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特開2024-112062二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム
(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112062
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラム
(51)【国際特許分類】
G06Q 50/04 20120101AFI20240813BHJP
【ＦＩ】
G06Q50/04
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】ＯＬ
(21)【出願番号】P 2023016896
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000001199
【氏名又は名称】株式会社神戸製鋼所
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100111453
【弁理士】
【氏名又は名称】櫻井 智
(72)【発明者】
【氏名】白坂 貴成
(72)【発明者】
【氏名】梅田 豊裕
【テーマコード（参考）】
5L049
5L050
【Ｆターム（参考）】
5L049CC03
5L050CC03
(57)【要約】
【課題】本発明は、製品を製造するための複数の工程が複数の期間に亘る場合でもより適切に二酸化炭素排出量を求め得る二酸化炭素排出量演算システム、該方法および該プログラムを提供する。
【解決手段】複数の工程を経て製造される製品を、複数の種類で製造可能な工場において、前記製品に関するＣＯ２排出量を所定の期間ごとに求める二酸化炭素排出量演算システムは、前記所定の期間ごとに、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、当該期間より過去の期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量に基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、求め、主設備に対応する工程を実施した期間において、前記求めた第２単位ＣＯ２排出量と前記主設備の製造負荷の総量とに基づいて、前記主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める。
【選択図】図１
【解決手段】複数の工程を経て製造される製品を、複数の種類で製造可能な工場において、前記製品に関するＣＯ２排出量を所定の期間ごとに求める二酸化炭素排出量演算システムは、前記所定の期間ごとに、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、当該期間より過去の期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量に基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、求め、主設備に対応する工程を実施した期間において、前記求めた第２単位ＣＯ２排出量と前記主設備の製造負荷の総量とに基づいて、前記主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める。
【選択図】図１
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の工程を経て製造される製品を、複数の種類で製造可能な工場において、前記製品に関するＣＯ２排出量を所定の期間ごとに求める二酸化炭素排出量演算システムであって、
所与であって、対象種類の対象製品の製造に用いられる原料における単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品に用いられた前記原料の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を求める原料排出量演算部と、
前記所定の期間ごとに、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、当該期間より過去の期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量に基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、求める主設備単位排出量演算部と、
前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、前記主設備単位排出量演算部で求めた当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備における製造負荷の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める工程排出量演算部とを備え、
前記対象種類の対象製品は、演算対象の期間である対象期間に製造が完了し、ＣＯ２排出量を求める製品であり、
前記主設備は、前記工程に対応し前記工程の実施に用いられる設備であり、
前記主設備単位排出量演算部は、前記単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を、前記主設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量と、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量とに基づいて求める、
二酸化炭素排出量演算システム。
所与であって、対象種類の対象製品の製造に用いられる原料における単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品に用いられた前記原料の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を求める原料排出量演算部と、
前記所定の期間ごとに、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、当該期間より過去の期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量に基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、求める主設備単位排出量演算部と、
前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、前記主設備単位排出量演算部で求めた当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備における製造負荷の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める工程排出量演算部とを備え、
前記対象種類の対象製品は、演算対象の期間である対象期間に製造が完了し、ＣＯ２排出量を求める製品であり、
前記主設備は、前記工程に対応し前記工程の実施に用いられる設備であり、
前記主設備単位排出量演算部は、前記単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を、前記主設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量と、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量とに基づいて求める、
二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項2】
前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて前記工程排出量演算部で求めた主設備で実施される工程に関する各工程ＣＯ２排出量の総和と、前記原料排出量演算部で求めた前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量との和を、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量として求める対象製品排出量演算部をさらに備える、
請求項１に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
請求項１に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項3】
前記所定の期間ごとに、前記製品の製造に主設備を介して間接的に関与し複数の設備に対して用いられる副設備において、当該期間における副設備に関する副設備ＣＯ２排出量の総量を、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれに、所定の割合で配賦することによって、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれについて、当該期間において、前記副設備が用いられる設備に関するＣＯ２排出配賦量を求める排出配賦量演算部とをさらに備え、
前記主設備単位排出量演算部は、当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求める際に、当該主設備に対して前記副設備がある場合、前記排出配賦量演算部で求めた、当該期間において、当該主設備に対応する設備に関するＣＯ２排出配賦量を、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量に加算することによって、新たな、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量を求め、前記求めた新たな前記製造負荷の総量に対する当該主設備に関するＣＯ２排出量の総量に基づいて、当該期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を求める、
請求項１に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
前記主設備単位排出量演算部は、当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求める際に、当該主設備に対して前記副設備がある場合、前記排出配賦量演算部で求めた、当該期間において、当該主設備に対応する設備に関するＣＯ２排出配賦量を、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量に加算することによって、新たな、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量を求め、前記求めた新たな前記製造負荷の総量に対する当該主設備に関するＣＯ２排出量の総量に基づいて、当該期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を求める、
請求項１に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項4】
所与であって、前記製品の製造後から納入先への納入までの間に前記製品に対して実施される所定の処理における単位当たりの第３単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品に対する前記所定の処理に関する付属処理ＣＯ２排出量の総量を求める付属処理排出量演算部とをさらに備える、
請求項１に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
請求項１に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項5】
前記工場におけるＣＯ２を排出するＣＯ２排出源は、前記主設備、副設備、所定の処理、ならびに、前記主設備、前記副設備および前記所定の処理を除く残余の残余排出源であり、
前記対象期間における、前記残余排出源に関する残余ＣＯ２排出量の総量と、前記対象期間に製造が完了した製品の総量とに基づいて、前記残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量を求める第１残余排出量演算部と、
前記第１残余排出量演算部で求めた前記残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記残余排出源に関する第２残余ＣＯ２排出量の総量を求める第２残余排出量演算部とをさらに備える、
請求項１に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
前記対象期間における、前記残余排出源に関する残余ＣＯ２排出量の総量と、前記対象期間に製造が完了した製品の総量とに基づいて、前記残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量を求める第１残余排出量演算部と、
前記第１残余排出量演算部で求めた前記残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記残余排出源に関する第２残余ＣＯ２排出量の総量を求める第２残余排出量演算部とをさらに備える、
請求項１に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項6】
前記複数の工程のうちのいずれかの工程の終了後に廃棄されるロットアウト物であって前記終了が前記対象期間である前記ロットアウト物が、前記対象種類の対象製品とみなされ、
前記ロットアウト物の製造に用いられる複数の工程のうち、前記廃棄までに実施した１または複数の工程が、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程とみなされ、
前記原料排出量演算部は、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量として求め、
前記主設備単位排出量演算部は、前記ロットアウト物における、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求め、
前記工程排出量演算部は、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を、前記ロットアウト物の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量として求め、
前記対象製品排出量演算部は、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量として求める、
請求項２に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
前記ロットアウト物の製造に用いられる複数の工程のうち、前記廃棄までに実施した１または複数の工程が、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程とみなされ、
前記原料排出量演算部は、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量として求め、
前記主設備単位排出量演算部は、前記ロットアウト物における、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求め、
前記工程排出量演算部は、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を、前記ロットアウト物の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量として求め、
前記対象製品排出量演算部は、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量として求める、
請求項２に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項7】
前記対象種類の対象製品と同じ種類のロットアウト物が存在する場合、前記対象製品排出量演算部で求めた前記対象製品ＣＯ２排出量の総量に、前記対象製品排出量演算部で求めた前記ロットアウト物ＣＯ２排出量の総量のうち所定の付加量だけ加算して付加する排出量付加演算部をさらに備え、
前記ロットアウト物の種類は、前記ロットアウト物が仮に製造が完了して製品となった場合における前記製品の種類であり、
前記所定の付加量は、前記対象製品ＣＯ２排出量の総量のうちの所定の割合であり、
前記所定の割合は、前記同じ種類において、前記対象期間より１個前の期間である１期前期間に製造が完了した製品の第1個数と前記終了が前記１期前期間であるロットアウト物の第２個数との和に対する、前記第２個数の割合である、
請求項６に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
前記ロットアウト物の種類は、前記ロットアウト物が仮に製造が完了して製品となった場合における前記製品の種類であり、
前記所定の付加量は、前記対象製品ＣＯ２排出量の総量のうちの所定の割合であり、
前記所定の割合は、前記同じ種類において、前記対象期間より１個前の期間である１期前期間に製造が完了した製品の第1個数と前記終了が前記１期前期間であるロットアウト物の第２個数との和に対する、前記第２個数の割合である、
請求項６に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項8】
前記ロットアウト物ＣＯ２排出量の総量のうち、前記排出量付加演算部で前記対象製品ＣＯ２排出量の総量に加算して付加されなかった残量を前記所定の期間ごとに累積した累積未配賦量を求める累積未配賦量演算部をさらに備える、
請求項７に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
請求項７に記載の二酸化炭素排出量演算システム。
【請求項9】
複数の工程を経て製造される製品を、複数の種類で製造可能な工場において、前記製品に関するＣＯ２排出量を所定の期間ごとに求める二酸化炭素排出量演算方法であって、
所与であって、対象種類の対象製品の製造に用いられる原料における単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品に用いられた前記原料の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を求める原料排出量演算ステップと、
前記所定の期間ごとに、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、当該期間より過去の期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量に基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、求める主設備単位排出量演算ステップと、
前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、前記主設備単位排出量演算ステップで求めた当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備における製造負荷の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める工程排出量演算ステップとを備え、
前記対象種類の対象製品は、演算対象の期間である対象期間に製造が完了し、ＣＯ２排出量を求める製品であり、
前記主設備は、前記工程に対応し前記工程の実施に用いられる設備であり、
前記主設備単位排出量演算ステップは、前記単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を、前記主設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量と、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量とに基づいて求める、
二酸化炭素排出量演算方法。
所与であって、対象種類の対象製品の製造に用いられる原料における単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品に用いられた前記原料の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を求める原料排出量演算ステップと、
前記所定の期間ごとに、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、当該期間より過去の期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量に基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、求める主設備単位排出量演算ステップと、
前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、前記主設備単位排出量演算ステップで求めた当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備における製造負荷の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める工程排出量演算ステップとを備え、
前記対象種類の対象製品は、演算対象の期間である対象期間に製造が完了し、ＣＯ２排出量を求める製品であり、
前記主設備は、前記工程に対応し前記工程の実施に用いられる設備であり、
前記主設備単位排出量演算ステップは、前記単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を、前記主設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量と、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量とに基づいて求める、
二酸化炭素排出量演算方法。
【請求項10】
前記複数の工程のうちのいずれかの工程の終了後に廃棄されるロットアウト物であって前記終了が前記対象期間である前記ロットアウト物が、前記対象種類の対象製品とみなされ、
前記ロットアウト物の製造に用いられる複数の工程のうち、前記廃棄までに実施した１または複数の工程が、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程とみなされ、
前記原料排出量演算ステップは、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量として求め、
前記主設備単位排出量演算ステップは、前記ロットアウト物における、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求め、
