応する表示面を有する。ディスプレイモニタ110は、本体部120と接続され、本体部120から出力される映像信号を表示部103に表示する。
また、デスクトップ型のパーソナルコンピュータとしてのシミュレーション端末100は、例えばキーボードやマウス等の入力デバイスを含む操作部102を備える。
【0031】
[シミュレーション画像の一例]
図4は、シミュレーション端末100にて表示されるシミュレーション画像の一例を示している。同図のシミュレーション画像は、
図2(A)、
図2(B)のようにタブレット端末としてのシミュレーション端末100の表示部103に表示される場合の態様例を示している。
同図のシミュレーション画像においては、背景画像として、ユーザが撮像した釣具店の様子が3次元仮想空間による背景画像として表示されている。
このような背景画像に対して、3次元による釣竿オブジェクトRojが配置される。3次元仮想空間において配置される釣竿オブジェクトRojは、指定された負荷に応じて撓むように変形した状態とされている。また、同図に示されるように、釣竿オブジェクトRojの穂先から引き出されている釣り糸LNも表示されるようにしてよい。釣り糸LNは、釣竿にかかっている負荷に応じて魚に引っ張られている向きが反映されるようにして表示される。
また、釣竿オブジェクトRojに対しては、釣り人が釣竿を保持する際に手元となる位置を示す手元マークHDが配置される。手元マークHDの態様は、同図のように円形のマークに限定されない。
このように配置される釣竿オブジェクトRojは、シミュレーション端末100に対する操作によって、3次元仮想空間内における向き、姿勢を変更可能とされてよい。
【0032】
また、釣竿オブジェクトRojは、背景画像と同じ縮尺で表示される。
また、同図のシミュレーション画像においては、負荷より撓んでいる釣竿オブジェクトRojの側面に沿わせるように2次元によるグリッドGDが配置されている。グリッドの1マスは、所定の寸法が対応する。このように釣竿オブジェクトRojとともにグリッドGDが配置される。
【0033】
例えば、釣具店では、現物の釣竿を延ばしたものを客に手にとってもらって使用感を把握してもらうことが行われる場合がある。この際、例えば穂先におもりを掛けたり、ユーザが穂先を引っ張ったりすることで、釣竿に負荷を与えて曲がり具合などを確認すること行われる。しかしながら、店舗によっては、客が使用感を試してみたい釣竿の現物が店舗在庫として保有していなかったり、竿を延ばして試せるような十分なスペースがなかったりする場合がある。このような場合でも、本実施形態のシミュレーションシステムであれば、客が希望する品番(型式)の釣竿に所望の負荷を与えて変形させた状態の釣竿オブジェクトRojを客に見せることができる。
例えば釣竿の購入を検討している客は、シミュレーション画像において表示される釣竿オブジェクトRojを見ることで、釣竿が負荷に応じてどの程度にまで曲がるのかを把握することができる。これにより、客は、釣竿の現物を実際に試さなくとも、釣竿の使用感を把握することができる。
そのうえで、本実施形態のシミュレーション画像では、3次元仮想空間としての背景と釣竿オブジェクトRoj都の縮尺を一致させて表示するようにしている。これにより、釣竿オブジェクトRojのサイズ感や変形度合いを、的確に把握できる。
また、本実施形態のシミュレーション画像では、釣竿オブジェクトRojとともにグリッドGDが配置されるようにして表示されるので、負荷に応じた曲がり具合を定量的に把握することも可能となる。
【0034】
また、シミュレーション画像においては、釣竿オブジェクトRojに対して付帯情報ポップアップPUが配置される。付帯情報ポップアップPUは、釣竿オブジェクトRojが対応する情報を表示するポップアップである。同図の付帯情報ポップアップPUにおいては、対応の釣竿としての製品名と、対応の釣竿の長さと、釣竿オブジェクトRojに対応して指定した負荷とが示されている。付帯情報ポップアップPUにおいて表示される情報の内容や項目数については特に限定されない。
【0035】
また、同図のシミュレーション画面においては、釣竿選択ボタンBT1と負荷設定ボタンBT2が配置される。
釣竿選択ボタンBT1は、シミュレーション画面においてシミュレーションの対象とする釣竿を選択する操作が行われるボタンである。一例として、ユーザにより釣竿選択ボタンBT1が操作されると、シミュレーション端末100は、例えばコードスキャンによる品番入力と、文字入力操作による品番入力とのいずれかをユーザに選択させる入力方法選択画面をシミュレーション画面上に表示させる。
