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特開2024-112061集団危険度算出装置、危険情報報知システム及び集団危険度算出方法
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112061
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】集団危険度算出装置、危険情報報知システム及び集団危険度算出方法
(51)【国際特許分類】
   G08G 1/16 20060101AFI20240813BHJP
   G06Q 50/40 20240101ALI20240813BHJP
   G16Y 10/40 20200101ALI20240813BHJP
   G16Y 20/20 20200101ALI20240813BHJP
   G16Y 40/10 20200101ALI20240813BHJP
【FI】
G08G1/16 D
G06Q50/30
G16Y10/40
G16Y20/20
G16Y40/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016895
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】308036402
【氏名又は名称】株式会社JVCケンウッド
(74)【代理人】
【識別番号】100103894
【弁理士】
【氏名又は名称】家入 健
(72)【発明者】
【氏名】江原 拓真
(72)【発明者】
【氏名】吉山 和伸
(72)【発明者】
【氏名】山本 豊人
(72)【発明者】
【氏名】荻野 正樹
(72)【発明者】
【氏名】笠原 圭輔
(72)【発明者】
【氏名】谷所 健司
【テーマコード(参考)】
5H181
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5H181AA01
5H181BB04
5H181BB05
5H181BB20
5H181CC04
5H181CC27
5H181FF13
5H181FF27
5H181FF33
5H181LL01
5H181LL02
5H181LL07
5H181LL08
5H181MB02
5H181MC27
5L049CC42
5L050CC42
(57)【要約】
【課題】集団に属する人のそれぞれの動きベクトルのばらつきを算出して、集団の総合危険度を算出する集団危険度算出装置を提供する。
【解決手段】画像データに基づき、所定時間内に所定範囲内で移動する複数の人の組を集団として検出する集団検出部と、集団に属する人の人数を算出して、算出した人数に基づく人数危険度を算出する人数危険度算出部と、集団に属する人の年齢を推定して、推定した年齢に基づく年齢危険度を算出する年齢危険度算出部と、集団に属する人のそれぞれの動きベクトルのばらつきを算出して、動きベクトルのばらつきに基づく動きベクトルばらつき危険度を算出する動きベクトルばらつき危険度算出部と、人数危険度と、年齢危険度と、動きベクトルばらつき危険度とに基づいて集団の総合危険度を算出する総合危険度算出部と、を備える集団危険度算出装置である。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
画像データに基づき、所定時間内に所定範囲内で移動する複数の人の組を集団として検出する集団検出部と、
前記集団に属する人の人数を算出して、前記算出した人数に基づく人数危険度を算出する人数危険度算出部と、
前記集団に属する人の年齢を推定して、推定した前記年齢に基づく年齢危険度を算出する年齢危険度算出部と、
前記集団に属する人のそれぞれの動きベクトルのばらつきを算出して、前記動きベクトルのばらつきに基づく動きベクトルばらつき危険度を算出する動きベクトルばらつき危険度算出部と、
前記人数危険度と、前記年齢危険度と、前記動きベクトルばらつき危険度とに基づいて前記集団の総合危険度を算出する総合危険度算出部と、を備える集団危険度算出装置。
【請求項2】
人数危険度テーブルと年齢危険度テーブルを記憶する記憶部をさらに備え、
前記人数危険度算出部は、前記集団を構成する人数の情報と前記人数危険度テーブルに基づいて人数危険度を算出し、
