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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111981
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】三次元測定装置
(51)【国際特許分類】
   G01B 11/25 20060101AFI20240813BHJP
   G01B 11/00 20060101ALI20240813BHJP
   G01B 11/26 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
G01B11/25 H
G01B11/00 H
G01B11/26 H
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016766
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000129253
【氏名又は名称】株式会社キーエンス
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】池淵 正康
(72)【発明者】
【氏名】下中 秀二
(72)【発明者】
【氏名】酒井 均
【テーマコード(参考)】
2F065
【Fターム(参考)】
2F065AA04
2F065AA12
2F065AA37
2F065AA53
2F065BB29
2F065FF05
2F065FF06
2F065GG04
2F065HH05
2F065HH06
2F065JJ05
2F065SS13
(57)【要約】
【課題】三次元スキャナにより高速なスキャンを実現する。
【解決手段】三次元測定装置は、パターン光を含む第一画像を処理して第一測定情報を生成するスキャナ画像処理部147を有する三次元スキャナ2と、三次元スキャナ2が有する自発光マーカ71を含む第二画像を処理して第二測定情報を生成するカメラ画像処理部を有する撮像ユニットと、三次元データ生成手段とを備えている。三次元データ生成手段は、第一測定情報と第二測定情報とを受信し、受信した第一測定情報及び第二測定情報と識別情報とに基づいて測定対象物の三次元形状を示す点群を生成する。
【選択図】図8
【特許請求の範囲】
【請求項1】
測定対象物の三次元形状を測定する三次元測定装置であって、
パターン光を照射するスキャナ光源と、前記スキャナ光源により照射したパターン光を撮像して当該パターン光を含む第一画像を生成するスキャナ撮像部と、前記スキャナ撮像部が生成した第一画像を処理して第一測定情報を生成するスキャナ画像処理部と、複数の自発光マーカと、を有する三次元スキャナと、
前記三次元スキャナが視野内となるよう視野を移動させるとともに、当該三次元スキャナの位置および姿勢を測定するために前記自発光マーカを撮像して当該自発光マーカを含む第二画像を生成する可動撮像部と、前記可動撮像部が生成した第二画像を処理して第二測定情報を生成するカメラ画像処理部と、を有する撮像ユニットと、
測定指示に基づいて、同期実行のタイミングを識別するための識別情報を生成する同期手段と、
前記同期手段により識別情報が生成されたことに応じて、前記スキャナ光源からのパターン光の照射と、前記スキャナ撮像部による撮像と、前記自発光マーカの発光と、前記可動撮像部による撮像と、を同期させる測定制御部と、
前記スキャナ画像処理部が生成した前記第一測定情報と前記カメラ画像処理部が生成した前記第二測定情報とに基づいて、測定対象物の三次元形状を示す点群を生成する三次元データ生成手段とを備え、
前記三次元スキャナは、前記スキャナ画像処理部が生成した前記第一測定情報と、前記同期手段が生成した当該第一測定情報に対応する識別情報と、を紐づけて送信する第一送信部をさらに有し、
前記撮像ユニットは、前記カメラ画像処理部が生成した前記第二測定情報と、前記同期手段が生成した当該第二測定情報に対応する識別情報と、を紐づけて送信する第二送信部をさらに有し、
前記三次元データ生成手段は、前記スキャナ画像処理部が生成した前記第一測定情報と、当該第一測定情報に対応する識別情報と、前記カメラ画像処理部が生成した前記第二測定情報と、当該第二測定情報に対応する識別情報とを受信し、受信した前記第一測定情報と、当該第一測定情報に対応する識別情報と、前記第二測定情報と、当該第二測定情報に対応する識別情報とに基づいて測定対象物の三次元形状を示す点群を生成する、三次元測定装置。
【請求項2】
請求項1に記載の三次元測定装置において、
前記撮像ユニットは、前記可動撮像部を撮像する固定撮像部をさらに有し、
前記測定制御部は、前記同期手段により識別情報が生成されたことに応じて、前記固定撮像部による撮像を、前記可動撮像部による撮像と同期させる、三次元測定装置。
【請求項3】
請求項2に記載の三次元測定装置において、
前記可動撮像部には、当該可動撮像部の視野の移動に伴って移動する複数のマーカが設けられ、
前記固定撮像部は、前記可動撮像部に設けられた複数のマーカを撮像して当該マーカを含む第三画像を生成し、
前記カメラ画像処理部は、前記固定撮像部が生成した前記第三画像を処理して第三測定情報を生成し、
前記第二送信部は、前記カメラ画像処理部が生成した前記第三測定情報と、前記同期手段が生成した当該第三測定情報に対応する識別情報と、を紐づけて送信し、
前記三次元データ生成手段は、前記スキャナ画像処理部が生成した前記第一測定情報と、前記カメラ画像処理部が生成した前記第二測定情報と、前記カメラ画像処理部が生成した第三測定情報と、に基づいて測定対象物の三次元形状を示す点群を生成する、三次元測定装置。
【請求項4】
請求項3に記載の三次元測定装置において、
前記スキャナ画像処理部は、前記スキャナ撮像部を基準とした第一測定情報を生成し、
前記第一送信部は、前記スキャナ撮像部を基準とした第一測定情報と、前記同期手段が生成した当該第一測定情報に対応する識別情報と、を送信し、
前記カメラ画像処理部は、前記可動撮像部を基準とした第二測定情報と、前記固定撮像部を基準とした第三測定情報と、を生成し、
前記第二送信部は、
前記第一送信部により送信された、前記スキャナ撮像部を基準とした第一測定情報と、当
該第一測定情報に対応する識別情報と、
前記カメラ画像処理部により生成された、前記可動撮像部を基準とした第二測定情報と当該第二測定情報に対応する識別情報、および、前記固定撮像部を基準とした第三測定情報と当該第二測定情報に対応する識別情報と、を送信し、
前記三次元データ生成手段は、前記スキャナ撮像部を基準とした第一測定情報と、前記可動撮像部を基準とした第二測定情報と、前記固定撮像部を基準とした第三測定情報と、に基づいて、前記固定撮像部を基準とした測定対象物の三次元形状を示す点群を生成する、三次元測定装置。
【請求項5】
請求項1に記載の三次元測定装置において、
前記スキャナ画像処理部は、前記第一画像に対してエッジ抽出処理を行うことで、前記第一測定情報としてのエッジデータを生成する、三次元測定装置。
【請求項6】
請求項1に記載の三次元測定装置において、
前記カメラ画像処理部は、前記第二画像に対して前記自発光マーカの中心を抽出する処理を行うことで、前記第二測定情報としての前記自発光マーカの中心位置情報を生成する、三次元測定装置。
【請求項7】
請求項6に記載の三次元測定装置において、
前記三次元スキャナは、複数の自発光マーカの配置情報を記憶する第一記憶部をさらに有し、
前記カメラ画像処理部は、前記三次元スキャナの第一記憶部に記憶された複数の自発光マーカの配置情報と、前記第二画像に基づいて、前記第二測定情報としての前記自発光マーカの中心位置情報を生成する、三次元測定装置。
【請求項8】
請求項7に記載の三次元測定装置において、
前記第一記憶部には、前記三次元スキャナのキャリブレーションデータがさらに記憶され、
前記三次元データ生成手段は、前記三次元スキャナの第一記憶部に記憶されたキャリブレーションデータと、前記第一測定情報と、前記第二測定情報と、とに基づいて測定対象物の三次元形状を示す点群を生成する、三次元測定装置。
【請求項9】
請求項1に記載の三次元測定装置において、
前記カメラ画像処理部は、前記第二画像に対して前記自発光マーカの中心を抽出する処理を行い、当該処理で得られた前記自発光マーカの中心位置情報に基づいて、前記第二測定情報として前記可動撮像部に対する前記自発光マーカの位置姿勢情報を生成する、三次元測定装置。
【請求項10】
請求項1に記載の三次元測定装置において、
前記カメラ画像処理部は画像処理回路を有している、三次元測定装置。
【請求項11】
請求項1に記載の三次元測定装置において、
前記スキャナ画像処理部が生成した前記第一測定情報を順次蓄積するメモリと、
前記第一測定情報と第二測定情報とを前記識別情報に基づいて対応付ける対応付け部とを備え、
前記対応付け部は、前記第二測定情報に紐づけられた識別情報を有する前記第一測定情報を前記メモリに蓄積された複数の前記第一測定情報の中から特定し、当該特定した前記第一測定情報と前記第二測定情報とを対応付ける、三次元測定装置。
【請求項12】
請求項11に記載の三次元測定装置において、
前記メモリは、前記撮像ユニットに設けられるとともに前記第一送信部から送信された前記第一測定情報を順次蓄積し、
前記第二送信部は、前記対応付け部により対応付けられた前記第一測定情報と前記第二測定情報を前記三次元データ生成手段に送信する、三次元測定装置。
【請求項13】
請求項1に記載の三次元測定装置において、
前記スキャナ光源は、前記パターン光としてマルチライン光を照射し、
前記スキャナ撮像部は、前記第一画像としてマルチライン画像を生成し、
