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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024111996
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】記録装置
(51)【国際特許分類】
   B41J 2/01 20060101AFI20240813BHJP
   B41J 29/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B41J2/01 301
B41J2/01 127
B41J2/01 451
B41J29/00 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016794
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002369
【氏名又は名称】セイコーエプソン株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001081
【氏名又は名称】弁理士法人クシブチ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】森山 隆司
(72)【発明者】
【氏名】百瀬 嘉彦
(72)【発明者】
【氏名】小林 洋一
【テーマコード(参考)】
2C056
2C061
【Fターム(参考)】
2C056EA22
2C056EB06
2C056EB29
2C056EC06
2C056EC26
2C056FA10
2C056HA44
2C056HA60
2C056KD10
2C061AQ05
2C061BB35
2C061CD01
2C061CF01
(57)【要約】
【課題】記録装置の脱臭に用いる材料の補充や交換を容易にする。
【解決手段】媒体を支持する媒体支持部と、媒体に記録を行う記録部と、媒体に向けて紫外線を照射する照射部と、脱臭を行う脱臭部と、媒体支持部、記録部、照射部、及び、脱臭部を収容する筐体と、を備え、脱臭部は、脱臭体と、脱臭体を覆う脱臭体カバーと、脱臭体カバーに覆われた脱臭体を収容する収容部と、を有し、収容部から脱臭体カバーとともに脱臭体を取り出し可能である、記録装置。
【選択図】図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
媒体を支持する媒体支持部と、
前記媒体に記録を行う記録部と、
前記媒体に向けて紫外線を照射する照射部と、
脱臭を行う脱臭部と、
前記媒体支持部、前記記録部、前記照射部、及び、前記脱臭部を収容する筐体と、を備え、
前記脱臭部は、脱臭体と、前記脱臭体を覆う脱臭体カバーと、前記脱臭体カバーに覆われた前記脱臭体を収容する収容部と、を有し、前記収容部から前記脱臭体カバーとともに前記脱臭体を取り出し可能である、記録装置。
【請求項2】
前記筐体は、前記脱臭部の少なくとも一部を露出させる第1開口を有し、前記第1開口を閉じる第1カバーを備え、
前記第1カバーは、前記筐体を構成する第1面の少なくとも一部を構成する、請求項1に記載の記録装置。
【請求項3】
前記筐体は、前記媒体支持部への前記媒体の載置および取り出しを可能とする第2開口を有し、前記第2開口を閉じる第2カバーを備え、
前記第2カバーは、前記筐体を構成する面において前記第1面とは異なる第2面の少なくとも一部を構成する、請求項2に記載の記録装置。
【請求項4】
前記収容部は蓋部を有し、前記蓋部を開くことにより前記脱臭体を前記脱臭体カバーとともに前記収容部から取り出し可能である、請求項3に記載の記録装置。
【請求項5】
前記蓋部は、複数の蓋部材を折りたたみ可能に連結して構成される、請求項4に記載の記録装置。
【請求項6】
前記第1カバーが閉じているか否かを検出する第1センサーと、
前記第2カバーが閉じているか否かを検出する第2センサーと、
前記蓋部が閉じているか否かを検出する蓋部センサーと、
前記収容部に前記脱臭体が収容されているか否かを検出する脱臭体センサーと、
前記第1センサー、前記第2センサー、前記蓋部センサー、及び、前記脱臭体センサーの検出状態を取得する制御部と、を備える、請求項4に記載の記録装置。
【請求項7】
報知部を備え、
前記制御部は、前記収容部に前記脱臭体が収容されていないこと、及び、前記蓋部が閉じていないことのいずれかが検出されている状態で、前記第1カバーまたは前記第2カバーが閉じられた場合に、前記報知部により報知を行う、請求項6に記載の記録装置。
【請求項8】
前記収容部において前記蓋部を除く面に不燃性材料が配置される、請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の記録装置。
【請求項9】
前記収容部の前記蓋部は不燃性材料が配置される、請求項4から請求項7のいずれか一項に記載の記録装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、記録装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、文字や画像を記録する記録装置において、記録用の材料に起因する臭気を清浄化する機能を有する記録装置が知られている。例えば、特許文献1は、印刷部と、印刷部を収容する筐体と、気体を清浄化する気体清浄部と、を備える印刷装置を開示する。気体清浄部は、筐体の外部に位置し、且つ、排出部と供給部を介して筐体の内部と連通する。この印刷装置は、筐体の内部の気体が有する臭気を、活性炭やオゾン酸化剤等の脱臭剤を用いて分解または除去する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-140530号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
脱臭剤を用いて臭気を分解あるいは除去する構成では、脱臭効果を維持するために、脱臭に用いる材料の補充や交換が必要である。このため、脱臭に用いる材料の補充や交換を容易にすることが望まれていた。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の一態様は、媒体を支持する媒体支持部と、前記媒体に記録を行う記録部と、前記媒体に向けて紫外線を照射する照射部と、脱臭を行う脱臭部と、前記媒体支持部、前記記録部、前記照射部、及び、前記脱臭部を収容する筐体と、を備え、前記脱臭部は、脱臭体と、前記脱臭体を覆う脱臭体カバーと、前記脱臭体カバーに覆われた前記脱臭体を収容する収容部と、を有し、前記収容部から前記脱臭体カバーとともに前記脱臭体を取り出し可能である、記録装置である。
【図面の簡単な説明】
【0006】
図1】実施形態に係る記録装置の斜視図。
図2】記録装置の平面図。
図3】記録装置の斜視図。
図4】脱臭部の斜視図。
図5】脱臭部の斜視図。
図6】脱臭ユニットの斜視図。
図7】脱臭ユニットの要部断面視図。
図8】記録装置の制御系の構成を示すブロック図。
図9】記録装置の動作を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0007】
[1.記録装置の構成]
図1は、実施形態に係る記録装置1の斜視図である。記録装置1は、記録ヘッド89aから液体を吐出することで、媒体支持部30において支持した媒体Mに対して記録を行う装置である。媒体Mは、シート、布、或いは立体物である。シートは、紙、合成樹脂製のシートであってもよい。布は不織布、ニット、布帛のいずれであってもよい。立体物は、衣服や靴などの装飾品、日用品、機械部品、その他の各種の物体を含む。記録装置1が媒体Mに吐出する液体の種類に制限はなく、流動性を有していればよい。例えば、記録装置1は、1つまたは複数の色のインクを記録ヘッド89aによって媒体Mの表面に向けて噴射し、媒体Mに画像を形成するプリンターである。この場合、媒体Mは、印刷媒体ということができる。
【0008】
図1には、X軸、Y軸、及びZ軸を示す。X軸、Y軸、及びZ軸は互いに直交する。Z軸は、上下方向に延びる軸であり、鉛直方向に延びる軸ということもできる。X軸、及び、Y軸は、水平面に平行である。以下の説明において、X軸に沿った方向を左右方向とし、Y軸に沿った方向を前後方向とする。詳細には、Z軸に沿って正方向を上方向とし、X軸に沿って正方向を右方向とし、Y軸に沿って正方向を前方向とする。前方向は、第1方向の一例に対応する。X軸は、第1軸の一例に対応する。Y軸は、第2軸の一例に相当する。Z軸は第3軸の一例に対応し、記録装置1の設置状態において鉛直方向に延びる軸である。
【0009】
