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特開2024-112080制御装置、制御方法、およびプログラム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112080
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】制御装置、制御方法、およびプログラム
(51)【国際特許分類】
   B60R 25/24 20130101AFI20240813BHJP
   E05B 49/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B60R25/24
E05B49/00 K
【審査請求】未請求
【請求項の数】14
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016925
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003551
【氏名又は名称】株式会社東海理化電機製作所
(74)【代理人】
【識別番号】100140958
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 学
(74)【代理人】
【識別番号】100137888
【弁理士】
【氏名又は名称】大山 夏子
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 昌吾
(72)【発明者】
【氏名】長谷川 洋祐
【テーマコード(参考)】
2E250
【Fターム(参考)】
2E250AA21
2E250BB04
2E250FF23
2E250FF36
2E250HH01
2E250LL01
(57)【要約】
【課題】セキュリティを考慮した上でユーザビリティを向上させることが可能な制御装置、制御方法、およびプログラムを提供する。
【解決手段】通信端末における無線通信を制限する動作モードの状態を管理し、無線通信部により前記通信端末から受信した信号の正否を、記憶された前記動作モードの状態管理に関する情報と、前記通信端末の振動の有無に応じて判定する制御を行う制御部を備える、制御装置。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
通信端末における無線通信を制限する動作モードの状態を管理し、無線通信部により前記通信端末から受信した信号の正否を、記憶された前記動作モードの状態管理に関する情報と、前記通信端末の振動の有無に応じて判定する制御を行う制御部を備える、制御装置。
【請求項2】
前記制御部は、前記動作モードの状態管理に関する情報として、ユーザが移動体から降車した際に前記通信端末からモード切り替えコマンドに対する返答が無かったことが記憶されている場合、前記受信した信号の正否を判定する、請求項1に記載の制御装置。
【請求項3】
前記通信端末の振動の有無は、前記受信した信号に含まれる、前記通信端末における振動検出の結果を示す情報から抽出される、請求項1に記載の制御装置。
【請求項4】
前記制御部は、前記通信端末で振動が検出された場合、前記受信した信号が正常であると判定する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項5】
前記制御部は、前記通信端末で振動が検出されていない場合、前記受信した信号は正常ではないと判定する、請求項3に記載の制御装置。
【請求項6】
前記制御部は、前記受信した信号が正常であると判定した場合、前記受信した信号に応じた制御を行う、請求項1に記載の制御装置。
【請求項7】
前記受信した信号に応じた制御には、前記通信端末の認証を行う処理、および認証が成功した際に行われる、前記制御装置が搭載される移動体の制御が含まれる、請求項6に記載の制御装置。
【請求項8】
前記制御部は、移動体に対するユーザの乗降を判定し、前記移動体へのユーザの乗車、または前記移動体からの前記ユーザの降車が判定された場合、前記動作モードを切り替えるモード切り替えコマンドを前記通信端末に送信する制御を行う、請求項1に記載の制御装置。
【請求項9】
前記制御部は、前記移動体からの前記ユーザの降車が判定された場合に前記通信端末に送信した前記モード切り替えコマンドに対する返答の有無を、前記動作モードの状態管理に関する情報として記憶部に記憶する制御を行う、請求項8に記載の制御装置。
【請求項10】
前記通信端末では、複数の動作モードのいずれかが動作モードに設定され、
前記複数の動作モードは、第1のモードと、前記第1のモードと異なる第2のモードと、前記第1のモードおよび前記第2のモードのいずれよりも前記通信端末と前記制御装置との無線通信が制限される第3のモードと、を含み、
前記第1のモードでは、前記通信端末において振動が連続して検出されない時間が一定時間を上回る場合に、前記動作モードが前記第1のモードから前記第3のモードに切り替えられ、
前記第2のモードでは、前記通信端末と前記制御装置との無線通信の通信可能時間が無期限となる、
請求項1に記載の制御装置。
【請求項11】
前記通信端末では、移動体にユーザが乗車したと判定されたことに基づいて、前記動作モードが前記第1のモードから前記第2のモードに切り替えられる、
請求項10に記載の制御装置。
【請求項12】
前記通信端末では、移動体からユーザが降車したと判定されたことに基づいて、前記動作モードが前記第2のモードから前記第1のモードに切り替えられる、
請求項10に記載の制御装置。
【請求項13】
プロセッサが、
通信端末における無線通信を制限する動作モードの状態を管理することと、
無線通信部により前記通信端末から受信した信号の正否を、記憶された前記動作モードの状態管理に関する情報と、前記通信端末の振動の有無に応じて判定することと、
