IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社サンエイの特許一覧

<>
  • 特開-パイプ取付治具 図1
  • 特開-パイプ取付治具 図2
  • 特開-パイプ取付治具 図3
  • 特開-パイプ取付治具 図4
  • 特開-パイプ取付治具 図5
  • 特開-パイプ取付治具 図6
  • 特開-パイプ取付治具 図7
  • 特開-パイプ取付治具 図8
  • 特開-パイプ取付治具 図9
  • 特開-パイプ取付治具 図10
  • 特開-パイプ取付治具 図11
  • 特開-パイプ取付治具 図12
  • 特開-パイプ取付治具 図13
  • 特開-パイプ取付治具 図14
  • 特開-パイプ取付治具 図15
  • 特開-パイプ取付治具 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112027
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】パイプ取付治具
(51)【国際特許分類】
   F16B 7/04 20060101AFI20240813BHJP
   B62B 5/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
F16B7/04 301U
B62B5/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016836
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】392025238
【氏名又は名称】株式会社サンエイ
(74)【代理人】
【識別番号】110001427
【氏名又は名称】弁理士法人前田特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】中筋 保
【テーマコード(参考)】
3D050
3J039
【Fターム(参考)】
3D050AA02
3J039AA08
3J039AB01
3J039BB01
3J039CA01
3J039GA02
(57)【要約】
【課題】棒状のフレーム材に追加のパイプ材を取り付ける際の取付位置の自由度を向上させるとともに、取り付け状態を安定させる
【解決手段】フレーム材を挟持する第1及び第2フレーム挟持部11,21と、パイプ材を挟持する第1及び第2パイプ挟持部12,22と、各フレーム挟持部11,21と各パイプ挟持部12,22とをそれぞれ連結する第1及び第2連結部15,25と、を備え、各連結部15,25は、各フレーム挟持部11,21の筒軸方向に対する各パイプ挟持部12,22の筒軸方向の角度を調整可能な第1及び第2角度調整部16,26をそれぞれ有し、第1及び第2角度調整部16,26は、各パイプ挟持部12,22が、所望の角度の状態で特定軸Xの周方向に回動するのを規制するストッパを有する。
【選択図】図9
【特許請求の範囲】
【請求項1】
棒状のフレーム材の軸方向と交差する方向に延びるようにパイプ材を取り付けるためのパイプ取付治具であって、
前記フレーム材の外周形状に適合する筒形状を半割した半筒形状をそれぞれなし、前記フレーム材をその軸方向と直交する方向から挟持する一対のフレーム挟持部と、
半円筒状をそれぞれなし、前記パイプ材を該パイプ材の径方向から挟持する一対のパイプ挟持部と、
前記一対のフレーム挟持部と前記一対のパイプ挟持部とをそれぞれ連結する一対の連結部と、を備え、
前記各連結部は、前記各フレーム挟持部の筒軸方向に対する前記各パイプ挟持部の筒軸方向の角度を調整可能な角度調整部をそれぞれ有し、
前記各角度調整部は、前記各フレーム挟持部の筒軸方向に対する前記各パイプ挟持部の筒軸方向の角度を所望の角度に調整した後に、前記各パイプ挟持部が、前記各フレーム挟持部の挟持方向に延びる特定軸の周方向に回動するのを規制するストッパを有することを特徴とするパイプ取付治具。
【請求項2】
請求項1に記載のパイプ取付治具において、
前記連結部は、
前記フレーム挟持部と一体のフレーム側連結部と、
前記パイプ挟持部と一体のパイプ側連結部と、
を有し、
前記角度調整部は、
前記フレーム側連結部及び前記パイプ側連結部の一方に設けられ、前記各パイプ挟持部の挟持方向に突出する係合部と、
前記フレーム側連結部及び前記パイプ側連結部の他方に設けられ、前記各フレーム挟持部の挟持方向に凹みかつ前記係合部と係合する係合溝部と、
を有し、
前記ストッパは、前記係合部及び前記係合溝部の一方に設けられかつ前記特定軸と直交する径方向に突出する凸部と、前記係合部及び前記係合溝部の他方に設けられかつ前記凸部を収容可能な凹部とで構成されていることを特徴とするパイプ取付治具。
【請求項3】
請求項1に記載のパイプ取付治具において、
前記各フレーム挟持部の外周部分には、該各フレーム挟持部を互いに接続するフレーム側接続部がそれぞれ形成され、
前記各パイプ挟持部の外周部分には、該各パイプ挟持部を互いに接続するパイプ側接続部がそれぞれ形成され、
前記フレーム側接続部及び前記パイプ側接続部は、それぞれ軸状締結部材により互いに接続されることを特徴とするパイプ取付治具。
【請求項4】
請求項1に記載のパイプ取付治具において、
前記各パイプ挟持部は、該各パイプ挟持された前記パイプ材の変位を抑制する変位抑制部をそれぞれ有し、
前記各変位抑制部は、前記パイプ材の内周面と接触する接触部と、該接触部から前記パイプ挟持部の筒軸と直交する径方向に延びる補強リブとをそれぞれ有することを特徴とするパイプ取付治具。
【請求項5】
請求項4に記載のパイプ取付治具において、
前記各パイプ挟持部の外周部には、その筒軸方向に延びるリブが設けられていることを特徴とするパイプ取付治具。
【請求項6】
請求項1に記載のパイプ取付治具において、
