(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112031
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】会議システム
(51)【国際特許分類】
H04M 3/56 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
H04M3/56 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016846
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000561
【氏名又は名称】株式会社オカムラ
(74)【代理人】
【識別番号】100098729
【弁理士】
【氏名又は名称】重信 和男
(74)【代理人】
【識別番号】100204467
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 好文
(74)【代理人】
【識別番号】100148161
【弁理士】
【氏名又は名称】秋庭 英樹
(74)【代理人】
【識別番号】100195833
【弁理士】
【氏名又は名称】林 道広
(72)【発明者】
【氏名】久保 文人
(72)【発明者】
【氏名】辻 誠
(72)【発明者】
【氏名】平出 勝也
【テーマコード(参考)】
5K201
【Fターム(参考)】
5K201BB09
5K201CA10
5K201EB07
5K201ED04
(57)【要約】
【課題】周囲に会話の音声が漏れ出にくい会議システムを提供する。
【解決手段】複数台の通話装置2と、会議スペースSに設置され複数台の通話装置2が同時にローカルネットワークにて接続可能である複数台のハブ装置3と、を備え、複数台のハブ装置3はローカルネットワークにて相互接続が可能であり、いずれかのハブ装置3に接続済みの通話装置2により同時通話を可能とするグループ通話網が構築される。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数台の通話装置と、会議スペースに設置され複数台の前記通話装置が同時にローカルネットワークにて接続可能である複数台のハブ装置と、を備え、
前記複数台のハブ装置はローカルネットワークにて相互接続が可能であり、いずれかのハブ装置に接続済みの前記通話装置により同時通話を可能とするグループ通話網が構築されることを特徴とする会議システム。
【請求項2】
特定の前記ハブ装置が親機となり、他の前記ハブ装置は子機として親機である前記ハブ装置と相互接続されていることを特徴とする請求項1に記載の会議システム。
【請求項3】
親機である前記ハブ装置は、他の前記ハブ装置に対して、接続する前記通話装置の割り振りを自身に優先して行うことを特徴とする請求項2に記載の会議システム。
【請求項4】
親機である前記ハブ装置は、当該ハブ装置と前記通話装置との間に直列で接続される子機である前記ハブ装置の数に応じて、前記通話装置の入力信号の送信時間に加算補正を行うことを特徴とする請求項2に記載の会議システム。
【請求項5】
複数の前記ハブ装置の全ては、所定の操作を受けることでそれぞれ親機として設定可能であることを特徴とする請求項2に記載の会議システム。
【請求項6】
複数の前記ハブ装置は全て同規格の端末であることを特徴とする請求項5に記載の会議システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数人で会話を行う際に利用する会議システムに関する。
【背景技術】
【0002】
オフィス、展示場、病院、店舗、工場等の様々な施設では、その施設に属する従業員や職員同士による会議が行われている。近年では、リモートワークが増え、個人での作業は自宅で行われることから、お互いが顔を合わせる貴重なタイミングである出社時は、専ら会社内部での会議が行われることが多く、小規模の会議の回数が以前よりも大きく増加している傾向がある。
【0003】
