(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112176
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】微粉除去装置、乾燥機、および輸送機
(51)【国際特許分類】
B07B 7/06 20060101AFI20240813BHJP
B07B 1/06 20060101ALI20240813BHJP
B07B 1/46 20060101ALI20240813BHJP
B07B 7/08 20060101ALI20240813BHJP
B07B 9/00 20060101ALI20240813BHJP
B07B 11/06 20060101ALI20240813BHJP
B65G 53/60 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
B07B7/06
B07B1/06
B07B1/46 K
B07B7/08
B07B9/00 Z
B07B11/06
B65G53/60
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017068
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000129183
【氏名又は名称】株式会社カワタ
(74)【代理人】
【識別番号】100135013
【弁理士】
【氏名又は名称】西田 隆美
(72)【発明者】
【氏名】野 龍平
【テーマコード(参考)】
3F047
4D021
【Fターム(参考)】
3F047AA01
3F047DB03
4D021AA16
4D021AB01
4D021AC01
4D021CA01
4D021DA01
4D021DA13
4D021DB01
4D021EA10
4D021EB03
4D021FA18
4D021FA22
4D021GA02
4D021GA05
4D021GA08
4D021GA12
4D021GB01
4D021HA10
(57)【要約】
【課題】微粉除去装置におけるフィルタの上端部付近に隙間や段差が生じない構造を実現できる技術を提供する。
【解決手段】この微粉除去装置は、輸送用空気の流れに乗って輸送される粉粒体と、輸送用空気と、に混在する微粉を除去する。微粉除去装置は、筒状の内筒31と、内筒31の径方向外側に配置される筒状の外筒35と、外筒35の上端部を覆う上蓋33と、輸送用空気および粉粒体を上蓋33の内部空間へ供給する材料流入管と、を有する。内筒31は、逆円錐台筒状であり、粉粒体と微粉とを篩い分けるフィルタ孔310を複数有する。外筒35は、内筒31の径方向内側に混入した微粉とともにフィルタ孔310を通過する輸送用空気を、外筒35の外側に排出する。内筒31の上端部の内壁312は、上蓋33の内壁と連続的に形成されている。
【選択図】
図6
【特許請求の範囲】
【請求項1】
輸送用空気の流れに乗って輸送される粉粒体と、前記輸送用空気と、に混在する微粉を除去する微粉除去装置であって、
上下方向に筒状に延びる、内筒と、
前記内筒の径方向外側を上下方向に筒状に延びる、外筒と、
前記外筒の上端部を覆う有蓋筒状の上蓋と、
前記輸送用空気および前記粉粒体を前記上蓋の内部空間へ供給する、材料流入管と、
を有し、
前記上蓋は、前記材料流入管が挿通される、材料流入口を有し、
前記内筒は、下方へ向かうにつれて縮径する逆円錐台筒状であり、かつ、前記粉粒体と前記微粉とを篩い分けるフィルタ孔を複数有し、
前記外筒は、前記内筒の径方向内側に混入した前記微粉とともに前記フィルタ孔を通過する前記輸送用空気を、前記外筒の外側に排出可能な、微粉排出口を有し、
前記内筒の上端部の内壁は、前記上蓋の内壁と連続的に形成されている、微粉除去装置。
【請求項2】
請求項1に記載の微粉除去装置であって、
前記内筒の上端部と前記上蓋とが、溶接により固定されている、微粉除去装置。
【請求項3】
請求項1または請求項2に記載の微粉除去装置であって、
前記内筒の上端部の内壁と前記上蓋の内壁との間は部分的に接合されており、残る隙間は、前記粉粒体よりも小さい、微粉除去装置。
【請求項4】
請求項1または請求項2に記載の微粉除去装置を通過した前記粉粒体を乾燥させるための乾燥機であって、
前記内筒の下方の開口から落下した前記粉粒体を貯留する貯留槽と、
前記貯留槽に設けられた排気口と、
前記貯留槽内へ気体を導入する給気口と、
前記排気口から前記給気口までを繋ぐ循環管路と、
前記循環管路内の第1接続位置に接続され、前記排気口から前記給気口へ向かう気流を発生させる乾燥気流発生手段と、
前記循環管路における前記第1接続位置よりも下流側に介挿され、前記循環管路内の気体を加熱する加熱部と、
を有する、乾燥機。
【請求項5】
輸送元から輸送配管を介して請求項1または請求項2に記載の微粉除去装置へ前記粉粒体を輸送する輸送機であって、
前記粉粒体と前記微粉とが堆積した前記輸送元と、
前記輸送元と前記材料流入管とを繋ぐ、前記輸送配管と、
前記輸送配管内に、前記輸送元から前記内筒の径方向内側へ向かう前記輸送用空気の流れを発生させる輸送気流発生手段と、
を有する、輸送機。
【請求項6】
請求項5に記載の輸送機であって、
