(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112015
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】電子部品
(51)【国際特許分類】
H01G 4/228 20060101AFI20240813BHJP
H01G 4/38 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
H01G4/228 J
H01G4/38 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016816
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003067
【氏名又は名称】TDK株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100088155
【弁理士】
【氏名又は名称】長谷川 芳樹
(74)【代理人】
【識別番号】100113435
【弁理士】
【氏名又は名称】黒木 義樹
(74)【代理人】
【識別番号】100124062
【弁理士】
【氏名又は名称】三上 敬史
(72)【発明者】
【氏名】堤 智久
(72)【発明者】
【氏名】原 真佐樹
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 浩太郎
(72)【発明者】
【氏名】三浦 克哉
【テーマコード(参考)】
5E082
【Fターム(参考)】
5E082AB01
5E082CC01
5E082CC18
5E082GG01
5E082HH25
(57)【要約】
【課題】耐振動性を確保でき、且つ実装領域を増大させることなく端子間の空間距離或いは沿面距離を十分に確保できる電子部品を提供する。
【解決手段】電子部品1では、一対のセラミック素体2A,2Bは、主面2a,2bの一方同士が互いに対向するように実装面Rと平行に配置され、端子部3は、第1の極性端子6と、第2の極性端子7と、共通端子8とを有し、第1の極性端子6、第2の極性端子7、及び共通端子8のそれぞれにおいて、外装樹脂4から外部に引き出された各引出部13,23,33は、実装面Rの法線方向から見た場合に、三角形状に配置されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電極部が形成された一対の主面を有する一対のセラミック素体と、
前記電極部に電気的に接続された複数の端子を有する端子部と、
前記一対のセラミック素体及び前記複数の端子の基端部を覆うように設けられ、一面が実装面となる絶縁性の外装樹脂と、を備え、
前記一対のセラミック素体は、前記主面の一方同士が互いに対向するように前記実装面と平行に配置され、
前記端子部は、前記セラミック素体の一方における前記主面の一方の電極部に電気的に接続された第1の極性端子と、前記セラミック素体の他方における前記主面の一方の電極部に電気的に接続された第2の極性端子と、前記一対のセラミック素体間で互いに対向する前記主面の他方同士のそれぞれの電極部に電気的に接続された共通端子と、を有し、
前記第1の極性端子、前記第2の極性端子、及び前記共通端子のそれぞれにおいて、前記外装樹脂から外部に引き出された各引出部は、前記実装面の法線方向から見た場合に、三角形状に配置されている電子部品。
【請求項2】
前記各引出部は、前記実装面の法線方向から見た場合に、前記第1の極性端子の引出部と前記共通端子の引出部との間の距離と、前記第2の極性端子の引出部と前記共通端子の引出部との間の距離とが互いに等しい二等辺三角形状に配置されている請求項1記載の電子部品。
【請求項3】
前記各引出部は、前記実装面の法線方向から見た場合に、前記第1の極性端子の引出部と前記共通端子の引出部との間の距離と、前記第2の極性端子の引出部と前記共通端子の引出部との間の距離と、前記第1の極性端子の引出部と前記第2の極性端子の引出部との間の距離とが互いに等しい正三角形状に配置されている請求項1記載の電子部品。
【請求項4】
前記実装面は、当該実装面の法線方向から見た場合に矩形状をなしており、
前記第1の極性端子の引出部及び前記第2の極性端子の引出部は、前記実装面において隣り合う角部にそれぞれ位置し、
