(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112011
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/30 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
H01G4/30 560
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016811
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】堤 智久
(72)【発明者】
【氏名】原 真佐樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】三浦 克哉
【テーマコード(参考)】
5E001
【Fターム(参考)】
5E001AB01
5E001AG01
(57)【要約】
【課題】耐振動性の確保及び実装の作業効率の向上を両立できる電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品1では、セラミック素体2における電極部5,5の対向方向と実装面Rの法線方向とが互いに直交し、外装樹脂4における対向方向の一対の側面4c,4dの少なくとも一方が平坦面を有し、セラミック素体2の幅方向の長さをD寸法、実装面Rにおける一対のリード端子3A,3Bの幅方向の間隔をF寸法、実装面Rの幅方向の長さをA寸法とした場合に、A寸法は、D寸法及びF寸法の大きい方よりも大きくなっている。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極部が形成された一対の主面を有するセラミック素体と、
前記電極部に電気的に接続された一対のリード端子と、
前記セラミック素体及び前記一対のリード端子の基端部を覆うように設けられ、前記一対のリード端子の先端部が引き出された実装面を有する絶縁性の外装樹脂と、を備え、
前記電極部の対向方向と前記実装面の法線方向とが互いに直交し、
前記対向方向における前記外装樹脂の一対の側面の少なくとも一方が平坦面を有し、
前記対向方向及び前記法線方向に直交する方向を幅方向とし、前記セラミック素体の前記幅方向の長さをD寸法、前記実装面における前記一対のリード端子の前記幅方向の間隔をF寸法、前記実装面の前記幅方向の長さをA寸法とした場合に、前記A寸法は、D寸法及びF寸法の大きい方よりも大きくなっている電子部品。
【請求項2】
前記外装樹脂の前記一対の側面の双方が平坦面を有している請求項1記載の電子部品。
【請求項3】
前記一対のリード端子のそれぞれは、前記セラミック素体から一直線状に引き出されている請求項1記載の電子部品。
【請求項4】
前記一対のリード端子のそれぞれは、前記対向方向の中央側に屈曲するキンク部を有し、
前記外装樹脂は、前記キンク部を含むように前記一対のリード端子の基端部を覆っている請求項1記載の電子部品。
【請求項5】
前記外装樹脂は、前記実装面における前記一対のリード端子の引出位置よりも外側で、前記一対のリード端子の引出方向に突出する突起部を有している請求項1記載の電子部品。
【請求項6】
前記外装樹脂において、前記実装面の反対面の前記幅方向の長さをA’寸法とした場合に、前記A寸法は、前記A’寸法よりも大きくなっている請求項1記載の電子部品。
【請求項7】
前記D寸法が前記F寸法よりも大きく、前記A寸法が前記D寸法+0.8mm以上である請求項1~6のいずれか一項記載の電子部品。
【請求項8】
前記D寸法が前記F寸法よりも小さく、前記一対のリード端子のそれぞれの前記幅方向の厚さをL寸法とした場合に、前記A寸法が前記F寸法+前記L寸法×2+0.8mm以上である請求項1~6のいずれか一項記載の電子部品。
【請求項9】
前記セラミック素体の前記対向方向の厚さをT寸法、前記一対のリード端子のそれぞれの前記対向方向の厚さをK寸法、前記実装面の前記対向方向の長さをB寸法とした場合に、前記B寸法が前記T寸法+前記K寸法×2+0.8mm以上である請求項1~6のいずれか一項記載の電子部品。
【請求項10】
前記セラミック素体は、前記対向方向に所定の間隔をもって並ぶ一対のセラミック素体からなり、
前記リード端子は、前記一対のセラミック素体間で互いに対向する主面同士のそれぞれの電極部に電気的に接続された共通端子を更に有し、
前記D寸法が前記F寸法×2よりも大きく、前記A寸法が前記D寸法+0.8mm以上である請求項1~6のいずれか一項記載の電子部品。
【請求項11】
前記セラミック素体は、前記対向方向に所定の間隔をもって並ぶ一対のセラミック素体からなり、
前記リード端子は、前記一対のセラミック素体間で互いに対向する主面同士のそれぞれの電極部に電気的に接続された共通端子を更に有し、
前記D寸法が前記F寸法×2よりも小さく、前記一対のリード端子のそれぞれの前記幅方向の厚さをL寸法とした場合に、前記A寸法が前記F寸法×2+前記L寸法×2+0.8mm以上である請求項1~6のいずれか一項記載の電子部品。
【請求項12】
前記セラミック素体は、前記対向方向に所定の間隔をもって並ぶ一対のセラミック素体からなり、
前記リード端子は、前記一対のセラミック素体間で互いに対向する主面同士のそれぞれの電極部に電気的に接続された共通端子を更に有し、
