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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112109
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ガス製造システム
(51)【国際特許分類】
   B01D 53/22 20060101AFI20240813BHJP
   C10K 3/04 20060101ALI20240813BHJP
   C01B 3/12 20060101ALI20240813BHJP
   C01B 3/56 20060101ALI20240813BHJP
   B01D 63/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B01D53/22
C10K3/04
C01B3/12
C01B3/56 Z
B01D63/00
【審査請求】有
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016979
(22)【出願日】2023-02-07
(11)【特許番号】
(45)【特許公報発行日】2024-05-07
(71)【出願人】
【識別番号】000137889
【氏名又は名称】株式会社ミヤワキ
(74)【代理人】
【識別番号】100115381
【弁理士】
【氏名又は名称】小谷 昌崇
(74)【代理人】
【識別番号】100176304
【弁理士】
【氏名又は名称】福成 勉
(72)【発明者】
【氏名】吉川 成雄
【テーマコード(参考)】
4D006
4G140
4H060
【Fターム(参考)】
4D006GA41
4D006JA65Z
4D006KA01
4D006KA15
4D006KB30
4D006KE07R
4D006KE16R
4D006MB03
4D006MB04
4D006PA01
4D006PB20
4D006PB64
4D006PB66
4D006PC80
4G140FA02
4G140FB04
4G140FC01
4G140FE01
4H060AA02
4H060BB12
4H060GG01
(57)【要約】
【課題】CO分子ゲート膜を用いたCOとHとの分離を、より高精度かつ高効率に行うことが可能なガス製造システムを提供する。
【解決手段】ガス製造システム1は、ガス化炉2と、水性ガスシフト反応炉3と、減圧弁4と、CO選択透過膜モジュール5と、を備える。ガス化炉2は、石炭およびOの供給を受けてCOを生成する。水性ガスシフト反応炉3は、ガス化炉2で生成されたCOと、蒸気との供給を受け入れ、CO/H混合ガスを生成する。減圧弁4は、水性ガスシフト反応炉3で生成されたCO/H混合ガスを冷却する。CO選択透過膜モジュール5は、CO分子ゲート膜を有するとともに、減圧弁4で冷却されたCO/H混合ガスを受け入れ、COとHとを分離する。減圧弁4は、CO/H混合ガスの温度が85℃を範囲内に含む所定範囲内となるようにCO/H混合ガスを減圧する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
COと蒸気とを受け入れ、CO/H混合ガスを生成するCO/H混合ガス生成モジュールと、
前記CO/H混合ガス生成モジュールで生成された前記CO/H混合ガスを冷却する混合ガス冷却モジュールと、
CO分子ゲート膜を有するとともに、前記混合ガス冷却モジュールで冷却された前記CO/H混合ガスを受け入れ、当該CO/H混合ガスからCOとHとを分離するCO選択透過膜モジュールと、
を備え、
前記混合ガス冷却モジュールは、前記CO/H混合ガスの温度が85℃を範囲内に含む所定範囲内となるように当該CO/H混合ガスを減圧する減圧弁である、
ガス製造システム。
【請求項2】
前記混合ガス冷却モジュールには、200℃~400℃の温度、2MPa~4MPaの圧力で前記CO/H混合ガスが導入される、
請求項1に記載のガス製造システム。
【請求項3】
前記CO/H混合ガス生成モジュールは、水性ガスシフト反応により前記CO/H混合ガスを生成する水性ガスシフト反応炉であり、
前記混合ガス冷却モジュールは、前記CO/H混合ガスの圧力を0.33MPaまたは0.53MPaまで減圧する、
請求項1または請求項2に記載のガス製造システム。
【請求項4】
前記減圧弁は、外部圧力検出方式の減圧弁である、
