IP Force 特許公報掲載プロジェクト 2022.1.31 β版

知財求人 - 知財ポータルサイト「IP Force」

▶ 株式会社モノクロームの特許一覧 ▶ 株式会社カナメの特許一覧

特開2024-112059バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法
<>
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図1
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図2
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図3
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図4
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図5
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図6
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図7
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図8
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図9
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図10
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図11
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図12
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図13
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図14
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図15
  • 特開-バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法 図16
< >
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112059
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法
(51)【国際特許分類】
   E04D 3/35 20060101AFI20240813BHJP
   E04D 3/40 20060101ALI20240813BHJP
   E04D 13/18 20180101ALI20240813BHJP
   H02S 20/26 20140101ALI20240813BHJP
   H02S 20/23 20140101ALI20240813BHJP
   H02S 40/34 20140101ALI20240813BHJP
【FI】
E04D3/35 F
E04D3/40 V ETD
E04D13/18
H02S20/26
H02S20/23 Z
H02S40/34
【審査請求】未請求
【請求項の数】9
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016890
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】522041145
【氏名又は名称】株式会社モノクローム
(71)【出願人】
【識別番号】000129079
【氏名又は名称】株式会社カナメ
(74)【代理人】
【識別番号】100099759
【弁理士】
【氏名又は名称】青木 篤
(74)【代理人】
【識別番号】100123582
【弁理士】
【氏名又は名称】三橋 真二
(74)【代理人】
【識別番号】100146466
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 正俊
(74)【代理人】
【識別番号】100202418
【弁理士】
【氏名又は名称】河原 肇
(74)【代理人】
【識別番号】100148253
【弁理士】
【氏名又は名称】今枝 弘充
(72)【発明者】
【氏名】丸茂 健太郎
(72)【発明者】
【氏名】福川 祐介
(72)【発明者】
【氏名】乾 岳志
(72)【発明者】
【氏名】鈴木 和浩
(72)【発明者】
【氏名】矢吹 真哉
【テーマコード(参考)】
2E108
5F151
5F251
【Fターム(参考)】
2E108AA02
2E108AZ01
2E108BN02
2E108CC01
2E108DD07
2E108ER13
2E108FF01
2E108GG01
2E108KK04
2E108KS05
2E108LL01
2E108MM06
2E108NN07
5F151BA03
5F151JA13
5F151JA27
5F251BA03
5F251JA13
5F251JA27
(57)【要約】
【課題】容易に施工することができるバックアップ材(断熱材を含む)、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法を提供する。