前記工程排出量演算ステップは、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を、前記ロットアウト物の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量として求め、
前記対象製品排出量演算ステップは、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量として求め、
前記ロットアウト物の製造に用いられる複数の工程のうち、前記廃棄までに実施した１または複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて前記工程排出量演算ステップで求めた主設備で実施される工程に関する各工程ＣＯ２排出量の総和と、前記原料排出量演算ステップで求めた前記ロットアウト物の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量との和を、前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量として求めるロットアウト物排出量演算ステップをさらに備える、
請求項９に記載の二酸化炭素排出量演算方法。
前記ロットアウト物の製造に用いられる複数の工程のうち、前記廃棄までに実施した１または複数の工程が、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程とみなされ、
前記原料排出量演算ステップは、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量として求め、
前記主設備単位排出量演算ステップは、前記ロットアウト物における、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求め、
前記工程排出量演算ステップは、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を、前記ロットアウト物の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量として求め、
前記対象製品排出量演算ステップは、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量として求め、
前記ロットアウト物の製造に用いられる複数の工程のうち、前記廃棄までに実施した１または複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて前記工程排出量演算ステップで求めた主設備で実施される工程に関する各工程ＣＯ２排出量の総和と、前記原料排出量演算ステップで求めた前記ロットアウト物の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量との和を、前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量として求めるロットアウト物排出量演算ステップをさらに備える、
請求項９に記載の二酸化炭素排出量演算方法。
【請求項11】
複数の工程を経て製造される製品を、複数の種類で製造可能な工場において、前記製品に関するＣＯ２排出量を所定の期間ごとに求める二酸化炭素排出量演算プログラムであって、コンピュータを、請求項１ないし請求項８のずれか１項に記載の二酸化炭素排出量演算システムとして機能させるための二酸化炭素排出量演算プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、所定の種類の製品に関わって排出される二酸化炭素の排出量を求める二酸化炭素排出量演算システム、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、地球環境の保全等の観点から、二酸化炭素の排出量に関心が寄せられている。このような二酸化炭素の排出量に関する技術は、例えば、特許文献１に開示されている。この特許文献１に開示されたカーボントレーサビリティ管理システムは、外部からの受電電力、受入冷温熱量、自家発設備運転実績、冷温熱設備運転実績を記録管理するユーティリティ管理手段と、資材及び原料使用実績を記録管理する資材管理手段と、製造期間中のファシリティ設備の使用エネルギーを管理記録するファシリティ管理手段と、製品の生産実績を管理する製造実行管理手段と、前記ユーティリティ管理手段、資材管理手段、ファシリティ管理手段、製造実行管理手段に記録管理された各実績から温室効果ガス排出量を計算する排出量算出手段と、該排出量算出手段で算出した温室効果ガス排出量を製品一単位量としての製造ロットに配賦する排出量配賦手段とを有し、ボイラや受電設備、自家発電設備，水道等の一次動力設備と分類されるものに対して、前記一次動力設備からエネルギーの供給を受けて動く動力設備を二次動力設備と分類し、前記一次動力設備と二次動力設備からのエネルギーの供給を受けて動く非動力設備を三次設備と分類するものであり、前記排出量配賦手段は、三次設備の製品ロットに対応する使用状況と、二次設備の製品ロットに対応する使用状況から製品ロットの温室効果ガス排出量を配賦するものであり、前記製造ロットに対して配賦した温室効果ガス排出量を、前記製造ロットの固有データとして管理する排出量管理手段を備える。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第５０９７７２８号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、前記特許文献１に開示されたカーボントレーサビリティ管理システムは、温室効果ガス排出量を製品一単位量としての製造ロットごとに求めることができる。温室効果ガス排出量を求める場合、通常、所定の期間が設定され、前記期間における実績値に基づいて前記期間の排出量が求められるが、製品を製造するための複数の工程が複数の期間に亘る場合があり得、前記特許文献１に開示されたカーボントレーサビリティ管理システムは、このような場合に温室効果ガス排出量を適切に求めることができない。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて為された発明であり、その目的は、製品を製造するための複数の工程が複数の期間に亘る場合でもより適切に二酸化炭素排出量を求めることが可能な二酸化炭素排出量演算システム、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明者は、種々検討した結果、上記目的は、以下の本発明により達成されることを見出した。すなわち、本発明の一態様にかかる二酸化炭素排出量演算システムは、複数の工程を経て製造される製品を、複数の種類で製造可能な工場において、前記製品に関するＣＯ２排出量を所定の期間ごとに求めるシステムであって、所与であって、対象種類の対象製品の製造に用いられる原料における単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品に用いられた前記原料の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を求める原料排出量演算部と、前記所定の期間ごとに、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、当該期間より過去の期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量に基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、求める主設備単位排出量演算部と、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、前記主設備単位排出量演算部で求めた当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備における製造負荷の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める工程排出量演算部とを備え、前記対象種類の対象製品は、演算対象の期間である対象期間に製造が完了し、ＣＯ２排出量を求める製品であり、前記主設備は、前記工程に対応し前記工程の実施に用いられる設備であり、前記主設備単位排出量演算部は、前記単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を、前記主設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量と、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量とに基づいて求める。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記工程排出量演算部は、言い換えれば、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間を実施期間として、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、前記主設備単位排出量演算部で求めた前記実施期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備に前記実施期間での製造でかかる製造負荷の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記実施期間での当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記主設備単位排出量演算部は、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、当該期間より過去の複数の期間の当該主設備における単位当たりの各調整前第２単位ＣＯ２排出量を加重平均することによって求める。
【0007】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、まず、前記所定の期間ごとに、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、求める。これにより当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量が分かるので、上記二酸化炭素排出量演算システムは、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、上記のように求めた当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備における製造負荷の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求めることができる。したがって、上記二酸化炭素排出量演算システムは、上述のような製品を製造するための複数の工程が複数の期間に亘る場合でも、より適切に二酸化炭素排出量を求めることが可能となる。
【0008】
他の一態様では、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて前記工程排出量演算部で求めた主設備で実施される工程に関する各工程ＣＯ２排出量の総和と、前記原料排出量演算部で求めた前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量との和を、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量として求める対象製品排出量演算部をさらに備える。
【0009】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量（すなわち、製品ごとの二酸化炭素の排出量）を求めることができる。
【0010】
他の一態様では、これら上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記所定の期間ごとに、前記製品の製造に主設備を介して間接的に関与し複数の設備に対して用いられる副設備において、当該期間における副設備に関する副設備ＣＯ２排出量の総量を、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれに、所定の割合（第１割合）で配賦することによって、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれについて、当該期間において、前記副設備が用いられる設備に関するＣＯ２排出配賦量を求める排出配賦量演算部とをさらに備え、前記主設備単位排出量演算部は、当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求める際に、当該主設備に対して前記副設備がある場合、前記排出配賦量演算部で求めた、当該期間において、当該主設備に対応する設備に関するＣＯ２排出配賦量を、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量に加算することによって、新たな、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量を求め、前記求めた新たな前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量に基づいて、当該期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を求める。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記排出配賦量演算部は、前記所定の期間において、前記副設備の稼働に伴う消費物であって二酸化炭素の排出を伴う前記消費物の総量と、前記消費物における単位当たりの第５単位ＣＯ２排出量とに基づいて、前記所定の期間における副設備に関する副設備ＣＯ２排出量の総量を、求める。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記第１割合は、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれでの、前記副設備で製造した製造物の使用割合である。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記第１割合は、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれでの、前記複数の設備それぞれで製造した各製造物の各製造量の割合である。
【0011】
所定の期間における副設備に関する副設備ＣＯ２排出量の総量は、副設備が複数の設備に用いられるので、このままでは、対象種類の対象製品に割り付けることができない。上記二酸化炭素排出量演算システムは、前記所定の期間ごとに、当該期間における副設備に関する副設備ＣＯ２排出量の総量を、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれに、所定の第１割合で配賦するので、対象種類の対象製品に割り付けることができる。
【0012】
他の一態様では、これら上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、所与であって、前記製品の製造後から納入先への納入までの間に前記製品に対して実施される所定の処理における単位当たりの第３単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品に対する前記所定の処理に関する付属処理ＣＯ２排出量の総量を求める付属処理排出量演算部とをさらに備える。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記所定の処理は、前記製品を検査する検査処理である。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記所定の処理は、前記製品を梱包する梱包処理である。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記所定の処理は、前記製品を前記工場から前記納入先まで輸送する輸送処理である。
【0013】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、製品の製造後から納入先への納入までの間に前記製品に対して実施される所定の処理に関する付属処理ＣＯ２排出量の総量を、対象種類の対象製品ごとの二酸化炭素の排出量に勘案することが可能となる。
【0014】
他の一態様では、これら上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記工場におけるＣＯ２を排出するＣＯ２排出源は、前記主設備、副設備、所定の処理、ならびに、前記主設備、前記副設備および前記所定の処理を除く残余の残余排出源であり、前記対象期間期間における、前記残余排出源に関する残余ＣＯ２排出量の総量と、前記対象期間に製造が完了した製品の総量とに基づいて、前記残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量を求める第１残余排出量演算部と、前記第１残余排出量演算部で求めた前記残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量と、前記対象期間に製造が完了した前記対象種類の対象製品の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記残余排出源に関する第２残余ＣＯ２排出量の総量を求める第２残余排出量演算部とをさらに備える。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記工場におけるＣＯ２を排出するＣＯ２排出源は、前記主設備、副設備がある場合には前記副設備、所定の処理がある場合には前記所定の処理、および、残余排出源がある場合には前記残余排出源であり、前記副設備は、前記製品の製造に主設備を介して間接的に関与し複数の設備に対して用いられる設備であり、前記所定の処理は、前記製品の製造後から納入先への納入までの間に前記製品に対して実施される処理であり、前記残余排出源は、前記主設備、前記副設備がある場合には前記副設備および前記所定の処理がある場合には前記所定の処理を除く残余の、前記工場におけるＣＯ２を排出するＣＯ２排出源である。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記第１残余排出量演算部は、前記対象期間において、前記残余排出源の稼働に伴う消費物であって二酸化炭素の排出を伴う前記消費物の総量と、前記消費物における単位当たりの第５単位ＣＯ２排出量とに基づいて、前記残余排出源に関する残余ＣＯ２排出量の総量を求める。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記残余排出源は、前記工場内で物品を搬送するクレーン、トラックおよびフォークリフトのうちの少なくともいずれかを含む。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記残余排出源は、前記製品の製造に直接的に関わりの無い、共用され得る共用施設におけるＣＯ２の排出を伴う装置を含む。好ましくは、上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記残余排出源は、前記工場内で産業廃棄物を処理する産業廃棄物処理施設を含む。
【0015】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、前記残余排出源に関する残余ＣＯ２排出量の総量を、対象種類の対象製品ごとの二酸化炭素の排出量に勘案することが可能となる。
【0016】
他の一態様では、これら上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記複数の工程のうちのいずれかの工程の終了後に廃棄されるロットアウト物であって前記終了が前記対象期間である前記ロットアウト物が、前記対象種類の対象製品とみなされ、前記ロットアウト物の製造に用いられる複数の工程のうち、前記廃棄までに実施した１または複数の工程が、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程とみなされ、 前記原料排出量演算部は、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量として求め、前記主設備単位排出量演算部は、前記ロットアウト物における、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求め、前記工程排出量演算部は、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を、前記ロットアウト物の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量として求め、前記対象製品排出量演算部は、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量として求める。
【0017】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、複数の工程のうちのいずれかの工程の終了後に廃棄されるロットアウト物の二酸化炭素排出量を求めることが可能となる。
【0018】
他の一態様では、これら上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記対象種類の対象製品と同じ種類のロットアウト物が存在する場合、前記対象製品排出量演算部で求めた前記対象製品ＣＯ２排出量の総量に、前記対象製品排出量演算部で求めた前記ロットアウト物ＣＯ２排出量の総量のうち所定の付加量だけ加算して付加する排出量付加演算部をさらに備え、前記ロットアウト物の種類は、前記ロットアウト物が仮に製造が完了して製品となった場合における前記製品の種類であり、前記所定の付加量は、前記対象製品ＣＯ２排出量の総量のうちの所定の割合（第２割合）であり、前記所定の割合（第２割合）は、前記同じ種類において、前記対象期間より１個前の期間である１期前期間に製造が完了した製品の第1個数と前記終了が前記１期前期間であるロットアウト物の第２個数との和に対する、前記第２個数の割合である（第２割合＝第２個数／（第１個数＋第２個数）。
【0019】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、ロットアウト物ＣＯ２排出量を所定の第２割合の分だけ対象製品ＣＯ２排出量に配賦できる。
【0020】
他の一態様では、これら上述の二酸化炭素排出量演算システムにおいて、前記ロットアウト物ＣＯ２排出量の総量のうち、前記排出量付加演算部で前記対象製品ＣＯ２排出量の総量に加算して付加されなかった残量を前記所定の期間ごとに累積した累積未配賦量を求める累積未配賦量演算部をさらに備える。
