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特開2024-112192販売情報閲覧方法及び販売情報閲覧システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112192
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】販売情報閲覧方法及び販売情報閲覧システム
(51)【国際特許分類】
   G06Q 30/06 20230101AFI20240813BHJP
【FI】
G06Q30/06
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017098
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】517081482
【氏名又は名称】プラスビリーフ株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002398
【氏名又は名称】弁理士法人小倉特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】小田 広樹
【テーマコード(参考)】
5L030
5L049
【Fターム(参考)】
5L030BB72
5L049BB72
(57)【要約】
【課題】POSシステムに変更を加えることなく,POSシステムで取得された販売情報をスマートフォン等の携帯情報端末で閲覧できるようにする。
【解決手段】POSシステム50に接続されたデータ変換サーバ10と,該データ変換サーバ10と通信可能なAPIサーバ20,該APIサーバ20が管理するデータベース30,及び,前記APIサーバ20と通信可能な携帯情報端末40から成る販売情報閲覧システム1を設ける。APIサーバ20が,データ変換サーバ10を介して受信した各POSシステム50の販売情報に基づいてデータベース30を最新の情報に更新すると共に,携帯情報端末40からのリクエストに応じてデータベース30に記憶されている販売情報をリクエストした携帯情報端末40に送信することで,携帯情報端末40においてPOSシステム50で取得された最新の販売情報を閲覧可能とした。
【選択図】図1

【特許請求の範囲】
【請求項1】
各小売業者のPOSシステムのそれぞれに接続されたデータ変換サーバと,前記データ変換サーバのそれぞれと通信可能なAPIサーバと,該APIサーバが管理する,前記各小売業者の販売情報を記憶するデータベース,及び,前記APIサーバと通信可能な携帯情報端末を設け,
前記データ変換サーバのそれぞれに,該データ変換サーバが接続された各POSシステムで取得された販売情報のうち,少なくともストアコンピュータに蓄積されている情報を,所定の時間毎に予め設定されたデータ形式に変換して前記APIサーバに出力する,データ変換出力処理を実行させ,
前記APIサーバに,
前記データ変換サーバが出力した前記販売情報を受信したとき,該受信した販売情報によって前記データベースに記憶されている販売情報のうち,該当する小売業者の販売情報を更新する,販売情報更新処理と,
前記携帯情報端末からの認証要求に対し閲覧権限の認証を行う認証処理と,
閲覧権限が認証された前記携帯情報端末からの販売情報送信要求に対し,対応する前記小売業者の販売情報のうち,要求された販売情報を前記データベースより読み出して前記携帯情報端末に送信する,販売情報送信処理を実行させると共に,
前記携帯情報端末に,
前記APIサーバより受信した販売情報を,予め設定された表示形式で表示する販売情報表示処理を実行させることを特徴とする販売情報閲覧方法。
【請求項2】
前記POSシステムが基幹システムを含む場合,前記基幹システムに蓄積された販売情報を前記データ変換サーバによる前記データ変換出力処理の対象に含めることを特徴とする請求項1記載の販売情報閲覧方法。
【請求項3】
前記APIサーバによる前記認証処理を,ID及びパスワードによる認証,携帯情報端末に付与された固体識別番号による認証,及び,認証要求の送信に使用されたIPアドレスによる認証のうちのいずれか1つ,又は2つ以上の組合せにより行うことを特徴とする請求項1記載の販売情報閲覧方法。
【請求項4】
前記携帯情報端末に,前記認証要求後,パスワード入力,パターン入力,又は生体情報の入力のいずれか1つ以上を要求すると共に,入力された情報が予め設定された情報と一致した場合にのみ前記販売情報送信要求を実行可能と成すロック解除処理を実行させることを特徴とする請求項1~3いずれか1項記載の販売情報閲覧システム。
【請求項5】
前記APIサーバが,前記販売情報送信処理においてユーザが予め指定しておいた閲覧範囲の販売情報を前記携帯情報端末に送信することを特徴とする請求項1記載の販売情報閲覧方法。
【請求項6】
前記APIサーバが,前記販売情報送信処理を,前記認証処理によって認証されたユーザ又は携帯情報端末に対し予め閲覧権限が付与されている販売情報の範囲内で行うことを特徴とする請求項1記載の販売情報閲覧方法。
【請求項7】
各小売業者のPOSシステムのそれぞれに接続されたデータ変換サーバと,前記データ変換サーバのそれぞれと通信可能なAPIサーバと,該APIサーバが管理する,前記各小売業者の販売情報を記憶するデータベース,及び,前記APIサーバと通信可能な携帯情報端末を備え,
前記データ変換サーバに,
該データ変換サーバに接続された各POSシステムで取得された販売情報のうち,少なくともストアコンピュータに蓄積されている情報を,所定の時間毎に予め設定されたデータ形式に変換して前記APIサーバに出力するデータ変換出力処理を実行する,データ変換出力手段を設け,
前記APIサーバに,
前記データ変換サーバが出力した前記販売情報を受信したとき,該受信した販売情報によって前記データベースに記録されている販売情報のうち,該当する小売業者の販売情報を更新する,販売情報更新処理を実行する販売情報更新手段と,
前記携帯情報端末からの認証要求に対し閲覧権限の認証を行う認証処理を実行する認証手段と,
閲覧権限が認証された前記携帯情報端末からの販売情報送信要求に対し,対応する前記小売業者の販売情報のうち,対応する販売情報を前記データベースより読み出して前記携帯情報端末に送信する,販売情報送信処理を実行する販売情報送信手段を設けると共に,
前記携帯情報端末に,
前記APIサーバより受信した販売情報を,予め設定された表示形式で表示する販売情報表示処理を実行する販売情報表示手段を設けたことを特徴とする販売情報閲覧システム。
【請求項8】
前記POSシステムが基幹システムを備える場合,前記データ変換サーバの前記データ変換出力手段が,前記基幹システムに蓄積された販売情報を前記データ変換出力処理の対象に含めることを特徴とする請求項7記載の販売情報閲覧システム。
【請求項9】