前記輸送気流発生手段は、前記内筒と前記外筒との間の環状空間から空気を吸引することによって、前記輸送配管内に、前記輸送元から前記内筒の径方向内側へ向かう前記輸送用空気の流れを発生させる、輸送機。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、輸送用空気の流れに乗って輸送される粉粒体と、当該輸送用空気と、に混在する微粉を除去する微粉除去装置に関する。また、当該微粉除去装置を通過した粉粒体を乾燥させるための乾燥機、および輸送元から輸送配管を介して当該微粉除去装置へ粉粒体を輸送する輸送機に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、粉体または粒体からなる材料(以下「粉粒体」と称する)を、輸送用空気の流れに乗せて輸送した後、筒状のフィルタの内壁に沿うように螺旋状に旋回させることによって、粉粒体および輸送用空気に混在する微粉を除去する装置が知られている。従来の微粉除去装置については、例えば、特許文献1および特許文献2に開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特許第5695874号公報
【特許文献2】特許第4344730号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
特許文献1の微粉除去装置は、内筒(10)、内筒(10)の外側に同軸に配置される外筒(20)、および上蓋(50)等から構成されている(段落0013,
図1)。内筒(10)は、フィルタ(30)と、フィルタ(30)の上部開口径と略同径な円筒形の上筒部(12)とを有する(段落0016)。フィルタ(30)は、内筒(10)内に流入する混合気(3)中のプラスチック樹脂のペレット(2)(粉粒体)から、微粉(4)を内筒(10)の側壁の外側に分離するためのもので、内筒(10)の中心軸(11)を軸とする逆円錐台形に形成される。また、フィルタ(30)の側壁の略全体に、混合気(3)中の空気(1)と微粉(4)のみを通過させる(ペレット(2)は通過させない)多数のフィルタ孔(31)が千鳥状に形成されている(段落0014)。上筒部(12)の下端部は、フィルタ(30)の上端部の径方向内側に突出している(
図5)。
【0005】
特許文献2の微粉除去手段(1)は、縦型円筒体(6)、および樹脂ペレット(P)がその空気搬送時の慣性力に伴う遠心力により内周に沿って螺旋状に旋回する逆円錐状の分離スクリーン(9)等を備えている(段落0014,
図4)。縦型円筒体(6)は、旋回室(7)を構成する上部ケース(14)と、回収室(8)を構成する下部ケース(15)とを備え、その上部ケース(14)と下部ケース(15)とがフランジ(14a,15a)で上下方向に着脱自在に結合されている(段落0015)。分離スクリーン(9)は、所定の網目を有する網体により逆円錐状に構成されており、その上端外周のリング状の取り付け部(9a)が、上部ケース(14)のフランジ(14a)と下部ケース(15)のフランジ(15a)との間に着脱自在に介在する(段落0016)。
【0006】
しかしながら、特許文献1の微粉除去装置における上筒部(12)の下端部とフィルタ(30)の上端部との間や、特許文献2の微粉除去手段(1)における分離スクリーン(9)の取り付け部(9a)とフランジ(14a,15a)との間には、隙間や段差が生じている。このため、これらの隙間や段差に、微粉が付着して残留することがある。この場合、付着していた微粉が、予期しないタイミングで落下すると、既に微粉が除去されて回収されていた粉粒体に紛れ込む虞がある。また、回収すべき粉粒体が、隙間を介して外側へ排出されてしまう虞がある。
【0007】
本発明は、このような事情に鑑みなされたものであり、微粉除去装置におけるフィルタの上端部付近に隙間や段差が生じない構造の装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
上記課題を解決するため、本願の第1発明は、輸送用空気の流れに乗って輸送される粉粒体と、前記輸送用空気と、に混在する微粉を除去する微粉除去装置であって、内筒と、外筒と、上蓋と、材料流入管と、を有する。前記内筒は、上下方向に筒状に延びる。前記外筒は、前記内筒の径方向外側を上下方向に筒状に延びる。前記上蓋は、前記外筒の上端部を覆う有蓋筒状である。前記材料流入管は、前記輸送用空気および前記粉粒体を前記上蓋の内部空間へ供給する。前記上蓋は、前記材料流入管が挿通される、材料流入口を有する。前記内筒は、下方へ向かうにつれて縮径する逆円錐台筒状であり、かつ、前記粉粒体と前記微粉とを篩い分けるフィルタ孔を複数有する。前記外筒は、前記内筒の径方向内側に混入した前記微粉とともに前記フィルタ孔を通過する前記輸送用空気を、前記外筒の外側に排出可能な、微粉排出口を有する。前記内筒の上端部の内壁は、前記上蓋の内壁と連続的に形成されている。
【0009】
本願の第2発明は、第1発明の微粉除去装置であって、前記内筒の上端部と前記上蓋とが、溶接により固定されている。
【0010】
本願の第3発明は、第1発明または第2発明の微粉除去装置であって、前記内筒の上端部の内壁と前記上蓋の内壁との間は部分的に接合されており、残る隙間は、前記粉粒体よりも小さい。
【0011】