ユーザが入力方法選択画面に対してコードスキャンによる品番入力を選択する操作を行った場合、シミュレーション端末100は、コードスキャン機能を起動させる。コードスキャン機能の起動に応じて撮像部が起動される。ユーザは、シミュレーション端末100により店舗にて用意された品番のコードを撮像させる操作を行う。シミュレーション端末100は、撮像部により得られた撮像画像に含まれるコードが示す品番を取得する。シミュレーション端末100は、取得した品番に応じた釣竿の釣竿オブジェクトRojをシミュレーション画面に表示させる。
一方、ユーザが入力方法選択画面に対して文字入力操作による品番入力を選択する操作を行った場合、シミュレーション端末100は、例えば入力ボックスと文字入力操作用のキーボードとを表示する。ユーザは、例えばカタログ等において示される品番に応じた文字入力操作をキーボードに対して行い、入力ボックスに品番の文字列を入力する。シミュレーション端末100は、入力ボックスに入力された品番に応じた釣竿の釣竿オブジェクトRojをシミュレーション画面に表示させる。
【0036】
負荷設定ボタンBT2は、シミュレーションの対象として選択した釣竿に対してかける負荷を設定(変更)する操作が行われるボタンである。ユーザは、シミュレーション画面において釣竿オブジェクトRojとして表示されている釣竿にかける負荷を設定(変更)する場合に負荷設定ボタンBT2を操作する。負荷設定ボタンBT2が操作されたことに応じて、シミュレーション端末100は、負荷設定画面をシミュレーション画面上に表示させる。ユーザは、表示された負荷設定画面に対して、指定可能な負荷の値うちから任意の負荷の値を指定する操作を行う。このように負荷を指定する操作が行われたことに応じて、シミュレーション画面においては、指定された負荷に応じて形状を変化させた釣竿オブジェクトRojが表示される。
【0037】
なお、シミュレーション端末100が
図3のようなパーソナルコンピュータである場合には、ディスプレイモニタ110において広い表示面が得られる。そこで、この場合には、例えばシミュレーション画面の表示領域と、釣竿選択ボタンBT1、負荷設定ボタンBT2及び付帯情報ポップアップPU等のように画像操作子や付帯情報が提示される表示領域とを個別に配置してよい。
【0038】
[シミュレーション端末の機能構成例]
図5を参照してシミュレーション端末100の機能構成例について説明する。同図に示されるシミュレーション端末100の各機能部は、シミュレーション端末100がハードウェアとして備えるCPUがプログラムを実行することにより実現される。そのうえで、シミュレーション端末100としての機能は、シミュレーション端末100に導入されたシミュレーションアプリケーションによって実現されてよい。
【0039】
シミュレーション端末100は、通信部101、操作部102、表示部103、撮像部104、制御部105、及び記憶部106を備える。
通信部101は、ネットワーク経由でシミュレーション支援サーバ200と通信を行う。
操作部102は、シミュレーション端末100が備える操作子や入力デバイス、あるいはシミュレーション端末100と接続される入力デバイス等を含み、これらの操作子や入力デバイスに対して行われた操作に応じた操作情報を制御部105に出力する。また、操作部102として、表示部103の表示面に対して指等の操作体を用いて操作することが可能なタッチパネルが備えられてよい。
表示部103は、ディスプレイデバイスを備え、制御部105の制御に応じて画像を表示する。
【0040】
撮像部104は、例えば撮像により得られた撮像画像を出力する。本実施形態の撮像部104は、例えば複数のカメラにより撮像して得られる撮像画像の視差を利用した3次元による撮像画像を得ることが可能とされてよい。
【0041】
制御部105は、シミュレーション端末100における各種の制御を実行する。制御部105は、釣竿情報設定部151(第1情報設定部の一例)、負荷情報設定部152(第2情報設定部の一例)、画像情報設定部153(第3情報設定部の一例)、及び表示制御部154を備える。
釣竿情報設定部151は、シミュレーション画像の表示あたり、釣竿情報を設定する。
