(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111994
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】マルチコアファイバ接続部品
(51)【国際特許分類】
G02B 6/04 20060101AFI20240813BHJP
G02B 6/02 20060101ALI20240813BHJP
G02B 6/26 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
G02B6/04 B
G02B6/02 461
G02B6/26 301
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016791
(22)【出願日】2023-02-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-15
【国等の委託研究の成果に係る記載事項】(出願人による申告)令和2年度、経産省、「戦略的基盤技術高度化支援事業」に基づく研究「データセンタボード内光配線用異径ダブル・マルチコア光ファイバの製造技術の研究開発」、産業技術力強化法第19条の摘要を受ける特許出願
(71)【出願人】
【識別番号】502191550
【氏名又は名称】フォトニックサイエンステクノロジ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100119677
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 賢治
(74)【代理人】
【識別番号】100160495
【弁理士】
【氏名又は名称】畑 雅明
(74)【代理人】
【識別番号】100173716
【弁理士】
【氏名又は名称】田中 真理
(74)【代理人】
【識別番号】100115794
【弁理士】
【氏名又は名称】今下 勝博
(72)【発明者】
【氏名】須田 俊央
(72)【発明者】
【氏名】藤井 雄介
(72)【発明者】
【氏名】小林 壮一
【テーマコード(参考)】
2H137
2H250
【Fターム(参考)】
2H137BA13
2H137BA15
2H137BA18
2H137BA21
2H137BA23
2H137CA15A
2H137EA09
2H250AB05
2H250AC04
2H250AC12
2H250AC13
2H250AC32
2H250AC33
2H250AC37
2H250AC64
2H250AC83
2H250AC94
2H250AC95
2H250AD17
2H250AD32
2H250AD34
2H250AH31
2H250AH47
2H250AH50
2H250BA03
2H250CA02
2H250CA32
2H250CA67
2H250CC00
2H250CD22
2H250CZ09
(57)【要約】
【課題】本発明は、マルチコアファイバのファンイン/ファンアウトを低損失に実現可能にすることを目的とする。
【解決手段】本発明は、複数のダブルコアファイバと、前記複数のダブルコアファイバの先端を保持する保持部と、マルチコアファイバのコアに応じた配置で前記複数のダブルコアファイバを保持するキャピラリーと、を備え、前記複数のダブルコアファイバは、前記キャピラリーと溶着され、前記キャピラリーは、前記保持部に接続されている先端部から前記保持部に接続されていない後端部にかけて外径が縮小するテーパ部を備え、前記後端部に前記マルチコアファイバが形成されているマルチコアファイバ接続部品である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のダブルコアファイバと、
前記複数のダブルコアファイバの先端を保持する保持部と、
マルチコアファイバのコアに応じた配置で前記複数のダブルコアファイバを保持するキャピラリーと、
を備え、
前記複数のダブルコアファイバは、前記キャピラリーと溶着され、
前記キャピラリーは、前記保持部に接続されている先端部から前記保持部に接続されていない後端部にかけて外径が縮小するテーパ部を備え、
前記後端部に前記マルチコアファイバが形成されている、
マルチコアファイバ接続部品。
【請求項2】
