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特開2024-112085有機性排水の処理方法及び有機性排水の処理装置
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  • 特開-有機性排水の処理方法及び有機性排水の処理装置 図1
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  • 特開-有機性排水の処理方法及び有機性排水の処理装置 図3
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112085
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】有機性排水の処理方法及び有機性排水の処理装置
(51)【国際特許分類】
   C02F 3/12 20230101AFI20240813BHJP
   C02F 11/04 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
C02F3/12 B ZAB
C02F11/04 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016932
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000004123
【氏名又は名称】JFEエンジニアリング株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100116713
【弁理士】
【氏名又は名称】酒井 正己
(74)【代理人】
【識別番号】100179844
【弁理士】
【氏名又は名称】須田 芳國
(72)【発明者】
【氏名】渕上 浩司
(72)【発明者】
【氏名】牧田 晟洋
【テーマコード(参考)】
4D028
4D059
【Fターム(参考)】
4D028BB02
4D028BC01
4D028BC17
4D028BC22
4D028BD01
4D028BD17
4D028BE04
4D028BE08
4D059AA04
4D059BA12
4D059BA34
4D059BE49
4D059CA22
4D059CA28
(57)【要約】
【課題】メタン発酵の発酵効率を高めると共に温室効果ガスの環境排出を抑制することができる有機性排水の処理方法の提供。
【解決手段】原水を固液分離装置2で上澄水と固形分とに分離し、前記固形分を嫌気性MBR槽9に送って嫌気性消化汚泥によって生物処理し発酵ガスを発生させると共に、嫌気性消化汚泥を、膜分離装置10で膜分離して膜透過流を得て、一方、前記上澄水を曝気槽4で好気処理し、得られた曝気処理水を固液分離装置6で好気処理水と固形分とに分離し、好気処理水を前記膜透過水に混合して得られた混合水を生物膜ろ過器19で生物処理して溶存メタンを分解除去し、前記嫌気性MBR槽9の嫌気性消化汚泥と固液分離装置6で分離された固形分とを汚泥濃縮器16で濃縮処理する、有機性排水の処理方法。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
下記工程A~工程Fを含むことを特徴とする有機性排水の処理方法。
工程A:原水を固液分離装置によって固形分と、上澄水と、に分離する工程
工程B:前記工程Aで得られた前記固形分を膜分離メタン発酵装置にて嫌気性消化汚泥によって消化処理するとともに、前記嫌気性消化汚泥を膜分離装置で膜分離して膜透過水を得る工程
工程C:前記工程Aで得られた前記上澄水を好気的に生物処理して固形分と、溶存酸素を含有する好気処理水と、を得る工程
工程D:前記工程Cで得られた固形分を前記嫌気性消化汚泥と混合し、得られた混合物を汚泥濃縮器で濃縮する工程
工程E:前記工程Bで得られた前記膜透過水と、前記工程Cにおいて得られた溶存酸素を含有する前記好気処理水と、を混合して混合水を得る工程
工程F:前記工程Eで得られた前記混合水を生物処理することによって前記混合水に含まれる溶存メタンを好気的に分解する工程
【請求項2】
前記工程Fにおける前記生物処理が生物膜ろ過処理であり、処理時に曝気を行うことなく、前記混合水に含まれる溶存酸素を利用して前記混合水を好気的に処理することを特徴とする請求項1に記載の有機性排水の処理方法。
【請求項3】
原水を、固形分と、上澄水と、に分離する固液分離装置と、
