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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112180
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】ゴム組成物
(51)【国際特許分類】
   C08L 9/00 20060101AFI20240813BHJP
   C08L 53/02 20060101ALI20240813BHJP
   C08F 297/04 20060101ALI20240813BHJP
   C08L 101/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
C08L9/00
C08L53/02
C08F297/04
C08L101/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】3
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017074
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000000033
【氏名又は名称】旭化成株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100079108
【弁理士】
【氏名又は名称】稲葉 良幸
(74)【代理人】
【識別番号】100109346
【弁理士】
【氏名又は名称】大貫 敏史
(74)【代理人】
【識別番号】100117189
【弁理士】
【氏名又は名称】江口 昭彦
(74)【代理人】
【識別番号】100134120
【弁理士】
【氏名又は名称】内藤 和彦
(72)【発明者】
【氏名】市野 洋之
(72)【発明者】
【氏名】早田 大祐
(72)【発明者】
【氏名】井上 芳久
(72)【発明者】
【氏名】中川 淳
【テーマコード(参考)】
4J002
4J026
【Fターム(参考)】
4J002AC03W
4J002AC08W
4J002AE00Z
4J002AE03Y
4J002AF02Z
4J002BA01Z
4J002BK00Z
4J002BP01X
4J002DA037
4J002DA049
4J002DE108
4J002DJ016
4J002EF059
4J002EN079
4J002EV279
4J002FD016
4J002FD017
4J002FD02Z
4J002FD159
4J002FD179
4J002FD17Y
4J002FD208
4J002GN01
4J026HA06
4J026HA26
4J026HA32
4J026HA39
4J026HB06
4J026HB15
4J026HB20
4J026HB26
4J026HB39
4J026HB48
4J026HC06
4J026HC26
4J026HC39
4J026HE02
(57)【要約】
【課題】ウェットグリップ性、ドライグリップ性、及び耐摩耗性に優れるゴム組成物を得る。
【解決手段】ジエンエラストマー:100質量部と、フィラー:50~200質量部と、
を含有し、ジエンエラストマーは、
ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、及びイソプレンコポリマーから選択される少なくとも一種の第1のジエンエラストマー:50~95質量部と、
ブロック共重合体である第2のジエンエラストマー:5~50質量部よりなり、
前記ブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含み、全ビニル芳香族単量体単位の含有量が30~85質量%であり、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロックBを有し、重合体ブロックBのビニル芳香族単量体単位の含有量が51~80質量%未満であり、前記ブロック共重合体のMwが60000~600000である、ゴム組成物。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
ジエンエラストマー:100質量部と、
フィラー:50~200質量部と、
を、含有するゴム組成物であって、
前記ジエンエラストマーは、
ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、及びイソプレンコポリマーからなる群より選択される少なくとも一種の第1のジエンエラストマー:50~95質量部と、
ブロック共重合体である第2のジエンエラストマー:5~50質量部よりなり、
前記第2のジエンエラストマーであるブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含み、
前記ブロック共重合体中の全ビニル芳香族単量体単位の含有量は、30質量%~85質量%であり、
前記ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロックBを有し、前記重合体ブロックBのビニル芳香族単量体単位の含有量が51質量%以上80質量%未満であり、
前記ブロック共重合体の重量平均分子量が60000以上600000以下である、
ゴム組成物。
【請求項2】
前記ブロック共重合体の重合平均分子量が、200000以上600000以下である、
請求項1に記載のゴム組成物。
【請求項3】
樹脂及び可塑剤を合計で70質量部以下、さらに含有する、
請求項1又は2に記載のゴム組成物。



【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を用いたブロック共重合体は、常温で天然ゴムや合成ゴムと同様の弾性を有し、また、高温では熱可塑性樹脂と同様の成形加工性を有し、さらには、耐候性、耐熱性にも優れていることから、従来から、樹脂改質剤として、自動車部品、タイヤ部材、医療用成形品、アスファルト改質剤、履物、食品容器等の成形品、包装材料、粘接着シート、家電・工業用部品等の分野で幅広く利用されている。
【0003】
タイヤ部材としての、タイヤトレッドは、典型的には、優れたトラクション性及びハンドリング性、ウェットグリップ性、低い転がり抵抗性、及び良好な摩耗特性を有することが期待されている。これらの特性は、タイヤの製造に使用するゴム組成物の組成に大きく依存している。
【0004】
これらの特性を改善するために、タイヤを構成するゴム組成物は、通常、ゴム成分100質量部に対し最大20質量部、目的とする特性によっては最大75質量部の樹脂を含有するが、前記樹脂としては、例えば、シクロペンタジエンホモポリマー若しくはコポリマーに由来する置換されている若しくは非置換である単位を含有する樹脂、テルペン系樹脂、ロジンエステル樹脂若しくはオリゴエステル樹脂を含むロジン由来物質が挙げられる。
【0005】
また、例えば、特許文献1には、第1のジエンエラストマーに加えて、第2のジエンエラストマーとして、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を用いたブロック共重合体の水添物を含むタイヤトレッド向けゴム組成物が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2020-41141号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
近年、優れたウェットグリップ性及び転がり抵抗性を維持しながら、コストを抑制すること、すなわち、タイヤ組成物中の樹脂及び可塑剤の使用量を抑制することに、関心が寄せられている。
【0008】
しかしながら、特許文献1には、タイヤのドライグリップ性に関しては記載がなされておらず、特性バランスに優れたゴム組成物を得る、という観点においては、未だ改善の余地がある、という問題点を有している。
【0009】
そこで本発明においては、ウェットグリップ性、ドライグリップ性、及び耐摩耗性に優れ、かつ前記各特性バランスが、高度なレベルで良好な、ゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者らは、上記課題を解決するべく鋭意検討した結果、特定の構造を有する第2のジエンエラストマーを含有するゴム組成物が、上述した従来技術の課題を解決できることを見出し、本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は以下のとおりである。
【0011】
〔1〕
ジエンエラストマー:100質量部と、
フィラー:50~200質量部と、
を、含有するゴム組成物であって、
前記ジエンエラストマーは、
ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、及びイソプレンコポリマーからなる群より選択される少なくとも一種の第1のジエンエラストマー:50~95質量部と、
ブロック共重合体である第2のジエンエラストマー:5~50質量部よりなり、
前記第2のジエンエラストマーであるブロック共重合体が、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含み、
前記ブロック共重合体中の全ビニル芳香族単量体単位の含有量は、30質量%~85質量%であり、
前記ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロックBを有し、前記重合体ブロックBのビニル芳香族単量体単位の含有量が51質量%以上80質量%未満であり、
前記ブロック共重合体の重量平均分子量が60000以上600000以下である、
ゴム組成物。
〔2〕
前記ブロック共重合体の重合平均分子量が、200000以上600000以下である、前記〔1〕に記載のゴム組成物。
〔3〕
樹脂及び可塑剤を合計で70質量部以下、さらに含有する、前記〔1〕又は〔2〕に記載のゴム組成物。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、ウェットグリップ性、ドライグリップ性、及び耐摩耗性に優れ、かつ前記各特性バランスが高度なレベルで良好なゴム組成物が得られる。
【発明を実施するための形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための形態(以下、「本実施形態」という。)について詳細に説明する。
なお、以下の本実施形態は、本発明を説明するための例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されるものではない。本発明は、その要旨の範囲内で適宜に変形して実施することができる。
【0014】
〔ゴム組成物〕
本実施形態のゴム組成物は、
ジエンエラストマー:100質量部と、
フィラー:50~200質量部と、
を、含有する。
前記ジエンエラストマーは、
ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、及びイソプレンコポリマーからなる群より選択される少なくとも一種の第1のジエンエラストマー(ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロックを含むものを除く):50~95質量部と、
