(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112084
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】災害情報予測システムなど
(51)【国際特許分類】
G01W 1/10 20060101AFI20240813BHJP
G01W 1/00 20060101ALI20240813BHJP
G08B 21/10 20060101ALI20240813BHJP
G08B 27/00 20060101ALI20240813BHJP
G08B 31/00 20060101ALI20240813BHJP
G06Q 10/04 20230101ALI20240813BHJP
G06Q 50/10 20120101ALI20240813BHJP
【FI】
G01W1/10 P
G01W1/00 Z
G08B21/10
G08B27/00 A
G08B31/00 B
G06Q10/04
G06Q50/10
【審査請求】未請求
【請求項の数】13
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016930
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】520323089
【氏名又は名称】株式会社ビットピープス
(74)【代理人】
【識別番号】100183564
【弁理士】
【氏名又は名称】西村 伸也
(72)【発明者】
【氏名】如南 友博
【テーマコード(参考)】
5C086
5C087
5L010
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5C086AA12
5C086AA14
5C086AA15
5C086FA06
5C086FA17
5C086FA18
5C087AA10
5C087AA21
5C087AA37
5C087AA44
5C087DD02
5C087EE08
5C087FF01
5C087FF02
5C087GG14
5C087GG66
5C087GG68
5C087GG82
5C087GG84
5L010AA04
5L049AA04
5L049CC20
5L050CC20
(57)【要約】 (修正有)
【課題】特定の位置を含む周辺エリアにおける降雨に基づいて予測される災害の発生の精度を向上させる災害情報予測システム、サーバ、方法及びユーザ端末などを提供する。
【解決手段】災害情報予測システム1において、サーバ装置2の災害情報予測手段5は、所定の区域の予測雨量に関連するデータを含む関連データ4aと、所定の区域内に設置された特定の雨量計9から得られる観測雨量を含む雨量データ3aとに基づいて、特定の雨量計9の設置位置を含む周辺エリアで発生する災害に関連する災害情報5aを取得する。エリア予測雨量データ取得手段6は、エリア予測雨量データ6aを取得する。送信手段6は、災害情報5aを所定のユーザ端末10に送信する。
【選択図】
図2
【特許請求の範囲】
【請求項1】
所定の区域の予測雨量に関連するデータを含む関連データと、前記所定の区域内に設置された雨量計から得られる観測雨量を含む雨量データとに基づいて、前記雨量計の設置位置を含む周辺エリアにおける災害に関連する災害情報を予測する、災害情報予測方法。
【請求項2】
前記関連データが気象庁を含む外部機関から得られるものである、請求項1記載の災害情報予測方法。
【請求項3】
前記設置位置が前記災害の発生する恐れのあるエリア内にある、請求項1記載の災害情報予測方法。
【請求項4】
前記関連データが2時間以上先の予測雨量に関するものである、請求項1、2若しくは3のいずれかに記載の災害情報予測方法。
【請求項5】
所定の区域の予測雨量に関連するデータを含む関連データを取得する関連データ取得手段と、
前記所定の区域内に設置された雨量計から得られる観測雨量を含む雨量データを取得する雨量データ取得手段と、
前記関連データ及び前記雨量データに基づいて、前記雨量計の設置位置を含む周辺エリアで予測される災害に関連する災害情報を取得する災害情報取得手段とを備えている、災害情報予測のためのサーバ。
【請求項6】
前記関連データが気象庁を含む外部機関から得られるものである、請求項5記載の災害情報予測のためのサーバ。
【請求項7】
前記設置位置が前記災害の発生する恐れのあるエリア内である、請求項5記載の災害情報の予測をするサーバ。
【請求項8】
前記関連データが2時間以上先の予測雨量に関するデータである、請求項5記載の災害情報予測のためのサーバ。
【請求項9】
前記災害情報を所定のユーザ端末に送信する送信手段をさらに備えている、請求項5、6、7若しくは8のいずれかに記載の災害情報予測のためのサーバ。
【請求項10】
請求項9記載のサーバと、
前記サーバと通信可能に接続されたユーザ端末とからなり、
前記ユーザ端末が前記災害情報を出力する出力手段を備えている、災害情報予測システム。
【請求項11】
前記ユーザ端末が自身の位置情報を送信するユーザ端末送信手段を備えている、請求項10記載の災害情報予測システム。
【請求項12】
前記サーバが新たな前記雨量データの提供を受け付ける受付手段をさらに備えており、
前記送信先が提供元により指定された送信先を含むものである、請求項10記載の災害情報予測システム。
【請求項13】
請求項9記載のサーバと通信可能に接続されたユーザ端末であって、
前記ユーザ端末の位置情報を送信するユーザ端末送信手段を備えている、ユーザ端末。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、災害情報予測システムなどに関する。さらに詳しくは、局地的大雨や集中豪雨などに対応した災害の情報を送信する災害情報予測システムなどに関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、局地的大雨や集中豪雨などを含む大雨に対応した災害情報を送信するシステムがある。