そこで、従来のように完全に部屋として区画された会議室に加えて、簡易的な仕切装置等で区画したスペースを会議スペースとして利用する(例えば特許文献1参照)場合もあれば、通常の執務用のテーブルセットが会議スペースとして利用される場合もある。特許文献1の仕切装置は、平面視矩形状の座面を有する椅子の交差する2辺に衝立パネルを設け、この椅子を4つ組み合わせることで、衝立パネルに周囲を囲まれた会議スペースを構成することができるようになっている。これによれば、普段は単体で椅子として活用しながら、必要に応じて会議スペースを仕切ることができる。また、小型であるために、衝立パネルの高さ寸法は一般的な天井よりも低く形成されており、内部の会議スペースの圧迫感が少なくなる構造になっている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2017-64292号公報(第7頁、第2図)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1の仕切装置にあっては、衝立パネルが一般的な天井よりも低い高さ寸法であるため、天井と衝立パネルとの間が開放され、遮音性は低く、仕切装置の外方に会議の内容が漏れ聞こえてしまう虞があった。また、このような仕切装置により区画された会議スペースはウェブ会議時にも利用されるが、会議スペース内に広く音声を届かせるために、必然的にスピーカ装置の出力を大きくする必要があり、仕切装置の外方に会話の音声が漏れ出やすくなってしまうという問題があった。
【0006】
本発明は、このような問題点に着目してなされたもので、周囲に会話の音声が漏れ出にくい会議システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
前記課題を解決するために、本発明の会議システムは、
複数台の通話装置と、会議スペースに設置され複数台の前記通話装置が同時にローカルネットワークにて接続可能である複数台のハブ装置と、を備え、
前記複数台のハブ装置はローカルネットワークにて相互接続が可能であり、いずれかのハブ装置に接続済みの前記通話装置により同時通話を可能とするグループ通話網が構築されることを特徴とする。
この特徴によれば、例えばウェブ会議時には、複数台のハブ装置と通話装置により構築されたグループ通話網と相手側との間で通話を行え、それぞれの通話装置のマイクにて入力された音声を相手側に送信でき、かつそれぞれのスピーカで相手側の音声を聴き取ることができ、この会議に参加する参加者の会話の音量を全体的に下げられ、会議スペースの外部に会話の音声が漏れ出にくくなる。また、ハブ装置と通話装置の増設時にはこれらをローカルネットワークで接続するだけでよいため、簡単に多くの参加者に対応できる会議システムを構築することができる。
【0008】
特定の前記ハブ装置が親機となり、他の前記ハブ装置は子機として親機である前記ハブ装置と相互接続されていることを特徴とする。
この特徴によれば、特定のハブ装置が親機として他のハブ装置及び通話装置を統括することで、簡単に多くの参加者に対応できる会議システムを構築することができる。
【0009】
親機である前記ハブ装置は、他の前記ハブ装置に対して、接続する前記通話装置の割り振りを自身に優先して行うことを特徴とする。
この特徴によれば、子機であるハブ装置に通話装置を優先的に接続させることで、親機であるハブ装置と通話装置との間の通信時間を均一化しやすく、グループ通話網が提供される通話装置同士の音ズレを少なくでき、自然な通話を行うことができる。
【0010】
親機である前記ハブ装置は、当該ハブ装置と前記通話装置との間に直列で接続される子機である前記ハブ装置の数に応じて、前記通話装置の入力信号の送信時間に加算補正を行うことを特徴とする。
この特徴によれば、親機であるハブ装置に直接接続された通話装置との間の通信時間と、子機であるハブ装置に接続された通話装置と親機であるハブ装置との間の通信時間を均一化して、グループ通話網が提供される通話装置同士の音ズレを少なくでき、自然な通話を行うことができる。
【0011】
複数の前記ハブ装置の全ては、所定の操作を受けることでそれぞれ親機として設定可能であることを特徴とする。
