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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112140
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】モータ
(51)【国際特許分類】
   H02K 9/19 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
H02K9/19 A
【審査請求】未請求
【請求項の数】5
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017022
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003218
【氏名又は名称】株式会社豊田自動織機
(74)【代理人】
【識別番号】100105957
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 誠
(74)【代理人】
【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
(72)【発明者】
【氏名】佐々木 智則
(72)【発明者】
【氏名】上辻 清
【テーマコード(参考)】
5H609
【Fターム(参考)】
5H609BB03
5H609BB19
5H609PP02
5H609PP06
5H609PP09
5H609QQ06
5H609QQ10
5H609QQ12
5H609RR26
5H609RR36
5H609RR46
(57)【要約】
【課題】ハウジング内におけるモータ部が配置されていない空間に冷媒を流すことなく、コイルエンドを冷却できるモータを提供する。
【解決手段】ステータ冷却流路Rは、第1モールド部41に設けられた第1コイル冷却流路R20と、ハウジング11に設けられ、外部冷媒流路100と第1コイル冷却流路R20とを連通させる第1連通孔R1及び第1コイル冷却流路R20とコア冷却流路R10とを連通させる第2連通孔とを有している。第1連通孔R1の一端部R1a及び第2連通孔の一端部は、ハウジング11の内面において開口している。第1コイル冷却流路R20は、第1モールド部41内を貫通する貫通孔である。ハウジング11の内面と当接する第1モールド部41の外面において、第1コイル冷却流路R20の第1端部R20aは、第1連通孔R1の一端部R1aと接続され、第1コイル冷却流路R20の第2端部は、第2連通孔の一端部と接続されている。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
モータ部と前記モータ部を収容するハウジングとを備え、
前記モータ部は、ロータと、筒状のステータコア及び前記ステータコアに巻回されたコイルを有するステータと、前記コイルを樹脂によりモールドする樹脂モールド部とを有し、
前記コイルは、前記ステータコアの軸方向の一方の端面である第1端面に位置する第1コイルエンドと、前記ステータコアの軸方向の他方の端面である第2端面に位置する第2コイルエンドとを有し、
前記樹脂モールド部は、前記第1コイルエンドをモールドする第1モールド部と、前記第2コイルエンドをモールドする第2モールド部とを有し、
内部を冷媒が流れることにより前記ステータを冷却するステータ冷却流路が設けられているモータであって、
前記ステータ冷却流路は、
前記ハウジングに設けられ、前記ステータコアを冷却するコア冷却流路と、
前記第1モールド部に設けられ、前記第1コイルエンドを冷却する第1コイル冷却流路と、
前記ハウジングに設けられ、外部冷媒流路と前記第1コイル冷却流路とを連通させる第1連通孔と、
前記ハウジングに設けられ、前記第1コイル冷却流路と前記コア冷却流路とを連通させる第2連通孔と、
前記ハウジングに設けられ、前記コア冷却流路と前記外部冷媒流路とを連通させる第3連通孔と、
を有し、
前記第1連通孔の一端部及び前記第2連通孔の一端部は、前記ハウジングの内面において開口し、
前記第1コイル冷却流路は、前記第1モールド部内を貫通する貫通孔であり、
前記第1モールド部の外面は、前記ハウジングの内面と当接しており、前記ハウジングの内面と当接する前記第1モールド部の外面において、前記第1コイル冷却流路の第1端部は、前記第1連通孔の一端部と接続され、前記第1コイル冷却流路の第1端部とは反対側の端部である第2端部は、前記第2連通孔の一端部と接続されていることを特徴とするモータ。
【請求項2】
前記第1連通孔は、前記外部冷媒流路から前記ステータ冷却流路に前記冷媒を導入するための導入部であり、
前記冷媒は、前記第1連通孔、前記第1コイル冷却流路、前記第2連通孔、前記コア冷却流路の順に流れる請求項1に記載のモータ。
【請求項3】
前記ステータ冷却流路は、
前記第2モールド部に設けられ、前記第2コイルエンドを冷却する第2コイル冷却流路と、
前記ハウジングに設けられ、前記第2コイル冷却流路と前記外部冷媒流路とを連通させる第4連通孔と、
をさらに有し、
前記第3連通孔は、前記第2コイル冷却流路及び前記第4連通孔を介して前記コア冷却流路と前記外部冷媒流路とを連通させ、
前記第3連通孔の一端部及び前記第4連通孔の一端部は、前記ハウジングの内面において開口し、
前記第2コイル冷却流路は、前記第2モールド部内を貫通する貫通孔であり、
前記第2モールド部の外面は、前記ハウジングの内面と当接しており、前記ハウジングの内面と当接する前記第2モールド部の外面において、前記第2コイル冷却流路の第1端部は、前記第3連通孔の一端部と接続され、前記第2コイル冷却流路の第1端部とは反対側の端部である第2端部は、前記第4連通孔の一端部と接続されている請求項1に記載のモータ。
【請求項4】
前記第1コイルエンドの一部は、前記第1コイル冷却流路内に露出している請求項1に記載のモータ。
【請求項5】
前記第1コイル冷却流路は、前記第1モールド部内において前記ステータコアの周方向に周回している請求項1に記載のモータ。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、モータに関する。
【背景技術】
【0002】
モータは、回転軸を回転させるモータ部と、モータ部を収容するハウジングとを備えている。モータ部は、ロータと、ステータと、樹脂モールド部とを有している。回転軸は、ロータに固定されている。回転軸は、ロータと一体的に回転する。回転軸は、軸受によって回転可能に支持されている。ステータは、筒状のステータコアと、ステータコアに巻回されたコイルとを有している。コイルは、ステータコアの軸方向の両端面に位置する一対のコイルエンドを有している。樹脂モールド部は、樹脂によりコイルをモールドしている。
【0003】
モータの駆動時、ステータの温度は上昇する。このため、ステータを冷却することによってステータの温度上昇を抑制することが求められる。例えば、特許文献1に記載のポンプ装置では、次のようにステータを冷却している。ハウジングに設けられた吸入口からハウジング内に冷媒が吸入される。そして、ハウジング内に吸入された冷媒は、ハウジング内におけるモータ部が配置されていない空間を流れる。ステータは、ハウジング内におけるモータ部が配置されていない空間を流れる冷媒によって冷却される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】国際公開第2018/062107号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、特許文献1のようにハウジング内におけるモータ部が配置されていない空間に冷媒が流れる場合、次の2つの問題が生じる。1つ目の問題は、冷媒がロータにかかることによって、ロータの動力損が発生することである。2つ目の問題は、回転軸と軸受との間のシールが必要になることである。上記問題を解決するため、例えば、ハウジング内におけるモータ部が配置されない空間に冷媒を流すことなくステータを冷却することが考えられる。