請求項1または請求項2に記載のガス製造システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ガス製造システムに関する。
【背景技術】
【0002】
近年では、環境負荷の低減を図るため、水素ガスを用いた発電の開発が進められている非特許文献1には、発電等の燃料として用いる水素ガスを製造するためのシステムが開示されている。非特許文献1で紹介されているガス製造システムについて、図4を用いて説明する。
【0003】
図4に示すように、ガス製造システム91は、ガス化炉92と、水性ガスシフト反応炉93と、熱交換器94と、CO選択透過膜モジュール95と、を備える。ガス化炉92には、石炭とOが導入され、内部でCOが生成される。水性ガスシフト反応炉93には、ガス化炉92で生成されたCOと、蒸気が導入され、内部でCOとHとの混合ガスが生成される。なお、水性ガスシフト反応炉93内で生成された混合ガスは、温度が200℃~400℃、圧力が2~4MPaである。
【0004】
水性ガスシフト反応炉92で生成された混合ガスは、熱交換器94で所定の温度範囲まで冷却され、CO選択透過膜モジュール95へと供給される。CO選択透過膜モジュール95では、COだけが内部のCO分子ゲート膜を透過し、これによりCOとHとが分離される。なお、温度が200℃~400℃の混合ガスをCO選択透過膜モジュール95へ導入した場合には、精度および効率の両方が低くなってしまう。このため、CO選択透過膜モジュール95内で高精度かつ高効率にCOとHとを分離するため、従来技術に係るガス製造システム91では、CO選択透過膜モジュール95へ導入する前の混合ガスを熱交換器94で冷却している。
【0005】
上記のように分離されたHは、発電等の燃料として活用され、COは、地下深くに貯留される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】公益財団法人地球環境産業技術研究機構 化学研究グループ、次世代火力発電の早期実現に向けた協議会(第2回会合)資料2-3、「CO2分離・回収技術(固体吸収材、分離膜)の開発動向」P.16、2015年6月22日
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、上記のようなガス製造システムにおいては、さらなる高精度かつ効率的なCO分離が求められている。具体的には、高精度かつ効率的なCO分離を行うためには、85℃前後の混合ガスをCO選択透過膜モジュール95に導入することが要求されるが、従来技術に係るガス製造システム91のように熱交換器94で混合ガスの冷却を行う場合には大きな温度バラツキが生じてしまう。
【0008】
図5(a)に示す向流方式の熱交換器94でも、図5(b)に示す並流方式の熱交換器94でも、熱交換器94内での混合ガスの温度はT1~T2の範囲でバラツキが生じてしまう(特性線L91,L92)。このため、熱交換器94を用いて混合ガスの冷却を行う従来技術に係るガス製造システム91では、50℃~150℃の範囲でバラツキを有する混合ガスがCO選択透過膜モジュール95に導入されてしまう。よって、ガス製造システムには、さらなる高精度で効率的なCO分離が求められる。
【0009】
本発明は、上記のような問題の解決を図ろうとなされたものであって、CO分子ゲート膜を用いたCOとHとの分離を、より高精度かつ高効率に行うことが可能なガス製造システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明の一態様に係るガス製造システムは、CO/H混合ガス生成モジュールと、混合ガス冷却モジュールと、CO選択透過膜モジュールと、を備える。前記CO/H混合ガス生成モジュールは、COと蒸気とを受け入れ、CO/H混合ガスを生成する。前記混合ガス冷却モジュールは、前記CO/H混合ガス生成モジュールで生成された前記CO/H混合ガスを冷却する。前記CO選択透過膜モジュールは、CO分子ゲート膜を有するとともに、前記混合ガス冷却モジュールで冷却された前記CO/H混合ガスを受け入れ、当該CO/H混合ガスからCOとHとを分離する。
【0011】
本態様に係るガス製造システムにおいて、前記混合ガス冷却モジュールは、前記CO/H混合ガスの温度が85℃を含む所定範囲内となるように当該CO/H混合ガスを減圧する減圧弁である。
【0012】