前記スキャナ画像処理部は、前記マルチライン画像を処理して前記第一測定情報としてのエッジデータを生成する、三次元測定装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、自発光マーカを有する三次元スキャナを撮像する撮像ユニットを備えた三次元測定装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば特許文献1には、測定対象物の所望の部分に接触させる接触部を有する接触式プローブを用いて測定対象物の三次元座標測定を行うことが開示されている。この特許文献1では、接触式プローブが有する複数のマーカを、接触式プローブから離れた所に設置された撮像ユニットによって撮像し、撮像ユニットによって生成されたマーカ画像に基づいて、接触式プローブの接触位置の三次元座標を算出することができるようになっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2020-20699号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、上記特許文献1の装置では、接触式プローブなので、プローブで接触した部分しか座標を測定できない。そこで、非接触式の三次元スキャナを用いれば、測定対象物のより広い範囲の測定、即ち広範囲のスキャンが可能になるが、上記特許文献1の装置よりも広範囲のスキャンを高速で実現しようとすると、三次元スキャナで取得された画像を三次元スキャナから処理部まで高フレームレートで送信する必要がある。
【0005】
しかしながら、三次元スキャナで取得された画像のデータ量は、特許文献1のような点の位置を示すデータ量に比べてはるかに多く、そのようなデータ量の多い画像データを高フレームレートで処理部まで送信しようとすると、通信帯域の制約を受けて困難な場合がある。
【0006】
本開示は、かかる点に鑑みてたものであり、その目的とするところは、三次元スキャナにより高速なスキャンを実現することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的を達成するために、本開示では、測定対象物の三次元形状を測定する三次元測定装置を前提とすることができる。三次元測定装置は、パターン光を照射するスキャナ光源と、前記スキャナ光源により照射したパターン光を撮像して当該パターン光を含む第一画像を生成するスキャナ撮像部と、前記スキャナ撮像部が生成した第一画像を処理して第一測定情報を生成するスキャナ画像処理部と、複数の自発光マーカと、を有する三次元スキャナと、前記三次元スキャナが視野内となるよう視野を移動させるとともに、当該三次元スキャナの位置および姿勢を測定するために前記自発光マーカを撮像して当該自発光マーカを含む第二画像を生成する可動撮像部と、前記可動撮像部が生成した第二画像を処理して第二測定情報を生成するカメラ画像処理部と、を有する撮像ユニットと、測定指示に基づいて、同期実行のタイミングを識別するための識別情報を生成する同期手段と、前記同期手段により識別情報が生成されたことに応じて、前記スキャナ光源からのパターン光の照射と、前記スキャナ撮像部による撮像と、前記自発光マーカの発光と、前記可動撮像部による撮像と、を同期させる測定制御部と、前記スキャナ画像処理部が生成した前記第一測定情報と前記カメラ画像処理部が生成した前記第二測定情報とに基づいて、測定対象物の三次元形状を示す点群を生成する三次元データ生成手段とを備えている。前記三次元スキャナは、前記スキャナ画像処理部が生成した前記第一測定情報と、前記同期手段が生成した当該第一測定情報に対応する識別情報と、を紐づけて送信する第一送信部をさらに有している。また、前記撮像ユニットは、前記カメラ画像処理部が生成した前記第二測定情報と、前記同期手段が生成した当該第二測定情報に対応する識別情報と、を紐づけて送信する第二送信部をさらに有している。前記三次元データ生成手段は、前記スキャナ画像処理部が生成した前記第一測定情報と、当該第一測定情報に対応する識別情報と、前記カメラ画像処理部が生成した前記第二測定情報と、当該第二測定情報に対応する識別情報とを受信し、受信した前記第一測定情報と、当該第一測定情報に対応する識別情報と、前記第二測定情報と、当該第二測定情報に対応する識別情報とに基づいて測定対象物の三次元形状を示す点群を生成することができる。
【0008】
この構成によれば、測定指示に基づいて識別情報が生成されると、スキャナ光源がパターン光を照射してスキャナ撮像部がパターン光を含む第一画像を生成し、また、自発光マーカが発光して可動撮像部が自発光マーカを含む第二画像を生成する。スキャナ撮像部が生成した第一画像が処理されることによって生成された第一測定情報は、第一測定情報に対応する識別情報と紐づけられて三次元データ生成手段で受信される。また、可動撮像部が生成した第二画像が処理されることによって生成された第二測定情報は、第二測定情報に対応する識別情報と紐づけられて三次元データ生成手段で受信される。これにより、三次元データ生成手段では、同じタイミングで取得された第一測定情報と第二測定情報の組み合わせを誤ることなく、第一測定情報及び第二測定情報に基づいて測定対象物の三次元形状を示す点群を生成することができる。つまり、第一画像を処理した第一測定情報、第二画像を処理した第二測定情報を三次元データ生成手段に送信すればよいので、画像データをそのまま送信する場合に比べてデータ量が少なくなり、高フレームレートでの送信が可能になる。
【0009】
また、前記撮像ユニットは、前記可動撮像部を撮像する固定撮像部をさらに有していてもよい。前記測定制御部は、前記同期手段により識別情報が生成されたことに応じて、前記固定撮像部による撮像を、前記可動撮像部による撮像と同期させることで、可動撮像部による自発光マーカを含む第二画像の撮像と同じタイミングで、可動撮像部の位置姿勢を取得できる。
【0010】
例えば、前記可動撮像部には、当該可動撮像部の視野の移動に伴って移動する複数のマーカが設けられていてもよい。この場合、前記固定撮像部は、前記可動撮像部に配置された複数のマーカを撮像して当該マーカを含む第三画像を生成し、前記カメラ画像処理部は、前記固定撮像部が生成した前記第三画像を処理して第三測定情報を生成する。前記三次元データ生成手段は、前記スキャナ画像処理部が生成した前記第一測定情報と、前記カメラ画像処理部が生成した前記第二測定情報と、前記カメラ画像処理部が生成した第三測定情報と、に基づいて測定対象物の三次元形状を示す点群を生成することができる。
【0011】
すなわち、自発光マーカを含む第二画像に基づいて撮像ユニットに対する三次元スキャナの位置姿勢を決定し、固定撮像部が撮像した画像に基づいて固定撮像部に対する可動撮像部の位置姿勢を決定し、これら二つの位置姿勢から、固定撮像部に対する三次元スキャナの位置姿勢を決定することで正確な点群の生成が可能になる。
【0012】
前記スキャナ画像処理部は、前記第一画像に対してエッジ抽出処理を行うことで、前記第一測定情報としてのエッジデータを生成することができる。すなわち、第一画像はデータ量が多いため高フレームレートで送信が難しい。一方、三次元点群データの生成まで三次元スキャナで実行させると、ハードウェアの大規模化を招き、三次元スキャナのサイズや消費電力面で不利になるおそれがある。よって、スキャナ画像処理部でエッジデータ抽出処理まで実行しておくことで、高フレームレートでの送信を実現しつつ、三次元スキャナの大型化を回避することができ、バランスのよい設計が可能になる。
【0013】
また、前記カメラ画像処理部は、前記第二画像に対して前記自発光マーカの中心を抽出する処理を行うことで、前記第二測定情報としての自発光マーカの中心位置情報を生成してもよい。この場合、前記カメラ画像処理部は、得られた自発光マーカの中心位置情報に基づいて、前記第二測定情報として前記可動撮像部に対する前記自発光マーカの位置姿勢情報を生成することができる。つまり、カメラ画像処理部で自発光マーカの位置姿勢情報を生成することで、第二画像を送信する場合に比べて、高フレームレートでの送信を実現できる。
【0014】
前記カメラ画像処理部は画像処理回路として、例えばGPU(Graphics Processing Unit)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)とDSP(Digital Signal Processor)を有していてもよい。
【0015】
三次元測定装置は、前記スキャナ画像処理部が生成した前記第一測定情報を順次蓄積するメモリと、前記第一測定情報と第二測定情報とを前記識別情報に基づいて対応付ける対応付け部とを備えていてもよい。前記対応付け部は、前記第二測定情報に紐づけられた識別情報を有する前記第一測定情報を前記メモリに蓄積された複数の前記第一測定情報の中から特定し、当該特定した前記第一測定情報と前記第二測定情報とを対応付けることができる。また、前記メモリは、前記撮像ユニットに設けられるとともに前記第一送信部から送信された前記第一測定情報を順次蓄積するものであってもよい。この場合、前記第二送信部は、前記対応付け部により対応付けられた前記第一測定情報と前記第二測定情報を前記三次元データ生成手段に送信することができる。
【発明の効果】
【0016】
以上説明したように、スキャナ撮像部が生成したパターン光を含む第一画像を処理した第一測定情報と、可動撮像部が生成した自発光マーカを含む第二画像を処理した第二測定情報とを三次元データ生成手段に送信し、三次元データ生成手段で測定対象物の三次元形状を示す点群を生成するようにしたので、高フレームレートでの送信が可能になり、高速なスキャンを実現できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】本発明の実施形態に係る三次元測定装置の構成を示す図である。
図2】撮像ユニットと処理部のブロック図である。
図3】三次元スキャナを下方から見た斜視図である。
図4】三次元スキャナの右側面図である。
図5】三次元スキャナの平面図である。
図6】三次元スキャナの底面図である。
図7】三次元スキャナの正面図である。
図8】三次元スキャナの回路構成を示すブロック図である。
図9】マルチライン画像及びエッジデータの一例を示す図である。
図10】マーカ画像及び自発光マーカの中心位置情報の一例を示す図である。
図11】三次元測定装置による測定対象物の三次元形状の測定手順の一例を示すフローチャートである。
図12】データマッチングの処理手順の一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0018】
以下、本発明の実施形態を図面に基づいて詳細に説明する。尚、以下の好ましい実施形態の説明は、本質的に例示に過ぎず、本発明、その適用物或いはその用途を制限することを意図するものではない。
【0019】
