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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112116
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】搬送装置
(51)【国際特許分類】
   B65G 49/02 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
B65G49/02 C
【審査請求】未請求
【請求項の数】10
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023016990
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】523043728
【氏名又は名称】株式会社サスティナ
(74)【代理人】
【識別番号】100145403
【弁理士】
【氏名又は名称】山尾 憲人
(74)【代理人】
【識別番号】100189555
【弁理士】
【氏名又は名称】徳山 英浩
(74)【代理人】
【識別番号】100125922
【弁理士】
【氏名又は名称】三宅 章子
(72)【発明者】
【氏名】中山 明
(57)【要約】
【課題】粉粒体の偏在を抑制する。
【解決手段】本発明に係る搬送装置は、粉粒体を収容する収容槽と、少なくとも1つの第1カゴ及び第2カゴと、カゴ搬送部とを備える。第1カゴ及び第2カゴの各々には、粉粒体の一部が通過可能な開口部が設けられている。カゴ搬送部は、第1カゴを、粉粒体内を通る第1搬送経路に沿って第1方向に搬送するとともに、第2カゴを、平面視において第1搬送経路に並列に隣接し且つ粉粒体内を通る第2搬送経路に沿って第1方向とは逆の第2方向に搬送する。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
粉粒体を収容する収容槽と、
前記粉粒体の一部が通過可能な開口部が設けられた少なくとも1つの第1カゴ及び第2カゴと、
前記第1カゴを、前記粉粒体内を通る第1搬送経路に沿って第1方向に搬送するとともに、前記第2カゴを、平面視において前記第1搬送経路に並列に隣接し且つ前記粉粒体内を通る第2搬送経路に沿って前記第1方向とは逆の第2方向に搬送するカゴ搬送部と、
を備える、搬送装置。
【請求項2】
前記第1カゴ及び前記第2カゴの少なくとも一方は、有機物を含む分解対象物を収容可能に構成され、
前記粉粒体は、前記有機物の酸化分解を促進する触媒を含む、
請求項1に記載の搬送装置。
【請求項3】
前記カゴ搬送部は、前記第1カゴを第1速度で搬送する第1運転と、前記第1カゴを前記第1速度よりも遅い第2速度で搬送するか又は停止させる第2運転とを交互に繰り返すように構成されている、請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項4】
平面視において前記第2方向に沿って並んだ2つの前記第2カゴを備え、
前記第1カゴは、前記第1方向を向く前面部を有し、
前記カゴ搬送部は、前記第2運転への切替時に、前記前面部が前記第1方向において2つの前記第2カゴの間に位置するように、前記第1カゴを搬送する、
請求項3に記載の搬送装置。
【請求項5】
平面視において前記第1方向に沿って並んだ2つの前記第1カゴを備え、
前記収容槽の底部に、前記収容槽から前記粉粒体を排出するための排出口が設けられ、
前記カゴ搬送部は、前記第2運転中に、前記排出口が平面視において2つの前記第1カゴの間に位置するように、前記第1カゴを搬送する、
請求項3に記載の搬送装置。
【請求項6】
前記収容槽の底部に、前記収容槽に気体を流入させるための気体流入口が設けられ、
前記カゴ搬送部は、前記第1カゴを、前記第2運転中に平面視において前記気体流入口と重なるように搬送する、
請求項3に記載の搬送装置。
【請求項7】
前記第1カゴ及び前記第2カゴの少なくとも一方は、平面視において搬送方向に沿ってジグザグ状に並び、前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路のうちの一方に沿って搬送される複数の偏在カゴを有し、
前記複数の偏在カゴは、搬送方向に沿って整列した複数の外方カゴと、前記複数の外方カゴよりも前記第1搬送経路と前記第2搬送経路のうちの他方の近くで搬送方向に沿って整列した複数の内方カゴとを有する、
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【請求項8】
前記第1カゴは、前記第1方向を向く前面部を有し、
前記第2カゴは、前記複数の偏在カゴを有し、
前記カゴ搬送部は、前記第1カゴを第1速度で搬送する第1運転と、前記第1カゴを前記第1速度よりも遅い第2速度で搬送するか又は停止させる第2運転とを交互に繰り返すように構成され、
前記カゴ搬送部は、前記第2運転への切替時に、前記前面部が前記第1方向において前記複数の内方カゴの間に位置するように、前記第1カゴを搬送する、
請求項7に記載の搬送装置。
【請求項9】
前記収容槽の底部に、前記収容槽から前記粉粒体を排出するための排出口が設けられ、
前記第1カゴは、前記複数の偏在カゴを有し、
前記カゴ搬送部は、前記第1カゴを第1速度で搬送する第1運転と、前記第1カゴを前記第1速度よりも遅い第2速度で搬送するか又は停止させる第2運転とを交互に繰り返すように構成され、
前記カゴ搬送部は、前記第2運転中に、前記排出口が平面視において前記複数の内方カゴの間及び前記複数の外方カゴの間の少なくとも一方に位置するように、前記第1カゴを搬送する、
請求項7に記載の搬送装置。
【請求項10】
前記第1カゴ及び前記第2カゴの少なくとも一方は、先端部を有するテーパ部を有し、
前記カゴ搬送部は、前記第1カゴ及び前記第2カゴの少なくとも一方を、前記先端部から前記粉粒体に進入させて搬送するように構成されている、