記録装置1は、筐体10を備える。筐体10は、略直方体の箱であり、その内部に閉鎖した空間を形成する。筐体10は、後述する媒体支持部30、記録ヘッド89a、照射部89b、第1脱臭部20、および、第2脱臭部50などを覆い、閉鎖した空間に格納する。筐体10は、前面10aおよび上面10bに沿った前面カバー11を備える。前面カバー11は、前面10aおよび上面10bに沿ったカバー本体11a、および、カバー本体11aの下端に連結された把手11bを備える。前面カバー11は、カバー本体11aの後端において、ヒンジによって左右方向を軸に回転可能に筐体10の上面10bに対して連結されている。従って、把手11bが上下方向に動かされることによって、前面カバー11は、前方向から開閉可能である。また、筐体10は、底面10cにおいて、筐体10の設置面に対向する板である底板13を備える。設置面は、図示しない机の天面のような、筐体10が設置される面である。
【0010】
記録装置1は、上面10bの前部に配置されるタッチパネル12を備える。タッチパネル12は、例えば、液晶パネルおよびLEDによって構成される。タッチパネル12は、筐体10の内部に設置される制御部101に接続される。タッチパネル12は、タッチパネル12の表面に対する接触操作を検出するタッチセンサーと、表示パネルと、を重畳して構成される。タッチパネル12の表示パネルは、例えば液晶パネルである。制御部101は、タッチパネル12の表示パネルを制御して、文字や画像を表示させる。また、制御部101は、タッチパネル12に対する接触操作を検出し、接触操作の操作位置を特定する。制御部101は、例えば、記録装置1による記録の進捗状況、記録時に吐出する液体の残量等の情報をタッチパネル12に表示させる。また、制御部101は、後述する第1脱臭部20及び第2脱臭部50の消耗品の交換時期に関する情報を表示させる。制御部101がタッチパネル12に情報を表示させることは報知の一例であり、タッチパネル12は報知部の一例に対応する。
【0011】
図2は、記録装置1の平面図であり、記録装置1の内部構造を模式的に示す。図3は、記録装置1の斜視図である。図3には、説明の便宜のため、前面カバー11を取り除いた状態を示す。
【0012】
図2に示すように、記録装置1は、一対のベース部材15、一対のガイド軸91、第1脱臭部20、媒体支持部30、第2脱臭部50、駆動機構90および、移動部70を備える。ベース部材15は、左右方向に延びる部材である。2本のベース部材15は、底板13の上に前後方向に並べて配置され、底板13に固定される。ガイド軸91は前後方向に延びる軸であり、2本のガイド軸91のそれぞれは、2本のベース部材15に跨がるように、左右方向に並べて配置される。
【0013】
第1脱臭部20及び第2脱臭部50は、筐体10の内部の空気を吸い込み、吸い込んだ空気に含まれる臭気を除去することにより、空気を脱臭して筐体10の外に排気する。第1脱臭部20及び第2脱臭部50の詳細は後述する。
【0014】
媒体支持部30は、記録装置1において記録対象となる媒体Mを支持する。図2から図4に示すように、媒体支持部30は、テーブル31、落下防止板34、および、高さ移動機構32を備える。テーブル31は、平面視で一対のベース部材15および一対のガイド軸91に囲まれる位置に配置される。テーブル31は、X軸およびY軸に沿い、且つ、上方に対向する長方形の面である支持面31mを有する。
【0015】
支持面31mは、媒体支持部30において媒体Mが載置される面であり、支持面31mの上に載置された媒体Mを支持する。図3に示すように、前面カバー11を開いた状態において、支持面31mは筐体10の前方および上方に露出する。そのため、前面カバー11を開いた状態で、媒体支持部30の支持面31mに対し、筐体10の外部の媒体Mを、支持面31mの前方からセットすることができる。また、前面カバー11を開いた状態で、媒体支持部30の支持面31mに載置された媒体Mを、筐体10の外部に取り出すことができる。
【0016】
テーブル31は、支持面31mの四隅の下部において、平面視で支持面31mから外側に突出する突起部31nを備える。テーブル31は、突起部31nが後述の昇降機構39に対して固定されることにより、ベース部材15に対して昇降可能に支持される。
【0017】
落下防止板34は、支持面31mの左側、右側、および後側に接して、鉛直に立設される板状部材である。換言すれば、落下防止板34は、支持面31mに対して垂直であり、且つ、支持面31mの端部に沿って支持面31mを左右方向および後方から囲んでおり、支持面31mの前方は、落下防止板34が無く開放されている。
【0018】
落下防止板34は、例えば、1枚の板金が曲げられることで形成される。落下防止板34は、例えば、支持面31mに比べて顕著に小さい媒体Mが支持面31mから落下しないように、支持面31mの周囲に配置される。支持面31mは、後述するように昇降可能であり、落下防止板34は昇降しないよう固定される。落下防止板34は、高さ方向において、支持面31mの最も低い位置から最も高い位置を含む範囲に延在する。従って、落下防止板34の少なくとも一部は、支持面31mが最も低い位置にある場合に、支持面31mよりも上方に位置するといえる。
【0019】
高さ移動機構32は、テーブル31を上下に昇降させる。高さ移動機構32がテーブル31を昇降させることにより、支持面31mを上下に移動させ、支持面31mに支持された媒体Mを昇降させることができる。高さ移動機構32は、昇降モーター33、昇降ベルト37、および、昇降機構39を備える。昇降機構39は、鉛直方向に沿って配置されたボールねじと、ボールねじに螺合するナットと、プーリーとを有する。昇降機構39のボールねじはベース部材15に回転可能に支持される。昇降機構39のナットはテーブル31の突起部31nに固定される。記録装置1は、例えば、ボールねじ、ナット、及びプーリーを含む1組の昇降機構39を、テーブル31の四隅に設けられる4つの突起部31nのそれぞれに対応して備えている。昇降機構39のプーリーはボールねじの上部に固定される。昇降機構39のプーリーが回転すると、ボールねじが回転し、ボールねじの回転に伴いナットとともに突起部31nが鉛直方向に沿って移動する。
【0020】
昇降モーター33は、制御部101の制御に従って回転するモーターである。制御部101は、昇降モーター33の回転方向、及び、回転量を制御する。昇降ベルト37は、昇降モーター33の出力軸、及び、4つの昇降機構39のプーリーに掛け渡される環状のベルトである。昇降モーター33が回転することによって昇降ベルト37が循環駆動される。昇降ベルト37は、昇降モーター33の回転を4つの昇降機構39のプーリーに伝達する。これにより、昇降機構39のボールねじが回転し、テーブル31を鉛直方向に沿って移動させる。4つの昇降機構39が昇降ベルト37により連動して動作し、テーブル31を移動させるので、例えば、支持面31mの水平を維持したままテーブル31を昇降させることができる。
【0021】
昇降モーター33の回転方向は、テーブル31を上方に移動させる正方向、及び、テーブル31を下方に移動させる逆方向に切り替え可能である。記録装置1は、昇降モーター33を動作させることによって、テーブル31を上昇および下降させる。
【0022】
駆動機構90は、一対のガイド軸91、及び、フレーム駆動部60を有する。ガイド軸91は、一対のベース部材15に掛け渡され前後方向に沿って配置される軸状部材である。
【0023】
フレーム駆動部60は、フレーム移動モーター61と、伝達ベルト63と、変速機構65と、伝達ベルト67と、を備える。フレーム移動モーター61は、制御部101の制御に従って回転するモーターである。伝達ベルト63は、フレーム移動モーター61の出力軸と変速機構65との間に掛け渡される環状のベルトであり、フレーム移動モーター61の駆動力を変速機構65に伝達する。変速機構65は、第1のプーリーと、第2のプーリーとを有し、第1のプーリーには伝達ベルト63が巻き掛けられ、第2のプーリーには伝達ベルト67が巻き掛けられる。変速機構65は、伝達ベルト63から第1のプーリーに伝達される駆動力によって、第2のプーリーを回転させることにより、伝達ベルト67を駆動する。変速機構65は、第1のプーリーと第2のプーリーの径の比に対応する減速比で、フレーム移動モーター61の駆動力を伝達ベルト67に伝達する。
【0024】
伝達ベルト67は、変速機構65と、ベース部材15の後方向の端部に配置されるフレーム移動プーリー17とに掛け渡される環状のベルトである。フレーム移動プーリー17は、ベース部材15に対し回転自在に設置されるプーリーである。伝達ベルト67はガイド軸91に沿って配置される。
【0025】
移動部70は、メインフレーム71と、一対の脚部73と、キャリッジ89と、を備える。メインフレーム71は、左右方向に長い板状部材である。一対の脚部73は一対のガイド軸91に嵌合し、ガイド軸91に沿って移動可能である。メインフレーム71は、一対の脚部73の上に固定され、一対の脚部73によって下方から支持される。メインフレーム71は、一対の脚部73とともに、一対のガイド軸91によってガイドされて、前後方向に移動する。
【0026】
一対の脚部73のうち、メインフレーム71の左端を支持する脚部73は、ベルト接続部79を介して伝達ベルト67が固定される。このため、伝達ベルト67が循環駆動されることによって、脚部73に対し、脚部73を前後方向に移動させる動力が作用する。これにより、移動部70は、前後方向に移動する。なお、メインフレーム71の下端は、テーブル31が最も上方に位置する場合の支持面31mよりも上方に位置する。従って、メインフレーム71は、支持面31mと干渉することなく、支持面31mの上方を前後方向に移動する。