しかしながら、この場合にはコイルエンドの冷却不足が生じるおそれがある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記問題点を解決するためのモータは、モータ部と前記モータ部を収容するハウジングとを備え、前記モータ部は、ロータと、筒状のステータコア及び前記ステータコアに巻回されたコイルを有するステータと、前記コイルを樹脂によりモールドする樹脂モールド部とを有し、前記コイルは、前記ステータコアの軸方向の一方の端面である第1端面に位置する第1コイルエンドと、前記ステータコアの軸方向の他方の端面である第2端面に位置する第2コイルエンドとを有し、前記樹脂モールド部は、前記第1コイルエンドをモールドする第1モールド部と、前記第2コイルエンドをモールドする第2モールド部とを有し、内部を冷媒が流れることにより前記ステータを冷却するステータ冷却流路が設けられているモータであって、前記ステータ冷却流路は、前記ハウジングに設けられ、前記ステータコアを冷却するコア冷却流路と、前記第1モールド部に設けられ、前記第1コイルエンドを冷却する第1コイル冷却流路と、前記ハウジングに設けられ、外部冷媒流路と前記第1コイル冷却流路とを連通させる第1連通孔と、前記ハウジングに設けられ、前記第1コイル冷却流路と前記コア冷却流路とを連通させる第2連通孔と、前記ハウジングに設けられ、前記コア冷却流路と前記外部冷媒流路とを連通させる第3連通孔と、を有し、前記第1連通孔の一端部及び前記第2連通孔の一端部は、前記ハウジングの内面において開口し、前記第1コイル冷却流路は、前記第1モールド部内を貫通する貫通孔であり、前記第1モールド部の外面は、前記ハウジングの内面と当接しており、前記ハウジングの内面と当接する前記第1モールド部の外面において、前記第1コイル冷却流路の第1端部は、前記第1連通孔の一端部と接続され、前記第1コイル冷却流路の第1端部とは反対側の端部である第2端部は、前記第2連通孔の一端部と接続されていることを要旨とする。
【0007】
上記構成によれば、第1コイルエンドをモールドする第1モールド部には、第1コイル冷却流路が設けられている。このため、第1コイル冷却流路を流れる冷媒によって第1コイルエンドを冷却できる。
【0008】
また、第1連通孔の一端部及び第2連通孔の一端部は、ハウジングの内面において開口している。第1コイル冷却流路は、第1モールド部内を貫通する貫通孔である。第1モールド部の外面は、ハウジングの内面と当接している。ハウジングの内面と当接する第1モールド部の外面において、第1コイル冷却流路の第1端部は、第1連通孔の一端部と接続されるとともに、第1コイル冷却流路の第2端部は、第2連通孔の一端部と接続されている。つまり、ステータ冷却流路においてハウジング内に設けられる部分である第1コイル冷却流路は、ハウジング内におけるモータ部が配置されていない空間と連通することなく、外部冷媒流路及びコア冷却流路のそれぞれと連通している。したがって、ハウジング内におけるモータ部が配置されていない空間には冷媒が流れない。よって、ハウジング内におけるモータ部が配置されていない空間に冷媒を流すことなく、コイルエンドを冷却できる。
【0009】
上記モータにおいて、前記第1連通孔は、前記外部冷媒流路から前記ステータ冷却流路に前記冷媒を導入するための導入部であり、前記冷媒は、前記第1連通孔、前記第1コイル冷却流路、前記第2連通孔、前記コア冷却流路の順に流れてもよい。
【0010】
一般に、コイルエンドの耐熱性はステータコアの耐熱性よりも低いため、ステータコアよりもコイルエンドを優先的に冷却するのが好ましい。上記構成によれば、冷媒は、第1コイル冷却流路を流れた後でコア冷却流路を流れる。このため、冷媒がコア冷却流路を流れた後で第1コイル冷却流路を流れる場合と比較して、第1コイルエンドをより冷却できる。したがって、ステータコアよりも第1コイルエンドを優先的に冷却できる。
【0011】
上記モータにおいて、前記ステータ冷却流路は、前記第2モールド部に設けられ、前記第2コイルエンドを冷却する第2コイル冷却流路と、前記ハウジングに設けられ、前記第2コイル冷却流路と前記外部冷媒流路とを連通させる第4連通孔と、をさらに有し、前記第3連通孔は、前記第2コイル冷却流路及び前記第4連通孔を介して前記コア冷却流路と前記外部冷媒流路とを連通させ、前記第3連通孔の一端部及び前記第4連通孔の一端部は、前記ハウジングの内面において開口し、前記第2コイル冷却流路は、前記第2モールド部内を貫通する貫通孔であり、前記第2モールド部の外面は、前記ハウジングの内面と当接しており、前記ハウジングの内面と当接する前記第2モールド部の外面において、前記第2コイル冷却流路の第1端部は、前記第3連通孔の一端部と接続され、前記第2コイル冷却流路の第1端部とは反対側の端部である第2端部は、前記第4連通孔の一端部と接続されていてもよい。
【0012】
上記構成によれば、第2コイルエンドをモールドする第2モールド部には、第2コイル冷却流路が設けられている。このため、第2コイル冷却流路を流れる冷媒によって第2コイルエンドを冷却できる。この場合、第1コイルエンドだけでなく第2コイルエンドも冷却されるため、コイルの温度上昇をより抑制できる。
【0013】
また、第3連通孔の一端部及び第4連通孔の一端部は、ハウジングの内面において開口している。第2コイル冷却流路は、第2モールド部内を貫通する貫通孔である。第2モールド部の外面は、ハウジングの内面と当接している。ハウジングの内面と当接する第2モールド部の外面において、第2コイル冷却流路の第1端部は、第3連通孔の一端部と接続されるとともに、第2コイル冷却流路の第2端部は、第4連通孔の一端部と接続されている。つまり、ステータ冷却流路においてハウジング内に設けられる部分である第2コイル冷却流路は、ハウジング内におけるモータ部が配置されていない空間と連通することなく、外部冷媒流路及びコア冷却流路のそれぞれと連通している。したがって、ハウジング内におけるモータ部が配置されていない空間に冷媒を流すことなく、第2コイルエンドを冷却できる。
【0014】
上記モータにおいて、前記第1コイルエンドの一部は、前記第1コイル冷却流路内に露出していてもよい。
上記構成によれば、第1コイルエンドの一部は第1コイル冷却流路を流れる冷媒に接触するため、第1コイルエンドは第1コイル冷却流路を流れる冷媒によって直接冷却される。したがって、第1コイルエンドが第1モールド部を介して第1コイル冷却流路を流れる冷媒によって冷却される場合と比較して、第1コイルエンドの冷却効果を増大できる。
【0015】
上記モータにおいて、前記第1コイル冷却流路は、前記第1モールド部内において前記ステータコアの周方向に周回していてもよい。
上記構成によれば、1つの第1コイル冷却流路によって、ステータコアの周方向に並ぶ複数のコイルの第1コイルエンドをまとめて冷却することができる。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、ハウジング内におけるモータ部が配置されていない空間に冷媒を流すことなく、コイルエンドを冷却できる。
【図面の簡単な説明】
【0017】
図1】第1実施形態におけるモータを示す断面図である。
図2】第1実施形態におけるモータを示す図1の2-2線に沿う断面図である。
図3】第1実施形態におけるステータ及び樹脂モールド部を示す背面図である。
図4】第1実施形態におけるステータ及び樹脂モールド部を示す正面図である。
図5】第1実施形態におけるモータを示す断面図である。
図6】第2実施形態におけるステータ及び樹脂モールド部を示す背面図である。
図7】第2実施形態におけるステータ及び樹脂モールド部を示す正面図である。
図8】第2実施形態におけるモータを示す断面図である。
図9】変更例におけるモータを示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0018】
[第1実施形態]
以下、モータを具体化した第1実施形態を図1図5にしたがって説明する。
図1及び図2に示すように、モータ10は、ハウジング11と、モータ部12と、回転軸13と、2つの軸受14とを備えている。
【0019】
<ハウジング>
ハウジング11は、金属製である。本実施形態のハウジング11は、アルミニウム製である。本実施形態のハウジング11は、ハウジング本体21と、カバー22と、第1流路形成部材23と、第2流路形成部材24と、第3流路形成部材25とを有している。ハウジング本体21は、円板状の底壁26と、底壁26の外周部から円筒状に延びる周壁27とを有する有底円筒状である。ハウジング本体21は、円筒状の第1ボス28を有している。第1ボス28は、底壁26の内面26aの中央部から突出している。
【0020】
カバー22は、円板状である。カバー22は、ハウジング本体21の開口側の端部に連結されている。カバー22は、ハウジング本体21の開口を閉塞している。カバー22は、軸挿通孔22hを有している。軸挿通孔22hは、カバー22を板厚方向に貫通している。カバー22は、円筒状の第2ボス29を有している。第2ボス29は、カバー22から底壁26に向かって突出している。第2ボス29の内側は、軸挿通孔22hと連通している。
【0021】