【0003】
特許文献1には、局地的短時間強雨や大雨による線路沿線での浸水・氾濫範囲や規模及び大規模崩壊に伴って河川を流下する土砂の到達範囲のハザードをリアルタイムで評価及び表示する短時間強雨に対する減災システムが開示されている。
その減災システムは、雨量予測値及び観測雨量値を含む気象データの有無を所定の時間の間隔で確認し、雨量予測値及び観測雨量値を取得する雨量予測値取得プログラムと、気象データを所定のフォーマット及びメッシュサイズに変換する雨量予測値前処理プログラムと、気象データを入力値として所定区域の浸水・氾濫解析を行う浸水・氾濫解析システムと、浸水・氾濫解析手段で算出された浸水深予測値と所定の閾値とを比較してハザード発生の有無を判定して判定結果を列車停止位置等表示システムに送付する浸水・氾濫解析出力データ変換プログラムとを備えている。
【0004】
次に
図1を用いてアメダスの雨量計、解析雨量、速報版解析雨量、降水短時間予報について説明する。
例えばアメダス等の雨量計11、11は、正確な雨量が得られるが、設置された位置の雨量しか得られない。一方、気象レーダ12は、雨量計11、11の間の地域(平均で約17km四方の範囲)の雨の強さの分布が得られるが、雨量そのものは計れない。これらの雨量計11、11による観測値と気象レーダ12による雨の強さの分布などを組み合わせることにより、雨量計11、11が設置されていない地域(符号B参照)の雨量を解析雨量として得ることができる。例えば、解析雨量は、1km四方毎(符号C参照)の1時間の降水量分布を30分毎に解析して得られる。また10分毎に解析されたものは速報版解析雨量という。
解析雨量又は速報版解析雨量などを用いて、降水短時間予報が発表される。降水短時間予報は、1-6時間先まで10分間隔で、各1時間降水量を1km四方の細かさで予報する。7時間先から15時間先までは1時間間隔で発表され、各1時間降水量を5km四方の細かさで予報する。
気象レーダは気象庁・国土交通省が保有しており、雨量計は気象庁・国土交通省・地方自治体が保有している。解析雨量、速報版解析雨量、降水短時間予報は、気象庁などの予測雨量を配信する機関13から取得することができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
局地的大雨、集中豪雨などを含む狭い範囲に大雨が発生すると(例えば
図1の符号Pの位置)、解析雨量・降水短時間予報による雨量と実際の雨量との間にずれが生じる場合がある。ずれが生じると、災害に関連する情報を適切に発信するのが困難な場合がある。例えば、土砂災害のために避難を促したり、道路の通行規制などを実施したりする際に、適切な指示を行うのが難しい。
【0007】
そこで本発明は、特定の位置を含む周辺エリアにおける降雨に基づいて発生する災害の予測の精度を向上させる災害情報予測システムなどを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
(1)本発明の災害情報予測方法は、所定の区域の予測雨量に関連するデータを含む関連データと、前記所定の区域内に設置された雨量計から得られる観測雨量を含む雨量データとに基づいて、前記雨量計の設置位置を含む周辺エリアにおける災害に関連する災害情報を予測することを特徴としている。
【0009】
(2)このような災害情報予測方法は、前記関連データが気象庁を含む外部機関から得られるものであるのが好ましい。
【0010】
(3)また前記設置位置が前記災害の発生する恐れのあるエリア内にあるのが好ましい。
【0011】
(4)また前記関連データが2時間以上先の予測雨量に関するものであるのが好ましい。
【0012】
(5)本発明の他の態様の災害情報予測のためのサーバは、所定の区域の予測雨量に関連するデータを含む関連データを取得する関連データ取得手段と、前記所定の区域内に設置された雨量計から得られる観測雨量を含む雨量データを取得する雨量データ取得手段と、前記関連データ及び前記雨量データに基づいて、前記雨量計の設置位置を含む周辺エリアで予測される災害に関連する災害情報を取得する災害情報取得手段とを備えていることを特徴としている。
【0013】
(6)このような災害情報予測のためのサーバは、前記関連データが気象庁を含む外部機関から得られるものであるのが好ましい。
【0014】
(7)また前記設置位置が前記災害の発生する恐れのあるエリア内であるのが好ましい。
【0015】
(8)また前記関連データが2時間以上先の予測雨量に関するデータであるのが好ましい。
【0016】
(9)また前記災害情報を所定のユーザ端末に送信する送信手段をさらに備えているものが好ましい。
【0017】
(10)本発明の他の態様の災害情報予測システムは、上述のサーバと、前記サーバと通信可能に接続されたユーザ端末とからなり、前記ユーザ端末が前記災害情報を出力する出力手段を備えていることを特徴としている。
【0018】
(11)このような災害情報予測システムは、前記ユーザ端末が自身の位置情報を送信するユーザ端末送信手段を備えているのが好ましい。
【0019】
(12)また前記サーバが新たな前記雨量データの提供を受け付ける受付手段をさらに備えており、前記送信先が提供元により指定された送信先を含むものであるのが好ましい。
【0020】
(13)本発明の他の態様のユーザ端末は、上述のサーバと通信可能に接続されたユーザ端末であって、前記ユーザ端末の位置情報を送信するユーザ端末送信手段を備えていることを特徴としている。
【0021】
・「雨量データ取得手段」とは、実施形態ではS1(
図4参照)が対応する。
・「関連データ取得手段」とは、実施形態ではS2(
図4参照)が対応する。
・「エリア予測雨量データ取得手段」とは、実施形態ではS3(
図4参照)が対応する。