【解決手段】バックアップ材10Aは、第1方向Fの長さと、前記第1方向Fに直交する第2方向Eの長さと、を有する板状の本体12を備え、前記本体12の屋根材側表面18に、端子ボックス46を設置可能な、前記第1方向Fに沿う主溝22と、前記主溝22を貫通し、前記第2方向Eに沿う複数の従溝24と、を有し、前記主溝22は、前記本体12の前記第2方向Eに沿う一対の第1側辺14を貫通しており、前記複数の従溝24は、前記本体12の前記第1方向Fに沿う一対の第2側辺16を貫通している。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1方向の長さと、前記第1方向に直交する第2方向の長さと、を有する板状の本体を備え、
前記本体の屋根材側表面に、
端子ボックスを設置可能な、前記第1方向に沿う主溝と、
前記主溝を貫通し、前記第2方向に沿う複数の従溝と、を有し、
前記主溝は、前記本体の前記第2方向に沿う一対の第1側辺を貫通しており、
前記複数の従溝は、前記本体の前記第1方向に沿う一対の第2側辺を貫通している、バックアップ材。
【請求項2】
前記一対の第2側辺は、前記屋根材側表面から反対側の載置側表面に向かって前記本体の内側へ傾斜した傾斜辺を有する、請求項1に記載のバックアップ材。
【請求項3】
前記主溝の深さは、前記端子ボックスの厚みより深い、請求項1又は2に記載のバックアップ材。
【請求項4】
請求項1又は2に記載のバックアップ材と、前記バックアップ材の前記屋根材側表面に太陽光パネル付き屋根材を備える、バックアップ材と屋根材の取付構造。
【請求項5】
前記バックアップ材は前記第1方向が屋根の流れ方向に沿う方向に配置される、請求項4に記載のバックアップ材と屋根材の取付構造。
【請求項6】
前記太陽光パネル付き屋根材は、前記屋根材側表面に対向する裏面に端子ボックスを備え、
前記端子ボックスは、水上側に配線が接続されている、請求項4に記載のバックアップ材と屋根材の取付構造。
【請求項7】
屋根の流れ方向に直交する方向に隣り合う前記太陽光パネル付き屋根材を、屋根の流れ方向に互いにずらして配置する、請求項4に記載のバックアップ材と屋根材の取付構造。
【請求項8】
複数の吊子が設けられた屋根下地の、前記複数の吊子同士の間にバックアップ材を設置する工程と、
端子ボックスの配線が水上側に引き出された太陽光パネル付き屋根材を前記バックアップ材に重ねる工程と、を備えるバックアップ材と屋根材の施工方法。
【請求項9】
隣り合う前記太陽光パネル付き屋根材を、屋根の流れ方向に互いにずらして配置する、請求項8に記載のバックアップ材と屋根材の施工方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、バックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、太陽光パネル付き屋根材とともに用いる断熱材として、表面から裏面に貫通するように形成された端子ボックス収納部と、表面に形成された溝とを有する断熱材が開示されている。端子ボックス収納部は、太陽光パネルの端子ボックスを収納する。端子ボックスに接続された配線は、断熱材の裏面側に配置される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2018-199979号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
上記特許文献1に記載の断熱材は、予め太陽電池と屋根材とが一体化された状態で住宅などの屋根に設置されるので、施工工数を削減できる。一方、上記特許文献1に記載の断熱材は、端子ボックスに接続された配線を外に引き出す位置が一定であるため、屋根の形状によっては施工が困難な場合がある。
【0005】
本発明は、容易に施工することができるバックアップ材(断熱材を含む)、バックアップ材と屋根材の取付構造及びバックアップ材と屋根材の施工方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様は以下の通りである。
第1方向の長さと、前記第1方向に直交する第2方向の長さと、を有する板状の本体を備え、前記本体の屋根材側表面に、端子ボックスを設置可能な、前記第1方向に沿う主溝と、前記主溝を貫通し、前記第2方向に沿う複数の従溝と、を有し、前記主溝は、前記本体の前記第2方向に沿う一対の第1側辺を貫通しており、前記複数の従溝は、前記本体の前記第1方向に沿う一対の第2側辺を貫通している、バックアップ材。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、バックアップ材と屋根材を容易に施工することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】一実施形態に係るバックアップ材の正面図である。
図2】一実施形態に係るバックアップ材の図1におけるII-II線断面図である。
図3】一実施形態に係る太陽光パネル付き屋根材の斜視図である。
図4】一実施形態に係る太陽光パネル付き屋根材の背面図である。
図5】一実施形態に係るバックアップ材と太陽光パネル付き屋根材の取付構造を示す断面図である。
図6】一実施形態に係るバックアップ材と太陽光パネル付き屋根材の施工方法を段階的に示す断面図であり、下地板に吊子を設置した状態を示す図である。
図7】一実施形態に係るバックアップ材と太陽光パネル付き屋根材の施工方法を段階的に示す断面図あり、バックアップ材を設置した状態を示す図である。