図1は、本発明の実施形態に係る三次元測定装置1の構成を示す図である。三次元測定装置1は、測定対象物Wの三次元形状及び三次元座標を、当該測定対象物Wに接触することなく測定する形状測定器であり、複数の自発光マーカを有する三次元スキャナ2と、三次元スキャナ2が有する複数の自発光マーカを撮像する撮像ユニット3と、撮像ユニット3により生成されたマーカ画像と三次元スキャナ2により生成された輝線画像とに基づいて測定対象物Wの三次元形状及び三次元座標を測定する処理部4とを備えている。三次元スキャナ2は、撮像ユニット3及び処理部4とは別体とされており、測定作業者は三次元スキャナ2を撮像ユニット3及び処理部4から離れた所にある測定対象物Wの近傍まで持って行き、輝線画像を三次元スキャナ2によって生成させることができる。
【0020】
(撮像ユニット3の構成)
撮像ユニット3は、三次元スキャナ2に設けられた複数の自発光マーカ(後述する)を撮像することにより、当該複数の自発光マーカを含むマーカ画像(本発明の第二画像に相当)を生成するユニットである。図2に示すように、撮像ユニット3は、基台30と、三次元スキャナ2が視野内となるよう視野を移動させるとともに、当該三次元スキャナ2の位置および姿勢を測定するために自発光マーカを撮像して当該自発光マーカを含むマーカ画像を生成する可動撮像部3Aとを備えている。可動撮像部3Aは、基台30に支持された可動ステージ31と、可動ステージ31の上部に固定されたスキャナ撮像用カメラ32とを備えている。可動ステージ31は、ステージ駆動部31aを備えている。ステージ駆動部31aは、モータ等のアクチュエータを内蔵しており、可動ステージ31を鉛直軸周りに回動させるとともに、水平軸周りにも回動させるように構成されている。可動ステージ31を鉛直軸周りに回動させることにより、スキャナ撮像用カメラ32が鉛直軸周りに回動し、また、可動ステージ31を水平軸周りに回動させることにより、スキャナ撮像用カメラ32が水平軸周りに回動する。これにより、スキャナ撮像用カメラ32の視野(図1図2に破線Aで模式的に示す)を移動させて、三次元スキャナ2、即ち三次元スキャナ2が有する複数の自発光マーカがスキャナ撮像用カメラ32の視野内に入るように、自発光マーカをトラッキングすることができる。ステージ駆動部31aは、撮像ユニット3が有する本体制御部33によって制御される。
【0021】
可動ステージ31の下部には、複数の発光体(本発明の可動撮像部3Aに設けられているマーカに相当)31bが二次元平面上に所定の間隔をあけて設けられており、発光体31bは、点灯制御部31cによって点灯した状態と消灯した状態とに切り替えられる自発光マーカである。また、発光体31bの配置情報は撮像ユニット3の記憶部39cに予め記憶されている。尚、発光体31b以外の目印になる部材により、可動撮像部3Aに設けられているマーカを構成してもよい。点灯制御部31cは、本体制御部33によって制御される。一方、基台30には、可動撮像部3Aを撮像する基準カメラ(本発明の固定撮像部に相当)34が設けられている。この基準カメラ34は、点灯制御部31cによって点灯した状態とされた発光体31bを撮像する。基準カメラ34は、可動撮像部3Aに設けられた複数の発光体31bを撮像して当該発光体31bを含む画像(本発明の第三画像に相当)を生成する。
【0022】
複数の発光体31bにより、基準カメラ34により撮像される参照マーカが構成される。複数の発光体31bを含む参照部材の構成を具体的に説明すると、図示しないが、参照部材は、上から下に向けて順に配置された発光基板、拡散板、ガラス板を有し、これらは、その側方の周囲が拡散反射シートによって包囲されている。発光基板の下面には、全体に亘って数多くの発光体31bが整列した状態で実装されている。各発光体31bは、例えば赤外LED(発光ダイオード)で構成されている。発光体31bとしては、赤外LEDの代わりに他の波長の光を発するLEDが用いられてもよいし、フィラメント等の他の発光体が用いられてもよい。発光体31bは点灯制御部31cによって駆動される。拡散板は、例えば樹脂からなる板部材であり、複数の発光体31bから発生される光を拡散させつつ下方へ透過する。拡散反射シートは、例えば樹脂からなる帯状のシート部材であり、複数の発光体31bから参照部材の側方(外方)に向かう光を拡散させつつその内方に反射する。以上の構成により、拡散板から放出される光を面全体に均一化することができる。ガラス板は板ガラスであり、例えば石英ガラスまたはソーダガラスで構成される。ガラス板の上下の面のうち少なくとも下面は、高度に平滑化された面で構成され、この下面に複数の円形開口を有する薄膜マスクが設けられている。薄膜マスクは、例えばガラス板の下面にスパッタ法または蒸着法により形成されるクロムマスクである。この薄膜マスクの各円形開口によって参照マーカの円形輪郭が規定される。これにより、どの角度から参照マーカを撮像しても、規定の形状を歪みの無い画像を獲得することができる。面発光マーカである参照マーカの輪郭形状は任意であり、四角形、星形、楕円などであってもよい。
【0023】
上記の構成により、複数の発光体31bから発生されて拡散板および拡散反射シートにより拡散されて面全体に均一に放出される。つまり面全体に均一に光を放出する面光源になる。そして、この面光源から放出された光は、薄膜マスクの各円形開口を通して参照部材の下方に放出される。これにより輪郭が明確な面発光の参照マーカとなる。複数の参照マーカは、参照部材の下面(平面)において、マトリクス状に等間隔に配列されている。
【0024】
撮像ユニット3には、カメラ画像処理部35が設けられている。カメラ画像処理部35は画像処理回路を有しており、スキャナ撮像用カメラ32を制御して所定のタイミングで撮像を実行させる。画像処理回路としては、例えばGPU(Graphics Processing Unit)や、FPGA(Field Programmable Gate Array)とDSP(Digital Signal Processor)等を挙げることができる。カメラ画像処理部35には、スキャナ撮像用カメラ32で撮像されたマーカ画像が入力されるとともに、基準カメラ34によって撮像された発光体31bの画像も入力される。
【0025】
カメラ画像処理部35は、スキャナ撮像用カメラ32が撮像したマーカ画像を処理して自発光マーカの中心位置情報、例えば円形の自発光マーカの中心位置(本発明の第二測定情報に相当)を生成する。具体的には、カメラ画像処理部35は、マーカ画像に対して自発光マーカの中心を抽出する処理を行う。そして、抽出した結果に基づいて、自発光マーカの中心位置情報を生成する。さらに、カメラ画像処理部35は、自発光マーカの中心を抽出する処理の結果、得られた自発光マーカの中心位置情報に基づいて、可動撮像部3Aに対する自発光マーカの位置姿勢情報を生成する。
【0026】
自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の中心位置情報は次の方法で生成される。まず、カメラ画像処理部35は、三次元スキャナ2に記憶されている各自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の配置情報を取得する。そして、カメラ画像処理部35は、三次元スキャナ2から取得した自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の配置情報とカメラ画像処理部35により生成されたマーカ画像に含まれるマーカ間の相対的な三次元位置情報とに基づいて、撮像ユニット3に対する三次元スキャナ2の相対的な位置や姿勢を変化させたときに、各マーカが撮像ユニット3によりどのような位置に撮像されるのかを算出し、算出された各マーカ位置と画像102のマーカ位置とをマッチングさせる。そして、算出された各マーカ位置と画像102のマーカ位置との誤差が最も小さくなる撮像ユニット3に対する三次元スキャナ2の相対的な位置姿勢が算出され、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の中心位置情報として生成される。すなわち、カメラ画像処理部35は、仮想的に三次元スキャナ2の位置姿勢を変化させることで、三次元スキャナ2から取得した自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の配置情報を仮想的に変化させ、カメラ画像処理部35により生成されたマーカ画像とマッチングする位置姿勢を算出し、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の中心位置情報を生成する。この位置姿勢情報の算出処理は、バンドル調整と言われるものであってもよい。ここで、 マッチングにはマーカ画像に含まれる自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の一部を代表マーカとして選択的に使用してもよい。円形状の自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107は、三次元スキャナ2の位置姿勢によっては楕円形状になる。そこで、一例として、マーカ画像に含まれる自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の長辺と短辺の長さの比率である扁平率を用い、扁平率が所定の値以下の場合には計算対象に含めず、扁平率が所定の値以上の自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107を代表マーカとしてもよい。また、マーカブロックの中で真円に近いものを代表マーカとして選択してもよい。このように計算対象となる自発光マーカを代表マーカに限定することで、計算速度を向上させるとともに、測定精度の低下を抑制できる。
【0027】
ここで算出される自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の中心位置情報は、スキャナ撮像用カメラ32を基準としたものである。そこで、カメラ画像処理部35は、基準カメラ34を基準としたスキャナ撮像用カメラ32の位置姿勢情報と、スキャナ撮像用カメラ32を基準とした三次元スキャナ2の位置姿勢情報とに基づいて、基準カメラ34を基準とした三次元スキャナ2の位置姿勢情報を算出することで、基準カメラ34を基準とした自発光マーカの中心位置情報を生成する。