を含む、制御方法。
【請求項14】
コンピュータを、
通信端末における無線通信を制限する動作モードの状態を管理し、無線通信部により前記通信端末から受信した信号の正否を、記憶された前記動作モードの状態管理に関する情報と、前記通信端末の振動の有無に応じて判定する制御を行う制御部として機能させる、
プログラム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置、制御方法、およびプログラムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、装置間で無線信号を送受信した結果に従って各種の処理を行う技術が開発されている。例えば、車両に搭載された車載機と、ユーザに携帯される端末との間で無線信号が送受信され、車載機による車両の制御が行われる。ここで、端末の省電力を図るために、端末が振動しているか否かに基づいて、端末の動作モードを、通常モードと、通常モードよりも車載機との通信が制限されるモードである省電力モードとの間で切り替える技術が知られている。
【0003】
このような端末のさらなる省電力を図るために、例えば特許文献1では、端末の振動が所定時間続けて検出されない場合、動作モードを通常モードから省電力モードに切り替える技術が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特許第6812939号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述した技術では、端末の動作モードを切り替えるための指示コマンドを車載機が端末へ送信するが、端末において実際に動作モードが切り替わったか否かを車載機で確認することは行われていない。本来意図する動作モードになっていない端末から送信された信号に応じて車載機が制御を行うことは、セキュリティ上、好ましくない場合がある。
【0006】
そこで、本発明は、上記問題に鑑みてなされたものであり、本発明の目的とするところは、セキュリティを考慮した上でユーザビリティを向上させることが可能な、新規かつ改良された制御装置、制御方法、およびプログラムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、本発明のある観点によれば、通信端末における無線通信を制限する動作モードの状態を管理し、無線通信部により前記通信端末から受信した信号の正否を、記憶された前記動作モードの状態管理に関する情報と、前記通信端末の振動の有無に応じて判定する制御を行う制御部を備える、制御装置が提供される。
【0008】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、プロセッサが、通信端末における無線通信を制限する動作モードの状態を管理することと、無線通信部により前記通信端末から受信した信号の正否を、記憶された前記動作モードの状態管理に関する情報と、前記通信端末の振動の有無に応じて判定することと、を含む、制御方法が提供される。
【0009】
また、上記課題を解決するために、本発明の別の観点によれば、コンピュータを、通信端末における無線通信を制限する動作モードの状態を管理し、無線通信部により前記通信端末から受信した信号の正否を、記憶された前記動作モードの状態管理に関する情報と、前記通信端末の振動の有無に応じて判定する制御を行う制御部として機能させる、プログラムが提供される。
【発明の効果】
【0010】
以上説明したように本発明によれば、セキュリティを考慮した上でユーザビリティを向上させることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0011】
図1】本発明の実施形態に係る制御システムの構成例を示す図である。
図2】本実施形態に係る携帯端末30の動作モードの状態遷移図である。
図3】本実施形態に係る制御装置10による携帯端末30の動作モードの状態管理処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
図4】本実施形態に係る制御装置10による携帯端末30から受信した信号の正否判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0012】
以下に添付図面を参照しながら、本発明の好適な実施の形態について詳細に説明する。なお、本明細書及び図面において、実質的に同一の機能構成を有する構成要素については、同一の符号を付することにより重複説明を省略する。
【0013】
<0.背景>
まず、本発明の実施形態の背景について説明する。
【0014】
(既存技術の説明)
既存技術では、端末の省電力を図るため、端末の振動が所定時間続けて検出されない場合、動作モードが通常モードから省電力モードに切り替えられる。しかし、携帯端末の振動が所定時間続けて検出されない場合に、一律的に携帯端末の動作モードを通常モードから省電力モードに切り替えてしまうと、ユーザビリティが低減する恐れがある。
【0015】
既存技術において、省電力モードとは、端末と車載機との通信が禁止される通信禁止モードである。また、既存技術において、通常モードとは、通信可能時間に制限を設ける通信可能時間制限モードである。当該通信可能時間制限モードには、通信可能時間の長さが異なる2つのモードがある。ここでは、通信可能時間が短い方を「通信可能時間制限モード(短時間)」、長い方を「通信可能時間制限モード(長時間)」とも称する。
【0016】
通信可能時間制限モード(短時間)は、端末を利用するユーザが車両から降車したと判定された場合に設定される。通信可能時間制限モード(短時間)の場合に、端末の振動が連続して検出されない時間が、第1の時間を上回った場合に、端末の動作モードが通信可能時間制限モード(短時間)から通信禁止モードに切り替わる。