この特徴によれば、いずれのハブ装置も親機として設定できることから、迅速に会議システムの接続設定を開始することができる。
【0012】
複数の前記ハブ装置は全て同規格の端末であることを特徴とする。
この特徴によれば、いずれのハブ装置も同規格であり親機として設定できることから、状況に合わせて適宜、親機とするハブ装置の設定及び変更を行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【
図1】本発明の実施例1における会議システムが利用される会議スペースを示す図である。
【
図4】ハブ装置のブロック図を含む会議システムのイメージ図である。
【
図5】ハブ装置とスマートフォンを接続した場合の会議システムのイメージ図である。
【
図6】複数のハブ装置を用いて構築された会議システムのイメージ図である。
【
図7】(a)は複数のハブ装置と複数の通話装置との接続設定を開始する前の図であり、(b)は複数のハブ装置の親機と子機の関係が構築された状態を示す図である。
【
図8】(a)は1台目の子機のハブ装置に通話装置が割り振られ接続された状態を示す図であり、(b)は2台目の子機のハブ装置に通話装置が割り振られ接続された状態を示す図である。
【
図9】親機のハブ装置に通話装置が直接接続された状態を示す図である。
【
図10】(a)は新たにハブ装置を追加する前の状態を示し、(b)は別のハブ装置を親機として親機と子機の関係が再構築された状態を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明に係る会議システムを実施するための形態を実施例に基づいて以下に説明する。
【実施例0015】
実施例に係る会議システムにつき、
図1から
図10を参照して説明する。
【0016】
会議システムは、オフィス、展示場、病院、店舗、工場等の様々な施設において、会議を行う際に用いられるものであり、例えば、
図1に示されるように、執務用のテーブルTとテーブルTを挟んで両側に配置される座面C(ここではソファの座面)により区画された、会議スペースSにて利用される。
【0017】
会議システムは、複数台の通話装置(ここでは個人通話装置2)と、ローカルネットワークによって個人通話装置2がそれぞれ接続されたハブ装置3と、を備えている。後に詳述するが、個人通話装置2とハブ装置3とは、インターネット上で接続されるものではなく、近距離無線規格によりローカルネットワーク上でクローズドなネットワークにより接続されている。
【0018】
図2に示されるように、本実施例における通話装置である個人通話装置2は、所謂首掛けのヘッドセットであり、マイク4とスピーカ5をそれぞれ有し、近距離無線規格であるBluetooth(登録商標)を通信手段として備えている。スピーカ5は首掛けした状態において耳の下方に位置し、マイク4は顎の下方に位置するように設けられている。尚、ハブ装置3と接続される通話装置としては、本実施例における個人通話装置2に限らず、例えばスピーカのみ、またはマイクのみの構造であってもよく、また首掛け以外の形態であってもよい。
【0019】
図3に示されるように、ハブ装置3は、箱状のケース30に各種電子部品が内蔵されて構成されている。ケース30の上面30aには複数の接続ランプ6A~6Fと、接続ボタン7、ミュートボタン8、ボリュームボタン9がそれぞれ配され、これら全てがケース30内に内蔵されたLEDにより発光可能となっている。
【0020】
ケース30には、例えばUSB等の接続ケーブル10が収納されており、ケース30の側面に形成された孔11から接続ケーブル10が引き出し可能になっている。また、ケース30の角部30bにはループ12が固定されており、このループ12を机やホワイトボードなどに設けられたフックに引っ掛けることで、ハブ装置3を吊支させることができる。尚、ハブ装置3にはUSBコネクタを設けて接続ケーブル10を別体としてもよい。
【0021】