【0021】
このような二酸化炭素排出量演算システムは、ロットアウト物ＣＯ２排出量の総量のうち未配賦の累積量を求めることができる。
【0022】
本発明の他の一態様にかかる二酸化炭素排出量演算方法は、複数の工程を経て製造される製品を、複数の種類で製造可能な工場において、前記製品に関するＣＯ２排出量を所定の期間ごとに求める方法であって、所与であって、対象種類の対象製品の製造に用いられる原料における単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品に用いられた前記原料の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を求める原料排出量演算ステップと、前記所定の期間ごとに、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、当該期間より過去の期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量に基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、求める主設備単位排出量演算ステップと、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、前記主設備単位排出量演算ステップで求めた当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備における製造負荷の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める工程排出量演算ステップとを備え、前記対象種類の対象製品は、演算対象の期間である対象期間に製造が完了し、ＣＯ２排出量を求める製品であり、前記主設備は、前記工程に対応し前記工程の実施に用いられる設備であり、前記主設備単位排出量演算ステップは、前記単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を、前記主設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量と、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量とに基づいて求める。
【0023】
このような二酸化炭素排出量演算方法は、上述のような製品を製造するための複数の工程が複数の期間に亘る場合でも、より適切に二酸化炭素排出量を求めることが可能となる。
【0024】
他の一態様では、上述の二酸化炭素排出量演算方法において、前記複数の工程のうちのいずれかの工程の終了後に廃棄されるロットアウト物であって前記終了が前記対象期間である前記ロットアウト物が、前記対象種類の対象製品とみなされ、前記ロットアウト物の製造に用いられる複数の工程のうち、前記廃棄までに実施した１または複数の工程が、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程とみなされ、前記原料排出量演算ステップは、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量として求め、前記主設備単位排出量演算ステップは、前記ロットアウト物における、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求め、前記工程排出量演算ステップは、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を、前記ロットアウト物の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量として求め、前記対象製品排出量演算ステップは、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量として求め、前記ロットアウト物の製造に用いられる複数の工程のうち、前記廃棄までに実施した１または複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて前記工程排出量演算ステップで求めた主設備で実施される工程に関する各工程ＣＯ２排出量の総和と、前記原料排出量演算ステップで求めた前記ロットアウト物の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量との和を、前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量として求めるロットアウト物排出量演算ステップをさらに備える。
【0025】
このような二酸化炭素排出量演算方法は、複数の工程のうちのいずれかの工程の終了後に廃棄されるロットアウト物の二酸化炭素排出量を求めることができる。
【0026】
本発明の他の一態様にかかる二酸化炭素排出量演算プログラムは、複数の工程を経て製造される製品を、複数の種類で製造可能な工場において、前記製品に関するＣＯ２排出量を所定の期間ごとに求めるプログラムであって、コンピュータを、これら上述のずれかの二酸化炭素排出量演算システムとして機能させるためのプログラムである。
【0027】
これによれば、二酸化炭素排出量演算プログラムが提供でき、この二酸化炭素排出量演算プログラムは、これら上述の二酸化炭素排出量演算システムと同様な作用効果を奏する。
【発明の効果】
【0028】
本発明にかかる二酸化炭素排出量演算システム、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、製品を製造するための複数の工程が複数の期間に亘る場合でもより適切に二酸化炭素排出量を求めることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0029】
【図1】実施形態における二酸化炭素排出量演算システムの構成を示す図である。
【図2】一例として、製造工程情報テーブルを示す図である。
【図3】一例として、製品に関する製品製造実績情報テーブルを示す図である。
【図4】一例として、製品のロットに関する製品製造実績情報テーブルを示す図である。
【図5】一例として、所定の期間ごとの工程の実施状況（進捗状況）を説明するための図である。
【図6】一例として、設備関連実績情報テーブルを示す図である。
【図7】一例として、残余排出源関連実績情報テーブルを示す図である。
【図8】一例として、単位排出量情報テーブルを示す図である。
【図9】一例として、副設備対応関係情報マトリックスを示す図である。
【図10】一例として、主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量の総量および副設備に関する副設備ＣＯ２排出量の総量の各演算方法を説明するための図である。
【図11】一例として、副設備が用いられる主設備に関するＣＯ２排出配賦量の演算方法を説明するための図である。
【図12】一例として、主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量の演算方法を説明するための図である。
【図13】一例として、主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量の演算方法を説明するための図である。
【図14】一例として、所定の期間ごとの主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を説明するための図である。
【図15】一例として、残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量の演算方法を説明するための図である。
【図16】一例として、ロットアウト物に関する各演算結果の出力例を示す図である。
【図17】一例として、各演算結果の出力例を示す図である。
【図18】前記二酸化炭素排出量演算システムの動作を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0030】
以下、図面を参照して、本発明の１または複数の実施形態が説明される。しかしながら、発明の範囲は、開示された実施形態に限定されない。なお、各図において同一の符号を付した構成は、同一の構成であることを示し、適宜、その説明を省略する。本明細書において、総称する場合には添え字を省略した参照符号で示し、個別の構成を指す場合には添え字を付した参照符号で示す。
【0031】
実施形態における二酸化炭素排出量演算システムは、複数の工程を経て製造される製品を、複数の種類で製造可能な工場（プラント）において、前記製品に関する二酸化炭素の排出量（ＣＯ２排出量）を所定の期間ごとに求めるシステムである。この二酸化炭素排出量演算システムは、原料排出量演算部と、主設備単位排出量演算部と、工程排出量演算部とを備える。前記原料排出量演算部は、所与であって、対象種類の対象製品の製造に用いられる原料における単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品に用いられた前記原料の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を求める。前記主設備単位排出量演算部は、前記所定の期間ごとに、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、当該期間より過去の期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量に基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、求める。前記主設備単位排出量演算部は、前記単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を、前記主設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量と、前記製造負荷の総量に対する当該主設備に関するＣＯ２排出量の総量とに基づいて求める。前記工程排出量演算部は、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、前記主設備単位排出量演算部で求めた当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備における製造負荷の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める。
【0032】
以下、このような二酸化炭素排出量演算システム、ならびに、これに実装された二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムについて、より具体的に説明する。ここでは、一例として、多品種の圧延鋼板を製造可能な工場（プラント）を例に、説明するが、工場（プラント）は、複数の工程を経て製造される製品を、複数の種類で製造可能であれば、任意であってよい。二酸化炭素排出量演算システムは、データを入出力する入出力端末装置、種々の演算処理を実行する１または複数の演算処理装置（例えばサーバ装置）および種々のデータを記憶（管理）する１または複数のデータベース装置を相互に通信可能に接続することで構成されてよく、これら入出力端末装置、１または複数の演算処理装置および１または複数のデータベース装置のうちの少なくとも一部が一体に構成され、残余との間で相互に通信可能に接続することで構成されてよいが、ここでは、全てを一体化した二酸化炭素排出量演算装置を例に、二酸化炭素排出量演算システムについて、説明する。
【0033】
図１は、実施形態における二酸化炭素排出量演算システム（一例としての二酸化炭素排出量演算装置）の構成を示す図である。
【0034】
実施形態における二酸化炭素排出量演算システム（一例としての二酸化炭素排出量演算装置）Ｓは、例えば、図１に示すように、入力部１と、出力部２と、インターフェース部（ＩＦ部）３と、制御処理部４と、記憶部６とを備える。
【0035】
入力部１は、制御処理部４に接続され、例えば、ＣＯ２排出量の演算開始を指示するコマンド等の各種コマンド、および、製品の製造工程や製品の製造実績や対象期間等の、二酸化炭素排出量演算装置Ｓを動作させる上で必要な各種データを前記二酸化炭素排出量演算装置Ｓに入力する機器であり、例えば、所定の機能を割り付けられた複数の入力スイッチや、キーボードや、マウス等である。出力部２は、制御処理部４に接続され、制御処理部４の制御に従って、入力部１から入力されたコマンドやデータおよび演算結果等を出力する機器であり、例えばＣＲＴディスプレイ、ＬＣＤ（液晶表示装置）および有機ＥＬディスプレイ等の表示装置やプリンタ等の印刷装置等である。
【0036】
なお、入力部１および出力部２は、タッチパネルより構成されてもよい。このタッチパネルを構成する場合において、入力部１は、例えば抵抗膜方式や静電容量方式等の操作位置を検出して入力する位置入力装置であり、出力部２は、表示装置である。このタッチパネルでは、表示装置の表示面上に位置入力装置が設けられ、表示装置に入力可能な１または複数の入力内容の候補が表示され、ユーザが、入力したい入力内容を表示した表示位置に触れると、位置入力装置によってその位置が検出され、検出された位置に表示された表示内容がユーザの操作入力内容として二酸化炭素排出量演算装置Ｓに入力される。このようなタッチパネルでは、ユーザは、入力操作を直感的に理解し易いので、ユーザにとって取り扱い易い二酸化炭素排出量演算装置Ｓが提供される。
【0037】
ＩＦ部３は、制御処理部４に接続され、制御処理部４の制御に従って、例えば、外部の機器との間でデータを入出力する回路であり、例えば、シリアル通信方式であるＲＳ－２３２Ｃのインターフェース回路、Ｂｌｕｅｔｏｏｔｈ（登録商標）規格を用いたインターフェース回路、および、ＵＳＢ規格を用いたインターフェース回路等である。また、ＩＦ部３は、例えば、データ通信カードや、ＩＥＥＥ８０２．１１規格等に従った通信インターフェース回路等の、外部の機器と通信信号を送受信する通信インターフェース回路であってもよい。
【0038】
記憶部６は、制御処理部４に接続され、制御処理部４の制御に従って、各種の所定のプログラムおよび各種の所定のデータを記憶する回路である。
【0039】
前記各種の所定のプログラムには、例えば、制御処理プログラムが含まれ、前記制御処理プログラムには、例えば、制御プログラム、原料排出量演算プログラム、主設備単位排出量演算プログラム、工程排出量演算プログラム、排出配賦量演算プログラム、付属処理排出量演算プログラム、第１残余排出量演算プログラム、第２残余排出量演算プログラム、対象製品排出量演算プログラム、排出量付加演算プログラムおよび累積未配賦量演算プログラム等が含まれる。前記制御プログラムは、二酸化炭素排出量演算装置Ｓの各部１～３、６を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御するものである。前記原料排出量演算プログラムは、所与であって、対象種類の対象製品の製造に用いられる原料における単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品に用いられた前記原料の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を求めるプログラムである。前記対象種類の対象製品は、演算対象の期間である対象期間に製造が完了し、ＣＯ２排出量を求める製品である。前記主設備単位排出量演算プログラムは、前記所定の期間ごとに、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、当該期間より過去の期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量に基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、求めるプログラムであり、前記主設備単位排出量演算プログラムは、前記単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を、前記主設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量と、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量とに基づいて求める。前記主設備は、前記工程に対応し前記工程の実施に用いられる設備である。前記工程排出量演算プログラムは、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、前記主設備単位排出量演算プログラムで求めた当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備における製造負荷の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求めるプログラムである。前記排出配賦量演算プログラムは、前記所定の期間ごとに、副設備において、当該期間における副設備に関する副設備ＣＯ２排出量の総量を、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれに、所定の割合（第１割合）で配賦することによって、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれについて、当該期間において、前記副設備が用いられる設備に関するＣＯ２排出配賦量を求めるプログラムである。前記副設備は、製品の製造に主設備を介して間接的に関与し複数の設備に対して用いられる設備である。前記付属処理排出量演算プログラムは、所与であって、所定の処理における単位当たりの第３単位ＣＯ２排出量と、前記対象期間に製造が完了した前記対象種類の対象製品の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品に対する前記所定の処理に関する付属処理ＣＯ２排出量の総量を求めるプログラムである。前記所定の処理は、前記製品の製造後から納入先への納入までの間に前記製品に対して実施される処理である。前記第１残余排出量演算プログラムは、前記対象期間における、残余排出源に関する残余ＣＯ２排出量の総量と、前記対象期間に製造が完了した製品の総量とに基づいて、前記残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量を求めるプログラムである。前記残余排出源については、後述する。前記第２残余排出量演算プログラムは、前記第１残余排出量演算プログラムで求めた前記残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量と、前記対象期間に製造が完了した前記対象種類の対象製品の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記残余排出源に関する第２残余ＣＯ２排出量の総量を求めるプログラムである。前記対象製品排出量演算プログラムは、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて前記工程排出量演算プログラムで求めた主設備で実施される工程に関する各工程ＣＯ２排出量の総和と、前記原料排出量演算プログラムで求めた前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量との和を、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量として求めるプログラムである。そして、本実施形態では、前記複数の工程のうちのいずれかの工程の終了後に廃棄されるロットアウト物であって前記終了が前記対象期間である前記ロットアウト物が、前記対象種類の対象製品とみなされ、前記ロットアウト物の製造に用いられる複数の工程のうち、前記廃棄までに実施した１または複数の工程が、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程とみなされ、前記原料排出量演算プログラムは、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量として求め、前記主設備単位排出量演算プログラムは、前記ロットアウト物における、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求め、前記工程排出量演算プログラムは、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を、前記ロットアウト物の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量として求め、前記対象製品排出量演算プログラムは、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量として求める。前記対象製品排出量演算プログラムは、前記対象種類の対象製品と同じ種類のロットアウト物が存在する場合、前記対象製品排出量演算部で求めた前記対象製品ＣＯ２排出量の総量に、前記対象製品排出量演算部で求めた前記ロットアウト物ＣＯ２排出量の総量のうち所定の付加量だけ加算して付加するプログラムである。すなわち、前記対象製品排出量演算プログラムは、ロットアウト物排出量演算プログラムとして機能し、前記ロットアウト物の製造に用いられる複数の工程のうち、前記廃棄までに実施した１または複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて前記工程排出量演算プログラムで求めた主設備で実施される工程に関する各工程ＣＯ２排出量の総和と、前記原料排出量演算プログラムで求めた前記ロットアウト物の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量との和を、前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量として求める。前記ロットアウト物の種類は、前記ロットアウト物が仮に製造が完了して製品となった場合における前記製品の種類である。前記所定の付加量は、前記対象製品排出量演算プログラムで求めた前記対象製品ＣＯ２排出量の総量のうちの所定の割合（第２割合）である。前記所定の割合（第２割合）は、前記同じ種類において、１期前期間に製造が完了した製品の第1個数と前記終了が前記１期前期間であるロットアウト物の第２個数との和に対する、前記第２個数の割合である（第２割合＝第２個数／（第１個数＋第２個数）。前記１期前期間は、前記対象期間より１個前の期間である。前記累積未配賦量演算プログラムは、前記ロットアウト物ＣＯ２排出量の総量のうち、前記排出量付加演算プログラムで前記対象製品ＣＯ２排出量の総量に加算して付加されなかった残量を前記所定の期間ごとに累積した累積未配賦量を求めるプログラムである（前記残量＝前記ロットアウト物ＣＯ２排出量の総量－前記付加量）。
【0040】