【0017】
一方、通信可能時間制限モード(長時間)は、端末を利用するユーザが車両に乗車したと判定された場合に設定される。通信可能時間制限モード(長時間)の場合に、端末の振動が連続して検出されない時間が、第1の時間よりも長い第2の時間を上回った場合に、端末の動作モードが通信可能時間制限モード(長時間)から通信禁止モードに切り替わる。
【0018】
このとき、ユーザが車両に乗車し、端末の動作モードが通信可能時間制限モード(長時間)に設定されたものの、ユーザが端末を用いた車両の制御を行わずに車両内で静止し続け、端末の振動が連続して検出されない時間が第2の時間を上回ってしまう場合も想定される。具体的には、例えば、ユーザが端末を用いて車両のエンジンを始動させずに車両内で睡眠をとってしまい、端末の振動が連続して検出されない時間が第2の時間を上回ってしまう場合も想定される。かかる場合には、端末の動作モードが通信可能時間制限モード(長時間)から通信禁止モードに切り替わってしまうため、ユーザは、車両に乗車したまま端末を用いて車両のエンジンを始動させることができなくなってしまう。
【0019】
これに対し、ユーザが車両に乗車した場合には、端末の動作モードを、車載機と端末との通信可能時間が制限されない通信可能時間無制限モードに設定することが考えられる。これにより、ユーザが端末を用いた車両の制御を行わずに車両内で静止し続け、端末の振動が連続して検出されない時間が第2の時間を上回ってしまった場合であっても、端末の動作モードは通信禁止モードに切り替わらない。ユーザは、引き続き車両に乗車したまま端末を用いた車両の制御を行うことができ、ユーザビリティが向上する。
【0020】
この場合、ユーザが車両から降車した場合には、端末の動作モードを、通信可能時間無制限モードから通信可能時間制限モードに設定することが考えられる。そして、端末の振動が連続して検出されない時間が所定時間を上回った場合、端末の動作モードが通信禁止モードに切り替えられる。
【0021】
ここで、端末の動作モードの切り替えは、端末の動作モードを切り替えるための指示コマンドを車載機が端末へ送信することで行われるが、端末において動作モードが実際切り替わったか否かを車載機が確認することは、従来行われていない。車載機が指示コマンドを送信したにも関わらず、何らかの理由により端末の動作モードが切り替わらない場合も想定される。特に、上述した通信可能時間無制限モードを採用した場合、ユーザが車両から降車して本来は端末の動作モードが通信可能時間制限モードに切り替わるべきところ、切り替わらず、車外で端末が通信可能時間無制限モードのままとなる恐れも想定される。
【0022】
車外で端末が通信可能時間無制限モードのままとなった場合、例えば、中継器を持ち込んで無線信号を中継する、いわゆるリレーアタックによる被害の恐れが想定される。具体的には、例えば玄関等に置いた通信可能時間無制限モードのままの端末と、駐車場に駐車された車両の車載機との間の通信を中継器で間接的に実現し、車載機における端末の認証を不正に成立させる恐れが想定される。
【0023】
このように、本来意図する動作モードになっていない端末から送信された信号に応じて車載機が認証処理等の制御を行うことは、セキュリティ上、好ましくない場合がある。
【0024】
(本発明の実施形態の概要)
そこで、本発明の実施形態においては、セキュリティを考慮した上でユーザビリティを向上させることを可能とする技術を提案する。より詳細には、本発明の実施形態においては、制御装置(車載機の一例)は、端末の動作モードを管理し、端末から受信した信号について、端末における振動の有無に応じて、その正否を判定する。
【0025】
これによって、端末が本来意図した動作モードではない場合、例えば通信可能時間無制限モードになっている場合に、当該端末から信号が送信された際、当該端末が振動していなければ、玄関等に置かれた状態(静止した状態)で中継器により制御装置との通信が間接的に実現されるリレーアタックの可能性が想定される。したがって、制御装置は、このような端末からの信号は正常ではないと判定し、当該信号に応じた制御を行わないことで、セキュリティを担保することができる。
【0026】
以上、本発明の実施形態の背景について説明した。
【0027】
<1.実施形態>
<<1-1.システムの構成>>
まず、本発明の実施形態に係る制御システムの構成例について説明する。
【0028】
図1は、本発明の実施形態に係る制御システムの構成例を示す図である。図1に示されるように、本発明の実施形態に係る制御システムは、移動体1に搭載される制御装置10と、ユーザに携帯される携帯端末30とを備える。移動体1は、例えば車両であってもよい。制御装置10は、例えば車両に搭載される車載機であってもよい。携帯端末30は、制御装置10による移動体1の制御に用いられる通信端末である。携帯端末30は、移動体1を利用する正当なユーザに携帯される通信端末である。また、携帯端末30は、所謂スマートキーであってもよいし、スマートフォン、またはスマートウォッチ等のモバイル端末であってもよい。
【0029】
制御装置10と携帯端末30との間では、所定の通信シーケンスによる暗号照合処理が実施される。かかる暗号照合処理によって、制御装置10が携帯端末30を認証し、移動体1の制御が行われる。移動体1の制御としては、例えば、移動体1の間接照明の点灯、移動体1のドアの開錠および施錠、パーソナライズされたシートポジションへのシートの移動、エンジンの始動などが挙げられる。
【0030】
(1-1-1.制御装置10)
図1に示されるように、制御装置10は、無線通信部110、制御部120、および記憶部130を有する。
【0031】
(無線通信部110)