ブロック共重合体である第2のジエンエラストマー:5~50質量部よりなる。
前記第2のジエンエラストマーであるブロック共重合体(以下、単にブロック共重合体と記載する場合がある。)は、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位とを含み、前記ブロック共重合体中の全ビニル芳香族単量体単位の含有量は30質量%~85質量%である。前記ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロックBを有し、前記重合体ブロックBのビニル芳香族単量体単位の含有量が51質量%以上80質量%未満である。前記ブロック共重合体の重量平均分子量は60000以上600000以下である。
【0015】
前記構成によれば、ウェットグリップ性、ドライグリップ性、及び耐摩耗性に優れ、かつ前記各特性バランスが高度なレベルで良好なゴム組成物が得られる。
【0016】
(ジエンエラストマー)
本実施形態のゴム組成物は、ジエンエラストマーを含有し、前記ジエンエラストマーは、第1のジエンエラストマー及び第2のジエンエラストマーよりなる。
【0017】
(第1のジエンエラストマー:ゴム)
第1のジエンエラストマーは、ポリブタジエン、天然ゴム、合成ポリイソプレン、ブタジエンコポリマー、及びイソプレンコポリマーからなる群より選択される少なくとも一種である。前記第1のジエンエラストマーはタイヤ組成物に通常使用されるような不飽和ジエンエラストマーであり「ゴム」成分である。
【0018】
第1のジエンエラストマーとしては、ブチルゴム、ハロゲン化ブチルゴム、及びEPDM(エチレンプロピレンジエンモノマーゴム)、及びこれらの混合物を好適に使用できる。
第1のジエンエラストマーとしては、例えば、天然ゴム(NR)、スチレン-ブタジエンゴム(SBR)、ブタジエンゴム、合成ポリイソプレンゴム、エポキシ化天然ゴム、ポリブタジエンゴムが挙げられ、具体的には、高シスポリブタジエンゴム、ニトリル-水素化ブタジエンゴム(HNBR)、水素化SBR、エチレンプロピレンジエンモノマーゴム、エチレンプロピレンゴム、マレイン酸変性エチレンプロピレンゴム、ブチルゴム、イソブチレン-芳香族ビニル又はジエンモノマーコポリマー、臭素化NR、塩素化NR、臭素化イソブチレン-p-メチルスチレンコポリマー、クロロプレンゴム、エピクロロヒドリンホモポリマーゴム、エピクロロヒドリン-エチレンオキシド又はアリルグリシジルエーテルコポリマーゴム、エピクロロヒドリン-エチレンオキシド-アリルグリシジルエーテルターポリマーゴム、クロロスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン、マレイン酸変性塩素化ポリエチレン、メチルビニルシリコーンゴム、ジメチルシリコーンゴム、メチルフェニルビニルシリコーンゴム、多硫化ゴム、フッ化ビニリデンゴム、テトラフルオロエチレン-プロピレンゴム、フッ素化シリコーンゴム、フッ素化ホスファゲンゴム、スチレンエラストマー、熱可塑性オレフィンエラストマー、ポリエステルエラストマー、ウレタンエラストマー、及びポリアミドエラストマーが挙げられる。
第1のジエンエラストマーは、カップリング剤及び/又は星型分岐剤若しくは官能化剤で、カップリングされていてもよく、星型に分岐されていてもよく、分岐されていてもよく、官能化されていてもよい。
なお、第1のジエンエラストマーは、ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロックを含まない点において、後述する第2のジエンエラストマーと区別できる。
【0019】
本実施形態のゴム組成物においては、第1のジエンエラストマーは、後述するカーボンブラック及び/又はシリカのようなフィラーに対する親和性を改善する観点から、末端基が官能化されていることが好ましい。
官能化は、カップリング剤、星型分岐化剤を使用することにより行うことができる。また、官能化としては、フィラーとしてのカーボンブラックとのカップリングが含まれ、これには例えば、C-Sn結合を含む官能基、ベンゾフェノンのようなアミノ化官能基、シラノール官能基、及びシラノール末端を有するポリシロキサン官能基、アルコキシシラン基、ポリエーテル基が、末端基として好適である。
第1のジエンエラストマーは、末端鎖がシラノール基で官能化されているものであることが好ましい。また、エポキシド官能化(又はエポキシド化)されておりエポキシド官能基を有するものであることがより好ましい。
【0020】
本実施形態のゴム組成物を構成するジエンエラストマー(100質量部)は、第1のジエンエラストマーが50~95質量部を占め、残部は、後述する第2のジエンエラストマー5~50質量部よりなる。
【0021】
(第2のジエンエラストマー:ブロック共重合体)
前記第2のジエンエラストマーは、ビニル芳香族単量体単位と、共役ジエン単量体単位とを含むブロック共重合体である。
前記ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位の含有量が30質量%~85質量%である。
前記ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位よりなる重合体ブロックBを有し、前記重合体ブロックB中のビニル芳香族単量体単位の含有量は51質量%以上80質量%未満である。
また、前記ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAを含有することが好ましい。
第2のジエンエラストマーであるブロック共重合体が、上記の構成を有することにより、本実施形態のゴム組成物において、ウェットグリップ性、ドライグリップ性、耐摩耗性に優れ、かつ各特性のバランスが良好なものとなる。
本明細書において、重合体ブロックを構成する単量体単位に関し、「主体とする」とは、対象の単量体単位を対象の重合体ブロック中に、80質量%以上100質量%以下、好ましくは90質量%以上100質量%以下含むことを言う。
【0022】
<ビニル芳香族化合物>
前記ブロック共重合体を構成するビニル芳香族単量体単位は、ビニル芳香族化合物により形成される。
ビニル芳香族化合物は、以下に限定されないが、例えば、スチレン、α-メチルスチレン、p-メチルスチレン、ジビニルベンゼン、1,1-ジフェニルエチレン、N,N-ジメチル-p-アミノエチルスチレン、N,N-ジエチル-p-アミノエチルスチレン等が挙げられる。
これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、スチレン、α-メチルスチレン、4-メチルスチレンが好ましい。
なお、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位を含むブロック(いわゆるランダムブロック)に含まれるビニル芳香族単量体単位としては、反応性の観点でスチレンが好ましい。
これらは1種のみを用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
【0023】
<共役ジエン化合物>
前記ブロック共重合体を構成する共役ジエン単量体単位は、共役ジエン化合物により形成される。
共役ジエン化合物は、共役二重結合を有するジオレフィンであれば特に限定されず、例えば、1,3-ブタジエン、2-メチル-1,3-ブタジエン(イソプレン)、2,3-ジメチル-1,3-ブタジエン、1,3-ペンタジエン、2-メチル-1,3-ペンタジエン、1,3-ヘキサジエン等が挙げられる。
これらの中でも、入手性及び生産性の観点から、1,3-ブタジエン、イソプレンが好ましい。これらは1種単独で使用してもよいし、2種以上を併用してもよい。
【0024】
<水素添加率>
前記ブロック共重合体は、水素添加されていてもよい。前記ブロック共重合体は、全共役ジエン系単量体単位の20mоl%以上が水素添加されていることが好ましい。
水素添加率は、共重合体の溶解パラメータ値、流動性、及びガラス転移温度にも影響するため、好ましい水素添加率は、それらへの影響も考慮され設定される。これらの特性バランスの観点から、前記ブロック共重合体の水素添加率(共役ジエン単位に由来する炭素-炭素二重結合の水素添加率)は20mоl%以上であることが好ましく、30mоl%以上であることがより好ましく、70mоl%であることがさらに好ましく、90mоl%以上であることがさらにより好ましい。
前記ブロック共重合体の水素添加率が20mоl%以上であることにより、本実施形態のゴム組成物のウェットグリップ、ドライグリップが向上する。
水素添加率は、例えば、水素添加時の触媒量を調整することによって前記数値範囲に制御でき、水素添加速度は、例えば、水素添加時の触媒量、水素フィード量、圧力及び温度等によって制御できる。ブロック共重合体の水素添加率は、プロトン核磁気共鳴(H-NMR)法により測定でき、具体的には、後述する実施例に記載の方法により測定できる。
【0025】
<ブロック共重合体の構造>
前記ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位を含み、ビニル芳香族単量体単位の含有量が51質量%以上80質量%未満である重合体ブロックBを有する。
さらには、ブロック共重合体は、ビニル芳香族化合物を主体とする重合体ブロック(以下、重合体ブロックAと記す場合がある。)を少なくとも1つ有することが好ましい。
【0026】
前記ブロック共重合体は、例えば、下記一般式で表されるような構造を有することが好ましい。また、前記ブロック共重合体は、下記構造を複数種類、任意の割合で含む混合物でもよい。
【0027】
(A-B)
A-(B-A)
B-(A-B)
[(A-B)]-Z
[(B-A)]-Z
[(A-B)-A]-Z
[(B-A)-B]-Z
【0028】
前記ブロック共重合体を表す各一般式において、Aはビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックであり、Bはビニル芳香族単量体単位及び共役ジエン単量体単位よりなり、ビニル芳香族単量体単位の含有量が51質量%以上80質量%未満である重合体ブロックである。
前記重合体ブロックBは、ビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%未満であるため、重合体ブロックAと、重合体ブロックBとは、明確に区別される。
【0029】
前記ブロック共重合体において、重合体ブロックAと重合体ブロックBとの境界線は必ずしも明瞭に区別される必要はない。
また、前記ブロック共重合体を表す各式中、nは1以上の整数、好ましくは1~5の整数である。
mは2以上の整数、好ましくは2~12の整数、より好ましくは2~8の整数である。
Zはカップリング剤残基を表す。カップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、後述するポリハロゲン化合物や酸エステル類等が挙げられる。
重合体ブロックAがビニル芳香族単量体単位と他の単量体単位との共重合体ブロックである場合には、重合体ブロックA中のビニル芳香族単量体単位は、均一に分布していてもテーパー状に分布していてもよく、また、均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよい。さらに、前記重合体ブロックAには、ビニル芳香族単量体単位の含有量が異なる部分が複数個共存していてもよい。
