(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024011216
(43)【公開日】2024-01-25
(54)【発明の名称】クレジットカードシステム
(51)【国際特許分類】
G06Q 20/24 20120101AFI20240118BHJP
G06Q 20/40 20120101ALI20240118BHJP
【FI】
G06Q20/24
G06Q20/40 320
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2022113043
(22)【出願日】2022-07-14
(71)【出願人】
【識別番号】302064762
【氏名又は名称】株式会社日本総合研究所
(74)【代理人】
【識別番号】100125645
【弁理士】
【氏名又は名称】是枝 洋介
(74)【代理人】
【識別番号】100145609
【弁理士】
【氏名又は名称】楠屋 宏行
(74)【代理人】
【識別番号】100149490
【弁理士】
【氏名又は名称】羽柴 拓司
(72)【発明者】
【氏名】齊藤 勇人
【テーマコード(参考)】
5L055
【Fターム(参考)】
5L055AA52
5L055AA75
(57)【要約】
【課題】不正利用防止のためにクレジットカードの利用を停止する場合、カード会員が当面の支払いに対する決済手段を確保することを可能にするクレジットカードシステムを提供する。
【解決手段】
クレジットカードシステム1は、電子マネーによる決済を実行可能な決済手段と、当該決済手段に対する電子マネーのチャージに利用可能なクレジットカードとを紐付けて記憶する記憶部を備えており、不正利用防止のためにクレジットカードの利用を停止する場合に、当該クレジットカードと紐付けられている決済手段を特定し(S102)、特定された決済手段に対して、利用が停止される前記クレジットカードを用いて緊急用の電子マネーをチャージする(S104)。
【選択図】
図3
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電子マネーによる決済を実行可能な決済手段と、当該決済手段に対する電子マネーのチャージに利用可能なクレジットカードとを紐付けて記憶する記憶部と、
不正利用防止のためにクレジットカードの利用を停止する場合に、当該クレジットカードと紐付けられている決済手段を特定する特定部と、
特定された決済手段に対して、利用が停止される前記クレジットカードを用いて緊急用の電子マネーをチャージするチャージ部と
を備える、クレジットカードシステム。
【請求項2】
クレジットカードの不正利用の疑いを検出する検出部
をさらに備え、
前記特定部は、不正利用の疑いが検出されたクレジットカードの利用を停止する場合に、当該クレジットカードと紐付けられている決済手段を特定する、
請求項1に記載のクレジットカードシステム。
【請求項3】
利用が停止される前記クレジットカードの利用者に対して、不正利用の疑いが検出されたために緊急用の電子マネーがチャージされることを示す情報を通知する通知部を
さらに備える、
請求項2に記載のクレジットカードシステム。
【請求項4】
前記緊急用の電子マネーのチャージ額を決定するチャージ額決定部
をさらに備え、
前記チャージ部は、決定されたチャージ額の電子マネーを前記決済手段にチャージする、
請求項1に記載のクレジットカードシステム。
【請求項5】
前記チャージ額決定部は、利用が停止される前記クレジットカードの利用実績に基づいて緊急用のチャージ額を決定する、
請求項4に記載のクレジットカードシステム。
【請求項6】
前記決済手段は、コンピュータにインストールされるアプリケーションプログラム、または利用が停止される前記クレジットカードとは異なるプリペイド式クレジットカードであり、
前記チャージ部は、前記アプリケーションプログラム、または前記プリペイド式クレジットカードに緊急用の電子マネーをチャージする、
請求項1に記載のクレジットカードシステム。
【請求項7】
前記決済手段側から緊急用の電子マネーのチャージ要求を受け付けた場合、前記特定部は、当該決済手段を、前記クレジットカードと紐付けられている決済手段として特定する、
請求項1に記載のクレジットカードシステム。
【請求項8】