前記各パイプ挟持部は、該パイプ挟持部の底部近傍に位置しかつ該パイプ挟持部の筒軸と直交する方向に貫通する貫通孔をそれぞれ有することを特徴とするパイプ取付治具。
【請求項7】
請求項1~6のいずれか1つに記載のパイプ取付治具において、
前記フレーム材は、手押し車のフレームを構成するパイプであり、
前記各フレーム挟持部は、それぞれ半円筒状をなしていることを特徴とするパイプ取付治具。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
ここに開示された技術は、パイプ取付治具に関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、軸状部材の軸方向と交差する方向に延びるようにパイプを取り付けるためのパイプ取付治具が知られている。
【0003】
例えば、特許文献1には、一のパイプを挟持可能な貫通型の筒状部と、一のパイプに対して直交する方向に延びる他のパイプを挟持可能な非貫通型の筒状部とを有し、非貫通型の筒状部に設けられたボルト孔へ通したボルト及びナットの締め付け力により挟持した各パイプを固定し接続するパイプ継手が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、一方のパイプ挾持体と他方のパイプ挾持体が、ボルト及びナットで角度調節自在に連結されるパイプ連結具が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2011-174564号公報
【特許文献2】特開2002-51646号公報
【特許文献3】特開2019-151219号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、パイプ取付治具の用途としては、特許文献3に示すようなショッピングカートのフレーム材に、パイプ材を有する情報端末用スタンドを取り付けることが挙げられる。また、椅子のフレーム材にパイプ材を有するスタンドを取り付ける場合もある。特許文献1に示すパイプ取付治具では、一方のパイプ材に対して直交する方向に他方のパイプ材が延びるように、他方のパイプ材を取り付ける構成となっている。フレーム材に対して、その軸方向に直交する方向にしかパイプ材を取り付けることができない構成では、パイプ材の取り付け位置が限定されてしまい、使い勝手が悪くなってしまう。
【0007】
これに対して、特許文献2のような構成では、一方のパイプ材に対して他方のパイプ材を角度調節自在に取り付けることができる。しかしながら、特許文献2の構成では、パイプ材を連結した後であっても、パイプ挟持体がボルト周りに回動する構成となっているため、一方のパイプ材に対して他方のパイプ材を所望の角度に留めることが難しく、取り付け状態が安定しない。
【0008】
ここに開示された技術は、斯かる点に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、フレーム材に追加のパイプ材を取り付ける際の取付位置の自由度を向上させるとともに、取り付け状態を安定させることにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
前記課題を解決するために、ここに開示された技術の第1の態様は、棒状のフレーム材の軸方向と交差する方向に延びるようにパイプ材を取り付けるためのパイプ取付治具を対象として、前記フレーム材の外周形状に適合する筒形状を半割した半筒形状をそれぞれなし、前記フレーム材をその軸方向と直交する方向から挟持する一対のフレーム挟持部と、半円筒状をそれぞれなし、前記パイプ材を該パイプ材の径方向から挟持する一対のパイプ挟持部と、前記一対のフレーム挟持部と前記一対のパイプ挟持部とをそれぞれ連結する一対の連結部と、を備え、前記各連結部は、前記各フレーム挟持部の筒軸方向に対する前記各パイプ挟持部の筒軸方向の角度を調整可能な角度調整部をそれぞれ有し、前記各角度調整部は、前記各フレーム挟持部の筒軸方向に対する前記各パイプ挟持部の筒軸方向の角度を所望の角度に調整した後に、前記各パイプ挟持部が、前記各フレーム挟持部の挟持方向に延びる特定軸の周方向に回動するのを規制するストッパを有する、という構成とした。
【0010】
この構成によると、角度調整部が設けられていることにより、パイプ材を、フレーム材に直交する方向のみでなく、フレーム材に対して斜めに延びる方向に取り付けることができる。つまり、フレーム材の軸とパイプ材の軸とのなす角が鋭角又は鈍角となるように、パイプ材をフレーム材に取り付けることができる。また、角度を所望の角度に調整した後は、ストッパにより、フレーム材の軸とパイプ材の軸とのなす角を所望の角度に維持することができる。これにより、フレーム材に追加のパイプ材を取り付ける際の取付位置の自由度を向上させるとともに、取り付け状態を安定させることができる。
【0011】
ここに開示された技術の第2の態様は、前記第1の態様において、前記連結部は、前記フレーム挟持部と一体のフレーム側連結部と、前記パイプ挟持部と一体のパイプ側連結部と、を有し、前記角度調整部は、前記フレーム側連結部及び前記パイプ側連結部の一方に設けられ、前記各パイプ挟持部の挟持方向に突出する係合部と、前記フレーム側連結部及び前記パイプ側連結部の他方に設けられ、前記各フレーム挟持部の挟持方向に凹みかつ前記係合部と係合する係合溝部と、を有し、前記ストッパは、前記係合部及び前記係合溝部の一方に設けられかつ前記特定軸と直交する径方向に突出する凸部と、前記係合部及び前記係合溝部の他方に設けられかつ前記凸部を収容可能な凹部とで構成されている。
【0012】
この構成によると、パイプ挟持部を、その筒軸がフレーム挟持部の筒軸に対して所望の角度をなすように傾けた状態で、係合部を係合溝部に係合させれば、凸部が凹部に引っ掛かって、パイプ挟持部の筒軸とフレーム挟持部の筒軸とのなす角が所望の角度のまま維持される。これにより、取り付け状態をより安定化させることができる。
