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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112076
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】移動式タンク車両
(51)【国際特許分類】
   B65D 88/12 20060101AFI20240813BHJP
   B67D 7/04 20100101ALI20240813BHJP
【FI】
B65D88/12 J
B67D7/04 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016920
(22)【出願日】2023-02-07
【新規性喪失の例外の表示】特許法第30条第2項適用申請有り 令和4年10月17日に弘済企業株式会社に移動式タンク車両に関する設置許可申請書類を納品した。 令和4年12月15日にENEOSエアサポート株式会社に移動式タンク車両を納品した。
(71)【出願人】
【識別番号】000155573
【氏名又は名称】株式会社矢野特殊自動車
(74)【代理人】
【識別番号】100080160
【弁理士】
【氏名又は名称】松尾 憲一郎
(74)【代理人】
【識別番号】100149205
【弁理士】
【氏名又は名称】市川 泰央
(72)【発明者】
【氏名】力丸 清美
(72)【発明者】
【氏名】藤井 幹也
【テーマコード(参考)】
3E083
3E170
【Fターム(参考)】
3E083AA13
3E083AJ11
3E170AA07
3E170AB03
3E170AB29
3E170BA07
3E170QA11
3E170VA04
3E170VA20
(57)【要約】
【課題】異物検査の作業性を向上した移動式タンク車両を提供する。
【解決手段】底部にエア開閉式の底弁を有する複数の液体貯留室にタンク内を区画し、底弁に連通連結した荷卸し用配管を介して液体燃料を荷卸し可能とする移動タンク貯蔵所であって、液体貯留室の底部に設けられたエア開閉式のドレン弁と、液体貯留室の下方に配設されドレン弁と連通連結したドレン配管と、一端がエアタンクに接続された配管本体部と、配管本体部の他端部から2股に分岐して分岐先端部を底弁とドレン弁にそれぞれ連通連結した第1分岐配管部および第2分岐配管部と、を有するエア配管と、第1分岐配管部の途中に設けられ底弁への圧縮空気の供給を制御する底弁開閉レバーと、複数のドレン配管を集合するドレンボックス内であってドレン配管の先端部近傍に設けたドレン弁開閉レバーと、配管本体部に設けられ、エア配管と外部空間との連通可否を制御する緊急レバーを備えた。
【選択図】図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
タンク内が複数の液体貯留室に区画され、前記各液体貯留室の底部に設けたエア開閉式の底弁と、前記液体貯留室の下方に配設され前記底弁と連通連結した荷卸し用配管を有し、前記荷卸し用配管を介して前記液体貯留室内の液体を荷卸し可能とする移動タンク貯蔵所であって、
前記液体貯留室の底部に設けられ圧縮空気により弁の開閉を制御するエア開閉式のドレン弁と、
前記液体貯留室の下方に配設され前記ドレン弁と連通連結したドレン配管と、
一端がエアタンクに接続された配管本体部と、前記配管本体部の他端部から2股に分岐して分岐先端部を前記底弁と前記ドレン弁にそれぞれ連通連結した第1分岐配管部および第2分岐配管部と、を有するエア配管と、
前記第1分岐配管部の途中に設けられ、前記底弁への圧縮空気の供給を制御する底弁開閉レバーと、
複数の前記ドレン配管を集合するドレンボックス内であって前記ドレン配管の先端部近傍に設けられ、前記ドレン弁に供給される圧縮空気を制御するドレン弁開閉レバーと、
前記配管本体部に設けられ、前記エア配管の内部空間を前記エア配管の外部空間と連通するか否かを制御する緊急レバーと
を備えたことを特徴とする移動式タンク車両。
【請求項2】
前記ドレン配管に圧力調整用のリリーフ弁を設けたことを特徴とする請求項1に記載の移動式タンク車両。
【請求項3】
前記ドレン弁は、
回転体形状を有するケースと
ケースの中央部で弁の開閉を制御するシリンダと、
シリンダの昇降動作を制御する開閉作動部と、
を有し、
前記ケースは、タンク底面に連設した上部ケースと、
前記上部ケースに連結固定される下部ケースと、からなり
前記上部ケースと前記下部ケースとを締結部材を介して一体に固定することを特徴とする請求項1または請求項2に記載の移動式タンク車両。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は、タンクローリやタンクトレーラなどの移動式タンク車両に関するものである。
【0002】