前記APIサーバの前記認証手段が,ID及びパスワードによる認証,携帯情報端末に付与された固体識別番号による認証,及び,認証要求の送信に使用されたIPアドレスによる認証のうちのいずれか1つ,又は2つ以上の組合せにより前記認証処理を実行することを特徴とする請求項7記載の販売情報閲覧システム。
【請求項10】
前記携帯情報端末に,前記認証要求後,パスワード入力,パターン入力,又は生体情報の入力のいずれか1つ以上を要求すると共に,入力された情報が予め設定された情報と一致した場合にのみ前記販売情報送信要求を実行可能と成すロック解除処理を実行するロック解除手段を設けたことを特徴とする請求項7~9いずれか1項記載の販売情報閲覧システム。
【請求項11】
前記APIサーバの前記販売情報送信手段が,ユーザが予め指定した閲覧範囲の販売情報に対する前記販売情報送信処理を実行することを特徴とする請求項7記載の販売情報閲覧システム。
【請求項12】
前記APIサーバの前記販売情報送信手段が,前記認証処理によって認証されたユーザ又は携帯情報端末に対し予め閲覧権限が付与されている販売情報の範囲内で前記販売情報送信処理を実行することを特徴とする請求項7記載の販売情報閲覧システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は,販売情報閲覧方法及び販売情報閲覧システムに関し,より詳細には,小売業者が導入している販売時点情報管理(POS:Point of Sale)用のシステム(以下,「POSシステム」という)で取得した販売情報を,該小売業者において導入済みのPOSシステムに対するバージョンアップ等の改変を行うことなく,手軽かつ簡単にリアルタイムで閲覧したい情報をスマートフォンやタブレットPC等の携帯情報端末上に表示させることができる,新規な販売情報閲覧方法及び販売情報閲覧システムに関する。
【背景技術】
【0002】
図7に小売業者で導入するPOSシステム50の概略的な構成例を示す。
【0003】
このPOSシステム50において,各店舗のレジにはバーコードリーダを備えたPOSレジスタ53が設けられており,顧客が購入した商品をレジにて会計する際にPOSレジスタ53に設けられたバーコードリーダで商品の包装等に印刷されたバーコードを読み取ると,該商品の販売時点と,販売された商品に関する情報を登録することができるように構成されている。
【0004】
このようにして登録された情報は,前記POSレジスタ53と同店舗内,例えば同店舗のバックヤード等に設置されているストアコンピュータ51に送信されて該ストアコンピュータ51にて蓄積,管理等することができるように構成されている。
【0005】
また,スーパーやコンビニエンスストア,ドラッグストア等のようなチェーン展開がされている小売業者のPOSシステムでは,各店舗のストアコンピュータ51に蓄積された販売情報は,例えば各店舗の営業終了後等の予め設定されたタイミングで集計されて売上日報等として本部に設けられた本部サーバ(図示せず)や該本部サーバに接続された帳票システム(図示せず)等から構成される基幹システム52に送信され,基幹システム52においてチェーン店全体の販売情報を蓄積すると共に管理,集計等することができるように構成されている。
【0006】
このようにPOSシステム50を導入することで,個々の店舗の販売情報だけでなく,チェーン展開を行う小売業者ではチェーン店全体の販売情報を得ることができるものとなっており,これらの販売情報は,売上や在庫,仕入れや発注の管理に利用されるだけでなく,各種の経営判断を行う上での利用価値も高いものとなっている。
【0007】
しかしながらPOSシステム50に蓄積される情報量は膨大であるため,経営判断等を行うためにPOSシステム50で取得した販売情報にアクセスしようとしても,なかなか目的の情報に辿り着くことができず,また,目的の情報に辿り着けたとしても,これらを抽出して再集計する作業が必要となり,このような作業は手作業にて行われることも多い。
【0008】
特にチェーン展開を行う小売業者では,地域毎,店舗毎の経営判断を行う場合,POSシステム50で得た膨大な情報を元に更に店舗毎や地域毎に情報をまとめて再集計する作業が発生し,このような作業は,各店舗担当者(店長)やエリアマネージャー(スーパーバイザー),等が営業終了後を含め手作業で行っているケースも少なくない。
【0009】
データの抽出や集計を手作業で行う場合,企業はこのような作業に時間的,人的コストを負担する必要があるだけでなく,データの抽出や集計に人手が介在することでヒューマンエラーが発生するおそれもある。
【0010】
そのため,人手によるデータの抽出や集計作業等を排除し,POSシステム50によって得られた販売情報のうち,目的にあった販売情報のみを簡単に自動で抽出して再集計することができるシステムが要望される。
【0011】
このような目的にあった販売情報の抽出と集計を目的とし,後掲の特許文献1は,スーパーマーケット等の小売業における特売品及び奉仕品の販売実績の評価を容易とすべく,特売品又は奉仕品についての特定期間の販売実績を集計した実績評価を行う特売・奉仕品実績評価手段をPOSレジスタで取得したデータの集計を行うコンピュータに搭載することが提案されている(特許文献1)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0012】
【特許文献1】特開平9-212744号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0013】
以上で説明した特許文献1に記載の発明では,目的とする特定の商品の販売情報(特売品及び奉仕品の販売情報)の抽出と集計をコンピュータが自動で行うことで,POSシステムに蓄積された膨大な情報の中から目的とする商品の販売情報(ここでは,特売品と奉仕品の販売情報)を人手によって抽出して集計する際に負担する時間的,人的コストが不要となるだけでなく,データの抽出や集計等に人手が介在しないためにヒューマンエラーが発生する余地を大幅に減らすことができる。
【0014】
しかしながら,このような情報の抽出と集計を行わせるために,特許文献1の発明ではインストアマーキングを含むバーコードを商品に貼付する等してPOSレジスタで商品情報を入力する際に追加の情報の入力を必要とすると共に,POSレジスタで取得したデータを集計するコンピュータ(例えば前掲のストアコンピュータや基幹システム等)に「特売・奉仕品実績評価手段」を実現するためのプログラムを追加するバージョンアップ等の作業が必要となることで,これらの作業に多大な労力とコストが費やされる。
【0015】
その一方で,前掲の特許文献1に記載の発明において自動で抽出,集計させることができる販売情報は,特売品と奉仕品の販売情報のみと極めて限定的であり,多様化する経営判断に対応し得るものではない。
【0016】
そのため,経営判断等に際しPOSシステムで取得された販売情報を参照する場合,依然として判断の目的に沿った販売情報の抽出と集計の作業を別途行う必要がある。