上記態様に係るガス製造システムでは、CO選択透過膜モジュールに導入する前のCO/H混合ガスを減圧弁で減圧して当該CO/H混合ガスの温度を所定範囲(85℃を含む温度範囲)に調整する。ここで、減圧弁においてCO/H混合ガスを減圧することによって、当該CO/H混合ガスの温度についても蒸気表に略合致あるいは近似する関係で冷却することができる。
【0013】
また、減圧弁で上記の関係を基に冷却されたCO/H混合ガスは、一様な温度範囲でCO選択透過膜モジュールへと送られる。
【0014】
よって、上記態様に係るガス製造システムでは、CO分子ゲート膜を用いたCOとHとの分離を、より高精度かつ高効率に行うことが可能である。
【0015】
上記態様に係るガス製造システムにおいて、前記混合ガス冷却モジュールには、200℃~400℃の温度、2MPa~4MPaの圧力で前記CO/H混合ガスが導入される、としてもよい。
【0016】
上記態様に係るガス製造システムでは、200℃~400℃の温度、2MPa~4MPaの圧力のCO/H混合ガスが混合ガス冷却モジュールに対して導入されるが、上記のように混合ガス冷却モジュールで高精度に冷却されるので、CO選択透過膜モジュールで高精度かつ高効率にCOとHとを分離可能である。
【0017】
上記態様に係るガス製造システムにおいて、前記CO/H混合ガス生成モジュールは、水性ガスシフト反応により前記CO/H混合ガスを生成する水性ガスシフト反応炉であり、前記混合ガス冷却モジュールは、前記CO/H混合ガスの圧力を0.33MPaまたは0.53MPaまで減圧する、としてもよい。
【0018】
本態様に係るガス製造システムで採用するCO選択透過膜モジュールはCO分子ゲート膜を用いるものであって、COとHとの分離を高精度かつ高効率に行うために目標とされる透過速度(パーミアンス)と分離係数が設定されている。この目標を達成するためには、水性ガスシフト反応炉(CO/H混合ガス生成モジュール)で生成されたCO/H混合ガスを、上記のように混合ガス冷却モジュール(減圧弁)でCO/H混合ガスの圧力を0.33MPaまたは0.53MPaまで減圧することが優位である。
【0019】
上記態様に係るガス製造システムにおいて、前記減圧弁は、外部圧力検出方式の減圧弁である、としてもよい。
【0020】
上記態様に係るガス製造システムでは、外部圧力検出方式の減圧弁を混合ガス冷却モジュールとして用いるので、CO/H混合ガスの温度を高精度に上記所定範囲とすることができる。即ち、外部圧力方式の減圧弁は、内部圧力検出方式(直動方式)の減圧弁に比べて高精度にガスの圧力を減圧することができ、CO/H混合ガスの温度を高精度に上記所定範囲とするのに優位である。
【発明の効果】
【0021】
上記の各態様に係るガス製造システムでは、CO分子ゲート膜を用いたCOとHとの分離を、より高精度かつ高効率に行うことが可能である。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】実施形態に係るガス製造システムの構成を示す模式図である。
図2】CO選択透過膜モジュールに導入される混合ガスのCO分圧と透過速度との関係を示す特性図である。
図3】CO選択透過膜モジュールに導入される混合ガスのCO分圧と分離係数との関係を示す特性図である。
図4】従来技術に係るガス製造システムの構成を示す模式図である。
図5】(a)は、向流方式の熱交換器内における2流体間の温度差を示す特性図であり、(b)は、並流方式の熱交換器内における2流体間の温度差を示す特性図である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下では、本発明の実施形態について、図面を参酌しながら説明する。なお、以下で説明の形態は、本発明の一例を示すものであって、本発明は、その本質的な構成を除き何ら以下の形態に限定を受けるものではない。
【0024】
[実施形態]
実施形態に係るガス製造システム1は、発電等の燃料として用いる水素ガス(H)を製造するためのシステムである。また、ガス製造システム1でHを製造する際に二酸化炭素(CO)も製造されるが、このCOは地下深くに貯留される。
【0025】
1.ガス製造システム1の構成
実施形態に係るガス製造システム1の構成について、図1を用いて説明する。
【0026】