・「災害情報取得手段」とは、実施形態ではS4(
図4参照)が対応する。
・「送信手段」とは、実施形態ではS5(
図4参照)が対応する。
・「出力手段」とは、実施形態ではS6(
図4参照)が対応する。
・「ユーザ端末送信手段」とは、実施形態ではR(
図4参照)が対応する。
・「受付手段」とは、実施形態ではQ(
図4参照)が対応する。
【0022】
・「予測雨量」とは、所定の区域において、所定の時間における予測される雨(降水)の量からなる情報及びそれに換算できる情報を含む概念である。
・「予測雨量に関連する関連データ」とは、所定の区域に予測される雨量に関連するデータであり、予測雨量そのものでなくてもよく、予測雨量に換算したり、予測雨量と連動したり、予測雨量の指標とされたり、予測雨量と相関関係のあるデータを含み、例えば、雨雲の強さ、積乱雲の高さ、雲の移動速度、風向、風速、気圧、気温、湿度、それらの変化する量などを含むものである。
・「位置情報」とは、経度・緯度からなる情報、予め定められた基準となる位置に対する方向・距離からなる情報、それらの情報にさらに高度を含んだ情報及びそれらに換算できる情報を含む概念である。例えば、特定の位置に設置された雨量計に識別番号が付されている場合は、識別番号に紐付けて予め登録された位置情報を得ることができることを含む。
・「雨量データ」とは、前記位置情報で特定された位置における観測雨量を含む情報及びそれに換算できる情報を含む概念である。
・「エリア予測雨量データ」とは、前記雨量データ及び前記関連データに基づいた前記周辺エリアで予測される所定時間先における予測雨量であり、それに換算できる情報を含む概念である。
・「災害情報」とは、ここでは、降雨に基づいて発生する災害に関する情報であり、大雨注意報、大雨警報(土砂災害)の発表、または土砂災害発生危険基準線を越えたかについての情報、さらには、例えば、洪水、土砂崩れ、道路規制などに関する情報及びそれらに換算できる情報を含む概念である。大雨注意報、大雨警報(土砂災害)の発表、土砂災害発生危険基準線を越えたかについての情報は、気象庁などの発表を含み、システムの管理者が独自に発表するものを含む。
また災害情報には、ユーザに対する対処情報として、ユーザが受け取る具体的な対処に関する情報を含んでもよい。例えば、待機する、逃げる、助ける、探す、呼ぶ、準備する、などであり、災害に対応してユーザに促すべき行動を含む情報であればよい。さらに具体的に、例えば、時間、場所、対象物(人)、目的などを含むようにしてもよい。例えば、家で待機しろ、すぐに公園に逃げろ、動けない人を助けろ、近隣の老人を探せ、懐中電灯を準備しろ、水を蓄えろ、ヘルメットをかぶれ、などである。
【発明の効果】
【0023】
本発明の災害情報予測システムなどは、特定の位置を含む周辺エリアにおける降雨に基づいて発生する災害に関する情報を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0024】
【
図2】災害情報予測システムの機能ブロック図である。
【
図3】
図3aはサーバのハードウェア構成の一例を示す概略図、
図3bはユーザ端末ハのードウェア構成の一例を示す概略図である。
【
図4】災害情報予測システムの動作の一例を示す概略フローである。
【
図6】土壌雨量指数と60分間積算雨量の関係を示すグラフの概略図である。
【発明を実施するための形態】
【0025】
[1.概略説明]
(災害情報予測システム1)
まず
図1を用いて災害情報予測システムの概略を説明する。
図1に示す災害情報予測システム1は、サーバ2とサーバに通信可能に接続されるユーザ端末10とからなり、特定の位置Pを含む周辺エリアAにおける降雨に基づいて予想される災害の情報を予測するシステムである。
【0026】
(特定の位置P)
特定の位置Pは、観測雨量が測定される位置である。本実施形態では、解析雨量に用いられていない雨量計(以下、特定の雨量計とする。)9が設置されている位置に相当する。なお特定の位置Pは、災害の予測される位置、将来の雨量を取得したい位置又は将来の雨量を取得したいエリアの中心/略中心であってもよい。
【0027】
(特定の雨量計9)
特定の雨量計9は、特定の位置Pに設けられている雨量計である。特定の雨量計Pは、地方自治体、飛行場、湾岸施設、高速道路、鉄道などを管理/運営する団体が所有していたり、建設現場に設置されていたり、新たに設置するものでもよい。新たに特定の雨量計9を設置する場所としては、降雨に基づいて、災害の発生する恐れがある場所、例えば、がけ崩れ、土石流、道路や鉄道などの土台、堤防など崩壊や崩落の恐れがある場所などが挙げられる。なおこれらの場所に限定されるものではない。
【0028】
(周辺エリアA)
周辺アリアAは、特定の位置Pを含む周囲のエリアであり、雨量の観測値が得られないエリアに相当する。また災害の恐れのあるエリアを含むのが好ましい。エリアが広範囲である場合は、特定の雨量計9を複数個設置するようにし、エリアを分割してもよい。なお図では周辺エリアAが所定の区域Cより小さいが、周辺エリアAが所定の区域Cと同じ、又は、所定の区域Cより大きくてもよい。
【0029】
(災害情報5a)
災害情報としては、主として、ゲリラ豪雨と呼ばれる、局地的な降雨に関連するものである。局地的な降雨とは、突発的で天気予報による正確な予測が困難な局地的大雨をいう。例えば、にわか雨、集中豪雨、夕立なども含む。
【0030】
(関連データ)
本実施系形態では、関連データとして予測雨量を用いている。予測雨量は、降水短時間予報、さらには降水ナウキャストや高解像度降水ナウキャストのような気象庁(外部の機関13)から取得できる予測された、例えば、解析により得られた雨量を用いている。なお気象庁以外の外部の機関13から取得してもよい。
【0031】
(解析雨量の範囲B、所定の区域C)
ここで