図8図7の部分拡大図である。
図9】一実施形態に係るバックアップ材と太陽光パネル付き屋根材の施工方法を段階的に示す断面図であり、太陽光パネル付き屋根材を設置した状態を示す図である。
図10】太陽光パネル付き屋根材をバックアップ材上に設置する様子を示す部分断面図である。
図11】一実施形態に係るバックアップ材と太陽光パネル付き屋根材の施工方法を段階的に示す部分拡大断面図であり、吊子の上端辺を折り曲げた状態を示す図である。
図12】一実施形態に係るバックアップ材と太陽光パネル付き屋根材の施工方法を段階的に示す部分拡大断面図であり、折り曲げた吊子にカバー部材を取り付けた状態を示す図である。
図13】一実施形態に係るバックアップ材と太陽光パネル付き屋根材の取付構造における端子ボックスから配線が引き出された状態を示す部分断面図である。
図14】隣り合う前記太陽光パネル付き屋根材を、屋根の流れ方向に互いにずらして配置した状態を示す図である。
図15】一実施形態に係るバックアップ材を輸送時の緩衝材として利用する形態を示す図である。
図16】太陽光パネルを有さない屋根材に適用可能なバックアップ材の一例を示す正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
本発明の実施形態は、以下の態様に関する。
【0010】
[態様1]
第1方向の長さと、前記第1方向に直交する第2方向の長さと、を有する板状の本体を備え、
前記本体の屋根材側表面に、
端子ボックスを設置可能な、前記第1方向に沿う主溝と、
前記主溝を貫通し、前記第2方向に沿う複数の従溝と、を有し、
前記主溝は、前記本体の前記第2方向に沿う一対の第1側辺を貫通しており、
前記複数の従溝は、前記本体の前記第1方向に沿う一対の第2側辺を貫通している、バックアップ材。
【0011】
(効果)
バックアップ材は、主溝に端子ボックスを設置し、従溝を通じて当該端子ボックスに接続された配線を適所に引き出すことができるので、容易に施工することができる。主溝及び従溝は、本体の外縁にそれぞれ貫通しているので、通気と通水にも利用することができる。
【0012】
[態様2]
前記一対の第2側辺は、前記屋根材側表面から反対側の載置側表面に向かって前記本体の内側へ傾斜した傾斜辺を有する、態様1に記載のバックアップ材。
(効果)
バックアップ材は、第2側辺が屋根材表面から反対側の載置側表面に向かって本体の内側へ傾斜していることによって、屋根下地上の吊子を挟んで第2方向にバックアップ材を並べる際、第2側辺が吊子と干渉することが抑制されるので、容易に施工できる。また、太陽光パネル付き屋根材は、屋根材側表面を下向き、載置側表面を上向きにしたバックアップ材に、太陽光パネルを下向きにして重ねることができる。この際、太陽光パネル付き屋根材の立上げ部がバックアップ材の第2側辺に接触することによって、位置ずれが抑制される。
【0013】
[態様3]
前記主溝の深さは、前記端子ボックスの厚みより深い、態様1又は2に記載のバックアップ材。
(効果)
バックアップ材は、主溝の深さが端子ボックスの厚みより深いので、端子ボックスが主溝の底面に接触しない。したがって、端子ボックスが主溝の底面に接触しないので、重ねた太陽光パネル付き屋根材の自重が端子ボックスに集中することを避けることができる。
また、屋根材側表面を下向きにしたバックアップ材に、太陽光パネルを下向きにして太陽光パネル付き屋根材を重ねた場合、太陽光パネル付き屋根材の裏面に設けられた端子ボックスは上向きに突出している。当該太陽光パネル付き屋根材にさらにバックアップ材を重ねると、当該バックアップ材は、主溝の深さが端子ボックスの厚みより深いので、端子ボックスが主溝の底面に接触しない。端子ボックスが主溝の底面に接触しないことによって、重ねた太陽光パネル付き屋根材やバックアップ材の自重が端子ボックスに集中することを避けることができる。したがって、バックアップ材は、複数の太陽光パネル付き屋根材の間に挟まれることによって、複数の太陽光パネル付き屋根材を重ねて保管したり運搬したりする際の緩衝材としても利用することができる。これにより、屋根の断熱材が主たる目的であるバックアップ材を輸送時の緩衝材としても利用することで、緩衝材を別個に手配する必要がなく、資源を効率化できる。
【0014】
[態様4]
態様1又は2に記載のバックアップ材と、前記バックアップ材の前記屋根材側表面に太陽光パネル付き屋根材を備える、バックアップ材と屋根材の取付構造。
(効果)
端子ボックスの配線は、バックアップ材の主溝及び従溝に適宜通すことによって、隣り合う太陽光パネル付き屋根材同士の配線を接続することができるので、容易に施工することができる。
【0015】
[態様5]
前記バックアップ材は前記第1方向が屋根の流れ方向に沿う方向に配置される、態様4に記載のバックアップ材と屋根材の取付構造。
(効果)
主溝がそれぞれ屋根の流れ方向に沿う方向に配置されるので、主溝を通気及び通水に利用することができる。また、バックアップ材と太陽光パネル付き屋根材とを屋根の流れ方向にずらして取り付けたり、流れ方向に直交する方向に隣り合うバックアップ材と太陽光パネル付き屋根材とを端子ボックスの位置が屋根の流れ方向において逆向きに組み合わせることもできる。これにより、多様な形状の屋根において、住宅1戸の屋根面積に対する太陽光パネルの設置枚数と1戸あたりの発電量を増やすことできる。
【0016】
[態様6]
前記太陽光パネル付き屋根材は、前記屋根材側表面に対向する裏面に端子ボックスを備え、
