(19)【発行国】日本国特許庁(JP)
(12)【公報種別】公開特許公報(A)
(11)【公開番号】P2024112239
(43)【公開日】2024-08-20
(54)【発明の名称】再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法、再生発泡性スチレン系樹脂粒子、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子、および、再生スチレン系樹脂発泡成形体
(51)【国際特許分類】
C08J 9/16 20060101AFI20240813BHJP
【FI】
C08J9/16 CET
【審査請求】未請求
【請求項の数】6
【出願形態】OL
(21)【出願番号】P 2023017187
(22)【出願日】2023-02-07
(71)【出願人】
【識別番号】000002440
【氏名又は名称】積水化成品工業株式会社
(74)【代理人】
【識別番号】110004314
【氏名又は名称】弁理士法人青藍国際特許事務所
(74)【代理人】
【識別番号】100107641
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 耕一
(74)【代理人】
【識別番号】100121636
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 昌靖
(72)【発明者】
【氏名】道畑 直起
【テーマコード(参考)】
4F074
【Fターム(参考)】
4F074AA32K
4F074AA32L
4F074AD11
4F074AG10
4F074BA39
4F074BA95
4F074CA34
4F074CA38
4F074CA49
4F074DA32
4F074DA33
4F074DA34
4F074DA58
4F074DA59
(57)【要約】
【課題】環境貢献度が高い再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であって、臭気、特に、アルキルアミン由来の臭気を抑制した再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法を提供する。
【解決手段】アルキルアミン放散量がXng/g以上である再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を用いてアルキルアミン放散量がYng/g未満の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法であって、X≧Yであり、Y≦5であり、(1)該再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を添加して重合させて得られる再生スチレン系樹脂粒子(A)に、揮発性発泡剤を圧入・含浸し、該懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、該仕込み水中の、特定金属の含有量の合計が、濃度として特定範囲にある水を用いる、または(2)該再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を再生スチレン系樹脂粒子(A)として利用し、該再生スチレン系樹脂粒子(A)を含む懸濁液に揮発性発泡剤を圧入・含浸し、該懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、該仕込み水中の、特定金属の含有量の合計が、濃度として特定範囲にある水を用いる。
【選択図】なし
【特許請求の範囲】
【請求項1】
アルキルアミン放散量がXng/g以上である再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を用いてアルキルアミン放散量がYng/g未満の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法であって、
X≧Yであり、
Y≦5であり、
該再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を添加して重合させて得られる再生スチレン系樹脂粒子(A)に、揮発性発泡剤を圧入・含浸し、
該懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、該仕込み水中の、Al、Ba、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Mn、Na、Si、Sr、Znの含有量の合計が、濃度として0.01mg/kg~103mg/kgである水を用いる、
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項2】
アルキルアミン放散量がXng/g以上である再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を用いてアルキルアミン放散量がYng/g未満の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法であって、
X≧Yであり、
Y≦5であり、
該再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を再生スチレン系樹脂粒子(A)として利用し、該再生スチレン系樹脂粒子(A)を含む懸濁液に揮発性発泡剤を圧入・含浸し、
該懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、該仕込み水中の、Al、Ba、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Mn、Na、Si、Sr、Znの含有量の合計が、濃度として0.01mg/kg~103mg/kgである水を用いる、
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法。
【請求項3】
請求項1または2に記載の製造方法で得られる、アルキルアミン放散量が5ng/g未満の再生発泡性スチレン系樹脂粒子。
【請求項4】
アルキルアミン放散量が2ng/g未満である、請求項3に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子。
【請求項5】
請求項3に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子であって、
該予備発泡の嵩発泡倍率が2倍~150倍である、
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子。
【請求項6】
請求項5に記載の再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される、再生スチレン系樹脂発泡成形体。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法、再生発泡性スチレン系樹脂粒子、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子、および、再生スチレン系樹脂発泡成形体に関する。
【背景技術】
【0002】
発泡成形体は、軽量かつ断熱性および機械的強度に優れることから、住宅および自動車等に用いられる断熱材、建築資材等に用いられる保温材、発泡スチロール土木工法に用いられる盛土材料、魚箱および食品容器等の輸送用梱包材、緩衝材等に幅広く使用されている。中でも、発泡性粒子(代表的には、発泡性スチレン系樹脂粒子あるいはそれを予備発泡させた予備発泡スチレン系樹脂粒子)を原料として製造される型内発泡成形体が、所望の形状を得やすい等の利点から多く使用されている。このような発泡成形体は、互いに融着した複数の発泡性粒子により構成されている。
【0003】
他方、プラスチック廃棄物の量は年々増加している。プラスチック廃棄物の大半は、焼却や埋め立てなどにより処分されているが、環境汚染、地球温暖化、埋め立て処理場の不足など、大きな社会問題となっている。このため、プラスチック廃棄物の再利用が社会的に強く要請され、家電リサイクル法の施行を受けるなどして、プラスチック廃棄物のリサイクルについて各種の検討がなされている。様々なリサイクル方法が提案されている中、資源循環や環境負荷低減の観点から、プラスチック廃棄物を再び製品のプラスチック部材として再利用するマテリアルリサイクルが注目されており、スチレン系樹脂発泡成形体についても、このようなマテリアルリサイクルが検討されている。
【0004】
スチレン系樹脂発泡成形体のマテリアルリサイクルとしては、従来、回収原料を溶融して押出すことにより回収ペレットとし、これに発泡剤を含浸して得られる、再生発泡性スチレン系樹脂粒子がいくつか提案されている。
【0005】
例えば、スチレン系樹脂発泡成形体の回収品から成形した再生樹脂ペレットに発泡剤を含浸または圧入後に含浸することにより、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法が報告されている(特許文献1~4)。また、スチレン系樹脂発泡成形体の回収品から成形した再生樹脂ペレットに、スチレン単量体を加えて重合し、その後、発泡剤を含浸または圧入後に含浸することにより、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を得る方法が報告されている(特許文献5~8)。
【0006】
しかしながら、従来の再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、特に、回収原料を用いない発泡性スチレン系樹脂粒子に比べて、リサイクル材料特有の臭気を有するという問題があり、それから得られる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子および再生スチレン系樹脂発泡成形体についても、リサイクル材料特有の臭気が感じられる程度に発生するという問題がある。特に、回収原料として魚箱を用いて得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、魚など由来の第三級アルキルアミンの特有の腐敗臭を有するという問題がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特許第3044942号公報
【特許文献2】特許第4234832号公報
【特許文献3】特許第4261676号公報
【特許文献4】特許第6788428号公報
【特許文献5】特許第4052193号公報
【特許文献6】特開2006-160905号公報
【特許文献7】特許第4912567号公報
【特許文献8】特許第5128246号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
本発明は上記従来の課題を解決するためになされたものであり、その主たる目的は、環境貢献度が高い再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であって、臭気、特に、アルキルアミン由来の臭気を抑制した再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法を提供することにある。また、そのような製造方法から得られる、臭気、特に、アルキルアミン由来の臭気を抑制した再生発泡性スチレン系樹脂粒子を提供することにある。さらに、そのような再生発泡性スチレン系樹脂粒子から得られる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子、そのような、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される再生スチレン系樹脂発泡成形体を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
[1]本発明の一つの実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法は、アルキルアミン放散量がXng/g以上である再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を用いてアルキルアミン放散量がYng/g未満の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法であって、X≧Yであり、Y≦5であり、該再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を添加して重合させて得られる再生スチレン系樹脂粒子(A)に、揮発性発泡剤を圧入・含浸し、該懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、該仕込み水中の、Al、Ba、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Mn、Na、Si、Sr、Znの含有量の合計が、濃度として0.01mg/kg~103mg/kgである水を用いる。
[2]本発明の別の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法は、アルキルアミン放散量がXng/g以上である再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を用いてアルキルアミン放散量がYng/g未満の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法であって、X≧Yであり、Y≦5であり、該再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を再生スチレン系樹脂粒子(A)として利用し、該再生スチレン系樹脂粒子(A)を含む懸濁液に揮発性発泡剤を圧入・含浸し、該懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、該仕込み水中の、Al、Ba、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Mn、Na、Si、Sr、Znの含有量の合計が、濃度として0.01mg/kg~103mg/kgである水を用いる。
[3]本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、アルキルアミン放散量が5ng/g未満の再生発泡性スチレン系樹脂粒子であって、上記[1]または[2]に記載の製造方法で得られる。
[4]上記[3]に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子において、アルキルアミン放散量が2ng/g未満であってもよい。
[5]本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、上記[3]または[4]に記載の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子であって、該予備発泡の嵩発泡倍率が2倍~150倍である。
