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特開2024-112067圧電素子およびディスク装置用サスペンション
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112067
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】圧電素子およびディスク装置用サスペンション
(51)【国際特許分類】
   G11B 21/10 20060101AFI20240813BHJP
   G11B 21/21 20060101ALI20240813BHJP
   G11B 5/596 20060101ALI20240813BHJP
   G01N 27/24 20060101ALI20240813BHJP
   H10N 30/20 20230101ALI20240813BHJP
   H10N 30/87 20230101ALI20240813BHJP
【FI】
G11B21/10 N
G11B21/21 C
G11B5/596
G01N27/24
H10N30/20
H10N30/87
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016907
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004640
【氏名又は名称】日本発條株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110001737
【氏名又は名称】弁理士法人スズエ国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】新井 幹男
(72)【発明者】
【氏名】米倉 亮介
【テーマコード(参考)】
2G060
【Fターム(参考)】
2G060AA09
2G060AE01
2G060AF10
2G060AG03
2G060AG11
2G060EA07
2G060EB05
2G060EB06
2G060EB07
2G060KA15
(57)【要約】
【課題】 クラックを容易に検出することが可能な圧電素子およびディスク装置用サスペンションを提供する。
【解決手段】 一実施形態に係る圧電素子は、第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面と、を有する圧電体と、前記第1主面に設けられる第1電極と、前記第2主面に設けられる第2電極と、を備える。前記第1電極は、第1周縁と、第1周縁から延びる第1スリットと、を有し、前記第1スリットの端部は、第1周縁から離れている。
【選択図】 図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面と、を有する圧電体と、
前記第1主面に設けられる第1電極と、
前記第2主面に設けられる第2電極と、を備え、
前記第1電極は、第1周縁と、第1周縁から延びる第1スリットと、を有し、
前記第1スリットの端部は、第1周縁から離れている、
圧電素子。
【請求項2】
前記第1スリットは、前記第1周縁に沿って複数設けられる、
請求項1に記載の圧電素子。
【請求項3】
前記第1周縁は、第1方向に延びる第1縁部と、前記第1方向に延びるとともに、前記第1方向と交差する第2方向に前記第1縁部と並ぶ第2縁部と、を有し、
前記第1縁部から延びる前記第1スリットは、前記第2方向において、前記第2縁部から延びる前記第1スリットと間隔を置いて並んでいる、
請求項2に記載の圧電素子。
【請求項4】
前記第1周縁は、第1方向に延びる第1縁部と、前記第1方向に延びるとともに、前記第1方向と交差する第2方向に前記第1縁部と並ぶ第2縁部と、を有し、
前記第1縁部から延びる前記第1スリットは、前記第1方向において、前記第2縁部から延びる前記第1スリットと間隔を置いて、交互に並んでいる、
請求項2に記載の圧電素子。
【請求項5】
前記第1スリットは、渦巻き形状を有する、
請求項1に記載の圧電素子。
【請求項6】
前記第1スリットは、前記第1周縁から延びる第1スリット部と、前記第1スリット部と繋がる一対の第2スリット部と、を有し、
前記第1スリット部は、前記一対の第2スリット部の間に位置し、
前記一対の第2スリット部は、前記第1スリット部に沿って延び、
前記一対の第2スリット部の端部は、前記第1周縁からそれぞれ離れている、
請求項1に記載の圧電素子。
【請求項7】
第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面と、を有する圧電体と、
前記第1主面に設けられる第1電極と、
前記第2主面に設けられる第2電極と、を備え、
前記第1電極は、第1周縁と、第1周縁から延びる第1スリットを有し、
前記第2電極は、第2周縁と、第2周縁から延びる第2スリットを有し、
前記第1スリットの端部は、第1周縁から離れ、
前記第2スリットの端部は、第2周縁から離れている、
圧電素子。
【請求項8】
請求項1乃至7のいずれか1項に記載の圧電素子を備える、
ディスク装置用サスペンション。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、圧電素子およびディスク装置用サスペンションに関する。
【背景技術】
【0002】
パーソナルコンピュータ等の情報処理装置には、ハードディスク装置(HDD)が使用されている。ハードディスク装置は、スピンドルを中心に回転する磁気ディスクや、ピボット軸を中心に旋回するキャリッジ等を含んでいる。キャリッジはアームを有し、ボイスコイルモータ等のポジショニング用モータによってピボット軸を中心にディスクのトラック幅方向に旋回する。
【0003】
上述のアームにディスク装置用サスペンション(これ以降、単にサスペンションと称す)が取り付けられている。サスペンションは、ロードビームや、ロードビームに重ねられたフレキシャ等を含んでいる。フレキシャの先端付近に形成されたジンバル部には、磁気ヘッドを構成するスライダが設けられている。