前記共通端子の引出部は、前記角部を構成しない辺部に位置している請求項1記載の電子部品。
【請求項5】
前記各引出部の少なくとも先端部は、前記実装面の面内方向に延びている請求項1~4のいずれか一項記載の電子部品。
【請求項6】
前記各引出部は、前記実装面と面一となっている請求項1~4のいずれか一項記載の電子部品。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、コンデンサ等として用いられる電子部品に関する。
【背景技術】
【0002】
従来の電子部品として、例えば特許文献1に記載の三端子コンデンサがある。この従来の三端子コンデンサは、共通端子を挟んで対向する第1のコンデンサ及び第2のコンデンサ、第1のコンデンサに接続される第1の端子、第2のコンデンサに接続される第2の端子、及び各コンデンサを端子の基端部と共に覆う絶縁外装を備えて構成されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上述のような共通端子の導入は、電子部品の構成の簡単化及び実装領域の削減に資する。一方、上述のような電子部品では、端子の破断などの防止の観点から、基板への実装状態における振動対策が求められている。また、国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)などで定められる安全規格に適合させる観点から、端子間の空間距離或いは沿面距離を十分に確保することが求められる。このとき、空間距離或いは沿面距離の確保にあたって単純に端子間距離を拡大すると、共通端子を導入したにも関わらず、実装領域が増大してしまうこととなる。
【0005】
本開示は、上記課題の解決のためになされたものであり、耐振動性を確保でき、且つ実装領域を増大させることなく端子間の空間距離或いは沿面距離を十分に確保できる電子部品を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本開示の一側面に係る電子部品は、電極部が形成された一対の主面を有する一対のセラミック素体と、電極部に電気的に接続された複数の端子を有する端子部と、一対のセラミック素体及び複数の端子の基端部を覆うように設けられ、一面が実装面となる絶縁性の外装樹脂と、を備え、一対のセラミック素体は、主面の一方同士が互いに対向するように実装面と平行に配置され、端子部は、セラミック素体の一方における主面の一方の電極部に電気的に接続された第1の極性端子と、セラミック素体の他方における主面の一方の電極部に電気的に接続された第2の極性端子と、一対のセラミック素体間で互いに対向する主面の他方同士のそれぞれに電気的に接続された共通端子と、を有し、第1の極性端子、第2の極性端子、及び共通端子のそれぞれの電極部において、外装樹脂から外部に引き出された各引出部は、実装面の法線方向から見た場合に、三角形状に配置されている電子部品。
【0007】
この電子部品では、一対のセラミック素体に対して端子部に共通端子が設けられている。共通端子の導入により、電子部品の構成の簡単化及び実装領域の削減が図られる。また、この電子部品では、実装面の法線方向から見た場合に、第1の極性端子、第2の極性端子、及び共通端子の各引出部が三角形状に配置されている。これにより、各引出部を実装面上で直線状に配置した場合に比べて、基板への実装状態における電子部品の安定性が高められ、耐振動性を向上できる。各引出部が三角形状に配置されていることで、実装領域が直線状に延びずに済むため、実装領域を増大させることなく端子間の空間距離或いは沿面距離を十分に確保できる。
【0008】
各引出部は、実装面の法線方向から見た場合に、第1の極性端子の引出部と共通端子の引出部との間の距離と、第2の極性端子の引出部と共通端子の引出部との間の距離とが互いに等しい二等辺三角形状に配置されていてもよい。これにより、端子間の空間距離或いは沿面距離を確保しつつ、実装領域をより小さな領域に収めることができる。
【0009】
各引出部は、実装面の法線方向から見た場合に、第1の極性端子の引出部と共通端子の引出部との間の距離と、第2の極性端子の引出部と共通端子の引出部との間の距離と、第1の極性端子の引出部と第2の極性端子の引出部との間の距離とが互いに等しい正三角形状に配置されていてもよい。これにより、端子間の空間距離或いは沿面距離を確保しつつ、実装領域をより小さな領域に収めることができる。