【0027】
フレーム移動モーター61の回転方向は、メインフレーム71を前方向に移動させる正方向、及び、メインフレーム71を後方向に移動させる逆方向に切り替え可能である。記録装置1は、フレーム移動モーター61を動作させることによって、メインフレーム71を前方および後方に移動させる。
【0028】
キャリッジ89は、略直方体の箱であり、キャリッジガイド軸83を介してメインフレーム71に支持される。キャリッジガイド軸83は、メインフレーム71に対して固定された軸状部材であり、メインフレーム71に沿って左右方向に延在する。キャリッジガイド軸83は、キャリッジ89を左右方向に移動可能に支持する。なお、キャリッジ89の下端は、テーブル31が最も上方に位置する場合の支持面31mよりも上方に位置する。従って、キャリッジ89は、支持面31mと干渉することなく、支持面31mの上方を前後方向および左右方向に移動する。
【0029】
また、キャリッジ89は、キャリッジ駆動ベルト85に連結される。キャリッジ駆動ベルト85は、一端をキャリッジ駆動プーリー86に掛け渡され、他端をキャリッジ駆動モーター87の出力軸に掛け渡されることにより、キャリッジガイド軸83に沿って配置される環状のベルトである。キャリッジ駆動プーリー86は、メインフレーム71の右端に回転可能に固定されるプーリーである。キャリッジ駆動モーター87は、メインフレーム71の左端に固定され、制御部101の制御に従い、その出力軸を回転させるモーターである。キャリッジ駆動モーター87は、出力軸を回転させることにより、キャリッジ駆動ベルト85を循環駆動させる。これにより、キャリッジ駆動モーター87は、キャリッジ駆動ベルト85に連結されたキャリッジ89をキャリッジガイド軸83に沿って左右方向に移動させる。
【0030】
駆動機構90、キャリッジ駆動ベルト85、キャリッジ駆動プーリー86、及び、キャリッジ駆動モーター87は、キャリッジ89を媒体Mに対して相対的に移動させる移動機構の一例に対応する。
【0031】
キャリッジ89は、記録ヘッド89a、および、照射部89bを備える。記録ヘッド89aは、キャリッジ89の下端面から下方に開口する不図示の複数のノズルを有する。記録ヘッド89aは、不図示のピエゾアクチュエータの駆動により、これらのノズルから液体を吐出する。記録ヘッド89aがノズルから液体を吐出すると、吐出された液体は、ノズルと、テーブル31に載置された媒体Mとの間を飛行し、媒体Mに着弾する。なお、本実施の形態において、記録ヘッド89aがノズルから吐出する液体は、紫外線によって硬化するインクである。記録ヘッド89aは、媒体支持部30に媒体Mに液体を着弾させることにより、液体によって形成された文字や画像を媒体Mに対して記録する。記録ヘッド89aは、記録部の一例に相当する。
【0032】
照射部89bは、キャリッジ89の下端面から下方に対向する不図示の照射窓を備える。照射窓は、透光性の材料によって構成された板によって構成される。照射部89bは、図示しない光源ユニットから照射窓を介して照射光を出射する。照射部89bから出射された照射光は、照射窓と、テーブル31に載置された媒体Mとの間を通過し、記録ヘッド89aによって記録された媒体Mに対して照射される。本実施形態において、照射部89bは紫外線を発光するUV-LED(Ultraviolet Light Emitting Diode)を備え、照射光は紫外線である。すなわち、本実施形態において、照射部89bは、媒体Mに対して着弾した紫外線によって硬化するインクに対して紫外線を照射し、インクを媒体Mに対して固着させる。
【0033】
記録ヘッド89aが吐出するインクは、紫外線の照射を受けて硬化する、いわゆるUVインクである。UVインクには独特の臭気を有するものがある。このようなインクを用いて記録装置1が媒体Mへの記録を行うと、筐体10の内部にインクの臭気が漂う。記録に伴って記録ヘッド89aが前後方向および左右方向に移動することにより、インクの臭気が筐体10の内部で拡散される。第1脱臭部20及び第2脱臭部50は、筐体10の内部の空気を吸い込むことによって、インクが発する臭気を除去し、清浄化された空気を排出する。
【0034】
第1脱臭部20は、図2に示すように、媒体支持部30の左側に配置される。第1脱臭部20は、キャリッジ89が左右方向に移動する範囲R1の内部にある。範囲R1のうち、記録ヘッド89aが媒体Mへの記録を行う範囲を、記録範囲R2とする。記録範囲R2は、X軸に沿う方向において記録ヘッド89aが支持面31mに対向する範囲である。範囲R1のうち、記録範囲R2以外の範囲を、退避範囲とする。退避範囲において、記録ヘッド89aは支持面31mに対向しない。第1脱臭部20は、図2に示すように、第1脱臭部20の少なくとも一部が退避範囲に位置するように配置される。この第1脱臭部20の位置は、記録ヘッド89aがインクを吐出するときの記録ヘッド89aの位置に近く、かつ、記録ヘッド89aによるインクの吐出を妨げない位置である。従って、第1脱臭部20を用いることにより、記録装置1の記録動作に影響を与えることなく、記録に使用されるインクの臭気を効率よく脱臭できる。
【0035】
第2脱臭部50は、図2に示すように、媒体支持部30の後方に配置される。第2脱臭部50は、X軸に沿う方向においては一対のガイド軸91の間に位置し、第2脱臭部50の少なくとも一部が支持面31mに重なる。Y軸に沿う方向において、第2脱臭部50は、テーブル31の後方に位置する。また、第2脱臭部50は、前面カバー11とは媒体支持部30を挟んで反対側に配置される。第2脱臭部50の位置は、記録ヘッド89aがインクを吐出するときの記録ヘッド89aの位置に近く、かつ、記録ヘッド89aによるインクの吐出を妨げない位置である。従って、第2脱臭部50を用いることにより、記録装置1の記録動作に影響を与えることなく、記録に使用されるインクの臭気を効率よく脱臭できる。
【0036】
記録装置1の2つの脱臭部である第1脱臭部20と第2脱臭部50は、一方がX軸に沿う方向において支持面31mと並ぶ位置にあり、他方がY軸に沿う方向において支持面31mと並ぶ位置にある。第1脱臭部20は、キャリッジ89がX軸に沿って移動することにより拡散する臭気の脱臭に適する位置にある。第2脱臭部50は、キャリッジ89が、移動部70とともにY軸に沿って移動することにより拡散する臭気の脱臭に適する位置にある。このように、複数の脱臭部である第1脱臭部20及び第2脱臭部50を、X軸に沿う方向で媒体支持部30に並ぶ位置、及び、Y軸に沿う方向で媒体支持部30に並ぶ位置に配置することで、筐体10の内部の空気を効率よく脱臭できる。
【0037】
第1脱臭部20及び第2脱臭部50は、ベース部材15、或いは、底板13に、ねじ留め等の手段により固定される。
【0038】
図2に示す構成では、第1脱臭部20及び第2脱臭部50は、平面視において媒体支持部30の少なくとも一部が、第1脱臭部20と第2脱臭部50との間の位置に重なるように、配置される。この構成により、媒体支持部30に対して記録ヘッド89aが吐出するインクの臭気を、より効率よく脱臭できる。
【0039】
図2に示す構成では、媒体支持部30が矩形のテーブル31を有する構成において、第1脱臭部20及び第2脱臭部50は、テーブル31の周縁を構成する4つの辺のいずれかに対応して配置される。
【0040】
別の表現では、第1脱臭部20及び第2脱臭部50は、テーブル31の周縁を構成する4つの辺のいずれかに対向するよう配置される。この構成において、第1脱臭部20に対向するテーブル31の辺と、第2脱臭部50に対向するテーブル31の辺とが、互いに向き合わないよう、第1脱臭部20及び第2脱臭部50が配置される。
また、図2に示す構成では、第1脱臭部20と第2脱臭部50とが、媒体支持部30を挟んで対向しないよう配置されている。
【0041】
[2.脱臭部の構成]
図4及び図5は、脱臭部の斜視図である。図4は脱臭部を前方から見た斜視図であり、図5は脱臭部を後方から見た斜視図である。
第1脱臭部20及び第2脱臭部50は、共通の構成を有する。以下では第1脱臭部20の構成として説明するが、その説明は第2脱臭部50にも適用される。
【0042】
図4及び図5における上下方向は、記録装置1に第1脱臭部20及び第2脱臭部50を設置した場合の上下方向に対応する。
【0043】
第1脱臭部20は、略箱形の収容部21を有する。収容部21を構成する前面21a、側面21b、側面21d、背面21c、及び、底面21eは、いずれも、不燃性または難燃性の材料からなる面材で構成される。例えば、収容部21は、鋼板等の金属板で構成される。収容部21の上面は開口しており、この開口に被さるように蓋部23が配置される。
【0044】
前面21aは背面21cと対向する面であり、側面21bは側面21dと対向する面である。側面21b及び側面21dの上端部には、蓋支持部21fが設けられる。蓋支持部21fは、側面21b及び側面21dにおいて、収容部21の外側に向けて突出する。側面21bにおける蓋支持部21fと、側面21dにおける蓋支持部21fとは互いに対向する。