また、重合体ブロックB中のビニル芳香族単量体単位は均一に分布していても、テーパー状に分布していてもよい。さらに、ビニル芳香族単量体単位は均一に分布している部分及び/又はテーパー状に分布している部分がそれぞれ複数個存在していてもよい。さらに、前記重合体ブロックBには、ビニル芳香族単量体単位の含有量が異なる部分が複数個共存していてもよい。
【0030】
<ブロック共重合体中の全ビニル芳香族単量体単位の含有量>
前記ブロック共重合体は、前記ブロック共重合体中の全ビニル芳香族単量体単位の含有量が、30質量%~85質量%であり、好ましくは35質量%~80質量%であり、より好ましくは40質量%~70質量%である。
また、前記ブロック共重合体中の共役ジエン単量体単位の含有量は、15質量%~70質量%であり、好ましくは20質量%~65質量%であり、より好ましくは30質量%~60質量%である。
前記ブロック共重合体中の全ビニル芳香族単量体単位の含有量が30質量%以上であることにより、本実施形態のゴム組成物がウェットグリップ性、ドライグリップ性に優れたものとなる傾向にある。全ビニル芳香族単量体単位の含有量が85質量%以下であることにより、本実施形態のゴム組成物が耐摩耗性に優れる傾向にある。
なお、前記ブロック共重合体中の全ビニル芳香族単量体単位の含有量は、重合時のビニル芳香族化合物のフィード量を調整することにより、上記数値範囲に制御することができ、後述する実施例に記載の方法により、紫外線分光光度計を用いて262nmの吸収強度を測定することにより算出できる。具体的には後述する実施例に記載する方法により測定できる。
【0031】
<重合体ブロックB中のビニル芳香族単量体単位の含有量>
前記ブロック共重合体中の重合体ブロックBは、ビニル芳香族単量体単位の含有量が51質量%以上80質量%未満である。
上限値は好ましくは75質量%以下であり、より好ましくは70質量%以下である。また、下限値は好ましくは53質量%以上であり、より好ましくは55質量%以上であり、さらに好ましくは58質量%以上である。
前記ブロック共重合体中の重合体ブロックBにおけるビニル芳香族単量体単位の含有量が51質量%以上であることにより、本実施形態のゴム組成物がウェットグリップ性、ドライグリップ性に優れたものとなる傾向にある。
また、重合ブロックBにおけるビニル芳香族単量体単位の含有量が80質量%未満であれば、本実施形態のゴム組成物の耐摩耗性が優れる傾向にある。
なお、重合体ブロックBにおけるビニル芳香族単量体単位の含有量は、重合時のビニル芳香族化合物のフィード量により、上記数値範囲に制御することができ、核磁気共鳴装置(NMR)により測定できる。具体的には後述する実施例に記載する方法により測定できる。
【0032】
<重合体ブロックAの含有量>
前記ブロック共重合体は、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAを含有することが好ましい。
重合体ブロックAの含有量は、前記ブロック共重合体の全質量に対して、1質量%~40質量%であることが好ましく、より好ましくは5質量%~35質量%、さらに好ましくは10質量%~30質量%である。
前記ブロック共重合体中の重合体ブロックAの含有量が1質量%以上であることにより、本実施形態のゴム組成物は、引張強度に優れる傾向にある。
ブロック重合体Aの含有量が40質量%以下であることにより、本実施形態のゴム組成物は、耐ブロッキング性(低べたつき性)に優れる傾向にある。
なお、重合体ブロックAの含有量は、単量体のフィード量を調整することによって上記数値範囲に制御することができる。
【0033】
前記ブロック共重合体における重合体ブロックAの含有量は、水添前のブロック共重合体を四酸化オスミウムを触媒として、t-ブチルハイドロパーオキサイドにより酸化分解する方法(I.M.KOLTHOFF,et al.,Polym.Sci.1,429(1946)に記載の方法)(以下、四酸化オスミウム分解法と称する。)で求めたビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体の質量(ただし、平均重合度が約30以下のビニル芳香族化合物は除かれている)を用いて算出することができる。
【0034】
また、前記ブロック共重合体における重合体ブロックAの含有量は、水素添加後のブロック共重合体を用いて、Y.Tanaka,et al.,RUBBER CHEMISTRY and TECHNOLOGY 54,685(1981)に記載の方法で、核磁気共鳴装置(NMR)により測定することができる。
NMR法を、ビニル芳香族化合物をスチレン、共役ジエン化合物を1,3-ブタジエンとした場合を例に挙げて具体的に説明する。
ブロック共重合体30mgを重水素化クロロホルム1gに溶解した試料を用いてH-NMRを測定し、重合体ブロックA(この場合、ポリスチレンブロックとなる)の含有量(Ns値)を全積算値に対する化学シフト6.9ppm~6.3ppmの積算値の比率から求める。
ブロックスチレン強度(b-St強度)
=(6.9ppm~6.3ppmの積算値)/2
ランダムスチレン強度(r-St強度)
=(7.5ppm~6.9ppmの積算値)-3×(b-St)
エチレン・ブチレン強度(EB強度)
=全積算値-3×{(b-St強度)+(r-St強度)}/8
NMR法で得られるポリスチレンブロック含有量(Ns値)
=104×(b-St強度)
/[104×{(b-St強度)+(r-St強度)}+56×(EB強度)]
ここで、四酸化オスミウム分解法で測定した水素添加前のブロック共重合体中のブロック重合体Aの含有量(「Os値」と称する)とNMR法により測定した水素添加後のブロック共重合体中のブロック重合体A1の含有量(「Ns値」と称する。)の間には下記式で表される相関関係がある。
Os値=-0.012(Ns値)+1.8(Ns値)-13.0
【0035】
<ビニル結合量>
前記ブロック共重合体における、重合体ブロックBの水添前の共役ジエン単量体単位中のビニル結合量は、好ましくは15mol%~90mol%未満であり、より好ましくは18mol~70mol%であり、さらに好ましくは21mol~60mol%である。
前記ブロック共重合体の重合体ブロックBの水添前の共役ジエン単量体単位中のビニル結合量が15mol%以上90mol%未満であることにより、本実施形態のゴム組成物において、ウェットグリップ、ドライグリップに優れたものとなる。
なお、本実施形態において、ビニル結合量とは、全共役ジエンに対する、1,2-ビニル結合量(1,2-結合で重合体に組み込まれている共役ジエン)と3,4-ビニル結合量(3,4-結合で重合体に組み込まれている共役ジエン)の合計含有量(ここで、共役ジエンとして1,3-ブタジエンを使用した場合には、1,2-ビニル結合含有量、共役ジエンとしてイソプレンを使用した場合には、3,4-ビニル結合含有量)をいう。
水素添加前の共役ジエンに基づくビニル結合含有量は、核磁気共鳴装置(NMR)を用いて測定することができる。具体的には、後述する実施例に記載する方法により測定できる。
前記ブロック共重合体中の共役ジエン化合物単量体単位に由来するミクロ構造(シス、トランス、ビニルの比率)は、後述する極性化合物等の使用により上記数値範囲に制御することができる。
【0036】
<ブロック共重合体の重量平均分子量>
前記ブロック共重合体の重量平均分子量は、60000以上600000以下であり、好ましくは90000~600000、より好ましくは120000~600000、さらに好ましくは150000~600000、さらにより好ましくは200000~600000である。
前記ブロック共重合体の重量平均分子量が60000以上であることにより、本実施形態のゴム組成物は、ウェットグリップ性、ドライグリップ性に優れる傾向にある。ブロック共重合体の重量平均分子量が600000以下であることにより、本実施形態のゴム組成物の加工性が良好になる傾向にある。
【0037】
なお、前記ブロック共重合体の重量平均分子量は、後述する実施例に記載の方法でゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)によって測定したクロマトグラムのピークの分子量を、市販の標準ポリスチレンの測定から求めた検量線(標準ポリスチレンのピーク分子量を使用して作成)を使用して求めることができる。
なお、GPCにより測定したブロック共重合体の分子量分布の形状は特に限定されず、ピークが二ヶ所以上存在するポリモーダルの分子量分布を持つものでもよいし、ピークが一つであるモノモーダルの分子量分布を持つものでもよい。
前記ブロック共重合体の重量平均分子量は、重合工程時のモノマー添加量、反応開始剤添加量、重合時間、重合温度を調整することにより、上記数値範囲に制御できる。
【0038】
<ブロック共重合体のメルトフローレート>
前記ブロック共重合体のメルトフローレート(MFR;ISO 1133に準拠、230℃、2.16kg荷重)は、0.01~200g/10分の範囲にあることが好ましく、0.1~150g/10分であることがより好ましく、1.0~110g/10分であることがさらに好ましい。
前記ブロック共重合体のMFRが0.01g/10分以上の場合、本実施形態のゴム組成物の流動性を十分に確保できる傾向にあり、200g/10分以下の場合、得られるゴム組成物の低ベタツキ性を十分に確保できる傾向にある。
前記ブロック共重合体のMFRは、後述する実施例に記載する方法により測定できる。
【0039】
<ブロック共重合体のtanδピーク温度>
前記ブロック共重合体は、粘弾性測定(1Hz)において、-30℃以上70℃以下にtanδピークを1個以上有することが好ましく、-20℃以上60℃以下にtanδピークを1個以上有することがより好ましく、0℃以上50℃以下にtanδピークを1個以上有することがさらに好ましい。
前記ブロック共重合体が、-30℃以上70℃以下にtanδピークを1個以上有することにより、本実施形態のゴム組成物において、ウェットグリップ性、ドライグリップ性に優れたものとなる傾向にある。
前記ブロック共重合体のtanδピーク温度は、共役ジエン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位からなる重合体ブロックB中の芳香族ビニル単量体単位の含有量や、ブロック共重合体の水添前のビニル結合量、水添率を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
共役ジエン単量体単位と芳香族ビニル単量体単位からなる重合体ブロックB中の芳香族ビニル単量体単位の含有量は、ブロック共重合体の製造工程における各単量体の添加量を調整することにより制御することができる。
重合体ブロックB中の芳香族ビニル単量体単位の含有量が増加することによりtanδピーク温度は上がる傾向にあり、減少することにより下がる傾向にある。
水添前のブロック共重合体のビニル結合量は、ルイス塩基、例えばエーテル、アミン等のビニル化剤を使用することや、その使用量、重合温度を調整することにより制御できる。
水添前のブロック共重合体のビニル結合量が50%以上の場合、水添前のビニル結合量が増加することによってブロック共重合体のtanδピーク温度が上がる傾向にあり、減少することにより下がる傾向にある。
