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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112110
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】走査光学装置および画像形成装置
(51)【国際特許分類】
   G02B 26/10 20060101AFI20240813BHJP
   G02B 26/12 20060101ALI20240813BHJP
   B41J 2/47 20060101ALI20240813BHJP
   H04N 1/113 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
G02B26/10 F
G02B26/12
B41J2/47 101D
H04N1/113
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016984
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000005267
【氏名又は名称】ブラザー工業株式会社
(72)【発明者】
【氏名】平岡 隼一
(72)【発明者】
【氏名】坂井 俊夫
【テーマコード(参考)】
2C362
2H045
5C072
【Fターム(参考)】
2C362AA10
2C362BA04
2C362BA84
2C362BB02
2C362CA18
2C362CA39
2C362DA03
2H045AA03
2H045BA22
2H045BA34
2H045CA02
2H045DA02
2H045DA04
5C072AA03
5C072DA02
5C072DA04
5C072DA21
5C072HA02
5C072HA08
5C072HA11
5C072XA05
(57)【要約】
【課題】シリンドリカルレンズを簡単な構成で、かつ、容易に取り付けることができ、しかも、結像特性を良好に維持しつつ小型化する。
【解決手段】走査光学装置において、シリンドリカルレンズ(10)は、ビームが通過する通過領域(R)が位置するレンズ部(11)より外側の外周部(12)に、光軸方向に突出し、筐体から押圧力を受ける複数の突起(13)を有する。複数の突起(13)はそれぞれ、レンズ部(11)の円筒面の母線方向と光軸方向とに直交する副走査方向に長尺でかつ光軸方向の先端が細くなった形状を有する。複数の突起(13)のうちの、レンズ部11を挟んで母線方向に並ぶ一対の突起(13)の間に、通過領域(R)の少なくとも一部が位置している。
【選択図】図5
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ビームを出射する光源部と、
前記光源部から出射されたビームを偏向面で反射して主走査方向に偏向する偏向器と、
前記偏向器にて偏向されたビームを像面に結像する結像光学系と、
前記光源部と前記偏向器との間に位置し、前記光源部から出射された前記ビームを前記偏向面に副走査方向に集光するシリンドリカルレンズと、
前記偏向器および前記シリンドリカルレンズを保持するフレームと、
を備え、
前記フレームは、
前記シリンドリカルレンズと光軸方向に接して保持する溝部を有し、
前記シリンドリカルレンズは、
前記ビームが通過する通過領域が位置するレンズ部より外側の外周部に、前記光軸方向に突出し、前記溝部から押圧力を受ける複数の突起を有し、
前記複数の突起はそれぞれ、前記副走査方向に長尺でかつ前記光軸方向の先端が細くなった形状を有し、
前記複数の突起のうちの、前記レンズ部を挟んで前記レンズ部の円筒面の母線方向に並ぶ一対の突起の間に、前記通過領域の少なくとも一部が位置している走査光学装置。
【請求項2】
前記シリンドリカルレンズは、前記副走査方向の一端面より前記溝部に挿入されることで前記フレームに保持される請求項1に記載の走査光学装置。
【請求項3】
前記通過領域は、前記レンズ部の最も厚い部分からずれた部分に位置する請求項1又は2に記載の走査光学装置。
【請求項4】
前記通過領域は、前記レンズ部の最も厚い部分を挟んだ複数箇所に位置する請求項3に記載の走査光学装置。
【請求項5】
前記通過領域は、前記レンズ部の円筒面の母線方向の複数箇所に位置する請求項3に記載の走査光学装置。
【請求項6】
前記シリンドリカルレンズは、前記母線方向の端部に位置する一端面における、前記レンズ部の最も厚い部分を含み、かつ、前記母線方向において前記通過領域が位置しない位置に、樹脂を注入した部分であるゲート痕を有する請求項3に記載の走査光学装置。
【請求項7】
前記シリンドリカルレンズは、前記外周部における前記複数の突起を有する辺部に、前記レンズ部の端部から前記光軸方向に突出するリブを有し、前記複数の突起は、前記リブからさらに突出している請求項1又は2に記載の走査光学装置。
【請求項8】
前記リブは、前記外周部における、前記母線方向の辺部および前記母線方向と直交する方向の辺部に位置し、枠形状を有する請求項7に記載の走査光学装置。
【請求項9】