従来、揮発性燃料などの液体を運搬するタンクローリ等の移動式タンク車両は、車両の後方に液体を貯留するための液体貯蔵タンクを有する。この液体貯蔵タンクは、液体燃料を収納するための液体貯留室を複数有しており、各液体貯留室には、積載した液体に異物が混入していないかどうかを検査(以下、「異物検査」と称する。)するためのドレン弁(又は、検水弁)が設けられている。
【0003】
従来のドレン弁は、前後に貫通形成された液体流通用の孔部を有する球体と、球体に連結した開閉レバーと、を有し、球体に設けた孔部の向きを開閉レバーで調整することにより、液体貯留室からの液体燃料の排出可否を制御する、いわゆるボール弁(ボールバルブ)で構成している(非特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【非特許文献1】監修消防庁危険物規制課 平成9年4月 財団法人全国危険物安全協会発行 「移動タンク貯蔵所ハンドブック」 P176
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
このような構成の従来のドレン弁は、開閉レバーの回動操作という簡単な手段で液体貯蔵タンクに貯留した液体燃料の排出可否を制御できる。しかしながら、このドレン弁は、弁の開閉制御を担う開閉レバーを球体と連結した構成であるため、各液体貯留室に積載した液体燃料の異物検査を実施するためには、各ドレン弁に対応する開閉レバーをいちいち開閉操作する必要があり作業性が悪かった。
【0006】
本発明は、かかる従来の課題を解決すべく、異物検査の作業性を向上した移動式タンク車両を提供する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の第1の態様は、タンク内が複数の液体貯留室に区画され、各液体貯留室の底部に設けたエア開閉式の底弁と、液体貯留室の下方に配設され前記底弁と連通連結した荷卸し用配管を有し、荷卸し用配管を介して液体貯留室内の液体を荷卸し可能とする移動タンク貯蔵所であって、前記液体貯留室の底部に設けられ圧縮空気により弁の開閉を制御するエア開閉式のドレン弁と、前記液体貯留室の下方に配設され前記ドレン弁と連通連結したドレン配管と、一端がエアタンクに接続された配管本体部と、配管本体部の他端部から2股に分岐して分岐先端部を前記底弁と前記ドレン弁にそれぞれ連通連結した第1分岐配管部および第2分岐配管部と、を有するエア配管と、前記第1分岐配管部の途中に設けられ、前記底弁に供給される圧縮空気を制御する底弁開閉レバーと、複数の前記ドレン配管を集合するドレンボックス内であって前記ドレン配管の先端部近傍に設けられ、前記ドレン弁に供給される圧縮空気を制御するドレン弁開閉レバーと、前記配管本体部に設けられ、前記エア配管の内部空間を前記エア配管の外部空間と連通するか否かを制御する緊急レバーとを備えることを特徴とする移動式タンク車両である。
【0008】
本発明の第2の態様は、前記ドレン配管にリリーフ弁を設けたことを特徴とする移動式タンク車両である。
【0009】
本発明の第3の態様は、前記ドレン弁は、回転体形状を有するケースと、ケースの中央部で弁の開閉を制御するシリンダと、シリンダの昇降動作を制御する開閉作動部と、を有し、前記ケースは、タンク底面に連設した上部ケースと、前記上部ケースに連結固定される下部ケースと、からなり前記上部ケースと前記下部ケースとを締結部材を介して一体に固定することを特徴とする移動式タンク車両である。
【発明の効果】
【0010】
本発明の第1の態様によれば、タンク内が複数の液体貯留室に区画され、各液体貯留室の底部に設けたエア開閉式の底弁と、液体貯留室の下方に配設され前記底弁と連通連結した荷卸し用配管を有し、荷卸し用配管を介して液体貯留室内の液体を荷卸し可能とする移動タンク貯蔵所であって、前記液体貯留室の底部に設けられ圧縮空気により弁の開閉を制御するエア開閉式のドレン弁と、前記液体貯留室の下方に配設され前記ドレン弁と連通連結したドレン配管と、一端がエアタンクに接続された配管本体部と、配管本体部の他端部から2股に分岐して分岐先端部を前記底弁と前記ドレン弁にそれぞれ連通連結した第1分岐配管部および第2分岐配管部と、を有するエア配管と、前記第1分岐配管部の途中に設けられ、前記底弁に供給される圧縮空気を制御する底弁開閉レバーと、複数の前記ドレン配管を集合するドレンボックス内であって前記ドレン配管の先端部近傍に設けられ、前記ドレン弁に供給される圧縮空気を制御するドレン弁開閉レバーと、前記配管本体部に設けられ、前記エア配管の内部空間を前記エア配管の外部空間と連通するか否かを制御する緊急レバーと、を備えた構成により、異物検査の作業性を向上できる。
また、複数の前記ドレン配管を集合するドレンボックス内であって前記ドレン配管の先端部近傍に設けられ、前記ドレン弁に供給される圧縮空気を制御するドレン弁開閉レバーを備えた構成により、ドレンボックス近傍で異物検査を完結でき、作業者による作業性を向上できる。