請求項1又は2に記載の搬送装置。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、カゴを粉粒体に接触した状態で搬送する搬送装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、この種の搬送装置としては、例えば、特許文献1に記載の処理装置が知られている。特許文献1の処理装置は、粉粒体(例えば、触媒)を収容する収容槽と、粉粒体によって処理される処理対象物を収容可能なカゴとを備える。カゴは、複数の棒状の部材を組み合わせて形成され、粉粒体を通過させることができるように構成されている。収容槽に収容された粉粒体の上方には、平面視において直線状のレールが設けられている。レールには、カゴに接続され、レール上を走行することによってカゴを搬送する駆動部が設けられている。カゴは、粉粒体に潜った状態で、駆動部によって搬送される。カゴが搬送される間、カゴに収容された処理対象物は、カゴ内を通過する粉粒体と接触することによって処理される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開2022-060206号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1に記載の処理装置には、粉粒体の偏在を抑制するという観点において、改善の余地がある。
【0005】
したがって、本発明の目的は、前記の課題を解決することにあって、粉粒体の偏在を抑制することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明に係る搬送装置は、
粉粒体を収容する収容槽と、
前記粉粒体の一部が通過可能な開口部が設けられた少なくとも1つの第1カゴ及び第2カゴと、
前記第1カゴを、前記粉粒体内を通る第1搬送経路に沿って第1方向に搬送するとともに、前記第2カゴを、平面視において前記第1搬送経路に並列に隣接し且つ前記粉粒体内を通る第2搬送経路に沿って前記第1方向とは逆の第2方向に搬送するカゴ搬送部と、
を備えるように構成されている。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、粉粒体の偏在を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
図1】本発明の実施形態に係る搬送装置の平面図である。
図2図1のII-II線に沿った断面図である。
図3図1のZ1領域を示す拡大図であって、収容槽の底壁部の構成を示す図である。
図4図3のIV-IV線に沿った断面図である。
図5図3のV-V線に沿った断面図であって、収容槽の底壁部及び気流空間を示す図である。
図6図1の搬送装置におけるカゴの斜視図である。
図7】カゴの搬送速度の変化を示すグラフである。
図8図1のZ1領域を示す拡大図であって、粉粒体の隆起部及び沈降部を模式的に示す図である。
図9図1の搬送装置の変形例を示す図であって、図1のZ1領域に対応する拡大図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
<本発明の基礎となった知見>
本発明者は、粉粒体の偏在を抑制するために鋭意検討した結果、以下の知見を得た。
【0010】
従来の搬送装置(例えば、特許文献1に記載の処理装置)において、カゴは、搬送方向の前方にある粉粒体を押しのけながら搬送される。そのため、カゴの前方には、粉粒体が周囲よりも隆起した隆起部が形成される。また、カゴの後方には、粉粒体が周囲よりも沈降した沈降部が形成される。すなわち、カゴの前後において粉粒体の偏在が起こる。
【0011】
カゴの搬送が進むにつれて、カゴの前方に形成された隆起部は大きくなり、隆起部を形成している粉粒体からカゴに加わる抵抗が大きくなる。これにより、カゴを搬送するカゴ搬送部に過剰な負荷がかかり、当該カゴ搬送部が動作不良に陥るおそれがある。
【0012】
また、複数のカゴが搬送方向に沿って並んで同一方向に搬送されるとき、後方のカゴは、前方のカゴによって形成された沈降部に位置した状態で搬送され得る。この場合、後方のカゴを通過する粉粒体が不足し、後方のカゴ内に収容された処理対象物の処理が不十分になるおそれがある。
【0013】
そこで、本発明者は、平面視において並列に隣接する2つの搬送経路を設け、これらの搬送経路に沿って複数のカゴを互いに逆方向に搬送することによって、粉粒体の偏在を抑制可能であることを見出した。隆起部を形成している粉粒体の一部は、カゴによって押されることに伴う揺れによって、前方に押しのけられるだけではなく、側方に崩れるように移動する。このとき、隆起部を形成している粉粒体の一部は、当該隆起部が形成された一方の搬送経路から側方へ移動し、他方の搬送経路に到達する。さらに、他方の搬送経路に到達した粉粒体の少なくとも一部は、その搬送経路に形成された沈降部を埋める。つまり、隆起部を形成している粉粒体が側方へ移動する現象を利用して、粉粒体を隆起部から沈降部に移動させることができる。この新規な知見に基づき、本発明者は以下の発明に至った。
【0014】
本発明の第1態様によれば、
粉粒体を収容する収容槽と、
前記粉粒体の一部が通過可能な開口部が設けられた少なくとも1つの第1カゴ及び第2カゴと、
前記第1カゴを、前記粉粒体内を通る第1搬送経路に沿って第1方向に搬送するとともに、前記第2カゴを、平面視において前記第1搬送経路に並列に隣接し且つ前記粉粒体内を通る第2搬送経路に沿って前記第1方向とは逆の第2方向に搬送するカゴ搬送部と、
を備える、搬送装置を提供する。
【0015】
本発明の第2態様によれば、
前記第1カゴ及び前記第2カゴの少なくとも一方は、有機物を含む分解対象物を収容可能に構成され、
前記粉粒体は、前記有機物の酸化分解を促進する触媒を含む、
第1態様に記載の搬送装置を提供する。
【0016】
本発明の第3態様によれば、前記カゴ搬送部は、前記第1カゴを第1速度で搬送する第1運転と、前記第1カゴを前記第1速度よりも遅い第2速度で搬送するか又は停止させる第2運転とを交互に繰り返すように構成されている、第1又は第2態様に記載の搬送装置を提供する。
【0017】
本発明の第4態様によれば、
平面視において前記第2方向に沿って並んだ2つの前記第2カゴを備え、
前記第1カゴは、前記第1方向を向く前面部を有し、
前記カゴ搬送部は、前記第2運転への切替時に、前記前面部が前記第1方向において2つの前記第2カゴの間に位置するように、前記第1カゴを搬送する、
第3態様に記載の搬送装置を提供する。
【0018】
本発明の第5態様によれば、