前記複数の突起は、長尺を成す方向に沿った断面において、先端に向かって互いに近づく方向に傾斜した2つの直線形状部と、前記2つの直線形状部が交わる部分に位置する円弧形状部とを有する請求項1又は2に記載の走査光学装置。
【請求項10】
前記フレームは、前記溝部の前記光軸方向の一方側に、前記ビームを通過させる開口が形成されている壁を備える請求項1又は2に記載の走査光学装置。
【請求項11】
記録シート上に画像を形成する画像形成装置であって、
請求項1又は2に記載の走査光学装置と、
前記走査光学装置によりビームが走査されて静電潜像が形成される複数の感光体と、
前記静電潜像に現像剤を供給して現像剤像を形成する複数の現像器と、
前記現像剤像を前記記録シート上に転写する転写器と、
前記記録シート上に転写された前記現像剤像を定着する定着装置と、を備えた画像形成装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、走査光学装置および画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一つのポリゴンミラーに複数のビームを入射させるカラーレーザプリンタ用の走査光学装置が知られている(例えば、特許文献1)。このような走査光学装置では、複数のビームが、入射光路に配置されるシリンドリカルレンズの中心から離れた部分を通過するように構成される。
【0003】
一方、特許文献2には、シリンドリカルレンズをフレームに圧入して固定する構成が記載されている。これにおいては、シリンドリカルレンズを、有効レンズ部の両側に突片を一体的に設けた構成とし、少なくとも一方の突片をフレームに設けた溝部に圧入する。突片には、突起(小突起)が形成されており、該突起が溝部の壁面に押圧されることで固定されている。これによれば、シリンドリカルレンズを簡単な構成で、かつ、容易に取り付けることができる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2004-205640号公報
【特許文献2】特開平3-171113号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記特許文献2に記載された構成では、溝部の壁面に押圧される突起の近傍に応力による歪が生じる場合がある。歪みの影響がレンズ有効範囲に及ぶと、結像特性に影響が出る。特に、特許文献1に記載されている走査光学装置のように、複数のビームがシリンドリカルレンズの中心から離れた部分を通過する構成に先行文献2に記載された構成を適用すると、突起とビームの通過領域とが近づき、歪みの影響がレンズ有効範囲に及ぶ可能性がある。
【0006】
なお、引用文献2には、突起を有効レンズ部(レンズ有効範囲に相当)からできるだけ離して設けることで、歪みの影響を排除できると記載されている。しかしながら、突起を有効レンズ部から離す対応は、シリンドリカルレンズを大型化し、小型化の要望に相反したものとなる。
【0007】
本開示は、シリンドリカルレンズを簡単な構成で、かつ、容易に取り付けることができ、しかも、結像特性を良好に維持しつつ小型化できる走査光学装置および画像形成装置を実現することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記の課題を解決するために、本開示の一態様に係る走査光学装置は、ビームを出射する光源部と、前記光源部から出射されたビームを偏向面で反射して主走査方向に偏向する偏向器と、前記偏向器にて偏向されたビームを像面に結像する結像光学系と、前記光源部と前記偏向器との間に位置し、前記光源部から出射された前記ビームを前記偏向面に副走査方向に集光するシリンドリカルレンズと、前記偏向器および前記シリンドリカルレンズを保持するフレームと、を備え、前記フレームは、前記シリンドリカルレンズと光軸方向に接して保持する溝部を有し、前記シリンドリカルレンズは、前記ビームが通過する通過領域が位置するレンズ部より外側の外周部に、前記光軸方向に突出し、前記溝部から押圧力を受ける複数の突起を有し、前記複数の突起はそれぞれ、前記副走査方向に長尺でかつ前記光軸方向の先端が細くなった形状を有し、前記複数の突起のうちの、前記レンズ部を挟んで前記レンズ部の円筒面の母線方向に並ぶ一対の突起の間に、前記通過領域の少なくとも一部が位置している。
【0009】
上記構成によれば、複数の突起を長尺の形状としているので、各突起の根元部分の面積を広く確保して、圧入による応力が分散され、レンズ部への歪の影響が緩和され、結像特性を良好に保持できる。レンズ部への歪の影響の緩和されることで、突起を通過領域に近づけることが可能になり、結像特性を良好に維持しつつ、シリンドリカルレンズの小型化を図ることができる。
【0010】
本開示の一態様に係る走査光学装置は、さらに、前記シリンドリカルレンズは、前記副走査方向の一端面より前記溝部に挿入されることで前記フレームに保持されていてもよい。
【0011】
上記構成によれば、シリンドリカルレンズを溝部に対し、突起が長尺をなす第1方向に挿入するため、挿入の際のフレームとの摩擦にて突起が短尺の方向に変形することを抑制することができる。
【0012】