前記端子ボックスは、水上側に配線が接続されている、態様4に記載のバックアップ材と屋根材の取付構造。
(効果)
【0017】
バックアップ材と太陽光パネル付き屋根材は、主溝を通じて端子ボックスの配線を水上側に容易に引き出すことができる。太陽光パネル付き屋根材は、水下側から水上側に取り付けていく。そのため、水上側に配線を容易に引き出せる構造は施工性が高まる。
【0018】
[態様7]
屋根の流れ方向に直交する方向に隣り合う前記太陽光パネル付き屋根材を、前記屋根の流れ方向に互いにずらして配置する、態様4に記載のバックアップ材と屋根材の取付構造。
(効果)
太陽光パネル付き屋根材を屋根の流れ方向にずらして配置(千鳥配置)することによって、施工する屋根の形状に合わせて太陽光パネルを効率的に配置することができる。
【0019】
[態様8]
複数の吊子が設けられた屋根下地の、前記複数の吊子同士の間にバックアップ材を設置する工程と、
端子ボックスの配線が水上側に引き出された太陽光パネル付き屋根材を前記バックアップ材に重ねる工程と、を備えるバックアップ材と屋根材の施工方法。
【0020】
(効果)
バックアップ材の上に太陽光パネル付き屋根材を設置する際に、配線を水上側に容易に引き出すことができるので、配線の挟み込みが生じていないことを確認しながら、容易に施工することができる。これにより、住宅用太陽光パネルにおける不具合の原因として最も多いとされる、配線の挟み込みによる配線の損傷のリスクを低減することができる。
【0021】
[態様9]
隣り合う前記太陽光パネル付き屋根材を、屋根の流れ方向に互いにずらして配置する、態様8に記載のバックアップ材と屋根材の施工方法。
(効果)
太陽光パネル付き屋根材を屋根の流れ方向にずらして配置(千鳥配置)することによって、施工する屋根の形状に合わせて太陽光パネルを効率的に配置することができる。
【0022】
[態様10]
前記主溝に補強畝部を一体に有し、
前記補強畝部は、前記屋根材側表面に設置される屋根材の表面に接触可能な上面を有する、態様1~3のいずれか1つに記載のバックアップ材。
(効果)
バックアップ材は、主溝に補強畝部を有することによって、太陽光パネルを有さない屋根材に使用した場合に、補強畝部が主溝に対向する屋根材を支持し得るので、当該屋根材の厚み方向の変形を抑制することができる。
【0023】
以下、本発明の一実施形態に係るバックアップ材、バックアップ材と屋根材の取付構造、及びバックアップ材と屋根材の施工方法について、図面を参照して説明する。上記一実施形態に係るバックアップ材は、太陽光パネル付き屋根材と組み合わせてもよいし、太陽光パネルを有さない屋根材と組み合わせてもよい。本明細書においてある方向に「沿う」とは、ある方向に対して±45°未満の範囲の方向に沿うことを含むものとする。互いに直交する第1方向F、第2方向E、及び第3方向Tを用いて以下説明する。第1方向Fは、屋根の流れ方向に平行な方向であり、地面から屋根をみたときの上側を水上側、下側を水下側とする。第2方向Eは、屋根の流れ方向に直交し、例えば地面に平行な方向である。第3方向Tは、第1方向F及び第2方向Eに直交し、厚み方向と同義である。
【0024】
図1に示すバックアップ材10Aは、互いに直交する第1方向F、第2方向E、及び第3方向Tの長さを有する。バックアップ材10Aは、一般に断熱材を用いることができるが、断熱性能を有していることが必須ではない。バックアップ材10Aは、例えば、合成樹脂発泡体で形成することができる。合成樹脂発泡体は、ポリウレタン樹脂発泡体、ポリスチレン樹脂発泡体、ポリエチレン樹脂発泡体、ポリプロピレン樹脂発泡体、アクリロニトリル樹脂発泡体、PPO(ポリフェニレンオキサイド)樹脂発泡体、PET(ポリエチレンテレフタレート)樹脂発泡体、無水マレイン酸共重合体樹脂発泡体、アクリロニトリル-スチレン共重合体樹脂発泡体等の発泡体を例示することができる。
【0025】
バックアップ材10Aは、第1方向Fを長手方向、第2方向Eを短手方向とする矩形状の本体12を有する。本体12は、第1方向Fの両端に第2方向Eに沿う一対の第1側辺14と、第2方向Eの両端に第1方向Fに沿う一対の第2側辺16と、を有する。本体12は、図2に示すように、第3方向Tに交差する屋根材側表面18と、屋根材側表面18の反対側の載置側表面20と、を有する。
【0026】
本体12は、屋根材側表面18に、主溝22と、複数の従溝24とを有する。主溝22は、第1方向Fに沿って延在し、一対の第1側辺14を貫通している。主溝22は、底面21と底面21の第2方向Eの両側にそれぞれ設けられた側面23とで形成され、後述する端子ボックスを収容できる大きさを有する。すなわち、主溝22の幅(第2方向Eの長さ)W1は、端子ボックスの幅である第2方向Eの長さより大きく、主溝22の深さ(屋根材側表面18から主溝22の底面21までの第3方向Tの長さ)H1は、端子ボックスの厚みより長い。主溝22は、一方の第1側辺14Aから他方の第1側辺14Bまで同じ幅W1及び深さH1を有することが好ましい。図1に示す主溝22は、本体12の第2方向Eの中心に1つ設けられている。
【0027】
主溝22の第2方向Eの両側には、それぞれ畝部26が設けられている。畝部26は、主溝22の幅W1と、主溝22の深さH1とを画定する。すなわち、畝部26は、主溝22の深さH1に相当する高さH1を有し、W1の間隔を開けて本体12の第2方向Eの中心を挟んで両側にそれぞれ1個ずつ(合計2個)配置されている。
【0028】