前記テーパ部における前記先端部から前記後端部への縮小率は、6以上9以下である、
請求項1に記載のマルチコアファイバ接続部品。
【請求項3】
前記テーパ部における前記先端部から前記後端部への縮小率は、6.45以上である、
請求項1に記載のマルチコアファイバ接続部品。
【請求項4】
前記テーパ部における前記先端部から前記後端部への縮小率は、7.81以下である、
請求項1に記載のマルチコアファイバ接続部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マルチコアファイバのファンイン/ファンアウトの可能なマルチコアファイバ接続部品に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、マルチコアファイバによる海底ケーブルの大容量化を実現するため、マルチコアファイバにおける各コアの伝搬光が低損失で単心のシングルモードファイバにファイバファンイン/ファンアウト可能な、シングルモードファイバのコアとクラッドの比屈折率差を大きくする設計がなされている。
【0003】
従来から、このような要求に応じるマルチコアファイバ内のファイバ同士のクロストークを低減でき、かつ全体として接続損失を低減できるマルチコアファイバ接続部品が課題であった(例えば、特許文献1参照。)。
【0004】
特許文献1では、シングルモードファイバの屈折率分布は単峰型であり、シングルモードファイバのクラッドに対するコアの比屈折率差は0.8%以上である。さらに特許文献1では、延伸部の延出方向の端部におけるモードフィールド径は、マルチコアファイバの端部のモードフィールド径より大きい。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1の構造は、延伸部においてシングルモードファイバからマルチコアファイバになった時点で多くの放射損失が発生する。
【0007】
そこで、本発明は、マルチコアファイバのファンイン/ファンアウトを低損失に実現可能にすることを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明のマルチコアファイバ接続部品は、上述した事情に鑑みてなされたもので、複数のダブルコアファイバがキャピラリーに溶着され、キャピラリーの端部がマルチコアファイバになっている。ダブルコアファイバ側はMPOコネクタを介してシングルモードファイバと主に第一コアと低損失に接続され、マルチコアファイバ側はコネクタを介して主に第二コアと低損失に接続される。
【0009】
具体的には、本発明のマルチコアファイバ接続部品は、
複数のダブルコアファイバと、
前記複数のダブルコアファイバの先端を保持する保持部と、
マルチコアファイバのコアに応じた配置で前記複数のダブルコアファイバを保持するキャピラリーと、
を備え、
前記複数のダブルコアファイバは、前記キャピラリーと溶着され、
前記キャピラリーは、前記保持部に接続されている先端部から前記保持部に接続されていない後端部にかけて外径が縮小するテーパ部を備え、
前記後端部に前記マルチコアファイバが形成されている。
【0010】
前記複数のダブルコアファイバは、中心に備わる第一コアと前記第一コアの周囲に配置されている第二コアとの比屈折率差Δ1は、シングルモードファイバのコアとクラッドの比屈折率差と同等である。例えば、比屈折率差Δ1は、0.32%以上0.36以下である。
このときシングルモード条件を満たすために第一コアのコア径は8.0μm以上10μm以下である。比屈折率差Δ1をシングルモードファイバのコアとクラッドの比屈折率差と同等にしている。このため、本発明のマルチコアファイバ接続部品は、シングルモードファイバとの接続損失を極めて低くすることができる。
【0011】
前記複数のダブルコアファイバは、前記第二コアとクラッドの比屈折率差Δ2が比屈折率差Δ1よりも大きい。例えば、比屈折率差Δ2は、0.4%以上0.6%以下である。
このとき、マルチコアファイバとの間でシングルモード条件を満たすためには、前記後端部における前記第二コアのコア径は8.0μm以上10μm以下である。前記テーパ部において外径が縮小することによって、前記第一コアのコア径が波長以下と細くなり、伝搬光分布が前記第二コアに移る。しかし、前記第二コアとクラッドの比屈折率差Δ2の設定によって、前記第一コアの伝搬光を前記第二コアに閉じ込めることができる。このため、本発明のマルチコアファイバ接続部品は、前記後端部をマルチコアファイバと低損失で結合することが可能である。