本開示の一態様に係る走査光学装置は、さらに、前記通過領域は、前記レンズ部の最も厚い部分からずれた部分に位置していてもよい。上記構成によれば、通過領域および突起が、レンズ部の隅にある場合であっても、通過領域への歪の影響が緩和される。
【0013】
本開示の一態様に係る走査光学装置は、さらに、前記通過領域は、前記レンズ部の最も厚い部分を挟んだ複数箇所に位置していてもよい。上記構成によれば、偏向器に複数のビームを入射させる画像形成装置の構成に適用できる。各ビームの通過領域がレンズ部の隅にある場合であっても、通過領域への歪の影響が緩和される。
【0014】
この場合、さらに、前記通過領域は、前記レンズ部の円筒面の母線方向の複数箇所に位置していてもよい。上記構成によれば、偏向器に複数のビームを入射させる画像形成装置の構成において、結像光学系が異なる隣接する光路と、シリンドリカルレンズを共用できる。
【0015】
本開示の一態様に係る走査光学装置は、さらに、前記シリンドリカルレンズは、前記母線方向の端部に位置する一端面における、前記レンズ部の最も厚い部分を含み、かつ、前記母線方向において前記通過領域が位置しない位置に、樹脂を注入した部分であるゲート痕を有していてもよい。
【0016】
上記構成によれば、上記の位置にゲート痕ができる金型を用いてシリンドリカルレンズを成形すると、ゲートから金型内へ注入された樹脂はレンズ部の最も厚い部分から薄い通過領域へ向かって流れるため、通過領域の周辺で樹脂の流れが不均一になりにくい。これにより、通過領域の寸法精度が良好なシリンドリカルレンズを成形することができる。
【0017】
本開示の一態様に係る走査光学装置は、さらに、前記シリンドリカルレンズは、前記外周部における前記複数の突起を有する辺部に、前記レンズ部の端部から前記光軸方向に突出するリブを有し、前記複数の突起は、前記リブからさらに突出していてもよい。
【0018】
上記構成によれば、外周部にリブを設け、リブに突起を設けることで、突起が受ける応力をリブによってさらに分散させることができる。
【0019】
この場合、さらに、前記リブは、前記外周部における、前記母線方向の辺部および前記母線方向と直交する方向の辺部に位置し、枠形状を有していてもよい。上記構成によれば、外周部に枠状のリブを設けることで、シリンドリカルレンズの剛性が高くなり、ねじれに強い構成とできる。
【0020】
本開示の一態様に係る走査光学装置は、さらに、前記複数の突起は、長尺を成す方向に沿った断面において、先端に向かって互いに近づく方向に傾斜した2つの直線形状部と、前記2つの直線形状部が交わる部分に位置する円弧形状部とを有する。
【0021】
上記構成によれば、シリンドリカルレンズの製造時において、突起への樹脂流動性が向上する。これにより、突起を安定して精度良く形成することが可能となる。
【0022】
本開示の一態様に係る走査光学装置は、さらに、前記フレームは、前記溝部の前記光軸方向の一方側に、前記ビームを通過させる開口が形成されている壁を備えていてもよい。上記構成によれば、開口により、ビームの通過領域を規定することができる。
【0023】
本開示の一態様に係る画像形成装置は、記録シート上に画像を形成する画像形成装置であって、本開示の一態様に係る走査光学装置と、前記走査光学装置によりビームが走査されて静電潜像が形成される複数の感光体と、前記静電潜像に現像剤を供給して現像剤像を形成する複数の現像器と、前記現像剤像を前記記録シート上に転写する転写器と、前記記録シート上に転写された前記現像剤像を定着する定着装置と、を備える。
【発明の効果】
【0024】
本開示の一態様によれば、シリンドリカルレンズを簡単な構成で、かつ、容易に取り付けることができ、しかも、結像特性を良好に維持しつつ小型化できる走査光学装置および画像形成装置を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
図1】本開示の実施形態に係る画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタの全体構成を示す断面図である。
図2】本開示の一実施形態に係る走査光学装置を示す斜視図である。
図3】上記走査光学装置を軸線方向から見た平面図である。
図4】上記走査光学装置の断面図である。
図5】シリンドリカルレンズを入射面より見た図である。
図6図5のA-A線矢視断面図である。
図7】上記シリンドリカルレンズの取付け構造を示す部分斜視図である。
図8】圧入によるレンズ部への歪みの影響を検証した結果を示すイメージ図である。
図9】上記シリンドリカルレンズの一端部の部分斜視図である。
図10】上記シリンドリカルレンズに形成された突起の形状を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本開示の一実施形態について、詳細に説明する。
【0027】
(画像形成装置)
図1は画像形成装置の一例としてのカラーレーザプリンタの全体構成を示す断面図である。
【0028】
図1に示すように、本実施形態に係る走査光学装置5は、カラーレーザプリンタ1に用いられる。カラーレーザプリンタ1は、本体筐体2内に、記録シートPを供給するシート供給部3と、供給された記録シートPに画像を形成する画像形成部4と、を備えている。
