(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112104
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】駆動バッテリ充電アドバイスシステム
(51)【国際特許分類】
B60L 58/12 20190101AFI20240813BHJP
B60L 50/60 20190101ALI20240813BHJP
B60L 53/14 20190101ALI20240813BHJP
H02J 7/00 20060101ALI20240813BHJP
G06Q 50/06 20240101ALI20240813BHJP
【FI】
B60L58/12
B60L50/60
B60L53/14
H02J7/00 P
H02J7/00 X
G06Q50/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】7
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016973
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100102141
【弁理士】
【氏名又は名称】的場 基憲
(74)【代理人】
【識別番号】100137316
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 宏
(72)【発明者】
【氏名】手塚 淳
【テーマコード(参考)】
5G503
5H125
5L049
5L050
【Fターム(参考)】
5G503AA07
5G503BA01
5G503BB01
5G503CA01
5G503CA08
5G503CA11
5G503EA05
5G503FA06
5G503GB06
5H125AA01
5H125AC12
5H125AC24
5H125BC05
5H125BC08
5H125BC21
5H125CC04
5H125CD02
5H125CD10
5H125DD02
5H125EE27
5H125EE41
5H125EE51
5H125EE61
5L049CC06
5L050CC06
(57)【要約】 (修正有)
【課題】車両以外の情報を加味しエネルギーを効率よく利用可能にする駆動バッテリ充電アドバイスシステムを提供する。
【解決手段】駆動バッテリ充電アドバイスシステムは、駆動バッテリ充電率の変動推移を予測する予測手段と、通信手段とを備え、予測手段が車両が帰宅途中であると判断したとき、ユーザに充電コネクタの接続タイミングの通知を行う。通信手段を介して取得したユーザスケジュール情報と、データベースに記憶された車両使用履歴情報とから、所定期間中の帰宅予定時刻及び駆動バッテリ充電率の変動推移を予測し、通信手段を介して取得した、気象情報、据置バッテリ充電率変動情報及び時間帯別電力単価情報から選ばれた1つ以上の車外情報と、予測した駆動バッテリ充電率の変動推移とから、駆動バッテリ充電率に基づく接続推奨時刻候補を設定し、帰宅予定時刻が接続推奨時刻であるとき、ユーザに充電コネクタの接続タイミングの通知を行う。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動バッテリ充電率の変動推移を予測する予測手段と、通信手段と、を備え、
ユーザに充電コネクタの接続タイミングを通知する駆動充電アドバイスシステムであって、
上記予測手段は、車両が帰宅途中であると判断したとき、
上記通信手段を介して取得したユーザスケジュール情報と、データベースに記憶された車両使用履歴情報とから、所定期間中のすべての帰宅予定時刻及び駆動バッテリ充電率の変動推移を予測し、
予測した駆動バッテリ充電率が所定値以下になる時刻の1つ前の帰宅予定時刻を駆動バッテリ充電率に基づく接続推奨時刻候補に設定し、
さらに、上記通信手段を介して取得した、気象情報、据置バッテリ充電率変動情報及び時間帯別電力単価情報から選ばれた1つ以上の車外情報と、上記予測した駆動バッテリ充電率の変動推移とから、上記車外情報に基づく接続推奨時刻候補を設定し、
上記駆動バッテリ充電率に基づく接続推奨時刻候補の時刻と上記車外情報に基づく接続推奨時刻候補の時刻のいずれか早い方を接続推奨時刻として設定し、