無線通信部110は、携帯端末30との間で通信を行う機能を有する。具体的には、無線通信部110は、送信アンテナを介して各種情報を送信する送信部と、受信アンテナを介して各種情報を受信する受信部を有する。無線通信部110は、携帯端末30との間で所定の周波数帯の無線信号を送信または受信する。送信または受信される無線信号の周波数帯は特に限定されない。
【0032】
無線通信部110は、例えば、モード切り替え制御部124によって生成された、携帯端末30の動作モードを切り替えるためのコマンド(以下、「モード切り替えコマンド」とも言う。)を、携帯端末30に送信する。モード切り替えコマンドとして用いられる信号は、LF(Low Frequency)帯の信号であってもよい。
【0033】
無線通信部110は、例えば、携帯端末30に入力されたスイッチに対する操作(以下、「SW操作」とも表記する。)を、携帯端末30から受信する。また、無線通信部110は、例えば、制御装置10からの信号に対する返答の信号を、携帯端末30から受信する。SW操作または返答の信号として用いられる信号は、いわゆるRF(Radio Frequency)帯の信号であってもよい。RF帯は、UHF(Ultra High Frequency)帯と同様の周波数帯であってもよい。
【0034】
(制御部120)
制御部120は、演算処理装置または制御装置として機能し、ROM(Read Only Memory)、RAM(Random Access Memory)、EEPROM(Electrically Erasable Programmable Read-Only Memory)、または記憶部130等に記録された各種プログラムに基づいて、制御装置10の各構成要素の動作全般又はその一部を制御する。制御部120は、例えば、CPU(Central Processing Unit)、またはMCU(Micro Controller Unit)等のプロセッサによって実現されてもよい。また、制御部120は、車両に搭載されるECU(Electronic Control Unit)、またはECUに搭載されるマイコン等によって実現されてもよい。
【0035】
制御部120は、無線通信部110による無線信号の送信および受信を制御する。また、制御部120は、無線信号を用いて所定の処理を制御してもよい。例えば、制御部120は、無線通信部110を介して携帯端末30との間で送受信される信号を用いて、所定の認証シーケンスを行い得る。認証シーケンスは、例えば、要求応答認証、証明書を用いた認証、または、ID(Identification)を用いた認証などであってもよい。制御部120は、認証が成功した場合に、移動体1の制御(例えば、移動体1の間接照明の点灯、移動体1のドアの開錠および施錠、エンジンの始動など)を行う。
【0036】
また、制御部120は、乗降判定部122、モード切り替え制御部124、状態管理部126、および正否判定部128としても機能する。
【0037】
(乗降判定部122)
乗降判定部122は、ユーザが移動体1(例えば車両)に乗車したか否かを判定する。例えば、乗降判定部122は、移動体1のいずれかのドアが開いている状態から移動体1の全てのドアが閉じられた状態に変化したことをドアに設けられた開閉センサ(センサ20の一例)により検出することで、ユーザが移動体1に乗車したと判定してもよい。
【0038】
あるいは、乗降判定部122は、移動体1の室内に設置された着座センサまたはカメラセンサなどの各種センサ(センサ20の一例)によって得られたデータの変化を検出することにより、ユーザが移動体1に乗車したと判定してもよい。あるいは、乗降判定部122は、移動体1のサスペンションの変化をセンサ(センサ20の一例)により検出することで、ユーザが移動体1に乗車したと判定してもよい。あるいは、乗降判定部122は、制御装置10から移動体1の室外または室内に発せられる電波信号に基づいて、ユーザが移動体1に乗車したか否かを判定してもよい。
【0039】
また、乗降判定部122は、ユーザが移動体1から降車したか否かを判定する。例えば、乗降判定部122は、移動体1の全てのドアが閉じられた状態から移動体1のいずれかのドアが開けられた状態に変化したことをドアに設けられた開閉センサ(センサ20の一例)により検出することで、ユーザが移動体1から降車したと判定してもよい。
【0040】
あるいは、乗降判定部122は、移動体1の室内に設置された着座センサまたはカメラセンサなどの各種センサ(センサ20の一例)によって得られたデータの変化を検出することによりユーザが移動体1から降車したと判定してもよい。あるいは、乗降判定部122は、移動体1のサスペンションの変化をセンサ(センサ20の一例)により検出することで、ユーザが移動体1から降車したと判定してもよい。あるいは、乗降判定部122は、制御装置10から移動体1の室外または室内に発せられる電波信号に基づいて、ユーザが移動体1から降車したか否かを判定してもよい。
【0041】
(モード切り替え制御部124)
モード切り替え制御部124は、乗降判定部122によってユーザが移動体1に乗車したと判定されたこと、または、乗降判定部122によってユーザが移動体1から降車したと判定されたことに基づいて、携帯端末30の動作モードを切り替えるモード切り替えコマンドを生成する。そして、モード切り替え制御部124は、生成したモード切り替えコマンドを、無線通信部110によって携帯端末30に送信する制御を行う。かかるモード切り替えコマンドの受信に応じて、携帯端末30では、携帯端末30の動作モードを、通信可能時間無制限モードまたは通信可能時間制限モードに設定する。
【0042】
(状態管理部126)