【0029】
画像形成部4は、走査光学装置5と、4つのプロセスユニット6Y,6M,6C,6Kと、転写器に相当する転写ユニット7と、定着装置に相当する定着ユニット8と、を備えている。
【0030】
シート供給部3は、本体筐体2内の下部に設けられる。シート供給部3は、記録シートPを収容する供給トレイ31と、供給トレイ31から記録シートPを画像形成部4に供給するシート供給機構32と、を備えている。供給トレイ31内の記録シートPは、シート供給機構32によって1枚ずつ分離されて画像形成部4に供給される。
【0031】
走査光学装置5は、本体筐体2内の上部に設けられ、印刷データに基づく光ビームBY,BM,BC,BKを、各プロセスユニット6Y~6Kに備えられた各感光体61Y~61Kの表面に照射することで、各感光体61Y~61Kの表面を露光して静電潜像を形成する。各感光体61Y~61Kは、カラーレーザプリンタ1の幅方向に延びる円筒形状で表面に感光層を有する感光体ドラムである。以下において、各感光体61Y~61Kの延びる方向を「幅方向」とも称する。
【0032】
4つのプロセスユニット6Y,6M,6C,6Kは、供給トレイ31と走査光学装置5の間で前後方向に沿って並列配置されている。以下において、カラーレーザプリンタ1の前後方向に沿った方向を「前後方向」とも称する。プロセスユニット6Yは感光体61Yを備え、プロセスユニット6Mは感光体61Mを、プロセスユニット6Cは感光体61Cを、プロセスユニット6Kは感光体61Kを備えている。さらに、4つのプロセスユニット6Y,6M,6C,6Kは、それぞれ、帯電器62と、現像ローラ63と、供給ローラ64と、層厚規制ブレード65と、現像剤を収容する現像剤収容部66と、を備えている。現像剤は、正帯電性の一成分乾式トナーを用いることができる。なお、現像ローラ63、供給ローラ64、層厚規制ブレード65、および現像剤収容部66にて現像器が構成される。
【0033】
本明細書および図面において、現像剤の色に対応して感光体61などを特定する場合に、イエロー、マゼンタ、シアン、ブラックのそれぞれに対応させて、Y、M、C、Kの記号を付している。4つのプロセスユニット6Y,6M,6C,6Kは、記録シートPの搬送方向上流側からこの順で並んで配置されている。
【0034】
転写ユニット7は、供給トレイ31とプロセスユニット6との間に設けられている。転写ユニット7は、駆動ローラ71と、従動ローラ72と、駆動ローラ71および従動ローラ72の間に張設された無端状の搬送ベルト73と、4つの転写ローラ74と、を備えている。搬送ベルト73は、外側の面が各感光体61に接しており、その内側に、各転写ローラ74が、各感光体61との間で搬送ベルト73を挟持するように配置されている。
【0035】
定着ユニット8は、プロセスユニット6および転写ユニット7の後方に設けられている。定着ユニット8は、加熱ローラ81と、加熱ローラ81と対向配置されて加熱ローラ81を押圧する加圧ローラ82と、を備えている。
【0036】
画像形成部4では、感光体61の表面が、帯電器62により一様に正帯電された後、走査光学装置5からの光ビームBの照射によって露光されることで、感光体61上に印刷データに基づく静電潜像が形成される。現像ローラ63上に担持された現像剤が感光体61上に形成された静電潜像に供給されることで、静電潜像が可視像化され、感光体61上に現像剤像が形成される。感光体61の表面が像面に相当する。
【0037】
シート供給部3から供給された記録シートPは、搬送ベルト73上を各感光体61に接触しながら前から後ろに向けて移動する。この過程において、各感光体61上の現像剤像は、感光体61と、転写バイアスが印加された転写ローラ74との間で記録シートP上に順次重ね合わせて転写される。して、現像剤像が転写された記録シートPは、加熱ローラ81と加圧ローラ82の間を通過することで現像剤像が熱定着され、搬送ローラ23によって本体筐体2内から外部に排出されて排出トレイ22上に載置される。
【0038】
(走査光学装置)
次に、走査光学装置5の構成について説明する。図2は、本開示の一実施形態に係る走査光学装置5を示す斜視図である。図3は、走査光学装置5を上方向から見た平面図である。図4は、走査光学装置5の断面図である。
【0039】
図2図3に示すように、走査光学装置5は、筐体100と、4つの光源20Y,20M,20C,20Kと、カップリングレンズ21と、シリンドリカルレンズ10と、ポリゴンミラー40と、第1走査光学系SC1と、第2走査光学系SC2とを備えている。第2走査光学系SC2は、前後方向においてポリゴンミラー40の回転軸線Oを挟んで第1走査光学系SC1とは反対側に配置されている。
【0040】
筐体100は、樹脂からなり、上面が開放された浅い箱型をなす。筐体100の底壁は、回転軸線Oに沿った方向から見て矩形となる略板状の壁である。以下において、回転軸線Oに沿った方向を「軸線方向」とも称する。本実施形態では軸線方向はカラーレーザプリンタ1の上下方向である。筐体100は、光源20Y~20K、カップリングレンズ21、シリンドリカルレンズ10、ポリゴンミラー40、および各走査光学系SC1,SC2を保持するものであり、フレームに相当する。筐体100の上方には、蓋体110が間隔を開けて位置している。