【0010】
実装面は、当該実装面の法線方向から見た場合に矩形状をなしており、第1の極性端子の引出部及び第2の極性端子の引出部は、実装面において隣り合う角部にそれぞれ位置し、共通端子の引出部は、角部を構成しない辺部に位置していてもよい。これにより、端子間の空間距離或いは沿面距離を確保しつつ、実装領域をより小さな領域に収めることができる。また、電子部品の外観に基づいて、共通端子の引出部と第1の極性端子の引出部及び第2の極性端子の引出部とを区別できるため、実装時の作業性を向上できる。
【0011】
各引出部の少なくとも先端部は、実装面の面内方向に延びていてもよい。この場合、基板への実装状態において、電子部品の重心を基板側に近づけることができる。したがって、耐振動性の一層の向上が図られる。
【0012】
各引出部は、実装面と面一となっていてもよい。この場合、基板への実装状態において、電子部品の重心を基板側に近づけることができる。したがって、耐振動性の一層の向上が図られる。
【発明の効果】
【0013】
本開示によれば、耐振動性を確保でき、且つ実装領域を増大させることなく端子間の空間距離或いは沿面距離を十分に確保できる。
【図面の簡単な説明】
【0014】
【
図1】本開示の一実施形態に係る電子部品の模式的な上面図である。
【
図2】
図1に示した電子部品の模式的な底面図である。
【
図3】
図1に示した電子部品をA面から見た模式的な断面図である。
【
図4】
図1に示した電子部品をB面から見た模式的な断面図である。
【
図5】
図1に示した電子部品をC面から見た模式的な断面図である。
【
図6】実装面における各引出部の位置関係を示す模式的な底面図である。
【
図7】IECで定められる絶縁距離の表を抜粋した図である。
【
図8】変形例に係る電子部品をA面から見た模式的な断面図である。
【
図9】変形例に係る電子部品をB面から見た模式的な断面図である。
【
図10】変形例に係る電子部品をC面から見た模式的な断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0015】
以下、図面を参照しながら、本開示の一側面に係る電子部品の好適な実施形態について詳細に説明する。
【0016】
図1は、本開示の一実施形態に係る電子部品の模式的な上面図である。
図2は、その模式的な底面図である。
図1及び
図2に示す電子部品1は、いわゆる三端子コンデンサとして構成されている。電子部品1は、例えばハンダなどの接合材料を用いて電子機器の回路基板に実装され得る。電子部品1は、一対のセラミック素体2(2A,2B)と、端子部3と、外装樹脂4とを備えて構成されている。外装樹脂4の一面は、回路基板との実装の際に回路基板側を向く実装面Rとなっている。以下の説明では、実装面Rを底面とも称し、実装面Rの反対面を上面とも称する。
【0017】
セラミック素体2は、円盤状の誘電体素子と、当該誘電体素子の両面にそれぞれ形成される電極部5,5とによって構成されている。誘電体素子は、例えば誘電体材料(BaTiO3系、Ba(Ti,Zr)O3系、又は(Ba,Ca)TiO3系などの誘電体セラミック)を含むセラミックグリーンシートの焼結体によって構成されている。
【0018】
本実施形態では、セラミック素体2の全体の形状は、いずれも円盤状となっている。すなわち、電極部5,5の対向方向から見たセラミック素体2の平面形状は、円形状となっている。セラミック素体2の稜線部は、面取りされた形状或いは丸められた形状をなしていてもよい。セラミック素体2は、互いに対向する一対の主面2a,2bと、主面2a,2bを結ぶ周面2cとを有している。主面2a,2bは、セラミック素体2における電極部5,5の対向方向の端面である。ここでは、実装面Rから遠い方の面を主面2aとし、実装面Rから近い方の面を主面2bとする。周面2cは、主面2a,2b間において電極部5,5の対向方向に延在する面である。
【0019】
本実施形態では、セラミック素体2Aは、実装面Rから遠くに位置し、セラミック素体2Bは、実装面Rから近くに位置している。セラミック素体2Aとセラミック素体2Bとは、電極部5,5の対向方向に所定の間隔をもって離間し、且つ主面の一方同士が互いに対向するように実装面Rと平行に配置されている。本実施形態では、セラミック素体2A,2Bのそれぞれにおいて、電極部5,5の対向方向と実装面Rとが直交した状態となっている。