前記年齢危険度算出部は、前記集団に属する人の年齢の推定結果と前記年齢危険度テーブルとに基づいて前記年齢危険度を算出する、請求項1に記載の集団危険度算出装置。
【請求項3】
請求項1または2に記載の集団危険度算出装置と、
前記集団危険度算出装置で算出した総合危険度に基づいて、報知内容を判定する対応判定部と、
車両に設置され、前記対応判定部の判定結果に基づいて危険情報を報知する危険情報報知装置と、
を備える危険情報報知システム。
【請求項4】
前記危険情報報知装置は、前記総合危険度の大きさに応じて異なる速度制限情報を報知する、請求項3に記載の危険情報報知システム。
【請求項5】
画像データに基づき、所定時間内に所定範囲内で移動する複数の人の組を集団として検出し、
前記集団に属する人の人数を算出して、前記集団を構成する人数に基づく人数危険度を算出し、
前記集団に属する人の年齢を推定して、推定した前記年齢に基づく年齢危険度を算出し、
前記集団に属する人のそれぞれの動きベクトルのばらつきを算出して、前記動きベクトルのばらつきに基づく動きベクトルばらつき危険度を算出し、
前記人数危険度と、前記年齢危険度と、前記動きベクトルばらつき危険度とに基づいて前記集団の総合危険度を算出する集団危険度算出方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は集団危険度算出装置、危険情報報知システム及び集団危険度算出方法に関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、ターゲットとなる集団移動体に対して、集団タイプに応じた車両制御を行う車両制御システムが開示されている。車両制御システムは、センサ類からの信号に基づいて集団を検知する集団検知部と、自車両の周囲環境情報を収集する環境情報収集部を備える。また、車両制御システムは、集団検知部で検知した集団の特徴と、環境情報収集部で取集した環境情報に基づいて集団タイプを判断する集団タイプ判断部を備える。また、車両制御システムは、集団タイプ判断部で判断した集団タイプと、自車両の速度と、集団移動体との距離に基づいて危険度を判断する危険度判断部を備える。車両制御システムは、危険度判断部で判断した危険度に基づいて警報又は車両制御を行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】国際公開第2020/116266号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の車両制御システムは、集団全体の移動速度に応じて集団移動体の行動予測を行っている。しかしながら、集団全体の移動速度を測定するだけでは集団の行動予測としては不十分な場合がある。そこで、本開示の目的は、集団に属する人のそれぞれの動きベクトルのばらつきを算出して、集団の総合危険度を算出する集団危険度算出装置及び集団危険度算出方法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本開示の集団危険度算出装置は、
画像データに基づき、所定時間内に所定範囲内で移動する複数の人の組を集団として検出する集団検出部と、
前記集団に属する人の人数を算出して、前記算出した人数に基づく人数危険度を算出する人数危険度算出部と、
前記集団に属する人の年齢を推定して、推定した前記年齢に基づく年齢危険度を算出する年齢危険度算出部と、
前記集団に属する人のそれぞれの動きベクトルのばらつきを算出して、前記動きベクトルのばらつきに基づく動きベクトルばらつき危険度を算出する動きベクトルばらつき危険度算出部と、
前記人数危険度と、前記年齢危険度と、前記動きベクトルばらつき危険度とに基づいて前記集団の総合危険度を算出する総合危険度算出部と、を備える集団危険度算出装置である。
【0006】
本開示の集団危険度算出方法は、
画像データに基づき、所定時間内に所定範囲内で移動する複数の人の組を集団として検出し、
前記集団に属する人の人数を算出して、前記算出した人数に基づく人数危険度を算出し、
前記集団に属する人の年齢を推定して、推定した前記年齢に基づく年齢危険度を算出し、
前記集団に属する人のそれぞれの動きベクトルのばらつきを算出して、前記動きベクトルのばらつきに基づく動きベクトルばらつき危険度を算出し、