図1において、符号Bは、雨量計11、11が設置されていない範囲、すなわち雨量が観測値でなく、解析により得られている範囲(解析雨量の範囲)Bである。符号Cは、解析された雨量が得られる単位であり、例えば本実施系形態では、1km四方の区域(所定の区域)C毎に解析された雨量が得られている。なお所定の区域Cは、一辺が1km未満または1kmより大きな区域であってもよい。
【0032】
(雨量計11、気象レーダ12)
また気象レーダ12、雨量計11については、気象庁・国土交通省・地方自治体が保有しているものに限らず、他の団体が保有しているものでもよい。使用される雨量計11は、例えば、公共的な気象観測に用いるものとして、検定に合格した貯水型雨量計又は転倒ます型式雨量計が用いるのが好ましい。
さらに前述した特定の雨量計9についても、前記検定に合格した貯水型雨量計又は転倒ます型式雨量計が用いるのが好ましい。
なお雨量計11、特定の雨量計9について、検定で合格していないものを用いてもよい。
【0033】
(通信網14など)
災害情報予測システム1の機器や設備(雨量計9を含む)、さらには雨量計11、気象レーダ12、外部機関13は、インターネットまたはイントラネット(通信網)14を介して通信可能に接続されている。通信網14は、インターネットに接続されている。通信網14は、イントラネット、有線・無線通信による通信網を含む。無線通信としては、例えば、Bluetooth(登録商標)、Wi-Fi(登録商標)、LPWA(Low Power Wide Area)などである。LPWAとしては、LTE(登録商標)や、ライセンスが不要な周波数帯を用いてもよい。
【0034】
[2.詳細説明]
(災害情報予測システム1、サーバ2)
災害情報予測システム1は、サーバ2とサーバに通信可能に接続される1つ以上のユーザ端末10とからなる。
サーバ2は、本実施形態においては、例えばパソコン(パーソナルコンピュータ)である。サーバ2は、雨量データ取得手段3と、関連データ取得手段4と、災害情報取得手段5とを主に備えている。本実施形態では、エリア予測雨量データ取得手段6をさらに備えている。
【0035】
(雨量データ取得手段3)
雨量データ取得手段3は、雨量データ3aを取得する。雨量データ3aは、本実施形態では、特定の雨量計9から得られる観測雨量であり、それに換算できるデータであってもよい。なお雨量データ3aとして、特定の雨量計9の識別番号を取得するようにしてもよい。識別番号は特定の雨量計9から取得してもよいし、サーバ2に予め登録しておいてもよい。
【0036】
(関連データ取得手段4)
関連データ取得手段4は、気象庁などの所定の取得先から所定時間先までの関連データ4aを取得する。関連データ4aは、本実施形態では、特定の位置Pを含む所定の区域Cの所定時間先の予測雨量であり、それに換算できるデータであってもよい。なお関連データ4aは、特定の位置Pを含む所定の区域Cを識別する識別番号と、予測する時間(例えば1時間先など)を含んでもよい。
本実施形態では、気象庁から得られる1時間毎の降水短時間予報及び/又は10分毎の速報版降水短時間予報を取得している。6時間先までの1時間降水量を関連データ4aとして、1時間毎又は10分毎に取得している。災害情報をユーザ端末10に送信し、ユーザに避難を含む行動を促すことから、少なくとも2時間先までの関連データ4aを取得するのが好ましい。
【0037】
(災害情報取得手段5、エリア予測雨量データ取得手段6、送信手段7)
災害情報取得手段5は、雨量データ3a及び関連データ4aに基づいて、周辺エリアAで予測される災害に関連する災害情報5aを取得する。
エリア予測雨量データ取得手段6は、エリア予測雨量データ6aを取得する。エリア予測雨量データ6aの詳細は後述する。
送信手段6は、災害情報5aを所定のユーザ端末10に送信する。
【0038】
(ユーザ端末10、出力手段8)
ユーザ端末10は、本実施形態においては、例えばスマートフォンである。なおユーザ端末10として、タブレットPC、パソコン(パーソナルコンピュータ)などを用いてもよい。
ユーザ端末10は、災害情報5aを出力する出力手段8を備えている、出力手段8は、災害情報5aを表示部8a又はスピーカ8bにより出力する。
【0039】
(表示部8a、スピーカ8b)
表示部8aとしては、例えば、液晶ディスプレイ(LCD:Liquid Crystal Display)、プラズマディスプレイ(PDP:Plasma Display Panel)、有機EL(EL:Electroluminescence)などの画像を表示する装置が用いられる。またスピーカ8bは従来公知のものが採用されている。
【0040】
[3.ハードウェア構成]
次に
図3a及び
図3b用いて、サーバ2及びユーザ端末10のそれぞれのハードウェア構成を説明する。
【0041】
(サーバ2のハードウェア構成)
次いで、サーバ2のハードウェア構成を説明する。
図3aに示すように、本実施形態のサーバ2では、例えば、コンピュータを用いている。サーバ2はCPU30を備えたものである。そのCPU30には、メモリ(以下、記憶部という。)31と、記憶デバイス32などを接続/読み込むための接続ポート33と、ネットワークを介して外部と通信するための通信回路34とがバスライン35を介して接続されている。記憶部31には、災害情報送信システム1を処理するためのサーバプログラム36が記憶されている。またブラウザプログラム37、さらにはOS38(オペレーティングシステム)が記憶されていてもよい。さらに属性情報データベース(以下、属性情報DBという。)15、対処情報データベース(以下、対処情報DBという。)16が記憶されていてもよい。
【0042】
(ユーザ端末10のハードウェア構成)
ユーザ端末10のハードウェア構成は、前述のサーバ2のハードウェア構成とほぼ同じであるので、同じ部分には同じ符号を付して、その説明を省略する。本実施形態のユーザ端末10では、例えばスマートフォンを用いている。