【0041】
光源20Y,20M,20C,20Kは、光源部である。光源20Y,20M,20C,20Kは、それぞれ、上述した光ビームBY,BM,BC,BKとなるレーザ光を出射する装置である。光源20Y,20M,20C,20Kは、走査光学装置5が走査露光する4つの感光体61Y,61M,61C,61K(図1図4参照)に対応して4つ設けられている。
【0042】
各光源20Y~20Kから出射されたレーザ光は、図3に示すカップリングレンズ21およびシリンドリカルレンズ10を通って、ポリゴンミラー40に入射される。光源20Y,20Mから出射されたレーザ光である光ビームBY,BMは、ポリゴンミラー40によって、第1走査光学系SC1に向けて偏向される。光源20C,20Kから出射されたレーザ光である光ビームBC,BKは、ポリゴンミラー40によって、第2走査光学系SC2に向けて偏向される。
【0043】
カップリングレンズ21は、光源20Y~20Kから発散して出射されるレーザ光を光ビームBY~BKに変換するレンズである。カップリングレンズ21は、4つの光源20Y~20Kに対応して4つ設けられている。なお、カップリングレンズ21によって変換されて得られた光ビームBY~BKは、平行光、収束光および発散光のいずれであってもよい。
【0044】
シリンドリカルレンズ10は、ポリゴンミラー40の面倒れを補正するため、光ビームBY~BKを屈折させて副走査方向に収束し、ポリゴンミラー40の偏向面41上で主走査方向に長い線状に結像させるレンズである。シリンドリカルレンズ10における副走査方向は軸線方向である。シリンドリカルレンズ10は、カップリングレンズ21とポリゴンミラー40との間に配置されている。シリンドリカルレンズ10は、4つの光源20Y~20Kに対して1つ備えられており、光ビームBY~BKが通過する4つの通過領域RY~RKを有している。シリンドリカルレンズ10の形状、およびその取付け構造については、後述する。
【0045】
ポリゴンミラー40は、偏向器であり、筐体100のほぼ中央で、光源20Y~20Kと対向して配置されている。ポリゴンミラー40は、回転軸線Oから等距離に設けられた6つの偏向面41を有している。ポリゴンミラー40にはモータPMが接続されており、モータPMの駆動によって、各偏向面41が回転軸線Oを中心に回転することで、光ビームBY~BKを反射して主走査方向に偏向する。
【0046】
第1走査光学系SC1は、ポリゴンミラー40で偏向された光ビームBY,BMを、感光体61Y,61Mに結像する結像光学系である。第1走査光学系SC1は、第1走査レンズ50と、2つの第2走査レンズ60Y,60Mと、複数の反射ミラー91~95とを備えている。
【0047】
第2走査光学系SC2は、ポリゴンミラー40で偏向された光ビームBC,BKを、感光体61C,61Kに結像する結像光学系である。第2走査光学系SC2は、1つの第1走査レンズ50と、2つの第2走査レンズ60C,60Kと、複数の反射ミラー91~95とを備えている。
【0048】
ポリゴンミラー40で偏向された光ビームBY,BMは、第1走査光学系SC1において、第1走査レンズ50を通過し、反射ミラー91,92で反射され、第2走査レンズ60Y,60Mを通過した後、反射ミラー93で反射されて感光体61M,61Cの表面を走査露光する。
【0049】
ポリゴンミラー40で偏向された光ビームBC,BKは、第2走査光学系SC2において、第1走査レンズ50を通過し、反射ミラー94で反射され、第2走査レンズ60C,60Kを通過した後、反射ミラー95で反射されて感光体61C,61Kの表面を走査露光する。
【0050】
(シリンドリカルレンズの形状)
図5は、シリンドリカルレンズ10を入射面10Aより見た図である。図6は、図5のA-A線矢視断面図である。
【0051】
シリンドリカルレンズ10は、樹脂からなり、各部分は一体的に成形されている。図5図6に示すように、シリンドリカルレンズ10は、入射面10Aが円筒面を有し、出射面10Bが平面となっている。円筒面を有する部分がレンズ機能を有するレンズ有効範囲でありレンズ部11である。シリンドリカルレンズ10は、入射面10Aを平面視して、円筒面の母線方向に長い矩形形状を有している。以下、円筒面の母線方向を単に「母線方向」と称する。
【0052】
シリンドリカルレンズ10の光軸に沿った方向である光軸方向は、母線方向と直交するシリンドリカルレンズ10の厚み方向となる。シリンドリカルレンズ10における副走査方向は母線方向と光軸方向とに直交する方向である。
【0053】
シリンドリカルレンズ10は、入射面10Aを各光源20Y~20Kが位置する側に向けて、カップリングレンズ21を介して各光源20Y~20Kと対向するように配置される(図3参照)。つまり、シリンドリカルレンズ10は、走査光学装置5において母線方向が前後方向となるように配置される。この場合、光軸方向が幅方向となる。
【0054】
