(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112221
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】発電装置の制御方法及び発電システム
(51)【国際特許分類】
H02P 9/04 20060101AFI20240813BHJP
H02P 101/45 20150101ALN20240813BHJP
H02P 103/20 20150101ALN20240813BHJP
【FI】
H02P9/04 L
H02P101:45
H02P103:20
【審査請求】未請求
【請求項の数】8
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017142
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000003997
【氏名又は名称】日産自動車株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110002468
【氏名又は名称】弁理士法人後藤特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】菊地 貴裕
【テーマコード(参考)】
5H590
【Fターム(参考)】
5H590AA06
5H590BB02
5H590CA07
5H590CA23
5H590CB03
5H590CC01
5H590CC24
5H590CD01
5H590CD03
5H590EA10
5H590FB07
5H590GA10
5H590HA02
5H590HA04
5H590HA27
5H590JA02
5H590JA06
5H590JA12
5H590JA14
5H590JA19
5H590KK04
(57)【要約】
【課題】複数の共振特性を有するダンパに対しても、振動を抑制可能な、発電装置の制御方法及び発電システムを提供する。
【解決手段】エンジンと、エンジンの動力によって発電する発電機モータと、エンジンと発電機モータとに接続される、非線形な動力伝達特性を有するダンパとを備える発電装置の制御方法が提供される。この発電装置の制御方法は、エンジンから入力されるトルクと発電機モータの回転数との伝達特性を設定し、発電機モータに要求される要求トルクと、発電機モータの動作状態と、伝達特性とに基づくF/F演算によりF/Fトルク目標値を算出し、発電機モータに対するトルク指令値と、発電機モータの動作状態と、伝達特性とに基づくF/B演算によりF/Bトルク目標値を算出する。そして、F/F目標値及びF/B目標値に基づき最終トルク目標値を算出する。また、伝達特性は、ダンパの非線形な動力伝達特性に基づき設定される。
【選択図】
図4
【特許請求の範囲】
【請求項1】
エンジンと、前記エンジンの動力によって発電する発電機モータと、前記エンジンと前記発電機モータとに接続される、非線形な動力伝達特性を有するダンパとを備える発電装置の制御方法であって、
前記エンジンから入力されるトルクと前記発電機モータの回転数との伝達特性を設定し、
前記発電機モータに要求される要求トルクと、前記発電機モータの動作状態と、前記伝達特性とに基づくフィードフォワード演算によりフィードフォワードトルク目標値を算出し、
前記発電機モータに対するトルク指令値と、前記発電機モータの動作状態と、前記伝達特性とに基づくフィードバック演算によりフィードバックトルク目標値を算出し、
前記フィードフォワードトルク目標値及び前記フィードバックトルク目標値に基づき最終トルク目標値を算出し、
前記伝達特性は、前記ダンパの非線形な動力伝達特性に基づき設定される、
発電装置の制御方法。
【請求項2】
請求項1に記載の発電装置の制御方法であって、
前記伝達特性は、前記ダンパの非線形な動力伝達特性を用いて算出されるダンパ定数に基づき設定され、
前記ダンパ定数は、前記ダンパの剛性及び前記ダンパの減衰定数を含む、
発電装置の制御方法。
【請求項3】
請求項2に記載の発電装置の制御方法であって、
前記フィードバックトルク目標値は、前記発電機モータに対するトルク指令値と、前記発電機モータの動作状態と、前記伝達特性とに基づき算出されたトルク目標値にフィードバックゲインを掛けて算出され、
前記フィードバックゲインは、前記ダンパの剛性が小さいほど大きく設定される、
発電装置の制御方法。
【請求項4】
請求項2または3に記載の発電装置の制御方法であって、
前記ダンパ定数を、前記発電機モータに要求される要求トルクと前記ダンパの非線形な動力伝達特性とに基づき算出する、
発電装置の制御方法。
【請求項5】
請求項2または3に記載の発電装置の制御方法であって、
前記ダンパ定数を、前記ダンパのトルク推定値と前記ダンパの非線形な動力伝達特性とに基づき算出する、
発電装置の制御方法。
【請求項6】
請求項2または3に記載の発電装置の制御方法であって、
前記ダンパ定数を、前記ダンパのねじり角推定値と前記ダンパの非線形な動力伝達特性とに基づき算出する、
発電装置の制御方法。
【請求項7】
請求項2または3に記載の発電装置の制御方法であって、
前記ダンパ定数において、ヒステリシスを前記ダンパの減衰定数として設定する、
発電装置の制御方法。
【請求項8】
エンジンと、前記エンジンの動力によって発電する発電機モータと、前記エンジンと前記発電機モータとに接続されるとともに、非線形な動力伝達特性を有するダンパと、前記発電機モータの動作を制御するコントローラと、を備える発電システムであって、
前記コントローラは、
前記エンジンから入力されるトルクと前記発電機モータの回転数との伝達特性を設定し、
前記発電機モータに要求される要求トルクと、前記発電機モータの動作状態と、前記伝達特性とに基づくフィードフォワード演算によりフィードフォワードトルク目標値を算出し、
前記発電機モータに対するトルク指令値と、前記発電機モータの動作状態と、前記伝達特性とに基づくフィードバック演算によりフィードバックトルク目標値を算出し、
前記フィードフォワードトルク目標値及び前記フィードバックトルク目標値に基づき最終トルク目標値を算出し、
前記伝達特性は、前記ダンパの非線形な動力伝達特性に基づき設定する、
発電システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、発電装置の制御方法及び発電システムに関する。
【背景技術】
【0002】
特許文献1には、内燃機関等の駆動源により駆動される発電機により、電力を発電する発電システムを有する電動車両が開示されている。この電動車両では、ドライブシャフトのねじり振動などによる固有振動成分を低減する制振フィルタによりフィルタ処理を行うことで、動力源から生じる振動を抑制している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、内燃機関(エンジン)と発電機とで構成された発電システムにおける音振対策として、内燃機関と発電機との間にダンパ(ねじりダンパ)を接続する場合があるが、ダンパは、非線形な動力伝達特性を有しているため、複数の共振特性(共振周波数)をもつ。このため、ダンパを備える発電システムに、特許文献1に記載の制振フィルタによるフィルタ処理を行っても、ダンパの非線形な動力伝達特性により、振動抑制効果が低減する虞がある。