【0045】
蓋部23は、先端パネル23a、及び、基端パネル23bを有し、先端パネル23aと基端パネル23bとをヒンジ部23cで連結した構成を有する。基端パネル23bの基端部は、側面21bの蓋支持部21f及び側面21dの蓋支持部21fに、支持部23eを介して回動可能に連結される。基端パネル23bの先端部は、ヒンジ部23cにより、先端パネル23aの基端部に回動可能に連結される。従って、先端パネル23aと基端パネル23bとは相互に回動可能であり、基端パネル23bは収容部21に対して回動可能である。先端パネル23a及び基端パネル23bは、例えば合成樹脂製である。また、先端パネル23a及び基端パネル23bを、前面21a、側面21b、側面21d、背面21c、及び、底面21eと同様に、不燃性または難燃性の材料からなる面材で構成してもよい。
【0046】
先端パネル23aには、凹部23dが形成される。凹部23dは、使用者が蓋部23を開放する際に指を掛けるために使用される。
【0047】
収容部21の上部には第1取入口25が開口する。第1取入口25は、前面21aの上部において一部を切り欠いて形成された開口である。本実施形態では、第1取入口25は前面21aにのみ形成され、背面21cには形成されない。前面21aは、第1脱臭部20を記録装置1に設置した状態において、媒体支持部30に対向する面である。収容部21において前面21a以外の面に第1取入口25を設ける構成とすることも可能である。しかしながら、第1取入口25を前面21aにのみ設けることにより、第1脱臭部20における気流を特定方向に限定し、第1脱臭部20による脱臭を、より効率的に行うことができる。
【0048】
収容部21には脱臭ユニット40が収容される。側面21bに第1取入口25が開口することにより、脱臭ユニット40の上面が筐体10内に露出する。脱臭ユニット40は、収容部21に取り出し可能に収容され、脱臭ユニット40を交換することが可能である。
一方、収容部21の下部には第1送風機27が装着される。第1送風機27は、不図示のファンと、ファンを囲むケーシングとを有する。第1送風機27のファンは、底面21eに形成される不図示の開口を通じて、収容部21の内部と対向する。第1送風機27のケーシングには開口が設けられ、この開口に被さるようにダクト29が第1送風機27に連結される。
【0049】
第1送風機27は、収容部21の内部の空気を吸引してダクト29に排気する。ダクト29は、第1送風機27の排気を第1脱臭部20の下方に導く。第1送風機27の動作により、筐体10の内部の空気が第1取入口25から吸引される。この空気は収容部21の内部を通過して、第1送風機27及びダクト29を通過して、第1脱臭部20の下部から排気される。
【0050】
上述のように、第1脱臭部20と第2脱臭部50とは共通の構成を有する。例えば、第2脱臭部50は、収容部21に対応する収容部51、蓋部23に対応する蓋部53、第1送風機27に対応する第2送風機57、及び、ダクト29に対応するダクト59を有する。収容部51は、収容部21と同様に、前面51a、側面51b、側面51d、背面51c、及び、底面51eを有し、収容部51の上部において前面51aには第2取入口55が開口する。蓋部53は、蓋部23と同様に、先端パネル53a、基端パネル53b、ヒンジ部53c、凹部53d、及び、支持部53eを有する。これらの構成は図4及び図5に示すように、第1脱臭部20の各部に対応する。
【0051】
収容部51には脱臭ユニット40が収容される。脱臭ユニット40は、収容部51に取り出し可能に収容され、脱臭ユニット40を交換することが可能である。収容部51に収容される脱臭ユニット40と、収容部21に収容される脱臭ユニット40とは、共通のものを使用できる。すなわち、脱臭ユニット40は、第1脱臭部20と第2脱臭部50のいずれにも装着できる。
【0052】
[3.脱臭ユニットの構成]
図6は脱臭ユニット40の斜視図であり、図7は脱臭ユニット40の要部断面視図である。
【0053】
脱臭ユニット40は、脱臭体カバー41を有する。脱臭体カバー41は、脱臭体カバー41の上面を構成する上部カバー42と、カバー本体43とを有する。カバー本体43は略箱形の容器であり、図7に示すように、カバー本体43の内面には支持材46が配置される。カバー本体43は、脱臭体47を収容する。
【0054】
脱臭体47は、臭気を発する物質を吸着する吸着剤、或いは、臭気を発する物質を分解する分解剤である。吸着剤としては、例えば、活性炭やゼオライトが挙げられる。分解剤としては、例えば、白金等を用いた触媒を、セラミックス等からなる担体に担持させたものが挙げられる。支持材46は、カバー本体43の内部で脱臭体47が動かないように脱臭体47を保持する。支持材46は弾性材料で構成されてもよい。この場合、支持材46は、衝撃から脱臭体47を保護する作用を持つ。
【0055】
カバー本体43の底面には、不図示の開口が形成されている。上部カバー42には、上面通気孔42aが開口する。これらの開口は、カバー本体43の内部の空間と外部との間の通気を可能とする。
【0056】
上部カバー42には把手44が取り付けられる。使用者は、把手44を持つことにより、脱臭体47に手を触れずに脱臭ユニット40を持ち上げることができる。
【0057】
脱臭ユニット40が第1脱臭部20に収容された状態では、第1送風機27の動作により、第1取入口25から収容部21に流入した空気が、上面通気孔42aを通じて脱臭体47に送られる。この空気は脱臭体47を通過した後、カバー本体43の底面に設けられた開口から排出され、底面21eを通って第1送風機27に流れる。
【0058】
収容部21を構成する前面21a、側面21b、背面21c、側面21d、及び底面21eは、不燃性または難燃性の材料で構成される。同様に、収容部51を構成する前面51a、側面51b、背面51c、側面51d、及び底面51eは、不燃性または難燃性の材料で構成される。脱臭体47として活性炭などの可燃物を用いる場合には、脱臭体47に着火するリスクを考慮する必要がある。記録装置1では、収容部21及び収容部51において、5つの面が不燃性または難燃性の材料で構成されているので、脱臭体47に着火したときのリスクを最小限に抑えることができる。このため、脱臭体47として可燃物を利用することができる。従って、脱臭体47の選択の自由度が高く、臭気源であるインクに適した脱臭体47を用いることにより、効率よく脱臭できる。
【0059】
[4.脱臭ユニットの交換]
第1脱臭部20及び第2脱臭部50において、脱臭ユニット40は交換可能である。すなわち、使用者が、第1脱臭部20に装着された脱臭ユニット40を取り出して、新しい脱臭ユニット40を第1脱臭部20にセットすることができる。脱臭ユニット40を交換する操作を行う際、使用者は、把手44を持つことで、容易に脱臭ユニット40を扱うことができる。
【0060】
図5に示すように、使用者が凹部23dに指を掛けて先端パネル23aを持ち上げると、蓋部23は支持部23eを中心として図中OP方向に回動する。これにより、蓋部23が持ち上がって、収容部21の上面が開放される。蓋部23が開かれた状態では、先端パネル23aを、ヒンジ部23cを中心として回動させることにより、図5に示すように、蓋部23を、先端パネル23aと基端パネル23bとが重なるように折りたたむことができる。なお、図5には、蓋部23を閉じた状態と蓋部23を開いた状態の両方における蓋部23を図示している。
【0061】
蓋部23が開かれた状態では収容部21の上部が開放されるので、使用者が、収容部21から脱臭ユニット40を取り出す操作、及び、脱臭ユニット40を収容部21に挿入する操作を行うことができる。これにより、第1脱臭部20及び第2脱臭部50において、脱臭ユニット40を容易に交換できる。そして、脱臭ユニット40を交換する作業において、使用者は把手44を手に持って脱臭ユニット40の取り出し及び装着を行える。これにより、脱臭ユニット40の交換が簡単な作業で済む。
【0062】
図5に示したように、第1脱臭部20の背面21cには、第1脱臭体センサー28a、及び、第1蓋センサー28bが配置される。第1脱臭体センサー28aは、収容部21に脱臭ユニット40が収容されているか否かを検知するセンサーである。第1蓋センサー28bは、蓋部23が閉じているか否かを検知するセンサーである。第1脱臭体センサー28a、及び、第1蓋センサー28bは、例えば、スイッチ式センサー、反射型光センサー等で構成される。
【0063】
同様に、第2脱臭部50の背面51cには、第2脱臭体センサー58a、及び、第2蓋センサー58bが配置される。第2脱臭体センサー58aは、収容部51に脱臭ユニット40が収容されているか否かを検知するセンサーである。第2蓋センサー58bは、蓋部53が閉じているか否かを検知するセンサーである。第2脱臭体センサー58a、及び、第2蓋センサー58bは、例えば、スイッチ式センサー、反射型光センサー等で構成される。
【0064】
