(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112045
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】繊維層含有貼付シート、および、繊維層含有貼付シートの製造方法
(51)【国際特許分類】
B32B 27/12 20060101AFI20240813BHJP
B32B 7/022 20190101ALI20240813BHJP
D06M 17/10 20060101ALI20240813BHJP
D06M 17/00 20060101ALI20240813BHJP
A41C 3/14 20060101ALI20240813BHJP
A41C 5/00 20060101ALI20240813BHJP
A61F 13/02 20240101ALI20240813BHJP
A61F 13/0246 20240101ALI20240813BHJP
【FI】
B32B27/12
B32B7/022
D06M17/10
D06M17/00 G
A41C3/14 A
A41C5/00 C
A61F13/02 310A
A61F13/02 310H
A61F13/02 310J
A61F13/02 390
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016865
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003193
【氏名又は名称】TOPPANホールディングス株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】宮内 菜摘
(72)【発明者】
【氏名】野村 彩英子
(72)【発明者】
【氏名】田辺 淳也
【テーマコード(参考)】
3B131
4F100
4L032
【Fターム(参考)】
3B131AA17
3B131AB03
3B131BA08
3B131BA16
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3B131CA31
3B131DA23
4F100AJ01A
4F100AK01A
4F100AK07
4F100AK51B
4F100AK51C
4F100AK51D
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4F100AK54D
4F100AT00C
4F100BA03
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4F100BA07
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4F100DG01A
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4F100YY00A
4L032AA06
4L032AB01
4L032AB02
4L032AB03
4L032AB04
4L032AC01
4L032BA05
4L032BB03
4L032BD05
4L032DA00
(57)【要約】
【課題】貼付対象に対する繊維層含有貼付シートの追従性の低下を抑え、かつ、繊維層含有貼付シートを伸びやすくすることを可能とした繊維層含有貼付シート、および、繊維層含有貼付シートの製造方法を提供する。
【解決手段】繊維層含有貼付シート10は、繊維層11と、基材層12と、繊維層11と基材層12との間に位置し、繊維層11に接する粘着層13とを備える。繊維層11の破断時の伸び量が、15mm以上90mm以下であり、繊維層11の破断時の伸び量に対する繊維層含有貼付シート10の破断時の伸び量の百分率が、120%以上700%以下である。繊維層11の目付が、30g/m
2以上100g/m
2以下であり、繊維層11の厚さに対する繊維層含有貼付シート10の厚さの増加量が、10%以下である。第1重量の測定から90分経過した時点における繊維層含有貼付シートの第2重量の保水力が、40%以上80%以下である。
【選択図】
図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
繊維層と、
基材層と、
前記繊維層と前記基材層との間に位置し、前記繊維層に接する粘着層と、を備え、
前記繊維層の破断時の伸び量が、15mm以上90mm以下であり、
前記繊維層の破断時の伸び量に対する繊維層含有貼付シートの破断時の伸び量の百分率が、120%以上700%以下であり、
前記繊維層の目付が、30g/m2以上100g/m2以下であり、
前記繊維層の厚さに対する前記繊維層含有貼付シートの厚さの増加量が、10%以下であり、
水に浸漬した前記繊維層含有貼付シートの初期重量が第1重量であり、
前記第1重量の測定から90分経過した時点における前記繊維層含有貼付シートの重量が第2重量であり、
下記式(1)によって算出される前記第2重量を測定した時点での前記繊維層含有貼付シートの保水力が、40%以上80%以下である
{(W2-W3)/(W1-W3)}×100 … 式(1)
式(1)において、W1は前記第1重量であり、W2は前記第2重量であり、W3は前記繊維層含有貼付シートの乾燥重量である
繊維層含有貼付シート。
【請求項2】
前記繊維層において、前記粘着層に接する面とは反対側の面にウレタンコート層をさらに備える
請求項1に記載の繊維層含有貼付シート。
【請求項3】
前記第2重量は、前記基材層から蒸散させた場合における前記繊維層含有貼付シートの重量であり、
前記ウレタンコート層から蒸散させた場合において、前記第1重量の測定から90分経過した時点における前記繊維層含有貼付シートの重量が第4重量であり、
前記式(1)によって算出される保水力が第1保水力であり、
下記式(2)によって算出される前記第4重量を測定した時点での前記繊維層含有貼付シートの保水力が第2保水力であり、
前記第1保水力から前記第2保水力を減算した差分値が、20%以上70%以下である
{(W4-W3)/(W1-W3)}×100 … 式(2)
式(2)において、W4は前記第4重量である
請求項2に記載の繊維層含有貼付シート。
【請求項4】
前記基材層が、ポリウレタン樹脂を含む
請求項1から3のいずれか一項に記載の繊維層含有貼付シート。
【請求項5】
前記繊維層は、織物、編み物、不織布、および、紙から構成される群から選択されるいずれかであり、
前記繊維層は、天然繊維または合成繊維から形成される
請求項1から3のいずれか一項に記載の繊維層含有貼付シート。
【請求項6】
第1支持層に第1塗液を塗工した後に、前記第1塗液を乾燥させることによって基材層を形成すること、
第2支持層に第2塗液を塗工した後に、前記第2塗液を乾燥させることによって粘着層を形成すること、および、
繊維層と前記基材層との間に前記粘着層が位置するように、前記繊維層、前記基材層、および、前記粘着層を重ねた状態で、前記基材層と前記粘着層とを加熱することによって前記基材層と前記粘着層とをエージングすること、を含み、
前記繊維層の破断時の伸び量が、15mm以上90mm以下であり、
前記繊維層の破断時の伸び量に対する繊維層含有貼付シートの破断時の伸び量の百分率が、120%以上700%以下であり、
前記繊維層の目付が、30g/m2以上100g/m2以下であり、
前記繊維層の厚さに対する前記繊維層含有貼付シートの厚さの増加量が、10%以下である
繊維層含有貼付シートの製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、繊維層含有貼付シート、および、繊維層含有貼付シートに関する。
【背景技術】