また、前記配管本体部に設けられ、前記エア配管の内部空間を前記エア配管の外部空間と連通するか否かを制御する緊急レバーを備えた構成により、緊急時において、ドレン弁と底弁を同時に閉弁できる。緊急レバーのレバー操作のみで全ての弁を閉弁できるため、作業者による作業性および安全性を向上できる。
【0011】
本発明の第2の態様によれば、前記ドレン配管にリリーフ弁を設けたことにより、ドレン配管内に液体が残留することを気にすることなくドレン弁開閉レバーを閉塞でき、異物検査の作業性を向上できる。また、ドレン配管にリリーフ弁を設けた構成により、液体燃料が残留していても、ドレン配管内部が高圧とならないため、外部漏洩や機器作動不良を防止できる。
【0012】
本発明の第3の態様によれば、前記ドレン弁は、回転体形状を有するケースと、ケースの中央部で弁の開閉を制御するシリンダと、シリンダの昇降動作を制御する開閉作動部と、を有し、前記ケースは、タンク底面に連設した上部ケースと、前記上部ケースに連結固定される下部ケースと、からなり、前記上部ケースと前記下部ケースとを締結部材を介して一体に固定することにより、ドレン弁のタンク底面から下方への突出代を短くでき、ドレン弁からドレン配管の排出口までの高低差を拡大してドレン配管内を流下する液体燃料の流下速度を増大し、液体燃料がドレン配管内に残留する虞を可及的に低減できる。すなわち、作業者は、ドレン配管内に液体が残留することを気にすることなくドレン弁を閉塞でき、異物検査の作業性を向上できる。
また、ケースを回転体形状としたことにより、液体燃料が流通する経路、特に上部ケースから下部ケースに流入する液体燃料が渦を形成して上部ケースに流入できるため、タンク燃料内に異物が混入していた場合、ドレン弁を介してドレン配管に確実に異物を排出できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】本発明の実施形態に係るタンクローリの外観を示す図であり、(a)は側面図であり、(b)は平面図である。
図2】本発明の実施形態に係るエア回路図である。
図3】本発明の実施形態に係るドレン弁の開閉状態を示す模式図であり、(a)はドレン弁の閉弁状態を示す図であり、(b)はドレン弁の開弁状態を示す図である。
図4】本発明の実施形態に係るドレン弁の閉弁状態における内部構造を示す模式図である。
図5】本発明の実施形態に係るドレン弁の開弁状態における内部構造を示す模式図である。
図6】本発明の実施形態に係るドレンボックスを示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態に係るタンクローリの構成の概要と燃料タンクに貯留した燃料の一部を抜き取るためのドレン弁およびドレン配管の構成、およびドレン弁の開閉を制御するための圧縮空気の制御手段について、図1図6を参照しながら具体的に説明する。図1は、本発明のタンクローリTの外観を示す図である。図2は、本発明のタンクローリTの底弁3およびドレン弁4を開閉制御するためのエア回路図である。
【0015】
[タンクローリTの構成]
図1(a),(b)に示すように、タンクローリTは、前部の運転席1と後部の液体貯蔵タンク2とで構成され、運転席1の後方には前輪1a,1aと後輪1bの上部に二本のシャーシ1c,1cがタンクローリTの車体長手方向に平行かつ水平に設けられている。そして、シャーシ1c,1cの上部には複数のサポートフレーム1dが立設され、その上部に前側を下方傾斜状とする液体貯蔵タンク2が搭載されている。そして、液体貯蔵タンク2の下部とシャーシ1c,1cの上部との間には、荷卸し用配管30および複数(例えば、5本)のドレン配管6が配設されている。また、シャーシ1c,1cの下部には、前輪1a,1aと後輪1bの間にドレン配管6の先端部を収納したドレンボックス7が配設されている。
【0016】
なお、本実施形態においては、図1(a),(b)に示すように、単車タイプのタンクローリTを一例として説明するが、本発明は、例えば、トレーラタイプのタンクローリ等の異なる車種のタンクローリにも適用することができる。また、タンクローリTは、ガソリン、軽油などの液体燃料を運搬するのに公的に使用できるものを一例として説明するが、本発明は、これに限定されるものではなく、液体燃料を運搬可能なタンクローリTであれば如何なるものでもよい。
【0017】
[液体貯蔵タンク2の構造]
液体貯蔵タンク2の内部は、タンクローリTの幅方向に配置された複数の仕切板20aにより複数の液体貯留室20に区分けされている。各液体貯留室20の前側底面(運転席1寄りの底面)には、底弁3とドレン弁4が配設されている。底弁3は、液体貯留室20に積載された液体を液体貯蔵タンク2の外部に排出可能とする液体燃料の排出口であり、運転席1の後方下部のエアタンク5に貯留した圧縮空気により弁の開閉を制御している。底弁3は、‘開’弁時において、弁の下部に連設した荷卸し用配管30を介して液体貯留室20内に貯留した液体燃料を排出できるように構成している。