負荷情報設定部152は、シミュレーション画像の表示あたり、負荷情報を設定する。
画像情報設定部153、画像情報設定部153は、シミュレーション画像の表示にあたり、画像情報を設定する。
表示制御部154は、シミュレーション画像を表示部103に表示させるための制御を実行する。
【0042】
記憶部106は、シミュレーション端末100に関連する各種の情報を記憶する。
【0043】
[シミュレーション支援サーバの機能構成例]
図6は、シミュレーション支援サーバ200の機能構成例を示している。同図のシミュレーション支援サーバ200は、通信部201、制御部202、及び記憶部203を備える。
通信部201は、ネットワーク経由でシミュレーション端末100と通信を行う。
制御部202は、シミュレーション支援サーバ200における各種の制御を実行する。
【0044】
記憶部203は、シミュレーション支援サーバ200に関連する各種の情報を記憶する。記憶部203は、釣竿情報記憶部231、負荷情報記憶部232、及び背景用画像記憶部233を備える。
【0045】
釣竿情報記憶部231は、釣竿情報を記憶する。釣竿情報は、シミュレーション画像の表示に用いられる情報の1つであり、製品としての釣竿に関する情報を含む。
【0046】
負荷情報記憶部232は、負荷情報を記憶する。負荷情報は、所定の負荷がかけられた場合ごとの竿の変形状態を示す情報である。負荷情報記憶部232は、製品としての釣竿ごとの負荷情報を記憶する。
【0047】
背景用画像記憶部233は、シミュレーション画像における背景としての3次元仮想空間の生成に利用される背景用画像として、予め用意された背景用画像を記憶する。このように予め用意されたうえで背景用画像記憶部233に記憶される背景用画像には、例えば実際に釣りが行われる所定の場所を撮影して得られた撮像画像に基づくもの等が含まれてよい。
【0048】
[釣竿情報の一例]
図7は、釣竿情報記憶部231が記憶する釣竿情報の一例を示している。同図における1行(1レコード)が、1つの釣竿としての製品に対応する釣竿情報である。
1つの釣竿としての製品に対応する釣竿情報は、釣竿識別情報、製品情報、物性情報、構造情報、及び形状情報の各領域を含む。
【0049】
釣竿識別情報の領域は、対応の釣竿を一意に示す釣竿識別情報を格納する。釣竿識別情報は、例えば対応の製品の型式ごとに一意となる型番(型式情報の一例)であってもよいし、品番以外で釣竿としての製品に一意となるように発行された識別子であってもよい。
【0050】
製品情報の領域は、製品情報を格納する。製品情報は、対応の釣竿としての製品に関する情報である。製品情報は、対応の釣竿の製品名、品番、価格等の情報を含んでよい。
【0051】
物性情報の領域は、物性情報を格納する。物性情報は、対応の釣竿の物性に関する情報であり、例えば対応の釣竿の合成値、曲がり特性(調子)情報等を含んでよい。
【0052】
構造情報の領域は、構造情報を格納する。構造情報は、対応の釣竿の材料、継ぎ数、釣竿における所定位置ごとの竿径、厚さ等の情報を含んでよい。
【0053】
形状情報については、後述の第3変形例のように、負荷に応じた変形状態を計算せずに、負荷に対応する形状情報を用いて釣竿オブジェクトRojを生成する場合に対応する情報であることから、ここでの説明を省略する。
なお、釣竿情報においては、上記の物性情報、構造情報、及び形状情報のうちの一部が省略されてもよい。つまり、釣竿情報において、物性情報、構造情報、及び形状情報については、少なくともいずれか1つが含まれるようにしてよい。
【0054】
[負荷情報の一例]
図8は、1つの釣竿に対応する負荷情報の一例を示している。1つの釣竿に対応する負荷情報は、釣竿識別情報、長さ、ガイド位置情報、及び負荷対応座標情報の各領域を含んでよい。
釣竿識別情報の領域は、対応の釣竿の釣竿識別情報を格納する。
長さの領域は、対応の釣竿の長さを示す情報を格納する。
【0055】
ガイド位置情報の領域は、ガイド位置情報を格納する。ガイド位置情報は、対応の釣竿に設けられた釣糸ガイドごとの番号と釣竿における位置とを示す情報を含んでよい。釣糸ガイドの釣竿における位置は、例えば竿尻などの釣竿における所定位置からの長さにより表されてよい。また、ガイド位置情報は、釣糸ガイドごとの重量を示す情報も含んでよい。
【0056】