【0002】
激しい運動に伴い生じる衣服などとの摩擦から乳頭を保護する乳頭保護部材の一例は、離型性シート、支持体シート、粘着剤層、および、粘着性ゲル体を備えている。粘着性ゲル体は、粘着性ゲル体の内部に繊維層が広がるように繊維層を覆い、かつ、粘着剤層の一部に位置している。粘着剤層は、支持体シートの一面に支持され、かつ、離型性シートに貼り付けられている。これにより、離型性シートと粘着剤層とが粘着性ゲル体を覆っている。乳頭保護部材の使用時には、粘着剤層から離型性シートが剥がされた後、粘着性ゲル体が乳頭に位置するように粘着剤層が乳房に貼り付けられる(例えば、特許文献1を参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、乳頭は、激しい運動を行った際に限らず、常に下着や衣服に接触することにより外部から刺激を受ける。外部からの刺激は乳頭の乾燥を生じせ、これによって乳頭痛を発症する女性は多い。乳頭の手当を行うためには、クリームなどの薬剤を用いて乳頭を保湿する必要がある。しかしながら、乳頭は必ず下着や衣服に接触するから、乳頭を薬剤によって保湿した状態に維持することが難しい。そこで、保湿を可能とし、かつ、乳頭からの剥がれを抑えることで、下着や衣服の擦れから生じる刺激を抑えることが可能な貼付シートが求められている。
【課題を解決するための手段】
【0005】
上記課題を解決するための繊維層含有貼付シートは、繊維層と、基材層と、前記繊維層と前記基材層との間に位置し、前記繊維層に接する粘着層と、を備える。前記繊維層の破断時の伸び量が、15mm以上90mm以下であり、前記繊維層の破断時の伸び量に対する繊維層含有貼付シートの破断時の伸び量の百分率が、120%以上700%以下である。前記繊維層の目付が、30g/m2以上100g/m2以下であり、前記繊維層の厚さに対する前記繊維層含有貼付シートの厚さの増加量が、10%以下である。水に浸漬した前記繊維層含有貼付シートの初期重量が第1重量であり、前記第1重量の測定から90分経過した時点における前記繊維層含有貼付シートの重量が第2重量であり、下記式(1)によって算出される前記第2重量を測定した時点での前記繊維層含有貼付シートの保水力が、40%以上80%以下である。
{(W2-W3)/(W1-W3)}×100 … 式(1)
式(1)において、W1は前記第1重量であり、W2は前記第2重量であり、W3は前記繊維層含有貼付シートの乾燥重量である。
【0006】
上記繊維層含有貼付シートによれば、繊維層に加えて粘着層と基材層とを含む繊維層含有貼付シートの伸び量が繊維層の伸び量に対して120%以上であり、かつ、繊維層に対する厚さの増加量が10%以下であるから、厚さの増加に伴う追従性の低下を抑え、かつ、繊維層含有貼付シートを伸びやすくすることが可能である。また、上記繊維層含有貼付シートによれば、繊維層含有貼付シートが高い保水力を有する。それゆえに、保水した繊維層含有貼付シートが貼付対象に貼り付けられることによって、貼付対象を保湿することが可能である。
【0007】
上記繊維層含有貼付シートにおいて、前記繊維層において、前記粘着層に接する面とは反対側の面にウレタンコート層をさらに備えてもよい。この繊維層含有貼付シートによれば、繊維層含有貼付シートの厚さ方向において、ウレタンコート層の保水力に対して基材層の保水力が高くなるような保水力の勾配を形成することが可能である。
【0008】
上記繊維層含有貼付シートにおいて、前記第2重量は、前記基材層から蒸散させた場合における前記繊維層含有貼付シートの重量であり、前記ウレタンコート層から蒸散させた場合において、前記第1重量の測定から90分経過した時点における前記繊維層含有貼付シートの重量が第4重量であり、前記式(1)によって算出される保水力が第1保水力であり、下記式(2)によって算出される前記第4重量を測定した時点での前記繊維層含有貼付シートの保水力が第2保水力であり、前記第1保水力から前記第2保水力を減算した差分値が、20%以上70%以下であってもよい。
{(W4-W3)/(W1-W3)}×100 … 式(2)
式(2)において、W4は前記第4重量である。
【0009】
上記繊維層含有貼付シートによれば、ウレタンコート層を貼付対象に接触させた場合に、ウレタンコート層から貼付対象に向けた水分の移行に伴って、繊維層含有貼付シートにおいて保持された水分がウレタンコート層に向けて移行する実効性を高めることが可能である。
【0010】
上記繊維層含有貼付シートにおいて、前記基材層が、ポリウレタン樹脂を含んでもよい。この繊維層含有貼付シートによれば、基材層に作用する力が小さくとも基材層がよく伸びるから、基材層を含む繊維層含有貼付シートもより伸びやすくなる。
【0011】
上記繊維層含有貼付シートにおいて、前記繊維層は、織物、編み物、不織布、および、紙から構成される群から選択されるいずれかであり、前記繊維層は、天然繊維または合成繊維から形成されてもよい。この繊維層含有貼付シートによれば、繊維層が空隙を含むことが可能であるから、繊維層は空隙中に水分を保持することが可能である。
【0012】
上記課題を解決するための繊維層含有貼付シートは、第1支持層に第1塗液を塗工した後に、前記第1塗液を乾燥させることによって基材層を形成すること、第2支持層に第2塗液を塗工した後に、前記第2塗液を乾燥させることによって粘着層を形成すること、および、繊維層と前記基材層との間に前記粘着層が位置するように、前記繊維層、前記基材層、および、前記粘着層を重ねた状態で、前記基材層と前記粘着層とを加熱することによって前記基材層と前記粘着層とをエージングすること、を含む。前記繊維層の破断時の伸び量が、15mm以上90mm以下であり、前記繊維層の破断時の伸び量に対する繊維層含有貼付シートの破断時の伸び量の百分率が、120%以上700%以下である。前記繊維層の目付が、30g/m2以上100g/m2以下であり、前記繊維層の厚さに対する前記繊維層含有貼付シートの厚さの増加量が、10%以下である。
【0013】
上記繊維層含有貼付シートの製造方法によれば、繊維層に粘着層を重ねた状態で基材層および粘着層をエージングするから、吸水時に粘着層が繊維層から剥がれることを抑える程度に繊維層と粘着層との間の密着性を高めることが可能である。また、粘着層を介して乾燥後の基材層を繊維層に積層するから、基材層が繊維層に浸透しすぎることが抑えられ、結果として、繊維層含有貼付シートが高い保水力を有することが可能である。
【発明の効果】
【0014】
上記繊維層含有貼付シート、および、繊維層含有貼付シートの製造方法によれば、貼付対象に対する繊維層含有貼付シートの追従性の低下を抑え、かつ、繊維層含有貼付シートを伸びやすくすることができる。これによって、繊維層含有貼付シートが貼付対象から剥がれることが抑えられる。また、繊維層含有貼付シートが高い保水力を有することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】
図1は、第1実施形態の繊維層含有貼付シートを示す断面図である。
【
図2】
図2は、
図1が示す繊維層含有貼付シートの製造方法が含む一工程を示す工程図である。
【
図3】
図3は、
図1が示す繊維層含有貼付シートの製造方法が含む一工程を示す工程図である。
【
図4】
図4は、
図1が示す繊維層含有貼付シートの製造方法が含む一工程を示す工程図である。
【
図5】
図5は、
図1が示す繊維層含有貼付シートの製造方法が含む一工程を示す工程図である。
【
図6】
図6は、第2実施形態の繊維層含有貼付シートを示す断面図である。
【
図7】
図7は、
図6が示す繊維層含有貼付シートの製造方法が含む一工程を示す工程図である。
【
図8】
図8は、