前記人数危険度と、前記年齢危険度と、前記動きベクトルばらつき危険度とに基づいて前記集団の総合危険度を算出する集団危険度算出方法である。
【発明の効果】
【0007】
本開示により、集団に属する人のそれぞれの動きベクトルのばらつきを算出して、集団の総合危険度を算出する集団危険度算出装置及び集団危険度算出方法を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】実施の形態にかかる危険情報報知システムの構成を示す概略図とブロック図である。
図2】実施の形態にかかる集団危険度算出装置の構成を示すブロック図である。
図3】実施の形態にかかる人数危険度テーブル例を示す図である。
図4】実施の形態にかかる年齢危険度テーブル例を示す図である。
図5】実施の形態にかかる第1の動きベクトルのばらつきを説明する図である。
図6】実施の形態にかかる第2の動きベクトルのばらつきを説明する図である。
図7】実施の形態にかかる総合危険度に対する報知内容の対応テーブルを示す図である。
図8】実施の形態にかかる集団危険度算出方法のフローチャートである。
図9】実施の形態にかかる危険情報報知方法のフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0009】
実施の形態
以下、図面を参照して本開示の実施の形態について説明する。しかしながら、特許請求の範囲にかかる発明を以下の実施の形態に限定するものではない。また、実施の形態で説明する構成の全てが課題を解決するための手段として必須であるとは限らない。説明の明確化のため、以下の記載及び図面は、適宜、省略、及び簡略化がなされている。各図面において、同一の要素には同一の符号が付されており、必要に応じて重複説明は省略されている。
【0010】
(実施の形態にかかる危険情報報知システム及び集団危険度算出装置の説明)
図1乃至7を参照しながら、実施の形態にかかる危険情報報知システム及び集団危険度算出装置の具体例を説明する。図1は、実施の形態にかかる危険情報報知システム100の構成を示す概略図とブロック図である。図2は、実施の形態にかかる集団危険度算出装置102の構成を示すブロック図である。図3は、実施の形態にかかる人数危険度テーブル例を示す図である。図4は、実施の形態にかかる年齢危険度テーブル例を示す図である。図5は、実施の形態にかかる第1の動きベクトルのばらつきを説明する図である。図6は、実施の形態にかかる第2の動きベクトルのばらつきを説明する図である。図7は、実施の形態にかかる総合危険度に対する報知内容の対応テーブルを示す図である。
【0011】
図1に示されるように、実施の形態にかかる危険情報報知システム100は、撮像装置101と、集団危険度算出装置102と、危険情報報知装置103と、を備える。図2に示されるように、集団危険度算出装置102は、集団検出部201と、人数危険度算出部202と、年齢危険度算出部203と、動きベクトルばらつき危険度算出部204と、総合危険度算出部205と、対応判定部206と、危険情報送信部207と、記憶部208と、を備える。記憶部208は、人数危険度テーブル209と、年齢危険度テーブル210と、対応テーブル211と、を記憶する。
【0012】
撮像装置101は、街中に設置された防犯カメラなどである。撮像装置101は、例えば危険情報報知装置103を備える車両の位置から離れ、また集団危険度算出装置102とも離れている。
【0013】
集団危険度算出装置102は、例えば中央サーバなどの情報処理装置である。情報処理装置は、処理を実行するためにプログラムを実行するプロセッサ(CPU(Central Processing Unit)と、プログラムを格納するメモリとを備える装置である。情報処理装置は、機能の一部または全部をクラウドサーバに移転してもよい。
【0014】
図2に示されるように、集団検出部201は、画像データに基づき、所定時間に所定範囲内で移動する複数の人の組を集団として検出する機能を有する。街中の防犯カメラなど撮像装置101で撮影した画像データから、複数の人の組を集団として検出する。集団危険度算出装置102は、有線または無線で撮像装置101と接続されている。
【0015】
図2に示されるように、人数危険度算出部202は、集団に属する人の人数を算出して、算出した人数に基づく人数危険度を算出する。人数危険度は、算出した人数の情報と人数危険度テーブル209に基づいて算出される。人数危険度テーブル209は、例えば図3に示される。例えば人数危険度は、人数が多いほど高い。