本願の第4発明は、第1発明から第3発明までのいずれか1発明の微粉除去装置を通過した前記粉粒体を乾燥させるための乾燥機であって、前記内筒の下方の開口から落下した前記粉粒体を貯留する貯留槽と、前記貯留槽に設けられた排気口と、前記貯留槽内へ気体を導入する給気口と、前記排気口から前記給気口までを繋ぐ循環管路と、前記循環管路内の第1接続位置に接続され、前記排気口から前記給気口へ向かう気流を発生させる乾燥気流発生手段と、前記循環管路における前記第1接続位置よりも下流側に介挿され、前記循環管路内の気体を加熱する加熱部と、を有する。
【0012】
本願の第5発明は、輸送元から輸送配管を介して第1発明から第3発明までのいずれか1発明の微粉除去装置へ前記粉粒体を輸送する輸送機であって、前記粉粒体と前記微粉とが堆積した前記輸送元と、前記輸送元と前記材料流入管とを繋ぐ、前記輸送配管と、前記輸送配管内に、前記輸送元から前記内筒の径方向内側へ向かう前記輸送用空気の流れを発生させる輸送気流発生手段と、を有する。
【0013】
本願の第6発明は、第5発明の輸送機であって、前記輸送気流発生手段は、前記内筒と前記外筒との間の環状空間から空気を吸引することによって、前記輸送配管内に、前記輸送元から前記内筒の径方向内側へ向かう前記輸送用空気の流れを発生させる。
【発明の効果】
【0014】
本願の第1発明~第6発明によれば、内筒の上端部の内壁と上蓋の内壁との間に、段差や大きな隙間が生じることなく、微粉除去装置を構成できる。これにより、これらの段差や大きな隙間に微粉が残留して予期しないタイミングで落下し、既に微粉が除去されて回収されていた粉粒体に紛れ込むことを抑制できる。また、回収すべき粉粒体が、隙間を介して、外側へ誤って排出されてしまうことを抑制できる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【
図1】微粉除去装置および輸送機の構成を概念的に示した図である。
【
図2】制御部と各部との接続を示したブロック図である。
【
図6】内筒の側面図と、当該側面図を一部拡大した図である。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、この実施形態に記載されている構成要素は、あくまでも例示であり、本発明の範囲をそれらのみに限定する趣旨のものではない。また、図面においては、理解容易のため、必要に応じて各部の寸法や数が誇張または簡略化して図示されている場合がある。
【0017】
<1.微粉除去装置および輸送機の構成>
図1は、本発明の一実施形態に係る微粉除去装置1および輸送機2の構成を概念的に示した図である。この微粉除去装置1は、輸送機2による輸送用空気の流れに乗って輸送される樹脂ペレット等の粉粒体と、当該輸送用空気と、に混在する微粉を除去し、下流側の装置へ供給する装置である。本実施形態の微粉除去装置1は、例えば、微粉が不良原因になり易い光学材料を用いたプラスチック製品の製造装置において、原料を射出成形機10に投入する前工程に用いられる。すなわち、当該製造装置は、微粉除去装置1の後述する内筒31の下方の開口320から落下して回収された粉粒体を原料とする。ただし、本発明において処理対象となる粉粒体は、光学製品用の樹脂ペレットには必ずしも限定されない。
【0018】
図1に示すように、微粉除去装置1には、輸送機2が接続されている。また、輸送機2を駆動するための制御部5が、別途設けられている。
【0019】
輸送機2は、供給部21、輸送配管22、輸送ブロワ23、排気管24、およびフィルタ25を有する。供給部21は、供給タンク211、供給口212、供給バルブ213、および開閉機構214を有する。供給タンク211の内部空間には、輸送前の粉粒体と、粉粒体に紛れ込んだ微粉と、が堆積している。供給タンク211は、本発明における「輸送元」の一例となる。供給口212は、供給タンク211の内部空間に堆積している粉粒体および微粉を、輸送配管22へと供給するための連通口である。なお、微粉は、供給タンク211の内部空間に堆積する粉粒体に紛れ込んでいるものに加え、輸送配管22内に残留しているもの等も含む。
【0020】
供給口212には、供給バルブ213と、供給バルブ213に接続された開閉機構214とが、取り付けられている。開閉機構214は、制御部5からの指令に応じてエアシリンダを動作させて、弁体を進退させることによって、供給バルブ213を開閉する。供給バルブ213を開放すると、供給タンク211の内部空間に堆積していた粉粒体および微粉が、供給口212を介して輸送配管22内へと供給される。また、供給バルブ213を閉塞すると、供給タンク211から輸送配管22内への粉粒体の供給が停止される。ただし、供給バルブ213および開閉機構214の替わりに、手動で開閉可能な手動弁が取り付けられてもよい。
【0021】
輸送配管22は、供給タンク211と微粉除去装置1の後述する材料流入管34とを繋ぐ配管である。輸送配管22は、上流側の端部において、供給部21の供給口212に接続される。また、輸送配管22は、下流側の端部において、材料流入管34のうちの外部空間に位置する端部341に接続される。
【0022】
また、輸送配管22は、供給口212の近傍に、開口220を有する。開口220には、輸送元バルブ221と、輸送元バルブ221に接続された開閉機構222と、フィルタ223とが、取り付けられている。開閉機構222は、制御部5からの指令に応じてエアシリンダを動作させて、弁体を進退させることによって、輸送元バルブ221を開閉する。輸送元バルブ221を開放すると、フィルタ223を介して輸送配管22内へ、粉粒体および微粉を輸送するための空気(以下「輸送用空気」と称する)を取り込むことができる。ただし、輸送元バルブ221および開閉機構222の替わりに、手動で開閉可能な手動弁が取り付けられてもよい。
