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特開2024-112213電池電極スラリー処理装置および電池電極スラリー処理方法
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  • 特開-電池電極スラリー処理装置および電池電極スラリー処理方法 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112213
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】電池電極スラリー処理装置および電池電極スラリー処理方法
(51)【国際特許分類】
   H01M 4/04 20060101AFI20240813BHJP
   H01M 4/139 20100101ALI20240813BHJP
   B05C 11/10 20060101ALI20240813BHJP
   B05C 11/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
H01M4/04 Z
H01M4/139
B05C11/10
B05C11/00
【審査請求】未請求
【請求項の数】11
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017133
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】507317502
【氏名又は名称】エリーパワー株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100101236
【弁理士】
【氏名又は名称】栗原 浩之
(74)【代理人】
【識別番号】100166914
【弁理士】
【氏名又は名称】山▲崎▼ 雄一郎
(72)【発明者】
【氏名】佐藤 尋史
(72)【発明者】
【氏名】河手 昌大
(72)【発明者】
【氏名】井口 隆康
【テーマコード(参考)】
4F042
5H050
【Fターム(参考)】
4F042AA06
4F042AA22
4F042AB00
4F042BA02
4F042BA12
4F042BA15
4F042CA01
4F042CA05
4F042CA06
4F042CB02
4F042CB08
4F042CB20
4F042CB25
4F042CB27
4F042DH09
5H050AA19
5H050BA17
5H050CA01
5H050CA08
5H050CA09
5H050GA10
5H050GA22
5H050GA29
(57)【要約】      (修正有)
【課題】電池電極スラリーの品質を安定して維持することができ、特性の安定した電極板を得ることができる電池電極スラリー処理装置を提供する。
【解決手段】電池電極スラリーの作製用の複数の材料を供給する供給手段11~13と、供給手段から供給された複数の材料を輸送する第1輸送手段21~23と、第1輸送手段により輸送された複数の材料を混練して連続的に排出する第1混練手段15(14)と、第1混練手段から排出された混練物を輸送する第2輸送手段24、25と、第2輸送手段に接続されて、第2輸送手段により輸送された混練物を電極用板に塗布する塗布手段191~193と、第1混練手段の後で塗布手段より前の少なくとも一箇所で、輸送される混練物の動粘度を監視し、監視した動粘度の変化の動向に基づいて、供給手段から供給される複数の材料の配合比および第1混練手段の混練条件の少なくとも一方を変更する監視制御手段61と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
電池電極スラリーを作製して塗布する電池電極スラリー処理装置であって、
前記電池電極スラリーの作製用の複数の材料を供給する供給手段と、
前記供給手段から供給された複数の材料を輸送する第1輸送手段と、
前記第1輸送手段により輸送された複数の材料を混練して連続的に排出する第1混練手段と、
前記第1混練手段から排出された混練物を輸送する第2輸送手段と、
前記第2輸送手段に接続されて、当該第2輸送手段により輸送された混練物を電極用板に塗布する塗布手段と、
前記第1混練手段の後で前記塗布手段より前の少なくとも一箇所で、輸送される混練物の動粘度を監視し、前記監視した動粘度の変化の動向に基づいて、前記供給手段から供給される複数の材料の配合比および前記第1混練手段の混練条件の少なくとも一方を変更する監視制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする電池電極スラリー処理装置。
【請求項2】
前記第2輸送手段は、前記第1混練手段から排出された混練物を受け取り輸送する入口部と、前記入口部を経由して輸送された混練物を排出する出口部と、を備え、
前記第2輸送手段の前記出口部より前の輸送配管が循環配管を形成していることを特徴とする請求項1記載の電池電極スラリー処理装置。
【請求項3】
前記第2輸送手段の前記入口部と前記出口部との間には前記混練物の一部を貯留する貯留部と、前記貯留部から排出された混練物を混練して当該出口部に向かって連続的に排出する第2混練手段とを備え、
前記循環配管は、前記第2混練手段の後に存在し、
前記監視手段は、前記第1混練手段と前記貯留部との間の前記入口部を輸送される混練物の動粘度を監視する、
ことを特徴とする請求項2記載の電池電極スラリー処理装置。
【請求項4】
前記監視手段は、前記循環配管の内部を輸送される混練物の動粘度も監視する、
ことを特徴とする請求項3記載の電池電極スラリー処理装置。
【請求項5】
前記第1混練手段および前記第2混練手段のうち少なくともいずれかは、複数設けられ、
前記第1混練手段が複数設けられている場合には、前記複数の第1混練手段は並列あるいは直列に設けられ、
前記第2混練手段が複数設けられている場合には、前記複数の第2混練手段は並列あるいは直列に設けられている、
ことを特徴とする請求項3記載の電池電極スラリー処理装置。
【請求項6】
前記供給手段は、前記複数の材料として、少なくとも活物質および結着剤を供給し、
前記第1混練手段は、前記複数の材料を粗混練し、
前記第2混練手段は、前記第2輸送手段により輸送された材料を本混練することを特徴とする、
ことを特徴とする請求項3記載の電池電極スラリー処理装置。
【請求項7】
前記塗布手段を複数備え、
前記第2混練手段に接続された前記第2輸送手段の前記出口部の前記塗布手段との接続部が複数に分岐し、前記分岐した複数の前記接続部のそれぞれに前記塗布手段が接続されている、
ことを特徴とする請求項3記載の電池電極スラリー処理装置。
【請求項8】
電池電極スラリーを作製して塗布する電池電極スラリー処理装置における電池電極スラリー処理方法であって、
前記電池電極スラリーの作製用の複数の材料を供給し、
供給された前記複数の材料を輸送し、
輸送された前記複数の材料を混練し、混練物を連続的に排出し、
前記混練物を電極用板に塗布するに際し、
前記混練物が前記電極用板に塗布される前の少なくとも一箇所で、連続的に輸送されている前記混練物の動粘度を監視し、この監視した動粘度の変化の動向に基づいて、前記複数の材料の配合比および前記複数の材料を混練する混練条件の少なくとも一方を変更する、
ことを特徴とする電池電極スラリー処理方法。
【請求項9】
前記混練物を、再混練して、再混練した混練物を連続的に輸送して、前記電極用板に塗布するものとし、
前記混練物を再混練する前の輸送される混練物の動粘度を監視する、
ことを特徴とする請求項8記載の電池電極スラリー処理方法。
【請求項10】
前記再混練した混練物を連続的に輸送して前記電極用板に塗布するものとし、輸送される前記再混練した混練物の動粘度も監視する、
ことを特徴とする請求項9記載の電池電極スラリー処理方法。
【請求項11】
前記混練を、前記複数の材料の粗混練とし、
前記再混練を、本混練とする、