負荷対応座標情報の領域は、負荷対応座標情報を格納する。負荷対応座標情報は、対応の釣竿にかかる所定の負荷ごとに対応する変形状態を、釣竿における所定の長さ位置ごとの座標として表した情報である。ここでの「負荷」は、釣竿にかかる力として、釣竿の穂先を力点として釣竿が長さ方向に沿って撓むように変形する方向に加わる力に対応する。
【0057】
同図では、釣竿における長さ位置として、竿尻に近い順から先端にかけて、第1長さ位置~第5長さ位置の5つの長さ位置を定めた例が示されている。また、負荷の設定値については、0g、100g、200g、300g・・・のように100gごとの間隔で定められた例が示されている。なお、負荷の設定値は、同図の例のように100gごとの間隔には限定されるものではない。また、例えば1gもしくはそれ以外の値を最小単位とする任意の値のうちから指定可能なようにされてもよい。
【0058】
この場合、負荷対応座標情報は、負荷が0g、100g、200g、300g・・・のそれぞれの場合における、釣竿の長さ位置(第1長さ位置~第5長さ位置)ごとの座標を示すものとなる。同図の例では、長さ位置(第1長さ位置~第5長さ位置)ごとの座標について、x軸、y軸、z軸よる3次元座標としている場合を例に挙げている。
【0059】
釣竿の長さ方向における形状は、例えば、負荷が0gのときには、自重のみにより撓んだ状態となっている。負荷対応座標情報において、負荷が0gのときの第1長さ位置~第5長さ位置の各座標は、上記のように釣竿の自重で撓んでいる状態に応じてプロットして得られた、あるいは計算により得られた値を示す。
以下、釣竿の撓み具合は、負荷が100g、200g、300g・・・のように100gごとの間隔で重くなっていくにつれて大きくなっていく。負荷対応座標情報において、負荷が100g、200g、300g・・・のそれぞれのときの長さ位置(第1長さ位置~第5長さ位置)ごとの座標は、対応の負荷に応じた撓み具合に応じた釣竿の長さ方向の形状に応じてプロットして得られた、あるいは計算により得られた値を示す。
【0060】
図9(A)、
図9(B)、
図9(C)は、同じ釣竿について、それぞれ異なる負荷を設定した場合の長さ位置(第1長さ位置p1~第5長さ位置p5)ごとの座標の変化の一例を示している。
図9(A)は、0gの負荷が設定されたときの第1長さ位置p1~第5長さ位置p5ごとの座標を示す。
図9(B)は、0gより大きい所定の負荷F1が設定されたときの第1長さ位置p1~第5長さ位置p5ごとの座標を示す。
図9(C)は、
図9(B)の場合よりも大きい所定の負荷F2が設定されたときの第1長さ位置p1~第5長さ位置p5ごとの座標を示す。
このような負荷ごとに応じた各長さ位置の座標を示す負荷対応座標情報により表される釣竿の負荷に応じた形状の変形は、製品としての釣竿の物性、構造等により異なる。
【0061】
また、
図9(A)、
図9(B)、
図9(C)のそれぞれにおいては、釣竿に係る負荷に応じた引っ張り方向pdが示されている。引っ張り方向pdは、例えば穂先に対応する第5長さ位置p5と第5長さ位置p5の座標と次に穂先に近い第4長さ位置p4の座標との差分に基づいて求められる。このような引っ張り方向pdは、釣竿オブジェクトRojから引き出される釣り糸LNの向きに相当する。つまり、釣竿オブジェクトRojから引き出される釣り糸LNの向きは、第5長さ位置p5の座標と第4長さ位置p4の座標との差分に基づいて求めることができる。
【0062】
[処理手順例]
図10のフローチャートを参照して、本実施形態のシミュレーション端末100とシミュレーション支援サーバ200とがシミュレーション画像の表示に対応して実行する処理手順例について説明する。
【0063】
まず、シミュレーション端末100の処理手順例から説明する。
ステップS100:シミュレーション画像を表示させるにあたり、ユーザは、例えば、シミュレーションの対象の釣竿の品番をシミュレーション端末100に入力する操作を行う。品番の入力にあたっては、例えば、ユーザが、店舗にて用意された釣竿の品番ごとに用意されたコード(一次元コードまたは二次元コード)を、シミュレーション端末100に読み取らせるようにしてよい。また、このようなコードは、カタログに掲載されていてもよい。シミュレーション端末100によるコードの読み取りは、撮像部104が撮像により得られた撮像画像に含まれるコードから情報を取得することで行われてよい。
また、ユーザは、カタログに掲載されている品番等に応じた英数字、記号等を入力する操作を行うようにしてもよい。