前記セラミック素体の前記対向方向の厚さをT寸法、前記一対のリード端子のそれぞれの前記対向方向の厚さをK寸法、前記実装面の前記対向方向の長さをB寸法とした場合に、前記B寸法が前記T寸法×2+前記K寸法×3+0.8mm以上である請求項1~6のいずれか一項記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンデンサ等の電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品として、例えば特許文献1に記載のセラミック電子部品がある。この従来の電子部品は、セラミック素体と、セラミック素体に設けられた外部電極と、外部電極に接続されたリード端子と、セラミック素体及び外部電極を覆う外装樹脂とを備えて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような電子部品は、リード端子を用いて基板に実装される。実装後の基板には、製品の使用態様によっては振動が加わることが考えられる。基板に振動が加わると、振動が負荷となってリード端子に破断などが生じるおそれがある。このため、電子部品では、リード端子の破断の防止の観点から、基板への実装状態における振動対策が求められている。
【0005】
また、上述のような電子部品では、実装の作業効率を向上させる観点から、自動マウンタなどの装置を用いて基板に電子部品をマウントすることが好適である。しかしながら、電子部品の形状によっては、自動マウンタによるチャッキングが難しくなる。このため、実際には手作業で基板に電子部品をマウントすることがあり、実装の作業効率の向上が課題となっている。
【0006】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、耐振動性の確保及び実装の作業効率の向上を両立できる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本開示の一側面に係る電子部品は、電極部が形成された一対の主面を有するセラミック素体と、電極部に電気的に接続された一対のリード端子と、セラミック素体及び一対のリード端子の基端部を覆うように設けられ、一対のリード端子の先端部が引き出された実装面を有する絶縁性の外装樹脂と、を備え、電極部の対向方向と実装面の法線方向とが互いに直交し、外装樹脂における対向方向の一対の側面の少なくとも一方が平坦面を有し、対向方向及び法線方向に直交する方向を幅方向とし、セラミック素体の幅方向の長さをD寸法、実装面における一対のリード端子の幅方向の間隔をF寸法、実装面の幅方向の長さをA寸法とした場合に、A寸法は、D寸法及びF寸法の大きい方よりも大きくなっている。
【0008】
この電子部品では、セラミック素体の幅方向の長さであるD寸法、及び一対のリード端子の幅方向の間隔であるF寸法の大きい方よりも、実装面の幅方向の長さであるA寸法が大きくなっている。これにより、基板への実装状態において、基板に対する実装面の接触面積を十分に確保できる。接触面積を十分に確保できることで、基板上での電子部品の安定性が高まり、耐振動性を確保できる。また、この電子部品では、外装樹脂における対向方向の一対の側面の少なくとも一方が平坦面を有している。これにより、側面が湾曲面をなすような場合に比べて、自動マウンタによるチャッキングが容易となる。したがって、実装の作業効率の向上が図られる。
【0009】
外装樹脂の一対の側面の双方が平坦面を有していてもよい。この場合、自動マウンタによるチャッキングが一層容易となる。したがって、実装の作業効率を更に向上できる。
【0010】
一対のリード端子のそれぞれは、セラミック素体から一直線状に引き出されていてもよい。この場合、リード端子の構成が簡単となるため、耐振動性を確保しつつ、実装の作業効率を高めることができる。
【0011】
一対のリード端子のそれぞれは、対向方向の中央側に屈曲するキンク部を有し、外装樹脂は、キンク部を含むように一対のリード端子の基端部を覆っていてもよい。これにより、リード端子にキンク部を設ける場合であっても、基板への実装状態において、基板に対する実装面の接触面積を十分に確保できる。したがって、耐振動性を十分に確保できる。
【0012】
外装樹脂は、実装面における一対のリード端子の引出位置よりも外側で、一対のリード端子の引出方向に突出する突起部を有していてもよい。この場合、例えば突起部を基板側の貫通孔に嵌め込むことで、基板上での電子部品の安定性を更に高めることができる。突起部の位置をリード端子の引出位置よりも外側とすることで、突起部がリード端子と基板との接続を阻害することも回避できる。
【0013】
外装樹脂において、実装面の反対面の幅方向の長さをA’寸法とした場合に、A寸法は、A’寸法よりも大きくなっていてもよい。このような構成によれば、外装樹脂のボリュームが実装面側に偏在するため、電子部品の重心を実装面に近づけることが可能となる。これにより、基板上での電子部品の安定性が高まり、耐振動性を一層十分に確保できる。
【0014】
D寸法がF寸法よりも大きく、A寸法がD寸法+0.8mm以上であってもよい。このような外装樹脂の寸法構成を採用することで、セラミック素体が十分な肉厚の外装樹脂で覆われるため、電子部品の絶縁性を十分に確保できる。
【0015】
D寸法がF寸法よりも小さく、一対のリード端子のそれぞれの幅方向の厚さをL寸法とした場合に、A寸法がF寸法+L寸法×2+0.8mm以上であってもよい。このような外装樹脂の寸法構成を採用することで、セラミック素体が十分な肉厚の外装樹脂で覆われるため、電子部品の絶縁性を十分に確保できる。