第1流路形成部材23は、円筒状である。第1流路形成部材23は、周壁27の外周に位置している。第1流路形成部材23の軸方向は、周壁27の軸方向と一致している。第1流路形成部材23の内周面と周壁27の外周面との間には隙間が設けられている。第2流路形成部材24及び第3流路形成部材25は、円環状である。第2流路形成部材24は、第1流路形成部材23の軸方向の第1端部23aとハウジング本体21の外周面とを連結している。第3流路形成部材25は、第1流路形成部材23の軸方向の第2端部23bとカバー22の外周面とを連結している。
【0022】
<モータ部>
モータ部12は、ハウジング11内に収容されている。ハウジング11内は、ハウジング11の内面によって区画された空間である。本実施形態では、底壁26の内面26a及び周壁27の内周面27aはそれぞれ、ハウジング本体21の内面である。ハウジング本体21の内面及びカバー22の内面22aはそれぞれ、ハウジング11の内面である。本実施形態では、ハウジング11内は、底壁26の内面26aと、周壁27の内周面27aと、カバー22の内面22aとによって区画された空間である。ハウジング11内には、モータ部12が配置されていない空間である非収容空間Sが含まれている。
【0023】
モータ部12は、ステータ30と、樹脂モールド部40と、ロータ50とを有している。ステータ30は、ステータコア31と、コイル32とを有している。
図2に示すように、ステータコア31は、ヨーク33と、複数のティース34とを有している。ヨーク33は、円筒状である。以下では、ヨーク33の軸方向、径方向、及び周方向をそれぞれ、ステータコア31の軸方向、径方向、及び周方向ともいう。ヨーク33の外周面は、周壁27の内周面27aに固定されている。これにより、ステータコア31は、ハウジング11に固定されている。ステータコア31の軸方向は、周壁27の軸方向と一致している。
【0024】
各ティース34は、ヨーク33の内周面から延出している。各ティース34は、ヨーク33の軸方向に延在している。複数のティース34は、ヨーク33の周方向において間隔を空けて並んでいる。各ティース34は、延在部34aと鍔部34bとを有している。延在部34aは、ヨーク33の内周面からヨーク33の径方向に沿って延在している。鍔部34bは、延在部34aにおけるヨーク33とは反対側の端部からステータコア31の周方向両側に突出している。
【0025】
図1に示すように、ステータコア31は、第1端面31aと第2端面31bとを有している。第1端面31aは、ステータコア31の軸方向の一方の端面であり、第2端面31bは、ステータコア31の軸方向の他方の端面である。ステータコア31の第1端面31aは、ハウジング本体21の底壁26側に位置している。ステータコア31の第2端面31bは、カバー22側に位置している。
【0026】
コイル32は、導線からなる。本実施形態のコイル32は、銅線からなる。コイル32は、ステータコア31に巻回されている。詳しくは、コイル32は、複数のティース34の延在部34aの各々に集中巻きされている。したがって、ステータ30は、ティース34と同数のコイル32を有している。コイル32は、ステータコア31の周方向に並んでいる。
【0027】
図1及び図2に示すように、各コイル32は、一対のコイルエンド35と、一対の主部36とを有している。一対のコイルエンド35は、ステータコア31の軸方向においてティース34の両側に位置している。以下の説明では、一対のコイルエンド35のうち、ステータコア31の第1端面31aに位置するコイルエンド35を第1コイルエンド35aとし、ステータコア31の第2端面31bに位置するコイルエンド35を第2コイルエンド35bとする。一対の主部36は、ヨーク33の周方向においてティース34の延在部34aの両側に位置している。
【0028】
樹脂モールド部40は、樹脂によりコイル32をモールドしている。コイル32は、樹脂モールド部40内に位置している。このため、コイル32は、ハウジング11内に露出していない。樹脂モールド部40は、第1モールド部41と、第2モールド部42と、第3モールド部43とを有している。
【0029】
図1及び図3に示すように、第1モールド部41は、第1コイルエンド35aをモールドしている。第1コイルエンド35aは、第1モールド部41内に位置している。第1モールド部41は、ステータコア31の周方向に沿って円環状に延びている。第1モールド部41は、ステータコア31の第1端面31aと底壁26の内面26aとの間に位置している。
【0030】
第1モールド部41は、底壁26の内面26aと対向する第1端面41aを有している。第1端面41aは、第1モールド部41の外面である。本実施形態では、第1端面41aは、底壁26の内面26aと当接している。したがって、第1モールド部41の第1端面41aは、ハウジング11の内面と当接している。
【0031】
また、第1モールド部41は、周壁27の内周面27aと対向する第1外周面41bを有している。第1外周面41bは、第1モールド部41の外面である。第1外周面41bは、周壁27の内周面27aと当接している。したがって、第1モールド部41の第1外周面41bは、ハウジング11の内面と当接している。
【0032】
図1及び図4に示すように、第2モールド部42は、第2コイルエンド35bをモールドしている。第2コイルエンド35bは、第2モールド部42内に位置している。第2モールド部42は、ステータコア31の周方向に沿って円環状に延びている。第2モールド部42は、ステータコア31の第2端面31bとカバー22の内面22aとの間に位置している。
【0033】
第2モールド部42は、カバー22の内面22aと対向する第2端面42aを有している。第2端面42aは、第2モールド部42の外面である。本実施形態では、第2端面42aは、カバー22の内面22aと当接している。したがって、第2モールド部42の第2端面42aは、ハウジング11の内面と当接している。
【0034】
また、第2モールド部42は、周壁27の内周面27aと対向する第2外周面42bを有している。第2外周面42bは、第2モールド部42の外面である。第2外周面42bは、周壁27の内周面27aと当接している。したがって、第2モールド部42の第2外周面42bは、ハウジング11の内面と当接している。
【0035】
図2に示すように、第3モールド部43は、主部36をモールドしている。主部36は、第3モールド部43内に位置している。第3モールド部43は、ヨーク33の内周面とヨーク33の周方向に隣り合う一対のティース34の延在部34aとによって囲まれた空間に位置している。各ティース34の鍔部34bは、第3モールド部43から突出している。
【0036】
図1及び図2に示すように、ロータ50は、ステータ30の内側に配置されている。ステータ30のコイル32に通電されることによってステータ30に回転磁界が発生すると、ロータ50は回転する。
【0037】
本実施形態のロータ50は、筒部材51と、永久磁石52とを有している。筒部材51は、円筒状である。筒部材51は、例えば、チタン合金である。永久磁石52は、円柱状である。永久磁石52の軸方向の寸法は、筒部材51の軸方向の寸法よりも短い。永久磁石52は、径方向に着磁されている。永久磁石52は、筒部材51の内側に配置されている。永久磁石52は、例えば、筒部材51の内側に圧入されることによって筒部材51に固定されている。筒部材51の軸方向は、永久磁石52の軸方向と一致している。筒部材51の軸方向の両端部は、永久磁石52の軸方向の両端面よりも軸方向の両側に突出している。筒部材51の外周面は、ティース34の鍔部34bと対向している。
【0038】
<回転軸>
図1に示すように、回転軸13は、ロータ50に固定されている。ロータ50が回転すると、回転軸13はロータ50と一体回転する。すなわち、モータ部12は、回転軸13を回転させる。
【0039】
本実施形態の回転軸13は、第1軸部材13aと第2軸部材13bとを有している。第1軸部材13a及び第2軸部材13bは円柱状である。第1軸部材13a及び第2軸部材13bは、例えば、鉄製である。
【0040】
第1軸部材13aは、筒部材51の軸方向の第1端部において筒部材51の内側に挿入されている。第1軸部材13aは、例えば、筒部材51の内側に圧入されることによってロータ50に固定されている。第1軸部材13aは、ロータ50と一体的に回転する。第1軸部材13aは、第1ボス28の内側に挿入されている。軸受14は、第1軸部材13aの外周面と第1ボス28の内周面との間に配置されている。軸受14は、ラジアル軸受である。軸受14は、第1軸部材13aを回転可能に支持している。
【0041】