前記各種の所定のデータには、例えば、製造工程情報、製品製造実績情報、設備関連実績情報、残余排出源関連実績情報、単位排出量情報、副設備対応関係情報、演算途中の各種演算結果、最終的な演算結果等の、これら各プログラムを実行する上で必要なデータが含まれる。
【0041】
このような記憶部６は、例えば不揮発性の記憶素子であるＲＯＭ（Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）や書き換え可能な不揮発性の記憶素子であるＥＥＰＲＯＭ（Ｅｌｅｃｔｒｉｃａｌｌｙ Ｅｒａｓａｂｌｅ Ｐｒｏｇｒａｍｍａｂｌｅ Ｒｅａｄ Ｏｎｌｙ Ｍｅｍｏｒｙ）等を備える。そして、記憶部６は、前記所定のプログラムの実行中に生じるデータ等を記憶するいわゆる制御処理部４のワーキングメモリとなるＲＡＭ（Ｒａｎｄｏｍ Ａｃｃｅｓｓ Ｍｅｍｏｒｙ）等を含む。また、記憶部６は、比較的記憶容量の大きいハードディスク装置を備えて構成されてもよい。
【0042】
記憶部６は、製造工程情報、製品製造実績情報、設備関連実績情報、残余排出源関連実績情報、単位排出量情報および副設備対応関係情報それぞれを記憶するために、製造工程情報記憶部６１、製品製造実績情報記憶部６２、設備関連実績情報記憶部６３、残余排出源関連実績情報記憶部６４、単位排出量情報記憶部６５および副設備対応関係情報記憶部６６を機能的に備える。
【0043】
図２は、一例として、製造工程情報テーブルを示す図である。図２Ａは、製品Ｎｏが「Ｐ００１」である製品の製造工程情報テーブルを示し、図２Ｂは、製品Ｎｏが「Ｐ００２」である製品にかかる製造工程情報テーブルを示す。前記製品Ｎｏは、製品を特定し識別するための識別子である。図３は、一例として、製品に関する製品製造実績情報テーブルを示す図である。図４は、一例として、製品のロットに関する製品製造実績情報テーブルを示す図である。図５は、一例として、所定の期間ごとの工程の実施状況（進捗状況）を説明するための図である。図６は、一例として、設備関連実績情報テーブルを示す図である。図７は、一例として、残余排出源関連実績情報テーブルを示す図である。図８は、一例として、単位排出量情報テーブルを示す図である。図８Ａは、原料における単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量にかかる単位排出量情報テーブルを示し、図８Ｂは、主設備、副設備および残余排出源に関わる各種の単位当たりの各単位ＣＯ２排出量にかかる単位排出量情報テーブルを示し、図８Ｃは、所定の処理における単位当たりの第３単位ＣＯ２排出量にかかる単位排出量情報テーブルを示す。図９は、一例として、副設備対応関係情報マトリックスを示す図である。
【0044】
製造工程情報記憶部６１は、製造工程情報を記憶するものである。前記製造工程情報は、製品の種類ごとに、製品の製造工程を表す情報（データ）である。
【0045】
この製造工程情報は、本実施形態では、テーブル形式で製造工程情報記憶部６１に記憶されている。この製造工程情報を登録する製造工程情報テーブル１００（１００ａ、１００ｂ）は、例えば、図２に示すように、工程の順番を登録する工程順フィールド１０１（１０１ａ、１０１ｂ（１０１ｂ－１、１０１ｂ－２））と、工程順フィールド１０１に登録された順番の工程の実施に用いられる主設備を登録する設備フィールド１０２（１０２ａ、１０２ｂ（１０２ｂ－１、１０２ｂ－２））とを備え、工程ごとにレコードを持つ。前記主設備は、工程に対応し前記工程の実施に用いられる設備であり、工場で製造する製品に応じて適宜に決定される。本実施形態では、工場が上述したように、多品種の圧延鋼板を製造可能な工場であるので、前記主設備は、例えば、熔解鋳造設備、圧延設備、熱処理設備、切断設備等である。なお、同種の主設備は、１または複数であってよい。
【0046】
図２には、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品および製品Ｎｏ「Ｐ００２」の製品の２種類の各製品に対する製造工程情報テーブル１００ａ、１００ｂが示されているが、もちろん、製品の種類ごとに、製造工程情報テーブルが予め用意され、製造工程情報記憶部６１に記憶されている。
【0047】
なお、同一種類の製品が異なる工程で製造できる場合、前記異なる工程ごとに、製造工程情報テーブル１００が作成され、製造工程情報記憶部６１に記憶される。例えば、製品Ｎｏ「Ｐ００２」の製品は、図２Ｂに示すように、第１製造工程パターンと、前記第１製造工程パターンと工程の異なる第２製造工程パターンとで製造することができる。前記第１製造工程パターンは、設備名「熔解鋳造２」の主設備を用いて実施される第１工程、設備名「圧延２」の主設備を用いて実施される第２工程、設備名「圧延２」の主設備を用いて実施される第３工程、設備名「圧延３」の主設備を用いて実施される第４工程、設備名「熱処理」の主設備を用いて実施される第５工程、設備名「メッキ」の主設備を用いて実施される第６工程、および、設備名「切断２」の主設備を用いて実施される第７工程の各工程をこの順次実施するパターンである。前記第２製造工程パターンは、設備名「熔解鋳造１」の主設備を用いて実施される第１工程、設備名「圧延２」の主設備を用いて実施される第２工程、設備名「圧延３」の主設備を用いて実施される第３工程、設備名「圧延３」の主設備を用いて実施される第４工程、設備名「熱処理」の主設備を用いて実施される第５工程、設備名「メッキ」の主設備を用いて実施される第６工程、および、設備名「切断２」の主設備を用いて実施される第７工程の各工程をこの順次実施するパターンである。製品Ｎｏ「Ｐ００２」の製品にかかる製造工程情報テーブル１０２ｂは、前記第１製造工程パターンの製造工程情報を登録するテーブル１０２ｂ－１と、前記第２製造工程パターンの製造工程情報を登録するテーブル１０２ｂ－２とを備えている。
【0048】
製品製造実績情報記憶部６２は、製品製造実績情報を記憶するものである。前記製品製造実績情報は、所定の期間ごとについて、当該所定の期間における製品の製造量（生産量）を表す情報（データ）であり、本実施形態では、所定の期間ごとについて、当該所定の期間における、製品の種類ごとの製品に関する製造実績情報と、所定の期間ごとについて、当該所定の期間における、種類別の内訳に関する製造実績情報とを含む。前記内訳は、本実施形態では、例えばロットごとに纏められており、前記種類別の内訳に関する製造実績情報は、ロットに関する製造実績情報となっている。前記ロットは、同じ条件で製造される製品の製造数量であり、ロットを特定し識別するための識別子であるロットＮｏ（ロット番号、ロットＩＤ）が例えば注文ごとに割り当てられる。なお、複数の注文に１つのロットＮｏが割り当てられてもよい。前記所定の期間は、例えば１０日間や１ヶ月間や半年間等、ユーザ（オペレータ）によって適宜に予め設定される。この製品製造実績情報は、本実施形態では、テーブル形式で製品製造実績情報記憶部６２に記憶されている。
【0049】
製品の種類ごとの製品に関する製品製造実績情報を登録する製品製造実績情報テーブル２００ａは、例えば、図３に示すように、製品Ｎｏを登録する製品Ｎｏフィールド２０１ａと、製品Ｎｏフィールド２０１ａに登録された製品Ｎｏの製品の種類を登録する種類フィールド２０２ａと、前記所定の期間において、製品Ｎｏフィールド２０１に登録された製品Ｎｏの製品の製造量（生産量）を登録する生産量フィールド２０３ａと、前記所定の期間において、製品Ｎｏフィールド２０１に登録された製品Ｎｏの製品のロットアウト発生率を登録するロットアウト発生率フィールド２０４ａとを備え、製品Ｎｏ（製品の種類）ごとにレコードを持つ。前記製品Ｎｏ（製品番号）は、製品の種類を特定し、製品の種類を識別するための識別子（製品ＩＤ）である。本実施形態では、一例として、製品の種類は、製品の仕様ごとに分けられ、したがって、製品Ｎｏは、製品の種類（製品の仕様）ごとに付与されている。前記製品の仕様は、本実施形態では、品種および需要家（注文主）で分けられており、別々のタイミングで複数の注文を受けても、品種および需要家が同じであれば、前記複数の注文に同一の製品Ｎｏが付与され、前記複数の注文により製造した製品は、１つに纏められる。このため、対象種類における対象製品は、１個の場合も複数個の場合もあり得る。前記品種は、鋼板の組成ごとに分類して付与した鋼板の名称である。なお、前記品種は、製造工程に依存する製品の強度や製品の寸法をさらに含む観点から分類されてもよい。このため、本実施形態では、種類フィールド２０２は、品種を登録する品種フィールド（品種サブフィールド）２０２１ａと、需要家を登録する需要家フィールド（需要家サブフィールド）２０２２ａとを備える。前記ロットアウト発生率は、製品とロットアウト物が同じ種類である場合において、前記所定の期間に製造が完了した製品の第1個数と工程の終了が前記所定の期間であるロットアウト物の第２個数との和に対する、前記第２個数の割合である（第２割合＝第２個数／（第１個数＋第２個数）。
【0050】
各レコードの生産量フィールド２０３ａに登録された各製造量（各生産量）の総和を求めることで、前記所定の期間において、前記工場で製造した各種の各製品の総量が求められ、図３に示す例では、生産量の一部の記載が省略されているが、１５００［ｔｏｎ］となる。
【0051】
製品のロットに関する製品製造実績情報を登録する製品製造実績情報テーブル２００ｂは、例えば、図４に示すように、工程の順番を登録する工程順フィールド２１１ｂ（２１１ｂ－１～２１１ｂ－３）と、工程順フィールド２１１ｂに登録された順番の工程の実施に用いられる主設備を登録する設備フィールド２１２ｂ（２１２ｂ－１～２１２ｂ－３）と、工程順フィールド１１１ｂに登録された順番の工程の実施に用いられる主設備で前記所定の期間に製造した製造物の総量（実績重量）を登録する重量フィールド２１３ｂ（２１３ｂ－１～２１３ｂ－３）と、工程順フィールド２１１ｂに登録された順番の工程の実施に用いられる主設備に前記所定の期間での、製造にかかる総使用時間（総稼動時間、実績時間）を登録する時間フィールド２１４ｂ（２１４ｂ－１～２１４ｂ－３）と、工程順フィールド２１１ｂに登録された順番の工程を実施した期間を登録する工程実施期フィールド２１５ｂ（２１５ｂ－１～２１５ｂ－３）とを備え、工程ごとにレコードを持つ。このような製品のロットに関する製品製造実績情報テーブル２０１ｂがロットごとに設けられ、ロットＮｏに対応付けられ、さらに、製品Ｎｏに対応付けられる。図４には、製品Ｎｏ「Ｐ００１」に対応付けられたロットＮｏ「ロット０１」にさらに対応付けられた製品のロットに関する製品製造実績情報テーブル２０１ｂ－１、製品Ｎｏ「Ｐ００１」に対応付けられたロットＮｏ「ロット０２」にさらに対応付けられた製品のロットに関する製品製造実績情報テーブル２０１ｂ－２、および、製品Ｎｏ「Ｐ００１」に対応付けられたロットＮｏ「ロット０３」にさらに対応付けられた製品のロットに関する製品製造実績情報テーブル２０１ｂ－３が図示されている。
【0052】
本実施形態では、製品を製造するための複数の工程が、例えば、図５に示すように、複数の期間に亘る場合があるため、製品製造実績情報テーブル２００ｂには、工程実施期フィールド２１５ｂが設けられている。図５には、ＣＯ２排出量を求める演算対象の期間である対象期間（当期）、前記対象期間より１個前の期間（１期前期間、前期期間）、前記対象期間より２個前の期間（２期前期間）、および、前記対象期間より１個後の期間（次期期間）が図示され、例えば、ロットＮｏ「ロット０１」のロットを製造するための複数の工程は、２期前期間および１期前期間に亘っており、ロットＮｏ「ロット０４」のロットを製造するための複数の工程は、１期前期間および対象期間に亘っている。また、ロットＮｏ「ロット０４」のロットは、複数の工程のうち、工程１および工程２それぞれの実施で終了しており、ロットアウト物となっている。工程実施期フィールド２１５ｂには、工程を実施した期間を表す情報（工程実施期間情報）として、整数値が登録される。本実施形態では、前記対象期間（当期）は、整数値「０」で表され、前記１期前期間は、整数値「－１」で表され、前記２期前期間は、整数値「－２」で表され、前記対象期間より３個前の期間（３期前期間）は、整数値「－３」で表され、以下、同様に各期間が表される。
【0053】
そして、本実施形態では、出荷（輸送処理）も１つの工程とみなされ、製品のロットに関する製品製造実績情報テーブル２０１ｂは、当該製品の当該ロットにおける出荷量（実績出荷量、生産量（実績生産量））を前記重量フィールド２１３ｂに登録したレコードを持つ。
【0054】
ここで、本実施形態では、第１番目の工程における重量フィールド２１３ｂに登録されている実績値は、当該製品の当該ロットを前記所定の期間で製造する際に使用した原料の総量でもある。本実施形態では、主設備の製造負荷は、前記主設備で製造した製造物の製造量および前記主設備の使用時間のうちの少なくとも一方で表されるので、重量フィールド２１３ｂには、前記製造物の製造量の観点による前記製造負荷が登録され、時間フィールド２１４ｂには、前記使用時間の観点による前記製造負荷が登録されていることにもなる。
【0055】
このような製品製造実績情報テーブル２００ａおよび製品製造実績情報テーブル２００ｂそれぞれは、所定の期間ごとに、前記所定の期間それぞれに対応付けられて製品製造実績情報記憶部６２に記憶される。
【0056】
設備関連実績情報記憶部６３は、設備関連実績情報を記憶するものである。前記設備関連実績情報は、所定の期間ごとについて、当該所定の期間において、主設備および副設備それぞれごとに、前記主設備および副設備それぞれに掛かった各製造負荷の総量および前記主設備および副設備それぞれの稼働に伴う消費物であって二酸化炭素の排出を伴う前記消費物の各消費量を表すデータである。なお、後述の例から分かるように、消費量には、金銭の消費（経費）を含む。前記副設備は、前記製品の製造に主設備を介して間接的に関与し複数の設備（主設備および副設備を含む）に対して用いられる設備であり、前記複数の設備に応じて適宜に決定される。一例では、前記副設備は、圧延設備のロールを研磨するロール研磨設備や、各種の各設備に蒸気を供給するボイラ設備等である。
【0057】
この設備関連実績情報は、本実施形態では、テーブル形式で設備関連実績情報記憶部６３に記憶されている。この設備関連実績情報を登録する設備関連実績情報テーブル３００は、例えば、図６に示すように、設備（主設備および副設備）を特定し識別する識別子となる設備名（設備の名前（名称））を登録する設備名フィールド３０２と、設備名フィールド３０２に登録された設備名の設備が主設備であるか副設備であるかの別を登録する設備区分フィールド３０１と、設備名フィールド３０２に登録された設備名の設備における前記所定の期間での製造負荷の総量を登録する製造負荷フィールド３０３と、設備名フィールド３０２に登録された設備名の設備での消費物の消費量を登録する消費フィールド３０４とを備え、設備（設備名）ごとにレコードを持つ。製造負荷フィールド３０３は、製造負荷の単位別にサブフィールドを備え、製造負荷を重量［ｔｏｎ］（主設備での製造物の総量）で表す製造負荷の総量を登録する重量フィールド（重量サブフィールド）３０３１と、製造負荷を使用時間［ｈｒｓ］（主設備での総使用時間）で表す製造負荷の総量を登録する時間フィールド（時間サブフィールド）３０３２とを備える。消費フィールド３０４は、消費物の種類別にサブフィールドを備え、設備の稼働で消費するエネルギーの消費量を登録するエネルギーフィールド（エネルギーサブフィールド）３０４１と、設備で使われる消耗品の消費量を登録する消耗品フィールド（消耗品サブフィールド）３０４２とを備える。エネルギーフィールド３０４１は、エネルギーの種類別にサブフィールドをさらに備え、電力の消費量［ｋＷｈ］を登録する電力フィールド（電力サブフィールド）３０４１１と、液化天然ガス（ＬＮＧ）の消費量［ｋｇ］を登録するＬＮＧフィールド（ＬＮＧサブフィールド）３０４１２と、蒸気の消費量［ｋｇ］を登録する蒸気フィールド（蒸気サブフィールド）３０４１３とを備える。消耗品フィールド３０４２は、消耗品の種類別にサブフィールドをさらに備え、化学薬品の消費量を登録する化学薬品フィールド（化学薬品サブフィールド）３０４２１と、潤滑油の消費量を登録する潤滑油フィールド（潤滑油サブフィールド）３０４２２とを備える。
【0058】
なお、消費物は、上述では、エネルギーおよび消耗品であったが、これらは、例示に過ぎず、工場の種類や設備の種類等に応じた適宜なものであり、この他、例えば、灯油、耐火物、保全工事、工業用水等がある。
【0059】
このような設備関連実績情報テーブル３００は、所定の期間ごとに、前記所定の期間それぞれに対応付けられて設備関連実績情報記憶部６３に記憶される。
【0060】
残余排出源関連実績情報記憶部６４は、残余排出源関連実績情報を記憶するものである。前記残余排出源は、前記主設備、副設備がある場合には前記副設備、および、所定の処理がある場合には前記所定の処理を除く残余の、前記工場におけるＣＯ２を排出するＣＯ２排出源であり、例えば、工場内で例えば原料、製造物および製品等の物品を搬送する構内搬送装置（例えばクレーン、トラック、フォークリフト等）、製品の製造に直接的に関わりの無い、共用され得る共用施設（例えば事務所、厚生施設、実験施設等）におけるＣＯ２の排出を伴う装置（例えば室内照明装置、給湯装置、実験装置等）、工場内で産業廃棄物を処理する産業廃棄物処理（産廃処理）施設等である。前記所定の処理は、製品の製造後から納入先への納入までの間に前記製品に対して実施される処理であり、例えば、製品を検査する検査処理（例えば製品が出荷基準を満たしているか否かを検査する検査処理）、製品を梱包する梱包処理、製品を工場から納入先まで輸送する輸送処理等である。前記残余排出源関連実績情報は、所定の期間ごとについて、当該所定の期間において、残余排出源ごとに、前記残余排出源の稼働に伴う消費物であって二酸化炭素の排出を伴う前記消費物の消費量を表すデータである。
【0061】
この残余排出源関連実績情報は、本実施形態では、テーブル形式で残余排出源関連実績情報記憶部６４に記憶されている。この残余排出源関連実績情報を登録する残余排出源関連実績情報テーブル４００は、例えば、図７に示すように、残余排出源の名称を登録する名称フィールド４０１と、名称フィールド４０１に登録された名称の残余排出源での消費物の消費量を登録する消費フィールド４０２とを備え、残余排出源ごとにレコードを持つ。消費フィールド４０２は、消費物の種類別にサブフィールドを備え、電力の消費量［ｋＷｈ］を登録する電力フィールド（電力サブフィールド）４０２１と、軽油の消費量［ｋＬ］を登録する軽油フィールド（軽油サブフィールド）４０２２と、経費［千円］を登録する経費フィールド（経費サブフィールド）４０２３とを備える。産業廃棄物処理施設において、産業廃棄物の処理に伴うＣＯ２排出量は、本実施形態では、経費から換算される都合上、経費フィールド４０２３が設けられている。
【0062】
このような残余排出源関連実績情報テーブル４００は、所定の期間ごとに、前記所定の期間それぞれに対応付けられて残余排出源関連実績情報記憶部６４に記憶される。
【0063】
単位排出量情報記憶部６５は、単位排出量情報を記憶するものである。前記単位排出量情報は、上述した製品製造実績情報、設備関連実績情報および残余排出源関連実績情等の実績値をＣＯ２排出量に換算するための係数である単位当たりのＣＯ２排出量（単位ＣＯ２排出量、排出係数）を表すデータである。
【0064】
この単位排出量情報は、本実施形態では、テーブル形式で単位排出量情報記憶部６５に記憶されている。この単位排出量情報を登録する単位排出量情報テーブルは、例えば、図８Ａないし図８Ｃに示すように、３個の第１ないし第３単位排出量情報テーブル５００ａ～５００ｃを備えて構成されている。なお、単位排出量情報テーブルは、１個のテーブルに纏められてよく、２個や４個以上のテーブルであってもよく、テーブルの個数は、任意である。
【0065】
第１単位排出量情報テーブル５００ａは、原料における単位当たりのＣＯ２排出量（単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量）を登録するテーブルである。本実施形態では、原料は、当該原料から製造される品種によって決定されるので、第１単位排出量情報テーブル５００ａでは、単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量は、品種と対応付けられている。このため、第１単位排出量情報テーブル５００ａは、例えば、図８Ａに示すように、品種を登録する品種フィールド５０１ａと、品種フィールド５０１ａに登録された品種に対応する単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量を登録する排出係数フィールド５０２ａとを備え、品種ごとにレコードを持つ。なお、単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量を品種と対応付けることは、例示に過ぎず、これに限定されず、もちろん、単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量は、原料（原料名）と対応付けられてもよい。
【0066】
第２単位排出量情報テーブル５００ｂは、各種の単位当たりのＣＯ２排出量（単位ＣＯ２排出量）を登録するテーブルであり、本実施形態では、例えば、消費物における単位当たりのＣＯ２排出量（消費物単位ＣＯ２排出量）および産業廃棄物処理施設での産業廃棄物の処理（産廃処理）における単位当たりのＣＯ２排出量（産廃処理単位ＣＯ２排出量）等である。第２単位排出量情報テーブル５００ｂは、例えば、図８Ｂに示すように、名称（消費物名や産廃処理等）を登録する名称フィールド５０１ｂと、名称フィールド５０１ｂに登録された名称の単位ＣＯ２排出量を登録する排出係数フィールド５０３ｂと、排出係数フィールド５０３ｂ登録された単位ＣＯ２排出量の単位を登録する単位フィールド５０２ｂとを備え、名称ごとにレコードを持つ。
【0067】
第３単位排出量情報テーブル５００ｃは、前記所定の処理における単位当たりのＣＯ２排出量（単位当たりの第３単位ＣＯ２排出量）を登録するテーブルであり、本実施形態では、前記所定の処理のうちの輸送処理における単位当たりのＣＯ２排出量（輸送処理単位ＣＯ２排出量）を登録するテーブルである。本実施形態では、輸送処理では、そのＣＯ２排出量は、一般に、輸送距離、輸送される製品の総重量および輸送手段等に応じて決まるが、本実施形態では、需要家により、これらが決まるものとし、第３単位排出量情報テーブル５００ｃでは、輸送処理単位ＣＯ２排出量は、需要家と対応付けられている。このため、第３単位排出量情報テーブル５００ａは、例えば、図８Ｃに示すように、需要家を登録する需要家フィールド５０１ｃと、需要家フィールド５０１ｃに登録された需要家に対応する輸送処理単位ＣＯ２排出量を登録する排出係数フィールド５０２ｃとを備え、需要家ごとにレコードを持つ。なお、輸送処理単位ＣＯ２排出量を需要家と対応付けることは、例示に過ぎず、これに限定されない。
【0068】
