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  • 特開-挙動安定化構造を具えた釣用ルアー 図1
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112220
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】挙動安定化構造を具えた釣用ルアー
(51)【国際特許分類】
   A01K 85/00 20060101AFI20240813BHJP
   A01K 85/16 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
A01K85/00 G
A01K85/16
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017141
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】511086250
【氏名又は名称】RAID JAPAN株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】100086438
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 喬彦
(74)【代理人】
【識別番号】100217168
【弁理士】
【氏名又は名称】東山 裕樹
(72)【発明者】
【氏名】金森 隆志
【テーマコード(参考)】
2B307
【Fターム(参考)】
2B307BA36
2B307BA42
2B307BA46
2B307BA70
(57)【要約】
【課題】例えばボディが縦偏平タイプ等の挙動安定性を欠く釣り用ルアーであっても、その挙動を安定化させることのできる釣用ルアーを開発することを技術課題とした。
【解決手段】魚体を模した釣り用ルアー(1)であって、この釣用ルアー(1)は、ボディ(2)後方部位にボディ(2)の側方に突出する複数本のスタビライザーフィン(8)を具えていることを特徴として成り、釣用ルアー(1)が水中を進行する際に、ボディ(2)側面を沿うように流れる水流が複数本のスタビライザーフィン(8)によって加圧・整流され、ボディ(2)後方部位が後方に引っ張られる力が発生し、これにより姿勢を安定状態に保ったままでの水中あるいは水面でのアクションが得られる。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
魚体を模した釣り用ルアー(1)であって、この釣用ルアー(1)は、ボディ(2)後方部位にボディ(2)の側方に突出する複数本のスタビライザーフィン(8)を具えていることを特徴とする挙動安定化構造を具えた釣用ルアー。
【請求項2】
前記スタビライザーフィン(8)は、上下に対向配置される一対の端部フィン(82)が、側面視で前方窄まり状に配置されていることを特徴とする請求項1記載の挙動安定化構造を具えた釣用ルアー。
【請求項3】
前記一対の端部フィン(82)の中間に、これらより前後寸法が大きい中間フィン(81)が設けられていることを特徴とする請求項1または2記載の挙動安定化構造を具えた釣用ルアー。
【請求項4】
前記ボディ(2)は、側面視において縦偏平形状であることを特徴とする請求項1または2記載の挙動安定化構造を具えた釣用ルアー。
【請求項5】
前記ボディ(2)は、ジョイント(6)を介して前後に3分割され、その後部ボディ(5)にスタビライザーフィン(8)を具えていることを特徴とする請求項1または2記載の挙動安定化構造を具えた釣用ルアー。
【請求項6】
前記ボディ(2)は、その後方にテールフラップ(7)を具えていることを特徴とする請求項1または2記載の挙動安定化構造を具えた釣用ルアー。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、釣用ルアーに関するものであって、特に水中姿勢や挙動が不安定になりがちな形状の釣用ルアーに適用した場合に、その欠点を補うことのできる挙動安定化構造を具えた釣用ルアーに係るものである。
【背景技術】
【0002】
釣り用ルアーは、対象魚毎にヒットし易い形状のものが数多く提案され市場に提供されている。このうち例えば、ブラックバスを対象とした釣用ルアーの一つの形態としてボディ形状を側面視において縦偏平としたものが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。この縦偏平のボディ形所を具えた釣用ルアーは、ブラックバスの捕食対象となるブルーギルやフナ等、縦扁平な体形をした魚にシルエットを似せることにより対象魚のヒット率を向上させていると思われるが、その形状に起因する次のような欠点を有していた。
【0003】
即ち、まず縦偏平のボディ形状を採る釣用ルアーは、水面及び水中での姿勢保持が不安定であり、特に高速でルアーを引くような操作をした場合、ボディがロールし、横倒れ状態となりがちな点である。結果的に意図したアクションを採ることができず、釣果を上げることができない。