【0016】
セラミック素体の対向方向の厚さをT寸法、一対のリード端子のそれぞれの対向方向の厚さをK寸法、実装面の対向方向の長さをB寸法とした場合に、B寸法がT寸法+K寸法×2+0.8mm以上であってもよい。このような外装樹脂の寸法構成を採用することで、セラミック素体が十分な肉厚の外装樹脂で覆われるため、電子部品の絶縁性を十分に確保できる。
【0017】
セラミック素体は、対向方向に所定の間隔をもって並ぶ一対のセラミック素体からなり、リード端子は、一対のセラミック素体間で互いに対向する主面同士のそれぞれの電極部に電気的に接続された共通端子を更に有し、D寸法がF寸法×2よりも大きく、A寸法がD寸法+0.8mm以上であってもよい。このような外装樹脂の寸法構成を採用することで、セラミック素体が十分な肉厚の外装樹脂で覆われるため、三端子型の電子部品においても絶縁性を十分に確保できる。
【0018】
セラミック素体は、対向方向に所定の間隔をもって並ぶ一対のセラミック素体からなり、リード端子は、一対のセラミック素体間で互いに対向する主面同士のそれぞれの電極部に電気的に接続された共通端子を更に有し、D寸法がF寸法×2よりも小さく、一対のリード端子のそれぞれの幅方向の厚さをL寸法とした場合に、A寸法がF寸法×2+L寸法×2+0.8mm以上であってもよい。このような外装樹脂の寸法構成を採用することで、セラミック素体が十分な肉厚の外装樹脂で覆われるため、三端子型の電子部品においても絶縁性を十分に確保できる。
【0019】
セラミック素体は、対向方向に所定の間隔をもって並ぶ一対のセラミック素体からなり、リード端子は、一対のセラミック素体間で互いに対向する主面同士のそれぞれの電極部に電気的に接続された共通端子を更に有し、セラミック素体の対向方向の厚さをT寸法、一対のリード端子のそれぞれの対向方向の厚さをK寸法、実装面の対向方向の長さをB寸法とした場合に、B寸法がT寸法×2+K寸法×3+0.8mm以上であってもよい。このような外装樹脂の寸法構成を採用することで、セラミック素体が十分な肉厚の外装樹脂で覆われるため、三端子型の電子部品においても絶縁性を十分に確保できる。
【発明の効果】
【0020】
本開示によれば、耐振動性の確保及び実装の作業効率の向上を両立できる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【
図1】第1実施形態に係る電子部品の模式的な正面図である。
【
図2】
図1に示した電子部品の模式的な側面図である。
【
図3】IECで定められる絶縁距離の表を抜粋した図である。
【
図4】比較例に係る電子部品の模式的な正面図である。
【
図5】
図4に示した電子部品の模式的な側面図である。
【
図6】第1実施形態の変形例に係る電子部品の模式的な正面図である。
【
図7】
図6に示した電子部品の模式的な側面図である。
【
図8】第1実施形態の別の変形例に係る電子部品の模式的な正面図である。
【
図9】
図8に示した電子部品の模式的な側面図である。
【
図10】第2実施形態に係る電子部品の模式的な正面図である。
【
図12】第2実施形態の変形例に係る電子部品の模式的な正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る電子部品の好適な実施形態について詳細に説明する。
[第1実施形態]
【0023】
図1は、第1実施形態に係る電子部品の模式的な正面図である。
図2は、その模式的な側面図である。
図1及び
図2に示す電子部品1は、ラジアルリード型のコンデンサとして構成されている。電子部品1は、例えばハンダなどの接合材料を用いて電子機器の基板Pに実装され得る。電子部品1は、セラミック素体2と、一対のリード端子3A,3Bと、外装樹脂4とを備えて構成されている。外装樹脂4の一面は、基板Pとの実装の際に基板P側を向く実装面Rとなっている。
【0024】
以下の説明では、実装面Rを底面とも称し、実装面Rの反対面を上面とも称する。また、実装面Rの法線方向を高さ方向、セラミック素体2における電極部5,5の対向方向を厚さ方向、実装面Rの法線方向及び電極部5,5の対向方向に直交する方向を幅方向とする。電子部品1は、実装面Rの法線方向、電極部5,5の対向方向、幅方向のそれぞれから見た場合に、左右対称性を有するように構成されている。
【0025】
セラミック素体2は、円盤状の誘電体素子と、当該誘電体素子の両面にそれぞれ形成される電極部5,5とによって構成されている。誘電体素子は、例えば誘電体材料(BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系などの誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体によって構成されている。
【0026】
本実施形態では、セラミック素体2の全体の形状は、扁平な円柱形状となっている。すなわち、電極部5,5の対向方向から見たセラミック素体2の平面形状は、円形状となっている。セラミック素体2の稜線部は、面取りされた形状或いは丸められた形状をなしていてもよい。セラミック素体2は、互いに対向する一対の主面2a,2bと、主面2a,2b同士を結ぶ周面2cとを有している。本実施形態では、セラミック素体2において、電極部5,5の対向方向と実装面Rの法線方向とが直交した状態となっている。
【0027】