従溝24は、第2方向Eに沿って延在し、一対の第2側辺16を貫通している。従溝24は、主溝22に接続された基端25を有し、畝部26を通って、第2側辺16を貫通している。従溝24は、後述する配線を収容できる大きさを有する。すなわち、従溝24の幅(第1方向Fの長さ)W2と、従溝24の深さ(屋根材側表面18から従溝底面までの第3方向Tの長さ)H2とは、端子ボックスに接続された配線の外径より大きい。従溝24の深さH2は、主溝22の深さH1と同じでもよいし異なっていてもよい。図1に示す従溝24は、第1方向Fに所定の間隔を開けて7個配置されている。各畝部26は、従溝24によって、第1方向Fにおいて8個に分割されている。
【0029】
バックアップ材10Aは、主溝22によって水上側の第1側辺14Aから水下側の第1側辺14Bまで通じる第1通路27と、従溝によって第1通路27から第2側辺16に通じる第2通路28とを有する。図1に示すように、バックアップ材10Aは、複数の従溝24を有するので、複数の第2通路28を有する。
【0030】
本体12は、第2方向Eに沿って延在する従溝24に加え、第1方向Fに沿って延在する従溝を有してもよい。すなわち、本体12は、第2方向Eに沿って延在する第2方向従溝24と、第1方向Fに沿って延在する第1方向従溝32とを有してもよい。第1方向従溝32は、主溝22の第2方向Eの両側に設けられた畝部26にそれぞれ1つずつ(合計2個)設けられており、一対の第1側辺14をそれぞれ貫通している。第1方向従溝32は、気体及び雨水が流通することができる大きさを有する。第1方向従溝32の幅及び深さは、第2方向従溝24の幅W2及び深さH2と同じでもよいし異なっていてもよい。図1に示す第1方向従溝32は、それぞれの畝部26の第2方向Eの中心に1つずつ設けられている。
【0031】
畝部26は、従溝24によって複数に分割されている。すなわち、畝部26は、第2方向従溝24によって第1方向Fに複数(図1の場合、8個)に分割されており、第1方向従溝32によって第2方向Eに複数(図1の場合、2個)に分割されている。畝部26の4隅は、それぞれ面取り加工が施されていることが好ましい。
【0032】
図2に示すように、本体12の一対の第2側辺16は、屋根材側表面18から載置側表面20に向かって本体12の内側へ傾斜した傾斜辺34を有してもよい。傾斜辺34は、載置側表面20を基端とし、屋根材側表面18に向かって第2方向Eの外側へ傾斜している。傾斜辺34は、後述する屋根材の立上げ部の傾斜面に沿った形状を有する。図2に示す傾斜辺34は、断面視において直線状であるが、屋根材の立上げ部に相補的であれば、断面視において湾曲状でもよい。
【0033】
第2側辺16はさらに接触辺36を有してもよい。接触辺36は、断面視において第3方向Tに沿って延在している。接触辺36の基端は、傾斜辺34の先端に接続されている。接触辺36の基端と傾斜辺34の先端とは、本体12の厚みTである第3方向Tの長さの中間より屋根材側表面18に近い位置で接続されていてもよい。接触辺36の先端は屋根材側表面18に接続されている。接触辺36において、屋根に施工される際、隣り合うバックアップ材10A同士が互いに接触し得る。第2側辺16はさらに接続辺38を有してもよい。接続辺38は、断面視において第2方向Eに沿って延在しており、接触辺36の基端と傾斜辺34の先端とを接続する。
【0034】
図2に示すバックアップ材10Aの載置側表面20は、平坦である。載置側表面20は、平坦である場合に限らず、例えば、第1方向F又は第2方向Eに沿って延在する凹溝(図示しない)を1つ以上有してもよいし、複数の凸部(図示しない)を有してもよい。
【0035】
次に、上記バックアップ材10Aと共に用いられる太陽光パネル付き屋根材の一実施形態について説明する。図3に示す太陽光パネル付き屋根材40は、太陽光パネル42と、屋根材44とを備える。太陽光パネル42は、公知の構成を採用することができ、例えば、図示しないが、バックシート上に、封止材で覆われた太陽電池セルと、表面ガラスとを厚み方向に重ねて一体化して構成することができる。太陽光パネル42には、太陽電池セルと反対側の表面に端子ボックス46が設けられる。太陽電池セルで発電した電力は、図4に示す端子ボックス46を通じて出力される。
【0036】
屋根材44は、例えば、金属部材、金属と断熱材とを組み合わせた部材、又は樹脂繊維とセメントの混合部材で形成することができる。屋根材44としては、例えば、塗装鋼板、亜鉛めっき鋼板、アルミニウム-亜鉛合金めっき鋼板などの金属製の板材を用いることができ、さらに断熱材を上記金属製の板材で挟んだ板材を用いることもできる。
【0037】
図3に示す屋根材44は、金属板で形成され、第1方向Fを長手方向、第2方向Eを短手方向とする矩形状の表面部48と、表面部48の第2方向Eの両端に一対の立上げ部50とを有する。表面部48は、バックアップ材10Aの屋根材側表面18の大きさとほぼ同じ大きさを有する板状であって、上記太陽光パネル42が設置される外側表面52と、バックアップ材10Aに接する内側表面54とを有する。
【0038】
図4に示すように、表面部48は、厚み方向である第3方向Tに貫通する貫通穴56を有する。貫通穴56は、端子ボックス46を受け入れる。図4に示す貫通穴56は、表面部48の水上側に設けられている。端子ボックス46は、太陽光パネル42が屋根材44に設置された状態において、貫通穴56を通じて屋根材44の内側表面54から露出している。端子ボックス46は、水上側に配線62が接続されていてもよい。図4に示す端子ボックス46は、直方体状であり、水上側に配置された側面58にコネクタ60が2個設けられており、それぞれのコネクタ60に配線62が接続されている。
