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特開2024-112230情報処理装置、学習装置及び情報処理システム
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(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112230
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】情報処理装置、学習装置及び情報処理システム
(51)【国際特許分類】
   H02J 13/00 20060101AFI20240813BHJP
   G01R 21/00 20060101ALI20240813BHJP
【FI】
H02J13/00 301A
G01R21/00 Z
【審査請求】未請求
【請求項の数】12
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017164
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】522239878
【氏名又は名称】株式会社EnergyColoring
(74)【代理人】
【識別番号】110001519
【氏名又は名称】弁理士法人太陽国際特許事務所
(72)【発明者】
【氏名】▲高▼橋 真吾
(72)【発明者】
【氏名】相馬 達也
(72)【発明者】
【氏名】西村 想
(72)【発明者】
【氏名】正沢 道太郎
【テーマコード(参考)】
5G064
【Fターム(参考)】
5G064AA04
5G064AC09
5G064CB04
5G064CB06
5G064DA07
(57)【要約】
【課題】予め使用されている電気機器が分かっていない場合においても電気機器の動作状態を識別する情報処理装置を提供する。
【解決手段】情報処理装置は、複数の電気機器に接続される電源線に流れる電流値の情報をセンサから取得する取得部と、前記センサごとに所定の期間の前記電流値の情報を用いて予め機械学習により生成された当該センサに対応する学習済みモデルを用いて、前記電流値の情報から、電力値と、前記電流値の情報に対応する時間と前記電力値との関係についての情報と、を求め、前記電力値に基づいた稼働状況の情報を時系列的に推測する推測部と、前記推測部が推測した情報を提示する提示部と、を備える。
【選択図】図1
【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の電気機器に接続される電源線に流れる電流値の情報をセンサから取得する取得部と、
前記センサごとに所定の期間の前記電流値の情報を用いて予め機械学習により生成された当該センサに対応する学習済みモデルを用いて、前記電流値の情報から、電力値と、前記電流値の情報に対応する時間と前記電力値との関係についての情報と、を求め、前記電力値に基づいた稼働状況の情報を時系列的に推測する推測部と、
前記推測部が推測した情報を提示する提示部と、
を備える、情報処理装置。
【請求項2】
前記学習済みモデルには、所定の単位ごとの電流波形の情報が含まれ、前記推測部は、前記電力値に基づいた稼働状況の情報を前記所定の単位でグループ化して時系列的に推測する、請求項1に記載の情報処理装置。
【請求項3】
前記推測部は、所定の単位として用途の単位で前記電力値に基づいた情報をグループ化する、請求項2に記載の情報処理装置。
【請求項4】
前記学習済みモデルから出力される前記時間と電力値との関係についての情報と、前記所定の単位ごとの電流波形についての情報とを用いて、各前記グループに付与するラベルを決定するラベル決定部をさらに備える、請求項2又は請求項3に記載の情報処理装置。
【請求項5】
前記学習済みモデルは、学習開始時点までの前記電流値の情報のみを入力として、教師なし学習により生成されたモデルである、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項6】
前記取得部は、音声データとして前記センサで取得された前記電流値の情報を取得する、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項7】
前記取得部が取得する前記電流値の情報は、流れる電流が既知ではない電気機器へ電力を供給する前記電源線に流れる電流値の情報である、請求項1~請求項3のいずれか1項に記載の情報処理装置。
【請求項8】
複数の電気機器に接続される電源線に流れる電流値の情報を取得するセンサで取得された前記電流値の情報を入力とし、前記電流値の情報に対応する時間と電力値との関係についての情報、及び前記電流値の情報に対応する電流波形についての情報を出力とするモデルを、所定の期間の前記電流値の情報を用いて前記センサごとに機械学習により生成する学習部を備える、学習装置。
【請求項9】
前記学習部は、学習開始時点までの前記電流値の情報のみを入力として、前記モデルを教師なし学習により生成する、請求項8に記載の学習装置。
【請求項10】
前記電流値の情報は、音声データとして前記センサで取得された情報である、請求項8又は請求項9に記載の学習装置。
【請求項11】
複数の電気機器に接続される電源線に流れる電流値の情報を取得する1つ以上のセンサと、
前記センサが取得した情報に基づいた処理を行う情報処理装置と、
を備え、
前記情報処理装置は、
電流値の情報を前記センサから取得する取得部と、
前記センサごとに所定の期間の前記電流値の情報を用いて予め機械学習により生成された当該センサに対応する学習済みモデルを用いて、前記電流値の情報から、電力値と、前記電流値の情報に対応する時間と前記電力値との関係についての情報と、を求め、前記電力値に基づいた稼働状況の情報を時系列的に推測する推測部と、