【0012】
前記テーパ部における前記先端部から前記後端部への縮小率は、6以上9以下の任意の値でありうる。この数値範囲にすることによって、前記複数のダブルコアファイバの前記第一コアとシングルモードファイバとの接続においてシングルモード条件を満たし、かつ、前記キャピラリーの前記後端部とマルチコアファイバとの接続においてシングルモード条件を満たすことができる。
【0013】
さらに、前記縮小率が6.45以上であるとき、前記複数のダブルコアファイバの前記第一コアのコア径が、前記テーパ部の前記後端部において、波長1.55μm以下になる。このため、前記縮小率が6.45以上であることで、前記第一コアにおける伝搬光分布を前記後端部で前記第二コアに移すことができる。
【0014】
また、前記縮小率が7.81であるとき、前記第二コアのコア径は、前記テーパ部の前記後端部において、ダブルコアファイバのファイバ径の半分以下になる。ダブルコアファイバの製造上の観点から、前記第二コアのコア径は、ダブルコアファイバのファイバ径の半分以下であることが望ましい。そこで、前記縮小率は7.81以下であることが望ましい。
【0015】
前記後端部は、マルチコアファイバフェルールに装着されていてもよいし、マルチコアファイバコネクタのハウジングに装着されていてもよい。一方、単心ダブルコアファイバの先端部は、MPOコネクタに装着された形状を有していてもよい。
【0016】
また前記保持部と前記キャピラリーを接続する前記複数のダブルコアファイバを覆う被覆を備えていてもよい。
【0017】
なお、本発明において、「溶着」とは、キャピラリーと裸の単心ダブルコアファイバが減圧下でアーク放電加熱源により一体化することをいう。また、「延伸」とは溶着された当該キャピラリーがアーク放電加熱源により細くなり外径が125μmになることをいう。「光軸方向」とは、ダブルコアファイバの中心軸方向をいう。
【0018】
なお、上記各発明は、可能な限り組み合わせることができる。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、マルチコアファイバのファンイン/ファンアウトを低損失に実現可能にすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【
図1】本発明の実施形態に係るマルチコアファイバ接続部品の構成例である。
【
図2】本発明の実施形態に係るマルチコアファイバ接続部品の構成例である。
【
図3】単心ダブルコアファイバの屈折率を説明する図である。
【
図4】本発明の一実施形態に係るキャピラリーの寸法を示した図である。
【
図5】ダブルコアファイバの曲げ損失を考慮した時の光軸方向のファイバ長を求める説明図である。
【
図6】本発明の一実施形態の作製工程の説明図である。
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。なお、本発明は、以下に示す実施形態に限定されるものではない。これらの実施の例は例示に過ぎず、本発明は当業者の知識に基づいて種々の変更、改良を施した形態で実施することができる。なお、本明細書及び図面において符号が同じ構成要素は、相互に同一のものを示すものとする。
【0022】
図1は、本発明によるマルチコアファイバ接続部品の一実施形態を示す図である。本実施形態のマルチコアファイバ接続部品は、マルチコアファイバに備わる各コアからの光を単心のシングルモードファイバに接続するマルチコアファイバ用のファンイン/ファンアウト部品である。本発明のマルチコアファイバ接続部品は、MPOコネクタ95、ダブルコアファイバ94、キャピラリー93、マルチコアファイバコネクタ96を備える。
【0023】
図2は、MPOコネクタ95のハウジング及びマルチコアファイバコネクタ96を除いた本発明によるマルチコアファイバ接続部品の一実施形態を示す図である。ダブルコアファイバ94によってMT(Mechanically Transferable)フェルール92及びキャピラリー93が接続されている。MTフェルール92は、複数のダブルコアファイバ94の先端を保持する保持部として機能する。