図6が示す繊維層含有貼付シートの製造方法が含む一工程を示す工程図である。
【
図9】
図9は、実施例および比較例の繊維層含有貼付シートの評価結果を示す表である。
【
図10】
図10は、繊維層含有貼付シートの繊維層と対向する視点から見た繊維層含有貼付シートを示す平面図である。
【
図11】
図11は、繊維層含有貼付シートの基材層と対向する視点から見た繊維層含有貼付シートの平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
[第1実施形態]
図1から
図5を参照して、繊維層含有貼付シートの第1実施形態を説明する。
【0017】
[構造]
図1を参照して、繊維層含有貼付シートの構造を説明する。
図1が示すように、繊維層含有貼付シート(以下、貼付シートとも称する)10は、繊維層11、基材層12、および、粘着層13を備えている。粘着層13は、繊維層11と基材層12との間に位置し、かつ、繊維層11に接している。
【0018】
本開示の貼付シート10は、以下の条件1および条件2を満たす。
(条件1)繊維層11の破断時の伸び量が、15mm以上90mm以下であり、繊維層11の破断時の伸び量に対する貼付シート10の破断時の伸び量の百分率が、120%以上700%以下である。
(条件2)繊維層11の目付が、30g/m2以上100g/m2以下であり、繊維層11の厚さに対する貼付シート10の厚さの増加量が、10%以下である。
【0019】
本開示の貼付シート10によれば、貼付シート10が上述の条件1および条件2を満たすから、厚さの増加に伴う追従性の低下を抑え、かつ、貼付シート10を伸びやすくすることが可能である。
【0020】
繊維層11における破断時の伸び量とは、繊維層11単体に対して引張試験を行った場合において、引張試験前の繊維層11の長さに対する、破断時における繊維層11の長さの増加分である。また、貼付シート10における破断時の伸び量とは、貼付シート10に対して引張試験を行った場合において、引張試験前の貼付シート10の長さに対する、破断時における貼付シート10の長さの増加分である。
【0021】
破断時の伸び量を測定する際には、繊維層11および貼付シート10から、JIS K 7127:1999「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に規定される「試験片タイプ5」の形状を有した試験片が切り出される。また、引張試験は、JIS K 7127:1999「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に規定される方法に準拠する。また、引張試験機の試験速度は、300mm/minに設定される。
【0022】
本開示の貼付シート10は、上述した条件1を満たすから、繊維層11における破断時の伸び量が伸び量E11であり、かつ、貼付シート10における破断時の伸び量が伸び量E10である場合に、貼付シート10は以下の式(4)を満たす。
400≦(E10/E11)×100≦700 … 式(4)
【0023】
粘着層13は、第1部分13Aと第2部分13Bとを含んでいる。第1部分13Aは、繊維層11の表面上に位置する部分である。第2部分13Bは、繊維層11が有する空隙内に浸潤した部分である。第2部分13Bの厚さT13、すなわち繊維層11のなかで粘着層13の一部が浸潤した部分の厚さは、例えば、繊維層11の厚さにおける2%以上9%以下であってよい。なお、繊維層11の厚さに対する粘着層13の一部が浸潤した部分の厚さの百分率が含浸率である。
【0024】
本実施形態では、粘着層13は、繊維層11および基材層12に接している。粘着層13と基材層12との間には、印刷層が位置してもよい。印刷層は、基材層12のうちで印刷層に接する面の全体に位置してもよいし、一部のみに位置してもよい。基材層12のうちで印刷層に接する面の全体に印刷層が位置する場合には、印刷層が粘着層13に接している。これに対して、基材層12のうちで印刷層に接する面の一部のみに印刷層が位置する場合には、印刷層が粘着層13に接し、かつ、基材層12のうちで印刷層に覆われていない部分が粘着層13に接する。
【0025】
繊維層11の目付とは、単位面積である1m2当たりの重さであって、繊維層11における繊維の密度を示す。繊維層11は、目付が小さいほど繊維が粗である傾向を有し、かつ、伸びにくい傾向を有する。反対に、繊維層11は、目付が大きいほど繊維が密である傾向を有し、かつ、伸びやすい傾向を有する。また、繊維層11は、目付が小さいほど保水力が小さい傾向を有し、かつ、目付が大きいほど保水力が大きい傾向を有する。繊維層11は、目付が小さいほど薄い傾向を有し、かつ、目付が大きいほど厚い傾向を有する。
【0026】
本開示の貼付シート10は、上述した条件2を満たすから、繊維層11の厚さが厚さT11であり、貼付シート10の厚さが厚さT10である場合に、貼付シート10は以下の式(5)を満たす。
(T10/T11)×100≦110 …式(5)
【0027】
なお、繊維層11の厚さに対する貼付シート10の厚さの減少量は10%以下であってよい。これにより、繊維層11と粘着層13との境界における空隙の減少が抑えられるから、貼付シート10の吸水力が低下することが抑えられる。すなわち、繊維層11の厚さに対する貼付シート10の厚さの変化量は10%以下であってよい。
【0028】
繊維層11は、織物、編み物、不織布、および、紙から構成される群から選択されるいずれかである。繊維層は、天然繊維または合成繊維から形成される。これにより、繊維層11が空隙を含むことが可能であるから、繊維層11は空隙中に水分を保持することが可能である。繊維層11の厚さは、例えば20μm以上400μm以下であってよい。
【0029】
基材層12は、合成樹脂から形成される。基材層12は、ポリウレタン樹脂を含むことが好ましい。これにより、基材層12に作用する力が小さくとも基材層12がよく伸びるから、基材層12を含む貼付シート10もより伸びやすくなる。基材層12の厚さは、例えば3μm以上12μm以下であってよく、5μm以上10μm以下であることが好ましい。なお、基材層12を形成する合成樹脂は、例えば、ポリフッ化ビニリデン樹脂、エチレン‐酢酸ビニル共重合樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリエチレンテレフタレート樹脂などであってもよい。
【0030】
粘着層13は、合成樹脂製の粘着剤から形成される。粘着剤は、ウレタン系粘着材剤であることが好ましい。粘着剤は、例えばアクリル系粘着剤、シリコーン系粘着剤などであってもよい。粘着層13の厚さは、例えば3μm以上15μm以下であってよく、5μm以上10μm以下であることが好ましい。
【0031】
貼付シート10が広がる平面と対向する視点から見て、貼付シート10は任意の形状を有してよい。例えば、貼付シート10は、多角形状を有してもよいし、円形状を有してもよい。貼付シート10は、貼付シート10の貼付対象に応じた形状を有してよい。例えば、貼付シート10の貼付対象がヒトの乳頭である場合には、貼付シート10は乳頭のほぼ全体を覆うことが可能な形状を有してよい。
【0032】
貼付シート10は、以下の条件3を満たす。
(条件3)貼付シート10を水に浸漬した場合に、繊維層11が粘着層13から剥離しない。
【0033】
すなわち、貼付シート10において、貼付シート10が水に接触し、かつ、繊維層11が吸水した状態であっても繊維層11が粘着層13から剥がれない程度に、繊維層11と粘着層13との間の密着性が高い。
【0034】
