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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112148
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ベーカリー製品の製造方法
(51)【国際特許分類】
   A21D 2/26 20060101AFI20240813BHJP
   A21D 2/10 20060101ALI20240813BHJP
   A21D 2/14 20060101ALI20240813BHJP
   A21D 13/00 20170101ALI20240813BHJP
   A23D 7/00 20060101ALN20240813BHJP
【FI】
A21D2/26
A21D2/10
A21D2/14
A21D13/00
A23D7/00 506
【審査請求】未請求
【請求項の数】4
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017032
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000165284
【氏名又は名称】月島食品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100107984
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 雅紀
(74)【代理人】
【識別番号】100182305
【弁理士】
【氏名又は名称】廣田 鉄平
(74)【代理人】
【識別番号】100096482
【弁理士】
【氏名又は名称】東海 裕作
(74)【代理人】
【識別番号】100131093
【弁理士】
【氏名又は名称】堀内 真
(74)【代理人】
【識別番号】100150902
【弁理士】
【氏名又は名称】山内 正子
(74)【代理人】
【識別番号】100141391
【弁理士】
【氏名又は名称】園元 修一
(74)【代理人】
【識別番号】100221958
【弁理士】
【氏名又は名称】篠田 真希恵
(74)【代理人】
【識別番号】100192441
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 仁
(72)【発明者】
【氏名】高橋 泉
(72)【発明者】
【氏名】堀山 祐貴
(72)【発明者】
【氏名】仙崎 佳代
【テーマコード(参考)】
4B026
4B032
【Fターム(参考)】
4B026DC06
4B026DG02
4B026DG04
4B026DL01
4B026DL09
4B026DL10
4B026DP01
4B026DP04
4B026DX02
4B032DB02
4B032DK12
4B032DK18
4B032DK41
4B032DK51
4B032DK54
4B032DP16
(57)【要約】
【課題】ベーカリー製品の製造方法において、ベーカリー製品生地のべたつきがなく、歩留まりが向上してボリュームがあり、また、油脂による発酵阻害がなく、ベーカリー製品の骨格形成が阻害されず、さらに、複数個の小片からなる油脂組成物により生じた油脂浸潤部の口溶けがよくジューシーな食感が得られるベーカリー製品を提供すること。
【解決手段】小麦粉を含む澱粉質原料を攪拌して基本生地を作製し、該基本生地に、合計0.08質量%以上のアミラーゼ及び/又はヘミセルラーゼを含有する、体積0.5~2mLの複数個の小片からなる油脂組成物、好ましくは冷凍状態の油脂組成物を、上記澱粉質原料100質量部に対して15~45質量部加えて攪拌し、油脂組成物を基本生地に練り込むことなく小片の形状を維持した状態で基本生地中に均一に分散させたベーカリー製品生地を調製し、該ベーカリー製品生地を発酵・加熱することにより、ベーカリー製品を製造できる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベーカリー製品の製造方法であって、
少なくとも小麦粉を含む澱粉質原料を含有する基本生地原料を攪拌し、基本生地を作製する基本生地作製工程;
前記基本生地に、体積0.5~2mLの複数個の小片からなる油脂組成物Aを前記澱粉質原料100質量部に対して15~45質量部加え、攪拌してベーカリー製品生地を調製するベーカリー製品生地調製工程;及び
前記ベーカリー製品生地を加熱する加熱工程;を備え、
前記油脂組成物Aは、合計0.08質量%以上のアミラーゼ及び/又はヘミセルラーゼを含有することを特徴とするベーカリー製品の製造方法。