副設備対応関係情報記憶部６６は、副設備対応関係情報を記憶するものである。副設備は、上述したように、前記製品の製造に主設備を介して間接的に関与し、複数の設備（主設備および当該副設備に対する他の副設備を含む）に対して用いられる設備であることから、前記副設備対応関係情報は、当該副設備を用いる設備を表すデータである。
【0069】
この副設備対応関係情報は、２次元マトリックス形式で副設備対応関係情報記憶部６６に記憶されている。この副設備対応関係情報を登録する副設備対応関係情報マトリックス６００は、例えば、図９に示すように、当該副設備を共用する設備の各名称を登録する各列６０１－１～６０１－１１と、副設備の各名称を登録する各行６０２－１、６０２－２とを備え、設備の各列６０１－１～６０１－１１と副設備の各行６０２－１、６０２－とが交差する各欄には、当該設備が当該副設備を使用する場合には、その旨を表すフラグ「１」が登録され、当該設備が当該副設備を使用しない場合には、その旨を表すために、空欄とされる。なお、当該設備が当該副設備を使用しない場合には、その旨を表すフラグ「０」が登録されてもよい。図９に示す例では、３個の圧延１、圧延２および圧延３は、副設備のロール研磨設備を共用している。
【0070】
対象種類の対象製品に関するＣＯ２排出量を求めるための各種の実績値が、所定の期間における対象種類の対象製品に関するＣＯ２排出量の演算開始前に、予め記憶部６に記憶される。実績値は、入力部１から入力されてよく、実績値を記憶した記憶媒体（例えばＵＳＢメモリやＳＤカード（登録商標）等）からＩＦ部３を介して入力されてよく、実績値を記録した記録媒体（例えばＣＤ－ＲやＤＶＤ－Ｒ等）から、そのドライブ装置およびＩＦ部３を介して入力されてよく、実績値を管理する管理サーバ装置から通信ネットワークおよびＩＦ部３を介して入力されてよく、主設備や副設備から通信ネットワークおよびＩＦ部３を介して収集され入力されてもよい。
【0071】
本実施形態では、主設備における単位当たりのＣＯ２排出量（単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量）および残余排出源における単位製品当たりのＣＯ２排出量（単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量）は、後述のように演算されて求められるが、その他の各種の単位ＣＯ２排出量は、所与であって、予め単位排出量情報記憶部６５に記憶される。なお、前記主設備における単位当たりのＣＯ２排出量には、後述のように、副設備のＣＯ２排出量が含まれる。
【0072】
図１０は、一例として、主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量の総量および副設備に関する副設備ＣＯ２排出量の総量の各演算方法を説明するための図である。図１１は、一例として、副設備が用いられる主設備に関するＣＯ２排出配賦量の演算方法を説明するための図である。図１２は、一例として、主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量の演算方法を説明するための図である。図１３は、一例として、主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量の演算方法を説明するための図である。図１４は、一例として、所定の期間ごとの主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を説明するための図である。図１５は、一例として、残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量の演算方法を説明するための図である。図１６は、一例として、ロットアウト物に関する各演算結果の出力例を示す図である。図１７は、一例として、各演算結果の出力例を示す図である。
【0073】
図１に戻って、制御処理部４は、二酸化炭素排出量演算装置Ｓの各部１～３、６を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、対象種類の対象製品に関するＣＯ２排出量を求めるための回路である。制御処理部４は、例えば、ＣＰＵ（Ｃｅｎｔｒａｌ Ｐｒｏｃｅｓｓｉｎｇ Ｕｎｉｔ）およびその周辺回路を備えて構成される。制御処理部４には、前記制御処理プログラムが実行されることによって、制御部４１、原料排出量演算部４２、主設備単位排出量演算部４３、工程排出量演算部４４、排出配賦量演算部４５、付属処理排出量演算部４６、第１残余排出量演算部４７、第２残余排出量演算部４８、対象製品排出量演算部４９、排出量付加演算部５０および累積未配賦量演算部５１が機能的に構成される。
【0074】
制御部４１は、二酸化炭素排出量演算装置Ｓの各部１～３、６を当該各部の機能に応じてそれぞれ制御し、二酸化炭素排出量演算装置Ｓの全体の制御を司るものである。
【0075】
原料排出量演算部４２は、所与であって、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる原料における単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品に用いられた前記原料の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を求めるものである。
【0076】
例えば、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品を対象種類の対象製品として、原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を求める場合、本実施形態では上述したように、前記所定の期間に製造された対象種類の対象製品に用いられた原料の量がロットごとに製品製造実績情報テーブル２００ｂに登録されているので、例えば図４に示す製品製造実績情報テーブル２０１ｂ－１～２０１ｂ－３が対象期間に対応する実績値を登録するテーブルとすると、原料排出量演算部４２は、まず、製品製造実績情報記憶部６２に記憶されている、製品Ｎｏ「Ｐ００１」における各ロットの製品製造実績情報テーブル２０１ｂ－１～２０１ｂ－３それぞれから、第１番目の工程における各重量フィールド２１３ｂ－１～２１３ｂ－３それぞれに登録されている実績値「１３」［ｔｏｎ］、「５」［ｔｏｎ］、「２６」［ｔｏｎ］を取り出し（読み込み）、これらの総和「４４」（＝１３＋５＋２６）［ｔｏｎ］を原料の総量として求める。ここで、ロットＮｏ「ロット０２」のものは、第３工程以降の製造負荷が０であるため、ロットアウト物であると判定され、前記対象期間に製造された対象種類の対象製品に用いられた原料の総量から除かれる。このため、図４に示す例では、工程排出量演算部４４は、製品製造実績情報記憶部６２に記憶されている、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品における各ロットの製品製造実績情報テーブル２０１ｂ－１、２０１ｂ－３それぞれから、第１番目の工程における各重量フィールド２１３ｂ－１、２１３ｂ－３それぞれに登録されている実績値「１３」［ｔｏｎ］、「２６」［ｔｏｎ］を取り出し、これらの総和「３９」（＝１３＋２６）［ｔｏｎ］を原料の総量として求める。
【0077】
ここで、原料排出量演算部４２は、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品におけるロットアウト発生率を求め、この求めたロットアウト発生率を、製品製造実績情報記憶部６２に記憶されている製品製造実績情報テーブル２００ａにおけるロットアウト発生率フィールド２０４ａに登録してもよい。図４に示す例では、ロット単位において、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品の第１個数「２」および製品Ｎｏ「Ｐ００１」のロットアウト物の第２個数「１」から、ロットアウト発生率「３３」（＝１／（２＋１））［％］が求められ、製品製造実績情報テーブル２００ａに登録される。
【0078】
続いて、本実施形態では上述したように、原料における単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量が品種に対応付けられて第１単位排出量情報テーブル５００ａに登録されているので、原料排出量演算部４２は、製品製造実績情報記憶部６２に記憶されている製品製造実績情報テーブル２００ａから、製品Ｎｏフィールド２０１ａに「Ｐ００１」を登録するレコードを検索して選定し、この選定したレコードにおける品種フィールド２０２１ａに登録されている品種「Ｈ１」を取り出す。続いて、原料排出量演算部４２は、単位排出量情報記憶部６５に記憶されている第１単位排出量情報テーブル５００ａから、品種フィールド５０１ａに「Ｈ１」を登録するレコードを検索して選定し、この選定したレコードにおける排出係数フィールド５０２ａに登録されている原料における単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量「１．２」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］を取り出す。そして、原料排出量演算部４２は、原料における単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量「１．２」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］に、前記対象期間に製造された前記対象種類の対象製品に用いられた前記原料の総量「３９」［ｔｏｎ］を乗算することによって、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量「４６．８」（＝１．２×３９）［ｔＣＯ２］を求める。
【0079】
排出配賦量演算部４５は、前記所定の期間ごとに、前記副設備において、当該期間における副設備に関する副設備ＣＯ２排出量の総量を、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれに、所定の割合で配賦することによって、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれについて、前記副設備が用いられる設備に関するＣＯ２排出配賦量を求めるものである。本実施形態では、排出配賦量演算部４５は、前記所定の期間ごとに、当該期間において、前記副設備の稼働に伴う消費物であって二酸化炭素の排出を伴う前記消費物の総量と、前記消費物における単位当たりのＣＯ２排出量（単位当たりの第５単位ＣＯ２排出量）とに基づいて、当該期間における副設備に関する副設備ＣＯ２排出量の総量を、求める。前記所定の割合は、例えば、予め適宜に設定されて記憶部６に記憶されてよいが、本実施形態では、後述のように、実績値から求められる（演算される）。前記所定の割合は、例えば、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれでの、前記副設備で製造した製造物の使用割合である。あるいは、例えば、前記所定の割合は、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれでの、前記複数の設備それぞれで製造した各製造物の各製造量の割合である。
【0080】
図６に示す例では、副設備は、ロール研磨設備およびボイラ設備であるので、これらについてより具体的に説明する。
【0081】
ボイラ設備の場合では、排出配賦量演算部４５は、まず、設備関連実績情報記憶部６３に記憶されている設備関連実績情報から、ボイラ設備の稼働に伴う消費物の消費量を取り出す。図６に示す例では、排出配賦量演算部４５は、まず、設備関連実績情報記憶部６３に記憶されている設備関連実績情報テーブル３００から、設備名フィールド３０２に、設備名「ボイラ」を登録する各レコードを検索して選定し、この選定した各レコードにおける消費フィールド３０４に登録されている消費物の消費量を取り出す。例えば、前記「ボイラ」のレコードから、その電力の消費量として「２０００」［ｋＷｈ］が取り出され、ＬＮＧの消費量として「２０００」［ｋｇ］が取り出される。続いて、排出配賦量演算部４５は、単位排出量情報記憶部６５に記憶されている単位排出量情報から、ボイラ設備の稼働に伴う消費物における単位当たりの第５単位ＣＯ２排出量を取り出す。図８Ｂに示す例では、排出配賦量演算部４５は、単位排出量情報記憶部６５に記憶されている第２単位排出量情報テーブル５００ｂから、名称フィールド５０１ｂに、「電力」および「ＬＮＧ」それぞれを登録する各レコードを検索して選定し、これら選定した各レコードにおける排出係数フィールド５０３ｂおよび単位フィールド５０２ｂそれぞれに登録されている電力およびＬＮＧの単位当たりの各第５単位ＣＯ２排出量ならびにそれらの各単位を取り出す。電力の第５単位ＣＯ２排出量（電力単位ＣＯ２排出量）「０．０００５」［ｔＣＯ２／ｋＷｈ］が取り出され、ＬＮＧの第５単位ＣＯ２排出量（ＬＮＧ単位ＣＯ２排出量）「０．００４」［ｔＣＯ２／ｋｇ］が取り出される。続いて、図１０に示すように、排出配賦量演算部４５は、電力の消費量「２０００」［ｋＷｈ］にその電力単位ＣＯ２排出量「０．０００５」［ｔＣＯ２／ｋＷｈ］を乗算することによって、当該期間における電力に関するＣＯ２排出量の総量「１」［ｔＣＯ２］を求め、ＬＮＧの消費量「２０００」［ｋｇ］にそのＬＮＧ単位ＣＯ２排出量「０．００４」［ｔＣＯ２／ｋｇ］を乗算することによって、当該期間におけるＬＮＧに関するＣＯ２排出量の総量「８」［ｔＣＯ２］を求め、これらの総和を求めることによって、前記所定の期間における副設備のボイラ設備に関する副設備ＣＯ２排出量（ボイラ設備ＣＯ２排出量）の総量「１０」［ｔＣＯ２］を、求める。前記電力に関するＣＯ２排出量の総量「１」［ｔＣＯ２］とＬＮＧに関するＣＯ２排出量の総量「８」［ｔＣＯ２］との和は、「９」［ｔＣＯ２］であるが、後述の説明の都合上、図略の消費物に関するＣＯ２排出量の総量「１」［ｔＣＯ２］が加えられ、ボイラ設備ＣＯ２排出量の総量は、「１０」［ｔＣＯ２］とされている。
【0082】
前記所定の割合には、副設備がボイラ設備である場合、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれでの、前記副設備で製造した製造物の使用割合（使用比率）が用いられる。より具体的には、排出配賦量演算部４５は、まず、ボイラ設備で製造される蒸気を使用する設備を、副設備対応関係情報記憶部６６に記憶されている副設備対応関係情報（図９に示す例では副設備対応関係情報マトリックス６００）から取り出す。図９に示す例では、フラグ「１」が登録されている設備名「熔解鋳造１」の主設備、設備名「熔解鋳造２」の主設備、設備名「圧延１」の主設備、設備名「圧延２」の主設備、設備名「圧延３」の主設備、設備名「熱処理」の主設備、設備名「メッキ」の主設備、設備名「切断２」の主設備および設備名「ロール研磨」の副設備が取り出される。続いて、排出配賦量演算部４５は、設備関連実績情報記憶部６３に記憶されている設備関連実績情報から、ボイラ設備で製造される蒸気を使用する設備における蒸気の使用量を取り出す。図６に示す例では、排出配賦量演算部４５は、設備関連実績情報記憶部６３に記憶されている設備関連実績情報テーブル３００から、設備名フィールド３０２に「熔解鋳造１」、「熔解鋳造２」、「圧延１」、「圧延２」、「圧延３」、「熱処理」、「メッキ」、「切断２」および「ロール研磨」それぞれを登録する各レコードを検索して選定し、これら各レコードにおける蒸気フィールド３０４１３に登録されている蒸気の各使用量「０」［ｋｇ］、「０」［ｋｇ］、「４００」［ｋｇ］、「１２００」［ｋｇ］、「８００」［ｋｇ］、「４００」［ｋｇ］、「８００」［ｋｇ］、「０」［ｋｇ］、「０」［ｋｇ］および「４００」［ｋｇ］を取り出す。そして、排出配賦量演算部４５は、図１１Ａに示すように、これら取り出した蒸気の各使用量から、ボイラ設備の蒸気の使用割合（蒸気使用比率）を求め、この求めた使用割合（蒸気使用比率）に、ボイラ設備ＣＯ２排出量の総量「１０」［ｔＣＯ２］を乗算することによって、ボイラ設備が用いられる前記複数の設備それぞれについて、前記ボイラ設備が用いられる設備に関する各ＣＯ２排出配賦量を求める。例えば、設備名「圧延１」の主設備には、蒸気使用比率０．１にボイラ設備ＣＯ２排出量の総量「１０」［ｔＣＯ２］が乗算され、１［ｔＣＯ２］がそのＣＯ２排出配賦量として求められる。また例えば、設備名「ロール研磨」の副設備には、蒸気使用比率０．１にボイラ設備ＣＯ２排出量の総量「１０」［ｔＣＯ２］が乗算され、１［ｔＣＯ２］がそのＣＯ２排出配賦量として求められる。
【0083】
ロール研磨設備の場合では、排出配賦量演算部４５は、まず、設備関連実績情報記憶部６３に記憶されている設備関連実績情報から、ロール研磨設備の稼働に伴う消費物の消費量を取り出す。図６示す例では、排出配賦量演算部４５は、まず、設備関連実績情報記憶部６３に記憶されている設備関連実績情報テーブル３００から、設備名フィールド３０２に、設備名「ロール研磨」を登録する各レコードを検索して選定し、この選定した各レコードにおける消費フィールド３０４に登録されている消費物の消費量を取り出す。例えば、前記「ロール研磨」のレコードから、その電力の消費量として「１００００」［ｋＷｈ］が取り出され、蒸気の消費量として「４００」［ｋｇ］が取り出され、潤滑油の消費量として５［ｋＬ］が取り出される。続いて、排出配賦量演算部４５は、単位排出量情報記憶部６５に記憶されている単位排出量情報から、ロール研磨設備の稼働に伴う消費物における単位当たりの第５単位ＣＯ２排出量を取り出す。上述したように、排出配賦量演算部４５は、蒸気に関するＣＯ２排出量の総量「１」［ｔＣＯ２］を既に求めているので、「電力」の第５単位ＣＯ２排出量および「潤滑油」の第５単位ＣＯ２排出量を取り出す。図８Ｂに示す例では、排出配賦量演算部４５は、単位排出量情報記憶部６５に記憶されている第２単位排出量情報テーブル５００ｂから、名称フィールド５０１ｂに、「電力」および「潤滑油」それぞれを登録する各レコードを検索して選定し、これら選定した各レコードにおける排出係数フィールド５０３ｂおよび単位フィールド５０２ｂそれぞれに登録されている電力および潤滑油の単位当たりの各第５単位ＣＯ２排出量ならびにそれらの各単位を取り出す。電力の第５単位ＣＯ２排出量（電力単位ＣＯ２排出量）「０．０００５」［ｔＣＯ２／ｋＷｈ］が取り出され、潤滑油の第５単位ＣＯ２排出量（潤滑油単位ＣＯ２排出量）「０．８」［ｔＣＯ２／ｋＬ］が取り出される。続いて、図１０に示すように、排出配賦量演算部４５は、電力の消費量「１００００」［ｋＷｈ］にその電力単位ＣＯ２排出量「０．０００５」［ｔＣＯ２／ｋＷｈ］を乗算することによって、前記所定の期間における電力に関するＣＯ２排出量の総量「５」［ｔＣＯ２］を求め、潤滑油の消費量「５」［ｋＬ］にその潤滑油単位ＣＯ２排出量「０．８」［ｔＣＯ２／ｋＬ］を乗算することによって、前記所定の期間における潤滑油に関するＣＯ２排出量の総量「４」［ｔＣＯ２］を求め、これらの総和を求め、この総和に、上述の、蒸気に関するＣＯ２排出量の総量「１」［ｔＣＯ２］を加算することによって、前記所定の期間における副設備のロール研磨設備に関する副設備ＣＯ２排出量（ロール研磨設備ＣＯ２排出量）の総量「１０」［ｔＣＯ２］を、求める。
【0084】
前記所定の割合には、副設備がロール研磨設備である場合、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれでの、前記複数の設備それぞれで製造した各製造物の各製造量の割合が用いられる。図１１Ｂに示す例では、製造量の割合は、重量で表されているが、これに限定されず、例えば製造物の種類等に応じて適宜に設定され、例えば処理した製造物の体積等で表されてもよい。より具体的には、排出配賦量演算部４５は、まず、ロール研磨設備を使用する設備を、副設備対応関係情報記憶部６６に記憶されている副設備対応関係情報（図９に示す例では副設備対応関係情報マトリックス６００）から取り出す。図９に示す例では、フラグ「１」が登録されている設備名「圧延１」の主設備、設備名「圧延２」の主設備よび設備名「圧延３」の主設備が取り出される。続いて、排出配賦量演算部４５は、設備関連実績情報記憶部６３に記憶されている設備関連実績情報から、ロール研磨設備を使用する設備における製造物の製造量を取り出す。図６に示す例では、排出配賦量演算部４５は、設備関連実績情報記憶部６３に記憶されている設備関連実績情報テーブル３００から、設備名フィールド３０２に「圧延１」、「圧延２」および「圧延３」それぞれを登録する各レコードを検索して選定し、これら各レコードにおける重量フィールド３０３１に登録されている各重量「６００」［ｔｏｎ］、「２０００」［ｔｏｎ］および「１４００」［ｔｏｎ］を取り出す。そして、排出配賦量演算部４５は、図１１Ｂに示すように、これら取り出した各重量から、製造物の製造量の割合、ここでは重量比率を求め、この求めた製造物の製造量の割合、重量比率に、ロール研磨設備ＣＯ２排出量の総量「１０」［ｔＣＯ２］を乗算することによって、ロール研磨設備が用いられる前記複数の設備それぞれについて、前記ロール研磨設備が用いられる設備に関する各ＣＯ２排出配賦量を求める。例えば、設備名「圧延１」の主設備には、重量比率０．１５にロール研磨設備ＣＯ２排出量の総量「１０」［ｔＣＯ２］が乗算され、１．５［ｔＣＯ２］がそのＣＯ２排出配賦量として求められる。
【0085】
本実施形態では、前記ボイラ設備ＣＯ２排出量の総量「１０」［ｔＣＯ２］のうち、ロール研磨設備で使用される蒸気に関するＣＯ２排出量の総量「１」［ｔＣＯ２］は、前記ロール研磨設備が用いられる設備に関する各ＣＯ２排出配賦量を介して、後述のように、主設備に割り付けられる。
【0086】
このようなＣＯ２排出配賦量の演算を、排出配賦量演算部４５は、所定の期間ごとに、実行し、前記所定の期間ごとの、副設備が用いられる設備に関するＣＯ２排出配賦量を求める。
【0087】
主設備単位排出量演算部４３は、前記所定の期間ごとに、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、当該期間より過去の期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量に基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、求めるものである。
【0088】
そして、主設備単位排出量演算部４３は、主設備に所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量と、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量とに基づいて、前記単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を求める。例えば、前記製造負荷の総量は、主設備で製造した製造物の総量で表され、前記主設備単位排出量演算部４３は、主設備で前記所定の期間に製造した製造物の総量と、前記製造物の総量の製造に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量とに基づいて、前記単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を求める。あるいは例えば、前記製造負荷の総量は、主設備の総使用時間で表され、前記主設備単位排出量演算部４３は、主設備に前記所定の期間での製造でかかる総使用時間と、前記総使用時間の使用に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量とに基づいて、前記単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を求める。