【0023】
輸送ブロワ23には、例えば、複数の羽根を有する公知のブロワが用いられる。輸送ブロワ23は、微粉除去装置1と、排気管24を介して接続されている。微粉除去装置1の内部空間は、排気管24内の空間と連通している。このため、輸送ブロワ23を駆動させると、複数の羽根が回転することにより、微粉除去装置1の内部空間から空気を吸い込み、排気管24内を通って外部空間へと排出する空気の流れが発生する。
【0024】
また、微粉除去装置1の内部空間は、輸送配管22内の空間、および供給タンク211の内部空間と連通している。このため、輸送ブロワ23を駆動させると、開口220から輸送用空気が取り込まれ、輸送配管22内に、輸送元である供給タンク211から微粉除去装置1の内部空間へ向かう輸送用空気の流れが発生する。これにより、輸送用空気の流れに乗って、粉粒体および微粉が、微粉除去装置1へと輸送される。すなわち、輸送機2は、輸送元である供給タンク211から、輸送配管22を介して微粉除去装置1へ粉粒体を輸送する機構である。
【0025】
このように、本実施形態の輸送ブロワ23は、微粉除去装置1の内部空間から空気を吸引し、供給部21から供給される粉粒体を連続的に吸引輸送するための、吸引用送風手段となっている。輸送ブロワ23は、本発明における「輸送気流発生手段」に相当する。輸送ブロワ23は、排気管24を介して吸入した輸送用空気を、吐出口から外部空間へと吹き出す。ここで、排気管24には、フィルタ25が介挿されている。これにより、輸送ブロワ23が輸送用空気を吸入する前に、輸送用空気に含まれる微粉や粉塵を、フィルタ25にて回収し、除去することができる。これにより、輸送ブロワ23に微粉や粉塵が付着するのが抑制される。
【0026】
制御部5は、輸送機2や、微粉除去装置1の下流側に配置される後述の乾燥機7および射出成形機10を、動作制御する制御手段である。
図2は、制御部5と、輸送機2、乾燥機7、および射出成形機10との接続を示したブロック図である。
図2中に示すように、制御部5は、上記の供給部21の開閉機構214、輸送配管22の開口220に取り付けられている開閉機構222、輸送ブロワ23、乾燥機7、および射出成形機10と、それぞれ電気的に接続されている。制御部5は、CPU等の演算処理部51、メモリ52、および記憶装置53を有するコンピュータにより構成されている。
【0027】
制御部5は、記憶装置53に記憶された、予め設定された動作シーケンスSおよびパラメータPや、外部からの入力信号に基づき、上記の各部を動作制御する。輸送元バルブ221を開放した状態で、輸送ブロワ23を駆動させつつ、供給バルブ213を開放することにより、粉粒体の輸送や、詳細を後述する微粉の除去が進行する。また、乾燥機7や射出成形機10を駆動させることにより、微粉が除去された粉粒体の乾燥処理や、光学用材料の射出成形が進行する。
【0028】
続いて、微粉除去装置1の詳細な構造について、説明する。
図3は、微粉除去装置1の正面図である。
図4は、微粉除去装置1の側面図である。
図5は、微粉除去装置1の縦断面図である。なお、
図5では、微粉除去装置1内の輸送用空気の流れを概略的に図示している。ただし、
図5では、後述するフィルタ孔310の図示を省略している。
【0029】
図3~
図5に示すように、微粉除去装置1は、内筒31、下筒32、上蓋33、材料流入管34、外筒35、流出管36、および隔壁部37を有する。内筒31、下筒32、上蓋33、材料流入管34、外筒35、流出管36、および隔壁部37の材料には、例えば、ステンレスが用いられている。
【0030】
図6は、内筒31の側面図と、当該側面図を一部拡大した図である。なお、
図6では、上蓋33および外筒35の一部を二点鎖線にて図示している。
図6に示すように、内筒31は、中心軸80に沿って、上下方向に筒状に延びる。以下では、内筒31の中心軸80に直交する方向を「径方向」、内筒31の中心軸80を中心とする円弧に沿う方向を「周方向」、とそれぞれ称する。また、本願において「直交する方向」とは、略直交する方向も含む。
【0031】
また、本実施形態では、内筒31は、中心軸80を中心とした逆円錐台筒状である。内筒31は、上方から下方へ向かうにつれて縮径する。内筒31の上端部の内径は、上蓋33の後述する上蓋側部331の下端部の内径と、略同一である。また、内筒31の上端部は、上蓋33の上蓋側部331の下端部に接続されている。内筒31には、複数のフィルタ孔310が設けられている。複数のフィルタ孔310は、千鳥状に配列される。また、複数のフィルタ孔310は、内筒31の中心軸80を中心とした全周に亘って、かつ、内筒31の上端部までに亘って形成されている。
【0032】
各フィルタ孔310の大きさは、微粉除去を行う対象の各粉粒体の大きさよりも小さい。このため、粉粒体がフィルタ孔310を通過することはなく、フィルタ孔310よりも小さい微粉や、空気(輸送用空気)はフィルタ孔310を通過することができる。すなわち、フィルタ孔310は、粉粒体と微粉とを篩い分けることができる。なお、本実施形態では、各フィルタ孔310は、略水平方向に延びる長孔状とされる。しかしながら、各フィルタ孔310の形状は、これに限定されない。各フィルタ孔310の形状は、円形状や矩形状であってもよい。また、各フィルタ孔310の配置方向は、水平方向以外の、斜め方向であってもよい。