図5に示すように、レンズ部11には、光ビームが通過する通過領域Rが位置している。本実施形態では、4つの光ビームBY,BM,BC,BKに対応して、4つの通過領域RY,RM,RC,RKが位置している。4つの通過領域RY~RKは、レンズ部11の最も厚い部分からずれた部分に位置している。レンズ部11の最も厚い部分とは、副走査方向の中央である。なお、副走査方向は、軸線方向に相当する。
【0055】
4つの通過領域RY~RKのうち、通過領域RC,RMはレンズ部11の上部に位置し、通過領域RK,RYはレンズ部11の下部に位置している。通過領域RK,RY、および通過領域RC,RMは、それぞれ、母線方向に並んでいる。また、通過領域RK,RC、および通過領域RY,RMは、それぞれ、副走査方向に並んでいる。換言すると、通過領域Rは、レンズ部11の最も厚い部分を挟んだ複数箇所に位置している。さらに、通過領域Rは、レンズ部11の母線方向の複数箇所に位置している。
【0056】
シリンドリカルレンズ10は、レンズ部11より外側の外周部12に、複数の突起13を有している。複数の突起13は、シリンドリカルレンズ10が筐体100に取付けられた状態で筐体100にて押圧されて、シリンドリカルレンズ10を筐体100に固定するものである。
【0057】
図5図6に示すように、複数の突起13は、光軸方向に突出し、筐体100に保持された状態(図7参照)で筐体100から押圧力を受ける。複数の突起13はそれぞれ、副走査方向に長尺であり、かつ、光軸方向の先端が細くなった形状を有している。そして、複数の突起13のうちの、レンズ部11を挟んで母線方向に並ぶ一対の突起13,13の間に、通過領域RY~RKの少なくとも一部が位置している。
【0058】
具体的には、レンズ部11を挟んで母線方向に並ぶ一対の突起13,13は、シリンドリカルレンズ10の上部と下部とに2組設けられている。上部に位置する一対の突起13A,13Aの間に、上部に位置する通過領域RC,RMの一部が位置している。また、下部に位置する一対の突起13B,13Bの間に、下部に位置する通過領域RK,RYの一部が位置している。
【0059】
図5において、一点鎖線L1は、一対の突起13A,13Aにおける、それぞれの長尺をなす方向の下端E1同士を結んだ直線である。一方、一点鎖線L2は、通過領域RC,RMの上端E2同士を結んだ直線である。一対の突起13A,13Aと通過領域RC,RMとは、副走査方向において、一点鎖線L1と一点鎖線L2との間が重なっている。
【0060】
同様に、一点鎖線L3は、一対の突起13B,13Bにおける、それぞれの長尺をなす方向の上端E3同士を結んだ直線である。一方、一点鎖線L4は、通過領域RK,RYの下端E4同士を結んだ直線である。一対の突起13B,13Bと通過領域RK,RYとは、副走査方向において、一点鎖線L3と一点鎖線L4との間が重なっている。
【0061】
また、本実施形態では、シリンドリカルレンズ10は、外周部12における複数の突起13を有する辺部に、レンズ部11の端部から光軸方向に突出するリブ14を有している。リブ14の部分は、レンズ部11よりも厚肉に構成されている。複数の突起13は、このようなリブ14に形成されており、リブ14からさらに突出している。さらに、本実施形態では、リブ14は、外周部12における母線方向の辺部および母線方向と直交する副走査方向の辺部にも設けられ、枠形状を有している。
【0062】
(シリンドリカルレンズの取付け構造)
図7は、シリンドリカルレンズ10の取付け構造を示す部分斜視図である。図7に示すように、シリンドリカルレンズ10は、シリンドリカルレンズ10と光軸方向に接する溝部120に圧入されることで筐体100に取付けられて保持される。筐体100は、シリンドリカルレンズ10が圧入される溝部120を有している。
【0063】
溝部120は、副走査方向の一端側となる上面が開放されており、上面よりシリンドリカルレンズ10が挿入されるようになっている。シリンドリカルレンズ10は、副走査方向の一端面10D(図5図6参照)から筐体100の溝部120に挿入されることで筐体100に保持されている。
【0064】
溝部120における副走査方向の他端に相当する下面は閉塞されており、シリンドリカルレンズ10の一端面10Dが当接する座面となっている。溝部120における光軸方向の両端には、対向する第1壁121と第2壁122が位置している。溝部120における母線方向の一端側には第3壁123が位置している。第1壁121、第2壁122、および第3壁123は、それぞれ、内壁面が、シリンドリカルレンズ10を保持または位置を決定する拘束面として機能する。第3壁123は、第1壁121と第2壁122とを光軸方向に接続する。
【0065】
第1壁121には、4つの光ビームBY,BM,BC,BKに対応して、光ビームを通過させるための開口121Aが4つ形成されている。開口121Aは、4つの光ビームBY,BM,BC,BKの開口数を規定するための開口絞りである。シリンドリカルレンズ10における通過領域Rは、開口絞りである開口121Aを通過したビームが通過する範囲である。
【0066】