【請求項2】
体積0.5~2mLの複数個の小片が、冷凍状態の小片であることを特徴とする請求項1記載のベーカリー製品の製造方法。
【請求項3】
基本生地の油脂含有量が8質量%以下であることを特徴とする請求項1又は2記載のベーカリー製品の製造方法。
【請求項4】
ベーカリー製品が、内相に局部的に形成された油脂浸潤部を複数個備え、
前記油脂浸潤部が、油脂組成物Aに由来して形成された空洞の内表面及び/又はその周囲に油脂が浸潤して形成されていることを特徴とする請求項1又は2記載のベーカリー製品の製造方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、アミラーゼ又はヘミセルラーゼを含有する複数個の小片からなる油脂組成物を、小麦粉を含む澱粉質原料を含有する基本生地に加え、複数個の油脂組成物の小片を原形をとどめた状態で含んだベーカリー製品生地を発酵、加熱して得られるベーカリー製品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、酵素を含む油脂組成物は知られており、例えば、製菓製パン類のソフト感と口どけ感を改善し、且つ保形成に優れ、ケービング(腰折れ)を改善する、αアミラーゼ、マルトース生成αアミラーゼ、及びエステル化度が23%以上75%未満であるアルギン酸エステルを含む油脂組成物(特許文献1)や、経時的な口溶けの低下が改善されたパンが得られるパン生地並びに、好ましくは焼成後時間が経過しても口溶けとソフトさを兼ね備えたパンが得られるパン生地として、構成脂肪酸としてC12~22の脂肪酸からなる脂肪酸AとC1~10の脂肪酸からなる脂肪酸Bを1:2のモル比で含むABB型トリグリセリドと、構成脂肪酸として脂肪酸Aと脂肪酸Bを2:1のモル比で含むAAB型トリグリセリドと、を含み、前記ABB型トリグリセリドの含量/前記AAB型トリグリセリドの含量(重量比)が0.02~2.0であり、パン生地に含まれる穀粉100重量部に対する前記ABB型トリグリセリドの含量が0.003~4.8重量部であり、更に乳化剤、アミラーゼを含有する可塑性油脂組成物を含有するパン生地(特許文献2)が知られている。
【0003】
また、経時的な老化現象が抑制されたベーカリー製品、及びソフトな食感と歯切れ・口溶けとが両立されたベーカリー製品のための、4糖生成アミラーゼを含有するベーカリー用油脂組成物(特許文献3)や、ソフトでしっとりとした食感を有するベーカリー食品を、べとつき等の生地物性の悪化を引き起こすことなく、安定して得ることができる、ヘミセルラーゼを含有するベーカリー用油中水型乳化油脂組成物(特許文献4)や、ソフトな食感と弾力感に優れ、かつ、付着感が抑制されたベーカリー類が得られる、油脂及び糖分解酵素を含有するベーカリー用の油脂組成物(特許文献5)や、生食の際にソフトな食感と、歯切れ・口溶けが両立されており、かつ再加熱された場合にも、望ましい食感であるベーカリー製品用の酸性プロテアーゼ、及びマルトオリゴ糖生成アミラーゼを含有する油脂組成物(特許文献6)が知られている。
【0004】
一般的には酵素を含む油脂組成物を練り込み用途として使用すると、油脂組成物に含まれる酵素が生地中に均一に練り込まれ、当該生地を焼成して得られたベーカリー製品全体に、酵素の効果が発揮される。しかし、特に食感等の特徴を強く得るために酵素量を増やしてしまうと、生地調製時から酵素が生地に作用し始めて、生地のべたつきによる歩留まりの減少やボリュームの減少等の影響を与えるため、酵素による生地物性の変化を考慮して生地配合や工程管理を工夫する必要がある。
【0005】
一方で、ベーカリー製品生地の全体ではなく一部分にバターやマーガリン、ファットスプレッドを接触させ、加熱焼成することで得られる、独特の食感を有するベーカリー製品が知られている。例えばバターやマーガリン等を生地に巻き込んで焼成するものとして、油脂組成物が生地で巻かれた状態にある巻きパン生地(特許文献7)、ラウリン系油脂を含む注入用油脂組成物(特許文献8)、生地の上に載せて、又は塗って焼成するものがある。これらのベーカリー製品は、溶けた油脂がベーカリー製品の一部分に局部的に広がり、染み込んでおり、部分的にジューシー感が付与されたり、またバターやマーガリン由来の風味が強く付与されるため好まれる。
【0006】