第1脱臭体センサー28a及び第1蓋センサー28bは、制御部101に接続される。制御部101は、第1脱臭体センサー28aの検出値に基づいて、第1脱臭部20に脱臭ユニット40が装着されているか否かを検知できる。また、制御部101は、第1蓋センサー28bの検出値に基づいて、蓋部23が閉じているか否かを検知する。
【0065】
第2脱臭体センサー58a及び第2蓋センサー58bは、制御部101に接続される。制御部101は、第2脱臭体センサー58aの検出値に基づいて、第2脱臭部50に脱臭ユニット40が装着されているか否かを検知できる。また、制御部101は、第2蓋センサー58bの検出値に基づいて、蓋部53が閉じているか否かを検知する。
第1脱臭体センサー28a及び第2脱臭体センサー58aは脱臭体センサーの一例に対応し、第1蓋センサー28b及び第2蓋センサー58bは蓋部センサーの一例に対応する。
【0066】
図1及び図3に示すように、筐体10の左側面10dには、第1脱臭部20が設置された位置に対応して、側面カバー14が設けられる。側面カバー14の上端ヒンジによって回転可能に左側面10dに連結されている。このため、側面カバー14は、下方から上向きに開くことができる。また、側面カバー14は、その下端が底板13に回動可能に連結され、下向きに回動させて開くことが可能な構成であってもよい。側面カバー14は第1カバーの一例に対応し、側面カバー14により構成される左側面10dは第1面の一例に対応し、側面カバー14を開くことにより形成される開口は第1開口の一例に対応する。前面カバー11は第2カバーの一例に対応し、前面カバー11により構成される前面10aは第2面の一例に対応し、前面カバー11を開くことにより形成される開口は第2開口の一例に対応する。
【0067】
側面カバー14を開くことにより、左側面10dに第1脱臭部20が露出する。使用者は、側面カバー14を開いた状態で、蓋部23を開くことによって、脱臭ユニット40を交換できる。
【0068】
一方、第2脱臭部50は媒体支持部30の後方に位置している。図3に示すように前面カバー11が開かれた状態で、第2脱臭部50は、筐体10の奥側に露出する。使用者は、前面カバー11を開いて、筐体10の奥に手を入れることにより、蓋部23を開き、第2脱臭部50の脱臭ユニット40を交換できる。
【0069】
図1及び図3に示すように、筐体10の前面10aには、前面カバーセンサー11cが取り付けられる。前面カバーセンサー11cは、前面カバー11が閉じているか否かを検出するセンサーである。また、左側面10dには、側面カバーセンサー14cが取り付けられる。側面カバーセンサー14cは、側面カバー14が閉じているか否かを検出するセンサーである。前面カバーセンサー11c、及び、側面カバーセンサー14cは、例えば、スイッチ式センサー、反射型光センサー等で構成される。前面カバーセンサー11c及び側面カバーセンサー14cは、制御部101に接続される。制御部101は、前面カバーセンサー11cの検出値に基づいて、前面カバー11が閉じているか否かを検知する。また、制御部101は、側面カバーセンサー14cの検出値に基づいて、側面カバー14が閉じているか否かを検知する。側面カバーセンサー14cは第1センサーの一例に対応し、前面カバーセンサー11cは第2センサーの一例に対応する。
【0070】
上述したように、第1脱臭部20は、キャリッジ89が左右方向に移動する範囲R1において、記録範囲R2の外に位置している。従って、キャリッジ89が第1脱臭部20に重なる位置に移動することがある。このため、第1脱臭部20は、第1脱臭部20の上端がキャリッジ89の下端よりも下に位置するように、配置される。これにより、記録装置1の記録動作を妨げることなく、範囲R1に第1脱臭部20を設置することができ、記録装置1の小型化を実現できる。
【0071】
第1脱臭部20は、第1取入口25がテーブル31を向くように配置される。すなわち、第1脱臭部20において、第1取入口25は、テーブル31に対向する前面21aに開口している。これにより、テーブル31に載置された媒体Mに対して記録ヘッド89aが吐出するインクの臭気を含む空気を、第1取入口25から効率よく取り入れることができる。
この構成では、第1送風機27の動力によって第1取入口25から空気が吸引されたときに、支持面31mから第1取入口25に向かう気流が発生する。第1取入口25が支持面31mよりも高い位置にあると、支持面31mから第1取入口25に向かう気流が強くなるため、記録ヘッド89aが吐出するインクの動きや、記録ヘッド89aの表面におけるインクの状態に影響を与える可能性がある。このため、第1取入口25は、第1取入口25の上端が高さ方向においてテーブル31の支持面31mよりも低い位置となるように、設置されることが好ましい。すなわち、第1取入口25は、高さ方向において支持面31mと重ならない位置にあることが好ましい。
【0072】
また、第2脱臭部50は、移動部70が前後方向に移動する範囲の中、或いは、その範囲の外に位置している。このため、第2脱臭部50を、第2脱臭部50の上端がメインフレーム71の下端よりも下に位置するように配置される。これにより、メインフレーム71が移動する範囲に第2脱臭部50を設置できる。
【0073】
第2脱臭部50は、テーブル31の後方において、第2取入口55がテーブル31を向くように配置される。すなわち、第2脱臭部50において、第2取入口55は、テーブル31に対向する前面51aに開口している。これにより、テーブル31に載置された媒体Mに対して記録ヘッド89aが吐出するインクの臭気を含む空気を、第2取入口55から効率よく取り入れることができる。
【0074】
また、第2脱臭部50は、テーブル31が最上部に位置する状態で、第2取入口55の少なくとも一部が高さ方向において支持面31mと重なるように、配置される。換言すれば、第2取入口55の少なくとも一部がテーブル31よりも高い位置にある。この構成により、媒体Mに対して吐出されたインクの臭気を含む空気を、効率よく第2取入口55から取り入れることができる。
【0075】
第1脱臭部20は、上述のように、範囲R1の内側に位置しており、テーブル31に近い位置にある。これに対し、第2脱臭部50は、テーブル31の後方に位置する。X軸に沿う方向におけるテーブル31の左端から第1取入口25までの距離は、Y軸に沿う方向におけるテーブル31の後端から第2取入口55までの距離よりも短い。換言すれば、第2脱臭部50は、第1脱臭部20よりも、テーブル31から離れている。このため、支持面31mから第2取入口55に向かう気流がインクに与える影響は軽微である。従って、第2取入口55は、支持面31mが最上部に位置するときの支持面31mと高さ方向において重なる位置にあることが好ましい。
【0076】
そして、高さ方向において、第1取入口25と第2取入口55とは異なる位置で開口する。このため、第1脱臭部20及び第2脱臭部50が、異なる位置で空気を取り入れることにより、筐体10の内部で拡散した臭気を、より効率よく脱臭できる。
また、記録装置1において、第1脱臭部20はX軸に沿う方向から媒体支持部30に対向し、第2脱臭部50はY軸に沿う一方向から媒体支持部30に対向する。このため、キャリッジ89が媒体Mに対して移動することによって筐体10の内部で拡散する臭気を、より効率よく脱臭できる。
【0077】
[5.記録装置の制御系の構成]
図8は、記録装置1の制御系の機能的構成を示すブロック図である。
記録装置1は、制御部101を有する。制御部101は、CPU(Central Processing Unit)やMPU(Micro Processing Unit)等のプロセッサー、及び、記憶部を備えるコンピューターである。制御部101の記憶部は、揮発性のメモリー、及び、不揮発性記憶部を有する。揮発性のメモリーは、例えば、RAM(Random Access Memory)である。不揮発性記憶部は、ROM(Read Only Memory)、ハードディスク、フラッシュメモリー等で構成される。制御部101は、記憶部が記憶するプログラムを実行することによって、記録装置1の各部を制御する。
【0078】
制御部101には、インターフェイス(I/F)102が接続される。インターフェイス102は、ケーブルを利用する有線通信、または、無線通信回線を利用する無線通信を実行する通信装置である。インターフェイス102は、不図示のホストコンピューターと通信を実行して、記録データを受信する。記録データは、記録装置1が媒体Mに記録する画像や文字のデータ、記録装置1の記録実行を指示するコマンド、及び、その他のデータを含む。
【0079】
制御部101には、記録動作に関する駆動部として、フレーム移動モーター61、昇降モーター33、キャリッジ駆動モーター87、記録ヘッド89a、及び、照射部89bが接続される。制御部101は、これらの駆動部を制御することにより、媒体Mへの記録を実行する。
【0080】
