(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112039
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】光治療装置
(51)【国際特許分類】
A61N 5/067 20060101AFI20240813BHJP
A61B 18/20 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A61N5/067
A61B18/20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016858
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】503369495
【氏名又は名称】帝人ファーマ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100169085
【弁理士】
【氏名又は名称】為山 太郎
(72)【発明者】
【氏名】中山 恭章
(72)【発明者】
【氏名】川▲瀬▼ 悠樹
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 穂乃歌
【テーマコード(参考)】
4C026
4C082
【Fターム(参考)】
4C026AA01
4C026GG10
4C026HH02
4C026HH16
4C082RE60
4C082RJ10
4C082RL02
4C082RL16
(57)【要約】
【課題】 患者が適正な姿勢を保つことで的確な治療を行うことができる光治療装置を提供することを目的とする。
【解決手段】 患者に向けて光を照射する光照射部を有する光治療装置において、前記患者と接触する接触部に備えられた複数のセンサからの出力値に基づいて、患者の姿勢を判断する人物姿勢判断部と、前記人物姿勢判断部の判断結果に基づいて、前記光照射部による光照射を許可するか否かを判断する光照射許可判断部と、を備える光治療装置。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
患者に向けて光を照射する光照射部を有する光治療装置において、
前記患者と接触する接触部に備えられた複数のセンサからの出力値に基づいて、患者の姿勢を判断する人物姿勢判断部と、
前記人物姿勢判断部の判断結果に基づいて、前記光照射部による光照射を許可するか否かを判断する光照射許可判断部と、
を備える光治療装置。
【請求項2】
前記人物姿勢判断部は、前記複数のセンサからの出力値に基づいて、患者が予め設定された対象人物と同一であるか否か判断する請求項1に記載の光治療装置。
【請求項3】
患者が正しい姿勢で着座した時の前記接触部に加わる物理量を記憶する患者物理量記憶部を備え、
前記光照射許可判断部は、前記人物姿勢判断部により、前記複数のセンサからの出力値が前記物理量に対して所定範囲内に属すると判断された場合には、前記光照射部による光照射を許可する請求項1に記載の光治療装置。
【請求項4】
患者が正しい姿勢で着座した時の前記接触部に加わる物理量を記憶する患者物理量記憶部を備え、
前記複数のセンサは、前記接触部の左右中心線に対して一方側及び他方側のそれぞれに備えられており、
前記光照射許可判断部は、前記人物姿勢判断部により、前記一方側に備えられた各センサからの各出力値のうちの最大出力値及び最小出力値の比と前記他方側に備えられた各センサからの各出力値のうち最大出力値および最小出力値の比が、前記物理量に対して所定範囲内に属すると判断された場合には、前記光照射部による光照射を許可する請求項1に記載の光治療装置。
【請求項5】
患者が正しい姿勢で着座した時の前記接触部に加わる物理量を記憶する患者物理量記憶部を備え、
前記複数のセンサは、前記接触部の左右中心線に対して一方側及び他方側のそれぞれに備えられており、
前記光照射許可判断部は、前記人物姿勢判断部により、前記一方側に備えられた各センサからの各出力値の平均値と前記他方側に備えられた各センサからの各出力値の平均値の比が、前記物理量に対して所定範囲内に属すると判断された場合には、前記光照射部による光照射を許可する請求項1に記載の光治療装置。
【請求項6】
前記接触部は、座面部を備え、
前記複数のセンサの少なくとも2つは、前記座面部の左右中心線に対して一方側及び他方側に備え、