【0005】
本発明は上記課題に鑑みたものであり、複数の共振特性を有するダンパに対しても、振動を抑制可能な、発電装置の制御方法及び発電システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明の一態様によれば、エンジンと、エンジンの動力によって発電する発電機モータと、エンジンと発電機モータとに接続される、非線形な動力伝達特性を有するダンパとを備える発電装置の制御方法が提供される。この発電装置の制御方法は、エンジンから入力されるトルクと発電機モータの回転数との伝達特性を設定し、発電機モータに要求される要求トルクと、発電機モータの動作状態と、伝達特性とに基づくフィードフォワード演算によりフィードフォワードトルク目標値を算出し、発電機モータに対するトルク指令値と、発電機モータの動作状態と、伝達特性とに基づくフィードバック演算によりフィードバックトルク目標値を算出する。そして、フィードフォワードトルク目標値及びフィードバックトルク目標値に基づき最終トルク目標値を算出する。また、伝達特性は、ダンパの非線形な動力伝達特性に基づき設定される。
【発明の効果】
【0007】
本発明によれば、フィードフォワード演算及びフィードバック演算に用いられる伝達特性が、ダンパの非線形な動力伝達特性に基づき設定される。これにより、複数の共振特性を有するダンパに対しても振動を抑制することができる。
【図面の簡単な説明】
【0008】
【
図1】
図1は、各実施形態の発電システムが搭載された電動車両の概略構成図である。
【
図2】
図2は、ダンパの動力伝達特性を示すグラフである。
【
図3】
図3は、発電機コントローラの構成を示すブロック図である。
【
図4】
図4は、第1実施形態の発電システムにおける制振制御部の構成を示すブロック図である。
【
図5】
図5は、ダンパの動力伝達特性におけるヒステリシスを示す図である。
【
図6】
図6は、エンジン、ダンパ及び発電機のトルク伝達系をモデル化した図である。
【
図7】
図7は、従来例の発電システムによるダンパトルク及び発電機モータの回転数を示すタイムチャートである。
【
図8】
図8は、第1実施形態の発電システムによるダンパトルク及び発電機モータの回転数を示すタイムチャートである。
【
図9】
図9は、第2実施形態の発電システムにおける制振制御部の構成を示すブロック図である。
【
図10】
図10は、第3実施形態の発電システムにおける制振制御部の構成を示すブロック図である。
【
図11】
図11は、第4実施形態の発電システムにおける制振制御部の構成を示すブロック図である。
【発明を実施するための形態】
【0009】
以下、図面等を参照しながら、本発明の実施形態について説明する。
【0010】
[第1実施形態]
図1は、本発明の各実施形態の発電装置の制御方法が採用された発電システム101が搭載される電動車両100の概略構成図である。
図1に示すように、電動車両100は、バッテリ10の電力によって駆動する車両であり、駆動モータ11及び発電装置12を備える。
【0011】
バッテリ10は、電動車両100の各部を駆動するための電力を蓄積する。バッテリ10は充電可能であり、本実施形態では、バッテリ10は、少なくとも発電装置12が発電した電力によって充電される。また、本実施形態においては、バッテリ10は直流電源である。バッテリ10が出力する直流電圧(以下、バッテリ電圧Vdcという)は図示しないセンサ等によって検出可能である。
【0012】
駆動モータ11は、電動車両100を駆動する駆動用の電動機であり、バッテリ10の電力を用いて電動車両100の駆動力を発生する。本実施形態においては、駆動モータ11は、三相交流モータである。
【0013】
駆動モータ11は、減速機13等を介してドライブシャフト14と接続される。そして、ドライブシャフト14には駆動輪15が接続される。従って、駆動モータ11が駆動している際、その出力軸に発生するトルクは、減速機13等を介して駆動輪15に電動車両100の駆動力を発生させる。また、電動車両100が減速するときには、いわゆる回生制御によって、駆動モータ11は電動車両100の運動エネルギーを電気エネルギーに変換する。回生制御時に得られる電力の一部または全部は、バッテリ10に充電可能である。
【0014】
なお、駆動モータ11は、駆動インバータ16を介してバッテリ10と接続される。駆動インバータ16は、駆動モータ11用のインバータであり、バッテリ10が出力する直流電力を交流電力に変換して駆動モータ11に供給する。また、回生制御時には、駆動インバータ16は、駆動モータ11で発生する交流電力を直流電力に変換する。
【0015】
発電装置12は、バッテリ10を充電する電力を発電する装置である。すなわち、電動車両100は、いわゆるシリーズハイブリッド方式の電動車両である。発電装置12は、エンジン17、発電機(発電機モータ)18、ダンパ19、及び、発電機インバータ20を備える。
【0016】
エンジン17は、いわゆる内燃機関であり、発電装置12の動力源である。すなわち、発電機18は、エンジン17が発生させる動力によって発電する。なお、本実施形態では、発電装置12は、動力源として内燃機関であるエンジン17を用いているが、エンジン17は発電機18を駆動し得る他の態様の動力源に置換してもよい。エンジン17の回転数(以下、エンジン回転数ωeという)等、エンジン17の動作状態に係るパラメータは図示しないセンサ等によって適宜検出可能である。
【0017】
発電機18は、エンジン17の動力で発電する。すなわち、発電機18は、エンジン17の駆動力によって回転することにより発電をする、発電機モータである。発電機18は、発電機インバータ20を介してバッテリ10と接続しており、発電によって生じた電力はバッテリ10に充電される。発電機インバータ20は、発電機18で発生する交流電力を直流電力に変換して、バッテリ10に供給する。なお、発電機インバータ20は、バッテリ10の直流電力を交流電力に変換して発電機18に供給し、発電機18を力行回転させることができる。これにより、エンジン17の始動するときには、エンジン17がクランキングされる。また、必要に応じて発電機18を力行回転させ、エンジン17を空回しすることで、バッテリ10の電力が消費される。
【0018】
本実施形態では、発電機18は、U相,V相,及びW相を有する三相交流モータである。発電機18のU相を流れる電流の検出値はU相電流Iuである。同様に、発電機18のV相を流れる電流の検出値はV相電流Ivであり、発電機18のW相を流れる電流の検出値はW相電流Iwである。以下では、発電機18の各相に流れる電流の検出値を三相電流と総称する場合がある。発電機18のd軸電流の検出値はd軸電流Idであり、発電機18のq軸電流の検出値はq軸電流Iqである。d軸電流Id及びq軸電流Iqは、三相電流を変換することによって検出される。以下では、発電機18のd軸電流Id及びq軸電流Iqをdq軸電流Id,Iqと総称する場合がある。この他、発電機18の回転数ωmは検出可能である。
【0019】