平面視において前記第1方向に沿って並んだ2つの前記第1カゴを備え、
前記収容槽の底部に、前記収容槽から前記粉粒体を排出するための排出口が設けられ、
前記カゴ搬送部は、前記第2運転中に、前記排出口が平面視において2つの前記第1カゴの間に位置するように、前記第1カゴを搬送する、
第3又は第4態様に記載の搬送装置を提供する。
【0019】
本発明の第6態様によれば、
前記収容槽の底部に、前記収容槽に気体を流入させるための気体流入口が設けられ、
前記カゴ搬送部は、前記第1カゴを、前記第2運転中に平面視において前記気体流入口と重なるように搬送する、
第3~第5態様のいずれか1つに記載の搬送装置を提供する。
【0020】
本発明の第7態様によれば、
前記第1カゴ及び前記第2カゴの少なくとも一方は、平面視において搬送方向に沿ってジグザグ状に並び、前記第1搬送経路及び前記第2搬送経路のうちの一方に沿って搬送される複数の偏在カゴを有し、
前記複数の偏在カゴは、搬送方向に沿って整列した複数の外方カゴと、前記複数の外方カゴよりも前記第1搬送経路と前記第2搬送経路のうちの他方の近くで搬送方向に沿って整列した複数の内方カゴとを有する、
第1~第6態様のいずれか1つに記載の搬送装置を提供する。
【0021】
本発明の第8態様によれば、
前記第1カゴは、前記第1方向を向く前面部を有し、
前記第2カゴは、前記複数の偏在カゴを有し、
前記カゴ搬送部は、前記第1カゴを第1速度で搬送する第1運転と、前記第1カゴを前記第1速度よりも遅い第2速度で搬送するか又は停止させる第2運転とを交互に繰り返すように構成され、
前記カゴ搬送部は、前記第2運転への切替時に、前記前面部が前記第1方向において前記複数の内方カゴの間に位置するように、前記第1カゴを搬送する、
第7態様に記載の搬送装置を提供する。
【0022】
本発明の第9態様によれば、
前記収容槽の底部に、前記収容槽から前記粉粒体を排出するための排出口が設けられ、
前記第1カゴは、前記複数の偏在カゴを有し、
前記カゴ搬送部は、前記第1カゴを第1速度で搬送する第1運転と、前記第1カゴを前記第1速度よりも遅い第2速度で搬送するか又は停止させる第2運転とを交互に繰り返すように構成され、
前記カゴ搬送部は、前記第2運転中に、前記排出口が平面視において前記複数の内方カゴの間及び前記複数の外方カゴの間の少なくとも一方に位置するように、前記第1カゴを搬送する、
第7又は第8態様に記載の搬送装置を提供する。
【0023】
本発明の第10態様によれば、
前記第1カゴ及び前記第2カゴの少なくとも一方は、先端部を有するテーパ部を有し、
前記カゴ搬送部は、前記第1カゴ及び前記第2カゴの少なくとも一方を、前記先端部から前記粉粒体に進入させて搬送するように構成されている、
第1~第9態様のいずれか1つに記載の搬送装置を提供する。
【0024】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下の実施形態は、本発明を限定するものではない。また、図面において実質的に同一の部材については、同一の符号を付している。
【0025】
以下では、説明の便宜上、「上」、「下」などの方向を示す用語を用いるが、これらの用語は、本発明に係る搬送装置の稼働状態などを限定するものではない。
【0026】
<実施形態>
図1図8を参照して、本発明の実施形態に係る搬送装置について説明する。図1は、本発明の実施形態に係る搬送装置の平面図である。図2は、図1のII-II線に沿った断面図である。図1及び図2、並びに後に示す図3図4図8、及び図9では、一部の部材を透過して示している。
【0027】
本実施形態に係る搬送装置は、分解対象物に含まれる有機物を触媒の存在下で酸化分解するように構成された装置である。より詳細には、搬送装置は、分解対象物が収容されたカゴを、触媒を含む粉粒体に埋まった状態で搬送するように構成された装置である。図1に示すように、搬送装置1は、粉粒体を収容する筒状の収容槽10と、収容槽10内を通って延在するレール20と、レール20に支持されて搬送される複数のカゴ30とを備える。
【0028】
収容槽10は、略直方体形状を有する。以下の説明では、収容槽10の高さ方向を高さ方向Xといい、平面視における収容槽10の長手方向を長手方向Yといい、平面視における収容槽10の短手方向を短手方向Zという。本実施形態において、長手方向Yと短手方向Zとは、互いに直交している。また、高さ方向Xは、長手方向Y及び短手方向Zの両方に直交している。長手方向Yにおける一方向を第1方向Y1といい、長手方向Yにおける第1方向Y1の逆方向を第2方向Y2という。
【0029】
レール20は、平面視において環状に形成されている。レール20は、収容槽10内で長手方向Yに沿って並列に延在する第1レール部21及び第2レール部22と、2つの転回部23とを有する。第1レール部21の端部と第2レール部22の端部とは、収容槽10の外側で転回部23によって接続されている。本実施形態において、第1レール部21と第2レール部22とは、平面視において直線状であり、互いに平行に延在している。以下の説明では、平面視において環状のレール20の外側から内側に向かう方向を内方といい、環状のレール20の内側から外側に向かう方向を外方という。本実施形態において、各転回部23は、平面視において中心角が180度以上の円弧状に形成されている。
【0030】
図2に示すように、収容槽10は、底壁部11と、高さ方向Xにおいて底壁部11と対向する槽天井部12と、底壁部11及び槽天井部12を接続する一対の側壁部13とを有する。底壁部11は、本発明における「収容槽の底部」に対応する。底壁部11は、平面視において長手方向Yに長い略長方形に形成されている。
【0031】
底壁部11は、長手方向Yにおける2つの両端部11aと、長手方向Yにおいて両端部11aによって挟まれた中間部11bとを有する。本実施形態において、中間部11bは、高さ方向Xに直交する平面上に延在している。各両端部11aは、短手方向Zから見た側面視において、長手方向Yに沿って中間部11bから離れるに従って上方に傾斜するように形成されている。槽天井部12は、平面視において長手方向Yに長い略長方形に形成されている。
【0032】