ことを特徴とする請求項8又は9に記載の電池電極スラリー処理方法。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、電池電極スラリー処理装置および電池電極スラリー処理方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、複数の材料を混練してスラリーを得る方法として、バッチ混練が一般的である。バッチ混練とは、スラリーの作製に必要な複数の材料を全て大釜に投入し、これら複数の材料が均一に混ざるまで混練を行うことである。
【0003】
ただ、バッチ混練では、大釜に複数の材料を一度にまとめて投入してから均一に混ぜるため、混練時間を長くとる必要がある。また、大釜の取り替え等の作業を、人手で行う必要があるなど、バッチ混練は、スラリーの作製過程における工数増加の原因になっていた。
【0004】
また、バッチ混練では、大釜に複数の材料を全て投入してから、スラリーが得られるまでに、時間がかかってしまう。このため、ある程度の量のスラリーを短時間で得るためには、1度のバッチ混練で得られるスラリー量を増加させる必要があり、スラリー量の増加に応じて大きくした大釜を用意する必要がある。したがって、バッチ混練では装置の小型化が困難であった。
【0005】
また、バッチ混練では、大釜の取り替え作業といった人手で行う必要のある工程が上述のように存在するため、スラリーの作製工程の完全自動化が困難であった。
【0006】
さらに、バッチ混練では、作製するスラリー量の自由度が低く、スラリーが不足しないよう多めに作製するなどによって、大量に得られたスラリーを使用するまでのタイムラグが問題になることがあった。
【0007】
そこで、所定量ずつ連続的に投入した複数の材料を粗混練する予備混練部と、予備混練部で粗混練された材料を本混練する本混練部と、を備え、予備混練部で粗混練された材料を、モーノポンプにより本混練部に供給して連続的にスラリーを作製する混練装置が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
【0008】
また、電池電極スラリーを作製して塗布する電池電極スラリー処理装置であって、前記電池電極スラリーの作製用の複数の材料を供給する供給手段と、前記供給手段から供給された複数の材料を輸送する第1輸送手段と、前記第1輸送手段により輸送された複数の材料を混練して連続的に排出する第1混練手段と、前記第1混練手段から排出された材料を輸送する第2輸送手段と、前記第2輸送手段により輸送された材料を循環させる循環手段と、前記循環手段により循環している材料の一部を貯留する、当該循環手段に接続された貯留部と、当該貯留部に貯留されている材料を電極用板に塗布する塗布手段と、を備えた電池電極スラリー処理装置が提案されている(特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2004-33924号公報
【特許文献2】特開2017-147190号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
上述した電池電極スラリー処理装置では、二次電池の電池電極(正極や負極)を構成する電極板(正極板や負極板)を形成する際、必要な材料を混練して得られた電池電極スラリーを電極用板である金属シート(正極用板であればアルミシート、負極用板であれば銅シート)上に塗布し、乾燥させることで、電極板を形成することができる。
【0011】
このような電池電極スラリー処理装置では、完全自動化の要望がある。
しかしながら、装置全体の運用を自動化するには、プロセスが複雑であり、品質が安定した電池電極スラリーを連続的に安定して製造するには、装置をどのように制御をすればよいかが問題となる。
【0012】
そこで、本発明は、電池電極スラリーの品質は、材料の配合比率や混練条件を同一にしても、材料の種々の特性の変化、環境の変化などの影響でスラリー品質が微妙に変化してしまうことがあるが、連続混練処理ではこの変化に応じて微調整することが難しい。このスラリー品質の変化は、スラリーの動粘度を監視することで、スラリー品質の変化による電極板の特性への影響を推定し得ることを知見し、本発明を完成させた。
【0013】
かかる本発明は、電池電極スラリー処理装置において、混練処理を自動化しつつ品質が安定したスラリーを生成することを課題とし、電池電極スラリーの品質を安定して維持することができ、特性の安定した電極板を得ることができる電池電極スラリー処理装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
本発明は、上述の課題を解決するために、以下の事項を提案している。
第1の態様は、
電池電極スラリーを作製して塗布する電池電極スラリー処理装置であって、
前記電池電極スラリーの作製用の複数の材料を供給する供給手段と、
前記供給手段から供給された複数の材料を輸送する第1輸送手段と、
前記第1輸送手段により輸送された複数の材料を混練して連続的に排出する第1混練手段と、
前記第1混練手段から排出された混練物を輸送する第2輸送手段と、
前記第2輸送手段に接続されて、当該第2輸送手段により輸送された混練物を電極用板に塗布する塗布手段と、
前記第1混練手段の後で前記塗布手段より前の少なくとも一箇所で、輸送される混練物の動粘度を監視し、前記監視した動粘度の変化の動向に基づいて、前記供給手段から供給される複数の材料の配合比および前記第1混練手段の混練条件の少なくとも一方を変更する監視制御手段と、
を備える、
ことを特徴とする電池電極スラリー処理装置である。
【0015】
第2の態様は、
前記第2輸送手段は、前記第1混練手段から排出された混練物を受け取り輸送する入口部と、前記入口部を経由して輸送された混練物を排出する出口部と、を備え、
前記第2輸送手段の前記出口部より前の輸送配管が循環配管を形成していることを特徴とする第1の態様の電池電極スラリー処理装置である。
【0016】
第3の態様は、
前記第2輸送手段の前記入口部と前記出口部との間には前記混練物の一部を貯留する貯留部と、前記貯留部から排出された混練物を混練して当該出口部に向かって連続的に排出する第2混練手段とを備え、
前記循環配管は、前記第2混練手段の後に存在し、
前記監視手段は、前記第1混練手段と前記貯留部との間の前記入口部を輸送される混練物の動粘度を監視する、
ことを特徴とする第2の態様の電池電極スラリー処理装置である。
【0017】
第4の態様は、
前記監視手段は、前記循環配管の内部を輸送される混練物の動粘度も監視する、
ことを特徴とする第3の態様の電池電極スラリー処理装置である。
【0018】
第5の態様は、
前記第1混練手段および前記第2混練手段のうち少なくともいずれかは、複数設けられ、
前記第1混練手段が複数設けられている場合には、前記複数の第1混練手段は並列あるいは直列に設けられ、
前記第2混練手段が複数設けられている場合には、前記複数の第2混練手段は並列あるいは直列に設けられている、
ことを特徴とする第3の態様の電池電極スラリー処理装置である。
【0019】
第6の態様は、
前記供給手段は、前記複数の材料として、少なくとも活物質および結着剤を供給し、
前記第1混練手段は、前記複数の材料を粗混練し、
前記第2混練手段は、前記第2輸送手段により輸送された材料を本混練することを特徴とする、
ことを特徴とする第3の態様の電池電極スラリー処理装置である。
【0020】
第7の態様は、
前記塗布手段を複数備え、
前記第2混練手段に接続された前記第2輸送手段の前記出口部の前記塗布手段との接続部が複数に分岐し、前記分岐した複数の前記接続部のそれぞれに前記塗布手段が接続されている、
ことを特徴とする第3の態様の電池電極スラリー処理装置である。
【0021】
第8の態様は、
電池電極スラリーを作製して塗布する電池電極スラリー処理装置における電池電極スラリー処理方法であって、
前記電池電極スラリーの作製用の複数の材料を供給し、
供給された前記複数の材料を輸送し、
輸送された前記複数の材料を混練し、混練物を連続的に排出し、
前記混練物を電極用板に塗布するに際し、