【0017】
ここで,POSシステムに蓄積されている販売情報は,一般に,各店舗のストアコンピュータや基幹システム,及び,これらに社内イントラネット等を介して接続されているPC等の特定のPCでしか見ることがでないように構成されている。
【0018】
そのため,経営者層がPOSシステムで取得された販売情報を閲覧しようとした場合,通常,各店舗の担当者(店長)やエリアマネージャー,本部の情報システム担当者等がこれら特定のPCを使用して予め目的の販売情報を抽出してとりまとめておいた資料(紙やデータ)として閲覧するのが一般的である。
【0019】
その結果,このような事前の取りまとめに対する時間的,人的コストの負担や,ヒューマンエラーが発生するおそれがあるだけでなく,早急な経営判断の必要性に迫られた場合であっても経営者層はPOSシステムに蓄積された販売情報に即座にアクセスすることができず,このような制約は,企業にとって重要な意思決定を行う経営者や代表者にとってマイナスの要因でしかない。
【0020】
更に,各店舗の販売情報を各店舗の営業時間の終了後に集計して基幹システムに送信する場合,セール販売等のイベントによる売上や,キャンペーン商品等の売上は,営業時間の終了後に行う集計結果を待たなければ確認することができず,売上の推移等を途中経過としてリアルタイムで閲覧することができない。
【0021】
その結果,このような途中経過を正確に把握できていれば行われていたであろう適切な商品発注等の業務やイベント告知等が行えず,更なる売上増進の機会等を逃している可能性もある。
【0022】
更に,POSシステムに蓄積された販売情報は,経営者層,本部スタッフ,エリアマネージャー,店舗責任者(店長)等が閲覧することはあっても,売り場担当者等の店舗スタッフが閲覧する機会は殆どなく,店舗スタッフが,自身が従事する売り場の売れ行きや他店との比較等といった数字を意識した業務を行うことは稀であった。
【0023】
しかしながら,店舗スタッフにおいても担当売り場の売上や,他店舗の同種売り場の売上との比較を行い得る販売情報を簡単に閲覧することができれば,他店舗の同種売り場との間で競争心をあおり,自身の売り場が有する課題の洗い出しや,成功している他店舗の実績を参照した改善策を取り入れる等,売り上げの向上に積極的に関与し得る環境を提供することができ,仕事に対するモチベーションを高めることにもなり得る。
【0024】
そこで本発明は,既存のPOSシステムが有する上記課題を解決するために成されたものであり,小売業者において既に導入されているPOSシステムの構成についてはこれを変更することなく,比較的低コストで導入することができると共に,いつでも,簡単に,販売情報の抽出や集計等に際し人手を介在させた面倒な作業を必要とせず閲覧したい情報にアクセスしてスマートフォンやタブレットPC等の携帯情報端末に表示させることができる販売情報閲覧方法及び販売情報閲覧システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0025】
以下に,課題を解決するための手段を,発明を実施するための形態の記載中で使用する符号と共に記載する。この符号は,特許請求の範囲の記載と発明を実施するための形態の記載との対応を明らかにするためのものであり,言うまでもなく,本発明の技術的範囲の解釈に制限的に用いられるものではない。
【0026】
上記目的を達成するために,本発明の販売情報閲覧方法は,
各小売業者のPOSシステム50のそれぞれに接続されたデータ変換サーバ10と,前記データ変換サーバ10のそれぞれと通信可能なAPIサーバ20と,該APIサーバ20が管理する,前記各小売業者の販売情報を記憶するデータベース30,及び,前記APIサーバ20と通信可能な携帯情報端末40を設け,
前記データ変換サーバ10のそれぞれに,該データ変換サーバ10が接続された各POSシステム50で取得された販売情報のうち,少なくともストアコンピュータ51に蓄積されている情報を,所定の時間(一例として10分)毎に予め設定されたデータ形式(一例として「CVS」)に変換して前記APIサーバ20に出力する,データ変換出力処理を実行させ,
前記APIサーバ20に,
前記データ変換サーバ10が出力した前記販売情報を受信したとき,該受信した販売情報によって前記データベース30に記憶されている販売情報のうち,該当する小売業者の販売情報を更新する,販売情報更新処理と,
前記携帯情報端末40からの認証要求に対し閲覧権限の認証を行う認証処理と,
閲覧権限が認証された前記携帯情報端末40からの販売情報送信要求に対し,対応する前記小売業者の販売情報のうち,要求された販売情報を前記データベース30より読み出して前記携帯情報端末40に送信する,販売情報送信処理を実行させると共に,
前記携帯情報端末40に,
前記APIサーバ20より受信した販売情報を,予め設定された表示形式で表示する販売情報表示処理を実行させることを特徴とする(請求項1)。
【0027】
上記販売情報閲覧方法において,前記POSシステム50が基幹システム52を含む場合,前記基幹システム52に蓄積された販売情報についても前記データ変換サーバ10による前記データ変換出力処理の対象に含めるものとしても良い(請求項2)。
【0028】
前記APIサーバ20による前記認証処理は,ID及びパスワードによる認証,携帯情報端末40に付与された固体識別番号による認証,及び,認証要求の送信に使用されたIPアドレスによる認証のうちのいずれか1つ,又は2つ以上の組合せにより行うものとすることができる(請求項3)。
【0029】
前記携帯情報端末40に,前記認証要求後,パスワード入力,パターン入力,又は生体情報の入力のいずれか1つ以上を要求すると共に,入力された情報が予め設定された情報と一致した場合にのみ前記販売情報送信要求を実行可能と成すロック解除処理を実行させるものとしても良い(請求項4)。
【0030】
前記APIサーバ20は,前記販売情報送信処理においてユーザが予め指定しておいた閲覧範囲(例えば店舗名や部門名)の販売情報を前記携帯情報端末40に送信するようにしても良く(請求項5),この場合,ユーザが予め設定した閲覧範囲(例えば店舗名や部門名)等の設定情報を前述したデータベース30等にユーザID等と関連付けて記憶させておくものとしても良い。
【0031】
前記APIサーバ20が,前記販売情報送信処理を,前記認証処理によって認証されたユーザ又は携帯情報端末に対し予め閲覧権限が付与されている販売情報の範囲内で行うようにすることもできる(請求項6)。
【0032】
また,本発明の販売情報閲覧システム1は,
各小売業者のPOSシステム50のそれぞれに接続されたデータ変換サーバ10と,前記データ変換サーバ10のそれぞれと通信可能なAPIサーバ20と,該APIサーバ20が管理する,前記各小売業者の販売情報を記憶するデータベース30,及び,前記APIサーバ20と通信可能な携帯情報端末40を備え,