このように、貼付シート10によれば、貼付シート10を水に浸漬しても繊維層11が粘着層13から剥離しないから、貼付シート10に水を吸わせた状態で貼付シート10を貼付対象に貼り付けることが可能である。なお、繊維層11が粘着層13から剥がれるか否かを評価する際には、貼付シート10の全体を水中に浸漬させた状態で10分間静置した時点において、繊維層11が粘着層13から剥がれたか否かを判断する。
【0035】
貼付シート10は、以下の条件4を満たす。
(条件4)下記式(1)によって算出される第2重量を測定した時点での貼付シート10の保水力が、40%以上80%以下である。
{(W2-W3)/(W1-W3)}×100 … 式(1)
【0036】
なお、式(1)において、第1重量W1は、水に浸漬した貼付シート10の初期重量である。第2重量W2は、第1重量W1の測定から90分経過した時点における貼付シート10の重量である。第3重量W3は、貼付シート10の乾燥重量である。貼付シート10が条件4を満たすから、貼付シート10が高い保水力を有する。それゆえに、保水した貼付シート10が貼付対象に貼り付けられることによって、貼付対象を保湿することが可能である。
【0037】
なお、貼付シート10の保水力を評価する際には、まず、繊維層11が粘着層13から剥がれるか否かを評価する際と同様に、貼付シート10の全体を水中に浸漬させた状態で1分間静置する。これにより、貼付シート10における吸水量を飽和させる。次いで、貼付シート10を水中から取り出す。続いて、貼付シート10が含む一対の面のうち、基材層12が含む面からの蒸散が可能である一方で、繊維層11が含む面からの蒸散が不可能である状態で、大気中に貼付シート10を静置する。
【0038】
本開示の貼付シート10では、基材層12が粘着層13によって繊維層11の片面に貼り付けられている。そのため、繊維層11に含まれる水分の蒸散は基材層12によって抑えられる。それゆえに、貼付シート10の保水力が、繊維層11の保水力に比べて高められる。
【0039】
[製造方法]
図2から
図5を参照して、繊維層含有貼付シートの製造方法を説明する。
貼付シート10の製造方法は、基材層を形成すること、粘着層を形成すること、および、基材層と粘着層とをエージングすることを含む。基材層を形成することでは、第1支持層に第1塗液を塗工した後に、第1塗液を乾燥させることによって基材層を形成する。粘着層を形成することでは、第2支持層に第2塗液を塗工した後に、第2塗液を乾燥させることによって粘着層を形成する。基材層と粘着層とをエージングすることでは、繊維層と基材層との間に粘着層が位置するように、繊維層、基材層、および、粘着層を重ねた状態で、基材層と粘着層とを加熱することによって基材層と粘着層とをエージングする。これにより、上述した条件1および条件2を満たす貼付シート10を製造する。
【0040】
こうした貼付シート10の製造方法によれば、繊維層に粘着層を重ねた状態で基材層および粘着層をエージングするから、吸水時に粘着層が繊維層から剥がれることを抑える程度に繊維層と粘着層との間の密着性を高めることが可能である。以下、図面を参照して貼付シート10の製造方法の一例を説明する。
【0041】
図2が示すように、貼付シート10を製造する際には、まず、第1支持層21を準備する。第1支持層21は、例えば合成樹脂製のシートである。第1支持層21が有する一対の面のうち、一方の面が易剥離性を有することが好ましい。易剥離性は、例えばブラスト処理によって第1支持層21に付与される。
【0042】
次いで、第1支持層21における一方の面に第1塗液を塗工し、続いて、第1塗液を乾燥させることによって基材層112を形成する。第1塗液は、基材層12を形成するための材料を含んでいる。例えば、基材層12がポリウレタン樹脂を含む場合には、第1塗液がポリウレタン樹脂を含む。第1支持層21が易剥離性を有する面を備える場合には、第1支持層21のうち、易剥離性を有した面に第1塗液を塗工する。
【0043】
図3が示すように、第2支持層22を準備する。第2支持層22は、第1支持層21と同様に、例えば合成樹脂製のシートである。第2支持層22が有する一対の面のうち、一方の面が易剥離性を有することが好ましい。第2支持層22が有する易剥離性は、第1支持層21が有する易剥離性よりも高いことが好ましい。第2支持層22は、例えば離型層を有し、これによって第2支持層22が易剥離性を有する。離型層は、例えばシリコーン樹脂から形成されてよい。
【0044】
次いで、第2支持層22における一方の面に第2塗液を塗工し、続いて、第2塗液を乾燥させることによって粘着層113を形成する。第2塗液は、粘着層113を形成するための材料を含む。第2塗液は、各種の粘着剤であってよい。例えば、粘着層113がポリウレタン樹脂を含む場合には、第2塗液はウレタン系粘着剤であってよい。
【0045】
図4が示すように、粘着層113に対して基材層112を貼り合わせる。これにより、粘着層113と基材層112との積層体が、第2支持層22と第1支持層21とに挟まれる。
【0046】
図5が示すように、繊維層111を準備する。そして、粘着層113から第2支持層22を剥がした後に、繊維層111が有する一方の面に粘着層113を貼り合わせる。続いて、粘着層113と基材層112との積層体が繊維層11と第1支持層21とに挟まれた状態で粘着層113と基材層112とをエージングする。この際に、粘着層113と基材層112との積層体が、繊維層11および第1支持層21とともに加熱される。粘着層113、基材層112、繊維層111、および、第1支持層21は、例えば25℃以上80℃以下の温度に加熱され、かつ、加熱された状態が12時間以上96時間以下の間にわたって維持される。
【0047】
このように、粘着層113と繊維層111とが接した状態で粘着層113と基材層112とがエージングされるから、粘着層113の一部が繊維層111の一部に浸潤する。これにより、粘着層113と繊維層111との密着性が高められるから、貼付シート10を水に浸漬させても、繊維層111が粘着層113から剥がれない。一方で、第2塗液を乾燥させることによって形成された粘着層113を繊維層111に接触させているから、粘着層113のエージングによって繊維層111に対する粘着層113の過剰な浸潤が抑えられる。そのため、繊維層111の保水力が低下することが抑えられる。
【0048】
繊維層111、粘着層113、基材層112、および、第1支持層21を備える積層体の一部を所定の形状を有するように切り出し、かつ、第1支持層21を基材層112から剥がすことによって、貼付シート10を得ることができる。貼付シート10の繊維層11は繊維層111の一部であり、貼付シート10の粘着層13は粘着層113の一部であり、かつ、貼付シート10の基材層12は基材層112の一部である。
【0049】
なお、上述した製造方法では、繊維層111、粘着層113、および、基材層112を含む積層体を形成した後に、当該積層体から所望の形状を有した貼付シート10を複数切り出す例を説明している。これに限らず、貼付シート10は、貼付シート10が有する形状に応じた形状を有する各層11,12,13を上述した方法によって積層することで製造されてもよい。この場合には、貼付シート10を切り出す工程が省略される。
【0050】
以上説明したように、繊維層含有貼付シートの第1実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(1‐1)貼付シート10が上述の条件1および条件2を満たすから、厚さの増加に伴う追従性の低下を抑え、かつ、貼付シート10を伸びやすくすることが可能である。
【0051】
(1‐2)貼付シート10によれば、貼付シート10を水に浸漬しても繊維層11が粘着層13から剥離しないから、貼付シート10に水を吸わせた状態で貼付シート10を貼付対象に貼り付けることが可能である。