各側壁部13は、底壁部11の長手方向Yに沿って延びる縁部と、槽天井部12の長手方向Yに沿って延びる縁部とを接続している。収容槽10の長手方向Yにおける両端部には、底壁部11の短手方向Zに延びる縁部、槽天井部12の短手方向Zに延びる縁部、及び側壁部13の高さ方向Xに沿って延びる縁部によって、槽開口部14がそれぞれ形成されている。各槽開口部14は、収容槽10の内部空間と外部とを連通している。
【0033】
底壁部11及び一対の側壁部13によって囲まれる収容空間S1には、粉粒体が収容される。図2には、粉粒体の表面Pが示されている。
【0034】
本明細書において「粉粒体」とは、1種類以上の粒子の集合体を意味する。直径などの粒子の寸法は、「粒子」との用語によって一定の範囲に限定されない。つまり、本明細書における「粒子」は、粒、微粒子、粉などを含む。粒子の形状は、球体、楕円体、多面体などであってよい。また、粉粒体を構成する全ての粒子は、同一の形状を有さなくてもよい。粉粒体は、触媒、研磨材、塗料、保温材などとしての機能を有してよい。本実施形態において、粉粒体は、酸化チタン顆粒を含む。当該酸化チタン顆粒は、加熱されることによって有機物の酸化を促進する触媒作用を有する。なお、粒子は、これに限定されず、触媒としての機能を有する他の酸化物半導体、保温材として機能を有する珪砂などであってもよい。
【0035】
収容槽10の下方には、収容槽10内に気体を送り出すための気流室60が設けられている。気流室60は、高さ方向Xにおいて中間部11bと対向する底壁部61と、中間部11bの縁部及び底壁部61の縁部を接続する周壁部62とを有する。これにより、底壁部61、周壁部62、及び中間部11bによって囲まれた気流空間S2が形成されている。
【0036】
周壁部62には、気流空間S2へ気体を取り入れるための複数の取入口63が設けられている。各取入口63には、例えば、コンプレッサ、ボンベなどの気体の供給源が接続される。本実施形態において、各取入口63には、気流空間S2に空気を供給するエアーコンプレッサ、及び当該空気を加熱するヒータが接続されている。
【0037】
図3を参照して、底壁部11の中間部11bの構成について説明する。図3は、図1における、収容槽10の内部を示すZ1領域の拡大図であって、収容槽10の底壁部11の構成を示す図である。中間部11bには、収容槽10の外部から収容空間S1に気体を供給するための気体流入口51と、収容槽10から粉粒体を排出するための排出穴部52A,52Bとが設けられている。本実施形態において、気体流入口51は、気流室60の気流空間S2から収容空間S1に気体を供給するように構成されている。
【0038】
中間部11bは、平面視において1つの気体流入口51及び2つの排出穴部52A,52Bを含む穴構造53を有する。本実施形態において、穴構造53は、長手方向Yに沿って2列で設けられている。
【0039】
各穴構造53についてより詳しく説明する。穴構造53は、全体として略矩形である。各排出穴部52A,52Bは、平面視において短手方向Zに長い略長方形に形成されている。2つの排出穴部52A,52Bのうち、一方の排出穴部52Aは、平面視において外方に偏って形成され、他方の排出穴部52Bは、平面視において内方に偏って形成されている。気体流入口51は、各穴構造53において、長手方向Yにおける2つの排出穴部52A,52Bの間の領域、排出穴部52Aよりも内方の領域、及び排出穴部52Bよりも外方の領域に跨がって形成されている。
【0040】
気体流入口51は、収容空間S1に収容された粉粒体を通過させず又は通過させにくく且つ気体を通過可能に構成されている。本実施形態において、気体流入口51は、複数のステンレスメッシュを高さ方向Xに重ねて形成されている。
【0041】
図4は、図3のIV-IV線に沿った断面図である。図4では、気体流入口51が破線によって示されている。また、図4には、図3におけるIV-IV線に沿った端面における粉粒体の表面P1が示されている。
【0042】
図4に示すように、各排出穴部52A,52Bは、収容空間S1と収容槽10の外部とを連通している。各排出穴部52A,52Bは、下方に向かって窪んだ排出凹部54と、排出凹部54の底部から下方に延びる排出管55とによって形成されている。排出穴部52A,52Bの上端開口部56、すなわち、排出凹部54の開口部は、本発明における「排出口」に対応する。平面視において、1つの気体流入口51の面積は、1つの上端開口部56の面積よりも大きい。
【0043】
図3に示すように、排出穴部52Aを形成する各排出管55は、平面視において、各排出凹部54内で内方に偏って位置している。一方、排出穴部52Bを形成する各排出管55は、平面視において、各排出凹部54内で外方に偏って位置している。これにより、複数の排出管55は、平面視において長手方向Yに沿って整列している。図4に示すように、排出管55の下端部は、気流室60の底壁部61に接続されている。すなわち、排出管55の下端部は、底壁部61に設けられた下方開口部55aである。
【0044】
図5は、図3のV-V線に沿った断面図であって、収容槽10の底壁部11及び気流空間S2を示す図である。図5に示すように、排出凹部54の底部には、側面視において、短手方向Zに沿って排出管55に近づくに従って下方に傾斜するように形成された傾斜部54aが設けられている。傾斜部54aが設けられることによって、粉粒体は、排出凹部54から排出管55に進入しやすくなる。
【0045】
排出穴部52A,52Bには、当該排出穴部52A,52Bの開閉を切り替えたり、排出される粉粒体の量を調整したりするために構成された弁、シャッターなどが設けられてもよい。
【0046】
図2に示すように、レール20は、側面視において、2つの槽開口部14を通って収容槽10の内部空間に延在している。第1レール部21及び第2レール部22の各々は、側面視において底壁部11に沿った形状を有する。すなわち、第1レール部21及び第2レール部22の各々は、転回部23よりも低い位置に延在する中間部分24と、中間部分24と転回部23とを接続する傾斜部分25とを有する。中間部分24は、図2に示すように中間部11bから一定の高さを有するように形成されてもよく、転回部23よりも低い位置で傾斜するように形成されてもよい。各傾斜部分25は、側面視において、長手方向Yに沿って中間部分24から離れるに従って上方に傾斜するように形成されている。本実施形態において、第1レール部21と第2レール部22とは、側面視において同一の形状を有する。