【0004】
スライダには、データの読取りあるいは書込み等のアクセスを行なうための素子(トランスジューサ)が設けられている。これらのロードビーム、フレキシャ、およびスライダ等によって、ヘッドジンバルアセンブリが構成されている。
【0005】
ディスクの高記録密度化に対応するためには、ヘッドジンバルアセンブリをさらに小形化し、かつディスクの記録面に対してスライダをさらに高精度に位置決めできるようにすることが必要である。
【0006】
磁気ヘッドの位置決め精度向上を目的として、ポジショニング用モータ(ボイスコイルモータ)とベースプレート側に搭載されたアクチュエータとを併用するDSA(Dual Stage Actuator)サスペンション、さらに磁気ヘッド側にアクチュエータが搭載されたTSA(Triple Stage Actuator)サスペンション等が知られている。
【0007】
アクチュエータとして使用する圧電素子も小型化、薄型化が進んでいる。このような圧電素子は、製造工程等において、クラックが発生する場合がある。そのため、従来、圧電素子の検査に関して、様々な提案がなされている(例えば、特許文献1乃至特許文献4)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第4655504号公報
【特許文献2】特許第6506707号公報
【特許文献3】特許第5489968号公報
【特許文献4】特許第6506707号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
上述の特許文献1乃至特許文献4を踏まえても、圧電素子に発生したクラックの検出に関しては、未だに種々の改善の余地がある。そこで、本発明は、クラックを容易に検出することが可能な圧電素子およびディスク装置用サスペンションを提供することを目的の一つとする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
一実施形態に係る圧電素子は、第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面と、を有する圧電体と、前記第1主面に設けられる第1電極と、前記第2主面に設けられる第2電極と、を備える。前記第1電極は、第1周縁と、第1周縁から延びる第1スリットと、を有し、前記第1スリットの端部は、第1周縁から離れている。
【0011】
前記第1スリットは、前記第1周縁に沿って複数設けられてもよい。前記第1周縁は、第1方向に延びる第1縁部と、前記第1方向に延びるとともに、前記第1方向と交差する第2方向に前記第1縁部と並ぶ第2縁部と、を有してもよく、前記第1縁部から延びる前記第1スリットは、前記第2方向において、前記第2縁部から延びる前記第1スリットと間隔を置いて並んでもよい。
【0012】
前記第1周縁は、第1方向に延びる第1縁部と、前記第1方向に延びるとともに、前記第1方向と交差する第2方向に前記第1縁部と並ぶ第2縁部と、を有してもよく、前記第1縁部から延びる前記第1スリットは、前記第1方向において、前記第2縁部から延びる前記第1スリットと間隔を置いて、交互に並んでもよい。
【0013】
前記第1スリットは、渦巻き形状を有してもよい。前記第1スリットは、前記第1周縁から延びる第1スリット部と、前記第1スリット部と繋がる一対の第2スリット部と、を有してもよく、前記第1スリット部は、前記一対の第2スリット部の間に位置してもよく、前記一対の第2スリット部は、前記第1スリット部に沿って延びてもよく、前記一対の第2スリット部の端部は、前記第1周縁からそれぞれ離れてもよい。
【0014】
一実施形態に係る圧電素子は、第1主面と、前記第1主面の反対側に位置する第2主面と、を有する圧電体と、前記第1主面に設けられる第1電極と、前記第2主面に設けられる第2電極と、を備える。前記第1電極は、第1周縁と、第1周縁から延びる第1スリットを有し、前記第2電極は、第2周縁と、第2周縁から延びる第2スリットを有し、前記第1スリットの端部は、第1周縁から離れ、前記第2スリットの端部は、第2周縁から離れている。一実施形態に係るディスク装置用サスペンションは、前記圧電素子を備える。
【発明の効果】
【0015】
本発明によれば、クラックを容易に検出することが可能な圧電素子およびディスク装置用サスペンションを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0016】
図1図1は、ディスク装置の一例を示す概略的な斜視図である。
図2図2は、ディスク装置の一部を示す概略的な断面図である。
図3図3は、第1実施形態に係るサスペンションの概略的な平面図である。
図4図4は、第1実施形態に係るサスペンションが備える圧電素子の概略的な斜視図である。
図5図5は、図4に示された圧電素子を示す概略的な平面図である。
図6図6は、圧電素子と検査装置とを模式的に示す図である。
図7図7は、検査装置による圧電素子の検査工程の一例を示すフローチャートである。
図8図8は、比較例に係る圧電素子の概略的な斜視図である。
図9図9は、比較例に係る圧電素子にクラックが発生した状態を説明するための図である。
図10図10は、第1実施形態に係る圧電素子にクラックが発生した状態を説明するための図である。
図11図11は、第2実施形態における電極の概略的な平面図である。
図12図12は、第3実施形態における電極の概略的な平面図である。
図13図13は、第4実施形態における電極の概略的な平面図である。
図14図14は、第5実施形態における電極の概略的な平面図である。
図15図15は、第6実施形態における電極の概略的な平面図である。
【発明を実施するための形態】
【0017】
以下に図面を参照しながら、本発明の各実施形態について説明する。説明をより明確にするため、図面において、各部分のサイズ、形状等を実際の実施態様に対して変更して模式的に表す場合がある。