【0052】
(1‐3)貼付シート10が条件4を満たすから、貼付シート10が高い保水力を有する。
(1‐4)繊維層11が空隙を含むことが可能であるから、繊維層11は空隙中に水分を保持することが可能である。
【0053】
(1‐5)基材層12に作用する力が小さくとも基材層12がよく伸びるから、基材層12を含む貼付シート10もより伸びやすくなる。
(1‐6)繊維層111に粘着層113を重ねた状態で基材層112および粘着層113をエージングするから、吸水時に粘着層113が繊維層111から剥がれることを抑える程度に繊維層111と粘着層113との間の密着性を高めることが可能である。
【0054】
[第2実施形態]
図6から
図8を参照して、繊維層含有貼付シートの第2実施形態を説明する。
[構造]
図6を参照して、繊維層含有貼付シートの構造を説明する。第2実施形態の繊維層含有貼付シートでは、第1実施形態の繊維層含有貼付シートに比べて、繊維層含有貼付シートがウレタンコート層をさらに備える点が異なっている。そのため以下では、ウレタンコート層に関わる事項を説明する一方で、第2実施形態の繊維層含有貼付シートにおいて第1実施形態の繊維層含有貼付シートと共通する事項の説明を省略する。
【0055】
図6が示すように、繊維層含有貼付シート(以下、貼付シートとも称する)30は、繊維層11において、粘着層13に接する面とは反対側の面にウレタンコート層34を備えている。これにより、貼付シート30の厚さ方向において、ウレタンコート層34の保水力に対して基材層12の保水力が高くなるような保水力の勾配を形成することが可能である。
【0056】
ウレタンコート層34は、第3塗液を用いて形成された乾燥前の塗膜が繊維層11に貼り合わせられた後に、繊維層11上において乾燥されることによって形成される。そのため、繊維層11に対してウレタンコート層34が浸潤した度合いは、繊維層11に対して粘着層13が浸潤した度合いよりも大きい。ウレタンコート層34は、第1部分34Aと第2部分34Bとを含んでいる。第1部分34Aは、繊維層11の表面上に位置する部分である。第2部分34Bは、繊維層11に浸潤した部分である。ウレタンコート層34を形成するための第3塗液は、粘着層113よりも粘性が低い状態で繊維層11に重ねられる。そのため、ウレタンコート層34の第2部分34Bは、繊維層11が含む繊維に吸収された部分である。ウレタンコート層34の第2部分34Bの厚さT34、すなわち繊維層11のなかでウレタンコート層34の一部が浸潤した部分の厚さは、粘着層13の第2部分13Bの厚さよりも厚い。
【0057】
ウレタンコート層34と対向する視点から見て、ウレタンコート層34の表面は、繊維層11の表面を構成する繊維に追従した凹凸を有している。これに対して、基材層12と対向する視点から見て、基材層12の表面は繊維層11の表面を構成する繊維に追従した凹凸は有さない。すなわち、基材層12の表面はほぼ平坦である。
【0058】
本実施形態の貼付シート30は、第1実施形態の貼付シート10と同様に、上述した条件1および条件2を満たす。また、貼付シート30は、上述した条件3および条件4を満たす。貼付シート30はさらに以下の条件5を満たすことが好ましい。
【0059】
(条件5)第1保水力から第2保水力を減算した差分値が、20%以上70%以下である。第1保水力は上述したの式(1)によって算出され、かつ、第2保水力は、以下の式(2)によって算出される。
{(W2-W3)/(W1-W3)}×100 … 式(1)
{(W4-W3)/(W1-W3)}×100 … 式(2)
【0060】
式(2)および式(3)において、第3重量W3は、貼付シート30の乾燥重量である。第1重量W1は、水に浸漬した貼付シート30の初期重量である。式(2)において、第2重量W2は、基材層12から蒸散させた場合において、第1重量W1の測定から90分経過した時点における貼付シート30の重量である。式(2)において、第4重量W4は、ウレタンコート層34から蒸散させた場合において、第1重量W1の測定から90分経過した時点における貼付シート30の重量である。第1保水力は、第2重量W2を測定した時点での貼付シート30の保水力である。第2保水力は、第4重量W4を測定した時点での貼付シート30の保水力である。
【0061】
貼付シート30が条件5を満たす場合には、ウレタンコート層34を貼付対象に接触させた場合に、ウレタンコート層34から貼付対象に向けた水分の移行に伴って、貼付シート30において保持された水分がウレタンコート層34に向けて移行する実効性を高めることが可能である。
【0062】
なお、貼付シート30の第1保水力および第2保水力を評価する際には、まず、貼付シート30の全体を水中に浸漬させた状態で1分間静置する。これにより、貼付シート30における吸水量を飽和させる。次いで、貼付シート30を水中から取り出す。続いて、第1保水力を評価する際には、貼付シート30が含む一対の面のうち、基材層12が含む面からの蒸散が可能である一方で、ウレタンコート層34が含む面からの蒸散が不可能である状態で、大気中に貼付シート30を静置する。これに対して、第2保水力を評価する際には、貼付シート30が含む一対の面のうち、ウレタンコート層34が含む面からの蒸散が可能である一方で、基材層12が含む面からの蒸散が不可能である状態で、大気中に貼付シート30を静置する。
【0063】
本実施形態の貼付シート30では、繊維層11の一方の面には、繊維層11の空隙に浸潤した粘着層13によってシート状の基材層12が貼り付けられているため、基材層12からの蒸散が抑えられる。これに対して、繊維層11の他方の面では、繊維層11を構成する繊維内にウレタンコート層34が浸透しているから、保水性が低められている。これにより、ウレタンコート層34からの蒸散が生じやすい。
【0064】
[製造方法]
図7および
図8を参照して、繊維層含有貼付シートの製造方法を説明する。本実施形態の貼付シート30は、第1実施形態の製造方法において
図2から
図5を参照して先に説明した工程を経た後に、
図7および
図8を参照して以下に説明する工程を経て製造される。そのため、第1実施形態の製造方法とは異なる工程に関わる事項を説明する一方で、第1実施形態の製造方法と共通する工程の説明を省略する。
【0065】
図7が示すように、第3支持層23を準備する。第3支持層23は、例えば合成樹脂製のシートである。第3支持層23が有する一対の面のうち、一方の面が易剥離性を有することが好ましい。易剥離性は、例えばブラスト処理によって第3支持層23に付与される。第3支持層23には、乾燥前の第3塗液が塗工されるのみであるから、第3支持層23が有する易剥離性は、上述した第1支持層21が有する易剥離性と同程度であってよい。
【0066】
次いで、第3支持層23における一方の面に第3塗液を塗工する。第3塗液は、ウレタンコート層34を形成するための材料であるポリウレタン樹脂を含んでいる。第3支持層23が易剥離性を有する面を備える場合には、第3支持層23のうち、易剥離性を有した面に第3塗液を塗工する。これにより、第3支持層23上にポリウレタン樹脂を含む塗膜114を形成する。
【0067】
図8が示すように、繊維層111が有する一対の面のうち、粘着層113が貼り合わせられた面とは反対側の面に、塗膜114を貼り合わせた後、繊維層111上で塗膜114を乾燥させる。塗膜114を繊維層111に貼り合わせる以前に塗膜114を乾燥させていないから、塗膜114を乾燥させている間に、塗膜114を構成する塗液が繊維層111を構成する繊維に浸透する。これにより、ウレタンコート層を形成する。
【0068】