不正利用防止のためにクレジットカードの利用を停止する場合に、電子マネーによる決済を実行可能な決済手段に対して、利用が停止される前記クレジットカードを用いて緊急用の電子マネーをチャージするチャージ部
を備える、クレジットカードシステム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、クレジットカードに関する各種処理を実行するクレジットカードシステムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、クレジットカードが加盟店で利用された場合に、その加盟店の位置とカード会員が所有する通信機器の位置との整合性を確認し、不整合であることが確認された場合にクレジットカードの利用を停止する不正利用検知システムが開示されている。このように、クレジットカードの不正利用が疑われる場合、またはカード会員がクレジットカードを紛失した場合などにおいては、不正利用を防止するためにそのクレジットカードの利用を停止する必要性が生じる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、クレジットカードの利用が停止されると、その後に予定していた支払いに不便が生じる等の問題が生じる。そのため、クレジットカードの利用を停止する際に、当面発生する支払いに対する決済手段を確保できることが望ましい。
【0005】
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、その主たる目的は、クレジットカードの利用が停止される場合において、当面発生する支払いに対する決済手段を確保することを可能にするクレジットカードシステムを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記の課題を解決するために、本発明の一の態様のクレジットカードシステムは、電子マネーによる決済を実行可能な決済手段と、当該決済手段に対する電子マネーのチャージに利用可能なクレジットカードとを紐付けて記憶する記憶部と、不正利用防止のためにクレジットカードの利用を停止する場合に、当該クレジットカードと紐付けられている決済手段を特定する特定部と、特定された決済手段に対して、利用が停止される前記クレジットカードを用いて緊急用の電子マネーをチャージするチャージ部とを備える。
【0007】
前記態様において、クレジットカードの不正利用の疑いを検出する検出部をさらに備え、前記特定部は、不正利用の疑いが検出されたクレジットカードの利用を停止する場合に、当該クレジットカードと紐付けられている決済手段を特定してもよい。
【0008】
また、前記態様において、利用が停止される前記クレジットカードの利用者に対して、不正利用の疑いが検出されたために緊急用の電子マネーがチャージされることを示す情報を通知する通知部をさらに備えてもよい。
【0009】
また、前記態様において、前記緊急用の電子マネーのチャージ額を決定するチャージ額決定部をさらに備え、前記チャージ部は、決定されたチャージ額の電子マネーを前記決済手段にチャージしてもよい。
【0010】
また、前記態様において、前記チャージ額決定部は、利用が停止される前記クレジットカードの利用実績に基づいて緊急用のチャージ額を決定してもよい。この場合、前記チャージ額決定部は、前記クレジットカードからのチャージ実績に基づいて緊急用のチャージ額を決定してもよい。
【0011】
また、前記態様において、前記決済手段は、コンピュータにインストールされるアプリケーションプログラム、または利用が停止される前記クレジットカードとは異なるプリペイド式クレジットカードであり、前記チャージ部は、前記アプリケーションプログラム、または前記プリペイド式クレジットカードに緊急用の電子マネーをチャージしてもよい。
【0012】
また、前記態様において、前記決済手段側から緊急用の電子マネーのチャージ要求を受け付けた場合、前記特定部は、当該決済手段を、前記クレジットカードと紐付けられている決済手段として特定してもよい。
【0013】