図4に示されるように、ハブ装置3には、演算処理用の集積回路13と、集積回路13にそれぞれ接続された無線通信モジュール14A~14Fと、を備えている。無線通信モジュール14A~14Fは、Bluetooth等の近距離無線通信のモジュールであり、本実施例では6つの無線通信モジュール14A~14Fがケース30内に内蔵されている。
【0022】
また、ここでは図示しないが、前述の接続ボタン7、ミュートボタン8、ボリュームボタン9のボタンスイッチ類も集積回路13に接続されている。これら集積回路13、無線通信モジュール14A~14F等を含む電子部品は、図示しないバッテリーに接続され、バッテリーからの給電により動作するようになっている。
【0023】
個人通話装置2A~2Fは、後述する接続設定が完了すると、ケース30に内蔵された無線通信モジュール14A~14Fと、それぞれ対で接続され、音声データのやり取りが行えるようになる。
【0024】
また、ハブ装置3の集積回路13に接続された接続ケーブル10によりハブ装置3とPCとを接続し、WEB会議を行うことができる。尚、PCの代わりに、スマートフォンSP(
図5参照)やタブレット端末に無線通信モジュール14A~14Fを用いて接続することでも、WEB会議を行うことができる。
【0025】
WEB会議を行う場合には、PC(またはスマートフォンSP)側でログインしたユーザを、ハブ装置3の下流の個人通話装置2A~2Fが共用する状態になる。集積回路13は、WEB会議の相手からの音声を、接続ケーブル10を通じてPCから受信し、無線通信モジュール14A~14Fに接続された全ての個人通話装置2A~2Fに送信する処理を行う。また、集積回路13が1の個人通話装置2A~2Fから受信した音声は、接続ケーブル10を通じてPC(またはスマートフォンSP)に送信される。尚、ハブ装置3に設けられた図示しないボタンを選択操作することで、集積回路13が1の個人通話装置2A~2Fから受信した音声が、PCに加えて他の個人通話装置2A~2Fにも送信されるモードを選択することができる。
【0026】
図5に示されるように、ハブ装置3をスマートフォンSPに対して無線通信モジュール14A~14Fのいずれか(ここでは14A)を用いて、近距離無線通信により接続した場合には、当該ハブ装置3に接続可能な個人通話装置2の上限の残数が一つ減少する。このとき、ハブ装置3Aの消灯していた1つの接続ランプ6(ここでは6A)が、スマートフォンSPとの接続状態を示すべく、例えば緑色で点灯する(
図7(a)ではクロスハッチングにより表現。)。本実施例では、接続ランプ6A~6Fは接続ランプ6Aから順に点灯する構成であり、その時点で点灯している数から接続して利用可能な無線通信モジュール14A~14Fの残数を確認することができる。
【0027】
また、複数のハブ装置3を用いることで、ハブ装置3単体で接続可能な上限よりも多数の通話装置(個人通話装置2)をローカルネットワークで接続することができる。例えば
図6では、3台のハブ装置3(3A~3C)と、11台の個人通話装置2(2A~2K)により会議システムが構成されている。
【0028】
図6では、3台のハブ装置3のうちの1台のハブ装置3AがスマートフォンSPと接続された親機であり、この親機であるハブ装置3Aには、子機として2台のハブ装置3B,3Cと、1台の個人通話装置2Kが接続設定(ペアリング)されている。子機であるハブ装置3B,3Cには、5台の個人通話装置2A~2E,個人通話装置2F~2Jがそれぞれ接続設定されている。
【0029】
次いで、
図7から
図9を用いて、3台のハブ装置3A~3Cと11台の個人通話装置2A~2Kの接続設定の手順を説明する。
【0030】
まず、3台のハブ装置3A~3Cの全て電源がオンの状態において、3台のうちいずれかのハブ装置3(ここではハブ装置3A)の接続ボタン7(
図3参照)が押下されると、当該接続ボタン7が押下されたハブ装置3Aは、その他の接続可能なハブ装置3B,3Cを探索してその台数を把握し、これらとそれぞれ接続を行う。詳しくは、ハブ装置3Aの無線通信モジュール14A~14Fのうち、いずれの端末との接続に使用されていないもの2つ(ここでは無線通信モジュール14B,14C)が、ハブ装置3B,3Cにおける無線通信モジュール14A~14Fのうち、いずれの端末との接続に使用されていないもの(ここでは無線通信モジュール14A)と、それぞれ接続される。このとき、ハブ装置3Aの集積回路13は、自身を親機とし、その他のハブ装置3B,3Cを子機として設定する。