【0013】
ここに開示された技術の第3の態様は、前記第1の態様において、前記各フレーム挟持部の外周部分には、該各フレーム挟持部を互いに接続するフレーム側接続部がそれぞれ形成され、前記各パイプ挟持部の外周部分には、該各パイプ挟持部を互いに接続するパイプ側接続部がそれぞれ形成され、前記フレーム側接続部及び前記パイプ側接続部は、それぞれ軸状締結部材により互いに接続される。
【0014】
この構成によると、フレーム挟持部の位置とパイプ挟持部の位置とのそれぞれに接続部が設けられていることにより、フレーム材及びパイプ材をそれぞれ強固に挟持することができる。これにより、パイプ取付治具の取付強度を向上させることができる。
【0015】
ここに開示された技術の第4の態様は、前記第1の態様において、前記各パイプ挟持部は、該各パイプ挟持された前記パイプ材の変位を抑制する変位抑制部をそれぞれ有し、前記各変位抑制部は、前記パイプ材の内周面と接触する接触部と、該接触部から前記パイプ挟持部の筒軸と直交する径方向に延びる補強リブとをそれぞれ有する。
【0016】
この構成によると、接触部とパイプ材の内周面との間に生じる摩擦により、パイプ材はその軸周りに回転しにくくなる。また、接触部は補強リブにより変形にくいため、パイプ材はその軸方向と直交する方向に傾きにくくなる。したがって、パイプ材の回転やぐらつきを抑制することができ、取り付け状態をより安定させることができる。
【0017】
ここに開示された技術の第5の態様は、前記第4の態様において、前記各パイプ挟持部の外周部には、その筒軸方向に延びるリブが設けられている。
【0018】
この構成によると、各パイプ挟持部が筒軸方向と直交する方向に変形しにくくなる。これにより、パイプ材のぐらつきをより効果的に抑制することができ、取り付け状態をより安定させることができる。
【0019】
ここに開示された技術の第6の態様は、前記第1の態様において、前記各パイプ挟持部は、該パイプ挟持部の底部近傍に位置しかつ該パイプ挟持部の筒軸と直交する方向に貫通する貫通孔をそれぞれ有する。
【0020】
すなわち、パイプ挟持部の挟持力が緩くなって、パイプ材がパイプ挟持部から抜けようとしていれば、パイプ挟持部の底部とパイプ材との間に隙間が生じる。前記構成では、貫通孔を介して、当該隙間を外から確認することができる。これにより、パイプ材の取り付け直しを適切に行うことができる。
【0021】
ここに開示された技術の第7の態様は、前記第1~6の態様のいずれか1つにおいて、前記フレーム材は、手押し車のフレームを構成するパイプであり、前記各フレーム挟持部は、それぞれ半円筒状をなしている。
【0022】
すなわち、手押し車のフレーム材は種々の構造をなしているため、前記構成によると、フレーム材の構成に合わせて、適切な角度でパイプ材を取り付けることができる。また、ストッパにより、手押し車を移動させたとしても、フレーム材に対するパイプ材の角度を所望の角度に維持することができる。これにより、取り付け状態をより安定化させることができる。
【発明の効果】
【0023】
以上説明したように、ここに開示された技術によると、フレーム材に追加のパイプ材を取り付ける際の取付位置の自由度を向上させるとともに、取り付け状態を安定させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
図1図1は、実施形態1に係るパイプ取付治具を有するショッピングカートを示す側面図である。
図2図2は、パイプ取付治具の斜視図である。
図3図3は、パイプ取付治具の右側側面図である。
図4図4は、パイプ取付治具の左側側面図である。
図5図5は、パイプ取付治具の正面図である。
図6図6は、パイプ挟持部を開いた状態を示す図である。
図7図7は、フレーム挟持部を開いた状態を示す図である。
図8図8は、パイプ取付治具の動作図であって、フレーム挟持部をセットした状態を示す。
図9図9は、パイプ取付治具の動作図であって、フレーム挟持部によりフレーム材を挟持した状態を示す。
図10図10は、パイプ取付治具の動作図であって、パイプ挟持部を特定軸周りに回動させた状態で、パイプ挟持部によりパイプ材を挟持した状態を示す。
図11図11は、実施形態2に係るパイプ取付治具の斜視図である。
図12図12は、実施形態2に係るパイプ取付治具の右側側面図である。
図13図13は、実施形態2に係るパイプ取付治具の左側側面図である。
図14図14は、実施形態2に係るパイプ取付治具の正面図である。
図15図15は、実施形態2に係るパイプ取付治具をパイプ挟持部の筒軸方向から見た図である。
図16図16は、第1変位抑制部を拡大して示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
以下、例示的な実施形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明では、ショッピングカートのユーザから見た上側、下側、前側、後側、左側、及び右側を、それぞれ上側、下側、前側、後側、左側、及び右側という。
【0026】
(実施形態1)
図1は、本実施形態1に係るパイプ取付治具1を有するショッピングカート100を示す。ショッピングカート100は、上側カゴ配置部101と下側カゴ配置部102とを有する。詳細な図示は省略するが、上側カゴ配置部101と下側カゴ配置部102とは、左右一対のメインフレーム103により連結されている。各メインフレーム103は、それぞれパイプ材で構成されている。
【0027】