本発明の他の態様のクレジットカードシステムは、不正利用防止のためにクレジットカードの利用を停止する場合に、電子マネーによる決済を実行可能な決済手段に対して、利用が停止される前記クレジットカードを用いて緊急用の電子マネーをチャージするチャージ部を備える。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、不正利用防止のためにクレジットカードの利用が停止される場合に、当面発生する支払いに対する決済手段を確保することが可能になる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】クレジットカードシステム及びその通信先の構成を示すブロック図。
【
図3】緊急用マネーチャージ処理の手順を示すフローチャート。
【
図4】緊急用マネーチャージ受付処理の手順を示すフローチャート。
【
図6】緊急用マネーチャージ処理の手順の他の例を示すフローチャート。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好ましい実施の形態について、図面を参照しながら説明する。なお、以下に示す各実施の形態は、本発明の技術的思想を具体化するための方法及び装置を例示するものであって、本発明の技術的思想は下記のものに限定されるわけではない。本発明の技術的思想は、特許請求の範囲に記載された技術的範囲内において種々の変更を加えることができる。
【0017】
本実施の形態のクレジットカードシステムは、不正利用防止のためにクレジットカードの利用を停止する場合に、そのクレジットカードを用いて緊急用の電子マネーのチャージを実行する。これにより、そのクレジットカードのカード会員は、当面の支払いの決済手段を確保することができる。以下、クレジットカードシステムの構成及び動作について説明する。
【0018】
(クレジットカードシステムの構成)
図1は、本実施の形態のクレジットカードシステム及びその通信先の構成を示すブロック図である。クレジットカードシステム(以下、単に「カードシステム」という)1は、クレジットカードのカード会員によって操作されるユーザ端末2とインターネット101を介して通信する。
【0019】
カードシステム1は、CPU、RAM、及びROMを含む制御部を備えるコンピュータを含んで構成されており、この制御部によって後述する各処理が実行される。また、カードシステム1は、会員データベース(DB)11及び利用実績DB12の各データベースを有している。
【0020】
会員DB11は、カード会員に関する各種情報を格納するためのデータベースである。具体的には、各カード会員のクレジットカード番号、氏名、及び連絡先(電話番号・電子メールアドレス等)、並びに、カードシステム1を利用するためのログインID及びパスワード等の情報が会員DB11に格納されている。
【0021】
また、会員DB11には、クレジットカードを用いて電子マネーをチャージする場合に、そのチャージ先となる決済手段を識別する情報が格納されている。そのため、会員DB11には、電子マネーによる決済を実行可能な決済手段と、その決済手段に対する電子マネーのチャージに利用可能なクレジットカードとが紐付けられて記憶されていることになる。なお、この決済手段には、スマートフォン等にインストールされるアプリケーションプログラム、及びプリペイド式クレジットカードなどが含まれる。
【0022】
さらに、会員DB11には、緊急用の電子マネーをチャージする場合に、そのチャージ額を決定する基準(以下「チャージ額決定基準」という)を示す情報が格納されている。チャージ額決定基準には、「カード会員により設定された額」、「クレジットカードの利用実績に基づいて算出される額」、及び「クレジットカードのチャージ実績に基づいて算出される額」などが含まれる。会員DB11には、各カード会員によって選択されたチャージ額決定基準を示す情報が、そのカード会員と紐付けられて格納されている。
【0023】
利用実績DB12は、各クレジットカードの利用実績を格納するためのデータベースである。この利用実績には、クレジットカードを利用して支払いが行われた場合の支払い実績の他、クレジットカードを利用して電子マネーのチャージが行われた場合のチャージ実績も含まれる。
【0024】
(ユーザ端末の構成)
ユーザ端末2は、例えば、スマートフォン等の携帯電話機又はタブレット端末等の情報端末である。各カード会員は、ユーザ端末2を用いて、電子マネーによる決済を行う。以下、ユーザ端末2の詳細な構成について説明する。
【0025】