【0031】
図7(a)は、ハブ装置3AがスマートフォンSPと接続された状態であり、
図7(b)は、ハブ装置3Aの接続ボタン7が押下された後、親機であるハブ装置3Aに子機であるハブ装置3B,3Cが接続された状態を示している。これらの接続が確立されると、
図7(b)に示されるように、親機であるハブ装置3Aの接続ランプ6B,6Cは、ハブ装置3B,3Cとの接続状態を示すべく、例えば青色で点灯する(
図7(b)では塗りつぶしにより表現。)。同様にハブ装置3B,3Cの接続ランプ6Aについても、ハブ装置3Aとの接続状態を示すべく、それぞれ例えば青色で点灯する(
図7(b)では塗りつぶしにより表現。)。
【0032】
ハブ装置3A~3Cと個人通話装置2A~2Kの接続(ペアリング)を行う場合には、各参加者は個人通話装置2A~2Fの無線通信機能をペアリングモードにしておく。前述の接続ボタン7が押下されると、ハブ装置3Aの集積回路13は、接続可能な個人通話装置2A~2Kを探索し、その台数を把握する。
【0033】
ハブ装置3Aの集積回路13は、まず子機であるハブ装置3Bの無線通信モジュール14B~14Fに対して、個人通話装置2の接続を割り振る。ここでは、11台の個人通話装置2A~2Kに対してハブ装置3Bの利用可能な無線通信モジュール14B~14Fは5つであるため、これら5つの無線通信モジュール14B~14Fに5台の個人通話装置2A~2Eがそれぞれ接続される(
図8(a)参照)。このとき、ハブ装置3Bの接続ランプ6B~6Fは個人通話装置2との接続状態を示すべく、それぞれ例えば白色で点灯する(
図8(a)ではドットにより表現。)。
【0034】
ハブ装置3Aの集積回路13は、ハブ装置3Bに接続可能な上限数まで個人通話装置2を割り振った後、残りの個人通話装置2の接続をハブ装置3Cの無線通信モジュール14B~14Fに対して割り振る。ここでは、残り6台の個人通話装置2F~2Kに対してハブ装置3Bの利用可能な無線通信モジュール14B~14Fは5つであるため、これら5つの無線通信モジュール14B~14Fに5台の個人通話装置2F~2Jがそれぞれ接続される(
図8(b)参照)。このとき、ハブ装置3Cの接続ランプ6B~6Fは個人通話装置2との接続状態を示すべく、それぞれ例えば白色で点灯する(
図8(b)ではドットにより表現。)。
【0035】
ハブ装置3Aの集積回路13は、子機であるハブ装置3B,3Cに利用可能な無線通信モジュール14が残っていない状態において、1台の個人通話装置2Kの割り振りが完了していないことを認識でき、この個人通話装置2Kをハブ装置3Aの利用可能な無線通信モジュール14D~14Fのうちのいずれか(ここでは無線通信モジュール14D)に接続させる(
図9参照)。このとき、ハブ装置3Aの接続ランプ6Dは個人通話装置2Kとの接続状態を示すべく、白色で点灯する(
図9ではドットにより表現。)。これにより集積回路13は、自身の周辺で無線通信可能なハブ装置3B~3Cと11台の個人通話装置2A~2Kの接続設定を完了する。
【0036】
このように、本発明の会議システムは、ローカルネットワークにて相互接続が可能な複数台のハブ装置3A~3Cと、これらハブ装置3A~3Cのうちいずれかのハブ装置に接続済みの個人通話装置2A~2Kにより同時通話を可能とするグループ通話網を構築している。これによれば、例えばウェブ会議時には、複数台のハブ装置3A~3Cと個人通話装置2A~2Kにより構築されたグループ通話網と相手側との間で通話を行うことができる。すなわち、それぞれの個人通話装置2A~2Kのマイク4にて入力された音声をウェブ会議時の相手側に送信でき、かつそれぞれのスピーカ5で相手側の音声を聴き取ることができ、この会議に参加する参加者の会話の音量を全体的に下げられ、会議スペースの外部に会話の音声が漏れ出にくくなる。
【0037】