同様に、ベーカリー製品生地の全体ではなく一部分にバターやマーガリン、ファットスプレッドを接触させる例として、パン本来の食感を有し、そのままの状態あるいは、食する前の再加熱後において、バターを塗ったような部分が点在状に形成されたパン類及びその製造方法を提供することを課題とし、パン生地中における油脂量及び油脂の分散状態に着目して、チップ状油脂をパン生地中にその原形を留めて分散混合した後、発酵し、この油脂をパン生地の加熱時に溶融させてパン生地に油脂を浸潤させることにより、パン本来の食感を維持するとともに新たにバター等を塗らなくてもすでにバターが塗られたような状態のパン類の製造方法が提案されている(特許文献9)。
【0007】
しかし、特許文献9の製造方法で得られたパンの、点在状に形成されたバターを塗ったような部分の食感は、再加熱直後のパンにバターやマーガリン等の油脂組成物を塗った部分の食感のような、油脂が染み込み、口溶けよくジューシーな食感には至らず不十分なものであった。
【0008】
【特許文献1】特開2016-054680号公報
【特許文献2】特開2016-189724号公報
【特許文献3】特開2019-071872号公報
【特許文献4】特開2019-149982号公報
【特許文献5】特開2020-178549号公報
【特許文献6】特開2021-036865号公報
【特許文献7】特開2022-011509号公報
【特許文献8】特開2018-057325号公報
【特許文献9】特許第2795789号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明の課題は、ベーカリー製品の製造方法において、ベーカリー製品生地のべたつきがなく機械耐性があり、ベーカリー製品の骨格形成が阻害されず、さらに、複数個の小片からなる油脂組成物により生じた油脂浸潤部の口溶けがよく、ジューシーな食感が得られ、油脂組成物由来の風味を強く感じることのできるベーカリー製品を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するため鋭意検討し、少なくとも小麦粉を含む澱粉質原料を含有する基本生地原料を攪拌して基本生地を作製し、該基本生地に、合計0.08質量%以上のアミラーゼ及び又はヘミセルラーゼを含有する、体積0.5~2mLの複数個の小片からなる油脂組成物、好ましくは冷凍状態の油脂組成物を、上記澱粉質原料100質量部に対して15~45質量部加えて攪拌し、油脂組成物を基本生地に練り込むことなく小片の形状を維持した状態で基本生地中に均一に分散させたベーカリー製品生地を調製し、該ベーカリー製品生地を発酵・加熱することにより、ベーカリー製品生地のべたつきがなく機械耐性があり、ベーカリー製品の骨格形成が阻害されず、さらに、複数個の小片からなる油脂組成物により生じた油脂浸潤部の口溶けがよく、ジューシーな食感が得られ、油脂組成物由来の風味を強く感じることのできるベーカリー製品を製造できることを見いだし、本発明を完成するに至った。
【0011】
すなわち、本発明は、特許請求の範囲に記載された事項により特定されるとおりのものである。
[1]ベーカリー製品の製造方法であって、少なくとも小麦粉を含む澱粉質原料を含有する基本生地原料を攪拌し、基本生地を作製する基本生地作製工程;前記基本生地に、体積0.5~2mLの複数個の小片からなる油脂組成物Aを前記澱粉質原料100質量部に対して15~45質量部加え、攪拌してベーカリー製品生地を調製するベーカリー製品生地調製工程;前記ベーカリー製品生地を加熱する加熱工程;を備え、前記油脂組成物Aは、合計0.08質量%以上のアミラーゼ及び/又はヘミセルラーゼを含有することを特徴とするベーカリー製品の製造方法。
[2]体積0.5~2mLの複数個の小片が、冷凍状態の小片であることを特徴とする上記[1]記載のベーカリー製品の製造方法。
[3]基本生地の油脂含有量が5質量%以下であることを特徴とする上記[1]又は[2]記載のベーカリー製品の製造方法。
[4]ベーカリー製品が、内相に局部的に形成された油脂浸潤部を複数個備え、
前記油脂浸潤部が、前記油脂組成物Aに由来して形成された空洞の内表面及び/又はその周囲に油脂が浸潤して形成されていることを特徴とする上記[1]又は[2]記載のベーカリー製品の製造方法。
【発明の効果】
【0012】
本発明によるとボリュームがあり、ベーカリー製品の骨格形成が阻害されておらず、複数個の小片からなる油脂組成物により生じた油脂浸潤部の口溶けがよく、ジューシーな食感が得られ、油脂組成物由来の風味を強く感じることのできるベーカリー製品を製造することができる。
【図面の簡単な説明】
【0013】
図1】実施例1で製造した食パンの断面写真である。
図2】比較例7で製造した食パンの断面写真である。
図3】実施例11で製造した食パンの断面写真である。
図4】実施例8で製造した食パンの断面写真である。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