現在の走行中の帰宅予定時刻が、上記設定した接続推奨時刻であるとき、
ユーザに充電コネクタの接続を促すことを特徴とする駆動バッテリ充電アドバイスシステム。
【請求項2】
上記車外情報が、気象情報であり、
上記予測手段は、
上記駆動バッテリ充電率に基づく接続推奨時刻候補の時刻の天候が、雨及び/又は雪であるとき、
上記帰宅予定時刻の中から、上記駆動バッテリ充電率に基づく接続推奨時刻候補の時刻よりも前の、雨及び/又は雪でない帰宅予定時刻まで遡って接続推奨時刻候補に設定することを特徴とする請求項1に記載の駆動バッテリ充電アドバイスシステム。
【請求項3】
上記車外情報が、気象情報であり、
上記気象情報が、上記所定期間中に停電が発生する虞のある荒天情報を含むとき、
上記予測手段は、
上記帰宅予定時刻の中から、荒天となる初日の1つ前の帰宅予定時刻を接続推奨時刻候補に設定することを特徴とする請求項1に記載の駆動バッテリ充電アドバイスシステム。
【請求項4】
充電コネクタが接続されているとき、
上記予測手段が、上記気象情報から得た荒天情報の荒天となる時刻の直前に駆動バッテリ充電率が100%になるよう、充電制御手段に対して充電開始の予約を行うことを特徴とする請求項3に記載の駆動バッテリ充電アドバイスシステム。
【請求項5】
上記予測手段は、
上記気象情報から得た荒天期間を経過し、かつ駆動バッテリ充電率が所定値以上であるとき、
充電コネクタの接続状態継続を推奨することを特徴とする請求項4に記載の駆動バッテリ充電アドバイスシステム。
【請求項6】
上記車外情報が、気象情報及び家庭での消費電力情報であり、
上記予測手段は、
上記所定期間中の、上記気象情報から据置バッテリに接続された自然エネルギー発電装置の発電量推移を予測し、上記家庭での消費電力情報から消費電力の推移を予測して、
さらに、上記発電量推移と消費電力の推移とから据置バッテリ充電率推移を予測し、据置バッテリ充電率が100%に達すると予測したとき、
上記帰宅予定時刻の中から、予測した据置バッテリ充電率が100%に達する時刻の1つ前の帰宅予定時刻を上記車外情報に基づく接続推奨時刻候補に設定することを特徴とする請求項1に記載の駆動バッテリ充電アドバイスシステム。
【請求項7】
上記車外情報が、時間帯別電力単価情報であり、
上記予測手段が、上記ユーザスケジュール情報及びデータベースに記憶された駆動使用履歴情報から予測した次の走行開始時刻を予測し、
今回の帰宅予定時刻から次の走行開始時刻までの間に、上記時間帯別電力単価情報から得た電力単価が安価な時間帯が含まれ、かつ、駆動バッテリ充電率が設定された所定値以下であるとき、
今回の帰宅予定時刻を上記車外情報に基づく接続推奨時刻候補に設定することを特徴とする請求項1に記載の駆動バッテリ充電アドバイスシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、駆動バッテリ充電アドバイスシステムに係り、更に詳細には、駆動バッテリを車両の駆動用以外の用途にも用いることを加味して充電コネクタの接続タイミングを通知する駆動バッテリ充電アドバイスシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、車両の次回の使用計画に基づいて充電コネクタの接続タイミングを通知する通知システムが開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載のものにあっては、駆動バッテリの充電率が、次回の走行に必要な充電率を下回ったときに、現在の走行中に充電を促すのみであり、駆動バッテリを車両の駆動用以外の用途にも用いることを加味していない。
【0005】
したがって、家庭に設置された太陽光などによる自然エネルギー発電装置や据置型のバッテリと協調し、効率よくエネルギー利用をすることが困難である。
【0006】
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、車両以外の情報を加味しエネルギーを効率よく利用可能にする駆動バッテリ充電アドバイスシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明者は、上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、車両使用計画などの車両情報だけでなく、気象情報などの車外情報をも加味して充電コネクタの接続タイミングを通知することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0008】