図示してはいないが、第2壁122には、シリンドリカルレンズ10を通過した4つの光ビームBY,BM,BC,BKを通過させるための開口が設けられている。第2壁122に設けられた開口は開口121Aよりも大きい。また、第2壁122に設けられた開口は、1つの開口に複数のビームが通過するように構成であってもよい。なお、第1に開口絞りを設けず、第2璧に開口絞りを設ける構成であってもよい。
【0067】
シリンドリカルレンズ10は、溝部120に差し込まれた状態で、第1壁121に入射面10A側に設けられた複数の突起13の先端部が当接し、先端部が弾性変形する。第2壁122には、出射面10Bが当接する。なお、本実施形態では、図5に示すように、外周部12にはリブ14が形成されているので、出射面10Bよりも突出したリブ14の端面14A(図6参照)が第2壁122に当接する。第3壁123には、母線方向の一端面10E(図5参照)が当接する。
【0068】
(効果の記載)
上記構成によれば、複数の突起13を長尺の形状としているので、各突起13の根元部分の面積を広くすることができる。これにより、筐体100に圧入による応力が分散され、レンズ部11への歪の影響が緩和され、結像特性を良好に保持できる。
【0069】
図8は、圧入によるレンズ部11への歪みの影響を検証した結果を示すイメージ図である。図8の(A)は、長尺の突起13を有するシリンドリカルレンズ10の検証結果のイメージ図である。図8の(B)は、比較例のシリンドリカルレンズの検証結果のイメージ図である。比較例もシリンドリカルレンズは、長尺の突起13に代えて球欠状の突起113を形成した以外は、上述したシリンドリカルレンズ10と同じ条件で作成した。突起13と突起113とは、同じ高さを有しており、かつ根元部分の母線方向の寸法も同じである。
【0070】
図8に示すように、長尺の突起13とすることで、圧入によるレンズ部11への歪みの影響を、球欠状の突起113よりも確実に小さくすることができる。
【0071】
そして、このようにレンズ部11への歪の影響の緩和されることで、突起13を通過領域Rに近づけることが可能になり、シリンドリカルレンズ10の小型化を図ることができる。上記構成では、一対の突起13の間に通過領域Rの少なくとも一部を位置させる構成としている。換言すると、突起13の長尺の方向において、突起13と通過領域Rとが重なりを有している。これにより、シリンドリカルレンズ10を効果的に小型化することができる。
【0072】
また、シリンドリカルレンズ10は、溝部120に対し、複数の突起13の長尺の方向を挿入方向として圧入されている。シリンドリカルレンズ10を溝部120に対し、突起13が長尺をなす副走査方向に挿入することで、挿入の際の溝部120との摩擦にて突起13が短尺の方向に変形することを抑制することができる。
【0073】
また、本実施形態では、シリンドリカルレンズ10は、通過領域Rとして4つの通過領域RY~RKを有している。4つの通過領域RY~RKは、レンズ部11の最も厚い部分を挟んだ複数箇所に位置すると共に、レンズ部11の円筒面の母線方向の複数箇所に位置している。
【0074】
上記構成によれば、ポリゴンミラーに複数のビームを入射させるカラーレーザプリンタの構成において、前述した第1走査光学系SC1および第2走査光学系SC2のように、結像光学系が異なる隣接する光路においてシリンドリカルレンズ10を共用できる。
【0075】
なお、本実施形態では、画像形成装置として、結像光学系が異なる隣接する光路においてシリンドリカルレンズ10を共用するカラーレーザプリンタ1を例示した。しかしながら、画像形成装置としては、モノクロレーザプリンタであってもよい。また、結像光学系が異なる隣接する光路においてシリンドリカルレンズ10を共用しないカラーレーザプリタであってもよい。
【0076】
つまり、通過領域Rは、レンズ部11の最も厚い部分からずれた部分に位置しているだけの構成であってもよい。上記構成によれば、通過領域Rおよび突起13がレンズ部11の隅にある場合であっても、通過領域Rへの歪の影響が緩和され、結像特性を良好に保持できる。
【0077】
また、少なくとも、通過領域Rは、レンズ部11の最も厚い部分を挟んだ複数箇所に位置しているだけの構成であってもよい。上記構成によれば、ポリゴンミラーに複数のビームを入射させるカラーレーザプリンタの構成に適用できる。各ビームの通過領域Rがレンズ部11の隅にある場合であっても、通過領域Rへの歪の影響が緩和され、結像特性を良好に保持できる。
【0078】
また、本実施形態では、シリンドリカルレンズ10は、外周部12にリブ14を有し、複数の突起13はリブ14からさらに突出するように形成されている。これにより、突起13が受ける応力をリブ14によってさらに分散させることができる。しかも、本実施形態では、リブ14を枠形状に形成しているので、シリンドリカルレンズ10の剛性が高くなり、ねじれに強い構成とできる。なお、本実施形態では、リブ14を枠形状に形成しているが、これに限られるものではない。例えば、突起13が設けられている辺部のみリブ14が形成されていてもよい。すなわち、母線方向に延びるリブ14は無くてもよい。
【0079】
(さらなる構成)
図9は、シリンドリカルレンズ10の一端部の部分斜視図である。
【0080】