前記推測部が推測した情報を提示する提示部と、
を備える、情報処理システム。
【請求項12】
複数の電気機器に接続される電源線に流れる電流値の情報を音声データとして取得する1つ以上のセンサと、
前記センサが取得した前記電流値の情報を処理する信号処理装置と、
前記信号処理装置が処理した情報に基づいた処理を行う情報処理装置と、
を備え、
前記信号処理装置は、
前記センサから前記音声データを取得する取得部と
前記取得部が取得した前記音声データの波形を整形する波形整形部と、
前記波形整形部が行った前記音声データの波形の整形をキャンセルする波形変換部と、
前記波形変換部によって波形の整形がキャンセルされた前記音声データを前記情報処理装置に送信する送信部と、
を備え、
前記情報処理装置は、
前記音声データを前記信号処理装置から取得する取得部と、
所定の期間の前記音声データを用いて予め機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記電流値の情報から、電力値と、前記音声データに対応する時間と前記電力値との関係についての情報と、を求め、前記電力値に基づいた稼働状況の情報を時系列的に推測する推測部と、
前記推測部が推測した情報を提示する提示部と、
を備える、情報処理システム。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本開示は、情報処理装置、学習装置及び情報処理システムに関する。
【背景技術】
【0002】
ユーザに電力を供給する電源線の引き込み線または分電盤に設置した1台のセンサで消費電力又は電流波形をモニタし、電力又は電流波形の特徴に基づいて、各電気機器の種別、動作状態、消費電力などを識別及び把握する方法が提案されている。
【0003】
特許文献1は、電源線を流れる電流波形を測定する測定装置(センサ)と、センサによって測定された電流波形に基づいて個々の電気機器の動作状態を推定する電気機器識別システムを開示している。
【0004】
特許文献2は、配電盤の根元等の1箇所において、家庭内の1以上の家電で消費されている電流の総和を計測し、その電流の総和の系列(電流波形系列)から、家庭内におけるエアコンや掃除機等の個々の家電で消費されている電力(電流)を分離する家電分離を行う監視システムを開示している。
【0005】
特許文献3は、センサデータに基づく特徴量と、機械装置の状態とを学習して機械装置の状態診断を行う情報処理装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開2017-99237号公報
【特許文献2】特開2013-213825号公報
【特許文献3】特許第6935046号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
電気機器の動作状態を識別する場合、予め使用されている電気機器が分かっていれば電力又は電流の波形の特徴に基づいて電気機器の動作状態を識別することが可能であるが、予め使用されている電気機器が分かっていない場合、既存の技術では電力又は電流の波形の特徴に基づいて電気機器の動作状態を識別することはできない。例えば、工場では独自の装置が多く稼働しており、予め用意されたグローバルな学習済みモデルでは、工場に設置された装置の動作状態を識別することが出来ない。上記特許文献1等で開示された技術では、電気機器のデータベースを予め用意して、個々の電気機器の動作状態を推定しているが、工場のように独自の装置が多く稼働している環境では、電気機器のデータベースを予め用意する手法では、装置の動作状態を推定できない。
【0008】
本開示は、上記の点に鑑みてなされたものであり、予め使用されている電気機器が分かっていない場合においても電気機器の動作状態を識別する情報処理装置、学習装置及び情報処理システムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本開示の第1態様に係る情報処理装置は、複数の電気機器に接続される電源線に流れる電流値の情報をセンサから取得する取得部と、前記センサごとに所定の期間の前記電流値の情報を用いて予め機械学習により生成された当該センサに対応する学習済みモデルを用いて、前記電流値の情報から、電力値と、前記電流値の情報に対応する時間と前記電力値との関係についての情報と、を求め、前記電力値に基づいた稼働状況の情報を時系列的に推測する推測部と、前記推測部が推測した情報を提示する提示部と、を備える。
【0010】
本開示の第2態様に係る情報処理装置は、第1態様に係る情報処理装置であって、前記学習済みモデルには、所定の単位ごとの電流波形の情報が含まれ、前記推測部は、前記電力値に基づいた稼働状況の情報を前記所定の単位でグループ化して時系列的に推測する。
【0011】
本開示の第3態様に係る情報処理装置は、第2態様に係る情報処理装置であって、前記推測部は、所定の単位として用途の単位で前記電力値に基づいた情報をグループ化する。
【0012】
本開示の第4態様に係る情報処理装置は、第2態様又は第3態様に係る情報処理装置であって、前記学習済みモデルから出力される前記時間と電力値との関係についての情報と、前記所定の単位ごとの電流波形についての情報とを用いて、各前記グループに付与するラベルを決定するラベル決定部をさらに備える。
【0013】
本開示の第5態様に係る情報処理装置は、第1態様~第3態様のいずれかに係る情報処理装置であって、前記学習済みモデルは、学習開始時点までの前記電流値の情報のみを入力として、教師なし学習により生成されたモデルである。
【0014】
本開示の第6態様に係る情報処理装置は、第1態様~第3態様のいずれかに係る情報処理装置であって、前記取得部は、音声データとして前記センサで取得された前記電流値の情報を取得する。