【0039】
立上げ部50は、表面部48の外側表面52側から第3方向Tへ突出しており、第1方向Fに沿って延在している。立上げ部50は、表面部48と一体に形成されており、「ハゼ」とも呼ばれる。立上げ部50は、上記傾斜辺34に沿う傾斜面を有し、後述するカバー部材と係合する形状を有する。
【0040】
次に、バックアップ材10Aと太陽光パネル付き屋根材40の取付構造について図5を参照して説明する。図5は、バックアップ材10Aと太陽光パネル付き屋根材40の取付構造を示す、第2方向Eに沿う部分断面図であり、水下側から見た図である。
【0041】
図5に示す取付構造において、下地板64上に、バックアップ材10A、太陽光パネル付き屋根材40が第3方向Tに順に配置されている。下地板64に複数の吊子66が第1方向F及び第2方向Eにそれぞれ所定間隔で固定されている。各吊子66は、水下側から見てL字形の板状部材であり、底部68と立部70とを一体に有する。吊子66は底部68においてネジ72で下地板64に固定されている。立部70は、図示しないが、屋根の流れ方向に2分割された水上側部と水下側部とを有する。なお、下地板64は屋根下地の一例であり、図示しないが、鉄骨下地などの板状でない屋根下地であってもよい。
【0042】
バックアップ材10Aは、載置側表面20が下地板64に接した状態で、第2方向Eに隣り合う吊子66の間に配置されている。バックアップ材10Aは第1方向Fが屋根の流れ方向に沿っているので、水下側の第1側辺14において主溝22と第1方向従溝32とを視認することができる。
【0043】
正面視において隣り合うバックアップ材10A同士は、第1方向に同じ高さとなるよう、すなわち第1側辺14同士が水平になるように配置されてもよい。この場合、隣り合うバックアップ材10Aは、それぞれの第2方向従溝24が第1方向Fにおいて同じ位置となり、第2方向従溝24同士が第2側辺16を介して接続される。すなわち、隣り合うバックアップ材10Aの第1通路27は、第2通路28を介して接続される。
【0044】
太陽光パネル付き屋根材40は、内側表面54がバックアップ材10Aの屋根材側表面18に接した状態で、第2方向Eに隣り合う吊子66の間に配置されたバックアップ材10A上に配置されている。内側表面54から露出した端子ボックス46は、主溝22に収容される。吊子66の立部70と屋根材44の立上げ部50とは、カバー部材76によって一体化されており、これにより太陽光パネル付き屋根材40及びバックアップ材10Aが下地板64に固定される。
【0045】
バックアップ材10Aの主溝22に端子ボックス46が設置され、当該端子ボックス46に接続された配線62を主溝22及び第2方向従溝24を通じて適所に引き出すことができるので、一実施形態に係る取付構造は、容易に施工することができる。主溝22、第1方向従溝32及び第2方向従溝24は、本体12の外縁である第1側辺14にそれぞれ貫通しているので、通気と通水にも利用することができる。
【0046】
バックアップ材10Aは、主溝22の深さH1が端子ボックス46の厚みより深いので、端子ボックス46が主溝22の底面21に接触しない。そのため、重ねた太陽光パネル付き屋根材40の自重が端子ボックス46に集中することを避けることができる。
【0047】
上記バックアップ材10Aと屋根材44の取付構造は、複数の吊子66が設けられた下地板64の、前記複数の吊子66同士の間にバックアップ材10Aを設置する工程と、端子ボックス46の配線62が水上側に引き出された太陽光パネル付き屋根材40を前記バックアップ材10Aに重ねる工程と、を備える施工方法によって実施できる。
【0048】
まず、図6に示すように、複数の吊子66を下地板64に固定する。吊子66は、第2方向Eの間隔がバックアップ材10Aの第2方向Eの長さとほぼ同じであって、第1方向Fに所定間隔を開けて、配置される。吊子66の立部70は、下地板64に対し、略直角に延びている。
【0049】
次に、図7に示すように、バックアップ材10Aを、屋根材側表面18を上向き、載置側表面20を下向きとし、第1方向Fを屋根の流れ方向に沿う方向とし、第2方向Eに隣り合う吊子66の間に配置する。
【0050】
バックアップ材10Aは、図8に示すように、第2側辺16に傾斜辺34を有していることによって、隣り合うバックアップ材10Aとの間に空間74が形成される。当該空間74は、傾斜辺34と下地板64の表面65とによって画定される。空間74内に、吊子66の少なくとも一部と吊子66を下地板64に固定するネジ72の頭部の少なくとも一部とが収容されている。また、バックアップ材10Aは、第2側辺16に接触辺36を有していることによって、隣り合うバックアップ材10A同士がそれぞれの接触辺36で接触し得る。また立部70が接触辺36に挟まれている。
【0051】
バックアップ材10Aは、傾斜辺34を有していることによって、下地板64上の吊子66を挟んで第2方向Eにバックアップ材10Aを並べる際、第2側辺16が吊子66と干渉することが抑制されるので、容易に施工できる。また第2側辺16は、接触辺36を有し、当該接触辺36において隣り合うバックアップ材10A同士が接触し得る。接触辺36は第3方向Tに沿っているので、バックアップ材10A同士が接触する接触面を確保し、容易に位置決めをすることができる。また、吊子66の立部70が接触辺36を介して隣り合うバックアップ材10Aに挟まれている。
【0052】