【0028】
撮像ユニット3は、本体制御部33によって制御される無線通信部36を備えている。無線通信部36は、撮像ユニット3以外の機器と通信可能に構成された通信モジュール等である。本例では、無線通信部36を介して撮像ユニット3が三次元スキャナ2と通信し、例えばスキャナ撮像用カメラ32で撮像された画像データ等の各種データや、各種信号等の送受信が可能になっている。
【0029】
撮像ユニット3は、本体制御部33によって制御される通信部37も備えている。通信部37は、処理部4と通信可能に構成された通信モジュール等である。通信部37を介して撮像ユニット3が処理部4と通信し、例えば画像データ等の各種データや、各種信号等の送受信が可能になっている。通信部37による通信は、有線を用いた通信であってもよいし、無線通信であってもよい。
【0030】
撮像ユニット3は、測定指示に基づいて、同期実行のタイミングを識別するための識別情報を生成するトリガ生成部38及びトリガ管理部38a(詳細は後述する)を有している。トリガ生成部38及びトリガ管理部38aは、同期手段を構成する部分の例示である。トリガ生成部38がトリガ管理部38aの機能を有していてもよく、この場合、トリガ生成部38によって同期手段が構成される。
【0031】
例えば、測定作業者が所定の測定開始操作を行うと、撮像ユニット3の本体制御部33が測定開始操作を受け付ける。本体制御部33は、測定開始操作を受け付けると、トリガ生成部38に、上記識別情報としてのトリガ信号を生成させる。トリガ信号は、例えば無線通信部36を介して三次元スキャナ2に送信される。
【0032】
トリガ信号が生成されたことに応じて、本体制御部33は、三次元スキャナ2の自発光マーカの発光と、可動撮像部3Aによる三次元スキャナ2の自発光マーカの撮像と、可動ステージ31の発光体31bの点灯と、基準カメラ34による発光体31bの撮像とを同期させて実行する。尚、可動ステージ31の発光体31bは常時点灯させていてもよく、従って、本体制御部33は、少なくとも、三次元スキャナ2の自発光マーカの発光と、可動撮像部3Aによる撮像と、基準カメラ34による撮像とを同期させて実行する。三次元スキャナ2の自発光マーカの発光のタイミングを可動撮像部3Aによる撮像のタイミングよりも僅かに早めてもよく、この場合も、三次元スキャナ2の自発光マーカの発光と、可動撮像部3Aによる撮像とは同期しているものとする。
【0033】
通信部37は、カメラ画像処理部35が生成した自発光マーカの中心位置情報と、トリガ生成部38が生成した自発光マーカの中心位置情報に対応する識別情報と、を紐づけて送信する。「紐づける」とは、2以上の情報を関連付ける、または対応付けることであり、この場合、自発光マーカの中心位置情報と、この自発光マーカの中心位置情報を他の自発光マーカの中心位置情報と区別するための識別情報とが関連付けられている。よって、識別情報に基づいて、所望の自発光マーカの中心位置情報を特定することができる。通信部37は、本発明の第二送信部に相当する。尚、無線通信により、自発光マーカの中心位置情報と識別情報とを送信してもよい。
【0034】
(無線通信部36の構成)
無線通信部36は、撮像ユニット3と三次元スキャナ2との間で無線通信を行う。この無線通信は2系統の通信手段によって実現されてもよい。第一の通信手段は、電磁波として可視光又は不可視光(例えば赤外線)を使った光通信である。第二の通信手段は、Bluetooth(登録商標)通信または無線LAN通信のような電波を使った短距離デジタル無線通信である。光通信は、その特性として、指向性が高く情報転送に要する時間は正確である。このことから、トリガ生成部38により生成されたトリガ信号は、撮像ユニット3から三次元スキャナ2に向けて光通信により送信されてもよい。
【0035】
(処理部4及びカメラ画像処理部35の構成)
処理部4は、撮像ユニット3により生成されたマーカ画像を処理することで得られた複数のマーカの位置姿勢を撮像ユニット3から受信するとともに、三次元スキャナ2により生成された輝線画像を処理することで得られた輝線画像のエッジデータを受信し、受信したマーカの位置姿勢とエッジデータとに基づいて測定対象物Wの三次元形状を測定する部分である。
【0036】
三次元形状の測定手法は従来から周知の手法を用いることができる。以下、一例について説明する。撮像ユニット3の複数の発光体31bは、スキャナ撮像用カメラ32が固定された可動ステージ31に設けられているので、スキャナ撮像用カメラ32に対する複数の発光体31bの位置関係は既知である。ステージ駆動部31aでスキャナ撮像用カメラ32を動かす際には、基準カメラ34によってそれら発光体31bが撮像できる範囲内でスキャナ撮像用カメラ32が動くようになっている。スキャナ撮像用カメラ32が撮像した三次元スキャナ2のマーカ画像に基づいてスキャナ撮像用カメラ32に対する三次元スキャナ2の位置姿勢を決定する。
【0037】
また、基準カメラ34は同様にして複数の発光体31bを撮像した画像に基づいて基準カメラ34に対するスキャナ撮像用カメラ32の位置姿勢を決定する。具体的には、カメラ画像処理部35は、撮像ユニット3の記憶部39cに記憶された発光体31bの配置情報を取得する。そして、カメラ画像処理部35は、発光体31bの配置情報に基づいて基準カメラ34が生成した発光体31bの画像を処理して基準カメラ34に対するスキャナ撮像用カメラ32の位置姿勢情報(本発明の第三測定情報に相当)を生成する。すなわち、カメラ画像処理部35は、撮像ユニット3の記憶部39cに記憶された発光体31bの配置情報に基づいて、仮想的にスキャナ撮像用カメラ32の位置姿勢を変化させた際の画像を推定し、実際に基準カメラ34が生成した発光体31bの画像とマッチングする位置姿勢を算出することで、基準カメラ34を基準としたスキャナ撮像用カメラ32の位置姿勢情報を生成する。
【0038】
スキャナ撮像用カメラ32に対する三次元スキャナ2の位置姿勢と、基準カメラ34に対するスキャナ撮像用カメラ32の位置姿勢とから、基準カメラ34に対する三次元スキャナ2の位置姿勢を決定して測定点の座標を求めることで三次元座標測定、即ち三次元形状の測定が可能になる。
【0039】
図1では、処理部4が汎用のノート型パーソナルコンピュータで構成されている例を示しているが、デスクトップ型パーソナルコンピュータや、三次元測定装置1に専用のコントローラ等で構成されていてもよく、いずれの場合であっても、三次元測定装置1の機能を実現させるためのプログラムやアプリケーションをインストールすることで、処理部4として利用できる。処理部4は、撮像ユニット3と別体とされていてもよいし、撮像ユニット3と一体化されていてもよい。また、処理部4の一部が撮像ユニット3に組み込まれていてもよいし、撮像ユニット3の一部が処理部4に組み込まれていてもよい。
【0040】
図2に示すように、処理部4は、制御ユニット40と、モニタ41と、操作入力部42とを備えている。モニタ41は、各種画像やユーザインタフェース等の表示が可能に構成された液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成されている。
【0041】
操作入力部42は、ユーザが各種入力操作を行う部分である。操作入力部42は、例えばキーボードやマウス等で構成されている。
【0042】
制御ユニット40は、制御部43と、表示制御部44と、記憶部45と、通信部46とを備えている。表示制御部44は、制御部43から出力された信号に基づいてモニタ41を制御する部分であり、モニタ41に各種画像やユーザインタフェース等を表示させる。ユーザインタフェース上で行われたユーザによる操作は、操作入力部42から出力される信号に基づいて制御部43が取得する。
【0043】
記憶部45は、ROMであってもよいし、ソリッドステートドライブやハードディスクドライブ等であってもよい。記憶部45には、三次元スキャナ2が有するマーカブロックにおける各々の自発光マーカの配置情報が記憶されている。マーカブロック及び各々の自発光マーカの配置情報としては、マーカブロック間の距離、各マーカブロックに設けられている自発光マーカの相対的な位置関係を示す情報等である。
【0044】
また、処理部4の通信部46は、制御部43によって制御される。通信部46は、撮像ユニット3の通信部37と通信可能に構成された通信モジュール等である。
【0045】
(三次元スキャナ2の構成)
三次元スキャナ2は、測定作業者が片手または両手で持って自由に移動させながら、測定対象物Wの形状測定が行えるように構成されており、手持型、可搬型の非接触プローブである。電源は外部から供給されるようになっていてもよいし、バッテリを内蔵し、そのバッテリから供給されるようになっていてもよい。本実施形態では、三次元スキャナ2の前後左右及び上下を図3図7に示すように定義する。すなわち、三次元スキャナ2を測定作業者が手で持った時に右に位置する側を右といい、左に位置する側を左という。三次元スキャナ2の前は、測定対象物Wと対向する側であり、三次元スキャナ2の後側は、測定対象物Wと対向する側と反対側である。三次元スキャナ2の上とは、後述する把持部112を決められたように自然な姿勢で把持した状態で上側となる側であり、三次元スキャナ2の下とは、把持部112を決められたように自然な姿勢で把持した状態で下側となる側である。ただし、上述したように三次元スキャナ2を手で持って移動させながら測定対象物Wの三次元形状を測定できるので、三次元スキャナ2の向きは上下反転したり、上側が右や左に位置する姿勢となることもあり得るし、後側が上に位置したり、下に位置したりすることもある。
【0046】
三次元スキャナ2は、スキャナ本体20と、第1マーカブロック21と、第2マーカブロック22と、第3マーカブロック23と、第4マーカブロック24とを備えている。詳細は後述するが、第1~第4マーカブロック21~24は、複数の方向に各々面した自発光マーカを有している。
【0047】