各メインフレーム103は、ショッピングカート100のユーザが把持する左右一対の把持部104から上側カゴ配置部101に向かって前側に延びた後、前側に向かって下側に斜めに延びる傾斜部103aを形成している。各メインフレーム103は、傾斜部103aの前端部から上側カゴ配置部101の位置で下側に向かって延びて、上側カゴ配置部101よりも下側の位置で、下側に向かって後側に延びた後、下側に向かって延びている。各メインフレーム103の下端部からは、下側カゴ配置部102を構成する左右一対の下側フレーム105(図1で左側の下側フレーム105のみ示す)が前側に向かって延びている。各メインフレーム103の下端及び下側フレーム105の前端には、車輪106がそれぞれ取り付けられている。
【0028】
各把持部104は、例えば樹脂、ゴム等の高分子材料製の素材により形成されている。ユーザが各把持部104を把持した状態で、ショッピングカート100を所望の方向に押し引きすることで、ショッピングカート100が移動する。
【0029】
ショッピングカート100には、情報端末Tが取り付けられている。情報端末Tは、パイプ材Pの上端部分に支持されている。
【0030】
パイプ材Pは、パイプ取付治具1によりメインフレーム103における把持部104の近傍部分に接続されている。パイプ材Pは、メインフレーム103の軸方向と交差する方向、より詳しくは、該軸方向と直交する方向に延びるように接続されている。
【0031】
以下、パイプ取付治具1の詳細について、ショッピングカート100のメインフレーム103にパイプ材Pを取り付ける場合を例にして説明する。また、説明を簡単にするために、パイプ材Pが配置される側を上側、その反対側を下側として説明する。
【0032】
図2に示すように、パイプ取付治具1は、2つに分割され、メインフレーム103及びパイプ材Pをそれぞれ径方向から挟持する第1分割部材10と第2分割部材20とを備える。
【0033】
第1及び第2分割部材10,20は、メインフレーム103を径方向(つまり、軸方向と直交する方向)から挟持する第1及び第2フレーム挟持部11,21と、パイプ材Pを径方向から挟持する第1及び第2パイプ挟持部12,22とをそれぞれ有する。
【0034】
第1及び第2フレーム挟持部11,21は、メインフレーム103の外周形状に適合する筒形状を半割した半筒形状、特に半円筒状をそれぞれなしている。第1及び第2フレーム挟持部11,21の曲率半径は、メインフレーム103の曲率半径よりも大きい。
【0035】
第1フレーム挟持部11と第2フレーム挟持部21とは、周方向の一方の端部同士が第1ヒンジ31により接続されている。
【0036】
第1フレーム挟持部11と第2フレーム挟持部21とは、周方向の他方の端部同士が、第1フレーム側接続部13及び第2フレーム側接続部23により接続される。第1及び第2フレーム側接続部13,23は、第1及び第2フレーム挟持部11,21の周方向の他方の端部において、第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸方向の両側にそれぞれ設けられている。
【0037】
図3に示すように、各第1フレーム側接続部13には、第1ネジ41(図1参照)が締結する第1フレーム側ネジ孔13aがそれぞれ設けられている。図2に示すように、第1フレーム側ネジ孔13aは、有底状であって、第1フレーム側接続部13を貫通していない。
【0038】
図4に示すように、各第2フレーム側接続部23には、ネジが挿通する第2フレーム側挿通孔23aがそれぞれ設けられている。第2フレーム側挿通孔23aは、第2フレーム挟持部21の筒軸方向に並んで配置されている。第2フレーム側挿通孔23aは、段差部23bを有しており、第1ネジ41のネジ頭が第2フレーム側挿通孔23aを通り抜けないようになっている。
【0039】
図5に示すように、第1ネジ41が締結されていない状態では、第1フレーム側接続部13と第2フレーム側接続部23との間には隙間が形成される。
【0040】
第1及び第2パイプ挟持部12,22は、半円筒状をそれぞれなしている。第1及び第2パイプ挟持部12,22の曲率半径は、パイプ材Pの曲率半径よりも大きい。第1パイプ挟持部12と第2パイプ挟持部22とは、第2ヒンジ32により接続されている。
【0041】
第1パイプ挟持部12と第2パイプ挟持部22とは、周方向の一方の端部同士が第2ヒンジ32により接続されている。
【0042】
第1パイプ挟持部12と第2パイプ挟持部22とは、周方向の他方の端部同士が、第1パイプ側接続部14及び第2パイプ側接続部24により接続される。
【0043】
図3に示すように、第1パイプ側接続部14には、第2ネジ42(図2参照)が締結する第1パイプ側ネジ孔14bを有するボス14aが2つ設けられている。ボス14aは、第1パイプ挟持部12の筒軸方向に並んで配置されている。ボス14aの間は、リブ14cで接続されている。
【0044】
図4に示すように、第2パイプ側接続部24には、第2ネジ42が挿通する第2パイプ側挿通孔24aが2つ設けられている。第2パイプ側挿通孔24aは、第2パイプ挟持部22の筒軸方向に並んで配置されている。第2パイプ側挿通孔24aは、段差部24bを有しており、第2ネジ42のネジ頭が第2パイプ側挿通孔24aを通り抜けないようになっている。
【0045】
図5に示すように、第2ネジ42が締結されていない状態では、第1パイプ側接続部14と第2パイプ側接続部24との間には隙間が形成される。
【0046】
図3及び図4に示すように、第1フレーム挟持部11と第1パイプ挟持部12とは、第1連結部15により互いに連結される。第2フレーム挟持部21と第2パイプ挟持部22とは、第2連結部25により互いに連結される。また、図6及び図7に示すように、第1連結部15には第1角度調整部16が設けられ、第2連結部25には第2角度調整部26が設けられている。
【0047】
第1連結部15は、第1フレーム挟持部11に設けられた第1フレーム側連結部15aと、第1パイプ挟持部12に設けられた第1パイプ側連結部15bとを有する。
【0048】