【0015】
本開示の第7態様に係る情報処理装置は、第1態様~第3態様のいずれかに係る情報処理装置であって、前記取得部が取得する前記電流値の情報は、流れる電流が既知ではない電気機器へ電力を供給する前記電源線に流れる電流値の情報である。
【0016】
本開示の第8態様に係る学習装置は、複数の電気機器に接続される電源線に流れる電流値の情報を取得するセンサで取得された前記電流値の情報を入力とし、前記電流値の情報に対応する時間と電力値との関係についての情報、及び前記電流値の情報に対応する電流波形についての情報を出力とするモデルを、所定の期間の前記電流値の情報を用いて前記センサごとに機械学習により生成する学習部を備える。
【0017】
本開示の第9態様に係る学習装置は、第8態様に係る学習装置であって、前記学習部は、学習開始時点までの前記電流値の情報のみを入力として、前記モデルを教師なし学習により生成する。
【0018】
本開示の第10態様に係る学習装置は、第8態様又は第9態様に係る学習装置であって、前記電流値の情報は、音声データとして前記センサで取得された情報である。
【0019】
本開示の第11態様に係る情報処理システムは、複数の電気機器に接続される電源線に流れる電流値の情報を取得する1つ以上のセンサと、前記センサが取得した情報に基づいた処理を行う情報処理装置と、を備え、前記情報処理装置は、電流値の情報を前記センサから取得する取得部と、前記センサごとに所定の期間の前記電流値の情報を用いて予め機械学習により生成された当該センサに対応する学習済みモデルを用いて、前記電流値の情報から、電力値と、前記電流値の情報に対応する時間と前記電力値との関係についての情報と、を求め、前記電力値に基づいた稼働状況の情報を時系列的に推測する推測部と、前記推測部が推測した情報を提示する提示部と、を備える。
【0020】
本開示の第12態様に係る情報処理システムは、複数の電気機器に接続される電源線に流れる電流値の情報を音声データとして取得する1つ以上のセンサと、前記センサが取得した前記電流値の情報を処理する信号処理装置と、前記信号処理装置が処理した情報に基づいた処理を行う情報処理装置と、を備え、前記信号処理装置は、前記センサから前記音声データを取得する取得部と前記取得部が取得した前記音声データの波形を整形する波形整形部と、前記波形整形部が行った前記音声データの波形の整形をキャンセルする波形変換部と、前記波形変換部によって波形の整形がキャンセルされた前記音声データを前記情報処理装置に送信する送信部と、を備え、前記情報処理装置は、前記音声データを前記信号処理装置から取得する取得部と、所定の期間の前記音声データを用いて予め機械学習により生成された学習済みモデルを用いて、前記電流値の情報から、電力値と、前記音声データに対応する時間と前記電力値との関係についての情報と、を求め、前記電力値に基づいた稼働状況の情報を時系列的に推測する推測部と、前記推測部が推測した情報を提示する提示部と、を備える。
【発明の効果】
【0021】
本開示によれば、予め使用されている電気機器が分かっていない場合においても電気機器の動作状態を識別する情報処理装置、学習装置及び情報処理システムを提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0022】
図1】開示の技術の実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。
図2】情報処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図3】情報処理装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図4】学習装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図5】学習装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図6】信号処理装置のハードウェア構成を示すブロック図である。
図7】信号処理装置の機能構成の例を示すブロック図である。
図8】情報処理装置による情報処理の流れを示すフローチャートである。
図9】情報処理装置が提示する情報の例を示す図である。
図10】情報処理装置が提示する情報の例を示す図である。
図11】学習装置による学習処理の流れを示すフローチャートである。
【発明を実施するための形態】
【0023】
以下、本開示の実施形態の一例を、図面を参照しつつ説明する。なお、各図面において同一または等価な構成要素および部分には同一の参照符号を付与している。また、図面の寸法比率は、説明の都合上誇張されており、実際の比率とは異なる場合がある。
【0024】
図1は、本実施形態に係る情報処理システムの概略構成を示す図である。本実施形態に係る情報処理システムは、商用電源1から屋内配線3へ供給される電力を使用する需要家における電力の使用状況を推測して提示するよう構成されたシステムである。
【0025】
本実施形態に係る情報処理システムは、商用電源1から屋内配線3へ供給される電力の電流を随時測定するセンサ2と、センサ2で測定されたセンシングデータを取得する信号処理装置40と、信号処理装置40から送信されたセンシングデータを用いて電力の使用状況を推測するための学習済みモデル30を、機械学習により生成する学習装置20と、学習済みモデル30を用いて信号処理装置40から送信されたセンシングデータから、電力の使用状況を推測して提示する情報処理装置10と、を有する。
【0026】
本実施形態に係る情報処理システムでは、センサ2、屋内配線3、及び信号処理装置40は需要家に設置され、情報処理装置10、学習装置20及び学習済みモデルはクラウド上に設置される。