状態管理部126は、携帯端末30の動作モードの状態管理を行う。具体的には、状態管理部126は、モード切り替え制御部124によりモード切り替え制御を行った場合、すなわち、モード切り替えコマンドを携帯端末30に送信する制御を行った場合、切り替えた携帯端末30の動作モードの状態を記憶部130に記憶する。特に、ユーザが移動体1から降車したと判定された際に、モード切り替え制御部124によりモード切り替えコマンドが送信された場合、状態管理部126は、当該モード切り替えコマンドに対する返答の信号を携帯端末30から受信したか否かを、記憶部130に記憶してもよい。さらに、状態管理部126は、携帯端末30からの返答の信号を受信しなかった場合、携帯端末30が本来意図する動作モード(ここでは、通信可能時間制限モード)になっていない可能性が高い状態であることを記憶部130に記憶してもよい。
【0043】
(正否判定部128)
正否判定部128は、携帯端末30から受信した信号が正常であるか否かの正否判定を行う。上述したように、制御装置10は、無線通信部110を介して携帯端末30から各種情報を受信する。制御装置10では、携帯端末30から受信した各種情報に基づいて、制御部120により、認証シーケンス等の各種制御が行われる。
【0044】
ここで、上述したように、ユーザが降車した際に、何らかの理由により携帯端末30でのモード切り替えが行われず、車室外において携帯端末30の動作モードが通信可能時間無制限モードのままとなってしまっている(すなわち、本来意図する動作モードになっていない状態である)場合が起こり得る。この場合、携帯端末30から送信される信号が、中継器を用いた不正な方法で制御装置10に届けられた信号であることも想定される。正否判定部128は、携帯端末30の動作モードが本来意図する動作モードになっていない状態の場合、携帯端末30から受信した信号の正否判定を行い、移動体1のセキュリティを担保し得る。正否判定部128は、携帯端末30の動作モードが本来意図する動作モードになっているか否かを、記憶部130に記憶されている動作モードの状態管理に関する情報を参照して把握できる。本実施形態では、ユーザが移動体1から降車した際に携帯端末30からモード切り替えコマンドに対する返答が無かったことが記憶されている場合、携帯端末30の動作モードが、車室外において本来意図する動作モードになっていないと把握される。
【0045】
具体的には、正否判定部128は、携帯端末30において振動が検出された場合、携帯端末30から受信した信号が正常であると判定する。一方、振動が検出されない場合は、例えば携帯端末30が玄関等に置かれた状態(静止した状態)で中継器により制御装置10との通信が間接的に実現されるリレーアタックの可能性も想定されるため、正否判定部128は、携帯端末30から受信した信号が正常ではない(本実施形態では、異常、とも称する。)と判定する。
【0046】
携帯端末30では、振動センサ340により振動の検出が行われており、携帯端末30から送信される信号に、振動有無を示す情報が含まれ得る。携帯端末30は、振動センサ340により振動を検出した場合は、振動有りを示す情報を信号に含めて送信し、振動を検出していない場合は、振動無しを示す情報を信号に含めて、若しくは振動有無を示す情報を含めずに、信号を送信してもよい。なお、ここで説明する携帯端末30から送信される信号とは、携帯端末30が、制御装置10から発信されるLF帯の信号に対する応答として生成したRF帯の信号であってもよい。
【0047】
そして、正否判定部128により信号が正常と判定された場合、制御部120は、信号に応じた制御(例えば、認証シーケンス、および認証成功後の移動体1の制御等)を行う。一方、正否判定部128により信号が異常と判定された場合、制御部120は、信号に応じた制御(例えば、認証シーケンス、および認証成功後の移動体1の制御等)は行わない。これにより、移動体1のセキュリティを担保し得る。
【0048】
(記憶部130)
記憶部130は、制御部120の動作のためのプログラムおよびデータを記憶する記憶装置である。また、記憶部130は、制御部120の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶装置は、不揮発性の記憶装置であってよい。
【0049】
以上、本実施形態に係る制御装置10の構成例について述べた。なお、図1を用いて説明した上記の構成はあくまで一例であり、本実施形態に係る制御装置10の構成例は係る例に限定されない。例えば、制御装置10は、複数の装置により構成されてもよい。また、制御装置10は、移動体1に搭載された他の装置と通信する際は、例えばCAN(Controller Area Network)、LIN(Local Interconnect Network)、またはLAN等の任意の規格に準拠した車載通信ネットワークを用いてデータの送受信を行ってもよい。本実施形態に係る制御装置10の機能構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0050】
(1-1-2.携帯端末30)
図1に示すように、携帯端末30(通信端末の一例)は、無線通信部310、制御部320、操作入力部330、振動センサ340、および記憶部350を有する。
【0051】
(無線通信部310)
無線通信部310は、移動体1との間で通信を行う機能を有する。具体的には、無線通信部310は、送信アンテナを介して各種情報を送信する送信部と、受信アンテナを介して各種情報を受信する受信部を有する。無線通信部310は、移動体1との間で所定の周波数帯の無線信号を送信または受信する。送信または受信される無線信号の周波数帯は特に限定されない。
【0052】
無線通信部310は、例えば、LF(Low Frequency)帯の信号を、制御装置10から受信してもよい。また、無線通信部310は、例えば、RF(Radio Frequency)帯の信号を、制御装置10に送信してもよい。
【0053】
(操作入力部330)
操作入力部330は、携帯端末30に対する操作入力を受け付け、入力情報を制御部320に出力する。操作入力部330は、例えばボタン、スイッチ、またはタッチセンサ等により実現され得る。