更にボディを分割構成したジョイントボディタイプの釣用ルアーにあっては、ラインを引く際にボディが左右にロールを繰り返すことにより、ジョイント部分の曲がり方向等が不自然な挙動をとってしまう。そして不自然な挙動を起こさないようにルアーを引き寄せるには、いわば緩慢なリールの巻取操作やロッドアクションを採らざるを得ず、結果的に水中でのルアーの動きとしては大雑把なアクションしか得られない。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2019-24430号公報
【特許文献2】特開平7-250593
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明はこのような背景を考慮してなされたものであって、例えばボディが縦偏平タイプ等の挙動安定性を欠く釣り用ルアーであっても、その挙動を安定化させることのできる釣用ルアーを開発することを技術課題とした。
【課題を解決するための手段】
【0006】
すなわち請求項1記載の挙動安定化構造を具えた釣用ルアーは、魚体を模した釣り用ルアーであって、この釣用ルアーは、ボディ後方部位にボディの側方に突出する複数本のスタビライザーフィンを具えていることを特徴として成るものである。
【0007】
また請求項2記載の挙動安定化構造を具えた釣用ルアーは、前記要件に加え、前記スタビライザーフィンは、上下に対向配置される一対の端部フィンが、側面視で前方窄まり状に配置されていることを特徴として成るものである。
【0008】
また請求項3記載の挙動安定化構造を具えた釣用ルアーは、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記一対の端部フィンの中間に、これらより前後寸法が大きい中間フィンが設けられていることを特徴として成るものである。
【0009】
また請求項4記載の挙動安定化構造を具えた釣用ルアーは、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記ボディは、側面視において縦偏平形状であることを特徴として成るものである。
【0010】
また請求項5記載の挙動安定化構造を具えた釣用ルアーは、前記請求項1または2記載の要件に加え、 前記ボディは、ジョイントを介して前後に3分割され、その後部ボディにスタビライザーフィンを具えていることを特徴として成るものである。
【0011】
また請求項6記載の挙動安定化構造を具えた釣用ルアーは、前記請求項1または2記載の要件に加え、前記ボディは、その後方にテールフラップを具えていることを特徴として成るものである。
そして上記請求項記載の発明を手段として前記課題の解決が図られる。
【発明の効果】
【0012】
まず請求項1記載の発明によれば、釣用ルアーが水中を進行する際に、ボディ側面を沿うように流れる水流が複数本のスタビライザーフィンによって加圧・整流され、ボディ後方部位が後方に引っ張られる力が発生し、これにより姿勢を安定状態に保ったままでの水中あるいは水面でのアクションが得られる。
【0013】
また請求項2記載の発明によれば、スタビライザーフィンの加圧・整流作用を効果的なものとすることができる。
【0014】
また請求項3記載の発明によれば、中間フィンにより、スタビライザーフィンの加圧・整流作用をよりいっそう効果的なものとすることができる。
ことができる。
【0015】
また請求項4記載の発明によれば、特に高速でルアーを引くような操作をした場合、ボディがロールし、横倒れ状態となりがちな縦扁平のボディ形状を有する釣用ルアーの挙動安定化を実現することができる。
【0016】
また請求項5記載の発明によれば、ラインを引く際にボディが左右にロールを繰り返すことにより、ジョイント部分の曲がり方向等が不自然な挙動をとってしまう、ボディを分割構成したジョイントボディタイプの釣用ルアーの挙動安定化を実現することができる。
【0017】
また請求項6記載の発明によれば、テールフラップにより、姿勢を安定状態に保つ効果が増強される。
【図面の簡単な説明】
【0018】
図1】本発明の挙動安定化構造を具えた釣用ルアーの使用状態を示す斜視図である。
図2】本発明の挙動安定化構造を具えた釣用ルアーを示す側面図である。
図3】同上、正面図(a)および背面図(b)である。
図4】同上、平面図(a)および底面図(b)である。
図5】他の実施例を示す平面図(a)、(b)及び(c)、側面図(d)及び(e)並びに斜視図(f)である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
本発明の挙動安定化構造を具えた釣用ルアーの最良の形態は以下に示す実施例のとおりであるが、この形態に対して本発明の技術的思想の範囲内において適宜変更を加えることも可能である。
【実施例0020】
以下本発明を図示の実施例に基づいて具体的に説明する。符号1は本発明たる動安定化構造を具えた釣用ルアー(以下、釣用ルアーと略記する。)であって、全体形状としては比較的縦偏平の形状を有する魚体を模したものである。この釣用ルアー1のボディ2の実施例は、一例として前後方向に3分割されたいわゆるジョイントボディタイプのものである。
【0021】
もちろん本発明はこのようなジョイントタイプのボディ2でなくともよいし、また全体としてたて偏平タイプのものでなくてもよい。いずれにせよ本発明は水中での姿勢安定を採ることが難しいような釣用ルアーに適用することができる。
ボディ2には、前部ボディ3、中間ボディ4、後部ボディ5とのそれぞれのボディ要素に分かれており、これらがジョイント6によって接続され、魚体は側方にうねることができるような構成が採られている。