第2軸部材13bは、筒部材51の軸方向の第2端部において筒部材51の内側に挿入されている。第2軸部材13bは、例えば、筒部材51の内側に圧入されることによってロータ50に固定されている。第2軸部材13bは、ロータ50と一体的に回転する。第2軸部材13bは、第2ボス29の内側及び軸挿通孔22hに挿通されている。第2軸部材13bの一部は、ハウジング11外に突出している。軸受14は、第2軸部材13bの外周面と第2ボス29の内周面との間に配置されている。軸受14は、ラジアル軸受である。軸受14は、第2軸部材13bを回転可能に支持している。
【0042】
<冷却流路の構成>
モータ10には、ステータ30を冷却するためのステータ冷却流路Rが設けられている。ステータ30は、ステータ冷却流路R内を流れる冷媒によって冷却される。冷媒としては、例えば、LLCやフロンが挙げられる。本実施形態の冷媒は、LLCである。
【0043】
ステータ冷却流路Rの一端部には、外部冷媒流路100の一端部が接続されるとともに、ステータ冷却流路Rの他端部には、外部冷媒流路100の他端部が接続されている。外部冷媒流路100の途中には、ポンプPが設けられている。外部冷媒流路100は、第1冷媒流路101及び第2冷媒流路102によって構成されている。第1冷媒流路101の一端部は、ポンプPの吐出口Paに接続されるとともに、第1冷媒流路101の他端部は、ステータ冷却流路Rの一端部に接続されている。第2冷媒流路102の一端部は、ポンプPの吸入口Pbに接続されるとともに、第2冷媒流路102の他端部は、ステータ冷却流路Rの他端部に接続されている。ポンプPは、第2冷媒流路102から吸入した冷媒を第1冷媒流路101に吐出する。冷媒は、第1冷媒流路101、ステータ冷却流路R、第2冷媒流路102の順に流れる。外部冷媒流路100及びステータ冷却流路Rは、冷媒が循環する循環流路を構成している。
【0044】
図1及び図2に示すように、ステータ冷却流路Rは、ステータコア31を冷却するコア冷却流路R10を有している。コア冷却流路R10は、ハウジング11に設けられている。本実施形態のコア冷却流路R10は、周壁27の外周面と、第1流路形成部材23の内周面と、第2流路形成部材24と、第3流路形成部材25とによって区画されている。コア冷却流路R10は、円筒状の空間である。
【0045】
図3に示すように、ステータ冷却流路Rは、第1コイルエンド35aを冷却する第1コイル冷却流路R20を有している。第1コイル冷却流路R20は、第1モールド部41に設けられている。第1コイル冷却流路R20は、ステータ冷却流路Rにおいてハウジング11内に設けられる部分である。第1コイル冷却流路R20は、第1モールド部41内を貫通する貫通孔である。
【0046】
本実施形態の第1コイル冷却流路R20は、第1軸路R21と、第1周路R22と、第1径路R23とを有している。第1軸路R21は、ステータコア31の軸方向に沿って延びている。第1周路R22は、第1モールド部41内においてステータコア31の周方向に周回している。第1径路R23は、ステータコア31の径方向に沿って延びている。
【0047】
図1に示すように、本実施形態では、第1コイルエンド35aの一部は、第1周路R22内に露出している。したがって、第1コイルエンド35aの一部は、第1コイル冷却流路R20内に露出している。
【0048】
図3に示すように、第1周路R22の一端部は、第1軸路R21の一端部と接続されているとともに、第1周路R22の他端部は、第1径路R23の一端部と接続されている。第1軸路R21における第1周路R22と接続される端部とは反対側の端部は、第1コイル冷却流路R20の第1端部R20aを構成している。本実施形態では、第1コイル冷却流路R20の第1端部R20aは、第1モールド部41の第1端面41aにおいて開口している。第1径路R23における第1周路R22と接続される端部とは反対側の端部は、第1コイル冷却流路R20の第2端部R20bを構成している。第1コイル冷却流路R20の第2端部R20bは、第1モールド部41の第1外周面41bにおいて開口している。
【0049】
図4に示すように、ステータ冷却流路Rは、第2コイルエンド35bを冷却する第2コイル冷却流路R30を有している。第2コイル冷却流路R30は、第2モールド部42に設けられている。第2コイル冷却流路R30は、ステータ冷却流路Rにおいてハウジング11内に設けられる部分である。第2コイル冷却流路R30は、第2モールド部42内を貫通する貫通孔である。
【0050】
本実施形態の第2コイル冷却流路R30は、第2径路R31と、第2周路R32と、第2軸路R33とを有している。第2径路R31は、ステータコア31の径方向に沿って延びている。第2周路R32は、第2モールド部42内においてステータコア31の周方向に周回している。第2軸路R33は、ステータコア31の軸方向に沿って延びている。
【0051】
図1に示すように、本実施形態では、第2コイルエンド35bの一部は、第2周路R32内に露出している。したがって、第2コイルエンド35bの一部は、第2コイル冷却流路R30内に露出している。
【0052】
図4に示すように、第2周路R32の一端部は、第2径路R31の一端部と接続されているとともに、第2周路R32の他端部は、第2軸路R33の一端部と接続されている。第2径路R31における第2周路R32と接続される端部とは反対側の端部は、第2コイル冷却流路R30の第1端部R30aを構成している。第2コイル冷却流路R30の第1端部R30aは、第2モールド部42の第2外周面42bにおいて開口している。第2軸路R33における第2周路R32と接続される端部とは反対側の端部は、第2コイル冷却流路R30の第2端部R30bを構成している。本実施形態では、第2コイル冷却流路R30の第2端部R30bは、第2モールド部42の第2端面42aにおいて開口している。
【0053】
本実施形態の第1モールド部41は、第1樹脂部材と第2樹脂部材とが互いに接合されることによって形成されている。詳しくは、第1樹脂部材は、第1軸路R21と、第1周路R22及び第1径路R23における底壁26側の半分とを有するように成形される。第2樹脂部材は、第1周路R22及び第1径路R23におけるステータコア31側の半分を有するように成形される。そして、第1樹脂部材と第2樹脂部材とは、第1樹脂部材の第1周路R22と第2樹脂部材の第1周路R22とが対向し、かつ第1樹脂部材の第1径路R23と第2樹脂部材の第1径路R23とが対向するように互いに接合される。
【0054】
同様に、本実施形態の第2モールド部42は、第3樹脂部材と第4樹脂部材とが互いに接合されることによって形成されている。詳しくは、第3樹脂部材は、第2径路R31及び第2周路R32におけるステータコア31側の半分を有するように成形される。第4樹脂部材は、第2径路R31及び第2周路R32におけるカバー22側の半分と、第2軸路R33とを有するように成形される。そして、第3樹脂部材と第4樹脂部材とは、第3樹脂部材の第2径路R31と第4樹脂部材の第2径路R31とが対向し、かつ第3樹脂部材の第2周路R32と第4樹脂部材の第2周路R32とが対向するように互いに接合される。
【0055】
なお、第2樹脂部材及び第3樹脂部材は、第3モールド部43と一体成形されていてもよい。
図1及び図5に示すように、ステータ冷却流路Rは、第1連通孔R1、第2連通孔R2、第3連通孔R3、及び第4連通孔R4を有している。第1連通孔R1、第2連通孔R2、第3連通孔R3、及び第4連通孔R4はそれぞれ、ハウジング11に設けられている。
【0056】
第1連通孔R1は、外部冷媒流路100と第1コイル冷却流路R20とを連通させている。第2連通孔R2は、第1コイル冷却流路R20とコア冷却流路R10とを連通させている。第3連通孔R3は、コア冷却流路R10と第2コイル冷却流路R30とを連通させている。第4連通孔R4は、第2コイル冷却流路R30と外部冷媒流路100とを連通させている。
【0057】
「AがBとCとを連通させる」には、AのみがBとCとの間に介する場合、すなわちAがB及びCのそれぞれと隣接する場合と、Aに加えて他の流路がBとCとの間に介する場合とが含まれる。例えば、A及びDがBとCとの間に介することによって、AがDを介してBとCとを連通させる場合も、「AがBとCとを連通させる」に含まれる。
【0058】
本実施形態では、第3連通孔R3は、第2コイル冷却流路R30及び第4連通孔R4を介してコア冷却流路R10と外部冷媒流路100とを連通させている。したがって、第3連通孔R3は、コア冷却流路R10と外部冷媒流路100とを連通させている。本実施形態の「第3連通孔R3」は、請求項の「コア冷却流路と外部冷媒流路とを連通させる第3連通孔」に対応する。
【0059】
図1に示すように、本実施形態の第1連通孔R1は、底壁26を板厚方向に貫通している。第1連通孔R1の一端部R1aは、ハウジング11の内面において開口している。本実施形態では、第1連通孔R1の一端部R1aは、底壁26の内面26aにおいて開口している。第1連通孔R1の一端部R1aとは反対側の端部である他端部R1bは、底壁26の外面において開口している。