また、同じローカルネットワークに接続されていない通話装置には、上記したグループ通話網の提供が行われないため、会議内容の秘匿性を確保することができる。また、ハブ装置3A~3Cと個人通話装置2A~2Kの増設時には、これらをローカルネットワークで接続するだけでよいため、簡単に多くの参加者に対応できる会議システムを構築することができる。
【0038】
また、特定のハブ装置3Aが親機となり、他のハブ装置3B,3Cは子機として親機であるハブ装置3Aと相互接続される構成であり、特定のハブ装置3Aが親機として他のハブ装置3B,3C及び通話装置(個人通話装置2A~2K)を統括することで、簡単に多くの参加者に対応できる会議システムを構築することができる。
【0039】
また、親機であるハブ装置3Aの集積回路13は、他のハブ装置3B,3Cに対して、接続する通話装置(個人通話装置2A~2J)の割り振りを自身に優先して行うようになっている。これによれば、大半の個人通話装置2A~2Jが子機であるハブ装置3B,3Cに接続されて親機であるハブ装置3Aから見た階層が揃うことになり、親機であるハブ装置3Aと個人通話装置2A~2Jとの間の通信時間を均一化でき、グループ通話網が提供される個人通話装置2A~2J同士の音ズレを防止して自然な通話を行うことができる。
【0040】
また、ハブ装置3A~3Cは、接続ランプ6A~6F(報知手段)によって、その時点でハブ装置3A~3Cに接続されている個人通話装置2の数を確認することができる。これによれば、グループ通話網を用いて会議に参加する参加者は、ハブ装置3A~3Cに接続されている個人通話装置2の総数と、会議スペースS内の個人通話装置2の実際の数とを比較することで、会議スペースS外でハブ装置3A~3Cと接続されている個人通話装置2の有無を確認でき、会議内容の秘匿性を確保することができる。
【0041】
また、個人通話装置2とハブ装置3とは、近距離無線通信により接続されるため、配線が邪魔にならず、会議スペースSの構成に関わらずに会議システムを利用することができる。
【0042】
また、親機であるハブ装置3Aのボリュームボタン9を操作することで、ハブ装置3A~3Cに接続された全ての個人通話装置2A~2Kのスピーカ5から出力される音量を一斉に操作することができる。例えば、グループ通話網を用いた会議に参加している参加者の一人がグループ通話網の音量が大きいと感じた場合には、このボリュームボタン9を操作して、会議スペースSからの音漏れを抑制することができる。
【0043】
また、親機であるハブ装置3Aのミュートボタン8を操作することで、ハブ装置3A~3Cに接続された全ての個人通話装置2A~2Kのマイク4から入力された音声がスピーカ5から出力されなくなり、WEB会議の場合には遠隔地に送られなくなる。これによれば、ハウリングの発生等でグループ通話網の音声を不快に感じた場合や、グループ通話網の音量が大きいと感じた場合に一時的にマイク4を無効にすることができる。
【0044】
子機であるハブ装置3B,3Cに接続された個人通話装置2A~2Jのマイク4から入力された音声は、子機であるハブ装置3B,3Cを介して親機であるハブ装置3Aに送信される構成であるため、親機であるハブ装置3Aに直接接続された個人通話装置2Kに比べてPCまたはスマートフォンSPへの音声の到達が遅れることになる。そこで、親機であるハブ装置3Aの集積回路13は、自身に直接接続された個人通話装置2Kのマイク4から入力された音声は、親機であるハブ装置3Aと子機であるハブ装置3B,3Cとの間での通信時間に相当する所定の遅延時間、例えば55msecの経過後に、接続されたPCまたはスマートフォンSPに送信するようになっている。
【0045】
これによれば、親機であるハブ装置3Aとこのハブ装置3Aに直接接続された通話装置2Kとの間の通信時間と、子機3B,3Cに接続された通話装置2A~2Jと親機であるハブ装置3Aとの間の通信時間を均一化して、グループ通話網が提供される通話装置同士の音ズレを少なくでき、自然な通話を行うことができる。
【0046】
図10(a)に示されるように、既に構築済みのグループ通話網に、ハブ装置3Dを新たに追加することができる。この場合には、親機であるハブ装置3Aの接続ボタン7(