図6に示すように、第1フレーム側連結部15aは、一対の第1フレーム側接続部13の間に設けられている。第1フレーム側連結部15aは、第1フレーム挟持部11と一体に形成されている。第1フレーム側連結部15aは、円板状をなしている。
【0049】
第1フレーム側連結部15aは、各第1フレーム挟持部11の挟持方向に凹む第1係合溝部16aを有する。第1係合溝部16aは、第1フレーム側連結部15aと同心の略円環状をなす。第1係合溝部16aは、径方向外側及び径方向内側にそれぞれ凹んだ複数の第1凹部16bを有する。第1凹部16bは、第1係合溝部16aの周方向に連続的に並んで形成されている。
【0050】
図7に示すように、第1パイプ側連結部15bは、第1パイプ挟持部12の筒軸方向の一端に設けられている。第1パイプ側連結部15bは、第1パイプ挟持部12と一体に形成されている。第1パイプ側連結部15bは、円板状をなしている。
【0051】
第1パイプ側連結部15bは、第1係合溝部16aに係合する第1係合部16cを有する。第1係合部16cは、第1パイプ側連結部15bの中心を中心とする円弧状をなしている。第1係合部16cは、径方向外側及び径方向内側にそれぞれ突出した複数の第1凸部16dを有する。第1凸部16dは、第1係合部16cの周方向に連続的に並んで形成されている。
【0052】
第1係合部16cが第1係合溝部16aに係合したときには、第1フレーム側連結部15aの中心と第1パイプ側連結部15bの中心とは、第1及び第2フレーム挟持部11,21の挟持方向に延びる特定軸X(図2参照)上に位置する。また、第1係合部16cが第1係合溝部16aに係合したときには、第1凸部16dが第1凹部16bに入り込む。これにより、第1パイプ挟持部12が第1フレーム挟持部11に対して特定軸X周りに回動しようとしても第1凸部16dが第1凹部16bに引っ掛かって、回動が規制される。
【0053】
第1係合溝部16a、第1凹部16b、第1係合部16c、及び第1凸部16dは、第1角度調整部16を構成する。また、第1凹部16b及び第1凸部16dは、ストッパを構成する。
【0054】
第2連結部25は、第2フレーム挟持部21に設けられた第2フレーム側連結部25aと、第2パイプ挟持部22に設けられた第2パイプ側連結部25bとを有する。
【0055】
図6に示すように、第2フレーム側連結部25aは、一対の第2フレーム側接続部23の間に設けられている。第2フレーム側連結部25aは、第2フレーム挟持部21と一体に形成されている。第2フレーム側連結部25aは、円板状をなしている。
【0056】
第2フレーム側連結部25aは、各第2フレーム挟持部21の挟持方向に凹む第2係合溝部26aを有する。第2係合溝部26aは、第2フレーム側連結部25aと同心の略円環状をなす。第2係合溝部26aは、径方向外側及び径方向内側にそれぞれ凹んだ複数の第2凹部26bを有する。第2凹部26bは、第2係合溝部26aの周方向に連続的に並んで形成されている。
【0057】
図7に示すように、第2パイプ側連結部25bは、第2パイプ挟持部22の筒軸方向の一端に設けられている。第2パイプ側連結部25bは、第2パイプ挟持部22と一体に形成されている。第2パイプ側連結部25bは、円板状をなしている。
【0058】
第2パイプ側連結部25bは、第2係合溝部26aに係合する第2係合部26cを有する。第2係合部26cは、第2パイプ側連結部25bの中心を中心とする円弧状をなしている。第2係合部26cは、径方向外側及び径方向内側にそれぞれ突出した複数の第2凸部26dを有する。第2凸部26dは、第2係合部26cの周方向に連続的に並んで形成されている。
【0059】
第2係合部26cが第2係合溝部26aに係合したときには、第2フレーム側連結部25aの中心と第2パイプ側連結部25bの中心とは、特定軸X(図2参照)上に位置する。また、第2係合部26cが第2係合溝部26aに係合したときには、第2凸部26dが第2凹部26bに入り込む。これにより、第2パイプ挟持部22が第2フレーム挟持部21に対して特定軸X周りに回動しようとしても第2凸部26dが第2凹部26bに引っ掛かって、回動が規制される。
【0060】
第2係合溝部26a、第2凹部26b、第2係合部26c、及び第2凸部26dは、第2角度調整部26を構成する。また、第2凹部26b及び第2凸部26dは、ストッパを構成する。
【0061】
次に、パイプ取付治具1により、メインフレーム103に対してパイプ材Pを、メインフレーム103の筒軸に対して、パイプ材Pの筒軸が斜め方向を向くように、すなわち、メインフレーム103の筒軸とパイプ材Pの筒軸との間の角度が、直角以外の所望の角度となるように取り付ける場合について説明する。
【0062】
まず、第1及び第2フレーム挟持部11,21により、メインフレーム103を挟持する。第1及び第2フレーム挟持部11,21でメインフレーム103を挟持するときには、図8に示すように、第1ヒンジ31を中心に、第1フレーム挟持部11と第2フレーム挟持部21とを開くように回動させた後、第1ヒンジ31の上にメインフレーム103が位置するように、第1及び第2フレーム挟持部11,21を配置する。この状態から、図9に示すように、第1ヒンジ31を中心に、第1フレーム挟持部11と第2フレーム挟持部21とを閉じるように回動させて、メインフレーム103を第1及び第2フレーム挟持部11,21で挟む。その後、ネジを、各第2フレーム側挿通孔23aにそれぞれ挿通させて第1フレーム側ネジ孔13aにそれぞれ締結させる。これにより、第1フレーム側接続部13と第2フレーム側接続部23とが隙間が小さくなるように互いに引き寄せられる。このとき、第1及び第2フレーム挟持部11,21が、その曲率半径が小さくなるように撓む。これにより、第1及び第2フレーム挟持部11,21により、メインフレーム103が強固に挟持される。
【0063】