[6]本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、上記[5]に記載の再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される。
【発明の効果】
【0010】
本発明の実施形態によれば、環境貢献度が高い再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法であって、臭気、特に、アルキルアミン由来の臭気を抑制した再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法を提供することができる。また、そのような製造方法から得られる、臭気、特に、アルキルアミン由来の臭気を抑制した再生発泡性スチレン系樹脂粒子を提供することができる。さらに、そのような再生発泡性スチレン系樹脂粒子から得られる再生予備発泡スチレン系樹脂粒子、そのような、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される再生スチレン系樹脂発泡成形体を提供することができる。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態について説明するが、本発明はこれらの実施形態には限定されない。
【0012】
本明細書において「(メタ)アクリル」とある場合は、アクリルおよび/またはメタクリルを意味し、「(メタ)アクリレート」とある場合は、アクリレートおよび/またはメタクリレートを意味する。
【0013】
≪≪A.再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法≫≫
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法は、アルキルアミン放散量がXng/g以上である再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を用いてアルキルアミン放散量がYng/g未満の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法であって、X≧Yであり、Y≦5である。
【0014】
例えば、X=Y=5である場合は、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法は、アルキルアミン放散量が5ng/g以上である再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を用いてアルキルアミン放散量が5ng/g未満の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法となる。
【0015】
例えば、X=50、Y=5である場合は、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法は、アルキルアミン放散量が50ng/g以上である再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を用いてアルキルアミン放散量が5ng/g未満の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法となる。
【0016】
例えば、X=5、Y=2である場合は、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法は、アルキルアミン放散量が5ng/g以上である再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を用いてアルキルアミン放散量が2ng/g未満の再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造する方法となる。
【0017】
XとYの関係は、X≧Yであり、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくはX>Yであり、より好ましくはX-Y>1であり、さらに好ましくはX-Y>3であり、さらに好ましくはX-Y>5であり、特に好ましくはX-Y>7であり、最も好ましくはX-Y>10である。
【0018】
Y≦5であり、本発明の効果がより発現し得る点で、好ましくはY<5であり、より好ましくはY<4であり、さらに好ましくはY<3であり、特に好ましくはY<2であり、最も好ましくはY<1である。なお、Yの下限については、本発明の実施形態による製造方法によって得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子のアルキルアミン放散量は小さければ小さいほどよい。
【0019】
アルキルアミンとしては、アルキル基を有するアミンであり、第一級アミン、第二級アミン、第三級アミンが挙げられる。具体例として、第一級アミンとしては、例えば、メチルアミンが挙げられ、第二級アミンとしては、例えば、ジメチルアミンが挙げられ、第三級アミンとしては、例えば、トリメチルアミン、トリエチルアミンが挙げられる。本発明の効果をより発現させ得るアルキルアミンとしては、特に、魚の臭気として知られるトリメチルアミンが挙げられる。
【0020】
本発明の再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法の好ましい実施形態としては、
実施形態(1):再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を添加して重合させて得られる再生スチレン系樹脂粒子(A)に、揮発性発泡剤を圧入・含浸し、該懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、0.01mg/kg~103mg/kgの金属元素を含有する水を用いる形態、
実施形態(2):再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を再生スチレン系樹脂粒子(A)として利用し、該再生スチレン系樹脂粒子(A)を含む懸濁液に揮発性発泡剤を圧入・含浸し、該懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、0.01mg/kg~103mg/kgの金属元素を含有する水を用いる形態、
の2つの実施形態が挙げられる。
【0021】
≪A-1.再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法の好ましい実施形態(1)≫
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法の好ましい実施形態(1)においては、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を添加して重合させて得られる再生スチレン系樹脂粒子(A)に、揮発性発泡剤を圧入・含浸し、該懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、0.01mg/kg~103mg/kgの金属元素を含有する水を用いる。
【0022】
<A-1-1.実施形態(1)における再生スチレン系樹脂粒子(A)>
実施形態(1)において、再生スチレン系樹脂粒子(A)は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を添加して重合させて得られる。
【0023】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0024】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の材料としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な再生スチレン系樹脂を採用し得る。このような再生スチレン系樹脂としては、例えば、発泡スチロール(型物成形品、ブロック成形品など)や発泡シート(トレー容器、シート破材など)や家電製品や包装容器やクッションビーズなどで使用されているプラスチック材料のリサイクル品が挙げられる。本発明は、特に、魚箱など、アルキルアミン由来の臭気の強いスチレン系樹脂発泡成形体の回収原料の使用に有効である。
【0025】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な再生スチレン系樹脂以外の他の再生樹脂を含んでいてもよい。このような他の再生樹脂としては、例えば、AS樹脂、ABS樹脂、HIPS(耐衝撃性ポリスチレン);ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリカーボネート(PC)などのポリエステル系樹脂;ナイロン(PA)などのポリアミド系樹脂;ポリエチレン(直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、高密度ポリエチレン(HDPE)、ポリプロピレン(PP)、EVA(エチレン-酢酸ビニル共重合体)などのポリオレフィン系樹脂;の再生樹脂が挙げられる。他の樹脂は1種のみでもよいし、2種以上でもよい。なお、本明細書においては、上記のAS樹脂の再生樹脂、ABS樹脂の再生樹脂、およびHIPS(耐衝撃性ポリスチレン)の再生樹脂は、上記の再生スチレン系樹脂の範疇には含めないものとする。
【0026】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)としては、積水化成品工業株式会社製の商品名「エプスレム」や「エスレンビーズRNW」から作られる成形品を採用してもよい。
【0027】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)としては、使用済みの発泡スチレン系樹脂(魚箱など)を加熱および/または減容して得られる再生樹脂(インゴットなど)を粉砕した粉砕物を採用してもよい。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)としては、この粉砕物を押出成形してペレット化したペレットものであってもよいし、このペレットをさらに粉砕したものであってもよい。または、リモネンなどの溶媒を利用して減容回収したものであってもよい。
【0028】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、好ましくは、溶融押出法によって得られるペレットである。溶融押出法とは、代表的には、使用済みのスチレン系樹脂の粉砕品やインゴット、発泡粒子などを樹脂供給装置に供給し、その樹脂供給装置内で溶融し、その樹脂供給装置の先端に付設されたダイの小孔から押し出し、その後、冷却することによってペレットを得る方法である。
【0029】
上記の溶融押出法によって得られるペレットとしては、好ましくは、使用済み発泡スチレン系樹脂(魚箱、魚箱とその他の使用済み発泡スチレン系樹脂との混合物、魚箱とその他の使用済みスチレン系樹脂との混合物など)を押出機によって押出してストランドカットを行って得られる押出ストランドペレット、使用済み発泡スチレン系樹脂を押出機によって押出すと同時に水中で切断する水中カット法で得られる水中カットペレット、および、使用済み発泡スチレン系樹脂粒子を押出機のダイから出た直後にカットして冷却するホットカット法で得られるホットカットペレットから選ばれる少なくとも1種である。
【0030】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)として、上記の溶融押出法によって得られるペレットをそのまま使用してもよいし、より小さなサイズのペレットとするために、再度、溶融押出法などによっていわゆる「ミニペレット」としてもよい。
【0031】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)としては、使用済みの発泡スチレン系樹脂を、必要に応じて適当な大きさに粗粉砕した後、熱収縮、圧縮による気泡破壊収縮、摩擦熱による収縮、溶融などを行って得られる、発泡スチレン系樹脂の収縮物または溶融物であってもよい。
【0032】
使用済みの発泡スチレン系樹脂としては、例えば、発泡性スチレン系樹脂を金型成形した成形品、これを加熱発泡させたものが挙げられる。
【0033】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)には、微粉状の無機物および/または有機系滑剤を含めることができる。これらは、代表的には、気泡調整剤として機能し得る。
【0034】
微粉状の無機物としては、例えば、タルク、炭酸カルシウム、シリカが挙げられる。ここで、タルクとは、代表的には、酸化ケイ素および酸化マグネシウムを主成分とし、酸化アルミニウム、酸化鉄等を微量に含む混合物をいう。
【0035】
微粉状の無機物の平均粒子径は、好ましくは100μm以下であり、より好ましくは30μm以下である。微粉状の無機物の平均粒子径が100μmを超えると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の気泡サイズを小さくする効果が低下してしまうおそれがある。
【0036】
微粉状の無機物の含有割合は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対して、好ましくは0.1質量%~5質量%であり、より好ましくは0.5質量%~2質量%である。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対する微粉状の無機物の含有割合が0.1質量%未満であると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の気泡サイズを小さくする効果が低下してしまうおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対する微粉状の無機物の含有割合が5質量%を越えると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の気泡サイズが極端に小さくなり、成形時には再生予備発泡スチレン系樹脂粒子が溶融してしまい、成形品外観が悪化するおそれがある。
【0037】
有機系滑剤としては、例えば、流動パラフィン;ポリエチレングリコール;ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのシリコーンオイル;メチレンビスステアリルアミド、エチレンビスステアリルアミド、エチレンビスオレイン酸アミド等の高級脂肪酸ビスアトミド;ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸マグネシウム、オレイン酸亜鉛等の高級脂肪酸の金属塩;が挙げられる。
【0038】