【0016】
図2に示されるように、年齢危険度算出部203は、集団に属する人の年齢を推定して、年齢の推定結果に基づく年齢危険度を算出する。年齢危険度算出部203は、集団に属する人の年齢をAI(Artificial Intelligence)を用いて判定する。年齢危険度算出部203は、年齢危険度テーブル210に基づいて年齢危険度を算出する。年齢危険度テーブル210は、例えば図4に示される。例えば年齢危険度は、20歳以下では年齢が低いほど高く、20歳を超えると一定とする。これは、20歳以下は、年齢が低いほど行動が不確定になりやすく、20歳を超えると、分別がつき行動が安定するという知見に基づく。年齢危険度は、集団に属する人の推定年齢の平均値に基づいて算出してもよいし、集団に属する人の中の推定年齢が最も若い人の年齢に基づいて算出してもよい。
【0017】
図2に示されるように、動きベクトルばらつき危険度算出部204は、集団に属する人のそれぞれの位置情報を所定時間ごとに検出してそれぞれの人の動きベクトルを算出し、集団の動きベクトルばらつき危険度を算出する。動きベクトルばらつき危険度は、動きベクトルのばらつきが大きいほど高く算出される。動きベクトルのばらつきが大きいほど、どのような動きをするか予測できないためである。図5及び図6に動きベクトルのばらつきを算出する例を示す。
【0018】
図5は、a~dの4人を集団として検出した例が示される。時点t1と、t1に対して所定時間が経過した時点t2の各人の座標をそれぞれx、y座標として検出する。この時集団に属する人全員の座標を平均した座標を集団の重心として算出する。t1における重心をj1、t2における重心をj2として図示する。次に、t1とt2における各人の座標及び重心の座標をそれぞれ比較して、各人の動きベクトルと重心の動きベクトルを算出する。そして、重心の動きベクトルに対する各人の動きベクトルの差をx、yそれぞれの値として算出する。最後に、各人に対して算出したx、yの値を二乗加算することで、重心に対する差の大きさを算出する。更に、各人に対して算出した、重心に対する差の大きさを集団に属する全員分加算して集団の動きベクトルのばらつき値として算出する。図5の例では、集団の動きベクトルのばらつき値が5.5として算出されている。
【0019】
図6は、図5と同様に算出した例が示される。図5の例に対し、図6の例の方が集団としての移動距離は大きいが集団の動きベクトルのばらつき値の算出結果は3となっており、図5の例の方が大きい。したがって、図5の例は、図6の例より動きベクトルばらつき危険度が高い。
【0020】
総合危険度算出部205は、算出した人数危険度と年齢危険度と、動きベクトルばらつき危険度に基づいて、下記式により集団の総合危険度を算出する。
(総合危険度)=A×(人数危険度)+B×(年齢危険度)+C×(動きベクトルばらつき危険度)
ここで、A,B,Cは、定数とし、例えば、A=5、B=5、C=10とする。
なお、上記では、人数危険度と、年齢危険度と、動きベクトルばらつき危険度に定数を積算したものを加算することにより総合危険度を算出する例を説明したが、人数危険度と、年齢危険度と、動きベクトルばらつき危険度を積算することで総合危険度を算出しても良い。
【0021】
図2に示されるように、対応判定部206は、総合危険度算出部205で算出した総合危険度と、対応テーブル211に基づいて対応を判定する。対応テーブル211は、例えば図7に示される。
【0022】
図2に示されるように、危険情報送信部207は、総合危険度が所定の値より高い場合に、集団の位置情報を含む危険情報を送信する。危険情報送信部207は、4G(4th Generation)、5G(5th Generation)などの電話回線、Wi-Fi(登録商標)、Bluetooth(登録商標)などの無線通信方法で、危険情報を送信する。対応判定部206及び危険情報送信部207は、集団危険度算出装置102と別体とする構成でもよい。
【0023】