図3参照)を再度押下する。前述したようにハブ装置3Aが接続可能なハブ装置3B,3C,3Dを認識することで、これらを子機として接続することができる。
【0047】
また、ハブ装置3A~3Dは、いずれも同規格の装置であり、いずれも親機に成り得る。例えば、
図10(b)を参照し、ハブ装置3Dの接続ボタン7を押下することで、ハブ装置3Dを親機として、ハブ装置3A,3B,3Cを子機として接続した会議システムを構築することもできる。このように、複数の前記ハブ装置は、全て所定の操作を受けることでそれぞれ親機として設定可能であるため、迅速に会議システムの接続設定を開始することができる。また、いずれのハブ装置3A,3B,3Cも同規格であり親機として設定できることから、例えば、バッテリーの残量などの状況に合わせて適宜、親機とするハブ装置の設定及び変更を行うことができる。
【0048】
以上、本発明の実施例を図面により説明してきたが、具体的な構成はこれら実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲における変更や追加があっても本発明に含まれる。
【0049】
例えば、前記実施例において、ハブ装置3と個人通話装置2とは近距離無線規格の通信手段を用いて接続されているが、これに限らず、ハブ装置3と個人通話装置2とはLANケーブルやUSBケーブル等の有線で接続される構成でもよい。
【0050】
また、近距離無線通信規格はBluetoothに限らず、例えばWi-FiやZigBee(登録商標)などでもよい。
【0051】
また、ハブ装置3Aの集積回路13は、接続可能な個人通話装置2を探索し、その台数を把握し、子機として接続されたハブ装置3と自身とに接続先を割り振る構成であるが、子機として接続されたハブ装置3と自身とに接続可能な上限を超える個人通話装置2が発見された場合には、その旨を報知する報知手段を有していてもよい。
【0052】
また、子機として接続されたハブ装置3の更に下層に子機となるハブ装置3を接続した会議システムを構成してもよい。この場合には、親機であるハブ装置3は、このハブ装置と個人通話装置2との間に直列で接続される子機であるハブ装置3の数に応じて、個人通話装置2の入力信号の送信時間に加算補正を行うようにすることで、ハブ装置3の階層に関わらずに親機であるハブ装置3に直接接続された個人通話装置2との間の通信時間と、子機であるハブ装置3に接続された個人通話装置2と親機であるハブ装置3との間の通信時間を均一化することができる。
【0053】
また、親機となるハブ装置3はPCまたはスマートフォンSPと接続してWEB会議を行う場合に限らず、例えばPCまたはスマートフォンSPと接続せずに複数台のハブ装置3と複数台の個人通話装置2をローカルネットワークで接続した、会議システム単体での利用も可能である。この場合、親機となるハブ装置3の集積回路13は、自身及び子機であるハブ装置3に接続された個人通話装置2のマイク4から入力され、無線通信により受信した音声を、当該個人通話装置2以外の接続された全ての個人通話装置2のスピーカ5から出力する。これにより、話し手が声を小さくしても聞き手側は、各々が所持する個人通話装置2のスピーカ5で聴き取ることができ、この会議に参加する参加者の会話の音量を全体的に下げられ、周囲に会話の音声が漏れ出にくくなるという効果を奏することができる。
【0054】
また、親機であるハブ装置3の集積回路13は、自身に個人通話装置2が接続されない設定としてもよく、この場合には、入力信号の送信時間に加算補正を行うなどの対策処理を省略しながら、個人通話装置2と親機であるハブ装置3との間の通信時間を均一化することができる。
【0055】
また、ハブ装置3は可搬型に限らず、テーブルや椅子、ホワイトボード、パーティション等の家具に内蔵される構成であってもよく、これによれば、参加者は会議スペースSに個人通話装置2を持参するだけで、グループ通話網を用いた会議を行うことができる。
【0056】
また、個人通話装置は、首掛けのヘッドセットに限らず、無線通信手段、マイク、スピーカを備えていればよく、例えばスマートフォンであってもよい。