ダンパ19は、エンジン1と発電機18の間に接続され、エンジン17が発生させる動力を発電機18に伝達する動力伝達機構である。ダンパ19は、エンジン17が発生させる動力を伝達する他、エンジン17が発生させる動力の変化を緩和して発電機18に伝達する。特に、本実施形態のダンパ19は、いわゆるねじりダンパであり、エンジン17の出力軸と発電機18の入力軸を直結し、伝達される動力の変動を機械的なねじれによって緩和する。すなわち、ダンパ19は、エンジン17から入力される動力、及び/または、発電のために発電機18に生じさせるトルク(以下、発電機トルクTmという(図示しない))に応じてねじれることにより、伝達する動力の変動を緩和する。
【0020】
図2は、ダンパ19の動力伝達特性(ねじりバネ特性)を示すグラフである。
図2に示すように、ダンパ19は、動力を伝達するときにねじれると、このねじれに応じたトルク(以下、ダンパトルクT
dという)が発生する。ダンパ19は、ねじり剛性(以下、ねじり剛性値、または単に、剛性ともいう)K
dが大きいほど、ダンパ19のねじれの角度(以下、ねじり角θ
TWという)の変化に対して発生するダンパトルク(の絶対値)T
dが大きくなる。従って、
図2のグラフの各点における傾きが大きいほど、ダンパ19の剛性K
dが大きい。ここで、
図2に示すように、ダンパ19は、非線形な動力伝達特性を有している。具体的には、本実施形態では、ダンパ19は、ねじり角θ
TWの絶対値の大きさに応じて、2種の剛性を有している。即ち、ダンパ19は、ねじり角θ
TWの絶対値が小さい0~θ
TW1の範囲における剛性よりも、ねじり角θ
TWの絶対値がθ
TW1よりも大きい範囲における剛性が大きい。なお、ダンパ19の動力伝達特性は、ダンパ19の材料や構造等によって予め定まる。以下、ダンパ19のねじり角θ
TWの絶対値が0~θ
TW1の範囲にある場合を低剛性領域、ねじり角θ
TWの絶対値がθ
TW1よりも大きい範囲にある場合を高剛性領域という。また、ダンパトルクの絶対値及びねじり角の絶対値のことを単にダンパトルクT
d、ねじり角θ
TWという。
【0021】
電動車両100は、上記の発電装置12等の他に、走行等の制御及び発電装置12の制御のために、各種のコントローラを備える(
図1参照)。具体的には、
図1に示すように、システムコントローラ21、駆動モータコントローラ22、バッテリコントローラ23、発電機コントローラ24、及び、エンジンコントローラ25を備える。また、本実施形態においては、システムコントローラ21は発電制御部26を備える。
【0022】
システムコントローラ21は、車両情報を用いて電動車両100の各部を統括的に制御する上位の制御部である。車両情報とは、電動車両100を構成する各部の動作状態等を表すパラメータである。例えば、運転者によるアクセルペダルの操作量であるアクセル開度Apo、車速V、及び、電動車両100がいる路面の勾配等、電動車両100の駆動状態を表すパラメータは車両情報である。また、バッテリ10のSOC(State Of Charge)、バッテリ10の入力可能パワー及び出力可能パワー、並びに、発電装置12による発電電力等、電動車両100の内部状態を表すパラメータも車両情報である。例えば、発電機18の回転数ωm、d軸電流Id、及び、q軸電流Iq等は車両情報である。これらは発電機18の回転状態を表すパラメータの例である。バッテリ電圧Vdcは車両情報である。この他、エンジン17の実際のトルク(以下、エンジントルクTeという)や実際の発電機トルクTmなど、センサ等を用いて直接的に取得され、または、車両情報を用いた演算によって間接的に取得される情報は、車両情報に含まれる。システムコントローラ21は、図示しないセンサや上記各種のコントローラ等を用いて、これら各種の車両情報を必要に応じて取得できる。
【0023】
システムコントローラ21は、1または複数の車両情報を用いて、駆動トルク指令値を演算する。駆動トルク指令値は、駆動モータ11が出力すべき目標のトルク(以下、駆動トルクという)を表す指令値である。従って、システムコントローラ21は、電動車両100の駆動に関し、駆動トルク指令値を演算する駆動トルク指令値演算部として動作する。駆動トルク指令値は、駆動モータコントローラ22に入力される。本実施形態においては、システムコントローラ21は、アクセル開度Apo、車速V、バッテリ10のSOC,入力可能パワー,出力可能パワー、発電機18の発電電力等に応じて、駆動トルク指令値を演算する。
【0024】
また、システムコントローラ21は、1または複数の車両情報を用いて、目標発電電力を演算する。目標発電電力は、バッテリ10への充電、及び/または、駆動モータ11に供給するために、発電装置12によって発電すべき電力の目標値である。従って、システムコントローラ21は、電動車両100における発電に関し、目標発電電力を演算する目標発電電力演算部として動作する。演算された目標発電電力は、発電制御部26に入力される。
【0025】
発電制御部26は、目標発電電力に基づいて、発電装置12による発電を制御する。具体的には、発電制御部26は、目標発電電力に基づいて、発電機回転数指令値ωm
*及び発電機トルク指令値Tc
*と、エンジントルク指令値Te
*と、を演算し、これらに基づいて発電装置12を動作させる。
【0026】
発電機回転数指令値ωm
*は、発電装置12によって目標発電電力の発電を実現するために、発電機18が維持すべき回転数を表す指令値(目標値)である。発電機回転数指令値ωm
*は、発電機コントローラ24に入力される。また、発電機トルク指令値Tc
*は、発電装置12によって目標発電電力の発電を実現するために、発電機18で生ずべきトルクについての目標値(指令値)である。発電機トルク指令値Tc
*は、発電機コントローラ24に入力される。
【0027】
なお、本実施形態に係る発電機18の制御態様には、回転数制御モードとトルク制御モードがある。回転数制御モードは、発電機回転数指令値ωm
*に基づいて発電機18を制御する制御モードである。トルク制御モードは、発電機トルク指令値Tc
*に基づいて発電機18を制御する制御モードである。発電制御部26は、各種車両情報等に基づいて発電機18を回転数制御モードとトルク制御モードのどちらで制御すべきかを決定する。そして、発電制御部26は、必要に応じて、回転数制御モードとトルク制御モードを相互に切り替えるための制御モード切替フラグF1を発電機コントローラ24に入力する。
【0028】
エンジントルク指令値Te
*は、発電装置12によって目標発電電力を実現するために、エンジン17が出力すべきトルクを表す指令値(目標値)である。エンジントルク指令値Te
*は、エンジンコントローラ25に入力される。また、発電制御部26は、発電機18の回転数検出値ωmを監視する。
【0029】
なお、本実施形態では、発電制御部26はシステムコントローラ21に設けられているが、発電制御部26は、発電機コントローラ24やエンジンコントローラ25と同様に、システムコントローラ21から独立して設けられていてもよい。
【0030】
駆動モータコントローラ22、バッテリコントローラ23、発電機コントローラ24、及び、エンジンコントローラ25は、それぞれシステムコントローラ21の指令に基づいて、電動車両100の各部を個別に制御する下位の制御部である。