【0018】
すなわち、本実施形態においては、複数(例えば、5室)の液体貯留室20の底面にそれぞれ配設された各底弁3に応じて荷卸し用配管30が接続されている。そして、液体貯蔵タンク2の液体貯留室20に貯留されている液体燃料は、各底弁3を開放動作させることで荷卸し用配管30を経由して流下し、荷卸し用配管30の先端に設けられた吐出口からタンクローリTの外部に吐出(つまり、荷卸し)される。
【0019】
ドレン弁4は、液体貯留室20内の液体燃料の排出可否を制御する液体燃料の排出制御弁である。ドレン弁4は、底弁3と同様にエアタンク5から供給される圧縮空気により弁の開閉を制御している。ドレン弁4は、弁の下部に連設したドレン配管6を介して液体貯留室20に貯留した液体燃料を排出している。すなわち、本実施形態においては、各液体貯留室20の底面にそれぞれ配設された各ドレン弁4にドレン配管6が接続されている。そして、液体貯留室20に貯留されている液体燃料は、各ドレン弁4を開放動作させることでドレン配管6を経由して流下し、ドレン配管6の先端部である吐出部62から外部に吐出される。
【0020】
上述したように、液体貯蔵タンク2の内部を仕切板20aで複数の独立した液体貯留室20に区分けし、各液体貯留室20の底面に配設されたドレン弁4に、ドレンボックス7に吐出部62を収納したドレン配管6を連設したため、液体貯留室20に貯留した液体燃料の抜取作業(異物検査作業)をドレンボックス7近傍で完結させることができる。
【0021】
[エア供給回路の構造]
このように各液体貯留室20の底面に設けた底弁3およびドレン弁4は、いずれもエア開閉式よりなり、以下に詳述するエア供給回路により各弁の開閉が制御されている。以下、図2を参照して、本実施形態に係る底弁3およびドレン弁4の開閉制御手段としてのエア供給回路の構成について説明する。
【0022】
エア源であるエアタンク5には、図示しないコンプレッサーが付設されており、コンプレッサーを駆動させることで圧縮空気が貯留される。そして、このエアタンク5と、底弁3およびドレン弁4との間にはエア配管8が介設されており、エア配管8を通じてエアタンク5に貯留した圧縮空気を各弁に伝達可能に構成している。エア配管8は、エアタンク5に一端部を接続した配管本体部80と、配管本体部80の他端部から2股に分岐して分岐先端部を底弁3とドレン弁4にそれぞれ連通連結した第1分岐配管部81および第2分岐配管部82とを有する。
【0023】
配管本体部80は、一端部をエアタンク5に連結して、他端部を2股に分岐してそれぞれに第1分岐配管部81と第2分岐配管部82が連結されている。この配管本体部80の途中には、1つ以上の緊急レバー9が設けられている。緊急レバー9は、手動のレバー操作にて開閉されて、開放時には配管本体部80を外気と連通させる。すなわち、この緊急レバー9は、‘閉’状態において、配管本体部80と配管外部との連通状態を遮断して配管本体部80内を大気圧よりも昇圧した状態に維持し、‘開’状態において、配管本体部80内の圧縮空気を外部に放出して配管本体部80内を大気圧に戻すことができる。
なお、緊急レバー9は、タンクローリが危険物である各種の油等を積載,運搬,荷卸しすることに鑑み設けられている。緊急レバー9は、緊急時において迅速かつ容易にすべての底弁3およびドレン弁4を閉塞することが可能で直ちに荷卸し、および異物検査用の燃料の抜取動作を停止させるために使用されるレバーである。
緊急レバー9は、液体貯蔵タンク2内の各液体貯留室20に貯留した液体燃料を外部に排出可能とする吐出口(本実施形態においては、ドレン配管6の吐出部62、および荷卸し用配管30の先端部を併せて吐出口と称する。)の取付位置に応じて規定されている。
例えば、液体貯蔵タンク2の左右いずれかの側面側、または、左右両側面側に吐出口が設けられている場合、液体貯蔵タンク2の後部左側に1か所緊急レバー9が配設されていればよい。また、液体貯蔵タンク2の左右いずれかの側面側、または、左右両側面側及び後部側に吐出口が設けられている場合、液体貯蔵タンク2の後部左側と液体貯蔵タンク2の左側面側の2か所に緊急レバー9が配設されていればよい。また、液体貯蔵タンク2の後部側に吐出口が設けられている場合、液体貯蔵タンク2の左側面側に1か所緊急レバー9が配設されていればよい。
本実施形態においては、液体貯蔵タンク2の右側面側にドレン配管6の吐出部62を設け、液体貯蔵タンク2の左側面側に荷卸し用配管30の排出口を設ける構成を例示しているため、緊急レバー9は、液体貯蔵タンク2の後部左側に1か所設けられている。
【0024】
第1分岐配管部81は、他端部を5つに分岐して、それぞれが各液体貯留室20の底弁3の開閉作動部に接続されている。この第1分岐配管部81の途中には、それぞれ底弁開閉レバー81aが設けられている。この底弁開閉レバー81aは、手動にてレバー操作され、対応する底弁3に圧縮空気を供給して底弁3を開放させるように構成している。