釣竿情報設定部151は、上記のように行われる品番の入力操作を受け付けることにより、入力された品番を取得する。同図の処理では、品番が釣竿識別情報である場合を例に挙げる。
【0064】
ステップS102:釣竿情報設定部151は、シミュレーション支援サーバ200に釣竿関連情報要求を送信する。ステップS102により送信される釣竿関連情報要求は、ステップS100にて取得された品番の釣竿に対応する釣竿関連情報として、釣竿情報と負荷情報とを要求するものである。
【0065】
ステップS104:ステップS102による釣竿関連情報要求の送信に応じて、シミュレーション支援サーバ200は釣竿関連情報(釣竿情報、負荷情報)を送信する。釣竿情報設定部151は、送信された釣竿関連情報を記憶部106に記憶させる。
本実施形態において、釣竿情報設定部151による釣竿情報の設定は、上記のように釣竿情報設定部151がステップS100から当該ステップS104までの処理によって、入力された品番に対応する釣竿情報を取得し、取得した釣竿情報を記憶部106に記憶させる処理を含む。
【0066】
ステップS106:ユーザは、シミュレーション画像にて配置させる釣竿オブジェクトRojにかける負荷の値を入力する操作を行う。負荷の値を入力する操作は、数字キーに対する操作によって任意の値が入力可能とされてもよいし、例えばプルダウンメニューに対する選択操作によって、例えば、10g間隔といったように所定の数値間隔で提示される値のうちから選択可能なようにされてもよい。
負荷情報設定部152は、上記のようにしてユーザにより行われる負荷の値の入力操作を受け付けることにより、入力された負荷の値を取得する。
【0067】
ステップS108:負荷情報設定部152は、ステップS100にて取得した品番の釣竿を対象として、ステップS106にて取得した負荷の値に応じた変形状態を計算する。
変形状態の計算の一例として、負荷情報設定部152は、対象の釣竿がステップS106にて取得された負荷がかかったときの長さ位置(第1長さ位置p1~第5長さ位置p5)ごとの座標を求める。
【0068】
このために、負荷情報設定部152は、ステップS104にて記憶部106に記憶させた負荷情報において示される長さ位置(第1長さ位置p1~第5長さ位置p5)ごとに、0g、100g、200g、300g・・・の負荷ごとに対応する座標に対する近似式(第1近似式~第5近似式)を求める。
【0069】
負荷情報設定部152は、上記のように求めた第1近似式~第5近似式ごとの変数に対し、ステップS106にて取得した負荷の値を代入し、第1近似式~第5近似式ごとに対応する座標を算出する。つまり、負荷情報設定部152は、ステップS106にて取得した負荷の値に応じた第1長さ位置p1~第5長さ位置p5ごとの座標を求める。このように求められた第1長さ位置p1~第5長さ位置p5ごとの座標により、対象の釣竿についての変形状態の計算が行われたことになる。
【0070】
本実施形態において、負荷情報設定部152による負荷の設定とは、ステップS106にて負荷の値を取得し、取得した負荷の値を、第1近似式~第5近似式ごとの変数に代入することを含む。
【0071】
ステップS110:表示制御部154は、ステップS108により計算された変形状態を利用した画像処理によって3次元画像による釣竿オブジェクトRojを生成する。このように生成された釣竿オブジェクトRojは、釣竿の長さ方向において負荷に応じて弧状に曲がった全体形状を有する。
この際、表示制御部154は、穂先から引き出される釣り糸LNの向きを算出し、算出した向きにより穂先から引き出された釣り糸LNも描画してよい。
【0072】
ステップS112:画像情報設定部153は、シミュレーション画像の3次元仮想空間の生成元となる背景用画像を取得する。画像情報設定部153は、撮像部104により撮像して得られた画像を背景用画像として取得してよい。あるいは、画像情報設定部153は、シミュレーション支援サーバ200が記憶する背景用画像を取得してよい。
本実施形態における画像情報の設定とは、上記のように画像情報設定部153がシミュレーション画像の3次元仮想空間の生成元としての背景用画像を取得することを含む。
【0073】
ステップS114:表示制御部154は、ステップS112により取得した背景用画像利用して3次元仮想空間を生成する。
【0074】