前記複数のセンサの少なくとも一つは、前記座面部の前後中心線より後ろ側に備える請求項3に記載の光治療装置。
【請求項7】
前記複数のセンサのそれぞれは、圧力センサである請求項3から6に記載の光治療装置。
【請求項8】
前記接触部は、背面部を備え、
前記背面部の左右中心線上に備えており、患者との接触を検知する接触センサを備えており、
前記光照射許可判断部は、前記接触センサにより患者との接触がさらに検知された場合に、前記光照射部による光照射を許可する請求項3から6に記載の光治療装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、使用者である患者に光を照射することにより治療する光治療装置に関する。
【背景技術】
【0002】
光治療装置は、例えば、赤外光線(おおよそ波長700nm~2500nm)を治療光として、患部やツボなどを狙って経皮的に照射することにより、疼痛の緩解などの治療に用いられてきた。近年、光線の照射により、末梢神経系の痛みを伝える感覚線維の神経伝達の選択的な抑制、発痛物質の抑制、交感神経の緊張緩和等の様々な神経に対する作用が明らかになってきた。光線の中でもレーザ光は、特定の波長を高出力で照射できることから、これらの用途で広く用いられている。
【0003】
特許文献1には、患者が着座する座面を有し、患者の背面から光を照射する照射プローブを備えている椅子型の光治療装置が記載され、患者は椅子に座った状態で治療部位を正確に捉えた光照射を行うことができ、病院における医療者による施術ではなく、在宅等において患者自身で光照射を行う場合であっても、効果的な光治療がなされている。
【0004】
一方で、レーザの安全基準JIS C 6802におけるレーザクラスにおいて、クラス3以上の高出力な光治療装置を在宅医療として使用する場合、クラス1Cの適合が必須条件となる。クラス1Cでは意図した標的組織以外への露光を制限することが求められる。特許文献2では光治療装置の安全性を高めるためにレーザ光源と皮膚との距離などを光学センサなどで検出し、検出値に応じて、すなわち検出値があらかじめ定められた許容範囲内であるか否かでレーザ照射を制御するように構成された光治療装置が公知である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】WO2020/004516号公報
【特許文献2】特表2016-512783号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
特許文献1には、患者が着座する座面を有し、患者の背面から光を照射する照射プローブを備えており、光照射を患者が楽に、効果的で適切な治療を行うことが出来る椅子型光治療装置が記載されている。しかしながら、この装置を在宅で利用する際には、患者が誤った方法で座ることでプローブからのレーザ光が漏れ出る可能性があり、漏れ出たレーザ光が患者や周囲の人の眼や甲状腺などの照射禁忌となっている部位に照射され、失明や機能低下などを生じさせる危険性がある。また、在宅では子供など患者以外の人が誤って使用してしまう可能性もあり、前記同様の危険性がある。
【0007】
また特許文献2に記載のような光学センサを備えた皮膚治療装置では、人体がレーザ光源と近づいたことしか把握することが出来ず、正しい人間が正しい姿勢で座っているかどうかまで判断できないため、誤った操作をすることでレーザ光が眼に入る可能性もある。
【0008】
そこで、本発明は、上記点に鑑みてなされたものであり、患者が正しい姿勢で適正な位置に光照射を来なうことで治療を行うことができる装置を提供するものであり、仮に誤操作したとしても、レーザ光が周囲に漏れることがないように安全かつ適正に治療ができる光治療装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明は、患者に向けて光を照射する光照射部を有する光治療装置において、前記患者と接触する接触部に備えられた複数のセンサからの出力値に基づいて、患者の姿勢を判断する人物姿勢判断部と、前記人物姿勢判断部の判断結果に基づいて、前記光照射部による光照射を許可するか否かを判断する光照射許可判断部とを備える光治療装置を提供する。
【0010】