第1及び第2フレーム挟持部11,21により、メインフレーム103が挟持されたときには、第1及び第2フレーム側連結部15a,25aの中心は、特定軸X上に位置する。特定軸Xは、メインフレーム103の筒軸に対して直交する方向に延びる。
【0064】
次に、第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸に対して、第1及び第2パイプ挟持部12,22の筒軸が前記所望の角度をなすように、第1及び第2パイプ挟持部12,22を配置する。このとき、第1及び第2パイプ挟持部12,22は、第2ヒンジ32を中心に、第1パイプ挟持部12と第2パイプ挟持部22とを開くように回動させた状態である。
【0065】
次いで、第1及び第2パイプ挟持部12,22により、パイプ材Pを挟持する。第1及び第2パイプ挟持部12,22でパイプ材Pを挟持するときには、パイプ材Pを第2ヒンジ32の上に配置して、第2ヒンジ32を中心に、第1パイプ挟持部12と第2パイプ挟持部22とを閉じるように回動させて、パイプ材Pを第1及び第2パイプ挟持部12,22で挟む。このとき、第1及び第2係合部16c,26cを第1及び第2係合溝部16a,26aにそれぞれ係合させる。その後、ネジを、各第2パイプ側挿通孔24aにそれぞれ挿通させて第1パイプ側ネジ孔14bにそれぞれ締結させる。これにより、第1パイプ側接続部14と第2パイプ側接続部24とが隙間が小さくなるように互いに引き寄せられる。このとき、第1及び第2パイプ挟持部12,22が、その曲率半径が小さくなるように撓む。これにより、第1及び第2パイプ挟持部12,22により、パイプ材Pが強固に挟持される。
【0066】
以上により、図10に示すように、メインフレーム103の筒軸に対して、パイプ材Pの筒軸が斜め方向を向くように、メインフレーム103にパイプ材Pを取り付けることができる。このとき、パイプ材Pが、特定軸X周りに回動しようとしたとしても、第1及び第2凹部16b,26bと、第1及び第2凸部16d,26dにより、パイプ材Pの回動が規制される。このため、メインフレーム103の筒軸とパイプ材Pの筒軸との間の角度を所望の角度に維持させることができる。
【0067】
メインフレーム103の筒軸とパイプ材Pの筒軸との間の角度を別の角度に変更したいときには、第1及び第2パイプ挟持部12,22を、第2ヒンジ32を中心に開くように回動させて、パイプ材Pを挟持状態から開放する。次に、第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸に対して、第1及び第2パイプ挟持部12,22の筒軸が前記別の角度をなすように、第1及び第2パイプ挟持部12,22を特定軸X周りに回動させる。その後、前述したように、パイプ材Pを第1及び第2パイプ挟持部12,22で再度挟持する。
【0068】
尚、図10では、第1及び第2パイプ挟持部12,22が紙面手前側に回動させた状態を示しているが、特定軸Xを中心に、第1及び第2パイプ挟持部12,22を紙面奥側に回動させた状態にすることも可能である。
【0069】
したがって、本実施形態では、フレーム材(メインフレーム103)の外周形状に適合する筒形状を半割した半筒形状をそれぞれなし、フレーム材をその軸方向と直交する方向から挟持する第1及び第2フレーム挟持部11,21と、半円筒状をそれぞれなし、パイプ材Pを該パイプ材Pの径方向から挟持する第1及び第2パイプ挟持部12,22と、第1フレーム挟持部11と第1パイプ挟持部12とを連結する第1連結部15と、第2フレーム挟持部21と第2パイプ挟持部22とを連結する第2連結部25と、を備え、第1及び第2連結部15,25は、第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸方向に対する第1及び第2パイプ挟持部12,22の筒軸方向の角度を調整可能な第1及び第2角度調整部16,26をそれぞれ有し、第1及び第2角度調整部16,26は、第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸方向に対する前記各パイプ挟持部の筒軸方向の角度を所望の角度に調整した後に、第1及び第2パイプ挟持部12,22が、特定軸Xの周方向に回動するのを規制するストッパを有する。これにより、パイプ材Pを、フレーム材に直交する方向のみでなく、フレーム材に対して斜めに延びる方向に取り付けることができるため、フレーム材に追加のパイプ材Pを取り付ける際の取付位置の自由度を向上させることができる。また、ストッパにより、フレーム材の軸とパイプ材Pの軸とのなす角を所望の角度に維持することができる。
【0070】
また、本実施形態では、第1及び第2連結部15,25は、第1及び第2フレーム挟持部11,21と一体の第1及び第2フレーム側連結部15a,25aと、第1及び第2パイプ挟持部12,22と一体の第1及び第2パイプ側連結部15b,25bと、を有し、第1及び第2角度調整部16,26は、第1及び第2パイプ側連結部15b,25bにそれぞれ設けられかつ第1及び第2パイプ挟持部12,22の挟持方向に突出する第1及び第2係合部16c,26cと、第1及び第2フレーム側連結部15a,25aにそれぞれ設けられかつ第1及び第2フレーム挟持部11,21の挟持方向に凹みかつ第1及び第2係合部16c,26cとそれぞれ係合する第1及び第2係合溝部16a,26aと、を有し、ストッパは、第1及び第2係合部16c,26cに設けられかつ特定軸Xの径方向に突出する第1及び第2凸部16d,26dと、第1及び第2係合溝部16a,26aに設けられかつ第1及び第2凸部16d,26dを収容可能な第1及び第2凹部16b,26bとで構成されている。これにより、第1及び第2凸部16d,26dが第1及び第2凹部16b,26bに引っ掛かることで、第1及び第2パイプ挟持部12,22の筒軸と第1及び第2フレーム挟持部11,21の筒軸とのなす角が所望の角度のまま維持される。これにより、パイプ材Pを取り付ける際の取付位置の自由度を向上させるとともに、取り付け後は、取り付け状態をより安定して維持することができる。