有機系滑剤の含有割合は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対して、好ましくは0.01質量%~2.0質量%であり、より好ましくは0.02質量%~1.8質量%であり、場合によっては、さらに好ましくは0.02質量%~0.2質量%であり、特に好ましくは0.02質量%~0.1質量%である。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対する有機系滑剤の含有割合が0.01質量%未満であると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の気泡サイズを小さくする効果が低下してしまうおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に対する有機系滑剤の含有割合が2.0質量%を越えると再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の気泡サイズが極端に小さくなり、成形時に再生予備発泡スチレン系樹脂粒子が溶融してしまい、成形品外観が劣る傾向がある。
【0039】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に、微粉状の無機物および/または有機系滑剤を含める具体的方法としては、例えば、押出成形の際に、微粉状の無機物および/または有機系滑材を混練する方法が挙げられる。この場合、好ましくは、予め粉砕物と気泡調整剤を混合した後、押出成形する。粉砕物と気泡調整剤の混合方法は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で行うことができる。このような方法としては、例えば、タンブラー、リボンブレンダー、Vブレンダー、ヘンシェルミキサー、レディゲーミキサー等の混合機を用いた混合方法が挙げられる。
【0040】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、比重調整を目的に熱溶融されることが好ましい。この工程で、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の比重を、好ましくは0.6以上に調整し、より好ましくは0.9以上に調整する。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の比重が0.6未満であると、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の分散が不安定であるため、後に続く重合工程中に過大粒子が発生し歩留まりが低下するおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の熱溶融は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法で行うことができる。このような方法としては、例えば、押出機、熱ロールを用いた方法が挙げられる。熱溶融は、得られた樹脂にひずみが残留しない、または、ひずみが小さい状態で、冷却固化することすることが好ましい。樹脂粒子にひずみが残っていると、後に続く工程でひずみが緩和され、延伸方向に収縮し、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子が球状とならず扁平状となるおそれがある。したがって、熱溶融としては、押出機を用いて無延伸溶融することが好ましい。熱溶融を延伸状態で行うと、冷却固化して得られる延伸樹脂にひずみが残るおそれがある。なお、熱溶融によって樹脂にひずみが残っていても、樹脂の軟化点以上の温度で一定時間養生することでひずみを緩和させることもできる。
【0041】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を得る際の粉砕は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の粉砕機を採用し得る。このような粉砕機としては、例えば、プラスチック用の粉砕機を採用でき、ポリスチレン用粉砕機が好ましい。
【0042】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、必要に応じてふるい分けされ、再度、押出機等による溶融に供することができる。
【0043】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の平均粒子径は、好ましくは0.2mm~3.0mmであり、より好ましくは0.3mm~2.5mmであり、さらに好ましくは0.4mm~2.0mmであり、特に好ましくは0.5mm~1.7mmである。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の平均粒子径が3mmを越えると、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の形状が球状になりにくいおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の平均粒子径が0.2mm未満であると、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の平均粒子径が小さすぎるおそれがある。
【0044】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)のL(長辺)/D(短辺)は、好ましくは1.0~6.0であり、より好ましくは1.0~5.0であり、さらに好ましくは1.0~4.0であり、特に好ましくは1.0~3.0であり、最も好ましくは1.0~2.5である。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)のL(長辺)/D(短辺)が上記範囲から外れると、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の形状が球状になりにくいおそれがある。
【0045】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、その平均粒子径が200μm以下の粒子の含有量が1質量%未満であることが好ましい。平均粒子径が200μm以下の粒子の含有量が1質量%以上である再生スチレン系樹脂原料粒子(a)は、それを用いて得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の外観が悪化するおそれがある。
【0046】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の重量平均分子量は、好ましくは10万~51万であり、より好ましくは15万~49万である。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の重量平均分子量が10万未満では、十分な強度が得られないおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の重量平均分子量が51万を越えると、再生スチレン系樹脂原料粒子が球状になりにくいおそれや、発泡性が低下して成形品外観が劣るおそれがある。
【0047】
スチレン系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0048】
スチレン系単量体は、スチレンまたはスチレン誘導体を含む。スチレン誘導体としては、例えば、α-メチルスチレン、ビニルトルエン、クロロスチレン、エチルスチレン、i-プロピルスチレン、ジメチルスチレン、ブロモスチレンなどが挙げられる。スチレン系単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。スチレン系単量体は、好ましくは、少なくともスチレンを含有する。スチレン系単量体の全量に対するスチレンの含有割合は、好ましくは50質量%以上であり、より好ましくは70質量%以上であり、さらに好ましくは90質量%以上であり、特に好ましくは95質量%以上である。
【0049】
スチレン単量体は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なスチレン単量体以外のビニル単量体を含んでもよい。例えば、多官能単量体、(メタ)アクリル酸エステル単量体、マレイン酸エステル単量体、フマル酸エステル単量体が挙げられる。このようなビニル単量体は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0050】
多官能単量体の具体例としては、例えば、о-ジビニルベンゼン、m-ジビニルベンゼン、p-ジビニルベンゼン等のジビニルベンゼン;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート等のアルキレングリコールジ(メタ)アクリレート;が挙げられる。(メタ)アクリル酸エステル単量体の具体例としては、例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸ペンチル、(メタ)アクリル酸2-エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ヘキシルが挙げられる。マレイン酸エステル単量体としては、例えば、マレイン酸ジメチルが挙げられる。フマル酸エステル単量体としては、例えば、フマル酸ジメチル、フマル酸ジエチル、フマル酸エチルが挙げられる。
【0051】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)とスチレン系単量体の合計量に対する該再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の含有割合は、好ましくは10質量%~90質量%であり、より好ましくは15質量%~85質量%であり、さらに好ましくは20質量%~80質量%であり、特に好ましくは23質量%~80質量%であり、最も好ましくは25質量%~80質量%である。上記含有割合が上記範囲を外れて少なすぎると、環境貢献度が低くなるおそれがある。また、上記含有割合が上記範囲を外れて少なすぎたり、多すぎたりすると、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子について、良好な球状化が発現できないおそれがあり、成形性が低下するおそれがある。
【0052】
再生スチレン系樹脂粒子(A)は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を添加して重合させて得られる。このような重合方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このような重合方法の一つの好ましい実施形態としては、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を核として水へ分散させて得られる懸濁液に対し、重合開始剤とスチレン系単量体を含む乳濁液を加えて再生スチレン系樹脂原料粒子(a)に含浸させ、引き続き、スチレン系単量体を添加し、重合を行う方法が挙げられる。
【0053】
本発明においては、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む上記懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、好ましくは、該仕込み水中の、Al、Ba、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Mn、Na、Si、Sr、Znの含有量の合計が、濃度として0.01mg/kg~103mg/kgである水を用いる。上記懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、上記のような特定濃度で金属元素を含有する水を用いることにより、臭気、特に、アルキルアミン由来の臭気を抑制した再生発泡性スチレン系樹脂粒子を得ることができる。
【0054】
上記仕込み水中の上記濃度は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは0.01mg/kg~100mg/kgであり、より好ましくは0.01mg/kg~95mg/kgであり、さらに好ましくは0.01mg/kg~90mg/kgであり、さらに好ましくは0.01mg/kg~85mg/kgであり、特に好ましくは0.01mg/kg~80mg/kgであり、最も好ましくは0.01mg/kg~75mg/kgである。
【0055】
上記仕込み水中上記濃度が、上記範囲を外れて小さすぎると、本発明の効果が発現され難いおそれがあり、特に、アルキルアミン由来の臭気が強くなるおそれがある。上記仕込み水中の上記濃度が、上記範囲を外れて大きすぎると、本発明の効果が発現され難いおそれがあり、特に、金属臭が強くなるおそれがある。
【0056】
再生スチレン系樹脂粒子(A)を得る際に、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)にスチレン系単量体を添加する際の添加温度は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは40℃~119℃であり、好ましくは40℃~118℃であり、より好ましくは40℃~117℃であり、さらに好ましくは50℃~117℃であり、特に好ましくは60℃~115℃である。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)にスチレン系単量体を添加する際の添加温度を上記範囲内に調整すれば、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を適度な硬さに維持した状態でスチレン系単量体を取り込めるので、再生スチレン系樹脂粒子(A)の良好な球状化が発現でき、最終的に得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の良好な球状化や優れた成形性を発現し得る。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)にスチレン系単量体を添加する際の添加温度が上記範囲を外れて低すぎると、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)が硬くなりすぎてしまい、この状態でスチレン系単量体を取り込んだ場合に再生スチレン系樹脂粒子(A)が球状化しにくくなり、最終的に得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子が球状化しにくいおそれや成形性に劣るおそれがある。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)にスチレン系単量体を添加する際の添加温度が上記範囲を外れて高すぎると、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)が柔らかくなりすぎてしまい、この状態でスチレン系単量体を取り込んだ場合に再生スチレン系樹脂粒子(A)が球状化しにくくなり、最終的に得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子が球状化しにくいおそれや成形性に劣るおそれがある。なお、ここにいう「再生スチレン系樹脂原料粒子(a)にスチレン系単量体を添加する際の添加温度」は、重合開始剤とスチレン系単量体を含む乳濁液の添加、および、その後のスチレン系単量体の添加を通じての添加温度を意味する。