【0033】
なお、本実施形態では、フィルタ孔310を含む内筒31は、例えば、ステンレス板のエッチング加工により形成されている。また、内筒31の厚みは、例えば、0.3mm~1.0mm程度である。しかしながら、内筒31は、ステンレスのパンチングメタルにより形成されてもよい。また、内筒31は、フィルタ孔310を有する板状の部材であれば、ステンレス以外の金属または金属以外の他の材料を用いて形成されてもよい。
【0034】
下筒32は、内筒31の下端部から下方へ、中心軸80を中心とした円筒形状に延びる。下筒32の径方向内側の空間は、内筒31の径方向内側の空間と連続する。本実施形態では、下筒32の下部の開口320は、微粉除去装置1の下流側に配置される乾燥機7の上方に位置し、下筒32の下端部は、乾燥機7の後述する貯留槽71に接続される。なお、本実施形態の下筒32は円筒形状であるが、下筒32の形状は、微粉除去装置1の下流側に配置される装置と接続しやすい形状であれば、角筒状や漏斗状であってもよい。
【0035】
上蓋33は、上方へ向けて凹む有蓋筒状の立体形状である。上蓋33は、内筒31および外筒35の上端部を覆う。上蓋33は、上蓋側部331、上蓋天板部332、および上蓋フランジ部333、を有する。
【0036】
上蓋側部331は、中心軸80を中心とした円筒形状である。上蓋側部331の下端部は、内筒31の上端部に接続されている。上蓋側部331の径方向内側の空間、すなわち、上蓋33の内部空間は、内筒31の径方向内側の空間と連続する。上蓋天板部332は、上蓋側部331の上部の開口を覆っている。これにより、上蓋33の内部空間および内筒31の内部空間に在る、粉粒体や微粉が混在した輸送用空気が、上方へと逃げるのが抑制される。
【0037】
上蓋フランジ部333は、上蓋側部331の下部から径方向外側へ拡がる。上蓋フランジ部333は、中心軸80を中心とした円環状である。上蓋フランジ部333は、周縁部において、外筒35の上部に、係合部335によって着脱可能に固定される。これにより、上蓋フランジ部333は、内筒31の径方向外側かつ外筒35の径方向内側の空間、すなわち、内筒31と外筒35との間の環状空間300を、上方から覆う。この結果、外筒35の径方向内側の空間に在る、粉粒体や微粉が混在した輸送用空気が、外部空間へと逃げるのが抑制される。
【0038】
また、上蓋33には、材料流入口330が設けられている。本実施形態では、上蓋側部331の周方向の1箇所に、材料流入口330が形成されている。材料流入口330は、上蓋側部331を貫通する貫通孔である。材料流入口330には、材料流入管34が挿通され、上蓋側部331に隙間無く固定されている。
【0039】
材料流入管34は、輸送用空気および粉粒体を、上蓋33の内部空間へ供給するための配管である。材料流入管34の両端部のうち、一方は外部空間に位置し、他方は上蓋33の内部空間に位置する。また、外部空間に位置する端部341には、上記のとおり、輸送配管22の下流側の端部が接続される。また、材料流入管34内の空間は、上蓋33の内部空間に連通している。
【0040】
また、材料流入管34は、直管であり、外部空間に位置する開口である入口342は円形に形成され、出口343は上蓋33の内部空間に位置する(後述する
図7参照)。また、材料流入管34のうち、上蓋33の内部空間に位置する部位は、上蓋側部331に沿って、上蓋側部331の接線方向に延びている。このため、輸送用空気および粉粒体が、材料流入管34を介して上蓋33の内部空間内に供給されると、上蓋33の内部空間に螺旋状の気流が発生する。
【0041】
外筒35は、内筒31の径方向外側を上下方向に筒状に延びる。外筒35は、中心軸80を中心とした円筒形状である。外筒35は、内筒31のフィルタ孔310が設けられた部分の全てを径方向外側から覆う。内筒31と外筒35との間の環状空間300は、内筒31の径方向内側の空間と、複数のフィルタ孔310を介して連通している。これにより、詳細を後述するとおり、内筒31の径方向内側からフィルタ孔310を通って、径方向外側へと篩い分けられた粉塵は、環状空間300に移動する。
【0042】
また、外筒35には、微粉排出口350が設けられている。本実施形態では、外筒35の下部の周方向の1箇所に、円形の微粉排出口350が形成されている。微粉排出口350は、外筒35を貫通する貫通孔である。微粉排出口350には、直管である流出管36の一端が、隙間無く固定されている。また、流出管36の他端には、排気管24の上流側の端部が接続される。また、流出管36における、当該他端に位置する(外部空間に位置する)開口である出口360は、円形に形成されている。
【0043】