【0089】
主設備単位排出量演算部４３は、主設備の稼働に伴う消費物であって二酸化炭素の排出を伴う前記消費物の総量と、前記消費物における単位当たりの第５単位ＣＯ２排出量とに基づいて、当該主設備に前記所定の期間での製造でかかる前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量を、求める。
【0090】
そして、本実施形態では、主設備単位排出量演算部４３は、当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量（単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量）を求める際に、当該主設備に対して前記副設備がある場合、前記排出配賦量演算部４５で求めた、当該期間において、当該主設備に対応する設備に関するＣＯ２排出配賦量を、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量に加算することによって、新たな、前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量を求め、前記求めた新たな前記製造負荷の総量に対する前記主設備に関するＣＯ２排出量の総量に基づいて、当該期間の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を求める。
【0091】
より詳しくは、主設備単位排出量演算部４３は、前記所定の期間ごとに、当該期間より過去の複数の期間での所定の主設備における単位当たりの各調整前第２単位ＣＯ２排出量を求め、当該期間より過去の複数の期間の前記主設備における単位当たりの各調整前第２単位ＣＯ２排出量を加重平均することによって当該期間の前記主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求め、このように求められる当該期間の前記主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、求める。
【0092】
まず、単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量は、次のように求められる。
【0093】
例えば、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品が対象種類の対象製品である場合、前記対象種類の対象製品を製造する際の複数の工程を求めるために、主設備単位排出量演算部４３は、まず、製造工程情報記憶部６１に記憶されている、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品にかかる製造工程情報テーブル１００ａから、製品Ｎｏ「Ｐ００１」である製品を製造する際の全ての工程を取り出す。図２Ａに示す例では、設備名「熔解鋳造１」の主設備で実施される第１番目の工程、設備名「圧延１」の主設備で実施される第２番目の工程、設備名「圧延２」の主設備で実施される第３番目の工程、設備名「熱処理」の主設備で実施される第４番目の工程および設備名「切断１」の主設備で実施される第５番目の工程が取り出される。続いて、主設備単位排出量演算部４３は、第１ないし第５番目の各工程それぞれに対応する各主設備それぞれについて、設備関連実績情報記憶部６３に記憶されている設備関連実績情報から、当該主設備の稼働に伴う消費物の消費量を取り出す。図２Ａおよび図６に示す例では、主設備単位排出量演算部４３は、設備関連実績情報記憶部６３に記憶されている設備関連実績情報テーブル３００から、設備名フィールド３０２に、第１ないし第５番目の各工程で用いられる各主設備の設備名「熔解鋳造１」、「圧延１」、「圧延２」、「熱処理」および「切断１」それぞれを登録する各レコードを検索して選定し、これら選定した各レコードにおける消費フィールド３０４に登録されている各消費物の各消費量を取り出す。例えば、「熔解鋳造１」のレコードから、ＬＮＧの消費量として「８００００」［ｋｇ］および化学薬品の消費量として「６０００」［千円］が取り出される。続いて、主設備単位排出量演算部４３は、単位排出量情報記憶部６５に記憶されている単位排出量情報から、主設備の稼働に伴う消費物における単位当たりの第５単位ＣＯ２排出量を取り出す。図８Ｂに示す例では、主設備単位排出量演算部４３は、単位排出量情報記憶部６５に記憶されている第２単位排出量情報テーブル５００ｂから、名称フィールド５０１ｂに、「ＬＮＧ」および「化学薬品」それぞれを登録する各レコードを検索して選定し、これら選定した各レコードにおける排出係数フィールド５０３ｂおよび単位フィールド５０２ｂそれぞれに登録されているＬＮＧおよび化学薬品の単位当たりの各第５単位ＣＯ２排出量ならびにそれらの各単位を取り出す。ＬＮＧの第５単位ＣＯ２排出量（ＬＮＧ単位ＣＯ２排出量）「０．００４」［ｔＣＯ２／ｋｇ］が取り出され、化学薬品の第５単位ＣＯ２排出量（化学薬品単位ＣＯ２排出量）「０．０１」［ｔＣＯ２／千円］が取り出される。続いて、図１０に示すように、主設備単位排出量演算部４３は、ＬＮＧの消費量「８００００」［ｋｇ］にそのＬＮＧ単位ＣＯ２排出量「０．００４」［ｔＣＯ２／ｋｇ］を乗算することによって、前記所定の期間におけるＬＮＧに関するＣＯ２排出量の総量「３２０」［ｔＣＯ２］を求め、化学薬品の消費量「６０００」［千円］にその化学薬品単位ＣＯ２排出量「０．０１」［ｔＣＯ２／千円］を乗算することによって、前記所定の期間における化学薬品に関するＣＯ２排出量の総量「６０」［ｔＣＯ２］を求め、これらの総和を求めることによって、設備名「熔解鋳造１」の当該主設備で前記所定の期間に製造した前記製造物の総量の製造に対する、設備名「熔解鋳造１」の当該主設備に関するＣＯ２排出量の総量「４２０」［ｔＣＯ２］を求める。同様に、設備名「圧延１」、「圧延２」、「熱処理」および「切断１」の各主設備について、当該主設備で前記所定の期間に製造した前記製造物の総量の製造に対する当該主設備に関するＣＯ２排出量の総量「４８」［ｔＣＯ２］、「６０」［ｔＣＯ２］、「４８」［ｔＣＯ２］および「８」［ｔＣＯ２］それぞれが、求められる。
【0094】
ここで、設備名「圧延１」の主設備のように、当該主設備に対して前記副設備がある場合、主設備単位排出量演算部４３は、上述のように排出配賦量演算部４５で求めた、当該主設備に対応する設備に関するＣＯ２排出配賦量を、前記製造負荷の総量に対する当該主設備に関するＣＯ２排出量の総量に加算することによって、新たな、前記製造負荷の総量に対する当該主設備に関するＣＯ２排出量の総量を求める。例えば、設備名「圧延１」の主設備の場合、図１０に示すように、主設備単位排出量演算部４３は、電力の消費量「５００００」［ｋＷｈ］にその電力単位ＣＯ２排出量「０．０００５」［ｔＣＯ２／ｋＷｈ］を乗算することによって、前記所定の期間における電力に関するＣＯ２排出量の総量「２５」［ｔＣＯ２］を求め、潤滑油の消費量「５」［ｋＬ］にその潤滑油単位ＣＯ２排出量「０．８」［ｔＣＯ２／ｋＬ］を乗算することによって、前記所定の期間における潤滑油に関するＣＯ２排出量の総量「４」［ｔＣＯ２］を求め、これらの総和を求めることによって、設備名「圧延１」の当該主設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量量に対する、設備名「圧延１」の当該主設備に関するＣＯ２排出量の総量「４５．５」［ｔＣＯ２］を求める。前記電力に関するＣＯ２排出量の総量「２５」［ｔＣＯ２］と潤滑油に関するＣＯ２排出量の総量「４」［ｔＣＯ２］との和は、「２９」［ｔＣＯ２］であるが、説明の都合上、図略の消費物に関するＣＯ２排出量の総量「１６．５」［ｔＣＯ２］が加えられ、設備名「圧延１」の当該主設備に関するＣＯ２排出量の総量は、「４５．５」［ｔＣＯ２］とされている。そして、さらに、図１２に示すように、主設備単位排出量演算部４３は、設備名「圧延１」の当該主設備に関するＣＯ２排出量の総量「４５．５」［ｔＣＯ２］に、排出配賦量演算部４５で求めた、当該主設備に対応する設備に関するＣＯ２排出配賦量である、ボイラ設備による、設備名「圧延１」の主設備に対するＣＯ２排出配賦量「１」［ｔＣＯ２］およびロール研磨設備による、設備名「圧延１」の主設備に対するＣＯ２排出配賦量「１．５」［ｔＣＯ２］を加算することによって、新たな、設備名「圧延１」の当該主設備に関するＣＯ２排出量の総量「４８」［ｔＣＯ２］を求める。
【0095】
続いて、主設備単位排出量演算部４３は、第１ないし第５番目の各工程それぞれに対応する各主設備それぞれについて、設備関連実績情報記憶部６３に記憶されている設備関連実績情報から、当該主設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量を取り出す。図２Ａおよび図６に示す例では、主設備単位排出量演算部４３は、設備関連実績情報記憶部６３に記憶されている設備関連実績情報テーブル３００から、設備名フィールド３０２に、第１ないし第５番目の各工程で用いられる各主設備の設備名「熔解鋳造１」、「圧延１」、「圧延２」、「熱処理」および「切断１」それぞれを登録する各レコードを検索して選定し、これら選定した各レコードにおける製造負荷フィールド３０３に登録されている各製造負荷の各総量を取り出す。例えば、設備名「熔解鋳造１」のレコードから、製造物の総量として「１２００」［ｔｏｎ］が取り出される。また例えば、設備名「圧延１」のレコードから、製造物の総量として「６００」［ｔｏｎ］が取り出され、総使用時間として「１２０」［ｈｒｓ］が取り出される。
【0096】
そして、主設備単位排出量演算部４３は、第１ないし第５番目の各工程それぞれに対応する各主設備それぞれについて、上述のように求めた、当該主設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量と、上述のように求めた、前記製造負荷の総量に対する当該主設備に関するＣＯ２排出量の総量とに基づいて、当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量を、求める。例えば、図１２に示すように、主設備単位排出量演算部４３は、設備名「熔解鋳造１」の主設備について、設備名「熔解鋳造１」の当該主設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量としての製造物の総量「１２００」［ｔｏｎ］で、前記製造負荷の総量に対する、設備名「熔解鋳造１」の当該主設備に関するＣＯ２排出量の総量「４２０」［ｔＣＯ２］を除算することによって、設備名「熔解鋳造１」の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量（熔解鋳造１調整前単位ＣＯ２排出量）「０．３５」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］を、求める（４２０／１２００＝０．３５）。また例えば、主設備単位排出量演算部４３は、設備名「圧延１」の主設備について、設備名「圧延１」の当該主設備に前記所定の期間での製造でかかる製造負荷の総量としての製造物の総量「６００」［ｔｏｎ］および総使用時間「１２０」［ｈｒｓ］それぞれで、前記製造負荷の総量に対する、設備名「圧延１」の当該主設備に関するＣＯ２排出量の総量「４８」［ｔＣＯ２］を除算することによって、設備名「圧延１」の当該主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量（圧延１調整前単位ＣＯ２排出量）「０．０８」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］および「０．４」［ｔＣＯ２／ｈｒｓ］それぞれを、求める（４８／６００＝０．０８、４８／１２０＝０．４）。同様に、設備名「圧延２」、「熱処理」および「切断１」の各主設備について、各第２単位ＣＯ２排出量「０．０３」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］および「０．３」［ｔＣＯ２／ｈｒｓ］、「０．０３」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］ならびに「０．０１」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］が求められる。
【0097】
なお、上述のように、設備名「圧延１」の主設備における製造負荷の総量として製造物の総量「６００」［ｔｏｎ］および総使用時間「１２０」［ｈｒｓ］の両方が取り出され、各単位［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］、［ｔＣＯ２／ｈｒｓ］の各調整前第２単位ＣＯ２排出量が求められてよいが、設備名「圧延１」の主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量として用いる一方だけ、取り出されてその単位の調整前第２単位ＣＯ２排出量が求められてもよい。例えば、設備名「圧延１」の主設備における製造負荷の総量として総使用時間「１２０」［ｈｒｓ］だけが取り出され、設備名「圧延１」の当該主設備における熔解鋳造１調整前単位ＣＯ２排出量「０．４」［ｔＣＯ２／ｈｒｓ］だけが求められてよい。各単位［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］、［ｔＣＯ２／ｈｒｓ］の各第２単位ＣＯ２排出量のうちのいずれかを用いるかは、ユーザ（オペレータ）によって予め適宜に設定される。例えば入力部１から二酸化炭素排出量演算装置Ｓに入力され設定され、主設備単位排出量演算部４３は、この設定に応じた単位の第２単位ＣＯ２排出量を求める。
【0098】
なお、図１０ないし図１２には、便宜上、設備名「熔解鋳造１」、「圧延１」、「圧延２」、「熱処理」および「切断１」の各主設備、ならびに、設備名「ロール研磨」および「ボイラ」の各副設備以外の各データも記載されている。
【0099】
続いて、単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量ｑ０は、次のように求められる。
【0100】
当該期間よりｎ期前の期間をｎ期前期間で表し、当該期間より過去の期間の個数をＮとし（ｎ＝１～Ｎ）、ｎ期前期間の主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量をｑｎとし、ｎ期前期間の主設備における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量ｑｎに対する重みをｔｎとすると、当該期間の主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量ｑ０は、当該期間よりｎ期前までの、主設備における単位当たりの各調整前第２単位ＣＯ２排出量ｑｎの加重平均とされ、次式１で定義される。
式１；ｑ０＝Σｔｎ×ｑｎ
ただし、Σは、ｎについての和を求める演算子である。
式１；ｑ０＝Σｔｎ×ｑｎ
ただし、Σは、ｎについての和を求める演算子である。
【0101】
ここで、重み（移動平均重み）ｔｎは、次式２ないし式４によって定義される。
式２；ｔｎ＝ｓｎ／Σｓｎ
式３；ｓｎ＝ｒｎ／（ａｖｅ－ｑｎ）／σ
式４；ｒｎ＝ｅｘｐ（－α×ｎ）
ただし、ａｖｅは、ｑｎの平均値であり、σは、ｑｎの標準偏差であり、パラメータαは、時間経過による重みの減衰係数である。パラメータαは、予め適宜に設定される。第１重みｒｎは、時間経過による影響度を表し、第２重みｓｎは、第１重みｒｎを内包し、ｑｎの誤差（外れ具合）による影響度を表す。
式２；ｔｎ＝ｓｎ／Σｓｎ
式３；ｓｎ＝ｒｎ／（ａｖｅ－ｑｎ）／σ
式４；ｒｎ＝ｅｘｐ（－α×ｎ）
ただし、ａｖｅは、ｑｎの平均値であり、σは、ｑｎの標準偏差であり、パラメータαは、時間経過による重みの減衰係数である。パラメータαは、予め適宜に設定される。第１重みｒｎは、時間経過による影響度を表し、第２重みｓｎは、第１重みｒｎを内包し、ｑｎの誤差（外れ具合）による影響度を表す。
【0102】
単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量ｑ０の算出の一例が図１３に示されている。この図１３に示す例では、Ｎ＝５、α＝０．５とされ、１期前期間ないし５期前期間での主設備１における単位当たりの調整前第２単位ＣＯ２排出量第２単位ｑ１～ｑ５は、それぞれ、０．３５、０．３３、０．４２、０．２８、０．３３である。このような場合に、１期前期間ないし５期前期間での第１重みｒ１～ｒ５は、それぞれ、０．６１、０．３７、０．２２、０．１４、０．０８と求められ、１期前期間ないし５期前期間での第２重みｓ１～ｓ５は、それぞれ、３．８４、１．５５、０．１５、０．１１、０．３５と求められ、１期前期間ないし５期前期間での移動平均重みｔ１～ｔ５は、それぞれ、０．６４、０．２６、０．０２、０．０２、０．６６と求められ、当該期間の主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量ｑ０は、０．３４と求められる。図１３には、このように求められる１期前期間ないし５期前期間での主設備１における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量第２単位ｑ１～ｑ５も図示されており、それぞれ、０．６、０．３５、０．３３、０．３４、０．３４である。
【0103】
主設備単位排出量演算部４３は、このような演算を、前記所定の期間ごとに、実行し、各期間の各主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求める。このように求められる当期ないし５期前期間での各主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量の一例が図１４に示されている。なお、図１４には、設備名「熔解鋳造１」の主設備で実施される第１番目の工程、設備名「圧延１」の主設備で実施される第２番目の工程、設備名「圧延２」の主設備で実施される第３番目の工程、設備名「熱処理」の主設備で実施される第４番目の工程および設備名「切断１」の主設備で実施される第５番目の工程の、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品を製造するための各工程における各第２単位ＣＯ２排出量だけではなく、説明の都合上、設備名「熔解鋳造２」の主設備で実施される工程、設備名「圧延３」の主設備で実施される工程、設備名「メッキ」の主設備で実施される工程および設備名「切断２」の主設備で実施される工程の各工程における各第２単位ＣＯ２排出量も図示されている。さらに、図１４には、第１残余排出量演算部４７で後述のように求められる前記所定の期間ごとの単位製品当たりの各第４単位ＣＯ２排出量も最下行に図示されている。
【0104】
図１に戻って、工程排出量演算部４４は、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、前記主設備単位排出量演算部４３で求めた当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備における製造負荷の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求めるものである。前記製造負荷の総量が前記主設備で製造した製造物の総量で表される場合、工程排出量演算部４４は、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、前記主設備単位排出量演算部４３で求めた当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備における製造物の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める。前記製造負荷の総量が前記主設備の総使用時間で表される場合、工程排出量演算部４４は、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、前記主設備単位排出量演算部で求めた当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備における総使用時間とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める。
【0105】
例えば、図４に示す例では、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品が対象種類の対象製品である場合、工程排出量演算部４４は、まず、製品製造実績情報記憶部６２に記憶されている、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品における各ロットの製品製造実績情報テーブル２０１ｂ－１～２０１ｂ－３それぞれから、各工程ごとに各実績値をその工程を実施した期間とともに取り出し、工程を実施した期間ごとに前記対象種類の対象製品における各工程における製造負荷の総量を求める。ここで、ロットＮｏ「ロット０２」のものは、上述したように、第３工程以降の製造負荷が０であるため、ロットアウト物であると判定され、工程を実施した期間ごとに求める前記対象種類の対象製品における各工程における製造負荷の総量から除かれる。このため、図４に示す例では、工程排出量演算部４４は、製品製造実績情報記憶部６２に記憶されている、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品における各ロットの製品製造実績情報テーブル２０１ｂ－１、２０１ｂ－３それぞれから、各工程ごとに各実績値をその工程を実施した期間とともに取り出し、工程を実施した期間ごとに前記対象種類の対象製品における各工程における製造負荷の総量を求める。例えば、ロットＮｏ「ロット０１」の設備名「熔解鋳造１」の主設備で実施される第１番目の工程は、２期前期間（工程実施期間情報「－２」）で実施され、ロットＮｏ「ロット０３」の設備名「熔解鋳造１」の主設備で実施される第１番目の工程は、１期前期間（工程実施期間情報「－１」）で実施されているので、２期前期間での、設備名「熔解鋳造１」の主設備で実施される第１番目の工程おける製造負荷の総量は、「１３」［ｔｏｎ］であり、１期前期間での、設備名「熔解鋳造１」の主設備で実施される第１番目の工程おける製造負荷の総量は、「２６」［ｔｏｎ］である。また、ロットＮｏ「ロット０１」の設備名「圧延２」の主設備で実施される第３番目の工程は、１期前期間（工程実施期間情報「－１」）で実施され、ロットＮｏ「ロット０３」の設備名「圧延２」の主設備で実施される第３番目の工程は、１期前期間（工程実施期間情報「－１」）で実施されているので、これらの総和「３３」（＝１１＋２２）［ｔｏｎ］が求められ、１期前期間での、設備名「圧延２」の主設備で実施される第３番目の工程おける製造負荷の総量は、「３３」［ｔｏｎ］である。