次いで、ウレタンコート層、繊維層111、粘着層113、および、基材層112を含む積層体の一部を所定の形状を有するように切り出し、かつ、第1支持層21を基材層112から剥がすことによって、貼付シート30を得ることができる。
【0069】
なお、貼付シート30は、第1実施形態の製造方法と同様に、貼付シート30が有する形状に応じた形状を有する各層11,12,13,34を上述した方法によって積層することで製造されてもよい。この場合には、貼付シート30を切り出す工程が省略される。
【0070】
以上説明したように、繊維層含有貼付シート、および、繊維層含有貼付シートの製造方法の第2実施形態によれば、以下に記載の効果を得ることができる。
(2‐1)貼付シート30の厚さ方向において、ウレタンコート層34の保水力に対して基材層12の保水力が高くなるような保水力の勾配を形成することが可能である。
【0071】
(2‐2)貼付シート30が条件5を満たす場合には、ウレタンコート層34を貼付対象に接触させた場合に、ウレタンコート層34から貼付対象に向けた水分の移行に伴って、貼付シート30において保持された水分がウレタンコート層34に向けて移行する実効性を高めることが可能である。
【0072】
[実施例]
図9を参照して実施例および比較例を説明する。
[実施例1]
第1支持層として、厚さ方向において対向する一対の面のうち、一方の面がマット面である二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学(株)製、FOR‐MP)を準備した。そして、第1塗液であるエーテル系ポリオールを含む水性ポリウレタン(三井化学(株)製、タケラックWS‐6021)をマット面に塗工した後、第1塗液を乾燥させた。これにより、5μmの厚さを有した塗膜を得た。その後、25℃において48時間にわたって塗膜をエージングさせることによって基材層を得た。
【0073】
第2支持層として、PETフィルムと離型層とから構成される離型フィルム(東レフィルム加工(株)製、セラピールWZ)を準備した。また、主剤であるウレタン系粘着剤(トーヨーケム(株)製、SP‐205)と、硬化剤(トーヨーケム(株)製、T‐501B)を準備した。主剤に硬化剤を添加した後、主剤と硬化剤との混合物を攪拌することによって、粘着層を形成するための第2塗液を得た。そして、離型層に第2塗液を塗工した後に第2塗液を乾燥させることによって、5μmの厚さを有した粘着層を得た。続いて、粘着層を基材層に貼り合わせることによって、粘着層および基材層が第1支持層と第2支持層とによって挟まれた第1積層体を得た。
【0074】
繊維層として、目付が100g/m2である不織布(旭化成(株)製、ベンリーゼNE107)を準備した。次いで、上述した第1積層体から第2支持層を剥がした後に、粘着層を繊維層に貼り合わせることによって、繊維層、粘着層、基材層、および、第1支持層が記載の順に積層された第2積層体を得た。
【0075】
次いで、50℃において72時間にわたって第2積層体をエージングさせた。その後、第2積層体の基材層から第1支持層を剥がすことによって、実施例1の繊維層含有貼付シートを得た。
【0076】
[実施例2]
実施例1において、乾燥後における粘着層の厚さを15μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例2の繊維層含有貼付シートを得た。
【0077】
[実施例3]
第3支持層として、厚さ方向において対向する一対の面のうち、一方の面がマット面である二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学(株)製、FOR‐MP)を準備した。次いで、第3塗液であるエーテル系ポリオールを含む水性ポリウレタン(三井化学(株)製、タケラックWS‐6021)をマット面に塗工し、これによって塗膜を形成した。この際に、第1塗液と同じ量の塗液をマット面に塗布した。次いで、実施例1と同様の方法によって得られた第2積層体の繊維層に塗膜を貼り合わせた後、塗膜を乾燥させることによって、ウレタンコート層を得た。第2積層体の基材層から第1支持層を剥がすことによって、実施例3の繊維層含有貼付シートを得た。
【0078】
[実施例4]
実施例1において、繊維層を目付が38g/m2である不織布(旭化成(株)製、ベンリーゼSE384)に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例4の繊維層含有貼付シートを得た。
【0079】
[実施例5]
実施例4において、乾燥後における粘着層の厚さを15μmに変更した以外は、実施例4と同様の方法によって、実施例5の繊維層含有貼付シートを得た。
【0080】
[実施例6]
第3支持層として、厚さ方向において対向する一対の面のうち、一方の面がマット面である二軸延伸ポリプロピレン(OPP)フィルム(フタムラ化学(株)製、FOR‐MP)を準備した。次いで、第3塗液であるエーテル系ポリオールを含む水性ポリウレタン(三井化学(株)製、タケラックWS‐6021)をマット面に塗工した。この際に、第1塗液と同じ量の塗液をマット面に塗布した。次いで、実施例4と同様の方法によって得られた第2積層体の繊維層に塗膜を貼り合わせた後、塗膜を乾燥させることによって、ウレタンコート層を得た。第2積層体の基材層から第1支持層を剥がすことによって、実施例6の繊維層含有貼付シートを得た。
【0081】
[実施例7]
実施例2において、繊維層を目付が42g/m2である不織布(三和製紙(株)製、NR71040)に変更した以外は、実施例2と同様の方法によって、実施例7の繊維層含有貼付シートを得た。
【0082】
[実施例8]
実施例1において、繊維層を目付が42g/m2である不織布(三和製紙(株)製、NR71040)に変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、実施例8の繊維層含有貼付シートを得た。
【0083】
[比較例1]
実施例1において用いた繊維層を比較例1の繊維層含有貼付シートとした。
【0084】
[比較例2]
実施例1において、第1支持層に積層された基材層と、第2支持層に積層された粘着層とを50℃において72時間にわたって別々にエージングした後に、粘着層に基材層を貼り合わせた以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例2の繊維層含有貼付シートを得た。
【0085】
[比較例3]
実施例1において、乾燥後における粘着層の厚さを15μmに変更し、かつ、乾燥後の基材層の厚さを15μmに変更した以外は、実施例1と同様の方法によって、比較例3の繊維層含有貼付シートを得た。
【0086】
[比較例4]
繊維層として、目付が100g/m2である不織布(旭化成(株)製、ベンリーゼNE107)を準備した。そして、実施例1と同様に、第1支持層を準備した後、第1塗液であるエーテル系ポリオールを含む水性ポリウレタン(三井化学(株)製、タケラックWS‐6021)をマット面に塗工し、これによって塗膜を形成した。次いで、繊維層における一方の面に塗膜を貼り合わせた。そして、塗膜を乾燥させた後に、乾燥後の塗膜を室温において72時間にわたってエージングすることによって、比較例4の繊維層含有貼付シートを得た。
【0087】
[比較例5]
実施例4において用いた繊維層を比較例5の繊維層含有貼付シートとした。
【0088】
[比較例6]
比較例3において、繊維層を目付が38g/m2である不織布(旭化成(株)製、ベンリーゼSE384)に変更した以外は、比較例3と同様の方法によって、比較例6の繊維層含有貼付シートを得た。
【0089】
[比較例7]