前記固形分を嫌気性消化汚泥によって嫌気性処理すると共に、前記嫌気性消化汚泥を膜分離装置によって、膜透過流と、濃縮流と、に分離する膜分離メタン発酵装置と、
前記固液分離装置で得られた前記上澄水を好気的に生物処理して、固形分と、溶存酸素を含有する好気処理水と、を得る好気的生物処理装置と、
前記膜透過流と溶存酸素を含有する前記好気処理水との混合水に含まれる溶存メタンを処理時に曝気を行うことなく好気的に分解する生物処理装置と、
を有することを特徴とする有機性排水の処理装置。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、有機性排水の処理方法及び有機性排水の処理装置に関する。
に関する。
【背景技術】
【0002】
下水、排水等の有機物を含有する被処理水を処理する水処理方法として、活性汚泥法などの好気処理法が広く用いられている。このような好気的な活性汚泥法では、曝気を行う際にブロア等の設備が必要となるため、それを稼動させるための動力が必要となり、エネルギーの消費が比較的大きい。
【0003】
これに対し、嫌気性処理法は、有機物を分解する際の曝気を必要としない嫌気的な消化処理法が用いられ、処理に必要なエネルギー需要を大幅に削減することができ、また、バイオガスの形でエネルギー源を生成することができる。この生成されたバイオガスは、水の搬送やその他のプロセスのエネルギー源として使用したり、熱源として使用することができる。
しかしながら、溶存メタンを含む消化処理水が環境へ排出された後で温室効果の高いメタンガスが揮散する懸念があった。
【0004】
原水をまず固液分離して得られる上澄水を好気処理し、分離された汚泥を消化処理するプロセスも検討されているが,この場合にも同様に溶存メタンを含む消化処理水が環境へ排出された後で温室効果の高いメタンガスが揮散する懸念があった。
【0005】
一方、エネルギーの消費を抑える、および設備をコンパクト化する等の観点から、嫌気性処理法と膜分離法とを組み合わせた嫌気性膜分離法(以下、嫌気性MBR法とも記す)が注目されている。
原水を直接嫌気性MBR法によってメタン発酵する方式は活性汚泥法などの好気処理プロセスに比べてメタンガスとして多くのエネルギーを回収できることがメリットであるが、低濃度の原水をMBRで処理するため大きな膜面積が必要となりコストが嵩むことが欠点であった。
【0006】
特許文献1に記載の排水処理システムは嫌気性MBR法の一例である。
図3に基づいて、特許文献1に記載の嫌気性MBR法について説明する。
排水処理システム1は、有機性排水から液分と固形分を分離する固液分離装置2と、固液分離装置2で分離された液分を嫌気性処理し、汚泥からろ過機構3を通過した処理水を得る第一嫌気性処理槽4と、固液分離装置2で分離された固形分を嫌気性処理する第二嫌気性処理槽5と、第二嫌気性処理槽5での汚泥を第一嫌気性処理槽4に供給する汚泥供給機構6と、を備える。
【0007】
特許文献2には、原水を固液分離した後に、液分を膜ろ過するとともに、固形分を嫌気性MBR法によって処理する方法が記載されている。
この処理方法は、好気性処理を不要とし、嫌気性処理槽の大型化を招かず、また、ろ過機構の性能の低下を招くことがないという効果を有する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特許第5867796号公報
【特許文献2】国際公開第2016/141369号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
特許文献1,2に記載の技術はいずれも溶存メタンを含む処理水がそのまま環境に排出されるため,温室効果の高いメタンガスが揮散する懸念があった。
【0010】
本発明は、下水や排水等の排水処理に要する動力を低減すると共に、メタン発酵の発酵効率を高め,かつ、温室効果ガスの環境排出を抑制することができる有機性排水の処理方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記課題を解決するための本発明は、以下に記載する通りのものである。
下記工程A~工程Fを含むことを特徴とする有機性排水の処理方法。
工程A:原水を固液分離装置によって固形分と、上澄水と、に分離する工程
工程B:前記工程Aで得られた前記固形分を膜分離メタン発酵装置にて嫌気性消化汚泥によって消化処理するとともに、前記嫌気性消化汚泥を膜分離装置で膜分離して膜透過水を得る工程
工程C:前記工程Aで得られた前記上澄水を好気的に生物処理して固形分と、溶存酸素を含有する好気処理水と、を得る工程