【0047】
レール20には、複数のカゴ30を搬送するためのチェーン40が設けられている。本実施形態において、チェーン40は、平面視において一方の転回部23の内方に配置されたモータ41(図1参照)によって駆動され、レール20に沿って動く。レール20、チェーン40、及びモータ41は、複数のカゴ30を搬送するカゴ搬送部42を構成している。
【0048】
図6を参照して、各カゴ30の構造について説明する。図6は、図1の搬送装置におけるカゴの斜視図である。以下の説明では、カゴ搬送部42による各カゴ30の搬送方向を前方といい、当該搬送方向と逆方向を後方という。本実施形態において、カゴ30は、複数の棒状のステンレス鋼を屈曲及び溶接して作製されている。そのため、カゴ30には、粉粒体が通過可能な複数の開口部31が形成されている。
【0049】
カゴ30は、略直方体形状を有するカゴ本体32と、カゴ本体32から前方に突出したテーパ部33とを有する。カゴ本体32は、互いに対向する底部32aと天井部32bとを有する。底部32aと天井部32bとは、前方では前方部32cによって接続され、後方では後方部32dによって接続され、側方では一対の側面部32eによって接続されている。本実施形態において、開口部31は、底部32a、天井部32b、前方部32c、後方部32d、及び2つの側面部32eに設けられている。
【0050】
テーパ部33は、搬送方向に沿って前方部32cから離れるに従って先細りになる形状に形成され、先端部37を有する。テーパ部33及び前方部32cは、各カゴ30において、搬送方向を向く前面部38を構成している。先端部37は、例えば、底部32aが延在する平面に直交するカゴの上下方向において、底部32aと同じ高さ又は底部32aよりも下方に位置する。これにより、図2に示すように、各カゴ30をレール20に沿って搬送しながら粉粒体に進入させるときに、より確実に先端部37から進入させることができる。
【0051】
一対の側面部32eのうちの一方には、分解対象物のカゴ30への収容又はカゴ30からの取り出しのための収容口34が設けられている。本実施形態において、1つの収容口34の開口面積は、1つの開口部31の開口面積よりも大きい。
【0052】
天井部32bには、板状の取付部35が設けられている。取付部35には、チェーン40とカゴ30とを接続するカゴ支持部36が取り付けられている。本実施形態において、カゴ支持部36は、円柱形状を有し、その一端部が取付部35に取り付けられている。カゴ支持部36の他端部は、チェーン40(図2参照)に取り付けられている。これにより、複数のカゴ30は、チェーン40がレール20に沿って動くのに伴って搬送される。
【0053】
本実施形態において、カゴ支持部36とチェーン40とのなす角度、及びカゴ支持部36と取付部35とのなす角度は、搬送中に一定である。つまり、図2に示すように、側面視において、チェーン40のうち、カゴ支持部36が取り付けられた部分が傾斜部分25に位置しているとき、当該カゴ支持部36及びそれに接続されたカゴ30は傾く。本実施形態においては、いずれの角度も約90度である。
【0054】
なお、カゴ30の構造は、カゴ搬送部42によって搬送可能に構成され且つ搬送中に収容物を保持することができれば、これに限定されない。例えば、カゴ30は、テーパ部33を有さなくてもよい。また、カゴ本体32は、天井部32b及び前方部32cの少なくとも一方を有さなくてもよい。カゴ30の一部は、カゴ搬送部42の一部を兼ねてもよい。例えば、カゴ搬送部42が粉粒体内に配置されたベルトコンベアである場合、カゴ本体32の底部32aは、当該ベルトコンベアのベルトによって構成されてもよい。さらに、カゴ本体32の底部32a及び天井部32bの少なくとも一部は、開口部31が設けられない平板状であってもよい。この場合にも、粉粒体は、カゴ本体32の他の部分に形成された開口部31を介して、カゴ30内を搬送方向とは逆方向に通過可能である。
【0055】
カゴ30の搬送について説明する。図7は、カゴの搬送速度の変化を示すグラフである。カゴ搬送部42の駆動源であるモータ41は、チェーン40がレール20に沿って第1速度で動くように動作する第1運転と、チェーン40を停止させる第2運転とを繰り返す。これにより、複数のカゴ30は、図7に実線で示すように、第1速度R1での搬送と停止とを繰り返す。なお、複数のカゴ30は、図7に破線で示すように、第1速度R1での搬送と、第1速度R1よりも遅い第2速度R2での搬送とを繰り返してもよい。第2運転中には、転回部23において、カゴ30の収容物の収容及び取り出しが行われてもよい。
【0056】
図1に示すように、複数のカゴ30は、チェーン40と共に移動して、一定の搬送経路を搬送される。この搬送経路のうち、カゴ30が第1レール部21に沿って第1方向Y1(図1における右方向)に搬送される部分を、第1搬送経路71という。一方、カゴ30が第2レール部22に沿って第2方向Y2(図1における左方向)に搬送される部分を、第2搬送経路72という。複数のカゴ30のうち、第1搬送経路71を搬送されているカゴを第1カゴ81といい、第2搬送経路72を搬送されているカゴを第2カゴ82という。すなわち、第1カゴ81の搬送方向は第1方向Y1であり、第2カゴ82の搬送方向は第2方向Y2である。
【0057】
第1レール部21と第2レール部22とが平面視において並列に延在しているため、第1搬送経路71と第2搬送経路72とは、平面視において並列に隣接している。図2に示すように、第1搬送経路71及び第2搬送経路72は、粉粒体内を通っている。本実施形態において、第2搬送経路72のうち、レール20の中間部分24に対応する部分では、カゴ30の全部分が粉粒体に埋まっている。しかしながら、第2搬送経路72の当該部分において、カゴ30の一部のみが粉粒体に埋まってもよい。
【0058】
図1に示すように、第1カゴ81及び第2カゴ82は、平面視において長手方向Yに沿ってジグザグ状に並んだ偏在カゴを有する。本実施形態においては、全ての第1カゴ81及び全ての第2カゴ82が偏在カゴになっている。図1に示す例では、第1カゴ81及び第2カゴ82の各々は、平面視において、レール20から外方又は内方に交互に偏って位置している。
【0059】