前記データ変換サーバ10に,該データ変換サーバ10に接続された各POSシステム50で取得された販売情報のうち,少なくともストアコンピュータ51に蓄積されている情報を,所定の時間(一例として10分)毎に予め設定されたデータ形式(一例として「CSV」)に変換して前記APIサーバ20に出力するデータ変換出力処理を実行する,データ変換出力手段11を設け,
前記APIサーバ20に,
前記データ変換サーバ10が出力した前記販売情報を受信したとき,該受信した販売情報によって前記データベース30に記録されている販売情報のうち,該当する小売業者の販売情報を更新する,販売情報更新処理を実行する販売情報更新手段21と,
前記携帯情報端末40からの認証要求に対し閲覧権限の認証を行う認証処理を実行する認証手段22と,
閲覧権限が認証された前記携帯情報端末40からの販売情報送信要求に対し,対応する前記小売業者の販売情報のうち,要求された販売情報を前記データベース30より読み出して前記携帯情報端末40に送信する,販売情報送信処理を実行する販売情報送信手段23を設けると共に,
前記携帯情報端末40に,
前記APIサーバ20より受信した販売情報を,予め設定された表示形式で表示する販売情報表示処理を実行する販売情報表示手段44を設けたことを特徴とする(請求項7)。
【0033】
上記構成の販売情報閲覧システム1において,前記POSシステム50が基幹システム52を備える場合,前記データ変換サーバ10の前記データ変換出力手段11が,前記基幹システム52に蓄積された販売情報を前記データ変換出力処理の対象に含めるようにするものとしても良い(請求項8)。
【0034】
前記APIサーバ20の前記認証手段22が,ID及びパスワードによる認証,携帯情報端末に付与された固体識別番号による認証,及び,認証要求の送信に使用されたIPアドレスによる認証のうちのいずれか1つ,又は2つ以上の組合せにより前記認証処理を実行するようにすることができる(請求項9)。
【0035】
前記携帯情報端末40に,前記認証要求後,パスワード入力,パターン入力,又は生体情報の入力のいずれか1つ以上を要求すると共に,入力された情報が予め設定された情報と一致した場合にのみ前記販売情報送信要求を実行可能と成すロック解除処理を実行するロック解除手段41を設けることができる(請求項10)。
【0036】
前記APIサーバ20の前記販売情報送信手段23が,ユーザが予め指定した閲覧範囲(例えば店舗名や部門名による指定)の販売情報に対する前記販売情報送信処理を実行するようにするものとしても良く(請求項11),この場合,ユーザが予め設定した閲覧範囲(例えば店舗名や部門名)等の設定情報を前述したデータベース30にユーザID等と関連付けて記憶させておくものとしても良い。
【0037】
前記APIサーバ20の前記販売情報送信手段23が,前記認証処理によって認証されたユーザ又は携帯情報端末40に対し予め閲覧権限が付与されている販売情報の範囲内で前記販売情報送信処理を実行するようにしても良い(請求項12)。
【発明の効果】
【0038】
以上で説明した本発明の販売情報閲覧方法及び販売情報閲覧システム1によれば,以下の顕著な効果を得ることができた。
【0039】
各小売業者のPOSシステム50のそれぞれに接続されたデータ変換サーバ10と,前記データ変換サーバ10のそれぞれと通信可能なAPIサーバ20と,該APIサーバ20により管理されるデータベース30,及び,前記APIサーバ20と通信可能な携帯情報端末40によって構成される本発明の販売情報閲覧システム1を提供することで,各小売業者に既に導入されているPOSシステム50に対しバージョンアップ等の変更を加えることなく,従って,このようなバージョンアップに伴う時間的,人的コストの発生を抑制しつつ,POSシステム50に蓄積されている販売情報をスマートフォンやタブレットPC等の携帯情報端末40によって手軽にいつでも閲覧できるようにすることができた。
【0040】
しかも,携帯情報端末40からの販売情報送信要求に従い,APIサーバ20の販売情報送信手段23が,該当する小売業者の販売情報の中から該当する販売情報を抽出して送信すると共に,これを受信した携帯情報端末40が受信した販売情報を予め設定された表示形式(一覧表やグラフ等)で表示する販売情報表示処理を実行するようにしたことで,データの取りまとめに人手を介在させた場合に生じる各種の問題を解消することができた。
【0041】
しかも,データ変換サーバ10のデータ変換出力手段11が実行するデータ変換出力処理を,少なくともストアコンピュータ51に蓄積されている情報に対し,所定の時間隔毎,例えば10分毎に行うことにより,現在進行中のイベントやキャンペーン販売における販売情報を,店舗の営業終了後の集計等を待つまでもなくほぼリアルタイムで確認することができ,販売状況等に応じた適切な発注業務やイベント告知等を行うことが可能となり,イベントやキャンペーン販売等の売上促進への活用が可能である。
【0042】
また,少なくともストアコンピュータ51に蓄積されている販売情報をAPIサーバ20に送信することで,例えば基幹システム52において商品マスタが一元管理されていないPOSシステムであっても,基幹システム52における商品マスタの整備等の処理を行うことなく本発明の販売情報閲覧システム1に接続して販売情報の閲覧が可能である。
【0043】
更に,前記APIサーバ20による前記認証処理を,ID及びパスワードによる認証,携帯情報端末40に付与された固体識別番号による認証及び,認証要求の送信に使用されたIPアドレスによる認証のうちのいずれか1つ,好ましくは2つ以上の組合せにより行うことで,本発明の販売情報閲覧システムに高いセキュリティ性を持たせることができた。
【0044】
また,このようなセキュリティ性は,携帯情報端末40にロック解除手段41を設け,前記認証要求後,更にパスワード入力,パターン入力,又は生体情報の入力のいずれか1つ以上を要求すると共に,入力された情報が予め設定された情報と一致した場合にのみ前記販売情報送信要求を実行可能とするロック解除処理を実行させることによっても実現可能であり,好ましくは,APIサーバ20による前述の認証処理と共に携帯情報端末40によるロック解除処理を重ねて行うことで,より高いセキュリティ性が実現可能である。
【0045】
また,APIサーバ20が,ユーザが予め指定した閲覧範囲(例えば店舗名や部門名による指定)の販売情報に対する前記販売情報送信処理を行うようにした構成では,一旦閲覧範囲(店舗名や部門名)を指定しておけば,ユーザは認証要求を行うだけで,その後の面倒な操作を行うことなく目的とする販売情報を閲覧可能である。
【0046】