図5図9に示すように、本実施形態では、シリンドリカルレンズ10は、母線方向の端部に位置する一端面10Fに、樹脂を注入した部分であるゲート痕15を有する。ゲート痕15は、レンズ部11の最も厚い部分を含み、かつ、レンズ部11を平面視して通過領域Rが含まれない位置に設けられている。
【0081】
上記の位置にゲート痕15を有すること、シリンドリカルレンズ10が、レンズ部11の最も厚みのある場所を中心に、曲率変化の小さい若しくは曲率変化の無い母線方向に沿って樹脂が注入されて形成されていることを示す。これにより、良好な寸法精度を得ることができ、安定した成形が可能となる。
【0082】
また、図5図9に示すように、本実施形態では、シリンドリカルレンズ10を溝部120に挿入する際に、挿入方向の上流側となる一対の突起13A,13Aの方が、挿入方向の下流側となる一対の突起13B,13Bよりも大きく形成されている。突起が大きいとは、突起の高さが高く、かつ、突起の根元部分の面積も広いことを示す。
【0083】
突起の高さをこのように異ならせるのは、溝部120を有する筐体100側の金型構造上の理由である。溝部120を成形する金型を上下方向に離型するために抜き勾配を設ける必要があることから、第1壁121と第2壁122との間隔が、座面のある下面側よりも開放された上面側が広くなる。したがって、このように突起13の大きさを異ならせることで、挿入方向の上流側と下流側とで、突起13に加わる押圧力を等しくすることができる。
【0084】
図10は、シリンドリカルレンズ10に形成された突起の形状を示す図である。(A)は図5の領域B1の拡大図、(B)は(A)のB-B線矢視断面図、(C)は(A)のC-C線矢視断面図である。
【0085】
図10の(B)に示すように、突起13Aは、突起13の長尺の方向に直線による錐形状を有している。そして、錐形状の先端のみ丸みを有している。図示してはいないが、突起13Bについても同じである。
【0086】
換言すると、突起13は、長尺を成す方向に沿った断面において、先端に向かって互いに近づく方向に傾斜した2つの直線形状部と、前記2つの直線形状部が交わる部分に位置する円弧形状部とを有している。
【0087】
上記構成によれば、突起13を直線による錐形状とすることで、突起13への樹脂流動性が向上する。これにより、突起13を安定して精度良く形成することが可能となる。突起13の高さ寸法において高い精度を得ることで、溝部120にシリンドリカルレンズ10を圧入固定した場合の位置精度が安定し、画質が良好になる。また、溝部120にシリンドリカルレンズ10を圧入固定した場合に、突起13の高さが揃っているため、レンズ面歪みが発生せず、良好な面精度を得ることができる。
【0088】
また、本実施形態では、より好ましい構成として、図10の(B)に示すように、突起13Aは、突起13の長尺の方向、および長尺の方向と直交する方向においても、直線による錐形状を有している。つまり、突起13は、長尺を成す方向と直交する方向に沿った断面においも、先端に向かって互いに近づく方向に傾斜した2つの直線形状部とし、前記2つの直線形状部が交わる部分に位置する円弧形状部とを有している。これにより、突起13への樹脂流動性をさらに向上させることができる。
【0089】
これに対し、前述した球欠状の突起113の構成では、外周部12あるいはリブ14の面から突起113への樹脂流動抵抗が大きい。そのため、突起113の形成に必要量の樹脂が流れ込まず、突起の寸法誤差が大きくなる。その結果、溝部120に圧入した場合の位置精度が安定せず、位置決め不良による画質不良や、突起113の高さのバラツキに起因してレンズ部に歪みが発生し、面精度の悪化が起こる。
【0090】
なお、本実施形態では、外周部12あるいはリブ14の平面から突起13における錐形状の直線部分が斜めに立ち上る構成を例示しているが、必ずしもこの限りではない。つまり、外周部12あるいはリブ14の面から、当該面の法線方向に立ち上がった台座状の部分を有し、その部分を経て錐形状の直線部分が形成される構成であってもよい。但し、樹脂流動抵抗を考慮すると、台座状の部分は、突起13の高さに比べて低くすることが好ましい。
【0091】
本開示は上述した各実施形態に限定されるものではなく、請求項に示した範囲で種々の変更が可能であり、異なる実施形態にそれぞれ開示された技術的手段を適宜組み合わせて得られる実施形態についても本開示の技術的範囲に含まれる。
【符号の説明】
【0092】
1 カラーレーザプリンタ(画像形成装置)
5 走査光学装置
7 転写ユニット(転写器)
8 定着ユニット(定着装置)
10 シリンドリカルレンズ
10D 副走査方向の一端面
11 レンズ部
12 外周部
13、13A、13B 突起
14 リブ
15 ゲート痕
20Y,20M,20C,20K(光源部)
40 ポリゴンミラー(偏向器)
41 偏向面
61 感光体
62 帯電器
63 現像ローラ(現像器)
74 転写ローラ(転写器)
100 筐体(フレーム)
120 溝部
121 第1壁(壁)
121A 開口
SC1 第1走査光学系(結像光学系)
SC2 第2走査光学系(結像光学系)
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10