【0031】
駆動モータコントローラ22は、駆動トルク指令値に基づき、駆動モータ11の回転数や電圧等の状態に応じて駆動インバータ16をスイッチング制御する。これにより、駆動モータコントローラ22は、システムコントローラ21から指令された駆動トルクを発生させるように、駆動モータ11を動作させる。
【0032】
バッテリコントローラ23は、バッテリ10が放電または充電する電流や電圧に基づいて、SOCを計測する。計測されたSOCはシステムコントローラ21に出力される。また、バッテリコントローラ23は、バッテリ10の温度、内部抵抗、及び/または、SOCに応じて、バッテリ10の入力可能パワーや出力可能パワーを演算する。入力可能パワーや出力可能パワーの演算結果は、システムコントローラ21に出力される。
【0033】
発電機コントローラ24は、発電機18の動作を制御する。より具体的には、発電機コントローラ24は、発電機回転数指令値ωm
*に基づき、発電機18の回転数や電圧等の状態に応じて発電機インバータ20をスイッチング制御する。これにより、発電機コントローラ24は、目標発電電力の発電を実現するための回転数で発電機18を動作させる。なお、発電機コントローラ24の構成の詳細は後述する。
【0034】
エンジンコントローラ25は、動力源であるエンジン17の動作を制御する。より具体的には、エンジンコントローラ25は、エンジントルク指令値Te
*に基づき、エンジン17の回転数や温度等の信号に応じてエンジン17のスロットル、点火時期、及び/または、燃料噴射量を調整する。これにより、エンジンコントローラ25は、エンジン17によって、目標発電電力の発電を実現する動力を発生させる。エンジン17の回転数や温度等の信号は、図示しないセンサ等により適宜取得される。
【0035】
上記のシステムコントローラ21、駆動モータコントローラ22、バッテリコントローラ23、発電機コントローラ24、及び、エンジンコントローラ25は、1または複数のコンピュータで構成される。すなわち、これらのコントローラは、各々に、部分的に、または、全体として、例えば、中央演算装置(CPU)、ランダムアクセスメモリ(RAM)、及び、入出力インタフェース(I/Oインタフェース)等を含む。また、これらのコントローラは、上記の各種制御を予め定められた所定の制御周期で定期的に実行するようにプログラムされている。
【0036】
なお、本実施形態では、上記の各種コントローラを別個に説明しているが、これらのコントローラのうち一部または全部が一体的に構成され得る。例えば、上記の各種コントローラは、全体として1つのコンピュータで実装することができる。また、例えば、発電機コントローラ24とエンジンコントローラ25を1つのコンピュータで実装する等、上記の各種コントローラのうちの一部を1つのコンピュータで実装してもよい。すなわち、上記の各種コントローラの区分は、説明の便宜のためのものに過ぎない。
【0037】
上記の各種コントローラのうち、発電機コントローラ24、エンジンコントローラ25、及び、発電制御部26は、特に発電装置12の制御に関連するコントローラである。即ち、発電装置12と、発電機コントローラ24、エンジンコントローラ25、及び、発電制御部26とは、発電システム101を構成する。
【0038】
<発電機コントローラの構成>
図3は、発電機コントローラ24の構成を示すブロック図である。
図3に示すように、発電機コントローラ24は、回転数制御部28、制御モードセレクタ29、制振制御部31、電流指令値演算部32、電流制御部33、非干渉化制御部34、電流変換器35、及び、電圧変換器36を備える。
【0039】
回転数制御部28は、発電機回転数指令値ωm
*と回転数検出値ωmに基づいて、回転数制御モードのためのトルク指令値である回転数制御トルク指令値Tω*を演算する。回転数制御トルク指令値Tω*は、発電機18の回転数を維持しつつ、目標発電電力の発電を実現するために、発電機18が生ずべきトルクについての目標値(指令値)である。回転数制御トルク指令値Tω*は、制御モードセレクタ29に入力される。
【0040】
制御モードセレクタ29は、制御モード切替フラグF1に基づいて、発電機トルク指令値Tc
*または回転数制御トルク指令値Tω*のいずれかを、定常トルク指令値(要求トルク)Tms
*として制振制御部31に出力する。すなわち、発電機18がトルク制御モードで制御されるときには、発電機トルク指令値Tc
*が定常トルク指令値Tms
*として制振制御部31に入力される。一方、発電機18が回転数制御モードで制御されるときには、回転数制御トルク指令値Tω*が定常トルク指令値Tms
*として制振制御部31に入力される。なお、定常トルク指令値Tms
*は、発電装置12が振動を生じさせていない定常状態にあるときに発電機18が生ずべきトルク(発電機18に要求される要求トルク)を定める。
【0041】
制振制御部31は、定常トルク指令値Tms
*と回転数検出値ωmに基づいて、制振トルクTvを演算する。制振トルク指令値Tv
*は、発電装置12で生じる振動を抑制しつつ、目標発電電力の発電を実現するために、発電機18で生じるべきトルクについての目標値(指令値)を定める最終トルク指令値Tm
*である。なお、制振制御部31の具体的構成の詳細については後述する。
【0042】
電流指令値演算部32は、制振トルク指令値Tv
*、回転数検出値ωm、バッテリ電圧Vdcを用いて、発電機18のd軸電流指令値Id
*及びq軸電流指令値Iq
*を演算する。d軸電流指令値Id
*は、制振トルク指令値Tv
*に応じた発電機トルクTmを実現するために、発電機18のd軸電流Idを指令する指令値である。同様に、q軸電流指令値Iq
*は、制振トルク指令値Tv
*に応じた発電機トルクTmを実現するために、発電機18のq軸電流Iqを指令する指令値である。d軸電流指令値Id
*及びq軸電流指令値Iq
*は電流制御部33に入力される。
【0043】
電流制御部33は、発電機18をいわゆる電流制御によって制御する。具体的には、電流制御部33は、d軸電流指令値Id
*、q軸電流指令値Iq
*、d軸電流Id、q軸電流Iq、及び、回転数検出値ωmを用いて、発電機18のd軸電圧指令値Vd
*及びq軸電圧指令値Vq
*を演算する。d軸電圧指令値Vd
*は、発電機18のd軸電圧Vdを指令する指令値である。同様に、q軸電圧指令値Vq
*は、発電機18のq軸電圧Vqを指令する指令値である。d軸電圧指令値Vd
*は、減算部38によってd軸電圧に対する非干渉化電圧が減算された後、電圧変換器36に入力される。d軸電圧に対する非干渉化電圧が減算されたd軸電圧指令値Vd
*は、発電機18に対する最終的なd軸電圧指令値(以下、d軸最終電圧指令値V′d
*という)である。q軸電圧指令値Vq
*は、減算部39によってq軸電圧に対する非干渉化電圧が減算された後、電圧変換器36に入力される。q軸電圧に対する非干渉化電圧が減算されたq軸電圧指令値Vq
*は、発電機18に対する最終的なq軸電圧指令値(以下、q軸最終電圧指令値V′q
*という)である。以下では、d軸最終電圧指令値V′d
*及びq軸最終電圧指令値V′q
*をdq軸最終電圧指令値V′d
*,V′q