前記APIサーバ20の前記販売情報送信手段23が,前記認証処理によって認証されたユーザ又は携帯情報端末40に対し予め閲覧権限が付与されている販売情報の範囲内で前記販売情報送信処理を実行するようにした構成では,例えば各店舗の売り場担当者等に対する販売情報の閲覧を可能とする場合等では,閲覧させたくない情報は伏せつつ,閲覧させることが有益である情報に限り閲覧できるようにすることが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0047】
図1】POSシステムに接続された状態の本発明の販売情報閲覧システムの概略説明図。
図2】本発明の販売情報閲覧システムの機能ブロック図。
図3】認証処理における携帯情報端末の画面の表示例を示す説明図。
図4】販売情報表示処理(チャート表示)における携帯情報端末の画面表示例を示す説明図であり,(A)は全店舗の月合計のパイチャート(円グラフ)と主要店鮮魚速報のバーチャート(棒グラフ)の表示例,(B)は表示方法の設定画面。
図5】販売情報表示処理(数値表示)における携帯情報端末の画面表示例を示す説明図であり,(A)は月単位の表示(カレンダー表示),(B)は日単位の表示(時間単表示)。
図6】イベント管理処理における携帯情報端末の画面表示例を示す説明図であり,(A)は販売情報の表示画面,(B)は設定画面。
図7】POSシステムの概略説明図。
【発明を実施するための形態】
【0048】
以下に,本発明の好適な実施形態について添付図面を参照しながら説明する。
【0049】
〔販売情報表示システムの全体構成〕
図1に小売業者のPOSシステム50と接続された状態の本発明の販売情報閲覧システム1の概略図を,図2に本発明の販売情報閲覧システム1の機能ブロック図をそれぞれ示す。
【0050】
図中の符号50は,本発明の販売情報閲覧システム1を利用する小売業者が導入しているPOSシステムである。
【0051】
図示の実施形態では,小売業者A,Bの二社のPOSシステム50,50との接続例を示すが,実際の運用にあたっては,より多数の小売業者のPOSシステム50との接続が予定される。
【0052】
本発明では,小売業者のそれぞれが既に導入しているPOSシステム50とは別に,POSシステム50のそれぞれに接続されるデータ変換サーバ10と,該データ変換サーバ10のそれぞれと通信可能なAPIサーバ20,該APIサーバ20が管理するデータベース30,及び,前記APIサーバ20と通信可能な携帯情報端末40から成る本発明の販売情報閲覧システム1を提供することで,導入済みのPOSシステム50に対しバージョンアップ等の構造改変を加えることなく,POSシステム50で収集された販売情報を携帯情報端末40で閲覧可能としている。
【0053】
本発明の販売情報閲覧システム1で閲覧対象と成し得るPOSシステム50は,既知の各種の構成のものを対象とすることができ,図7を参照して説明したチェーン展開する小売業者のPOSシステム50のように,本部に設けられた基幹システム52を有するPOSシステム50のみならず,例えば個人が経営する単店舗の小売店に導入されているPOSシステム50のように,基幹システム52を持たないPOSシステム50において取得された販売情報についても閲覧対象とすることも可能である。
【0054】
〔データ変換サーバ〕
各小売業者のPOSシステム50のそれぞれには,データ変換サーバ10がそれぞれ接続されている。
【0055】
このデータ変換サーバ10は,予め記憶されているプログラムの実行によって所定の時間隔毎に起動されるデータ変換出力手段11(図2参照)を備えており,このデータ変換出力手段11の起動により,POSシステム50で取得された販売情報のうち少なくともストアコンピュータ51に記憶されている販売情報を,後述するAPIサーバ20で利用可能な形態のデータに変換した後にAPIサーバ20に送信する,データ変換出力処理が実行される。
【0056】
本実施形態では,POSシステム50を構成するストアコンピュータ51や基幹システム52を連携させている社内イントラネットにデータ変換サーバ10を接続することで,データ変換サーバ10をPOSシステム50に接続している。
【0057】
データ変換サーバ10が行うデータ変換は,POSシステム50のストアコンピュータ51や基幹システム52にデータベース言語(例えばSQL)やファイルデータ(テキストファイル)として記憶されている販売情報を,APIサーバ20で利用可能なデータ形式(例えばCSV)に変換するもので,変換前後のデータ形式は,POSシステム50及び/又はAPIサーバ20で採用するデータ形式に対応して適宜変更可能であり上記の例に限定されない。
【0058】
データ変換サーバ10によるデータ変換出力処理は,予め設定された所定時間毎に行われ,該POSシステム50で取得された販売情報のうち,少なくともストアコンピュータ51に蓄積されている販売情報を対象として行われる。
【0059】
データ変換出力処理を行う間隔は適宜設定可能であると共に,一旦設定した後においても可変とできるようにしても良い。この設定時間は,短く設定する程,閲覧可能な販売情報がリアルタイムの販売情報に近付くことから,1時間以下,好ましくは数分~数十分程度の間隔で実行することが望ましく,本実施形態では一例として10分毎にデータ変換出力処理を実行するように構成した。
【0060】
前述したようにデータ変換サーバ10による販売情報の変換と出力は,少なくともPOSシステムに設けられたストアコンピュータ51に蓄積されている販売情報に対し行なわれるが,データ変換サーバ10が接続されているPOSシステム50が例えばチェーン展開されている小売業者のPOSシステム50である場合のように基幹システム52を備えている場合には,前述したストアコンピュータ51に蓄積されている販売情報の他に,基幹システム52に蓄積されている販売情報についても前述のデータ変換出力処理の対象に含めるものとしても良い。
【0061】
このデータ変換サーバ10は,後述のAPIサーバ20との通信を可能とするインターフェースを備えており,これによりPOSシステム50で取得した販売情報をデータ変換した後に,後述するAPIサーバ20に送信することができるように構成されている。
【0062】
このように通信方法としては,既知の各種の方法が採用可能であるが,本実施形態では一例としてデータ変換した後の各POSシステム50における販売情報をWeb経由でAPIサーバ20に送信することができるようにした。
【0063】
〔APIサーバ及びデータベース〕
APIサーバ20は,前述したデータ変換サーバ10や,後述する携帯情報端末40と,API(Application Programming Interface)を通じて連携されるサーバであり,本実施形態では,Web APIによってデータ変換サーバ10や携帯情報端末40との連携を可能とした。
【0064】
これにより,前述のデータ変換サーバ10がWeb経由でAPIサーバ20にデータ変換後の販売情報を送信することができると共に,後述する携帯情報端末40からの各種リクエスト(後述する認証要求,販売情報送信要求等)をAPIサーバ20がWeb経由で受信し,これに対するレスポンス〔後述する認証通知(トークン)の返信,販売情報の送信等〕をWeb経由で携帯情報端末40に対し送信することができるように構成されている。