図1に示すように、ガス製造システム1は、ガス化炉2と、水性ガスシフト反応炉3と、減圧弁4と、CO選択透過膜モジュール5と、を備える。ガス化炉2は、COを生成するCO生成モジュールとして備えられ、石炭とOが導入されることにより内部でCOを生成する。
【0027】
水性ガスシフト反応炉3は、CO/H混合ガス生成モジュールとして備えられ、ガス化炉2で生成されたCOと、蒸気とが導入されることにより内部でHとCOとの混合ガスを生成する。なお、水性ガスシフト反応炉3内で生成された混合ガスは、温度が200℃~400℃の範囲、圧力が2~4MPaの範囲である。
【0028】
水性ガスシフト反応炉3で生成された混合ガスは、減圧弁4で所定範囲(85℃を含む範囲であって、例えば、85℃±1℃)までガス温度が冷却される。即ち、本実施形態に係るガス製造システム1では、減圧弁4を混合ガス冷却モジュールとして備えている。詳細な図示を省略しているが、本実施形態に係るガス製造システム1が備える減圧弁4は、外部圧力検出方式の減圧弁であって、パイロット室から供給された圧力を駆動部で検出し弁部の開閉度を調整して2次側(排出側)圧力を一定に保持する減圧弁である。外部圧力検出方式の減圧弁4は、上記のようなメカニズムで減圧を行うことにより、内部圧力検出方式(直動方式)の減圧弁に比べて高精度にガスの圧力を減圧することができる。
【0029】
減圧弁4で所定範囲内の温度まで冷却されたCO/H混合ガスは、CO選択透過膜モジュール5へと導入される。CO選択透過膜モジュール5は、CO分子ゲート膜を有するモジュールであって、COだけがCO分子ゲート膜を透過し、HはCO分子ゲート膜を透過できない。これによりCOとHとが分離される。
【0030】
2.CO分子ゲート膜の分離性能とCO/H混合ガスの温度および圧力
ガス製造システム1では、CO選択透過膜モジュール5におけるCO分子ゲート膜の分離性能を十分に活用するために、当該CO選択透過膜モジュール5に導入される際のCO/H混合ガスの温度および圧力について望ましい範囲が存在する。これについて、図2および図3を用いて説明する。
【0031】
図2は、横軸にCO/H混合ガスの内のCOガスの分圧、縦軸にCO分子ゲート膜の透過速度をとった特性図である。図2のグラフにおける特性線L1よりも上の領域Aが精度および効率の観点から目標となる領域である。
【0032】
図3は、横軸にCO/H混合ガスの内のCOガスの分圧、縦軸にCO分子ゲート膜の分離係数をとった特性図である。図3のグラフにおける特性線L2よりも上の領域Bが精度および効率の観点から目標となる領域である。
【0033】
(1)1500円/ton-COを実現するため
COの回収コストを1500円/ton-COを実現するためには、CO分子ゲート膜の透過速度を3×10-10とすることが必要となる。この透過速度を実現するためには、図2よりCOの分圧を400kPaとすることが必要であることが分かる。
【0034】
また、COの回収コストを1500円/ton-COを実現するためには、CO分子ゲート膜の分離係数を125とすることが必要となる。この分離係数を実現するためには、図3よりCOの分圧を210kPaとすることが必要であることが分かる。
【0035】
ここで、水性ガスシフト反応炉3でCOと上記とを反応させた場合には、CO/H混合ガスにおけるCOとHとの混合比率(モル分率)が40%:60%となる。この場合に、CO分子ゲート膜における3×10-10の透過速度と1.25の分離係数とを両方満足するためには、CO/H混合ガスの圧力を550kPa(0.55MPa)とすることが必要となる。
【0036】
(2)1000円/ton-COを実現するため
COの回収コストを100円/ton-COを実現するためには、CO分子ゲート膜の透過速度を5×10-10とすることが必要となる。この透過速度を実現するためには、図2よりCOの分圧を130kPaとすることが必要であることが分かる。
【0037】
また、COの回収コストを1000円/ton-COを実現するためには、CO分子ゲート膜の分離係数を145とすることが必要となる。この分離係数を実現するためには、図3よりCOの分圧を130kPaとすることが必要であることが分かる。
【0038】
上記同様に、上述のようにCO/H混合ガスにおけるCOとHとの混合比率(モル分率)が40%:60%であるので、CO分子ゲート膜における5×10-10の透過速度と1.45の分離係数とを両方満足するためには、CO/H混合ガスの圧力を330kPa(0.33MPa)とすることが必要となる。