【0018】
なお、図面には、必要に応じて理解を容易にするために、互いに直交するX軸、Y軸およびZ軸を記載する。X軸に沿った方向を方向Xと称し、Y軸に沿った方向を方向Yと称し、Z軸に沿った方向を方向Zと称する。また、方向Zを上または上方と称し、方向Zと反対の方向を下または下方と称する場合がある。方向Zは、方向Xと方向Yを含む平面に対して法線方向である。方向Zと平行に各種要素を見ることを平面視という。以下各実施形態において、方向Xは第1方向の一例に相当し、方向Yは第2方向の一例に相当する。
【0019】
[第1実施形態]
図1は、ディスク装置(HDD)1の一例を示す概略的な斜視図である。ディスク装置1は、図1に示す例において、ケース2と、スピンドル3を中心に回転する複数の磁気ディスク(これ以降、単にディスク4と称す)と、ピボット軸5を中心に旋回可能なキャリッジ6と、キャリッジ6を駆動するためのポジショニング用モータ(ボイスコイルモータ)7と、を備える。ケース2は、図示しない蓋によって密閉される。
【0020】
図2は、ディスク装置1の一部を示す概略的な断面図である。キャリッジ6には、図1および図2に示すように、複数(例えば、3つ)のアーム8が設けられる。複数のアーム8の先端部には、サスペンション10がそれぞれ取り付けられる。サスペンション10の先端部には、磁気ヘッドを構成するスライダ11が設けられる。ディスク4が高速で回転すると、ディスク4とスライダ11との間に空気が流入することによって、エアベアリングが形成される。
【0021】
ポジショニング用モータ7によってキャリッジ6が旋回すると、サスペンション10がディスク4の径方向に移動することにより、スライダ11がディスク4の所望トラックまで移動する。スライダ11の先端部には、例えばMR素子のように磁気信号と電気信号とを変換可能な素子が設けられる。この素子によって、ディスク4に対するデータの書込みあるいは読取り等のアクセスが行なわれる。
【0022】
図3は、本実施形態に係るサスペンション10の概略的な平面図である。本実施形態においては、サスペンション10の一例として、TSAタイプのサスペンションを開示する。サスペンション10は、ベースプレート20と、ロードビーム30と、フレキシャ40と、を備えている。
【0023】
ベースプレート20は、アーム8(図2に示す)と接続される。ベースプレート20は、例えばステンレス鋼等の金属材料によって形成される。ベースプレート20は、ボス部21を有する。ベースプレート20は、ボス部21を介して、アーム8に取り付けられる。
【0024】
ロードビーム30は、ステンレス鋼等の金属材料によって形成される。ロードビーム30は、先端(図3中左側)に向けて先細りな形状を有する。ロードビーム30は,ばね部31を介してベースプレート20に弾性的に支持される。ロードビーム30は、例えばレーザを用いたスポット溶接によりベースプレート20に固定される。
【0025】
フレキシャ40は、ベースプレート20およびロードビーム30に沿って配置される。フレキシャ40は、例えばレーザを用いたスポット溶接によりベースプレート20およびロードビーム30に固定される。フレキシャ40は、ベースプレート20よりも後方(図3中右側)に向けて延びている部分を有する。
【0026】
フレキシャ40は、例えば薄いステンレス鋼の板からなるメタルベース(図示しない)と、メタルベースに重ねられた配線部(図示しない)と、を有する。フレキシャ40の先端部40Aには、磁気ヘッドを構成するスライダ11が設けられる。
【0027】
サスペンション10は、圧電素子12,13と、スライダ11の両側に配置される一対の圧電素子14A,14Bと、をさらに備える。圧電素子14A,14Bは、例えば、フレキシャ40のスライダ11が搭載される面の反対側の面に搭載されてもよい。圧電素子12,13は、開口23,25にそれぞれ収容される。
【0028】
開口23,25は、例えば、ベースプレート20およびロードビーム30等によって規定される。開口23,25によって、アクチュエータ搭載部が形成される。開口23,25は、図3に示すように、サスペンション10の幅方向に並ぶ。圧電素子12,13は、接着材によって、開口23,25に固定される。接着材は、例えばエポキシ樹脂等の電気絶縁性の樹脂接着材である。
【0029】
ここで、圧電素子12,13の構造の一例について、圧電素子12を用いて説明する。例えば、圧電素子13も圧電素子12と同様の構造を有する。
【0030】
図4は、本実施形態に係るサスペンション10が備える圧電素子12の概略的な斜視図である。図5は、図4に示された圧電素子12を示す概略的な平面図である。図5においては、圧電素子12を方向Zと反対の方向に見ている。
【0031】
圧電素子12は、図4に示すように、圧電体15と、電極17A,17Bと、を備える。本実施形態において、電極17Aは第1電極の一例に相当し、電極17Bは第2電極の一例に相当する。
【0032】
圧電体15は、電圧が印加されると、圧電効果によって伸縮する。圧電体15は、例えば、チタン酸ジルコン酸鉛(PZT)によって形成される。圧電体15は、複数の層によって形成されてもよいし、単一の層によって形成されてもよい。
【0033】
圧電体15は、例えば、方向Xに長尺な略直方体形状を有する。言い換えると、圧電体15は、平面視において、略長方形状を有する。なお、圧電体15は、直方体形状以外の他の形状を有してもよい。圧電体15は、例えば、略立方体形状を有してもよい。
【0034】
圧電体15は、方向Zにおいて、第1主面151と、第1主面151の反対側に位置する第2主面153と、を有する。第1主面151および第2主面153は、例えば、方向Xおよび方向Yによって規定されるX-Y平面と平行な面である。ここで、平行には、X-Y平面に対してわずかに傾く場合も含む。
【0035】
電極17A,17Bは、例えばスパッタリングあるいはめっき等によって平坦な面に形成される。電極17A,17Bは、例えば、金等の金属材料によって形成される。
【0036】