*と総称する場合がある。
【0044】
非干渉化制御部34は、d軸電流Id及びq軸電流Iqを用いて、非干渉化電圧制御電圧を演算する。非干渉化とは、d軸とq軸間の干渉による電圧降下を低減することをいう。非干渉化電圧とは、d軸電圧及びq軸電圧を非干渉化するための調整値であり、d軸及びq軸についてそれぞれ演算される。これらの非干渉化電圧は、前述の通り、減算部38,39においてそれぞれd軸電圧指令値Vd
*及びq軸電圧指令値Vq
*から減算される。
【0045】
電流変換器35は、三相電流Iu,Iv,Iwをdq軸電流Id,Iqに変換する。三相電流Iu,Iv,Iwは、発電機インバータ20と発電機18との間に設けられた電流センサ40によって検出される。本実施形態では、U相電流IuとV相電流Ivが検出され、電流変換器35はW相電流Iwを演算によって求める。dq軸電流Id,Iqは、前述の通り、電流指令値演算部32及び非干渉化制御部34に入力される。
【0046】
電圧変換器36は、dq軸最終電圧指令値V′d
*,V′q
*から、UVW各相の電圧指令値(三相電圧指令値)Vu
*,Vv
*,Vw
*を演算する。これらの三相電圧指令値Vu
*,Vv
*,Vw
*は、発電機インバータ20に入力される。そして、発電機インバータ20はこれらに応じて、発電機18の各相に、それぞれU相電圧Vu、V相電圧Vv、及び、W相電圧Vwを印加する。その結果、発電機18は、制振トルク指令値Tv
*に応じた発電機トルクTmで駆動される。
【0047】
<制振制御部の具体的構成>
図4は、制振制御部31の構成を示すブロック図である。
図4に示すように、制振制御部31は、第1トルク目標値演算部41、第2トルク目標値演算部42、第3トルク目標値演算部43、トルク指令値設定部44、及び、ダンパ定数設定部45を備える。
【0048】
第1トルク目標値演算部41は、フィードフォワード制御器であり、定常トルク指令値Tms
*に基づいて、発電機18が生ずべきトルクの目標値である第1トルク目標値Tm1
*をフィードフォワード演算(F/F演算)により算出する。定常トルク指令値Tms
*は、電動車両100に対する発電の要求に応じて定められる。従って、第1トルク目標値Tm1
*は、電動車両100に対する要求に応じたF/F演算により算出されるフィードフォワードトルク目標値(F/Fトルク目標値)である。
【0049】
具体的には、第1トルク目標値演算部41は、理想伝達特性Gm(s)と伝達特性Gp(s)の比Gm(s)/Gp(s)によって表される制振フィルタである、フィードフォワードフィルタ(F/Fフィルタ)によって構成される。
【0050】
伝達特性Gp(s)は、トルク入力からモータ回転数(回転数検出値)ωmまでの伝達特性のモデルである。後述するように、本実施形態において、伝達特性Gp(s)は、発電機18の動作状態と、ダンパ19の非線形な動力伝達特性に基づき設定される。一方、理想伝達特性Gm(s)は、非振動系の伝達関数で、伝達特性Gp(s)の減衰係数ζpを「1」とした伝達特性である。なお、F/Fフィルタは、後述のダンパ定数設定部45により設定される。F/Fフィルタ(伝達特性Gp(s)及び理想伝達特性Gm(s))の具体的な設定方法は後述する。
【0051】
第2トルク目標値演算部42は、フィードバック制御器であり、最終トルク指令値Tm
*と回転数検出値ωmに基づいて、フィードバック演算(F/B演算)により第2トルク目標値Tm2
*を算出する。第2トルク目標値Tm2
*は、第1トルク目標値Tm1
*にフィードバックするトルク目標値である。なお、後述するように、最終トルク指令値Tm
*は、第1トルク目標値Tm1
*に対し、第2トルク目標値Tm2
*にフィードバックゲインKfbを乗算した第3トルク目標値Tm3
*をフィードバックした発電機18に対する最終的なトルク指令値である。
【0052】
第2トルク目標値演算部42は、第1項演算部51と、第2項演算部52と、減算部53と、を備える。
【0053】
第1項演算部51は、最終トルク指令値Tm
*に基づいて、第2トルク目標値Tm2
*を演算するための第1項(第1要素)Tm2a
*を演算する。第1項演算部51は、具体的には、バンドパスフィルタH(s)によって構成される。すなわち、第1項演算部51は、最終トルク指令値Tm
*をバンドパスフィルタH(s)に通すことによって、第1項Tm2a
*を演算する。
【0054】
第2項演算部52は、回転数検出値ωmに基づいて、第2トルク目標値Tm2
*を演算するための第2項(第2要素)Tm2b
*を演算する。第2項演算部52は、具体的には、バンドパスフィルタH(s)と伝達特性Gp(s)の比H(s)/Gp(s)によって表される制振フィルタである、フィードバックフィルタ(F/Bフィルタ)によって構成される。すなわち、第2項演算部52は、回転数検出値ωmをF/Bフィルタに通すことによって、第2項Tm2b
*を演算する。なお、F/Bフィルタは、後述のダンパ定数設定部45により設定される。F/Bフィルタ(バンドパスフィルタH(s)及び伝達特性Gp(s))の具体的な設定方法は後述する。
【0055】
減算部53は、第1項Tm2a
*から第2項Tm2b
*を減算する。減算部53の演算結果である第1項Tm2a
*と第2項Tm2b
*の偏差は、実質的に、第1トルク目標値Tm1
*にフィードバックすべきトルク目標値である第2トルク目標値Tm2
*である。減算部53は、第2トルク目標値Tm2
*を第3トルク目標値演算部43に入力する。
【0056】
第3トルク目標値演算部43は、第2トルク目標値Tm2
*にフィードバックゲインKfbを乗算し、第3トルク目標値Tm3
*を算出する。フィードバックゲインKfbは、制御系の安定性を確保するための定数である。また、フィードバックゲインKfbが乗算された第3トルク目標値Tm3
*は、実際に第1トルク目標値Tm1
*にフィードバックされるフィードバックトルク目標値(F/Bトルク目標値)である。後述するように、フィードバックゲインKfbは可変であり、ダンパ19の非線形な動力伝達特性に基づき、ダンパ定数設定部45により設定される。
【0057】
トルク指令値設定部44は、加算器であり、第1トルク目標値Tm1
*に第3トルク目標値Tm3
*を加算することにより、発電機18に対する最終トルク目標値である最終トルク指令値Tm
*を演算する。発電機18は、この最終トルク指令値Tm
*に従って駆動される。
【0058】
ダンパ定数設定部45は、ダンパ19の非線形な動力伝達特性を用いてダンパ定数を算出する。ダンパ定数設定部45は、算出したダンパ定数に基づき、第1トルク目標値演算部41におけるF/Fフィルタ(F/F演算)、第2トルク目標値演算部42におけるF/Bフィルタ(F/B演算)、第3トルク目標値演算部43におけるフィードバックゲインKfbを設定する。
【0059】
ここで、ダンパ定数は、具体的には、ダンパ19のねじり剛性値Kd[Nm/rad]とねじり減衰定数Dp(以下、単に減衰定数Dpともいう)をパラメータとし、実験等により予め見積もったダンパ19の動力伝達特性のデータ等に基づき設定される。
【0060】
本実施形態では、例えば、何らかの方法(既存の如何なる方法を用いてもよい)でダンパ19のねじり角θ