本発明のベーカリー製品の製造方法としては、少なくとも小麦粉を含む澱粉質原料を含有する基本生地原料を攪拌し、基本生地を作製する基本生地作製工程;前記基本生地に、体積0.5~2mLの複数個の小片からなる油脂組成物Aを前記澱粉質原料100質量部に対して15~45質量部加え、攪拌してベーカリー製品生地を調製するベーカリー製品生地調製工程;前記ベーカリー製品生地を加熱する加熱工程;を備え、前記油脂組成物A(アミラーゼ及び又はヘミセルラーゼを含有する油脂組成物)は、合計0.08質量%以上のアミラーゼ及び又はヘミセルラーゼを含有することを特徴とするベーカリー製品の製造方法であれば特に制限されず、本発明により製造されるベーカリー製品としては、具体的には、食パン、菓子パン、バラエティーブレッド、バターロール、ソフトロール、ハードロール、スイートロール、デニッシュ、ペストリー、フランスパン等のパン類、パイ、シュー、ドーナツ、バターケーキ、スポンジケーキ、カステラ、パンケーキ、蒸しケーキ、中華まん、饅頭、どら焼き、たい焼き、ハードビスケット、ワッフル、サブレ、ラングドシャ、スコーン等の菓子類を挙げることができる。好ましくはパン類に適用される。
【0015】
上記基本生地作製工程における、少なくとも小麦粉を含む澱粉質原料としては、小麦粉(薄力粉、中力粉、準強力粉、強力粉など)をはじめ、小麦胚芽、全粒粉、小麦ふすま、デュラム粉、大麦粉、米粉、ライ麦粉、ライ麦全粒粉、大豆粉、ハトムギ粉の他、コーンスターチ、タピオカ澱粉、小麦澱粉、甘藷澱粉、サゴ澱粉、米澱粉などの澱粉やそれらの加工澱粉等を挙げることができるが、これらの中でも、穀粉類中に小麦粉を、40質量%以上、好ましくは60質量%以上、より好ましくは80質量%以上又は90質量%以上使用することが望ましい。また、かかる澱粉質原料を含有する基本生地原料においては、必要に応じて、パン酵母、イーストフード、食塩、乳化剤、油脂組成物(後述の油脂組成物B)等の従来知られたベーカリー製品生地に使用することのできるその他の原料を配合することもできる。
【0016】
上記基本生地には、ソフトな食感とするために、油脂組成物Bを含有させることもできるが、その含有量は基本生地中の油分として8質量%以下となる量であることが好ましく、5質量%以下となる量であることがより好ましい。基本生地中の油分が8質量%より多いと、油脂組成物Aと合わせた油脂含有量が多くなり、ベーカリー製品の骨格形成や生地物性に悪影響を及ぼす可能性がある。
【0017】
油脂組成物Bは、ベーカリー製品生地の練り込み用途として知られる、マーガリン、ファットスプレッド、バター、ショートニング、食用油脂であれば使用することができるが、本発明の効果に影響を及ぼさない範囲であればアミラーゼ、ヘミセルラーゼ、プロテアーゼ等の酵素を含有しても構わない。好ましくはこれらの酵素を含有しない。
【0018】
次のベーカリー製品生地調製工程に置いては、基本生地原料から調製された基本生地に、体積0.5~2mLの複数個の小片からなる油脂組成物Aを前記澱粉質原料100質量部に対して15~45質量部加え、攪拌してベーカリー製品生地を調製する。
【0019】
上記油脂組成物Aは体積0.5~2mLの小片状に成型される必要がある。油脂組成物Aの小片の体積が0.5mLより小さいと油脂組成物Aが生地に容易に練り込まれ、油脂組成物Aの小片の体積が2mLより大きいと、内相の空洞が大きくなり、ベーカリー製品としての外観が悪くなる。
【0020】
上記小片状油脂組成物Aの形状は、ベーカリー製品の種類、大きさ等により種々あるが、混捏の段階でその形状を維持したまま均一に生地中に分散され、かつ原形を留めやすい形状が望ましい。また、基本生地との混合状態としては、完全に撹拌・混捏された基本生地に、小片状油脂組成物Aを、個々の形状を留めたまま生地中に分散させた状態であることが必要である。すなわち、小片状油脂が完全には生地中に練りこまれず、油脂の局在化した部分が存在するようにしなければならない。
【0021】
基本生地に練り込まれることがないように、体積0.5~2mLの複数個の小片は冷凍状態の小片であることが好ましい。冷凍状態の小片状油脂とは、冷凍により硬く固化された油脂組成物Aをいう。冷凍状態とするための冷却温度は、一般的には-10℃以下、より好ましくは-15℃以下である。また、小片状に成型する方法としては、小片状の型に流しこみ冷却固化させる方法や、シート状に押し出した油脂組成物を小片状にカットする方法や、穴から吐出させた後にカットして小片状とする方法等が挙げられる。
【0022】