【0054】
(振動センサ340)
振動センサ340は、携帯端末30が振動しているか否かを検出する。振動センサ340としては、どのようなセンサが用いられてもよい。一例として、振動センサ340は、加速度センサであってもよい。振動センサ340によって得られた、携帯端末30の振動有無を示す情報は、制御部320に出力される。振動センサ340による振動の検出は、携帯端末30の動作モードが通信可能時間制限モードまたは通信禁止モードの際に継続的に行われてもよい。
【0055】
(制御部320)
制御部320は、演算処理装置または制御装置として機能し、ROM、RAM、EEPROM、または記憶部350等に記録された各種プログラムに基づいて、携帯端末30の各構成要素の動作全般又はその一部を制御する。制御部320は、例えば、CPU、またはMCU等のプロセッサによって実現されてもよい。
【0056】
制御部320は、振動センサ340によって得られた携帯端末30の振動有無を示す情報、または、無線通信部110によって受信されたモード切り替えコマンドに従って、携帯端末30の動作モードを切り替える。携帯端末30は、動作モードに複数のモードのいずれかを設定し、動作モードに設定したモードに従って動作する。かかる複数のモードそれぞれについては、後に詳細に説明する。
【0057】
また、制御部320は、認証に用いられる信号等を送信する際に、振動センサ340によって得られた携帯端末30の振動有無を示す情報を併せて送信してもよい。この際、制御部320は、振動が検出されてから一定時間の間は、携帯端末30が振動している旨を示す情報と併せて送信するようにしてもよい。
【0058】
(記憶部350)
記憶部350は、制御部320の動作のためのプログラムおよびデータを記憶する記憶装置である。また、記憶部350は、制御部320の動作の過程で必要となる各種データを一時的に記憶することもできる。例えば、記憶装置は、不揮発性の記憶装置であってよい。
【0059】
以上、携帯端末30の構成例について説明した。図1に示す携帯端末30の構成は一例であって、本実施形態はこれに限定されない。本実施形態に係る携帯端末30の構成は、仕様や運用に応じて柔軟に変形可能である。
【0060】
<<1-2.複数のモードの説明>>
続いて、図2を参照しながら、携帯端末30の動作モードに設定され得る複数のモードそれぞれについて説明する。
【0061】
図2は、本発明の実施形態に係る携帯端末30の動作モードの状態遷移図である。図2に示されるように、携帯端末30の動作モードに設定可能なモードとして、通信可能時間制限モード41、通信可能時間無制限モード42、および通信禁止モード43が挙げられる。
【0062】
(通信可能時間制限モード41)
通信可能時間制限モード41は、第1のモードの例に該当し得る。通信可能時間制限モード41は、ユーザが移動体1の室外(車室外)に存在するときに動作モードに設定されるモードであるため、「車室外モード」とも換言され得る。
【0063】
制御部320は、動作モードに通信可能時間制限モード41を設定した場合には、動作モードに通信禁止モード43を設定した場合と比較して、携帯端末30と制御装置10との間の通信に課される制限を小さくする。
【0064】
ここでは、制御部320が、動作モードに通信可能時間制限モード41を設定した場合に、携帯端末30と制御装置10との間の通信を制限しない場合を想定する。ただし、後にも説明するように、通信可能時間制限モード41において、制御部320は、振動センサ340によって携帯端末30の振動が連続して検出されない時間が一定時間を上回った場合には、動作モードを通信可能時間制限モード41から通信禁止モード43に切り替える。このように、通信可能時間制限モード41においては、携帯端末30と制御装置10との間の通信可能時間が制限される。
【0065】
(通信可能時間無制限モード42)
通信可能時間無制限モード42は、第2のモードの例に該当し得る。通信可能時間無制限モード42は、ユーザが移動体1の室内(車室内)に存在するときに動作モードに設定されるモードであるため、「車室内モード」とも換言され得る。
【0066】
制御部320は、動作モードに通信可能時間無制限モード42を設定した場合には、動作モードに通信禁止モード43を設定した場合と比較して、携帯端末30と制御装置10との間の通信に課される制限を小さくする。
【0067】
ここでは、制御部320が、動作モードに通信可能時間制限モード41を設定した場合と同様に、動作モードに通信可能時間無制限モード42を設定した場合に、携帯端末30と制御装置10との間の通信を制限しない場合を想定する。通信可能時間無制限モード42において、制御部320は、携帯端末30と制御装置10との間の通信可能時間を無制限とする。これによって、ユーザビリティが向上することが期待される。
【0068】
(通信禁止モード43)
通信禁止モード43は、第3のモードの例に該当し得る。例えば、通信禁止モード43は、ユーザが車両から降車して暫く静止状態を維持した場合に動作モードに設定されるモードである。通信禁止モード43においては、制御装置10と携帯端末30との通信により消費される携帯端末30の電力が低減するため、「節電モード」または「省電力モード」とも換言され得る。
【0069】
制御部320は、動作モードに通信禁止モード43を設定した場合には、動作モードに通信可能時間制限モード41および通信可能時間無制限モード42のいずれを設定した場合よりも、携帯端末30と制御装置10との間の通信に課される制限を大きくする。ここでは、制御部320が、動作モードに通信禁止モード43を設定した場合に、携帯端末30と制御装置10との間の通信を禁止する場合を想定する。
【0070】