すなわち、制御部101は、インターフェイス102が受信した記録データに基づいて、各モーターを動作させる。詳細には、制御部101は、フレーム移動モーター61の回転方向の切り替え、及び、フレーム移動モーター61の回転の開始および停止を制御することにより、移動部70を前後方向に移動させる。制御部101は、昇降モーター33の回転方向の切り替え、及び、昇降モーター33の回転の開始および停止を制御することにより、テーブル31を上下方向に移動させる。制御部101は、キャリッジ駆動モーター87の切り替え、及び、キャリッジ駆動モーター87の回転の開始および停止を制御することにより、キャリッジ89を左右方向に移動させる。
【0081】
制御部101は、インターフェイス102が受信した記録データに基づいて、記録ヘッド89aを動作させることにより、液体を吐出させる。制御部101は、タッチパネル12を動作させ、タッチパネル12に、記録に関する情報を表示させる。
【0082】
例えば、記録装置1が媒体Mに対して記録を実行する場合、制御部101は、まず、昇降モーター33を駆動させ、支持面31mおよび記録ヘッド89aとの間のギャップを適正化する。次に、制御部101は、フレーム移動モーター61およびキャリッジ駆動モーター87を駆動させ、メインフレーム71を前方から後方に、キャリッジ89を左方から右方に移動させる。同時に、制御部101は、記録データに基づいて、記録ヘッド89aから媒体Mに液体を吐出させて記録を行う。また、制御部101は照射部89bから記録が実行された媒体Mに照射光を照射させ、媒体Mに付着した液体を媒体Mに固定する。
【0083】
媒体Mに対する記録が完了した後に、昇降モーター33を駆動させ、支持面31mを最も低い位置に移動させる。
【0084】
制御部101には、タッチパネル12が接続される。タッチパネル12は、タッチ操作を検出する入力装置、及び、情報を表示する表示装置として機能する。例えば、制御部101は、媒体Mへの記録を行う際に、記録に関する情報をタッチパネル12に表示させる。タッチパネル12は、報知部の一例に対応する。
【0085】
制御部101には、第1送風機27、第2送風機57、第1脱臭体センサー28a、第1蓋センサー28b、第2脱臭体センサー58a、第2蓋センサー58b、前面カバーセンサー11c、及び、側面カバーセンサー14cが接続される。これらは脱臭に関する機能部である。
【0086】
制御部101は、第1送風機27を動作させることにより、第1脱臭部20による脱臭を行う。また、制御部101は、第2送風機57を動作させることにより、第2脱臭部50による脱臭を行う。
【0087】
制御部101は、媒体Mへの記録を開始する際、媒体Mへの記録を実行中、及び、媒体Mへの記録を終了した後の所定時間のうち少なくともいずれかに、第1送風機27及び第2送風機57を動作させて、脱臭を行う。
【0088】
例えば、制御部101は、媒体Mへの媒体Mへの記録を開始する際に、第1送風機27及び第2送風機57の動作を開始させ、記録を実行中に第1送風機27及び第2送風機57の動作を継続させる。これにより、制御部101は、記録のために記録ヘッド89aが吐出するインクの臭気を脱臭する。
【0089】
また、例えば、制御部101は、媒体Mへの記録を終了した後、第1送風機27及び第2送風機57を所定時間、動作させる。媒体Mへの記録を実行中には、Y軸方向に沿ったメインフレーム71の移動、及び、X軸方向に沿ったキャリッジ89の移動により、臭気が筐体10の内部で拡散する。記録終了後に第1脱臭部20及び第2脱臭部50を所定時間、動作させることによって、筐体10の内部に拡散した臭気を脱臭できる。このため、例えば使用者が、記録が完了した媒体Mを取り出すために前面カバー11を開くまでの間に、臭気を低減できる。
【0090】
制御部101は、媒体Mへの記録を実行中は第1送風機27及び第2送風機57を動作させず、記録が完了した後に第1送風機27及び第2送風機57の動作を開始させてもよい。例えば、制御部101は、キャリッジ89が、記録ヘッド89aのフラッシングやクリーニングを行う位置であるホームポジションに戻った後、或いは、支持面31mを最も低い位置まで移動させた後に、第1送風機27及び第2送風機57を動作させる。この場合、記録ヘッド89aからインクを吐出する間に、第1送風機27及び第2送風機57を動作させないため、第1送風機27及び第2送風機57が発生する気流がインクに与える影響を抑えることができる。
【0091】
制御部101は、脱臭ユニット40の交換を行うことを使用者が指示した場合に、この指示に基づいて、脱臭ユニット40の交換を可能とするための制御を行う。使用者による指示は、例えば、タッチパネル12を利用して行われる。制御部101は、タッチパネル12に、操作用の画面を表示させる。制御部101は、操作用の画面に対するタッチ操作をタッチパネル12によって検出した場合に、この操作を使用者の指示として受け付ける。
【0092】
制御部101は、第1脱臭体センサー28aの検出値に基づいて、第1脱臭部20に脱臭ユニット40が装着されているか否かを判定する。また、制御部101は、第1蓋センサー28bの検出値に基づいて、蓋部23が閉じられているか否かを判定する。記録装置1の正常な状態では、第1脱臭部20には脱臭ユニット40が装着され、かつ、蓋部23が閉じている。記録装置1の正常な状態とは、記録装置1が媒体Mへの記録を行うことが可能な状態をいう。制御部101が、第1脱臭部20に脱臭ユニット40が装着されていないと判定した場合、及び、蓋部23が閉じていないと判定した場合は、記録装置1は正常な状態ではなく、媒体Mへの記録を行うことができない。このため、制御部101は、第1脱臭部20に脱臭ユニット40が装着されていないと判定した場合、及び、蓋部23が閉じていないと判定した場合に、第1脱臭部20に関する脱臭部エラーを検出する。脱臭部エラーを検出している間、制御部101は、媒体Mへの記録を開始しない。脱臭部エラーを検出した場合、制御部101は、タッチパネル12による使用者への通知を行う。例えば、制御部101は、第1脱臭部20において脱臭ユニット40が装着されていないこと、或いは、蓋部23が閉じていないことを通知するメッセージや画像をタッチパネル12に表示させる。ここで、制御部101は、第1脱臭部20の確認を要求するメッセージや画像をタッチパネル12に表示させてもよい。脱臭部エラーを検出している間、制御部101は、インターフェイス102に接続された不図示のホストコンピューターに、エラーを通知してもよい。
【0093】
制御部101は、第2脱臭体センサー58aの検出値に基づいて、第2脱臭部50に脱臭ユニット40が装着されているか否かを判定する。また、制御部101は、第2蓋センサー58bの検出値に基づいて、蓋部53が閉じられているか否かを判定する。記録装置1の正常な状態では、第2脱臭部50には脱臭ユニット40が装着され、かつ、蓋部53が閉じている。記録装置1の正常な状態とは、記録装置1が媒体Mへの記録を行うことが可能な状態をいう。制御部101が、第2脱臭部50に脱臭ユニット40が装着されていないと判定した場合、及び、蓋部53が閉じていないと判定した場合は、記録装置1は正常な状態ではない。このため、制御部101は、第2脱臭部50に脱臭ユニット40が装着されていないと判定した場合、及び、蓋部53が閉じていないと判定した場合に、第2脱臭部50に関する脱臭部エラーを検出する。この場合、制御部101は、第1脱臭部20に関する脱臭部エラーを検出した場合と同様に、タッチパネル12による使用者への通知を行う。例えば、制御部101は、第2脱臭部50において脱臭ユニット40が装着されていないこと、或いは、蓋部53が閉じていないことを通知するメッセージや画像をタッチパネル12に表示させる。ここで、制御部101は、第2脱臭部50の確認を要求するメッセージや画像をタッチパネル12に表示させてもよい。
【0094】
制御部101は、前面カバーセンサー11cの検出値に基づいて、前面カバー11が閉じられているか否かを判定する。また、制御部101は、側面カバーセンサー14cの検出値に基づいて、側面カバー14が閉じられているか否かを判定する。記録装置1の正常な状態では、前面カバー11及び側面カバー14が閉じている。制御部101は、前面カバー11及び側面カバー14のいずれか1以上が閉じていない場合、カバーエラーを検出する。カバーエラーを検出している間、制御部101は、媒体Mへの記録を開始しない。また、媒体Mへの記録を実行中にカバーエラーを検出した場合、制御部101は、媒体Mへの記録を中断する。カバーエラーを検出した場合、制御部101は、タッチパネル12による使用者への通知を行う。例えば、制御部101は、前面カバー11が閉じていないこと、或いは、側面カバー14が閉じていないことを通知するメッセージや画像をタッチパネル12に表示させる。ここで、制御部101は、前面カバー11や側面カバー14の確認を要求するメッセージや画像をタッチパネル12に表示させてもよい。また、カバーエラーを検出している間、制御部101は、インターフェイス102に接続された不図示のホストコンピューターに、エラーを通知してもよい。
【0095】