【0027】
センサ2は、商用電源1と屋内配線3とを繋ぐ電源線と接続して、商用電源1から屋内配線3へ供給される電力の電流を測定する。センサ2は、例えば、建屋に引き込まれる電源線、建屋内の分電盤、分電盤に接続される電源線等の、屋内配線3に接続された1又は複数の電気機器が消費する総電力量を測定可能な位置に設置される。センサ2は、設置された位置での電源線の電流波形および電圧波形を逐次測定する。本実施形態では、センサ2によるセンシングデータは、音声データとして信号処理装置40に送られる。そのため、センサ2は電流を音声データに変換するためのハーネスを有していてもよい。
【0028】
屋内配線3に接続される電気機器は、例えば照明器具、空調機器、パーソナルコンピュータ等のOA(Office Automation)機器、工場設備等何でもよい。個々の電気機器は、電源回路も異なれば電力消費量も異なる。すなわち、屋内配線3に接続される電気機器には、流れる電流が既知ではない機器が含まれ得る。従って、センサ2が測定する電流値は、屋内配線3に接続される電気機器が使用する電流値の総和である。
【0029】
信号処理装置40は、センサ2が測定したセンシングデータに対する信号処理を行う。本実施形態では、信号処理装置40は、センサ2が測定したセンシングデータを音声データとして取得する。本実施形態では、信号処理装置40は、スマートフォン等の携帯端末が用いられる。センサ2が信号処理装置40のマイクロホン端子に接続されることで、信号処理装置40は、センサ2が測定したセンシングデータを音声データとして取得する。信号処理装置40の具体的な機能構成例は後述するが、本実施形態では、信号処理装置40は、センサ2から音声データとして取得したセンシングデータの波形を一度整形した後に、その整形をキャンセルして、センシングデータを情報処理装置10又は学習装置20に送信する。
【0030】
信号処理装置40から情報処理装置10又は学習装置20へのセンシングデータの送信間隔は任意であり、例えば1時間毎でもよく、1日毎でもよい。信号処理装置40は、送信間隔の間蓄積しておいたセンシングデータを、送信タイミングが到達したら情報処理装置10又は学習装置20へする。
【0031】
信号処理装置40にスマートフォン等の携帯端末を用いた場合、信号処理装置40のマイクが取得した音声データは一旦整形(イコライズ)される。しかし、センサ2から送られたセンシングデータを整形してしまうと、波形の特徴が失われ、学習装置20での正しい機械学習及び情報処理装置10での正しい推測ができなくなる。そのため、本実施形態に係る信号処理装置40は、音声データとして取得したセンシングデータの波形を一度整形した後に、その整形をキャンセルする機能を有している。
【0032】
信号処理装置40から情報処理装置10又は学習装置20へのセンシングデータの送信は、無線通信回線を通じて行われる。
【0033】
情報処理装置10は、信号処理装置40から送信されたセンシングデータに基づいて、需要家の屋内配線3に接続されている電気機器の使用状況を推測して提示する。本実施形態に係る情報処理装置10は、予め学習装置20により生成された学習済みモデル30に、信号処理装置40から送信されたセンシングデータを入力し、学習済みモデル30からの出力を用いることで、需要家の屋内配線3に接続されている電気機器の使用状況を推測して提示する。
【0034】
学習装置20は、信号処理装置40から送信されたセンシングデータを用いて機械学習を行うことで、需要家の屋内配線3に接続されている電気機器の使用状況を推測するための学習済みモデル30を生成する。学習装置20は、1つのセンサ2単位で機械学習を行い、センサ2毎に学習済みモデル30を生成する。学習装置20がセンサ2単位で機械学習を行い、センサ2毎に学習済みモデル30を生成することで、需要家の屋内配線3にどのような電気機器が接続されていても、また事前にどのような電気機器が接続されているか不明であっても、屋内配線3に接続されている電気機器の使用状況を情報処理装置10で推測して提示することができる。
【0035】
なお、図1に示した構成では、情報処理装置10と学習装置20とを別の装置として示したが、本開示は係る例に限定されない。情報処理装置10と学習装置20とは同一の装置であってもよい。また、学習済みモデル30は、情報処理装置10又は学習装置20のいずれかに格納されてもよく、情報処理装置10及び学習装置20とは別の装置に格納されてもよい。
【0036】
図2は、情報処理装置10のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0037】
図2に示すように、情報処理装置10は、CPU(Central Processing Unit)11、ROM(Read Only Memory)12、RAM(Random Access Memory)13、ストレージ14、入力部15、表示部16及び通信インタフェース(I/F)17を有する。各構成は、バス19を介して相互に通信可能に接続されている。
【0038】
CPU11は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU11は、ROM12またはストレージ14からプログラムを読み出し、RAM13を作業領域としてプログラムを実行する。CPU11は、ROM12またはストレージ14に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM12またはストレージ14には、需要家の屋内配線3に接続されている電気機器の使用状況を推測して提示する情報処理プログラムが格納されている。
【0039】