図2は、ユーザ端末2の構成を示すブロック図である。
図2に示すように、ユーザ端末2は、制御部21と、記憶部22と、通信部23と、入力部24と、表示部25と、マイク26と、スピーカ27とを備えている。
【0026】
制御部21は、図示しないCPUと、SRAM又はDRAM等のRAMとを少なくとも備えている。制御部21のCPUがRAMにロードされた各種のコンピュータプログラムを実行することにより、ユーザ端末2は後述するように動作する。
【0027】
記憶部22は、フラッシュメモリ等で構成されており、制御部21にて実行されるオペレーティングシステム及びアプリケーションプログラム等の各種のコンピュータプログラム、並びにその実行の際に用いられるデータ等を記憶する。このコンピュータプログラムには、電子マネーによる決済を実行可能な決済アプリ221が含まれる。
【0028】
通信部23は、3G(Generation)、4G、5G、及びLTE(Long Term Evolution)等の長距離無線通信方式、並びにNFC(Near Field Communication)、Wi-Fi(登録商標)、BLUETOOTH(登録商標)等の近距離無線通信方式に対応する通信モジュールで構成されている。ユーザ端末2は、この通信部23を介して、カードシステム1及び決済アプリ221のサーバ(図示せず)などと通信を行う。
【0029】
入力部24は、静電容量方式のタッチパネル等で構成されており、カード会員からの入力を受け付け、その入力に基づく電気信号を制御部21に出力する。カード会員は、入力部24を用いることにより、ユーザ端末2に対して必要な操作を行う。
【0030】
表示部25は、液晶ディスプレイ又は有機ELディスプレイ等で構成されており、制御部21から入力された映像信号にしたがって、画像(画面)を表示する。
【0031】
マイク26は、外部から音声の入力を受け付けて、その入力に基づく電気信号を制御部21に出力する。上記の入力部24による入力に代えて、マイク26による音声入力を行うことも可能である。
【0032】
スピーカ27は、制御部21からの指示にしたがって、外部に音声を出力する。上記の表示部25による表示の代わりに、スピーカ27による音声出力によって各種のメッセージ等を出力することができる。
【0033】
(カードシステム及びユーザ端末の動作)
カードシステム1は、不正利用を防止するためにクレジットカードの利用を停止する場合、当面の支払いに不便が生じないように、緊急用の電子マネー(以下「緊急用マネー」という)を所定の決済手段に対してチャージする。以下、緊急用マネーのチャージを実現するためのカードシステム1及びユーザ端末2の動作について説明する。
【0034】
本実施の形態では、カードシステム1がクレジットカードの不正利用の疑いを検出した場合において、そのクレジットカードの利用を停止する前に、特定の決済手段に対して緊急用マネーのチャージを行う(後述する「緊急用マネーチャージ処理」)。カード会員は、この緊急用マネーのチャージを受けるか否かを検討し、受ける場合は決済手段にて緊急用マネーのチャージを受け付ける(後述する「緊急用マネーチャージ受付処理」)。
【0035】
図3は、カードシステム1によって実行される緊急用マネーチャージ処理の手順を示すフローチャートである。カードシステム1はまず、所定の処理を実行することによってクレジットカードの不正利用の疑いを検出する(S101)。例えば、同一の加盟店で複数回繰り返し利用があった場合、過去に不正が確認された利用と同様の利用があった場合などに、不正利用の疑いが検出される。この不正利用の疑いの検出処理は常時実行される。なお、不正利用の疑いが検出された場合、カード会員に対して不正利用に該当するか否かの確認を行ってもよい。その結果、カード会員本人の利用であることが確認された場合、以降の処理を実行しなくてもよい。
【0036】
クレジットカードの不正利用の疑いが検出された場合、カードシステム1は、会員DB11を参照して、そのクレジットカードと紐付けられている決済手段を特定する(S102)。ここで特定された決済手段が、緊急用マネーのチャージ先となる。
【0037】