【0020】
主面2a,2bのそれぞれには、電極部5が設けられている。電極部5は、例えば主面2a,2bのそれぞれの全体を覆うように設けられている。電極部5は、金属やガラスを含む電極ペーストの焼結層によって構成されている。金属としては、Cu,Ni,Agなどを用いることができる。
【0021】
端子部3は、電極部5に電気的に接続された複数の端子を有している。端子部3と電極部5との接続には、例えばハンダなどの接合材料を用いることができる。本実施形態では、電子部品1が三端子コンデンサであり、端子部3は、第1の極性端子6、第2の極性端子7、及び共通端子8の3つの端子を有している。ここでは、第1の極性端子6は+端子であり、第2の極性端子は-端子である。共通端子8は、FG(フレームグラウンド)端子である。端子の構成材料としては、例えばリン青銅、ステンレス鋼、Ni-Fe合金(例えば42アロイ)などが挙げられる。端子の表面には、Niめっき層、Snめっき層などの金属めっき層が設けられていてもよい。めっき層は、単層及び多層のいずれであってもよい。
【0022】
外装樹脂4は、絶縁性を有する部材である。外装樹脂4は、一対のセラミック素体2A,2B、及び端子部3を構成する複数の端子の基端部を覆うように設けられている。外装樹脂4は、例えば絶縁性を有するエポキシ樹脂によって構成されている。外装樹脂4は、例えばディップ法によって形成することができる。本実施形態では、外装樹脂4の形状は、立方体形状となっている。外装樹脂4の角部及び稜線部は、面取りされた形状或いは丸められた形状をなしていてもよい。
【0023】
外装樹脂4は、一対の主面4a,4bと、4つの側面4c~4fを有している。主面4aは、電子部品1の上面となる面である。主面4bは、電子部品1の底面となる面であり、実装面Rを構成する面である。側面4c~4fは、主面4a,4b間において電極部5,5の対向方向に延在する面である。側面4c,4dは、互いに対向する面となっており、側面4e,4fdは、側面4c,4dの対向方向と直交する方向で互いに対向する面となっている。本実施形態では、上述したように、外装樹脂4が立方体形状となっている。したがって、主面4a、主面4b(実装面R)、及び側面4c~4fは、いずれも正方形状をなしている。
【0024】
実装面Rは、当該実装面Rを法線方向(電極部5,5の対向方向)から見た場合に、4つの角部4g~4jを有している。角部4gは、側面4cと側面4eとがなす角部であり、角部4hは、側面4dと側面4eとがなす角部である。角部4iは、側面4dと側面4fとがなす角部であり、角部4jは、側面4cと側面4fとがなす角部である。
【0025】
次に、
図3~
図5を参照し、上述した端子部3の構成について更に詳細に説明する。
図3~
図5は、電子部品1をそれぞれA面、B面、C面から見た模式的な断面図である。A面、B面、C面は、電子部品1の側面(外装樹脂4の側面4c~4f)に対して便宜的に付した名称である。ここでは、A面が側面4c、B面が側面4d、C面が側面4eにそれぞれ対応している(
図1及び
図2参照)。
【0026】
上述したように、端子部3は、第1の極性端子6、第2の極性端子7、及び共通端子8の3つの端子を有している。第1の極性端子6は、セラミック素体2の電極部5に接続される接続部11と、接続部11から連続して実装面R側に垂下する垂下部12と、垂下部12から連続して外装樹脂4の外部に引き出される引出部13とを有している。接続部11及び垂下部12は、外装樹脂4の内部に位置している。引出部13の少なくとも先端部13aは、実装面Rの面内方向に延び、外装樹脂4の外部に突出している。
【0027】
接続部11は、セラミック素体2Bにおける主面2bの電極部5に電気的に接続されている。接続部11は、電極部5,5の対向方向から見た場合に、セラミック素体2Bの中心付近から外装樹脂4において側面4d,4fがなす角部4iに向かって直線状に延びている(
図1及び
図2参照)。垂下部12は、セラミック素体2A,2Bのそれぞれの周面2cから離間した状態で、接続部11における角部4i側の端部から実装面Rに向かって直線状に延びている。引出部13は、垂下部12の実装面R側の端部から実装面Rの面内方向に直線状に延びている。引出部13の先端部13a及び底面13bは、角部4iに対応する位置で外装樹脂4の外部に露出している。