【0060】
第1連通孔R1の他端部R1bは、底壁26の外面において、外部冷媒流路100の一端部と接続されている。本実施形態では、第1連通孔R1の他端部R1bは、底壁26の外面において、第1冷媒流路101におけるポンプPの吐出口Paと接続される端部とは反対側の端部と接続されている。第1連通孔R1は、ステータ冷却流路Rに冷媒を導入するための導入部である。
【0061】
第1コイル冷却流路R20の第1端部R20aは、ハウジング11の内面と当接する第1モールド部41の外面において、第1連通孔R1の一端部R1aと接続されている。本実施形態では、第1コイル冷却流路R20の第1端部R20aは、底壁26の内面26aと当接する第1モールド部41の第1端面41aにおいて、第1連通孔R1の一端部R1aと接続されている。
【0062】
図5に示すように、本実施形態の第2連通孔R2は、周壁27を径方向に貫通している。第2連通孔R2の一端部R2aは、ハウジング11の内面において開口している。第2連通孔R2の一端部R2aは、周壁27の内周面27aにおいて開口している。第2連通孔R2の一端部R2aとは反対側の端部である他端部R2bは、コア冷却流路R10を区画する周壁27の外周面において開口している。
【0063】
第1コイル冷却流路R20の第2端部R20bは、ハウジング11の内面と当接する第1モールド部41の外面において、第2連通孔R2の一端部R2aと接続されている。第1コイル冷却流路R20の第2端部R20bは、周壁27の内周面27aと当接する第1モールド部41の第1外周面41bにおいて、第2連通孔R2の一端部R2aと接続されている。
【0064】
本実施形態の第3連通孔R3は、周壁27を径方向に貫通している。第3連通孔R3の一端部R3aは、ハウジング11の内面において開口している。第3連通孔R3の一端部R3aは、周壁27の内周面27aにおいて開口している。第3連通孔R3の一端部R3aとは反対側の端部である他端部R3bは、コア冷却流路R10を区画する周壁27の外周面において開口している。第3連通孔R3は、周壁27の軸方向においてステータコア31が固定される面を挟んで第2連通孔R2とは反対側に位置している。
【0065】
第2コイル冷却流路R30の第1端部R30aは、ハウジング11の内面と当接する第2モールド部42の外面において、第3連通孔R3の一端部R3aと接続されている。第2コイル冷却流路R30の第1端部R30aは、周壁27の内周面27aと当接する第2モールド部42の第2外周面42bにおいて、第3連通孔R3の一端部R3aと接続されている。
【0066】
図1に示すように、本実施形態の第4連通孔R4は、カバー22を板厚方向に貫通している。第4連通孔R4の一端部R4aは、ハウジング11の内面において開口している。本実施形態では、第4連通孔R4の一端部R4aは、カバー22の内面22aにおいて開口している。第4連通孔R4の一端部R4aとは反対側の端部である他端部R4bは、カバー22の外面において開口している。
【0067】
第4連通孔R4の他端部R4bは、カバー22の外面において、外部冷媒流路100の他端部と接続されている。本実施形態では、第4連通孔R4の他端部R4bは、カバー22の外面において、第2冷媒流路102におけるポンプPの吸入口Pbと接続される端部とは反対側の端部と接続されている。第4連通孔R4は、ステータ冷却流路Rから外部冷媒流路100に冷媒を排出するための排出部である。
【0068】
第2コイル冷却流路R30の第2端部R30bは、ハウジング11の内面と当接する第2モールド部42の外面において、第4連通孔R4の一端部R4aと接続されている。本実施形態では、第2コイル冷却流路R30の第2端部R30bは、カバー22の内面22aと当接する第2モールド部42の第2端面42aにおいて、第4連通孔R4の一端部R4aと接続されている。
【0069】
<冷媒の流れ>
以下、本実施形態のステータ冷却流路Rにおける冷媒の流れについて詳述する。
冷媒は、第1冷媒流路101から第1連通孔R1を通って第1コイル冷却流路R20に流入する。冷媒は、第1コイル冷却流路R20を第1軸路R21、第1周路R22、第1径路R23の順に流れる。ステータコア31の周方向に並ぶ複数のコイル32の第1コイルエンド35aは、第1周路R22を流れる冷媒によって冷却される。コイル32は熱伝導率が高いため、第1コイルエンド35aが冷却されると、主部36も冷却される。
【0070】
次に、冷媒は、第1コイル冷却流路R20から第2連通孔R2を通ってコア冷却流路R10に流入する。冷媒は、コア冷却流路R10を第2連通孔R2から第3連通孔R3に向かってステータコア31の軸方向に流れる。また、冷媒は、コア冷却流路R10内をステータコア31の周方向に流れる。ステータコア31のヨーク33は、周壁27を介してコア冷却流路R10を流れる冷媒によって冷却される。
【0071】
次に、冷媒は、コア冷却流路R10から第3連通孔R3を通って第2コイル冷却流路R30に流入する。冷媒は、第2コイル冷却流路R30を第2径路R31、第2周路R32、第2軸路R33の順に流れる。ステータコア31の周方向に並ぶ複数のコイル32の第2コイルエンド35bは、第2周路R32を流れる冷媒によって冷却される。コイル32は熱伝導率が高いため、第2コイルエンド35bが冷却されると、主部36も冷却される。
【0072】
そして、冷媒は、第2コイル冷却流路R30から第4連通孔R4を通って第2冷媒流路102に流出する。第2冷媒流路102に流入した冷媒は、図示しない冷却装置によって冷却された後、ポンプPの動作によって第1冷媒流路101に戻る。
【0073】
[第1実施形態の作用及び効果]
本実施形態の作用及び効果を説明する。
(1-1)第1コイルエンド35aをモールドする第1モールド部41には、第1コイル冷却流路R20が設けられている。このため、第1コイルエンド35aは、第1コイル冷却流路R20を流れる冷媒によって冷却される。第1コイル冷却流路R20は、第1モールド部41内を貫通する貫通孔である。
【0074】
ハウジング11には、第1連通孔R1、第2連通孔R2、及び第3連通孔R3が設けられている。第1連通孔R1は、外部冷媒流路100と第1コイル冷却流路R20とを連通させる。第2連通孔R2は、第1コイル冷却流路R20とコア冷却流路R10とを連通させる。第3連通孔R3は、コア冷却流路R10と外部冷媒流路100とを連通させる。第1連通孔R1の一端部R1aは、底壁26の内面26aにおいて開口している。第2連通孔R2の一端部R2aは、周壁27の内周面27aにおいて開口している。
【0075】
第1コイル冷却流路R20の第1端部R20aは、底壁26の内面26aと当接する第1モールド部41の第1端面41aにおいて、第1連通孔R1の一端部R1aと接続されている。第1コイル冷却流路R20の第2端部R20bは、周壁27の内周面27aと当接する第1モールド部41の第1外周面41bにおいて、第2連通孔R2の一端部R2aと接続されている。
【0076】
つまり、ステータ冷却流路Rにおいてハウジング11内に設けられる部分である第1コイル冷却流路R20は、ハウジング11内におけるモータ部12が配置されていない空間である非収容空間Sと連通することなく、外部冷媒流路100及びコア冷却流路R10のそれぞれと連通している。よって、非収容空間Sに冷媒を流すことなく、第1コイルエンド35aを冷却できる。その結果、冷媒がロータ50にかかることによって生じるロータ50の動力損を回避できる。また、回転軸13と軸受14との間のシールが不要である。
【0077】
(1-2)一般に、コイルエンド35の耐熱性はステータコア31の耐熱性よりも低いため、ステータコア31よりもコイルエンド35を優先的に冷却するのが好ましい。本実施形態では、第1連通孔R1は、外部冷媒流路100からステータ冷却流路Rに冷媒を導入するための導入部である。冷媒は、第1連通孔R1、第1コイル冷却流路R20、第2連通孔R2、及びコア冷却流路R10をこの順に流れる。つまり、冷媒は、第1コイル冷却流路R20を流れた後でコア冷却流路R10を流れる。このため、冷媒がコア冷却流路R10を流れた後で第1コイル冷却流路R20を流れる場合と比較して、第1コイルエンド35aをより冷却できる。したがって、ステータコア31よりも第1コイルエンド35aを優先的に冷却できる。
【0078】
(1-3)第2コイルエンド35bをモールドする第2モールド部42には、第2コイル冷却流路R30が設けられている。このため、第2コイルエンド35bは、第2コイル冷却流路R30を流れる冷媒によって冷却される。この場合、第1コイルエンド35aだけでなく第2コイルエンド35bも冷却されるため、コイル32の温度上昇をより抑制できる。