油脂組成物Aは前記澱粉質原料100質量部に対して15~45質量部加えることが必要である。澱粉質原料100質量部に対して15質量より少ないと、油脂浸潤部の箇所が少なくなり、口溶けがよく、油脂が染み込んでジューシーな食感や、油脂組成物由来の風味を強く感じることができない。澱粉質原料100質量部に対して45質量より多いと、生地温度が低くなり発酵が阻害されたり、油脂が多くなりすぎてベーカリー製品自体がべとつくとともに、油脂がベーカリー製品の骨格の形成を阻害しボリュームが出ないことがある。また、機械による大量生産の際には生地のべたつきの影響で機械耐性が悪くなり、具体的には歩留まりの減少、生地荒れによるボリュームの減少、さらにはボリュームが出ないことによる食感への影響等を及ぼす。
【0023】
ここで、上記油脂組成物Aはアミラーゼ又はヘミセルラーゼを含有する油脂組成物であり、かかる油脂組成物は油相が連続相をなす組成物であり、油相のみであるショートニング、油中水型であるマーガリンやファットスプレッド、チョコレート類のように油相に粉体が分散している油脂組成物等を挙げることができる。中でも油脂組成物A由来の風味を強く感じさせる観点から、油脂組成物Aがマーガリンやファットスプレッドのような油中水型乳化物であることが好ましい。油脂組成物Aの油脂含量は、例えば25~95質量%、25~100質量%、30~95質量%、30~100質量%、40~95質量%、40~100質量%、50~95質量%、50~100質量%、60~95質量%、60~100質量%、70~95質量%、70~100質量%、80~95質量%、80~100質量%であることが好ましい。
【0024】
上記油脂組成物Aに使用される油脂としては、通常のマーガリン、ファットスプレッド、ショートニング、チョコレート類等に使用される食用油脂であれば特に制限されず、例えば、大豆油、菜種油、パーム油、パーム核油、ヤシ油、コーン油、綿実油、米油、ヒマワリ油、サフラワー油、カカオ脂、サル脂、牛脂、豚脂、乳脂、魚油、鯨油等の各種の植物油脂及び動物油脂、並びにこれらの油脂に水素添加、分別及びエステル交換から選択された一又は二以上の処理を施した加工油脂や、中鎖脂肪酸トリグリセリド等の合成油脂を挙げることができ、これらの中から選ばれた1種又は2種以上を用いることができる。
【0025】
上記油脂組成物Aに使用される油脂の融点は、加熱工程において融解し、かつ油脂組成物A中の酵素が失活しない48℃以下が好ましく、46℃以下がより好ましく、45℃以下がさらに好ましい。また、小片状油脂組成物Aが発酵工程を経てなおベーカリー製品中で油脂浸潤部として局在化しやすくする観点から、本発明の油脂組成物に使用される油脂の融点は、32℃以上が好ましく、34℃以上がより好ましく、37℃以上がさらに好ましく、40℃以上が最も好ましい。融点は、基準油脂分析試験法「2.2.4.2-1996 融点(上昇融点)」に準じて測定することができる。
【0026】
上記油脂組成物Aには、本発明の効果を損なわない限り、油脂以外の他原材料を含有させることができる。かかる他原材料の例としては、水、乳化剤、増粘安定剤、食塩や塩化カリウム等の塩味剤、酢酸、乳酸、グルコン酸等の酸味料、糖類や糖アルコール類、ステビア、アスパルテーム等の甘味料、β-カロテン、カラメル、紅麹色素等の着色料、トコフェロール、茶抽出物等の酸化防止剤、小麦蛋白や大豆蛋白といった植物蛋白、卵及び各種卵加工品、香料、脱脂粉乳やホエイパウダー等の乳製品、調味料、pH調整剤、食品保存料、果実、果汁、香辛料、穀類、豆類、野菜類、肉類、魚介類等の食品素材や食品添加物を挙げることができる。
【0027】
上記油脂組成物Aには、アミラーゼ又はへミセルラーゼからなる群から選ばれる少なくとも1種が含まれており、これらアミラーゼ又はへミセルラーゼの由来は特に制限されないが、市販の製パン用アミラーゼやヘミセルラーゼや、耐熱性糖分解アミラーゼやヘミセルラーゼが好ましい。
【0028】
上記アミラーゼとしては、例えば、α-アミラーゼやβ-アミラーゼを挙げることができる。α-アミラーゼは、デンプンのα-1,4結合をランダムに切断するエンド型の酵素で、例えば、Bacillus subtilis由来のスミチームA-10、Bacillus sp.由来の耐熱性スミチームAH、Aspergillus niger由来のスミチームAS、Aspergillus oryzae由来のスミチームL(以上、新日本化学工業社製)、細菌由来の耐熱性のスピターゼXP-404V2、細菌由来の耐熱性のスピターゼHK/R(以上、ナガセケムテックスジャパン社製)、Bacillus sp.由来のクライスターゼT10S、Aspergillus属由来のビオザイムA(天野エンザイム社製)、Bacillus sp.由来のオプティケーキ フレッシュ50BG、Bacillus sp.由来のノバミル10000 BG、Bacillus sp.由来のノバミル 3D BG、Aspergillus属由来のファンガミル2500SG(以上、ノボザイムズ ジャパン社製)、Aspergillus oryzae由来のコクラーゼ(三菱ケミカルフーズ社製)、Aspergillus oryzae由来のベイクザイムP500、Bacillus amyloliquefaciens由来のベイクザイムAN301(以上、DSM社製)などが商業的に入手できる。