すなわち、この底弁開閉レバー81aは、‘開’状態で第1分岐配管部81を底弁3の開閉作動部と連通して底弁3を開放することで液体燃料の排出を可能とし、また、‘閉’状態で第1分岐配管部81を途中で遮断し、配管本体部80側を閉塞すると共に底弁3の開閉作動部を外気と連通して底弁3を閉塞できる。
【0025】
第2分岐配管部82は、他端部を5つに分岐して、それぞれに各液体貯留室20のドレン弁4の開閉作動部であるエア貯留空間Sに接続されている。この第2分岐配管部82の途中であって第2分岐配管部82の分岐前の配管には、ドレン弁開閉レバー82aが設けられている。このドレン弁開閉レバー82aは、手動にてレバー操作され、一斉にドレン弁4のエア貯留空間Sに圧縮空気を供給(または、エア貯留空間Sから圧縮空気を排出)して、全てのドレン弁4を同時に開放(または、閉塞)できるように構成している。すなわち、ドレン弁開閉レバー82aは、‘開’状態で第2分岐配管部82をドレン弁4の開閉作動部42に連通してエア貯留空間Sに圧縮空気を供給することによりドレン弁4を開放して液体燃料を排出できる開弁状態とし、また、‘閉’状態で第2分岐配管部82を途中で遮断し、第2分岐配管部82の配管本体部80側を閉塞すると共にドレン弁4のエア貯留空間Sを第2分岐配管部82を介して外気と連通状態としてドレン弁4を閉弁する。このドレン弁開閉レバー82aは、液体貯蔵タンク2の側部に設けたドレンボックス7にドレン配管6の吐出部62とともに収納されている。
【0026】
なお、第1分岐配管部81において底弁開閉レバー81aには、エア開放弁81bが設けられている。このエア開放弁81bは、底弁開閉レバー81aを‘閉’状態とした場合に底弁3と底弁開閉レバー81aとの間に位置する第1分岐配管部81を外部と連通させる弁体である。エア開放弁81bは、底弁開閉レバー81aと連動して第1分岐配管部81と配管外部との連通状態、遮断状態を制御しており、底弁開閉レバー81aが‘開’状態では、第1分岐配管部81と配管外部との連通状態を遮断し、底弁開閉レバー81aが‘閉’状態では、第1分岐配管部81と配管外部とを連通状態にしている。すなわち、底弁開閉レバー81aが‘閉’状態となると、底弁3と底弁開閉レバー81aとの間に位置する第1分岐配管部81が大気圧に戻り、その結果、底弁3を‘閉’状態に直ちに変位させることができる。また、第2分岐配管部82において、ドレン弁開閉レバー82aには、エア開放弁82bが設けられている。このエア開放弁82bは、ドレン弁開閉レバー82aを‘閉’状態とした場合にドレン弁4とドレン弁開閉レバー82aとの間に位置する第2分岐配管部82を外部と連通させる弁体である。エア開放弁82bは、ドレン弁開閉レバー82aと連動して第2分岐配管部82と配管外部との連通・遮断状態を制御しており、ドレン弁開閉レバー82aが‘開’状態では、第2分岐配管部82と配管外部との連通状態を遮断し、ドレン弁開閉レバー82aが‘閉’状態では、第2分岐配管部82と配管外部とを連通状態としている。すなわち、ドレン弁開閉レバー82aが‘閉’状態となると、ドレン弁4とドレン弁開閉レバー82aとの間に位置する第2分岐配管部82を大気圧に戻して、その結果、ドレン弁4を‘閉’状態に直ちに変位することができる。
【0027】
[ドレン弁4の構造]
以下、図3図5を参照して、本実施形態に係るドレン弁4の構成を説明する。
ドレン弁4は、図4および図5に示すように、各液体貯留室20の前端部近傍の底面に設けられた吐出口に密接に取付けられている。ドレン弁4は、液体貯留室20の底面に連設固定されるケース40と、ケース40の中央部で弁の開閉を担うシリンダ41と、シリンダ41の昇降動作を制御する開閉作動部42とを有する。
ドレン弁4は、従来のボール弁からエア開閉式の弁構造としたことにより、液体貯蔵タンク2の外底面からの突出代を小さくできる。これにより、ドレン弁4に連設したドレン配管6の基端部を液体貯蔵タンク2の外底面に接近させて液体燃料の位置エネルギーを従来のボール弁よりも増大し、ドレン配管6を通過する液体燃料の流下速度を上昇して、ドレン配管内に液体燃料が残留する虞を可及的に低減できる。
【0028】
ケース40は、略ドーナツ状に形成された上部ケース40aと、上下反転した略逆ハット状に形成した下部ケース40bとよりなり、ボルト等の締結部材Bを介して上部ケース40aと下部ケース40bが一体に固定されている。ケース40は、上部ケース40aと下部ケース40bとにより回転体形状に形成されている。
【0029】
上部ケース40aは、溶接等の固定手段により液体貯留室20の底面に上端周縁部を連設固定している。上部ケース40aの中央部には、内周壁を下方に向けて縮径テーパー状とする燃料流通孔部40a1を有する。
【0030】