前記混練物が前記電極用板に塗布される前の少なくとも一箇所で、連続的に輸送されている前記混練物の動粘度を監視し、この監視した動粘度の変化の動向に基づいて、前記複数の材料の配合比および前記複数の材料を混練する混練条件の少なくとも一方を変更する、
ことを特徴とする電池電極スラリー処理方法である。
【0022】
第9の態様は、
前記混練物を、再混練して、再混練した混練物を連続的に輸送して、前記電極用板に塗布するものとし、
前記混練物を再混練する前の輸送される混練物の動粘度を監視する、
ことを特徴とする第8の態様の電池電極スラリー処理方法である。
【0023】
第10の態様は、
前記再混練した混練物を連続的に輸送して前記電極用板に塗布するものとし、輸送される前記再混練した混練物の動粘度も監視する、
ことを特徴とする第9の態様の電池電極スラリー処理方法である。
【0024】
第11の態様は、
前記混練を、前記複数の材料の粗混練とし、
前記再混練を、本混練とする、
ことを特徴とする第8又は9の態様の電池電極スラリー処理方法である。
【発明の効果】
【0025】
本発明によれば、電池電極スラリー処理装置において、混練処理を自動化しつつ品質が安定したスラリーを生成することができ、電池電極スラリーの品質を安定して維持することができ、特性の安定した電極板を得ることができる電池電極スラリー処理装置および処理方法を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0026】
図1】本発明の第1実施形態に係る電池電極スラリー処理装置の概略を示す構成図である。
図2】本発明の第1実施形態に係る電池電極スラリー処理装置が備える貯留タンクの概略を示す断面図である。
図3】本発明の第2実施形態に係る電池電極スラリー処理装置の概略を示す構成図である。
図4】本発明の第3実施形態に係る電池電極スラリー処理装置の概略を示す構成図である。
【発明を実施するための形態】
【0027】
以下、本発明の実施形態について、図面を用いて、詳細に説明する。なお、以下の実施形態における構成要素は適宜、既存の構成要素などとの置き換えが可能であり、また、他の既存の構成要素との組み合わせを含む様々なバリエーションが可能である。したがって、以下の実施形態の記載をもって、特許請求の範囲に記載された発明の内容を限定するものではない。
【0028】
<第1実施形態>
図1は、本発明の第1実施形態に係る電池電極スラリー処理装置1の概略を示す構成図である。電池電極スラリー処理装置1は、複数の材料として、例えば、バインダーである被混練材料A、例えば、正極活物質である被混練材料B、および、例えば、導電助剤(導電助材)である被混練材料Cを混練して、リチウムイオン二次電池の正極に用いられる正極スラリーを作製し、作製した正極スラリーを正極用板である金属箔(アルミニウム箔)に塗布する装置である。
【0029】
例えば、バインダーである被混練材料Aは、供給手段の1つである被混練材料A供給部11に収容される。被混練材料A供給部11には、第1輸送手段の1つである配管21が連通しており、被混練材料A供給部11は、配管21に被混練材料Aの所定量を連続的に供給する。配管21には、予備混練部14が連通しているとともに、モーノポンプであるポンプ51が設けられている。モーノポンプであるポンプ51は、配管21に供給された被混練材料Aを予備混練部14に向って付勢する。
【0030】
なお、上述の連続的とは、本実施形態では、時間的に途切れることなく(とめどなく)という意味である。このため、配管21に被混練材料Aを連続的に供給するとは、時間的に途切れることなく(とめどなく)配管21に被混練材料Aを供給するということである。
【0031】
また、被混練材料Aの一例であるバインダーとしては、有機溶剤に溶かして用いるポリフッ化ビニリデン(PVdF)やポリテトラフルオロエチレン(PTFE)などの有機溶剤系(非水系)のバインダーを使用することができる。また、水系バインダーとして、水に分散可能であるスチレン・ブタジエンゴム(SBR)や、メチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、ブチル(メタ)アクリレート、(メタ)アクリロニトリル、ヒドロキシエチル(メタ)アクリレートなどのエチレン性不飽和カルボン酸エステルや、アクリル酸、メタクリル酸、イタコン酸、フマル酸、マレイン酸などのエチレン性不飽和カルボン酸や、SBRと併用されるだけでなく近年バインダーとしても注目されているカルボキシメチルセルロース(CMC)などの水系ポリマーや、アルギン酸化合物などを使用することもできる。
また、これらを複数種類混合したものを使用することもできる。
【0032】
さらに、バインダーは、溶剤に溶解または分散させて使用することもできる。溶剤としては、N-メチルピロリドン、ジメチルホルムアミド、イソプロパノール、トルエン、水などを使用することができ、これらを複数種類混合したものを使用することもできる。これらは、使用する導電助剤や活物質の種類および特性に応じて、適宜選択して使用することができる。
【0033】
例えば、正極活物質である被混練材料Bは、供給手段の1つである被混練材料B供給部12に収容される。被混練材料B供給部12には、第1輸送手段の1つである配管22が連通しており、被混練材料B供給部12は、配管22に被混練材料Bを連続的に供給する。配管22には、予備混練部14が連通しているとともに、例えば、重量計52が設けられている。重量計52は、被混練材料B供給部12から予備混練部14に向かって配管22の内部を流通した被混練材料Bの重量を計測して、配管22の内部を流通した被混練材料Bの瞬時流量を測定し、測定結果を被混練材料B供給部12に送信するとともに、瞬時流量の変動の有無の確認と、積算流量の管理と、を行う。被混練材料B供給部12には、投入された被混練材料Bを配管22に供給するフィーダー(図示省略)が設けられており、被混練材料B供給部12は、重量計52から送信された測定結果に基づいて供給量を決定し、決定した供給量で、被混練材料Bを、フィーダーを介して配管22に連続的に供給する。配管22は、鉛直方向に延伸しており、予備混練部14は、配管22の下端に連通している。このため、配管22に供給された被混練材料Bは、重力により自由落下して連続的に予備混練部14に供給されることになる。
【0034】
なお、被混練材料Bの一例である正極活物質としては、一般式LiMO(Mは、Ni、Co、Fe 、Mn、Si、Alの中から選ばれる1種以上の元素であり、xは0<x<1.5を満たすものとする)などの層状構造・スピネル構造を有する物質や、一般式LixAPO(Aは、Ti、Zn、Mg、Co、Mnの中から選ばれる1種以上の金属元素であり、xは0<x≦1.2を満たすものとする)などのオリビン型構造を有する物質などを使用することができる。特に、オリビン型リン酸鉄リチウムを有する物質である、一般式LiFe(1-y)PO(ただし、xは0<x≦1を満たし、yは0<y≦1を満たし、AはTi、Zn、Mg、Co、Mnの中から選ばれる一種の金属元素であるものとする)で表わされるリチウムリン酸金属化合物を使用することが望ましい。また、リチウムリン酸金属化合物の表面にカーボンが被覆された粒子、または、この粒子の凝集体を使用することもできる。
【0035】
例えば、導電助剤である被混練材料Cは、供給手段の1つである被混練材料C供給部13に収容される。被混練材料C供給部13には、第1輸送手段の1つである配管23が連通しており、被混練材料C供給部13は、配管23に被混練材料Cを連続的に供給する。配管23には、予備混練部14が連通しているとともに、例えば、重量計53が設けられている。重量計53は、被混練材料C供給部13から予備混練部14に向かって配管23の内部を流通した被混練材料Cの重量を計測して、配管23の内部を流通した被混練材料Cの瞬時流量を測定し、測定結果を被混練材料C供給部13に送信するとともに、瞬時流量の変動の有無の確認と、積算流量の管理と、を行う。被混練材料C供給部13には、投入された被混練材料Cを配管23に供給するフィーダー(図示省略)が設けられており、被混練材料C供給部13は、重量計53から送信された測定結果に基づいて供給量を決定し、決定した供給量で、被混練材料Cを、フィーダーを介して配管23に連続的に供給する。配管23は、鉛直方向に延伸しており、予備混練部14は、配管23の下端に連通している。このため、配管23に供給された被混練材料Cは、重力により自由落下して連続的に予備混練部14に供給されることになる。