【0028】
第2の極性端子7は、第1の極性端子6と同様に、セラミック素体2の電極部5に接続される接続部21と、接続部21から連続して実装面R側に垂下する垂下部22と、垂下部22から連続して外装樹脂4の外部に引き出される引出部23とを有している。接続部21及び垂下部22は、外装樹脂4の内部に位置している。引出部23の少なくとも先端部23aは、実装面Rの面内方向に延び、外装樹脂4の外部に突出している。
【0029】
接続部21は、セラミック素体2Aにおける主面2aの電極部5に電気的に接続されている。接続部21は、電極部5,5の対向方向から見た場合に、セラミック素体2Aの中心付近から外装樹脂4において側面4d,4eがなす角部4hに向かって直線状に延びている(
図1及び
図2参照)。垂下部22は、セラミック素体2A,2Bのそれぞれの周面2cから離間した状態で、接続部21における角部4h側の端部から実装面Rに向かって直線状に延びている。引出部23は、垂下部22の実装面R側の端部から実装面Rの面内方向に直線状に延びている。引出部23の先端部23a及び底面23bは、角部4hに対応する位置で外装樹脂4の外部に露出している。
【0030】
共通端子8は、第1の極性端子6及び第2の極性端子7と同様に、セラミック素体2の電極部5に接続される接続部31と、接続部31から連続して実装面R側に垂下する垂下部32と、垂下部32から連続して外装樹脂4の外部に引き出される引出部33とを有している。接続部31及び垂下部32は、外装樹脂4の内部に位置している。引出部33の少なくとも先端部33aは、実装面Rの面内方向に延び、外装樹脂4の外部に突出している。
【0031】
接続部31は、セラミック素体2A,2B間に位置し、セラミック素体2Aにおける主面2bの電極部5及びセラミック素体2Bにおける主面2aの電極部5の双方に電気的に接続されている。接続部31は、電極部5,5の対向方向から見た場合に、セラミック素体2A,2Bの中心付近から外装樹脂4の側面4cに向かって直線状に延びている(
図1及び
図2参照)。垂下部32は、セラミック素体2A,2Bのそれぞれの周面2cから離間した状態で、接続部31における側面4c側の端部から実装面Rに向かって直線状に延びている。引出部33は、垂下部32の実装面R側の端部から実装面Rの面内方向に直線状に延びている。引出部33の先端部33a及び底面33bは、側面4cに対応する辺部の中央付近から外装樹脂4の外部に露出している。
【0032】
本実施形態では、第1の極性端子6の引出部13、第2の極性端子7の引出部23、及び共通端子8の引出部33のそれぞれは、実装面Rと面一になっている。すなわち、本実施形態では、実装面R、第1の極性端子6の引出部13の底面13b、第2の極性端子7の引出部23の底面23b、及び共通端子8の引出部33の底面33bは、一つの平坦面を形成している。
【0033】
図6は、実装面における各引出部の位置関係を示す模式的な底面図である。同図に示すように、電子部品1では、第1の極性端子6の引出部13、第2の極性端子7の引出部23、及び共通端子8の引出部33は、実装面Rの法線方向(電極部5,5の対向方向)から見た場合に、三角形状に配置されている。三角形状の配置とは、例えば実装面Rから露出する引出部13の底面13bの中心、引出部23の底面23bの中心、及び引出部33の底面33bの中心を結ぶラインが三角形状をなすことを指す。各引出部13,23,33は、実装面Rの法線方向から見た場合に、第1の極性端子6の引出部13と共通端子8の引出部33との間の距離F1と、第2の極性端子7の引出部23と共通端子8の引出部33との間の距離F2とが互いに等しい二等辺三角形状に配置されていることが好適である。
【0034】
本実施形態では、第1の極性端子6の引出部13は、実装面Rにおいて角部4iに位置し、第2の極性端子7の引出部23は、実装面Rにおいて角部4iに隣り合う角部4hに位置している。また、共通端子8は、実装面Rにおいて角部4h及び角部4iのいずれをも構成しない辺部(側面4cに対応する辺部)の中央付近に位置している。これにより、各引出部13,23,33は、実装面Rの法線方向から見た場合に、第1の極性端子6の引出部13と共通端子8の引出部33との間の距離F1と、第2の極性端子7の引出部23と共通端子8の引出部33との間の距離F2と、第1の極性端子6の引出部13と第2の極性端子7の引出部23との間の距離F3とが互いに等しい正三角形状に配置されている。