次いで、図9に示すように、太陽光パネル付き屋根材40を、屋根材44の外側表面52を上向き、内側表面54を下向きとし、第1方向Fを屋根の流れ方向に沿う方向とし、第2方向Eに隣り合う吊子66の間に配置されたバックアップ材10A上に配置する。ここで、図10に示すように、太陽光パネル付き屋根材40は、先に水下側(図10において左側)をバックアップ材10Aの屋根材側表面18に接触させ、水上側(図10における右側)を屋根材側表面18に向かって下降させる。水上側を下降させながら端子ボックス46に接続された配線62を水上側へ引き出す。太陽光パネル付き屋根材40は、端子ボックス46の水上側に配線62が接続されているので、主溝22を通じて端子ボックス46の配線62を水上側に容易に引き出すことができる。
【0053】
またバックアップ材10Aの上に太陽光パネル付き屋根材40を設置する際に、配線62を水上側に容易に引き出すことができるので、配線62の挟み込みが生じていないことを確認しながら、容易に施工することができる。これにより、住宅用太陽光パネルにおける不具合の原因として最も多いとされる、配線の挟み込みによる配線の損傷のリスクを低減することができる。また、このようにして太陽光パネル付き屋根材40は、水下側から水上側に取り付けていく。そのため、水上側に配線62を容易に引き出せる構造は施工性が高まる。
【0054】
次いで、図11に示すように、吊子66の立部70の水上側部71と水下側部73を、立上げ部50に接触するように、第2方向Eの反対側へそれぞれ折り曲げる。最後に、図12に示すように、折り曲げた吊子66の立部70と立上げ部50を覆うようにカバー部材76を取り付ける。カバー部材76は、吊子66と係合することによって、第3方向Tの下側向きの力を吊子66の立部70と立上げ部50に付加する。これにより、太陽光パネル付き屋根材40とバックアップ材10Aは、下地板64に押し付けられ、固定される。
【0055】
上記のように施工された太陽光パネル付き屋根材40とバックアップ材10Aにおいて、配線62は図13に示すように主溝22、すなわち第1通路27を通じて水上側の第1側辺14Aから引き出されることが可能であると共に、主溝22及び第2方向従溝24、すなわち第2通路28を通じて第2側辺16の適所から引き出すことができる。
【0056】
一実施形態に係る取付構造によれば、バックアップ材10Aは第2方向従溝24を複数有するので、第2通路28が複数形成される。したがって、太陽光パネル付き屋根材40から配線62を引き出す位置を現場の施工状況に応じて選択することができる。すなわち、隣り合う太陽光パネル付き屋根材40とバックアップ材10A同士は、第1側辺14が互いに第1方向Fに対し揃っている場合に限らず、第1方向Fにずれた状態で配置してもよい。
【0057】
例えば、図14に示すように、太陽光パネル付き屋根材40とバックアップ材10Aは、千鳥状、すなわち第1方向Fの上側に配置されたものと、第1方向Fの下側に配置されたものとを、第2方向Eに沿って交互に設置してもよい。バックアップ材10Aは、所定の間隔で配置された複数の第2方向従溝24を有しているので、隣り合うバックアップ材10A同士の第2方向従溝24の位置を合わせやすい。したがって、太陽光パネル付き屋根材40とバックアップ材10A同士は、第1方向Fに対しずれた状態で配置された場合でも、第2方向従溝24が隣り合うバックアップ材10A同士で接続されるので、隣り合うバックアップ材10A同士の第1通路27が第2通路28を介して接続される。太陽光パネル付き屋根材40及びバックアップ材10Aは、隣り同士を例えば千鳥状に配置するなど、多様な形態で配置することにより、台形や三角形など特殊な形状の屋根にも効率的に太陽光パネル42を設置することができる。
【0058】
一実施形態に係るバックアップ材10Aは、保管や運搬時の緩衝材としても利用することができる。例えば、図15に示すように、まず、屋根材側表面18を下向き、載置側表面20を上向きにして、バックアップ材10Aを床上Gに載置する。次いで、外側表面52を下向き、内側表面54を上向きにして、太陽光パネル付き屋根材40を上記バックアップ材10Aに重ねる。この際、太陽光パネル付き屋根材40の立上げ部50がバックアップ材10Aの第2側辺16の傾斜辺34に接触することによって、位置ずれが抑制される。このようにしてバックアップ材10Aを間に挟んで上下に太陽光パネル付き屋根材40を複数重ねることができる。
【0059】
屋根材側表面18を下向きにしたバックアップ材10Aに、太陽光パネル42を下向きにして太陽光パネル付き屋根材40を重ねた場合、太陽光パネル付き屋根材40の裏面に露出した端子ボックス46は上向きに突出している。当該太陽光パネル付き屋根材40にさらにバックアップ材10Aを重ねると、当該バックアップ材10Aは、主溝22の深さH1が端子ボックス46の厚みより深いので、端子ボックス46が主溝22の底面21に接触しない。端子ボックス46が主溝22の底面21に接触しないことによって、重ねた太陽光パネル付き屋根材40やバックアップ材10Aの自重が端子ボックス46に集中することを避けることができる。したがって、バックアップ材10Aは、複数の太陽光パネル付き屋根材40の間に挟まれることによって、複数の太陽光パネル付き屋根材40を重ねて保管したり運搬したりする際の緩衝材としても利用することができる。
【0060】
(変形例)