【0057】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を核として水性媒体中へ分散させて懸濁液を得る際に、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の水性媒体中への分散の方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このような分散の方法としては、好ましくは、攪拌翼を備えた装置を用いて行う分散である。より微細に分散する方法としては、ホモミキサーを用いる方法が挙げられる。
【0058】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を核として水性媒体中へ分散させて懸濁液を得る際に、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の水性媒体中への分散においては、分散剤を用いることが好ましい。分散剤は、懸濁重合に用い得るものであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な分散剤を採用し得る。このような分散剤としては、例えば、ポリビニルアルコール、ポリビニルピロリドン、メチルセルロース等の有機系分散剤;ピロリン酸マグネシウム、第三リン酸カルシウム等の難溶性無機塩;が挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、分散剤としては、ピロリン酸マグネシウムが好ましい。
【0059】
再生スチレン系樹脂粒子(A)100質量部に対する分散剤の配合割合は、好ましくは0.1質量部~2質量部であり、より好ましくは0.1質量部~1.5質量部であり、さらに好ましくは0.1質量部~1.0質量部である。
【0060】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を核として水性媒体中へ分散させて懸濁液を得る際に、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の水性媒体中への分散においては、界面活性剤を用いることが好ましい。界面活性剤は、懸濁重合に用い得るものであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な界面活性剤を採用し得る。このような界面活性剤としては、例えば、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、アルカンスルホン酸ナトリウム、アルキルスルホン酸ナトリウム、アルキルジフェニルエーテルジスルホン酸ナトリウムおよびα-オレフィンスルホン酸ナトリウムが挙げられる。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、界面活性剤としては、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムが好ましい。
【0061】
再生スチレン系樹脂粒子(A)100質量部に対する界面活性剤の配合割合は、好ましくは0.005質量部~0.1質量部であり、より好ましくは0.005質量部~0.08質量部であり、さらに好ましくは0.005質量部~0.06質量部である。
【0062】
重合開始剤とスチレン系単量体を含む乳濁液を得る際の乳濁の方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このような分散の方法としては、好ましくは、攪拌翼を備えた装置を用いて行う分散である。より微細に分散する方法としては、ホモミキサーを用いる方法が挙げられる。このとき、スチレン系単量体を分散した分散液の油滴径が、核の粒子径以下になるまで分散することが好ましい。油滴径が核の粒子径よりも大きい状態で水性媒体中に添加されると、スチレン系単量体を分散した分散液の油滴に複数の再生スチレン系樹脂原料粒子(a)が取り込まれ、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の粘着、可塑化、合一が生じ、過大粒子が発生しやすいためである。
【0063】
重合開始剤とスチレン系単量体を含む乳濁液を得る際に用いる重合開始剤としては、懸濁重合法に用いられるものであれば、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重合開始剤を採用し得る。このような重合開始剤としては、例えば、ベンゾイルパーオキサイド、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルカーボネート、t-ブチルパーベンゾエート等の有機過酸化物;アゾビスイソブチロニトリル等のアゾ化合物;が挙げられる。重合開始剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0064】
重合開始剤の使用量は、好ましくは、スチレン系単量体に対して0.1質量%~1.0質量%であり、より好ましくは0.1質量%~0.8質量%である。
【0065】
重合開始剤は、好ましくは、スチレン系単量体または溶剤に溶解して添加する。溶剤としては、例えば、エチルベンゼン、トルエン等の芳香族炭化水素;ヘプタン、オクタン等の脂肪族炭化水素;が挙げられる。溶剤を用いる場合は、通常、スチレン系単量体に対して10質量%以下の量で用いる。
【0066】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を含む乳濁液を加えて含浸させた後に、スチレン系単量体を加える方法としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な方法を採用し得る。このような方法としては、例えば、分割添加、連続添加が挙げられる。添加速度は、重合装置の容量、形状、重合温度等に応じて適宜選択される。
【0067】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液にスチレン系単量体を含む乳濁液を加えて含浸させた後に、スチレン系単量体を加えた後、必要に応じて、任意の適切な温度と時間で重合反応を続行してもよい。
【0068】
再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を含む懸濁液やスチレン系単量体を含む乳濁液には、気泡調整剤が含まれていてもよい。このような気泡調整剤としては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸モノアミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸ビスアミド;が挙げられる。
【0069】
<A-1-2.実施形態(1)における発泡剤の圧入と含浸>
実施形態(1)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、再生スチレン系樹脂粒子(A)に発泡剤を圧入・含浸して得られる。
【0070】
実施形態(1)における発泡剤の圧入と含浸の方法としては、代表的には、再生スチレン系樹脂粒子(A)を、オートクレーブ等の反応器に入れ、発泡剤を圧入・含浸する方法が挙げられる。
【0071】
再生スチレン系樹脂粒子(A)100質量部に対する分散剤の配合割合は、好ましくは0.1質量部~2質量部であり、より好ましくは0.1質量部~1.5質量部であり、さらに好ましくは0.1質量部~1.0質量部である。
【0072】
発泡剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0073】
発泡剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な発泡剤を用いることができる。発泡剤としては、好ましくは、沸点がスチレン系樹脂の軟化点以下であり、常圧でガス状または液状の有機化合物である。具体例としては、例えば、プロパン、n-ブタン、イソブタン、ペンタン(n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン)、n-ヘキサン等の脂肪族炭化水素;シクロペンタン、シクロペンタジエン等の脂環式炭化水素;アセトン、メチルエチルケトン等のケトン類;メタノール、エタノール、イソプロピルアルコール等のアルコール類;ジメチルエーテル、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、メチルエチルエーテル等の低沸点のエーテル化合物;トリクロロモノフルオロメタン、ジクロロジフルオロメタン等のハロゲン含有炭化水素;などが挙げられる。発泡剤として、炭酸ガス、窒素、アンモニア等の無機ガスを用いてもよい。これらの中でも、本発明の効果をより発現させ得る点で、発泡剤としては、好ましくは、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、イソペンタン、ネオペンタン、シクロペンタン、およびシクロペンタジエンから選ばれる少なくとも1種であり、より好ましくは、n-ブタン、イソブタン、n-ペンタン、およびイソペンタンから選ばれる少なくとも1種である。
【0074】
発泡剤の含有量は、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子および再生スチレン系樹脂発泡成形体を形成するために十分な量であれば、目的に応じて適切に設定され得る。発泡剤の含有量は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)とスチレン系単量体の合計量を100質量部としたときに、好ましくは2質量部~15質量部である。
【0075】
再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の圧入温度は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な温度を採用し得る。このような圧入温度として、好ましくは50℃~150℃、特に好ましくは55℃~140℃である。
【0076】
再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の含浸温度は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な温度を採用し得る。このような含浸温度として、好ましくは50℃~150℃、特に好ましくは55℃~140℃である。
【0077】
再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の圧入温度と含浸温度は、同一であってもよいし、異なっていてもよい。
【0078】
再生スチレン系樹脂粒子(A)への発泡剤の含浸時間は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な時間を採用し得る。このような含浸時間としては、好ましくは1時間~10時間である。
【0079】
<A-1-3.実施形態(1)における他の成分>
実施形態(1)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分が含まれていてもよい。このような他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0080】
再生発泡性スチレン系樹脂粒子には、他の成分として、難燃性を高めるために、難燃剤が含まれていてもよい。難燃剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0081】
難燃剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な難燃剤を採用し得る。このような難燃剤としては、ポリスチレンと相溶する臭素化合物が好ましく、例えば、テトラブロモエタン、テトラブロモシクロオクタン、ヘキサブロモシクロドデカン、ヘキサブロモシクロヘキサン、トリスジブロモプロピルホスフェート、テトラブロモビスフェノールA、テトラブロモビスフェノールF、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモプロピルエーテル)、テトラブロモビスフェノールA-ジグリシジルエーテル、2,2-ビス[4’(2’’,3’’-ジブロモアルコキシ)-3’,5’-ジブロモフェニル]-プロパン、トリス(トリブロモフェノキシ)トリアジン、2,2-ビス(4-アリロキシ-3,5-ジブロモ)プロパン、ヘキサブロモベンゼンが挙げられる。
【0082】
難燃剤を用いる際には、難燃助剤を併用してもよい。難燃助剤としては、例えば、クメンヒドロパーオキサイド、ジクミルパーオキサイド、t-ブチルハイドロパーオキサイド、2,3-ジメチル-2,3-ジフェニルブタン、3,4-ジメチル-3,4-ジフェニルヘキサンが挙げられる。
【0083】
難燃剤と難燃助剤の合計の使用量としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な使用量を採用し得る。このような使用量としては、再生スチレン系樹脂粒子(A)に対して、好ましくは0.1質量%~5質量%であり、より好ましくは0.2質量%~3質量%である。
【0084】
難燃剤の添加は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なタイミングで添加し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、難燃剤は、揮発性発泡剤を圧入する前に添加されることが好ましい。難燃剤を、揮発性発泡剤を圧入する前に添加することにより、難燃剤を、揮発性発泡剤を圧入する温度と同等の低い温度で添加し得るので、得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子の良好な球状化や優れた成形性を発現し得る。
【0085】
難燃剤の添加する際の添加温度は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは5℃~120℃であり、より好ましくは5℃~118℃であり、さらに好ましくは5℃~115℃であり、特に好ましくは5℃~113℃であり、最も好ましくは5℃~110℃である。
【0086】