ステップS116:表示制御部154は、ステップS114により生成された3次元空間画像とステップS110により生成された釣竿オブジェクトRojとの縮尺を一致させる処理(縮尺一致処理)を実行する。
縮尺一致処理にあたり、表示制御部154は、ステップS114により生成した3次元仮想空間についての実寸データを得る。表示制御部154は、3次元仮想空間の生成元の背景用画像が撮像画像である場合には、撮像時の視差と撮像時に計測された撮像画像内の物体までの距離に基づいて3次元仮想空間についての実寸データを得ることができる。また、3次元仮想空間の生成元の背景用画像が、シミュレーション支援サーバ200の背景用画像記憶部233から取得したものである場合には、背景用画像記憶部233が記憶する背景用画像に、実寸データをメタデータの1つとして付与しておくようにされてよい。
また、表示制御部154は、縮尺一致処理にあたり、釣竿オブジェクトRojの実寸データを得る。釣竿オブジェクトRojの実寸データは、ステップS104により取得された釣竿情報における釣竿寸法情報から得ることができる。
表示制御部154は、例えば、上記のように取得した3次元仮想空間と釣竿オブジェクトRojとの実寸データが示す単位サイズが空間内で同じサイズとなるように、3次元仮想空間と釣竿オブジェクトRojとで拡大率を調整する。これにより、3次元空間画像と釣竿オブジェクトRojとの縮尺が一致する。
【0075】
ステップS118:表示制御部154は、3次元仮想空間に対して縮尺が一致された釣竿オブジェクトRojを配置したシミュレーション画像を生成する。
【0076】
ステップS120:表示制御部154は、ステップS118により生成したシミュレーション画像を表示部103に表示させる。このようにして、
図4により例示したようにシミュレーション画像が表示される。
【0077】
次に、シミュレーション支援サーバ200が実行する処理手順例について説明する。
ステップS200:シミュレーション支援サーバ200において、制御部202は、ステップS102により送信された釣竿関連情報要求を受信する。
ステップS202:制御部202は、ステップS200にて受信された釣竿関連情報要求に含まれるのと同じ品番(釣竿識別情報)を格納する釣竿情報を、釣竿情報記憶部231から検索する。
ステップS204:制御部202は、ステップS200にて受信された釣竿関連情報要求に含まれるのと同じ品番(釣竿識別情報)を格納する負荷情報を、負荷情報記憶部232から検索する。
ステップS206:制御部202は、ステップS202により検索した釣竿情報とステップS204により検索した負荷情報とを含む釣竿関連情報を、シミュレーション端末100に送信する。
【0078】
図11のフローチャートを参照して、シミュレーション端末100とシミュレーション支援サーバ200とが、
図10のステップS112の背景用画像取得の処理に対応して実行する処理手順例について説明する。
【0079】
まず、シミュレーション端末100が実行する処理手順例について説明する。
ステップS300:ユーザは、シミュレーション画像における背景の3次元仮想空間の生成に利用する背景用画像として撮像画像を用いる場合には、周囲環境を撮像部104により撮像する。そこで、シミュレーション端末100における画像情報設定部153は、撮像部104による撮像が実行されたか否かを判定する。
【0080】
ステップS302:ステップS300にて撮像が実行されたと判定された場合、画像情報設定部153は、撮像部104の撮像によって得られた撮像画像を背景用画像として取得する。ステップS302の処理の後は、同図の処理を終了する。
【0081】
ステップS304:また、ユーザは、予め用意された背景用画像をシミュレーション画像の背景として利用しようとする場合には、予め用意された背景用画像のリストの表示を指示する操作(背景用画像リスト表示操作)を行う。
そこで、画像情報設定部153は、ステップS300にて撮像が実行されないと判定された場合、背景用画像リスト表示操作が行われたか否かを判定する。
背景用画像リスト表示操作が行われないと判定された場合には、ステップS300に処理が戻される。
【0082】
ステップS306:ステップS304にて背景用画像リスト表示操作が行われたと判定された場合、画像情報設定部153は、シミュレーション支援サーバ200に背景用画像リスト要求を送信する。