【0024】
本実施形態では、4本のダブルコアファイバ94を備える例を示す。各ダブルコアファイバ94の先端は、MTフェルール92の接続端に配置されている。これにより、本発明のマルチコアファイバ接続部品は、MTフェルール92に4本のシングルモードファイバを接続することで、マルチコアファイバに備わる各コアからの光をシングルモードファイバに接続することができる。
【0025】
図3に、ダブルコアファイバ94の屈折率分布の一例を示す。ダブルコアファイバ94は、屈折率n1の第一コア94aの周囲に屈折率n2の第二コア94b配置され、第二コア94bの周囲に屈折率n3のクラッド94cが配置されているダブルコアファイバである。n1、n2、n3の順に屈折率が高い。屈折率n1と屈折率n2の比屈折率差Δ1は、従来のシングルモードファイバのコアとクラッドの比屈折率差と同等な0.36%である。また比屈折率差Δ2はΔ1よりも大きな0.52%である。
【0026】
図4に、キャピラリー93及びダブルコアファイバ94の構成例を示す。MTフェルール92から伸びる各ダブルコアファイバ94は、キャピラリー93に収容されている。キャピラリー93及びダブルコアファイバ94は溶着によって一体に構成されており、先端部31から後端部32に向けて外径がφ
31からφ
32に細くなっているテーパ部33を有する。
【0027】
ここで、キャピラリー93は、マルチコアファイバのコアに応じた配置で複数のダブルコアファイバ94を保持する。このため、4本のダブルコアファイバ94は、テーパ部33によって4本のコアに細径化される。後端部32は、外径が均一なマルチコアファイバ構造になっている。この後端部32には、マルチコアファイバコネクタ96が装着されていてもよい。
【0028】
MTフェルール92におけるダブルコアファイバ94の配置はマルチコアファイバにおける各コアの配置と異なる。そのため、MTフェルール92に接続されている各ダブルコアファイバ94を、マルチコアファイバにおける各コアの配置に整合するよう、曲げ損失を考慮して曲げる必要がある。そこで、本発明では、MTフェルール92からのダブルコアファイバ94がキャピラリー93に接続する際の、MTフェルール92からキャピラリー93までの光軸方向の距離D94を検討した。
【0029】
図5は、ダブルコアファイバ94をキャピラリー93に挿入するための曲がり部分の算出例を示す。ダブルコアファイバ94は、外径φ
cが125μm、第一コア94aのコア径φ
aが9.6μm、第二コア94bのコア径φ
bが56μmである。
【0030】
キャピラリー93には空孔が4個空いており、各々の空孔直径はダブルコアファイバ(外径125μm)が挿入可能な寸法(125μm以上)になっている。MTフェルール92からキャピラリー93に配線されているダブルコアファイバ94を最短に設計するためには、放射損失が生じない曲率半径である許容曲げ半径を用いて、
図5に示す様な配線をすることが求められる。放射損失が生じない曲率半径である許容曲げ半径Rは、シングルモードファイバであれば例えば15mmである。
【0031】
このときキャピラリー93の中心軸からキャピラリー93内の空孔中心位置までの距離を2yとし、光軸方向の距離を2xとするとR=15mmとして2xは式(1)で表される。
2x=2(2Ry-y2)1/2 (1)
【0032】
仮に距離2yを219μmとした場合、曲がり部分の光軸方向の距離2xは3616μmとなる。このため、距離D94は、両端部の余長を左右各々1mm考慮すると、約5.6mmにすることができる。
【0033】
図4に示す様に、キャピラリー93は先端部31、テーパ部33、後端部32からなっている。先端部31はキャピラリー93内の空孔にダブルコアファイバ94を挿入してアーク放電加熱により減圧下で溶着された状態であり、テーパ部33は更に溶着されたキャピラリー93がアーク放電加熱により延伸されマルチコアファイバ寸法に加工された状態であり、後端部32はマルチコアファイバ構造をしている。
【0034】
なお、本実施形態では第一コア94aと第二コア94bとの比屈折率差Δ1が0.36%、第二コア94bとクラッド94cの比屈折率差Δ2が0.52%である例を示したが、本発明はこれに限定されない。例えば、Δ1は、従来のシングルモードファイバのコアとクラッドの比屈折率差と同等な任意の値を採用することができ、例えば0.32%以上0.36%以下にすることができる。また、Δ2は、Δ1よりも大きな値であり、例えば、0.4%以上0.6%以下にすることができる。