工程D:前記工程Cで得られた固形分を前記嫌気性消化汚泥と混合し、得られた混合物を汚泥濃縮器で濃縮する工程
工程E:前記工程Bで得られた前記膜透過水と、前記工程Cにおいて得られた溶存酸素を含有する前記好気処理水と、を混合して混合水を得る工程
工程F:前記工程Eで得られた前記混合水を生物処理することによって前記混合水に含まれる溶存メタンを好気的に分解する工程
【発明の効果】
【0012】
本発明の有機性排水の処理方法を用いることにより、下水や排水等の原水を低動力で処理し、かつ、メタン発酵の発酵効率を高めることができると共に,温室効果ガスの環境排出を抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1図1は本発明の有機性排水の処理方法の概要を説明する図である。
図2図2は嫌気性膜分離装置の構成を示す図である。
図3図3は従来の有機性排水の処理方法の概要を説明する図である。
【発明を実施するための形態】
【0014】
本発明の有機性排水の処理方法は下記の工程A~工程Fを基本的な構成として備えている。
工程A:原水を固液分離装置によって固形分と上澄水とに分離する工程
工程B:前記工程Aで得られた前記固形分を膜分離メタン発酵装置にて嫌気性消化汚泥によって消化処理するとともに、前記嫌気性消化汚泥を膜分離装置で膜分離して膜透過水を得る工程
工程C:前記工程Aで得られた前記上澄水を好気的に生物処理して固形分と、溶存酸素を含有する好気処理水と、を得る工程
工程D:前記工程Cで得られた固形分を前記嫌気性消化汚泥と混合し、得られた混合物を汚泥濃縮器で濃縮する工程
工程E:前記工程Bで得られた前記膜透過水と、前記工程Cにおいて得られた溶存酸素を含有する前記好気処理水と、を混合して混合水を得る工程
工程F:前記工程Eで得られた前記混合水を生物処理することによって前記混合水に含まれる溶存メタンを好気的に分解する工程
【0015】
以下、工程A~Fのそれぞれの工程について説明する。
[工程A]
工程Aは、下水や排水などの原水を固液分離装置によって、固形分と、上澄水と、に固液分離する工程である。
固液分離装置としては沈降分離槽、ろ過槽、膜ろ過装置、ストレーナ、スクリーンろ過装置など適宜のものが使用できるが、沈降分離によって固液分離する方式のものが簡便で好ましい。
【0016】
[工程B]
工程Bは、前記工程Aで得られた固形分を膜分離メタン発酵槽(嫌気性MBR槽)において嫌気性消化汚泥によって消化処理すると共に、前記嫌気性消化汚泥を膜分離装置で膜分離して膜透過水を得る工程である。
図2に基づいて工程Bを説明する。
工程Bでは、工程Aで固液分離装置2によって分離された固形分W1を膜分離メタン発酵装置9において嫌気性微生物を含む嫌気性消化汚泥によって生物処理を行うと共に、膜分離装置10を用いて嫌気性消化汚泥から膜透過流W3を得る。
膜分離メタン発酵装置9ではメタンガスが生成し、このメタンガスは適宜のメタン利用設備に送られる。
また、膜分離メタン発酵装置9からは嫌気性消化汚泥が抜き出されて、一部は返送汚泥W4として膜分離メタン発酵装置9に戻され、残部は余剰汚泥W5として系外に排出される。
工程Bでは、工程Aで固液分離装置2によって分離された固形分W1のみを膜分離メタン発酵装置9で処理するため、膜分離メタン発酵装置9での処理水量を低減することができる。このため、膜分離装置10の必要膜面積を小さくすることができ、かつ、汚泥濃度を高く保つことで発酵効率を高めることができる。
【0017】
図2に示した例では、分離膜を生物反応槽内に浸漬させた浸漬型膜分離メタン発酵装置を示した。
しかしながら、生物反応槽と分離膜槽とを分離して設け、生物反応槽で生物処理した嫌気性消化汚泥を分離膜槽で膜分離処理してもよい。
【0018】
[工程C]
工程Cは、前記工程Aで得られた前記上澄水を好気的に生物処理して固形分と、溶存酸素を含有する好気処理水と、を得る工程である。
好気的に生物処理を行う方法としては、上澄水中の溶存酸素濃度を高めることができる方法であれば制限なく使用することができる。具体的には、活性汚泥法,担体投入型活性汚泥法,膜分離活性汚泥法等の浮遊生物処理法,生物膜ろ過法,散水ろ床法、回転円板法等の固定床生物処理法が挙げることができる。
【0019】
<浮遊生物処理法>
-活性汚泥法-
活性汚泥法は、酸素を供給するための設備を有する曝気槽内で被処理水を生物処理する方法である。曝気槽の槽底部には散気管が設けられており、ここから空気を微細な気泡にして槽内に噴出させる。