【0079】
ハウジング11には、第2コイル冷却流路R30と外部冷媒流路100とを連通させる第4連通孔R4が設けられている。第3連通孔R3は、第2コイル冷却流路R30及び第4連通孔R4を介してコア冷却流路R10と外部冷媒流路100とを連通させている。第2コイル冷却流路R30は、第2モールド部42内を貫通する貫通孔である。第3連通孔R3の一端部R3aは、周壁27の内周面27aにおいて開口している。第4連通孔R4の一端部R4aは、カバー22の内面22aにおいて開口している。
【0080】
第2コイル冷却流路R30の第1端部R30aは、周壁27の内周面27aと当接する第2モールド部42の第2外周面42bにおいて、第3連通孔R3の一端部R3aと接続されている。第2コイル冷却流路R30の第2端部R30bは、カバー22の内面22aと当接する第2モールド部42の第2端面42aにおいて、第4連通孔R4の一端部R4aと接続されている。
【0081】
つまり、ステータ冷却流路Rにおいてハウジング11内に設けられる部分である第2コイル冷却流路R30は、非収容空間Sと連通することなく、外部冷媒流路100及びコア冷却流路R10のそれぞれと連通している。したがって、非収容空間Sに冷媒を流すことなく、第2コイルエンド35bを冷却できる。
【0082】
(1-4)第1コイルエンド35aの一部は、第1コイル冷却流路R20内に露出している。これにより、第1コイルエンド35aの一部は第1コイル冷却流路R20を流れる冷媒に接触するため、第1コイルエンド35aは第1コイル冷却流路R20を流れる冷媒によって直接冷却される。したがって、第1コイルエンド35aが第1モールド部41を介して第1コイル冷却流路R20を流れる冷媒によって冷却される場合と比較して、第1コイルエンド35aの冷却効果を増大できる。
【0083】
同様に、第2コイルエンド35bの一部は、第2コイル冷却流路R30内に露出している。これにより、第2コイルエンド35bの一部は第2コイル冷却流路R30を流れる冷媒に接触するため、第2コイルエンド35bは第2コイル冷却流路R30を流れる冷媒によって直接冷却される。したがって、第2コイルエンド35bが第2モールド部42を介して第2コイル冷却流路R30を流れる冷媒によって冷却される場合と比較して、第2コイルエンド35bの冷却効果を増大できる。
【0084】
(1-5)非収容空間Sに冷媒を流すことなくコイルエンド35を冷却する構成として、例えば、ステータコア31の軸方向に延びる冷却流路を第3モールド部43内に設けることが考えられる。この場合、当該冷却流路を流れる冷媒によって主部36が冷却されることにより、コイルエンド35も冷却される。しかしながら、ステータコア31の周方向に隣り合うコイル32の間に冷却流路を形成することになるため、冷却流路は狭くなりやすい。また、冷却流路を広げようとすると、コイル32の占積率が低下する。
【0085】
これに対し、本実施形態では、第1コイルエンド35aは、第1コイル冷却流路R20を流れる冷媒によって冷却される。第2コイルエンド35bは、第2コイル冷却流路R30を流れる冷媒によって冷却される。この場合、ステータコア31の周方向に隣り合うコイル32の間に冷却流路を形成しなくてもコイルエンド35を冷却できるため、冷媒流路の形成によるコイル32の占積率の低下を回避できる。
【0086】
(1-6)コア冷却流路R10、第1コイル冷却流路R20、及び第2コイル冷却流路R30は連通している。このため、1つのポンプPによって、コア冷却流路R10、第1コイル冷却流路R20、及び第2コイル冷却流路R30に冷媒を流すことができる。したがって、例えば、コア冷却流路R10、第1コイル冷却流路R20、及び第2コイル冷却流路R30が独立して設けられている場合のように流路毎に個別にポンプPを用意する必要がないため、ポンプPの数を削減できる。
【0087】
(1-7)第1コイル冷却流路R20は、第1モールド部41内においてステータコア31の周方向に周回する第1周路R22を有している。したがって、1つの第1コイル冷却流路R20によって、ステータコア31の周方向に並ぶ複数のコイル32の第1コイルエンド35aをまとめて冷却することができる。
【0088】
同様に、第2コイル冷却流路R30は、第2モールド部42内においてステータコア31の周方向に周回する第2周路R32を有している。したがって、1つの第2コイル冷却流路R30によって、ステータコア31の周方向に並ぶ複数のコイル32の第2コイルエンド35bをまとめて冷却することができる。
【0089】
[第2実施形態]
以下、モータを具体化した第2実施形態を図6図8にしたがって説明する。なお、第2実施形態では、ステータ冷却流路Rの構成のみが第1実施形態と異なる。このため、第1実施形態と同じ構成については詳細な説明を省略する。
【0090】
図6に示すように、ステータ冷却流路Rは、複数の第1コイル冷却流路R20を有している。本実施形態では、第1コイル冷却流路R20の数は、コイル32の数と同数である。複数の第1コイル冷却流路R20は、ステータコア31の周方向において間隔を空けて並んでいる。第1コイル冷却流路R20は、ステータコア31の周方向において第1コイルエンド35aと対応する位置に設けられている。第1コイル冷却流路R20は、ステータコア31の軸方向において第1コイルエンド35aと並んでいる。
【0091】
各第1コイル冷却流路R20は、第1モールド部41内を貫通する貫通孔である。本実施形態の各第1コイル冷却流路R20は、ステータコア31の軸方向及び径方向の両方に対して傾斜するように直線状に延びている。各第1コイル冷却流路R20の第1端部R20aは、第1モールド部41の第1端面41aにおいて開口している。各第1コイル冷却流路R20の第2端部R20bは、第1モールド部41の第1外周面41bにおいて開口している。
【0092】
図7に示すように、ステータ冷却流路Rは、複数の第2コイル冷却流路R30を有している。本実施形態では、第2コイル冷却流路R30の数は、コイル32の数と同数である。複数の第2コイル冷却流路R30は、ステータコア31の周方向において間隔を空けて並んでいる。第2コイル冷却流路R30は、ステータコア31の周方向において第2コイルエンド35bと対応する位置に設けられている。第2コイル冷却流路R30は、ステータコア31の軸方向において第2コイルエンド35bと並んでいる。
【0093】
各第2コイル冷却流路R30は、第2モールド部42内を貫通する貫通孔である。本実施形態の各第2コイル冷却流路R30は、ステータコア31の軸方向及び径方向の両方に対して傾斜するように直線状に延びている。各第2コイル冷却流路R30の第1端部R30aは、第2モールド部42の第2外周面42bにおいて開口している。各第2コイル冷却流路R30の第2端部R30bは、第2モールド部42の第2端面42aにおいて開口している。
【0094】
図8に示すように、ステータ冷却流路Rは、複数の第1連通孔R1、複数の第2連通孔R2、複数の第3連通孔R3、及び複数の第4連通孔R4を有している。本実施形態では、第1連通孔R1及び第2連通孔R2の数はそれぞれ、第1コイル冷却流路R20の数と同数である。第3連通孔R3及び第4連通孔R4の数はそれぞれ、第2コイル冷却流路R30の数と同数である。なお、図8では、第1連通孔R1、第2連通孔R2、第3連通孔R3、及び第4連通孔R4は、2つずつ図示されている。
【0095】
複数の第1連通孔R1は、ステータコア31の周方向において間隔を空けて並んでいる。第1連通孔R1は、ステータコア31の周方向において第1コイル冷却流路R20の第1端部R20aと対応する位置に設けられている。各第1連通孔R1は、底壁26を板厚方向に貫通している。各第1連通孔R1の一端部R1aは、底壁26の内面26aにおいて開口している。各第1連通孔R1の一端部R1aとは反対側の端部である他端部R1bは、底壁26の外面において開口している。第1コイル冷却流路R20の第1端部R20aは、底壁26の内面26aと当接する第1モールド部41の第1端面41aにおいて、第1連通孔R1の一端部R1aと接続されている。
【0096】
複数の第2連通孔R2は、ステータコア31の周方向において間隔を空けて並んでいる。第2連通孔R2は、ステータコア31の周方向において第1コイル冷却流路R20の第2端部R20bと対応する位置に設けられている。各第2連通孔R2は、周壁27を径方向に貫通している。各第2連通孔R2の一端部R2aは、周壁27の内周面27aにおいて開口している。各第2連通孔R2の一端部R2aとは反対側の端部である他端部R2bは、コア冷却流路R10を区画する周壁27の外周面において開口している。第1コイル冷却流路R20の第2端部R20bは、周壁27の内周面27aと当接する第1モールド部41の第1外周面41bにおいて、第2連通孔R2の一端部R2aと接続されている。