TWまたはダンパトルクT
dを検出し、
図2に示すダンパ19の動力伝達特性のグラフから、ダンパ19の状態が低剛性領域にあるのか、または高剛性領域にあるのかを判断する。ダンパ19の状態がどの領域にあるのかが分かれば、各領域におけるグラフの傾きから、ダンパ19のねじり剛性値K
dを算出することができる。なお、定常トルク指令値T
ms
*が大きい場合、ダンパトルクT
dも大きくなる。即ち、定常トルク指令値T
ms
*は、ダンパトルクT
dと相関があるため、定常トルク指令値T
ms
*とダンパ19の動力伝達特性のグラフとから、ダンパ19の状態がどの領域にあるのかを判断してもよい。
【0061】
また、非線形な動力伝達特性は、実際はヒステリシスがあるため減衰する。本実施形態では、
図5に示すように、ダンパ19の動力伝達特性のグラフ(ねじり角θ
TWとダンパトルクT
dの相関を示すグラフ)において、縦軸方向にヒステリシスがある。ヒステリシスは、実験等から事前に見積もることができる。ダンパ定数設定部45は、ヒステリシスをダンパ19の減衰定数D
pとして設定する。
【0062】
ここで、ダンパ定数設定部45によるF/Fフィルタ(F/F演算)、F/Bフィルタ(F/B演算)、フィードバックゲインKfbの設定方法を説明する。
【0063】
図6は、エンジン17、ダンパ19及び発電機18のトルク伝達系をモデル化した図であり、その運動方程式は以下の(1)~(3)式で表すことができる。
【0064】
【0065】
(1)~(3)式における各パラメータは、下記の通りである。
Jm:発電機(モータ)イナーシャ
Je:エンジンイナーシャ
Kd:ダンパのねじり剛性
Dp:ダンパのねじり減衰定数
N:オーバーオールギア比
ωm:発電機(モータ)角速度(モータ回転数)
ωe:エンジン角速度(エンジン回転数)
Tm:発電機(モータ)トルク
Te:エンジントルク
Td:ダンパトルク
【0066】
(1)~(3)式のラプラス変換形を以下の(4)~(6)式で表す。なお、(4)~(6)式において「s」はラプラス演算子である。
【0067】
【0068】
(4)~(6)式より、発電機(モータ)トルクTmから発電機(モータ)角速度ωmまでの伝達特性Gp(s)を求めると次式(7)、(8)となる。
【0069】
【0070】
ただし、各パラメータは次式の通りである。
【数9】
【数10】
【数11】
【数12】
【数13】
【数14】
【0071】
ここで、(8)式を整理して以下の(15)式のように表す。ただし、(15)式において、減衰係数ζpは、制御対象である発電装置12の減衰比であって、エンジン17、発電機18、及び、ダンパ19の特性によって定まる。なお、一般に、電動車両やハイブリッド車両のトルク伝達系の減衰係数ζpは1未満の値になっており、伝達特性Gp(s)は振動系となっている。また、(15)式において、ωpは、制御対象である発電装置12の固有振動数(共振周波数)であり、エンジン17、発電機18、及び、ダンパ19の特性によって定まる。
【0072】
【0073】
一方、発電機(モータ)トルクTmから発電機(モータ)角速度ωmまでの理想伝達特性Gm(s)は、(15)式の減衰係数ζpを「1」として、次式により表される。減衰係数ζpを「1」とすることで、理想伝達特性Gm(s)は非振動系となる。
【0074】
【0075】
F/Fフィルタは、理想伝達特性Gm(s)とトルク伝達系の伝達特性Gp(s)の逆系により構成され、上記の(15)、(16)式を用いた、以下の式(17)により表される。
【0076】
【0077】
F/Bフィルタは、以下の式(18)で示されるバンドパスフィルタH(s)とトルク伝達系の伝達特性Gp(s)の逆系H(s)/Gp(s)により構成される。なお、第2トルク目標値演算部42は、バンドパスフィルタH(s)を用いることで、中心周波数を制御対象である発電装置12の固有振動数(共振周波数)に一致させている。
【0078】
【0079】
ここで、例えば、ダンパ19が、
図2に示すような動力伝達特性を有している場合、ダンパ定数設定部45は、ダンパ19の状態に基づきダンパ19がどの領域にあるのかを判断し、当該領域に応じて、ダンパ19のねじり剛性K
d、ねじり減衰定数D
p、フィードバックゲインK
fbを設定する。具体的には、ダンパ19の動力伝達特性から、低剛性領域におけるダンパ19のねじり剛性K
d1、ねじり減衰定数D
p1、フィードバックゲインK
fb1と、高剛性領域におけるダンパ19のねじり剛性K
d2、ねじり減衰定数D
p2、フィードバックゲインK
fb2とを予め算出(定義)しておく。ダンパ定数設定部45は、ダンパ19が低剛性領域にある場合、ダンパ定数として、それぞれK
d1、D
p1、K
fb1を設定し、ダンパ19が高剛性領域にある場合、ダンパ定数として、それぞれK
d2、D
p2、K
fb2を設定する。
【0080】
なお、低剛性領域におけるダンパ19のねじり剛性Kd1は、高剛性領域におけるダンパ19のねじり剛性Kd2より小さい(即ち、Kd1<Kd2)。ばねの固有振動数は、剛性が大きいほど上昇するため、低剛性領域における固有振動数(ωp1とする)は、高剛性領域における固有振動数(ωp2とする)よりも小さい(即ち、ωp1<ωp2)。従って、低剛性領域においては、固有振動数ωpが小さいため、フィードバックゲインKfbを大きく設定することができる。即ち、低剛性領域におけるフィードバックゲインKfb1は、高剛性領域におけるフィードバックゲインKfb2よりも大きい値に設定される(即ち、Kfb1<Kfb2)。フィードバックゲインKfb1を大きく設定することで、低剛性領域における制御系の安定性が確保される。
【0081】
以上のとおり、本実施形態においては、ダンパ19の非線形な動力伝達特性に基づきダンパ定数を算出し、制振フィルタであるF/Fフィルタ(F/F演算)及びF/Bフィルタ(F/B演算)に用いられる伝達特性Gp(s)をダンパ定数に基づき設定する。ダンパ等の動力伝達機構の非線形な動力伝達特性を考慮せずに制振フィルタを設定する場合、振動抑制効果が低減する虞がある。これに対し、本実施形態では、伝達特性Gp(s)をダンパ19の非線形な動力伝達特性に基づき設定しているため、動力伝達機構に複数の共振特性を有するダンパ19を用いる場合でも、振動を抑制することができる。
【0082】
なお、最終トルク指令値T
m
*には、エンジン17で生じる外乱に起因して、外乱トルクT
Dが重畳される場合がある。また、発電機18の実際の回転数には、エンジン17で生じる外乱に起因して、外乱回転数ω
Dが重畳される場合がある。また、
図4においては、発電システム101の制御対象を伝達特性Gp′(s)で表している。
【0083】
<効果>
以下、上記で説明した発電装置12の制御方法による効果を説明する。
【0084】
図7は、従来例の発電装置の制御方法によるダンパトルク及び発電機モータの回転数を示すタイムチャートであり、
図8は、本実施形態の発電装置の制御方法によるダンパトルクT
d及び発電機18の回転数(回転数検出値)ω
mを示すタイムチャートである。
【0085】
図7に示すように、従来例では、ダンパの動力伝達特性の非線形性を考慮していないため、ダンパの状態が高剛性領域に固定されている。しかしながら、ダンパは非線形な動力伝達特性を有しており、2つの共振特性を跨いでいるため、ダンパトルクT