制御部101は、使用者が媒体Mを媒体支持部30に設置する間、及び、媒体支持部30から媒体Mを取り出す間は、前面カバー11が閉じていないことによるカバーエラーを検出しない。例えば、使用者がタッチパネル12を操作して媒体Mの設置または媒体Mの取り出しを指示した場合、制御部101は、この指示を受け付けて、前面カバー11に関するカバーエラーを検出しない状態に移行する。制御部101は、使用者がタッチパネル12を操作して、媒体Mの設置または媒体Mの取り出しが完了したことの入力を行った場合、元の状態に復帰し、前面カバー11のカバーエラーを検出可能な状態となる。
【0096】
また、制御部101は、使用者が第1脱臭部20の脱臭ユニット40を交換する間は、側面カバー14が閉じていないことによるカバーエラー、第1脱臭体センサー28aの検出値に基づく脱臭部エラー、及び、第1蓋センサー28bの検出値に基づく脱臭部エラーを検出しない。制御部101は、使用者が第2脱臭部50の脱臭ユニット40を交換する間は、前面カバー11が閉じていないことによるカバーエラー、第2脱臭体センサー58aの検出値に基づく脱臭部エラー、及び、第2蓋センサー58bの検出値に基づく脱臭部エラーを検出しない。
【0097】
[6.記録装置の動作]
図9は、記録装置1の動作を示すフローチャートであり、第1脱臭部20及び第2脱臭部50のいずれかで脱臭ユニット40が交換される場合の記録装置1の動作を示す。ステップS11~S20は、制御部101により実行される。
【0098】
記録装置1は、使用者がタッチパネル12の操作によって、脱臭ユニット40を交換することの指示を入力した場合、この指示を受け付ける(ステップS11)。記録装置1は、指示に基づき、交換対象の脱臭部を選択する(ステップS12)。具体的には、記録装置1は、脱臭ユニット40を交換する作業の対象が第1脱臭部20であるか第2脱臭部50であるかを特定し、特定した脱臭部を、交換対象の脱臭部として選択する。
【0099】
記録装置1は、ステップS12で選択された脱臭部に合わせてキャリッジ89とメインフレーム71とを移動させる(ステップS13)。すなわち、制御部101により、フレーム移動モーター61及びキャリッジ駆動モーター87を動作させる。
【0100】
ステップS13の動作を詳細に説明する。記録装置1は、第1脱臭部20が選択された場合、キャリッジ89及びメインフレーム71を、第1脱臭部20における脱臭ユニット40の交換を容易にする位置に移動させる。具体的には、記録装置1は、キャリッジ89を+X方向に移動させる。これにより、キャリッジ89は、X軸に沿う方向において第1脱臭部20から離れた側に移動する。このとき、記録装置1は、キャリッジ89を、少なくとも記録範囲R2まで移動させる。ここで、記録装置1は、キャリッジ89を範囲R1の+X側の端まで移動させてもよい。また、記録装置1は、メインフレーム71を、メインフレーム71が第1脱臭部20の上方から逸脱するように、後方に移動させる。好ましくは、記録装置1は、メインフレーム71をY軸に沿って、メインフレーム71が移動可能な範囲における最も後ろの位置まで移動させる。
【0101】
記録装置1は、第2脱臭部50が選択された場合、ステップS13で、キャリッジ89及びメインフレーム71を、第2脱臭部50における脱臭ユニット40の交換を容易にする位置に移動させる。具体的には、記録装置1は、メインフレーム71を、メインフレーム71が第2脱臭部50から離れるように、前方に移動させる。好ましくは、記録装置1は、メインフレーム71をY軸に沿って、メインフレーム71が移動可能な範囲における最も前の位置まで移動させる。これにより、前面カバー11が開いた状態で、使用者が記録装置1の前面から筐体10の内部に手を入れ、第2脱臭部50に対する作業を行いやすくなる。また、第2脱臭部50が選択された場合、記録装置1は、キャリッジ89を、範囲R1の左端まで移動させてもよい。
【0102】
記録装置1は、ステップS13でキャリッジ89及びメインフレーム71を移動させた後、使用者に対し、キャリッジ89とメインフレーム71の移動が完了したことを通知する(ステップS14)。ステップS14の通知は、例えば、制御部101がタッチパネル12に文字や画像を表示させることで行われる。
【0103】
記録装置1は、使用者が、タッチパネル12の操作によって、脱臭ユニット40を交換する作業開始を入力するまで待機する(ステップS15)。作業開始の入力を受け付けた場合(ステップS15;YES)、記録装置1は、ステップS16に移行する。ステップS16で、記録装置1は、作業手順等の案内をタッチパネル12に表示し、さらに、エラーの検出を停止する。ステップS16で記録装置1がタッチパネル12に表示する案内は、例えば、脱臭ユニット40を交換する作業の順序や方法を説明する画像や文字を含む。ステップS16でタッチパネル12に表示される案内は、ステップS12で選択された脱臭部に対する作業の案内である。
【0104】
ステップS16で、記録装置1は、記録装置1が備える全てのカバーのカバーエラー、及び、記録装置1が備える全ての脱臭部に関する脱臭部エラーについて、検出を停止してもよい。全てのカバーとは、例えば前面カバー11及び側面カバー14を含み、全ての脱臭部とは第1脱臭部20及び第2脱臭部50を含む。
【0105】
また、記録装置1は、ステップS16で、ステップS12において選択された脱臭部の脱臭部エラーと、選択された脱臭部に関係するカバーのカバーエラーとの検出を停止してもよい。例えば、第1脱臭部20が選択された場合に、記録装置1は、ステップS16で、第1脱臭体センサー28a及び第1蓋センサー28bに関する脱臭部エラー、及び、側面カバー14のカバーエラーの検出を停止してもよい。この場合、記録装置1は、第2脱臭体センサー58a及び第2蓋センサー58bに関する脱臭部エラーと、前面カバー11のカバーエラーとを検出する機能を停止しない。同様に、第2脱臭部50が選択された場合に、記録装置1は、ステップS16で、第2脱臭体センサー58a及び第2蓋センサー58bに関する脱臭部エラーと、前面カバー11のカバーエラーとの検出を停止してもよい。この場合、記録装置1は、第1脱臭体センサー28a及び第1蓋センサー28bに関する脱臭部エラー、及び、側面カバー14のカバーエラーを検出する機能を停止しない。
【0106】
記録装置1は、カバーが閉じられか否かを判定し(ステップS17)、カバーが閉じられていない間は(ステップS17;NO)、待機する。カバーが閉じられたと判定した場合(ステップS17;YES)、記録装置1は、ステップS18に移行する。ステップS17の判定の対象となるカバーは、ステップS12で選択された脱臭部に対応するカバーである。具体的には、第1脱臭部20に対応する側面カバー14、及び、第2脱臭部50に対応する前面カバー11のいずれかである。ステップS17で、記録装置1は、記録装置1が備える全てのカバーが閉じられるまで待機してもよい。ステップS17の判定は、前面カバーセンサー11c及び側面カバーセンサー14cのいずれか1以上の検出値を用いて行われる。
【0107】
ステップS18で、記録装置1は、ステップS13で選択された脱臭部が有するセンサーの検出値を取得する(ステップS18)。例えば、ステップS12で第1脱臭部20が選択された場合、記録装置1は、ステップS18で、第1脱臭体センサー28a及び第1蓋センサー28bの検出値を取得する。ステップS12で第2脱臭部50が選択された場合も同様である。
【0108】
記録装置1は、ステップS18で取得した検出値に基づき、脱臭部が正常な状態であるか否かを判定する(ステップS19)。正常な状態とは蓋部が閉じており、かつ、脱臭ユニット40が装着されている状態である。例えば、第1脱臭部20においては蓋部23が閉じており、かつ、脱臭ユニット40が収容部21に収容されている状態である。
【0109】
記録装置1は、脱臭部が正常な状態でないと判定した場合(ステップS19;NO)、作業不良を通知し(ステップS20)、ステップS18に戻る。ステップS20の通知は、例えば、制御部101がタッチパネル12に、脱臭部の状態を確認することを要求する文字や画像を表示させることで行われる。
【0110】
記録装置1は、脱臭部が正常な状態であると判定した場合(ステップS19;YES)、本処理を終了する。
【0111】
[5.他の実施形態]
上記実施形態は、本発明を適用した一具体例を示したものに過ぎない。本発明は上記実施形態の構成に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能である。
【0112】
例えば、上記実施形態では、記録装置1が第1脱臭部20及び第2脱臭部50を有する構成を例示したが、これは一例である。例えば、記録装置1は、3以上の脱臭部を備えてもよい。
【0113】
また、例えば、上記実施形態では、第1脱臭部20がダクト29を通じて下方に排気を行い、第2脱臭部50がダクト59を通じて下方に排気を行う構成を説明した。この構成では、第1脱臭部20の排気、及び、第2脱臭部50の排気は、筐体10の内部において底板13に向けて排気される。これは一例であり、例えば、第1脱臭部20は、筐体10の外に繋がるダクト29を備え、ダクト29を通じて筐体10の外に排気を行う構成であってもよい。第2脱臭部50も同様である。