上記一実施形態の場合、バックアップ材10Aは、太陽光パネル付き屋根材40と取り付ける場合について説明したが、本発明はこれに限らない。上記一実施形態に係る太陽光パネル付き屋根材40とバックアップ材10Aの取付構造は、太陽光パネルを有さない屋根材とバックアップ材の取付構造と組み合わせてもよい。
【0061】
太陽光パネルを有さない屋根材に適用されるバックアップ材について、図1に対応する符号について同様の符号を付した図16を参照して説明する。図16に示すようにバックアップ材10Bは、主溝に対応する部分に補強畝部80を一体に有している。すなわちバックアップ材10Bは主溝を有していない。補強畝部80は、屋根材44の内側表面54に接触可能な上面81を有する。すなわち、補強畝部80は、畝部26と同じ高さである第3方向Tの長さを有する。バックアップ材10Bは、主溝に対応する部分に補強畝部80を有することによって、太陽光パネルを有さない屋根材に適用した場合に、補強畝部80が屋根材44の第2方向Eの中心部分を支持し得るので、当該屋根材44の厚み方向の変形を抑制することができる。このような太陽光パネルを有さない屋根材44とバックアップ材10Bの組合せは、上記図14に示す千鳥状に配置した太陽光パネル付き屋根材の第1方向の端部に配置される。したがって、施工時において、太陽光パネルを有さない屋根材44の中央部分を施工者が踏んだ場合でも、屋根材44の変形を抑制することができる。
【0062】
上記一実施形態に係るバックアップ材10Aが金型を用いて成型される場合、補強畝部80を有する変形例に係るバックアップ材10Bは上記金型に取り外し可能なアタッチメントを取り付けることで成型することができる。したがって変形例に係るバックアップ材10Bを成形する金型は、上記一実施形態に係るバックアップ材10Aを成形する金型と共通化することができる。
【0063】
屋根材は、板材、すなわち屋根材である場合に限らず、瓦形状の本体を複数組み合わせた部材でもよい。
【0064】
上記一実施形態の場合、太陽光パネル付き屋根材40とバックアップ材10Aは、第1方向Fを長手方向、第2方向Eを短手方向とする場合について説明したが、本発明はこれに限らず、第1方向Fを短手方向、第2方向Eを長手方向とするように形成してもよい。この場合、バックアップ材10Aは、主溝22が短手方向である第1方向Fに沿って延在し、第2方向従溝24が長手方向である第2方向Eに沿って延在しており、第1方向Fを屋根の流れ方向に平行に配置して、下地板64に設置される。また、バックアップ材10Aは、第1方向Fの長さと第2方向Eの長さが同じでもよい。
【0065】
上記一実施形態の場合、太陽光パネル付き屋根材40の端子ボックス46は、水上側に配線62が引き出されている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、水下側に配線62が接続されていてもよく、または第2方向Eの一方又は両側にそれぞれ配線62が引き出されていてもよい。なお、主溝22が第1方向Fに沿って延在し一対の第1側辺14を貫通しているので、端子ボックス46は主溝22の第1方向Fの位置が限定されない。すなわち、端子ボックス46は、主溝22の第1方向Fの中央より水上側に配置されてもよいし、水下側に配置してもよいし、第1方向Fの中央に配置してもよい。この場合、屋根材44の貫通穴56は、端子ボックス46の位置に合わせて表面部48に形成される。
【0066】
上記一実施形態の場合、バックアップ材10Aは、長手方向において一体である場合について説明したが、本発明はこれに限らず、図示しないが長手方向において分割された2つの半部を連結して用いてもよい。この場合2つの半部は、それぞれ、第1側辺の一方に、互いを連結する連結部を有してもよい。連結部は、互いに相補的な凹凸形状を有していてもよい。
【0067】
上記一実施形態の場合、バックアップ材10Aの主溝22の深さは、端子ボックス46の厚みより深い場合について説明したが、本発明はこれに限らず、主溝22の深さを端子ボックス46より浅く形成してもよい。この場合、端子ボックス46が主溝22の底面21に接触しないように、畝部26と屋根材44の載置側表面20との間にスペーサ(図示しない)を設けるのが好ましい。
【0068】
上記一実施形態の場合、第2方向従溝24は、第1方向Fに所定間隔を開けて7個配置されている場合について説明したが、本発明はこれに限らず、7個より少なくてもよいし、8個以上でもよい。また第1方向従溝32は、各畝部26に1個ずつ配置した場合について説明したが、2個以上でもよいし、各畝部26に設けられる第1方向従溝32の数は同じでもよいし、異なっていてもよい。
【符号の説明】
【0069】
10A、10B バックアップ材
12 本体
14、14A、14B 第1側辺
16 第2側辺
18 屋根材側表面
20 載置側表面
21 底面
22 主溝
23 側面
24 第2方向従溝(従溝)
25 基端
26 畝部
27 第1通路
28 第2通路
32 第1方向従溝
34 傾斜辺
36 接触辺
38 接続辺
40 太陽光パネル付き屋根材
42 太陽光パネル
44 屋根材
46 端子ボックス
48 表面部
50 立上げ部
52 外側表面
54 内側表面
56 貫通穴
58 側面
60 コネクタ
62 配線
64 下地板
65 表面
66 吊子
68 底部
70 立部
71 水上側部
72 ネジ
73 水下側部
74 空間
76 カバー部材
80 補強畝部
81 上面
E 第2方向
F 第1方向
T 第3方向
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15
図16