d及び発電機の回転数ω
mが大きく且つ長時間振動している。
【0086】
一方、本実施形態の発電装置の制御方法では、ダンパ19の状態を高剛性領域と低剛性領域に分けて、伝達特性Gp(s)をダンパ19の非線形な動力伝達特性に基づき設定しているため、従来例に比べ、ダンパトルクTd及び発電機の回転数ωmの振動が低減されている。
【0087】
なお、本実施形態においては、ダンパ19が2種の剛性(2つの共振特性)を有しているものとしたが、これに限られず、ダンパ19が3種以上の剛性を有していてもよい。この場合、ダンパ19の動力伝達特性をダンパ19の剛性ごとに複数の領域に分けて、それぞれの領域ごとにダンパ定数を設定する。例えば、フィードバックゲインKfbは、剛性が小さい領域ほど大きく設定される。そして、ダンパ19の状態がどの領域にあるかを判断して、当該領域のダンパ定数を適用する。
【0088】
上記した第1実施形態の発電装置の制御方法及び発電システム101によれば、以下の効果を得ることができる。
【0089】
本実施形態の発電装置の制御方法によれば、エンジン17の動力によって発電する発電機(発電機モータ)18に要求される要求トルク(定常トルク指令値Tms
*)と、発電機(発電機モータ)18の動作状態と、エンジン17から入力されるトルクと発電機(発電機モータ)18の回転数ωmとの伝達特性Gp(s)とに基づくフィードフォワード演算によりフィードフォワードトルク目標値(第1トルク目標値Tm1
*)を算出する。また、発電機(発電機モータ)18に対するトルク指令値(最終トルク指令値Tm
*)と、発電機(発電機モータ)18の動作状態と、伝達特性Gp(s)とに基づくフィードバック演算によりフィードバックトルク目標値(第3トルク目標値Tm3
*)を算出する。さらに、フィードフォワードトルク目標値(第1トルク目標値Tm1
*)及びフィードバックトルク目標値(第3トルク目標値Tm3
*)に基づき最終トルク目標値(最終トルク指令値Tm
*)を算出する。そして、伝達特性Gp(s)は、エンジン17と発電機(発電機モータ)18とに接続されるダンパ19の非線形な動力伝達特性に基づき設定される。このように、フィードフォワード演算及びフィードバック演算に用いられる伝達特性Gp(s)が、ダンパ19の非線形な動力伝達特性に基づき設定されため、複数の共振特性を有するダンパ19に対しても振動を抑制することができる。
【0090】
本実施形態の発電装置の制御方法によれば、伝達特性Gp(s)は、ダンパ19の非線形な動力伝達特性を用いて算出されるダンパ定数に基づき設定され、ダンパ定数は、ダンパ19の剛性Kd及びダンパ19の減衰定数Dpを含む。即ち、伝達特性Gp(s)が、ダンパ19の非線形な動力伝達特性を用いて算出されるダンパ19の剛性Kd及びダンパ19の減衰定数Dpに基づき設定されるため、複数の剛性特性を有するダンパ19に対しても振動を抑制することができる。
【0091】
本実施形態の発電装置の制御方法によれば、フィードバックトルク目標値(第3トルク目標値Tm3
*)は、トルク指令値(最終トルク指令値Tm
*)と、発電機(発電機モータ)18の動作状態と、伝達特性Gp(s)とに基づき算出されたトルク目標値(第2トルク目標値Tm2
*)にフィードバックゲインKfbを掛けて算出される。そして、フィードバックゲインKfbは、ダンパ19の剛性Kdが小さいほど大きく設定される。これにより、ダンパ19の剛性Kdが小さい領域における制御安定性がより向上する。即ち、制御安定性を確保しつつ振動抑制が可能となる。
【0092】
本実施形態の発電装置の制御方法によれば、ダンパ定数において、ヒステリシスをダンパ19の減衰定数Dpとして設定する。これにより、制御対象(発電システム101)の伝達特性Gp(s)の算出精度が向上する。
【0093】
本実施形態の発電システム101によれば、発電機(発電機モータ)18の動作を制御するコントローラ(発電機コントローラ)24を備える。コントローラ(発電機コントローラ)24は、発電機(発電機モータ)18に要求される要求トルク(定常トルク指令値Tms
*)と、発電機(発電機モータ)18の動作状態と、伝達特性Gp(s)とに基づくフィードフォワード演算によりフィードフォワードトルク目標値(第1トルク目標値Tm1
*)を算出し、発電機(発電機モータ)18に対するトルク指令値(最終トルク指令値Tm
*)と、発電機(発電機モータ)18の動作状態と、伝達特性Gp(s)とに基づくフィードバック演算によりフィードバックトルク目標値(第3トルク目標値Tm3
*)を算出する。また、コントローラ(発電機コントローラ)24は、フィードフォワードトルク目標値(第1トルク目標値Tm1
*)及びフィードバックトルク目標値(第3トルク目標値Tm3
*)に基づき最終トルク目標値(最終トルク指令値Tm
*)を算出する。そして、コントローラ(発電機コントローラ)24は、伝達特性Gp(s)をエンジン17と発電機(発電機モータ)18とに接続されるダンパ19の非線形な動力伝達特性に基づき設定する。このように、フィードフォワード演算及びフィードバック演算に用いられる伝達特性Gp(s)を、ダンパ19の非線形な動力伝達特性に基づき設定するため、複数の共振特性を有するダンパ19に対しても振動を抑制することができる。
【0094】
[第2実施形態]
図9を参照して、第2実施形態の発電システム101(発電装置の制御方法)を説明する。なお、第1実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0095】
図9は、第2実施形態の発電システム101における制振制御部31の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、ダンパ定数を、発電機18に要求される要求トルクとダンパ19の非線形な動力伝達特性とに基づき算出する。
【0096】
図9に示すように、本実施形態では、制御モードセレクタ29から出力される定常トルク指令値T
ms
*(発電機18に要求される要求トルク)が、第1トルク目標値演算部41だけでなく、ダンパ定数設定部45にも入力される。
【0097】
ダンパ定数設定部45は、定常トルク指令値T
ms
*を、ダンパトルクT
dの定常値(振動分を除いた値)として置き換え、ダンパ19の動力伝達特性(
図2、
図5)から、ダンパ定数を算出する。即ち、発電機18に要求される要求トルクに基づき、ダンパ19の状態がどの剛性領域にあるのかを判断し、当該領域に応じて、ダンパ19の剛性K
d、ダンパ19の減衰定数D
p、及びフィードバックゲインK
fbを設定する。なお、定常トルク指令値T
ms
*を、ダンパトルクT
dの定常値に置き換える際、ギアがある場合、ギア比を考慮する。
【0098】
例えば、ダンパ定数設定部45は、定常トルク指令値T
ms
*にギア比を考慮した値T
ms
*/Nを発電機18への入力トルクとし、
図2における低剛性領域と高剛性領域との境界におけるダンパトルクをT
d_thとすると、T
ms
*/N<T
d_thの場合は低剛性領域、T
ms
*/N≧T