実施形態(1)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造するにあたっては、気泡調整剤を用いてもよい。気泡調整剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。気泡調整剤としては、例えば、高級脂肪酸アミド、高級脂肪酸とアルコールの部分エステル、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、クエン酸、重炭酸ナトリウムが挙げられる。高級脂肪酸アミドとしては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸モノアミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸ビスアミド;が挙げられる。高級脂肪酸とアルコールの部分エステルにおける高級脂肪酸としては、例えば、パルミチン酸、ステアリン酸、オレイン酸、リノール酸、リノレン酸、ベヘニン酸等の炭素数15以上の脂肪酸が挙げられる。高級脂肪酸とアルコールの部分エステルとしては、例えば、ステアリン酸モノグセライド、ステアリン酸ジグリセライドが挙げられる。
【0087】
気泡調整剤の使用量は、再生スチレン系樹脂原料(A)100質量部に対して、好ましくは0質量部~5.0質量部であり、より好ましくは0.03質量部~3.0質量部である。気泡調整剤を添加する方法としては、例えば、発泡剤と一緒に添加、もしくはドライブレンド法、マスターバッチ法、溶融圧入法等の通常行われている方法を採用し得る。
【0088】
実施形態(1)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造するにあたっては、発泡助剤を用いてもよい。すなわち、実施形態(1)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、発泡助剤を含んでいてもよい。発泡助剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。発泡助剤としては、例えば、アジピン酸ジイソブチル、トルエン、シクロヘキサン、エチルベンゼン、流動パラフィン、ヤシ油が挙げられる。
【0089】
実施形態(1)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を製造するにあたっては、気泡調整剤を用いてもよい。すなわち、実施形態(1)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子は気泡調整剤を含んでいてもよい。気泡調整剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。気泡調整剤としては、例えば、オレイン酸アミド、ステアリン酸アミド、ヒドロキシステアリン酸アミド等の脂肪酸モノアミド;メチレンビスステアリン酸アミド、エチレンビスステアリン酸アミド等の脂肪酸ビスアミド;が挙げられる。
【0090】
実施形態(1)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、タルク、炭酸カルシウム、マイカ、クエン酸、重炭酸ナトリウムなどの気泡調整剤を含んでもよい。気泡調整剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0091】
他の成分としては、これらの他に、例えば、顔料、輻射伝熱抑制成分、架橋剤、可塑剤、安定剤、充填剤、滑剤、着色剤、帯電防止剤、展着剤、耐候剤、老化防止剤、防曇剤、香料が挙げられる。
【0092】
<A-1-4.表面処理>
実施形態(1)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、表面処理が施されていてもよい。このような表面処理としては、好ましくは、シリコーンオイル、帯電防止剤、脂肪酸金属塩、および融着促進剤から選ばれる少なくとも1種による表面処理である。
【0093】
実施形態(1)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子に対してシリコーンオイルによる表面処理が行われる場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対するシリコーンオイルの使用量は、好ましくは0.001質量部~0.3質量部であり、より好ましくは0.003質量部~0.28質量部であり、さらに好ましくは0.005質量部~0.25質量部であり、特に好ましくは0.008質量部~0.23質量部であり、最も好ましくは0.01質量部~0.23質量部である。シリコーンオイルの使用量が上記範囲を外れて少なすぎると、例えば、帯電防止剤を使用する場合、予備発泡時に帯電防止剤との親和性が十分でなくなり、静電気が発生しやすくなるおそれがある。シリコーンオイルの使用量が上記範囲を外れて多すぎると、成形時に表面が溶けてしまう等によって表面性が失われるおそれがある。
【0094】
シリコーンオイルは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0095】
シリコーンオイルとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切なシリコーンオイルを採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、シリコーンオイルとしては、例えば、ジメチルポリシロキサン、メチルフェニルポリシロキサン、メチルハイドロジェンポリシロキサンなどのストレートシリコーンオイルが挙げられ、好ましくは、メチルフェニルポリシロキサンである。
【0096】
実施形態(1)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子に対して帯電防止剤による表面処理が行われる場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する帯電防止剤の使用量は、好ましくは0.001質量部~0.3質量部であり、より好ましくは0.005質量部~0.28質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.27質量部であり、特に好ましくは0.015質量部~0.26質量部であり、最も好ましくは0.02質量部~0.25質量部である。帯電防止剤の量が上記範囲を外れて少なすぎると、予備発泡時に静電気が発生しやすくなるおそれがある。帯電防止剤の量が上記範囲を外れて多すぎると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子や再生スチレン系樹脂発泡成形体の表面がべたつくおそれがある。
【0097】
帯電防止剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0098】
帯電防止剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な帯電防止剤を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、帯電防止剤としては、非イオン界面活性剤および脂肪酸グリセライドから選ばれる少なくとも1種が挙げられ、好ましくは、非イオン界面活性剤および脂肪酸グリセライドの併用である。
【0099】
非イオン界面活性剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0100】
非イオン界面活性剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な非イオン界面活性剤を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、非イオン界面活性剤としては、例えば、ポリエチレングリコール、グリセリン、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルエステル、多価アルコール、1-アミノ-2-ヒドロキシ化合物が挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエーテルとしては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンオレイルエーテル、ポリオキシエチレンステアリルエーテルが挙げられる。ポリオキシエチレンアルキルエステルとしては、具体的には、例えば、ポリオキシエチレンラウレート、ポリオキシエチレンパルミテート、ポリオキシエチレンステアレート、ポリオキシエチレンオレエートが挙げられる。多価アルコールとしては、具体的には、例えば、グリセリン、プロピレングリコールが挙げられる。1-アミノ-2-ヒドロキシ化合物としては、具体的には、例えば、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシアルキル)アミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)ドデシルアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)テトラデシルアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)へキサデシルアミン、N,N-ビス(ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシヘキサデシル)アミン、N-ヒドロキシエチル-N-(2-ヒドロキシオクタデシル)アミン、N-ヒドロキシプロピル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシブチル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシペンチル-N-(2-ヒドロキシテトラデシル)アミン、N-ヒドロキシペンチル-N-(2-ヒドロキシヘキサデシル)アミン、N-ヒドロキシペンチル-N-(2-ヒドロキシオクタデシル)アミン、N,N-ビス(2―ヒドロキシエチル)ドデシルアミン、N,N-ビス(2―ヒドロキシエチル)テトラデシルアミン、N,N-ビス(2―ヒドロキシエチル)ヘキサデシルアミン、N,N-ビス(2―ヒドロキシエチル)オクタデシルアミン、それらの塩が挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、非イオン界面活性剤としては、ポリエチレングリコールが好ましい。
【0101】
帯電防止剤の少なくとも一部として非イオン界面活性剤を採用する場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する該非イオン界面活性剤の使用量は、好ましくは0.001質量部~2.0質量部であり、より好ましくは0.001質量部~1.5質量部であり、さらに好ましくは0.001質量部~1.0質量部であり、さらに好ましくは0.001質量部~0.5質量部であり、さらに好ましくは0.001質量部~0.3質量部であり、さらに好ましくは0.005質量部~0.28質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.27質量部であり、特に好ましくは0.015質量部~0.26質量部であり、最も好ましくは0.02質量部~0.25質量部である。非イオン界面活性剤の量が上記範囲を外れて少なすぎると、予備発泡時に静電気が発生しやすくなるおそれがある。非イオン界面活性剤の量が上記範囲を外れて多すぎると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子や再生スチレン系樹脂発泡成形体の表面がべたつくおそれがある。
【0102】
脂肪酸グリセライドは、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0103】
脂肪酸グリセライドとしては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な脂肪酸グリセライドを採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、上記脂肪酸グリセライドとしては、具体的には、例えば、ステアリン酸モノグリセライド、リノール酸モノグリセライドが挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、脂肪酸グリセライドとしては、ステアリン酸モノグリセライドが好ましい。
【0104】
帯電防止剤の少なくとも一部として脂肪酸グリセライドを採用する場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する該脂肪酸グリセライドの量は、好ましくは0.001質量部~0.3質量部であり、より好ましくは0.005質量部~0.28質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.27質量部であり、特に好ましくは0.015質量部~0.26質量部であり、最も好ましくは0.02質量部~0.25質量部である。脂肪酸グリセライドの量が上記範囲を外れて少なすぎると、予備発泡時に静電気が発生しやすくなるおそれがある。脂肪酸グリセライドの量が上記範囲を外れて多すぎると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子や再生スチレン系樹脂発泡成形体の表面がべたつくおそれがある。
【0105】
実施形態(1)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子に対して脂肪酸金属塩による表面処理が行われる場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する脂肪酸金属塩の使用量は、好ましくは0.005質量部~0.5質量部であり、より好ましくは0.007質量部~0.45質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.4質量部であり、特に好ましくは0.015質量部~0.35質量部であり、最も好ましくは0.02質量部~0.3質量部である。脂肪酸金属塩の量が上記範囲を外れて少なすぎると、予備発泡時のブロッキングが多く発生してしまい、良好なスチレン系樹脂発泡成形体を得ることができないおそれがある。脂肪酸金属塩の量が上記範囲を外れて多すぎると、予備発泡時に金属塩が多く存在してしまい、帯電しやすくなり、静電気が発生しやすくなり、成形品の融着が悪くなるおそれがある。
【0106】
脂肪酸金属塩は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0107】