ROM12は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM13は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ14は、HDD(Hard Disk Drive)、SSD(Solid State Drive)またはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0040】
入力部15は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0041】
表示部16は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部16は、タッチパネル方式を採用して、入力部15として機能しても良い。
【0042】
通信インタフェース17は、信号処理装置40等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0043】
上記の情報処理プログラムを実行する際に、情報処理装置10は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。情報処理装置10が実現する機能構成について説明する。
【0044】
図3は、情報処理装置10の機能構成の例を示すブロック図である。
【0045】
図3に示すように、情報処理装置10は、機能構成として、取得部101、推測部102、ラベル決定部103及び提示部104を有する。各機能構成は、CPU11がROM12またはストレージ14に記憶された情報処理プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0046】
取得部101は、センサ2で取得され、信号処理装置40で信号処理が施されたセンシングデータを、信号処理装置40から無線通信回線を通じて取得する。
【0047】
推測部102は、取得部101が取得したセンシングデータを、センシングデータの取得元のセンサ2に対応する学習済みモデル30に入力し、当該学習済みモデル30からの出力を用いて、当該センサ2が接続されている屋内配線3に接続されている電気機器の稼働状況を推測する。学習済みモデル30から出力される情報は、例えば、時間と、電気機器が消費した電力値との関係である。推測部102は、電気機器が消費した電力値を推測することで電気機器の稼働状況を推測してもよい。また、推測部102は、電気機器の使用時間、使用比率を推測することで電気機器の稼働状況を推測してもよい。
【0048】
推測部102は、電力値に基づいた稼働状況を推測する際に、稼働状況の情報を所定の単位でグループ化して時系列的に推測してもよい。学習済みモデル30には、上記所定の単位ごとの電流波形の情報が含まれうる。その際、推測部102は、所定の単位として用途の単位で電力値に基づいた情報をグループ化してもよい。用途とは、例えば、空調、照明、オフィスオートメーション、工場の製造ラインにおける工程等がある。
【0049】
ラベル決定部103は、学習済みモデル30から出力される時間と電力値との関係についての情報と、所定の単位ごとの電流波形についての情報とを用いて、推測部102によってグループ分けされた各グループに付与するラベルを決定する。
【0050】
ラベル決定部103は、各グループに付与するラベルを決定する際に、予めラベルの決定のために機械学習により生成された学習済みモデルを用いてラベルを決定してもよい。当該学習済みモデルには、上記所定の単位ごとの電流波形の情報が含まれる。ラベル決定部103は、例えば、電流波形と、推測部102が推測した稼働状況とを学習済みモデルに入力し、学習済みモデルからの出力を用いて、各グループに付与するラベルを決定してもよい。ラベル決定部103は、また例えば、天候、気温、湿度その他の気象データをさらに学習済みモデルに入力し、学習済みモデルからの出力を用いて、各グループに付与するラベルを決定してもよい。
【0051】
例えば、平日の午前9時から午後6時まで電力が使用されているグループがあった場合、この情報だけでは、そのグループが照明機器に相当するのか、OA機器に相当するのか、空調機器に相当するのかは判断が難しい。しかし、ラベル決定部103は、気象データを用いることで、日によって変動が生じているグループがあれば、そのグループを空調機器とラベル付けすることができる。
【0052】
上述したように、屋内配線3に接続される電気機器には、流れる電流が既知ではない機器が含まれ得るが、電気機器に用いられている回路の方式によって流れる電流の波形パターンは決まる。例えば、電圧と電流とが同じような波形で変動する機器、ダイオードによる整流で電流波形が変動する機器、位相制御による整流で電流波形が変動する機器等がある。ラベル決定部103は、流れる電流の波形パターンに基づいて、どのような電気機器が接続されているかラベリングする。
【0053】
提示部104は、推測部102が推測した、センシングデータの取得元のセンサ2が接続されている屋内配線3に接続されている電気機器の稼働状況を提示する。推測部102が稼働状況をグループ化していた場合、提示部104は、電気機器の稼働状況をグループ化して提示する。さらに、ラベル決定部103がグループにラベルを付与していた場合、提示部104は、グループ毎に付与されたラベルも提示する。提示部104による情報の提示例は後に詳述する。
【0054】
本実施形態に係る情報処理装置10は、係る構成を有することで、予め屋内配線3に接続されている電気機器がどのような機器であるか分かっていない場合においても電気機器の動作状態を識別することが可能となる。
【0055】
続いて、情報処理装置10によって電気機器の稼働状況を推測するための学習済みモデル30を生成する学習装置20について説明する。