主面2a,2bのそれぞれには、電極部5が設けられている。電極部5は、例えば主面2a,2bのそれぞれの全体を覆うように設けられている。電極部5は、金属やガラスを含む電極ペーストの焼結層によって構成されている。金属としては、Cu,Ni,Agなどを用いることができる。
【0028】
リード端子3A,3Bは、電極部5に電気的に接続されている。ここでは、リード端子3Aは、+端子であり、リード端子3Bは、-端子である。リード端子3A,3Bと電極部5との接続には、例えばハンダなどの接合材料を用いることができる。端子の構成材料としては、例えばリン青銅、ステンレス鋼、Ni-Fe合金(例えば42アロイ)などが挙げられる。端子の表面には、Niめっき層、Snめっき層などの金属めっき層が設けられていてもよい。めっき層は、単層及び多層のいずれであってもよい。
【0029】
本実施形態では、リード端子3Aは、セラミック素体2における主面2aの電極部5に電気的に接続された接続部11Aと、接続部11Aから連続して実装面R側に垂下する垂下部12Aとを有している。接続部11Aは、
図1に示すように、電極部5,5の対向方向から見た場合に、セラミック素体2の中心付近から幅方向の一方の外側に向かって電極部5の面内方向に延びている。垂下部12Aは、電極部5,5の対向方向から見た場合に、接続部11Aの下端から実装面Rの法線方向に沿って直線状に延びている。
【0030】
リード端子3Bは,セラミック素体2における主面2bの電極部5に電気的に接続された接続部11Bと、接続部11Bから連続して実装面R側に垂下する垂下部12Bとを有している。接続部11Bは、
図1に示すように、電極部5,5の対向方向から見た場合に、セラミック素体2の中心付近から幅方向の他方の外側に向かって電極部5の面内方向に延びている。垂下部12Bは、電極部5,5の対向方向から見た場合に、接続部11Bの下端から実装面Rの法線方向に沿って直線状に延びている。
【0031】
垂下部12A,12Bの中間部分には、
図2に示すように、キンク加工が施されたキンク部13Aが設けられている。キンク加工とは、基板Pに対する電子部品1の仮固定を容易にする目的で行われる曲げ加工である。本実施形態では、キンク部13Aにより、垂下部12Aは、セラミック素体2よりも下方となる位置で厚さ方向の中央側に向かって屈曲している。また、キンク部13Bにより、垂下部12Bは、セラミック素体2よりも下方となる位置で厚さ方向の中央側に向かって屈曲している。電子部品1を幅方向から見た場合に、キンク部13A,13Bよりも先端側の垂下部12A,12Bの厚さ方向の位置は、互いに揃った状態となっている(
図2参照)。
【0032】
外装樹脂4は、絶縁性を有する部材である。外装樹脂4は、セラミック素体2及び一対のリード端子3A,3Bの基端部を覆うように設けられている。本実施形態では、外装樹脂4は、キンク部13A,13Bを含むように一対のリード端子3A,3Bの基端部を覆っている。すなわち、本実施形態では、キンク部13A,13Bは、電子部品1の高さ方向において、セラミック素体2と実装面Rとの間に位置し、外装樹脂4内に埋没している。
【0033】
外装樹脂4は、例えば絶縁性を有するエポキシ樹脂によって構成されている。外装樹脂4は、例えばディップ法或いは金型を用いた射出成形によって形成することができる。外装樹脂4の形状は、概略的には直方体形状をなしている。外装樹脂4の角部及び稜線部は、面取りされた形状或いは丸められた形状をなしていてもよい。外装樹脂4は、互いに対向する一対の主面4a,4bと、主面4a,4bを繋ぐ4つの側面4c~4fとを有している。
【0034】
主面4aは、電子部品1の上面となる面である。主面4bは、電子部品1の底面となる面であり、実装面Rを構成する面である。主面4aは、角部及び稜線部を除いて平坦面となっている。主面4bは、少なくともリード端子3A,3Bの周辺領域及びリード端子3A,3Bの間の領域が平坦面となっている。ここでは、主面4bは、角部、稜線部、及び後述の突起部6を除いて平坦面となっている。
【0035】
側面4c,4dは、電極部5,5の対向方向に互いに対向する面であり、側面4e,4fは、幅方向に互いに対向する面である。本実施形態では、
図1及び
図2に示すように、外装樹脂4における底面(実装面R)側の肉厚が上面(実装面Rの反対面)側の肉厚よりも一回り大きくなっている。したがって、側面4c~4fは、主面4a側の側面4c1~4f1と、主面4b側の側面4c2~4f2とによって構成されている。
【0036】
側面4c1~4f1は、主面4aを画成している。側面4c2~4f2は、主面4b(実装面R)を画成している。外装樹脂4の底面側が肉厚となる分、実装面Rの法線方向から見た場合に、側面4c2~4f2は、側面4c1~4f1よりも外側に位置している。したがって、外装樹脂4では、主面4b(実装面R)の面積は、主面4aの面積よりも大きくなっている。
【0037】
外装樹脂4では、電極部5,5の対向方向の一対の側面4c,4dの少なくとも一方が平坦面を有している。本実施形態では、
図2に示すように、側面4c,4dの双方が平坦面を有している。側面4cでは、主面4a側の側面4c1と主面4b側の側面4c2との間に肉厚による段差が生じているが、側面4c1及び側面4c2のそれぞれが角部及び稜線部を除いて平坦面となっている。同様に、側面4dでは、主面4a側の側面4d1と主面4b側の側面4d2との間に肉厚による段差が生じているが、側面4d1及び側面4d2のそれぞれが角部及び稜線部を除いて平坦面となっている。