かかる人物姿勢判断部は、前記複数のセンサからの出力値に基づいて、患者が予め設定された対象人物と同一であるか否か判断部であり、患者が正しい姿勢で着座した時の前記接触部に加わる物理量を記憶する患者物理量記憶部を備える。そして、前記光照射許可判断部は、前記人物姿勢判断部により、圧力センサや接触センサなどの前記複数のセンサからの出力値が前記物理量に対して所定範囲内に属すると判断された場合には、前記光照射部による光照射を許可することを特徴とする。
【0011】
また本発明は、患者が正しい姿勢で着座した時の前記接触部に加わる物理量を記憶する患者物理量記憶部を備え、前記複数のセンサは、前記接触部の左右中心線に対して一方側及び他方側のそれぞれに備えられており、前記光照射許可判断部は、前記人物姿勢判断部により、前記一方側に備えられた各センサからの各出力値のうちの最大出力値及び最小出力値の比と前記他方側に備えられた各センサからの各出力値のうち最大出力値および最小出力値の比が、前記物理量に対して所定範囲内に属すると判断された場合、あるいは、各センサからの各出力値の平均値の比が、前記物理量に対して所定範囲内に属すると判断された場合には、前記光照射部による光照射を許可する光治療装置を提供する。
【0012】
前記複数のセンサの少なくとも2つは、前記座面部の左右中心線に対して一方側及び他方側に備え、前記複数のセンサの少なくとも一つは、前記座面部の前後中心線より後ろ側に備える。
【0013】
また本発明は、前記接触部として椅子の背もたれである背面部の左右中心線上に患者との接触を検知する接触センサを備えており、前記光照射許可判断部は、前記接触センサにより患者との接触がさらに検知された場合に、前記光照射部による光照射を許可する光治療装置を提供する。
【0014】
更に本発明は、患者が着座する座面を有する椅子型光治療装置において、座面および背面に複数のセンサと、事前にユーザが着座した際の複数センサからの出力を測定・記憶する患者物理量記憶部と、複数のセンサからの出力に基づいて患者の人物同定と患者の姿勢を判断する人物姿勢判断部と、当該判断結果に基づいて、光照射部による光照射を許可するか否かを判断する光照射許可判断部と、を備える椅子型光治療装置を提供する。
【発明の効果】
【0015】
本構成によれば、在宅等で患者自身が誤った座り方をした場合であっても、誤って患者以外が装置を使用した場合であっても、レーザ光が照射されることはなく、眼に入る可能性も少ないため、より安全な光治療装置を提供することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【0016】
【
図3】光照射を許可する判断アルゴリズムを説明した図である。
【
図5】別の実施の一形態における光照射実施までの機構を説明した図である。
【
図6】別の実施の一形態における光照射を許可する判断アルゴリズムを説明した図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
本発明の第一の実施形態に係る光治療装置について図面を参照しながら説明する。
【0018】
図1に示すように、本実施形態の光治療装置は、患者の仙骨孔及び神経節の位置に光線を照射することで疼痛治療や過敏性腸症候群治療、末梢循環障害治療、慢性便秘症治療、創傷治療、便失禁治療などを行うための装置である。光治療装置は、患者と接触する接触部と接触部に備えられた複数のセンサと患者物理量記憶部と人物姿勢判断部と照射モジュールを備える。
【0019】
光治療装置は患者との接触部が備えられている装置であり、接触部は座面5や背面7などをいう。光治療装置は座面5と背面7を共に有する椅子型でも、座面5のみ有する座布団型でもよい。座面5は患者一人が十分座れる大きさを有し、形は略長方形でも略円型でもよい。座面5の素材は、例えば、表面は皮や繊維素材を用い、内部にはウレタンなどのクッション性の部材が詰め込まれ、更にその骨組みは金属、樹脂、木材などで構成される。
【0020】
接触部には、2個以上のセンサ4を備え、少なくとも接触部の左右中心線に対して一方側及び他方側のそれぞれに1個以上のセンサ4を備えている。センサ4は患者が接触部に加える物理量を測定するものであり、圧力センサや加速度センサなど連続量を計測できるセンサを利用することができる。連続量を計測できるセンサを利用することによって、下記で説明するアルゴリズムによる姿勢判定が出来る。
【0021】
患者物理量は接触部に備えられたセンサ4から出力された圧力や加速度などの連続量であり、患者が接触部に座位姿勢で接触した際の出力値を患者物理量とする。