これにより、排気管24内の空間は、流出管36内の空間を介して、内筒31と外筒35との間の環状空間300と連通する。また、上記のとおり、環状空間300は、複数のフィルタ孔310を介して内筒31の径方向内側の空間と連通する。また、内筒31の径方向内側の空間は、上蓋33の内部空間と連続する。また、上蓋33の内部空間は、材料流入管34内の空間を介して、輸送配管22内の空間と連通する。この結果、輸送ブロワ23を駆動させると、内筒31と外筒35との間の環状空間300から空気(輸送用空気)が吸引され、さらに輸送配管22内に、輸送元である供給タンク211から内筒31の径方向内側へ向かう輸送用空気の流れが発生する。この結果、供給タンク211の内部空間に堆積していた粉粒体および微粉が、輸送配管22内の空間を介して、上蓋33の内部空間および内筒31の径方向内側へと輸送される。
【0044】
隔壁部37は、微粉除去装置1の下部に配置される部材である。隔壁部37は、隔壁環状部371と、隔壁円筒部372と、を有する。隔壁環状部371は、中心軸80を中心として環状に、かつ、径方向に板状に拡がる部材である。隔壁環状部371は、外筒35の下端部に固定される。隔壁環状部371は、内筒31と外筒35との間の環状空間300を、下方から覆う。
【0045】
隔壁円筒部372は、隔壁環状部371の内周縁から上方へ、中心軸80を中心とした円筒形状に延びる。隔壁円筒部372の内径は、下筒32の外径よりも僅かに大きい。このため、隔壁円筒部372の径方向内側に、下筒32を挿入することによって、下筒32を、隔壁円筒部372の径方向内側に隙間無く、圧入により固定できる。これにより、内筒31と外筒35との間の環状空間300を、径方向内側および下方から閉塞することができる。また、下筒32の径方向内側の空間に存在する粉粒体が、下筒32よりも下方から環状空間300へ移動することを抑制できる。
【0046】
図7は、上蓋33の位置における、微粉除去装置1の概略的な横断面図である。
図8は、内筒31の位置における、微粉除去装置1の概略的な横断面図である。
図9は、下筒32の位置における、微粉除去装置1の概略的な横断面図である。
図9に示すように、本実施形態では、流出管36の上流側の端部361に、ガイド板44が備えられている。ガイド板44は、内筒31と外筒35との間の環状空間300に配置されている。
【0047】
ガイド板44は、隔壁環状部371の上面から上方へ向けて延びる部材である。ガイド板44は、流出管36の上流側の端部361の周方向一方側の端部から下筒32まで径方向に拡がる。これにより、ガイド板44の周方向他方側の気体が流出管36へと吸引されるのが促進されるとともに、ガイド板44の周方向一方側の気体が流出管36へと吸引されるのが抑制されている。ただし、ガイド板44は、必ずしも備えられていなくてもよい。例えば、流出管36の上流側の端部361が、外筒35の内壁351を沿って、外筒35の接線方向に接続されていてもよい。
【0048】
<2.微粉除去装置および輸送機の動作>
次に、微粉除去装置1および輸送機2の動作について、
図5および
図7~9等を参照しつつ説明する。なお、
図5および
図7~9においては、粉粒体91および微粉92に符号を付しつつ、これらを概念的に示し、かつ、粉粒体91を含む輸送用空気の流れを実線矢印で、粉粒体91を含まない輸送用空気の流れを破線矢印で示す。
【0049】
上記のとおり、輸送元バルブ221を開放した状態で、輸送ブロワ23を駆動させつつ、供給バルブ213を開放することにより、供給タンク211の内部空間に堆積していた粉粒体91および微粉92が、輸送用空気の流れに乗って、輸送配管22内を上流側から下流側へと輸送される。そして、輸送配管22から、微粉除去装置1の材料流入管34を介して上蓋33の内部空間へ、粉粒体91と微粉92とが吐出される。
【0050】
これにより、微粉除去装置1の材料流入管34の出口343から粉粒体91および微粉92が吐出されると、
図5および
図7に示すように、粉粒体91と微粉92を含む気流F1(輸送用空気の流れ)は、上蓋側部331の内壁334(上蓋33の内壁334)と、この下方の内筒31の内壁312と、に沿って螺旋状に回転しながら落下する。
【0051】
ここで、上記のとおり、内筒31に形成された各フィルタ孔310は、粉粒体91よりも小さい。このため、粉粒体91および微粉92を含む気流F1が内筒31の内壁312に沿って螺旋状に流れる間に、その強い流れで生じる強い遠心力の作用で、粉粒体91と微粉92とが分離される。フィルタ孔310よりも大きい粉粒体91は、フィルタ孔310を通り抜けることなく、内筒31の径方向内側の空間に止まる。一方、フィルタ孔310よりも小さい微粉92は、フィルタ孔310を通り抜け、内筒31の径方向外側の空間、すなわち、内筒31と外筒35との間の環状空間300へと分離する。このとき、輸送用空気は、内筒31の径方向内側の空間に在る微粉92とともにフィルタ孔310を通過する。このため、粉粒体91と微粉92とを容易に分離することができる。
【0052】
また、内筒31は、下方へ向かうにつれて縮径する逆円錐台筒状であるため、内筒31の内壁312に接触した粉粒体91および微粉92は、斜め上方へ向かう抗力を受ける。このため、粉粒体91が下方へ落下するのが抑制される。これにより、内筒31の径方向内側の空間における粉粒体91の滞留時間が長くなり、微粉除去効率が向上する。
【0053】
また、
図6に示すように、本実施形態の内筒31のフィルタ孔310は、上記のとおり、水平方向に延びる長孔である。これにより、内筒31の内壁312に沿って螺旋状に旋回する粉粒体91が、フィルタ孔310に接触すると、水平方向にガイドされる。これにより、粉粒体91が下方へ落下するのが、より抑制される。これにより、微粉除去効率がより向上する。