【0038】
なお、本実施形態では、
図1に示すように、側面4e,4fの双方も平坦面を有している。側面4eでは、主面4a側の側面4e1と主面4b側の側面4e2との間に肉厚による段差が生じているが、側面4e1及び側面4e2のそれぞれが角部及び稜線部を除いて平坦面となっている。同様に、側面4fでは、主面4a側の側面4f1と主面4b側の側面4f2との間に肉厚による段差が生じているが、側面4f1及び側面4f2のそれぞれが角部及び稜線部を除いて平坦面となっている。
【0039】
また、外装樹脂4は、
図1に示すように、実装面Rにおける一対のリード端子3A,3Bの引出位置よりも外側で、一対のリード端子3A,3Bの引出方向に突出する突起部6を有している。
図1の例では、一対のリード端子3A,3Bの引出位置を幅方向に挟むように一対の突起部6,6が実装面Rに設けられている。基板Pには、一対の突起部6,6の形状に応じた一対の貫通孔Pa,Paが設けられている。実装の際、基板Pの貫通孔Pa,Paに突起部6,6を嵌合することで、基板Pに対して電子部品1を固定することができる。
【0040】
突起部6,6の形状に特に制限は無い。突起部6の断面形状は、円形、楕円形、三角形、矩形、多角形など、種々の形状であってもよい。突起部6,6の形状は、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。突起部6,6の長さにも特に制限は無い。本実施形態では、実装面Rからのリード端子3A,3Bの突出長さに対して小さい長さで突起部6,6が突出している。実装面Rからの突起部6,6の突出長さは、互いに同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0041】
次に、上述した電子部品1の各構成要素の寸法関係について説明する。電子部品1では、
図1に示すように、セラミック素体2の幅方向の長さをD寸法、実装面Rにおける一対のリード端子3A,3Bの幅方向の間隔をF寸法、実装面Rの幅方向の長さをA寸法とした場合に、A寸法がD寸法及びF寸法の大きい方よりも大きくなっている。
【0042】
図1の例では、D寸法がF寸法よりも大きくなっており、A寸法は、D寸法よりも大きくなっている。より具体的には、本実施形態では、A寸法は、D寸法+0.8mm以上となっている。このような寸法関係を有することで、電子部品1を国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)で定められる安全規格における絶縁性の基準に適合させることができる。例えばIEC60065:2002及びIEC60950-1:2005では、電子部品におけるコーティング厚を0.4mm以上とすることが規定されている。したがって、A寸法をD寸法+0.8mm以上とすることで、外装樹脂4の幅方向の肉厚(ここでは、セラミック素体2の周面2cから側面4e2及び4f2までの肉厚)をセラミック素体2の幅方向の両側で0.4mm以上確保することが可能となり、上記の基準を満足できる。
【0043】
また、電子部品1では、
図2に示すように、電極部5,5の対向方向におけるセラミック素体2の厚さをT寸法、電極部5,5の対向方向における一対のリード端子3A,3Bのそれぞれの厚さをK寸法、電極部5,5の対向方向における実装面Rの長さをB寸法とした場合に、B寸法がT寸法+K寸法×2よりも大きくなっている。より具体的には、本実施形態では、B寸法は、T寸法+K寸法×2+0.8mm以上となっている。このような寸法関係を有することで、A寸法の場合と同様に、電極部5,5の対向方向における外装樹脂4の肉厚(ここでは、セラミック素体2の電極部5から側面4c2及び4d2までの肉厚)をセラミック素体2の厚さ方向の両側で0.4mm以上確保することが可能となり、上記の基準を満足できる。
【0044】
上述したF寸法は、実装面Rの法線方向から見た場合のリード端子3Aとリード端子3Bとの間の最短距離であり、リード端子3A,3Bとの間の空間距離に相当する。本実施形態では、F寸法は、5mm以上或いは10mm以上となっている。
図3は、IEC60384-14の4.1.1項で定められる絶縁距離の表を抜粋した図である。同図に示すように、この安全規格では、強化絶縁タイプ及び基礎絶縁タイプの2種類の電子部品に対し、定格電圧U
Rに応じた端子間の沿面距離及び空間距離が定められている。
【0045】
F寸法を5mm以上或いは10mm以上とすることで、定格電圧URが250Vを超える場合の基礎絶縁タイプ或いは強化絶縁タイプのそれぞれに対する空間距離の基準をクリアできる。リード端子3A,3B間の沿面距離は、実装面Rからのリード端子3A,3Bの突出長さをF寸法に加えた距離で表される。したがって、F寸法を5mm以上或いは10mm以上とすることで、定格電圧URが250Vを超える場合の基礎絶縁タイプ或いは強化絶縁タイプのそれぞれに対する沿面距離の基準を同時にクリアできる。
【0046】
電子部品1では、上述したように、外装樹脂4における底面(実装面R)側の肉厚が上面(実装面Rの反対面)側の肉厚よりも一回り大きくなっている。したがって、
図1に示すように、外装樹脂4の主面4a(実装面Rの反対面)の幅方向の長さをA’寸法とした場合に、A寸法がA’寸法よりも大きくなっている。このような寸法関係によれば、外装樹脂4のボリュームが実装面R側に偏在することとなる。このため、電子部品1の重心を実装面Rに近づけることが可能となり、基板P上での電子部品1の安定性を高めることができる。