【0065】
本発明の販売情報閲覧システム1は,前述のAPIサーバ20によって管理されるデータベース30を備えており,このデータベース30に,各小売業者のPOSシステム50で取得された販売情報が記憶されると共に,APIサーバ20がデータ変換サーバ10からの販売情報を受信するとデータベース30に記憶されている販売情報の更新が行われるように構成されている。
【0066】
このようなデータ更新を可能とすべく,APIサーバ20には販売情報更新手段21が設けられており,データ変換サーバ10からの販売情報をAPIサーバ20が受信すると,APIサーバ20は予め記憶されたプログラムの実行により販売情報更新手段21を起動して,データベース30に記憶されている販売情報のうち,該当する小売業者の販売情報を更新する販売情報更新処理を実行する。
【0067】
なお,このデータベース30には,前述した各小売業者のPOSシステム50より取得した販売情報の他,本発明の販売情報閲覧システム1を利用する利用者の情報を記憶した利用者マスタ31を含めることができ,この利用者マスタ31に,本システムを利用する小売業者の情報を各小売業者に付与されたID(小売業者ID)と共に記憶すると共に,各小売業者において販売情報の閲覧を行うユーザに関する情報(ユーザID,パスワード,使用する携帯情報端末の固体識別情報,IPアドレス,閲覧権限の範囲,各種設定等)を記憶させるものとしても良い。
【0068】
前述のAPIサーバ20には,更に認証手段22と販売情報送信手段23が設けられている。
【0069】
このうちの認証手段22は,後述する携帯情報端末40からの認証要求(ログイン要求)に対する判定と認証を行う手段であり,携帯情報端末40からの認証要求を受信すると,APIサーバ20は認証手段22を起動して,前述した利用者マスタ31を参照して認証要求を行った携帯情報端末40が閲覧権限を有する者又は携帯情報端末40からの認証要求であるか否かを判定すると共に,閲覧権限を有する者又は携帯情報端末40からの認証要求であると判定した場合,該認証要求を行った携帯情報端末40に対し所定の認証通知(トークン)を返信する。
【0070】
閲覧権限の認証は,携帯情報端末40からの認証要求に付加された,ID(例えば小売業者ID及びユーザIDの組合せ)とパスワードの組合せにより行うものとしても良く,又は,これに,携帯情報端末40に付与された固体識別番号や,認証要求の送信に使用されたIPアドレスのいずれか1つ以上を組み合わせて行うようにしても良い。
【0071】
携帯情報端末40の固体識別番号を認証時の判定要件に含めることで,利用者マスタ31に予め登録されている携帯情報端末40を使用して認証要求(ログイン要求)を行った場合にのみ販売情報の閲覧を可能とするように制限をかけることができると共に,携帯情報端末40の紛失時には,この携帯情報端末40の固体識別番号を利用者マスタ31の登録から外すことで不正利用等の防止を図ることができる。
【0072】
また,IPアドレスによる制限をかける場合には,例えば社内のWiFiを経由した特定の固定IPからの閲覧要求しか受け付けないようにすることができ,社外での閲覧を制限することができるようにすることもできる。
【0073】
APIサーバ20に設けられた手段のうちの販売情報送信手段23は,後述する携帯情報端末40からの販売情報送信要求に対し,該当する販売情報を前述のデータベース30に記憶されている販売情報より抽出して販売情報送信要求を行った携帯情報端末40に返信する販売情報送信処理を実行する。
【0074】
なお,APIサーバ20には,複数のデータ変換サーバ10や携帯情報端末40からのアクセスが集中した場合に,これらを振り分けるロードバランサー(図示せず)を設けるものとしても良く,また,複数のコンテナ(APIコンテナ:図示せず)を生成可能として複数のアクセスが集中した場合であってもこれらを並列処理できるようにするものとしても良い。
【0075】
〔携帯情報端末〕
携帯情報端末40は,本システム用に開発されたアプリケーションソフト(以下,単に「アプリ」という)の動作環境を備えたものであれば,スマートフォンやタブレットPC等の既知の各種の携帯情報端末40が使用可能である。
【0076】
このような携帯情報端末40に前述のアプリをダウンロードすることで,該携帯情報端末40において以下の各手段(処理)が実現可能となる。
【0077】
・認証要求手段(認証要求処理)
携帯情報端末40の画面に表示されたアイコンをタップする等して前述のアプリの起動を指令すると,携帯情報端末40は認証要求手段42を起動する。
【0078】
この認証要求手段42の起動により携帯情報端末40の画面には,一例として図3に示すように,各小売業者に付与された小売業者ID(会社ID),各ユーザに付与されたユーザID及び,パスワード等を入力する入力画面が表示される。
【0079】
ユーザが小売業者ID(会社ID),ユーザID,及びパスワードを入力した後,「ログイン」の表示をタップすると,携帯情報端末40の認証要求手段42は,APIサーバ20に対し,小売業者ID,ユーザID,及び,パスワードを含めた認証要求を送信する,認証要求処理を実行する。
【0080】
・ロック解除手段(ロック解除処理)
前掲の認証要求手段42による認証要求に対し,APIサーバ20から認証通知(トークン)を受信すると,携帯情報端末40はロック解除手段41を起動して,ユーザに対しパスワード(ここで言う「パスワード」にはPINコード等の暗証番号を含む)の入力,予め設定したパターンの入力,又は,指紋認証や顔認証等の生体認証に必要な生体情報の入力のいずれか1つ以上の入力を要求する入力画面を表示すると共に,ユーザによって入力されたパスワード,パターン,又は生体情報があらかじめ登録された情報と一致した場合にのみ後述する販売情報送信要求手段43を起動する,ロック解除処理を実行する。
【0081】
これにより,本発明の販売情報閲覧システム1のセキュリティ性を向上させることができる。
【0082】
このロック解除手段41は,必要に応じて設けるものとしても良く,また,例えばユーザにおいてこの機能をキャンセルすることができるようにするものとしても良い。
【0083】
・販売情報送信要求手段(販売情報送信要求処理)
前掲したロック解除が成功〔前述したロック解除手段41が設けられていない場合,又は,ユーザによってロック解除手段41がキャンセルされている場合には,認証要求に対しAPIサーバ20からの認証通知(トークン)を受信〕すると,携帯情報端末40は販売情報送信要求手段43を起動し,販売情報の送信要求を前述のトークンと共にAPIサーバ20に対して送信する販売情報送信要求処理を実行する。
【0084】