電極17Aは第1主面151に設けられ、電極17Bは第2主面153に設けられる。電極17Bは、例えば、電極17Aと同様の形状を有する。図4に示す例において、方向Zと反対の方向に見た際における電極17Aの形状は、方向Zに見た際における電極17Bの形状と同じである。なお、方向Zと反対の方向に見た際における電極17Aの形状は、方向Zと反対の方向に見た際における電極17Bの形状と同じであってもよい。以下、電極17Aについて、説明する。
【0037】
電極17Aは、平面視において、略長方形状を有する。電極17Aは、周縁50を有する。本実施形態において、電極17Aの周縁50は、第1周縁の一例に相当する。周縁50は、例えば、方向Zにおいて、第1主面151の周縁と重なる。言い換えると、電極17Aは、第1主面151の全体を覆うように形成される。
【0038】
電極17Aは、一対の縁部51A,51Bと、一対の縁部51C,51Dと、を有する。本実施形態において、縁部51Aは第1縁部の一例に相当し、縁部51Bは第2縁部の一例に相当する。
【0039】
一対の縁部51A,51Bは、図4および図5に示す例において、周縁50の長辺の側に位置し、一対の縁部51C,51Dは、周縁50の短辺の側に位置する。一対の縁部51A,51Bは、方向Xに延びるとともに、方向Yに並ぶ。一対の縁部51C,51Dは、方向Yに延びるとともに、方向Xに並ぶ。
【0040】
電極17Aは、複数のスリット61~64を有する。本実施形態において、スリット61~64は第1スリットの一例に相当する。図5においては、複数のスリット61~64にドットを付している。
【0041】
複数のスリット61~64は、電極17Aを方向Zに貫通する。第1主面151の一部は、複数のスリット61~64から露出する。複数のスリット61~64は、周縁50に沿って設けられる。
【0042】
具体的には、複数のスリット61,62は縁部51Aから縁部51Bに向けて延び、複数のスリット63,64は縁部51Bから縁部51Aに向けて延びる。複数のスリット61~64は、例えば、Y軸と平行に形成される。
【0043】
図5に示すように、スリット61は端部61aを有し、スリット62は端部62aを有し、スリット63は端部63aを有し、スリット64は端部64aを有する。端部61a~64aは、周縁50から離れている。
【0044】
具体的には、端部61a,62aは縁部51Bから離れ、端部63a,64aは縁部51Aから離れている。他の観点において、スリット61~64の端部61a~64aは、周縁50に向けて開口していない。
【0045】
スリット61の方向Yの長さは、スリット62の方向Yの長さよりも小さい。スリット64の方向Yの長さは、スリット63の方向Yの長さよりも小さい。例えば、スリット61の方向Yの長さはスリット64の方向Yの長さと等しく、スリット62の方向Yの長さはスリット63の方向Yの長さと等しい。
【0046】
スリット61,64の方向Yの長さは、例えば、電極17Aの方向Yの長さの半分よりも小さい。スリット62,63の方向Yの長さは、例えば、電極17Aの方向Yの長さの半分よりも大きい。複数のスリット61~64の方向Xの長さ(幅)は、小さいほうが好ましい。
【0047】
方向Xにおいて、スリット61はスリット62と間隔を置いて交互に並び、スリット63はスリット64と間隔を置いて交互に並ぶ。例えば、スリット61およびスリット62は方向Xに等間隔に並び、スリット63およびスリット64は方向Xに等間隔に並ぶ。方向Yにおいて、スリット61はスリット63と間隔を置いて並び、スリット62はスリット64と間隔を置いて並ぶ。
【0048】
電極17Aは、複数の導電部71をさらに有する。複数の導電部71は、方向Yにおいて、スリット61の端部61aとスリット63の端部63aとの間、およびスリット62の端部62aとスリット64の端部64aとの間に位置する。
【0049】
縁部51C,51Dとスリット61,63との間の領域A1(図5に示す)は、導電部71によって、スリット61,63とスリット62,64との間の領域A2(図5に示す)と電気的に接続される。ここで、電気的に接続されるとは、導通状態にあることをいう。同様に、方向Xに隣接する領域A2は、導電部71によって、電気的に接続される。
【0050】
上述の通り、電極17Bは、電極17Aと同様の形状を有する。本実施形態において、電極17Bの周縁50は、第2周縁の一例に相当する。電極17Bは、複数のスリット61~64を有する。本実施形態において、電極17Bのスリット61~64は第2スリットの一例に相当する。電極17Bは、複数の導電部をさらに有する。
【0051】
電極17Aは、例えば、縁部51Dの近傍に給電接続部171(図5に示す)を有する。給電接続部171の位置は、この例に限られない。電極17Aの給電接続部171は、例えば、ベースプレート20(図3に示す)と電気的に接続され、電極17Bの給電接続部は、例えば、フレキシャ40(図3に示す)の配線部と電気的に接続される。
【0052】
続いて、圧電素子12を検査するための検査装置200の一例について説明する。
【0053】
図6は、圧電素子12と検査装置200とを模式的に示す図である。図6においては、圧電素子12を断面にて示している。図6においては、圧電素子12以外のサスペンション10を構成する部材を省略している。圧電素子12は、上述の通り、圧電体15および電極17A,17Bを備える。検査装置200は、例えば、測定装置210と、制御装置230と、を備える。
【0054】
測定装置210、電極17Aと電極17Bとの間に所定の電圧を印加する。測定装置210は、例えば、図示しない電源等を有している。電圧は、例えば、交流電圧であるが、この例に限られない。印加される電圧の大きさは、例えば、予め設定される。
【0055】
測定装置210は、測定用接触子221,223を介して、電極17A,17Bの給電接続部171と電気的に接続される。例えば、測定用接触子221が電極17Aと接触し、測定用接触子223が電極17Bと接触する。