【0097】
複数の第3連通孔R3は、ステータコア31の周方向において間隔を空けて並んでいる。第3連通孔R3は、ステータコア31の周方向において第2コイル冷却流路R30の第1端部R30aと対応する位置に設けられている。各第3連通孔R3は、周壁27を径方向に貫通している。各第3連通孔R3の一端部R3aは、周壁27の内周面27aにおいて開口している。各第3連通孔R3の一端部R3aとは反対側の端部である他端部R3bは、コア冷却流路R10を区画する周壁27の外周面において開口している。各第3連通孔R3は、周壁27の軸方向においてステータコア31が固定される面を挟んで第2連通孔R2とは反対側に位置している。第2コイル冷却流路R30の第1端部R30aは、周壁27の内周面27aと当接する第2モールド部42の第2外周面42bにおいて、第3連通孔R3の一端部R3aと接続されている。
【0098】
複数の第4連通孔R4は、ステータコア31の周方向において間隔を空けて並んでいる。第4連通孔R4は、ステータコア31の周方向において第2コイル冷却流路R30の第2端部R30bと対応する位置に設けられている。各第4連通孔R4は、カバー22を板厚方向に貫通している。各第4連通孔R4の一端部R4aは、カバー22の内面22aにおいて開口している。各第4連通孔R4の一端部R4aとは反対側の端部である他端部R4bは、カバー22の外面において開口している。第2コイル冷却流路R30の第2端部R30bは、カバー22の内面22aと当接する第2モールド部42の第2端面42aにおいて、第4連通孔R4の一端部R4aと接続されている。
【0099】
<冷媒の流れ>
第2実施形態のステータ冷却流路Rにおける冷媒の流れについて詳述する。
冷媒は、外部冷媒流路100から各第1連通孔R1を通って各第1コイル冷却流路R20に流入する。コイル32は、各第1コイル冷却流路R20を流れる冷媒によって冷却される。第2実施形態では、ステータコア31の周方向に並ぶ複数のコイル32の第1コイルエンド35aは、対応する位置に設けられた第1コイル冷却流路R20を流れる冷媒によって個別に冷却される。
【0100】
次に、冷媒は、各第1コイル冷却流路R20から各第2連通孔R2を通ってコア冷却流路R10に流入する。冷媒は、コア冷却流路R10を各第2連通孔R2から各第3連通孔R3に向かってステータコア31の軸方向に流れる。ステータコア31のヨーク33は、周壁27を介してコア冷却流路R10を流れる冷媒によって冷却される。
【0101】
次に、冷媒は、コア冷却流路R10から各第3連通孔R3を通って各第2コイル冷却流路R30に流入する。コイル32は、各第2コイル冷却流路R30を流れる冷媒によって冷却される。第2実施形態では、ステータコア31の周方向に並ぶ複数のコイル32の第2コイルエンド35bは、対応する位置に設けられた第2コイル冷却流路R30を流れる冷媒によって個別に冷却される。そして、冷媒は、各第2コイル冷却流路R30から各第4連通孔R4を通って外部冷媒流路100に流出する。
【0102】
[第2実施形態の効果]
第2実施形態では、第1実施形態の効果(1-1)~(1-6)と同様の効果に加えて、以下の効果を得ることができる。
【0103】
(2-1)各第1コイル冷却流路R20は、第1モールド部41内において、ステータコア31の軸方向及び径方向の両方に対して傾斜する方向に直線状に延びている。また、各第2コイル冷却流路R30は、第2モールド部42内において、ステータコア31の軸方向及び径方向の両方に対して傾斜する方向に直線状に延びている。この場合、第1実施形態のように樹脂モールド部40を複数の樹脂部材に分割しなくても一括で成形することができる。
【0104】
[変更例]
なお、上記実施形態は、以下のように変更して実施できる。上記実施形態及び以下の変更例は、技術的に矛盾しない範囲で互いに組み合わせて実施できる。
【0105】
○ 第2実施形態において、第1コイル冷却流路R20の数は、コイル32の数と同数でなくてもよい。例えば、1つの第1コイル冷却流路R20は、2つのコイル32の第1コイルエンド35aを冷却する流路であってもよい。この場合、第1コイル冷却流路R20の数は、コイル32の数の半分であればよい。
【0106】
同様に、第2コイル冷却流路R30の数は、コイル32の数と同数でなくてもよい。例えば、1つの第2コイル冷却流路R30は、2つのコイル32の第2コイルエンド35bを冷却する流路であってもよい。この場合、第2コイル冷却流路R30の数は、コイル32の数の半分であればよい。なお、第1コイル冷却流路R20の数と第2コイル冷却流路R30の数は同数でなくてもよい。
【0107】
○ 第1連通孔R1は、外部冷媒流路100と第1コイル冷却流路R20とを連通させるのであれば、周壁27を貫通する貫通孔であってもよい。この場合、第1連通孔R1の一端部R1aは、ハウジング11の内面である周壁27の内周面27aにおいて開口する。第1コイル冷却流路R20の第1端部R20aは、第1モールド部41の外面である第1外周面41bにおいて開口する。第1コイル冷却流路R20の第1端部R20aは、周壁27の内周面27aと当接する第1モールド部41の第1外周面41bにおいて、第1連通孔R1の一端部R1aと接続される。第1モールド部41の第1端面41aは、底壁26の内面26aに当接していなくてもよい。
【0108】
○ 第4連通孔R4は、第2コイル冷却流路R30と外部冷媒流路100とを連通させるのであれば、周壁27を貫通する貫通孔であってもよい。この場合、第4連通孔R4の一端部R4aは、ハウジング11の内面である周壁27の内周面27aにおいて開口する。第2コイル冷却流路R30の第1端部R30aは、第2モールド部42の外面である第2外周面42bにおいて開口する。第2コイル冷却流路R30の第1端部R30aは、周壁27の内周面27aと当接する第2モールド部42の第2外周面42bにおいて、第4連通孔R4の一端部R4aと接続される。第2モールド部42の第2端面42aは、カバー22の内面22aに当接していなくてもよい。
【0109】
○ 第1連通孔R1の他端部R1bは、第2冷媒流路102と接続されるとともに、第4連通孔R4の他端部R4bは、第1冷媒流路101と接続されていてもよい。すなわち、第1連通孔R1は、ステータ冷却流路Rから外部冷媒流路100に冷媒を排出するための排出部であるとともに、第4連通孔R4は、外部冷媒流路100からステータ冷却流路Rに冷媒を導入するための導入部であってもよい。この場合、冷媒は、ステータ冷却流路Rを上記実施形態とは逆の順番に流れる。すなわち、冷媒は、第4連通孔R4、第2コイル冷却流路R30、第3連通孔R3、コア冷却流路R10、第2連通孔R2、第1コイル冷却流路R20、第1連通孔R1の順に流れる。
【0110】
図9に示すように、ステータ冷却流路Rは、第2コイル冷却流路R30、第3連通孔R3、及び第4連通孔R4の代わりに第5連通孔R5を有していてもよい。第5連通孔R5は、第1流路形成部材23の第2端部23bを径方向に貫通している。第5連通孔R5は、コア冷却流路R10と外部冷媒流路100とを直接連通させている。したがって、「第5連通孔R5」は、請求項の「コア冷却流路と外部冷媒流路とを連通させる第3連通孔」に対応する。第5連通孔R5は、例えば、ステータコア31の周方向において第2連通孔R2と対応する位置に設けられている。
【0111】
例えば、第1連通孔R1は、導入部である。第5連通孔R5は、排出部である。この場合、冷媒は、第1連通孔R1、第1コイル冷却流路R20、第2連通孔R2、コア冷却流路R10、第5連通孔R5の順に流れる。第2コイルエンド35bは、第1コイルエンド35aが冷却されることによって主部36を介して冷却される。
【0112】
この構成によれば、第2モールド部42に第2コイル冷却流路R30を形成するとともに、ハウジング11に第3連通孔R3及び第4連通孔R4を形成する場合と比較して、モータ10の構成を簡素化できる。また、冷媒は、コア冷却流路R10よりも先に第1コイル冷却流路R20を流れるため、第1実施形態の効果(1-2)と同様の効果が得られる。
【0113】
なお、第1連通孔R1は、排出部であるとともに、第5連通孔R5は、導入部であってもよい。この場合、冷媒は、第5連通孔R5、コア冷却流路R10、第2連通孔R2、第1コイル冷却流路R20、第1連通孔R1の順に流れる。
【0114】
第5連通孔R5は、ステータコア31の周方向において第2連通孔R2と対応する位置に設けられていなくてもよい。例えば、第5連通孔R5は、ステータコア31の周方向において第2連通孔R2に対して180度ずれた位置に設けられていてもよい。