【0047】
なお、本実施形態では、
図2に示すように、外装樹脂4の主面4aにおける電極部5,5の対向方向の長さをB’寸法とした場合に、B寸法がB’寸法よりも大きくなっている。このような寸法関係によれば、外装樹脂4のボリュームが実装面R側に一層偏在することとなる。このため、電子部品1の重心を実装面Rにより確実に近づけることが可能となり、基板P上での電子部品1の安定性を更に高めることができる。
【0048】
続いて、上述した電子部品1の作用効果について説明する。
図4は、比較例に係る電子部品の模式的な正面図である。また、
図5は、その模式的な側面図である。
図4及び
図5に示す電子部品101では、セラミック素体2及び一対のリード端子3A,3Bの構成は、電子部品1と同様であるが、外装樹脂104の構成が電子部品1の外装樹脂4と相違している。具体的には、電子部品101では、扁平な円柱形状のセラミック素体2を覆う外装樹脂104が当該セラミック素体2の形状に応じた円盤形状をなしている。
【0049】
電子部品101では、リード端子3A,3Bの垂下部12A,12Bのうち、キンク部13A,13Bよりも基端側の部分のみが外装樹脂104の突起部104aに覆われており、突起部6よりも先端側の部分が突起部104aから突出した状態となっている。したがって、実装面R(突起部104aの底面104b)の幅方向の長さであるA寸法がセラミック素体2の幅方向の長さであるD寸法よりも小さくなっている。
【0050】
かかる電子部品101では、基板Pへの実装状態において外装樹脂104と基板Pとが離間し、基板Pに対してリード端子3A,3Bのキンク部13A,13Bのみが接触した状態となっている。このため、実装後の基板P及び電子部品101に振動が加わると、例えばキンク部13A,13Bの周辺を支点として電子部品101が電極部5,5の対向方向に倒れる方向に負荷がかかり、リード端子3A,3Bに破断などが生じることが考えられる(
図5参照)。
【0051】
また、電子部品101では、
図5に示すように、外装樹脂104における電極部5,5の対向方向の両側面104c,104dがいずれも緩やかな凸状の湾曲面となっている。このような湾曲面をなす電子部品101では、自動マウンタによるチャッキングが難しくなる。このため、実際には手作業で基板Pに電子部品101をマウントすることとなり、実装の作業効率が低下することが考えられる。
【0052】
これに対し、本実施形態に係る電子部品1では、セラミック素体2の幅方向の長さであるD寸法が一対のリード端子3A,3Bの幅方向の間隔であるF寸法よりも大きくなっており、実装面Rの幅方向の長さであるA寸法がD寸法よりも大きくなっている。これにより、基板Pへの実装状態において、基板Pに対する実装面Rの接触面積を十分に確保できる。接触面積を十分に確保できることで、基板P上での電子部品1の安定性が高まり、耐振動性を確保できる。また、電子部品1では、電極部5,5の対向方向における外装樹脂4の一対の側面4c,4dの双方が平坦面を有している。これにより、側面4c,4dが湾曲面をなすような場合に比べて、自動マウンタによるチャッキングが容易となる。したがって、実装の作業効率の向上が図られる。
【0053】
本実施形態では、一対のリード端子3A,3Bのそれぞれは、電極部5,5の対向方向の中央側に屈曲するキンク部13A、13Bを有し、外装樹脂4は、キンク部13A,13Bを含むように一対のリード端子3A,3Bの基端部を覆っている。これにより、リード端子3A,3Bにキンク部13A,13Bを設ける場合であっても、基板Pへの実装状態において、基板Pに対する実装面Rの接触面積を十分に確保できる。したがって、耐振動性を十分に確保できる。
【0054】
本実施形態では、外装樹脂4は、実装面Rにおける一対のリード端子3A,13の引出位置よりも外側で、一対のリード端子3A,3Bの引出方向に突出する突起部6,6を有している。この場合、例えば突起部6,6を基板P側の貫通孔Pa,Paに嵌め込むことで、基板P上での電子部品1の安定性を更に高めることができる。突起部6,6の位置をリード端子3A,3Bの引出位置よりも外側とすることで、突起部6,6がリード端子3A,3Bと基板Pとの接続を阻害することも回避できる。
【0055】
本実施形態では、外装樹脂4において、底面(実装面R)側の肉厚が上面(実装面Rの反対面)側の肉厚よりも一回り大きくなっている。そして、主面4a(実装面Rの反対面)の幅方向の長さをA’寸法とした場合に、上述したA寸法がA’寸法よりも大きくなっている。このような構成によれば、外装樹脂4のボリュームが実装面R側に偏在するため、電子部品1の重心を実装面Rに近づけることが可能となる。これにより、基板P上での電子部品1の安定性が高まり、耐振動性を一層十分に確保できる。
【0056】
本実施形態では、D寸法がF寸法よりも大きく、A寸法がD寸法+0.8mm以上となっている。また、電極部5,5の対向方向におけるセラミック素体2の厚さをT寸法、一対のリード端子3A,3Bのそれぞれの幅方向の厚さをL寸法、電極部5,5の対向方向における実装面Rの長さをB寸法とした場合に、B寸法がT寸法+L寸法×2+0.8mm以上となっている。このような外装樹脂4の寸法構成を採用することで、セラミック素体2が十分な肉厚の外装樹脂4で覆われるため、電子部品1の絶縁性を十分に確保できる。