【0056】
図4は、学習装置20のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0057】
図4に示すように、学習装置20は、CPU21、ROM22、RAM23、ストレージ24、入力部25、表示部26及び通信インタフェース(I/F)27を有する。各構成は、バス29を介して相互に通信可能に接続されている。
【0058】
CPU21は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU21は、ROM22またはストレージ24からプログラムを読み出し、RAM23を作業領域としてプログラムを実行する。CPU21は、ROM22またはストレージ24に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM22またはストレージ24には、需要家の屋内配線3に接続されている電気機器の使用状況を推測するための学習済みモデル30を機械学習により生成する学習プログラムが格納されている。
【0059】
ROM22は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM23は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ24は、HDD、SSDまたはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0060】
入力部25は、マウス等のポインティングデバイス、およびキーボードを含み、各種の入力を行うために使用される。
【0061】
表示部26は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部26は、タッチパネル方式を採用して、入力部25として機能しても良い。
【0062】
通信インタフェース27は、信号処理装置40等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、たとえば、イーサネット(登録商標)、FDDI、Wi-Fi(登録商標)等の規格が用いられる。
【0063】
上記の学習プログラムを実行する際に、学習装置20は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。学習装置20が実現する機能構成について説明する。
【0064】
図5は、学習装置20の機能構成の例を示すブロック図である。
【0065】
図5に示すように、学習装置20は、機能構成として、取得部201及び学習部202を有する。各機能構成は、CPU21がROM22またはストレージ24に記憶された学習プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0066】
取得部201は、センサ2で取得され、信号処理装置40で信号処理が施されたセンシングデータを、信号処理装置40から無線通信回線を通じて取得する。
【0067】
学習部202は、1つのセンサ2単位での所定の機械学習処理により、取得部201が取得したセンシングデータを学習データとして用いて、センサ2毎に学習済みモデル30を生成する。学習部202が実行する機械学習処理は、学習データに正解を与えない状態で学習させる教師なし学習であって、学習開始時点までの電流値の情報のみを入力として、学習させる教師なし学習である。
【0068】
学習部202は、学習済みモデル30の生成の際に、取得部201が取得したデータにおける波形の分析を行う。屋内配線3が、電圧線2本と接地側線1本の単相3線からなる場合、タップの組み合わせで電圧の振幅及び位相が決まり、単相3線では、2系統の100Vと1系統の200Vとが構築される。そして上述したように、屋内配線3に接続される電気機器には、流れる電流が既知ではない機器が含まれ得るが、電気機器に用いられている回路の方式によって流れる電流の波形パターンは決まり、センサ2が取得する波形は、屋内配線3に流れる電流の波形の総和となる。
【0069】
学習部202は、センサ2が取得する波形にどのような波形が含まれているかを分析する際に、所定の単位波形の組み合わせとなるように分析を行う。センサ2が取得する波形が所定の単位波形の組み合わせとして説明できるよう、学習部202が学習済みモデル30を生成することで、情報処理装置10は、予め使用されている電気機器が分かっていない場合においても電気機器の動作状態及び稼働台数を識別することが可能となる。
【0070】
学習装置20は、係る構成を有することで、予め屋内配線3に接続されている電気機器がどのような機器であるか分かっていない場合においても、情報処理装置10によってセンシングデータを用いた電気機器の稼働状況及び稼働台数を推測するための学習済みモデル30を生成することができる。
【0071】
続いて、センサ2から音声データとして取得したセンシングデータに対する信号処理を行って、情報処理装置10又は学習装置20に送信する信号処理装置40について説明する。
【0072】
図6は、信号処理装置40のハードウェア構成を示すブロック図である。
【0073】
図6に示すように、信号処理装置40は、CPU41、ROM42、RAM43、ストレージ44、入力部45、表示部46及び通信インタフェース(I/F)47を有する。各構成は、バス49を介して相互に通信可能に接続されている。
【0074】
CPU41は、中央演算処理ユニットであり、各種プログラムを実行したり、各部を制御したりする。すなわち、CPU41は、ROM42またはストレージ44からプログラムを読み出し、RAM43を作業領域としてプログラムを実行する。CPU41は、ROM42またはストレージ44に記録されているプログラムにしたがって、上記各構成の制御および各種の演算処理を行う。本実施形態では、ROM42またはストレージ44には、センサ2から取得したセンシングデータに対する信号処理を行う信号処理プログラムが格納されている。