【0029】
また、β-アミラーゼは、澱粉のα-1,4グルコシド結合を非還元末端からエキソ型に二糖単位で加水分解してマルトースを生成する酵素で、例えば、大豆由来のβ-アミラーゼ#1500S(ナガセケムテックスジャパン社製)、Bacillus属由来のβ-アミラーゼF「アマノ」(天野エンザイム社製)などが商業的に入手できる。
【0030】
その他、澱粉を非還元性末端からグルコース(β型)単位で逐次分解を行うエキソ型酵素であるグルコアミラーゼは、例えば、Aspergillus niger由来のベイクザイムAG800(DSM社製)、Aspergillus属由来のAMG1100BG(ノボザイムズ ジャパン社製)などが商業的に入手できる。また、β-1,4-グルカン(例えば、セルロース)のグリコシド結合を加水分解する酵素であるセルラーゼは、例えば、セルクラストBG(ノボザイムズ ジャパン社製)、Trichoderma reesei由来のベイクザイムX-CELL(DSM社製)などが商業的に入手できる。
【0031】
ヘミセルラーゼは、植物組織からアルカリ抽出される多糖類であるヘミセルロースを加水分解する酵素で、その由来は特に制限されない。基質となるヘミセルロースとしては、キシラン、アラビノキシラン、アラビナン、マンナン、ガラクタン、キシログルカン、グルコマンナン等を挙げることができる。これらヘミセルロースを加水分解する酵素が一般的にはヘミセルラーゼといわれており、例えば、Aspergillus niger由来のスミチームSNX、Trichoderma reesei由来のスミチームX(以上、新日本化学工業社製)、Aspergillus niger由来のセルロシン HC100、Trichoderma reesei由来のセルロシン TP25(以上、エイチビィアイ社製)、Aspergillus niger由来のベイクザイムHS2000、ベイクザイムARA10000、Bacillus subtilis由来のベイクザイムBXP5001(以上、DSM社製)、ペントパン500BG(ノボザイム社製)、ヘミセルラーゼ「アマノ」90(天野エンザイム社製)、スクラーゼTMX(三菱化学フーズ社製)などが商業的に入手できる。
【0032】
上記アミラーゼやヘミセルラーゼとタンパク質分解酵素(プロテアーゼ)を併用することもできるが、プロテアーゼを単独で用いることもできる。かかるプロテアーゼとしては、その由来は特に制限されないが、市販の製パン用プロテアーゼや耐熱性プロテアーゼが好ましい。かかるプロテアーゼとしては、Aspergillus oryzae由来の中性プロテアーゼであるスミチームLP、スミチームLPL、スミチームOP(以上、新日本化学工業社製)、耐熱性プロテアーゼであるプロテアーゼS「アマノ」(天野製薬株式会社製)、ニュートラーゼ1.5MG(ノボザイム社製)、超耐熱性セリンプロテアーゼ Pfu Protease S(タカラバイオ社製)、Aspergillus sp.由来のパンチダーゼP(ヤクルト薬品工業社製)、Bacillus amyloliquefaciens由来のベイクザイムB500、Aspergillus oryzae由来のベイクザイムPPU95.000(以上、DSM社製)などが商業的に入手できる。
【0033】
アミラーゼやヘミセルラーゼの添加量は、酵素の種類、力価、耐熱性、至適温度等によって適宜選択することができるが、例えば、油脂組成物中に合計0.08質量%以上、好ましくは0.1質量%以上、より具体的には0.08~1質量%、0.1~1質量%、0.08~2質量%、0.1~2質量%であり、これら酵素をマーガリンやショートニングに混ぜ込むことにより本発明の油脂組成物Aを得ることができる。アミラーゼやヘミセルラーゼの添加量が油脂組成物A中に合計0.08質量%より少ないと目的の食感や風味が得られず、2質量%より多いと、ベーカリー製品の骨格形成を阻害し、ボリュームが出なかったりパンの保形性に悪影響を及ぼしたりする。また生地がべたつき、機械による大量生産の際には機械耐性が悪くなり、具体的には歩留まりの減少、生地荒れによるボリューム減少、さらにはボリュームが出ないことによる食感への影響等を及ぼす。