第1カゴ81は、長手方向Yに沿って整列した第1外方カゴ81Aと、短手方向Zにおいて第1外方カゴ81Aよりも第2搬送経路72に近い位置で、長手方向Yに沿って整列した第1内方カゴ81Bとを有する。本実施形態において、第1外方カゴ81Aは、第1レール部21から外方に偏って位置し、第1内方カゴ81Bは、第1レール部21から内方に偏って位置している。
【0060】
同様に、第2カゴ82は、長手方向Yに沿って整列した第2外方カゴ82Aと、短手方向Zにおいて第2外方カゴ82Aよりも第1搬送経路71に近い位置で、長手方向Yに沿って整列した第2内方カゴ82Bとを有する。本実施形態において、第2外方カゴ82Aは、第2レール部22から外方に偏って位置し、第2内方カゴ82Bは、第2レール部22から内方に偏って位置している。
【0061】
第1外方カゴ81A及び第2外方カゴ82Aは、本発明における「外方カゴ」にそれぞれ対応する。第1内方カゴ81B及び第2内方カゴ82Bは、本発明における「内方カゴ」にそれぞれ対応する。
【0062】
第1外方カゴ81A及び第2外方カゴ82Aと、第1内方カゴ81B及び第2内方カゴ82Bとでは、各カゴの天井部32bにおける取付部35の配置が異なる。すなわち、第1外方カゴ81A及び第2外方カゴ82Aと、第1内方カゴ81B及び第2内方カゴ82Bとでは、各天井部32bに対するカゴ支持部36の取付位置が異なる。これにより、カゴ30をレール20から外方又は内方に偏って配置することができる。
【0063】
短手方向Zにおける第1内方カゴ81Bと第2内方カゴ82Bとの間の距離は、例えば、第1カゴ81又は第2カゴ82の短手方向Zにおける寸法よりも短い。
【0064】
短手方向Zにおいて、第1内方カゴ81Bと第2搬送経路72との間の距離は、第1外方カゴ81Aと第2搬送経路72との間の距離よりも短い。同様に、短手方向Zにおいて、第2内方カゴ82Bと第1搬送経路71との間の距離は、第2外方カゴ82Aと第1搬送経路71との間の距離よりも短い。
【0065】
本実施形態において、カゴ30は、転回部23においてもレール20に沿ってジグザグ状に並んでいる。すなわち、カゴ30は、転回部23において、レール20から外方に偏って位置する第3外方カゴ83Aと、レール20から内方に偏って位置する第3内方カゴ83Bとを有する。
【0066】
カゴ30が転回部23においてジグザグ状に並ぶことによって、隣り合う第3内方カゴ83Bの間の最短距離D1を、第3外方カゴ83Aの搬送方向における寸法D2よりも小さくすることができる。これにより、カゴ30が転回部23においてレール20に沿って1列に並んでいる構成と比較して、転回部23の平面視における半径を小さくすることができる。
【0067】
カゴ30が少なくとも部分的に粉粒体に埋まった状態で搬送されているとき、カゴ30の前方には、粉粒体が周囲よりも隆起した隆起部が形成される。カゴ30の後方には、粉粒体が周囲よりも沈降した沈降部が形成される。例えば、表面P1には、図3のVI-VI線が横切っている第1内方カゴ81Bの前方に形成された隆起部91Bと、第1内方カゴ81Bの後方に形成された沈降部93Bとが表れている。
【0068】
図8は、図1のZ1領域を示す拡大図であって、粉粒体の隆起部及び沈降部を模式的に示す図である。図8に示すように、長手方向Yにおいて隣り合う第1外方カゴ81Aの間には、第1外方カゴ81Aの前方の隆起部91Aと、第1外方カゴ81Aの後方の沈降部93Aとが形成されている。長手方向Yにおいて隣り合う第1内方カゴ81Bの間には、第1内方カゴ81Bの前方の隆起部91Bと、第1内方カゴ81Bの後方の沈降部93Bとが形成されている。長手方向Yにおいて隣り合う第2外方カゴ82Aの間には、第2外方カゴ82Aの前方の隆起部92Aと、第2外方カゴ82Aの後方の沈降部94Aとが形成されている。長手方向Yにおいて隣り合う第2内方カゴ82Bの間には、第2内方カゴ82Bの前方の隆起部92Bと、第2内方カゴ82Bの後方の沈降部94Bとが形成されている。
【0069】
図3及び図8を参照して、第2運転への切替時における第1カゴ81及び第2カゴ82の位置について説明する。図1図4、及び図8には、第2運転への切替時における第1カゴ81及び第2カゴ82の配置が示されている。第2運転への切替時とは、例えば、カゴ30が第1速度R1から減速して停止した時、すなわち、図7に符号t1によって示す時である。
【0070】
図3に示すように、排出穴部52A,52Bの上端開口部56の少なくとも一部は、平面視において、長手方向Yにおいて2つの第1外方カゴ81Aの間及び2つの第1内方カゴ81Bの間の少なくとも一方に位置している。本実施形態において、上端開口部56の一部は、長手方向Yにおいて2つの第1外方カゴ81Aの間及び2つの第1内方カゴ81Bの間の両方に位置している。これにより、隆起部91A,91Bを形成している粉粒体は、第2運転中に、排出穴部52A,52Bを介して収容槽10から排出されやすくなる。さらに、本実施形態において、上端開口部56の少なくとも一部は、長手方向Yにおいて2つの第2外方カゴ82Aの間及び2つの第2内方カゴ82Bの間にも位置している。
【0071】
第1カゴ81の少なくとも1つは、平面視において、気体流入口51の少なくとも一部と重なっている。これにより、第2運転中に、第1カゴ81の収容物及びその周囲の粉粒体に気体をより確実に供給することができる。本実施形態において、少なくとも部分的に粉粒体に埋まっている全ての第1カゴ81が、気体流入口51の一部と重なっている。また、少なくとも部分的に粉粒体に埋まっている全ての第2カゴ82も、気体流入口51の一部と重なっている。
【0072】
図8に示すように、第1内方カゴ81Bの前面部38は、長手方向Yにおいて2つの第2内方カゴ82Bの間に位置している。第2運転への切替時には、第1内方カゴ81Bの搬送される速度の変化によって、第1速度R1での搬送中よりも大きな揺れが隆起部91Bに加わる。この揺れによって、隆起部91Bを形成している粉粒体の一部は、側方へ崩れて第2搬送経路72に移動する。さらに、側方へ崩れた粉粒体の少なくとも一部は、図8に矢印で示すように、第2搬送経路72に形成された沈降部94Bに移動する。
【0073】
本実施形態において、第2内方カゴ82Bの前面部38は、長手方向Yにおいて2つの第1内方カゴ81Bの間に位置している。これにより、隆起部92Bを形成している粉粒体の一部は、第1搬送経路71及び第1搬送経路71に形成された沈降部93Bに移動する。