【0054】
上記のとおり、粉粒体91が内筒31の径方向内側の空間に滞留している間に、微粉92が除去される。そして、気流F1に含まれていた粉粒体91は、下筒32の下部の開口320を介して、微粉除去装置1の下方へと落下する。このように、微粉92が除去された粉粒体91は、開口320を介して下流側の装置へと供給される。
【0055】
一方、気流F1と、微粉92とが、フィルタ孔310を通って、内筒31と外筒35との間の環状空間300へと出て、気流F2を形成する。すなわち、気流F2には、粉粒体91は含まれず、微粉92のみが含まれる。
図5および
図8に示すように、気流F2は、外筒35の内壁351に沿って螺旋状に旋回しながら下降する。
【0056】
そして、気流F2は、環状空間300の下部に達し、
図9に示すように、外筒35の下部の微粉排出口350を介して、流出管36へと接線方向に流出する。すなわち、微粉排出口350は、内筒31の径方向内側に混入した微粉92とともにフィルタ孔310を通過する輸送用空気を、外筒35の外側に排出可能である。外筒35の外部に流出した輸送用空気に含まれる微粉92は、フィルタ25により回収され、輸送ブロワ23の吐出口からはクリーンな輸送用空気が大気中に放出される。
【0057】
<3.内筒と上蓋との接続構造>
続いて、内筒31の上端部と上蓋33との接続構造について、詳細を説明する。
【0058】
上記のとおり、内筒31の上端部は、上蓋33の上蓋側部331の下端部に接続されている。本実施形態では、内筒31の上端部と上蓋33の上蓋側部331とが、溶接により固定されている。また、上記のとおり、内筒31には、上方へ突出する突出部311が複数形成されている。複数の突出部311は、内筒31の上端部の全周に亘って、周方向に略等間隔で形成されている。複数の突出部311のそれぞれの先端の上下方向の位置は、略一定である。
【0059】
そして、本実施形態では、内筒31の上端部の全周に亘って略等間隔で形成されている複数の突出部311が、それぞれ上蓋33の上蓋側部331の下端部に固定されている。より具体的には、各突出部311の内壁312(内筒31の内壁312)と、上蓋側部331の内壁334(上蓋33の内壁334)とが、段差無く滑らかに繋がるように固定されている。すなわち、内筒31の上端部の内壁312は、上蓋33の内壁334と連続的に形成されている。すなわち、内筒31と上蓋33とは、一体的に形成されている。
【0060】
これにより、内筒31の上端部の内壁312と上蓋33の内壁334との間に、段差や大きな隙間が生じることなく、微粉除去装置1を構成できる。この結果、仮に段差や大きな隙間が生じた場合に、そこに微粉が残留して予期しないタイミングで落下し、下筒32の下部の開口320を通って、既に微粉が除去されて回収されていた粉粒体に紛れ込むことを抑制できる。また、仮に大きな隙間が生じた場合に、回収すべき粉粒体が、当該隙間と上記の環状空間300および微粉排出口350とを通って、微粉除去装置1の外側へ誤って排出されてしまうことを抑制できる。
【0061】
なお、内筒31の上端部の内壁312と上蓋33の内壁334との間には、小さな隙間が残る。しかしながら、内筒31の上端部の内壁312と上蓋33の内壁334との間に残る当該隙間は、粉粒体よりも小さい。これにより、粉粒体が当該隙間に入り込み、環状空間300および微粉排出口350を通って微粉除去装置1の外側へ誤って排出されてしまうことを抑制できる。
【0062】
また、上記のとおり、本実施形態では、内筒31の上端部と上蓋33とを、全周に亘って周方向に隙間無く固定するのではなく、内筒31の上端部において略等間隔で形成された複数の突出部311と上蓋33とを固定する。すなわち、本実施形態では、内筒31の上端部の内壁312と、上蓋33の内壁334との間は、部分的に接合され、残る隙間は、粉粒体よりも小さい。このように、内筒31の上端部と上蓋33とを部分的に接続することによって、溶接時の歪の発生を抑制できる。また、内筒31や上蓋33の製造時において、多少の寸法誤差が生じていた場合でも、内筒31の上端部と上蓋33とを滑らかに接続することができる。
【0063】
<4.下流側の装置の概略構成>
続いて、微粉除去装置1において微粉が除去された粉粒体が供給される先の下流側の装置の構成について、概略を説明する。
【0064】
図1において二点鎖線で示すように、本実施形態では、微粉除去装置1の下流側に、乾燥機7および射出成形機10が設けられている。乾燥機7は、微粉除去装置1を通過した粉粒体を乾燥させるための装置である。乾燥機7によって乾燥された粉粒体は、後続の射出成形機10へと供給され、射出成形機10において成形されることにより、例えば、導光板等の透明な光学製品となる。ただし、微粉除去装置1の下流側には、フレコンバッグ等の別の装置が設けられてもよい。
【0065】
図10は、乾燥機7の構成を概念的に示した図である。
図10に示すように、本実施形態の乾燥機7は、貯留槽71、循環管路72、排出管73、および乾燥気体供給部74を有する。
【0066】
貯留槽71は、乾燥対象となる粉粒体(粉粒体91)を内部に貯留する容器である。貯留槽71は、微粉除去装置1の下方に配置され、下筒32の下部の開口320から落下した粉粒体を貯留する。
【0067】