曝気槽内の活性汚泥には好気性微生物が多く含まれており、この微生物の生物化学的酸化反応により汚濁物質を酸化分解し、分解物を後の沈降分離装置で沈殿させる。
【0020】
-担体投入型活性汚泥法-
担体投入型活性汚泥法は微生物の固定化を目的とした担体を曝気槽に投入して生物処理を行う方法であり、微生物を高濃度に保持することで、短時間で汚濁物質を酸化分解することができる。
【0021】
-膜分離活性汚泥法-
膜分離活性汚泥法は、曝気槽内に孔径0.1~0.4μmの精密ろ過膜や分画分子量1,000~100万程度の限外ろ過膜を設置して固液分離を行う活性汚泥法であり、汚泥を沈降させる必要が無いため、反応タンンクの活性汚泥濃度を高く設定でき、コンパクトなシステムでありながら高度な処理水を得ることができる。
【0022】
<固定床生物処理法>
-生物膜ろ過法-
懸濁性物質の捕捉と溶解性物質の分解機能を兼ねた浄化システムで、空隙率の少ないろ床とし、粒状または中空状の担体等をろ過材として利用することが多い。
【0023】
-散水ろ床法-
散水ろ床法は生物膜法の一種であり、池の中に砕石などのろ過材を高さ1.5~2m程度に充填し、間欠的または連続的に被処理水をろ過材表面に散布し、ろ過材表面に形成された生物膜と接触反応させる固定床による処理法である。
ろ過材としてはφ35~100mmの砕石または砂利を用いる。散水方式には固定式と可動式の2形式がある。可動式にはガーダ走行式と回転式とがある。
【0024】
-回転円板法-
回転円板法は、一本の回転軸に、合成樹脂製の円板を数センチ間隔で数百枚固定し、それを汚水などの入った水槽に円板のおおよそ半分近くが浸漬するように設置して回転させる。 円板表面に生長する微生物によって水質浄化を行う典型的な付着生物膜法汚水処理装置である。
【0025】
<固液分離装置>
活性汚泥法や担体投入型活性汚泥法においては、曝気槽での曝気処理によって得られた曝気処理水を固液分離装置で上澄水(好気処理水)と固形分(余剰汚泥)とに分離し、余剰汚泥の一部を曝気槽に返送汚泥として返送し残部を排出する。
【0026】
工程Cで得られた処理水は溶存酸素を含んだ好気処理水である。
このため、好気処理水は特に曝気を必要とすることなく後述する生物膜ろ過装置に供給することにより、好気的に生物膜処理されて溶存有機物が分解処理される。
【0027】
[工程D]
工程Dは前記工程Cで得られた固形分を前記工程Bで得られた嫌気性消化汚泥固形分と混合し、得られた混合物を汚泥濃縮器で濃縮する工程である。
【0028】
[工程E]
工程Eは、工程Bで得られた膜透過水を工程Cにおいて得られる溶存酸素を含有する好気処理水と混合する工程である。
工程Bにおいて得られた膜透過水はメタンを含有している。このメタンを含有する膜透過水をそのまま環境に放出すると膜透過水からメタンが揮散して大気中に放出される。
メタンは二酸化炭素よりもはるかに地球温暖化に及ぼす影響が大きな温室効果ガスであるため、膜透過水中のメタンを除去してから放出する必要がある。
工程Cにおける、例えば曝気処理後の曝気処理水又は生物膜ろ過装置のろ過処理水等の好気処理水は、溶存酸素を含んでいる。
この、好気処理水と膜透過水とを混合して、この混合水を次工程の工程Fにおいて、生物膜処理することにより、メタンの揮散し易い曝気を行なうことなく好気的に分解することが可能となる。
【0029】
[工程F]
工程Fは、前記工程Eで得られた混合水を生物処理することによって混合水に含まれる溶存メタンを好気的に分解する工程である。
-生物膜ろ過装置-
生物膜ろ過装置は、好気的な環境下で排水を通水すると好気性微生物が増殖し、ろ材表面に生物膜を形成させ、この生物膜によって排水中の有機物質を分解除去し、同時に懸濁物質もろ過機能によって除去する装置である。
通常の生物膜ろ過装置においてはろ過槽に空気を供給するが、このような曝気操作を行うと被処理水中に含まれる溶存メタンガスが環境中に揮散される懸念がある。
本発明においてはろ過槽に空気を供給する曝気操作は行わず、曝気槽から移送される好気処理水に含まれる溶存酸素を好気的な生物分解に利用するので、好気処理水中に含まれる溶存メタンガスが環境中に揮散されることがない。
【0030】
<実施形態1>
本発明の有機性排水の処理方法を図1に示した実施形態に基づいて説明する。
図1に示した実施形態を構成する工程の詳細に説明すると以下のとおりである。
工程a:原水を原水供給管1によって最初沈殿池(固液分離装置)2に供給する工程
工程b:最初沈殿池2で原水を上澄水と、固形分と、に分離する工程