販売情報の送信要求には,前述の認証通知(トークン),小売業者ID及びユーザIDの他,販売情報の閲覧範囲の指定を含めることができるようにしても良く,この場合,販売情報送信要求手段は,ユーザが販売情報の閲覧範囲を指定するための選択画面等を表示できるようにするものとしても良い。
【0085】
一例として,チェーン展開されている小売業者の販売情報の閲覧を行う例では,販売情報の閲覧範囲の指定は,例えば「店舗名」と「部門」を指定して行うことができるようにすることができ,この場合,例えば「全店舗」の「全部門」といった総括的な指定や,「新橋店」の「鮮魚部門」といった具体的な指定のいずれ共に行えるようにしても良い。
【0086】
なお,このように販売情報の閲覧範囲の指定は,予めユーザが設定しておくことでログイン毎の閲覧範囲の指定を省略できるようにするものとしても良く,このようなユーザ毎の設定は,例えば前述のデータベース30にユーザIDと関連付けて記憶させておくものとしても良い。
【0087】
・販売情報表示手段(販売情報表示処理)
携帯情報端末40からの販売情報送信要求に対応してAPIサーバ20が販売情報データを送信すると,APIサーバ20からの販売情報を受信した携帯情報端末40は,販売情報表示手段44を起動し,APIサーバ20より受信した販売情報を該携帯情報端末40においてユーザによって予め設定されている所定の表示形式で画面上に表示する。
【0088】
表示形式の設定は,チャート形式での表示を行う場合,図4(B)に例示する設定画面上で,表示させる販売情報毎に表示するチャート形式〔ラインチャート(折れ線グラフ),バーチャート(棒グラフ),パイチャート(円グラフ)等〕や表示期間(月又は日)を設定することが可能であり,これにより,図4(A)に示すように受信した販売データを指定されたチャートで表示することができる。
【0089】
また,数字での表示を行う場合,図5(A)に示すように指定した店舗の指定した部門の売上額をカレンダー形式で表示すると共に,カレンダー中のいずれかの日をタップすると,タップした日の日別実績の画面(図示せず)が表示され,更に,この日別実績の画面において時間帯を指定すると,図5(B)に示すようにその日の時間帯売上等を表示できるように構成するものとしても良い。
【0090】
・その他の機能(イベント管理手段)
なお,携帯情報端末40にはイベント管理手段45を設けてイベントの管理を行うことができるようにしても良い。
【0091】
一例として,図6は,各種のえび煎餅を取り揃えて販売するイベント販売(イベント名「えび煎餅エンド」)の販売情報をイベント管理したもので,イベント名,開催期間,対象店舗名,及び,対象商品及び販売目標数などを記録させておく。
【0092】
これにより,管理されているイベントに対する販売情報の送信要求をAPIサーバ20に対して行うことで,該イベント期間中における対象店舗の対象商品の販売目標数に対する実際の販売数等を表示可能とするための販売情報をAPIサーバ20に送信させることができるようにしたものである。
【0093】
このようなイベント管理手段45を設けることで,新たなイベント販売を行う場合,商品の仕入れ数等の決定に際し過去に行った同種のイベント結果等を参照することができる。
【0094】
なお,図示の例ではえび煎餅のイベント販売を例に挙げて説明したが,同様のイベント管理は,年末における鏡餅の販売数,節分における恵方巻の販売数,土用丑の日におけるうなぎの販売数や,各店舗が存在する地方のイベント(祭り,花火大会等)に関連した商品の販売数等をイベント管理することで,毎年必ず訪れるイベントにおける商品の発注業務等に際し過去の販売実績の参照を容易とすることができる。
【0095】
〔動作等〕
以上で説明した本発明の販売情報閲覧システム1の動作を,図2を参照して説明する。
【0096】
データ変換サーバ10は,タイマによる所定時間(一例として10分)カウント毎にデータ変換出力手段11を起動し,該データ変換サーバ10が接続されているPOSシステム50中に存在するストアコンピュータ51や基幹システム52に蓄積されている販売情報を,所定のデータ形式に変換してAPIサーバ20に送信する。
【0097】
データ変換サーバ10からの販売情報を受信したAPIサーバ20は,販売情報更新手段21を起動する。
【0098】
データ変換サーバ10によって送信される販売情報には,いずれのデータ変換サーバ10が送信した販売情報(従って,いずれの小売業者の販売情報)であるかの識別を可能とするデータが付加されており,これによりAPIサーバ20の販売情報更新手段21は,データベース30に記憶されている各小売業者の販売情報のうち,該当する小売業者の販売情報を更新する,販売情報更新処理を実行する。
【0099】
これにより各小売業者の販売情報は所定時間(一例として10分)毎に最新の情報に更新されることで,データベース30に記録されている販売情報を,リアルタイムの販売情報に近い状態で管理することができる。
【0100】
このようにして,定期的に最新の情報に更新されているデータベース30に記憶される各小売業者の販売情報は,本発明の販売情報閲覧システム1用に開発されたアプリをインストールした携帯情報端末40の画面上に表示させて閲覧することができる。
【0101】
前出のアプリがインストールされている携帯情報端末40の画面上に表示されるアイコンをユーザがタップする等してアプリの起動を指令すると,携帯情報端末40は認証要求手段42を起動する。
【0102】
認証要求手段42の起動により,携帯情報端末40の画面には,図3に示した入力画面が表示され,ユーザがこの入力画面において小売業者ID(会社ID),ユーザID,及びパスワードを入力して「ログイン」の表示をタップすると,認証要求手段42は,前述の小売業者ID,ユーザID,及びパスワードを伴った認証要求を,Webを介してAPIサーバ20に送信する。
【0103】
この認証要求を受信したAPIサーバ20は,認証手段22を起動して,携帯情報端末40より受信した認証要求が閲覧権限を有するユーザ及び/又は携帯情報端末40からの認証要求であるか否かを判定する。
【0104】
この判定に際し,APIサーバ20は,データベース30の利用者マスタ31を参照し,小売業者IDとユーザID及びパスワードの組合せが利用者マスタ31に記録されている組み合わせと一致するか否を判定すると共に,携帯情報端末40より受信した固体識別番号が利用者マスタ31に予め登録されている携帯情報端末と一致するか否かを判定する。
【0105】
また,利用者マスタ31に接続可能な固定IPの登録がされている場合(社内のWiFiを使用した固定IPからの閲覧しか受け付けない制限が課されている場合)には,認証手段22は受信した認証要求が利用者マスタ31に登録されている固定IPからの認証要求であるか否かを判定する。
【0106】
そして,APIサーバ20の認証手段22は,必要な認証要件のいずれか一つでも利用者マスタ31に登録された内容と相違するものであると判定すると,認証処理を終了し,携帯情報端末40との接続を遮断する。