【0056】
測定装置210は、さらに、圧電素子12に電圧が印加された際、静電容量(キャパシタンス)を測定する。測定装置210による測定結果は、制御装置230に出力される。
【0057】
制御装置230は、測定装置210と通信可能に接続される。制御装置230は、例えば、半導体集積回路、電子部品、および回路基板等の組み合わせである。制御装置230は、各種データ及び各種プログラムを記憶している記憶装置(図示しない)と、これらプログラムを実行するプロセッサ(図示しない)とを有する。
【0058】
制御装置230は、判定モジュール231を含む。制御装置230は、例えば、上述のプロセッサが記憶装置に記憶されているプログラムを実行することにより判定モジュール231およびその他の各種機能を実現する。
【0059】
判定モジュール231は、圧電素子12がクラックを有するか否かを判定する判定手段として機能する。具体的には、判定モジュール231は、測定装置210によって測定された静電容量に基づいて、圧電素子12がクラックを有するか否かを判定する。
【0060】
検査装置200は、例えば、圧電素子12,13が搭載されたサスペンション10を用いて、圧電素子12,13を検査する。なお、測定用接触子221,223は、フレキシャ40のテール部の端子部と接触させてもよい。当該端子部は、圧電素子12,13の電極17A,17Bと電気的に接続されている。この場合も、圧電素子12,13が搭載されたサスペンション10を用いて、圧電素子12,13を検査することが可能である。ただし、検査装置200は、圧電素子12,13が搭載される前において、圧電素子12,13を検査してもよい。
【0061】
続いて、検査装置200による圧電素子12の検査工程について説明する。
図7は、検査装置200による圧電素子12の検査工程の一例を示すフローチャートである。
【0062】
まず、工程ST101において、測定用接触子221,223が電極17A,17Bの給電接続部171にそれぞれ接触する。続いて、工程ST102において、測定装置210が測定用接触子221,223を介して、電極17Aと電極17Bとの間に電圧を印加する。
【0063】
続いて、工程ST103において、測定装置210が静電容量を測定する。最後に、工程ST104において、制御装置230の判定モジュール231が測定された静電容量に基づき、圧電素子12がクラックを有するか否かを判定する。
【0064】
例えば、測定された静電容量が基準値の範囲内に収まっていない場合、判定モジュール231は圧電素子12がクラックを有すると判定し、測定された静電容量が基準値の範囲内に収まっている場合、判定モジュール231は圧電素子12がクラックを有さないと判定する。
【0065】
基準値は、例えば、予め制御装置230が備える記憶装置に記憶される。当該判定結果は、検査装置200が備えるディスプレイ等の表示手段(図示しない)に表示されてもよい。
【0066】
図8は、比較例に係る圧電素子100の概略的な斜視図である。比較例に係る圧電素子100は、圧電体15と、電極110A,110Bと、を備える。電極110Aは、圧電体15の第1主面151の全体に形成され、電極110Bは圧電体15の第2主面153の全体に形成される。電極110A,110Bは、スリットをそれぞれ有していない。
【0067】
図9は、比較例に係る圧電素子100にクラックCRが発生した状態を説明するための図である。圧電素子には、マイクロクラック等と呼ばれるクラックが発生する場合がある。このクラックは、圧電素子の一方の長辺の側から他方の長辺の側に向けて発生しやすい。また、このクラックは、圧電素子の短辺方向や厚さ方向の途中までしか形成されない。
【0068】
比較例に係る圧電素子100は、クラックCRを有する。クラックCRは、マイクロクラックである。クラックCRは、例えば、電極110Aの側において、電極110Aおよび圧電体15に発生している。クラックCRは、例えば、縁部51Bから縁部51Aに向けて形成される。ただし、クラックCRは、縁部51Aまでは到達していない。
【0069】
電極110Aにおいて、縁部51DとクラックCRとの間の領域は、縁部51CとクラックCRとの間の領域と電気的に接続されている。このような場合、圧電素子100に電圧が印加されると、電極110Aの全体に電流が流れる。そのため、圧電素子100の静電容量は、圧電素子100がクラックCRを有さない場合と比較して、ほとんど変化しない。
【0070】
図10は、本実施形態に係る圧電素子12にクラックCRが発生した状態を説明するための図である。圧電素子12は、クラックCRを有する。クラックCRは、複数のスリット61~64のうちのスリット(図10においてはスリット62Aとして示す)と交差している。
【0071】
この場合、電極17Aは、導通領域P1と、非導通領域P2と、を有する。図10においては、非導通領域P2にドットを付している。非導通領域P2は、クラックCRおよびスリット62Aによって、導通領域P1と電気的に接続されていない。
【0072】
具体的には、方向Xに隣接する領域A2は、クラックCRおよびスリット62Aによって、電気的に接続されていない。このような場合、圧電素子12に電圧が印加されると、導通領域P1には電流が流れるが、非導通領域P2には電流が流れない。
【0073】
平面視において、導通領域P1の面積は、電極17Aの面積よりも小さい。言い換えると、電極17Aのうち、電極面として機能する部分が小さくなる。そのため、圧電素子12の静電容量は、圧電素子12がクラックCRを有さない場合と比較して、小さくなる。
【0074】
これにより、図7を用いて説明した工程ST104において、制御装置230の判定モジュール231は、圧電素子12がクラックCRを有すると判定する。その結果、圧電素子12の検査工程において、クラックCRを検出することができる。
【0075】
ここでは、電極17Aの側にクラックCRが発生する例について説明したが、電極17Bの側にクラックCRが発生する場合についても同様にある。