【0057】
第1実施形態に係る電子部品1は、種々の変形を取り得る。例えば
図1及び
図2では、D寸法がF寸法よりも大きい態様を例示したが、
図6及び
図7に示すように、D寸法がF寸法よりも小さい電子部品1Aを構成してもよい。この場合、A寸法をF寸法よりも大きくすることで、上記実施形態と同様に、基板P上での電子部品1Aの安定性が高まり、耐振動性を十分に確保できる。また、電子部品1Aにおいて、一対のリード端子3A,3Bのそれぞれの幅方向の厚さをL寸法とした場合に、A寸法がF寸法+L寸法×2+0.8mm以上であってもよい。このような外装樹脂4の寸法構成を採用することで、セラミック素体2が十分な肉厚の外装樹脂4で覆われるため、電子部品1Aの絶縁性を十分に確保できる。
【0058】
また、
図1及び
図2では、外装樹脂4における底面(実装面R)側の肉厚が上面(実装面Rの反対面)側の肉厚よりも一回り大きい態様を例示したが、
図8及び
図9に示すように、外装樹脂4において実装面R側の肉厚部分を設けない電子部品1Bを構成してもよい。この場合であっても、A寸法をD寸法及びF寸法の大きい方よりも大きくすることで、上記実施形態と同様に、基板P上での電子部品1Aの安定性が高まり、耐振動性を十分に確保できる。また、外装樹脂4において実装面R側の肉厚部分を設けないことで、外装樹脂4の側面4c~4fのそれぞれを単一の平坦面とすることができる。したがって、自動マウンタによるチャッキングが一層容易となり、実装の作業効率の向上がより確実に図られる。
[第2実施形態]
【0059】
図10は、第2実施形態に係る電子部品の模式的な正面図である。
図11は、その模式的な側面図である。
図10及び
図11に示す電子部品21は、三端子型のコンデンサとして構成されている点で第1実施形態に係る電子部品1と相違している。具体的には、電子部品21は、電極部5,5の対向方向に所定の間隔をもって並ぶ一対のセラミック素体2A,2Bを有している。また、電子部品1は、一対のリード端子3A,3Bに加え、セラミック素体2A,2Bに共通するリード端子(以下、共通端子3C)を有している。
【0060】
外装樹脂4の構成は、第1実施形態と同様であり、外装樹脂4における底面(実装面R)側の肉厚が上面(実装面Rの反対面)側の肉厚よりも一回り大きくなっている。したがって、外装樹脂4では、A寸法がA’寸法よりも大きくなっている(
図10参照)。また、B寸法がB’寸法よりも大きくなっている(
図11参照)。
【0061】
共通端子3Cは、例えばFG(フレームグラウンド)端子である。共通端子3Cは、一対のセラミック素体2A,2B間で互いに対向する主面2a,2b同士のそれぞれの電極部5,5に電気的に接続された接続部11Cと、接続部11Cから連続して実装面R側に垂下する垂下部12Cとを有している。接続部11Cは、セラミック素体2A,2B間に位置し、実装面Rの法線方向に沿って電極部5の面内方向に延びている。垂下部12Cは、電極部5,5の対向方向から見た場合に、接続部11cの下端から実装面Rの法線方向に沿って直線状に延びている。
【0062】
電子部品21では、リード端子3A,3Bの垂下部12A,12Bには、キンク部13A,13Bが設けられておらず、リード端子3A,3Bのそれぞれは、セラミック素体2A,2Bから一直線状に引き出されている。すなわち、電子部品21では、電極部5,5の対向方向から見た場合に、セラミック素体2A,2Bから実装面Rに向かって突出する垂下部12A,12Bが一直線状をなしている。共通端子3Cも同様であり、電極部5,5の対向方向から見た場合に、セラミック素体2A,2Bから実装面Rに向かって突出する垂下部12Cが一直線状をなしている。
【0063】
電子部品21では、共通端子3Cの配置を考慮した寸法関係が採用されている。具体的には、電子部品21では、
図10に示すように、D寸法がF寸法×2よりも大きくなっており、A寸法がD寸法+0.8mm以上となっている。また、電子部品21では、
図11に示すように、B寸法がT寸法×2+K寸法×3+0.8mm以上となっている。このような電子部品21においても、第1実施形態に係る電子部品1と同様に、耐振動性の確保及び実装の作業効率の向上を両立できる。また、上述の外装樹脂4の寸法構成を採用することで、セラミック素体2が十分な肉厚の外装樹脂4で覆われるため、電子部品21の絶縁性を十分に確保できる。
【0064】
第2実施形態に係る電子部品21についても、種々の変形を取り得る。例えば
図10及び
図11では、D寸法がF寸法×2よりも大きい態様を例示したが、
図12及び
図13に示すように、D寸法がF寸法×2よりも小さい電子部品21Aを構成してもよい。この場合、A寸法がF寸法×2+L寸法×2+0.8mm以上であってもよい。このような外装樹脂4の寸法構成を採用することで、セラミック素体2が十分な肉厚の外装樹脂4で覆われるため、電子部品21Aの絶縁性を十分に確保できる。
【0065】
なお、図示しないが、第2実施形態においても、第1実施形態と同様に、外装樹脂4において実装面R側の肉厚部分を設けない態様を採用してもよい。これにより、外装樹脂4の側面4c~4fの平坦性が高まり、自動マウンタによるチャッキングが一層容易となる。したがって、実装の作業効率の向上がより確実に図られる。
[他の変形例]
【0066】
上記実施形態では、側面4c,4dの双方が平坦面を有する態様を例示したが、側面4c,4dの一方のみが平坦面を有する態様であってもよい。この場合、側面4c,4dの他方は、例えば