そのコンピュータの記憶部31には、対処情報送信システム1を処理するためのユーザ端末プログラム39が記憶されている。さらにブラウザプログラム37、さらにはOS38(オペレーティングシステム)が記憶されていてもよい。
【0043】
本実施形態では、サーバプログラム36及びユーザ端末プログラム39は、それぞれOS38およびブラウザプログラム37の機能を利用して協働して動作する。なおサーバプログラム36及びユーザ端末プログラム39として、それぞれブラウザプログラム37、OS38を利用せず、単独で動作するようにしてもよい。
【0044】
上述したサーバ2及びユーザ端末10のハードウェア構成では、
図2の機能ブックス図に示す機能を、例えば、CPU30とユーザ端末プログラム36及びサーバプログラム39とを用いて実現するようにしているが、その一部または全部をマイコンなどの論理回路、あるいは、PLC(プログラマブルロジックコントローラ)を用いてシーケンス制御してもよい。
【0045】
[4.災害情報予測システム1の動作]
(災害情報予測システム1の動作)
次いで、図を用いて災害情報予測システム1の動作を説明する。
図4にはサーバ2で用いられるサーバプログラム36およびユーザ端末10で用いられるユーザ端末プログラム39の処理の一実施形態を示すフローチャートを示している。
【0046】
(S1)サーバ2のCPU30は、特定の雨量計9から雨量データ3aを取得する。データは、所定時間毎に、例えば10秒間隔に取得される。なお雨量が確認されると特定の雨量計9からデータ3aをサーバ2に送信するようにしてもよい。
【0047】
(S2)外部機関13から関連データ4aを取得する。本実施形態では、1時間毎に、1~6時間先まで関連データ4aを10分毎に気象庁から取得している。なお工程(S1)と工程(S2)は順序を逆にしてもよいし、同時にしてもよい。
さらに気象庁以外の外部機関13から関連データ4aを取得してもよい。さらに10分より小さいあるいは10分より大きいな間隔で関連データ4aを取得してもよい。
【0048】
(S3)エリア予測雨量データ6aを取得する。本実施形態では2時間先のエリア予測雨量データ6aを取得している。なおエリア予測雨量データ6aを取得する間隔は、関連データ4aの取得間隔と同じでもよいし、異なる間隔としてもよい。本実施形態では、エリア予測雨量データ6aは、雨量データ3a及び関連データ4aなどを数値解析して取得している。
【0049】
さらに過去の実績に基づいて、機械学習によりエリア予測雨量データ6aを取得してもよい。例えば、所定時間(例えば2時間)先の雨量データ3aを教師データとし、雨量データ3a、関連データ4aなどからなる変数による数式モデルを作成し、演算によりエリア予測雨量データ6aを取得してもよい。数式モデルは記憶部31に記憶しておく。なお降雨に基づく注意報、警報の発令、さらには土砂災害発生危険基準線CL(後述する)を越えた際の雨量データ3a及び関連データ4aを教師データとしてもよい。
【0050】
その他のエリア予測雨量データ6aの取得の方法としては、例えば、仮に2時間先の関連データ4aの降水量が20%増減する予測であるなら、現在の雨量データ3aを20%増減させ、2時間先のエリア予測雨量データ6aとしてもよい。エリア予測雨量データ6aの取得の手法は、これらに限られない。
【0051】
(S4)災害情報5aを取得する。災害情報5aとしては、例えば、予め設定された雨量データ3a、さらには60分間積算雨量又は土砂雨量指数のそれぞれの閾値に基づいて決定される。例えば、これらの閾値として、大雨注意報、大雨警報(土砂災害)、土砂災害警戒情報に相当する閾値を予め設定してもよい。
【0052】
災害情報5aは、本実施形態では、例えば、降雨に基づいて発生する災害に関する情報であり、大雨注意報、大雨警報(土砂災害)の発表、または土砂災害発生危険基準線を越えたかについての情報、さらには、例えば、洪水、土砂崩れ、道路規制などに関する情報及びそれらに換算できる情報を含む概念である。大雨注意報、大雨警報(土砂災害)の発表、土砂災害発生危険基準線を越えたかについての情報は、本システムの管理者が独自に発表するものを含む。
【0053】
(S5)取得した災害情報5aをユーザ端末10に送信する。本実施形態では、送信すべきユーザ端末10がサーバ2に予め登録されている。例えば、ユーザが予め自身の対応する位置Pを属性情報データベース(属性情報DB)15に設定しておいてもよい。さらに例えば、ユーザの居住地又はその付近を特定の位置Pとしてもよい。特定雨量データ3a又は60分間積算雨量が前述した閾値を超えた特定の位置Pに対応するユーザ端末10に災害情報5aを送信する。
【0054】
さらに災害情報5aとして、ユーザに対する対処情報として、ユーザが受け取る具体的な対処に関する情報を含んでもよい。例えば、待機する、逃げる、助ける、探す、呼ぶ、準備する、などであり、災害に対応してユーザに促すべき行動を含む情報であればよい。さらに具体的に、例えば、時間、場所、対象物(人)、目的などを含むようにしてもよい。例えば、家で待機しろ、すぐに公園に逃げろ、動けない人を助けろ、近隣の老人を探せ、懐中電灯を準備しろ、水を蓄えろ、ヘルメットをかぶれ、などである。
【0055】
(属性情報DB15のデータ構造)
図5に属性情報DB15のデータ構造を示す。図に示している属性情報DB15において、例えば、符号15aはユーザ端末10の識別番号、符号15bはユーザが予め登録した特定の位置である。
【0056】