即ち、本発明の駆動バッテリ充電アドバイスシステムは、駆動バッテリ充電率の変動推移を予測する予測手段と、通信手段と、を備え、ユーザに充電コネクタの接続タイミングの通知を行う。
そして、上記予測手段は、車両が帰宅途中であると判断したとき、
上記通信手段を介して取得したユーザスケジュール情報と、データベースに記憶された車両使用履歴情報とから、所定期間中のすべての帰宅予定時刻及び駆動バッテリ充電率の変動推移を予測し、
予測した駆動バッテリ充電率が所定値以下になる時刻の1つ前の帰宅予定時刻を駆動バッテリ充電率に基づく接続推奨時刻候補に設定し、
さらに、上記通信手段を介して取得した、気象情報、据置バッテリ充電率変動情報及び時間帯別電力単価情報から選ばれた1つ以上の車外情報と、上記予測した駆動バッテリ充電率の変動推移とから、上記車外情報に基づく接続推奨時刻候補を設定し、
上記駆動バッテリ充電率に基づく接続推奨時刻候補の時刻と上記車外情報に基づく接続推奨時刻候補の時刻のいずれか早い方を接続推奨時刻として設定し、
現在の走行中の帰宅予定時刻が、上記設定した接続推奨時刻であるとき、
ユーザに充電コネクタの接続を促すことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
本発明によれば、車両使用計画などの車両情報だけでなく、気象情報などの車外情報をも加味して充電コネクタのタイミングを通知することとしたため、エネルギーを効率よく利用可能にする駆動バッテリ充電アドバイスシステムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【
図1】本発明の駆動バッテリ充電アドバイスシステムを搭載するシステム構成図である。
【
図2】本発明の駆動バッテリ充電アドバイスシステムの基本チャート図である。
【
図3】充電コネクタの接続推奨時刻候補を設定する方法を説明する図である。
【
図4】雨天での充電を避ける車外情報に基づく接続推奨時刻を設定するチャート図である。
【
図5】駆動バッテリを非常用電源として利用するときの車外情報に基づく接続推奨時刻を設定するチャート図である。
【
図6】駆動バッテリを非常用電源として利用するときの帰宅後の予測手段の処理を示すチャート図である。
【
図7】自宅に自然エネルギー発電装置及び据置バッテリがあるときに車外情報に基づく接続推奨時刻を設定するチャート図である。
【
図8】自宅に自然エネルギー発電装置及び据置バッテリがあるときに帰宅後の予測手段の処理を示すチャート図である。
【
図9】電力会社と契約している電力料金が時間帯によって異なるときに車外情報に基づく接続推奨時刻を設定するチャート図である。
【
図10】電力会社と契約している電力料金が時間帯によって異なるときに帰宅後の予測手段の処理を示すチャート図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
本発明の駆動バッテリ充電アドバイスシステムについて詳細に説明する。
本発明の駆動バッテリ充電アドバイスシステムは、駆動バッテリ充電率の変動推移を予測する予測手段と、通信手段と、を備える。
そして、上記予測手段は、バッテリ充電率の変動推移だけでなく、上記通信手段を介して取得した、インターネット上やクラウド上の車外情報をも加味して充電コネクタのタイミングを通知する。
【0012】
上記予測手段の処理について説明する。
上記予測手段は、
図1に示す、テレマティクスコントロールユニットの一部であり、このテレマティクスコントロールユニットは、無線通信によりインターネットやクラウドに接続して情報のやり取りを行う。
【0013】
また、上記予測手段は、ドライバの操作に応じてモータジェネレータの目標動作の決定を行うパワートレインコントローラを介して得た、車両の走行中に消費したエネルギー量をなど含む様々な車両使用履歴情報を、日々データベースに記録する。
【0014】
上記データベースには、車両が消費したエネルギー、すなわち、走行エネルギー、キャビン空調エネルギー及びバッテリ温調エネルギーが、日付、曜日、時間、外気温、天気及び走行距離と関連付けられた車両使用履歴情報として記録される。