図5に示した比較例の外装樹脂104のように、緩やかな凸状の湾曲面となっていてもよい。また、上記実施形態では、側面4e,4fの双方も平坦面を有しているが、側面4e,4fの一方又は双方が凸状の湾曲面となっていてもよい。
【0067】
上記実施形態では、突起部6,6がリード端子3A,3Bの引出位置よりも幅方向の外側に設けられているが、突起部6,6がリード端子3A,3Bの引出位置よりも電極部5,5の対向方向の外側に設けられていてもよい。突起部6は、一対で設けられたものに限られず、単体或いは3体以上の複数で設けられていてもよい。突起部6は、必ずしも設けられていなくてもよい。
【0068】
第1実施形態では、リード端子3A,3Bの垂下部12A,12Bにキンク部13A,13Bがそれぞれ設けられているが、キンク部13A,13Bを省略し、リード端子3A,3Bのそれぞれがセラミック素体2から一直線状に引き出されている態様に変更してもよい。反対に、第2実施形態では、リード端子3A,3Bのそれぞれがセラミック素体2から一直線状に引き出されているが、リード端子3A,3Bの垂下部12A,12Bにキンク部13A,13Bが設けられた態様に変更してもよい。
【0069】
本開示の要旨は、以下の[1]~[12]に示すとおりである。
[1]電極部が形成された一対の主面を有するセラミック素体と、前記電極部に電気的に接続された一対のリード端子と、前記セラミック素体及び前記一対のリード端子の基端部を覆うように設けられ、前記一対のリード端子の先端部が引き出された実装面を有する絶縁性の外装樹脂と、を備え、前記電極部の対向方向と前記実装面の法線方向とが互いに直交し、前記外装樹脂における前記対向方向の一対の側面の少なくとも一方が平坦面を有し、前記対向方向及び前記法線方向に直交する方向を幅方向とし、前記セラミック素体の前記幅方向の長さをD寸法、前記実装面における前記一対のリード端子の前記幅方向の間隔をF寸法、前記実装面の前記幅方向の長さをA寸法とした場合に、前記A寸法は、D寸法及びF寸法の大きい方よりも大きくなっている電子部品。
[2]前記外装樹脂の前記一対の側面の双方が平坦面を有している[1]記載の電子部品。
[3]前記一対のリード端子のそれぞれは、前記セラミック素体から一直線状に引き出されている[1]又は[2]記載の電子部品。
[4]前記一対のリード端子のそれぞれは、前記対向方向の中央側に屈曲するキンク部を有し、前記外装樹脂は、前記キンク部を含むように前記一対のリード端子の基端部を覆っている[1]又は[2]記載の電子部品。
[5]前記外装樹脂は、前記実装面における前記一対のリード端子の引出位置よりも外側で、前記一対のリード端子の引出方向に突出する突起部を有している[1]~[4]のいずれか記載の電子部品。
[6]前記外装樹脂において、前記実装面の反対面の前記幅方向の長さをA’寸法とした場合に、前記A寸法は、前記A’寸法よりも大きくなっている[1]~[5]のいずれか記載の電子部品。
[7]前記D寸法が前記F寸法よりも大きく、前記A寸法が前記D寸法+0.8mm以上である[1]~[6]のいずれか記載の電子部品。
[8]前記D寸法が前記F寸法よりも小さく、前記一対のリード端子のそれぞれの前記幅方向の厚さをL寸法とした場合に、前記A寸法が前記F寸法+前記L寸法×2+0.8mm以上である[1]~[6]のいずれか記載の電子部品。
[9]前記セラミック素体の前記対向方向の厚さをT寸法、前記一対のリード端子のそれぞれの前記対向方向の厚さをK寸法、前記実装面の前記対向方向の長さをB寸法とした場合に、前記B寸法が前記T寸法+前記K寸法×2+0.8mm以上である[1]~[8]のいずれか記載の電子部品。
[10]前記セラミック素体は、前記対向方向に所定の間隔をもって並ぶ一対のセラミック素体からなり、前記リード端子は、前記一対のセラミック素体間で互いに対向する主面同士のそれぞれの電極部に電気的に接続された共通端子を更に有し、前記D寸法が前記F寸法×2よりも大きく、前記A寸法が前記D寸法+0.8mm以上である[1]~[6]のいずれか記載の電子部品。
[11]前記セラミック素体は、前記対向方向に所定の間隔をもって並ぶ一対のセラミック素体からなり、前記リード端子は、前記一対のセラミック素体間で互いに対向する主面同士のそれぞれの電極部に電気的に接続された共通端子を更に有し、前記D寸法が前記F寸法×2よりも小さく、前記一対のリード端子のそれぞれの前記幅方向の厚さをL寸法とした場合に、前記A寸法が前記F寸法×2+前記L寸法×2+0.8mm以上である[1]~[6]のいずれか記載の電子部品。
[12]前記セラミック素体は、前記対向方向に所定の間隔をもって並ぶ一対のセラミック素体からなり、前記リード端子は、前記一対のセラミック素体間で互いに対向する主面同士のそれぞれの電極部に電気的に接続された共通端子を更に有し、前記セラミック素体の前記対向方向の厚さをT寸法、前記一対のリード端子のそれぞれの前記対向方向の厚さをK寸法、前記実装面の前記対向方向の長さをB寸法とした場合に、前記B寸法が前記T寸法×2+前記K寸法×3+0.8mm以上である[1]~[6]のいずれか記載の電子部品。
【符号の説明】
【0070】
1,1A,1B,21,21A…電子部品、2,2A,2B…セラミック素体、3A,3B…リード端子、3C…共通端子、4…外装樹脂、4c,4d…側面、5…電極部、6…突起部、13A,13B…キンク部、R…実装面。