【0022】
患者物理量記憶部と人物姿勢判断部を備えた演算部A6は座面5の下の収納部の中に備えられている。収納部は座面下部に釣り下がる形で配置する。収納部は略直方体の形状をしており、センサ4からの接続と光照射許可判断部3への接続ケーブルのための孔を有している。
【0023】
演算部A6の患者物理量記憶部は複数のセンサ4から接続されており、センサ4から出力された患者の物理量を記憶する。患者の物理量を記憶する際は正しい姿勢であることを確認したうえで実施し、その物理量を基準値とする。人物姿勢判断部は複数のセンサ4と患者物理量記憶部と接続されており、患者物理量記憶部で記憶された基準値と患者使用時にセンサ4からの患者の出力値との比較を行い、
図4で説明するアルゴリズムをもとに患者の姿勢と対象人物の同定を判断する。
【0024】
照射モジュール1は、光照射許可判断部3と照射プローブ2を有している。光照射許可判断部3は演算部A6の人物姿勢判断部と照射プローブ2と接続しており、
図2で説明する人物姿勢判断部で判断された内容を基に光照射の許可判断を行い、照射プローブ2へ信号を送る。
【0025】
図2は、センサ4から光照射を実施するまでの機構を説明した図である。センサ4は演算部A6の患者物理量記憶部と人物姿勢判断部に接続されており、患者物理量記憶部は人物姿勢判断部とも接続している。人物姿勢判断部からの出力は光照射許可判断部へ接続しており、光照射許可判断部で光照射の許可を行い、照射プローブから光照射が行われる。
【0026】
図3では光照射を許可する判断アルゴリズムを説明する。光治療装置の座面5に患者が正しい姿勢で着座した際の患者物理量をセンサ4で検出し、基準値を設定する。基準値は例えば、圧力センサを用いた場合は、各センサの圧力値や、座面下の左右中心線に対して一方側および他方側に配置されたセンサの最大圧力と最小圧力の比、一方側および他方側の平均圧力比などを利用する。その後、使用開始時および使用中に基準値の所定範囲内であるかどうかを判断することで患者が正しい位置に正しい姿勢で座っているかどうかを判断し、光照射を許可もしくは禁止する。装置の使用開始時だけでなく、使用中においても、かかる判断の機会を設けることで使用中の患者の動きを検知し、照射プローブ2から患者皮膚表面に対して照射された光が、周囲に漏れ出ることを防ぐことが出来る。
【0027】
例えば、センサ4として圧力センサを用い、各センサの圧力値を基準値として使用する場合、患者が正しい姿勢で着座した際の各センサ4の出力値を基準値とする。その後、患者が使用するために着座した際の各センサ4の出力値が基準値の所定範囲内と判断し、光照射を許可する。座面5に患者が着座した時の各センサ4の出力値は、患者の体重や体型、着座姿勢などを反映するため、個人差や着座姿勢の違いが生じる。例えば、体重が重ければセンサ4の出力値は大きくなり、体型が異なると接触部に接触する体の部位が異なり、センサ4からの出力値が変わる。また、着座時の姿勢が傾いていると傾いた側のセンサ出力値が大きくなる。そのため、事前に患者が着座した際の出力値を基準値とすると、患者の同定および姿勢判断を行うことが可能となる。
【0028】
センサ数が1つだと誤認識する可能性があり、複数のセンサを用いることで、利用する患者が正しい姿勢で座っているかを判断することが可能となる。また、圧力値を基準値とする場合、着座時の座骨の位置が出力値に大きく反映されるため、センサ4は座骨が当たる座面部の前後中心線より後ろ側に備えるとよい。
【0029】
一方側および他方側それぞれの最大圧力と最小圧力の比を基準値とする場合、患者が正しい姿勢で着座した際に、座面の左右中心線に対して一方側に設けられた複数の圧力センサが検知した最大圧力値と最小圧力値の比(最大圧力値/最小圧力値)と他方側に設けられた複数のセンサが検知した前記比をそれぞれ基準値とする。その後、患者が使用するために着座した際の一方側および他方側の最大圧力と最小圧力の比がそれぞれ基準値の所定範囲内と判断した場合に、演算部Aの人物姿勢判断部は対象患者が正しい姿勢で着座していると判断し、光照射を許可する。
【0030】