図7に示すように、スキャナ本体20は、中央部から上へ延びる第1アーム部51、中央部から下へ延びる第2アーム部52、中央部から左へ延びる第3アーム部53及び中央部から右へ延びる第4アーム部54とを備えている。第1アーム部51の先端部に第1マーカブロック21が取り付けられ、また、第2アーム部52の先端部に第2マーカブロック22が取り付けられ、また、第3アーム部53の先端部に第3マーカブロック23が取り付けられ、また、第4アーム部54の先端部に第4マーカブロック24が取り付けられるようになっている。
【0048】
第1マーカブロック21及び第2マーカブロック22は上下方向に互いに間隔をあけて配置されるとともに、第1マーカブロック21及び第2マーカブロック22の間の中央部にスキャナ部60が配置される。したがって、第1マーカブロック21及び第2マーカブロック22は、スキャナ部60を中心に位置付けた状態で上下方向に並ぶように配置される一対のマーカブロックを構成している。
【0049】
また、第3マーカブロック23及び第4マーカブロック24は左右方向に互いに間隔をあけて配置されるとともに、第3マーカブロック23及び第4マーカブロック24の間の中央部にスキャナ部60が配置される。したがって、第3マーカブロック23及び第4マーカブロック24は、スキャナ部60を中心に位置付けた状態で左右方向に並ぶように配置される一対のマーカブロックを構成している。
【0050】
スキャナ本体20は、スキャナ部60を有している。スキャナ部60は、2つの第1スキャナ光源62、第2スキャナ光源63、第1スキャナ撮像部64、第2スキャナ撮像部65及びテクスチャカメラ66を有している。2つの第1スキャナ光源62は、測定方向(前方)に複数本の線状の光を照射するマルチライン光源であり、光の出射面が測定時における測定対象物Wに対向するように配置されている。第1スキャナ光源62が照射する光をマルチライン光と呼ぶことができ、マルチライン光はパターン光に含まれる。
【0051】
第1スキャナ光源62の上方には、第2スキャナ光源63が取り付けられている。第2スキャナ光源63は、測定方向(前方)に1本の線状の光を照射するシングルライン光源であり、光の出射面が測定時における測定対象物Wに対向するように配置されている。第2スキャナ光源63が照射する光をシングルライン光と呼ぶことができ、シングルライン光もパターン光に含まれる。
【0052】
第1スキャナ光源62及び第2スキャナ光源63は、レーザー光を照射するレーザー光源を有しているが、光源の種類は特に限定されるものではない。また、本例では、合計3つのスキャナ光源62、63が設けられているが、これに限らず、スキャナ光源は1つ以上設けられていればよい。また、パターン光の種類は特に限定されるものではなく、マルチライン光、シングルライン光以外のパターン光をスキャナ光源が照射してもよい。
【0053】
第1スキャナ撮像部64及び第2スキャナ撮像部65は、例えばCMOSセンサ等の受光素子、外部から入射した光を受光素子の受光面に結像させるための光学系等を有している。第1スキャナ撮像部64は、スキャナ光源62、63から上方に離れた部位に取り付けられている。第2スキャナ撮像部65は、スキャナ光源62、63から下方に離れた部位に取り付けられている。第1スキャナ撮像部64及び第2スキャナ撮像部65は、各光軸がスキャナ光源62、63によるパターン光の照射方向に向くように配置されており、これにより、測定方向におけるスキャナ光源62、63により照射したパターン光を撮像し、パターン光を含む輝線画像(本発明の第一画像に相当)を生成することが可能になる。
【0054】
第1スキャナ撮像部64をスキャナ光源62、63の上方、第2スキャナ撮像部65をスキャナ光源62、63の下方に取り付けているので、第1スキャナ撮像部64と第2スキャナ撮像部65との距離を長く確保してステレオ測定法の精度を高めることができる。すなわち、第1スキャナ撮像部64及び第2スキャナ撮像部65の光軸間距離が既知であり、第1スキャナ光源62または第2スキャナ光源63から照射されたパターン光を、第1スキャナ撮像部64及び第2スキャナ撮像部65で同時に撮像して生成されたそれぞれの画像の対応点を求め、ステレオ測定法を利用することにより、対応点の三次元座標を求めることができる。ステレオ測定法は、第1スキャナ撮像部64及び第2スキャナ撮像部65を用いたパッシブステレオであってもよいし、1つのスキャナ撮像部を用いたアクティブステレオであってもよい。特に、測定対象物Wが鏡面反射するものであった場合や、深穴を測定する場合など、第1スキャナ撮像部64及び第2スキャナ撮像部65で生成された画像の一方に、パターン光含まれない場合がある。このような場合は、パターン光が撮影された画像に対応するスキャナ撮像部とスキャナ光源との位置関係に基づき、アクティブステレオ法により三次元座標を算出してもよい。
【0055】
テクスチャカメラ66は、例えばカラー画像を取得可能なCMOSセンサ等の受光素子、外部から入射した光を受光素子の受光面に結像させるための光学系等を有している。テクスチャカメラ66は、第1スキャナ撮像部64と第2スキャナ撮像部65との間に設けられている。テクスチャカメラ66は、光軸が測定時の測定対象物Wに向くように配置されており、測定対象物Wを撮像してテクスチャ画像を生成する。
【0056】
第1マーカブロック21は、複数の方向に面した第1~第7自発光マーカ71~77を有している。第1~第7自発光マーカ71~77は全て同じ構造であり、発光ダイオード(LED)を備えている。第2~第4マーカブロック22~24も第1マーカブロック21と同様に構成されている。すなわち、図3図7に示すように、第2マーカブロック22は、第1~第7自発光マーカ81~87を有しており、また、第3マーカブロック23は、第1~第7自発光マーカ91~97を有しており、また、第4マーカブロック24は、第1~第7自発光マーカ101~107を有している。
【0057】
スキャナ本体20は外装部材110を備えている。外装部材110の前側部分は、第1スキャナ光源62、第2スキャナ光源63、第1スキャナ撮像部64及び第2スキャナ撮像部65を覆うスキャナカバー部111を有している。また、外装部材110の後側部分は、測定作業者が把持する把持部112を有している。
【0058】
把持部112の上端部には、スキャナ部60による測定結果を表示するための表示部113と、スキャナ部60を操作するための操作部114とが設けられている。表示部113は、液晶ディスプレイや有機ELディスプレイ等で構成されている。また、表示面は、測定対象者側に向いており、表示部113の表示内容を見ながら三次元スキャナ2を動かすことができるようになっている。
【0059】
表示部113の表示面側には、タッチ操作可能なタッチパネル113aも設けられている。操作部114は、例えば測定開始ボタン、測定停止ボタン等を含む複数の操作ボタン等で構成されており、表示部113の下方に配置されている。タッチパネル113aも操作部の一部とすることができる。
【0060】
(三次元スキャナ2の回路)
次に三次元スキャナ2の回路について図8に基づいて説明する。三次元スキャナ2は、表示制御部140と、マーカ点灯制御部141と、スキャナ制御部142と、記憶部143とを備えている。表示制御部140は、スキャナ制御部142から出力された信号に基づいて表示部113を制御する部分であり、表示部113に各種画像やユーザインタフェース等を表示させる。表示部113上で行われたユーザによる操作は、タッチパネル113aから出力される信号に基づいてスキャナ制御部142が取得する。
【0061】
マーカ点灯制御部141は、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107(図8では71のみ示している)を制御する部分である。自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107は、マーカ点灯制御部141によって点灯した状態と消灯した状態とに切り替えられるようになっている。マーカ点灯制御部141は、スキャナ制御部142によって制御される。記憶部143には、プログラムやスキャナ部60で撮像された画像等が一時的に記憶可能になっている。さらに、記憶部143には、各自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の配置情報や三次元スキャナ2のキャリブレーションデータが記憶されていてもよい。なお、各自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の配置情報は、三次元スキャナ2の製造時に記憶部143に書き込まれた固有の値であってもよい。キャリブレーションデータは、ユーザによる任意のタイミングで、三次元スキャナ2のスキャナ部60にキャリブレーションプレートを撮像させることで得られたキャリブレーション画像に基づいて算出された可変の値であってもよい。
【0062】
三次元スキャナ2は、スキャナ制御部142によって制御される無線通信部144を備えている。無線通信部144は、三次元スキャナ2以外の機器と通信可能に構成された通信モジュール等である。本例では、無線通信部144を介して三次元スキャナ2が撮像ユニット3と通信し、例えばスキャナ部60で撮像された画像データ等の各種データや、各種信号等の送受信が可能になっている。
【0063】
三次元スキャナ2は、モーションセンサ145を備えている。モーションセンサ145は三次元スキャナ2の加速度、角速度を検知するセンサで構成されており、検出した値はスキャナ制御部142に出力されて各種演算処理に使用される。例えば、モーションセンサ145から出力される値を使用して、三次元スキャナ2の姿勢、即ち第1~第4マーカブロック21~24の姿勢の初期解を求めてマッチング精度を向上させるとともに、姿勢計算時の処理速度を向上させることができる。モーションセンサ145から出力される値を使用した処理は、撮像ユニット3や処理部4で実行されてもよい。
【0064】
三次元スキャナ2は、スキャナ光源制御部146と、スキャナ画像処理部147を備えている。スキャナ光源制御部146は、第1スキャナ光源62及び第2スキャナ光源63を制御する部分である。第1スキャナ光源62及び第2スキャナ光源63は、スキャナ光源制御部146によって点灯した状態と消灯した状態とに切り替えられるようになっている。スキャナ光源制御部146は、スキャナ制御部142によって制御される。また、スキャナ画像処理部147は、第1スキャナ撮像部64、第2スキャナ撮像部65及びテクスチャカメラ66を制御して所定のタイミングで撮像を実行させる。スキャナ画像処理部147には、第1スキャナ撮像部64、第2スキャナ撮像部65及びテクスチャカメラ66で撮像された画像が入力される。スキャナ画像処理部147では、入力された画像に対してエッジデータの抽出等、各種画像処理を実行する。