下部ケース40bは、略椀形状のケース本体部40b1と、ケース本体部40b1の上端部近傍の外側面から水平方向に伸延したフランジ部40b2からなる。下部ケース40bは、ケース本体部40b1とフランジ部40b2により略ハット状に形成している。
【0031】
このケース本体部40b1は、ケース本体部40b1の上部略中央部に形成した燃料流入孔部40b3の近傍であって、ケース本体部40b1の上面に設けたパッキン固定溝部40b4と、下部中央に上下に貫通形成したエア供給管挿通孔部40b5と、内周側壁に水平状に穿設した燃料流出孔部40b6を有する。パッキン固定溝部40b4には、弾性体からなる遮断パッキンP3を嵌入し、エア供給管挿通孔部40b5に第2分岐配管部82に連結したエア供給管42aを挿通し、燃料流出孔部40b6にドレン配管6を連結している。
【0032】
フランジ部40b2には、上下に貫通形成した固定孔部40b7を有する。下部ケース40bは、固定孔部40b7にボルト等の締結部材Bを挿通し、締結部材Bの先端部を上部ケース40aに螺合することにより、上部ケース40aと一体に固定されている。
【0033】
また、上部ケース40aと下部ケース40bの連結部分、すなわち、上部ケース40aの下面と下部ケース40bのフランジ部40b2の上面との間には弾性状のパッキンP1を介在している。これにより、ケース40は、上部ケース40aと下部ケース40bの2つに分割して下部ケース40bの設置およびメンテナンスを容易としつつ、上部ケース40aと下部ケース40bの接合時には、両ケースの接合部分から液体燃料が漏洩することを防止している。
【0034】
このようにケース40は構成されており、上部ケース40aを液体貯留室20の底面に固定し、上部ケース40aに締結部材Bを介して下部ケース40bを連結固定する構成により、液体貯蔵タンク2の外底面から下方への突出代を短くすることができる。すなわち、従来のボール弁のように液体貯蔵タンク2の外底面の下方に弁の開閉を制御するボール体を設ける必要がなくなるため、下部ケース40bの液体貯蔵タンク2の外底面からの突出代を短くできる。これにより、下部ケース40bに接続されるドレン配管6の基端部を液体貯蔵タンク2の外底面にできるだけ接近した状態で設けることができる。そして、ドレン配管6先端部に対するドレン配管6基端部の位置エネルギーを高く維持することにより、ドレン配管6内を通過する液体燃料の流下速度を上昇して、液体燃料がドレン配管6内に留まる虞を可及的に低減することができる。
【0035】
また、上部ケース40aおよび下部ケース40bは、内側面および外側面の水平断面形態を円形状に形成している。すなわち、上部ケース40aおよび下部ケース40bからなるケース40は、全体として回転体形状に形成している。このように、ケース40を回転体形状とすることにより、上部ケース40aおよび下部ケース40bを切削加工にて製造できる。つまり、上部ケース40aおよび下部ケース40bの製造時において、鋳造用型が不要となり、上部ケース40aおよび下部ケース40bの製造時間を短縮できる。
【0036】
また、ケース40を回転体形状とすることにより、液体貯留室20から上部ケース40aおよび下部ケース40bに排出される液体燃料がコリオリの力により渦を形成しながら排出される。これにより、液体貯留室20に貯留した液体燃料に異物が混入していたとしても、液体貯留室20の外部に確実に排出することができる。すなわち、液体貯留室20に貯留した燃料の異物検査を従来よりもさらに正確に実施することができる。
【0037】
シリンダ41は、液体貯留室20に貯留した液体燃料を下部ケース40bの燃料流出孔部40b6に接続したドレン配管6に排出するかどうかを制御するドレン弁4の開閉作動部である。シリンダ41は、上シリンダ41aと、上シリンダ41aに締結部材を介して一体に固定される下シリンダ41bを有する。
【0038】
上シリンダ41aは、上方突状の凸状部41a1と、凸状部41a1の下端部から水平方向に延設した上フランジ部41a2を有する。上シリンダ41aは、凸状部41a1と上フランジ部41a2とで略ハット状に形成している。
【0039】
下シリンダ41bは、有底筒状であって底面略中央部にエア供給管42aを挿通固定するための孔部41b2を有するシリンダ本体41b1と、シリンダ本体41b1の上端部から外方向の水平方向に延設した下フランジ部41b3を有する。シリンダ本体41b1は、孔部41b2の周縁部に沿って立設した摺動ガイド壁部41b4と、外底面の周縁部近傍であって下方に突設した液体遮断壁部41b5と、を有する。
【0040】
摺動ガイド壁部41b4は、上下を開放した円筒状であって、その内径をエア供給管42aよりもやや大経に形成している。摺動ガイド壁部41b4は、エア供給管42aに沿って下シリンダ41bが上下摺動する際のガイドとして機能する。
【0041】