【0106】
なお、上述では、原料排出量演算部４２がロットアウト発生率を求めて製品製造実績情報テーブル２００ａに登録したが、工程排出量演算部４４がロットアウト発生率を求めて製品製造実績情報テーブル２００ａに登録してもよい。
【0107】
続いて、工程排出量演算部４４は、各工程それぞれに対応する各主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、前記主設備単位排出量演算部４３で求めた当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量に、前記求めた前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備における製造負荷の総量を乗算することによって、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める。例えば、図４および図１４において、上述の例では、２期前期間での、設備名「熔解鋳造１」の主設備で実施される第１番目の工程に関する工程ＣＯ２排出量は、上述のように求めた２期前期間での、設備名「熔解鋳造１」の主設備で実施される第１番目の工程おける製造負荷の総量「１３」［ｔｏｎ］を、２期前期間での、設備名「熔解鋳造１」の主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量「０．３５」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］に乗算することによって、「４．５５」［ｔＣＯ２］であり、１期前期間での、設備名「熔解鋳造１」の主設備で実施される第１番目の工程に関する工程ＣＯ２排出量は、上述のように求めた１期前期間での、設備名「熔解鋳造１」の主設備で実施される第１番目の工程おける製造負荷の総量「２６」［ｔｏｎ］を、１期前期間での、設備名「熔解鋳造１」の主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量「０．３６」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］に乗算することによって、「９．３６」［ｔＣＯ２］である。１期前期間での、設備名「圧延２」の主設備で実施される第３番目の工程に関する工程ＣＯ２排出量は、上述のように求めた１期前期間での、設備名「圧延２」の主設備で実施される第３番目の工程おける製造負荷の総量「３３」［ｔｏｎ］を、１期前期間での、設備名「圧延２」の主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量「０．３」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］に乗算することによって、「９．９」［ｔＣＯ２］である。
【0108】
設備名「圧延１」の主設備で実施される第２番目の工程、設備名「熱処理」の主設備で実施される第４番目の工程、および、設備名「切断１」の主設備で実施される第５番目の工程の各工程それぞれについても、同様に、工程に関する工程ＣＯ２排出量が求められる。
【0109】
付属処理排出量演算部４６は、所与であって、前記製品の製造後から納入先への納入までの間に前記製品に対して実施される所定の処理における単位当たりの第３単位ＣＯ２排出量と、前記対象期間に製造が完了した前記対象種類の対象製品の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品に対する前記所定の処理に関する付属処理ＣＯ２排出量の総量を求めるものである。付属処理排出量演算部４６は、前記対象期間において、前記対象種類の対象製品に対する、前記所定の処理にかかるＣＯ２排出量を求めるものである。
【0110】
前記所定の処理は、上述したように、例えば、検査処理、梱包処理および輸送処理等であるが、ここでは、一例として、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品が対象種類の対象製品である場合における輸送処理について、より具体的に説明する。前記輸送処理における単位当たりの第３単位ＣＯ２排出量（輸送処理単位ＣＯ２排出量）は、本実施形態では、単位排出量情報記憶部６５に記憶されている第３単位排出量情報テーブル５００ｃに、需要家と対応付けて登録されている。このため、付属処理排出量演算部４６は、製品製造実績情報記憶部６２に記憶されている製品製造実績情報テーブル２００ａから、製品Ｎｏフィールド２０１ａに「Ｐ００１」を登録するレコードを検索して選定し、この選定したレコードにおける需要家フィールド２０２２ａおよび生産量フィールド２０３ａそれぞれに登録されている需要家「Ｃ１」および生産量「３０」［ｔｏｎ］それぞれを取り出す。続いて、付属処理排出量演算部４６は、単位排出量情報記憶部６５に記憶されている第３単位排出量情報テーブル５００ｃから、需要家フィールド５０１ｃに「Ｃ１」を登録するレコードを検索して選定し、この選定したレコードにおける排出係数フィールド５０２ｃに登録されている輸送処理単位ＣＯ２排出量「０．１」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］を取り出す。そして、付属処理排出量演算部４６は、前記取り出した生産量「３０」［ｔｏｎ］を輸送量として、前記取り出した輸送処理単位ＣＯ２排出量「０．１」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］に、輸送量（生産量）「３０」［ｔｏｎ］を乗算することによって、製品Ｎｏ「Ｐ００１」である製品に対する輸送処理に関する付属処理ＣＯ２排出量の総量「３」［ｔＣＯ２］（＝「０．１」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］×「３０」［ｔｏｎ］）を求める。
【0111】
第１残余排出量演算部４７は、前記対象期間における、前記残余排出源に関する残余ＣＯ２排出量の総量と、前記対象期間に製造が完了した製品の総量とに基づいて、前記残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量を求めるものである。第１残余排出量演算部４７は、前記対象期間における、前記残余排出源の稼働に伴う消費物であって二酸化炭素の排出を伴う前記消費物の総量と、前記消費物における単位当たりの第５単位ＣＯ２排出量とに基づいて、前記対象期間における、前記残余排出源に関する残余ＣＯ２排出量の総量を求める。
【0112】
第２残余排出量演算部４８は、前記第１残余排出量演算部で求めた前記残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量と、前記対象期間に製造が完了した前記対象種類の対象製品の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記残余排出源に関する第２残余ＣＯ２排出量の総量を求めるものである。
【0113】
残余排出源は、上述したように、例えば、構内搬送装置、共用施設におけるＣＯ２の排出を伴う装置および産業廃棄物処理施設等であり、残余排出源は、直接、特定の製品と関わりが無いので、残余排出源にかかるＣＯ２排出量は、直接、特定の製品に割り当てることができない。このため、本実施形態では、残余排出源にかかるＣＯ２排出量は、前記所定の期間に前記工場で製造された製品全体に関わるものとし、第１残余排出量演算部４７は、前記対象期間における、単位製品当たりのＣＯ２排出量（単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量）を求め、第２残余排出量演算部４８は、この前記対象期間における単位製品当たりのＣＯ２排出量で、前記対象期間に製造が完了した前記対象種類の対象製品に割り振るＣＯ２排出量を求めるものである。
【0114】
例えば、本実施形態では、残余排出源での消費物の消費量は、残余排出源関連実績情報記憶部６４に記憶されているので、第１残余排出量演算部４７は、残余排出源関連実績情報記憶部６４に記憶されている残余排出源関連実績情報から、全ての残余排出源それぞれについて、消費物の消費量を取り出す。図７に示す例では、残余排出源は、名称「構内搬送」の残余排出源、名称「共通施設」の残余排出源および名称「産廃処理」の残余排出源である。第１残余排出量演算部４７は、残余排出源関連実績情報記憶部６４に記憶されている残余排出源関連実績情報テーブル４００から、各レコードにおける消費フィールド４０２に登録されている各消費物の各消費量を取り出す。図１５に示すように、名称「構内搬送」の残余排出源について、電力の消費量「３０００」［ｋＷｈ］および軽油の消費量「１０」［ｋＬ］が取り出され、名称「共通施設」の残余排出源について、電力の消費量「１０００」［ｋＷｈ］が取り出され、名称「産廃処理」の残余排出源について、軽油の消費量「１」［ｋＬ］および経費の消費量「５０００」［千円］が取り出される。続いて、第１残余排出量演算部４７は、単位排出量情報記憶部６５に記憶されている第２単位排出量情報から、残余排出源の稼働に伴う消費物における単位当たりの第５単位ＣＯ２排出量を取り出す。図８Ｂに示す例では、電力単位ＣＯ２排出量「０．０００５」［ｔＣＯ２／ｋＷｈ］が取り出され、軽油の第５単位ＣＯ２排出量（軽油単位ＣＯ２排出量）「３」［ｔＣＯ２／ｋｇ］が取り出され、産廃処理にかかる経費の第５単位ＣＯ２排出量（産廃処理経費単位ＣＯ２排出量）「０．００８」［ｔＣＯ２／千円］が取り出される。続いて、図１５に示すように、主設備単位排出量演算部４３は、名称「構内搬送」の残余排出源について、電力単位ＣＯ２排出量「０．０００５」［ｔＣＯ２／ｋＷｈ］に電力の消費量「３０００」［ｋＷｈ］乗算することによってそのＣＯ２排出量「１．５」［ｔＣＯ２］を求め、軽油単位ＣＯ２排出量「３」［ｔＣＯ２／ｋＬ］に軽油の消費量「１０」［ｋＬ］乗算することによってそのＣＯ２排出量「３０」［ｔＣＯ２］を求め、名称「共通施設」の残余排出源について、電力単位ＣＯ２排出量「０．０００５」［ｔＣＯ２／ｋＷｈ］に電力の消費量「１０００」［ｋＷｈ］乗算することによってそのＣＯ２排出量「０．５」［ｔＣＯ２］を求め、名称「産廃処理」の残余排出源について、軽油単位ＣＯ２排出量「３」［ｔＣＯ２／ｋＬ］に軽油の消費量「１」［ｋＬ］乗算することによってそのＣＯ２排出量「３」［ｔＣＯ２］を求め、産廃処理経費単位ＣＯ２排出量「０．００８」［ｔＣＯ２／千円］に産廃処理にかかる経費の消費量「５０００」［千円］乗算することによってそのＣＯ２排出量「４０」［ｔＣＯ２］を求め、これらの総和を求めることによって、前記所定の期間において、前記残余排出源に関する残余ＣＯ２排出量の総量「７５」［ｔＣＯ２］を求める。そして、主設備単位排出量演算部４３は、製品製造実績情報記憶部６２に記憶されている製品製造実績情報から、前記所定の期間に前記工場で製造された製品の総量を求める。図３に示す例では、主設備単位排出量演算部４３は、製品製造実績情報記憶部６２に記憶されている製品製造実績情報テーブル２００における生産量フィールド２０３の各レコードに登録されている各生産量の総和を求めることによって、前記所定の期間に前記工場で製造された製品の総量、この例では、上述したように「１５００」［ｔｏｎ］を求める。そして、主設備単位排出量演算部４３は、上述のように求めた、前記所定の期間において、前記残余排出源に関する残余ＣＯ２排出量の総量「７５」［ｔＣＯ２］を、上述のように求めた、前記所定の期間に前記工場で製造された製品の総量「１５００」［ｔｏｎ］で除算することによって、前記残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量「０．０５」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］を求める。
【0115】
このように求めた単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量「０．０５」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］で、例えば、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品を対象種類の対象製品として、これに割り振られるＣＯ２排出量を求める場合、第２残余排出量演算部４８は、製品製造実績情報記憶部６２に記憶されている製品製造実績情報テーブル２００から、製品Ｎｏフィールド２０１に「Ｐ００１」を登録するレコードを検索して選定し、この選定したレコードにおける生産量フィールド２０３に登録されている生産量「３０」［ｔｏｎ］を取り出し、第１残余排出量演算部４７で求めた前記残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量「０．０５」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］に、この取り出した、前記所定の期間における製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品の総量（生産量）「３０」［ｔｏｎ］を乗算することによって、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品に対する前記残余排出源に関する第２残余ＣＯ２排出量の総量「１．５」［ｔＣＯ２］を求める。
【0116】
対象製品排出量演算部４９は、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて前記工程排出量演算部４４で求めた主設備で実施される工程に関する各工程ＣＯ２排出量の総和と、前記原料排出量演算部４２で求めた前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量との和を、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量として求めるものである。例えば、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品が対象種類の対象製品である場合、対象製品排出量演算部４９は、上述のように求めた、設備名「熔解鋳造１」の主設備の工程ＣＯ２排出量「１３．９１」（＝１３×０．３５＋２６×０．３６）［ｔＣＯ２］、設備名「圧延１」の主設備の工程ＣＯ２排出量「１４．７６」（＝１２×０．３９＋２４×０．４２）［ｔＣＯ２］、設備名「圧延２」の主設備の工程ＣＯ２排出量「９．９」（＝１１×０．３＋２２×０．３）［ｔＣＯ２］、設備名「熱処理」の主設備の工程ＣＯ２排出量「０．９９」（＝１１×０．０３＋２２×０．０３）［ｔＣＯ２］、および、設備名「切断１」の主設備の工程ＣＯ２排出量「０．３」（＝１０×０．０１＋２０×０．０１）［ｔＣＯ２］の総和「３９．８６」［ｔＣＯ２］と、上述のように求めた、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量「４６．８」［ｔＣＯ２］との和「８６．６６」［ｔＣＯ２］を、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量として求める。
【0117】
ここで、本実施形態では、対象製品排出量演算部４９は、前記求めた前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量に、さらに、付属処理排出量演算部４６で求めた、前記対象種類の対象製品に対する前記所定の処理に関する付属処理ＣＯ２排出量の総量と、第２残余排出量演算部４８で求めた、前記対象種類の対象製品に対する前記残余排出源に関する第２残余ＣＯ２排出量の総量とを加算し、新たな記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量を求める。すなわち、本実施形態では、対象製品排出量演算部４９は、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて前記工程排出量演算部４４で求めた主設備で実施される工程に関する各工程ＣＯ２排出量の総和と、前記原料排出量演算部４２で求めた前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量と、付属処理排出量演算部４６で求めた、前記対象種類の対象製品に対する前記所定の処理に関する付属処理ＣＯ２排出量の総量と、第２残余排出量演算部４８で求めた、前記対象種類の対象製品に対する前記残余排出源に関する第２残余ＣＯ２排出量の総量との和を、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量として求める。例えば、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品が対象種類の対象製品である場合、上述のように求められた、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量「８６．６６」［ｔＣＯ２］に、上述のように付属処理排出量演算部４６で求められた、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品に対する前記輸送処理に関する付属処理ＣＯ２排出量の総量「３」［ｔＣＯ２］と、上述のように第２残余排出量演算部４８で求められた、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品に対する前記残余排出源に関する第２残余ＣＯ２排出量の総量「１．５」［ｔＣＯ２］とが加算され、新たな、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量「９１．１６」［ｔＣＯ２］が求められる。
【0118】
なお、上述では、付属処理排出量演算部４６で求めた、前記対象種類の対象製品に対する前記所定の処理に関する付属処理ＣＯ２排出量の総量、および、第２残余排出量演算部４８で求めた、前記対象種類の対象製品に対する前記残余排出源に関する第２残余ＣＯ２排出量の総量とのいずれも加算されたが、いずれか一方が加算されてもよい。
【0119】
そして、本実施形態では、対象製品排出量演算部４９は、さらに、前記求めた前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量と、前記所定の期間に前記工場で製造された前記対象種類の対象製品の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品における単位製品当たりの第６単位ＣＯ２排出量を求める。例えば、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品が対象種類の対象製品である場合、上述のように求められた製品Ｎｏ「Ｐ００１」に関する対象製品ＣＯ２排出量「９１．１６」［ｔＣＯ２］を、上述の製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品の生産量「３０」［ｔＣＯ２］で除算することによって、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品における単位製品当たりの第６単位ＣＯ２排出量「３．０３９」［ｔＣＯ２／製品ｔｏｎ］が求められる。
【0120】
そして、本実施形態では、前記複数の工程のうちのいずれかの工程の終了後に廃棄されるロットアウト物であって前記終了が前記対象期間である前記ロットアウト物についても、終了の工程まで工程ＣＯ２排出量が求められ、原料ＣＯ２排出量の総量が求められ、これらの総和が前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量として求められる。
【0121】
より具体的には、前記ロットアウト物が、前記対象種類の対象製品とみなされ、前記ロットアウト物の製造に用いられる複数の工程のうち、前記廃棄までに実施した１または複数の工程が、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程とみなされる。そして、前記原料排出量演算部４２は、前記対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量として求め、前記主設備単位排出量演算部４３は、前記ロットアウト物における、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求め、前記工程排出量演算部４４は、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を、前記ロットアウト物の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量として求め、前記対象製品排出量演算部４９は、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量として求める。
【0122】
例えば、図４および図１４に示す例では、製品Ｎｏ「Ｐ００１」の製品において、ロットＮｏ「ロット０２」は、上述したように、ロットアウト物であり、第１ないし第５番目の各工程のうち、第１および第２番目の各工程が実施され、第２番目の工程で終了されている。まず、原料排出量演算部４２は、第１番目の工程における各重量フィールド２１３ｂ－２に登録されている実績値「５」［ｔｏｎ］をロットアウト物の製造に用いられる原料の量として取り出し、これに、上述のように取り出される原料における単位当たりの第１単位ＣＯ２排出量「１．２」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］を乗算することによって、前記ロットアウト物の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量「６」［ｔＣＯ２］を求める。前記主設備単位排出量演算部４３は、上述と同様に、前記ロットアウト物における、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求める。なお、副設備がある場合には、上述同様に、ＣＯ２排出配賦量が求められて配賦される。前記工程排出量演算部４４は、第１および第２番目の各工程について、前記ロットアウト物の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める。設備名「熔解鋳造１」の主設備で実施される第１番目の工程は、２期前期間（工程実施期間情報「－２」）で実施され、その単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量は、「０．３５」［ｔＣＯ２／ｔｏｎ］であり、この第１番目の工程おける製造負荷の総量は、「５」［ｔｏｎ］であるので、前記ロットアウト物の製造に対する第１番目の工程に関する工程ＣＯ２排出量は、「１．７５」（＝５×０．３５）［ｔＣＯ２］と求められる。設備名「圧延１」の主設備で実施される第２番目の工程は、１期前期間（工程実施期間情報「－１」）で実施され、その単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量は、「０．４２」［ｔＣＯ２／ｈｒｓ］であり、この第２番目の工程おける製造負荷の総量は、「０．３」［ｈｒｓ］であるので、前記ロットアウト物の製造に対する第２番目の工程に関する工程ＣＯ２排出量は、「０．１３」（＝０．３×０．４２）［ｔＣＯ２］と求められる。前記対象製品排出量演算部４９は、これらの和を求めることによって、前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量「７．８８」（＝１．７５＋０．１３＋６）［ｔＣＯ２］を求める。