脂肪酸金属塩としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な脂肪酸金属塩を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、脂肪酸金属塩としては、例えば、ステアリン酸金属塩、ラウリン酸金属塩が挙げられる。ステアリン酸金属塩としては、具体的には、例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸バリウム、ステアリン酸アルミニウム、ステアリン酸リチウムが挙げられる。ラウリン酸金属塩としては、具体的には、例えば、ラウリン酸亜鉛、ラウリン酸バリウムが挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、脂肪酸金属塩としては、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛が好ましい。
【0108】
実施形態(1)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子に対して融着促進剤による表面処理が行われる場合、表面処理前の再生発泡性スチレン系樹脂粒子100質量部に対する融着促進剤の使用量は、好ましくは0.01質量部~0.8質量部であり、より好ましくは0.01質量部~0.7質量部であり、さらに好ましくは0.01質量部~0.6質量部であり、特に好ましくは0.01質量部~0.55質量部であり、最も好ましくは0.013質量部~0.5質量部である。融着促進剤の量が上記範囲を外れて少なすぎると、成形時に融着性が低下してしまい、良好な再生スチレン系樹脂発泡成形体を得ることができないおそれがある。融着促進剤の量が上記範囲を外れて多すぎると、予備発泡時にブロッキングするおそれがある。
【0109】
融着促進剤は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。
【0110】
融着促進剤としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な融着促進剤を採用し得る。本発明の効果をより発現させ得る点で、融着促進剤としては、例えば、脂肪酸トリグリセライド、脂肪酸ジグリセライド、脂肪酸モノグリセライド、植物油が挙げられる。脂肪酸トリグリセライドとしては、具体的には、例えば、ラウリン酸トリグリセライド、ステアリン酸トリグリセライド、リノール酸トリグリセライド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドが挙げられる。脂肪酸ジグリセライドとしては、具体的には、例えば、ラウリン酸ジグリセライド、ステアリン酸ジグリセライド、リノール酸ジグリセライドが挙げられる。脂肪酸モノグリセライドとしては、具体的には、例えば、ラウリン酸モノグリセライドが挙げられる。植物油としては、具体的には、例えば、硬化ヒマシ油が挙げられる。本発明の効果をより発現させ得る点で、融着促進剤としては、ステアリン酸トリグリセライド、ヒドロキシステアリン酸トリグリセライドが好ましい。
【0111】
≪A-2.再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法の好ましい実施形態(2)≫
再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法の好ましい実施形態(2)においては、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を再生スチレン系樹脂粒子(A)として利用し、該再生スチレン系樹脂粒子(A)を含む懸濁液に揮発性発泡剤を圧入・含浸し、該懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、0.01mg/kg~103mg/kgの金属元素を含有する水を用いる。
【0112】
<A-2-1.実施形態(2)における再生スチレン系樹脂粒子(A)>
実施形態(2)において、再生スチレン系樹脂粒子(A)は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)をそのまま利用する。再生スチレン系樹脂原料粒子(a)については、前述の<A-1-1.実施形態(1)における再生スチレン系樹脂粒子(A)>の項目中の再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の説明を援用し得る。
【0113】
<A-2-2.実施形態(2)における揮発性発泡剤の圧入と含浸>
実施形態(2)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)をそのまま利用した再生スチレン系樹脂粒子(A)を含む懸濁液に揮発性発泡剤を圧入・含浸して得られる。
【0114】
実施形態(2)における揮発性発泡剤の圧入と含浸の方法としては、代表的には、再生スチレン系樹脂粒子(A)(再生スチレン系樹脂原料粒子(a)をそのまま利用)を含む懸濁液に、オートクレーブ等の反応器中で、揮発性発泡剤を圧入・含浸する方法が挙げられる。
【0115】
圧入・含浸方法については、前述の<A-1-2.実施形態(1)における揮発性発泡剤の圧入と含浸>の項目中の説明を援用し得る。
【0116】
前述の<A-1-2.実施形態(1)における揮発性発泡剤の圧入と含浸>の項目中の説明を援用すれば、実施形態(2)においては、再生スチレン系樹脂粒子(A)(再生スチレン系樹脂原料粒子(a)をそのまま利用)を含む懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、好ましくは、該仕込み水中の、Al、Ba、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Mn、Na、Si、Sr、Znの含有量の合計が、濃度として0.01mg/kg~103mg/kgである水を用いる。上記懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、上記のような特定濃度で金属元素を含有する水を用いることにより、臭気、特に、アルキルアミン由来の臭気を抑制した再生発泡性スチレン系樹脂粒子を得ることができる。
【0117】
上記仕込み水中の上記濃度は、本発明の効果をより発現させ得る点で、好ましくは0.01mg/kg~100mg/kgであり、より好ましくは0.01mg/kg~95mg/kgであり、さらに好ましくは0.01mg/kg~90mg/kgであり、さらに好ましくは0.01mg/kg~85mg/kgであり、特に好ましくは0.01mg/kg~80mg/kgであり、最も好ましくは0.01mg/kg~75mg/kgである。
【0118】
上記仕込み水中の上記濃度が、上記範囲を外れて小さすぎると、本発明の効果が発現され難いおそれがあり、特に、アルキルアミン由来の臭気が強くなるおそれがある。上記仕込み水中の金属元素の濃度が、上記範囲を外れて大きすぎると、本発明の効果が発現され難いおそれがあり、特に、金属臭が強くなるおそれがある。
【0119】
<A-2-3.実施形態(2)における他の成分>
実施形態(2)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子には、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な他の成分が含まれていてもよい。このような他の成分は、1種のみであってもよいし、2種以上であってもよい。他の成分については、前述の<A-1-3.実施形態(1)における他の成分>の項目中の他の成分の説明を援用し得る。
【0120】
<A-2-4.表面処理>
実施形態(2)において、再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、表面処理が施されていてもよい。表面処理については、前述の<A-1-4.表面処理>の項目中の説明を援用し得る。
【0121】
≪≪B.再生発泡性スチレン系樹脂粒子≫≫
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法によって得られる。
【0122】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の製造方法によって得られるので、臭気、特に、アルキルアミン由来の臭気が効果的に抑制され、アルキルアミン放散量が、好ましくは5ng/g未満であり、より好ましくは4ng/g未満であり、さらに好ましくは3ng/g未満であり、特に好ましくは2ng/g未満であり、最も好ましくは1ng/g未満である。このアルキルアミン放散量は、少なければ少ないほどよく、好ましくは0ng/gである。
【0123】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子は、全体として粒子の形状を有する。再生発泡性スチレン系樹脂粒子の平均粒子径は、好ましくは0.40mm~2.0mmであり、より好ましくは0.6mm~1.8mmである。平均粒子径は、JIS Z 8815に準拠して測定され得る。具体的には、平均粒子径は、JIS Z 8815の篩分け試験による粒度分布から積算値50%の粒径として測定した値とされる。
【0124】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の形状としては、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な形状を採用することができる。このような形状の具体例としては、例えば、球状、略球状、楕円球状(卵状)などが挙げられる。本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の形状としては、本発明の効果を発現する点で、好ましくは、球状、略球状であり、より好ましくは球状である。しかしながら、現実的には、球状と略球状との区別は難しいため、本明細書では、両者を合わせて球状とする。
【0125】
本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子の重量平均分子量は、本発明の効果を損なわない範囲で、任意の適切な重量平均分子量を採用することができる。このような重量平均分子量としては、好ましくは10万~51万であり、より好ましくは11万~49万であり、さらに好ましくは12万~47万であり、特に好ましくは13万~46万である。
【0126】
≪≪C.再生予備発泡スチレン系樹脂粒子≫≫
本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなる。
【0127】
本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子を予備発泡させてなるので、臭気、特に、アルキルアミン由来の臭気が効果的に抑制され得る。
【0128】
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、平均気泡径が、好ましくは0.01mm~0.80mmであり、より好ましくは0.01mm~0.70mmであり、さらに好ましくは0.01mm~0.60mmであり、特に好ましくは0.01mm~0.50mmであり、最も好ましくは0.01mm~0.40mmである。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の平均気泡径が上記範囲にあれば、発泡時や成形時のブロッキングをより防止でき、さらに、発泡時と成形時の帯電性をより抑制しつつより良好な融着性や表面性を発現し、静電気のより少ない再生スチレン系樹脂発泡成形体を成形することができる、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を提供し得る。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の平均気泡径が0.01mmより小さくなると、成形時に表面が溶けて収縮するおそれがある。
【0129】
予備発泡は、再生発泡性スチレン系樹脂粒子を、水蒸気等を用いて所望の嵩発泡倍率(嵩密度)に発泡させることを含む。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率は、好ましくは2倍~150倍であり、より好ましくは2倍以上100倍未満であり、より好ましくは5倍~90倍であり、さらに好ましくは10倍~85倍、特に好ましくは15倍~83倍である。嵩密度は、嵩発泡倍率の逆数である。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率が上記範囲内にあることにより、発泡時や成形時のブロッキングをより防止でき、さらに、発泡時と成形時の帯電性をより抑制しつつより良好な融着性や表面性を発現し、静電気のより少ない再生スチレン系樹脂発泡成形体を成形することができる、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を提供し得る。
【0130】
1つの代表的な実施形態においては、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、再生スチレン系樹脂発泡成形体の成形に用いることができる。別の実施形態においては、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、そのままで緩衝材、断熱材、コンクリートの骨材等として用いることができる。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子をそのまま用いる場合、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、好ましくは、多数の再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を袋体に充填した充填体として用いられ得る。このような再生予備発泡スチレン系樹脂粒子は、例えば、クッションの芯材(クッションの内部に充填している発泡粒)に好適である。
【0131】
≪≪D.再生スチレン系樹脂発泡成形体≫≫
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形される。本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、本発明の実施形態による再生予備発泡スチレン系樹脂粒子から成形されるので、臭気、特に、アルキルアミン由来の臭気が効果的に抑制され得る。
【0132】
なお、本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子から成形されるものであってもよい。
【0133】
再生スチレン系樹脂発泡成形体は、代表的には、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子をさらに発泡させた再生発泡スチレン系樹脂粒子(以下、単に「発泡粒子」と称する場合がある)を含む。
【0134】
再生スチレン系樹脂発泡成形体は、代表的には、互いに融着した複数の発泡粒子により構成されている。
【0135】