【0071】
また、本実施形態では、第1及び第2フレーム挟持部11,21の外周部分には、第1及び第2フレーム挟持部11,21を互いに接続する第1及び第2フレーム側接続部13,23がそれぞれ形成され、第1及び第2パイプ挟持部12,22の外周部分には、第1及び第2パイプ挟持部12,22を互いに接続する第1及び第2パイプ側接続部14,24がそれぞれ形成され、第1及び第2フレーム側接続部13,23、並びに第1及び第2パイプ側接続部14,24は、それぞれ軸状締結部材(第1及び第2ネジ41,42)により互いに接続される。これにより、フレーム材及びパイプ材Pをそれぞれ強固に挟持することができる。これにより、パイプ取付治具1の取付強度を向上させることができる。
【0072】
(実施形態2)
以下、実施形態2について、図面を参照しながら詳細に説明する。尚、以下の説明において前記実施形態1と共通の部分については、同じ符号を付して、その詳細な説明を省略する。
【0073】
図11図15に本実施形態2に係るパイプ取付治具201を示す。本実施形態2では、第1及び第2フレーム挟持部211,221の構成、並びに第1及び第2パイプ挟持部212,222の構成が、前述の実施形態1とは異なる。尚、第1及び第2角度調整部の構成については、前述の実施形態1と同じである。
【0074】
図12に示すように、第1フレーム挟持部211は、筒軸方向の一端部に他端部側に向かって切り欠かれた第1切欠部211aを有している。第1パイプ挟持部212は、その外周部に、筒軸方向に延びる2本の第1リブ217を有している。2本の第1リブ217は、第1連結部215まで延びている。第1パイプ挟持部212は、2本の第1リブ217の間に第1貫通孔212aを有している。第1貫通孔212aは、第1パイプ挟持部212の底部近傍に位置しており、第1連結部215に近い側の端が第1パイプ挟持部212の底部と連続している。
【0075】
図13に示すように、第2フレーム挟持部221は、筒軸方向の一端部に他端部側に向かって切り欠かれた第2切欠部221aを有している。第2パイプ挟持部222は、その外周部に、筒軸方向に延びる2本の第2リブ227を有している。2本の第2リブ227は、第2連結部225まで延びている。第2パイプ挟持部222は、2本の第2リブ227の間に第2貫通孔222aを有している。第2貫通孔222aは、第2パイプ挟持部222の底部近傍に位置しており、第2連結部225に近い側の端が第2パイプ挟持部222の底部と連続している。
【0076】
図14に示すように、第1パイプ側接続部214には、第2パイプ側接続部224の一部を覆うカバー部214dが設けられている。カバー部214dは、第1パイプ側接続部214と第2パイプ側接続部224とを第2ネジ42により接続した後でも、第1パイプ側接続部214と第2パイプ側接続部224との間に隙間が形成されているときに、該隙間を覆うためのものである。
【0077】
図15に示すように、第1パイプ挟持部212の筒内の底部には、第1変位抑制部218が設けられている。第2パイプ挟持部222の筒内の底部には、第2変位抑制部228が設けられている。第1及び第2変位抑制部218,228は、第1及び第2パイプ挟持部212,222によりパイプ材Pが挟持されたときに、パイプ材Pがその軸周りに回転したり、その軸と交差する方向にぐらついたりするのを抑制するための部分である。
【0078】
第1及び第2変位抑制部218,228は、第1及び第2パイプ挟持部212,222の筒軸方向から見て、それぞれ略T字状をなしている。具体的には、第1変位抑制部218は、前記筒軸方向を中心とする円弧状に形成された第1円弧部218aと、該第1円弧部218aの径方向に延びる第1補強リブ218bと、を有する。第2変位抑制部228は、前記筒軸方向を中心とする円弧状に形成された第2円弧部228aと、該第2円弧部228aの径方向に延びる第1補強リブ218bと、を有する。
【0079】
図16では、第1及び第2パイプ挟持部212,222でパイプ材Pを挟持したときの状態について、第1パイプ挟持部212の部分を拡大して示している。第1及び第2パイプ挟持部212,222でパイプ材Pを挟持したときには、パイプ材Pの内周面が、第1円弧部218aの第1補強リブ218bとは反対側の側面に面接触する。これにより、第1円弧部218aとパイプ材Pとの間で摩擦が生じるようになり、パイプ材Pがその軸周りに回転するのを抑制することができる。また、パイプ材Pが第2パイプ挟持部222に向かって傾こうとしても、第1補強リブ218bがあることで、第1円弧部218aが変形してパイプ材Pが傾くのを抑制することができる。
【0080】
尚、第2変位抑制部228とパイプ材Pとの関係については図示を省略しているが、前述の第1変位抑制部218とパイプ材Pとの関係と同様である。つまり、第2円弧部228aによりパイプ材Pの回転を抑制することができ、第2補強リブ228bによりパイプ材Pが第1パイプ挟持部212に向かって傾くのを抑制することができる。
【0081】
したがって、本実施形態2では、第1及び第2フレーム挟持部211,221の筒軸方向に対する第1及び第2パイプ挟持部212,222の筒軸方向の角度を調整できるだけでなく、第1及び第2パイプ挟持部212,222でパイプ材Pを挟持した後に、第1及び第2変位抑制部218,228により、パイプ材Pの回転やぐらつきを抑制することができる。
【0082】
また、本実施形態2では、第1及び第2パイプ挟持部212,222に第1及び第2リブ217,227がそれぞれ設けられている。これにより、第1及び第2パイプ挟持部212,222が筒軸方向と直交する方向に変形しにくくなる。このことによっても、パイプ材Pのぐらつきを抑制することができる。