循環管路72は、貯留槽71内に乾燥用の熱風を供給するために、気体を循環させる配管である。循環管路72の一方の端部は、貯留槽71の上部に設けられた排気口710に接続されている。循環管路72の他方の端部は、貯留槽71の側壁を貫通して、貯留槽71の内部に配置された熱風導入口715に接続されている。熱風導入口715は、貯留槽内へ気体を導入するための給気口である。すなわち、循環管路72は、排気口710から熱風導入口715までを繋ぐ配管である。
【0068】
循環管路72の経路途中には、フィルタ721、乾燥ブロワ722、およびヒータ723が設けられている。乾燥ブロワ722は、循環管路72内の第1接続位置Pdに接続され、排気口710から熱風導入口715へ向かう気流を発生させる装置である。乾燥ブロワ722は、本発明における「乾燥気流発生手段」の一例である。ヒータ723は、循環管路72内の気体を加熱する装置である。ヒータ723は、循環管路72における第1接続位置Pdよりも下流側に介挿される。ヒータ723は、本発明における「加熱部」の一例である。
【0069】
乾燥ブロワ722を動作させると、
図10中に矢印Adで示したように、循環管路72内に、排気口710から熱風導入口715へ向かう気流が発生する。貯留槽71から循環管路72へ吸い込まれた微細な粉塵は、フィルタ721に捕集される。また、フィルタ721を通過した気体は、ヒータ723で加熱されることにより熱風となる。そして、当該熱風が、熱風導入口715から貯留槽71の内部空間へ導入される。
【0070】
熱風導入口715から吹き出された熱風は、貯留槽71の内部に貯留された粉粒体(粉粒体91)の隙間を通って、貯留槽71内に拡散される。これにより、粉粒体が加熱され、粉粒体から水分が蒸発して、粉粒体が乾燥する。すなわち、貯留槽71内に拡散した気体が、粉粒体から水分を吸収する。また、吸湿した気体は、貯留槽71内を上昇し、貯留槽71から排気口710を通って、再び循環管路72へ吸引される。
【0071】
排出管73は、加熱乾燥後の粉粒体を、循環管路72から射出成形機10へ排出するための配管部である。排出管73の下端部は、射出成形機10の投入口100に接続される。
【0072】
乾燥気体供給部74は、循環管路72における第1接続位置Pdよりも上流側の第2接続位置Pnに接続される。乾燥気体供給部74は、循環管路72内に乾燥気体としての窒素ガスを供給する装置である。ただし、窒素ガスに代えて、アルゴンガス等の他の不活性ガスを導入してもよい。
【0073】
<5.変形例>
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は当該実施形態に限定されるものではない。
【0074】
上記の実施形態では、微粉除去装置1において、内筒31の上端部と上蓋33の上蓋側部331とが、溶接により固定されていた。しかしながら、内筒31の上端部と上蓋33の上蓋側部331とが、接着により固定されてもよい。また、内筒31の上端部と上蓋33の上蓋側部331とを、溶接や接着等によって部分的に固定しつつ、内筒31の上端部と上蓋33の上蓋側部331との間に残る隙間を、樹脂で埋めてもよい。
【0075】
上記の実施形態では、微粉除去装置1の内部空間を負圧にして粉粒体を輸送元から吸引輸送していた。しかしながら、本発明における粉粒体の輸送方式は、輸送元の付近を陽圧にして、粉粒体を微粉除去装置へ圧送するものであってもよい。
【0076】
また、本発明の微粉除去装置、乾燥機、および輸送機は、樹脂成形品の材料である樹脂ペレットやリサイクル材以外の粉粒体を処理対象とするものであってもよい。例えば、医薬品、化学製品、食品、建材等の様々の分野で用いられる粉粒体を処理対象としてもよい。
【0077】
また、微粉除去装置、乾燥機、および輸送機の細部の構成については、本願の各図に示された構成と、相違していてもよい。また、上記の実施形態や変形例に登場した各要素を、矛盾が生じない範囲で、適宜に組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0078】
1 微粉除去装置
2 輸送機
5 制御部
7 乾燥機
10 射出成形機
21 輸送機の供給部
22 輸送機の輸送配管
23 輸送機の輸送ブロワ(輸送気流発生手段)
24 輸送機の排気管
25 輸送機のフィルタ
31 微粉除去装置の内筒
32 微粉除去装置の下筒
33 微粉除去装置の上蓋
34 微粉除去装置の材料流入管
35 微粉除去装置の外筒
36 微粉除去装置の流出管
37 微粉除去装置の隔壁部
71 乾燥機の貯留槽
72 乾燥機の循環管路
74 乾燥機の乾燥気体供給部
80 中心軸
91 粉粒体
92 微粉
211 供給タンク(輸送元)
300 微粉除去装置の内筒と外筒との間の環状空間
310 微粉除去装置の内筒のフィルタ孔
311 微粉除去装置の内筒の突出部
312 微粉除去装置の内筒の内壁
320 微粉除去装置の下筒の開口
330 微粉除去装置の上蓋の材料流入口
331 微粉除去装置の上蓋の上蓋側部
334 微粉除去装置の上蓋の内壁
350 微粉除去装置の外筒の微粉排出口
351 微粉除去装置の外筒の内壁
710 乾燥機の排気口
715 乾燥機の熱風導入口(給気口)
722 乾燥機の乾燥ブロワ(乾燥気流発生手段)
723 乾燥機のヒータ(加熱部)
Pd 乾燥機の第1接続位置
Pn 乾燥機の第2接続位置