具体的に、制御部320は、制御装置10から送信される無線信号が無線通信部310によって受信されなくすることにより、携帯端末30と制御装置10との間の通信を禁止してもよい。あるいは、制御部320は、制御装置10から受信された無線信号に対応する応答が無線通信部310によって送信されなくすることにより、携帯端末30と制御装置10との間の通信を禁止してもよい。
【0071】
以上、本発明の実施形態に係る複数のモードについて説明した。
【0072】
<<1-3.動作モードの切り替えの説明>>
続いて、図2を参照しながら、携帯端末30の動作モードの切り替えの例について説明する。
【0073】
(通信禁止モード43から通信可能時間制限モード41へ)
制御部320は、動作モードに通信禁止モード43が設定されているときに、振動センサ340によって振動が検出された場合、または、携帯端末30に予め定められたSW操作が入力された場合に(図2における「振動検出」or「SW操作」)、動作モードを通信禁止モード43から通信可能時間制限モード41に切り替える。なお、予め定められたSW操作は、携帯端末30に設けられたドア解錠ボタンの押し下げなどであってもよい。
【0074】
(通信可能時間制限モード41から通信可能時間無制限モード42へ)
制御部320は、動作モードに通信可能時間制限モード41が設定されているときに、制御装置10によってユーザが移動体1に乗車したと判定された場合に(図2における「乗車」)、制御装置10から送信されたモード切り替えコマンドが無線通信部310によって受信されたことに基づいて、動作モードを通信可能時間制限モード41から通信可能時間無制限モード42に切り替える。
【0075】
一例として、モード切り替えコマンドは、制御装置10によってユーザが車両に乗車したと判定された後、制御装置10と携帯端末30との間で実行される所定の認証シーケンスが成功した場合に、制御装置10から携帯端末30に送信されてもよい。
【0076】
(通信可能時間無制限モード42から通信可能時間制限モード41へ)
制御部320は、動作モードに通信可能時間無制限モード42が設定されているときに、制御装置10によってユーザが移動体1から降車したと判定された場合に(図2における「降車」)、制御装置10から送信されたモード切り替えコマンドが無線通信部310によって受信されたことに基づいて、動作モードを通信可能時間無制限モード42から通信可能時間制限モード41に切り替える。
【0077】
なお、上記したように、通信可能時間無制限モード42において、制御部320は、携帯端末30と制御装置10との間の通信可能時間を無制限とする。換言すると、制御部320は、動作モードに通信可能時間無制限モード42が設定されているときには、振動センサ340によって振動が連続して検出されない時間に基づく、通信可能時間無制限モード42から通信禁止モード43への動作モードの切り替えを行わない。これによって、ユーザビリティが向上することが期待される。
【0078】
(通信可能時間制限モード41から通信禁止モード43へ)
制御部320は、動作モードに通信可能時間制限モード41が設定されているときに、振動センサ340によって携帯端末30の振動が連続して検出されない時間が一定時間を上回った場合には(図2における「振動が検出されない時間>一定時間」)、動作モードを通信可能時間制限モード41から通信禁止モード43に切り替える。
【0079】
これにより、携帯端末30の省電力化が図られるとともに、通信禁止モード43においては、制御装置10と携帯端末30との間の通信が制限されるため、移動体1のセキュリティが担保される。
【0080】
以上、本発明の実施形態に係る携帯端末30の動作モードの切り替えの例について説明した。
【0081】
<<1-4.動作モードの状態管理>>
次に、図3を参照しながら、制御装置10による携帯端末30の動作モードの状態管理について説明する。
【0082】
図3は、本実施形態に係る制御装置10による携帯端末30の動作モードの状態管理処理の流れの一例を示すシーケンス図である。
【0083】
図3に示すように、まず、携帯端末30の動作モードが、通信可能時間無制限モード42に設定される(ステップS103)。ここでは、携帯端末30の動作モードに通信可能時間制限モード41が設定されているときに、制御装置10によってユーザが移動体1に乗車したと判定され、制御装置10から送信されたモード切り替えコマンドが無線通信部310によって受信されたことに基づいて、制御部320が携帯端末30の動作モードを通信可能時間制限モード41から通信可能時間無制限モード42に切り替えた場合を想定する。
【0084】
次に、ユーザが移動体1から降車したと判定されると(ステップS106)、モード切り替え制御部124は、モード切り替えコマンドを生成し(ステップS109)、携帯端末30に送信する(ステップS112)。
【0085】
次いで、携帯端末30は、制御装置10から受信したモード切り替えコマンドに対する返答の信号を制御装置10に送信し(ステップS115)、携帯端末30の動作モードを、通信可能時間制限モード41に設定する(ステップS118)。すなわち、制御装置10は、携帯端末30の動作モードを、通信可能時間無制限モード42から通信可能時間制限モード41に切り替える。なお、携帯端末30による返答の信号の送信タイミングは、動作モードの切り替えと同時であってもよいし、動作モードを切り替えた後であってもよい。
【0086】
一方、制御装置10は、降車に応じて送信したモード切り替えコマンドに対する返答の信号を携帯端末30から受信したか否かを、記憶部130に記憶することで、動作モードの状態管理を行い得る(ステップS121)。携帯端末30から返答の信号が送信されなかった場合、携帯端末30は、車室外において、本来意図する動作モード(ここでは、車室外モードとも換言され得る「通信可能時間制限モード」)に切り変わっていない可能性が高い。本実施形態では、このように携帯端末30の動作モードの状態を制御装置10で管理しておくことで、後に、車室外において本来意図する動作モードに切り変わっていない携帯端末30から信号を受信した場合に、その正否を判定し、移動体1のセキュリティを担保することができる。