比較例4において、繊維層を目付が38g/m2である不織布(旭化成(株)製、ベンリーゼSE384)に変更した以外は、比較例4と同様の方法によって、比較例7の繊維層含有貼付シートを得た。
【0090】
[比較例8]
実施例4において、第1支持層に積層された基材層と、第2支持層に積層された粘着層とを50℃において72時間にわたって別々にエージングした後に、粘着層に基材層を貼り合わせた以外は、実施例4と同様の方法によって、比較例8の繊維層含有貼付シートを得た。
【0091】
[評価方法]
[破断時の伸び量]
各実施例および各比較例の繊維層および繊維層含有貼付シートについて、以下の方法によって破断時の伸び量を測定した。各実施例および各比較例の繊維層について破断時の伸び量を測定する際には、JIS K 7127:1999「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に規定される「試験片タイプ5」の形状を有した試験片を各繊維層から切り出した。そして、JIS K 7127:1999「プラスチック-引張特性の試験方法-第3部:フィルム及びシートの試験条件」に準拠した引張試験によって、繊維層の破断時における伸び量を測定した。この際に、引張試験機としてオートグラフ試験機((株)島津製作所、オートグラフAGS-X ロードセル1kN)(オートグラフは登録商標)を用い、かつ、試験速度を300mm/minに設定した。
【0092】
また、各実施例および各比較例の繊維層含有貼付シートについて破断時の伸び量を測定する際にも、繊維層における破断時の伸び量を測定する際と同様の方法を用いた。なお、各繊維層および各繊維層含有貼付シートについて、3つの試験片を準備し、かつ、3つの試験片における破断時の伸び量における平均値を各繊維層および各繊維層含有貼付シートにおける破断時の伸び量に設定した。
【0093】
[厚さおよび含浸率]
各実施例および各比較例の繊維層含有貼付シートの端面における厚さを、膜厚計(テスター産業(株)製、TH-104 A型)を用いて測定した。また、繊維層に対する粘着層の含浸率は、マイクロスコープ((株)キーエンス製、VH-Z20W)を用いて以下の方法によって算出した。すなわち、マイクロスコープによる観察時の倍率を200倍に設定した状態で、端面の画像を撮像した。次いで、撮像した画像に対する画像解析によって、繊維層のうちで粘着層が浸潤した厚さを測定し、続いて、端面での含浸率を算出した。
【0094】
[保水力]
[実施例1,2,4,5,7,8、および、比較例1から8]
各実施例および各比較例の繊維層含有貼付シートから30mmの直径を有した円形状の試験片を切り出した。そして、切り出した試験片の乾燥重量を測定した。次いで、水が溜められた水槽中に試験片の全体を1分間にわたって浸漬し、これによって試験片における保水量を飽和させた。次いで、試験片を水槽から取り出した後、保水量が飽和した試験片の重量を初期重量として測定した。続いて、試験片のうち、繊維層をガラス基板に接触させた状態で、90分間にわたって試験片をガラス基板上に静置した。そして、90分が経過した時点における試験片の重量を測定した。なお、繊維層のうち、ガラス基板に接する面からの蒸散は生じないと見なすことができる。
【0095】
各試験片の保水力を以下の式(1)によって算出した。
{(W2-W3)/(W1-W3)}×100 … 式(1)
なお、式(1)において、第1重量W1は試験片の初期重量であり、第2重量W2は90分が経過した時点における試験片の重量であり、第3重量W3は試験片の乾燥重量である。また、試験片における重量の測定には、精密天秤(メトラー・トレド(株)製、XS205DU)を用いた。
【0096】
なお、試験片の保水量を飽和させた時点において粘着層から繊維層が剥がれた場合には、試験例の保水力を測定しなかった。また、伸び量の測定時と同様に、各繊維層含有貼付シートについて3つの試験片を準備し、かつ、3つの試験片における保水力の平均値を各繊維層含有貼付シートの保水力に設定した。
【0097】
[実施例3,6]
各実施例の繊維層含有貼付シートから30mmの直径を有した円形状の試験片を切り出した。そして、切り出した試験への乾燥重量を測定した。次いで、水が溜められた水槽中に試験片の全体を1分間にわたって浸漬し、これによって試験片における保水量を飽和させた後、保水量が飽和した試験片の重量を初期重量として測定した。続いて、試験片のうち、ウレタンコート層をガラス基板に接触させた状態で、90分間にわたって試験片をガラス基板上に静置した。そして、90分が経過した時点における試験片の重量を測定した。なお、ウレタンコート層のうち、ガラス基板に接する面からの蒸散は生じないと見なすことができる。
【0098】
各試験片の第1保水量を以下の式(2)によって算出した。
{(W2-W3)/(W1-W3)}×100 … 式(1)
なお、式(2)において、第3重量W3は試験片の乾燥重量であり、第1重量W1は試験片の初期重量であり、第2重量W2は90分が経過した時点における試験片の重量である。また、試験片における重量の測定には、精密天秤(同上)を用いた。
【0099】
また、水が溜められた水槽中に再び試験片の全体を1分間にわたって浸漬し、これによって試験片における保水量を飽和させた後に、保水量が飽和した試験片の重量を初期重量として測定した。続いて、試験片のうち、基材層をガラス基板に接触させた状態で、90分間にわたって試験片をガラス基板上に静置した。そして、90分が経過した時点における試験片の重量を測定した。なお、基材層のうち、ガラス基板に接する面からの蒸散は生じないと見なすことができる。
【0100】
各試験片の第2保水量を以下の式(2)によって算出した。
{(W4-W3)/(W1-W3)}×100 … 式(3)
なお、式(3)において、第3重量W3は試験片の乾燥重量であり、第1重量W1は試験片の初期重量であり、第4重量W4は90分が経過した時点における試験片の重量である。また、試験片における重量の測定には、精密天秤(同上)を用いた。
【0101】
なお、伸び量の測定時と同様に、各繊維層含有貼付シートについて3つの試験片を準備し、かつ、3つの試験片における保水力の平均値を各繊維層含有貼付シートの保水力に設定した。
【0102】
[使用感]
各実施例および各比較例の繊維層含有貼付シートについて、使用感における以下の3つの項目を評価した。繊維層含有貼付シートの使用感を評価する際には、目付が同一である繊維層のみから構成される繊維層含有貼付シートを評価の基準に設定した。
【0103】
(項目1)伸びやすさ
(項目2)貼付対象に対する追従性
(項目3)水分保持の継続性
【0104】
項目1では、繊維層含有貼付シートの伸びやすさを以下の2段階で評価した。なお、項目1を評価する際には、短辺の長さが5cmであり、かつ、長辺の長さが15cmである試験片を各実施例および各比較例の繊維層含有貼付シートから切り出した。そして、試験片における一方の短辺を左手で把持し、かつ、他方の短辺を右手で把持した状態で、試験片を長辺が伸びる方向に伸ばした。
【0105】
○ 繊維層を伸ばす際と同等の力で、繊維層よりも大きく伸ばすことが可能である。
× 繊維層と同程度にしかのびない。
【0106】
項目2では、繊維層含有貼付シートの貼付対象に対する追従性を以下の2段階で評価した。なお、項目2を評価する際には、ヒトの乳頭を覆うことが可能な形状を有し、かつ、70mm2の面積を有した試験片を各実施例および各比較例の繊維層含有貼付シートから切り出した。そして、乾燥した状態の試験片を用いてヒト模型の乳房を覆った際の使用感を評価した。
【0107】
○ 乳頭の凹凸に対して繊維層と同程度に試験片が追従する。
× 乳頭の凹凸に対する浮きが繊維層よりも大きい。