再生スチレン系樹脂発泡成形体は、代表的には、目的に応じた所定の形状を有する型内に再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を仕込み、型内発泡成形を行うことにより作製され得る。より詳細には、型内発泡成形は、(i)再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を多数の小孔を有する閉鎖金型内に充填すること、(ii)熱媒体(例えば、加圧水蒸気等)で再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を加熱発泡させて発泡粒子を得ること、(iii)当該加熱発泡により、発泡粒子間の空隙を埋めると共に、発泡粒子を相互に融着させることにより一体化させること、を含む。再生スチレン系樹脂発泡成形体の密度は、目的に応じて適切に設定され得る。再生スチレン系樹脂発泡成形体の密度は、例えば、金型内に充填する予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩発泡倍率を予め調整すること、あるいは、金型内への再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の充填量を調整することにより調整することができる。
【0136】
加熱発泡の温度(実質的には、熱媒体の温度)は、好ましくは90℃~150℃であり、より好ましくは110℃~130℃である。加熱発泡時間は、好ましくは5秒~50秒であり、より好ましくは10秒~50秒である。加熱発泡の成形蒸気圧(熱媒体の吹き込みゲージ圧)は、好ましくは0.04MPa~0.1MPaであり、より好ましくは0.04MPa~0.09MPaである。加熱発泡がこのような条件であれば、発泡粒子を相互に良好に融着させることができる。
【0137】
必要に応じて、再生スチレン系樹脂発泡成形体の成形前に再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を熟成させてもよい。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の熟成温度は、好ましくは20℃~60℃である。熟成温度が低すぎると、過度に長い熟成時間が必要とされる場合がある。熟成温度が高すぎると、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子中の発泡剤が散逸して成形性が低下する場合がある。
【0138】
再生スチレン系樹脂発泡成形体における発泡粒子の発泡倍率は、好ましくは2倍以上110倍未満であり、より好ましくは5倍~90倍であり、さらに好ましくは10倍~85倍、特に好ましくは15倍~80倍である。
【0139】
本発明の実施形態による再生スチレン系樹脂発泡成形体は、軽量かつ断熱性および機械的強度に優れることから、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材、温水タンク用保温材、配管用保温材、ソーラーシステム用保温材、給湯器用保温材、食品および工業製品等の容器(例えば、魚箱などの食品容器、通い箱)、緩衝材、フロート、ブロック、魚および農産物等の梱包材、盛土用成形体、畳の芯材、クッションの芯材、コンクリートの骨材等に好適に用いられる。
【実施例0140】
以下、実施例によって本発明を具体的に説明するが、本発明はこれら実施例によって限定されるものではない。なお、各特性の測定方法および評価方法は以下の通りである。
【0141】
<トリメチルアミン放散量の測定>
樹脂粒子中のトリメチルアミン放散量は次のようにして測定した。10Lテドラーバッグに測定試料約250gを精秤して入れ、該テドラーバッグ内を窒素置換し(窒素充填量4L)、ヒートシールで密封した。その後、65℃で2時間加熱後、固相カートリッジ(Waters社製、Oasis WCX)に、テドラーバッグ内の2000mLのガスを毎分200mLで採取した。固相カートリッジを2%ギ゛酸アセトニトリル4mLで溶出後LC/MS/MS測定をおこなった。なお、LC/MS/MS測定条件は下記に示す通りとし、得られたクロマトグラムで検出されたトリメチルアミンのピーク面積値を求めた。トリメチルアミンの定量には、予め作成しておいた検量線を用いた。次に、空の10Lテドラーバッグ内を窒素置換し(窒素充填量4L)、ヒートシールで密封したものについて、同様に測定して、操作ブランク値として差し引き、サンプル1gあたりの放散量として、下記式により算出した。
なお、測定下限は1ng/gであった。
トリメチルアミン放散量(ng/g)
=試験液中のトリメチルアミン濃度(μg/mL)×抽出液量(mL)÷試料量(g)×1000×捕集ガス量(L)÷テドラーバッグ内ガス量(L)
(捕集条件)
試料量=約250g
試験温度=65℃
加熱時間=2hr
固相カートリッジ=Waters製、Oasis WCX
ガス採取量=約2000mL
ガス捕集速度=200mL/min
(LC/MS/MS測定条件)
測定装置:UHPLC ACCELA(Thermo Fisher Scientific製)
カラム:ACQUITY BEH C18(Waters製、内径2.1mm、長さ50mm、粒径1.7μm)
カラム温度:40℃
移動相条件:(A:10mM酢酸アンモニウム/B:アセトニトリル=15/85)
流量:0.3mL/min
ポンプ温度:室温(25℃)
注入量:5μL
測定時間:5min
(MS測定条件)
測定装置:Linear Ion Trap LC/MSn LXQ(Thermo Fisher Scientific製)
イオン化法(Ionization):(ESI/positive)
シースガス(Sheath Gas):30arb
補助ガス(AUX Gas):5arb
スイープガス(Sweep Gas):0arb
スプレー電圧(Spray Voltage):4.0kV
キャピラリー温度(Capillary Temp):120℃
キャピラリー電圧(Capillary voltage):15V
チューブレンズ電圧(Tube lens Voltage):80V
モニターイオン:トリメチルアミン(m/z=60.1)
(標準液調製方法)
トリメチルアミン標準品をメタノールにて希釈溶解し、1000ppm中間標準液を調製した。中間標準液を、さらに2%ギ゛酸アセトニトリルで希釈し、5ppm、2ppm、1ppm、0.5ppm、0.2ppm、0.1ppmの6点の標準液を調製した。
【0142】
<水に含まれる特定の金属元素の濃度の測定>
水に含まれる、Al、Ba、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Mn、Na、Si、Sr、Znの合計濃度の測定は以下のように行った。なお、測定結果が測定装置の定量下限未満の場合は、濃度は0とした。
(測定方法)
採取した水中の金属元素濃度を下記条件で測定した。金属元素濃度は予め作成した検量線より求めた。
(ICP測定条件)
測定装置=株式会社島津製作所製「ICPE-9000」マルチタイプICP発光分光分析装置
測定元素=Al、Ba、Ca、Cr、Cu、Fe、K、Mg、Mn、Na、Si、Sr、Zn
観測方向=軸方向
高周波出力=1.20kW
キャリアー流量=0.7L/分
プラズマ流量=10.0L/分
補助流量=0.6L/分
露光時間=30秒
検量線用標準液=米国SPEX社「XSTC-13」汎用混合標準溶液31元素混合(ベース5%HN3):各約10mg/L、「XSTC-8」汎用混合標準溶液13元素混合(ベースH2O/traceHF):各約10mg/L
【0143】
<臭気の評価>
臭気の評価は以下の方法で行った。
再生発泡性スチレン系樹脂粒子を容積量25リットルである円筒型バッチ発泡機に500g投入し、2分間加熱している際に発泡機から排出される蒸気の臭気について官能試験を行った。また、成形体を破断した際の破断面の臭気についても官能試験を行った。
官能試験は、5名の臭気確認者にて行った。ここでの「臭気」は、生臭い、腐敗臭、金属臭などの一般的に人が臭いと感じる臭気であり、官能的に評価を行った。
評価基準は以下の通りとした。
〇:臭いと感じる人が1名以下。
△:臭いと感じる人が2~3名。
×:臭いと感じる人が4名。
××:臭いと感じる人が5名(全員)。
【0144】
<再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩密度および嵩発泡倍率の測定>
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子の嵩密度および嵩発泡倍率は、以下のようにして測定した。
(嵩密度の測定方法)
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を試料としてメスシリンダー内に自然落下させたのち、メスシリンダーの底をたたいて試料容積を一定にさせ、その容積と質量を測定し次式により算出した。
嵩密度(g/mL)=試料質量(g)/メスシリンダー中の試料容積(mL)
(嵩発泡倍率の測定方法)
再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を試料としてメスシリンダー内に自然落下させたのち、メスシリンダーの底をたたいて試料容積を一定にさせ、その容積と質量を測定し次式により算出した。樹脂比重は、スチレン系樹脂の場合1.0とした。
嵩発泡倍率(倍)=メスシリンダー中の試料容積(mL)/試料質量(g)×樹脂比重
なお、嵩発泡倍率は、嵩密度の逆数として算出してもよい。
【0145】
<再生スチレン系樹脂発泡成形体の密度および発泡倍率の測定>
(密度の測定方法)
再生スチレン系樹脂発泡成形体の密度は、試験片の寸法と質量を有効数字3桁以上になるように測定し、次式により算出した。
密度(g/cm3)=試験片質量(g)/試験片体積(cm3)
(発泡倍率の測定方法)
再生スチレン系樹脂発泡成形体の発泡倍率は、試験片の寸法と質量を有効数字3桁以上になるように測定し、次式により算出した。樹脂比重は、スチレン系樹脂の場合1.0とした。
発泡倍率(倍)=試験片体積(cm3)/試験片質量(g)×樹脂比重
【0146】
[製造例1]:再生スチレン系樹脂原料粒子(a)の製造
使用済み魚箱(発泡スチロール)の回収ペレットを短軸押出機に供給し、200℃で加熱溶解後、金型から平均粒子径0.75mm(略球状)となるように水中カットすることにより、魚箱の再生スチレン系樹脂原料粒子(a)を得た。得られた再生スチレン系樹脂原料粒子(a)のトリメチルアミン放散量は10ng/gであった。
【0147】
[実施例1]
<再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A1)の作製>
100リットルの攪拌機付反応器に、水36kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム3.5g、ピロリン酸マグネシウム150gを入れ、さらに、製造例1で得られた再生スチレン系樹脂原料粒子(a)12.6kgを加えて、150rpmで攪拌して懸濁させ、懸濁液(1)を調製した。用いた水は、金属元素の濃度が105mg/kgである水を蒸留水(金属元素の濃度=0.01mg/kg未満<測定下限未満>)で希釈して、金属元素の濃度を101mg/kgに調整したものを用いた。
別途、上記と同じ水(金属元素の濃度=101mg/kg)2.5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム0.8gの分散液に、重合開始剤としての過酸化ベンゾイル(純度75%)125g、t-ブチルパーオキシ-2-エチルヘキシルモノカーボネート20gを溶解したスチレン単量体2.3kgを加え、ホモミキサーで攪拌して乳濁化させ、乳濁液(1)を調製した。
100リットルの攪拌機付反応器中の上記懸濁液(1)を75℃に保持し、上記乳濁液(1)を添加した。その後、再生スチレン系樹脂原料粒子(a)中にスチレン単量体と重合開始剤とがよく吸収されるように75℃で30分間保持し、保持した直後から、スチレン単量体27.1kgを120分かけて連続的に滴下して添加した。添加温度は、75℃から105℃まで徐々に昇温した。
その後、30分かけて125℃まで昇温し、125℃で1時間保持し、その後、60℃まで1時間かけて冷却した。これにより、反応容器中に再生スチレン系樹脂粒子(1)を調製させた。
別途、上記と同じ水(金属元素の濃度=101mg/kg)3.5kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム1.5g、ピロリン酸マグネシウム20gの分散液に、ジクミルパーオイキサイド147g、エチレンビスステアリン酸アミド35gを添加し、ホモミキサーで攪拌して乳濁化させて乳濁液(2)を調製した。この乳濁液(2)を、上記の60℃まで冷却した反応器に添加した。この添加から10分後に、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)690gを添加した。添加後、60℃で30分間攪拌を続けた。
続いて、100℃まで昇温し、発泡剤としてペンタン(イソペンタン/ノルマルペンタン=20質量%/80質量%)3200gを圧入し、その状態で5時間保持することで発泡剤をゆっくり含浸させた。その後、反応器内の温度を30℃まで冷却した。
その後、反応器内から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級し、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A1)を得た。
得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A1)中のトリメチルアミン放散量を測定したところ、測定下限未満(測定下限=1ng/g)であった。
【0148】
<再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A1)の表面処理>
得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A1)40kgと、ポリエチレングリコール8g、ステアリン酸亜鉛44g、脂肪酸トリグリセライド12g、脂肪酸モノグリセライド16gとをタンブラーミキサーに投入し、30分間撹拌し、表面処理を行い、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A1’)を得た。
【0149】
<再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(1)の作製>
得られた表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A1’)を、15℃の保冷庫にて20日間保管後、容積量が340リットルである円筒型バッチ式加圧発泡機に投入し、蒸気により2分間加熱して、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(1)を得た。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(1)の嵩密度は0.02g/cm3、嵩発泡倍率は50倍であった。