【0083】
ステップS308:ステップS306による背景用画像リスト要求の送信に応じて、シミュレーション支援サーバ200は、背景用画像リストを送信する。画像情報設定部153は、送信された背景用画像リストを表示部103に表示させる。
【0084】
ステップS310:ユーザは、ステップS308により表示された背景用画像リストからシミュレーション画像における背景として用いる背景用画像を選択する操作(背景用画像選択操作)を行う。画像情報設定部153は、背景用画像選択操作を受け付ける。
【0085】
ステップS312:画像情報設定部153は、ステップS310により受け付けた背景用画像選択操作によって選択された背景用画像を要求する画像要求を、シミュレーション支援サーバ200に送信する。
【0086】
ステップS314:ステップS312による画像要求の送信に応じて、シミュレーション支援サーバ200は、要求された背景用画像を送信する。画像情報設定部153は、シミュレーション支援サーバ200から送信された背景用画像を、シミュレーション画像における背景として用いる背景用画像として取得する。
【0087】
次に、シミュレーション支援サーバ200が実行する処理手順例について説明する。
ステップS400:シミュレーション支援サーバ200において制御部202は、ステップS306によりシミュレーション端末100から送信された背景用画像リスト要求を受信する。
【0088】
ステップS402:背景用画像リスト要求の受信に応じて、制御部202は、背景用画像記憶部233が記憶する背景用画像のリスト(背景用画像リスト)を生成する。制御部202は、生成した背景用画像リストをシミュレーション端末100に送信する。
【0089】
ステップS404:ステップS402による背景用画像リストの送信の後、制御部202は、ステップS312によりシミュレーション端末100から送信された画像要求を受信する。
【0090】
ステップS406:制御部202は、ステップS404により受信した画像要求が示す背景用画像を背景用画像記憶部233から読み出し、読み出した背景用画像をシミュレーション端末100に送信する。
このような
図11の処理によって、シミュレーション端末100は、撮像部104により撮像して得られた撮像画像、あるいは予め用意された背景用画像を、シミュレーション画像の背景としての3次元仮想空間に利用する背景用画像として取得することができる。
【0091】
<変形例>
以下、本実施形態の変形例について説明する。
[第1変形例]
シミュレーション画像においては、複数の釣竿ごとに対応する複数の釣竿オブジェクトRojが配置された状態で表示されるようにしてよい。
この場合には、例えばユーザが品番入力操作を行う際に、製品として異なる複数の釣竿ごとの品番を入力するようにされてよい。シミュレーション端末100は、入力された複数の品番ごとの釣竿関連情報を利用して、複数の品番ごとの釣竿オブジェクトRojを生成し、生成した複数の釣竿オブジェクトRojを同じ3次元仮想空間に配置するようにしてシミュレーション画像を生成してよい。
また、シミュレーション端末100は、シミュレーション画像において、同じ製品の釣竿の複数の釣竿オブジェクトRojを3次元仮想空間に配置し、配置した複数の釣竿オブジェクトRojごとに異なる負荷を設定して形状を変化させた状態を表示してもよい。
【0092】
[第2変形例]
シミュレーション画像として、3次元仮想空間としての背景の画像は表示せずに、例えば無地の3次元仮想空間にて釣竿オブジェクトRojが表示されるようにしてよい。
この場合において、例えばユーザのシミュレーション端末100に対する操作に応じて、3次元仮想空間としての背景の画像の表示のオン・オフが行われるようにされてよい。
【0093】
[第3変形例]
上記実施形態において、釣竿オブジェクトRojとしての釣竿の変形状態は、負荷対応座標情報を用いた計算により長さ位置(第1長さ位置p1~第5長さ位置p5)ごとの座標を求めることで導出されていた。
【0094】
このように用意される画像データは、例えば釣竿情報において形状情報として格納されるものであってよい。1つの釣竿に対応する形状情報は、所定の負荷ごとに対応の変形状態を示す複数の画像データを含む。このような画像データのそれぞれは、例えば
図9(A)、
図9(B)、