本実施形態では、さらに以下の情報を属性情報DB15に予め登録している。符号15cは避難するのが難しい者であるかどうか、符号15d~15fはユーザの住所が危険地域であるかどうかの情報である。危険地域とは、例えば、官公庁・民間の機関などにより、土砂崩れ、氾濫、土石流など自然災害の恐れがあるとされている地域である。符号15dは土砂崩れ、符号15eは氾濫、符号15fは土石流の危険性のある地域をそれぞれ示している。表中の○印は該当することを示している。これらの属性情報DB15の各項目は、予めユーザ又は災害情報送信システム1の管理者によって登録されている。これらの各項目は、これらに限られず、追加することもできる。例えば、避難経路、避難場所、さらには医師、看護師、技術者、警察官、水泳インストラクター、心理カウンセラーなどの技術、職業、資格を登録できるようにしてもよい。
【0057】
属性情報DB15の各項目がユーザの属性情報10aである。ユーザの属性情報10aは予め登録するのがよい。ユーザの属性情報10aとは、ユーザの属性に関する情報であり、災害に対処する際に考慮すべき情報であり、それに換算できる情報を含む概念である。例えば、ユーザの年齢や疾患などに関連するユーザについての情報、同居人の情報や家族構成などのユーザに関連する人物の情報、ユーザが住んでいる地域の地形・位置、さらにはユーザの住んでいる建物などの災害に対する危険性についての情報、さらには避難経路、避難場所に関する情報であり、それらに換算できる情報を含む概念である。
【0058】
(S6)
ユーザ端末10のスピーカ8bから災害情報5aを音声として出力する。なお表示部8aにテキスト情報として表示してもよいし、音声出力と共にテキスト情報を表示するようにしてもよい。
【0059】
(災害情報5aの取得のその他)
前述した大雨注意報、大雨警報(土砂災害)、土砂災害警戒情報に相当する閾値として、土壌雨量指数と60分間積算雨量(mm)の関係に基づいて、災害情報5aを選択してもよい。
【0060】
(土壌雨量指数と積算雨量の関係を示すグラフ)
図6に土壌雨量指数と60分間積算雨量(mm)の関係を示すグラフの概略図を示す。グラフの横軸は土壌雨量指数で、縦軸が60分間積算雨量(mm)である。
土壌雨量指数は、降った雨による土砂災害危険度の高まりを把握するための指標である。大雨に伴って発生する土砂災害(がけ崩れ・土石流)には、現在降っている雨だけでなく、これまでに降った雨による土壌中の水分量が深く関係している。降った雨が土壌中に水分量としてどれだけ溜まっているかを、タンクモデルと呼ばれるモデルを用いて数値化したものである。タンクモデルの数式に用いられるパラメータは予め記憶部31に記憶されている。タンクモデルの数式に降水量を代入すると、土壌雨量指数を得ることができる。なお特定の位置Pに適したパラメータを新たに解析・計測し、タンクモデルの数式に採用してもよい。
60分間積算雨量は、60分間に降った雨の積算量である。
【0061】
(大雨注意報X、大雨警報Y、土砂災害発生基準線CL)
符号Xは大雨注意報を示すラインである。土壌雨量指数と60分間積算雨量の関係が、ラインXを超えて右方の領域に存在すると、大雨注意報に該当する。
符号Yは大雨警報(土砂災害)を示すラインである。土壌雨量指数と60分間積算雨量の関係が、ラインYを超えて右方の領域に存在すると、大雨警報(土砂災害)に該当する。
符号CLは土砂災害発生基準線を示すラインである。土壌雨量指数と60分間積算雨量の関係が、ラインCLを超えて右方の領域に存在すると、大雨警報(土砂災害)に該当する。土砂災害がいつ起きてもおかしくない領域である。
【0062】
取得した2時間先のエリア予測雨量データ6aに基づいてタンクモデルから土壌雨量指数を算出する。取得した2時間先の土壌雨量指数と2時間先のエリア予測雨量データ6aの関係から、2時間先に大雨注意報Xを超えるか、大雨警報Yを超えるか、土砂災害発生基準線CLを超えるかを確認する。
【0063】
例えば、グラフ上の黒丸の点Nは土壌雨量指が70で、60分間積算雨量40mmであり、現在の状況を示している。
気象庁から得られる2時間先の関連データ4aが20%増加する予報であるなら、現在の雨量データ3aである40mmを20%増加させ、2時間先の雨量データ3a(エリア予測雨量データ6a)を48mmと予測する。次いで、2時間先の60分間積算雨量及び土壌雨量指数を演算する。演算結果として、土壌雨量指が90で、60分間積算雨量55mmをグラフにプロットする(白丸の点F参照)。点Fは大雨注意報のラインXを超えている。このため2時間前の現時点において、大雨注意報を災害情報5a(詳細は後述する)をユーザ端末10に送信する。
【0064】
(災害情報予測方法19)
図4に戻って、災害情報予測方法を説明する。
図4に示すように、災害情報予測方法19は、解析して得られる所定の区域Cの予測雨量を含む関連データ4a(S1参照)と、所定の区域C内に設置された雨量計9から得られる観測雨量を含む雨量データ3a(S2参照)とに基づいて、雨量計9の設置位置を含む周辺エリアAで発生する災害に関連する災害情報5a(S4参照)を予測する。エリア予測雨量6aは、雨量データ3aと関連データ4aとに基づいて取得されるので、所定の区域Cで解析された予測雨量(関連データ4a)に比べて、精度が高い。
【0065】
[5.他の実施形態]
次に災害情報予測システム1の他の実施形態を説明する。以下に説明する変形例及び他の実施形態は、前述した災害情報予測システム1とほぼ同様であるので、同じ部分には同じ符号を付して、その説明を省略する。
【0066】
(災害情報予測システム1の変形例1)
災害情報予測システム1の変形例を説明する。変形例では、災害情報5aに対処するための対処情報5bを登録されたユーザ端末10に送信する。災害状情報5aを取得すると、対処情報DB16に基づいて、ユーザの属性情報10aに対応する対処情報5bを選択する。
【0067】
(対処情報DB16のデータ構造)