なお、ステップS102において、クレジットカードと紐付けられている決済手段が複数特定された場合は、何れかの決済手段を緊急用マネーのチャージ先として特定する必要がある。この場合、カードシステム1がカード会員に対して問合せを行い、そのカード会員からの回答に基づいて決済手段を特定してもよい。クレジットカードの紛失・盗難と同時に決済手段も紛失・盗難されているような場合、その決済手段に緊急用マネーをチャージしても利用できないため、そのような事情を知っているカード会員に問合せをすることが好ましいためである。なお、その他にも、カードシステム1が所定の基準にしたがって複数の決済手段の中から特定の決済手段を自動的に抽出しても構わない。
【0038】
カードシステム1は、特定された決済手段に対してチャージする緊急用マネーのチャージ額を決定する(S103)。この場合、カードシステム1は、会員DB11を参照することによって当該カード会員と紐付けられているチャージ額決定基準を特定し、そのチャージ額決定基準にしたがってチャージ額を決定する。
【0039】
例えば、チャージ額決定基準が「カード会員により設定された額」である場合、カードシステム1はカード会員によって事前に設定された額をチャージ額とする。この場合、カードシステム1がその設定された額の範囲内でチャージ額を調整しても構わない。
【0040】
また、チャージ額決定基準が「クレジットカードの利用実績に基づいて算出される額」である場合、カードシステム1は、利用実績DB12を参照して当該カード会員によるクレジットカードの利用実績を特定し、その利用実績に基づいてチャージ額を算出する。例えば、カードシステム1は、1週間・1カ月などの所定の期間における平均利用額を算出し、その平均利用額をチャージ額として決定する。その他にも、例えば月末の直前に不正利用の疑いが検出された場合、カードシステム1は、月末のクレジットカードの利用額を利用実績に基づいて推測し、その推測した額をチャージ額として決定してもよい。
【0041】
さらに、チャージ額決定基準が「クレジットカードのチャージ実績に基づいて算出される額」である場合、カードシステム1は、利用実績DB12を参照して当該カード会員によるクレジットカードのチャージ実績を特定し、そのチャージ実績に基づいてチャージ額を算出する。例えば、カードシステム1は、1週間・1カ月などの所定の期間における平均チャージ額を算出し、その平均チャージ額をチャージ額として決定する。その他にも、例えば月末の直前に不正利用の疑いが検出された場合、カードシステム1は、月末のクレジットカードのチャージ額をチャージ実績に基づいて推測し、その推測した額をチャージ額として決定してもよい。
【0042】
なお、いずれのチャージ額決定基準が用いられる場合であっても、チャージ額は、クレジットカード会社によって設定された限度額の範囲内とされることが好ましい。これにより、不必要に高額な緊急用マネーがチャージされるなどの不都合が生じることを防止できる。
【0043】
次に、カードシステム1は、当該カード会員のクレジットカードを用いて、ステップS103にて決定したチャージ額の電子マネーをチャージする(S104)。チャージ先の決済手段が決済アプリ221である場合、カードシステム1は、その決済アプリ221のサーバに対してチャージ額を通知することによってチャージを実行する。また、チャージ先の決済手段がプリペイド式クレジットカードである場合、カードシステム1は、そのプリペイド式クレジットカードを発行したクレジットカード会社のシステムに対してチャージ額を通知することによってチャージを実行する。なお、そのクレジットカード会社と、カードシステム1を運用するクレジットカード会社とが同一である場合、そのような通知をしなくてもチャージは可能である。
【0044】
カードシステム1は、上記のとおり緊急用マネーのチャージを行った場合、そのチャージが完了したことを、電子メール又はSMS等の所定の手段で当該カード会員に通知する(S105)。この場合、通知される情報には、不正利用の疑いが検出されたこと、及び不正利用防止のために緊急用マネーのチャージが行われたことなどを示すメッセージが含まれる。これにより、そのカード会員は、緊急用マネーのチャージがなされたことを把握することができる。
【0045】