【0015】
これらの車両使用履歴情報の記録先は、車両に備える記憶装置であっても、上記通信手段を介して接続するクラウド上の記憶領域であってもよい。
【0016】
上記予測手段は、
図2に示すように、現在車両が帰宅途中であると判断したときは、駆動バッテリの充電率が今後どのように変動するのか、その推移を予測するのに加えて、所定期間中のすべての車両の帰宅予定時刻を予測する。上記「所定期間」は、駆動バッテリの充電率が、予め設定された所定値以下になるまでの期間をいう。
【0017】
<駆動バッテリ充電率に基づく接続推奨時刻の予測・設定>
駆動バッテリ充電率の変動推移の予測は、ユーザの予定及び上記データベースに記録されている、車両使用履歴情報中の車両利用パターン、走行エネルギー、キャビン空調エネルギー及びバッテリ温調エネルギーに関する情報を用いて行う。
【0018】
先ず、
図3に示すように、所定期間中のすべての日の走行エネルギー及び帰宅予定時刻を予測する。
走行エネルギーを予測は、上記通信手段を介してクラウド上にあるスケジュールを参照してユーザの走行予定を取得して行う。
【0019】
走行予定が登録されていない場合は、データベースの車両使用履歴情報中に記録された習慣的な行動パターンで車両を利用するものとし、走行予定が登録されている場合は、特別行動パターンとして、その走行に必要なエネルギーを予測すると共にすべての帰宅予定時刻を予測する。
【0020】
習慣的な行動パターンの日の場合は、データベースに記録されている、1日当たりの平均的な走行エネルギーを走行エネルギーとする。平均的な走行エネルギーは機械学習の時系列分析などにより得ることができる。
【0021】
特別行動パターンの日の場合は、ナビゲーションシステムから走行ルート上の勾配及び平均車速を入手し、予め登録してある車重を用いてルート走行に必要なエネルギーを物理計算して走行エネルギーとする。
【0022】
なお、過去に同じルートを走行した場合は、データベースを参照してそのときに消費したエネルギーを走行エネルギーとしてもよい。
【0023】
次に、キャビン空調エネルギー及びバッテリ温調エネルギーを予測する。
これらのエネルギー予測は、上記通信手段を介して得た、インターネット上の気象情報から、走行時に予想される外気温に応じた、それぞれの単位時間当たりに必要なエネルギーを求め、その値に上記パターンでの走行に要する予想時間を乗じることでその日の走行中に消費するエネルギー算出して行う。
【0024】
キャビン空調及びバッテリ温調に必要な、上記単位時間当たりのエネルギーは、予め、外気温に対する、単位時間当たりに必要となる平均的なエネルギーを、データベースに記録しておいてもよく、また、過去の走行時に取得した外気温と、キャビン空調エネルギー及びバッテリ温調エネルギーのデータを用いて、外気温に対するキャビン空調エネルギー及びバッテ温調エネルギーの関係を定量化したものであってもよい。
【0025】
そして、上記習慣的な行動パターンの日の走行エネルギー又は特別行動パターンの日の走行エネルギーと、キャビン空調エネルギーと、バッテリ温調エネルギーとを合計して、1日に消費する全体のエネルギーを算出し、現時点での駆動バッテリの充電率を起点とし、1日に消費エネルギーを供給することで減少する駆動バッテリ充電率が所定値以下になるまで、1日ごとに変動推移を繰り返し予測する。
【0026】
この駆動バッテリ充電率の変動推移に基づき、
図3に示すように、駆動バッテリ充電率が所定量以下となる時刻を予測し、上記クラウド上のスケジュールから得た帰宅予定時刻や、習慣的な行動パターンから予測したすべての帰宅予定時刻の中から、バッテリ充電率が所定値以下となる時刻に余裕を持たせた所定日数前の帰宅予定時刻を、駆動バッテリ充電率に基づく接続推奨時刻候補として設定する。
【0027】
<車外情報に基づく接続推奨時刻の予測・設定>
次に、車外情報に基づく接続推奨時刻候補の設定について説明する。
上記車外情報としては、気象情報、据置バッテリ充電率変動情報及び時間帯別電力単価情報などを挙げることができる。
【0028】
上記予測手段は、雨や雪が降る中での充電作業を避けられるように気象情報を加味して充電タイミングを通知する。
【0029】
具体的には、