図7に対処情報DB16のデータ構造を示す。このデータ構造では、災害情報5aの種別毎に、ユーザの属性情報10aに対応する対処情報5bが定められている。例えば、図では災害情報5aとして大雨警報であり、属性情報10aとして「危険地域に住んでいる」であり、対処情報5bとして「体育館に避難してください。」である。一方で、属性情報10aとして「避難困難者」であるなら、対処情報5bとして「助けを待ってください。」である。刻々と変化する気象状況、それに伴う災害情報5aに応じて、逐次的に対処情報5bをユーザ10に届けることができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に災害情報予測システム1の他の実施形態を説明する。
図2に戻って、第2実施形態にかかる災害情報予測システム1aでは、ユーザ端末10は、自身の位置情報(ユーザ端末位置情報)17aを取得し、サーバ2に送信するユーザ送信手段17を備えている。この実施形態では、ユーザ端末位置情報17aは所定時間毎にユーザ端末10からサーバ2に送信されている。
本実施形態では、ユーザ端末10に内蔵されているユーザ端末位置情報15aを取得する機能を用いている。例えばGPSセンサを用いている。なお、他の位置を測定するシステムを用いてもよい。
【0069】
図4を用いて第2実施形態にかかる災害情報予測システム1aの処理を説明する。
図4にはサーバプログラム36a及びユーザ端末プログラム39aの処理の一実施形態を示すフローチャートを示している。
【0070】
(R)ユーザ端末10はユーザ端末位置情報17aをサーバ2に送信する(図中の破線参照)。図では工程S4の後にサーバ2に送信しているが、送信するタイミングはこれに限られない。
【0071】
例えば、送信するタイミングとして、サーバ2が特定の雨量計9からの観測値(雨量データ3a)を取得すると、ユーザ端末10に開始のトリガーとなる情報を送信し、ユーザ端末10がユーザ端末位置情報17aをサーバ2に送信するようにしてもよい。
一方、サーバ2が所定時間において雨量データ3aを取得できなかった場合に、ユーザ端末10に終了のトリガーとなる情報を送信し、ユーザ端末10からがユーザ端末位置情報17aをサーバ2に送信するのを停止するようにしてもよい。所定時間は、例えば3~6時間としてもよいが、これに限定されるものではない。
【0072】
その他、サーバ2が取得すべき、他の開始のトリガーとなる情報として、官公庁、自治体、メディア、地域から発せられる避難情報及び警戒レベルの情報、河川に設置された水位計、地震計、雨量計11、カメラ映像などの情報がある。なお他の終了のトリガーとなる情報として、前述した警報等の解除の情報を取得し、前記終了のトリガーとしてもよい。
なお、これらの他の開始/終了のトリガーとなる情報は、サーバ2を経由せずユーザ端末10が取得し、サーバ2への送信/停止をそれぞれ行ってもよい。
【0073】
ユーザ位置情報17aをサーバ2に送信することの許可・不許可を選択できるようにしてもよい。なお初期設定で登録しておいてもよい。不許可を設定している場合は、例えばユーザ端末10がトリガーとなる情報を受信した際又はユーザ位置情報17aを送信する前に、表示部3aに送信の許可/不許可のボタンを表示するようにしてもよい。
【0074】
(第3実施形態)
次に災害情報予測システム1の他の実施形態を説明する。
図2に戻って、第3実施形態にかかる災害情報予測システム1bでは、サーバ2は、新たな雨量計9の登録情報18aを受け付ける受付手段18を備えている。登録情報18aは、ユーザ端末10を介して送信される。受け付けた登録情報18aは記憶部31に記録される。
【0075】
(新たな雨量計9)
新たな雨量計9としては、工事現場に設置される雨量計のような一時的に設置されるものや、新たに危険地域として設定された場所など長く設置されるものがある。災害情報予測システム1bでは、これらの新たな雨量計9が登録され、多くの雨量データ3aが取得できれば、より正確なエリア予測雨量データ6aを得ることができる。災害情報予測システム1bは、新たな雨量データ3aの提供者に対し、得られる災害情報5a及び/又は対処情報5bを送信する。これにより新たな雨量データ3aを収集するのを促すことができる。
【0076】
(登録情報18a)
登録情報18aは、新たな雨量計9の位置情報と、災害情報5a及び/又は対処情報5bとの送信先に関する情報であり、それらに換算できる情報を含む概念である。
【0077】
図4を用いて第3実施形態にかかるシステム1bの処理を説明する。
図4にはサーバプログラム36b及びユーザ端末プログラム39bの処理の一実施形態を示すフローチャートを示している。
【0078】
(Q)ユーザ端末10は登録情報18aをサーバ2に送信する(図中の二点鎖線参照)。
【0079】
(第4実施形態)
次に災害情報予測システム1の他の実施形態を説明する。第4実施形態にかかる災害情報予測システム1cでは、サーバ2は、雨量データ3a及び/又は関連データ4aを所定のフォーマット及び/又はメッシュサイズに変換する前処理手段20を備えている(一点鎖線参照)。例えば、所定の四方の区域の大きさ、サンプリング時間、サンプリング間隔などを整える。
図4に示すように、前処理は、工程S1の雨量データ3a及び/又は工程S2の関連データ4aを取得から、工程S3のエリア予測雨量データ6aの取得の間に行われる。
【0080】
[6.その他]
前述の実施形態は、それぞれを適宜に組み合わせて用いることができる。
気象庁以外の機関13から関連データ4aを得てもよい。その場合、機関から配信される間隔で関連データ4aを取得してもよい。その際に、取得した関連データ4aに対応した間隔でエリア予測雨量データ6aを取得してもよい。
特定の雨量計9として、解析雨量に用いられている雨量計であってもよい。
関連データ4aの代わりに、他の気象データを用いてもよい。
工程S2において、関連データ4aに加え、他の気象データを用いてもよい。他の気象データとしては、所定の区域Cにおける雲の発生状況、所定の区域Cにおける将来の雲の発生状況、さらには雷、雹、霧の現在の状況及び/又は将来の予測状況、さらには雨雲の強さ、積乱雲の高さ、雲の移動速度、風向、風速、気圧、気温、湿度、それらの変化する量などを含むものである。なおこれらに限られず、他の気象データを用いてもよい。