次に、カードシステム1は、今回の緊急用マネーのチャージの実績を利用実績DB12に書き込むことによって利用実績DB12を更新する(S106)。その後、カードシステム1は、当該カード会員のクレジットカード、すなわち不正利用の疑いが検出されたクレジットカードの利用を停止する(S107)。これは、会員DB11に所定の情報を書き込むことなどによって実行される。これ以降、カードシステム1は、当該クレジットカードの利用要求を受け付けた場合、不正利用防止のためにクレジットカードの利用が認められない旨を回答する。
【0046】
なお、上記では、クレジットカードの不正利用の疑いが検出された場合、カードシステム1によって緊急用マネーチャージ処理が実行されているが、これに限定されるわけではない。不正利用防止のためにクレジットカードの利用を停止する場合であれば、不正利用の疑いを自動検知する以外の場合であっても、カードシステム1は上記と同様の緊急用マネーチャージ処理を実行することができる。例えば、カード会員がクレジットカードを紛失した場合、第三者によって不正利用されるおそれが生じるためクレジットカードの利用を停止する必要がある。このような場合、カード会員はクレジットカード会社に対して紛失した旨を通知する。クレジットカード会社がこの通知を受けた場合、カードシステム1は、緊急用マネーチャージ処理におけるステップS102以降の処理を実行することができる。
【0047】
次に、緊急用マネーチャージ受付処理について説明する。以下では、決済アプリ221がインストールされたユーザ端末2にて緊急用マネーチャージ受付処理が実行される場合を例に挙げて説明する。
【0048】
図4は、ユーザ端末2によって実行される緊急用マネーチャージ受付処理の手順を示すフローチャートである。なお、以下で説明する各処理は、決済アプリ221によって実現される。カードシステム1が上記の緊急用マネーチャージ処理を実行した結果、チャージ完了の通知を受け取ったカード会員は、ユーザ端末2の入力部24を操作して決済アプリ221を起動し、決済アプリ221に対して緊急用マネーチャージ受付処理の実行を指示する。
【0049】
ユーザ端末2は、カード会員から上記の指示を受け付けると(S201)、決済アプリ221のサーバにアクセスし、緊急用マネーのチャージの有無を確認する(S202)。ここでチャージがないことが確認された場合(S202でNO)、ユーザ端末2は処理を終了する。
【0050】
他方、緊急用マネーのチャージがあることが確認された場合(S202でYES)、ユーザ端末2は、このチャージの受付を指示するためのチャージ受付画面を表示部25に表示する(S203)。
【0051】
図5は、上記のチャージ受付画面の一例を示す図である。
図5に示す例では、チャージ受付画面に、不正利用のおそれがあるためにクレジットカードの停止が予定されていること、及び緊急用マネーとして30,000円を決済アプリ221にチャージすることが可能であることを示すメッセージが示されている。また、このチャージ受付画面では、チャージを受け付けるか否かを指示するためのボタン201及び202が設けられている。なお、このチャージ受付画面における「30,000円」は、カードシステム1が上述したステップS103を実行することにより決定されたチャージ額の例である。
【0052】
カード会員は、ボタン201及び202の何れかをタップすることにより、緊急用マネーのチャージ受付の要否を入力する。ユーザ端末2は、その入力にしたがってチャージ受付の指示の有無を判定する(S204)。
【0053】
カード会員によってボタン202がタップされた場合、ユーザ端末2はチャージ受付の指示なしと判定し(S204でNO)、処理を終了する。これに対し、ボタン201がタップされた場合、ユーザ端末2はチャージ受付の指示ありと判定する(S204でYES)。この場合、ユーザ端末2は、チャージ受付処理に表示されているチャージ額の緊急用マネーのチャージを受け付ける(S205)。
【0054】
なお、カード会員がチャージ受付画面に表示されているチャージ額を減額した上で、チャージ受付の指示をしてもよい。その場合、ユーザ端末2は、その減額後のチャージ額の緊急用マネーのチャージを受け付けることになる(S205)。
【0055】
上記のようにして緊急用マネーのチャージが受け付けられた場合、カード会員は、決済アプリ221を用いることによってその緊急用マネーを使用することが可能になる。そのため、カード会員は、クレジットカードの利用が停止された場合でも、当面の支払いに対する決済手段を確保することができる。