【0036】
なお、被混練材料Cの一例である導電助剤としては、アセチレンブラック、ファーネスブラック、カーボンブラックなどのカーボン粉体を使用することができる。また、これらを複数種類混合したものを使用することもできる。
【0037】
以上より、予備混練部14には、ポンプ51により付勢されたバインダーが適切な分量で連続的に供給されるとともに、重力により自由落下して正極活物質および導電助剤がそれぞれ適切な分量で連続的に供給されることになる。なお、バインダーなどの液体の被混練材料に対しても安定した量を供給可能であれば自由落下で供給することを妨げるものではなく、正極活物質や導電助剤などの粉体の被混練材料に対しても所定量ずつ排出可能な供給手段を配管22や配管23に設けることで自由落下を用いることなく適量ずつ予備混練部14へ供給可能であればそのような供給手段を用いることを妨げるものではない。このように、被混練材料の供給は、その性質に応じて所定量ずつ予備混練部14へ供給する。
【0038】
予備混練部14は、連続的に供給される、例えば、バインダー、正極活物質、および導電助剤を、逐次、粗混練して予備混練スラリーとして連続的に排出する。予備混練部14には、第2輸送手段の1つである配管24を介して本混練部15が連通しており、予備混練部14から連続的に排出された予備混練スラリーは、ポンプ51からバインダーへの付勢力や予備混練部14からの吐出力を利用して、配管24を介して本混練部15に連続的に供給される。
【0039】
以上によれば、予備混練部14は、例えば、バインダー、正極活物質、および導電助剤の粗混練を行いつつ、これら材料の連続的な受け入れと、本混練部15への予備混練スラリーの連続的な供給と、を行う。すなわち、予備混練部14は、予備混練スラリーを本混練部15へ連続的に供給することと、新たに供給された材料を連続的に粗混練することと、を並行して行う。
【0040】
予備混練部14には、例えば、浅田鉄工株式会社のミラクルKCK、シルバーソン社製のインライン型ミキサーであるフラッシュブレンドやフラッシュミックス、ティーメックス社製の粉体溶解システム、IKA社製のMHDなどを用いることができる。予備混練部14の構成の一例は、例えば、特開2017-147188号公報に記載されたものである。
【0041】
なお、バインダーのような液体と、正極活物質および導電助剤のような粉体と、を混練する場合には、最初から本混練を行ってしまうと、液体リッチな領域と、粉体リッチな領域と、ができてしまうおそれがある。また、予備混練部14による粗混練が完了した段階では、液体内における粉体の分散が十分に均等化されていないため、所望の品質を有する正極スラリーを得ることができない。そこで、電池電極スラリー処理装置1は、予備混練部14による粗混練を行った後に、本混練部15による本混練を行う。
【0042】
本混練部15は、連続的に供給される予備混練スラリーを、逐次、本混練して正極スラリーとして連続的に排出する。本混練部15による本混練は、予備混練部14により粗混練された予備混練スラリーを、所望の品質を有する正極スラリーになるまで混練することを目的とする。この本混練部15には、第2輸送手段の1つである配管25を介して塗布部が連通しており、本混練部15から連続的に排出された正極スラリーは、本混練部15からの吐出力により、配管25を介して塗布部19に連続的に供給される。
【0043】
本混練部15は、予備混練スラリーの本混練を行いつつ、予備混練スラリーの連続的な受け入れと、塗布部への正極スラリーの連続的な供給と、を行う。すなわち、本混練部15は、正極スラリーを塗布部へ連続的に供給することと、新たに供給された予備混練スラリーを連続的に混練することと、を並行して行う。
【0044】
なお、配管24のうち予備混練部14に連結している部分、言い換えると配管24のうち予備混練部14側の端部の接続部のことを、入口部241と呼ぶこととする。また、配管25のうち塗布部19側の端部の接続部のことを、出口部251と呼ぶこととする。すると、本混練部15は、入口部241と出口部251との間に配置されていることになる。
【0045】
本混練部15には、例えば、IKA社製の攪拌装置DR/DROやUTLやMKO、プライミクス社製の混合装置薄膜旋回型ミキサーのフィルミックス(登録商標)、浅田鉄工株式会社製の混合装置ゼロミル(登録商標)などを用いることができる。本混練部15の構成の一例は、例えば、特開2017-147188号公報に記載されたものである。
【0046】
また、予備混練部14と本混練部15との間には、貯留部の一例である貯留タンク41が配置されている。すなわち、貯留タンク41は、予備混練部14に連通する配管24の途中に設けられており、予備混練スラリーの少なくとも一部を貯留する。この貯留タンク41は、配管24を介して予備混練部14から連続的に供給される予備混練スラリーの一部を貯留するとともに、貯留している予備混練スラリーを配管24を介して本混練部15に連続的に供給する。
【0047】
貯留タンク41の一例の構造は、例えば、図2に示すものである。
図2は、貯留タンク41の概略を示す断面図である。貯留タンク41は、モーター411、攪拌部412、およびケース413を備える。攪拌部412は、いわゆるアンカー型攪拌翼であり、回転軸4121および攪拌翼4122を備える。回転軸4121は、回転軸4121の長手方向の中心線を回転軸として、モーター411により回転駆動され、回転軸4121が回転すると、攪拌翼4122も回転する。貯留タンク41は、モーター411を駆動して攪拌翼4122を回転させることで、貯留している予備混練スラリーを攪拌する。なお、予備混練スラリーは、貯留タンク41の側面の上部に設けられた搬入口(図示省略)から貯留タンク41の内壁をつたって貯留タンク41内に入る。これは、内壁をつたわせずに貯留タンク41の上方から入ることによって予備混練スラリーに発生する気泡を避けるためである。すなわち、このように、予備混錬スラリーを貯留タンク41の内壁をつたって入れることにより、貯留タンク41内に気泡が発生するのを防止している。そして、貯留タンク41に貯留されている予備混練スラリーは、貯留タンク41の底面に設けられた排出口(図示省略)から排出される。
【0048】
なお、貯留タンク41の構造は、これに限定されず、予備混練スラリーの一部を貯留し、貯留した予備混練スラリーを本混練部15に連続的に供給する構造であればよく、例えば、攪拌部412を備えてなくてもよい。ただし、攪拌部412を設けて貯留している予備混練スラリーを攪拌しておく方が、下記するような、被混練材料の分散状態や予備混練スラリーの粘度等の予備混練スラリーの品質を維持管理し易いので好適である。
【0049】
予備混練部14には、被混練材料A供給部11、被混練材料B供給部12、および被混練材料C供給部13のそれぞれからバインダーなどの被混練材料A、正極活物質などの被混練材料B、および導電助剤などの被混練材料Cが予め定められた配合比で供給される。しかし、フィーダーのタイミング、計量誤差、搬送に基づく影響(搬送速度、搬送タイミング、搬送量など)などにより、僅かではあるが、予備混練部14で粗混練されて連続的に排出される予備混練スラリーの品質にばらつきが生じてしまうことがある。しかし、予備混練部14と本混練部15との間に貯留タンク41を備えるため、予備混練部14で粗混練されて連続的に排出される予備混練スラリーは、貯留タンク41で貯留された後に、本混練部15に供給される。したがって、予備混練部14で粗混練された予備混練スラリーは、貯留タンク41で貯留されている間に混ざり合うので、本混練部15に供給された時点での予備混練スラリーの品質のばらつきは、予備混練部14から排出された時点での予備混練スラリーの品質のばらつきと比べて小さくなる。よって、正極スラリーの品質を安定して維持することができる。