図2に示されるように、記憶部208は、ソリッドステートドライブ、マスクROM(Read Only Memory)、PROM(Programmable ROM)、EPROM(Erasable PROM)、フラッシュROM、RAM(Random Access Memory)等の半導体メモリで構成され、人数危険度テーブル209と年齢危険度テーブル210と、対応テーブル211が記憶される。人数危険度テーブル209と年齢危険度テーブル210と、対応テーブル211については先述の通りである。
【0024】
図1に示されるように、危険情報報知装置103は、車両に搭載される。また、危険情報報知装置103は、集団危険度算出装置102の危険情報送信部207から送信された危険情報を受信し、受信した危険情報に基づいて画像または音声により危険情報を報知する。危険情報報知装置103は、車両に乗っている人に注意を促す装置である。危険情報報知装置103は、ナビゲーションシステムであってもよい。危険情報報知装置103は、総合危険度の大きさに応じて異なる速度制限情報を画像または音声によって報知してもよい。
【0025】
上記、危険情報報知システム100により、集団のそばを通行する車両に危険を報知することができる。そのため、集団の危険度とその集団の位置情報を集団の付近を走行している車両に送信し、ナビゲーションシステム上にその集団がいる位置と危険度を表示させることでドライバの注意力を向上させることができる。
【0026】
また、危険情報をもとにナビゲーションシステムが、集団の位置を避けた第2候補となる迂回ルートを自動的に検索し、ドライバにそのルートを提案できる。さらに、ドライバの視界の範囲にその集団がいる場合は、ヘッドアップディスプレイにその位置及び危険度を表示させることができる。その集団が車両付近に位置している場合は、危険度に応じて速度制限及び停止指示を促すような警告ができる。図7に、総合危険度に対する報知内容の例を示す。総合危険度が50以上である場合、ナビ上に集団の位置と危険度を表示し、集団を避けた迂回ルートを表示する。総合危険度が100以上となった場合には、ナビ上に集団の位置と危険度を表示し、集団を避けた迂回ルートを表示することに加え、図7に示すように総合危険度に応じた速度制限を行うよう、警告を発する。
【0027】
(実施の形態にかかる集団危険度算出方法の説明)
図8は、実施の形態にかかる集団危険度算出方法のフローチャートである。図8を参照しながら、実施の形態にかかる集団危険度算出方法を説明する。
【0028】
図8に示されるように、まず、集団を検出する(ステップS801)。防犯カメラなど、路上に設置されている撮像装置101が画像を撮影し、集団危険度算出装置102の集団検出部201が、所定の時間、所定の範囲にいる複数の人の組を集団として検出する。
【0029】
次に人数危険度を算出する(ステップS802)。集団危険度算出装置102の人数危険度算出部202が、集団に属する人の人数に基づく危険度を算出する。
【0030】
次に、年齢危険度を算出する(ステップS803)。集団危険度算出装置102の年齢危険度算出部203が、集団に属する人の年齢に基づく危険度を算出する。
【0031】
次に、動きベクトルばらつき危険度を算出する(ステップS804)。集団危険度算出装置102の動きベクトルばらつき危険度算出部204が、集団に属する人のそれぞれの動きベクトルのばらつきに基づく危険度を算出する。動きベクトルのばらつきの算出方法は、図5図6で説明した方法に限定されず、標準偏差、2乗平均など公知の手段のいずれかで評価されてもよい。
【0032】
最後に、総合危険度を算出する(ステップS805)。集団危険度算出装置102の総合危険度算出部205が、人数危険度、年齢危険度、動きベクトルばらつき危険度に基づいて総合危険度を算出する。なお、人数危険度、年齢危険度、動きベクトルばらつき危険度を順に算出したが、この算出する順番は、入れ替えることができる。
【0033】
(実施の形態にかかる危険情報報知方法の説明)
図9は、実施の形態にかかる危険情報報知方法のフローチャートである。図9を参照しながら、実施の形態にかかる危険情報報知方法を説明する。
【0034】
図9に示されるように、まず集団の情報を収集し、総合危険度を算出する(ステップS901)。ステップS901は、図8のS801からS805に相当する。次に危険度が500以上であるか否か判定する(ステップS902)。総合危険度が500以上のとき(ステップS902のYesの場合)、車両の停止を促し(ステップS903)、ナビ上に集団の位置と危険度を表示し、集団を避けた第2候補となる迂回ルートを提案する(ステップS904)。すなわち、ナビゲーションシステムが、車両の停止を促し、迂回ルートを表示する。