液体遮断壁部41b5は、下部ケース40bの上端部に設けた遮断パッキンP3と対向する位置に設けられている。液体遮断壁部41b5は、下部ケース40bの遮断パッキンP3との当接状態において、液体貯留室20と下部ケース40bの燃料流入孔部40b3との連通状態を遮断している。
【0042】
開閉作動部42は、シリンダ41の昇降動作を制御して液体貯留室20に貯留した液体燃料を下部ケース40bに流下させるかどうかを制御する液体燃料の排出制御機構である。開閉作動部42は、上シリンダ41aの凸状部41a1の内側であってエアタンク5から第2分岐配管部82を介して圧縮空気を供給するエア供給管42aと、エア供給管42aの上端部近傍に固設した開閉サポート部42bと、開閉サポート部42bおよび下シリンダ41bの内底面との間に介装したスプリング42cと、よりなる。
開閉作動部42は、スプリング42cにより下シリンダ41bを下方に付勢している。また、開閉作動部42は、上シリンダ41aの凸状部41a1と、エア供給管42aの先端部近傍に設けた開閉サポート部42bとにより、圧縮空気を貯留するためのエア貯留空間Sを有する。
【0043】
このように構成した、ドレン弁4は、開閉作動部42の動作により開閉制御される。すなわち、ドレン弁4は、開閉作動部42を作動させることにより、液体貯留室20に貯留した液体燃料をドレン配管6に排出することができる。この開閉作動部42を有するドレン弁4を用いた液体燃料の排出動作について以下に説明する。
【0044】
まず、ドレン弁4は、常時は、スプリング42cの付勢力により下シリンダ41bが下方に付勢されて下シリンダ41bの液体遮断壁部41b5が下部ケース40bの遮断パッキンP3に圧接されて、上部ケース40aと下部ケース40bとの間の液体流通経路が遮断されて閉鎖されている(図3(a)参照)。他方、前述した第2分岐配管部82に設けたドレン弁開閉レバー82aを‘開’状態としてエア供給管42aの先端部からエア貯留空間Sに圧縮空気を供給すると、エア貯留空間S内の圧力が上昇して上シリンダ41aを上昇させる。この際、上シリンダ41aおよび下シリンダ41bが一体に構成されていることから、上シリンダ41aの上昇に伴い、下シリンダ41bもスプリング42cによる下方への付勢力に抗してエア供給管42aに沿って上昇する(図3(b)参照)。これにより、下シリンダ41bの液体遮断壁部41b5と遮断パッキンP3との当接状態が解除されて液体貯留室20に貯留した液体燃料が燃料流出孔部40b6に流入して図5中の太矢示のごとくドレン配管6に排出される。
【0045】
次に、第2分岐配管部82に設けたドレン弁開閉レバー82aを‘閉’状態とすると、エア開放弁82bが開放されて、ドレン弁4とドレン弁開閉レバー82aの間に位置する第2分岐配管部82が配管外部と連通状態となり、エア貯留空間S内を大気圧に戻す。エア貯留空間Sが大気圧に戻ると、スプリング42cの付勢力により下シリンダ41bが下方に変位し、液体遮断壁部41b5が遮断パッキンP3に当接して、液体貯留室20と燃料流入孔部40b3との連通状態が遮断される。これにより、液体貯留室20からドレン配管6への液体燃料の供給が遮断される。
【0046】
このように、開閉作動部42によりシリンダ41を昇降して液体遮断壁部41b5と遮断パッキンP3との当接状態を制御することで、上部ケース40aと下部ケース40bとの間に形成される液体流通路が開閉され、もってドレン弁4が開閉制御される。
【0047】
[ドレン配管6]
ドレン配管6は、図1(a),(b)および図6に示すように、基端部を各液体貯留室20に設けたドレン弁4に連設しており、他端部を液体貯蔵タンク2の前輪1aと後輪1bの間に設けたドレンボックス7内に設けている。
【0048】
ドレン配管6は、基端部から先端部にかけて全体として下方傾斜状に設けられており、ドレン弁4から排出された液体燃料がドレン配管6の先端部まで確実に移送されるように構成している。ドレン配管6は、ドレン弁4との接続部近傍に設けたリリーフ弁60と、配管の先端部に設けた液体燃料の流通を制御する開閉コック61を有する。
【0049】
リリーフ弁60は、ドレン配管6内の圧力が上昇しすぎるのを防止するための圧力調整用の弁である。リリーフ弁60は、異物検査後のドレン配管6に液体燃料が残っていた場合、ドレン配管6内の圧力が上昇してドレン弁4、または、開閉コック61が破損される虞を低減するための圧力調整用の弁であり、外気温の上昇によりドレン配管6の内圧が昇圧した場合に配管内の圧力を逃がすことができる。
【0050】
開閉コック61は、ドレン配管6の先端部近傍に設けた燃料の排出可否を制御するものである。開閉コック61は、常時はドレン配管6の先端部を閉塞して液体燃料が排出されることを防止し、異物検査時においては、下方に回動させることによりドレン配管6の排出口から液体燃料を排出することができる。