【0050】
また、貯留タンク41には、貯留している予備混練スラリーを攪拌する攪拌部412が設けられている場合には、予備混練部14で粗混練された予備混練スラリーは、貯留タンク41で貯留されている間にさらに混ざり合うので、粗混練により分散させた、予備混練スラリーを構成する材料が分離してしまうことなく、予備混練スラリーを複数の材料が混練された状態に維持することができ、正極スラリーの品質を安定して維持することができる。
【0051】
また、予備混練部14と本混練部15との間に貯留タンク41が設けられていると、予備混練部14の処理量と、本混練部15の処理量と、が異なっていても、貯留タンク41をいわゆるバッファとして利用することができ、本混練部15の処理量に等しい量の予備混練スラリーを本混練部15に供給することができる。具体的には、予備混練部14の処理量が、本混練部15の処理量よりも少ない場合、その差分を貯留タンク41に貯留されている予備混練スラリーで補って、本混練部15の処理量に等しい量の予備混練スラリーを本混練部15に供給することができる。また、予備混練部14の処理量が、本混練部15の処理量よりも多い場合、その差分を貯留タンク41に貯留して、本混練部15の処理量に等しい量の予備混練スラリーを本混練部15に供給することができる。このため、予備混練部14により粗混練された予備混練スラリーを連続的に本混練部15に供給しつつ、作製する正極スラリーの目標量や、清掃といったメンテナンス状況などに応じて、適宜、予備混練部14と本混練部15とを独立して駆動させることができる。
【0052】
さらに、貯留タンク41から本混練部15への供給量を調整して本混練部15から塗布部19への供給量を調整することができる。すなわち、貯留タンク41の出口の図示しない調整弁の開放状態や開放時間を調整することにより、本混練部15への供給量を調整することができる。なお、貯留タンク41の出口に調整弁が設けられていない場合には、貯留タンク41と本混練部15との間に調整弁を設けて調整できるようにしてもよい。
なお、貯留タンク41は、必ずしも設ける必要はない。
【0053】
本混練部15から正極スラリーが連続的に供給される配管25の途中に、本実施形態の輸送配管である循環配管28が設けられている。循環配管28は、配管21から配管25と同様の管状の配管を、環状に形成して構成されており、一部は配管25と共用され、途中にモーノポンプであるポンプ55およびフィルタ16が設けられている。また、循環配管28の途中には、配管25と塗布手段との接続部となる出口部251が3つ設けられており、出口部251のそれぞれには配管29である分岐配管291~293に接続している。ポンプ55は、循環配管28に供給された正極スラリーをフィルタ16に向かって付勢する。フィルタ16は、循環配管28の内部を循環する正極スラリーに含まれる不純物を除去する。フィルタ16より除去される不純物としては、気泡や、未分散の凝集塊などがある。なお、モーノポンプであるポンプ55およびフィルタ16は、それぞれ必ずしも備える必要はないが、正極スラリーが循環配管28内で滞ることなくスムーズに循環させることを考慮するとモーノポンプであるポンプ55を設けておいた方が好適であり、気泡や未分散の凝集塊による影響への対策としてはフィルタ16を設けておいた方が好適である。
【0054】
配管25の出口部251に連続する分岐配管291~293には、それぞれバルブ171~173、およびコーター191~193が設けられており、循環配管28の内部を流通する正極スラリーの少なくとも一部は、モーノポンプであるポンプ55による付勢力により、コーター191~193に連続的に供給される。なお、コーター191~193それぞれへ正極スラリーが適量ずつ供給されるのであれば、バルブ171~173は必ずしも設ける必要はない。なお、塗布部19を構成するコーターの数は、勿論、限定されず、1つ又は2つでもよく、4つ以上でもよい。
【0055】
コーター191、192および193は、正極スラリーを正極用板に塗布する。正極用板としては、金属箔のように電気伝導性を有するものであれば使用することができ、材質や形状や大きさには特に制限がない。好ましくは、正極用板ならアルミニウム箔、負極用板なら銅箔を使用することが望ましい。
【0056】
なお、コーター191、192および193への正極スラリーの供給および停止は、バルブ171~173によって行われる。複数のバルブ171~173のうち、2個以上が同時に開くことで2個以上のコーター191、192および193に同時に正極スラリーを供給するようにしてもよく、複数のバルブ171~173のうち、1つ開くことで3つのコーター191、192および193のうち開いたバルブと連通するコーターに正極スラリーを供給するようにしてもよい。
【0057】
電池電極スラリー処理装置1は、モーノポンプであるポンプ51により、配管21により輸送されるバインダーである被混練材料Aを付勢するとともに、予備混練部14から予備混練スラリーを排出し、本混練部15から本混練スラリーを排出し、モーノポンプであるポンプ55により、循環配管28により輸送される正極スラリーを付勢する。このため、モーノポンプであるポンプ51、モーノポンプであるポンプ55による付勢力や、予備混練部14や本混練部15による吐出力により、電池電極スラリー処理装置1に設けられた各構成における材料や排出物が、電池電極スラリー処理装置1内を移送されることになる。したがって、正極スラリーの処理工程全体を自動化することができる。
【0058】
また、本混練部15から排出された正極スラリーを、配管25を介して循環配管28に供給し、供給された正極スラリーを循環配管28において循環させる。また、この循環配管28には、分岐配管291~293のそれぞれを介してコーター191~193のそれぞれが接続される。このため、本混練部15で本混練された正極スラリーは、配管25と、循環配管28と、分岐配管291~293のそれぞれと、を介して、コーター191~193のそれぞれに供給される。したがって、コーター191~193のそれぞれを駆動させることで、電池電極スラリー処理装置1において得られた正極スラリーを用いた電池電極の作製を複数ラインで連続的に且つ安定して行うことができるので、電池電極の生産能力を向上させることができる。また、コーター191~193のうち、いずれか1つ又は2つを駆動させて電池電極の作製を継続しつつ、他のものを停止させて清掃やメンテナンスを行うこともできる。以上によれば、電池電極の生産性を向上させることができる。
【0059】
また、本混練部15で本混練された正極スラリーは、配管25の内部を流通してからコーター191~193に供給されるまでの期間、循環配管28により循環している。このため、上述の期間、正極スラリーが循環配管28を用いて流れ続けるので、正極スラリーにおいて分離や沈降が発生してしまうのを防止することができ、正極スラリーの品質低下を防止することができる。
【0060】
ここで、循環配管28の入口部に貯留タンク41と同様な貯留タンクをさらに設けてもよい。このような貯留タンクには、貯留している正極スラリーを攪拌する攪拌部が設けられているのが好ましい。これにより、循環配管28の内部を循環する正極スラリーと、配管25を介して本混練部15から連続的に供給される正極スラリーとは、貯留タンクで貯留されている間にさらに混ざり合うので、粗混練および本混練により分散させた、正極スラリーを構成する材料が分離してしまうことなく、正極スラリーを複数の材料が混練された状態に維持することができ、正極スラリーの品質を安定して維持することができる。
【0061】