【0083】
また、本実施形態2では、第1及び第2パイプ挟持部212,222に第1及び第2貫通孔212a,222aがそれぞれ設けられている。第1及び第2パイプ側接続部214,224の接続状態が緩む等して、第1及び第2パイプ挟持部212,222の挟持力が緩んで、パイプ材Pが抜けようとするときには、第1及び第2パイプ挟持部212,222の底部とパイプ材Pとの間に隙間が生じる。第1及び第2貫通孔212a,222aがあれば、第1及び第2貫通孔212a,222aを介して当該隙間を確認することができる。これにより、パイプ材Pの取り付け直しを適切に行うことができる。
【0084】
また、本実施形態2では、第1及び第2フレーム挟持部211,221に第1及び第2切欠部211a,221aがそれぞれ設けられている。これにより、フレーム材に曲部があったとしても、曲部の近傍位置までパイプ取付治具201を寄せることができる。この結果、パイプ取付位置の自由度を向上させることができる。
【0085】
(その他の実施形態)
ここに開示された技術は、前述の実施形態に限られるものではなく、請求の範囲の主旨を逸脱しない範囲で代用が可能である。
【0086】
例えば、前述の実施形態では、フレーム材がパイプで構成されている場合を例示したが、これに限らず、フレーム材は軸状であればよく、横断面形状が円形である必要はない。この場合、第1及び第2フレーム挟持部11,21,211,221は、フレーム材の外周形状に適合する筒形状を半割した半筒形状にすればよい。
【0087】
また、前述の実施形態では、第1及び第2フレーム側連結部15a,25aに第1及び第2係合溝部16a,26aがそれぞれ設けられ、第1及び第2パイプ側連結部15b,25bに第1及び第2係合部16c,26cがそれぞれ設けられていた。これに限らず、第1及び第2フレーム側連結部15a,25aに第1及び第2係合部16c,26cがそれぞれ設けられ、第1及び第2パイプ側連結部15b,25bに第1及び第2係合溝部16a,26aがそれぞれ設けられていてもよい。
【0088】
また、前述の実施形態では、第1及び第2係合部16c,26cに第1及び第2凸部16d,26dがそれぞれ設けられ、第1及び第2係合溝部16a,26aに第1及び第2凹部16b,26bがそれぞれ設けられていた。これに限らず、第1及び第2係合溝部16a,26aに第1及び第2凸部がそれぞれ設けられ、第1及び第2係合部16c,26cに第1及び第2凸部16d,26dを収容可能な第1及び第2凹部がそれぞれ設けられていてもよい。
【0089】
また、前述の実施形態では、第1及び第2フレーム側接続部13,23を接続する軸状締結部材として第1ネジ41を例示し、第1及び第2パイプ側接続部14,24を接続する軸状締結部材として第2ネジ42を例示した。これに限らず、軸状締結部材は、ボルト及びナットで構成されていてもよく、ビスで構成されていてもよい。
【0090】
また、前述の実施形態では、第1及び第2フレーム挟持部11,21,211,221の一部は第1ヒンジ31により互いに接続され、第1及び第2パイプ挟持部12,22,212,222の一部は第2ヒンジ32により互いに接続されていた。これに限らず、第1及び第2ヒンジ31,32を用いずに、第1及び第2フレーム挟持部11,21,211,221、並びに第1及び第2パイプ挟持部12,22,212,222を軸状締結部材のみで互いに接続する構成であってもよい。この場合、第1ヒンジ31の位置に第1及び第2フレーム側接続部13,23のような接続部を設け、第2ヒンジ32の位置に第1及び第2パイプ側接続部14,24のような接続部を設ける必要がある。
【0091】
また、前述の実施形態では、ショッピングカート100のメインフレーム103に適用する場合を例示したが、これに限らず、荷物を搬送するためのキャリーカートやピッキングカート等のフレーム材を対象にしてもよい。また、手押し車に限らず、作業台や椅子等の棒状のフレーム材に対しては、本実施形態のパイプ取付治具1を適用可能である。
【0092】
前述の実施形態は単なる例示に過ぎず、本開示の範囲を限定的に解釈してはならない。本開示の範囲は請求の範囲によって定義され、請求の範囲の均等範囲に属する変形や変更は、全て本開示の範囲内のものである。
【産業上の利用可能性】
【0093】
ここに開示された技術は、棒状のフレーム材の軸方向と交差する方向に延びるようにパイプ材を取り付けるためのパイプ取付治具として有用である。
【符号の説明】
【0094】
1 パイプ取付治具
11 第1フレーム挟持部
12 第1パイプ挟持部
13 第1フレーム側接続部
14 第1パイプ側接続部
15 第1連結部
15a 第1フレーム側連結部
15b 第1パイプ側連結部
16 第1角度調整部
16a 第1係合溝部
16b 第1凹部(ストッパ)
16c 第1係合部
16d 第1凸部(ストッパ)
21 第2フレーム挟持部
22 第2パイプ挟持部
23 第2フレーム側接続部
24 第2パイプ側接続部
25 第2連結部
25a 第2フレーム側連結部
25b 第2パイプ側連結部
26 第2角度調整部
26a 第2係合溝部
26b 第2凹部(ストッパ)
26c 第2係合部
26d 第2凸部(ストッパ)
41 第1ネジ(軸状締結部材)
42 第2ネジ(軸状締結部材)
211 第1フレーム挟持部
212 第1パイプ挟持部
212a 第1貫通孔
215 第1連結部
217 第1リブ
218 第1変位抑制部
218a 第1円弧部(接触部)
218b 第1補強リブ
221 第2フレーム挟持部
222 第2パイプ挟持部
222a 第2貫通孔
225 第2連結部
227 第2リブ
228 第2変位抑制部
228a 第2円弧部(接触部)
228b 第2補強リブ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16