ブロック共重合体の水添率は、例えば、水添時の触媒量や水素フィード量を調整することにより制御することができる。水添率が増加することによりtanδピーク温度が上がる傾向にあり、減少することにより下がる傾向にある。
前記ブロック共重合体のtanδピーク温度は、後述する実施例に記載する方法により測定できる。
【0040】
<ブロック共重合体の硬度>
前記ブロック共重合体は、JIS K6253に従いデュロメータタイプAで測定した瞬間硬度の値が40以上95以下であることが好ましく、60以上95以下がより好ましく、80以上95以下がさらに好ましい。
前記ブロック共重合体が、JIS K6253に従いデュロメータタイプAで測定した瞬間硬度の値が40以上95以下であることにより、本実施形態のゴム組成物において、ウェットグリップ、ドライグリップに優れたものとなる。
前記ブロック共重合体の硬度は、ブロック共重合体の重量平均分子量、重合体ブロックAの含有量、重合体ブロックB中におけるビニル芳香族単量体単位の含有量、ブロック共重合体のビニル結合量、及び、共役ジエン単量体単位の二重結合の水素添加率を調整することにより、上記数値範囲に制御することができる。
【0041】
(ブロック共重合体の製造方法)
上述したブロック共重合体の製造方法としては、以下に限定されないが、例えば、特公昭36-19286号公報、特公昭43-17979号公報、特公昭46-32415号公報、特公昭49-36957号公報、特公昭48-2423号公報、特公昭48-4106号公報、特公昭51-49567号公報、特開昭59-166518号公報、等に記載された方法が挙げられる。
【0042】
前記ブロック共重合体の水素添加前のブロック共重合体は、以下に限定されないが、例えば、炭化水素溶媒中で有機アルカリ金属化合物等の重合開始剤を用いて、所定の単量体を用い、リビングアニオン重合を行う方法等により得られる。
【0043】
炭化水素溶媒としては、以下に限定されないが、例えば、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、n-ヘキサン、n-ヘプタン、n-オクタン等の脂肪族炭化水素類、シクロヘキサン、シクロヘプタン、メチルシクロヘプタン等の脂環式炭化水素類、ベンゼン、トルエン、キシレン、エチルベンゼン等の芳香族炭化水素類等が挙げられる。
【0044】
重合開始剤としては、一般的に、共役ジエン化合物及びビニル芳香族化合物に対しアニオン重合活性があることが知られている有機アルカリ金属化合物を用いることができる。
例えば、炭素数1~20の脂肪族炭化水素アルカリ金属化合物、炭素数1~20の芳香族炭化水素アルカリ金属化合物、炭素数1~20の有機アミノアルカリ金属化合物等が挙げられる。重合開始剤に含まれるアルカリ金属としては、以下に限定されないが、例えば、リチウム、ナトリウム、カリウム等が挙げられる。なお、アルカリ金属は、1分子中に1種、又は2種以上含まれていてもよい。
【0045】
重合開始剤としては、以下に限定されないが、例えば、n-プロピルリチウム、n-ブチルリチウム、sec-ブチルリチウム、tert-ブチルリチウム、n-ペンチルリチウム、n-ヘキシルリチウム、ベンジルリチウム、フェニルリチウム、トリルリチウム、ジイソプロペニルベンゼンとsec-ブチルリチウムの反応生成物、さらにジビニルベンゼンとsec-ブチルリチウムと少量の1,3-ブタジエンの反応生成物等が挙げられる。
また、米国特許5,708,092号明細書に開示されている1-(t-ブトキシ)プロピルリチウム及びその溶解性改善のために1~数分子のイソプレンモノマーを挿入したリチウム化合物、英国特許2,241,239号明細書に開示されている1-(t-ブチルジメチルシロキシ)ヘキシルリチウム等のシロキシ基含有アルキルリチウム、米国特許5,527,753号明細書に開示されているアミノ基含有アルキルリチウム、ジイソプロピルアミドリチウム及びヘキサメチルジシラジドリチウム等のアミノリチウム類も重合開始剤として使用することができる。
【0046】
重合開始剤としてのリチウム化合物の使用量は、目的とするブロック共重合体の分子量によるが、一般的には0.01~0.5質量部(使用する単量体100質量部当たりに対する質量部)が好ましい。重合開始剤としてのリチウム化合物の使用量は、より好ましくは0.03~0.3質量部であり、さらに好ましくは0.05~0.15質量部である。
【0047】
有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を共重合する際に、ブロック共重合体に組み込まれる共役ジエン単量体単位に起因するビニル結合(1,2-結合又は3,4-結合)の含有量の調整や、共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物とのランダム共重合性を調整するために、ビニル結合量調整剤として第3級アミン化合物やエーテル化合物を添加することができる。
第3級アミン化合物としては、特に限定されないが、例えば、下記式で示される化合物が挙げられる。
R1R2R3N
(式中、R1、R2、及びR3は、炭素数1~20の炭化水素基又は第3級アミノ基を有する炭化水素基である。)
【0048】
このような第3級アミン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリブチルアミン、N,N-ジメチルアニリン、N-エチルピペリジン、N-メチルピロリジン、N,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミン、N,N,N',N'-テトラエチルエチレンジアミン、1,2-ジピペリジノエタン、トリメチルアミノエチルピペラジン、N,N,N',N'',N''-ペンタメチルエチレントリアミン、N,N'-ジオクチル-p-フェニレンジアミン等が挙げられる。これらの中でもN,N,N',N'-テトラメチルエチレンジアミンが好ましい。
【0049】
また、エーテル化合物としては、直鎖状エーテル化合物や環状エーテル化合物等を用いることができる。
直鎖状エーテル化合物としては、以下に限定されないが、例えば、ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジフェニルエーテル、エチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジブチルエーテル等のエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジブチルエーテル等のジエチレングリコールのジアルキルエーテル化合物等が挙げられる。
また、環状エーテル化合物としては、以下に限定されないが、例えば、テトラヒドロフラン、ジオキサン、2,5-ジメチルオキソラン、2,2,5,5-テトラメチルオキソラン、2,2-ビス(2-オキソラニル)プロパン、フルフリルアルコールのアルキルエーテル等が挙げられる。
【0050】
第3級アミン化合物又はエーテル化合物の使用量は、前記有機アルカリ金属化合物の重合開始剤に対し、好ましくは0.1~4(モル/アルカリ金属1モル)、より好ましくは0.2~3(モル/アルカリ金属1モル)である。
【0051】
ブロック共重合体の製造工程において、共重合を行う際に、ナトリウムアルコキシドを共存させてもよい。ナトリウムアルコキシドは、以下に限定されないが、例えば、下記式で示される化合物が挙げられる。特に、炭素原子数3~6のアルキル基を有するナトリウムアルコキシドが好ましく、ナトリウムt-ブトキシド、ナトリウムt-ペントキシドがより好ましい。
NaOR
(式中、Rは炭素原子数2~12のアルキル基である)
ブロック共重合体の重合工程におけるナトリウムアルコキシドの使用量は、前記ビニル結合量調整剤(第3級アミン化合物又はエーテル化合物)に対し、好ましくは0.01以上0.1未満(モル比)であり、より好ましくは0.01以上0.08未満(モル比)、さらに好ましくは0.03以上0.08未満(モル比)、さらにより好ましくは0.04以上0.06未満(モル比)である。
ナトリウムアルコキシドの量がこの範囲にあると、ビニル結合量が高い共役ジエン単量体単位を含む重合体ブロックBと、分子量分布が狭いビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAを有し、かつ分子量分布が狭く、高い強度を有するブロック共重合体を高生産率で製造できる傾向にある。
【0052】
有機アルカリ金属化合物を重合開始剤として共役ジエン化合物とビニル芳香族化合物を共重合する方法は、特に限定されず、バッチ重合であっても連続重合であっても、あるいはそれらの組み合わせであってもよい。
重合温度は、特に限定されないが、通常は0~180℃であり、好ましくは30~150℃である。
重合に要する時間は条件によって異なるが、通常は48時間以内であり、好ましくは0.1~10時間である。
また、窒素ガス等の不活性ガス雰囲気下で重合することが好ましい。
重合圧力は、上記重合温度範囲でモノマー及び溶媒を液相に維持するに充分な圧力の範囲で行えばよく、特に限定されるものではない。
【0053】
さらに、重合終了時に2官能基以上のカップリング剤を必要量添加してカップリング反応を行ってもよい。
2官能基以上のカップリング剤としては、特に限定されず、公知のものを用いることができる。
2官能基カップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、ジメチルジクロロシラン、ジメチルジブロモシラン等のジハロゲン化合物、安息香酸メチル、安息香酸エチル、安息香酸フェニル、フタル酸エステル類等の酸エステル類等が挙げられる。
3官能基以上の多官能カップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、3価以上のポリアルコール類、エポキシ化大豆油、ジグリシジルビスフェノールA等の多価エポキシ化合物、式R1(4-n)SiXn(ここで、R1は炭素数1~20の炭化水素基、Xはハロゲン、nは3又は4の整数を表す)で表されるハロゲン化珪素化合物、及びハロゲン化錫化合物が挙げられる。
ハロゲン化珪素化合物としては、以下に限定されないが、例えば、メチルシリルトリクロリド、t-ブチルシリルトリクロリド、四塩化珪素、及びこれらの臭素化物等が挙げられる。
ハロゲン化錫化合物としては、以下に限定されないが、例えば、メチル錫トリクロリド、t-ブチル錫トリクロリド、四塩化錫等の多価ハロゲン化合物等が挙げられる。また、炭酸ジメチルや炭酸ジエチル等も使用可能である。
【0054】
前記ブロック共重合体は、上述のような方法で得たブロック共重合体のリビング末端に、官能基含有原子団を生成する変性剤を付加反応させたものであってもよい。
官能基含有原子団としては、以下に限定されないが、例えば、水酸基、カルボニル基、チオカルボニル基、酸ハロゲン化物基、酸無水物基、カルボキシル基、チオカルボキシル酸基、アルデヒド基、チオアルデヒド基、カルボン酸エステル基、アミド基、スルホン酸基、スルホン酸エステル基、リン酸基、リン酸エステル基、アミノ基、イミノ基、ニトリル基、ピリジル基、キノリン基、エポキシ基、チオエポキシ基、スルフィド基、イソシアネート基、イソチオシアネート基、ハロゲン化ケイ素基、シラノール基、アルコキシケイ素基、ハロゲン化スズ基、アルコキシスズ基及びフェニルスズ基からなる群より選ばれる官能基を少なくとも1種含有する原子団等が挙げられる。