【0074】
前記実施形態によれば、第1カゴ81の前方の隆起部91A,91Bを形成している粉粒体の一部は、第1カゴ81によって押しのけられて、側方へ崩れるように移動する。第1搬送経路71及び第2搬送経路72が並列に隣接しているため、側方へ移動した粉粒体は、第2搬送経路72に到達し、第2カゴ82の後方の沈降部94A,94Bを埋める。同様に、第2カゴ82の前方の隆起部92A,92Bを形成している粉粒体の一部は、側方へ崩れて第1搬送経路71に移動し、第1カゴ81の後方の沈降部93A,93Bを埋める。つまり、粉粒体を、2つの搬送経路71,72のうちの一方に形成されている隆起部91A,91B(92A,92B)から他方に形成されている沈降部94A,94B(93A,93B)に移動させることができる。したがって、粉粒体の偏在を抑制することができる。
【0075】
前記実施形態によれば、粉粒体内を通る各搬送経路71,72に沿ってカゴ30を搬送することによって、カゴ30内に収容された分解対象物の酸化分解を促進することができる。また、分解対象物のうち酸化分解されない非分解部分(例えば、無機物)をカゴ30内に保持することができるので、分解対象物をカゴに収容せずに粉粒体に直接投入する場合と比較して、非分解部分の回収を容易に行うことができる。
【0076】
前記実施形態によれば、第1カゴ81の前方の隆起部91A,91Bには、第1カゴ81の搬送速度が第1運転と第2運転との切替時に変化することによって、第1カゴ81が一定の速度で搬送されるときよりも大きな揺れが加わる。この大きな揺れによって、隆起部91A,91Bを形成している粉粒体が側方へ移動するのを促進することができる。これにより、隆起部91A,91Bを形成していた粉粒体が第2搬送経路72に到達しやすくなり、隆起部91A,91Bから第2カゴ82の後方の沈降部94A,94Bに移動する粉粒体の量が増加する。したがって、粉粒体の偏在を更に抑制することができる。
【0077】
前記実施形態によれば、収容槽10の底壁部11に気体流入口51が設けられるので、粉粒体やカゴ30の収容物に任意の気体を供給することができる。例えば、カゴ30の収容物が粉粒体に含まれる触媒の作用によって酸化分解される場合、酸化分解に必要な酸素を収容槽10内に供給することができる。また、例えば、収容槽10内に温度を調整した気体を流入させることによって、粉粒体の温度を調整することができる。さらに、第1カゴ81が低速で搬送されるか又は停止している間に気体流入口51の上方に位置するので、カゴ30の収容物及びその周囲の粉粒体に気体をより確実に供給することができる。
【0078】
前記実施形態によれば、カゴ30が長手方向Yに沿ってジグザグ状に並んでいるので、各偏在カゴ(例えば、第1外方カゴ81A)は、少なくとも部分的に、粉粒体のうち、1つ前の偏在カゴ(例えば、第1内方カゴ81B)が通過していない部分を搬送される。これにより、同一方向(例えば、第1方向Y1)に搬送されるカゴ30が1列に整列した構成と比較して、カゴ30によって押される粉粒体の量を多く維持することができる。したがって、隆起部91A,91B(92A,92B)から沈降部94A,94B(93A,93B)に移動する粉粒体の量が減少しにくくなり、粉粒体の偏在をより確実に抑制することができる。また、カゴ30によって押される粉粒体の量を維持しつつ、長手方向Yに沿って並ぶカゴ30の間隔を短くすることができ、一定の距離内に多くのカゴ30を配置することができる。
【0079】
前記実施形態によれば、第1カゴ81の前方の隆起部91A,91Bに大きな揺れが加わるときに、隆起部91A,91Bと、2つの第2内方カゴ82Bの間の沈降部94Bとは、短手方向Zにおいて隣り合う。これにより、隆起部91A,91Bから側方へ崩れた移動した粉粒体を、沈降部94Bにより確実に移動させることができる。
【0080】
さらに、第2カゴ82が長手方向Yに沿ってジグザグ状に並んでいるので、隣り合う第2外方カゴ82Aの間隔又は隣り合う第2内方カゴ82Bの間隔は、隣り合う第2カゴ82の間隔よりも大きい。そのため、隣り合う第2内方カゴ82Bの間に形成される沈降部94Bは、長手方向Yに沿って1列に整列した第2カゴ82の間に形成される沈降部よりも長手方向Yに大きい。これにより、隆起部91A,91Bを第2搬送経路72に形成された沈降部と隣り合わせにすることが容易になる。
【0081】
第1外方カゴ81A及び第1内方カゴ81Bの前方の隆起部91A,91Bは、第1方向Y1に沿って1列に整列した第1カゴ81の前方に形成される隆起部よりも大きい。そのため、粉粒体から第1外方カゴ81A及び第1内方カゴ81Bに加わる抵抗及びカゴ搬送部42にかかる負荷が大きくなり、カゴ搬送部42が動作不良に陥るおそれがある。一方、前記実施形態によれば、第2運転中に隆起部91A,91Bが排出穴部52A,52Bの上方に位置するので、排出穴部52を介してその上方の粉粒体を排出することによって、隆起部91A,91Bを縮小することができる。これにより、粉粒体から第1外方カゴ81A及び第1内方カゴ81Bに加わる抵抗及びカゴ搬送部42にかかる負荷を低減することができる。したがって、カゴ搬送部42の動作不良を抑制することができる。
【0082】
前記実施形態によれば、カゴ30が先端部37を有するテーパ部33から粉粒体に進入するので、カゴ搬送部42がカゴ30を搬送する力を粉粒体の表面Pの一点に集中させることができる。また、カゴ30にテーパ部33が設けられることによって、粉粒体の表面Pにおけるカゴ30の断面積は、カゴ30が粉粒体に進入するに従って増加する。よって、カゴ30を粉粒体に進入させるためにカゴ搬送部42が要する力を低減することができる。
【0083】
<変形例>
図9を参照して、本実施形態に係る搬送装置の変形例について説明する。図9は、図1の搬送装置の変形例を示す図であって、図1のZ1領域に対応する拡大図である。図9に示す変形例と図3に示す前記実施形態では、第1カゴ及び第2カゴの配置が異なる。また、収容槽の底壁部における気体流入口及び排出穴部の形状及び配置が異なる。
【0084】
図9に示すように、本変形例における第1カゴ181及び第2カゴ182は、平面視において、それぞれ長手方向Yに沿って1列に整列した状態で搬送されている。すなわち、第1カゴ181及び第2カゴ182は、偏在カゴを有さない。