図4に示すように、上記通信手段を介して所定期間中の気象情報を取得し、上記駆動バッテリ充電率に基づく接続推奨時刻候補の時刻の自宅周辺の天候が雨及び/又は雪であるとき、上記予測したすべての帰宅予定時刻の中から、上記駆動バッテリ充電率に基づく接続推奨時刻候補の時刻よりも前の、雨や雪でない帰宅予定時刻まで遡って接続推奨時刻候補に設定する。これにより、雨や雪が降る中での充電作業を避けることが可能になる。
【0030】
また、上記予測手段は、駆動バッテリを非常用電源として使用することを加味して充電タイミングを通知することもできる。
【0031】
この通知を行う予測手段は、
図5に示すように、上記通信手段を介して所定期間中の気象情報を取得し、上記所定期間中に停電が発生する虞のある荒天情報を含むとき、
図3に示すように、上記予測したすべての帰宅予定時刻の中から、荒天となる初日の1つ前の帰宅予定時刻を接続推奨時刻候補に設定する。
【0032】
これにより、荒天により停電が発生する前に駆動バッテリを充電することができ、駆動バッテリの電力を外部に供給して非常用電源としての利用が可能になる。なお、帰宅後や荒天が過ぎた後の処理については後述する。
【0033】
また、自宅に太陽光発電装置や風力発電装置などの自然エネルギー発電装置に接続された据置バッテリがある場合には、上記予測手段は、据置バッテリと協働した自然エネルギーの利用効率の向上を加味した充電タイミングを通知することもできる。
【0034】
この通知を行う予測手段は、
図7に示すように、上記通信手段を介して、所定期間中の気象情報から自然エネルギー発電装置による発電量の推移を予測し、さらに、クラウド上に記憶されている家庭での消費電力変動情報から、所定期間中の家庭での消費電力の推移を予測する。
そして、発電装置による発電量の推移と消費電力の推移とから、据置バッテリの充電率の推移を予測する。
【0035】
上記発電量の推移は、クラウド上に記憶されている発電装置の発電容量と、上記気象情報とから予測することができる。
【0036】
また、家庭で消費する消費電力の推移は、クラウド上に記憶されている、外気温、天気、関連付けて記憶されている消費電力のデータベースを参照し、機械学習の時系列分析などにより予測することができる。
【0037】
このようにして予測した、発電量の推移と家庭での消費電力量の推移とから、1日ごとの据置バッテリの充電率の増減を積算して据置バッテリの充電率の変動推移を予測する。
【0038】
そして、据置バッテリ充電率が100%に達すると予測したときは、その時の駆動バッテリの充電率が所定値以下、例えば70%以下であり、駆動バッテリに充電可能である場合は、予測した据置バッテリ充電率が100%に達する時刻の1つ前の帰宅予定時刻を上記車外情報に基づく接続推奨時刻候補に設定する。
【0039】
これにより、自然エネルギー発電装置により発電した余剰な電力を駆動バッテリに充電することができ、自然エネルギー発電の効率的な利用が可能になる。なお、帰宅後の処理については後述する。
【0040】
さらに、上記予測手段は、電力会社と契約している電力料金が時間帯によって異なる場合、充電コストを加味した充電タイミングを通知することもできる。
【0041】
この通知を行う予測手段は、
図9に示すように、上記通信手段を介して、ユーザが契約している時間帯別電力単価情報を取得する。
【0042】
また、上記予測手段は、上記駆動バッテリ充電率の変動推移の予測で用いたユーザの予定及びデータベースに記録されている情報とから、ユーザが車両を使用する次回の走行開始時刻を予測する。
【0043】
そして、今回の帰宅予定時刻から次回の走行開始時刻までの間に電力単価が安価な時間帯が含まれ、かつ駆動バッテリ充電率が所定値以下、例えば70%以下であり、駆動バッテリに充電可能である場合は、今回の帰宅予定時刻を上記車外情報に基づく接続推奨時刻候補に設定する。
【0044】
これにより、安価な電力を利用して駆動バッテリに充電することができ、買電価格を抑えた効率的な利用が可能になる。なお、帰宅後の処理については後述する。
【0045】
<充電コネクタの接続推奨の通知>
そして、
図2に示すように、上記駆動バッテリ充電率に基づく接続推奨時刻候補の時刻と、上記車外情報に基づく接続推奨時刻候補の時刻のいずれか早い方を接続推奨時刻として設定し、現在走行中の帰宅予定時刻が、上記設定した接続推奨時刻あるとき、車両画面やスマートフォンを介してユーザに充電コネクタの接続を促す。
【0046】