【0114】
また、上記実施形態において、前面カバー11及び/または側面カバー14をロックするロック機構を備えてもよい。例えば、前面カバー11を閉じた状態で固定し、前面カバー11が開かないようにロックする第1カバーロック機構を備えてもよい。また、側面カバー14を閉じた状態で固定し、側面カバー14が開かないようロックする第2カバーロック機構を備えてもよい。第1カバーロック機構及び第2カバーロック機構は、制御部101に接続され、制御部101の制御に従ってロックの施錠およびロック解除が可能な構成であってもよい。この場合、制御部101は、記録装置1が媒体Mへの記録を実行中は第1カバーロック機構及び第2カバーロック機構を施錠し、媒体Mへの記録が完了した後にロック解除する制御を行ってもよい。
【0115】
また、上記実施形態では、媒体Mが載置されるテーブル31がX軸に沿う方向およびY軸に沿う方向に移動せず、キャリッジ89を移動させる構成を例に挙げて説明した。本発明の適用対象は、本実施形態の構成に限定されない。例えば、媒体Mへ記録を行うときに、媒体MをX軸に沿う方向及びY軸に沿う方向の少なくともいずれかに移動させる記録装置に、本発明を適用することも勿論可能である。
【0116】
図1図7に示した構成、及び、図8に示した機能的構成は記録装置1の一例であり、本発明の適用対象は各図に示した構成に限定されない。例えば、記録装置1は、図8に示されていない構成部を備えてもよい。
また、上記の記録装置1の動作を、制御部101が有するプロセッサーを用いて実現する場合、プロセッサーに実行させるプログラムを記録媒体、又はプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成することも可能である。記録媒体には、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。上記記録媒体は、サーバー装置が備える内部記憶装置であってもよい。
【0117】
図9に示す動作のステップ単位は、記録装置1の動作の理解を容易にするために、主な処理内容に応じて分割したものであり、処理単位の分割の仕方や名称によって、限定されることはない。処理内容に応じて、さらに多くのステップ単位に分割してもよい。1つのステップ単位がさらに多くの処理を含むように分割してもよい。そのステップの順番は、適宜に入れ替えてもよい。
【0118】
[6.実施形態により説明される構成]
上記の実施形態により、以下の構成が説明される。
【0119】
(構成1)媒体を支持する媒体支持部と、前記媒体に記録を行う記録部と、前記媒体に向けて紫外線を照射する照射部と、脱臭を行う脱臭部と、前記媒体支持部、前記記録部、前記照射部、及び、前記脱臭部を収容する筐体と、を備え、前記脱臭部は、脱臭体と、前記脱臭体を覆う脱臭体カバーと、前記脱臭体カバーに覆われた前記脱臭体を収容する収容部と、を有し、前記収容部から前記脱臭体カバーとともに前記脱臭体を取り出し可能である、記録装置。
構成1の記録装置によれば、脱臭部において収容部に収容された脱臭体を取り出すことができる。このため、脱臭部を記録装置から取り外すことなく脱臭体を交換できる。そして、脱臭体が脱臭体カバーにより覆われるため、ユーザーが脱臭体に直接手を触れることなく、脱臭体を交換できる。これにより、記録装置の脱臭体を容易に交換することができ、筐体の内部で臭気を軽減または除去する効果を維持できる。
【0120】
(構成2)前記筐体は、前記脱臭部の少なくとも一部を露出させる第1開口を有し、前記第1開口を閉じる第1カバーを備え、前記第1カバーは、前記筐体を構成する第1面の少なくとも一部を構成する、構成1に記載の記録装置。
構成2の記録装置によれば、第1カバーを開くことによって、記録装置の筐体の外から、脱臭体を交換できる。
【0121】
(構成3)前記筐体は、前記媒体支持部への前記媒体の載置および取り出しを可能とする第2開口を有し、前記第2開口を閉じる第2カバーを備え、前記第2カバーは、前記筐体を構成する面において前記第1面とは異なる第2面の少なくとも一部を構成する、構成2に記載の記録装置。
構成3の記録装置によれば、媒体支持部への前記媒体の載置および取り出しを行うための第2開口とは別に、脱臭体を交換するための第1開口を開口させることができる。このため、第2カバーを開くことなく脱臭体を交換できる。第1開口は、媒体の出し入れに関係しないため脱臭体に合わせたサイズであればよい。従って、脱臭体を容易に交換できるサイズの第1開口を設けることにより、より簡単に、脱臭体を交換できる。
【0122】
(構成4)前記収容部は蓋部を有し、前記蓋部を開くことにより前記脱臭体を前記脱臭体カバーとともに前記収容部から取り出し可能である、構成3に記載の記録装置。
構成4の記録装置によれば、脱臭部から脱臭体を容易に取り出すことができる。
【0123】
(構成5)前記蓋部は、複数の蓋部材を折りたたみ可能に連結して構成される、構成4に記載の記録装置。
構成5の記録装置によれば、脱臭部の周囲に大きな空間を確保できない構成であっても、脱臭部の蓋を容易に開閉できる。
【0124】
(構成6)前記第1カバーが閉じているか否かを検出する第1センサーと、前記第2カバーが閉じているか否かを検出する第2センサーと、前記蓋部が閉じているか否かを検出する蓋部センサーと、前記収容部に前記脱臭体が収容されているか否かを検出する脱臭体センサーと、前記第1センサー、前記第2センサー、前記蓋部センサー、及び、前記脱臭体センサーの検出状態を取得する制御部と、を備える、構成4または構成5に記載の記録装置。
構成6の記録装置によれば、制御部によって、脱臭部に脱臭体が適切に収容されているか否か、脱臭部の蓋が閉じているか否か、及び、記録装置の筐体の開閉部が閉じているか否かを管理できる。このため、不適切な状態で記録装置が記録を実行すること等を防止できる。
【0125】
(構成7)報知部を備え、前記制御部は、前記収容部に前記脱臭体が収容されていないこと、及び、前記蓋部が閉じていないことのいずれかが検出されている状態で、前記第1カバーまたは前記第2カバーが閉じられた場合に、前記報知部により報知を行う、構成6に記載の記録装置。
構成7の記録装置によれば、記録装置が不適切な状態で記録を実行すること等を防止し、ユーザーに改善を促すことができる。
【0126】
(構成8)前記収容部において前記蓋部を除く面に不燃性材料が配置される、構成4から構成7のいずれか一項に記載の記録装置。
構成8の記録装置によれば、脱臭部における火災のリスクを効果的に抑えることができるので、脱臭体として活性炭等の可燃物を利用できる。
【0127】
(構成9)前記収容部の前記蓋部は不燃性材料が配置される、構成4から構成7のいずれか一項に記載の記録装置。
構成9の記録装置によれば、脱臭部における火災のリスクを効果的に抑えることができるので、脱臭体として活性炭等の可燃物を利用できる。
【符号の説明】
【0128】
1…記録装置、10…筐体、10a…前面(第2面)、10b…上面、10c…底面、10d…左側面(第1面)、11…前面カバー(第2カバー)、11a…カバー本体、11b…把手、11c…前面カバーセンサー(第2センサー)、12…タッチパネル、13…底板、14…側面カバー(第1カバー)、14c…側面カバーセンサー(第1センサー)、15…ベース部材、17…フレーム移動プーリー、20…第1脱臭部、21…収容部、21a…前面、21b…側面、21c…背面、21d…側面、21e…底面、21f…蓋支持部、23…蓋部、23a…先端パネル、23b…基端パネル、23c…ヒンジ部、23d…凹部、23e…支持部、25…第1取入口、27…第1送風機、28a…第1脱臭体センサー(脱臭体センサー)、28b…第1蓋センサー(蓋部センサー)、29…ダクト、30…媒体支持部、31…テーブル、31m…支持面、31n…突起部、32…高さ移動機構、33…昇降モーター、34…落下防止板、37…昇降ベルト、39…昇降機構、40…脱臭ユニット、41…脱臭体カバー、42…上部カバー、42a…上面通気孔、43…カバー本体、44…把手、46…支持材、47…脱臭体、50…第2脱臭部、51…収容部、51a…前面、51b…側面、51c…背面、51d…側面、51e…底面、53…蓋部、53a…先端パネル、53b…基端パネル、53c…ヒンジ部、53d…凹部、53e…支持部、55…第2取入口、57…第2送風機、58a…第2脱臭体センサー(脱臭体センサー)、58b…第2蓋センサー(蓋部センサー)、59…ダクト、60…フレーム駆動部、61…フレーム移動モーター、63…伝達ベルト、65…変速機構、67…伝達ベルト、70…移動部、71…メインフレーム、73…脚部、79…ベルト接続部、83…キャリッジガイド軸、85…キャリッジ駆動ベルト、86…キャリッジ駆動プーリー、87…キャリッジ駆動モーター、89…キャリッジ、89a…記録ヘッド(記録部)、89b…照射部、90…駆動機構、91…ガイド軸、101…制御部、102…インターフェイス、M…媒体、R1…範囲、R2…記録範囲。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9