また、循環配管28にも貯留タンクが設けられていると、本混練部15の処理量と、コーター191~193のそれぞれの処理量の総和と、が異なっていても、貯留タンクを追加のバッファとして利用することができ、コーター191~193のそれぞれの処理量の総和に等しい量の正極スラリーをコーター191~193に供給することができる。このため、コーター191~193に正極スラリーを連続的に供給しつつ、作製する正極スラリーの目標量や、清掃といったメンテナンス状況などに応じて、適宜、予備混練部14および本混練部15や、コーター191~193を独立して駆動させることができる。
【0062】
以上の構成を備える電池電極スラリー処理装置1は、予備混練部14の下流側の配管24及び循環配管28にそれぞれ設けられた動粘度測定装置(図示省略)により測定される正極スラリーの動粘度を監視し、その監視した動粘度の変化の動向に基づいて、被混練材料A供給部11、被混練材料B供給部12および被混練材料C供給部13からの供給量、予備混練部14の混練条件を変更する監視制御部61を備える。
【0063】
監視制御部61による動粘度の監視は、本実施形態では、配管24及び循環配管28の途中にそれぞれ設けられた動粘度測定装置により測定するものとしているが、予備混練部14の後で、コーター191~193の前の輸送配管で輸送される正極スラリーの動粘度を監視できれば、特に限定されない。動粘度の監視も2箇所に限らず、1箇所でも3箇所以上であってもよい。ただし、なるべく早い段階で動粘度を監視し、監視に基づくフィードバックができた方がスラリー品質の変化を早い段階で許容範囲に収まるよう制御することができるが、早い段階では動粘度の変化が分かりにくい場合もあるため複数個所で動粘度を監視できるのが好ましい。
【0064】
正極スラリーは、各材料の配合比率や混練条件を同一にしても、材料の種々の特性の変化、環境の変化などの影響でスラリー品質が変化してしまうことがあるが、品質の変化を効率的に監視するために、スラリーの動粘度を監視している。目的の所望のスラリーの性質や製造される電極板の特性に応じて、最適な正極スラリーの動粘度を所定の範囲とするように制御することにより、スラリー品質の低下、また、スラリーの品質の低下による電極板の特性の低下を防いでいる。
【0065】
所望の動粘度の範囲は、使用する材料の種類、配合比、混練条件、できあがったスラリーの所望の品質、あるいは、電極板の所望の特性により変化するので、目的に応じて予め最適な動粘度の範囲を決定しておく必要がある。また、監視している動粘度が変化した場合に、使用する材料の種類、配合比、混練条件などをどのように変更したらよいかを予め決定しておく必要がある。
【0066】
すなわち、動粘度が適正な所定範囲から外れた場合に、所定の範囲に戻す制御は、単純には決定できず、被混練材料A供給部11、被混練材料B供給部12および被混練材料C供給部13から供給される被混練材料A、被混練材料Bおよび被混練材料Cの種類によっても異なり、動粘度がどのように所定範囲外に外れたかの変化動向によっても異なる。
【0067】
よって、本実施形態では、動粘度の変化の動向を元に戻すため、被混練材料A、被混練材料Bおよび被混練材料Cの種類毎に、原料の供給量、予備混練部14及び本混練部15の混練条件などを予め実験により決定しておくことが必要となる。すなわち、監視場所毎の動粘度の変化の動向により、その変化動向に応じて正常な動粘度に戻すために予め実験に基づき決められた各材料の配合比、混練時間、混練装置の回転数などの混練条件の組合せを複数用意しておく。
【0068】
本実施形態では、監視制御部61は、主として予備混練部14の直ぐ下流の動粘度の変化の動向を監視し、さらに予備的に、循環配管28の動粘度の変化の動向とを監視し、これらの動粘度の変化の動向に基づき、適正な混練条件の組合せを選定し、この選定した条件に基づいて、被混練材料A供給部11、被混練材料B供給部12および被混練材料C供給部13からの供給量、予備混練部14及び本混練部15の混練条件を制御する。これにより、動粘度を適正な範囲に戻すことができる。
【0069】
これにより、動粘度を監視し、監視値に基づいて、適正な対策を迅速にとることができる。
【0070】
動粘度の監視を行う場所は、予備混練部14で予備混練した予備混練スラリーの動粘度を対象とするのが好ましい。これは、動粘度の変化を早く検知し、直ぐに対策した方が好ましいからである。また、同時に監視することにより、さらに正確に適正な対策を取ることができる。この場合、予備混練スラリーの最適な動粘度の範囲を予め決定し、この範囲から外れた場合の対策を予め決定しておく必要がある。
【0071】
また、最終的な正極スラリーの動粘度を監視することも重要であり、本実施形態では、予備混練スラリーの動粘度と最終的な正極スラリーの両者を監視しているが、前述したように、少なくとも予備混練スラリーの動粘度を監視すればよい。1箇所で動粘度を監視する場合には、監視している動粘度を所定時間毎にサンプリングして動粘度の変化をみればよい。
【0072】
以上の構成を備える電池電極スラリー処理装置1は、以下の効果を奏することができる。
【0073】
電池電極スラリー処理装置1は、予備混練部14に、被混練材料A供給部11および配管21により例えば、バインダーである被混練材料Aを供給し、被混練材料B供給部12および配管22により正極活物質を供給し、被混練材料C供給部13および配管23により導電助剤を供給し、予備混練部14により、供給された複数の材料を粗混練し、配管24により、粗混練された予備混練スラリーを本混練部15に供給し、本混練部15により、予備混練スラリーを本混練する。このため、予備混練部14は、複数の材料の粗混練を行いつつ、これら複数の材料の受け入れと、粗混練した材料の本混練部15への供給と、を行うことができる。すなわち、予備混練部14は、粗混練済みの材料を本混練部15へ供給することと、新たに供給される複数の材料を粗混練することと、を並行して行うことができる。したがって、本混練部15への予備混練スラリーの供給を連続的に行うことができる。よって、本混練部15による本混練を連続的に行うことができ、予備混練部14の後段における工程を止める必要がないので、正極スラリーを連続的かつ短時間に得ることができる。
【0074】
また、電池電極スラリー処理装置1は、上述のように本混練部15への予備混練スラリーの供給を連続的に行うことができるので、従来のように大釜を取り替える必要がない。このため、正極スラリーの作製過程における工数を削減することができる。
【0075】
また、電池電極スラリー処理装置1は、上述のように本混練部15への予備混練スラリーの供給を連続的に行うことができるので、大量の材料を一度に混練する必要がない。このため、予備混練部14を小型化することができるので、電池電極スラリー処理装置1を小型化することができる。
【0076】
また、電池電極スラリー処理装置1は、モーノポンプであるポンプ51により、配管21により輸送されるバインダーを付勢するとともに、予備混練部14から予備混練スラリーを排出し、本混練部15から正極スラリーを付勢した状態で排出する。このため、モーノポンプであるポンプ51による付勢力や、予備混練部14や本混練部15による吐出力により、電池電極スラリー処理装置1に設けられた各構成における材料や排出物が、電池電極スラリー処理装置1内を移送されることになる。したがって、正極スラリーの作製工程全体を自動化することができる。
【0077】
なお、ポンプ51およびポンプ55の付勢力だけでは不十分な場合には、例えば、貯留タンク41と本混練部15との間にモーノポンプを設けてもよい。これにより、付勢力が向上し、正極スラリーが順調に安定して移送されることになる。
【0078】