工程S3において、エリア予測雨量データ6aを取得する際に、関連データ4aとして、7時間先から15時間先までの1時間毎の5km四方の1時間降水量を用いてもよい。その際に7-15時間のうち、どの時間のデータを用いてもよい。
工程S3において、エリア予測雨量データ6aを取得する際に、特定位置Pを含む区域Cの関連データ4aに限らず、その周辺の区域Cの関連データ4aを用いてもよい。
工程S3において、2時間先の関連データ4aから、エリア予測雨量データ6aを取得し、2時間先の災害情報5aを取得するのが避難の観点から好ましいが、2時間より短い先の関連データ4aを用いてもよいし、2時間より長い先の関連データ4aを用いてもよい。
工程S4において、土壌雨量指数と60分間積算雨量の関係を示すグラフ(
図6参照)に所定時間間隔で過去のそれらの関係をプロットし、それらのプロットされた点をスムージングし、所定時間先のプロット位置を予測し、災害情報5aを決定してもよい。所定時間先のプロット位置の予測には、スムージングしたラインの直前の傾きを延長することにより、予測してもよい。また前記傾きを変数とする数式を予め設け、演算により予測してもよい。
ユーザ端末10に災害情報5a送信する代わりに、ログインパスワードで管理された専用のWEBページに災害情報5aをアップロードし、ユーザ端末10から閲覧できるようにしてもよい。
関連データ4aの代わりに雨量データ3aと異なる気象に関するデータを用いてもよい。気象に関するデータとは、雨雲、雷、雹、霧、雷、竜巻の現在の状況及び/又は将来の予測状況、さらには雨量、予測雨量、雨雲の強さ、積乱雲の高さ、雲の移動速度、風向、風速、気圧、気温、湿度、それらの変化する量などを含むものである。これらに限られず、他の気象に関するデータを用いてもよい。
【0081】
[7.まとめ]
(1)(5)災害情報予測方法19(災害情報予測のためのサーバ2)は、所定の区域Cの予測雨量に関連するデータを含む関連データ4aと、所定の区域C内に設置された雨量計(特定の雨量計)9から得られる観測雨量を含む雨量データ3aとに基づいて、雨量計9の設置位置(特定の位置)Pを含む周辺エリアAで発生する災害に関連する災害情報5aを予測することを特徴としている。このため特定の位置Pを含む周辺エリアAにおける降雨に基づいて予測される災害情報5aの精度が高い。そして避難指示、道路規制などの指示・規制の空振りの発生を低下させることができる。
【0082】
(2)(6)このような災害情報予測方法19(災害情報予測のためのサーバ2)は、関連データ4aが気象庁を含む外部機関13から得られるものである場合は、外部機関13の解析されたデータを利用することにより、特定の位置Pにおける災害情報5aの精度を高めることができる。そして避難指示、道路規制などの指示・規制の空振りの発生を一層低下させることができる。
【0083】
(3)(7)また設置位置Pが災害の発生する恐れのあるエリア内にある場合は、災害の発生を予測する精度が高いので、避難指示、道路規制などの指示・規制の空振りの発生をさらに一層低下させることができる。
【0084】
(4)(8)さらに関連雨量データ4aが2時間以上先の予測雨量に関するものである場合は、2時間前に災害情報5aを知ることができるので、避難などの時間的な余裕ができる。
【0085】
(9)サーバ2が災害情報5aを所定のユーザ端末10に送信する送信手段7をさらに備えている場青は、ユーザに適切なタイミングで予測した災害情報5aを提供することができる。
【0086】
(10)ユーザ端末10が、自身の位置情報17aを送信するユーザ端末送信手段17を備えている場合は、災害の恐れがあるエリアにいるユーザに災害情報5aを提供することができる。
【0087】
(11)(13)このような災害情報予測システム1(ユーザ端末10)は、ユーザ端末10が、ユーザ端末位置情報17aを送信するユーザ端末送信手段17を備えており、送信手段7が周辺エリアAに存在しているユーザ端末10に災害情報5aを送信するので、災害情報5aを必要としているユーザに災害情報5aを届けることができる。
【0088】
(12)サーバ2が、新たな雨量データ3aの提供を受け付ける受付手段18をさらに備えており、送信先18aが提供元により指定された送信先を含むものであるので、災害情報予測システム1(1b)として、新たな雨量データ3aの提供者に対し、得られる災害情報5a及び/又は対処情報5bを送信する。これにより新たな雨量データ3aを収集するのを促すことができる。
【符号の説明】
【0089】
1 災害情報予測システム
1a 災害情報予測システム
1b 災害情報予測システム
1c 災害情報予測システム
2 サーバ
3 雨量データ取得手段
3a 雨量データ
4 関連データ取得手段
4a 関連データ
5 災害情報取得手段
5a 災害情報
5b 対処情報
6 エリア予測雨量データ取得手段
6a エリア予測雨量データ
7 送信手段
8 出力手段
8a 表示部
8b スピーカ
9 特定の雨量計
10 ユーザ端末
10a 属性情報
11 雨量計(アメダスなど)
12 気象レーダ
13 機関
14 通信網
15 属性情報DB
16 対処情報DB
17 ユーザ端末送信手段
17a ユーザ端末位置情報
18 受付手段
18a 登録情報
19 災害情報予測方法
20 前処理手段
30 CPU
31 メモリ
32 記録デバイス
33 接続ポート
34 通信回路
35 バスライン
36 サーバのためのプログラム
36a サーバのためのプログラム
36b サーバのためのプログラム
37 ブラウザプログラム
38 OS
39 ユーザ端末のためのプログラム
39a ユーザ端末のためのプログラム
39b ユーザ端末のためのプログラム
P 特定の位置
A 周辺エリア
B 解析雨量の範囲B
C 所定の区域