【0022】
まず前部ボディ3は頭部を含み、一例としてその前部上部にラインアイ31を設けると共に、一例として下部の2ヵ所にフックアイ32を具えている。なお、符号Lはラインであり、符号Hはフックである。
因みに前記フックアイ32には、フックHの他に適宜の錘を装着してもよい。
【0023】
一方、前記中間ボディ4は、前部ボディ3に対し、ジョイント6を介して左右に屈曲自在に接続され、更にその後方にジョイント6を介して後部ボディ5が左右に屈曲自在に接続させている。
この後部ボディ5は、その下部にフックアイ51を一例として前記中間ボディ4側に寄せた位置に設けている。そして後部ボディ5に対しては、その後方に一例として柔軟なエラストマー等により構成したテールフラップ7が取り付けられている。具体的にはテールフラップ7を前記後部ボディ5の後方に設けた差込ソケット52内に差し込んだ状態でボルト等のピン71によりその抜け止めを図るようにした取り付け手法が採られている。
【0024】
そしてこのような構成のボディ2に対して、挙動安定化構造としてのスタビライザーフィン8が設けられる。具体的には前記後部ボディ5側方において上下方向のほぼ中央に中間フィン81が設けられ、その中間フィンを挟んでその上下に端部フィン82が上下一対設けられている。
この一対の端部フィン82はそれぞれを上端部フィン82aと下端部フィン82bとして区別する。これらの端部フィン82は、前記中間フィン81と側面視でほぼ平行(※この状態を確認)に形成され、且つ中間フィン81より一例として前後方向の寸法は短く構成されている。即ち端部フィン82の前後方向の長さより中間フィン81のほうがその長さは長くなっている。また端部フィン82は互いに側面視で前窄まり状の形状を採っている。なお端部フィン82を互いに側面視で後窄まり状や平行状にしてもよい。
【0025】
なおスタビライザーフィン8による安定効果は、前記上下一対の端部フィン82がその後方において側面視窄まるような状態となっていることにより、水流の制御効果が発揮されて安定に寄与している。従って少なくとも上下一対の端部フィンが具えられていることが必要であるが、その間に中間フィン81が設けられることが好ましい。
【0026】
本発明はこのような構成を採ることにより、水中姿勢が比較的不安定になりがちな縦偏平の形状、且つジョイントボディ型のタイプの釣用ルアーであっても、その後方における整流作用を行うスタビライザーフィン8の作用により、姿勢を安定状態に保ったまま水中あるいは水面でのアクションが得られる。加えて、ラインLの引き操作を停止した際に、水中の釣用ルアー1はこれに即応して瞬時に動きを停止する。この結果、本発明の釣用ルアー1は、対象魚Fに対して効果的にアピールをすることができ、良好な釣果に繋がることとなる。
なお本出願人によるスタビライザーフィン8を除去した釣用ルアー1を用いた実験において、巻き取りの際にボディ2が左右にロールしてしまい、水中でのアクションが不安定なものとなってしまうこと、およびラインLの引き操作を停止した際に、水中の釣用ルアー1はこれに即応して瞬時に動きを停止することなく、慣進してしまうことが確認されている。
【0027】
本発明は以上述べた実施例を最も好ましい実施例とするものであるが、本発明の技術的思想の範囲内において種々の改変を行うことができる。
まず先に述べたように、ボディ2の形状自体はこのような縦偏平のジョイントタイプに限定されるものではない。例えば、ジョイント部が一個所のもの、あるいはジョイント部が設けられていないボディ2の形状であってもよい。
【0028】
またスタビライザーフィン8についても、種々の形態がとり得る。まず図5(a)はスタビライザーフィン8の上方から見た図であって、上端部フィン82a及び下端部フィン82bの後方先端側を後方に向かって尖らせたような形状としたものである。
【0029】
また、図5(b)に示す実施例は、スタビライザーフィン8自体に開口部83を設け、これにより水の乱流を招きながらその抵抗を増加させるような形態を採っている。
【0030】
また図5(c)に示す実施例は、スタビライザーフィン8の外端面84の形状を階段状に形成したものである。
【0031】
またスタビライザーフィン8の配置形態を異ならせることも可能であり、図5(e)に示すものは、スタビライザーフィン8を上端部フィン82aと下端部フィン82bとの端部フィン82のみで形成したものであり、図5(f)に示すものは中間フィン81を二基形成したものである。
【0032】
更にまた図5(g)に示すものは、スタビライザーフィン8を後部ボディ5と一体形成させず、別体部材を外嵌め状として形成したものであり、一例としてテールフラップ7の部材を利用して、その一部に外嵌め部72を設け、その外側面にスタビライザーフィン8を形成したものである。
【符号の説明】
【0033】
1 釣用ルアー(挙動安定化構造を具えた)
2 ボディ
3 前部ボディ
31 ラインアイ
32 フックアイ
4 中間ボディ
5 後部ボディ
51 フックアイ
52 差込ソケット
6 ジョイント
7 テールフラップ
71 ピン
72 外嵌め部
8 スタビライザーフィン
81 中間フィン
82 端部フィン
82a 上端部フィン
82b 下端部フィン
83 開口部
84 外端面
F 対象魚
L ライン
H フック
図1
図2
図3
図4
図5