【0065】
すなわち、スキャナ画像処理部147は、第1スキャナ撮像部64または第2スキャナ撮像部65が生成した輝線画像に対してエッジ抽出処理を行うことでエッジデータ(本発明の第一測定情報に相当)を生成する。第1スキャナ光源62がマルチライン光を照射している場合には、第1スキャナ撮像部64及び第2スキャナ撮像部65は、マルチライン画像を生成する。スキャナ画像処理部147は、マルチライン画像を処理してエッジデータを生成する。
【0066】
無線通信部144は、スキャナ画像処理部147が生成したエッジデータと、トリガ生成部38が生成した当該エッジデータに対応する識別情報と、を紐づけて送信する。すなわち、エッジデータと、このエッジデータを他のエッジデータと区別するための識別情報とが関連付けられている。よって、識別情報に基づいて、所望のエッジデータを特定することができる。無線通信部144は、本発明の第一送信部に相当する。尚、有線通信により、エッジデータと識別情報とを送信してもよい。
【0067】
無線通信部144による無線通信は、無線通信部36による無線通信と同様、2系統の通信手段によって実現されてもよい。第一の通信手段は、電磁波として可視光又は不可視光(例えば赤外線)を使った光通信である。第二の通信手段は、Bluetooth(登録商標)通信または無線LAN通信のような電波を使った短距離デジタル無線通信である。光通信は、その特性として、指向性が高く情報転送に要する時間は正確である。このことから、トリガ生成部38により生成されたトリガ信号は、無線通信部144の第一の通信手段を介して受信してもよい。また、電波を使った無線通信は、その特性として、情報転送に要する時間は不定であるが、データ容量の大きな情報を送受信することが可能である。そこで、スキャナ画像処理部147が生成したエッジデータは、無線通信部144の第二の通信手段を介して送信されてもよい。
【0068】
また、撮像ユニット3のトリガ生成部38では、測定指示に基づいて、同期実行のタイミングを規定するトリガ信号を生成する。トリガ生成部38により生成されるトリガ信号により、撮像ユニット3のスキャナ撮像用カメラ32や基準カメラ34、発光体31bが同期して制御される。また、トリガ生成部38により生成されたトリガ信号は、トリガ管理部38aに送信される。トリガ管理部38aは、トリガ信号の受信に応じて、トリガ信号を識別するための識別情報を生成する。トリガ管理部38aは、例えばリングバッファまたはカウンタを有し、リングバッファまたはカウンタにより、生成した識別情報を管理する。トリガ管理部38aは、トリガ信号の受信に応じてリングバッファまたはカウンタを参照し、次のバッファ領域に対応する情報やカウンタに保持されている値に所定の演算を行うことで得られた情報を、受信したトリガ信号に対応する識別情報として生成する。この識別情報は、トリガ生成部38により生成されたトリガ信号を一意に識別するものであるため、トリガIDということもできる。例えば、測定作業者が所定の測定開始操作を行うと、撮像ユニット3の本体制御部33が測定開始操作を受け付ける。本体制御部33は、測定開始操作を受け付けると、トリガ生成部38に、上記トリガ信号を生成させる。トリガは、例えば無線通信部36またはコネクタCONに接続される通信ケーブルを介して三次元スキャナ2に送信される。なお、当該通信ケーブルを介して三次元スキャナ2で撮像された画像データ等の各種データや、各種信号等の送受信がされてもよい。三次元スキャナ2と撮像ユニット3とを無線で接続することにより、ケーブルなどの制約を受けることがなくなるため、三次元スキャナ2の可搬性を高めるとともに、測定領域を拡張することができる。また、三次元スキャナ2と撮像ユニット3とを無線で接続することにより、高速化・大容量な通信が可能になるとともに、バッテリのような電力源を収容する必要がなく軽量化が可能となる。
【0069】
撮像ユニット3のトリガ生成部38で生成されたトリガ信号が三次元スキャナ2へ送信されると、三次元スキャナ2の無線通信部144を介してスキャナ制御部142がトリガ信号を受信する。上記の通り、トリガ生成部38で生成されたトリガ信号は、無線通信部144の光通信を用いる第一の通信手段により受信されてもよい。スキャナ制御部142がトリガ信号を受信すると、スキャナ光源制御部146が第1スキャナ光源62または第2スキャナ光源63からのパターン光の照射を実行し、スキャナ画像処理部147が第1スキャナ撮像部64及び第2スキャナ撮像部65による撮像を実行し、マーカ点灯制御部141が自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107を発光させる。第1スキャナ光源62または第2スキャナ光源63からのパターン光の照射と、第1スキャナ撮像部64及び第2スキャナ撮像部65による撮像と、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の発光とは同期させる。
【0070】
要するに、撮像ユニット3の本体制御部33と、三次元スキャナ2のスキャナ制御部142とが共働し、トリガ生成部38によりトリガ信号が生成されたことに応じて、スキャナ光源62、63からのパターン光の照射と、スキャナ撮像部64、65による撮像と、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の発光と、可動撮像部3Aによる撮像とを同期させる。よって、本体制御部33及びスキャナ制御部142により、本発明の測定制御部が構成されている。尚、1つの測定制御部により、スキャナ光源62、63からのパターン光の照射と、スキャナ撮像部64、65による撮像と、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の発光と、可動撮像部3Aによる撮像とを同期させてもよい。
【0071】
三次元スキャナ2は、表示灯148及び通信制御部149を備えている。表示灯148は、三次元スキャナ2の動作状態を表示するものであり、スキャナ制御部142によって制御される。通信制御部149は、例えば画像データ等の通信の実行処理を行う部分である。
【0072】
(三次元データ生成部)
処理部4は、スキャナ画像処理部147が生成したエッジデータと、カメラ画像処理部35が生成した自発光マーカの中心位置情報と、スキャナ撮像用カメラ32の位置姿勢情報に基づいて、測定対象物Wの三次元形状を示す点群を生成する三次元データ生成部(三次元データ生成手段)43aを備えている。図9における上側の画像100は、第1スキャナ撮像部64及び第2スキャナ撮像部65が生成したマルチライン画像の一例を示している。図9における下側の表100Aは、スキャナ画像処理部147がマルチライン画像を処理して生成したエッジデータの一例を示している。また、図10における上側の画像100Bは、スキャナ撮像用カメラ32が生成したマーカ画像の一例を示している。図10における下側の表100Cは、カメラ画像処理部35がマーカ画像を処理して生成した中心位置情報の一例を示している。
【0073】
表100A及び表100Cに示すように、スキャナ撮像部64、65により撮像された画像に代えてエッジデータを送信し、また、スキャナ撮像用カメラ32により撮影された画像に代えて自発光マーカの中心位置情報を送信することで、画像データを圧縮して必要な情報を送信できる。また、エッジデータ抽出処理の際にサブピクセル処理を行うことにより、画像データを圧縮するだけでなく、より高精度なデータを送信することもできる。なお、パッシブステレオ法により三次元座標を算出する場合、第1スキャナ撮像部64により生成されたパターン画像から算出された第1エッジデータと、第2スキャナ撮像部65により生成されたパターン画像から算出された第2エッジデータの各々に同一の識別情報を付与して送信することができる。
【0074】
ここで、エッジデータは、第1スキャナ撮像部64と第2スキャナ撮像部65が生成した各々のマルチライン画像について算出される。エッジデータは、マルチライン画像の各Y座標について、輝度値の変化を特定し、輝度値の変化に対して微分処理などの算術処理を行うことで算出される。すなわち、エッジデータとは、各Y座標における輝線の位置(X座標)を示すデータである。図9に示す例では、各Y座標について、輝度値がピークとなるX座標(ピーク位置)がX座標1からX座標15までの15点算出されている。また、エッジ幅とは、輝度値のピーク幅であり、ピーク値とは、各X座標でのピーク高さのことである。エッジ幅やピーク値は信頼性情報ということもでき、後述の三次元座標の算出に用いられる。このように、各々のY座標におけるピーク位置と信頼性情報とを含むエッジデータがマルチライン画像から生成され、各々のマルチライン画像から生成されたエッジデータが三次元データ生成部43aに送信される。
【0075】