【0087】
<<1-5.信号正否判定>>
次に、図4を参照しながら、制御装置10による携帯端末30から受信した信号の正否判定について説明する。
【0088】
図4は、本実施形態に係る制御装置10による携帯端末30から受信した信号の正否判定処理の流れの一例を示すフローチャートである。かかる信号は、携帯端末30が、制御装置10から発信されるLF帯の信号に対する応答として生成したRF帯の信号であってもよい。
【0089】
図4に示すように、まず、制御装置10は、車室外の携帯端末30から信号を受信したか否かを判断する(ステップS203)。
【0090】
次に、信号を受信した場合(ステップS203/Yes)、制御装置10は、記憶部130に記憶されている動作モードの状態管理に関する情報を参照し、携帯端末30の動作モードの管理状態が「返答無し」であるか否かを確認する(ステップS206)。「返答無し」である場合、携帯端末30が、車室外において、本来意図する動作モード(ここでは、車室外モードとも換言され得る「通信可能時間制限モード」)に切り変わっていない可能性が高いと考え得る。
【0091】
次いで、動作モードの管理状態が「返答無し」であった場合(ステップS206/Yes)、制御装置10は、携帯端末30において振動が検出されたか否かを判断する(ステップS209)。例えば、上記ステップS203で受信した信号に、携帯端末30における振動検出の結果(振動有無を示す情報)が含まれていてもよい。
【0092】
次に、携帯端末30において振動が検出された場合(すなわち、振動有りを示す情報が上記信号に含まれていた場合)(ステップS209/Yes)、制御装置10は、上記信号を正常と判定する(ステップS212)。
【0093】
そして、制御装置10は、上記信号に応じた制御(例えば、認証シーケンス、および認証成功後の移動体1の制御等)を実行する(ステップS215)。
【0094】
なお、制御装置10は、携帯端末30の動作モードの管理状態が「返答有り」であった場合(ステップS206/No)、携帯端末30の振動有無に応じた信号の正否判定は行わずに、上記信号に応じた制御(例えば認証シーケンス、および認証成功後の移動体1の制御等)を実行する(ステップS215)。携帯端末30からモード切り替えコマンドに対する応答を取得できた場合、携帯端末30の動作モードは、意図したモードに切り替わっていると推定できるためである。
【0095】
一方、携帯端末30において振動が検出されなかった場合(例えば振動有りを示す情報が上記信号に含まれていない場合)(ステップS209/No)、制御装置10は、上記信号を異常と判定し(ステップS218)、上記信号に応じた制御は拒否する(ステップS221)。
【0096】
このように、本実施形態では、ユーザが移動体1から降車した際に携帯端末30からモード切り替えコマンドに対する応答を取得することで、携帯端末30が車室外において本来意図した動作モードになっているか否かを制御装置10で把握し得る。車室外において本来意図した動作モードになっていない携帯端末30から信号を受信した場合、制御装置10は、携帯端末30が振動しているか否かに応じて当該信号の正否を判定することで、例えば中継器を用いた不正を防ぎ、移動体1のセキュリティを担保することができる。
【0097】
<2.補足>
以上、添付図面を参照しながら本発明の好適な実施形態について詳細に説明したが、本発明はかかる例に限定されない。本発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらについても、当然に本発明の技術的範囲に属するものと了解される。
【0098】
上述した実施形態では、制御装置10において、ユーザが移動体1から降車したと判定した場合に携帯端末30にモード切り替えコマンドを送信した際、携帯端末30からの応答を取得し、状態管理する旨を説明したが、これに限らず、ユーザが移動体1に乗車したと判定された場合に携帯端末30にモード切り替えコマンドを送信した際に、携帯端末30からの応答を取得し、状態管理してもよい。
【0099】
また、移動体1の一例として、車両、船舶(例えば、旅客船、貨物船、または潜水艦等)、航空機(例えば、飛行機、ヘリコプター、グライダー、または飛行船等)などが挙げられる。また、車両は、自動車、バス、バイク、自転車、電動スクータ、機関車、建機、または電車等であってもよい。
【0100】
また、本明細書に記載された効果は、あくまで説明的または例示的なものであって限定的ではない。つまり、本発明に係る技術は、上記の効果とともに、または上記の効果に代えて、本明細書の記載から当業者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0101】
また、本明細書の動作処理に係る各ステップは、必ずしも全てがフローチャートに記載された順序に沿って時系列に処理される必要はない。
【0102】
また、コンピュータに内蔵されるCPU、ROM、およびRAMなどのハードウェアに、制御装置10、または携帯端末30が有する構成と同等の機能を発揮させるための1以上のプログラムも作成可能であり、当該1以上のプログラムを記録した、コンピュータに読み取り可能な記録媒体も提供され得る。
【符号の説明】
【0103】
1:移動体、10:制御装置、110:無線通信部、120:制御部、122:乗降判定部、124:モード切り替え制御部、126:状態管理部、128:正否判定部、30:携帯端末、310:無線通信部、320:制御部、330:操作入力部、340:振動センサ、350:記憶部
図1
図2
図3
図4