【0075】
ROM42は、各種プログラムおよび各種データを格納する。RAM43は、作業領域として一時的にプログラムまたはデータを記憶する。ストレージ44は、HDD、SSDまたはフラッシュメモリ等の記憶装置により構成され、オペレーティングシステムを含む各種プログラム、および各種データを格納する。
【0076】
入力部45は、各種の入力を行うために使用される。
【0077】
表示部46は、たとえば、液晶ディスプレイであり、各種の情報を表示する。表示部46は、タッチパネル方式を採用して、入力部45として機能しても良い。
【0078】
通信インタフェース47は、情報処理装置10又は学習装置20等の他の機器と通信するためのインタフェースであり、当該通信には、たとえば、4G、5G、又はWi-Fi(登録商標)等の無線通信の規格が用いられる。
【0079】
上記の信号処理プログラムを実行する際に、信号処理装置40は、上記のハードウェア資源を用いて、各種の機能を実現する。信号処理装置40が実現する機能構成について説明する。
【0080】
図7は、信号処理装置40の機能構成の例を示すブロック図である。
【0081】
図7に示すように、信号処理装置40は、機能構成として、取得部401、波形整形部402、波形変換部403及び送信部404を有する。各機能構成は、CPU41がROM42またはストレージ44に記憶された信号処理プログラムを読み出し、実行することにより実現される。
【0082】
取得部401は、センサ2で取得されたセンシングデータを音声データとして取得する。上述したように、センサ2が信号処理装置40のマイクロホン端子に接続されることで、信号処理装置40は、センサ2が測定したセンシングデータを音声データとして取得する。
【0083】
波形整形部402は、取得部401が取得したセンシングデータの波形を整形する。本実施形態に係る情報処理システムでは、センサ2のセンシングデータを取得する信号処理装置40にスマートフォン等の携帯型情報処理端末を使用する。携帯型情報処理端末では、マイクロホン端子を通じて取得した音声データの波形を整形する機能を有している。従って、波形整形部402は、信号処理装置40に備えられており、取り除くことが出来ない機能である。
【0084】
波形変換部403は、波形整形部402によって波形が整形されたセンシングデータに対して、整形をキャンセルするように変換する。波形整形部402によって波形が整形されてしまうと、屋内配線3に流れる電流の波形の特徴が失われてしまう。屋内配線3に流れる電流の波形の特徴が失われてしまうと、学習装置20での機械学習及び情報処理装置10での推測が正しく行えなくなってしまう。そこで本実施形態に係る信号処理装置40は、波形変換部403により整形をキャンセルするように変換することで、学習装置20での機械学習及び情報処理装置10での推測が正しく行えるようにすることができる。
【0085】
送信部404は、波形変換部403が変換したセンシングデータを情報処理装置10又は学習装置20へ送信する。送信部404は、センシングデータを情報処理装置10又は学習装置20へ任意のタイミングで送信する。
【0086】
信号処理装置40は、係る構成を有することで、センサ2から音声データとして取得したセンシングデータに対する信号処理を行って、情報処理装置10又は学習装置20に送信することができる。
【0087】
次に、情報処理装置10の作用について説明する。
【0088】
図8は、情報処理装置10による情報処理の流れを示すフローチャートである。CPU11がROM12又はストレージ14から情報処理プログラムを読み出して、RAM13に展開して実行することにより、情報処理が行われる。
【0089】
CPU11は、ステップS101において、センサ2で取得され、信号処理装置40で信号処理が施されたセンシングデータを取得する。
【0090】
ステップS101に続いて、CPU11は、ステップS102において、取得したセンシングデータを、予めセンサ2で取得されたセンシングデータを用いて機械学習により生成された学習済みモデル30へ入力する。
【0091】
ステップS102に続いて、CPU11は、ステップS103において、学習済みモデル30からの出力を用いて、屋内配線3に接続されている電気機器の稼働状況を推測する。
【0092】
本実施形態に係る情報処理装置10は、係る処理を実行することで、予め屋内配線3に接続されている電気機器がどのような機器であるか分かっていない場合においても電気機器の動作状態を識別することが可能となる。
【0093】
ここで、情報処理装置10が屋内配線3に接続されている電気機器の稼働状況を推測した結果の情報を提示する例を示す。
【0094】
図9は、情報処理装置10が提示する情報の例を示す図である。図9に示したのは、屋内配線3に接続されている電気機器による電力消費量の時系列推移の例である。情報処理装置10は、センシングデータを学習済みモデル30に入力し、学習済みモデル30からの出力を用いて、屋内配線3に接続されている電気機器による電力消費量の時系列推移を推測して、提示することができる。
【0095】
学習装置20による機械学習が進むことで、屋内配線3にどのような電気機器が接続されているかが把握できるようになり、情報処理装置10も、屋内配線3に接続されている電気機器をグループ化して提示することが可能となる。
【0096】