【0056】
上記の緊急用マネーは、チャージ受付後いつでも使用可能である。そのため、クレジットカードの利用停止中はもちろんのこと、その利用が再開された後においても、カード会員は緊急用マネーを使用することができる。ただし、緊急用マネーの使用可能な期間が一定期間に限定されてもよい。例えば、クレジットカードの利用が再開された場合、その時点で使用されていない緊急用マネーはクレジットカード側に返金されて使用できないようにしてもよい。これは、決済アプリ221を実行するユーザ端末2が未使用の緊急用マネーの額をカードシステム1に通知し、それを受けたカードシステム1が所定の返金処理を実行することによって実現可能である。
【0057】
なお、緊急用マネーのチャージ先がプリペイド式クレジットカードである場合、カード会員は、パーソナルコンピュータまたはスマートフォンなどの情報端末を用いて、緊急用マネーチャージ受付処理を指示する。この場合、当該情報端末がクレジットカードのクレジットカード会社のシステムにアクセスし、上記と同様の緊急用マネーチャージ受付処理が実行される。その結果、決済アプリ221にチャージされる場合と同様に、プリペイド式クレジットカードに緊急用マネーがチャージされる。
【0058】
(その他の実施の形態)
上記の実施の形態では、会員DB11に登録されている決済手段に対してのみ緊急用マネーがチャージされるが、これに限定されるわけではない。例えば、カードシステム1以外の装置においてクレジットカードと紐付けられている決済手段に対して緊急用マネーがチャージされてもよい。また、クレジットカードと予め紐付けられていない決済手段に対して緊急用マネーがチャージされても構わない。例えば、不正利用防止のためにクレジットカードの利用が停止される場合に、カードシステム1は、クレジットカードが不正利用されているおそれがあることを通知した上で、カード会員が利用している決済手段に関する情報をカード会員側から取得し、その決済手段に対して緊急用マネーをチャージするようにしてもよい。その他にも、カードシステム1が決済アプリ221のインストールをカード会員に対して促し、その決済アプリ221がユーザ端末2にインストールされたときに当該決済アプリ221に対して緊急用マネーをチャージするようにしてもよい。
【0059】
また、上記の実施の形態では、カードシステム1が決済アプリ221等の決済手段のサーバに緊急用マネーのチャージを行い、決済手段側でそのサーバなどにアクセスしてそのチャージの受付を行っているが、これに限定されるわけではない。例えば、決済手段のサーバなどを介することなく、カードシステム1から決済手段に対して直接チャージが行われてもよい。
【0060】
また、上記の実施の形態では、クレジットカードの利用停止後における当面の支払いの決済手段を確保するために緊急用マネーがチャージされるが、その利用停止後における支払いの内容によっては緊急用マネーを用いることなく決済可としても構わない。例えば、定期的に発生する公共料金・通信費などのように、不正利用が想定されにくい請求主体からの請求に対する支払いについては、緊急用マネーを用いることなく決済可としてもよい。もちろん、このような請求に対する支払いについて緊急用マネーを用いて決済しても構わない。
【0061】
なお、緊急用マネーのチャージ先になり得る決済手段が削除されるなどして使用不能となる場合、カード会員が不測の不利益を被るおそれがある。そのため、例えば会員DB11に登録されている決済アプリ221がユーザ端末2から削除される場合、そのカード会員に対して、クレジットカード停止時における当面の支払いの決済手段が確保できなくなる旨の警告が出力されてもよい。また、会員DB11に登録されている複数の決済アプリ221のうちの1つが削除される場合、削除されずに残る決済アプリ221のみによってクレジットカード停止時における当面の支払いの決済手段が確保される旨のメッセージがカード会員に対して出力されてもよい。これらの警告・メッセージの出力は、決済アプリ221によって実行されてもよく、決済アプリ221からの通知を受けたカードシステム1によって実行されてもよい。
【0062】