【0035】
図6を参照しながら、本発明のマルチコアファイバ接続部品の製造方法について説明する。
(溶着工程)
キャピラリー93の空孔にダブルコアファイバ94を挿入し(
図6(a))、ダブルコアファイバ94とキャピラリー93を溶着する(
図6(b))。溶着は、例えば、系全体又はキャピラリー93の空孔を減圧状態にし、複数の電極81を用いたアーク放電によって行うことができる。溶着後のキャピラリー93の断面図が
図4の左図に相当する。
【0036】
ここで、ダブルコアファイバ94は、MTフェルール92の接続先のシングルモードファイバと接続できるよう、外径φcは125μm、第一コア94aのコア径φaは9.6μmにする。本実施形態の縮小率は7であるため、第二コア94bのコア径φbは、8μmの7倍の56μmにする。
【0037】
また、キャピラリー93の中心軸からダブルコアファイバ94の中心軸までの距離は、
図5に示す2yの値にする。本実施形態の縮小率は7であるため、キャピラリー93の外径φ
31は、マルチコアファイバのファイバ径125μmの7倍の875μmにする。
【0038】
(延伸工程)
キャピラリー93の先端部31を残し、キャピラリー93の途中から延伸する(
図6(c))。例えば、先端部31から1.0mmを残し、延伸し、テーパ部33を形成する(
図6(c))。延伸は、例えば、複数の電極81を用いたアーク放電によって行うことができる。延伸後の後端部32の断面図が
図4の右図に相当する。
【0039】
ここで、延伸後の縮小率は、6以上9以下の任意の値を採用することができ、本実施形態では7を用いる。これによりキャピラリー93の後端部32の断面において第一コア94aのコア径φaを波長より小さい1.37μmにするとともに、第二コア94bのコア径φbを8μmにし、かつキャピラリー93の外径φ32をマルチコアファイバ外径と等しい125μmにしている。テーパ長は任意であるが、例えば1.0mmにすることができる。
【0040】
このとき、後端部32において、波長1.55μmの光に対し、第一コア94aの屈折率が1.4564であり、第二コア94bの屈折率が1.4512であり、第一コア94aと第二コア94bとの比屈折率差Δ1が0.36%であり、第二コア94bとクラッド94cとの比屈折率差Δ2が0.52%である。このため、後端部32では第二コア94bに光の大部分が移動するが、第二コア94bがシングルモード条件を満たしている。尚、前記比屈折率差Δ1及びΔ2の値を得るために石英ガラスに酸化ゲルマニウムを添加剤として、第一コア94aおよび第二コア94bに添加して作製することが望ましい。
【0041】
後端部32の長さは、マルチコアファイバコネクタ96の接続可能な任意の長さを採用でき、例えば1.0mmである。先端部31及びテーパ部33の長さが各1.0mmであるから、キャピラリー93を3mm程度の長さにすることができる。
【0042】
(MTフェルール接続工程)
各ダブルコアファイバ94をMTフェルール92に接続する(
図6(d))。これにより、
図2に示すような本発明によるマルチコアファイバ接続部品を製造することができる。
【0043】
なお、溶着工程の後に、各ダブルコアファイバ94に被覆材を塗布してもよい。これにより、ダブルコアファイバ94の被覆除去前の光ファイバ強度を保存することができる。ここで、被覆内に複数本のダブルコアファイバ94が配置されていてもよい。例えば、許容曲率半径R以上の曲げ半径が維持されるよう、すべてのダブルコアファイバ94を共通の被覆で保護してもよい。
【0044】
ここで、MTフェルール92からキャピラリー93までの光軸方向の距離D94は、各ダブルコアファイバ94において放射損失が生じない曲率半径になるようにする。例えば、本実施形態では、キャピラリー93の後端部32の外径φ32がマルチコアファイバ直径に等しい125μmであり、テーパ部33の縮小率は7である。このため、マルチコアファイバの各コアがマルチコアファイバの半径の半分の位置に配置されている場合、2yは、125μmの7/4倍の219μmとなる。この値のとき、2xは3.6mmとなる。このため距離D94は、余長2mmを追加しても5.9mmとなる。