d_thの場合は高剛性領域と判断する。また、ダンパ定数設定部45は、判断した各領域に応じて、低剛性領域におけるダンパ19のねじり剛性K
d1、ねじり減衰定数D
p1、フィードバックゲインK
fb1、または、高剛性領域におけるダンパ19のねじり剛性K
d2、ねじり減衰定数D
p2、フィードバックゲインK
fb2を設定する。
【0099】
このように、本実施形態では、ダンパ定数(ダンパ19の剛性Kd、減衰定数Dp、フィードバックゲインKfb)を発電機18に要求される要求トルク(定常トルク指令値Tms
*)とダンパ19の動力伝達特性とに基づき算出するため、その他の複雑なパラメータを用いることなく、発電装置12の振動を抑制することができる。即ち、より簡易に発電装置12の振動を抑制することができる。
【0100】
[第3実施形態]
図10を参照して、第3実施形態の発電システム101(発電装置の制御方法)を説明する。なお、他の実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0101】
図10は、第3実施形態の発電システム101における制振制御部31の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、ダンパ定数を、ダンパ19のトルク推定値(ダンパトルク推定値)Td^とダンパ19の非線形な動力伝達特性とに基づき算出する。
【0102】
図10に示すように、本実施形態では、制振制御部31がダンパトルク推定部46を備える。ダンパトルク推定部46には、定常トルク指令値T
ms
*と、発電機18の回転数検出値ω
mとが入力される。
【0103】
ダンパトルク推定部46は、ダンパ19からのトルク入力を除いた発電機18へのトルク入力から、発電機18のモータ回転数までの伝達特性を1/(Jm・s)とし、当該伝達特性とローパスフィルタ(1/(τhd・s+1))とを用いて、ダンパ19のトルク推定値Td^を算出する。但し、「Jm」は発電機18のイナーシャ、「s」はラプラス演算子、「τhd」はダンパトルク推定時定数である。
【0104】
具体的には、ダンパトルク推定部46は、定常トルク指令値Tms
*をローパスフィルタ1/(τhd・s+1)によりフィルタ処理し、発電機18の回転数検出値ωmを、伝達特性1/(Jg・s)の逆特性とローパスフィルタ1/(τhd・s+1)からなる伝達特性(Jm・s)/(τhd・s+1)によりフィルタ処理する。そして、定常トルク指令値Tms
*をフィルタ処理した値と、回転数検出値ωmをフィルタ処理した値との差分をダンパトルク推定値Td^として算出し、ダンパ定数設定部45に出力する。
【0105】
ダンパ定数設定部45は、ダンパトルク推定値Td^をダンパトルクTdとして、ダンパ19の非線形な動力伝達特性(
図2、
図5)に基づき、ダンパ19の状態がどの剛性領域にあるのかを判断し、当該領域に応じたダンパ定数を設定する。
【0106】
例えば、ダンパ定数設定部45は、
図2における低剛性領域と高剛性領域との境界におけるダンパトルクをT
d_thとすると、ダンパトルク推定値Td^が、Td^<T
d_thの場合は低剛性領域、Td^≧T
d_thの場合は高剛性領域と判断する。そして、判断した各領域に応じて、低剛性領域におけるダンパ19のねじり剛性K
d1、ねじり減衰定数D
p1、フィードバックゲインK
fb1、または、高剛性領域におけるダンパ19のねじり剛性K
d2、ねじり減衰定数D
p2、フィードバックゲインK
fb2を設定する。
【0107】
このように、本実施形態では、ダンパ定数(ダンパ19の剛性Kd、減衰定数Dp、フィードバックゲインKfb)を、ダンパトルク推定値Td^とダンパ19の非線形な動力伝達特性とに基づき算出するため、その他の複雑なパラメータを用いることなく、発電装置12の振動を抑制することができる。即ち、より簡易に発電装置12の振動を抑制することができる。
【0108】
[第4実施形態]
図11を参照して、第4実施形態の発電システム101(発電装置の制御方法)を説明する。なお、他の実施形態と同様の要素には同一の符号を付し、その説明を省略する。
【0109】
図11は、第4実施形態の発電システム101における制振制御部31の構成を示すブロック図である。本実施形態においては、ダンパ定数を、ダンパ19のねじれの角度の推定値(ねじり角推定値)θ
TW^とダンパ19の非線形な動力伝達特性とに基づき算出する。
【0110】
図11に示すように、本実施形態では、制振制御部31が、第3実施形態で説明したダンパトルク推定部46に加え、ダンパ角度推定部47を備える。ダンパ角度推定部47には、ダンパトルク推定部46において算出されたダンパトルク推定値Td^が入力される。
【0111】
ダンパ角度推定部47には、ダンパ19の非線形な動力伝達特性(
図2、
図5)のデータが格納されており、ダンパ角度推定部47は、ダンパトルク推定値Td^と当該データに基づき、
に基づき、ダンパ19のねじり角推定値θ
TW^を算出する。算出されたねじり角推定値θ
TW^は、ダンパ定数設定部45に出力される。
【0112】
ダンパ定数設定部45は、ねじり角推定値θ
TW^と、ダンパ19の非線形な動力伝達特性(
図2、
図5)に基づき、ダンパ19の状態がどの剛性領域にあるのかを判断し、当該領域に応じたダンパ定数を設定する。
【0113】
このように、本実施形態では、ダンパ定数(ダンパ19の剛性Kd、減衰定数Dp、フィードバックゲインKfb)を、ねじり角推定値θTW^とダンパ19の非線形な動力伝達特性とに基づき算出するため、その他の複雑なパラメータを用いることなく、発電装置12の振動を抑制することができる。即ち、より簡易に発電装置12の振動を抑制することができる。
【0114】
以上、本発明の実施形態について説明したが、上記実施形態は本発明の適用例の一部を示したに過ぎず、本発明の技術的範囲を上記実施形態の具体的構成に限定する趣旨ではない。
【0115】
例えば、各実施形態で説明した各種の演算は、一例であり、これらに限られるものではない。即ち、少なくとも伝達特性が、ダンパ19の非線形な動力伝達特性に基づき設定されるものであれば、複数の共振特性を有するダンパ19に対しても振動を抑制することができる。
【0116】
上記した各実施形態は、それぞれ単独の実施形態として説明したが、適宜組み合わせてもよい。
【符号の説明】
【0117】
10:バッテリ,11:駆動モータ,12:発電装置,13:減速機,14:ドライブシャフト,15:駆動輪,16:駆動インバータ,17:エンジン,18:発電機,19:ダンパ,20:発電機インバータ,21:システムコントローラ,22:駆動モータコントローラ,23:バッテリコントローラ,24:発電機コントローラ,25:エンジンコントローラ,26:発電制御部,28:回転数制御部,29:制御モードセレクタ,31:制振制御部,32:電流指令値演算部,33:電流制御部,34:非干渉化制御部,35:電流変換器,36:電圧変換器,38:減算部,39:減算部,40:電流センサ,41:第1トルク目標値演算部,42:第2トルク目標値演算部,43:第3トルク目標値演算部,44:トルク指令値演算部,45:ダンパ定数設定部,51:第1項演算部,52:第2項演算部,53:減算部,100:電動車両,101:発電システム