【0055】
官能基含有原子団を有する変性剤としては、以下に限定されないが、例えば、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジル-1,3-ビスアミノメチルシクロヘキサン、ε-カプロラクトン、δ-バレロラクトン、4-メトキシベンゾフェノン、γ-グリシドキシエチルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ-グリシドキシプロピルジメチルフェノキシシラン、ビス(γ-グリシドキシプロピル)メチルプロポキシシラン、1,3-ジメチル-2-イミダゾリジノン、1,3-ジエチル-2-イミダゾリジノン、N,N'-ジメチルプロピレンウレア、N-メチルピロリドン等が挙げられる。
変性剤の付加量は、変性前の水添共重合体100質量部に対し、0.01~40質量部が好ましく、より好ましくは0.1~20質量部、さらに好ましくは0.3~10質量部である。
変性剤の付加反応温度は、好ましくは0~150℃、より好ましくは20~120℃である。
変性反応に要する時間は、変性反応条件によって異なるが、好ましくは24時間以内であり、より好ましくは0.1~10時間である。
【0056】
前記ブロック共重合体は、共役ジエン単量体単位の二重結合を水添したものであってもよい。
水添工程に用いられる水添触媒としては、特に限定されず、例えば、特公昭42-8704号公報、特公昭43-6636号公報、特公昭63-4841号公報、特公平1-37970号公報、特公平1-53851号公報、特公平2-9041号公報等に記載された水添触媒を使用することができる。
好ましい水添触媒としては、チタノセン化合物及び/又は還元性有機金属化合物との混合物が挙げられる。
【0057】
チタノセン化合物としては、以下に限定されないが、例えば、特開平8-109219号公報に記載された化合物等が挙げられ、具体的には、ビスシクロペンタジエニルチタンジクロライド、モノペンタメチルシクロペンタジエニルチタントリクロライド等の(置換)シクロペンタジエニル構造、インデニル構造、及びフルオレニル構造を有する配位子を少なくとも1つ以上持つ化合物等が挙げられる。
還元性有機金属化合物としては、以下に限定されないが、例えば、有機リチウム等の有機アルカリ金属化合物、有機マグネシウム化合物、有機アルミニウム化合物、有機ホウ素化合物、有機亜鉛化合物等が挙げられる。
【0058】
水添反応の反応温度は、通常0~200℃、好ましくは30~150℃である。
水添反応に使用される水素の圧力は、好ましくは0.1~30MPa、より好ましくは0.2~10MPa、さらに好ましくは0.3~5MPaである。
水添反応の反応時間は、通常3分~10時間、好ましくは10分~5時間である。
なお、水添反応は、バッチプロセス、連続プロセス、あるいはそれらの組み合わせのいずれでも用いることができる。
水添反応終了後の反応溶液から、必要に応じて触媒残査を除去してもよい。
【0059】
水添後のブロック共重合体と溶媒を分離する方法としては、以下に限定されないが、例えば、水添ブロック共重合体の溶液に、アセトン又はアルコール等の水添ブロック共重合体に対して貧溶媒となる極性溶媒を加えて、水添ブロック共重合体を沈澱させて回収する方法、あるいは、水添ブロック共重合体の溶液を撹拌下熱湯中に投入し、スチームストリッピングにより溶媒を除去して回収する方法、水添ブロック共重合体の溶液を直接加熱することによって溶媒を留去する方法等が挙げられる。
水添ブロック共重合体には、例えば、製造中に酸化防止剤を添加する等して、その表面及び/又は内部に酸化防止剤を含ませてもよい。
なお、後述する本実施形態の樹脂組成物にも下記の酸化防止剤を添加してもよい。
【0060】
酸化防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、フェノール系酸化防止剤、リン系酸化防止剤、イオウ系酸化防止剤、アミン系酸化防止剤等が挙げられる。
具体的には、2,6-ジ-t-ブチル-4-メチルフェノール、n-オクタデシル-3-(4’-ヒドロキシ-3’,5’-ジ-t-ブチル-フェニル)プロピオネート、テトラキス-〔メチレン-3-(3’,5’-ジ-t-ブチル-4’-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕メタン]、トリス-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)イソシアヌレート、4,4’-ブチリデン-ビス-(3-メチル-6-t-ブチルフェノール)、3,9-ビス[2-{3-(3-t-ブチル-4-ヒドロキシ-5-メチルフェニル)プロピオニルオキシ}-1,1-ジメチルエチル]-2,4,8,10-テトラオキサスピロ[5,5]ウンデカン、トリエチレングリコール-ビス[3-(3-t-ブチル-5-メチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、1,6-ヘキサンジオール-ビス-〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、2,4-ビス-(n-オクチルチオ)-6-(4-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ブチルアニリノ)1,3,5-トリアジン、ペンタエリスリチル-テトラキス[3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート]、2,2-チオ-ジエチレンビス〔3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート〕、N,N’-ヘキサメチレンビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシ-ヒドロシンナマミド)、3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホネート-ジエチルエステル、1,3,5-トリメチル-2,4,6-トリス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジル)ベンゼン、ビス(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシベンジルホスホン酸エチル)カルシウムとポリエチレンワックス(50%)の混合物、オクチル化ジフェニルアミン、2,4-ビス[(オクチルチオ)メチル]-o-クレゾール、イソオクチル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネート、ブチル酸,3,3-ビス(3-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)エチレンエステル、1,1,3-トリス-(2-メチル-4-ヒドロキシ-5-t-ブチルフェニル)ブタン、1,3,5-トリス(4-t-ブチル-3-ヒドロキシ-2,6-ジメチルベンジル)イソシアヌレート、2-t-ブチル-6-(3’-t-ブチル-5’-メチル-2’-ヒドロキシベンジル)-4-メチルフェニル-アクリレート、及び2-〔1-(2-ヒドロキシ-3,5-ジ-t-ペンチルフェニル)-エチル〕-4,6-ジ-t-ペンチルフェニルアクリレート等が挙げられる。
【0061】
前記ブロック共重合体は、ペレット化してもよい。
ペレット化の方法としては、例えば、一軸又は二軸押出機からブロック共重合体をストランド状に押出して、ダイ部前面に設置された回転刃により、水中で切断する方法;一軸又は二軸押出機から水添共重合体をストランド状に押出して、水冷又は空冷した後、ストランドカッターにより切断する方法;オープンロール、バンバリーミキサーにより溶融混合した後、ロールによりシート状に成形し、さらに当該シートを短冊状にカットした後に、ペレタイザーにより立方状ペレットに切断する方法等が挙げられる。
なお、ブロック共重合体のペレットの大きさ、形状は特に限定されない。クラム又はパウダー形状でもよい。
ブロック共重合体は、必要に応じて前記ペレットに、ペレット同士のブロッキングの防止を目的としてペレットブロッキング防止剤を配合してもよい。
ペレットブロッキング防止剤としては、以下に限定されないが、例えば、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレンビスステアリルアミド、タルク、アモルファスシリカ等が挙げられる。
ペレットブロッキング防止剤の好ましい配合量としては、ブロック共重合体に対して500~10000ppmであり、より好ましい量としては、1000~5000ppmである。ペレットブロッキング防止剤は、ペレット表面に付着した状態で配合されていることが好ましいが、ペレット内部にある程度含むこともできる。
【0062】
(任意の樹脂成分)
本実施形態のゴム組成物は、上述のジエンエラストマー以外に、他の任意の樹脂成分を含有してもよい。
本実施形態のタイヤ組成物が、上述のジエンエラストマー以外の任意の樹脂成分を含む場合には、その量は、ジエンエラストマー100質量部に対し、樹脂成分25質量部未満が好ましく、より好ましくは20質量部未満、さらに好ましくは15質量部未満さらにより好ましくは10質量部未満、よりさらに好ましくは5質量部未満である。例えば、0.5質量部~5質量部とすることが好ましい形態であり、0質量部とすることが特に好ましい。
【0063】
任意選択的に使用することができる他の任意の樹脂成分としては、例えば、シクロペンタジエンホモポリマー又はコポリマー樹脂(CPDと称される)、ジシクロペンタジエンホモポリマー又はコポリマー樹脂(DCPD又は(D)CPDと称される)、テルペンホモポリマー又はコポリマー樹脂、ロジン由来樹脂、ロジン/ロジンエステル、ピネンホモポリマー又はコポリマー樹脂、C5留分ホモポリマー又はコポリマー樹脂、C9留分ホモポリマー又はコポリマー樹脂、α-メチルスチレンホモポリマー又はコポリマー樹脂、及びこれらの組み合わせや、これらの樹脂の置換又は非置換の樹脂が挙げられる。前記任意の樹脂成分は、(D)CPD/ビニル芳香族コポリマー樹脂、(D)CPD/テルペンコポリマー樹脂、テルペン/フェノールコポリマー樹脂、(D)CPD/ピネンコポリマー樹脂、ピネン/フェノールコポリマー樹脂、(D)CPD/C5留分コポリマー樹脂、(D)CPD/C9留分コポリマー樹脂、テルペン/ビニル芳香族コポリマー樹脂、テルペン/フェノールコポリマー樹脂、ピネン/ビニル芳香族コポリマー樹脂、ピネン/フェノール樹脂、C5留分/ビニル芳香族コポリマー樹脂、及びそれらの組み合わせが好ましい。
特に、テルペン系樹脂、ロジンエステル、及びオリゴエステル樹脂が好ましい。
【0064】
(任意の可塑剤成分)
本実施形態のゴム組成物は、任意の可塑剤成分をさらに含んでもよい。
「可塑剤」(プロセスオイルとも称される)とは、上述したジエンエラストマーを伸展させ、本実施形態のゴム組成物の加工性を改善するための石油由来のプロセスオイル及び合成可塑剤を指す。
可塑剤としては、以下に限定されないが、例えば、脂肪酸エステル、炭化水素プロセスオイル、トール油ピッチ及び変性トール油ピッチ、並びにそれらの組み合わせが挙げられる。可塑剤は、ジエンエラストマー100質量部に対し、0~35質量部が好ましく、5~25質量部がより好ましく、20質量部未満がさらに好ましい。