【0108】
項目3では、繊維層含有貼付シートにおける水分保持の継続性を以下の2段階で評価した。なお、項目3を評価する際には、ヒトの乳頭を覆うことが可能な形状を有し、かつ、70mm2の面積を有した試験片を各実施例および各比較例の繊維層含有貼付シートから切り出した。そして、各試験片の繊維層あるいはウレタンコート層から試験片に水を含浸させ、その後、試験片を手で持ちあげた際に液だれが生じなくなるまで試験片を静置した。次いで、試験片の繊維層あるいはウレタンコート層をヒト模型の乳房に貼り付けた状態で15分間静置した後に、試験片の状態を評価した。なお、保水力の評価において繊維層と粘着層との間における剥離が認められた繊維層含有貼付シートについては、項目3の評価を行うことなく評価結果を「-」に設定した。
【0109】
○ 繊維層に比べて湿っている。
× 繊維層と同等に乾燥している、あるいは、繊維層よりも乾燥し、かつ、浮きが発生している。
【0110】
[評価結果]
図9を参照して、各実施例および各比較例の評価結果を説明する。
図9が示すように、破断時の伸び量は、実施例1から実施例3において53mm以上82mm以下の範囲内に含まれ、かつ、比較例1から比較例4において13mm以上85mm以下の範囲内に含まれることが認められた。そして、繊維層における破断時の伸び量に対する繊維層含有貼付シートにおける破断時の伸び量の百分率は、実施例1から実施例3において408%以上631%以下の範囲内に含まれ、かつ、比較例2から比較例4において138%以上654%以下の範囲内に含まれることが認められた。
【0111】
また、破断時の伸び量は、実施例4から実施例8において33mm以上44mm以下の範囲内に含まれ、かつ、比較例5から比較例8において6mm以上39mm以下の範囲内に含まれることが認められた。そして、繊維層における破断時の伸び量に対する繊維層含有貼付シートにおける破断時の伸び量の百分率は、実施例4から実施例8において127%以上700%以下の範囲内に含まれ、かつ、比較例6から8において300%以上650%以下の範囲内に含まれることが認められた。
【0112】
繊維層含有貼付シートの厚さは、実施例1から実施例3において293μm以上304μm以下の範囲内に含まれ、かつ、比較例1から比較例4において288μm以上377μm以下の範囲内に含まれることが認められた。そして、繊維層の厚さに対する繊維層含有貼付シートの厚さの百分率は、実施例1から実施例3において102%以上106%以下の範囲内に含まれ、かつ、比較例2から比較例4において100%以上131%以下の範囲内に含まれることが認められた。
【0113】
繊維層含有貼付シートの厚さは、実施例4から実施例8において168μm以上180μm以下の範囲内に含まれ、かつ、比較例5から比較例8において132μm以上196μm以下であることが認められた。そして、繊維層の厚さに対する繊維層含有貼付シートの厚さの百分率は、実施例4から実施例6において98%以上105%以下の範囲内に含まれることが認められ、かつ、比較例6から8において76%以上113%以下の範囲内に含まれることが認められた。
【0114】
90分後の保水力は、実施例1,2において69%以上73%以下の範囲内に含まれ、かつ、比較例1から比較例4において35%以上74%以下の範囲内に含まれることが認められた。また、実施例3において、90分後の第1保水力が71%であり、90分後の第2保水力が36%であることが認められた。なお、比較例2では、試験片に吸水させた際に繊維層が粘着層から剥がれたため、90分後の保水力を算出していない。
【0115】
90分後の保水力は、実施例4から実施例5において51%以上61%以下の範囲内に含まれ、かつ、比較例5から比較例7において0%以上59%以下の範囲内に含まれることが認められた。また、実施例6において、90分後の第1保水力が51%であり、90分後の第2保水力が5%であることが認められた。また実施例7,8において、90分後の保水力が56%であることが認められた。なお、比較例8では、試験片に吸水させた際に繊維層が粘着層から剥がれたため、90分後の保水力を算出していない。
【0116】
繊維層含有貼付シートの伸びやすさは、実施例1から実施例8、比較例2から4,6から8において「○」であり、比較例1,5において「×」であることが認められた。繊維層含有貼付シートの追従性は、実施例1から比較例1、比較例4,5,7,8において「○」であり、比較例2,3,6において「×」であることが認められた。
【0117】
すなわち、繊維層の伸び量に対する繊維層含有貼付シートの伸び量の百分率が127%以上700%以下の範囲内に含まれ、かつ、繊維層の厚さに対する繊維層含有貼付シートの厚さの増加量が10%以下であることによって、伸びやすさと追従性とを両立することが可能であるといえる。
【0118】
また、ウレタンコート層を備えない繊維層含有貼付シートでは、90分後の保水力が51%以上であることによって、水分保持の継続性が高められるといえる。ウレタンコート層を備える繊維層含有貼付シートでは、90分後の第1保水力が51%以上であることによって、水分保持の継続性が高められるといえる。また、繊維層含有貼付シートの製造において、粘着層を繊維層上に配置した状態で加熱を伴う粘着層および基材層のエージングを行うことによって、粘着層と繊維層との密着性を高め、これによって繊維層含有貼付シートの耐水性が高まることが認められた。
【0119】
[変更例]
上述した繊維層含有貼付シートは、以下のように変更して実施することができる。
[平面構造]
・
図10が示すように、第1実施形態の貼付シート10では、繊維層11と対向する視点から見て、繊維層11が粘着層13よりも小さく、かつ、繊維層11が粘着層13内に位置してもよい。
図10が示す例では、繊維層11および粘着層13の両方が四角形状を有し、かつ、繊維層11は粘着層13と略相似な形状を有している。繊維層11と対向する視点から見て、基材層12は粘着層13外にはみ出していない。
【0120】
図11が示すように、貼付シート10では、基材層12と対向する視点から見て、基材層12は四角形状を有している。基材層12と対向する視点から見て、基材層12に接する粘着層13が視認されないから、基材層12は粘着層13と同じ形状かつ同じ大きさを有している。
【0121】
このように、貼付シート10では、基材層12が粘着層13と同じ形状かつ同じ大きさを有する一方で、繊維層11が粘着層13よりも小さい。これにより、貼付シート10を貼付対象に貼り付けた際に、粘着層13のうちで繊維層11外に位置する部分が貼付対象に接するから、貼付シート10が貼付対象から剥がれにくくなる。これに対して、粘着層13の全体が基材層12に覆われているから、粘着層13の一部に異物が付着することが抑えられる。
【0122】
繊維層11、基材層12、および、粘着層13は、互いに同一の形状を有してもよいし、1つの層が有する形状が、他の2つの層が有する形状の少なくとも一方と異なっていてもよい。各層が有する形状は、四角形以外の多角形状でもよいし、円形状でもよい。
【0123】
なお、第2実施形態の貼付シート30においても、第1実施形態の貼付シート10と同様に、基材層12が粘着層13と同じ形状かつ同じ大きさを有する一方で、繊維層11が粘着層13よりも小さくてもよい。
【0124】
・各繊維層含有貼付シート10,30において、繊維層11、基材層12、および、粘着層13のすべてが、同じ形状かつ同じ大きさを有してもよい。
【符号の説明】
【0125】
10,30…繊維層含有貼付シート
11…繊維層
12…基材層
13…粘着層
21…第1支持層
22…第2支持層
23…第3支持層
34…ウレタンコート層