【0045】
上述の通り、キャピラリー93は3mm程度の長さにすることができる。このため、本発明によるマルチコアファイバ接続部品の構成を採用することで、ダブルクラッドファイバ長を示す距離D94及びキャピラリー長D93を含んでも、8.9mmと短尺にできる。
【0046】
本実施形態では、シングルモード条件を満たす設計となっているため、0.5dB以下の接続損失で第一コア94aをシングルモードファイバに接続し、1dB以下の接続損失で第二コア94bをマルチコアファイバに接続することができる。従って、本発明は低挿入損失の小型マルチコアファイバファンイン/ファンアウト部品が作製可能となる。
【0047】
ここで、テーパ部33の縮小率は、6以上9以下の任意の値を採用することができる。縮小率が6のときの距離D94は3.3mmであり、縮小率が9のときの距離D94は4.0mmである。そのため、本開示を採用することで、余長2mmを追加しても、ダブルクラッドファイバ長を示す距離D94及びキャピラリー長D93を8.3mm以上9.0mm以下にすることができる。
【0048】
MPOコネクタ95及びマルチコアファイバコネクタ96の光軸方向の長さD
95及びD
96はそれぞれ10mm程度であるから、本開示を採用することで、
図1に示す全体の構成であっても28.3mm以上29.0mm以下、すなわち30mm未満にすることができる。
【0049】
よって、本発明は、マルチコアファイバとシングルモードファイバの接続において、マルチコアファイバ接続部品を用いてコネクタ接続が小型、短尺で容易にできる。このため本発明は、マルチコアファイバの心数に関係無く、MPOコネクタを介してリボンファイバとの接続が可能である。
【0050】
また、上述の実施形態では、コア数が4つであり、マルチコアファイバの中心軸から等距離に各コアが配置されているマルチコアファイバである例を示したが、本発明はこれに限定されない。コア数は5つ以上であってもよいし、各コアの配置はマルチコアファイバの中心軸から等距離でなくてもよい。
【符号の説明】
【0051】
31:先端部
32:後端部
33:テーパ部
81:電極
92:MTフェルール
93:キャピラリー
94:ダブルコアファイバ
94a:第一コア
94b:第二コア
94c:クラッド
95:MPOコネクタ
96:マルチコアファイバコネクタ
【手続補正書】
【提出日】2024-03-14
【手続補正1】
【補正対象書類名】特許請求の範囲
【補正対象項目名】全文
【補正方法】変更
【補正の内容】
【特許請求の範囲】
【請求項1】
中心に備わる第一コア、前記第一コアの周囲に配置されている第二コア、及び前記第二コアの周囲に配置されているクラッド、を備える複数のダブルコアファイバと、
前記複数のダブルコアファイバの先端を保持する保持部と、
マルチコアファイバのコアに応じた配置で前記複数のダブルコアファイバを保持するキャピラリーと、
を備え、
前記複数のダブルコアファイバに備わる前記クラッドは、前記キャピラリーと溶着され、
前記キャピラリーは、前記保持部に接続されている先端部から前記保持部に接続されていない後端部にかけて外径が縮小するテーパ部を備え、
前記保持部において、前記第一コアは、シングルモードファイバのコアと接続可能であり、
前記キャピラリーの前記後端部において、前記第二コアは、前記マルチコアファイバのコアとシングルモードで接続可能であり、
前記第二コアと前記クラッドの比屈折率差は0.4%以上0.6%以下である、
マルチコアファイバ接続部品。
【請求項2】
前記キャピラリーの前記先端部における前記第一コアのコア径、及び前記キャピラリーの前記後端部における前記第二コアのコア径は、8.0μm以上10μm以下であり、
前記第一コアと前記第二コアの比屈折率差は0.32%以上0.36以下であり、
前記テーパ部における前記先端部から前記後端部への縮小率は、6以上9以下である、
請求項1に記載のマルチコアファイバ接続部品。
【請求項3】
前記テーパ部における前記先端部から前記後端部への縮小率は、6.45以上である、
請求項1に記載のマルチコアファイバ接続部品。
【請求項4】
前記テーパ部における前記先端部から前記後端部への縮小率は、7.81以下である、
請求項1に記載のマルチコアファイバ接続部品。