【0034】
本発明の油脂組成物Aを製造する方法としては特に限定されないが、例えばショートニングやマーガリン、ファットスプレッドといった油脂組成物に酵素を混合し、油脂組成物中に分散させる方法や、酵素を水に分散させたものを油脂組成物中に分散又は乳化させる方法を挙げることができる。また、融解した油脂に、酵素又は酵素を分散させた水相を、分散又は乳化させたものを、冷却固化する方法、あるいは、冷却、練りを加えて可塑性を有する油脂組成物を得る方法も挙げることができる。あるいは、融解した油脂、又は融解した油脂に水相を加え乳化させたものを、冷却、練りを加えて可塑性を有する油脂組成物を得る工程のいずれかの時点において、酵素若しくは酵素を水に分散させたものを加えて混合する方法も挙げることができる。具体的には、冷却をする前や、練りを加える前、練りを加えた後にラインから油脂組成物を取り出す前などに、酵素又は酵素を油脂や水に分散させたものをライン中に注入しインラインミキサーで混合する方法を挙げることができる。
【0035】
小片状油脂組成物Aが投入混合されたベーカリー製品生地は、分割、丸目、整形、発酵等ベーカリー製品生地の加熱に至るまでの間を通じて、小片状油脂組成物Aが原形を留めるとともに完全に溶融して生地中に溶けだしてしまわないように取り扱われ、例えば発酵室等の温度が調整される。またベーカリー製品生地を発酵させる場合は、生地温度が低くても、発酵を十分に促進するためにイーストの添加量の増量及び各発酵時間を延長することも必要に応じてされる。なお、小片状油脂組成物Aが投入されたベーカリー製品生地を、加熱前の所定の段階で冷蔵・冷凍して保存し、その後、解凍して使用することもできる。
【0036】
ベーカリー製品生地を加熱する加熱工程における加熱時には、小片状油脂組成物Aが溶融して液状となり、分散位置からその周囲の加熱焼成中のベーカリー製品生地に浸潤する。浸潤すると、小片状油脂組成物A中の酵素がベーカリー製品生地の内表面に作用して、内相を柔らかくし、かつ、周辺部への油脂の浸潤をさらに促進する。この際、小片状油脂組成物Aがベーカリー製品生地に対して均一に分散された状態であれば、浸潤部もほぼベーカリー製品生地に均一に分布する。
【0037】
ベーカリー製品生地が焼成されて得られたベーカリー製品の内相には、油脂組成物Aに由来して形成された空洞の内表面及び/又はその周囲に油脂が浸潤して、油脂浸潤部が形成されていることが好ましい。加熱焼成後の冷却に伴い、油脂は油脂浸潤部において固化し、内相の構造に沿って張り付き、目視でも明確にその存在が認識できる。油脂浸潤部は油脂組成物Aが生地中に原形をとどめて分散されることにより形成されるため、油脂組成物Aが生地中に練り込まれてしまった場合には、油脂浸潤部として認識することができない。このような場合、ベーカリー製品生地を製造する段階で、油脂組成物Aに含有される酵素が生地全体に対して徐々に作用し、澱粉やヘミセルロースの分解が生地全体の骨格に影響し、焼成品の保形性や生地のべたつきに影響を及ぼすことがある。
【0038】
油脂浸潤部では、生地の焼成時に酵素によって澱粉やヘミセルロースが局部的に分解されているため、内相自体が柔らかく口溶けの良い食感となっている上に、得られたベーカリー製品を再加熱すると、油脂浸潤部の油脂が溶融し、酵素によって局部的に澱粉やヘミセルロースが分解された部分にさらに油脂が浸潤し、ジューシーな食感を呈するようになる。また、口溶けの向上と油脂の広がりにより、油脂組成物に由来する風味を感じやすくなる。
【実施例0039】
〔使用酵素〕
<α-アミラーゼ>
・スミチームAH(新日本化学工業社製)
・スミチームA10(新日本化学工業社製)
・スミチームAS(新日本化学工業社製)
<ヘミセルラーゼ>
・ベイクザイムBXP5001(DSM社製)
・ベイクザイムHS20000BG(DSM社製)
【0040】
[マーガリンA-1~A-14の調製]
パーム系油脂、菜種油からなる配合油(融点41℃)を60℃に加熱溶解し、乳化剤、βカロチン、香料を溶解し、油相を得た。60℃に加温した水に塩及び[表1]記載の酵素を溶解して水相を得、油相に水相を添加して乳化し、殺菌し、パーフェクターにて急冷・可塑化した。レスティングチューブを通過後、円筒状に押し出し、目的の長さとなるように出口でカットして小片状に成型した。カットした小片は冷却し直ちに冷凍保存(-18℃)した。
【0041】
【表1】
【0042】
[パンの調製]
[表2]にパンの原料組成を表す。
【0043】
【表2】
表2中の数字は質量部
マーガリンB:VMマーガリン(月島食品工業製)油脂82.7%
【0044】
1.基本生地の調製
(1)中種の調製