【0076】
以上のように構成された圧電素子12,13および圧電素子12,13が搭載されたサスペンション10であれば、マイクロクラックのようなクラックCRを容易に検出することが可能である。具体的には、圧電素子12の電極17Aは、複数のスリット61~64を有する。スリット61~64の端部61a~64aは、周縁50から離れている。
【0077】
圧電素子12,13にクラックCRが発生する前においては、電極17Aの全体に電流が流れる。一方、圧電素子12,13にクラックCRが発生すると、クラックCRおよびスリット61~64によって、電極17Aには導通領域P1(図10に示す)と非導通領域P2(図10に示す)とが形成される。導通領域P1の面積は、電極17Aの全体の面積よりも小さい。
【0078】
そのため、圧電素子12,13の静電容量は、クラックCRが発生する前と比較して、小さくなる。言い換えると、圧電素子12,13では、クラックCRの有無を静電容量の変化として検出することが可能である。その結果、本実施形態であれば、マイクロクラックのようなクラックCRを容易に検出することが可能である。
【0079】
本実施形態において、電極17Bは、電極17Aと同様の形状を有する。そのため、クラックCRが電極17Bの側に発生した場合、電極17Bにも導通領域P1と非導通領域P2とが形成される。
【0080】
本実施形態であれば、圧電素子12,13において、電極17Aの側に発生したクラックCRだけでなく、電極17Bの側に発生したクラックCRも検出することが可能である。
【0081】
本実施形態であれば、画像検査や目視検査等の外観検査ではなく、クラックCRの有無を静電容量の変化によって検出する。そのため、画像検査や目視検査では隠れて見えない部分に発生したクラックCRについても検出することが可能である。
【0082】
さらに、マイクロクラックのようなクラックCRは、長期的に大きなクラックへ進展する場合がある。本実施形態であれば、検査工程においてクラックCRを検出することで
大きなクラックの発生を抑制し、信頼性の高い圧電素子12,13を提供することができる。
【0083】
本実施形態において、圧電素子12,13を搭載したサスペンション10を用いて、クラックCRを検出することが可能である。そのため、製造工程で発生したクラックCRを検出することが可能である。これにより、信頼性の高い圧電素子12,13を搭載したサスペンション10を提供することができる。
【0084】
本実施形態において、複数のスリット61,62は縁部51Aから延び、複数のスリット63,64は縁部51Bから延びる。さらに、方向Xにおいて、スリット61はスリット62と間隔を置いて交互に並び、スリット63はスリット64と間隔を置いて交互に並ぶ。
【0085】
これにより、縁部51A,51BのどちらからクラックCRが発生した場合であっても、電極17Aには、導通領域P1と非導通領域P2とが形成されやすい。その結果、本実施形態であれば、クラックCRの検出精度を向上することが可能である。以上説明した他にも、本実施形態からは種々の好適な作用が得られる。
【0086】
本実施形態において、電気特性の変化の一例として、静電容量の変化によって、クラックCRを検出する例を開示するが、静電容量以外の電気特性の変化によってクラックCRを検出してもよい。
【0087】
本実施形態において、スリット61~64は、電極17A,17Bのどちらか一方のみに形成されてもよい。複数のスリット61~64の数は、図示した数よりも多くてもよいし、少なくてもよい。
【0088】
本実施形態において、圧電素子12,13を用いて電極の形状について説明するが、磁気ヘッド側に搭載される圧電素子14A,14Bの電極にも適用することができる。
【0089】
次に、他の実施形態について説明する。以下の各実施形態においては、電極に適用可能な形状について説明する。なお、以下に述べる他の実施形態において、上述した第1実施形態と同様の構成要素には、第1実施形態と同一の参照符号を付して、その詳細な説明を省略あるいは簡略化する場合がある。
【0090】
[第2実施形態]
図11は、本実施形態における電極17Cの概略的な平面図である。電極17Cは、複数のスリット91,92を有する。本実施形態において、スリット91,92は第1スリットの一例に相当する。図11においては、複数のスリット91,92にドットを付している。
【0091】
複数のスリット91,92は、電極17Cを方向Zに貫通する。複数のスリット91は縁部51Aから縁部51Bに向けて延び、複数のスリット92は縁部51Bから縁部51Aに向けて延びる。スリット91,92は、例えば、Y軸と平行に形成される。
【0092】
スリット91は端部91aを有し、スリット92は端部92aを有する。端部91a,92aは、周縁50から離れている。具体的には、端部91aは縁部51Bから離れ、端部92aは縁部51Aから離れている。他の観点において、スリット91,92の端部91a,92aは、周縁50に向けて開口していない。
【0093】
スリット91の方向Yの長さは、例えば、スリット92の方向Yの長さと等しい。スリット91,92の方向Yの長さは、例えば、電極17Cの方向Yの長さの半分よりも大きい。
【0094】
スリット92は、方向Xにおいて、スリット91と間隔を置いて、交互に並ぶ。スリット91およびスリット92は、例えば、方向Xに等間隔に並ぶ。スリット92は、方向Yにおいて、スリット91と並んでいない。
【0095】
電極17Cは、複数の導電部74,75をさらに有する。方向Yにおいて、複数の導電部74は複数のスリット91と縁部51Bとの間に位置し、複数の導電部75は複数のスリット92と縁部51Aとの間に位置する。
【0096】
縁部51Dとスリット92との間の領域A4は、導電部75によって、スリット91とスリット92との間の領域A5と電気的に接続される。同様に、方向Xに隣接する領域A5は、導電部74,75によって、電気的に接続される。
【0097】