工程c:工程bで得られた固形分を初沈汚泥移送管8によって嫌気性MBR槽9に移送する工程
工程d:嫌気性MBR槽9内の有機分を、嫌気性微生物を含む嫌気性消化汚泥によって生物処理を行って発酵ガスを発生させると共に、前記嫌気性消化汚泥を、膜分離装置10を用いて膜分離して膜透過流と濃縮流とを得る工程
工程e:工程dで得られた、発酵ガスを発酵ガス移送管11によって排出し、膜透過水を膜透過水移送管12によって好気処理水移送管7に移送し、嫌気性消化汚泥の一部を嫌気汚泥移送管13によって汚泥濃縮器16に移送する工程
工程f:汚泥濃縮器16で汚泥を濃縮して分離液を分離液移送管17によって排出し、濃縮汚泥を濃縮汚泥移送管18によって排出する工程
工程g:工程bで得られた上澄水を上澄水移送管3によって曝気槽4に移送する工程
工程h:曝気槽4で上澄水を好気処理する工程
工程i:曝気処理された曝気処理水を曝気処理水移送管5によって最終沈殿池(固液分離装置)6に移送する工程
工程j:最終沈殿池6において曝気処理水を上澄水である好気処理水と固形分(余剰汚泥)とに分離する工程
工程k:工程jで得られた好気処理水を好気処理水移送管7によって生物膜ろ過器19に移送すると共に、固形分(余剰汚泥)の一部を返送汚泥移送管15によって曝気槽4に返送し、残部を余剰汚泥移送管14によって工程Fにおける嫌気汚泥移送管13に移送する工程
工程l:生物膜ろ過器19で好気処理水中の有機物質を分解除去し、同時に懸濁物質をろ過除去する工程
【0031】
前記した実施形態1においては工程bにおいて得られた上澄水を曝気槽4に移送し、曝気槽4で好気的に生物処理することにより好気処理水を得た。
好気的に生物処理する方法としては、この曝気槽を用いる方法に代えて、散水ろ床法、生物膜ろ過法、回転円板法等を用いることもできる。
【0032】
本発明の態様は例えば以下のとおりである。
(1)下記工程A~工程Fを含むことを特徴とする有機性排水の処理方法。
工程A:原水を固液分離装置によって固形分と、上澄水と、に分離する工程
工程B:前記工程Aで得られた前記固形分を膜分離メタン発酵装置にて嫌気性消化汚泥によって消化処理するとともに、前記嫌気性消化汚泥を膜分離装置で膜分離して膜透過水を得る工程
工程C:前記工程Aで得られた前記上澄水を好気的に生物処理して固形分と、溶存酸素を含有する好気処理水と、を得る工程
工程D:前記工程Cで得られた固形分を前記嫌気性消化汚泥と混合し、得られた混合物を汚泥濃縮器で濃縮する工程
工程E:前記工程Bで得られた前記膜透過水と、前記工程Cにおいて得られた溶存酸素を含有する前記好気処理水と、を混合して混合水を得る工程
工程F:前記工程Eで得られた前記混合水を生物処理することによって前記混合水に含まれる溶存メタンを好気的に分解する工程
(2)前記工程Eにおける前記生物処理が生物膜ろ過処理であり、処理時に曝気を行うことなく、前記混合水に含まれる溶存酸素を利用して前記混合水を好気的に処理することを特徴とする上記(1)に記載の有機性排水の処理方法。
(3)原水を、固形分と、上澄水と、に分離する固液分離装置と、
前記固形分を嫌気性消化汚泥によって嫌気性処理すると共に、前記嫌気性消化汚泥を膜分離装置によって、膜透過流と、濃縮流と、に分離する膜分離メタン発酵装置と、
前記固液分離装置で得られた前記上澄水を好気的に生物処理して、固形分と、溶存酸素を含有する好気処理水とに分離する好気的生物処理装置と、
前記膜透過流と溶存酸素を含有する前記好気処理水との混合水に含まれる溶存メタンを処理時に曝気を行うことなく好気的に分解する生物処理装置と、
を有することを特徴とする有機性排水の処理装置。
【符号の説明】
【0033】
(図1、2について)
1 原水供給管
2 最初沈殿池、固液分離装置
3 上澄水移送管
4 曝気槽
5 曝気処理水移送管
6 最終沈殿池、固液分離装置
7 好気処理水移送管
8 初沈汚泥移送管
9 膜分離メタン発酵装置、嫌気性MBR槽
10 膜分離装置
11 発酵ガス移送管
12 膜透過水移送管
13 嫌気汚泥移送管
14 余剰汚泥移送管
15 返送汚泥移送管
16 汚泥濃縮器
17 分離液移送管
18 濃縮汚泥移送管
19 生物膜ろ過器
20 生物処理水移送管
W1 固形分
W2 上澄水
W3 膜透過流
W4 返送汚泥
W5 余剰汚泥
【0034】
(図3について)
1 排水処理システム
2 固液分離装置
3 ろ過機構
4 第一嫌気性処理槽
5 第二嫌気性処理槽
6 汚泥供給機構
7 膜分離装置
8 散気装置
9 加温機構
10 脱水装置
図1
図2
図3