1)表2、中種の原材料をミキシング(低速3分、中速2分)
2)捏ね上げ温度24℃
3)27℃、湿度75%で4時間発酵
4)生地温度29℃
【0045】
(2)本捏生地の調製
1)前記中種に、マーガリン以外の原料を加えミキシング(低速2分、中速4分)
2)マーガリンBを加えミキシング(低速2分、中速4分、高速1分)
3)捏ね上げ温度28℃
4)基本生地の油分 3×0.827/100×100=2.481%
【0046】
2.試験生地、実施例1~10、比較例1~4の調製
1)前記本捏生地にマーガリンA1~A14を加えミキシング(低速1分)
2)捏ね上げ温度25℃
3)フロアータイム30分
4)生地重量360gに分割
5)ベンチタイム20分
6)ロール成形し、ワンローフ型に入れる
7)38℃、湿度80%で60分発酵
8)焼成 温度 上火190℃ 下火200℃ 時間23分
【0047】
[各種評価項目]
1.生地のべたつき
べたつかない ○
ややべたつく △
べたつく ×
【0048】
2.油脂浸潤部の形成
得られた食パンを厚さ15mmにスライスし、内相を観察して油脂浸潤部を評価した。
多数形成されている ○
形成されているが少ない △
ほぼ形成されていない ×
【0049】
3.官能評価
得られた食パンを厚さ15mmにスライスし、トースターで焼成後、5分以内に食し、以下の項目についてパネル4名で合議で評価した。
(1)ジューシー感
比較例1よりもとてもジューシーである 2
比較例1よりもジューシーである 1
比較例1と同等 0
比較例1よりもジューシーでない -1
【0050】
(2)油脂浸潤部の口溶けのよさ
比較例1よりもとても口溶けがよい 2
比較例1よりも口溶けがよい 1
比較例1と同等 0
比較例1よりも口溶けが悪い -1
【0051】
(3)風味の出方
比較例1よりもとても風味を感じやすい 2
比較例1よりも風味を感じやすい 1
比較例1と同等 0
比較例1よりも風味を感じにくい -1
【0052】
[実施例1~10及び比較例1~4]
実施例1~10及び比較例1~4の評価結果を[表3]に示す。なお、比較例1はマーガリンA-1にアミラーゼ又はヘミセルラーゼが含有されておらず、比較例2~4はマーガリンA-2、マーガリンA-5及びマーガリンA-8のアミラーゼ含量がいずれも0.01質量%である。
【0053】
【表3】
【0054】
[マーガリンA-15~A-17の調製]
1)マーガリンA-1~A-14と同様に、[表4]に記載の原材料と成形にてマーガリンA-15及びA-16を調製した。また、マーガリンA-17は、マーガリンA-15及びA-16と同様に原材料を混合、乳化、殺菌後、パーフェクターにて急冷し練りを加えた後、レスティングチューブを経由せず、また小片状に成形せずにビニール袋に充填した。
【0055】
【表4】
【0056】
[実施例11~14及び比較例5~8]
実施例11~14及び比較例5~8について、以下の[表5]に、基本生地重量(g)、使用マーガリンA、マーガリンA投入前の保管温度、マーガリンA投入後の撹拌条件、マーガリンAの1片の体積(ml)、及び、各評価項目の結果を示す。なお、マーガリンA-17の投入に際しては、ビニール袋に充填されたマーガリンをへらですくって必要量量り取った。
【0057】
【表5】
【0058】
なお、比較例5は、マーガリンA-15の1片の体積が0.38mLであり、比較例6及び7はマーガリンA投入前の保管温度がともに10℃である。比較例6はマーガリンAを小片状に分散させることができず、生地が均一になるまで(マーガリンが練り込まれるまで)撹拌した。比較例7はマーガリンAを小片状に分散させることができなかった。撹拌中小片同士がつぶされて塊になりつつ、生地の中に練り込まれた。比較例6及び7は焼成品の側面が大きく湾曲(腰折れ)していた。マーガリンAが生地に練り込まれ、二次発酵中に酵素が生地に作用し、パンの骨格が弱くなったためと考えられる。
【0059】
次に、製造した食パンの断面写真を図1~4に示す。
図1は、実施例1で製造した食パンの断面写真であり、油脂浸潤部の形成:○、油脂浸潤部が分散して存在し、油脂が浸潤して固化している様子が目視で確認できる。
図2は、比較例7で製造した食パンの断面写真であり、油脂浸潤部の形成:×、油脂浸潤部が稀に存在するが、ほぼ形成されていない上に、側面が大きく湾曲している(腰折れ)。
図3は、実施例11で製造した食パンの断面写真であり、油脂浸潤部の形成:○、内相の空洞が大きく、油脂浸潤部の存在する箇所がばらついている。
図4は、実施例8で製造した食パンの断面写真であり、油脂浸潤部の形成:△、油脂浸潤部が形成されているが少ない。
図1
図2
図3
図4