同様に、縁部51Cとスリット91との間の領域A6は、導電部74によって、領域A5と電気的に接続される。電極17Cは、例えば、縁部51Dの近傍に給電接続部171を有する。
【0098】
本実施形態の構成においても、上述の第1実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0099】
[第3実施形態]
図12は、本実施形態における電極17Dの概略的な平面図である。電極17Dは、複数のスリット93~95と、スリット96,97と、を有する。本実施形態において、スリット93,94,96,97は第1スリットの一例に相当する。図12においては、スリット93~97にドットをそれぞれ付している。
【0100】
スリット93~97は、電極17Dを方向Zに貫通する。複数のスリット93は縁部51Aから縁部51Bに向けて延び、複数のスリット94は縁部51Bから縁部51Aに向けて延びる。スリット93,94は、例えば、Y軸と平行に形成される。
【0101】
スリット93は端部93aを有し、スリット94は端部94aを有する。端部93a,94aは、周縁50から離れている。他の観点において、スリット93,94の端部93a,94aは、周縁50に向けて開口していない。スリット93の方向Yの長さは、例えば、スリット94の方向Yの長さと等しい。複数のスリット93,94は、例えば、方向Xにおいて、等間隔に並ぶ。
【0102】
スリット96は縁部51Cから縁部51Dに向けて延び、スリット97は縁部51Dから縁部51Cに向けて延びる。スリット96,97は、例えば、X軸と平行に形成される。スリット96の方向Xの長さは、例えば、スリット97の方向Xの長さと等しい。
【0103】
スリット96は端部96aを有し、スリット97は端部97aを有する。端部96a,97aは、周縁50から離れている。他の観点において、スリット96,97の端部96a,97aは、周縁50に向けて開口していない。
【0104】
複数のスリット95は、方向Yに並ぶ。スリット95は、例えば、クロス形状を有する。スリット95は、方向Xに延びる部分95Xと、方向Yに延びる部分95Yと、を有する。部分95Xの大きさは、部分95Yの大きさと等しい。部分95Xは、例えば、部分95Yの中央部において、直交している。
【0105】
スリット97、複数のスリットの部分95X、スリット96は、方向Xにおいて、この順で並ぶ。スリット94、スリットの部分95Y、スリット93は、方向Yにおいて、この順で並ぶ。
【0106】
電極17Dは、複数の導電部76,77をさらに有する。導電部76は、方向Xにおいて、スリット95とスリット96との間、スリット95とスリット95との間、およびスリット95とスリット97との間に位置する。
【0107】
導電部77は、方向Yにおいて、スリット93とスリット95との間、スリット94とスリット95との間に位置する。スリット95の周囲の領域A7は、導電部76,77によって、電気的に接続される。電極17Dは、例えば、縁部51Dの近傍に給電接続部171を有する。
【0108】
本実施形態の構成においても、上述の各実施形態と同様の効果を得ることができる。
【0109】
[第4実施形態]
図13は、本実施形態における電極17Eの概略的な平面図である。電極17Eは、スリット98を有する。本実施形態において、スリット98は、第1スリットの一例に相当する。図13においては、スリット98にドットを付している。スリット98は、電極17Eを方向Zに貫通する。スリット98は、例えば、渦巻き形状を有する。
【0110】
スリット98は、例えば、スリット部981と、スリット部982と、を有する。スリット部981は、縁部51Aから縁部51Bに向けて延びる。スリット部981は、縁部51Bまでは到達していない。スリット部981は、例えば、Y軸と平行に形成される。スリット部981の方向Yの長さは、例えば、電極17Eの方向Yの長さの半分よりも大きい。
【0111】
スリット部982は、スリット部981と繋がる。スリット部982は、端部982aを有する。端部982aは、スリット98の端部に相当する。端部982aは、周縁50から離れている。他の観点において、スリット98は、周縁50に向けて開口していない。
【0112】
スリット部982は、方向Xに延びる複数の部分982Xと、方向Yに延びる複数の部分982Yを有する。スリット部982は、部分982Xと部分982Yとが交互に繋がることで形成される。
【0113】
電極17Eは、図13に示すように、スリット98によって、電流が流れない領域を有さない。言い換えると、電極17Eには、スリット98によって、他の領域と電気的に接続されていない領域が形成されない。電極17Eは、例えば、スリット部981と縁部51Dとの間に給電接続部171を有する。
【0114】
本実施形態の構成においても、上述の各実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、スリット98のスリット部981は縁部51Aから延びるが、スリット部981は縁部51B~51Dのうちの1つから延びてもよい。
【0115】
[第5実施形態]
図14は、本実施形態における電極17Fの概略的な平面図である。電極17Fは、複数(例えば、3つ)のスリット101を有する。本実施形態において、スリット101は、第1スリットの一例に相当する。図14においては、複数のスリット101にドットを付している。
【0116】
複数のスリット101は、電極17Fを方向Zに貫通する。複数のスリット101は、縁部51Cから縁部51Dに向けて延びる。スリット101は、例えば、X軸と平行に形成される。
【0117】
スリット101は、端部101aを有する。端部101aは、周縁50から離れている。具体的には、端部101aは縁部51Dから離れている。他の観点において、スリット101の端部101aは、周縁50に向けて開口していない。
【0118】
複数のスリット101は、例えば、方向Yに沿って、等間隔に並ぶが、この例に限られない。スリット101の方向Xの長さは、例えば、電極17Fの方向Xの長さの半分よりも大きい。