【0107】
一方,認証要件の全てが予め登録されている内容と一致すると判定されると,APIサーバ20の認証手段22は携帯情報端末40に対し認証通知(トークン)を送信して,認証処理を終了する。
【0108】
APIサーバ20より認証通知(トークン)を受信した携帯情報端末40は,ロック解除手段41を起動して画面上にパスワードの入力,パターンの入力,又は生体情報の入力を要求するロック解除用入力画面(図示せず)を表示する。
【0109】
このロック解除用入力画面(図示せず)においてユーザが,パスワードの入力,パターン入力,指紋のスキャンやカメラによる顔の撮影等による必要な情報の入力を行うと,ロック解除手段41は予め記憶されている情報と入力された情報が一致するか否かを判定し,両者が一致する場合にはロックを解除して販売情報送信要求手段43を起動する。
【0110】
一方,入力された情報が予め記憶されている情報と一致しない場合,ロック解除手段41は,ロックの解除が失敗したことを画面に表示した後,販売情報送信要求手段43を起動せずに処理を終了する。
【0111】
ロック解除手段41によるロックの解除が行われて販売情報送信要求手段43が起動すると,販売情報送信要求手段43は,前述の認証通知(トークン)や小売業者ID,ユーザID等の必要な情報を付加した販売情報送信要求をAPIサーバ20に返信する。
【0112】
携帯情報端末40の販売情報送信要求手段43からの販売情報の送信要求を受信したAPIサーバ20は,販売情報送信手段23を起動して,データベース30中に記憶された該当する小売業者の販売情報のうち,要求を行ったユーザが予め指定している閲覧範囲の販売情報(本実施形態では指定された店舗の指定された部門の販売情報)を抽出し,携帯情報端末40に返信する。
【0113】
APIサーバ20から販売情報の送信を受けた携帯情報端末40は,販売情報表示手段44を起動して,受け取った販売情報を予め設定されている所定の表示方式(図4及び図5参照)で表示する。
【0114】
このように,本発明の販売情報閲覧システム1を使用することで,各小売業者が既に導入しているPOSシステム50の構成については変更を加えることなくそのまま維持しつつ,各POSシステム50で取得された販売情報をスマートフォンやタブレットPC等の携帯情報端末でいつでも簡単に閲覧することが可能となる。
【産業上の利用可能性】
【0115】
以上で説明した本発明の販売情報閲覧方法及び販売情報閲覧システムは,各種小売業におけるPOSシステムで取得された販売情報の閲覧に利用可能である。
【0116】
特に,スーパーマーケットやコンビニエンスストア,ホームセンター,及び,ドラックストア等のチェーン展開がされている小売業においては,以下のような利用可能性がある。
【0117】
・店舗責任者(店長)における利用可能性
POSシステムで取得された販売情報の管理は,従来,店舗の営業終了後に店舗責任者(店長)が集計等を行うと共に本部に報告していたが,本発明の販売情報閲覧システムの導入により,このような日々の数字のとりまとめや報告が自動的にかつリアルタイムで行われることで,即座に社内において共有が可能となる。
【0118】
これにより店舗責任者(店長)の業務負担が大幅に軽減され,その分の労力を店舗責任者として本来行うべき他の業務に振り分けることができるようになることで,業務の効率化を図ることが可能となる。
【0119】
また,POSシステムで取得した販売情報は,今までPOSシステムと社内イントラネット等で接続された特定のPCでしか見ることができなかったが,本発明のシステムを利用することで売り場にいながらスマートフォンやタブレットPC等の携帯情報端末によりこれらの情報を閲覧することができると共に,略リアルタイムでの販売情報を閲覧可能であることから,現在進行中であるイベント・キャンペーンの対象商品の売れ行きについても略リアルタイムで確認することができる。
【0120】
その結果,売れ行きに対応した適切な発注業務やイベント告知等を行うことが可能となり,店舗業績に好影響を与えることが可能となる。
【0121】
・売場担当者における利用可能性
POSシステムで取得された販売情報は,従来,特定のPCでしか閲覧できなかったが,本発明のシステムを利用することで,このような制約を受けることなくスマートフォンなどの携帯情報端末で簡単に閲覧することが可能となる。
【0122】
その結果,従来,経営者層や本部スタッフ,エリアマネージャー,店舗責任者(店長)等しか見る機会のなかった販売情報を,売り場担当者等が閲覧できるようにすることも可能となり,日頃数字と向き合う機会の少なかった売り場担当者に数字をより強く意識してもらうことが可能となる。
【0123】
これにより,自身の担当する売り場の週単位・月単位・年単位での比較が容易になるとともに,他エリアの店舗と比較することで,各売り場担当者が課題の洗い出しから成功している他店舗の実績を元にした改善策まで考えることができ,責任感を与えた上でより積極的に業務に携わることのできる職場環境の実現が可能となる。
【0124】
一方,本発明のシステムでは,携帯情報端末毎,及び/又はユーザ毎に閲覧権限の範囲を設定することが可能であり,状況に応じて伏せるべき数字は伏せた上で,各担当者が把握する必要のある数字のみを共有することも可能である。
【0125】
・経営陣・本部スタッフにおける利用可能性
従来,経営陣や本部スタッフは,各店舗責任者(店長)やエリアマネージャー,事務員の手により事前に準備された資料としてしかPOSシステムで取得された販売情報を閲覧する機会がなかったが,本発明の方法及びシステムにより場所や状況にとらわれることなく,すぐに必要な情報を直接閲覧することができ,更に数字をまとめる為に発生していた人件費の削減が可能になるとともに,本発明のシステムで管理されている販売情報は,ストアコンピュータや基幹システムより取得したものを,人手を介さずに再集計したものであり,ヒューマンエラーによる数字の誤計算のリスクも排除することができる。
【0126】
しかも,スマートフォン等の携帯情報端末に表示させて閲覧することが可能であることから,出先や商談の場面等においても重要な意思決定をする為の判断の元となる販売情報を迅速にアクセスすることが可能となる。
【符号の説明】
【0127】
1 販売情報閲覧システム
10 データ変換サーバ
11 データ変換出力手段
20 APIサーバ
21 販売情報更新手段
22 認証手段
23 販売情報送信手段
30 データベース
31 利用者マスタ
40 携帯情報端末
41 ロック解除手段
42 認証要求手段
43 販売情報送信要求手段
44 販売情報表示手段
45 イベント管理手段
50 POSシステム
51 ストアコンピュータ
52 基幹システム
53 POSレジスタ

図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7