【0123】
排出量付加演算部５０は、前記対象種類の対象製品と同じ種類のロットアウト物が存在する場合、前記対象製品排出量演算部４９で求めた前記対象製品ＣＯ２排出量の総量に、前記対象製品排出量演算部４９で求めた前記ロットアウト物ＣＯ２排出量の総量のうち所定の付加量だけ加算して付加するものである。これによって、ロットアウト物の製造によって生じるＣＯ２排出量は、前記付加量だけ対象製品ＣＯ２排出量の総量に加算され、対象製品ＣＯ２排出量の総量に繰り入れられ、前記ロットアウト物の製造によって生じるＣＯ２排出量が考慮される。
【0124】
前記ロットアウト物の種類は、前記ロットアウト物が仮に製造が完了して製品となった場合における前記製品の種類である。前記所定の付加量は、前記対象製品ＣＯ２排出量の総量のうちの所定の割合である。前記所定の割合は、前記同じ種類において、前記対象期間より１個前の期間である１期前期間に製造が完了した製品の第1個数と前記終了が前記１期前期間であるロットアウト物の第２個数との和に対する、前記第２個数の割合であり、例えばロット単位で第１および第２個数とを算出することによるロットアウト発生率である。例えば、図４に示す製品製造実績情報テーブル２００ｂが前記対象期間より１個前の期間である１期前期間の実績値を登録しているとすると、ロットアウト発生率は、「３３」［％］となる。前記対象製品ＣＯ２排出量の総量が例えば「２３．０９」［ｔＣＯ２］であるとすると、前記所定の付加量は、「７．６２」（＝２３．０９×０．３３）［ｔＣＯ２］となる。
【0125】
累積未配賦量演算部５１は、前記ロットアウト物ＣＯ２排出量の総量のうち、前記排出量付加演算部５０で前記対象製品ＣＯ２排出量の総量に加算して付加されなかった残量を前記所定の期間ごとに累積した累積未配賦量を求めるものである。例えば、対象期間の１期前期間までの累積未配賦量が「２７．１２」［ｔＣＯ２］であり、前記対象期間における前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量「７．８８」［ｔＣＯ２］であり、前記所定の付加量が「７．６２」［ｔＣＯ２］であるとすると、前記対象期間における累積未配賦量は、「２７．３８」（＝２７．１２＋（７．８８－７．６２））となる。
【0126】
そして、制御部４１は、各演算部４２～５１の各演算結果を出力部２から出力する。例えば、出力部２が表示装置である場合、各演算部４２～５１の各演算結果が前記表示装置の画面に表示される。あるいは例えば、出力部２が印刷装置である場合、各演算部４２～５１の各演算結果が前記印刷装置で用紙に印刷され、帳票として出力される。その一例が、図１６および図１７に示されている。図１６は、製品Ｎｏ「Ｐ００１」のロットＮｏ「ロット０２」のロットアウト物に関する画面または帳票であり、図１７は、製品Ｎｏ「Ｐ００１」のロットＮｏ「１０」の製品に関する画面または帳票であり、これらには、製品の製品Ｎｏ、ロットＮｏ、前記製品の種類（品種および需要家）、工程、対象期間における原料の総量（実績値）、各工程（各主設備）の製造負荷（重量、使用時間）（実績値）、各主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量、主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量、各工程の工程実施期間、輸送処理に関する付属処理ＣＯ２排出量の総量、前記残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量、および、前記残余排出源に関する第２残余ＣＯ２排出量の総量それぞれが示されている。なお、対象期間の工程実施期間情報は、「０」とされている。図１６には、さらに、ロットアウト物ＣＯ２排出量の総量が示されている。図１７には、さらに、ロットＣＯ２排出量の総量、ロットアウト発生率、ＣＯ２未配賦量、付加ＣＯ２排出量、単位ロット当たりの第７単位ＣＯ２排出量、および、累積未配賦量それぞれが示されている。前記ロットＣＯ２排出量の総量は、ロットの製品が前記対象種類の対象製品とみなし、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量を、前記ロットの製品に関する前記ロットＣＯ２排出量の総量として前記対象製品排出量演算部４９で求められる値である。前記ＣＯ２未配賦量は、１期前期間での累積未配賦量に、対象期間におけるロットアウト物ＣＯ２排出量の総量を加算した値であり、例えば、累積未配賦量演算部５１によって求められる。例えば、１期前期間での累積未配賦量が「２７．１２」［ｔＣＯ２］であり、対象期間におけるロットアウト物ＣＯ２排出量の総量が「７．８８」であるとすると、前記ＣＯ２未配賦量は、「３５」［ｔＣＯ２］となる。前記付加ＣＯ２排出量は、排出量付加演算部５０によって求められる、前記対象製品ＣＯ２排出量の総量に、前記所定の付加量を加算した値である。例えば、上述のように、ロットアウト発生率が「３３」［％］であり、前記対象製品ＣＯ２排出量の総量が「２３．０９」［ｔＣＯ２］であるとすると、前記付加ＣＯ２排出量は、「３０．７２」（＝２３．０９＋２３．０９×０．３３）［ｔＣＯ２］となる。前記単位ロット当たりの第７単位ＣＯ２排出量は、ロット単位において、前記付加ＣＯ２排出量を出荷量で除算した値であり、例えば、対象製品排出量演算部４９によって求められる。例えば、出荷量が「１０」［ｔｏｎ］であり、前記付加ＣＯ２排出量が「３０．７２」［ｔＣＯ２］であるとすると、前記単位ロット当たりの第７単位ＣＯ２排出量は、「３．０７２」（＝３０．７２／１０）［ｔＣＯ２／出荷ロットｔｏｎ］となる。なお、図１７に示す画面または帳票には、さらに、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量や前記対象種類の対象製品における単位製品当たりの第６単位ＣＯ２排出量が表示または記載されてもよい。例えば、製品Ｎｏ「Ｐ００１」に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量や前記単位製品当たりの第６単位ＣＯ２排出量が表示または記載される。
【0127】
なお、制御部４１は、必要に応じて、各演算部４２～５１の演算結果をＩＦ部３を介して外部の機器へ出力してもよい。
【0128】
二酸化炭素排出量演算システムの一例としての二酸化炭素排出量演算装置Ｓにおける入力部１、出力部２、ＩＦ部３、制御処理部４および記憶部６は、例えば、デスクトップ型やノート型等のコンピュータによって構成可能である。もちろん、上述したように、二酸化炭素排出量演算システムは、通信可能に接続された複数のコンピュータによって構成されてよい。
【0129】
次に、本実施形態の動作について説明する。図１８は、前記二酸化炭素排出量演算システム（その一例としての二酸化炭素排出量演算装置）の動作を示すフローチャートである。
【0130】
このような構成の二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、その電源が投入されると、必要な各部の初期化を実行し、その稼働を始める。制御処理部４には、その制御処理プログラムの実行によって、制御部４１、原料排出量演算部４２、主設備単位排出量演算部４３、工程排出量演算部４４、排出配賦量演算部４５、付属処理排出量演算部４６、第１残余排出量演算部４７、第２残余排出量演算部４８、対象製品排出量演算部４９、排出量付加演算部５０および累積未配賦量演算部５１が機能的に構成される。
【0131】
ユーザ（オペレータ）によって１つの対象種類の対象製品および対象期間の入力を受け付けると、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、対象期間における対象種類の対象製品に関するＣＯ２排出量の演算を開始する。なお、前記対象期間に生産した全ての各種類の製品がＣＯ２排出量の演算対象であってもよい。このような場合では、１つの対象種類の対象製品に対する後述の各処理Ｓ１～Ｓ１１が各種類の各製品ごとに繰り返し実行される。
【0132】
図１８において、まず、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、制御処理部４の原料排出量演算部４２によって、前記対象期間における対象種類の対象製品の製造に対する前記原料に関する原料ＣＯ２排出量の総量を求める（Ｓ１）。
【0133】
続いて、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、前記所定の期間ごとに、制御処理部４の排出配賦量演算部４５によって、副設備が用いられる複数の設備それぞれについて、当該期間において、副設備が用いられる設備に関するＣＯ２排出配賦量を求める（Ｓ２）。
【0134】
続いて、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、制御処理部４の主設備単位排出量演算部４３によって、前記所定の期間ごとに、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該期間の主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を求める（Ｓ３）。
【0135】
続いて、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、制御処理部４の工程排出量演算部４４によって、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、前記対象種類の対象製品の製造に対する、主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求める（Ｓ４）。
【0136】
続いて、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、制御処理部４の付属処理排出量演算部４６によって、前記対象種類の対象製品に対する、所定の処理に関する付属処理ＣＯ２排出量の総量を求める（Ｓ５）。
【0137】
続いて、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、制御処理部４の第１および第２残余排出量演算部４７、４８によって、前記対象期間における、残余排出源における単位製品当たりの第４単位ＣＯ２排出量を求め、前記対象種類の対象製品に対する、残余排出源に関する第２残余ＣＯ２排出量の総量を求める（Ｓ６）。
【0138】
続いて、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、制御処理部４の対象製品排出量演算部４９によって、前記対象期間における、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量を求める（Ｓ７）。
【0139】
続いて、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、対象製品排出量演算部４９によって、前記対象種類の対象製品と同じ種類のロットアウト物が存在するか否かを判定する（Ｓ８）。この判定の結果、ロットアウト物が存在する場合（Ｙｅｓ）には、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、次に、処理Ｓ９を実行し、ロットアウト物が存在しない場合（Ｎｏ）には、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、次に、処理Ｓ１２を実行する。
【0140】
この処理Ｓ９では、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、対象製品排出量演算部４９によって、前記対象期間における、前記ロットアウト物に関するロットアウト物ＣＯ２排出量の総量を求める（Ｓ８）。
【0141】
前記処理Ｓ９に続いて、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、制御処理部４の排出量付加演算部５０によって、前記付加量を求め、前記処理Ｓ７によって対象製品排出量演算部で求めた前記対象製品ＣＯ２排出量の総量に、前記付加量を加算し、前記対象期間における、前記対象種類の対象製品に関する付加ＣＯ２排出量の総量を求める（Ｓ１０）。
【0142】
前記処理Ｓ１０に続いて、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、制御処理部４の累積未配賦量演算部５１によって、前記対象期間における累積未配賦量を求め（Ｓ１１）、次に処理Ｓ１２を実行する。
【0143】
前記処理Ｓ１２において、二酸化炭素排出量演算装置Ｓは、制御処理部４の制御部４１によって、各演算部４２～５１の各演算結果を出力部２から出力し、本処理を終了する。
【0144】
以上説明したように、実施形態における二酸化炭素排出量演算システム（その一例の二酸化炭素排出量演算装置）Ｓ、ならびに、これに実装された二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、前記所定の期間ごとに、当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量を、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、求める。これにより当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量が分かるので、上記二酸化炭素排出量演算システム（二酸化炭素排出量演算装置）Ｓ、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、前記対象種類の対象製品の製造に用いられる複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備に対応する工程を実施した期間において、上記のように求めた当該期間の当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量と、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備における製造負荷の総量とに基づいて、前記対象種類の対象製品の製造に対する当該主設備で実施される工程に関する工程ＣＯ２排出量を求めることができる。したがって、上記二酸化炭素排出量演算システム（二酸化炭素排出量演算装置）Ｓ、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、上述のような製品を製造するための複数の工程が複数の期間に亘る場合でも、より適切に二酸化炭素排出量を求めることが可能となる。
【0145】
特に、複数の工程を経て製造される製品を、複数の種類で製造可能な工場（多品種製品製造工場）では、通常、製品の種類に応じて複数の工程が異なるため、工場全体の二酸化炭素排出量の総量を各製品に等配分しただけでは、製品ごとの二酸化炭素の排出量を求めることができない。上記二酸化炭素排出量演算システム（二酸化炭素排出量演算装置）Ｓ、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、複数の工程それぞれに対応する複数の主設備それぞれについて、当該主設備における単位当たりの第２単位ＣＯ２排出量（すなわち、各工程ごとの単位ＣＯ２排出量）を求めているので、工場が多品種製品製造工場であっても、製品ごとの二酸化炭素の排出量を求めることが可能となる。
【0146】
所定の期間における副設備に関する副設備ＣＯ２排出量の総量は、副設備が複数の設備に用いられるので、このままでは、対象種類の対象製品に割り付けることができない。上記二酸化炭素排出量演算システム（二酸化炭素排出量演算装置）Ｓ、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、前記所定の期間ごとに、当該期間における副設備に関する副設備ＣＯ２排出量の総量を、前記副設備が用いられる前記複数の設備それぞれに、所定の割合で配賦するので、対象種類の対象製品に割り付けることができる。
【0147】
上記二酸化炭素排出量演算システム（二酸化炭素排出量演算装置）Ｓ、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、製品の製造後から納入先への納入までの間に前記製品に対して実施される所定の処理に関する付属処理ＣＯ２排出量の総量を、対象種類の対象製品ごとの二酸化炭素の排出量に勘案することが可能となる。
【0148】
上記二酸化炭素排出量演算システム（二酸化炭素排出量演算装置）Ｓ、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、前記残余排出源に関する残余ＣＯ２排出量の総量を、対象種類の対象製品ごとの二酸化炭素の排出量に勘案することが可能となる。
【0149】
上記二酸化炭素排出量演算システム（二酸化炭素排出量演算装置）Ｓ、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、各工程ＣＯ２排出量の総和と、原料ＣＯ２排出量の総量との和を求めるので、前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量（すなわち、製品ごとの二酸化炭素の排出量）を求めることができる。上述したように、主設備で実施される工程に関する各工程ＣＯ２排出量には、前記主設備が副設備を用いる場合には、この中に副設備でのＣＯ２排出量が含まれるので、上記二酸化炭素排出量演算システム（二酸化炭素排出量演算装置）Ｓ、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、副設備でのＣＯ２排出量を勘案して前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量を求めることができる。そして、本実施形態では、上記二酸化炭素排出量演算システム（二酸化炭素排出量演算装置）Ｓ、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、前記求めた前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量に、さらに、付属処理排出量演算部４６で求めた、前記対象種類の対象製品に対する前記所定の処理に関する付属処理ＣＯ２排出量の総量と、第２残余排出量演算部４８で求めた、前記対象種類の対象製品に対する前記残余排出源に関する第２残余ＣＯ２排出量の総量とを加算し、新たな記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量を求めている。このため、上記二酸化炭素排出量演算システム（二酸化炭素排出量演算装置）Ｓ、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、製品の製造後から納入先への納入までの間に前記製品に対して実施される所定の処理におけるＣＯ２排出量、および、残余排出源におけるＣＯ２排出量を勘案して前記対象種類の対象製品に関する対象製品ＣＯ２排出量の総量を求めることができる。
【0150】
上記二酸化炭素排出量演算システム（二酸化炭素排出量演算装置）Ｓ、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、複数の工程のうちのいずれかの工程の終了後に廃棄されるロットアウト物の二酸化炭素排出量を求めることが可能となる。
【0151】
上記二酸化炭素排出量演算システム（二酸化炭素排出量演算装置）Ｓ、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、ロットアウト物ＣＯ２排出量を所定の第２割合の分だけ対象製品ＣＯ２排出量に配賦できる。
【0152】
上記二酸化炭素排出量演算システム（二酸化炭素排出量演算装置）Ｓ、二酸化炭素排出量演算方法および二酸化炭素排出量演算プログラムは、ロットアウト物ＣＯ２排出量の総量のうち未配賦の累積量を求めることができる。
【0153】
本発明を表現するために、上述において図面を参照しながら実施形態を通して本発明を適切且つ十分に説明したが、当業者であれば上述の実施形態を変更および／または改良することは容易に為し得ることであると認識すべきである。したがって、当業者が実施する変更形態または改良形態が、請求の範囲に記載された請求項の権利範囲を離脱するレベルのものでない限り、当該変更形態または当該改良形態は、当該請求項の権利範囲に包括されると解釈される。
【符号の説明】
【0154】
Ｓ 二酸化炭素排出量演算システム（その一例の二酸化炭素排出量演算装置）
１ 入力部
２ 出力部
３ インターフェース部（ＩＦ部）
４ 制御処理部
６ 記憶部
４１ 制御部
４２ 原料排出量演算部
４３ 主設備単位排出量演算部
４４ 工程排出量演算部
４５ 排出配賦量演算部
４６ 付属処理排出量演算部
４７ 第１残余排出量演算部
４８ 第２残余排出量演算部
４９ 対象製品排出量演算部
５０ 排出量付加演算部
５１ 累積未配賦量演算部
６１ 製造工程情報記憶部
６２ 製品製造実績情報記憶部
６３ 設備関連実績情報記憶部
６４ 残余排出源関連実績情報記憶部
６５ 単位排出量情報記憶部
６６ 副設備対応関係情報記憶部
１ 入力部
２ 出力部
３ インターフェース部（ＩＦ部）
４ 制御処理部
６ 記憶部
４１ 制御部
４２ 原料排出量演算部
４３ 主設備単位排出量演算部
４４ 工程排出量演算部
４５ 排出配賦量演算部
４６ 付属処理排出量演算部
４７ 第１残余排出量演算部
４８ 第２残余排出量演算部
４９ 対象製品排出量演算部
５０ 排出量付加演算部
５１ 累積未配賦量演算部
６１ 製造工程情報記憶部
６２ 製品製造実績情報記憶部
６３ 設備関連実績情報記憶部
６４ 残余排出源関連実績情報記憶部
６５ 単位排出量情報記憶部
６６ 副設備対応関係情報記憶部
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