また、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の中心位置情報は次の方法で生成される。まず、カメラ画像処理部35は、三次元スキャナ2の記憶部143から、各自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の配置情報を取得する。そして、カメラ画像処理部35は、三次元スキャナ2の記憶部143から取得した自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の配置情報とカメラ画像処理部35により生成されたマーカ画像に含まれるマーカ間の相対的な三次元位置情報とに基づいて、撮像ユニット3に対する三次元スキャナ2の相対的な位置や姿勢を変化させたときに、各マーカが撮像ユニット3によりどのような位置に撮像されるのかを算出し、算出された各マーカ位置と画像102のマーカ位置とをマッチングさせる。そして、算出された各マーカ位置と画像102のマーカ位置との誤差が最も小さくなる撮像ユニット3に対する三次元スキャナ2の相対的な位置姿勢が算出され、表100Cに示す自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の中心位置情報として生成される。すなわち、カメラ画像処理部35は、仮想的に三次元スキャナ2の位置姿勢を変化させることで、三次元スキャナ2の記憶部143から取得した自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の配置情報を仮想的に変化させ、カメラ画像処理部35により生成されたマーカ画像とマッチングする位置姿勢を算出し、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の中心位置情報を生成する。この位置姿勢情報の算出処理は、バンドル調整と言われるものであってもよい。ここで、マッチングにはマーカ画像に含まれる自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の一部を代表マーカとして選択的に使用してもよい。円形状の自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107は、三次元スキャナ2の位置姿勢によっては楕円形状になる。そこで、一例として、マーカ画像に含まれる自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の長辺と短辺の長さの比率である扁平率を用い、扁平率が所定の値以下の場合には計算対象に含めず、扁平率が所定の値以上の自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107を代表マーカとしてもよい。また、マーカブロックの中で真円に近いものを代表マーカとして選択してもよい。このように計算対象となる自発光マーカを代表マーカに限定することで、計算速度を向上させるとともに、測定精度の低下を抑制できる。
【0076】
ここで算出される自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の中心位置情報は、スキャナ撮像用カメラ32を基準としたものである。そこで、カメラ画像処理部35は、基準カメラ34を基準としたスキャナ撮像用カメラ32の位置姿勢情報と、スキャナ撮像用カメラ32を基準とした三次元スキャナ2の位置姿勢情報とに基づいて、基準カメラ34を基準とした三次元スキャナ2の位置姿勢情報を算出することで、基準カメラ34を基準とした自発光マーカの中心位置情報を生成する。
【0077】
なお、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の中心位置情報の生成の際に、モーションセンサ145から出力される値を使用して、三次元スキャナ2の姿勢、即ち第1~第4マーカブロック21~24の姿勢の初期解を求めてマッチング精度を向上させるとともに、姿勢計算時の処理速度を向上させることができる。
【0078】
撮像が実行されると、三次元データ生成部43aは、スキャナ画像処理部147が生成したエッジデータと、当該エッジデータに対応する識別情報と、カメラ画像処理部35が生成した自発光マーカの中心位置情報と、当該自発光マーカの中心位置情報に対応する識別情報とを受信する。また、三次元データ生成部43aは、予め三次元スキャナ2の記憶部143から、キャリブレーションデータを取得し、取得したキャリブレーションデータを処理部4の記憶部45に保存しておいてもよい。そして、三次元データ生成部43aは、エッジデータと、当該エッジデータに対応する識別情報と、自発光マーカの中心位置情報と、当該自発光マーカの中心位置情報に対応する識別情報および処理部4の記憶部45に保存された三次元スキャナ2のキャリブレーションデータとに基づいて測定対象物Wの三次元形状を示す点群を生成する。三次元スキャナ2のマーカ配置は個体ごとにばらつきが存在する。このように、測定対象物Wの三次元形状を示す点群を生成する際に、三次元スキャナ2の記憶部143から取得したキャリブレーションデータを用いることで、個体ごとにばらつきによる影響を抑制し、三次元測定に用いられている個体に応じた点群を生成できる。
【0079】
三次元データ生成部43aは測定対象物Wの三次元形状を示す点群を生成する際に、エッジデータに含まれる信頼性情報を用いてもよい。すなわち、信頼性情報であるエッジ幅やピーク値の大きさに基づいて、各(X,Y)の座標の組が有効値であるか無効値であるかを判定し、有効値であると判定された座標の組を用いて点群を生成してもよい。
【0080】
具体的には、処理部4は、まず、カメラ画像処理部35が生成した第1エッジデータと第2エッジデータの対応点を特定する。すなわち、第1エッジデータに含まれる各(X,Y)の座標の組に対して、第2エッジデータに含まれる(X,Y)の座標の組から対応する座標を特定する。ここでは、三次元空間において各座標の組をマッチングする。なお、一方のエッジデータを他方のパターン画像上に投影し、最も近いエッジデータを対応点として特定してもよい。そして、第1エッジデータと第2エッジデータとで対応する座標の組を用いて三角測距法による座標算出を行う。この座標算出をエッジデータに含まれる各々の座標の組について実行し、三次元スキャナ2のスキャナ撮像部64、65を基準とした測定対象物Wの点群を生成する。三次元スキャナ2のスキャナ撮像部64、65と、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の位置関係は予め既知であるので、基準カメラ34を基準とした自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の中心位置情報と、スキャナ撮像部64、65を基準とした測定対象物Wの点群とに基づいて、基準カメラ34を基準とした測定対象物Wの点群を生成する。
【0081】
本例では、図2に示すように、撮像ユニット3に、スキャナ画像処理部147が生成したエッジデータを順次蓄積するメモリ39aと、エッジデータと自発光マーカの中心位置情報とを識別情報に基づいて対応付ける対応付け部39bとを備えている。例えば、複数の測定対象物Wを順次測定する場合や、同一の測定対象物Wの異なる部位を順次測定する場合には、スキャナ画像処理部147がエッジデータを複数生成することになる。生成された複数のエッジデータにはそれぞれ互いに異なる識別情報が紐づけられた状態で、三次元スキャナ2の無線通信部144から撮像ユニット3に送信される。三次元スキャナ2の無線通信部144から送信された複数のエッジデータは、識別情報が紐づけられた状態で、撮像ユニット3のメモリ39aに蓄積される。
【0082】
三次元形状を示す点群を三次元データ生成部43aに生成させる際に、対応付け部39bは、三次元データ生成部43aに送信する自発光マーカの中心位置情報を特定する。対応付け部39bは、特定した自発光マーカの中心位置情報に紐づけられた識別情報を有するエッジデータをメモリ39aに蓄積された複数のエッジデータの中から特定する。その後、対応付け部39bは、特定したエッジデータと、自発光マーカの中心位置情報とを対応付ける。撮像ユニット3の通信部37は、対応付け部39bが特定したエッジデータと、自発光マーカの中心位置情報と対応付けた状態で、三次元データ生成部43aに送信する。すなわち、自発光マーカの中心位置情報の生成と、エッジデータの生成とは、処理内容が異なるので、処理が終わるタイミングが両者で異なる場合があるが、本例のようにトリガIDによって同期を取ることで、処理が終わるタイミングのずれに関係なく、対応するもの同士で三次元形状を示す点群を生成できる。
【0083】
(三次元測定装置1による測定)
次に、上述のように構成された三次元測定装置1による測定対象物Wの三次元形状の測定手順について図11に示すフローチャートに基づいて説明する。測定作業者は、三次元スキャナ2の把持部112を持ってスキャナ部60を測定対象物Wに向けてから、操作部114に含まれている測定開始ボタンを操作する。すると、ステップSA1で撮像ユニット3のトリガ生成部38がトリガ信号を発行する。また、トリガ生成部38によるトリガ信号の生成に応じて、トリガ管理部38aが当該トリガ信号に対応する識別情報を生成する。この識別情報は、トリガ信号が発行されたタイミングを識別するためのIDの役割をトリガ信号に対して果たす。
【0084】
撮像ユニット3が発行したトリガ信号は、撮像ユニット3の無線通信部36またはコネクタCONに接続される通信ケーブルを介して三次元スキャナ2に送信される。そして、三次元スキャナ2の無線通信部144または通信ケーブルを介して通信制御部149によりトリガ信号が受信される。三次元スキャナ2は通信制御部149によりトリガ信号を受信すると、三次元スキャナ2のトリガ管理部150により、トリガ信号に対応する識別情報を生成する。ステップSA2において、三次元スキャナ2のスキャナ制御部142はマーカ点灯制御部141に発光指示を出力し、マーカ点灯制御部141が自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107を発光させる。ステップSA3では、三次元スキャナ2のスキャナ制御部142がスキャナ光源制御部146に発光指示を出力し、スキャナ光源制御部146が第1スキャナ光源62または第2スキャナ光源63を発光させる。第1スキャナ光源62及び第2スキャナ光源63のいずれを発光させるかは、事前の設定時に予め決められている。
【0085】
また、ステップSA4では、ステップSA3と同時に、三次元スキャナ2のスキャナ制御部142がスキャナ画像処理部147に撮像指示を出力し、スキャナ画像処理部147が第1スキャナ撮像部64及び第2スキャナ撮像部65に撮像を実行させる。ステップSA5では、第1スキャナ撮像部64及び第2スキャナ撮像部65の撮像により、輝線画像を取得する。輝度画像にはトリガID(識別情報)が紐づけられている。ステップSA6では、輝線画像をスキャナ画像処理部147に入力し、スキャナ画像処理部147が輝線画像からエッジデータを抽出する。エッジデータには識別情報であるトリガIDが付与されており、トリガIDが付与されたエッジデータは、三次元スキャナ2の無線通信部144を介して撮像ユニット3の無線通信部36で受信される。