予備混練部14には、被混練材料A供給部11、被混練材料B供給部12、および被混練材料C供給部13のそれぞれからバインダーである被混練材料A、正極活物質である被混練材料B、および導電助剤である被混練材料Cが予め定められた配合比で供給される。しかし、フィーダーのタイミング、計量誤差、搬送に基づく影響(搬送速度、搬送タイミング、搬送量など)などにより、僅かではあるが、予備混練部14で粗混練されて連続的に排出される予備混練スラリーの品質にばらつきが生じてしまうことがある。しかし、電池電極スラリー処理装置1は、予備混練部14と本混練部15との間に貯留タンク41を備える。このため、予備混練部14で粗混練されて連続的に排出される予備混練スラリーは、貯留タンク41で貯留された後に、本混練部15に供給される。したがって、予備混練部14で粗混練された予備混練スラリーは、貯留タンク41で貯留されている間に混ざり合うので、本混練部15に供給された時点での予備混練スラリーの品質のばらつきは、予備混練部14から排出された時点での予備混練スラリーの品質のばらつきと比べて、小さくなる。よって、予備混練部14での粗混練での予備混錬スラリーの品質ばらつきは抑えられ、正極スラリーの品質への影響は抑えることができる。
【0079】
また、電池電極スラリー処理装置1では、貯留タンク41に、貯留している予備混練スラリーを攪拌する攪拌部412が設けられている。このため、予備混練部14で粗混練された予備混練スラリーは、貯留タンク41で貯留されている間にさらに混ざり合うので、粗混練により分散させた、予備混練スラリーを構成する材料が分離してしまうことなく、予備混練スラリーを複数の材料が混練された状態に維持することができ、正極スラリーの品質を安定して維持することができる。
【0080】
また、電池電極スラリー処理装置1では、予備混練部14と本混練部15との間に貯留タンク41が設けられているので、予備混練部14の処理量と、本混練部15の処理量と、が異なっていても、貯留タンク41をいわゆるバッファとして利用することができ、本混練部15の処理量に等しい量の予備混練スラリーを本混練部15に供給することができる。具体的には、予備混練部14の処理量が、本混練部15の処理量よりも少ない場合、その差分を貯留タンク41に貯留されている予備混練スラリーで補って、本混練部15の処理量に等しい量の予備混練スラリーを本混練部15に供給することができる。また、予備混練部14の処理量が、本混練部15の処理量よりも多い場合、その差分を貯留タンク41に貯留して、本混練部15の処理量に等しい量の予備混練スラリーを本混練部15に供給することができる。このため、予備混練部14により粗混練された予備混練スラリーを連続的に本混練部15に供給しつつ、作製する正極スラリーの目標量や、清掃といったメンテナンス状況などに応じて、適宜、予備混練部14と本混練部15とを独立して駆動させることができる。
【0081】
また、本実施形態では、本混練部15の後に、本混練部15から排出された正極スラリーを、配管25を介して供給し、供給された正極スラリーを循環させる循環配管28を備える。この循環配管28には、分岐配管291~293のそれぞれを介してコーター191~193のそれぞれが接続される。このため、本混練部15で本混練された正極スラリーは、配管25と、循環配管28と、分岐配管291~293のそれぞれと、を介して、コーター191~193のそれぞれに供給される。したがって、コーター191~193のそれぞれを駆動させることで、電池電極スラリー処理装置1において得られた正極スラリーを用いた電池電極の作製を複数ラインで連続的に且つ安定して行うことができるので、電池電極の生産能力を向上させることができる。また、コーター191~193のうち、いずれか1つ又は2つを駆動させて電池電極の作製を継続しつつ、他のものを停止させて清掃やメンテナンスを行うこともできる。以上によれば、電池電極の生産性を向上させることができる。
【0082】
以上の構成を備える電池電極スラリー処理装置1は、予備混練部14の直ぐ下流の配管24及び循環配管28のそれぞれに設けられた動粘度測定装置(図示省略)により測定される正極スラリーの動粘度を監視し、その監視値に基づいて、被混練材料A供給部11、被混練材料B供給部12および被混練材料C供給部13からの供給量、予備混練部14の混練条件の制御手順を変更して、動粘度が所定の範囲に入るようにする監視制御部61を備える。
【0083】
さらに、本実施形態では、配管24及び循環配管28の途中のそれぞれに設けられた動粘度測定装置により正極スラリーの動粘度を測定して監視し、監視した動粘度の変化の動向に基づいて、各材料の配合比率や混練条件の制御手順を変更し、これにより、動粘度が所定の範囲に入るように制御しているので、正極スラリーの品質の変化を効率的安定することができ、スラリー品質の低下、また、スラリーの品質の低下による電極板の特性の低下を防いでいる。
【0084】
このような電池電極スラリー処理装置1では、被混練材料A供給部11、被混練材料B供給部12、および被混練材料C供給部13のそれぞれを初端とし、配管29のコーター191~193の前までを終端とし、これらが連通して形成される空間を、密閉し、空間制御部を連通して、上記空間を、減圧または不活性ガスを充満させた状態にしてもよい。なお、不活性ガスとしては、例えば窒素を使用することができる。
【0085】
このため、被混練材料A供給部11、被混練材料B供給部12、および被混練材料C供給部13に各材料が投入されてから、正極スラリーが正極用板に塗布されるまでの間において、これら材料や正極スラリーが大気にさらされてしまうのを抑制することができる。したがって、正極スラリーの品質を安定させることができるとともに、正極スラリーの作製状態にかかわらず安定した塗布処理をコーター191~193により行うことができる。
【0086】
有機溶剤系バインダーは、吸水性を有するため、大気雰囲気では水分を吸収しやすく、水分を吸収してしまうことで品質への影響が生じてしまうおそれがある。このため、バインダーとして有機溶剤系バインダーを使用する場合には、空間制御部(図示省略)による空間制御は特に有効である。
【0087】
一方、水系バインダーは、元来、水分を有している。このため、水系バインダーでは、有機溶剤系バインダーと比べて、大気中の水分による品質への影響が小さい。したがって、バインダーとして水系バインダーを使用する場合には、空間制御部による空間制御を行わなくてもよいが、主に温度を安定させることを目的として、温調用のガスを導入するために空間制御部による空間制御を行うこととしてもよい。
【0088】
<第2実施形態>
図3は、本発明の第2実施形態に係る電池電極スラリー処理装置1Aの概略を示す構成図である。
【0089】
例えば、上述の第1実施形態では、循環配管28を設けた場合について説明したが、本実施形態は循環配管28を設けない場合である。
【0090】
本実施形態では、配管25の本混練部15より後で出口部251より前の配管25の内部を輸送される正極スラリーの動粘度を監視するようにすることができる。
【0091】
図3に示す電池電極スラリー処理装置1Aは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る電池電極スラリー処理装置1とは、循環配管28を設けないで、配管25の出口部251に接続する配管29は、分岐配管291~293に分岐し、分岐配管291~293には、それぞれバルブ171~173、およびコーター191~193が設けられており、
監視制御部61は配管25の内部の正極スラリーの動粘度を監視する点が異なる。
【0092】
電池電極スラリー処理装置1Aは、それぞれ、電池電極スラリー処理装置1と同様の効果を奏することができる。
【0093】
<第3実施形態>
図4は、本発明の第3実施形態に係る電池電極スラリー処理装置1Bの概略を示す構成図である。
【0094】
例えば、上述の第1実施形態、第2実施形態では、予備混練部14および本混練部15の2つの混練部が設けられている場合について説明した。しかし、混練部は、3つ以上であってもよいし、1つであってもよい。
【0095】
図に示す電池電極スラリー処理装置1Bは、図1に示した本発明の第1実施形態に係る電池電極スラリー処理装置1とは、予備混練部14および本混練部15の代わりに混練部114を備える点が異なる。
【0096】
また、配管25の途中に循環配管28を設けた点は実施形態1と同一であるが、配管25から分岐した循環配管28が配管25の上流側に再合流する構成であり、再合流する前の循環配管28にモーノポンプであるポンプ55を設けた点も異なる。