【0035】
電子部品1では、国際電気標準会議(IEC:International Electrotechnical Commission)で定められる安全規格に適合させる観点から、距離F1、距離F2、距離F3がいずれも10mm以上となっている。距離F1は、第1の極性端子6の引出部13の底面13bと共通端子8の引出部33の底面33bとの間の実装面R上での最短距離であり、第1の極性端子6と共通端子8との間の空間距離に相当する。距離F2は、第2の極性端子7の引出部23の底面23bと共通端子8の引出部33の底面33bとの間の実装面R上での最短距離であり、第2の極性端子7と共通端子8との間の空間距離に相当する。距離F3は、第1の極性端子6の引出部13の底面13bと第2の極性端子7の引出部23の底面23bとの間の実装面R上での最短距離であり、第1の極性端子6と第2の極性端子7との間の空間距離に相当する。
【0036】
図7は、IEC60384-14の4.1.1項で定められる絶縁距離の表を抜粋した図である。同図に示すように、この安全規格では、強化絶縁タイプ及び基礎絶縁タイプの2種類の電子部品に対し、定格電圧U
Rに応じた端子間の沿面距離及び空間距離が定められている。距離F1、距離F2、距離F3をいずれも10mm以上とすることで、定格電圧が250Vを超える場合の強化絶縁タイプに対する空間距離の基準をクリアできる。本実施形態では、各引出部13,23,33が実装面Rと面一になっているため、端子間の空間距離と沿面距離とが同義となる。したがって、距離F1、距離F2、距離F3をいずれも10mm以上とすることで、定格電圧U
Rが250Vを超える場合の強化絶縁タイプに対する沿面距離の基準も同時にクリアできる。
【0037】
以上説明したように、電子部品1では、一対のセラミック素体2A,2Bに対して端子部3に共通端子8が設けられている。共通端子8の導入により、電子部品1の構成の簡単化及び実装領域の削減が図られる。また、電子部品1では、実装面Rの法線方向から見た場合に、第1の極性端子6、第2の極性端子7、及び共通端子8の各引出部13,23,33が三角形状に配置されている。これにより、各引出部13,23,33を実装面R上で直線状に配置した場合に比べて、基板への実装状態における電子部品1の安定性が高められ、耐振動性を向上できる。各引出部13,23,33が三角形状に配置されていることで、実装領域が直線状に延びずに済むため、実装領域を増大させることなく端子間の空間距離或いは沿面距離を十分に確保できる。
【0038】
本実施形態では、各引出部13,23,33は、実装面Rの法線方向から見た場合に、第1の極性端子6の引出部13と共通端子8の引出部33との間の距離F1と、第2の極性端子の引出部23と共通端子8の引出部33との間の距離F2とが互いに等しい二等辺三角形状に配置されていている。さらに、本実施形態では、第1の極性端子6の引出部13と第2の極性端子7の引出部23との間の距離F3が互いに等しくなっており、各引出部13,23,33は、正三角形状に配置されている。これにより、端子間の空間距離或いは沿面距離を確保しつつ、実装領域をより小さな領域に収めることができる。
【0039】
本実施形態では、実装面Rは、当該実装面Rの法線方向から見た場合に矩形状をなしている。そして、第1の極性端子6の引出部13及び第2の極性端子7の引出部23は、実装面Rにおいて隣り合う角部4h,4iにそれぞれ位置し、共通端子8の引出部33は、角部4h,4iを構成しない辺部(側面4cに対応する辺部)に位置している。これにより、端子間の空間距離或いは沿面距離を確保しつつ、実装領域をより小さな領域に収めることができる。また、共通端子8の引出部33のみを辺部に位置させることで、電子部品1の外観に基づいて、共通端子8の引出部33と第1の極性端子6の引出部13及び第2の極性端子7の引出部23とを区別できる。したがって、実装時の作業性を向上できる。
【0040】