【0086】
上記のような構成により、第1スキャナ光源62及び第2スキャナ光源63の点灯と、第1スキャナ撮像部64及び第2スキャナ撮像部65による撮像と、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の点灯と、スキャナ撮像用カメラ32によるプローブ2の自発光マーカの撮像と、可動ステージ31の発光体31bの点灯と、基準カメラ34による発光体31bの撮像とがトリガ信号を介して同期して実行される。
【0087】
一方、撮像ユニット3では、ステップSA1でトリガ信号を発行した後、ステップSA7に進んで本体制御部33がカメラ画像処理部35に撮像指示を出力し、カメラ画像処理部35がスキャナ撮像用カメラ32に撮像を実行させる。このとき、第1~第4マーカブロック21~24の各々が、複数の方向に向けて発光する自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107を有しているので、三次元スキャナ2の向きや姿勢が様々に変化しても、測定に必要な数のマーカが撮像ユニット3のスキャナ撮像用カメラ32に向くように配置される。したがって、ステップSA8では、スキャナ撮像用カメラ32が、複数の自発光マーカを含むマーカ画像を取得することができる。また、スキャナ撮像用カメラ32の撮像と、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の発光とがトリガ信号に同期して実行されるため、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の発光時間を短くすることができる。これにより自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の発光によりスキャナ本体20の内部に発生する熱を抑制できる。なお、マーカ画像にはトリガIDが紐づけられている。
【0088】
ステップSA9では、撮像ユニット3のカメラ画像処理部35にマーカ画像を入力し、カメラ画像処理部35がマーカ画像座標を抽出し、また、ステップSA10では、マーカ外部パラメータを算出する。マーカ外部パラメータは、6軸のパラメータである。なお、ステップSA9で抽出されるマーカ外部座標およびステップSA10で算出されるマーカ外部パラメータには、識別情報であるトリガIDが付与されている。そして、ステップSA10では、三次元スキャナ2から送信されたエッジデータと、マーカ画像座標とのデータマッチングをトリガIDに基づいて実行する。データマッチングの詳細については後述する。
【0089】
ステップSA12では、ステップSA11で得られたデータを、通信部37を介して処理部4の通信部46に送信する。ステップSA13では、処理部4の制御部43が、撮像ユニット3から送信されたデータを処理する。ステップSA14では、三次元データ生成部43aが三次元点群化を実行する。これにより、測定対象物Wの三次元形状が得られる。
【0090】
(データマッチングの詳細)
図12は、データマッチングの処理手順の一例を示すフローチャートである。ステップSB1では、図11に示すフローチャートのステップSA10で算出したマーカ外部パラメータデータを撮像ユニット3が取得する。また、ステップSB2では、図11に示すフローチャートのステップSA6で抽出したエッジデータを三次元スキャナ2が取得し、撮像ユニット3に送信する。ステップSB3では、ステップSB1で取得したマーカ外部パラメータデータと、ステップSB2で取得したエッジデータを撮像ユニット3が一時保存する。
【0091】
ステップSB4では、予め付与されているトリガIDに基づいてマーカ外部パラメータデータとエッジデータのID照合を実行する。ステップSB5では、トリガIDが一致するか否かを判定する。トリガIDが一致する場合には、ステップSB6でマーカ外部パラメータデータとエッジデータとを紐づける。トリガIDが一致しない場合には、ステップSB7でマーカ外部パラメータデータとエッジデータとを廃棄する。ステップSB6の後、ステップSB8では処理部4へのデータ送信処理を実行する。ステップSB9では処理部4がデータを受信する。
【0092】
(テクスチャ画像の生成)
三次元スキャナ2は通信制御部149によりテクスチャ取得用のトリガ信号を受信すると、スキャナ制御部142はテクスチャカメラ66を制御して撮像を実行させることができる。なお、トリガ信号は、三次元形状測定用のトリガ信号とテクスチャ取得用のトリガ信号とを区別してもよく、一部または全部を共用してもよい。三次元形状測定用のトリガ信号とテクスチャ取得用のトリガ信号とを区別してもよく、一部または全部を共用することにより、スキャナ撮像部64、65による撮像と、テクスチャカメラ66による撮像の同期性を高めることができる。また、テクスチャ取得用のトリガ信号は、処理部4の操作入力部42により受け付けられた操作信号に応じて撮像ユニット3のトリガ生成部38で生成されてもよい。
【0093】
テクスチャ取得用のトリガ信号が生成されると、基準カメラ34は、発光体31bの画像を撮像する。そして、カメラ画像処理部35は、撮像ユニット3の記憶部39cに記憶された発光体31bの配置情報を取得し、発光体31bの配置情報に基づいて基準カメラ34が生成した発光体31bの画像を処理して基準カメラ34に対するスキャナ撮像用カメラ32の位置姿勢情報を生成する。
【0094】
スキャナ撮像用カメラ32は、三次元スキャナ2の自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107を含むマーカ画像を生成する。また、基準カメラ34は、可動撮像部3Aに設けられた複数の発光体31bを撮像して当該発光体31bを含む画像を生成する。そして、撮像ユニット3のカメラ画像処理部35は、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107を含むマーカ画像と、三次元スキャナ2の記憶部143から取得した自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の配置情報とに基づいて、スキャナ撮像用カメラ32を基準とした三次元スキャナ2の位置姿勢情報を算出する。また、これにより、基準カメラ34を基準とした三次元スキャナ2の位置姿勢を算出する。
【0095】
また、テクスチャ取得用のトリガ信号の生成に同期して、三次元スキャナ2のテクスチャカメラ66が制御され、テクスチャ画像が生成される。ここで生成されるテクスチャ画像は、テクスチャカメラ66を基準としたものである。三次元スキャナ2のテクスチャカメラ66と、自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の位置関係は予め既知であるので、基準カメラ34を基準とした三次元スキャナ2の位置姿勢(自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107の中心位置情報)と、テクスチャカメラ66を基準とした測定対象物Wのテクスチャ画像とに基づいて、基準カメラ34を基準とした測定対象物Wの点群にテクスチャ画像を重畳することができる。
【0096】
(実施形態の作用効果)
以上説明したように、例えば測定作業者による測定指示に基づいて、識別情報としてのトリガ信号がトリガ生成部38で生成されると、スキャナ光源62、63がパターン光を照射し、スキャナ撮像部64、65がパターン光を含む輝線画像を生成する。また、三次元スキャナ2の自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107が発光して撮像ユニット3のスキャナ撮像用カメラ32が複数の自発光マーカ71~77、81~87、91~97、101~107を含むマーカ画像を生成する。これらはトリガ信号に基づいて同期して実行される。
【0097】
スキャナ撮像部64、65が生成した輝線画像が処理されることによって生成されたエッジデータは、当該エッジデータに対応する識別情報と紐づけられて三次元データ生成部43aで受信される。また、スキャナ撮像用カメラ32が生成したマーカ画像が処理されることによって生成された自発光マーカの中心位置情報は、識別情報と紐づけられて三次元データ生成部43aで受信される。これにより、三次元データ生成部43aでは、同じタイミングで取得されたエッジデータと自発光マーカの中心位置情報との組み合わせを誤ることなく、エッジデータと自発光マーカの中心位置情報に基づいて測定対象物Wの三次元形状を示す点群を生成することができる。つまり、輝線画像を処理したエッジデータ、マーカ画像を処理した自発光マーカの中心位置情報を三次元データ生成部43aに送信すればよいので、輝線画像、マーカ画像のような画像データをそのまま送信する場合に比べてデータ量が少なくなり、高フレームレートでの送信が可能になるので、三次元スキャナ2により高速なスキャンを実現できる。
【0098】
上述の実施形態はあらゆる点で単なる例示に過ぎず、限定的に解釈してはならない。さらに、特許請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本発明の範囲内のものである。
【0099】
例えば、トリガ信号を三次元スキャナ2で生成し、撮像ユニット3に送信してもよい。また、トリガ信号を処理部4で生成し、三次元スキャナ2及び撮像ユニット3に送信してもよい。
【産業上の利用可能性】
【0100】
以上説明したように、本発明は、各種測定対象物の三次元形状を測定する場合に利用できる。
【符号の説明】
【0101】
1 三次元測定装置
2 三次元スキャナ
3 撮像ユニット
3A 可動撮像部
33 本体制御部(測定制御部)
35 カメラ画像処理部
37 通信部(第二送信部)
38 トリガ生成部(同期手段)
38a トリガ管理部(同期手段)
39a メモリ
39b 対応付け部
43a 三次元データ生成部(三次元データ生成手段)
62、63 スキャナ光源
64、65 スキャナ撮像部
71~77 第1~第7自発光マーカ
142 スキャナ制御部(測定制御部)
144 無線通信部(第一送信部)
147 スキャナ画像処理部
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12