【0035】
総合危険度が500未満の場合(ステップS902のNoの場合)、危険度が300以上500未満であるか否か判定する(ステップS905)。総合危険度が300以上500未満である場合(ステップS905のYesの場合)、車両の速度を10km以下に制限するように警告を出す(ステップS906)。さらに、ステップS904を実行する。すなわち、ナビゲーションシステムが、車両の速度を10km以下に制限するように警告を出し、迂回ルートを表示する。
【0036】
総合危険度が300未満の場合(ステップS905のNoの場合)、危険度が200以上300未満であるか否か判定する(ステップS907)。総合危険度が200以上300未満である場合(ステップS907のYesの場合)、車両の速度を20km以下に制限するように警告を出す(ステップS908)。さらに、ステップS904を実行する。すなわち、ナビゲーションシステムが、車両の速度を20km以下に制限するように警告を出し、迂回ルートを表示する。
【0037】
総合危険度が200未満の場合(ステップS907のNoの場合)、危険度が100以上200未満であるか否か判定する(ステップS909)。総合危険度が100以上200未満である場合(ステップS909のYesの場合)、車両の速度を30km以下に制限するように警告を出す(ステップS910)。さらに、ステップS904を実行する。すなわち、ナビゲーションシステムが、車両の速度を30km以下に制限するように警告を出し、迂回ルートを表示する。
【0038】
総合危険度が100未満の場合(ステップS909のNoの場合)、危険度が50以上100未満であるか否か判定する(ステップS911)。総合危険度が50以上100未満である場合(ステップS911のYesの場合)、車両の速度制限に関する警告を出さない。ただし、ステップS904を実行する。すなわち、ナビゲーションシステムが、迂回ルートを表示する。
【0039】
総合危険度が50未満の場合(ステップS911のNoの場合)、迂回ルートの表示及び警告を行わない。
【0040】
上記ステップS902、S905、S907、S909、S911の判定及び、ステップS903、S906、S908、S910の対応判定は、集団危険度算出装置102の対応判定部206が、対応テーブル211に基づいて行う。また、対応判定部206が判定した結果は、危険情報送信部207から危険情報として送信される。車両に設置された危険情報報知装置103は、危険情報送信部から受信した危険情報に基づいて、ステップS904の報知を行う。
【0041】
なお、対応判定部206は集団危険度算出装置102ではなく、車両に設置されていてもよい。この場合、集団危険度算出装置102は、総合危険度算出結果を危険情報として危険情報送信部207から送信する。車両に設置された対応判定部206は、受信した危険情報に含まれる総合危険度と対応テーブル211に基づいて対応判定し、危険情報報知装置103が、対応判定部206の判定結果に基づいて、ステップS904の報知を行う。
【0042】
上記方法により、検出した集団の危険度に応じて、警告や迂回ルートの提示を行うことができる。
【0043】
なお、本発明は上記実施の形態に限られたものではなく、趣旨を逸脱しない範囲で適宜変更することが可能である。
【0044】
上述した実施の形態では、危険情報報知装置103が画像または音声によって危険情報を報知する例を説明したが、危険情報報知装置103は、画像や音声以外の方法によって危険情報を報知してもよい。例えば、車のハンドルやシートを振動させる、またはLED等の発光によって危険情報を報知するなどをしてもよい。
【符号の説明】
【0045】
100 危険情報報知システム、101 撮像装置、102 集団危険度算出装置、103 危険情報報知装置、201 集団検出部、202 人数危険度算出部、203 年齢危険度算出部、204 動きベクトルばらつき危険度算出部、205 総合危険度算出部、206 対応判定部、207 危険情報送信部、208 記憶部、209 人数危険度テーブル、210 年齢危険度テーブル、211 対応テーブル
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9