【0119】
電極17Fは、導電部78を有する。導電部78は、複数のスリット101の端部101aと縁部51Dとの間に位置する。
【0120】
縁部51A,51Bとスリット101との間の領域A8は、導電部78によって、スリット101とスリット101との間の領域A9と電気的に接続される。同様に、方向Yに隣接する領域A9は、導電部78によって、電気的に接続される。電極17Fは、例えば、縁部51Dの近傍に給電接続部171を有する。
【0121】
本実施形態の構成においても、上述の各実施形態と同様の効果を得ることができる。なお、スリット101の数は3つ限られず、2つ以下でもよいし、4つ以上でもよい。
【0122】
[第6実施形態]
図15は、本実施形態における電極17Gの概略的な平面図である。電極17Gは、スリット102を有する。本実施形態において、スリット102は第1スリットの一例に相当する。図15においては、スリット102にドットを付している。スリット102は、電極17Gを方向Zに貫通する。
【0123】
スリット102は、例えば、スリット部1021と、一対のスリット部1022と、スリット部1023と、を有する。本実施形態において、スリット部1021は第1スリット部の一例に相当し、スリット部1022は第2スリット部の一例に相当する。
【0124】
スリット部1021は、縁部51Cから縁部51Dに向けて延びる。スリット部1021は、方向Yにおいて、一対のスリット部1022の間に位置する。スリット部1022は、スリット部1021と間隔を置いて並ぶ。
【0125】
一対のスリット部1022は、スリット部1021に沿って延びる。スリット部1021および一対のスリット部1022は、例えば、X軸と平行に形成される。スリット部1021,1022の方向Xの長さは、例えば、電極17Gの方向Xの長さの半分よりも大きい。一対のスリット部1022の方向Xの長さは、スリット部1021の方向Xの長さよりも小さい。
【0126】
スリット部1023は、方向Yに延びる。1023の方向Yの長さは、例えば、電極17Gの方向Yの長さの半分よりも大きい。一対のスリット部1022は、スリット部1023を介して、スリット部1021と繋がる。例えば、一対のスリット部1022は、スリット部1023の両端部とそれぞれ繋がり、スリット部1021はスリット部1023の中央部と繋がる。
【0127】
一対のスリット部1022は、端部1022aをそれぞれ有する。端部1022aは、スリット102の端部に相当する。端部1022aは、周縁50から離れている。具体的には、端部1022aは縁部51Cから離れている。他の観点において、スリット部1022の端部1022aは、周縁50に向けて開口していない。
【0128】
電極17Gは、2つの導電部79と、導電部80と、をさらに有する。導電部79は、一対のスリット部1022と縁部51Cとの間に位置する。導電部80は、スリット部1023と縁部51Dとの間に位置する。
【0129】
縁部51A,51Bとスリット部1022との間の領域A10は、導電部79によって、スリット部1021とスリット部1022との間の領域A11と電気的に接続される。縁部51Aとスリット部1022との間の領域A10は、導電部80によって、縁部51Bとスリット部1022との間の領域A10と電気的に接続される。電極17Gは、例えば、縁部51Dの近傍に給電接続部171を有する。
【0130】
本実施形態の構成においても、上述の各実施形態と同様の効果を得ることができる。本実施形態において、スリット102は、スリット部1021と、スリット部1021に沿って延びる一対のスリット部1022と、を有する。
【0131】
例えば、縁部51AからクラックCRが発生した場合、クラックCRは縁部51Aの側のスリット部1022と交差する。これにより、縁部51Aの側の領域A11には電気が流れなくなり、非導通領域P2の面積を大きくすることができる。すなわち、クラックCRが発生した際における静電容量の変化が大きくなる。その結果、クラックCRの検出精度をより向上することが可能である。
【0132】
以上の実施形態にて開示した発明を実施するにあたっては、ベースプレート、ロードビームやフレキシャの形状等の具体的な態様をはじめとして、ディスク装置用サスペンションを構成する各要素の具体的な態様を種々に変更できる。
【0133】
上述の各実施形態に開示されている複数の構成要素の適宜な組み合わせにより種々の発明を形成できる。例えば、各実施形態に示される全構成要素から幾つかの構成要素を削減してもよい。さらに、異なる実施形態に亘る構成要素を適宜組合せてもよい。
【0134】
圧電素子が備える2つの電極は、例えば、それぞれ異なる形状を有してもよい。具体的には、2つの電極の各々が上述の各実施形態の電極をそれぞれ有してもよい。この場合、スリットの幅は十分に小さいことが好ましい。サスペンションが複数の圧電素子を備える場合、例えば、圧電素子が搭載される位置に応じて、圧電素子が備える電極の形状が異なってもよい。
【0135】
上述の各実施形態において、スリットの各々は、方向Xに延びる部分および方向Yに延びる部分によって形成されるが、スリットは、方向X,Yと交差する方向に延びる部分を有してもよいし、湾曲形状の部分を有してもよい。
【符号の説明】
【0136】
1…ディスク装置、10…サスペンション、12,13…圧電素子、15…圧電体、17A~17G…電極、20…ベースプレート、30…ロードビーム、40…フレキシャ、50…周縁、51A~51D…縁部、61~64…スリット、61a~64a…端部、91~98…スリット、91a~94a…端部、96a,97a…端部、101,102…スリット、101a…端部、151…第1主面、153…第2主面、981,982…スリット部、982a…端部、1021~1023…スリット部、1022a…端部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11
図12
図13
図14
図15