上記に加えて、一方側および他方側に設けられた複数のセンサのそれぞれの平均圧力の比を基準値とする場合、患者が正しい姿勢で着座した際の一方側にある圧力センサ4の平均値と他方側にある圧力センサ4の平均値との比(一方側の圧力センサの平均値/他方側の圧力センサの平均値)を基準値とする。その後、患者が使用するために着座した際の一方側及び他方側のそれぞれの平均圧力の比が基準値の所定範囲内と判断した場合、演算部Aの人物姿勢判断部は対象患者が正しい姿勢で着座していると判断し、光照射許可判断部3が照射プローブ2からの光照射を許可する。
【0031】
さらに、個々の圧力センサ4の圧力値の基準値との比較を加えた3つのパラメータ、すなわち、各センサの圧力値、一方側および他方側に設けた複数のセンサの左右それぞれの最大・最小圧力比、一方側に設けた複数の圧力センサの平均圧力と他方側に設けた複数の圧力センサの平均圧力との比が、何れも基準値の所定範囲内と判断した場合に、光照射を許可することとすることで、患者同定や姿勢判断の精度が高くなり望ましい。
【0032】
例えば、座面5の左右中心線に対して左右双方の側に各々2つのセンサA、Bを備えた場合、センサA、Bの基準値をa、bと設定し、測定値の所定範囲を基準値の±10%以内、実際の患者測定値をα、βとした時、「各センサの圧力値」の所定範囲は、0.9a≦α≦1.1a、0.9b≦β≦1.1bとなる。
【0033】
「各センサの圧力値」に加え、「一方側の最大・最小圧力比(a/b)」の値を基準値に設定した場合、「一方側の最大・最小圧力比(a/b)」の所定範囲は、0.9a/b≦α/β≦1.1 a/b、つまり0.9a×β/b≦α≦1.1a×β/bとなる。但し、βの値は正の値を示す(β≧0)。
【0034】
β/b≠1のとき、一方側の最大・最小圧力比を基準としたときのαの所定範囲は、各センサの圧力値を基準としたときのαの所定範囲とは一致しない。そのため、「各センサの圧力値およびか一方側の最大・最小圧力比」の両方を基準値として用いたときのαの所定範囲は、「各センサの圧力値」のみを基準値として用いた場合のαの所定範囲よりも狭くなり、判定の精度はより上がる。
【0035】
図4は、本発明の光治療装置の第2の実施形態を表す図である。なお、
図1に示す実施形態と重複する部分が多いことから、以下では本実施形態に特徴的な部分のみ説明し、その他の構成についての説明は省略する。
【0036】
本実施形態においては、患者との接触部である椅子の背もたれ部分である背面7にもセンサ8が備えられている。背面7は例えば、表面は皮や繊維素材、内部にはウレタンなどのクッション性の部材が詰め込まれ、骨組みは金属、樹脂、木材などで構成される。座面接触部に備えられたセンサ4に加えて、背面7にセンサ8が1つ以上あり、少なくとも1つは背面7の左右中心線上に備えられている。センサ8は患者の接触を検知するものであり、圧力センサや加速度センサ、赤外線センサなど接触を検知できるセンサが利用できる。使用者との接触を検知できるセンサを利用することによって、
図6を用いて説明するアルゴリズムによる姿勢判定が出来る。これにより、背面7に備えられたセンサ8により、患者が椅子の背もたれに接触していることを検出することにより、患者の姿勢が正しい状態で光照射を許可することができ、患者への安全性を高めることができる。
【0037】
図5は第2の実施形態における、座面に備えられているセンサ4に加えて背面センサ8から光照射を実施するまでの機構を説明した図である。背面7に備えられているセンサ8は演算部B9の人物姿勢判断部に接続されている。人物姿勢判断部からの出力は光照射許可判断部3へ接続しており、光照射許可判断部3で光照射の許可を行い、照射プローブ2から光照射が行われる。
【0038】
図6は別の実施形態における光照射を許可する判断アルゴリズムを説明する。前記座面5の備えられたセンサ4による人物・姿勢判断アルゴリズムに加えて、演算部B9の人物姿勢判断部で、患者の使用時に背面センサ8において接触検知があるかどうかを判断することで、光照射を許可もしくは禁止する。光照射を行う照射プローブ2は背面部左右中心線上付近に備えられているため、接触検知が可能なセンサを背面部左右中心線上に備えることによって、照射プローブ2と患者が接触していることを確実に検知することが出来、プローブから光が漏れ出るリスクを下げることが可能となる。
【符号の説明】
【0039】
1 照射モジュール
2 照射プローブ
3 光照射許可判断部
4 センサ(圧力センサ)
5 座面
6 演算部A(患者物理量記憶部、人物姿勢判断部)
7 背面
8 センサ(接触センサ)
9 演算部B(人物姿勢判断部)