なお、臭気の評価は、別途、前述の方法によって行った。
【0150】
<再生スチレン系樹脂発泡成形体(1)の作製>
得られた再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(1)を、室温雰囲気下で24時間放置後、キャビティのサイズ:高さ400mm、幅500mm、奥行300m、の成形型を有する成形機を用い、成形型のキャビティ内に上記再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(1)を充填し、0.04MPa(ゲージ圧)の蒸気圧で40秒間加熱し、次いで、成形型内圧力が-0.002MPaになるまで冷却した後、成形型から離型し、成形型に対応する板状の再生スチレン系樹脂発泡成形体(1)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(1)の密度は0.02g/cm3、発泡倍率は50倍であった。その後、この再生スチレン系樹脂発泡成形体(1)を、50℃の乾燥室に1日間保管した。
得られた再生スチレン系樹脂発泡成形体(1)を破断し、前述の方法によって臭気の評価を行った。
各種評価結果を表1に示した。
【0151】
[実施例2~12]
再生スチレン系樹脂原料粒子を含む懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、金属元素の濃度が105mg/kgである水を蒸留水(金属元素の濃度=0.01mg/kg未満<測定下限未満>)で希釈して、金属元素の濃度を表1に示す濃度に調整したものを用いた以外は、実施例1と同様に行い、再生スチレン系樹脂原料粒子(a2)~(a12)、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A2)~(A12)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(2)~(12)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(2)~(12)を作製した。
各種評価結果を表1に示した。
【0152】
[比較例1]
再生スチレン系樹脂原料粒子を含む懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、蒸留水(金属元素の濃度=0.01mg/kg未満<測定下限未満>)を用いた以外は、実施例1と同様に行い、再生スチレン系樹脂粒子(aC1)、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(AC1)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C1)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(C1)を作製した。
各種評価結果を表1に示した。
【0153】
[比較例2]
再生スチレン系樹脂原料粒子を含む懸濁液を調製するために用いる水として、金属元素の濃度が105mg/kgである水を使用した以外は、実施例1と同様に行い、再生スチレン系樹脂原料粒子(aC2)、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(AC2)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C2)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(C2)を作製した
臭気の評価の結果は、トリエチルアミン臭はなかったものの、金属臭が強かった。
各種評価結果を表1に示した。
【0154】
[実施例13]
<再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A13)の作製>
100リットルの攪拌機付反応器に、水48kg、ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム5.7g、ピロリン酸マグネシウム280gを入れ、さらに、製造例1で得られた再生スチレン系樹脂原料粒子(a)40kgを加えて、150rpmで攪拌して懸濁させ、懸濁液(3)を調製した。用いた水は、金属元素の濃度が105mg/kgである水を蒸留水(金属元素の濃度=0.01mg/kg未満<測定下限未満>)で希釈して、金属元素の濃度を101mg/kgに調整したものを用いた。
100リットルの攪拌機付反応器中の上記懸濁液(3)を60℃に保持し、ジクミルパーオキサイド140gを添加した。この添加から10分後に、テトラブロモビスフェノールA-ビス(2,3-ジブロモ-2-メチルプロピルエーテル)660gを添加した。添加後、60℃で30分間攪拌を続けた。
その後、60分かけて120℃まで昇温し、続いて、発泡剤としてペンタン(イソペンタン/ノルマルペンタン=20質量%/80質量%)4000gを圧入し、10分かけて108℃にした後、その状態で5時間保持することにより、発泡剤をゆっくり含浸させた。その後、反応器内の温度を30℃まで冷却した。その後、反応器内から内容物を取り出し、脱水・乾燥・分級し、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A13)を得た。
得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A13)中のトリメチルアミン放散量を測定したところ、測定下限未満(測定下限=1ng/g)であった。
【0155】
<再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A13)の表面処理>
得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A13)40kgと、ポリエチレングリコール8g、ステアリン酸亜鉛44g、脂肪酸トリグリセライド12g、脂肪酸モノグリセライド16gとをタンブラーミキサーに投入し、30分間撹拌し、表面処理を行い、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A13’)を得た。
【0156】
<再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(13)の作製>
得られた表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A13’)を、15℃の保冷庫にて20日間保管後、容積量が340リットルである円筒型バッチ式加圧発泡機に投入し、蒸気により2分間加熱して、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(13)を得た。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(13)の嵩密度は0.02g/cm3、嵩発泡倍率は50倍であった。
なお、臭気の評価は、別途、前述の方法によって行った。
【0157】
<再生スチレン系樹脂発泡成形体(13)の作製>
得られた再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(13)を、室温雰囲気下で24時間放置後、キャビティのサイズ:高さ400mm、幅500mm、奥行300m、の成形型を有する成形機を用い、成形型のキャビティ内に上記再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(13)を充填し、0.04MPa(ゲージ圧)の蒸気圧で40秒間加熱し、次いで、成形型内圧力が―0.002MPaになるまで冷却した後、成形型から離型し、成形型に対応する板状の再生スチレン系樹脂発泡成形体(13)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(13)の密度は0.02g/cm3、発泡倍率は50倍であった。その後、この再生スチレン系樹脂発泡成形体(13)を、50℃の乾燥室に1日間保管した。
得られた再生スチレン系樹脂発泡成形体(13)を破断し、前述の方法によって臭気の評価を行った。
各種評価結果を表2に示した。
【0158】
[実施例14~24]
再生スチレン系樹脂原料粒子を含む懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、金属元素の濃度が105mg/kgである水を蒸留水(金属元素の濃度=0.01mg/kg未満<測定下限未満>)で希釈して、金属元素の濃度を表1に示す濃度に調整したものを用いた以外は、実施例13と同様に行い、再生スチレン系樹脂原料粒子(a14)~(a24)、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(A14)~(A24)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(14)~(24)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(14)~(24)を作製した。
各種評価結果を表2に示した。
【0159】
[比較例3]
再生スチレン系樹脂原料粒子を含む懸濁液を調製する際に用いる仕込み水として、蒸留水(金属元素の濃度=0.01mg/kg未満<測定下限未満>)を用いた以外は、実施例13と同様に行い、再生スチレン系樹脂粒子(aC3)、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(AC3)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C3)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(C3)を作製した。
各種評価結果を表2に示した。
【0160】
[比較例4]
再生スチレン系樹脂原料粒子を含む懸濁液を調製するために用いる水として、金属元素の濃度が105mg/kgである水を使用した以外は、実施例13と同様に行い、再生スチレン系樹脂原料粒子(aC4)、再生発泡性スチレン系樹脂粒子(AC4)、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C4)、再生スチレン系樹脂発泡成形体(C4)を作製した
臭気の評価の結果は、トリエチルアミン臭はなかったものの、金属臭が強かった。
各種評価結果を表2に示した。
【0161】
[比較例5]
<再生発泡性スチレン系樹脂粒子(AC5)の作製>
使用済み魚箱(発泡スチロール)の回収ペレットを短軸押出機に供給し、200℃で加熱溶解後、該使用済み魚箱(発泡スチロール)の回収ペレット100質量部に対してペンタン(ノルマルペンタン/イソペンタン=80質量%/20質量%)4質量部を圧入し、溶融混練して混合した。次いで、上記短軸押出機中で溶融した樹脂組成物を混練冷却し、樹脂組成物の樹脂温度180℃にて押出孔φ0.6mm×200個の多孔ダイを通じて30℃の水で満たされたカッティング室の中に押出し、直ちに水中でカットし、延伸脱水機を通して脱水し、嵩密度が0.6g/cm3、平均粒子径が約1.2mmの再生発泡性スチレン系樹脂粒子(AC5)を得た。
得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子(AC5)中のトリメチルアミン放散量を測定したところ、10ng/gであった。
押出条件は以下の通りとした。
吐出量=180kg/時間
スクリュ―回転数=70rpm
押出機圧力=14MPa
カッター回転数=3000rpm
水圧=0.50MPa
【0162】
<再生発泡性スチレン系樹脂粒子(AC5)の表面処理>
得られた再生発泡性スチレン系樹脂粒子(AC5)40kgと、ポリエチレングリコール8g、ステアリン酸亜鉛44g、脂肪酸トリグリセライド12g、脂肪酸モノグリセライド16gとをタンブラーミキサーに投入し、30分間撹拌し、表面処理を行い、表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(AC5’)を得た。
【0163】
<再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C5)の作製>
得られた表面処理された再生発泡性スチレン系樹脂粒子(AC5’)を、15℃の保冷庫にて20日間保管後、容積量が340リットルである円筒型バッチ式加圧発泡機に投入し、蒸気により2分間加熱して、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C5)を得た。再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C5)の嵩密度は0.02g/cm3、嵩発泡倍率は50倍であった。
なお、臭気の評価は、別途、前述の方法によって行った。
臭気の評価の結果は、トリエチルアミン臭を含む複合臭が強かった。
【0164】
<再生スチレン系樹脂発泡成形体(C5)の作製>
得られた再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C5)を、室温雰囲気下で24時間放置後、キャビティのサイズ:高さ400mm、幅500mm、奥行300m、の成形型を有する成形機を用い、成形型のキャビティ内に上記再生予備発泡スチレン系樹脂粒子(C5)を充填し、0.04MPa(ゲージ圧)の蒸気圧で40秒間加熱し、次いで、成形型内圧力が―0.002MPaになるまで冷却した後、成形型から離型し、成形型に対応する板状の再生スチレン系樹脂発泡成形体(C5)を得た。再生スチレン系樹脂発泡成形体(C5)の密度は0.02g/cm3、発泡倍率は50倍であった。その後、この再生スチレン系樹脂発泡成形体(C5)を、50℃の乾燥室に1日間保管した。
得られた再生スチレン系樹脂発泡成形体(C5)を破断し、前述の方法によって臭気の評価を行った。
各種評価結果を表3に示した。
【0165】
【0166】
【0167】
本発明の実施形態による製造方法により得られる再生発泡性スチレン系樹脂粒子、該再生発泡性スチレン系樹脂粒子を含む再生予備発泡スチレン系樹脂粒子、および、該再生予備発泡スチレン系樹脂粒子を含む再生スチレン系樹脂発泡成形体は、住宅および自動車等に用いる断熱材、建築資材等に用いる保温材、魚箱および食品容器等の輸送用梱包材、緩衝材等に好適に用いられる。本発明の実施形態による再生発泡性スチレン系樹脂粒子、再生予備発泡スチレン系樹脂粒子、および、再生スチレン系樹脂発泡成形体は、より具体的には、壁用断熱材、床用断熱材、屋根用断熱材、自動車用断熱材、温水タンク用保温材、配管用保温材、ソーラーシステム用保温材、給湯器用保温材、食品および工業製品等の容器(例えば、魚箱などの食品容器、通い箱)、緩衝材、フロート、ブロック、魚および農産物等の梱包材、盛土材(盛土ブロックなど)、畳の芯材、クッションの芯材、コンクリートの骨材等に好適に用いられる。