可塑剤は、ピッチエステル、脱炭酸トール油ピッチ、トール油ピッチのセッケン、熱処理されたトール油ピッチ及び熱と触媒で処理されたトール油ピッチの群から選択される変性トール油ピッチがより好ましい
可塑剤には、ジエンエラストマー中に含まれるエクステンダーオイルと、混合時に添加するプロセスオイルとの両方が含まれる。適切なプロセスオイルには、芳香族系オイル、パラフィン系オイル、ナフテン系オイル、MES、TDAE及び重ナフテン系オイルのような低PCAオイル、並びにヒマワリ油、大豆油及びベニバナ油のような植物油がある。低PCAオイルの例には、多環式芳香族含有率が3重量パーセント未満のものがある。適切な植物油には、例えば、ある程度の不飽和を含むエステルの形態の大豆油、ヒマワリ油及び菜種油がある。
【0065】
本実施形態のゴム組成物は、上述した任意の樹脂及び可塑剤の含有量を、これらの合計で、前記ジエンエラストマー100質量部に対し、70質量部以下とすることが好ましく、65質量部以下とすることがより好ましく、60質量部以下とすることが好ましい。
これにより、ゴム組成物の加工性と硬度を下げる効果が得られる。
【0066】
(カップリング剤)
本実施形態のゴム組成物は、カップリング剤をさらに含んでもよい。
カップリング剤は、本来は相互作用しない2種間、例えば、シリカのようなフィラーとジエンエラストマーとの間の安定した化学的及び/又は物理的相互作用を促進することができる物質である。
カップリング剤は、フィラー粒子と予め混合し、又は反応させてもよく、ゴム/シリカの加工段階、すなわち混合段階の最中にゴム混合物に添加してもよい。
カップリング剤としては、以下に限定されないが、例えば、硫黄ベースのカップリング剤、有機過酸化物ベースのカップリング剤、無機カップリング剤、ポリアミンカップリング剤、樹脂カップリング剤、硫黄化合物ベースのカップリング剤、オキシム-ニトロソアミンベースのカップリング剤及び硫黄が挙げられる。特に、少なくとも二官能性であるものが好ましい。このようなカップリング剤としては、例えば、オルガノシラン又はポリオルガノシロキサンが挙げられる。特に、シランスルフィド、シランポリスルフィド及びそれらの組み合わせのいずれかが好ましい。
カップリング剤の配合量は、ジエンエラストマー100質量部に対し、好ましくは1~20質量部、より好ましくは1~10質量部、さらに好ましくは3~15質量部である。
【0067】
(フィラー)
本実施形態のゴム組成物は、ジエンエラストマー100質量部に対し、フィラーを50~200質量部、さらに含む。
フィラーとしては、以下に限定されないが、例えば、平均粒子径が0.0001μm~100μmの、炭酸カルシウム、カーボンナノチューブ、粘土、マイカ、シリカ、シリケート、タルク、二酸化チタン、アルミナ、酸化亜鉛、デンプン、木粉、カーボンブラック又はそれらの混合物が挙げられる。その他のフィラーとしては、以下に限定されないが、当該技術分野で既知の、超高分子量ポリエチレン(UHMWPE)等の粒状フィラー、粒状ポリマーゲル及び可塑化デンプン複合フィラーが挙げられる。
フィラーは、表面処理が施されていてもよく、例えば、テルペン由来シランでコーティングされ又はこれと反応させたシリカ材料、例えば、米国特許第4738892号に開示されているアルコキシテルペンエポキシシランが挙げられる。
また、フィラーは、オルガノシラン、オルガノチタネート又はオルガノジルコネートのうちの少なくとも1つのような官能部分の存在下で処理されているものであってもよい。具体的には、ゴム組成物に配合される前段階に、フィラーは、まず、アミノシラン、ヘキサメチルジシラザン(HMDS)又はビニルトリエトキシシランのようなカップリング剤で表面処理されていてもよく、樹脂で物理的にコーティング又は被覆されていてもよい。
本実施形態のゴム組成物は、ジエンエラストマー100質量部に対し、5~100質量部のカーボンブラックをさらに含んでいてもよい。カーボンブラックのヨウ素吸着量は、通常9~145g/kgの範囲であり、DBP値は34~150cm/100gの範囲である。
本実施形態のゴム組成物は、ジエンエラストマー100質量部に対し、好ましくはフィラーを5~125質量部、より好ましくは20~60質量部、さらに好ましくは30~50質量部、さらにより好ましくは40~45質量部含む。
【0068】
(架橋剤)
本実施形態のゴム組成物中のジエンエラストマーは、硬化剤、例えば、硫黄、金属、酸化亜鉛のような金属酸化物、過酸化物、有機金属化合物、ラジカル開始剤、脂肪酸、及び当技術分野で一般的なその他の物質を添加することによって架橋されていてもよい。
酸化亜鉛は、例えば、ジエンエラストマー100質量部に対し5質量部程度添加され、ハロゲン化亜鉛が形成されるが、このハロゲン化亜鉛は、その後、ゴムコンパウンドの加硫の触媒として作用する。硬化方法としては、公知の方法を適用でき、過酸化物硬化系、樹脂硬化系、及び熱若しくは放射線によるポリマーの架橋がある。また、促進剤、活性剤及び遅延剤も、硬化プロセスにおいて使用することができる。
架橋剤の配合量は、ジエンエラストマー100質量部に対し、好ましくは、0.3~10質量部、より好ましくは0.5~5.0質量部、さらに好ましくは0.5~3質量部である。
【0069】
(その他の添加剤)
本実施形態のゴム組成物は、当該技術分野で既知の他の成分、例えば、硫黄供与体、促進剤、活性剤及び遅延剤のような硬化助剤、加工添加剤、顔料、脂肪酸、酸化亜鉛、ワックス、抗酸化剤、及びオゾン劣化防止剤、並びに素練り促進剤等の各種の添加剤を含有してもよい。これらのその他の添加剤は、ジエンエラストマー100質量部に対し、10質量部以下とすることが好ましい。
【0070】
〔ゴム組成物の成形方法〕
本実施形態のゴム組成物は、ゴム混合分野の当業者に既知の方法によって成形することができる。例えば、ゴム組成物の構成成分は、典型的には、2段階で混合されるが、これは少なくとも1つの非生産段階とそれに続く生産混合段階である。
最終硬化剤、例えば、硫黄加硫剤は、典型的には、従来から「生産」混合段階と呼ばれている最終段階で混合されるが、この最終段階の混合は、先行する非生産混合段階における混合温度よりも低い温度、すなわち最終到達温度で行われる。
ゴム組成物は、熱機械的混合工程に供することができる。前記熱機械的混合工程は、一般に、140℃~190℃の温度環境をもたらすのに適した時間にわたるミキサー又は押出機内での機械加工を含む。熱機械加工の適当な持続時間は、運転条件、並びに成分の容積及び性質に応じて異なるが、熱機械加工は、例えば1~20分間行うことが好ましい。
【実施例0071】
以下、具体的な実施例と比較例を挙げて、本実施形態についてさらに詳細に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
先ず、実施例及び比較例に適用した、評価方法及び物性の測定方法について下記に示す。
【0072】
〔ブロック共重合体の構造の特定方法、物性の測定方法〕
(ブロック共重合体中の全ビニル芳香族単量体単位の含有量)
ブロック共重合体中の全ビニル芳香族単量体単位の含有量を下記の方法により測定した。
水添前のブロック共重合体を用い、紫外分光光度計(島津製作所製、UV-2450)を用いて262nmの吸収強度より、ブロック共重合体の全ビニル芳香族単量体単位の含有量(質量%)を算出した。
なお、水添前後で全ビニル芳香族単量体単位の含有量は大きくは変化しないので、水素添加前のブロック共重合体について得られた全ビニル芳香族単量体単位(スチレン単量体単位)の含有量を、ブロック共重合体の全ビニル芳香族単量体単位の含有量(全スチレン含有量)とした。
【0073】
(ブロック共重合体中の重合体ブロックAの含有量(Os値))
ブロック共重合体中の、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAの含有量を下記の方法により測定した。
水添前のブロック共重合体を用い、I.M.KOLTHOFF,et al.,J.Polym.Soi.1,429(1946)に記載の四酸化オスミウム分解法により測定した。水添前のブロック共重合体の分解には、オスミウム酸の0.1g/125mL第3級ブタノール溶液を用いた。ここで得られたポリスチレンブロックの含有量を「Os値」とした。
【0074】
(重合体ブロックB中のビニル芳香族単量体単位の含有量)
ブロック共重合体中の重合体ブロックB中のビニル芳香族単量体単位の含有量を下記の方法により測定した。
ブロック共重合体を測定サンプルとし、プロトン核磁気共鳴法(H-NMR、JOEL RESONABCE社製ECS400)により、ビニル芳香族単量体単位を主体とする重合体ブロックAと、ビニル芳香族単量体単位と共役ジエン単量体単位からなる重合体ブロックBを区別した。
溶媒に重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mL、観測周波数は400MHz、化学シフト基準にテトラメチルシランを用い、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数256回及び測定温度23℃で行った。芳香族に帰属されるシグナルの積分強度から各結合様式の1Hあたりの積分値からランダム性とブロック性の芳香族を算出した後、前記の方法で全スチレン含有量を算出し、含有割合を算出した。
【0075】
(重合体ブロックBのビニル結合量)
ブロック共重合体を構成する重合体ブロックBの、水添前のビニル結合量を下記の方法により測定した。
水添前のブロック共重合体の重合過程のステップ毎にサンプリングしたポリマーを、核磁気共鳴装置(BRUKER社製、DPX-400)を用い、プロトン核磁気共鳴(H-NMR)法によりビニル結合量(1,2-結合量)を測定した。
溶媒に重水素化クロロホルムを用い、サンプル濃度は50mg/mL、観測周波数は400MHz、化学シフト基準にテトラメチルシランを用い、パルスディレイ2.904秒、スキャン回数64回、パルス幅45°、及び測定温度26℃で行った。
ビニル結合量は、1,4-結合及び1,2-結合に帰属されるシグナルの積分値から各結合様式の1Hあたりの積分値を算出した後、1,4-結合と1,2-結合の合計に対する1,2-結合の比率から算出した。
【0076】
(ブロック共重合体の重量平均分子量)
ブロック共重合体の重量平均分子量を下記の方法により測定した。
GPC〔装置:東ソーHLC8220、カラムTSKgel SuperH-RC×2本〕を用いて測定した。溶媒にはテトラヒドロフランを用いた。測定条件は、温度35℃で行った。重量平均分子量が既知の市販の標準ポリスチレンを用いて作成した検量線を使用し、ポリスチレン換算した重量平均分子量を求めた。
【0077】
(ブロック共重合体の水素添加率(水添率))
ブロック共重合体の水添率を下記の方法により測定した。
核磁気共鳴装置(BRUKER社製、DPX-400)によりブロック共重合体の水添率を測定した。
水素添加後のブロック共重合体である水添ブロック共重合体を用いて、プロトン核磁気共鳴(H-NMR)により測定した。具体的には、4.5~5.5ppmの残存二重結合に由来するシグナル及び水素添加された共役ジエンに由来するシグナルの積分値を算出し、その比率を算出した。
【0078】