図10は、情報処理装置10が提示する情報の例を示す図である。図10に示したのは、屋内配線3に接続されている電気機器による電力消費量の時系列推移の例である。図10の例では、屋内配線3に接続されている電気機器の電力消費量を、空調、電灯、OA機器、その他にグループ分けして提示している。情報処理装置10は、センシングデータを学習済みモデル30に入力し、学習済みモデル30からの出力を用いて、屋内配線3に接続されている電気機器による電力消費量の時系列推移を推測して、グループ化して提示することができる。
【0097】
次に、学習装置20の作用について説明する。
【0098】
図11は、学習装置20による学習処理の流れを示すフローチャートである。CPU21がROM22又はストレージ24から学習プログラムを読み出して、RAM23に展開して実行することにより、学習処理が行われる。
【0099】
CPU21は、ステップS201において、センサ2で取得され、信号処理装置40で信号処理が施されたセンシングデータを取得する。
【0100】
ステップS201に続いて、CPU21は、ステップS202において、取得したセンシングデータを用いてセンサ2単位で機械学習を行い、センサ2毎に学習済みモデル30を生成する。CPU21が実行する機械学習は、上述したように教師なし学習であって、学習開始時点までの電流値の情報のみを入力として、学習させる教師なし学習である。
【0101】
学習装置20は、係る処理を実行することで、予め屋内配線3に接続されている電気機器がどのような機器であるか分かっていない場合においても、情報処理装置10によってセンシングデータを用いた電気機器の稼働状況を推測するための学習済みモデル30を生成することができる。
【0102】
以上説明したように本開示の実施形態によれば、センサ2で音声データとして取得したセンシングデータを用いて、屋内配線3に接続されている電気機器の稼働状況を時系列で推測する情報処理装置10が提供される。係る情報処理装置10は、予め屋内配線3に接続されている電気機器がどのような機器であるか分かっていない場合においても、センサ2で取得されたセンシングデータを用いた電気機器の稼働状況を推測することができる。
【0103】
また、本開示の実施形態によれば、センサ2で音声データとして取得したセンシングデータを用いて、屋内配線3に接続されている電気機器の稼働状況を時系列で推測するための学習済みモデル30をセンサ2毎に生成する学習装置20が提供される。
【0104】
そして、本開示の実施形態に係る情報処理システムは、建屋に引き込まれる電源線、建屋内の分電盤、分電盤に接続される電源線等の、屋内配線3に接続された1又は複数の電気機器が消費する総電力量を測定可能な位置にセンサ2を1台設置するだけで、屋内配線3に接続されている電気機器の稼働状況を、グループ分けして時系列で推測することができる。すなわち本開示の実施形態に係る情報処理システムは、複数の電気機器の稼働状況を推測するためにセンサを多数設置する必要が無いため、センサを多数設置する場合と比較して導入コストを低く抑えることができる。
【0105】
以上、添付図面を参照しながら本開示の実施形態について詳細に説明したが、本開示の技術的範囲はかかる例に限定されない。本開示の技術分野における通常の知識を有する者であれば、特許請求の範囲に記載された技術的思想の範疇内において、各種の変更例または修正例に想到し得ることは明らかであり、これらの変更例または修正例についても、当然に本開示の技術的範囲に属するものと了解される。
【0106】
また、上記実施形態において記載された効果は、説明的又は例示的なものであり、上記実施形態において記載されたものに限定されない。つまり、本開示に係る技術は、上記実施形態において記載された効果とともに、又は上記実施形態において記載された効果に代えて、上記実施形態における記載から、本開示の技術分野における通常の知識を有する者には明らかな他の効果を奏しうる。
【0107】
なお、上記各実施形態でCPUがソフトウェア(プログラム)を読み込んで実行した情報処理、学習処理及び信号処理を、CPU以外の各種のプロセッサが実行してもよい。この場合のプロセッサとしては、FPGA(Field-Programmable Gate Array)等の製造後に回路構成を変更可能なPLD(Programmable Logic Device)、及びASIC(Application Specific Integrated Circuit)等の特定の処理を実行させるために専用に設計された回路構成を有するプロセッサである専用電気回路等が例示される。また、情報処理、学習処理及び信号処理を、これらの各種のプロセッサのうちの1つで実行してもよいし、同種又は異種の2つ以上のプロセッサの組み合わせ(例えば、複数のFPGA、及びCPUとFPGAとの組み合わせ等)で実行してもよい。また、これらの各種のプロセッサのハードウェア的な構造は、より具体的には、半導体素子等の回路素子を組み合わせた電気回路である。
【0108】
また、上記各実施形態では、情報処理、学習処理及び信号処理のプログラムがROMまたはストレージに予め記憶(インストール)されている態様を説明したが、これに限定されない。プログラムは、CD-ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD-ROM(Digital Versatile Disk Read Only Memory)、及びUSB(Universal Serial Bus)メモリ等の非一時的(non-transitory)記録媒体に記録された形態で提供されてもよい。また、プログラムは、ネットワークを介して外部装置からダウンロードされる形態としてもよい。
【符号の説明】
【0109】
1 商用電源
2 センサ
3 屋内配線
10 情報処理装置
20 学習装置
30 学習済みモデル
40 信号処理装置
図1
図2
図3
図4
図5
図6
図7
図8
図9
図10
図11