このようにドレン配管6の先端部に開閉コック61を有する構成により、ドレン弁開閉レバー82aを‘開’状態としてドレン弁4を開放したとしても液体燃料がドレン配管6を介して不用意に液体貯蔵タンク2の外部に排出される虞を防止している。
【0051】
[ドレンボックス7]
ドレンボックス7は、図1(a),(b)および図5に示すように、タンクローリTの前輪1aおよび後輪1bの間であって液体貯蔵タンク2の左右いずれかの下部に配設されている。ドレンボックス7は、内部中空の箱体であり、上端部を枢軸として側面(本実施例では、右側面)を上方に回動自在としている。このドレンボックス7の中空部には、ドレン配管6の先端部を固定している。ドレンボックス7の後部近傍には、ドレン弁4の開閉を制御するためのドレン弁開閉レバー82aを配設している。
【0052】
このように、ドレンボックス7内に全てのドレン配管6の先端部を収納し、ドレンボックス7の後部近傍にドレン弁開閉レバー82aを備えた構成により、各液体貯留室20に貯留した液体燃料の異物検査時において、ドレン弁開閉レバー82aを操作してドレン弁4を開放して液体燃料をドレン配管6に排出し、ドレン配管6の先端部に設けた開閉コック61でドレン配管6の吐出部62を開放することにより各液体貯留室20内の液体燃料を排出することができる。すなわち、ドレンボックス7にドレン配管6の排出口を集約し、ドレンボックス7の近傍にドレン弁開閉レバー82aを配設した構成により、異物検査作業が全てドレンボックス7の近傍で完結し、その結果、作業者の作業時間を短縮して作業性を向上できる。
【0053】
また、異物検査作業の終了後は、ドレンボックス7の側面開口部を側壁で閉鎖して、ドレンボックス7の後部近傍に設けたドレン弁開閉レバー82aを‘閉’状態とすることでドレン弁4を閉弁できる。このように、液体貯留室20の液体燃料を抜き取るためのドレンボックス7の近傍にドレン弁4を開閉するためのドレン弁開閉レバー82aを設けた構成により、異物検査終了後にドレン弁4を閉弁し忘れる虞を可及的に低減できる。つまり、異物検査終了後には、確実にドレン弁4を閉弁できる。
【0054】
また、異物検査作業終了後にドレン配管6内に液体燃料が残留し、タンクローリTの外気温が上昇してドレン配管6内の内圧が上昇した際にも、ドレン配管6の中途部にリリーフ弁60を配設した構成により、ドレン弁4および開閉コック61が破損する虞が可及的に低減されるため、作業者は、ドレン配管6内に液体燃料が残留しているかどうかを気にすることなくドレン配管6の開閉コック61およびドレン弁4を閉塞することができ作業時間を短縮できる。
【0055】
また、作業中に緊急事態(液体燃料への引火、ドレン配管6または荷卸し用配管30からの液体燃料の漏洩など)が生起した場合であっても、各弁に圧縮空気を供給するための配管本体部80に緊急レバー9を設けた構成により、ドレン弁開閉レバー82aや底弁開閉レバー81aが‘開’状態であっても底弁3およびドレン弁4を閉弁できる。
【0056】
すなわち、エア配管8のうち、エアタンク5に連結した配管本体部80を第1分岐配管部81、第2分岐配管部82よりも大径に構成することで、エアタンクから供給される圧縮空気、および既に大気圧よりも昇圧したエア貯留空間Sに貯留した圧縮空気を緊急レバー9を操作して排出弁を開放することで配管本体部80から排出し、エア貯留空間Sを大気圧に戻すことで底弁3またはドレン弁4を閉弁して、荷卸し用配管30およびドレン配管6からの液体燃料の排出を規制することができる。
このように、底弁3およびドレン弁4に供給される圧縮空気の供給をエアタンク5に一元化することにより、緊急時における各弁の閉弁動作を緊急レバー9のレバー操作だけで完結でき、作業者の作業性を向上できるとともに作業者の安全性を向上できる。
【0057】
また、エアタンク5と各弁とを連通するエア配管8の連通・遮断操作により各弁の開閉操作を制御しているため、各レバーの操作性が向上して作業者の作業性を向上できる。
【0058】
なお、本発明は上述した実施形態に限られず、上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、公知発明並びに上述した実施形態の中で開示した各構成を相互に置換したり組合せを変更したりした構成、等も含まれる。また、本発明の技術的範囲は上述した実施形態に限定されず、特許請求の範囲に記載された事項とその均等物まで及ぶものである。
【符号の説明】
【0059】
1 運転席
2 タンク
20 液体貯留室
3 底弁
30 荷卸し用配管
4 ドレン弁
40 ケース
41 シリンダ
42 開閉作動部
5 エアタンク
51 ドレンボックス
6 ドレン配管
60 リリーフ弁
61 開閉コック
62 吐出部
7 ドレンボックス
8 エア配管
80 配管本体部
81 第1分岐配管部
81a 底弁開閉レバー
82 第2分岐配管部
82a ドレン弁開閉レバー
9 緊急レバー
S エア貯留空間
T タンクローリ
図1
図2
図3
図4
図5
図6