また、上記の実施の形態では、カードシステム1がクレジットカードの不正利用の疑いを検出した場合、またはカード会員がクレジットカードを紛失したことをクレジットカード会社に通知した場合に、緊急用マネーのチャージが行われるが、これに限定されるわけではない。例えば、カードシステム1が、決済手段からのチャージ要求に応じてチャージを実行するようにしてもよい。以下、その場合のカードシステム1及びユーザ端末2の動作について説明する。
【0063】
図6は、緊急用マネーチャージ処理の手順の他の例を示すフローチャートである。カード会員は、クレジットカードを紛失した場合又はクレジットカードが不正利用されたことを確認した場合などに、ユーザ端末2の入力部24を操作して決済アプリ221を起動し、決済アプリ221に対して緊急用マネーチャージ処理の実行を指示する。
【0064】
ユーザ端末2は、カード会員から上記の指示を受け付けると(S301)、緊急用マネーのチャージ要求を指示するためのチャージ要求指示画面を表示部25に表示する(S302)。
【0065】
図7は、上記のチャージ要求指示画面の一例を示す図である。
図7に示す例では、チャージ要求指示画面に、クレジットカードの利用を停止する前に緊急用の電子マネーのチャージが可能であることを示すメッセージが示されている。また、このチャージ要求指示画面では、チャージ要求を行うか否かを指示するためのボタン203及び204が設けられている。
【0066】
カード会員は、ボタン203及び204の何れかをタップすることにより、緊急用マネーのチャージ要求の要否を入力する。ユーザ端末2は、カード会員によりボタン203がタップされたことによってチャージ要求の指示を受け付けた場合(S303)、カードシステム1に対してチャージ要求を送信する(S304)。なお、ボタン204がタップされた場合はチャージ要求が送信されることなく処理が終了する。
【0067】
カードシステム1は、ユーザ端末2からチャージ要求を受信すると(S401)、会員DB11を参照して、そのチャージ要求を送信してきた決済アプリ221(ユーザ端末2)と紐付けられているクレジットカードを確認した上で、その決済アプリ221をチャージ先として特定する(S402)。
【0068】
次に、カードシステム1は、上記の実施の形態におけるステップS103と同様にして緊急用マネーのチャージ額を決定し(S403)、そのチャージ額の電子マネーを決済アプリ221に対してチャージする(S404)。なお、上記の実施の形態の場合と同様に決済アプリ221のサーバを介して緊急用マネーのチャージが行われてもよい。
【0069】
その後、カードシステム1は、上記の実施の形態におけるステップS106及びS107と同様に利用実績DB12の更新(S405)及びクレジットカードの利用停止(S406)を実行する。
【0070】
ユーザ端末2は、カードシステム1から緊急用マネーのチャージを受け付ける(S305)。これにより、カード会員は、クレジットカードの利用が停止された場合でも、当面の支払いに対する決済手段を確保することができる。なお、決済手段がプリペイド式クレジットカードである場合も、カード会員がパーソナルコンピュータ等の情報端末を操作することによって、上記と同様の緊急用マネーチャージ処理を実行することができる。
【0071】
(付記)
本発明の一の態様の決済アプリは、コンピュータにインストールされ、電子マネーによる決済を実行可能な決済アプリであって、前記コンピュータを、前記態様のクレジットカードシステムから緊急用の電子マネーのチャージを受け付けるチャージ受付部、及び、受け付けた緊急用の電子マネーを用いて決済を実行する決済部として機能させる。
【0072】
また、本発明の他の態様の決済アプリは、コンピュータにインストールされ、電子マネーによる決済を実行可能な決済アプリであって、前記コンピュータを、前記態様のクレジットカードシステムに対して、緊急用の電子マネーのチャージ要求を送信する送信部、前記クレジットカードシステムから緊急用の電子マネーのチャージを受け付けるチャージ受付部、及び、受け付けた緊急用の電子マネーを用いて決済を実行する決済部として機能させる。
【符号の説明】
【0073】
1 クレジットカードシステム
11 会員データベース
12 利用実績データベース
2 ユーザ端末
21 制御部
22 記憶部
23 通信部
24 入力部
25 表示部
26 マイク
27 スピーカ
221 決済アプリ
101 インターネット