(ブロック共重合体のMFR)
JIS K7210に従って、温度230℃、荷重2.16kgの条件で、ブロック共重合体のMFRの測定を行った。
【0079】
(ブロック共重合体の硬度)
JIS K6253に従い、デュロメータタイプAで瞬間の値を測定した。
測定サンプルの上に硬度測定器の探針を降ろした瞬間の硬度値を測定した。
【0080】
(ブロック共重合体のtanδピーク温度)
ブロック共重合体を200℃でプレス成形し、厚み2mmのシートを得た。
前記シートを、幅12.5mm、長さ40mmのサイズにカットして測定用サンプルとした。
次に、前記測定用サンプルを、装置ARES(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)の捻りタイプのジオメトリーにセットし、実効測定長さ25mm、ひずみ0.5%、周波数1Hz、温度-100℃から150℃まで昇温(昇温速度3℃/分)した条件下で、tanδピーク温度を求めた。
tanδピーク温度は、RSI Orchestrator(ティーエイインスツルメントー株式会社製、商品名)の自動測定より検出されるピークから求めた値とした。
【0081】
〔ゴム組成物の製造〕
下記表3~表4に示す配合内容に従い、下記に記載の材料、及び方法で各成分を混合し、ゴム組成物を得た。
【0082】
・スチレン-ブタジエンゴム(第1のジエンエラストマー、SBR(ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロックを含まない。旭化成社製 XB120):70質量部
・ブタジエンゴム(第1のジエンエラストマー、BR(ビニル芳香族単量体単位からなる重合体ブロックを含まない。宇部興産社製の商品名「BR150」):30質量部
・SBC-1~16、又はAMS(第2のジエンエラストマー等):20質量部
・シリカ(エボニック デグサ社製の商品名「Ultrasil 7000GR」、窒素吸着比表面積170m/g):75.0質量部
・シランカップリング剤(エボニック デグサ社製、「Si75」、ビス(トリエトキシシリルプロピル)ジスルフィド):6.0質量部
・カーボンブラック(東海カーボン社製、シーストKH(N339)):5.0質量部
・軟化剤(SRAEオイル(JXエネルギー社製、商品名「PF30」):32質量部
・亜鉛華:2.5質量部
・ステアリン酸:2.0質量部
・ワックス、サンノック:1.5質量部
・老化防止剤(N-(1,3-ジメチルブチル)-N’-フェニル-p-フェニレンジアミン):2.0質量部
・硫黄:2.2質量部
・加硫促進剤1(N-シクロヘキシル-2-ベンゾチアジルスルフィンアミド):1.7質量部
・加硫促進剤2(ジフェニルグアニジン):2.0質量部
・アルファメチルスチレン(SYLVATREX4401):20質量部(比較例8で使用)
【0083】
(混練方法)
温度制御装置を備える密閉混練機(内容量0.5L)を使用し、第一段の混練として、充填率65%、ローター回転数50~90rpmの条件で、硫黄及び加硫促進剤以外の材料を混練した。このとき、密閉混合機の温度を制御し、排出温度は150~160℃で配合物を得た。
次に、第二段の混練として、上記で得た配合物を室温まで冷却後、補強充填剤の分散を向上させるため再度混練した。この場合も、混合機の温度制御により、配合物の排出温度を150~160℃に調整した。
冷却後、第三段の混練として、70℃に設定したオープンロールにて、加硫促進剤、及び硫黄を加えて混練し、未加硫ゴム組成物を得た。
その後、成形し、160℃で所定の加硫時間、加硫プレスにて加硫し、加硫後のゴム組成物を得た。加硫時間は、未加硫ゴム組成物の90%加硫時間に5分を足した値とした。
加硫後のゴム組成物を下記方法により評価した。
【0084】
〔ゴム組成物の物性評価〕
(ウェットグリップ性(0℃におけるtanδ))
実施例及び比較例のゴム組成物を、レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機「ARES」を使用し、0℃において周波数10Hz、ひずみ1%でねじりモード測定したtanδをウェットグリップ性の指標とした。
第2のジエンエラストマーであるブロック共重合体の代わりにアルファメチルスチレン(AMS)を使用した基準となるゴム組成物(比較例8)の測定結果を100として標準化し、高い値はより良好な性能を示すものとして評価した。
その値が100を超えるものをウェットグリップ性が優れるものと評価した。
【0085】
(ドライグリップ性(23℃におけるtanδ))
実施例及び比較例のゴム組成物を、レオメトリックス・サイエンティフィック社製の粘弾性試験機「ARES」を使用し、23℃において周波数10Hz、ひずみ1%でねじりモード測定したtanδをドライトグリップ性の指標とした。
第2のジエンエラストマーであるブロック共重合体の代わりにアルファメチルスチレン(AMS)を使用した基準となるゴム組成物(比較例8)の測定結果を100として標準化し、高い値はより良好な性能を示すものとして評価した。
その値が100を超えるものをドライグリップ性が優れるものと評価した。
【0086】
(耐摩耗性)
実施例及び比較例のゴム組成物を、DIN摩耗試験機(上島製作所社製)を用いてJIS K6246-2のDIN摩耗試験法により耐摩耗性を測定した。
第2のジエンエラストマーであるブロック共重合体の代わりにアルファメチルスチレン(AMS)を使用した基準となるゴム組成物(比較例8)の測定結果を100として標準化し、高い値はより良好な性能を示すものとして評価した。
その値が100を超えるものを耐摩耗性が優れるものと評価した。
【0087】
〔ブロック共重合体の製造〕
(水添触媒の調製)
ブロック共重合体の水添反応に用いた水添触媒を下記の方法で調製した。
窒素置換した反応容器に、乾燥及び精製したシクロヘキサン1リットルを仕込み、ビスシクロペンタジエニルチタニウムジクロリド100ミリモルを添加し、十分に攪拌しながらトリメチルアルミニウム200ミリモルを含むn-ヘキサン溶液を添加して、室温にて約3日間反応させ、水添触媒を得た。
【0088】
(製造例1~9、比較製造例1~7)
製造例1~9、及び比較製造例1~7として、ブロック共重合体(SBC-1)~(SBC-16)を、下記のようにして作製した。
【0089】
<ブロック共重合体(SBC-1)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.072質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.35モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン47質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン33質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表1に、得られたブロック共重合体(SBC-1)の物性を示す。
【0090】
<ブロック共重合体(SBC-2)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.072質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.35モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン41質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン39質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表1に、得られたブロック共重合体(SBC-2)の物性を示す。
【0091】
<ブロック共重合体(SBC-3)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.072質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.35モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン62質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン18質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表1に、得られたブロック共重合体(SBC-3)の物性を示す。
【0092】
<ブロック共重合体(SBC-4)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.085質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.35モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン47質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン33質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表1に、得られたブロック共重合体(SBC-4)の物性を示す。
【0093】
<ブロック共重合体(SBC-5)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.096質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.35モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン47質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン33質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表1に、得られたブロック共重合体(SBC-5)の物性を示す。
【0094】
<ブロック共重合体(SBC-6)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.175質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.35モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン47質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン33質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表1に、得られたブロック共重合体(SBC-6)の物性を示す。
【0095】
<ブロック共重合体(SBC-7)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.096質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.35モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン47質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン33質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。水添反応を途中で止めて、水添率を30%に調整した。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表1に、得られたブロック共重合体(SBC-7)の物性を示す。