【0097】
ポンプ55の配置は特に制限されず、例えば、循環配管28を循環する電極スラリーがスムーズに搬送され、新たに配管25に搬送される電極スラリーと合流した際に円滑に搬送することが行えるかによって好適な位置に選択するのが望ましい。図1のように配管25との共用部に設けるよりも本実施形態のように、循環配管28の配管25との再合流部の少し前に配置することにより、循環配管28側に電極スラリーを効率的に引き込め、かつ、循環配管28を循環する電極スラリーを配管25へ効率的に押し出すようになる。
【0098】
一方、実施形態1のように、循環配管28の再合流点の後の配管25にポンプ55を配置した場合、上記合流点の電極スラリーを引き込み、配管25の出口部251の方向への付勢を効率的に行うことができる。何れを選択するかは、全体の設計のバランスから、電極スラリーが配管25及び循環配管28を円滑に搬送されるように、好適な位置に配置するのが好ましい。勿論、循環配管28の出口側における配管25との再合流点の手前の循環配管28側及び上記再合流点の後の配管25側のそれぞれにポンプ55を設けて、各ポンプによる付勢力を調整して円滑に電極スラリーが搬送されるようにしてもよい。
【0099】
なお、フィルタ16は、配管25と循環配管28との共用部に設けられている。また、配管25の出口部251に接続する配管29は、分岐配管291~293に分岐し、分岐配管291~293には、それぞれバルブ171~173、およびコーター191~193が設けられている。
【0100】
以上の構成を備える電池電極スラリー処理装置1Bは、混練部114の下流側の配管24及び循環配管28にそれぞれ設けられた動粘度測定装置(図示省略)により測定される正極スラリーの動粘度を監視し、その監視した動粘度の変化の動向に基づいて、被混練材料A供給部11、被混練材料B供給部12および被混練材料C供給部13からの供給量、混練部114の混練条件を変更する監視制御部61を備える点は、実施形態1と同様である。
【0101】
電池電極スラリー処理装置1Bは、それぞれ、電池電極スラリー処理装置1と同様の効果を奏することができる。
【0102】
なお、監視制御部61による動粘度の監視は、本実施形態では、配管24及び循環配管28の途中にそれぞれ設けられた動粘度測定装置により測定するものとしているが、予備混練部14の後で、コーター191~193の前の輸送配管で輸送される正極スラリーの動粘度を監視できれば、特に限定されない。動粘度の監視も2箇所に限らず、1箇所でも3箇所以上であってもよい。ただし、なるべく早い段階で動粘度を監視し、監視に基づくフィードバックができた方がスラリー品質の変化を早い段階で許容範囲に収まるよう制御することができるが、早い段階では動粘度の変化が分かりにくい場合もあるため複数個所で動粘度を監視できるのが好ましい。
【0103】
<他の実施形態>
上述の第1実施形態~第3実施形態では、正極スラリーの例を説明したが、本発明は、これに限らず、例えば負極スラリーに対して適用することもできる。
【0104】
また、上述の第1実施形態および第2実施形態では、混練すべき複数の材料の全てを、予備混練部14といった最初の混練部に対して供給している。しかし、これに限らず、混練すべき複数の材料を、複数の混練部に分散して供給してもよい。
【0105】
また、上述の第1実施形態~第3実施形態では、被混練材料A供給部11から予備混練部14又は混練部114への被混練材料Aの供給を、モーノポンプであるポンプ51により行うものとした。しかしこれに限らず、例えば、ダイヤフラムポンプ、ピストンポンプ、プランジャーポンプ、デラスコポンプ、ギヤーポンプ、ベーンポンプなどを用いることもできる。また、被混練材料A供給部11を予備混練部14又は混練部114よりも高い位置に設け、重力を利用してバインダーに圧力を付勢することで、被混練材料A供給部11から予備混練部14又は混練部114へのバインダーの供給を行うものとしてもよい。なお、重量を利用する場合でも、供給する材料の供給量を制御するために、配管21にポンプ51を設けておくことが好ましい。
【0106】
また、上述の第1実施形態および第2実施形態では、予備混練部14は、1つ設けられるものとしたが、これに限らず、例えば、2つ以上の複数が並列あるいは直列に設けられるものとしてもよい。これによれば、複数を並列に設けた場合は、作製する正極スラリーの目標量や、清掃といったメンテナンス状況に応じて、複数の予備混練部14のそれぞれを独立して駆動させることができる。一方、複数を直列に設けた場合は、異種の活物質を混練する場合など応用した混練に適合することができる。
【0107】
また、上述の第1実施形態および第2実施形態では、本混練部15は、1つ設けられるものとしたが、これに限らず、上述の予備混練部14と同様に、複数が並列あるいは直列に設けられるものとしてもよい。これによれば、複数を並列に設けた場合は、作製する正極スラリーの目標量や、清掃といったメンテナンス状況に応じて、複数の本混練部15のそれぞれを独立して駆動させることができる。一方、複数を直列に設けた場合は、異種の活物質を混練する場合など応用した混練に適合することができる。
【0108】
また、上述の第1実施形態において、予備混練部14を上述のように複数並列に設けるとともに、本混練部15も上述のように複数並列に設けるものとしてもよい。この場合、予備混練部14のそれぞれと、本混練部15のそれぞれと、をそれぞれ独立して制御し、予備混練部14のそれぞれの処理量の総和と、本混練部15のそれぞれの処理量の総和と、を等しくする。これによれば、予備混練部14により混練された予備混練スラリーを連続的に本混練部15に供給しつつ、作製する正極スラリーの目標量や、清掃といったメンテナンス状況などに応じて、適宜、予備混練部14のそれぞれや本混練部15のそれぞれを駆動させることができる。
【0109】
また、上述の第1実施形態~第3実施形態は、被混練材料A供給部11、被混練材料B供給部12、および被混練材料C供給部13のそれぞれから、すなわち異なる構成から、バインダー、正極活物質、および導電助剤などの被混練材料A~Cのそれぞれが供給されるものとした。しかし、これに限らず、バインダー、正極活物質、および導電助剤などの被混練材料A~Cのそれぞれが、同一の構成から供給されるものとしてもよい。
【0110】
また、上述の第1実施形態では、モーノポンプは、配管21に設けられるポンプ51とした。しかし、これに限らず、配管24、配管25、循環配管28、分岐配管291~293のいずれかに設けられるものとしてもよい。配管24、配管25、分岐配管291~293や循環配管28に設ける場合には、付勢手段として、圧力などによりスラリーを吸引するようにして付勢する構成を設けることが好ましい。さらに、配管24に設ける場合には、最初の予備混練スラリーが予備混練部14から排出されるまで、配管25に設ける場合には、最初の正極スラリーが本混練部15から排出されるまで、配管21に設けられたポンプ51によりバインダーを付勢させたり、予備混練部14や本混練部15にある程度の付勢力を有する構成を設けて材料を付勢させたりすることが好ましい。このように付勢させることで、電池電極スラリー処理装置1内における材料やスラリーの移送をよりスムーズに行うことができる。
【0111】
また、上述の各実施形態では、予備混練部14や混練部141には、3種類の材料が供給されるものとしたが、これに限らず、例えば2種類の材料や、4種類の材料が供給されるものとしてもよい。
【符号の説明】
【0112】
1、1A、1B; 電池電極スラリー処理装置
11; 被混練材料A供給部
12; 被混練材料B供給部
13; 被混練材料C供給部
14; 予備混練部
15; 本混練部
16; フィルタ
191、192、193; コーター
21~25; 配管
28; 循環配管
29、291~293; 分岐配管
41;貯留タンク
51、55; ポンプ
52、53; 重量計
114; 混練部
241; 入口部
251; 出口部
図1
図2
図3
図4