これにより、例えば、雨天時に充電する必要がなくなって利便性が向上すると共に、駆動バッテリのエネルギーを車両の走行以外の用途、例えば、停電時の非常用電源として使用可能になり、また、家庭でのクリーンエネルギーマネジメントを最適化することも使用可能になる。
【0047】
<帰宅後の処理>
次に、車外情報に基いて充電コネクタの接続推奨を通知した後の予測手段の処理について説明する。
【0048】
先ず、予測手段は、外部からの電力や駆動バッテリの電力を適切な電圧・電流に整流する充電制御手段(オンボードチャージャー)を介して充電コネクタが接続されているか否かを確認する。
【0049】
充電コネクタが接続されていない場合は、車両画面やスマートフォンを介してユーザに充電コネクタの接続を促す。この処理は、上記接続推奨の通知に共通して行う。
【0050】
次に、駆動バッテリを非常用電源として利用する場合について説明する。
上記予測手段は、
図6に示すように、充電コネクタが接続されたときは、上記気象情報から得た荒天情報の荒天となる時刻の直前に駆動バッテリ充電率が100%になるよう、充電制御手段に対して充電開始の予約を行う。
【0051】
これにより、駆動バッテリへの充電が行われ、停電時に駆動バッテリを非常用電源として利用可能になる。
【0052】
そして、上記気象情報から得た荒天の期間を経過し、停電の虞がなくなったとき、予め設定した設定期間、例えば、1週間後の駆動バッテリへの充電の値が、上記駆動バッテリ充電率の変動推移の予測と同様にして予測した駆動バッテリ充電率が、所定値、例えば80%を超えるときは、ユーザに充電コネクタの接続の継続を促す。
【0053】
また、充電制御手段に対しては、駆動バッテリへの充電の値が上記所定値以下になるまで、駆動バッテリから外部に電力を供給するよう指令を行う。
【0054】
これにより、駆動バッテリの満充電状態が長期間継続されることが防止され、駆動バッテリの寿命低下を防止することができる。
【0055】
次に、自然エネルギーの利用効率を向上させる場合について説明する。
上記予測手段は、
図8に示すように、充電コネクタが接続されたときは、上記車外情報に基づく接続推奨時刻の予測で予測した据置バッテリの充電率が100%になる時刻が、上記駆動バッテリ充電率に基づく接続推奨時刻の予測で予測した次回の走行開始時刻よりも先であるが後であるかを判断する。
【0056】
次回の走行開始時刻が先であるときは、充電制御手段に対して、据置バッテリの電力を駆動バッテリに移動する指令を行い、据置バッテリの充電率を所定値、例えば80%以下にする。
【0057】
これにより、直ちに据置バッテリに充電できるようになり、自然エネルギーで発電した電力の利用効率を向上させることができる。
【0058】
また、据置バッテリの充電率が100%になる時刻が先であるときは、充電制御手段に対して、据置バッテリの充電率が100%になった後に、自然エネルギーにより発電した電力を駆動バッテリに充電する指令を行う。
【0059】
これにより、据置バッテリと駆動バッテリの両方の充電率が100%になるので、自然エネルギーで発電した電力を最大限利用可能である。
【0060】
次に、安価な電力を利用する場合について説明する。
上記予測手段は、
図10に示すように、充電コネクタが接続されたときは、上記車外情報に基づく接続推奨時刻の予測で取得した時間帯別電力単価情報に基いて、充電制御手段に対して、電力単価が安価な時間帯は、電力会社からの電力を駆動バッテリに充電し、電力単価が高価な時間帯は、駆動バッテリの電力を外部に供給する予約を設定する。
【0061】
これにより、車両の走行に使用する電力だけでなく、家庭で使用する電力についても安価な電力を利用することが可能になる。
【0062】
上記のように、本発明によれば、気象情報などの車外情報をも加味して充電コネクタのタイミングを通知することとしたため、電気自動車(EV)やプラグインハイブリット車など、駆動エネルギーにバッテリの電力を利用する車両を用いた効率のよい電力エネルギーの利用が可能である。
【符号の説明】
【0063】
1 パワートレインコントローラ
2 モータコントローラ
3 バッテリコントローラ
4 バッテリ
5 インバータ
6 モータジェネレータ
7 オンボードチャージャー(充電制御手段)
8 テレマティクス コントロール ユニット(予測手段・通信手段)