【0115】
○ ステータ冷却流路Rは、コア冷却流路R10、第1コイル冷却流路R20、第2コイル冷却流路R30、及び第1~第4連通孔R1~R4に加えて、第5連通孔R5を有していてもよい。第5連通孔R5は、例えば、第1流路形成部材23の軸方向の中央部を径方向に貫通することによって、コア冷却流路R10と外部冷媒流路100とを連通させている。したがって、「第5連通孔R5」は、請求項の「コア冷却流路と外部冷媒流路とを連通させる第3連通孔」に対応する。
【0116】
例えば、第1連通孔R1及び第4連通孔R4は、導入部である。第5連通孔R5は、排出部である。この場合、冷媒は、第1連通孔R1、第1コイル冷却流路R20、第2連通孔R2、コア冷却流路R10の順に流れる。また、冷媒は、第4連通孔R4、第2コイル冷却流路R30、第3連通孔R3、コア冷却流路R10の順に流れる。そして、冷媒は、コア冷却流路R10で合流した後、第5連通孔R5から外部冷媒流路100に排出される。この場合、冷媒は、コア冷却流路R10よりも先に第1コイル冷却流路R20及び第2コイル冷却流路R30を流れるため、第1実施形態の効果(1-2)と同様の効果が得られる。
【0117】
なお、第1連通孔R1及び第4連通孔R4は、排出部であるとともに、第5連通孔R5は、導入部であってもよい。この場合、冷媒は、外部冷媒流路100から第5連通孔R5を通ってコア冷却流路R10に流入する。コア冷却流路R10に流入した冷媒は、第2連通孔R2を通って第1コイル冷却流路R20に流入するものと、第3連通孔R3を通って第2コイル冷却流路R30に流入するものとに分かれる。そして、第1コイル冷却流路R20に流入した冷媒は、第1連通孔R1を通って外部冷媒流路100に排出される。第2コイル冷却流路R30に流入した冷媒は、第4連通孔R4を通って外部冷媒流路100に排出される。
【0118】
○ コア冷却流路R10は、周壁27の内部に形成されてもよい。この場合、第1~第3流路形成部材23~25は不要になる。
○ コア冷却流路R10は、周壁27の内部に設けられる筒状部材によって形成されてもよい。例えば、筒状部材は、金属製のパイプであってもよい。
【0119】
○ コア冷却流路R10内には、周壁27の外周面や第1流路形成部材23の内周面から突出するフィンが設けられていてもよい。この場合、コア冷却流路R10の表面積が増大するため、ステータコア31の冷却効果を増大できる。
【0120】
○ コア冷却流路R10内には、コア冷却流路R10での冷媒の流れが所望の流れになるように案内する案内壁が設けられていてもよい。例えば、コア冷却流路R10内には、冷媒がコア冷却流路R10を螺旋状に流れるように案内する螺旋状の案内壁が設けられていてもよい。
【0121】
○ 第1コイルエンド35aの一部は、第1コイル冷却流路R20内に露出していなくてもよい。この場合、第1コイルエンド35aは、第1コイル冷却流路R20を流れる冷媒によって第1モールド部41を介して冷却される。
【0122】
○ 第2コイルエンド35bの一部は、第2コイル冷却流路R30内に露出していなくてもよい。この場合、第2コイルエンド35bは、第2コイル冷却流路R30を流れる冷媒によって第2モールド部42を介して冷却される。
【0123】
○ 上記実施形態のハウジング11の構成は一例である。ハウジング11は、例えば、円筒部材と、円筒部材の一方の開口を閉塞する第1端壁と、円筒部材の他方の開口を閉塞する第2端壁とによって構成されていてもよい。この場合、円筒部材の内周面、第1端壁の内面、及び第2端壁の内面は、ハウジング11の内面である。ハウジング11内は、円筒部材の内周面と、第1端壁の内面と、第2端壁の内面とによって区画される。
【0124】
○ 上記実施形態のロータ50の構成は一例である。ロータ50は、例えば、1本の回転軸13が挿通された円筒形状のロータコアと、ロータコアに埋設された永久磁石とを有するものであってもよい。
【0125】
[付記]
上記各実施形態及び変更例から把握できる技術的思想を以下に記載する。
[1]モータ部と前記モータ部を収容するハウジングとを備え、前記モータ部は、ロータと、筒状のステータコア及び前記ステータコアに巻回されたコイルを有するステータと、前記コイルを樹脂によりモールドする樹脂モールド部とを有し、前記コイルは、前記ステータコアの軸方向の一方の端面である第1端面に位置する第1コイルエンドと、前記ステータコアの軸方向の他方の端面である第2端面に位置する第2コイルエンドとを有し、前記樹脂モールド部は、前記第1コイルエンドをモールドする第1モールド部と、前記第2コイルエンドをモールドする第2モールド部とを有し、内部を冷媒が流れることにより前記ステータを冷却するステータ冷却流路が設けられているモータであって、前記ステータ冷却流路は、前記ハウジングに設けられ、前記ステータコアを冷却するコア冷却流路と、前記第1モールド部に設けられ、前記第1コイルエンドを冷却する第1コイル冷却流路と、前記ハウジングに設けられ、外部冷媒流路と前記第1コイル冷却流路とを連通させる第1連通孔と、前記ハウジングに設けられ、前記第1コイル冷却流路と前記コア冷却流路とを連通させる第2連通孔と、前記ハウジングに設けられ、前記コア冷却流路と前記外部冷媒流路とを連通させる第3連通孔と、を有し、前記第1連通孔の一端部及び前記第2連通孔の一端部は、前記ハウジングの内面において開口し、前記第1コイル冷却流路は、前記第1モールド部内を貫通する貫通孔であり、前記第1モールド部の外面は、前記ハウジングの内面と当接しており、前記ハウジングの内面と当接する前記第1モールド部の外面において、前記第1コイル冷却流路の第1端部は、前記第1連通孔の一端部と接続され、前記第1コイル冷却流路の第1端部とは反対側の端部である第2端部は、前記第2連通孔の一端部と接続されていることを特徴とするモータ。
【0126】
[2]前記第1連通孔は、前記外部冷媒流路から前記ステータ冷却流路に前記冷媒を導入するための導入部であり、前記冷媒は、前記第1連通孔、前記第1コイル冷却流路、前記第2連通孔、前記コア冷却流路の順に流れる[1]に記載のモータ。
【0127】
[3]前記ステータ冷却流路は、前記第2モールド部に設けられ、前記第2コイルエンドを冷却する第2コイル冷却流路と、前記ハウジングに設けられ、前記第2コイル冷却流路と前記外部冷媒流路とを連通させる第4連通孔と、をさらに有し、前記第3連通孔は、前記第2コイル冷却流路及び前記第4連通孔を介して前記コア冷却流路と前記外部冷媒流路とを連通させ、前記第3連通孔の一端部及び前記第4連通孔の一端部は、前記ハウジングの内面において開口し、前記第2コイル冷却流路は、前記第2モールド部内を貫通する貫通孔であり、前記第2モールド部の外面は、前記ハウジングの内面と当接しており、前記ハウジングの内面と当接する前記第2モールド部の外面において、前記第2コイル冷却流路の第1端部は、前記第3連通孔の一端部と接続され、前記第2コイル冷却流路の第1端部とは反対側の端部である第2端部は、前記第4連通孔の一端部と接続されている[1]又は[2]に記載のモータ。
【0128】
[4]前記第1コイルエンドの一部は、前記第1コイル冷却流路内に露出している[1]~[3]の何れか1つに記載のモータ。
[5]前記第1コイル冷却流路は、前記第1モールド部内において前記ステータコアの周方向に周回している[1]~[4]の何れか1つに記載のモータ。
【符号の説明】
【0129】
10…モータ、11…ハウジング、12…モータ部、22a…ハウジングの内面としてのカバーの内面、26a…ハウジングの内面としての底壁の内面、27a…ハウジングの内面としての周壁の内周面、30…ステータ、31…ステータコア、31a…第1端面、31b…第2端面、32…コイル、35a…第1コイルエンド、35b…第2コイルエンド、40…樹脂モールド部、41…第1モールド部、41a…第1モールド部の外面としての第1端面、41b…第1モールド部の外面としての第1外周面、42…第2モールド部、42a…第2モールド部の外面としての第2端面、42b…第2モールド部の外面としての第2外周面、50…ロータ、100…外部冷媒流路、R…ステータ冷却流路、R1…第1連通孔、R1a…第1連通孔の一端部、R2…第2連通孔、R2a…第2連通孔の一端部、R3…第3連通孔、R3a…第3連通孔の一端部、R4…第4連通孔、R4a…第4連通孔の一端部、R10…コア冷却流路、R20…第1コイル冷却流路、R20a…第1端部、R20b…第2端部、R30…第2コイル冷却流路、R30a…第1端部、R30b…第2端部。
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9