本実施形態では、各引出部13,23,33の少なくとも先端部が実装面Rの面内方向に延びている。また、本実施形態では、各引出部13,23,33は、実装面Rと面一となっている。これにより、基板への実装状態において、電子部品1の重心を基板側に近づけることができる。したがって、耐振動性の一層の向上が図られる。
【0041】
本開示は、上記実施形態に限られるものではない。例えば上記実施形態では、第1の極性端子6が+端子、第2の極性端子が-端子となっているが、第1の極性端子6が-端子、第2の極性端子が+端子となっていてもよい。また、例えば上記実施形態では、円柱形状のセラミック素体2A,2Bを例示したが、セラミック素体2A,2Bの形状は、楕円柱形状、直方体形状、立方体形状などの他の形状であってもよい。外装樹脂4の形状も、立方体形状に限られず、円柱形状、楕円柱形状、直方体形状などの他の形状であってもよい。
【0042】
上記実施形態では、各引出部13,23,33が実装面Rと面一となっているが、
図8~
図10に示すように、各引出部13,23,33が実装面Rよりも突出していてもよい。
図8~
図10の例では、第1の極性端子6、第2の極性端子7、及び共通端子8の各垂下部12,22,32の先端部が実装面Rから突出し、各引出部13,23,33は、各垂下部12,22,32の先端から実装面Rの面内方向に沿って外装樹脂4の外方に延びている。
【0043】
このような態様においても、上記実施形態と同様に、耐振動性を確保できると共に、実装領域を増大させることなく端子間の空間距離或いは沿面距離を十分に確保できる。
図8~
図10の形態においても、端子間の空間距離は、上記実施形態と同様に距離F1,F2,F3(
図6参照)で表される。したがって、距離F1、距離F2、距離F3をいずれも10mm以上とすることで、定格電圧U
Rが250Vを超える場合の強化絶縁タイプに対する空間距離の基準及び沿面距離の基準を同時にクリアできる。
【0044】
本開示の要旨は、以下の[1]~[6]に示すとおりである。
[1]電極部が形成された一対の主面を有する一対のセラミック素体と、前記電極部に電気的に接続された複数の端子を有する端子部と、前記一対のセラミック素体及び前記複数の端子の基端部を覆うように設けられ、一面が実装面となる絶縁性の外装樹脂と、を備え、前記一対のセラミック素体は、前記主面の一方同士が互いに対向するように前記実装面と平行に配置され、前記端子部は、前記セラミック素体の一方における前記主面の一方の電極部に電気的に接続された第1の極性端子と、前記セラミック素体の他方における前記主面の一方の電極部に電気的に接続された第2の極性端子と、前記一対のセラミック素体間で互いに対向する前記主面の他方同士のそれぞれの電極部に電気的に接続された共通端子と、を有し、前記第1の極性端子、前記第2の極性端子、及び前記共通端子のそれぞれにおいて、前記外装樹脂から外部に引き出された各引出部は、前記実装面の法線方向から見た場合に、三角形状に配置されている電子部品。
[2]前記各引出部は、前記実装面の法線方向から見た場合に、前記第1の極性端子の引出部と前記共通端子の引出部との間の距離と、前記第2の極性端子の引出部と前記共通端子の引出部との間の距離とが互いに等しい二等辺三角形状に配置されている[1]記載の電子部品。
[3]前記各引出部は、前記実装面の法線方向から見た場合に、前記第1の極性端子の引出部と前記共通端子の引出部との間の距離と、前記第2の極性端子の引出部と前記共通端子の引出部との間の距離と、前記第1の極性端子の引出部と前記第2の極性端子の引出部との間の距離とが互いに等しい正三角形状に配置されている[1]又は[2]記載の電子部品。
[4]前記実装面は、当該実装面の法線方向から見た場合に矩形状をなしており、前記第1の極性端子の引出部及び前記第2の極性端子の引出部は、前記実装面において隣り合う角部にそれぞれ位置し、前記共通端子の引出部は、前記角部を構成しない辺部に位置している[1]~[3]のいずれか記載の電子部品。
[5]前記各引出部の少なくとも先端部は、前記実装面の面内方向に延びている[1]~[4]のいずれか記載の電子部品。
[6]前記各引出部は、前記実装面と面一となっている請求項1~5のいずれか記載の電子部品。
【符号の説明】
【0045】
1…電子部品、2(2A,2B)…セラミック素体、2a,2b…主面、3…端子部、4…外装樹脂、4h,4i…角部、5…電極部、6…第1の極性端子、7…第2の極性端子、8…共通端子、13,23,33…引出部、R…実装面。