【0085】
変形例における穴構造153は、1つの気体流入口151と、1つの排出穴部152とを含む。気体流入口151及び排出穴部152の各々は、平面視において短手方向Zに長い略長方形に形成されている。各穴構造153において、気体流入口151及び排出穴部152とは、長手方向Yにおいて隣り合って設けられている。すなわち、変形例における収容槽10の中間部111bでは、気体流入口151及び排出穴部152とは、長手方向Yに沿って交互に2列で並んでいる。
【0086】
各排出穴部152は、上記実施形態と同様に、排出凹部154と、排出凹部の底部から下方に延びる排出管155とによって形成されている。排出管155は、平面視において、排出凹部154の底部の短手方向Zにおける中央に接続されている。
【0087】
図9には、第2運転への切替時における第1カゴ181及び第2カゴ182の配置が示されている。第1カゴ181の前面部38の少なくとも一部は、長手方向Yにおいて2つの第2カゴ182の間に位置している。本実施形態において、第2カゴ182の前面部38の少なくとも一部は、長手方向Yにおいて2つの第1カゴ181の間に位置している。
【0088】
排出穴部152の上端開口部156の少なくとも一部は、長手方向Yにおいて2つの第1カゴ181の間及び2つの第2カゴ182の間に位置している。
【0089】
前記変形例によれば、第2運転への切替時、すなわち、第1カゴ181の前方の隆起部に大きな揺れが加わるときに、当該隆起部と2つの第2カゴ182の間の沈降部とが短手方向Zにおいて隣り合う。これにより、第1カゴ181の前方の隆起部から側方へ崩れた粉粒体を、第2カゴ182の間の沈降部により確実に移動させることができる。したがって、第1カゴ181の前方の隆起部から第2カゴ182の後方の沈降部に移動する粉粒体の量が増加するので、粉粒体の偏在を更に抑制することができる。
【0090】
前記変形例によれば、第1カゴ181が低速で搬送されるか又は停止している間に、排出穴部152の上端開口部156は、2つの第1カゴ181の間に形成された隆起部の下方に位置する。このときに、排出穴部152が開放されて粉粒体が収容槽10から排出されることによって、当該隆起部を縮小することができる。これにより、第2運転から第1運転への切替時に、粉粒体から第1カゴ181に加わる抵抗、及びカゴ搬送部42にかかる負荷を低減することができる。したがって、カゴ搬送部42の動作不良を抑制することができる。
【0091】
なお、本発明は、前記実施形態に限定されるものではなく、その他種々の態様で実施することができる。例えば、前記では、レール20、チェーン40、及びモータ41がカゴ搬送部42を構成するものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、カゴ搬送部42は、少なくとも一部が収容槽10内の粉粒体に埋まって配置されたベルトコンベアであってもよい。この場合、カゴ30は、当該ベルトコンベアのベルトに固定されてもよい。
【0092】
また、前記では、1本の環状のレール20が第1レール部21及び第2レール部22の両方を有するものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、搬送装置1は、第1レール部21を有するレールと、第2レール部22を有するレールとの2本のレール20を備えてもよい。この場合、各レール20は、カゴ30が往復する直線状のレールであってもよく、環状のレールであってもよい。また、第1カゴ81と第2カゴ82とが異なる2つの独立したカゴ搬送部42によって搬送される場合、2つのカゴ搬送部42の間において、第2運転への切替のタイミングは異なってもよい。
【0093】
また、前記実施形態では、第1レール部21と第2レール部22とが平面視において直線状であるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1レール部21及び第2レール部22の少なくとも一部は、平面視において曲線形状を有してもよい。
【0094】
また、前記実施形態では、第1カゴ81及び第2カゴ82の両方がジグザグ状に並んでいるものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1カゴ81及び第2カゴ82の一方のみがジグザグ状に配置されてもよい。また、第1カゴ81又は第2カゴ82の一部のみがジグザグ状に並び、残部は搬送方向に沿って1列に整列してもよい。
【0095】
また、前記実施形態では、第1内方カゴ81Bの前面部38が長手方向Yにおいて2つの第2内方カゴ82Bの間に位置するものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、第1カゴ81が長手方向Yに沿って1列に整列している場合、当該第1カゴ81の前面部38が長手方向Yにおいて2つの第2内方カゴ82Bの間に位置してもよい。
【0096】
本発明は、添付図面を参照しながら、好ましい実施形態に関連して充分に記載されているが、この技術に熟練した人々にとって、種々の変形や修正は明白である。このような変形や修正は、添付した請求の範囲による本発明の範囲から外れない限りにおいて、その中に含まれると理解されるべきである。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明に係る搬送装置は、粉粒体の偏在を抑制することができるので、カゴを粉粒体に接触した状態で搬送する搬送装置において有用である。
【符号の説明】
【0098】
1 搬送装置
10 収容槽
11 底壁部
20 レール
30 カゴ
31 開口部
32c 前方部
33 テーパ部
37 先端部
38 前面部
40 チェーン
41 モータ
42 カゴ搬送部
51,151 気体流入口
52,52A,52B,152 排出穴部
56,156 上端開口部
71 第1搬送経路
72 第2搬送経路
81,181 第1カゴ
81A 第1外方カゴ
81B 第1内方カゴ
82,182 第2カゴ
82A 第2外方カゴ
82B 第2内方カゴ
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9