【0039】
(3)まとめ
上記非特許文献1で提案されているCO分子ゲート膜を備えるCO選択透過膜モジュールでは、当該CO選択透過膜モジュールに導入されるCO/H混合ガスの温度を85℃前後(85℃を範囲内に含む所定範囲)とすることが精度および効率の観点から望ましい。
【0040】
以上より、ガス製造システム1において、水性ガスシフト反応炉3から吐出される200℃~400℃の温度、2MPa~4MPaの圧力のCO/H混合ガスを、減圧弁4にて0.33MPa(COの回収コストを1000円/ton-COを実現しようとする場合)あるいは0.55MPa(COの回収コストを1500円/ton-COを実現しようとする場合)で、85℃を範囲内に含む所定範囲までCO/H混合ガスを冷却してCO選択透過膜モジュールに導入することが望ましい。
【0041】
なお、上記において「85℃を範囲内に含む所定範囲」とは、例えば、85℃±5℃、望ましくは85℃±3℃、より望ましくは85℃±1℃を指す。
【0042】
3.効果
本実施形態に係るガス製造システム1では、CO選択透過膜モジュール5に導入する前のCO/H混合ガスを減圧弁4で減圧して当該CO/H混合ガスの温度を所定範囲(85℃を範囲内に含む所定範囲)に調整する。
【0043】
また、減圧弁で上記の関係を基にCO/H混合ガスは、一様な温度範囲(上記所定範囲)でCO選択透過膜モジュール5へと送られる。
【0044】
よって、上記態様に係るガス製造システムでは、CO分子ゲート膜を用いたCOとHとの分離を、より高精度かつ高効率に行うことが可能である。
【0045】
また、本実施形態に係るガス製造システム1では、200℃~400℃の温度、2MPa~4MPaの圧力のCO/H混合ガスが減圧弁(混合ガス冷却モジュール)4に対して導入されるが、上記のように減圧弁4で高精度に冷却されるので、CO選択透過膜モジュール5で高精度かつ高効率にCOとHとを分離可能である。
【0046】
また、ガス製造システム1で採用するCO選択透過膜モジュール5はCO分子ゲート膜を用いるものであって、COとHとの分離を高精度かつ高効率に行うために目標とされる透過速度(パーミアンス)と分離係数が設定されている。この目標を達成するためには、上述したように、減圧弁4でCO/H混合ガスの圧力を0.33MPaまたは0.53MPaまで減圧することがCO選択透過膜モジュール5でCOとHとの分離を実行する上で優位である。
【0047】
また、本実施形態に係るガス製造システム1では、外部圧力検出方式の減圧弁4を混合ガス冷却モジュールとして用いるので、CO/H混合ガスの温度を高精度に上記所定範囲内とすることができる。即ち、外部圧力方式の減圧弁は、内部圧力検出方式(直動方式)の減圧弁に比べて高精度にガスの圧力を減圧することができ、CO/H混合ガスの温度を高精度に上記所定範囲とするのに優位である。
【0048】
以上のように、本実施形態に係るガス製造システム1では、CO分子ゲート膜を用いたCOとHとの分離を、より高精度かつ高効率に行うことが可能である。
【0049】
[変形例]
上記実施形態に係るガス製造システム1では、CO生成モジュールとしてのガス化炉2を備えることとしたが、本発明に係るガス製造システムでは、必ずしもガス化炉2を備える必要はない。例えば、工場等から排出されるCOを回収し、これを水性ガスシフト反応炉3へと供給する構成としてもよい。
【0050】
また、上記実施形態に係るガス製造システム1では、CO選択透過膜モジュール5で分離されたCOを地中深くに貯留することとしたが、本発明では、分離されたCO2の利用方法はこれに限定されない。例えば、メタネーション技術を用いてメタンCHを合成するのに用いてもよい。即ち、CO選択透過膜モジュール5で分離されたCOとHとを用いてCHを合成してもよい。
【0051】
また、上記実施形態に係るガス製造システム1では、減圧弁4として外部圧力検出方式の減圧弁を用いることとしたが、本発明では、直動方式の減圧弁を用いることとしてもよい。この場合にも、従来技術のように熱交換器94でCO/H混合ガスを冷却する場合よりも高精度かつ高効率にガス分離を行うことができる。
【符号の説明】
【0052】
1 ガス製造システム
2 ガス化炉
3 水性ガスシフト反応路(CO/H混合ガス生成モジュール)
4 減圧弁(混合ガス冷却モジュール)
5 CO選択透過膜モジュール
図1
図2
図3
図4
図5