【0096】
<ブロック共重合体(SBC-8)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.096質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.35モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン47質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン33質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
水添反応は実施せず、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表1に、得られたブロック共重合体(SBC-8)の物性を示す。
【0097】
<ブロック共重合体(SBC-9)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.125質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.8モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン41質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン29質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン15質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。水添反応を途中で止めて、水添率を30%に調整した。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表1に、得られたブロック共重合体(SBC-9)の物性を示す。
【0098】
<ブロック共重合体(SBC-10)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン7.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.068質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.25モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン36質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン49質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン7.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表2に、得られたブロック共重合体(SBC-10)の物性を示す。
【0099】
<ブロック共重合体(SBC-11)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン7.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.076質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して1.6モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン18質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン67質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、55℃で1時間重合した。
次に、スチレン7.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表2に、得られたブロック共重合体(SBC-11)の物性を示す。
【0100】
<ブロック共重合体(SBC-12)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.072質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.35モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン39質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン41質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表2に、得られたブロック共重合体(SBC-12)の物性を示す。
【0101】
<ブロック共重合体(SBC-13)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.072質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.35モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン66質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン14質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン10質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表2に、得られたブロック共重合体(SBC-13)の物性を示す。
【0102】
<ブロック共重合体(SBC-14)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン11質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.064質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.35モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、スチレン39質量部を含むシクロヘキサン溶液と、ブタジエン39質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン11質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表2に、得られたブロック共重合体(SBC-14)の物性を示す。
【0103】
<ブロック共重合体(SBC-15)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン17.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.031質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して1.8モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン65質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、55℃で1時間重合した。
次に、スチレン17.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表2に、得られたブロック共重合体(SBC-15)の物性を示す。
【0104】
<ブロック共重合体(SBC-16)>
撹拌装置とジャケットを具備する槽型反応器(内容積10L)を使用して、バッチ重合を行った。
まず、スチレン17.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を投入した。
次に、n-ブチルリチウムを全モノマー100質量部に対して0.030質量部と、N,N,N’,N’-テトラメチルエチレンジアミンをn-ブチルリチウム1モルに対して0.35モル添加し、70℃で20分間重合した。
次に、ブタジエン65質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、70℃で1時間重合した。
次に、スチレン17.5質量部を含むシクロヘキサン溶液(濃度20質量%)を加えて、80℃で1時間重合した。
その後、メタノールを添加し、重合反応を停止した。
さらに、得られた共重合体に、上記のようにして調製した水添触媒を、共重合体100質量部当たり、Ti基準で50ppm添加し、水素圧0.7MPa、温度80℃で、水添反応を行った。
次に、安定剤として、オクタデシル-3-(3,5-ジ-t-ブチル-4-ヒドロキシフェニル)プロピオネートを、水添共重合体100質量部に対して0.3質量部添加し、ブロック共重合体を得た。
表2に、得られたブロック共重合体(SBC-16)の物性を示す。
【0105】
上述のようにして作製したブロック共重合の物性を下記表1、表2に示す。
ブロック共重合体を用いたゴム組成物の特性を下記表3、表4に示す。
なお、表2中、N/Aは、Not applicable(適用不可)の略を示す。
【0106】
【表1】
【0107】
【表2】
【0108】
【表3】
【0109】
【表4】
【0110】
表3、表4より、実施例1~9においては、ウェットグリップ性、ドライグリップ性、耐摩耗性、及び各特性バランスにおいて、各値が100を超えており、優れていることが分かった。
比較例1~8においては、ウェットグリップ性、ドライグリップ性、耐摩耗性、及び各特性バランスにおいて、各値の全て、もしくは一部が100を下回り、劣ることが分かった。
【産業上の利用可能性】
【0111】
本実施形態のゴム組成物は、トラック用タイヤ、バス用タイヤ、自動車用タイヤ、オートバイ用タイヤ、オフロード用タイヤ、航空機用タイヤ等のタイヤの構成材料;トレッド、サイドウォール、チェファーストリップ、タイヤゴム層、補強コードコーティング材料、クッション層等のタイヤの構成要素の材料;繊維、薄膜、積層品、自動車部品、医療部品等の工業用部品;機器のハウジング、消費者製品、包装等の成形品;タイヤ硬化ブラダー、インナーチューブ、エアスリーブ、ホース、コンベヤーベルト又は自動車用ベルト等のベルト、ソリッドタイヤ、履物の構成要素、グラフィックアート用途のためのローラー、防振装置、製薬装置、接着剤、コーキング材、シーリング材、グレージングコンパウンド、保護コーティング、エアクッション、空気バネ、エアベロー、アキュムレーターバッグ、並びに液体貯留法及び硬化法のためのさまざまなブラダーの材料、自動車用サスペンションバンパー、自動車用排気管ハンガー、及びボディーマウントのような成形ゴム部品の材料として産業上の利用可能性がある。