図9(C)に示したように長さ位置ごとの座標を結ぶ曲線により釣竿を描画したものであってよい。あるいは、画像データのそれぞれは、実物の釣竿に負荷をかけた状態で撮像して得られた撮像画像を元とするものであってよい。
このような本変形例の場合には、表示制御部154が、ユーザにより入力された品番に対応する釣竿情報の形状情報から、ユーザにより入力された負荷に応じた画像データを取得し、取得した画像データを利用して釣竿オブジェクトRojを生成してよい。
【0095】
[第4変形例]
上記実施形態では、釣竿を販売する釣具店等の店舗にてユーザが操作を行ってシミュレーション端末100にシミュレーション画像を表示させる例を挙げた。
これに対して、本変形例では、例えば釣竿を購入する側であるユーザのユーザ端末が、上記実施形態と同様のシミュレーション画像を表示する機能を有するように構成してよい。
また、例えば釣具を販売するECサイトであるとか、釣り具メーカや釣具店のウェブサイトなどで実施形態と同様のシミュレーション画像を表示する機能が提供されるようにしてもよい。
【0096】
[第5変形例]
シミュレーション画像の表示は、例えばディスプレイ装置やプロジェクタ表示装置等の表示装置を用いて行われてもよい。
【0097】
[第6変形例]
シミュレーション端末100に、シミュレーション支援サーバ200の機能を有させてもよい。この場合には、シミュレーション端末100で完結するようにしてシミュレーション画像を表示することが可能となる。
【0098】
なお、上述のシミュレーション端末100やシミュレーション支援サーバ200等としての機能を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより上述のシミュレーション端末100やシミュレーション支援サーバ200等としての処理を行ってもよい。ここで、「記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行する」とは、コンピュータシステムにプログラムを導入することを含む。ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、インターネットやWAN、LAN、専用回線等の通信回線を含むネットワークを介して接続された複数のコンピュータ装置を含んでもよい。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD-ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるHDD、SSD等の記憶装置のことをいう。このように、プログラムを記憶した記録媒体は、CD-ROM等の非一過性の記録媒体であってもよい。また、記録媒体には、当該プログラムを配信するために配信サーバからアクセス可能な内部または外部に設けられた記録媒体も含まれる。配信サーバの記録媒体に記憶されるプログラムのコードは、端末装置で実行可能な形式のプログラムのコードと異なるものでもよい。すなわち、配信サーバからダウンロードされて端末装置で実行可能な形で導入できるものであれば、配信サーバで記憶される形式は問わない。なお、プログラムを複数に分割し、それぞれ異なるタイミングでダウンロードした後に端末装置で合体される構成や、分割されたプログラムのそれぞれを配信する配信サーバが異なっていてもよい。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、ネットワークを介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。また、上記プログラムは、上述した機能の一部を実現するためのものであってもよい。さらに、上述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
【符号の説明】
【0099】
100 シミュレーション端末、101 通信部、102 操作部、103 表示部、104 撮像部、105 制御部、106 記憶部、151 釣竿情報設定部、152 負荷情報設定部、153 画像情報設定部、154 表示制御部、200 シミュレーション支援サーバ、201 通信部、202 制御部、203 記憶部、231 釣竿情報記憶部、232 負荷情報記憶部、233 背景用画像記憶部、GD グリッド、HD 手元マーク、p1 位置、p4 位置、p5 位置、pd 方向、PU 付帯情報ポップアップ、Roj 釣竿オブジェクト